説明

半導体装置、半導体装置の設計方法、送信機及び送受信機

【課題】出力電力検出回路の検出電圧が温度に依存すれば、正確な出力電力を得ることができない。そのため、ダイナミックレンジが広範囲、かつ、温度変動が抑制された検出電圧を出力する出力電力検出回路を備えた半導体装置が、望まれる。
【解決手段】出力電力検出回路1は、所定の温度特性を持つ基準電圧と、温度特性を持たない第1及び第2の基準電流と、を出力するレギュレータ回路と、入力信号を受け付け、入力信号の電圧を第1の電圧に変換し、基準電圧と第1の基準電流に応じて、第1の電圧の温度特性を無効とし、第1の検波電圧として出力する第1の検波回路と、入力信号を受け付け、入力信号の電圧を第2の電圧に変換し、基準電圧と第2の基準電流に応じて、第2の電圧の温度特性を無効とし、第2の検波電圧として出力する第2の検波回路と、を含み、第1及び第2の検波電圧を合成した電圧を出力する検出回路と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。特に、出力電力検出回路を備える半導体装置、半導体装置の設計方法、送信機及び送受信機、に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、Bluetoothや無線LAN(Local Area Network)対応の電子機器の普及が著しい。これらの電子機器は、無線を通信手段として、ホスト機器やアクセスポイント等と通信する。
【0003】
これらの電子機器が出力する電波の電力は、一定値以下となるように規制されている。それぞれの電子機器が、無秩序に電波を出力するとすれば、互いの電波が干渉し、支障をきたすからである。従って、無線通信が可能な電子機器は、各国の法令等で定められた規制を遵守する必要がある。そのため、無線通信が可能な電子機器は、電波の出力電力を検出する出力電力検出回路を備えている。
【0004】
無線通信が可能な電子機器は、出力電力検出回路が出力する検出電圧を用いて、増幅回路のゲインを制御し、出力電力に関する規制を遵守する。また、電波の電力は狭い範囲内で変動するものではなく、その変動範囲は広範囲に亘る。従って、出力電力検出回路は、電波の電力が低い場合であっても、高い場合であっても正確にその電力を検出できる必要がある。即ち、出力電力検出回路が検出可能な範囲(ダイナミックレンジ)は広範囲でなければならない。
【0005】
ここで、特許文献1乃至3において、出力電力検出回路のダイナミックレンジを改善する技術が開示されている。
【0006】
特許文献1で開示された出力電力検出回路は、容量素子等を介して取り出された高周波信号を増幅する多段構成のアンプを備えている。さらに、各段のアンプの出力を検波する複数の検波回路と、多段構成のアンプを通さない高周波信号を検波する検波回路を設け、これらの検波回路の出力を合成したものを出力電力検出信号として出力する。その結果、出力電力検出回路のダイナミックレンジを拡げ、出力電力の低い領域から高い領域まで変曲点を持たない連続した検出を可能としている。
【0007】
特許文献2で開示された出力電力検出回路は、2つの検波回路を備えている。特許文献2で開示された出力電力検出回路は、2つの検波回路を連携させることで、出力電力検出回路のダイナミックレンジを拡げている。より具体的には、前段の検波回路の出力電圧を後段の検波回路のバイアスとして使用し、それぞれの検出回路の感度を変更している。
【0008】
特許文献3で開示された出力電力検出回路は、2つの検波回路を備えている。特許文献3で開示された出力電力検出回路は、出力電圧が低い領域と高い領域のそれぞれの領域で使用する検波回路を使い分け、出力電力検出回路のダイナミックレンジを拡げている。より具体的には、出力電圧が低い領域の検波を担う検波回路にスイッチを設け、出力電圧が高い領域の検波を担う検波回路が検波を開始したタイミングで、上述のスイッチをオフする。その結果、低域側の検波回路から高域側の検波回路に対する影響が排除され、出力電力検出回路のダイナミックレンジが拡大できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−116651号公報
【特許文献2】特開2006−094075号公報
【特許文献3】特開2000−329802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
なお、上記先行技術文献の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。以下の分析は、本発明の観点からなされたものである。
【0011】
ここで、無線通信は屋内だけで使用する機器に留まらず、車載用の機器(例えば、ECT(Electronic Toll Collection))やRFID(Radio Frequency IDentification)等においても用いられる。これらの機器が保証する動作温度範囲は極めて広範囲である。例えば、車載用の機器であれば、氷点下以下の環境に長時間さらされた環境や直射日光を長時間受けた環境にある車内においても、正常に動作することが求められる。
【0012】
このような厳しい環境下にあっても、無線通信が可能な電子機器が出力する電波の電力は規制を満たす必要がある。即ち、常温の環境下に限り、規制を満たせば良い訳ではなく、周辺温度が極めて低い又は高い場合であっても、電波の電力は規制を遵守したものでなければならない。
【0013】
しかしながら、上述の特許文献1〜3は、ダイオード等の半導体素子の温度特性を考慮に入れた出力電力検出回路を開示していない。
【0014】
ここで、ダイオードがオン状態になるベース・エミッタ間電圧VBEは、下記の式(1)で表すことができる。


なお、Vは熱電圧(常温で約26mV)、Isは飽和電流である。さらに、飽和電流Isは下記の式(2)で表すことができる。


なお、kはボルツマン定数、Tは絶対温度、Aは定数、Egはシリコンバンドギャップエネルギーである。式(1)を温度Tで微分することにより、ダイオードのベース・エミッタ間電圧VBEの温度特性が計算できる。


なお、qはクーロン定数である。このように、ダイオードのベース・エミッタ間電圧VBEは温度に依存する。
【0015】
図10は、ダイオードの電流−電圧特性の一例を示す図である。図10に示すように、ダイオードがオン状態に遷移する際のベース・エミッタ間電圧VBEは低温時ほど高電圧になり、高温時ほど低電圧になる。
【0016】
以上のとおり、ダイオード等の半導体素子はそれぞれ温度特性を備えている。この温度特性を考慮せず設計された出力電力検出回路は、入力電圧が同一であっても周辺温度が異なれば、異なる検出電圧を出力することになる。出力電力検出回路の検出電圧が温度に依存すれば、たとえダイナミックレンジが広範囲であっても、無線通信が可能な電子機器は正確な出力電力を得ることができない。そのため、ダイナミックレンジが広範囲、かつ、温度変動が抑制された検出電圧を出力する出力電力検出回路を備えた半導体装置、半導体装置の設計方法、送信機及び送受信機が、望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の第1の視点によれば、所定の温度特性を持つ基準電圧と、温度特性を持たない第1及び第2の基準電流と、を出力するレギュレータ回路と、入力信号を受け付け、前記入力信号の電圧を第1の電圧に変換し、前記基準電圧と前記第1の基準電流に応じて、前記第1の電圧の温度特性を無効とし、第1の検波電圧として出力する第1の検波回路と、前記入力信号を受け付け、前記入力信号の電圧を第2の電圧に変換し、前記基準電圧と前記第2の基準電流に応じて、前記第2の電圧の温度特性を無効とし、第2の検波電圧として出力する第2の検波回路と、を含み、前記第1及び第2の検波電圧を合成した電力検出電圧を出力する検出回路と、を備える半導体装置が提供される。
【0018】
本発明の第2の視点によれば、上記第1の視点に係る半導体装置と、前記電力検出電圧を受け付ける制御ブロックと、前記制御ブロックと接続され、送信信号を受け付ける可変利得アンプと、前記可変利得アンプの出力する電圧を増幅するパワーアンプと、を備え、前記パワーアンプの出力を前記第1及び第2の検波回路に対する入力信号とすると共に、前記制御ブロックは、前記電力検出電圧に基づいて、前記可変利得アンプの利得を変更する送信機が提供される。
【0019】
本発明の第3の視点によれば、上記第1の視点に係る半導体装置と、前記電力検出電圧を受け付ける制御ブロックと、前記制御ブロックと接続され、送信信号を受け付ける可変利得アンプと、前記可変利得アンプの出力する電圧を増幅するパワーアンプと、を備え、前記パワーアンプの出力を前記第1及び第2の検波回路に対する入力信号とすると共に、前記制御ブロックは、前記電力検出電圧に基づいて、前記可変利得アンプの利得を変更する送受信機が提供される。
【0020】
本発明の第4の視点によれば、バンドギャップリファレンス回路を含み、所定の温度特性を持つ基準電圧と、温度特性を持たない第1及び第2の基準電流と、を出力するレギュレータ回路と、入力信号を受け付け、前記入力信号の電圧を第1の電圧に変換し、前記基準電圧と前記第1の基準電流に応じて、前記第1の電圧の温度特性を無効とし、第1の検波電圧として出力する第1の検波回路と、前記入力信号を受け付け、前記入力信号の電圧を第2の電圧に変換し、前記基準電圧と前記第2の基準電流に応じて、前記第2の電圧の温度特性を無効とし、第2の検波電圧として出力する第2の検波回路と、を含み、前記第1及び第2の検波電圧を合成した電力検出電圧を出力する検出回路と、を備える半導体装置の設計方法であって、前記バンドギャップリファレンス回路を設計する工程と、前記第1及び第2の電圧の振幅を、前記検出回路のダイナミックレンジに基づいて決定する工程と、前記第1及び第2の電圧の温度特性を無効化する、前記基準電圧が持つ前記所定の温度特性と前記第1及び第2の基準電流の電流値と、を決定する工程と、を含む半導体装置の設計方法が提供される。
【発明の効果】
【0021】
本発明の各視点によれば、ダイナミックレンジが広範囲、かつ、温度変動が抑制された検出電圧を出力する出力電力検出回路を備えた半導体装置、半導体装置の設計方法、送信機及び送受信機が、提供される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置に含まれる出力電力検出回路1の構成の一例を示す図である。
【図2】図1に示すレギュレータ回路10の回路構成の一例を示す図である。
【図3】図1に示す検出回路20の回路構成の一例を示す図である。
【図4】検波回路21における検出電圧の一例を示す図である。
【図5】検波回路21における検出電圧の一例を示す図である。
【図6】検波回路21及び22の出力波形の一例を示す図である。
【図7】出力電力検出回路1の出力する電力検出電圧V_detの一例を示す図である。
【図8】出力電力検出回路1の設計方法の一例を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る送信機2の内部構成の一例を示す図である。
【図10】ダイオードの電流−電圧特性の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
初めに、図1を用いて一実施形態の概要について説明する。なお、この概要に付記した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、本発明を図示の態様に限定することを意図するものではない。
【0024】
上述のように、出力電力検出回路の検出電圧が温度に依存すれば、たとえダイナミックレンジが広範囲であっても、無線通信が可能な電子機器は正確な出力電力を得ることができない。そのため、ダイナミックレンジが広範囲、かつ、温度変動が抑制された検出電圧を出力する出力電力検出回路を備えた半導体装置が、望まれる。
【0025】
図1に示す出力電力検出回路1は、所定の温度特性を持つ基準電圧と、温度特性を持たない第1及び第2の基準電流と、を出力するレギュレータ回路10と、入力信号を受け付け、入力信号の電圧を第1の電圧に変換し、基準電圧と第1の基準電流に応じて、第1の電圧の温度特性を無効とし、第1の検波電圧として出力する第1の検波回路と、入力信号を受け付け、入力信号の電圧を第2の電圧に変換し、基準電圧と第2の基準電流に応じて、第2の電圧の温度特性を無効とし、第2の検波電圧として出力する第2の検波回路と、を含み、第1及び第2の検波電圧を合成した電圧を出力する検出回路20と、を備えている。
【0026】
レギュレータ回路10は、所定の温度特性を持つ基準電圧Vref_detと、温度特性を持たない基準電流I_det1及びI_det2を検出回路20に供給する。検出回路20は、レギュレータ回路10が出力する電源(基準電圧Vref_det、基準電流I_det1及びI_det2)を用いて、入力信号の電力を検出する。その際、基準電圧Vref_detの温度特性は検出回路20に含まれる半導体素子の温度特性を無効化(温度特性をキャンセル)するように設計されている。そのため、検出回路20に含まれる第1及び第2の検波回路が出力する電圧の温度特性を、無効化することができる。なお、温度特性の無効化とは、温度特性が消滅していることを意味するものではないことは勿論である。温度特性を無効化とは、本来の温度特性を減殺することを意味する。「温度特性を持たない」も同様であって、本来持っている温度特性が減殺されていることを意味する。
【0027】
さらに、第1及び第2の検波回路への入力信号の電圧(振幅)を、それぞれ変換し、第1及び第2の検波回路における入力レンジをそれぞれ異なる範囲に設計する。より具体的には、第2の検波回路へ入力する信号を、第1の検波回路へ入力する信号よりも減衰させれば、第2の検波回路ではより大きな振幅を持つ信号の検波を行うことができる。このように、第1及び第2の検波回路において、入力レンジを異ならせ、それぞれが出力する検出電圧を合成することで、出力電力検出回路のダイナミックレンジを拡大することができる。
【0028】
以上のように、レギュレータ回路10から検出回路20の検出電圧の温度特性を無効化できる電源を供給する。さらに、検出回路20は、入力レンジの異なる2つの検波回路を含んでおり、それぞれの検波回路の出力電圧を合成することで、ダイナミックレンジを拡大している。その結果、ダイナミックレンジが広範囲、かつ、温度変動が抑制された検出電圧を出力する出力電力検出回路が、提供できる。
【0029】
本発明において下記の形態が可能である。
【0030】
[形態1]上記第1の視点に係る半導体装置のとおりである。
【0031】
[形態2]前記レギュレータ回路は、第1の電流源を含むバンドギャップリファレンス回路と、前記第1の基準電流を供給する第2の電流源と、前記第2の基準電流を供給する第3の電流源と、を備えており、前記レギュレータ回路は、前記バンドギャップリファレンス回路の出力ノードと前記第1の電流源との間に配置した第1の抵抗を含み、前記第1の電流源と前記第1の抵抗との接続ノードから前記基準電圧を出力し、前記バンドギャップリファレンス回路が出力する電圧と、温度特性を持たない基準抵抗に基づいて前記第2及び第3の電流源から供給する電流値が定まることが好ましい。
【0032】
[形態3]前記第1の検波回路は、前記入力信号を、第2の抵抗を介して、コレクタで受け付けるエミッタ接地の第1のトランジスタと、ベースが、前記第1のトランジスタのベースと共通接続されるエミッタ接地の第2のトランジスタと、を含み、前記第2の検波回路は、前記入力信号を、第3の抵抗を介して、コレクタで受け付けるエミッタ接地の第3のトランジスタと、ベースが、前記第3のトランジスタのベースと共通接続されるエミッタ接地の第4のトランジスタと、を含み、前記基準電圧の出力ノードと前記第2のトランジスタは第4の抵抗を介して接続され、前記基準電圧の出力ノードと前記第4のトランジスタは第5の抵抗を介して接続され、前記第2の電流源と前記第1のトランジスタのコレクタが接続され、前記第3の電流源と前記第3のトランジスタのコレクタが接続されていることが好ましい。
【0033】
[形態4]前記第3の抵抗の抵抗値は、前記第2の抵抗の抵抗値よりも高いことが好ましい。
【0034】
[形態5]前記所定の温度特性は、前記第1の抵抗の抵抗値により定まり、前記第1の電圧の温度特性は、前記基準電圧の前記所定の温度特性と、前記第1の基準電流の電流値と、前記第4の抵抗の抵抗値と、に基づいて決定され、前記第2の電圧の温度特性は、前記基準電圧の前記所定の温度特性と、前記第2の基準電流の電流値と、前記第5の抵抗の抵抗値と、に基づいて決定されることが好ましい。
【0035】
[形態6]上記第2の視点に係る送信機のとおりである。
【0036】
[形態7]上記第3の視点に係る送受信機のとおりである。
【0037】
[形態8]上記第4の視点に係る半導体装置の設計方法のとおりである。
【0038】
以下に具体的な実施の形態について、図面を参照してさらに詳しく説明する。
【0039】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態について、図面を用いてより詳細に説明する。
【0040】
図1は、本実施形態に係る半導体装置に含まれる出力電力検出回路1の構成の一例を示す図である。
【0041】
出力電力検出回路1は、レギュレータ回路10と、検出回路20から構成されている。
【0042】
レギュレータ回路10は、半導体装置の内部に含まれる電源生成回路から電源電圧VDDの供給を受ける。レギュレータ回路10は、基準電圧Vref_detと、基準電流I_det1及びI_det2を出力する。また、レギュレータ回路10は、基準抵抗Rrefに接続されている。
【0043】
検出回路20は、レギュレータ回路10が出力する基準電圧Vref_detと、基準電流I_det1及びI_det2を受け付ける。検出回路20は、電力検出の対象となる信号を、入力端子Inを介して受け付ける。検出回路20は、入力端子Inから受け付けた信号の電力に比例する電圧を出力端子Outから出力する。
【0044】
次に、レギュレータ回路10について説明する。
【0045】
図2は、レギュレータ回路10の回路構成の一例を示す図である。レギュレータ回路10は、ダイオードD01〜D03と、Pチャンネル型MOSトランジスタP01〜P07と、オペアンプA01〜A03と、抵抗R01〜R04から構成されている。ダイオードD02は、N個(Nは2以上の整数、以下同じ)のダイオードが並列して接続されていることを示している。なお、ダイオードD01及びD03は、1つのダイオードである。
【0046】
Pチャンネル型MOSトランジスタP01〜P03のソースは、電源電圧VDDに接続されている。Pチャンネル型MOSトランジスタP01のゲートは、オペアンプA01の出力ノードに接続されている。Pチャンネル型MOSトランジスタP01のドレインは、ダイオードD01のアノード及びオペアンプA01の入力ノード(反転入力)に接続されている。Pチャンネル型MOSトランジスタP02のゲートは、オペアンプA01の出力ノードに接続されている。Pチャンネル型MOSトランジスタP02のドレインは、ダイオードD02のアノード及びオペアンプA01の入力ノード(非反転入力)に接続されている。Pチャンネル型MOSトランジスタP03のゲートは、オペアンプA01の出力ノードに接続されている。Pチャンネル型MOSトランジスタP03のドレインは、抵抗R03を介して、ダイオードD03のアノード及びオペアンプA02の入力ノード(反転入力)に接続されている。
【0047】
Pチャンネル型MOSトランジスタP03のドレイン、抵抗R03及びオペアンプA03の入力ノードの接続ノードをノードS01とする。抵抗R03及びオペアンプA02の入力ノードの接続ノードをノードS02とする。
【0048】
ダイオードD01のカソードは、接地電圧GNDに接続されている。ダイオードD02のカソードは、抵抗R01を介して、接地電圧GNDに接続されている。ダイオードD03のカソードは、抵抗R02を介して、接地電圧GNDに接続されている。
【0049】
Pチャンネル型MOSトランジスタP04〜P06のソースは、電源電圧VDDに接続されている。Pチャンネル型MOSトランジスタP04のゲートは、オペアンプA02の出力ノードに接続されている。Pチャンネル型MOSトランジスタP04のドレインは、オペアンプA02の入力ノード(非反転入力)に接続されると共に、基準抵抗Rrefを介して接地電圧GNDに接続されている。Pチャンネル型MOSトランジスタP04のドレインとオペアンプA02の入力ノードの接続ノードをノードS03とする。Pチャンネル型MOSトランジスタP05及びP06のゲートは、それぞれオペアンプA02の出力ノードに接続されている。Pチャンネル型MOSトランジスタP05及びP06のドレインは、検出回路20(図2において図示せず)の入力ノードに接続される。Pチャンネル型MOSトランジスタP05及びP06から供給される電流が、それぞれ基準電流I_det1及びI_det2である。
【0050】
Pチャンネル型MOSトランジスタP07のソースは電源電圧VDDに接続され、ゲートはオペアンプA03の出力ノードに接続されている。Pチャンネル型MOSトランジスタP07のドレインは、オペアンプA03の入力ノード(非反転入力)に接続されると共に、抵抗R04を介して接地電圧GNDに接続されている。Pチャンネル型MOSトランジスタP07のドレイン、抵抗R04及びオペアンプA03の入力ノードの接続ノードをノードS04とする。
【0051】
オペアンプA03の各入力ノードは、Pチャンネル型MOSトランジスタP03のドレインと抵抗R03の接続ノード(ノードS01)と、Pチャンネル型MOSトランジスタP07のドレインと抵抗R04の接続ノード(ノードS04)に接続されている。ノードS04の電圧が、レギュレータ回路10が出力する基準電圧Vref_detである。
【0052】
ここで、ダイオードD01〜D03と、Pチャンネル型MOSトランジスタP01〜P03と、オペアンプA01と、抵抗R01及びR02と、でバンドギャップリファレンス回路を構成している。
【0053】
ノードS02から温度補償したバンドギャップリファレンス電圧VBGRが出力される。バンドギャップリファレンス電圧VBGRは、以下の式(4)で表すことができる。


なお、r01及びr02は抵抗R01及びR02の抵抗値とする(以下の説明においても、抵抗と抵抗値は同様の表記とする)。VBE3はダイオードD03のベース・エミッタ間電圧とする。さらに、熱電圧Vを、ボルツマン定数(k)、絶対温度(T)、電子のクーロン定数(q)を用いて表すと、式(4)は下記の式(5)と等価になる。


【0054】
式(5)において、温度Tを変数として微分すると、以下の式(6)を得ることができる。


さらに、ダイオードD03のベース・エミッタ間電圧VBE3の温度特性は、式(7)で表すことができる。


そのため、式(6)において、抵抗値r01及びr02と、ダイオードD02に含まれるダイオードの並列数Nを適切に選択すれば、バンドギャップリファレンス電圧VBGRの温度特性を無効化することができる。
【0055】
次に、ノードS01の電圧を考える。ノードS01の電圧は、以下の式(8)で表すことができる。


ノードS01とノードS04は、それぞれオペアンプA03の入力ノードに接続されている。従って、オペアンプA03は、ノードS01の電圧とノードS04の電圧(基準電圧Vref_det)が等しくなるように、Pチャンネル型MOSトランジスタP07のゲートに印加する電圧を制御する。即ち、基準電圧Vref_detも式(8)で表すことができる。式(8)において、温度Tを変数として微分すると、以下の式(9)を得ることができる。


【0056】
上述のように、ダイオードD03のベース・エミッタ間電圧VBE3の温度特性は、式(7)で表すことができるので、抵抗値r01〜r03、ダイオードD02に含まれるダイオードの並列数Nを適切に選択することで、基準電圧Vref_detの温度特性を所望の値に定めることができる。例えば、r02/r01=11.2、N=8を選択すると、バンドギャップリファレンス電圧VBGRの温度特性を無効化することができる。さらに、r03/r01=2.2とすることで、基準電圧Vref_detの温度特性を+0.4mV/℃とすることができる。
【0057】
次に、基準電流I_det1及びI_det2の生成について説明する。
【0058】
上述のように、バンドギャップリファレンス電圧VBGRは、温度特性を持たない。従って、オペアンプA02を介してノードS02と接続されているノードS03の電圧は、バンドギャップリファレンス電圧VBGRとほぼ等しくなる。また、基準抵抗Rrefの抵抗値の温度依存性は、ダイオード等の半導体素子と比較すれば極めて小さい。従って、Pチャンネル型MOSトランジスタP04が供給する電流(以下、基準電流Irefと呼ぶ)は、温度特性を持たない電流と言える。
【0059】
さらに、Pチャンネル型MOSトランジスタP04〜P06を、それぞれ同じサイズのトランジスタにすれば、各トランジスタのゲートは共通接続されているため、Pチャンネル型MOSトランジスタP05及びP06が供給する電流と基準電流Irefはほぼ等しくなる。Pチャンネル型MOSトランジスタP05及びP06が供給する電流が、それぞれ、基準電流I_det1及びI_det2である。基準電流Irefが温度特性を持たないため、基準電流I_det1及びI_det2も同様に、温度特性を持たない。
【0060】
以上のように、レギュレータ回路10は、所望の(設計者が任意に設定可能な)温度特性を持った基準電圧Vref_detと、温度特性を持たない基準電流I_det1及びI_det2を出力することができる。
【0061】
続いて、検出回路20について説明する。
【0062】
図3は、検出回路20の回路構成の一例を示す図である。検出回路20は、2つの検波回路21及び22から構成されている。入力端子Inから入力された信号は、検波回路21及び22に入力される。レギュレータ回路10が生成する基準電圧Vref_detは、検波回路21及び22に供給される。さらに、レギュレータ回路10が生成する基準電流I_det1は検波回路21に供給され、基準電流I_det2は検波回路22に供給される。2つの検波回路21及び22が出力する電圧を合成した電圧は、電力検出電圧V_detとして、出力端子Outから出力される。
【0063】
検波回路21は、npn型バイポーラトランジスタTR01及びTR02と、抵抗R05〜R08と、容量C01及びC02から構成されている。
【0064】
npn型バイポーラトランジスタTR01のエミッタは、接地電圧GNDに接続され、ベースは抵抗R06を介してnpn型バイポーラトランジスタTR02のベースに接続されている。また、npn型バイポーラトランジスタTR01のコレクタとベースが共通接続されている。npn型バイポーラトランジスタTR01のコレクタは、容量C01及び抵抗R05を介して入力端子Inと接続されると共に、レギュレータ回路10のPチャンネル型MOSトランジスタP05のドレインと接続されている(基準電流I_det1の供給を受ける)。npn型バイポーラトランジスタTR02のエミッタは、接地電圧GNDに接続され、ベースは抵抗R06を介してnpn型バイポーラトランジスタTR01のベースに接続されている。npn型バイポーラトランジスタTR02のコレクタは、レギュレータ回路10のノードS04に接続(基準電圧Vref_detの供給を受ける)されると共に、抵抗R08を介して出力端子Outに接続される。ここで、npn型バイポーラトランジスタTR02のコレクタに流れ込む電流をIc1とし、npn型バイポーラトランジスタTR02のコレクタの電圧を検出電圧V_det1とする。なお、容量C02は、npn型バイポーラトランジスタTR02のコレクタと接地電圧GNDの間に接続される。
【0065】
検波回路22は、npn型バイポーラトランジスタTR03及びTR04と、抵抗R09〜R12と、容量C03及びC04から構成されている。検波回路22の構成は、検波回路21の構成と相違する点はないので、さらなる説明は省略する。検波回路21と同様に、npn型バイポーラトランジスタTR04のコレクタに流れ込む電流をIc2とし、npn型バイポーラトランジスタTR04のコレクタの電圧を検出電圧V_det2とする。
【0066】
次に、検波回路21及び22の動作の概略について説明する。
【0067】
入力端子Inから入力された信号の振幅は、抵抗R05及びR09により減衰する。npn型バイポーラトランジスタTR01及びTR03のコレクタ及びベースは、減衰した入力信号を受け付ける。
【0068】
npn型バイポーラトランジスタTR01及びTR02(TR03及びTR04)のベース同士が接続されているため、npn型バイポーラトランジスタTR02及びTR04のベース電圧は、入力信号の振幅に応じて上下する。npn型バイポーラトランジスタTR02及びTR04のベース電圧が定まると、電流Ic1及びIc2が定まる。ここで、抵抗R07及びR11は基準電圧Vref_detの供給を受けるので、検出電圧V_det1及びV_det2は、それぞれ以下の式(10)及び(11)から求まる。

V_det1=Vref_det−r07×Ic1 ・・・(10)

V_det2=Vref_det−r11×Ic2 ・・・(11)
【0069】
検出電圧V_det1及びV_det2を抵抗R08及びR12の抵抗値の割合で平均した電圧が、電力検出電圧V_detとなる。従って、抵抗R08及びR12の抵抗値が等しければ、検出電圧V_det1及びV_det2の平均電圧が電力検出電圧V_detである。
【0070】
次に、検波回路21の詳細な動作について説明する。なお、検波回路22の動作は、検波回路21の動作と同様のため、その説明を省略する。
【0071】
npn型バイポーラトランジスタTR01のコレクタに流れる電流をIc(t)とする。入力端子Inから受け付ける入力信号の周期をCとすると、npn型バイポーラトランジスタTR01のベース電圧も周期Cで変動する。ベース電圧の変動に応じて、電流Ic(t)も周期Cで変動をする。一方、npn型バイポーラトランジスタTR01のコレクタは、基準電流I_det1の供給を受けている。従って、基準電流I_det1と電流Icとの間には、以下の式(12)の関係が成り立つ。


さらに、電流Ic(t)とnpn型バイポーラトランジスタTR01のベース電圧VB(t)との間には、以下の式(13)の関係が成り立つ。


式(13)を式(12)に代入し、以下の式(14)を得る。


【0072】
ここで、ベース電圧VB(t)の1周期平均電圧は、ベース電圧VB(t)の最小値と最大値の平均と見做すことができる。ベース電圧VB(t)の最小値は式(15)、最大値は式(16)で表すことができる。




なお、VB_aveはベース電圧VB(t)の平均ベース電圧、Vp1は抵抗R05において減衰された入力信号の振幅とする。式(15)及び(16)を用いると、式(14)は、以下の式(17)と近似できる。


・・・(17)

式(17)をさらに変形して、式(18)を得ることができる。


・・・(18)
【0073】
式(18)において、熱電圧V(常温で約26mV)は入力信号の振幅Vp1と比較すると極めて小さい(Vp1は1V以上の場合が多い)。従って、exp(−Vp1/V)はほぼ無視できるほど小さい。従って、式(18)は、以下の式(19)に近似することができる。


式(19)を平均ベース電圧VB_aveで解くと、以下の式(20)を得る。


式(20)から、npn型バイポーラトランジスタTR02のベース電圧が定まり、検出電圧V_det1は、以下の式(21)で求まる。


・・・(21)
式(21)を温度Tについて微分すると、式(22)が得られる。
【0074】

・・・(22)
さらに、以下の式(23)を満たせば(式(22)の右辺が0になれば)、検出電圧V_det1の温度特性を無効化できる。


・・・(23)
式(23)において、入力信号の振幅Vp1と温度Tがパラメータであり、クーロン定数q、ボルツマン係数kは固定値である。また、基準電圧Vref_detの温度特性及び基準電流I_det1はレギュレータ回路10の設計により定まり、抵抗値r07は検波回路21の設定により定まる。これらの設計可能なパラメータを適切に定め、半導体装置の使用が想定される入力信号の振幅Vp1と温度Tの範囲で、検出電圧V_det1の温度特性を無効化する。
【0075】
図4は、検波回路21における検出電圧の一例を示す図である。図4において、検出回路20に供給する基準電圧Vref_detの温度特性は、無効化されているものとする。基準電圧Vref_detの温度特性が無効化されているため、式(23)は成立しない。従って、式(22)において、検出電圧V_det1の温度特性は無効化されない。その結果、検出電圧V_det1(図4の縦軸)は入力信号の振幅が同じであっても、温度に依存して変化する。
【0076】
図5は、検波回路21における検出電圧の一例を示す図である。図5において、検出回路20に供給する基準電圧Vref_detは所定の温度特性を持つものとする。より具体的には、基準電圧Vref_detの温度特性は式(23)が成立するように定められている。その結果、式(22)から検出電圧V_det1の温度特性は無効化される。
【0077】
図4と図5を比較すると、入力信号の振幅が変動すると想定される範囲(図4及び図5に示す検出範囲)においては、図5の検出電圧V_det1の温度特性は無効化されていることが分かる。なお、検出電圧V_det2についても同様に、入力信号の振幅が変動すると想定される範囲では、温度特性を無効化できる。
【0078】
以上のように、レギュレータ回路10から所定の温度特性を持つ基準電圧Vref_det、温度特性を持たない基準電流I_det1及びI_det2を供給することにより、検波回路21及び22に含まれるnpn型バイポーラトランジスタ等の温度特性を無効化できる。
【0079】
次に、出力電力検出回路1のダイナミックレンジについて説明する。
【0080】
出力電力検出回路1のダイナミックレンジを拡大するために、検波回路21及び22に含まれる抵抗R05及びR09の抵抗値を互いに異なる値に設計する。より具体的には、抵抗値r09を抵抗値r05よりも大きくする(r09>r05)。抵抗値r09の方が抵抗値r05よりも大きいため、検波回路22が受け付ける入力信号の振幅の減衰量は検波回路21が受け付ける入力信号の振幅の減衰量よりも大きい。従って、検波回路22は、検波回路21よりも振幅が大きな入力信号に対して検波動作を行う。
【0081】
図6は、検波回路21及び22の出力波形の一例を示す図である。図6に示すように、検波回路21は小振幅の入力信号を、検波回路22は大振幅の入力信号を、それぞれ検波していることが分かる。検波回路21の検出電圧(V_det1)と検波回路22の検出電圧(V_det2)を抵抗R08及びR12で平均化した電圧が、電力検出電圧V_detである。
【0082】
図7は、電力検出電圧V_detの一例を示す図である。抵抗05及びR09を調整することで、検波回路21及び22において異なる入力レンジに対応しつつ、温度特性を無効化した検波電圧が出力できる。
【0083】
次に、出力電力検出回路1の設計手法について説明する。
【0084】
図8は、出力電力検出回路1の設計方法の一例を示すフローチャートである。
【0085】
ステップS01において、レギュレータ回路10のバンドギャップリファレンス回路を設計する。具体的には、式(6)で示されるバンドギャップリファレンス電圧VBGRの温度特性を無効化する抵抗R01及びR02の抵抗値を決定する。
【0086】
ステップS02において、検出回路20を設計する。具体的には、出力電力検出回路1に求められるダイナミックレンジに応じて、抵抗R05及びR09の抵抗値を決定する。さらに、検出電圧V_det1と検出電圧V_det2の重み付けに応じて、抵抗R08及びR12の抵抗値を決定する。検出電圧V_det1と検出電圧V_det2を単純平均する場合には、抵抗R08及びR12の抵抗値を等しくする。
【0087】
ステップS03において、検出回路20の温度特性を無効化する抵抗値等の設計を行う。具体的には、出力電力検出回路1に求められる検出範囲で、式(23)が成り立つように、基準電圧Vref_detの温度特性及び基準電流I_det1の電流値、抵抗R07及びR11の抵抗値を定める。以上が、出力電力検出回路1の設計方法である。
【0088】
以上のように、レギュレータ回路10から所定の温度特性を持つ基準電圧Vref_detと、温度特性を持たない基準電流I_det1及びI_det2を供給する。検出回路20は、レギュレータ回路10が供給する基準電圧Vref_det、基準電流I_det1及びI_det2を電源として動作することで、検出電圧の温度特性を無効化することができる。さらに、検出回路20に含まれる2つの検波回路21及び22の入力レンジを変更し、検波回路21及び22が出力した電圧を平均化することで、ダイナミックレンジが広範囲、かつ、温度変動が抑制された検出電圧を出力する出力電力検出回路1を得ることができる。
【0089】
また、出力電力検出回路1は1つの測定端子(出力端子Out)で、低電力領域と高電力領域の測定が可能である。従って、特許文献3で開示された出力電力検出回路のように、低電力用と高電力用の測定端子を切り替えるスイッチ等は不要になる。その結果、出力電力検出回路1を組み込み、検出電圧を用いて電力制御を行うモジュールの入出力インターフェースを簡素化できる。
【0090】
[第2の実施形態]
続いて、第2の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0091】
図9は、本実施形態に係る送信機2の内部構成の一例を示す図である。図9において図1と同一構成要素には、同一の符号を表し、その説明を省略する。
【0092】
本実施形態に係る送信機2は、第1の実施形態に係る出力電力検出回路1を含んで構成される。送信機2は、出力電力検出回路1と、制御ブロック30と、可変利得アンプ40と、パワーアンプ50から構成されている。
【0093】
送信機2は、入力端子で送信信号を受け付け、電圧増幅した信号を出力端子から出力する。入力信号は、可変利得アンプ40で振幅が増減され、パワーアンプ50に送られる。パワーアンプ50の出力ノードは、出力電力検出回路1の入力端子Inに接続される。出力電力検出回路1の出力端子Outは制御ブロック30に接続される。制御ブロック30は、出力電力検出回路1が出力する電力検出電圧V_detに基づいて、可変利得アンプ40のゲインを制御する。即ち、パワーアンプ50の出力を出力電力検出回路1にフィードバックし、制御ブロック30は、出力波形の電力が規制値を超えないように、可変利得アンプ40のゲインを制御する。
【0094】
その際、出力電力検出回路1の出力する電力検出電圧V_detの温度特性は無効化されているため、可変利得アンプ40又はパワーアンプ50のゲインが温度によって変動したとしても、出力波形の電力を一定に保つことができる。なお、出力電力検出回路1を用いて、送受信機を構成することも可能である。
【0095】
なお、引用した上記の特許文献等の各開示は、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせないし選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0096】
1 出力電力検出回路
2 送信機
10 レギュレータ回路
20 検出回路
21、22 検波回路
30 制御ブロック
40 可変利得アンプ
50 パワーアンプ
A01〜A03 オペアンプ
C01〜C04 容量
D01〜D03 ダイオード
P01〜P07 Pチャンネル型MOSトランジスタ
R01〜R12 抵抗
Rref 基準抵抗
TR01〜TR04 npn型バイポーラトランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の温度特性を持つ基準電圧と、温度特性を持たない第1及び第2の基準電流と、を出力するレギュレータ回路と、
入力信号を受け付け、前記入力信号の電圧を第1の電圧に変換し、前記基準電圧と前記第1の基準電流に応じて、前記第1の電圧の温度特性を無効とし、第1の検波電圧として出力する第1の検波回路と、
前記入力信号を受け付け、前記入力信号の電圧を第2の電圧に変換し、前記基準電圧と前記第2の基準電流に応じて、前記第2の電圧の温度特性を無効とし、第2の検波電圧として出力する第2の検波回路と、を含み、
前記第1及び第2の検波電圧を合成した電力検出電圧を出力する検出回路と、
を備えることを特徴とした半導体装置。
【請求項2】
前記レギュレータ回路は、第1の電流源を含むバンドギャップリファレンス回路と、
前記第1の基準電流を供給する第2の電流源と、
前記第2の基準電流を供給する第3の電流源と、
を備えており、
前記レギュレータ回路は、前記バンドギャップリファレンス回路の出力ノードと前記第1の電流源との間に配置した第1の抵抗を含み、前記第1の電流源と前記第1の抵抗との接続ノードから前記基準電圧を出力し、前記バンドギャップリファレンス回路が出力する電圧と、温度特性を持たない基準抵抗に基づいて前記第2及び第3の電流源から供給する電流値が定まる請求項1の半導体装置。
【請求項3】
前記第1の検波回路は、
前記入力信号を、第2の抵抗を介して、コレクタで受け付けるエミッタ接地の第1のトランジスタと、ベースが、前記第1のトランジスタのベースと共通接続されるエミッタ接地の第2のトランジスタと、を含み、
前記第2の検波回路は、
前記入力信号を、第3の抵抗を介して、コレクタで受け付けるエミッタ接地の第3のトランジスタと、ベースが、前記第3のトランジスタのベースと共通接続されるエミッタ接地の第4のトランジスタと、を含み、
前記基準電圧の出力ノードと前記第2のトランジスタは第4の抵抗を介して接続され、前記基準電圧の出力ノードと前記第4のトランジスタは第5の抵抗を介して接続され、前記第2の電流源と前記第1のトランジスタのコレクタが接続され、前記第3の電流源と前記第3のトランジスタのコレクタが接続されている請求項2の半導体装置。
【請求項4】
前記第3の抵抗の抵抗値は、前記第2の抵抗の抵抗値よりも高い請求項3の半導体装置。
【請求項5】
前記所定の温度特性は、前記第1の抵抗の抵抗値により定まり、前記第1の電圧の温度特性は、前記基準電圧の前記所定の温度特性と、前記第1の基準電流の電流値と、前記第4の抵抗の抵抗値と、に基づいて決定され、
前記第2の電圧の温度特性は、前記基準電圧の前記所定の温度特性と、前記第2の基準電流の電流値と、前記第5の抵抗の抵抗値と、に基づいて決定される請求項3又は4の半導体装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一に記載の半導体装置と、
前記電力検出電圧を受け付ける制御ブロックと、
前記制御ブロックと接続され、送信信号を受け付ける可変利得アンプと、
前記可変利得アンプの出力する電圧を増幅するパワーアンプと、
を備え、
前記パワーアンプの出力を前記第1及び第2の検波回路に対する入力信号とすると共に、前記制御ブロックは、前記電力検出電圧に基づいて、前記可変利得アンプの利得を変更することを特徴とする送信機。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれか一に記載の半導体装置と、
前記電力検出電圧を受け付ける制御ブロックと、
前記制御ブロックと接続され、送信信号を受け付ける可変利得アンプと、
前記可変利得アンプの出力する電圧を増幅するパワーアンプと、
を備え、
前記パワーアンプの出力を前記第1及び第2の検波回路に対する入力信号とすると共に、前記制御ブロックは、前記電力検出電圧に基づいて、前記可変利得アンプの利得を変更することを特徴とする送受信機。
【請求項8】
バンドギャップリファレンス回路を含み、所定の温度特性を持つ基準電圧と、温度特性を持たない第1及び第2の基準電流と、を出力するレギュレータ回路と、
入力信号を受け付け、前記入力信号の電圧を第1の電圧に変換し、前記基準電圧と前記第1の基準電流に応じて、前記第1の電圧の温度特性を無効とし、第1の検波電圧として出力する第1の検波回路と、
前記入力信号を受け付け、前記入力信号の電圧を第2の電圧に変換し、前記基準電圧と前記第2の基準電流に応じて、前記第2の電圧の温度特性を無効とし、第2の検波電圧として出力する第2の検波回路と、を含み、
前記第1及び第2の検波電圧を合成した電力検出電圧を出力する検出回路と、
を備える半導体装置の設計方法であって、
前記バンドギャップリファレンス回路を設計する工程と、
前記第1及び第2の電圧の振幅を、前記検出回路のダイナミックレンジに基づいて決定する工程と、
前記第1及び第2の電圧の温度特性を無効化する、前記基準電圧が持つ前記所定の温度特性と前記第1及び第2の基準電流の電流値と、を決定する工程と、
を含むことを特徴とする半導体装置の設計方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−85081(P2013−85081A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−222979(P2011−222979)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】