半導体装置、その検査方法および送信回路
【課題】光結合部の伝送マージンを確保して復調誤りを抑制し、高精度の信号伝送を可能とする半導体装置、その検査方法および送信回路を提供する。
【解決手段】半導体装置100は、アナログディジタル変換部3と、ディジタル信号に応じたパルスパターンである伝送信号を出力するパルス幅変調部5と、固定パルスである参照信号を生成する参照信号生成部7と、を備える。そして、前記伝送信号および前記参照信号のいずれかを選択する第1の制御部13と、前記伝送信号または前記参照信号に基づく駆動電流を出力する発光素子駆動部9と、前記伝送信号または前記参照信号基づく光信号を放出する発光素子15と、を備える。さらに、前記光信号を電圧信号に変換する光受信部21と、前記電圧信号を前記伝送信号または前記参照信号に基づくディジタル信号に復調する復調部25と、を備える。
【解決手段】半導体装置100は、アナログディジタル変換部3と、ディジタル信号に応じたパルスパターンである伝送信号を出力するパルス幅変調部5と、固定パルスである参照信号を生成する参照信号生成部7と、を備える。そして、前記伝送信号および前記参照信号のいずれかを選択する第1の制御部13と、前記伝送信号または前記参照信号に基づく駆動電流を出力する発光素子駆動部9と、前記伝送信号または前記参照信号基づく光信号を放出する発光素子15と、を備える。さらに、前記光信号を電圧信号に変換する光受信部21と、前記電圧信号を前記伝送信号または前記参照信号に基づくディジタル信号に復調する復調部25と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置、その検査方法および送信回路に関する。
【背景技術】
【0002】
電力機器の制御に使用される半導体装置には、ノイズ耐量が大きく、アナログ信号の高精度な伝送が可能な絶縁回路が必要とされる。フォトカプラなど光学的に信号を伝送する光結合型絶縁回路を備えた半導体装置は、入出力間が電気的に完全に絶縁されノイズ耐量に優れるが、アナログ信号の伝送には適さない。例えば、受信側に信号処理回路を備えるIC出力型フォトカプラが汎用され、デジタル信号の伝送に用いられているが、高精度なアナログ信号の伝送はできない。また、アナログ信号の伝送に用いられるトランジスタカプラ等の絶縁回路には、その非線形性に起因する信号波形の歪みの問題があり高精度なアナログ信号の伝送に適さない。
【0003】
そこで、光結合型絶縁回路による高精度なアナログ信号の伝送を可能とするため、その送信側にアナログ/ディジタル(AD)変換回路を加える技術が開発された。すなわち、アナログ入力をディジタル信号に変換して伝送することにより、光結合部の非線形性の影響を回避し、高精度なアナログ伝送を可能とした。
【0004】
アナログ/ディジタル変換回路としてデルタシグマ型変換回路を用いた場合、アナログ信号に含まれる情報を高精度に伝送するためには、AD変換におけるクロック周波数を高くすることが望まれる。また、光結合型絶縁回路内における光信号経路を一つにするために、アナログ/デジタル変換回路のサンプリングクロックとデジタルデータを一系列の信号に重畳させる変調回路が用いられる。変調方式としてパルス幅変調を行って光伝送を行っている場合、サンプリングクロック周波数が光結合部の応答限界に近づくと、光結合部のパルス幅歪みにより、受信側で復調誤りを生じさせることがある。そこで、光結合部の伝送マージンを確保して復調誤りを抑制し、高精度の信号伝送を可能とする光結合型絶縁回路と、それを備えた半導体装置が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−303663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
実施形態によれば、光結合部の伝送マージンを確保して復調誤りを抑制し、高精度の信号伝送を可能とする半導体装置、その検査方法および送信回路が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る半導体装置は、アナログ信号をディジタル信号に変換するアナログディジタル変換部と、前記アナログ/ディジタル変換部から出力される前記ディジタル信号に応じたパルスパターン(伝送信号)を出力するパルス幅変調部と、固定されたパルスパターン(参照信号)を生成する参照信号生成部と、を備える。そして、前記伝送信号および前記参照信号のいずれかを選択する第1の制御部と、前記第1の制御部により選択された前記伝送信号または前記参照信号に基づく発光素子駆動電流を出力する発光素子駆動部と、前記発光素子駆動部により駆動され、前記伝送信号または前記参照信号に基づく光信号を放出する発光素子と、を備える。さらに、前記光信号を受信して受光素子の光電流を電圧信号に変換する光受信部と、前記電圧信号を復調する復調部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1実施形態に係る半導体装置の構成を示す模式図である。
【図2】第2実施形態に係る半導体装置の構成を示す模式図である。
【図3】第2実施形態の変形例に係る半導体装置の構成を示す模式図である。
【図4】第3実施形態に係る半導体装置の構成を示す模式図である。
【図5】第3実施形態の変形例に係る半導体装置の構成を示す模式図である。
【図6】第4実施形態に係る半導体装置の構成を示す模式図である。
【図7】第4実施形態の変形例に係る半導体装置の構成を示す模式図である。
【図8】第5実施形態に係る半導体装置の構成を示す模式図である。
【図9】第5実施形態の変形例に係る半導体装置の構成を示す模式図である。
【図10】第6実施形態に係る半導体装置の構成を示す模式図である。
【図11】第7実施形態に係る半導体装置の構成を示す模式図である。
【図12】パルス幅変調部における符号化方式を例示するチャートである。
【図13】パルス歪み補償部を例示する回路図である。
【図14】半導体装置の制御部を例示する回路図である。
【図15】第1実施形態に係る半導体装置の検査方法を示すフローチャートである。
【図16】第2実施形態に係る半導体装置の検査方法を示すフローチャートである。
【図17】第4および第5実施形態に係る半導体装置の検査方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、図面中の同一部分には同一番号を付してその詳しい説明は適宜省略し、異なる部分について適宜説明する。
【0010】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る半導体装置100の構成を示す模式図である。半導体装置100は、発光素子15と受光素子17とを介した光結合を含む絶縁回路を有し、送信部10と受信部20とを備える。
【0011】
送信部10は、例えば、差動入力信号を検出する正相入力端子4と、逆相入力端子6と、電源端子2と、第1の接地端子GND1と、を備える。さらに、送信部10は、アナログ/ディジタル(AD)変換部3と、パルス幅変調部5と、参照信号生成部7と、発光素子15を駆動する発光素子駆動部9と、を備える。
【0012】
実施形態に係るAD変換部3には、例えば、差動入力信号、もしくは、単相入力信号が入力される。単相入力信号の場合は、入力端子4もしくは入力端子6のどちらか一方に入力される。そして、差動入力信号の場合、AD変換部3の入力に接続された正相入力端子4および逆相入力端子6から入力される差動アナログ信号が、所定のクロック信号に基づきディジタルデータ信号に変換される。パルス幅変調部5では、クロック信号にAD変換部3から出力されたディジタルデータ信号を重畳して符号化し、第1の平均デューティ比を有する伝送信号に変換する。
【0013】
参照信号生成部7は、第2の平均デューティ比を有する参照信号を生成する。参照信号は、例えば、AD変換部3のクロックと同期したパルスであって、パルスパターンが固定された信号である。そして、そのデューティ比(第2の平均デューティ比)と、第1の平均デューティ比とは異なる。
【0014】
半導体装置100は、アナログ信号をディジタル信号に変換して伝送する伝送モードと、例えば、パルス歪みを検査するテストモードと、を有する。そして、伝送モードとテストモードとは、第1の制御部13により切り替えられる。第1の制御部13は、例えば、入力端子4に入力される電圧に基づいてスイッチ14を制御し、伝送信号および参照信号のいずれかを選択する。
【0015】
スイッチ14は、例えば、初期状態(伝送モード)においてパルス幅変調部5の出力側a1に接続される。制御部13は、例えば、入力端子4の電圧レベルVIN1が、所定の閾値VTH1を越えた時に、スイッチ14をa1側から参照信号生成部7の出力側b1に切り替える。そして、入力端子4の電圧レベルVIN1がVTH1以下となった時にa1側に戻す。
【0016】
伝送モードでは、スイッチ14はa1側に接続され、パルス幅変調部5から発光素子駆動部9に伝送信号が入力される。そして、発光素子駆動部9において、伝送信号に基づいた発光素子駆動電流を発光素子15に流し、発光素子15から伝送信号を含んだ光信号LSが放出される。
【0017】
テストモードでは、スイッチ14はb1側に接続され、参照信号生成部7から参照信号が発光素子駆動部9に入力される。そして、発光素子駆動部9において、参照信号に基づいた駆動電流を発光素子15に流し、発光素子15から参照信号を含んだ光信号LSが放出される。
【0018】
受信部20は、光信号LSを受信する受光素子17と、受光素子17の出力電流を電圧信号に変換する光受信部21と、を備える。そして、受信部20は、第2の電源端子22と、第2の接地端子GND2と、を備え、送信部10から電気的に分離されている。さらに、受信部20は、平均デューティ比検出部23と、復調部25と、バッファ27と、を備える。
【0019】
平均デューティ比検出部23は、第1の平均デューティ比および第2の平均デューティ比の少なくともいずれかに基づいて、光受信部21から出力される電圧信号を伝送信号または参照信号に対応させる。すなわち、平均デューティ比検出部23は、受信部21の出力電圧信号の平均デューティ比を検出し、その値に基づいてスイッチ24aおよび24bを制御する。
【0020】
平均デューティ比検出部23は、例えば、検出された平均デューティ比が第1の平均デューティ比に等しければ、その電圧信号を伝送信号と認識してスイッチ24aをc1側に接続し、スイッチ24bをc2側に接続する。これにより、伝送信号に対応づけられた電圧信号が復調部25に入力される。そして、復調部25は、電圧信号をディジタルデータ信号とクロック信号とに復調して出力する。
【0021】
復調部25で復調されたディジタルデータ信号およびクロック信号は、バッファ27を介して端子26および28に出力される。例えば、端子26からクロック信号を出力し、端子28からディジタルデータ信号を出力する。
【0022】
光受信部21から出力される電圧信号の平均デューティ比が、第2の平均デューティ比に等しければ、デューティ比検出部23は、その電圧信号を参照信号と認識してスイッチ24aをd1側に接続し、スイッチ24bをd2側に接続する。これにより、光受信部21から出力される電圧信号は、バッファ27を介して端子26もしくは28に出力される。
【0023】
デューティ比検出部23における電圧信号の処理は、上記の例に限られない。例えば、第1の平均デューティ比と第2の平均デューティ比との間の値を基準デューティ比とし、基準デューティ比と、電圧信号の平均デューティ比と、の大小関係に基づいて、電圧信号を伝送信号もしくは参照信号に対応づけても良い。
【0024】
ここで、例えば、参照信号が固定のパルス幅もしくはパルス周期を有し、そのパルス幅もしくはパルス周期が既知の場合、端子26もしくは28から出力される電圧信号のパルス幅を測定することにより、発光素子駆動部9の入力側から光受信回路21の出力側の間(光結合部)において生じるパルス幅歪みを測定することができる。例えば、パルス周期が未知であるが、参照信号のパルス幅がパルス周期の1/Nに決まっている場合、端子26もしくは28から出力される電圧信号のパルス周期とパルス幅とを測定して下記の計算を行うことによりパルス幅歪みを求めることができる。
パルス幅歪み=(パルス幅測定値/パルス周期測定値−1/N)×パルス周期測定値・・・(1)
上式において、参照信号のパルス幅がパルス周期の1/Nであることが前提となっているが、このようなパルスは、より高速のクロックパルスをカウンタ回路等で処理することにより容易に実現できる。
【0025】
上記の通り、半導体装置100は、そのテストモードにおいて、送信部で発生させた参照信号を光結合部を介して伝送し、パルス幅歪みを含んだ電圧信号を出力する。これにより、光結合部において生じるパルス幅歪みを測定することが可能となり、光結合部の伝送マージンを検査することができる。
【0026】
また、図1に示す送信部10および受信部20において、それぞれ破線で囲んだ構成要素は、1つの半導体チップに集積することが可能である。例えば、送信部10において、入力端子4および6、AD変換回路3、パルス幅変調回路5、参照信号生成回路7、発光素子駆動回路9、制御回路13、および、制御回路13で制御されるスイッチ回路14を含む集積回路(送信用IC)を用いることができる。
【0027】
一方、受信部20には、光受信回路21、平均デューティ比検出回路23、復調回路25、および、デューティ比検出回路23で制御されるスイッチ回路24a、24bを含む受信用ICを用いることができる。受光素子17は、受信用ICの他の構成要素と一体に集積化しても良いし、別途、受信用ICの入力側に接続しても良い。
【0028】
このように、各構成要素を集積化したICを用いることにより、半導体装置100を小型化することができる。さらに、伝送モードとテストモードとを切り替える際には、入力端子4に所定の電圧を入力し、伝送信号もしくは参照信号を含んだ電圧信号がバッファ27を介した端子26もしくは28に出力させる。したがって、半導体装置100では、アナログ信号入力端子に加えてテストモード用の端子を付加しない。このため、装置サイズの小型も実現することができる。
【0029】
次に、図12を参照して、実施形態に係るパルス幅変調について説明する。図12は、パルス幅変調部5における1つの符号化方式を例示しており、これに限定される訳ではない。
【0030】
送信部10の入力端子4および6に入力されるアナログ信号は、AD変換部3においてディジタル信号に変換される。入力端子4および6に入力される入力差動信号を所定のクロック信号に基づいてサンプリングし、例えば、ΔΣ型AD変換回路で1bitのディジタルデータ信号に変換する。そして、パルス幅変調部5において、クロック信号にディジタルデータ信号を重畳したパルス幅変調を行う。
【0031】
さらに、AD変換部3のディジタルデータ信号(ADC出力)にスクランブル信号を重畳し、例えば、図12に示すA〜Cの3つのパルスパターンに変調する。図12では、1ビットのADC出力が例示されており、スクランブル信号には、クロック信号に基づいて生成される1ビットの疑似ランダム信号、もしくは、01交番信号など、平均デューティ比が保証された信号を用いる。
【0032】
図12に示すように、例えば、ADC出力が「L」の場合、スクランブルが「L」または「H」であっても、デューティ比を50%とする(Aパターン)。一方、ADCの出力が「H」で、スクランブルが「L」の場合、デューティ比を25%とする(Bパターン)。そして、ADC出力が「H」、スクランブルが「H」の場合、デューティ比を75%とする(Cパターン)。これにより、伝送信号における第1の平均デューティ比を50%にすることができる。なお、A〜Cのパルスパターンの立ち上がりT0をクロック周期TCと一致させているため、クロック信号にディジタルデータを重畳させることになる。
【0033】
受信部20では、復調部25において、各パルスパターンの立ち上がりT0を検出することにより、クロック信号を再生する。さらに、再生されたクロック信号を用いて、図12中に示す識別点T1〜T3における電圧レベルを検知し、電圧信号(伝送信号)をディジタルデータ信号に復調する。なお、識別点T1〜T3は再生されたクロック信号とDLL(Digital Locked Loop)回路等を用いることにより容易に生成できる。
【0034】
一方、伝送信号をディジタルデータ信号に復調する際には、各識別点T1〜T3と、各パルスパターンA〜Cの立ち下がり点と、の間に、符号誤りを生じさせないマージンが必要となる。例えば、Aパターンの識別点T1では、Bパターンの立ち下がり点との間のマージンΔTM1と、Aパターンの立ち下がり点との間のマージンΔTM2と、を確保することが望ましい。例えば、図12び示すパルスパターンが歪み無く伝送されるとすれば、マージンΔTM1およびΔTM2は、クロック周期TCの8分の1となる。
【0035】
このように、ADC出力とスクランブル信号とを重畳する変調方式を用いると、伝送信号の平均デューティ比が一定となり受信回路の構成を簡略することができる。一方、伝送信号の復調時におけるマージンを小さくするデメリットも生じる。
【0036】
光結合部のパルス幅歪みが、マージンΔTM1およびΔTM2よりも十分小さければ、符号誤り率を抑制したエラーフリーの信号伝送を実現できる。しかしながら、デルタシグマ型変換器において、入力されたアナログ信号を高精度でアナログ/デジタル変換するためにサンプリングクロック周波数を高くすると、マージンΔTM1およびΔTM2が小さくなり、小さなパルス幅歪みや信号ジッタなどによる復調誤りが無視できない状態となる場合がある。
【0037】
さらに、ΔΣ型AD変換回路のように出力パターンが一意に決まらないAD変換を用いる場合、パルス幅変調部5から出力されるパルスパターンを制御することは難しい。このため、伝送信号を含んだ電圧信号を光受信部21から直接取り出すことが可能な構成としても、出力パルスパターンが一意に決まらないため、信号のパルス歪みを簡単に測定することが難しい。
【0038】
これに対し、実施形態に係る半導体装置100では、テストモードにおいてパルス幅を固定した参照信号を伝送することにより、パルス幅歪みを簡単に測定することができる。そして、半導体装置100の製造過程における検査において、パルス幅歪みの大きいものを取り除くことが可能となる。これにより、半導体装置100における光結合部の伝送マージンを確保して復調誤りを抑制し、アナログ信号を高精度にディジタル化した信号伝送を実現することができる。
【0039】
なお、上記の例では、伝送信号の平均デューティ比が50%に固定される符号化方式を示したが、実施形態は、平均デューティ比が50%の値に固定される場合に限定される訳ではなく、参照信号の平均デューティ比と重複しなければ良い。
【0040】
次に、図15のフローチャートを参照して、半導体装置100の検査方法を具体的に説明する。
【0041】
最初に、送信部10の入力端子4に閾値電圧VTH1よりも高い電圧を入力し、の制御部13を動作させる(S01)。ここで、動作とは、制御信号を出力することを言う。VTH1は、アナログ入力信号の最大推奨電圧VINHよりも大きい値とする。電源端子2に印加される電源電圧VDD1を5Vとして、アナログ入力の推奨電圧範囲を±1.5Vとした場合、VTH1を、例えば、2.5Vとする。
【0042】
ここで、推奨電圧とは、例えば、入力端子4および6に入力するアナログ信号の電圧振幅の望ましい範囲を意味する。
【0043】
制御部13を動作させる閾値VTH1は、上記の例に限らず、アナログ入力信号の推奨電圧範囲外であれば良い。上述の例では、制御部13として、例えば、閾値電圧2.5VのCMOSインバータ回路を用いることができる。
【0044】
制御部13は、入力端子4の電圧に基づき参照信号(参照信号生成部7)を選択し、スイッチ14に制御信号を出力する。制御部13から制御信号を受けたスイッチ14は、参照信号生成部7の出力側b1に接続を切り替える(S02)。これにより、発光素子駆動部9の入力として参照信号が選択される。スイッチ14には、例えば、CMOSスイッチ回路を用いることができる。
【0045】
発光素子駆動部9では、参照信号に基づいた発光素子駆動電流を発光素子15に流す(S03)。そして、発光素子駆動部9から出力される駆動電流により、発光素子15は、参照信号に基づいた光信号LSを放出する(S04)。
【0046】
受信部20では、受光素子17が光信号を受信し、光信号に対応した電流を出力する。受光素子17の出力電流は、例えば、トランスインピーダンスアンプおよびコンパレータを含む光受信部21において、電圧信号に変換される(S05)。
【0047】
さらに、平均デューティ比検出部23は、電圧信号の平均デューティ比に基づいて識別し、スイッチ24aをd1側、スイッチ24bをd2側に切り替える。これにより、参照信号に基づく電圧信号が、バッファ27を介して出力される(S06)。そして、図示しない測定器を出力端子26もしくは28に接続し、参照信号に基づく電圧信号のパルス幅およびパルス周期を測定してパルス幅歪みを検出する(S07)。
【0048】
上記の実施形態では、AD変換部3の入力が2端子、受信部20における出力バッファ27の端子が2端子の場合を例として説明したが、これに限られる訳ではなく、単相の1端子入力であっても良いし、入力端子および出力端子がそれぞれ2端子以上であっても良い。また、第1の制御部は、入力端子とは別に設けられたテスト端子の電圧に基づいて、伝送信号および参照信号のいずれかを選択しても良い。以下の実施形態においても同様である。
【0049】
[第2実施形態]
図2は、第2実施形態に係る半導体装置200における送信部30の構成を示す模式図である。同図に示すように、半導体装置200は、電流制御電流源47と、第3の制御部41と、を備える点で、半導体装置100と相違する。図示しない受信部は、半導体装置100と同じ構成を有する。
【0050】
前述したように、発光素子15と受光素子17とを含む光結合部は、ディジタル伝送を行う構成となっている。したがって、その伝送特性の評価は、時間軸および信号強度においてパルスパターンが所定の範囲にあることを検査する。第1実施形態に示した例では、パルス幅歪み(時間軸方向)の検査を実施する。そして、本実施形態では、信号強度を評価するために、直流感度(信号強度)を検査する機構が付加されている。
【0051】
制御部41は、入力端子4に印加される電圧に基づいて、発光素子駆動部9および電流制御電流源47のいずれかを選択し発光素子15に駆動電流を流す。そして、電流制御電流源47は、入力端子6に印加された電流に対応した駆動電流を発光素子15に流す。
【0052】
例えば、入力端子4に閾値電圧VTH2(>VTH1)よりも高い電圧が印加された時、制御部41は、スイッチ43を電流制御電流源47の側b2に接続する。これにより、発光素子15の駆動電流は、電源端子2から電流制御電流源47に流れる。一方、入力端子4の電圧がVTH2よりも低い場合には、制御部41は、スイッチ43に制御信号を送り、その接続を発光素子駆動部9の側a2に切り替える。
【0053】
半導体装置200において、例えば、入力端子4および6にアナログ信号が入力されている場合(伝送モード)、制御部13はスイッチ14をa1側に接続し、制御部41はスイッチ43をa2側に接続する。入力されたアナログ信号は、AD変換部3およびパルス幅変調部5を介して伝送信号に変換される。そして、発光素子駆動部9に入力された伝送信号が発光素子15の駆動電流に重畳され、発光素子15は、伝送信号を含んだ光信号LSを放出する。
【0054】
一方,入力端子4に閾値電圧VTH1よりも高くVTH2より低い電圧が印加された場合、半導体装置200は、テストモードの動作をする。このとき、制御部13から制御信号が出力され、スイッチ14の接続をb1側に切り替える。
【0055】
この場合、参照信号生成部7から出力された参照信号が発光素子駆動部9に伝わり、発光素子15は、参照信号に基づく光信号LSを放出する。そして、前述したように、受信部20において、参照信号を含む電圧信号を出力させることによりパルス歪みを測定することができる。
【0056】
本実施形態では、さらに、VTH1よりも高い閾値電圧VTH2が設定され、入力端子4の電圧がVTH2よりも高くなった時に、制御部41からスイッチ43に制御信号が出力される。そして、制御部41から制御信号を受けたスイッチ43は、その接続を電流制御電流源47の側b2に切り替える。また、電流制御電流源47は、入力端子6の入力電流に応じた電流を流す。したがって、入力端子6の電流により発光素子15に流れる駆動電流を制御することができる。
【0057】
このような回路構成にすることにより、発光素子駆動部9と光受信回路21との間(光結合部)のパルスス幅歪みを測定することが可能となる。さらに、発光素子15の直流特性(光結合部の直流感度)を測定することができる。これにより、パルス幅歪みの大きなもの、および、直流感度が所定の範囲にないものを製造過程の検査で取り除くことができる。
【0058】
次に、図14(a)を参照して、制御部13および制御部41、電流制御電流源47の構成について説明する。図14(a)は、送信部10、30における電源端子2と、入力端子4および6と、接地端子GND1と、各制御部の結合を例示する回路図である。
【0059】
制御部13は、例えば、CMOSロジック回路(一例としてインバータ回路)で構成することができる。インバータの入力側に配置された抵抗R3は、ESD保護抵抗であり省略することも可能である。
【0060】
電流制御電流源47と制御部41とには、例えば、カレントミラー回路を用いる。すなわち、電流制御電流源47では、入力端子6の入力電流に応じた電流を流す機能を実現するため、好ましい構成としてカレントミラー回路を用いる。一方、第2の制御回路41には、CMOSロジック回路を用いても良い。しかしながら、例えば、入力端子4と入力端子6との間に差動信号を入力し、高精度のAD変換を実現しようとする場合、両端子の入力インピーダンスを一致させることが望ましい。そこで、実施形態では、制御部41にカレントミラー回路を用いる。
【0061】
次に、制御部41および電流制御電流源47の動作を説明する。ここでは、
VTH1=VTH3=VDD1/2・・・(2)
VTH2=VTH4=3VDD1/4・・・(3)
とし、アナログ信号の推奨電圧範囲は、−VDD1/4以上、VDD1/4以下とする。
【0062】
制御部41では、NMOSトランジスタM2およびM4をカレントミラー構成とし、M2に直列に接続されたM11〜M1Nにより閾値電圧VTH2を決める。また、M11〜M1Nに直列に接続された抵抗R1は電流制限抵抗である。
【0063】
制御部41がVTH2以下で動作しないように、次式(4)を満足する段数NのNMOSトランジスタを配置する。
VTH2(=3VDD1/4)<VTH×N・・・(4)
【0064】
例えば、VDD1を5V、NMOSトランジスタの閾値VTHを0.8Vとすると、入力側には、5段以上(N≧5)のNMOSトランジスタを配置する。このように、MOSトランジスタの直列段数によりVTH2を設定し、所定の閾値を有する制御回路を実現することができる。
【0065】
本実施形態において、入力端子4の電圧VIN1が、VTH1<VIN1<VTH2の場合は、制御部13のみが動作する。そして、VIN1>VTH2の場合は、制御部13および制御部41が共に動作する。さらに、VIN1がVTH1以下の場合は、制御部13および制御部41は共に動作せず、その容量がAD変換部の入力容量に付加される。
【0066】
入力端子6の側も入力端子4と同様の構成となるが、電流制御電流源47の出力側の構成が異なる。すなわち、NMOSトランジスタM7のドレイン側が、スイッチ43を介して発光素子15に接続される点が異なる。したがって、VIN2>VTH4の場合は、電流制御電流源47が動作する。
【0067】
本実施形態では、制御部41の入力側と、電流制御電流源47の入力側の構成を同一とすることにより、入力端子4の入力インピーダンスと、入力端子6の入力インピーダンスと、を一致させることができる。これにより、アナログ信号の歪みを抑制し、高精度のAD変換および信号伝送を実現できる。
【0068】
次に、図16のフローチャートを参照して、半導体装置200の検査方法を具体的に説明する。図16は、発光素子15の直流特性の検査方法を示している。
【0069】
最初に、送信部30の入力端子4に閾値電圧VTH2よりも高い電圧を入力し、制御部13と制御部41とを動作させる。同時に、入力端子6に閾値電圧VTH4よりも高い電圧を入力し、電流制御電流源を動作させる(S01)。例えば、電源端子2に印加される電源電圧VDD1を5Vとした場合、VTH2およびVTH4は、3.75Vとする。
【0070】
制御部41は、入力端子4の電圧に基づき電流制御電流源47を選択し、スイッチ43に制御信号を出力する。制御部41から制御信号を受けたスイッチ43は、電流制御電流源47の出力側b2に接続を切り替える(S02)。
【0071】
入力端子4の電圧がVTH2以上になると、制御部41の入力インピーダンスが下がり入力側に電流が流れ込む。このとき、AD変換部3および制御部13の入力インピーダンスが高いため、入力端子4に流れる電流のほとんどは、制御部41の入力側に流れ込む。制御部41の入力側に電流が流れ込むと、出力側のMOSトランジスタM4にも電流が流れ、スイッチ43に制御信号を出力する。
【0072】
電流制御電流源47は、入力端子6の電流に対応した駆動電流を発光素子15に流す(S03)。なお、入力端子4に閾値電圧VTH2よりも高い電圧が入力された場合、制御部13も動作し、スイッチ14が参照信号生成部7の側b1に接続される。これにより、参照信号が発光素子駆動部9に入力されるが、その出力側が電流制御電流源47に切り替えられているため、参照信号に基づく駆動電流は発光素子に流れない。
【0073】
テストモードの場合、受信部20では、受光素子17が光信号を受信し、光信号に対応した光電流を出力し、光受信部21において電圧信号に変換される(S04)。平均デューティ比検出部23は、電圧信号の平均デューティ比に基づいて動作モードを識別し、スイッチ24aをd1側、スイッチ24bをd2側に切り替える。これにより、参照信号を含む電圧信号が、バッファ27を介して出力される(S05)。そして、図示しない測定器を出力端子26もしくは28に接続し、電圧信号の電圧レベルに基づいて発光素子の光強度を検出する(S06)。
【0074】
入力端子6から電流制御電流源47の入力側に流れる電流が直流電流の場合、発光素子15は直流駆動され連続的に発光する。したがって、光受信部21の出力は、平均デューティ比0%もしくは100%の電圧信号となり、デューティ比検出部23において容易に識別される。そして、平均デューティ比検出部23は、スイッチ24aをd1側、スイッチ24bをd2側に接続し、バッファ27を介して光受信部21の電圧信号を出力させる。例えば、入力端子6に徐々に増加する直流電流を流し込み、受信部20の出力電圧と入力端子6の電流とを対比することにより、発光素子15の駆動電流と、光受信部21の出力との間の直流感度を測定することができる。
【0075】
図3は、第3実施形態の変形例に係る半導体装置250の送信部35の構成を示す模式図である。半導体装置250では、発光素子15を駆動する電力が発光素子駆動部9から供給され、発光素子15のカソード側が接地されている点で、図2に示す半導体装置200と相違する。前述したように、例えば、発光素子15の極性、および、半導体装置を収容するフレームの構造に合わせて、半導体装置200もしくは250の構成を選択することが可能である。
【0076】
[第3実施形態]
図4は、第3実施形態に係る半導体装置300における送信部40の構成を示す模式図である。同図に示すように、半導体装置300は、スイッチ14と発光素子駆動部9との間に歪み補償部33を備える点で、半導体装置200と相違する。本実施形態でも、受信部は、半導体装置100の受信部20と同じ構成を有する。
【0077】
歪み補償部33は、制御部13により制御されるスイッチ14と、発光素子駆動部9と、の間に配置され、パルス幅変調部5から出力される伝送信号、および、参照信号生成部7から出力される参照信号のパルス幅を補償する。これにより、比較的大きな等価容量をもつ発光素子を用いた場合や発光素子の駆動電流を小さくした動作条件でも良好な信号伝送を実現することができる。
【0078】
例えば、発光素子15として発光ダイオード(LED)を用いた場合、駆動電流を流し始めてから所定の発光強度に達するまでに時間遅れが生じる。この時間遅れは、駆動電流を止めてから発光素子15が消光するまでの時間よりも短い。このため、パルス信号の駆動電流により発光素子15を発光させる場合、駆動電流のパルス幅よりも、発光素子15から放出される光信号LSのパルス幅の方が短くなる傾向がある。
【0079】
このパルス幅の減少は、発光素子15の等価容量が大きいほど、もしくは、発光素子15の駆動電流が小さいほど顕著になる。すなわち、発光素子15の特性や駆動電流の大きさに依存して極めて大きなパルス幅の減少(パルス幅歪み)が発生し、受信側の復調部25においてエラーフリーの復調ができない場合がある。
【0080】
そこで、上記の通り、本実施形態では、パルス幅変調部5と発光素子駆動部9との間に配置した歪み補償部33において予め伝送信号のパルス幅を広げ、発光素子15の電気・光変換過程において減少するパルス幅歪みを補償する。
【0081】
図5は、第3実施形態の変形例に係る半導体装置350の送信部45の構成を示す模式図である。半導体装置350では、発光素子15を駆動する電力が、制御部41により選択された発光素子駆動部9、もしくは、電流制御電流源47から供給され、発光素子15のカソード側が接地されている点で、図4に示す半導体装置300と相違する。
【0082】
本変形例では、電流制御電流源47の出力側から発光素子15に駆動電流が供給される。したがって、例えば、電流制御電流源47を構成するMOSトランジスタの極性を逆転させ、PMOSトランジスタを用いた回路とすることができる。
【0083】
[第4実施形態]
図6は、第4実施形態に係る半導体装置400における送信部50の構成を示す模式図である。同図に示すように、半導体装置400は、歪み補償部33と、第2の制御部31と、を備える点で、半導体装置100と相違する。図示しない受信部は、半導体装置100の受信部20と同じ構成を有する。また、本実施形態では、電流制御電流源47を備えない点で、第2および第3実施形態に示す半導体装置200〜350と相違する。
【0084】
前述したように、歪み補償部33は、パルス幅変調部5から出力される伝送信号、および、参照信号生成部7から出力される参照信号のパルス幅を補償する。さらに、本実施形態では、入力端子6に入力される信号のレベルに基づいて、歪み補償部33と発光素子駆動部9を制御する制御部31が設けられる。
【0085】
例えば、図14(b)は、本実施形態における各制御回路の構成を示す回路図であり、図14(a)の回路図に制御回路31が付加されている。制御部31は、歪み補償部33に制御信号を出力し、伝送信号もしくは参照信号のパルス幅に付加する補償量を変化させる。また、制御部31は、発光素子駆動部9にも制御信号を出力し、発光素子15の駆動電流の大きさを変化させる。制御部31は、例えば、CMOSインバータを用いて構成することができる。同図では、インバータの入力側に保護抵抗R4が配置されているが、省略することもできる。
【0086】
発光素子駆動部9から出力される駆動電流は、例えば、発光素子15に適合した一定の電流値に設定される。これに対し、例えば、入力端子6に閾値電圧VTH3よりも高い電圧が印加された場合、制御部31は発光素子駆動部9に制御信号を出力し、駆動電流が設定した電流値よりも小さな値になるように制御する。これにより、発光素子15が経年劣化して発光効率が低下した状態を模擬し、その状態におけるパルス幅歪み、もしくは、パルス周期の測定を可能とする。
【0087】
前述したように、単純に発光素子に流れる電流を小さくすると、発光素子の応答遅れによるパルス幅歪みが大きくなる。そこで、制御部31は、歪み補償部33も同時に制御し、発光素子駆動部9に入力される信号に対するパルス幅の補償量を大きくする。これにより、発光素子の駆動電流変化に伴うパルス幅歪みを補正することができるので、光強度が低下する経年劣化を模擬し、その状態におけるパルス歪みを測定することができる。
【0088】
次に、図13を参照して、歪み補償部33の構成を説明する。図13(a)および図13(b)は、それぞれ制御方式の異なる歪み補償部33を例示する回路図である。
【0089】
図13(a)に示す回路では、インバータ71で反転させたパルス信号と、そのパルス信号を遅延させた遅延信号と、を入力とし、NAND77から遅延分だけパルス幅を広げた信号を出力させる。例えば、伝送モードにおいて、スイッチ75aはs1側に接続され、スイッチ75bは短絡、スイッチ75cは開放される。この場合、NAND77からは、入力されたパルス信号に対し、インバータ73および74における遅延時間t1が補償(付加)されたパルス信号が出力される。例えば、発光素子15から放出される光信号LSのパルス幅歪みをDtp(発光素子が消光するまでにかかる時間から発光するまでの時間を引いたもの)とすると、前述したようにDtp<0である。従って、遅延時間t1が−Dtpに等しくなるように設定しておけば、光信号LSのパルス幅歪みをキャンセルすることができる。
【0090】
入力端子6に、例えば、閾値電圧VTH3よりも高い電圧が印加されると、制御部31は、歪み補償部33に制御信号を出力する。そして、歪み補償部33では、スイッチ75aがs2側に切り替えられ、スイッチ75bは開放、スイッチ75cは短絡される。これにより、NAND77に入力されるパルスに、インバータ78および79における遅延時間t2が付加される。
【0091】
例えば、発光素子15の経年劣化を模擬する場合、歪み補償部33と同時に発光素子駆動部9にも制御信号が出力され発光素子15の駆動電流を低下させる。そして、駆動電流を低下させたことに起因するパルス幅の減少量と、新たに付加される遅延時間t2と、が同じであれば、駆動電流を低下させない場合のパルス幅を有し、強度を低下させた光信号が放出される。これにより、発光素子15の経年劣化した状態を模擬することが可能となる。
【0092】
図13(b)に示す回路では、NAND87に入力される遅延信号の遅延時間を、インバータ81および83の電流により制御する。例えば、インバータ81および83にCMOSインバータを用いた場合、インバータに流れる貫通電流を小さくすると遅延時間が長くなり、電流を大きくすると遅延時間が短くなる。
【0093】
図13(b)に示すように、インバータ81および83のそれぞれに接続された電流源82および84を制御部31により制御し、インバータ81および83の遅延時間を制御する。例えば、電流源82として、電流出力の異なる複数の定電流回路を並列に設け、制御部31から出力される制御信号により電流源を切り替える方法が考えられる。これにより、図13(a)に示す歪み補償回路と同等の動作を実現することができる。
【0094】
本実施形態に係る半導体装置でも、図6における破線で囲まれた構成要素を1つの半導体チップに集積することができる。すなわち、送信部50において、入力端子4および6、AD変換回路3、パルス幅変調回路5、参照信号生成回路7、発光素子駆動回路9、制御回路13、制御回路13で制御されるスイッチ回路14、歪み補償回路33、および、歪み補償回路33と発光素子駆動回路9とを制御する第3の制御回路31を含む集積回路(送信用IC)を用いることができる。
【0095】
次に、図17のフローチャートを参照して、半導体装置400の検査方法を具体的に説明する。図17は、発光素子15の経年劣化を模擬した場合のパルス歪みの検査方法を示している。
【0096】
最初に、送信部50の入力端子4に閾値電圧VTH1よりも高い電圧を入力し、制御部13を動作させる。同時に、入力端子6に閾値電圧VTH3よりも高い電圧を入力し、制御部31を動作させる(S01)。
【0097】
ここで、VTH1およびVTH3は、アナログ信号の推奨電圧の最大値VINHよりも大きい値とする。例えば、電源端子2に印加される電源電圧VDD1を5Vとした場合、アナログ入力の推奨電圧範囲を±1.25Vとして、VTH1を2.5Vとする。また、上記の例に限らず、VTH1およびVTH3は、アナログ信号の電圧範囲外であれば良い。
【0098】
制御部13は、入力端子4の電圧に基づき参照信号(参照信号生成部7)を選択し、スイッチ14に制御信号を出力する。制御部13からの制御信号を受けたスイッチ14は、参照信号生成部7の出力側b1に接続を切り替える。これにより、発光素子駆動部9の入力として参照信号が選択される(S02)。
【0099】
制御部31は、入力端子6の電圧に基づき歪み補償部33および発光素子駆動部9に制御信号を出力する。歪み補償部33では、参照信号のパルス幅を補償し、所定の補償量(t1+t2)を付加する。発光素子駆動部9では、駆動電流のレベルを低下させ、補償されたパルス幅の参照信号を出力する(S02)。そして、発光素子駆動部9から出力された駆動電流により、参照信号に基づく光信号LSが発光素子15から放出される(S03)。
【0100】
受信部20では、受光素子17が光信号を受信し、光信号に対応した光電流を出力する。光電流は、光受信部21において、参照信号を含む電圧信号に変換される(S04)。
【0101】
平均デューティ比検出部23は、電圧信号の平均デューティ比に基づいて信号を識別し、スイッチ24aをd1側、スイッチ24bをd2側に切り替える。これにより、参照信号に基づく電圧信号が、バッファ27を介して出力される(S05)。そして、図示しない測定器を出力端子26もしくは28に接続し、参照信号を含む電圧信号のパルス幅を測定しパルス幅歪みを検出する(S06)。
【0102】
図7は、第4実施形態の変形例に係る半導体装置450の送信部55の構成を示す模式図である。半導体装置450では、発光素子15を駆動する電流が発光素子駆動部9から供給され、発光素子15のカソード側が接地されている点で、図6に示す半導体装置400と相違する。
【0103】
例えば、発光素子15の極性、および、半導体装置を収容するフレームの構造に合わせて、半導体装置400もしくは450の構成を選択することが可能である。これにより、回路構成の簡略化および装置サイズの小型化を図ることができる。
【0104】
上記の通り、本実施形態に係る半導体装置400および450では、直流感度の測定機構はなく、パルス歪みを測定する構成となっている。一方、第2および第3実施形態に係る半導体装置200〜350では、光結合部の直流感度とパルス幅歪みとを検査する。
【0105】
すなわち、半導体装置200〜350では、その光受信部21において直流から高周波帯域まで信号を受信できるように構成される。このため、直流感度とパルス幅歪みの両方を評価する。これに対し、例えば、光信号LSの平均デューティ比が一定の場合は、光受信部21において低域遮断周波数と高域遮断周波との間の信号を増幅すれば良い場合がある。この場合、光受信部21の各要素を容量で接続したAC結合型の構成とすることができる。しかし、AC結合型光受信部では、直流感度を直接測定することがない。したがって、本実施形態に示す半導体装置400および450の構成が適している。
【0106】
ちなみに、半導体装置200〜350では、光受信部21のパルス幅歪みを抑制する自動閾値制御回路(ATC回路:図示せず)を設けることが多い。これに対し、AC結合型の光受信回路では、ATC回路は不要となり回路構成を簡略化できる利点がある。
【0107】
[第5実施形態]
図8は、第5実施形態に係る半導体装置500における送信部60の構成を示す模式図である。同図に示すように、半導体装置500の送信部60は、半導体装置300の送信部40に、第2の制御部31が付加された構成となっている。
【0108】
前述したように、半導体装置300では、光結合部におけるパルス幅歪みと発光素子15の直流感度を測定することができる。しかしながら,光結合部の検査は、これらの測定だけでは不十分である。例えば、発光素子15の経時変化による発光効率の低下を見込んだ検査仕様を定める場合に、直流感度の変化を検出することは可能であるが、経時変化に伴いパルス幅歪みが大きくなったものを選別することはできない。
【0109】
そこで、本実施形態では、制御部31を付加し、発光素子15の経時変化を見越した検査を可能とする。これにより、光結合部の伝送マージンのより厳密な検出を可能とし、高精度の信号伝送を実現することができる。
【0110】
半導体装置500では、入力端子6の電圧VIN2がVTH3以上、VTH4以下の場合に、制御部31が動作する。このとき、電流制御電流源47では、入力側に電流が流れ込まない入力インピーダンス(MOSトランジスタの段数)が設定されている。また、AD変換部3の入力も高インピーダンスであるため、入力端子6の電圧が上記の範囲にあるときには、入力端子6に電流が流れ込むことがない。
【0111】
次に、入力端子6の電圧VIN2をVTH4以上にすると、電流制御電流源47の入力側に電流が流れ始める。この時、AD変換部3の入力、および、制御部31の入力が高インピーダンスであれば、入力端子6に流れ込む電流のほとんどすべては、電流制御電流源47の入力側に流れる。したがって、VIN2をVTH4以上の範囲で変化させることにより入力端子6に流れ込む電流を変化させ、VIN2に比例した電流で発光素子を駆動することができる。
【0112】
表1に、半導体装置500における入力端子4および6のバイアス状態と、それに対応する動作モードの一例を示す。例えば、入力端子のバイアス状態によりI〜IXの9つの動作モードが想定されるが、VI〜VIIIの3つの動作モードは、意図しない動作状態であり使用することは想定しない。
【0113】
第1の動作モード(I)では、入力端子4および6にアナログ信号が入力され、受信側にディジタルデータ信号とクロック信号が出力される。第2〜第9の動作モード(II〜IX)はテストモードであり、パルス幅歪み(II)、経年劣化時のパルス幅歪み(V)、および、直流感度(IX)の測定を実施することができる。
【表1】
【0114】
図9は、第5実施形態の変形例に係る半導体装置550の送信部65の構成を示す模式図である。半導体装置550では、発光素子15を駆動する電力が、発光素子駆動部9、もしくは、電流制御電流源47から供給され、発光素子15のカソード側が接地される点で、図8に示す半導体装置500と相違する。前述したように、発光素子15の極性やフレームの構造により、半導体装置500もしくは550の構成を適宜選択することが可能である。
【0115】
上記の実施形態では、入力端子4の電圧に基づいて制御部13および制御部41から制御信号が出力され、入力端子6の電圧に基づいて制御部31から制御信号が出力され、電流制御電流源47が駆動電流を制御する。この組み合わせは任意であり、複数の入力端子から選択された任意の入力端子の電圧に基づいて、各制御部および電流制御電流源47がそれぞれ動作するように構成することができる。この際、誤動作を防ぐために、1つの入力端子に設定される閾値電圧を2以下とすることが好ましい。
【0116】
[第6実施形態]
図10は、第6実施形態に係る半導体装置600における送信部80と受信部85とを示す模式図である。同図に示すように、半導体装置600は、スイッチ14を制御する第1の制御部91と、歪み補償部96を制御する第2の制御部93と、を備える点で、半導体装置500と相違する。
【0117】
半導体装置600は、復号誤りを検出することにより伝送マージンを評価する構成を有する。このため、送信部80の参照信号生成部94から、例えば、デューティ25%および75%のパルスパターンが交互に出力される。すなわち、図12に示すBパターンおよびCパターンのパルスが交互に出力され、ADC出力が全て「H」の状態を模した参照信号が出力される。また、別の例として、デューティ50%のAパターンのパルスを出力し、ADC出力が全て「L」の状態を模した参照信号としても良い。
【0118】
制御部91は、入力端子4および6の電圧に基づいてスイッチ14を制御する。例えば、入力端子4の電圧VIN1がVTH1よりも高くVTH2よりも低い場合、そして、入力端子6の電圧VIN2がVTH3よりも低い場合に、スイッチ14をb1の側に接続し、参照信号を歪み補償部96に入力させる。一方、入力端子4の電圧VIN1がVTH1よりも低い場合、そして、入力端子6の電圧VIN2がVTH3よりも低い場合には、スイッチ14をa1の側に接続し、伝送信号を歪み補償部96に入力させる。
【0119】
制御部93も、入力端子4および6の電圧に基づいて歪み補償部96を制御する。本実施形態に係る歪み補償部96では、3種類の遅延時間t1、t2、t3を付加する。例えば、t1<t2<t3として、遅延時間t2を光信号LSの発光素子のパルス歪みを適正に補償する遅延時間とする。このような、遅延時間の制御は、図13(b)に示す回路例を用いるもとにより容易に実現できる。また、図13(a)の回路例に、新たなインバータとスイッチとを加えて構成することも可能である。
【0120】
例えば、制御部93は、入力端子4の電圧VIN1がVTH1よりも高くVTH2よりも低い場合、そして、入力端子6の電圧VIN2がVTH3よりも低い場合に、遅延時間t3を付加する。また、入力端子4の電圧VIN1がVTH1よりも高くVTH2よりも低い場合、そして、入力端子6の電圧VIN2がVTH3よりも高くVTH4よりも低い場合に、遅延時間t1を付加する。すなわち、入力端子6の電圧に基づいて、参照信号のパルス幅の補償量を制御する。
【0121】
一方、受信部85では、受光素子17により参照信号に基づく光信号LSを検出し、光受信部21において電圧信号に変換する。本実施形態における平均デューティ比検出部95は、例えば、電流制御電流源47が動作する直流感度の測定モードにおいて、スイッチ24aおよび24bをd1、d2の側に接続する。すなわち、平均デューティ比が0%もしくは100%の時に、電圧信号をバッファ27を介して出力させる。したがって、参照信号に基づく電圧信号は、復調部25においてディジタル信号に復号される。
【0122】
例えば、パルス幅が広がる方向に歪みが発生し、図12に示すマージンΔTM1が小さいとする。この場合に、遅延時間t3が付加されてパルス幅が広がり、全て「H」の状態を模した参照信号が復調されると、デューティ25%のパルスにおいて、識別点T1「H」、T2「L」、T3「L」のところが、T1「H」、T2「H」、T3「L」と判定され、「L」が混入した信号が出力される。また、反対にパルス幅が狭まる方向に歪みが生じ、マージンΔTM2が小さいとする。この場合、補償量として不足した遅延時間t1が付加された時に、デューティ75%のパルスにおいて、識別点T1「H」、T2「H」、T3「H」のところが、T1「H」、T2「H」、T3「L」と判定され、「L」が混入した信号が出力される。このように、復号化された参照信号を検出することにより、マージンΔTM1もしくはΔTM2が小さい半導体装置を選別することができる。
【0123】
上記の測定方法は、「L」の有無を識別するのみで済むため、測定時間および測定難度の点で有利である。また、参照信号が、全て「L」を模した信号である場合にも、同様に測定することが可能である。
【0124】
[第7実施形態]
図11は、第7実施形態に係る半導体装置700における送信部90と受信部95とを示す模式図である。同図に示すように、半導体装置700の送信部90は、電流制御電流源47とスイッチ43とを有しない点で、半導体装置600の送信部80と相違する。さらに、受信部95は、平均デューティ比検出部23と、スイッチ24a、24bと、を有しない点で、受信部20および85と相違する。
【0125】
本実施形態は、直流感度を直接測定しないAC結合型の光受信回路を備える構成に適する。前述した実施形態6と同じように、スイッチ14を制御する制御部94と、歪み補償部96と、を備えている。さらに、制御部41は、発光素子駆動部9を制御する。
【0126】
また、参照信号生成部94は、ADC出力が全て「H」の状態を模した参照信号を出力される。また、デューティ50%のAパターンのパルスを出力し、ADC出力が全て「L」の状態を模した参照信号としても良い。前述したように、歪み補償部96は、3種類の遅延時間t1、t2、t3を付加する。
【0127】
例えば、制御部91は、入力端子4の電圧VIN1がVTH1よりも高くVTH2よりも低い場合、そして、入力端子6の電圧VIN2がVTH3よりも低い場合に、スイッチ14をb1の側に接続し、参照信号を歪み補償部96に入力させる。一方、入力端子4の電圧VIN1がVTH1よりも低い場合、そして、入力端子6の電圧VIN2がVTH3よりも低い場合には、スイッチ14をa1の側に接続し、伝送信号を歪み補償部96に入力させる。
【0128】
制御部93は、入力端子4の電圧VIN1がVTH1よりも高くVTH2よりも低い場合、そして、入力端子6の電圧VIN2がVTH3よりも低い場合に、遅延時間t3を付加する。また、入力端子4の電圧VIN1がVTH1よりも高くVTH2よりも低い場合、そして、入力端子6の電圧VIN2がVTH3よりも高くVTH4よりも低い場合に、遅延時間t1を付加する。すなわち、入力端子6の電圧に基づいて、参照信号のパルス幅の補償量を制御する。
【0129】
上記の状態で、伝送マージンを評価する方法については、前述した第6実施形態と同じである。本実施形態では、制御部41により発光素子15の駆動電流を変化させ、伝送マージンを評価することができる。
【0130】
例えば、パルス歪みの補償量を所定の値よりも大きくする場合、すなわち、遅延時間t3を付加する場合に、発光素子15の駆動電流を小さくする制御を行う。ここで、遅延時間t3は、駆動電流を下げることにより増加するパルス歪みより大きくする。このような状態で、出力される参照信号に「L」または「H」の混入が無ければ、信号強度および時間軸方向の両方に伝送マージンがあると評価できる。
【0131】
さらに、遅延時間t1を付加し、駆動電流を大きくする条件、また、遅延時間t3を付加し、駆動電流を大きくする条件、遅延時間t1を付加し、駆動電流を小さくする条件において測定を行うことにより、信号の強度方向および時間軸方向における伝送マージンを評価することができる。
【0132】
以上、第1〜第7実施形態に係る半導体装置によれば、光結合型絶縁回路における光結合部(発光素子駆動回路〜光受信回路)のパルス幅歪み、および、発光素子と光受信部の直流感度を検査することができる。さらに、発光素子の経年劣化を擬制した状態での検査を簡便に実施することが可能である。これにより、光結合部の伝送マージンを確保して復調誤りを抑制し、高精度の信号伝送を可能とする半導体装置を提供することができる。
【0133】
また、上記の実施形態に限らず、参照信号のパルスパターンと、送信部および受信部の回路構成の組み合わせを変えることにより、他のテストモードを設定することも可能である。
【0134】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0135】
2、22・・・電源端子、 3・・・AD変換部(AD変換回路)、 4、6・・・入力端子、 5・・・パルス幅変調部(パルス幅変調回路)、 7、94・・・参照信号生成部(参照信号生成回路)、 9・・・発光素子駆動部(発光素子駆動回路)、 10、30、35、40、45、50、55、60、65、80、90・・・送信部、 13、31、41、91、93・・・制御部(制御回路)、 14、24a、24b、43、75a、75b、75c・・・スイッチ(スイッチ回路)、 15・・・発光素子、 17・・・受光素子、 20、85、95・・・受信部、 21・・・光受信部(光受信回路)、 23、95・・・デューティ比検出部(デューティ比検出回路)、 25・・・復調部(復調回路) 26、28・・・出力端子、 27・・・出力バッファ、 33、96・・・歪み補償部(歪み補償回路)、 47・・・電流制御電流源、 71、73、78、79、81、83・・・インバータ、 82、84・・・電流源、 100〜700・・・半導体装置、 LS・・・光信号
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置、その検査方法および送信回路に関する。
【背景技術】
【0002】
電力機器の制御に使用される半導体装置には、ノイズ耐量が大きく、アナログ信号の高精度な伝送が可能な絶縁回路が必要とされる。フォトカプラなど光学的に信号を伝送する光結合型絶縁回路を備えた半導体装置は、入出力間が電気的に完全に絶縁されノイズ耐量に優れるが、アナログ信号の伝送には適さない。例えば、受信側に信号処理回路を備えるIC出力型フォトカプラが汎用され、デジタル信号の伝送に用いられているが、高精度なアナログ信号の伝送はできない。また、アナログ信号の伝送に用いられるトランジスタカプラ等の絶縁回路には、その非線形性に起因する信号波形の歪みの問題があり高精度なアナログ信号の伝送に適さない。
【0003】
そこで、光結合型絶縁回路による高精度なアナログ信号の伝送を可能とするため、その送信側にアナログ/ディジタル(AD)変換回路を加える技術が開発された。すなわち、アナログ入力をディジタル信号に変換して伝送することにより、光結合部の非線形性の影響を回避し、高精度なアナログ伝送を可能とした。
【0004】
アナログ/ディジタル変換回路としてデルタシグマ型変換回路を用いた場合、アナログ信号に含まれる情報を高精度に伝送するためには、AD変換におけるクロック周波数を高くすることが望まれる。また、光結合型絶縁回路内における光信号経路を一つにするために、アナログ/デジタル変換回路のサンプリングクロックとデジタルデータを一系列の信号に重畳させる変調回路が用いられる。変調方式としてパルス幅変調を行って光伝送を行っている場合、サンプリングクロック周波数が光結合部の応答限界に近づくと、光結合部のパルス幅歪みにより、受信側で復調誤りを生じさせることがある。そこで、光結合部の伝送マージンを確保して復調誤りを抑制し、高精度の信号伝送を可能とする光結合型絶縁回路と、それを備えた半導体装置が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−303663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
実施形態によれば、光結合部の伝送マージンを確保して復調誤りを抑制し、高精度の信号伝送を可能とする半導体装置、その検査方法および送信回路が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る半導体装置は、アナログ信号をディジタル信号に変換するアナログディジタル変換部と、前記アナログ/ディジタル変換部から出力される前記ディジタル信号に応じたパルスパターン(伝送信号)を出力するパルス幅変調部と、固定されたパルスパターン(参照信号)を生成する参照信号生成部と、を備える。そして、前記伝送信号および前記参照信号のいずれかを選択する第1の制御部と、前記第1の制御部により選択された前記伝送信号または前記参照信号に基づく発光素子駆動電流を出力する発光素子駆動部と、前記発光素子駆動部により駆動され、前記伝送信号または前記参照信号に基づく光信号を放出する発光素子と、を備える。さらに、前記光信号を受信して受光素子の光電流を電圧信号に変換する光受信部と、前記電圧信号を復調する復調部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1実施形態に係る半導体装置の構成を示す模式図である。
【図2】第2実施形態に係る半導体装置の構成を示す模式図である。
【図3】第2実施形態の変形例に係る半導体装置の構成を示す模式図である。
【図4】第3実施形態に係る半導体装置の構成を示す模式図である。
【図5】第3実施形態の変形例に係る半導体装置の構成を示す模式図である。
【図6】第4実施形態に係る半導体装置の構成を示す模式図である。
【図7】第4実施形態の変形例に係る半導体装置の構成を示す模式図である。
【図8】第5実施形態に係る半導体装置の構成を示す模式図である。
【図9】第5実施形態の変形例に係る半導体装置の構成を示す模式図である。
【図10】第6実施形態に係る半導体装置の構成を示す模式図である。
【図11】第7実施形態に係る半導体装置の構成を示す模式図である。
【図12】パルス幅変調部における符号化方式を例示するチャートである。
【図13】パルス歪み補償部を例示する回路図である。
【図14】半導体装置の制御部を例示する回路図である。
【図15】第1実施形態に係る半導体装置の検査方法を示すフローチャートである。
【図16】第2実施形態に係る半導体装置の検査方法を示すフローチャートである。
【図17】第4および第5実施形態に係る半導体装置の検査方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、図面中の同一部分には同一番号を付してその詳しい説明は適宜省略し、異なる部分について適宜説明する。
【0010】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る半導体装置100の構成を示す模式図である。半導体装置100は、発光素子15と受光素子17とを介した光結合を含む絶縁回路を有し、送信部10と受信部20とを備える。
【0011】
送信部10は、例えば、差動入力信号を検出する正相入力端子4と、逆相入力端子6と、電源端子2と、第1の接地端子GND1と、を備える。さらに、送信部10は、アナログ/ディジタル(AD)変換部3と、パルス幅変調部5と、参照信号生成部7と、発光素子15を駆動する発光素子駆動部9と、を備える。
【0012】
実施形態に係るAD変換部3には、例えば、差動入力信号、もしくは、単相入力信号が入力される。単相入力信号の場合は、入力端子4もしくは入力端子6のどちらか一方に入力される。そして、差動入力信号の場合、AD変換部3の入力に接続された正相入力端子4および逆相入力端子6から入力される差動アナログ信号が、所定のクロック信号に基づきディジタルデータ信号に変換される。パルス幅変調部5では、クロック信号にAD変換部3から出力されたディジタルデータ信号を重畳して符号化し、第1の平均デューティ比を有する伝送信号に変換する。
【0013】
参照信号生成部7は、第2の平均デューティ比を有する参照信号を生成する。参照信号は、例えば、AD変換部3のクロックと同期したパルスであって、パルスパターンが固定された信号である。そして、そのデューティ比(第2の平均デューティ比)と、第1の平均デューティ比とは異なる。
【0014】
半導体装置100は、アナログ信号をディジタル信号に変換して伝送する伝送モードと、例えば、パルス歪みを検査するテストモードと、を有する。そして、伝送モードとテストモードとは、第1の制御部13により切り替えられる。第1の制御部13は、例えば、入力端子4に入力される電圧に基づいてスイッチ14を制御し、伝送信号および参照信号のいずれかを選択する。
【0015】
スイッチ14は、例えば、初期状態(伝送モード)においてパルス幅変調部5の出力側a1に接続される。制御部13は、例えば、入力端子4の電圧レベルVIN1が、所定の閾値VTH1を越えた時に、スイッチ14をa1側から参照信号生成部7の出力側b1に切り替える。そして、入力端子4の電圧レベルVIN1がVTH1以下となった時にa1側に戻す。
【0016】
伝送モードでは、スイッチ14はa1側に接続され、パルス幅変調部5から発光素子駆動部9に伝送信号が入力される。そして、発光素子駆動部9において、伝送信号に基づいた発光素子駆動電流を発光素子15に流し、発光素子15から伝送信号を含んだ光信号LSが放出される。
【0017】
テストモードでは、スイッチ14はb1側に接続され、参照信号生成部7から参照信号が発光素子駆動部9に入力される。そして、発光素子駆動部9において、参照信号に基づいた駆動電流を発光素子15に流し、発光素子15から参照信号を含んだ光信号LSが放出される。
【0018】
受信部20は、光信号LSを受信する受光素子17と、受光素子17の出力電流を電圧信号に変換する光受信部21と、を備える。そして、受信部20は、第2の電源端子22と、第2の接地端子GND2と、を備え、送信部10から電気的に分離されている。さらに、受信部20は、平均デューティ比検出部23と、復調部25と、バッファ27と、を備える。
【0019】
平均デューティ比検出部23は、第1の平均デューティ比および第2の平均デューティ比の少なくともいずれかに基づいて、光受信部21から出力される電圧信号を伝送信号または参照信号に対応させる。すなわち、平均デューティ比検出部23は、受信部21の出力電圧信号の平均デューティ比を検出し、その値に基づいてスイッチ24aおよび24bを制御する。
【0020】
平均デューティ比検出部23は、例えば、検出された平均デューティ比が第1の平均デューティ比に等しければ、その電圧信号を伝送信号と認識してスイッチ24aをc1側に接続し、スイッチ24bをc2側に接続する。これにより、伝送信号に対応づけられた電圧信号が復調部25に入力される。そして、復調部25は、電圧信号をディジタルデータ信号とクロック信号とに復調して出力する。
【0021】
復調部25で復調されたディジタルデータ信号およびクロック信号は、バッファ27を介して端子26および28に出力される。例えば、端子26からクロック信号を出力し、端子28からディジタルデータ信号を出力する。
【0022】
光受信部21から出力される電圧信号の平均デューティ比が、第2の平均デューティ比に等しければ、デューティ比検出部23は、その電圧信号を参照信号と認識してスイッチ24aをd1側に接続し、スイッチ24bをd2側に接続する。これにより、光受信部21から出力される電圧信号は、バッファ27を介して端子26もしくは28に出力される。
【0023】
デューティ比検出部23における電圧信号の処理は、上記の例に限られない。例えば、第1の平均デューティ比と第2の平均デューティ比との間の値を基準デューティ比とし、基準デューティ比と、電圧信号の平均デューティ比と、の大小関係に基づいて、電圧信号を伝送信号もしくは参照信号に対応づけても良い。
【0024】
ここで、例えば、参照信号が固定のパルス幅もしくはパルス周期を有し、そのパルス幅もしくはパルス周期が既知の場合、端子26もしくは28から出力される電圧信号のパルス幅を測定することにより、発光素子駆動部9の入力側から光受信回路21の出力側の間(光結合部)において生じるパルス幅歪みを測定することができる。例えば、パルス周期が未知であるが、参照信号のパルス幅がパルス周期の1/Nに決まっている場合、端子26もしくは28から出力される電圧信号のパルス周期とパルス幅とを測定して下記の計算を行うことによりパルス幅歪みを求めることができる。
パルス幅歪み=(パルス幅測定値/パルス周期測定値−1/N)×パルス周期測定値・・・(1)
上式において、参照信号のパルス幅がパルス周期の1/Nであることが前提となっているが、このようなパルスは、より高速のクロックパルスをカウンタ回路等で処理することにより容易に実現できる。
【0025】
上記の通り、半導体装置100は、そのテストモードにおいて、送信部で発生させた参照信号を光結合部を介して伝送し、パルス幅歪みを含んだ電圧信号を出力する。これにより、光結合部において生じるパルス幅歪みを測定することが可能となり、光結合部の伝送マージンを検査することができる。
【0026】
また、図1に示す送信部10および受信部20において、それぞれ破線で囲んだ構成要素は、1つの半導体チップに集積することが可能である。例えば、送信部10において、入力端子4および6、AD変換回路3、パルス幅変調回路5、参照信号生成回路7、発光素子駆動回路9、制御回路13、および、制御回路13で制御されるスイッチ回路14を含む集積回路(送信用IC)を用いることができる。
【0027】
一方、受信部20には、光受信回路21、平均デューティ比検出回路23、復調回路25、および、デューティ比検出回路23で制御されるスイッチ回路24a、24bを含む受信用ICを用いることができる。受光素子17は、受信用ICの他の構成要素と一体に集積化しても良いし、別途、受信用ICの入力側に接続しても良い。
【0028】
このように、各構成要素を集積化したICを用いることにより、半導体装置100を小型化することができる。さらに、伝送モードとテストモードとを切り替える際には、入力端子4に所定の電圧を入力し、伝送信号もしくは参照信号を含んだ電圧信号がバッファ27を介した端子26もしくは28に出力させる。したがって、半導体装置100では、アナログ信号入力端子に加えてテストモード用の端子を付加しない。このため、装置サイズの小型も実現することができる。
【0029】
次に、図12を参照して、実施形態に係るパルス幅変調について説明する。図12は、パルス幅変調部5における1つの符号化方式を例示しており、これに限定される訳ではない。
【0030】
送信部10の入力端子4および6に入力されるアナログ信号は、AD変換部3においてディジタル信号に変換される。入力端子4および6に入力される入力差動信号を所定のクロック信号に基づいてサンプリングし、例えば、ΔΣ型AD変換回路で1bitのディジタルデータ信号に変換する。そして、パルス幅変調部5において、クロック信号にディジタルデータ信号を重畳したパルス幅変調を行う。
【0031】
さらに、AD変換部3のディジタルデータ信号(ADC出力)にスクランブル信号を重畳し、例えば、図12に示すA〜Cの3つのパルスパターンに変調する。図12では、1ビットのADC出力が例示されており、スクランブル信号には、クロック信号に基づいて生成される1ビットの疑似ランダム信号、もしくは、01交番信号など、平均デューティ比が保証された信号を用いる。
【0032】
図12に示すように、例えば、ADC出力が「L」の場合、スクランブルが「L」または「H」であっても、デューティ比を50%とする(Aパターン)。一方、ADCの出力が「H」で、スクランブルが「L」の場合、デューティ比を25%とする(Bパターン)。そして、ADC出力が「H」、スクランブルが「H」の場合、デューティ比を75%とする(Cパターン)。これにより、伝送信号における第1の平均デューティ比を50%にすることができる。なお、A〜Cのパルスパターンの立ち上がりT0をクロック周期TCと一致させているため、クロック信号にディジタルデータを重畳させることになる。
【0033】
受信部20では、復調部25において、各パルスパターンの立ち上がりT0を検出することにより、クロック信号を再生する。さらに、再生されたクロック信号を用いて、図12中に示す識別点T1〜T3における電圧レベルを検知し、電圧信号(伝送信号)をディジタルデータ信号に復調する。なお、識別点T1〜T3は再生されたクロック信号とDLL(Digital Locked Loop)回路等を用いることにより容易に生成できる。
【0034】
一方、伝送信号をディジタルデータ信号に復調する際には、各識別点T1〜T3と、各パルスパターンA〜Cの立ち下がり点と、の間に、符号誤りを生じさせないマージンが必要となる。例えば、Aパターンの識別点T1では、Bパターンの立ち下がり点との間のマージンΔTM1と、Aパターンの立ち下がり点との間のマージンΔTM2と、を確保することが望ましい。例えば、図12び示すパルスパターンが歪み無く伝送されるとすれば、マージンΔTM1およびΔTM2は、クロック周期TCの8分の1となる。
【0035】
このように、ADC出力とスクランブル信号とを重畳する変調方式を用いると、伝送信号の平均デューティ比が一定となり受信回路の構成を簡略することができる。一方、伝送信号の復調時におけるマージンを小さくするデメリットも生じる。
【0036】
光結合部のパルス幅歪みが、マージンΔTM1およびΔTM2よりも十分小さければ、符号誤り率を抑制したエラーフリーの信号伝送を実現できる。しかしながら、デルタシグマ型変換器において、入力されたアナログ信号を高精度でアナログ/デジタル変換するためにサンプリングクロック周波数を高くすると、マージンΔTM1およびΔTM2が小さくなり、小さなパルス幅歪みや信号ジッタなどによる復調誤りが無視できない状態となる場合がある。
【0037】
さらに、ΔΣ型AD変換回路のように出力パターンが一意に決まらないAD変換を用いる場合、パルス幅変調部5から出力されるパルスパターンを制御することは難しい。このため、伝送信号を含んだ電圧信号を光受信部21から直接取り出すことが可能な構成としても、出力パルスパターンが一意に決まらないため、信号のパルス歪みを簡単に測定することが難しい。
【0038】
これに対し、実施形態に係る半導体装置100では、テストモードにおいてパルス幅を固定した参照信号を伝送することにより、パルス幅歪みを簡単に測定することができる。そして、半導体装置100の製造過程における検査において、パルス幅歪みの大きいものを取り除くことが可能となる。これにより、半導体装置100における光結合部の伝送マージンを確保して復調誤りを抑制し、アナログ信号を高精度にディジタル化した信号伝送を実現することができる。
【0039】
なお、上記の例では、伝送信号の平均デューティ比が50%に固定される符号化方式を示したが、実施形態は、平均デューティ比が50%の値に固定される場合に限定される訳ではなく、参照信号の平均デューティ比と重複しなければ良い。
【0040】
次に、図15のフローチャートを参照して、半導体装置100の検査方法を具体的に説明する。
【0041】
最初に、送信部10の入力端子4に閾値電圧VTH1よりも高い電圧を入力し、の制御部13を動作させる(S01)。ここで、動作とは、制御信号を出力することを言う。VTH1は、アナログ入力信号の最大推奨電圧VINHよりも大きい値とする。電源端子2に印加される電源電圧VDD1を5Vとして、アナログ入力の推奨電圧範囲を±1.5Vとした場合、VTH1を、例えば、2.5Vとする。
【0042】
ここで、推奨電圧とは、例えば、入力端子4および6に入力するアナログ信号の電圧振幅の望ましい範囲を意味する。
【0043】
制御部13を動作させる閾値VTH1は、上記の例に限らず、アナログ入力信号の推奨電圧範囲外であれば良い。上述の例では、制御部13として、例えば、閾値電圧2.5VのCMOSインバータ回路を用いることができる。
【0044】
制御部13は、入力端子4の電圧に基づき参照信号(参照信号生成部7)を選択し、スイッチ14に制御信号を出力する。制御部13から制御信号を受けたスイッチ14は、参照信号生成部7の出力側b1に接続を切り替える(S02)。これにより、発光素子駆動部9の入力として参照信号が選択される。スイッチ14には、例えば、CMOSスイッチ回路を用いることができる。
【0045】
発光素子駆動部9では、参照信号に基づいた発光素子駆動電流を発光素子15に流す(S03)。そして、発光素子駆動部9から出力される駆動電流により、発光素子15は、参照信号に基づいた光信号LSを放出する(S04)。
【0046】
受信部20では、受光素子17が光信号を受信し、光信号に対応した電流を出力する。受光素子17の出力電流は、例えば、トランスインピーダンスアンプおよびコンパレータを含む光受信部21において、電圧信号に変換される(S05)。
【0047】
さらに、平均デューティ比検出部23は、電圧信号の平均デューティ比に基づいて識別し、スイッチ24aをd1側、スイッチ24bをd2側に切り替える。これにより、参照信号に基づく電圧信号が、バッファ27を介して出力される(S06)。そして、図示しない測定器を出力端子26もしくは28に接続し、参照信号に基づく電圧信号のパルス幅およびパルス周期を測定してパルス幅歪みを検出する(S07)。
【0048】
上記の実施形態では、AD変換部3の入力が2端子、受信部20における出力バッファ27の端子が2端子の場合を例として説明したが、これに限られる訳ではなく、単相の1端子入力であっても良いし、入力端子および出力端子がそれぞれ2端子以上であっても良い。また、第1の制御部は、入力端子とは別に設けられたテスト端子の電圧に基づいて、伝送信号および参照信号のいずれかを選択しても良い。以下の実施形態においても同様である。
【0049】
[第2実施形態]
図2は、第2実施形態に係る半導体装置200における送信部30の構成を示す模式図である。同図に示すように、半導体装置200は、電流制御電流源47と、第3の制御部41と、を備える点で、半導体装置100と相違する。図示しない受信部は、半導体装置100と同じ構成を有する。
【0050】
前述したように、発光素子15と受光素子17とを含む光結合部は、ディジタル伝送を行う構成となっている。したがって、その伝送特性の評価は、時間軸および信号強度においてパルスパターンが所定の範囲にあることを検査する。第1実施形態に示した例では、パルス幅歪み(時間軸方向)の検査を実施する。そして、本実施形態では、信号強度を評価するために、直流感度(信号強度)を検査する機構が付加されている。
【0051】
制御部41は、入力端子4に印加される電圧に基づいて、発光素子駆動部9および電流制御電流源47のいずれかを選択し発光素子15に駆動電流を流す。そして、電流制御電流源47は、入力端子6に印加された電流に対応した駆動電流を発光素子15に流す。
【0052】
例えば、入力端子4に閾値電圧VTH2(>VTH1)よりも高い電圧が印加された時、制御部41は、スイッチ43を電流制御電流源47の側b2に接続する。これにより、発光素子15の駆動電流は、電源端子2から電流制御電流源47に流れる。一方、入力端子4の電圧がVTH2よりも低い場合には、制御部41は、スイッチ43に制御信号を送り、その接続を発光素子駆動部9の側a2に切り替える。
【0053】
半導体装置200において、例えば、入力端子4および6にアナログ信号が入力されている場合(伝送モード)、制御部13はスイッチ14をa1側に接続し、制御部41はスイッチ43をa2側に接続する。入力されたアナログ信号は、AD変換部3およびパルス幅変調部5を介して伝送信号に変換される。そして、発光素子駆動部9に入力された伝送信号が発光素子15の駆動電流に重畳され、発光素子15は、伝送信号を含んだ光信号LSを放出する。
【0054】
一方,入力端子4に閾値電圧VTH1よりも高くVTH2より低い電圧が印加された場合、半導体装置200は、テストモードの動作をする。このとき、制御部13から制御信号が出力され、スイッチ14の接続をb1側に切り替える。
【0055】
この場合、参照信号生成部7から出力された参照信号が発光素子駆動部9に伝わり、発光素子15は、参照信号に基づく光信号LSを放出する。そして、前述したように、受信部20において、参照信号を含む電圧信号を出力させることによりパルス歪みを測定することができる。
【0056】
本実施形態では、さらに、VTH1よりも高い閾値電圧VTH2が設定され、入力端子4の電圧がVTH2よりも高くなった時に、制御部41からスイッチ43に制御信号が出力される。そして、制御部41から制御信号を受けたスイッチ43は、その接続を電流制御電流源47の側b2に切り替える。また、電流制御電流源47は、入力端子6の入力電流に応じた電流を流す。したがって、入力端子6の電流により発光素子15に流れる駆動電流を制御することができる。
【0057】
このような回路構成にすることにより、発光素子駆動部9と光受信回路21との間(光結合部)のパルスス幅歪みを測定することが可能となる。さらに、発光素子15の直流特性(光結合部の直流感度)を測定することができる。これにより、パルス幅歪みの大きなもの、および、直流感度が所定の範囲にないものを製造過程の検査で取り除くことができる。
【0058】
次に、図14(a)を参照して、制御部13および制御部41、電流制御電流源47の構成について説明する。図14(a)は、送信部10、30における電源端子2と、入力端子4および6と、接地端子GND1と、各制御部の結合を例示する回路図である。
【0059】
制御部13は、例えば、CMOSロジック回路(一例としてインバータ回路)で構成することができる。インバータの入力側に配置された抵抗R3は、ESD保護抵抗であり省略することも可能である。
【0060】
電流制御電流源47と制御部41とには、例えば、カレントミラー回路を用いる。すなわち、電流制御電流源47では、入力端子6の入力電流に応じた電流を流す機能を実現するため、好ましい構成としてカレントミラー回路を用いる。一方、第2の制御回路41には、CMOSロジック回路を用いても良い。しかしながら、例えば、入力端子4と入力端子6との間に差動信号を入力し、高精度のAD変換を実現しようとする場合、両端子の入力インピーダンスを一致させることが望ましい。そこで、実施形態では、制御部41にカレントミラー回路を用いる。
【0061】
次に、制御部41および電流制御電流源47の動作を説明する。ここでは、
VTH1=VTH3=VDD1/2・・・(2)
VTH2=VTH4=3VDD1/4・・・(3)
とし、アナログ信号の推奨電圧範囲は、−VDD1/4以上、VDD1/4以下とする。
【0062】
制御部41では、NMOSトランジスタM2およびM4をカレントミラー構成とし、M2に直列に接続されたM11〜M1Nにより閾値電圧VTH2を決める。また、M11〜M1Nに直列に接続された抵抗R1は電流制限抵抗である。
【0063】
制御部41がVTH2以下で動作しないように、次式(4)を満足する段数NのNMOSトランジスタを配置する。
VTH2(=3VDD1/4)<VTH×N・・・(4)
【0064】
例えば、VDD1を5V、NMOSトランジスタの閾値VTHを0.8Vとすると、入力側には、5段以上(N≧5)のNMOSトランジスタを配置する。このように、MOSトランジスタの直列段数によりVTH2を設定し、所定の閾値を有する制御回路を実現することができる。
【0065】
本実施形態において、入力端子4の電圧VIN1が、VTH1<VIN1<VTH2の場合は、制御部13のみが動作する。そして、VIN1>VTH2の場合は、制御部13および制御部41が共に動作する。さらに、VIN1がVTH1以下の場合は、制御部13および制御部41は共に動作せず、その容量がAD変換部の入力容量に付加される。
【0066】
入力端子6の側も入力端子4と同様の構成となるが、電流制御電流源47の出力側の構成が異なる。すなわち、NMOSトランジスタM7のドレイン側が、スイッチ43を介して発光素子15に接続される点が異なる。したがって、VIN2>VTH4の場合は、電流制御電流源47が動作する。
【0067】
本実施形態では、制御部41の入力側と、電流制御電流源47の入力側の構成を同一とすることにより、入力端子4の入力インピーダンスと、入力端子6の入力インピーダンスと、を一致させることができる。これにより、アナログ信号の歪みを抑制し、高精度のAD変換および信号伝送を実現できる。
【0068】
次に、図16のフローチャートを参照して、半導体装置200の検査方法を具体的に説明する。図16は、発光素子15の直流特性の検査方法を示している。
【0069】
最初に、送信部30の入力端子4に閾値電圧VTH2よりも高い電圧を入力し、制御部13と制御部41とを動作させる。同時に、入力端子6に閾値電圧VTH4よりも高い電圧を入力し、電流制御電流源を動作させる(S01)。例えば、電源端子2に印加される電源電圧VDD1を5Vとした場合、VTH2およびVTH4は、3.75Vとする。
【0070】
制御部41は、入力端子4の電圧に基づき電流制御電流源47を選択し、スイッチ43に制御信号を出力する。制御部41から制御信号を受けたスイッチ43は、電流制御電流源47の出力側b2に接続を切り替える(S02)。
【0071】
入力端子4の電圧がVTH2以上になると、制御部41の入力インピーダンスが下がり入力側に電流が流れ込む。このとき、AD変換部3および制御部13の入力インピーダンスが高いため、入力端子4に流れる電流のほとんどは、制御部41の入力側に流れ込む。制御部41の入力側に電流が流れ込むと、出力側のMOSトランジスタM4にも電流が流れ、スイッチ43に制御信号を出力する。
【0072】
電流制御電流源47は、入力端子6の電流に対応した駆動電流を発光素子15に流す(S03)。なお、入力端子4に閾値電圧VTH2よりも高い電圧が入力された場合、制御部13も動作し、スイッチ14が参照信号生成部7の側b1に接続される。これにより、参照信号が発光素子駆動部9に入力されるが、その出力側が電流制御電流源47に切り替えられているため、参照信号に基づく駆動電流は発光素子に流れない。
【0073】
テストモードの場合、受信部20では、受光素子17が光信号を受信し、光信号に対応した光電流を出力し、光受信部21において電圧信号に変換される(S04)。平均デューティ比検出部23は、電圧信号の平均デューティ比に基づいて動作モードを識別し、スイッチ24aをd1側、スイッチ24bをd2側に切り替える。これにより、参照信号を含む電圧信号が、バッファ27を介して出力される(S05)。そして、図示しない測定器を出力端子26もしくは28に接続し、電圧信号の電圧レベルに基づいて発光素子の光強度を検出する(S06)。
【0074】
入力端子6から電流制御電流源47の入力側に流れる電流が直流電流の場合、発光素子15は直流駆動され連続的に発光する。したがって、光受信部21の出力は、平均デューティ比0%もしくは100%の電圧信号となり、デューティ比検出部23において容易に識別される。そして、平均デューティ比検出部23は、スイッチ24aをd1側、スイッチ24bをd2側に接続し、バッファ27を介して光受信部21の電圧信号を出力させる。例えば、入力端子6に徐々に増加する直流電流を流し込み、受信部20の出力電圧と入力端子6の電流とを対比することにより、発光素子15の駆動電流と、光受信部21の出力との間の直流感度を測定することができる。
【0075】
図3は、第3実施形態の変形例に係る半導体装置250の送信部35の構成を示す模式図である。半導体装置250では、発光素子15を駆動する電力が発光素子駆動部9から供給され、発光素子15のカソード側が接地されている点で、図2に示す半導体装置200と相違する。前述したように、例えば、発光素子15の極性、および、半導体装置を収容するフレームの構造に合わせて、半導体装置200もしくは250の構成を選択することが可能である。
【0076】
[第3実施形態]
図4は、第3実施形態に係る半導体装置300における送信部40の構成を示す模式図である。同図に示すように、半導体装置300は、スイッチ14と発光素子駆動部9との間に歪み補償部33を備える点で、半導体装置200と相違する。本実施形態でも、受信部は、半導体装置100の受信部20と同じ構成を有する。
【0077】
歪み補償部33は、制御部13により制御されるスイッチ14と、発光素子駆動部9と、の間に配置され、パルス幅変調部5から出力される伝送信号、および、参照信号生成部7から出力される参照信号のパルス幅を補償する。これにより、比較的大きな等価容量をもつ発光素子を用いた場合や発光素子の駆動電流を小さくした動作条件でも良好な信号伝送を実現することができる。
【0078】
例えば、発光素子15として発光ダイオード(LED)を用いた場合、駆動電流を流し始めてから所定の発光強度に達するまでに時間遅れが生じる。この時間遅れは、駆動電流を止めてから発光素子15が消光するまでの時間よりも短い。このため、パルス信号の駆動電流により発光素子15を発光させる場合、駆動電流のパルス幅よりも、発光素子15から放出される光信号LSのパルス幅の方が短くなる傾向がある。
【0079】
このパルス幅の減少は、発光素子15の等価容量が大きいほど、もしくは、発光素子15の駆動電流が小さいほど顕著になる。すなわち、発光素子15の特性や駆動電流の大きさに依存して極めて大きなパルス幅の減少(パルス幅歪み)が発生し、受信側の復調部25においてエラーフリーの復調ができない場合がある。
【0080】
そこで、上記の通り、本実施形態では、パルス幅変調部5と発光素子駆動部9との間に配置した歪み補償部33において予め伝送信号のパルス幅を広げ、発光素子15の電気・光変換過程において減少するパルス幅歪みを補償する。
【0081】
図5は、第3実施形態の変形例に係る半導体装置350の送信部45の構成を示す模式図である。半導体装置350では、発光素子15を駆動する電力が、制御部41により選択された発光素子駆動部9、もしくは、電流制御電流源47から供給され、発光素子15のカソード側が接地されている点で、図4に示す半導体装置300と相違する。
【0082】
本変形例では、電流制御電流源47の出力側から発光素子15に駆動電流が供給される。したがって、例えば、電流制御電流源47を構成するMOSトランジスタの極性を逆転させ、PMOSトランジスタを用いた回路とすることができる。
【0083】
[第4実施形態]
図6は、第4実施形態に係る半導体装置400における送信部50の構成を示す模式図である。同図に示すように、半導体装置400は、歪み補償部33と、第2の制御部31と、を備える点で、半導体装置100と相違する。図示しない受信部は、半導体装置100の受信部20と同じ構成を有する。また、本実施形態では、電流制御電流源47を備えない点で、第2および第3実施形態に示す半導体装置200〜350と相違する。
【0084】
前述したように、歪み補償部33は、パルス幅変調部5から出力される伝送信号、および、参照信号生成部7から出力される参照信号のパルス幅を補償する。さらに、本実施形態では、入力端子6に入力される信号のレベルに基づいて、歪み補償部33と発光素子駆動部9を制御する制御部31が設けられる。
【0085】
例えば、図14(b)は、本実施形態における各制御回路の構成を示す回路図であり、図14(a)の回路図に制御回路31が付加されている。制御部31は、歪み補償部33に制御信号を出力し、伝送信号もしくは参照信号のパルス幅に付加する補償量を変化させる。また、制御部31は、発光素子駆動部9にも制御信号を出力し、発光素子15の駆動電流の大きさを変化させる。制御部31は、例えば、CMOSインバータを用いて構成することができる。同図では、インバータの入力側に保護抵抗R4が配置されているが、省略することもできる。
【0086】
発光素子駆動部9から出力される駆動電流は、例えば、発光素子15に適合した一定の電流値に設定される。これに対し、例えば、入力端子6に閾値電圧VTH3よりも高い電圧が印加された場合、制御部31は発光素子駆動部9に制御信号を出力し、駆動電流が設定した電流値よりも小さな値になるように制御する。これにより、発光素子15が経年劣化して発光効率が低下した状態を模擬し、その状態におけるパルス幅歪み、もしくは、パルス周期の測定を可能とする。
【0087】
前述したように、単純に発光素子に流れる電流を小さくすると、発光素子の応答遅れによるパルス幅歪みが大きくなる。そこで、制御部31は、歪み補償部33も同時に制御し、発光素子駆動部9に入力される信号に対するパルス幅の補償量を大きくする。これにより、発光素子の駆動電流変化に伴うパルス幅歪みを補正することができるので、光強度が低下する経年劣化を模擬し、その状態におけるパルス歪みを測定することができる。
【0088】
次に、図13を参照して、歪み補償部33の構成を説明する。図13(a)および図13(b)は、それぞれ制御方式の異なる歪み補償部33を例示する回路図である。
【0089】
図13(a)に示す回路では、インバータ71で反転させたパルス信号と、そのパルス信号を遅延させた遅延信号と、を入力とし、NAND77から遅延分だけパルス幅を広げた信号を出力させる。例えば、伝送モードにおいて、スイッチ75aはs1側に接続され、スイッチ75bは短絡、スイッチ75cは開放される。この場合、NAND77からは、入力されたパルス信号に対し、インバータ73および74における遅延時間t1が補償(付加)されたパルス信号が出力される。例えば、発光素子15から放出される光信号LSのパルス幅歪みをDtp(発光素子が消光するまでにかかる時間から発光するまでの時間を引いたもの)とすると、前述したようにDtp<0である。従って、遅延時間t1が−Dtpに等しくなるように設定しておけば、光信号LSのパルス幅歪みをキャンセルすることができる。
【0090】
入力端子6に、例えば、閾値電圧VTH3よりも高い電圧が印加されると、制御部31は、歪み補償部33に制御信号を出力する。そして、歪み補償部33では、スイッチ75aがs2側に切り替えられ、スイッチ75bは開放、スイッチ75cは短絡される。これにより、NAND77に入力されるパルスに、インバータ78および79における遅延時間t2が付加される。
【0091】
例えば、発光素子15の経年劣化を模擬する場合、歪み補償部33と同時に発光素子駆動部9にも制御信号が出力され発光素子15の駆動電流を低下させる。そして、駆動電流を低下させたことに起因するパルス幅の減少量と、新たに付加される遅延時間t2と、が同じであれば、駆動電流を低下させない場合のパルス幅を有し、強度を低下させた光信号が放出される。これにより、発光素子15の経年劣化した状態を模擬することが可能となる。
【0092】
図13(b)に示す回路では、NAND87に入力される遅延信号の遅延時間を、インバータ81および83の電流により制御する。例えば、インバータ81および83にCMOSインバータを用いた場合、インバータに流れる貫通電流を小さくすると遅延時間が長くなり、電流を大きくすると遅延時間が短くなる。
【0093】
図13(b)に示すように、インバータ81および83のそれぞれに接続された電流源82および84を制御部31により制御し、インバータ81および83の遅延時間を制御する。例えば、電流源82として、電流出力の異なる複数の定電流回路を並列に設け、制御部31から出力される制御信号により電流源を切り替える方法が考えられる。これにより、図13(a)に示す歪み補償回路と同等の動作を実現することができる。
【0094】
本実施形態に係る半導体装置でも、図6における破線で囲まれた構成要素を1つの半導体チップに集積することができる。すなわち、送信部50において、入力端子4および6、AD変換回路3、パルス幅変調回路5、参照信号生成回路7、発光素子駆動回路9、制御回路13、制御回路13で制御されるスイッチ回路14、歪み補償回路33、および、歪み補償回路33と発光素子駆動回路9とを制御する第3の制御回路31を含む集積回路(送信用IC)を用いることができる。
【0095】
次に、図17のフローチャートを参照して、半導体装置400の検査方法を具体的に説明する。図17は、発光素子15の経年劣化を模擬した場合のパルス歪みの検査方法を示している。
【0096】
最初に、送信部50の入力端子4に閾値電圧VTH1よりも高い電圧を入力し、制御部13を動作させる。同時に、入力端子6に閾値電圧VTH3よりも高い電圧を入力し、制御部31を動作させる(S01)。
【0097】
ここで、VTH1およびVTH3は、アナログ信号の推奨電圧の最大値VINHよりも大きい値とする。例えば、電源端子2に印加される電源電圧VDD1を5Vとした場合、アナログ入力の推奨電圧範囲を±1.25Vとして、VTH1を2.5Vとする。また、上記の例に限らず、VTH1およびVTH3は、アナログ信号の電圧範囲外であれば良い。
【0098】
制御部13は、入力端子4の電圧に基づき参照信号(参照信号生成部7)を選択し、スイッチ14に制御信号を出力する。制御部13からの制御信号を受けたスイッチ14は、参照信号生成部7の出力側b1に接続を切り替える。これにより、発光素子駆動部9の入力として参照信号が選択される(S02)。
【0099】
制御部31は、入力端子6の電圧に基づき歪み補償部33および発光素子駆動部9に制御信号を出力する。歪み補償部33では、参照信号のパルス幅を補償し、所定の補償量(t1+t2)を付加する。発光素子駆動部9では、駆動電流のレベルを低下させ、補償されたパルス幅の参照信号を出力する(S02)。そして、発光素子駆動部9から出力された駆動電流により、参照信号に基づく光信号LSが発光素子15から放出される(S03)。
【0100】
受信部20では、受光素子17が光信号を受信し、光信号に対応した光電流を出力する。光電流は、光受信部21において、参照信号を含む電圧信号に変換される(S04)。
【0101】
平均デューティ比検出部23は、電圧信号の平均デューティ比に基づいて信号を識別し、スイッチ24aをd1側、スイッチ24bをd2側に切り替える。これにより、参照信号に基づく電圧信号が、バッファ27を介して出力される(S05)。そして、図示しない測定器を出力端子26もしくは28に接続し、参照信号を含む電圧信号のパルス幅を測定しパルス幅歪みを検出する(S06)。
【0102】
図7は、第4実施形態の変形例に係る半導体装置450の送信部55の構成を示す模式図である。半導体装置450では、発光素子15を駆動する電流が発光素子駆動部9から供給され、発光素子15のカソード側が接地されている点で、図6に示す半導体装置400と相違する。
【0103】
例えば、発光素子15の極性、および、半導体装置を収容するフレームの構造に合わせて、半導体装置400もしくは450の構成を選択することが可能である。これにより、回路構成の簡略化および装置サイズの小型化を図ることができる。
【0104】
上記の通り、本実施形態に係る半導体装置400および450では、直流感度の測定機構はなく、パルス歪みを測定する構成となっている。一方、第2および第3実施形態に係る半導体装置200〜350では、光結合部の直流感度とパルス幅歪みとを検査する。
【0105】
すなわち、半導体装置200〜350では、その光受信部21において直流から高周波帯域まで信号を受信できるように構成される。このため、直流感度とパルス幅歪みの両方を評価する。これに対し、例えば、光信号LSの平均デューティ比が一定の場合は、光受信部21において低域遮断周波数と高域遮断周波との間の信号を増幅すれば良い場合がある。この場合、光受信部21の各要素を容量で接続したAC結合型の構成とすることができる。しかし、AC結合型光受信部では、直流感度を直接測定することがない。したがって、本実施形態に示す半導体装置400および450の構成が適している。
【0106】
ちなみに、半導体装置200〜350では、光受信部21のパルス幅歪みを抑制する自動閾値制御回路(ATC回路:図示せず)を設けることが多い。これに対し、AC結合型の光受信回路では、ATC回路は不要となり回路構成を簡略化できる利点がある。
【0107】
[第5実施形態]
図8は、第5実施形態に係る半導体装置500における送信部60の構成を示す模式図である。同図に示すように、半導体装置500の送信部60は、半導体装置300の送信部40に、第2の制御部31が付加された構成となっている。
【0108】
前述したように、半導体装置300では、光結合部におけるパルス幅歪みと発光素子15の直流感度を測定することができる。しかしながら,光結合部の検査は、これらの測定だけでは不十分である。例えば、発光素子15の経時変化による発光効率の低下を見込んだ検査仕様を定める場合に、直流感度の変化を検出することは可能であるが、経時変化に伴いパルス幅歪みが大きくなったものを選別することはできない。
【0109】
そこで、本実施形態では、制御部31を付加し、発光素子15の経時変化を見越した検査を可能とする。これにより、光結合部の伝送マージンのより厳密な検出を可能とし、高精度の信号伝送を実現することができる。
【0110】
半導体装置500では、入力端子6の電圧VIN2がVTH3以上、VTH4以下の場合に、制御部31が動作する。このとき、電流制御電流源47では、入力側に電流が流れ込まない入力インピーダンス(MOSトランジスタの段数)が設定されている。また、AD変換部3の入力も高インピーダンスであるため、入力端子6の電圧が上記の範囲にあるときには、入力端子6に電流が流れ込むことがない。
【0111】
次に、入力端子6の電圧VIN2をVTH4以上にすると、電流制御電流源47の入力側に電流が流れ始める。この時、AD変換部3の入力、および、制御部31の入力が高インピーダンスであれば、入力端子6に流れ込む電流のほとんどすべては、電流制御電流源47の入力側に流れる。したがって、VIN2をVTH4以上の範囲で変化させることにより入力端子6に流れ込む電流を変化させ、VIN2に比例した電流で発光素子を駆動することができる。
【0112】
表1に、半導体装置500における入力端子4および6のバイアス状態と、それに対応する動作モードの一例を示す。例えば、入力端子のバイアス状態によりI〜IXの9つの動作モードが想定されるが、VI〜VIIIの3つの動作モードは、意図しない動作状態であり使用することは想定しない。
【0113】
第1の動作モード(I)では、入力端子4および6にアナログ信号が入力され、受信側にディジタルデータ信号とクロック信号が出力される。第2〜第9の動作モード(II〜IX)はテストモードであり、パルス幅歪み(II)、経年劣化時のパルス幅歪み(V)、および、直流感度(IX)の測定を実施することができる。
【表1】
【0114】
図9は、第5実施形態の変形例に係る半導体装置550の送信部65の構成を示す模式図である。半導体装置550では、発光素子15を駆動する電力が、発光素子駆動部9、もしくは、電流制御電流源47から供給され、発光素子15のカソード側が接地される点で、図8に示す半導体装置500と相違する。前述したように、発光素子15の極性やフレームの構造により、半導体装置500もしくは550の構成を適宜選択することが可能である。
【0115】
上記の実施形態では、入力端子4の電圧に基づいて制御部13および制御部41から制御信号が出力され、入力端子6の電圧に基づいて制御部31から制御信号が出力され、電流制御電流源47が駆動電流を制御する。この組み合わせは任意であり、複数の入力端子から選択された任意の入力端子の電圧に基づいて、各制御部および電流制御電流源47がそれぞれ動作するように構成することができる。この際、誤動作を防ぐために、1つの入力端子に設定される閾値電圧を2以下とすることが好ましい。
【0116】
[第6実施形態]
図10は、第6実施形態に係る半導体装置600における送信部80と受信部85とを示す模式図である。同図に示すように、半導体装置600は、スイッチ14を制御する第1の制御部91と、歪み補償部96を制御する第2の制御部93と、を備える点で、半導体装置500と相違する。
【0117】
半導体装置600は、復号誤りを検出することにより伝送マージンを評価する構成を有する。このため、送信部80の参照信号生成部94から、例えば、デューティ25%および75%のパルスパターンが交互に出力される。すなわち、図12に示すBパターンおよびCパターンのパルスが交互に出力され、ADC出力が全て「H」の状態を模した参照信号が出力される。また、別の例として、デューティ50%のAパターンのパルスを出力し、ADC出力が全て「L」の状態を模した参照信号としても良い。
【0118】
制御部91は、入力端子4および6の電圧に基づいてスイッチ14を制御する。例えば、入力端子4の電圧VIN1がVTH1よりも高くVTH2よりも低い場合、そして、入力端子6の電圧VIN2がVTH3よりも低い場合に、スイッチ14をb1の側に接続し、参照信号を歪み補償部96に入力させる。一方、入力端子4の電圧VIN1がVTH1よりも低い場合、そして、入力端子6の電圧VIN2がVTH3よりも低い場合には、スイッチ14をa1の側に接続し、伝送信号を歪み補償部96に入力させる。
【0119】
制御部93も、入力端子4および6の電圧に基づいて歪み補償部96を制御する。本実施形態に係る歪み補償部96では、3種類の遅延時間t1、t2、t3を付加する。例えば、t1<t2<t3として、遅延時間t2を光信号LSの発光素子のパルス歪みを適正に補償する遅延時間とする。このような、遅延時間の制御は、図13(b)に示す回路例を用いるもとにより容易に実現できる。また、図13(a)の回路例に、新たなインバータとスイッチとを加えて構成することも可能である。
【0120】
例えば、制御部93は、入力端子4の電圧VIN1がVTH1よりも高くVTH2よりも低い場合、そして、入力端子6の電圧VIN2がVTH3よりも低い場合に、遅延時間t3を付加する。また、入力端子4の電圧VIN1がVTH1よりも高くVTH2よりも低い場合、そして、入力端子6の電圧VIN2がVTH3よりも高くVTH4よりも低い場合に、遅延時間t1を付加する。すなわち、入力端子6の電圧に基づいて、参照信号のパルス幅の補償量を制御する。
【0121】
一方、受信部85では、受光素子17により参照信号に基づく光信号LSを検出し、光受信部21において電圧信号に変換する。本実施形態における平均デューティ比検出部95は、例えば、電流制御電流源47が動作する直流感度の測定モードにおいて、スイッチ24aおよび24bをd1、d2の側に接続する。すなわち、平均デューティ比が0%もしくは100%の時に、電圧信号をバッファ27を介して出力させる。したがって、参照信号に基づく電圧信号は、復調部25においてディジタル信号に復号される。
【0122】
例えば、パルス幅が広がる方向に歪みが発生し、図12に示すマージンΔTM1が小さいとする。この場合に、遅延時間t3が付加されてパルス幅が広がり、全て「H」の状態を模した参照信号が復調されると、デューティ25%のパルスにおいて、識別点T1「H」、T2「L」、T3「L」のところが、T1「H」、T2「H」、T3「L」と判定され、「L」が混入した信号が出力される。また、反対にパルス幅が狭まる方向に歪みが生じ、マージンΔTM2が小さいとする。この場合、補償量として不足した遅延時間t1が付加された時に、デューティ75%のパルスにおいて、識別点T1「H」、T2「H」、T3「H」のところが、T1「H」、T2「H」、T3「L」と判定され、「L」が混入した信号が出力される。このように、復号化された参照信号を検出することにより、マージンΔTM1もしくはΔTM2が小さい半導体装置を選別することができる。
【0123】
上記の測定方法は、「L」の有無を識別するのみで済むため、測定時間および測定難度の点で有利である。また、参照信号が、全て「L」を模した信号である場合にも、同様に測定することが可能である。
【0124】
[第7実施形態]
図11は、第7実施形態に係る半導体装置700における送信部90と受信部95とを示す模式図である。同図に示すように、半導体装置700の送信部90は、電流制御電流源47とスイッチ43とを有しない点で、半導体装置600の送信部80と相違する。さらに、受信部95は、平均デューティ比検出部23と、スイッチ24a、24bと、を有しない点で、受信部20および85と相違する。
【0125】
本実施形態は、直流感度を直接測定しないAC結合型の光受信回路を備える構成に適する。前述した実施形態6と同じように、スイッチ14を制御する制御部94と、歪み補償部96と、を備えている。さらに、制御部41は、発光素子駆動部9を制御する。
【0126】
また、参照信号生成部94は、ADC出力が全て「H」の状態を模した参照信号を出力される。また、デューティ50%のAパターンのパルスを出力し、ADC出力が全て「L」の状態を模した参照信号としても良い。前述したように、歪み補償部96は、3種類の遅延時間t1、t2、t3を付加する。
【0127】
例えば、制御部91は、入力端子4の電圧VIN1がVTH1よりも高くVTH2よりも低い場合、そして、入力端子6の電圧VIN2がVTH3よりも低い場合に、スイッチ14をb1の側に接続し、参照信号を歪み補償部96に入力させる。一方、入力端子4の電圧VIN1がVTH1よりも低い場合、そして、入力端子6の電圧VIN2がVTH3よりも低い場合には、スイッチ14をa1の側に接続し、伝送信号を歪み補償部96に入力させる。
【0128】
制御部93は、入力端子4の電圧VIN1がVTH1よりも高くVTH2よりも低い場合、そして、入力端子6の電圧VIN2がVTH3よりも低い場合に、遅延時間t3を付加する。また、入力端子4の電圧VIN1がVTH1よりも高くVTH2よりも低い場合、そして、入力端子6の電圧VIN2がVTH3よりも高くVTH4よりも低い場合に、遅延時間t1を付加する。すなわち、入力端子6の電圧に基づいて、参照信号のパルス幅の補償量を制御する。
【0129】
上記の状態で、伝送マージンを評価する方法については、前述した第6実施形態と同じである。本実施形態では、制御部41により発光素子15の駆動電流を変化させ、伝送マージンを評価することができる。
【0130】
例えば、パルス歪みの補償量を所定の値よりも大きくする場合、すなわち、遅延時間t3を付加する場合に、発光素子15の駆動電流を小さくする制御を行う。ここで、遅延時間t3は、駆動電流を下げることにより増加するパルス歪みより大きくする。このような状態で、出力される参照信号に「L」または「H」の混入が無ければ、信号強度および時間軸方向の両方に伝送マージンがあると評価できる。
【0131】
さらに、遅延時間t1を付加し、駆動電流を大きくする条件、また、遅延時間t3を付加し、駆動電流を大きくする条件、遅延時間t1を付加し、駆動電流を小さくする条件において測定を行うことにより、信号の強度方向および時間軸方向における伝送マージンを評価することができる。
【0132】
以上、第1〜第7実施形態に係る半導体装置によれば、光結合型絶縁回路における光結合部(発光素子駆動回路〜光受信回路)のパルス幅歪み、および、発光素子と光受信部の直流感度を検査することができる。さらに、発光素子の経年劣化を擬制した状態での検査を簡便に実施することが可能である。これにより、光結合部の伝送マージンを確保して復調誤りを抑制し、高精度の信号伝送を可能とする半導体装置を提供することができる。
【0133】
また、上記の実施形態に限らず、参照信号のパルスパターンと、送信部および受信部の回路構成の組み合わせを変えることにより、他のテストモードを設定することも可能である。
【0134】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0135】
2、22・・・電源端子、 3・・・AD変換部(AD変換回路)、 4、6・・・入力端子、 5・・・パルス幅変調部(パルス幅変調回路)、 7、94・・・参照信号生成部(参照信号生成回路)、 9・・・発光素子駆動部(発光素子駆動回路)、 10、30、35、40、45、50、55、60、65、80、90・・・送信部、 13、31、41、91、93・・・制御部(制御回路)、 14、24a、24b、43、75a、75b、75c・・・スイッチ(スイッチ回路)、 15・・・発光素子、 17・・・受光素子、 20、85、95・・・受信部、 21・・・光受信部(光受信回路)、 23、95・・・デューティ比検出部(デューティ比検出回路)、 25・・・復調部(復調回路) 26、28・・・出力端子、 27・・・出力バッファ、 33、96・・・歪み補償部(歪み補償回路)、 47・・・電流制御電流源、 71、73、78、79、81、83・・・インバータ、 82、84・・・電流源、 100〜700・・・半導体装置、 LS・・・光信号
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アナログ信号をディジタル信号に変換するアナログディジタル変換部と、
前記アナログディジタル変換部から出力される前記ディジタル信号に応じたパルスパターンである伝送信号を出力するパルス幅変調部と、
固定されたパルスパターンである参照信号を生成する参照信号生成部と、
前記伝送信号および前記参照信号のいずれかを選択する第1の制御部と、
前記第1の制御部により選択された前記伝送信号または前記参照信号に基づく駆動電流を出力する発光素子駆動部と、
前記発光素子駆動部により駆動され、前記伝送信号または前記参照信号に基づく光信号を放出する発光素子と、
前記光信号を受信した受光素子の光電流を電圧信号に変換する光受信部と、
前記電圧信号を前記伝送信号または参照信号に基づくディジタル信号に復調する復調部と、
を備えたことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記アナログディジタル変換部に前記アナログ信号を入力する少なくとも1つの入力端子をさらに備え、
前記第1の制御部は、前記入力端子に入力される電圧に基づいて、前記伝送信号および前記参照信号のいずれかを選択することを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記伝送信号および前記参照信号のパルス幅を補償する歪み補償部と、
前記入力端子に入力される電圧に基づいて、前記歪み補償部を制御して前記参照信号の前記パルス幅を変化させる第2の制御部と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2の制御部は、前記入力端子の電圧に基づいて前記発光素子駆動部を制御し、前記発光素子の駆動電流を変化させることを特徴とする請求項3記載の半導体装置。
【請求項5】
前記アナログディジタル変換部に前記アナログ信号を入力する複数の入力端子と、
前記複数の入力端子のうちの1つの入力端子に入力される電流に対応した駆動電流を前記発光素子に流す電流源と、
前記複数の入力端子のうちの1つの入力端子に入力される電圧に基づいて、前記発光素子駆動部および前記電流源のいずれかを選択し前記発光素子に駆動電流を流す第3の制御部と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項6】
前記電圧信号の平均デューティ比を検出する平均デューティ比検出部をさらに備え、
前記平均デューティ比検出部は、前記電圧信号の平均デューティ比に基づいて、前記電圧信号を前記伝送信号または前記参照信号に対応づけることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項7】
アナログ信号をディジタル信号に変換するアナログディジタル変換回路と、
前記アナログディジタル変換回路から出力される前記ディジタル信号に対応するパルスパターンを有する伝送信号を出力するパルス幅変調回路と、
固定されたパルスパターンを有する参照信号を生成する参照信号回路と、
前記伝送信号および前記参照信号のいずれかを選択する第1の制御回路と、
前記第1の制御回路により選択された前記伝送信号または前記参照信号を含む駆動電流を出力する発光素子駆動回路と、
を備えたことを特徴とする送信回路。
【請求項8】
前記アナログディジタル変換部に前記アナログ信号を入力する少なくとも1つの入力端子をさらに備え、
前記第1の制御回路は、前記入力端子に入力される電圧に基づいて、前記伝送信号および前記参照信号のいずれかを選択することを特徴とする請求項7記載の送信回路。
【請求項9】
前記アナログ/ディジタル変換回路に前記アナログ信号を入力する複数の入力端子と、
前記伝送信号および前記参照信号のパルス幅を補償する歪み補償回路と、
前記複数の入力端子のうちの1つの入力端子に入力される電圧に基づいて、前記歪み補償回路を制御し前記参照信号の前記パルス幅を変化させる第2の制御回路と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項7または8に記載の送信回路。
【請求項10】
請求項2に記載の半導体装置の検査方法であって、
前記入力端子に入力される前記アナログ信号の電圧振幅の範囲外の電圧を、前記入力端子に入力し、前記第1の制御部により前記参照信号生成部を選択するステップと、
前記発光素子駆動部から前記参照信号に基づく前記駆動電流を出力させ、前記発光素子から前記参照信号に基づく光信号を放出させるステップと、
前記光信号を受信した前記受光素子の光電流を、前記参照信号に基づいた前記電圧信号に変換するステップと、
前記電圧信号を復調し符号誤りを検出するステップと、
を備えたことを特徴とする半導体装置の検査方法。
【請求項11】
請求項6に記載の半導体装置の検査方法であって、
前記入力端子に入力される前記アナログ信号の電圧振幅の範囲外の電圧を、前記入力端子に入力し、前記第1の制御部により前記参照信号生成部を選択するステップと、
前記発光素子駆動部から前記参照信号を含む前記駆動電流を出力させ、前記発光素子から前記参照信号を含む光信号を放出させるステップと、
前記光信号を受信した前記受光素子の光電流を、前記参照信号を含む前記電圧信号に変換するステップと、
前記参照信号のデューティ比に基づいて、前記参照信号に対応させた前記電圧信号を出力させ、前記参照信号を含む前記電圧信号のパルス幅を検出するステップと、
を備えたことを特徴とする半導体装置の検査方法。
【請求項12】
請求項4に記載の半導体装置の検査方法であって、
前記アナログ信号の電圧振幅の範囲外の電圧を、前記複数の入力端子の1つに入力して前記第1の制御部により前記参照信号を選択し、
前記アナログ信号の電圧振幅の範囲外の電圧を、前記複数の入力端子の1つに入力し、前記第2の制御部により、前記参照信号のパルス幅および前記駆動電流を変化させるステップと、
前記発光素子駆動部から前記参照信号を含む前記駆動電流を出力させ、前記発光素子から前記参照信号を含む光信号を放出させるステップと、
前記光信号を受信した前記受光素子の光電流を、前記参照信号を含む前記電圧信号に変換するステップと、
前記参照信号のデューティ比に基づいて、前記参照信号に対応させた前記電圧信号を出力させ、前記参照信号を含む前記電圧信号のパルス幅を検出するステップと、
を備えたことを特徴とする半導体装置の検査方法。
【請求項1】
アナログ信号をディジタル信号に変換するアナログディジタル変換部と、
前記アナログディジタル変換部から出力される前記ディジタル信号に応じたパルスパターンである伝送信号を出力するパルス幅変調部と、
固定されたパルスパターンである参照信号を生成する参照信号生成部と、
前記伝送信号および前記参照信号のいずれかを選択する第1の制御部と、
前記第1の制御部により選択された前記伝送信号または前記参照信号に基づく駆動電流を出力する発光素子駆動部と、
前記発光素子駆動部により駆動され、前記伝送信号または前記参照信号に基づく光信号を放出する発光素子と、
前記光信号を受信した受光素子の光電流を電圧信号に変換する光受信部と、
前記電圧信号を前記伝送信号または参照信号に基づくディジタル信号に復調する復調部と、
を備えたことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記アナログディジタル変換部に前記アナログ信号を入力する少なくとも1つの入力端子をさらに備え、
前記第1の制御部は、前記入力端子に入力される電圧に基づいて、前記伝送信号および前記参照信号のいずれかを選択することを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記伝送信号および前記参照信号のパルス幅を補償する歪み補償部と、
前記入力端子に入力される電圧に基づいて、前記歪み補償部を制御して前記参照信号の前記パルス幅を変化させる第2の制御部と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2の制御部は、前記入力端子の電圧に基づいて前記発光素子駆動部を制御し、前記発光素子の駆動電流を変化させることを特徴とする請求項3記載の半導体装置。
【請求項5】
前記アナログディジタル変換部に前記アナログ信号を入力する複数の入力端子と、
前記複数の入力端子のうちの1つの入力端子に入力される電流に対応した駆動電流を前記発光素子に流す電流源と、
前記複数の入力端子のうちの1つの入力端子に入力される電圧に基づいて、前記発光素子駆動部および前記電流源のいずれかを選択し前記発光素子に駆動電流を流す第3の制御部と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項6】
前記電圧信号の平均デューティ比を検出する平均デューティ比検出部をさらに備え、
前記平均デューティ比検出部は、前記電圧信号の平均デューティ比に基づいて、前記電圧信号を前記伝送信号または前記参照信号に対応づけることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項7】
アナログ信号をディジタル信号に変換するアナログディジタル変換回路と、
前記アナログディジタル変換回路から出力される前記ディジタル信号に対応するパルスパターンを有する伝送信号を出力するパルス幅変調回路と、
固定されたパルスパターンを有する参照信号を生成する参照信号回路と、
前記伝送信号および前記参照信号のいずれかを選択する第1の制御回路と、
前記第1の制御回路により選択された前記伝送信号または前記参照信号を含む駆動電流を出力する発光素子駆動回路と、
を備えたことを特徴とする送信回路。
【請求項8】
前記アナログディジタル変換部に前記アナログ信号を入力する少なくとも1つの入力端子をさらに備え、
前記第1の制御回路は、前記入力端子に入力される電圧に基づいて、前記伝送信号および前記参照信号のいずれかを選択することを特徴とする請求項7記載の送信回路。
【請求項9】
前記アナログ/ディジタル変換回路に前記アナログ信号を入力する複数の入力端子と、
前記伝送信号および前記参照信号のパルス幅を補償する歪み補償回路と、
前記複数の入力端子のうちの1つの入力端子に入力される電圧に基づいて、前記歪み補償回路を制御し前記参照信号の前記パルス幅を変化させる第2の制御回路と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項7または8に記載の送信回路。
【請求項10】
請求項2に記載の半導体装置の検査方法であって、
前記入力端子に入力される前記アナログ信号の電圧振幅の範囲外の電圧を、前記入力端子に入力し、前記第1の制御部により前記参照信号生成部を選択するステップと、
前記発光素子駆動部から前記参照信号に基づく前記駆動電流を出力させ、前記発光素子から前記参照信号に基づく光信号を放出させるステップと、
前記光信号を受信した前記受光素子の光電流を、前記参照信号に基づいた前記電圧信号に変換するステップと、
前記電圧信号を復調し符号誤りを検出するステップと、
を備えたことを特徴とする半導体装置の検査方法。
【請求項11】
請求項6に記載の半導体装置の検査方法であって、
前記入力端子に入力される前記アナログ信号の電圧振幅の範囲外の電圧を、前記入力端子に入力し、前記第1の制御部により前記参照信号生成部を選択するステップと、
前記発光素子駆動部から前記参照信号を含む前記駆動電流を出力させ、前記発光素子から前記参照信号を含む光信号を放出させるステップと、
前記光信号を受信した前記受光素子の光電流を、前記参照信号を含む前記電圧信号に変換するステップと、
前記参照信号のデューティ比に基づいて、前記参照信号に対応させた前記電圧信号を出力させ、前記参照信号を含む前記電圧信号のパルス幅を検出するステップと、
を備えたことを特徴とする半導体装置の検査方法。
【請求項12】
請求項4に記載の半導体装置の検査方法であって、
前記アナログ信号の電圧振幅の範囲外の電圧を、前記複数の入力端子の1つに入力して前記第1の制御部により前記参照信号を選択し、
前記アナログ信号の電圧振幅の範囲外の電圧を、前記複数の入力端子の1つに入力し、前記第2の制御部により、前記参照信号のパルス幅および前記駆動電流を変化させるステップと、
前記発光素子駆動部から前記参照信号を含む前記駆動電流を出力させ、前記発光素子から前記参照信号を含む光信号を放出させるステップと、
前記光信号を受信した前記受光素子の光電流を、前記参照信号を含む前記電圧信号に変換するステップと、
前記参照信号のデューティ比に基づいて、前記参照信号に対応させた前記電圧信号を出力させ、前記参照信号を含む前記電圧信号のパルス幅を検出するステップと、
を備えたことを特徴とする半導体装置の検査方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2013−42280(P2013−42280A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−176801(P2011−176801)
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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