説明

半導体装置および半導体装置の製造方法

【課題】半導体チップ10と配線板20との接合信頼性の高い撮像装置1を提供する。
【解決手段】実装面12に複数の第1のバンプ16を有する半導体チップ10と、それぞれの第1のバンプ16と接合された第2のバンプ26を有する配線板20と、を具備し、第1のバンプ16の接合面16Sと第2のバンプ26の接合面26Sとが、同じ面積の同じ回転対称多角形である長方形であり、第1のバンプ16と第2のバンプ26の実接合部30Sの面積が、それぞれの接合面16S、26Sの面積よりも小さい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体チップのバンプと配線板のバンプとが接合された半導体装置、および前記半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子が形成された半導体チップを、配線板と電気的に接続する技術として、ワイヤ配線が行われてきた。しかし、半導体チップの多ピン化および狭ピッチ化に対応するために、フリップチップ方式が実用化されている。フリップチップ方式では、半導体チップの実装面の電極上にバンプ(金属突起)を形成し、このバンプを介し配線板に実装する。
【0003】
バンプを介しての接合では、接合強度および電気的特性等の接合信頼性を担保するには、位置合わせを精度よく行う必要があり、また位置ずれを防止するための様々な検討がなされている。
【0004】
例えば、特開2008−270650号公報には、接合面が傾斜したバンプが開示されており、特開2006−294730号公報にはバンプ先端を鋭角形状に整形することが開示されている。
【0005】
しかし、バンプの形状を加工するには特別な装置が必要であり、工程数の増加およびコストアップの原因となるおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−270650号公報
【特許文献2】特開2006−294730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の実施形態は、半導体チップと配線板との接合信頼性の高い半導体装置、および前記半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の半導体装置は、実装面に複数の第1のバンプを有する半導体チップと、それぞれの前記第1のバンプと接合された第2のバンプを有する配線板と、を具備し、前記第1のバンプの接合面と前記第2のバンプの接合面とが、同じ面積の同じ回転対称多角形であり、前記第1のバンプと前記第2のバンプの実接合部の面積が、それぞれの前記接合面の面積よりも小さい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の実施形態によれば、半導体チップと配線板との接合信頼性の高い半導体装置、および前記半導体装置の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1実施形態の半導体装置の分解斜視図である。
【図2】第1実施形態の半導体装置のバンプの分解斜視図である。
【図3】第1実施形態の半導体装置の接合部を説明するための説明図であり、図3(A)は側面(Y方向)から観察したときの図で、図3(B)は上面(Z方向)から観察したときの図である。
【図4】第1実施形態の半導体装置の製造方法を説明するための斜視図である。
【図5】第1実施形態の半導体装置のバンプの接合面を説明するための図である。
【図6】第2実施形態の半導体装置の接合部を説明するための説明図であり、図6(A)は側面(Y方向)から観察したときの図で、図6(B)は上面(Z方向)から観察したときの図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1実施形態>
本実施形態の半導体装置は、例えば、固体撮像素子を有する撮像装置1である。
【0012】
図1に示すように、撮像装置1は、半導体チップ10と配線板20とを具備する。半導体チップ10の第1の主面11には、半導体素子である撮像素子13が形成されており、撮像素子13の複数の外部接続端子(不図示)は、それぞれの貫通配線14を介して第2の主面(実装面)12のそれぞれのバンプ16と接続されている。
【0013】
すなわち、撮像装置1は、半導体チップ10が、第1のバンプ16と配線板20の第2のバンプ26との接合によるフリップチップ方式により実装されている。
【0014】
そして、図2に示すように、バンプ16とバンプ26とは同じ四角柱形状であり、バンプ16の接合面16Sと、バンプ26の接合面26Sと、は同じ面積の同じ2回回転対称多角形の長方形である。そして、バンプ16とバンプ26とは、接合面16S、26Sの長辺方向が直交するように接合されている。すなわち、接合されるバンプ16、26とは、回転中心軸16O、26Oを中心に相対的に90度回転した状態となるように形成されている。
【0015】
接合面16Sおよび接合面26Sは、長辺の長さが短辺の長さの2倍の長方形である。このため、実接合部30Sの面積は、接合面16S、26Sの面積の50%である。
【0016】
撮像装置1は、実接合部30Sの面積が狭いため、接合のときに加える圧力が小さくとも確実に接合することができる。
【0017】
また図3に示すように、接合のときの位置あわせが多少ずれても、実接合部30Sの面積は同じである。このため、位置あわせが多少ずれても、実接合部30Sに印加される圧力は同じであり、さらに、実接合部30Sの電気抵抗も同じである。このため、撮像装置1は、半導体チップ10と配線板20との接合信頼性が高い。
【0018】
なお、バンプ16、26の相対角度は厳密に90度ではなく、略90度、例えば90度±10度であってもよい。また接合されるバンプ16とバンプ26との相対角度が略90度であれば、例えば、複数バンプ16が交互に90度回転した状態で配列していてもよい。すなわち、この場合には、接合される複数のバンプ26も交互に90度回転した状態で配列する。
【0019】
次に、撮像装置1の製造方法について簡単に説明する。
図4に示すように、撮像装置1は、複数の半導体チップ10を含む半導体基板である半導体ウエハ10Wと、複数の配線板20を含む配線基板20Wとを接合後に、個片化することで作製される。このため、半導体チップ10の外寸と配線板20の外寸とは、同じである。
【0020】
半導体ウエハ10Wは、例えばシリコンからなり、第1の主面11に複数の撮像素子13が形成されている。撮像素子13はCCDまたはCMOSセンサ等である。
【0021】
半導体素子は撮像素子13に限定されず、半導体ウエハ10Wはゲルマニウムまたはガリウム砒素等の半導体からなっていてもよい。そして、半導体装置は、CPU、メモリ、または各種センサ等であってもよい。
【0022】
そして、半導体ウエハ10Wの実装面12、配線板20には、それぞれ複数の第1のバンプ16、第2のバンプ26が形成されている。バンプ16、26の材料は、比較的変形しやすい材料、例えば、Au、Cu、In、Alまたは前記金属を主成分とする合金等から選択される。また、接合後に加熱処理を行う場合には、例えば、バンプ16の表面に、Ni等のバリア層を介してSnなどの低融点金属が成膜されていてもよい。
【0023】
バンプ16、26は、例えば、レジストマスクを介した電気めっき法により形成される。通常のバンプ作製では円形または正方形の開口部のあるマスクが用いられるが、バンプ16、26の作製では、長辺が短辺の2倍の長さの長方形の開口部があるマスクが用いられる。バンプ16、26の辺の長さおよびバンプ高さは仕様に応じて適宜設定されるが、例えば、長辺の長さは2μm〜40μmであり、高さは2μm〜20μmである。
【0024】
なお、図5(A)に示すように、バンプ16、26の長方形の接合面16S、26Sの長辺の長さLは、
短辺の長さwの1.5倍〜10倍であることが好ましく、2倍〜5倍が特に好ましい。また、実接合部30Sの面積は、接合面16S、26Sの面積の10%〜70%が好ましく、20%〜55%が特に好ましい。
【0025】
前記範囲の上限以下であれば、接合荷重が小さくても、信頼性の高い接合が可能である。また前記範囲下限以上であれば、狭ピッチの要求にも十分対応することができるとともに、電気抵抗を小さくすることもできる。
【0026】
また、実接合部30Sからはみ出した接合面16S、26Sの一部分も圧着溶着にともなう変形によって接合されたバンプ16A、26Aを覆うようになるので、必要な接合面積を確保することができ、信頼性の高い接合が可能である。
【0027】
なお、接合面16S、26Sの形状は、2回回転対称多角形であれば、略長方形であればよい。すなわち、図5(B)および図5(C)に示すように、接合面16Sの形状は、短辺が曲線等の長方形でもよい。
【0028】
なお、配線基板20Wとしては、ガラス繊維にエポキシ樹脂を含浸させた有機基板、シリコンなどからなる半導体基板、またはセラミックス基板などが例示される。すでに説明しやように、配線基板20Wに形成されるバンプ26は、バンプ16と同様の仕様であるが、それぞれが接続されるバンプ16と長辺方向が直交するように形成される。
【0029】
そして、接合するバンプ16とバンプ26のそれぞれの回転中心軸が一致するように位置あわせを行った後に、半導体ウエハ10Wと配線基板20Wとは圧着接合され接合基板30Wが作製される。半導体ウエハには多数の半導体チップが形成されており、それぞれの半導体チップが多数のバンプを有している。このため、バンプの実接合部の面積が大きいと、ウエハ接合に必要となる荷重は、非常に大きなものになる。ところが、ウエハ接合時に印加可能な荷重、すなわち製造装置が出力可能な力は限られている。このため、信頼性の高い接合をより確実なものとするためには、バンプの実接合部の面積をなるべく小さくして、接合部の単位面積当りの荷重を一定以上に確保する必要がある。
【0030】
しかし、接合面の面積が小さいバンプの作製および接合は容易ではない。すなわち、バンプ幅に対するバンプ高さで示されるアスペクト比が大きい場合、言い換えると、高さ方向(立体としての縦方向/上下方向)に細長い形状の場合、レジストマスクの作製およびめっき法によるマスク開口部内部への金属析出は困難となる。
【0031】
さらに、接合のときの位置合わせが僅かでもずれると、バンプが倒れてしまったり、ゆがんだ形状になったりして、高い接合信頼性を保つことができないおそれがある。また、接合面の微小なバンプを作製した場合、全ての半導体チップすなわちウエハ内の全てのバンプ接合部の位置合わせを完全に正確に行うことは、容易ではない。
【0032】
しかし、図2に示したように、撮像装置1では、バンプ幅(長方形の長辺の長さL)が大きく、バンプ16、26のアスペクト比が小さいため、バンプの作製が容易である。また、多少の位置合わせずれがあっても接合可能である。さらに、実接合部30Sの面積が小さいため、ウエハ接合に要する荷重が小さくて済む。
【0033】
加圧接合しながら図示しないヒーターからの加熱によりバンプ16とバンプ26との実接合部30Sの温度を上昇させることで、金属接合または金属間化合物を介した接合を形成させることで、複数の半導体チップ10と複数の配線板20とを一括して接合し接合基板30Wが作製される。
【0034】
そして、接合基板30Wをダイサー等を用いて、切断することで、複数の撮像装置1を一括して作製することができる。
【0035】
すなわち、撮像装置1の製造方法は、複数の半導体チップ10を含む半導体基板(半導体ウエハ)10Wと、複数の配線板20を含む配線基板20Wと、を接合し接合基板30Wを作製する接合工程と、接合基板30Wを切断し個片化する工程と、を具備する。
【0036】
以上の説明のように、撮像装置1の製造方法は、ウエハ単位で一括して複数の撮像装置1を製造でき、かつ、ウエハ接合に高荷重印加が必要ではないため汎用の接合装置を用いることができる。また、接合時に位置あわせが多少ずれても半導体チップ10と配線板20との接合信頼性が高い。
【0037】
<第2実施形態>
次に第2実施形態の半導体装置である撮像装置1Aについて説明する。本実施形態の撮像装置1Aは第1実施形態の撮像装置1と類似しているので同じ構成要素には同じ符号を付し説明は省略する。
【0038】
図6(A)および図6(B)に示すように、撮像装置1Aでは、第1のバンプ16Aの接合面および第2のバンプ26Aの接合面が、同じ面積の同じ正三角形(3回回転対称多角形)である。そして、バンプ16Aとバンプ26Aとは、回転中心軸16O、26Oを中心に相対的に60度回転した状態で接合するように配設されている。
【0039】
このため、撮像装置1Aは、撮像装置1と同様の効果を有する、すなわち、撮像装置1Aは、実接合部30Sの面積が接合面16S、26Sの面積が小さく、かつ、位置あわせが多少ずれても、半導体チップ10と配線板20との接合信頼性は高い。
【0040】
なお、撮像装置1Aでは、実接合部30Sの面積は接合面16S、26Sの面積の67%であり、撮像装置1の50%に比べると大きい。言い方を変えると、実接合部の面積が同じ場合は、撮像装置1Aは撮像装置1よりもバンプの接合面が小さく、回転中心軸からバンプの最遠端までの距離も小さい。したがって、撮像装置1Aは、撮像装置1よりもバンプ間のピッチを狭くすることができ、バンプレイアウトの自由度が向上する。
【0041】
以上の説明のように本発明の半導体装置は、同じ面積の同じ回転対称多角形の2つのバンプが相対的に回転した状態で接合されている。このため、実接合部の面積が小さく接合に要する荷重が小さいだけでなく、多少の位置合わせずれがあっても実接合部の面積が変化しない。このため、半導体チップと配線板との接合信頼性が高い。
【0042】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等ができる。
【符号の説明】
【0043】
1、1A…撮像装置
10…半導体チップ
10W…半導体ウエハ
11…第1の主面
12…第2の主面(実装面)
13…撮像素子
14…貫通配線
16、16A…第1のバンプ
16O、26O…回転中心軸
16S…接合面
20…配線板
20W…配線基板
26、26A…第2のバンプ
30S…実接合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実装面に複数の第1のバンプを有する半導体チップと、
それぞれの前記第1のバンプと接合された第2のバンプを有する配線板と、を具備し、
前記第1のバンプの接合面と前記第2のバンプの接合面とが、同じ面積の同じ回転対称多角形であり、
前記第1のバンプと前記第2のバンプとの実接合部の面積が、前記接合面の面積よりも小さいことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記実接合部の面積が、前記接合面の面積の10%〜70%であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記接合面の形状が、長方形であることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記長方形の長辺の長さが短辺の長さの1.5倍〜10倍であることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1のバンプの接合面と前記第2のバンプの接合面とが長辺方向が直交するように接合されていることを特徴とする請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1のバンプの回転中心軸と前記第2のバンプの回転中心軸とが一致するように接合されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記半導体チップの外寸と、前記配線板の外寸とが、同じであることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法であって、
複数の前記半導体チップを含む半導体基板と、複数の前記配線板を含む配線基板と、を接合し接合基板を作製する接合工程と、
前記接合基板を切断し個片化する工程と、を具備することを特徴とする。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2013−41885(P2013−41885A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−176265(P2011−176265)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】