説明

半導体装置のベースパッドのレイアウト構造、及びそれを用いたヘテロ接合型バイポーラトランジスタの製造方法

【課題】 ベース・コレクタ寄生容量を低減するために、半導体装置のベースパッドのレイアウト構造を提供するとともに、それを利用した3段メサ構造のヘテロ接合型バイポーラトランジスタの製造方法を提供する。
【解決手段】 半導体基板111に対して、<01−1>方向または<011>方向に整列されたベース領域122cと、前記ベース領域122cに対して所定の角度で傾いたベースパッド領域122aと、<010>方向に整列されるとともに、前記ベース領域122cと前記ベースパッド領域122aとを連結するベースフィーディング領域122bとから成るベースパッドのレイアウト構造を、3段メサ構造のヘテロ接合型バイポーラトランジスタの製造時に利用して、ベース・コレクタ容量を低減すると同時に、トランジスタの高速化を実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベース・コレクタ寄生容量を低減するための半導体装置のベースパッドのレイアウト構造、及びそれを用いたヘテロ接合型バイポーラトランジスタの製造方法に関し、具体的には、簡単なベースパッドのレイアウト構造を利用して、3段メサ構造のヘテロ接合型バイポーラトランジスタの活性ベース領域とベースパッド領域をウェットエッチングによって分離して、ベースパッドに起因するベース・コレクタ容量を低減するヘテロ接合型バイポーラトランジスタの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インターネット利用者の爆発的な増加と、単純な写真やテキストファイルを扱う低容量データ伝送から動画ファイルを扱う高容量データ転送への急激なシフトに対応するため、近年、超高速広帯域ケーブル通信および無線通信の分野において全世界的な研究活動が行われている。
【0003】
超高速広帯域通信網には、ローカル・マルチポイント配信サービス無線通信(LMDS、28GHz帯)や光ファイバ通信(OC−768、40Gbps光ファイバ網)などがある。情報サービスの急速な需要増加に応えるためには、更に帯域を増やすことが必要であり、現在、100GHzを超える帯域の超高速広帯域通信網に関する研究が行われている。
【0004】
このような超高速広帯域通信網を構築するためには、その高周波帯域で動作する半導体素子の開発、小型化、高性能化が特に重要であり、そのため、超高速動作が可能な半導体素子の研究が盛んに行われている。
【0005】
特にヘテロ接合型バイポーラトランジスタ(以下HBTと略す)は、超高速広帯域通信網でデータを送受信するために使用される超高周波半導体素子として大きな注目を集めている。そして、更なる高速動作を図るために、その素子の寄生成分を低減する研究が集中的に行われている。また、HBTの高速性能はベース・コレクタ容量によって制限されることが知られている。そのため、高速動作を改善することを目指して、ベース・コレクタ容量を減らす研究報告がこれまで数多くなされている。
【0006】
HBTの最高動作周波数fmaxは、ベース抵抗RBと、ベース・コレクタ容量CBCと、電流利得遮断周波数fTを使用して、以下の数式で近似的に表せる。
【0007】
【数1】

【0008】
上記数式より、HBTの動作速度はベース・コレクタ容量の減少に伴って上昇することが分かる。
【0009】
上記ベース・コレクタ容量は、活性ベース領域による容量と、連結ビア用のベースパッドによる容量とに大きく分けることができる。活性ベース領域は、最近の素子製造技術の向上によって、活性領域の縮小化に比例して小さくなってきている。しかしながら、ビアプロセスが複雑であるために、ベースパッドの縮小化は実現が難しいのが現状である。
【0010】
こうしたことを反映して、最新の技術では、ベース領域とベースパッド領域の大きさをほとんど同じにすることができるようになってきている。すなわち、素子の小型化によって、ベース領域とベースパッド領域それぞれの寄生容量の大きさはほぼ同じになってきているが、ベース・コレクタ容量を低減させる意味で、ベースパッド領域の容量を更に低減させることは極めて重要なことである。
【0011】
上記HBTのベースパッド領域のベース・コレクタ容量を減らすために、従来技術として、特許文献1や特許文献2に開示されている技術がある。特許文献1や特許文献2は、ベース・コレクタ容量を低減させるために、イオン注入法やエピタキシャル再生法を採用する技術を開示している。
【0012】
また、これらとは異なるが、新二重ポリイミド平坦化法を使用したInP/InGaAs(インジウムリン/インジウムガリウムヒ素)HBTのベース・コレクタ容量を低減化させる方法が、非特許文献1に紹介されている。
【0013】
【特許文献1】米国特許第4380774号明細書
【特許文献2】米国特許第5672522号明細書
【非特許文献1】ヒュンコル・シン(Hyunchol Shin)、ガスラー・C(Gaesler C.)、ライアー・H(Leier H.)著、「新二重ポリイミド平坦化法を使用したInP/InGaAsのHBTのベース・コレクタ容量低減化(Reduction of base-collector capacitance in InP/InGaAs HBT's using a novel double polyimide planarization process)」、IEEEエレクトロン・デバイス・レターズ(IEEE Electron Device Letters)、米国、IEEE Electron Devices Society、1998年8月、第19巻第8版、p.297−299
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかし、特許文献1や特許文献2に開示されている技術は、ベース・コレクタ容量を低減させるためにイオン注入によるエピタキシャル再生法を使用している。そのため、イオン注入装置などの高価な装置を要し、信頼性と再現性の問題が付きまとうエピタキシャル再生工程を要する。また、非特許文献1に紹介されている方法は、工程技術が非常に複雑で、HBT素子を損傷させる可能性のある反応性イオンエッチング工程を要する。
【0015】
本発明は、斯かる問題を解決するためになされたものであり、ベース・コレクタ寄生容量が低減可能な半導体装置のベースパッドのレイアウト構造を提供するとともに、それを用いて、3段メサ構造のヘテロ接合型バイポーラトランジスタの活性ベース領域とベースパッド領域をウェットエッチングによって分離して、ベースパッドに起因するベース・コレクタ容量を低減するヘテロ接合型バイポーラトランジスタの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、本発明では半導体装置のベースパッドのレイアウト構造と、それを用いたヘテロ接合型バイポーラトランジスタの製造方法を次のように構成した。
【0017】
ベース・コレクタ寄生容量を低減するために、本発明に係わる半導体装置のベースパッドのレイアウト構造は、半導体基板に対して結晶格子方向が<01−1>方向または<011>方向に整列されたベース領域と、前記ベース領域に対して所定の角度で傾いたベースパッド領域と、半導体基板に対して結晶格子方向が<010>方向に整列されるとともに、前記ベース領域と前記ベースパッド領域とを連結するベースフィーディング領域とから成る。
【0018】
また、本発明に係わる半導体装置のベースパッドのレイアウト構造は、半導体基板に半導体層を積層して形成されたベース領域と、前記ベース領域に対して所定の角度で傾いたベースパッド領域と、前記ベース領域と前記ベースパッド領域とを連結するベースフィーディング領域とから構成され、前記ベースフィーディング領域を構成するベースフィーディングのメタル層と前記半導体基板との間は空洞が形成され、前記ベースパッド領域を構成する半導体層と前記ベース領域を構成する半導体層とは電気的に分離されることによって、前記ベースパッド領域を、ベース・コレクタ寄生容量に寄与させないことを特徴とする。
【0019】
更に、本発明に係わる3段メサ構造のヘテロ接合型バイポーラトランジスタの製造方法は、半導体基板に対して結晶格子方向が<01−1>方向または<011>方向に整列されたベース領域と、前記ベース領域に対して所定の角度で傾いたベースパッド領域と、半導体基板に対して結晶格子方向が<010>方向に整列されるとともに、前記ベース領域と前記ベースパッド領域とを連結するベースフィーディング領域とから構成されるようにベースパッドのレイアウトパターンを形成する第1工程と、InP半絶縁性基板上に、InGaAsサブコレクタ層と、InPエッチング停止層と、InGaAsベース・コレクタ層と、InPエミッタ層と、InGaAsエミッタキャップ層を、エピタキシャル成長法で順次積層する第2工程と、前記第2工程によって積層された積層構造物上に、エミッタメタルを蒸着し、ベースメタル層が前記ベースパッドのレイアウトパターンのように自己整合するようにInGaAsエミッタキャップ層とInPエミッタ層を順次エッチングしてInGaAsベース・コレクタ層の上部面を露出させた後に、前記ベースパッドのレイアウトパターンに沿ってベースメタル層を蒸着する第3工程と、エミッタ領域を保護するための第1フォトレジストを前記ベース領域と前記ベースフィーディング領域の一部に形成する第4工程と、前記第1フォトレジストと前記ベースメタル層をマスクし、前記InGaAsベース・コレクタ層と前記InPエッチング停止層をエッチングして前記サブコレクタ層の上面を露出させるとともに、サイドエッチングを用いて前記ベースフィーディング領域の下部に空洞部分を形成する第5工程と、前記InGaAsサブコレクタ層の上にコレクタメタルを蒸着する第6工程と、前記エミッタ領域、及び、前記ベース領域の下部を保護するように第2フォトレジストを形成した後、前記ベースフィーディング領域の下部の前記InGaAsサブコレクタ層をサイドエッチングすることによって、前記ベースパッド領域と前記ベース領域を分離してから前記第2フォトレジストを除去する第7工程とによって構成される構成される。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係わる半導体装置のベースパッドのレイアウト構造によると、その構造が簡単であるため、InP層/InGaAs層からなるヘテロ接合型バイポーラトランジスタのみならず、ヘテロ接合電界効果トランジスタや、受光ダイオードや、受光増幅トランジスタなどのメサ構造からなる半導体装置に幅広く応用が可能で、簡単にベース・コレクタ容量を低減でき、その結果、半導体装置の動作速度を上げることが可能になる。
【0021】
また、本発明に係わる半導体装置のベースパッドのレイアウト構造によると、ベースフィーディング領域は空洞が形成されると同時に、ベースパッド領域の半導体層とベース領域の半導体層とは電気的に分離されているため、ベースパッド領域に起因する寄生容量がベース・コレクタ寄生容量に付加されず、簡単な構造で半導体装置の動作速度を上げることが可能になる。
【0022】
本発明に係わるテロ接合型バイポーラトランジスタによれば、その製造方法において、追加工程が不要で、既存工程をそのまま活用して開発費および製造設備費を抑制するとともに、開発・製造準備期間の大幅な短縮が可能になり、従来の技術では、技術的、経済的に課題があったヘテロ接合型バイポーラトランジスタの高速動作化を容易に実現することができるという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の詳細を添付図に基づいて説明する。なお、説明の便宜上、シングルHBTの実施形態に関して説明するが、本発明は、シングルHBT及びダブルHBTのいずれにも適用することが可能である。
【0024】
図1は、図3(a)に示すベースメタル層122を形成するためのパターンとしてのベースパッドのレイアウトを平面視したもので、(a)はベース領域が<01−1>方向に整列された例で、(b)はベース領域が<011>方向に整列された例である。尚、本願明細書において、例えば、<01−1>のように数字を< >で囲んだ表示は結晶方向を表し、数字の直前に付した“−”記号は、その数字が負の方向であることを示す。
【0025】
ベースパッドのレイアウトは、半導体基板に対して<01−1>方向、または<011>方向に整列されたベース領域122cと、該ベース領域122cに対して一定角度(45°)で傾いた正方形あるいは長方形からなる方形のベースパッド領域122aと、<010>方向に整列されてベース領域122cとベースパッド領域122aとを連結するベースフィーディング領域122bとからなる。
【0026】
本発明の特徴は、ベース領域122cとベースパッド領域122aとを分離させて、これら2つの領域をベースフィーディング領域122bで連結してベースパッドのレイアウトを構成することである。本発明は、そのため、ベースパッド領域を従来のベース領域の延長部分とする従来技術とは異なっている。
【0027】
ちなみに、図6に示される構造は、ベースパッド領域122aとベース領域122cの間に、ベースフィーディング領域122bの下部をサイドエッチングすることによって空洞部分を形成したものである。このようなベースパッドのレイアウト構造は、InP層とInGaAs層をウェットエッチングするときには、<010>方向のほうが<01−1>方向あるいは<011>方向よりエッチング速度が速いこと、また、InP層をウェットエッチングするときには、<011>方向のサイドエッチングがほとんど起こらないということに基づいている。
【0028】
上記したレイアウト構造を使用すると、図5(b)に示すように、InP半絶縁性半導体基板111を除く全てのエピタキシャル構造がエッチングで形成可能で、ベース・コレクタ容量を低減させることができる。ベース領域122cとベースパッド領域122aを分離すると、ベースパッドによる寄生容量を、HBTのベース・コレクタ容量から電気的に隔離することが可能になる。ベースパッド領域122aの下部にあるInP領域とInGaAs領域は、電気的には何も貢献をせず、単純にベースパッド領域122aを支持する支柱の役割を果たすため、ベースパッドに起因するベース・コレクタ容量は著しく減少するようになる。
【0029】
図2は、本発明に係わるInP/InGaAsのシングルHBT或いはダブルHBTの製造に必要な一般的な積層構造を示す断面図である。
【0030】
MOCVD(有機金属気相成長法)やMBE(分子線エピタキシ法)などのエピタキシャル成長法を使用することによって、InP半絶縁性基板111上に、InGaAsサブコレクタ層116と、InPエッチング停止層115と、InGaAsベース・コレクタ層114と、InPエミッタ層113と、InGaAsエミッタキャップ層112を順次積層する。
【0031】
図3〜図5は、本発明により製造されるHBT素子の各工程における断面図を示している。本発明によるHBT素子の製造方法は、図2に示す積層構造上に、図3(a)に示すように、<01−1>または<011>方向に整列したエミッタメタル層121を蒸着する工程と、ベースメタル層122が上記のベースパッドのレイアウトに基づいてベース自己整合するように、InGaAsエミッタキャップ層112とInPエミッタ層113を順にエッチングする工程と、InGaAsベース・コレクタ層114の上部に各領域122a、122b、122cからなるベースパッドのレイアウトパターンのベースメタル層122を蒸着する工程とからなる。
【0032】
その後、図3(b)に示すように、フォトレジストパターン131をベースフィーディング領域122bとベース領域122cの一部の上に、エミッタ領域を保護するために形成する。引き続き、図4(a)に示すように、フォトレジストパターン131とベースメタル層122をエッチングマスクすることによって、InAsGsベース・コレクタ層114とInPエッチング停止層115を順次エッチングしていく。そうすると、InGaAsサブコレクタ層116の上部が露出する。
【0033】
この工程では、結晶格子方向によってエッチング速度が異なる異方性エッチング特性を利用してベースフィーディング領域の下部分をサイドエッチングすることによって、ベースパッド領域とベース領域が分離される。この工程において、InGaAsベース・コレクタ層114をエッチングする場合、使用されるエッチング液はH3PO4:H202:H20である。
【0034】
エッチング液H3P04:H202:H20に対して、InGaAsベース・コレクタ層114の下方のInPエッチング停止層115は選択性が高く、InPエッチング停止層115はほとんどエッチングされない。一方、InPエッチング停止層115をエッチングする場合は、エッチング液HC1:H3PO4を用いる。エッチング液HC1:H3PO4に対して、InPエッチング停止層115の下方のInGaAsサブコレクタ層116は選択性が高く、ほとんどエッチングされない。すなわち、InGaAsサブコレクタ層116とInPエッチング停止層115はそれぞれ上記のエッチング液を用いて選択的にエッチングが可能であり、また、多少のオーバエッチングでは大きな問題にはならない。
【0035】
上記の工程で、ベースフィーディング領域(図4(a)に示す左側のベースメタル層122下方の空洞部分)は<010>方向に整列しているため、エッチングが急速に進行して空洞部分が形成される。この時、エッチング速度は、エッチング液の種類と、濃度と、温度によって決定される。
【0036】
その後、図4(b)に示すように、InGaAsサブコレクタ層116の上にコレクタメタル層123を蒸着する。
【0037】
引き続き、図5(a)に示すように、エミッタ領域と、ベース領域の下部を保護するために、ベースパッド領域122aを除く全領域に保護用のフォトレジストパターン132を形成して、左側のベースメタル層122下方の空洞部分のInGaAsサブコレクタ層116をエッチングする。この工程では、結晶格子方向によってエッチング速度が異なる異方性エッチング特性を利用してベースフィーディング領域の下方をサイドエッチングすることによって、ベースパッド領域とベース領域を分離する。
【0038】
この時、エッチング液は、InGaAsベース・コレクタ層114をエッチングする時に使用したH3PO4:H202:H20を使用する。エッチング液H3P04:H202:H20に対して、下のInP半絶縁性基板111及びInPエッチング停止層115は選択性が高く、InPエッチング停止層115はほとんどエッチングされない。この時、エッチング速度は、エッチング液の種類と、濃度と、温度によって決定される。
【0039】
上記の工程によって、InP半絶縁性基板111を除くベースフィーディング領域122bの下部(空洞部分が形成される部分)の全領域をエッチングすることによって、ベース・コレクタ容量を低減させることが可能になる。更に、ベース領域とベースパッド領域を分離することによって、寄生容量も電気的に隔離することができる。
【0040】
また、ベースパッド領域の下方のInP層とInGaAs層は、電気的には何も貢献をせず、単純にベースパッド領域を支持する支柱の役割を果たすため、ベースパッドに起因するベース・コレクタ容量は著しく減少するようになる。
【0041】
次に、図5(b)に示すように、最後にフォトレジストパターン132を除去することによって、最終的なHBT構造が完成する。シングルHBTのベース・コレクタ層に使用されるInGaAsベース・コレクタ層114は、ダブルHBTの場合はベース層となる。シングルHBTのエッチング停止層に使用されるInP層115は、ダブルHBTの場合はコレクタ層となる。
【0042】
図6は、図2〜図5に示す工程を経た後の最終的なHBT構造の斜視図である。図7は、図2〜図5に示す工程を経た後の最終的なHBT構造の電子顕微鏡写真である。図6と図7は、本発明によって実現される最終なHBT構造を示している。
【0043】
以上説明したように、ベースパッドに起因するベース・コレクタ容量は、簡単なベースパッドのレイアウト構造と、活性ベース領域とベースパッド領域とを分離させるウェットエッチングとによって、低減させることが可能になる。
【0044】
また、本発明では3段メサ構造のHBTを製造するために、ベースパッドのレイアウトを若干変更して、従来のウェットエッチング法を使用するため、追加工程が不要である。
【0045】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、発明の主旨を逸脱しない範囲でさらに種々の変更を加えて実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に係わるベースパッドのレイアウト構造を平面視したもので、(a)はベース領域が<01−1>方向に整列された例で、(b)はベース領域が<011>方向に整列された例である。
【図2】本発明に係わるHBT素子の標準的な積層構造を示す。
【図3】本発明に係わるHBT素子の一つの工程における断面図である。
【図4】本発明に係わるHBT素子の一つの工程における断面図である。
【図5】本発明に係わるHBT素子の一つの工程における断面図である。
【図6】本発明に係わるHBT素子の最終構造の斜視図である。
【図7】本発明に係わるHBT素子の最終構造の電子顕微鏡写真である。
【符号の説明】
【0047】
111 半絶縁性半導体基板
112 エミッタキャップ層
113 エミッタ層
114 ベース・コレクタ層
115 エッチング停止層
116 サブコレクタ層
121 エミッタメタル層
122 ベースメタル層
122a ベースパッド領域
122b ベースフィーディング領域
122c ベース領域
123 コレクタメタル層
131、132 フォトレジストパターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板に対して結晶格子方向が<01−1>方向または<011>方向に整列されたベース領域と、前記ベース領域に対して所定の角度で傾いたベースパッド領域と、半導体基板に対して結晶格子方向が<010>方向に整列されるとともに、前記ベース領域と前記ベースパッド領域とを連結するベースフィーディング領域とから成って、ベース・コレクタ寄生容量を低減することを特徴とする半導体装置のベースパッドのレイアウト構造。
【請求項2】
半導体基板に半導体層を積層して形成されたベース領域と、前記ベース領域に対して所定の角度で傾いたベースパッド領域と、前記ベース領域と前記ベースパッド領域とを連結するベースフィーディング領域とから構成され、
前記ベースフィーディング領域を構成するベースフィーディングのメタル層と前記半導体基板との間は空洞が形成され、前記ベースパッド領域を構成する半導体層と前記ベース領域を構成する半導体層とは電気的に分離されることによって、前記ベースパッド領域を、ベース・コレクタ寄生容量に寄与させないことを特徴とする半導体装置のベースパッドのレイアウト構造。
【請求項3】
前記ベースパッド領域は、正方形あるいは長方形をなす方形であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体装置のベースパッドのレイアウト構造。
【請求項4】
3段メサ構造のヘテロ接合型バイポーラトランジスタの製造方法において、
InP半絶縁性基板に対して結晶格子方向が<01−1>方向または<011>方向に整列されたベース領域と、前記ベース領域に対して所定の角度で傾いたベースパッド領域と、前記InP半絶縁性基板に対して結晶格子方向が<010>方向に整列されるとともに、前記ベース領域と前記ベースパッド領域とを連結するベースフィーディング領域とから構成されるようにベースパッドのレイアウトパターンを形成する第1工程と、
前記InP半絶縁性基板上に、InGaAsサブコレクタ層と、InPエッチング停止層と、InGaAsベース・コレクタ層と、InPエミッタ層と、InGaAsエミッタキャップ層を、エピタキシャル成長法で順次積層する第2工程と、
前記第2工程によって積層された積層構造物上に、エミッタメタルを蒸着し、ベースメタル層が前記ベースパッドのレイアウトパターンのように自己整合するようにInGaAsエミッタキャップ層とInPエミッタ層を順次エッチングしてInGaAsベース・コレクタ層の上部面を露出させた後に、前記ベースパッドのレイアウトパターンに沿ってベースメタル層を蒸着する第3工程と、
エミッタ領域を保護するための第1フォトレジストを前記ベース領域と前記ベースフィーディング領域の一部に形成する第4工程と、
前記第1フォトレジストと前記ベースメタル層をマスクし、前記InGaAsベース・コレクタ層と前記InPエッチング停止層をエッチングして前記サブコレクタ層の上面を露出させるとともに、サイドエッチングを用いて前記ベースフィーディング領域の下部に空洞部分を形成する第5工程と、
前記InGaAsサブコレクタ層の上にコレクタメタルを蒸着する第6工程と、
前記エミッタ領域、及び、前記ベース領域の下部を保護するように第2フォトレジストを形成した後、前記ベースフィーディング領域の下部の前記InGaAsサブコレクタ層をサイドエッチングすることによって、前記ベースパッド領域と前記ベース領域を分離してから前記第2フォトレジストを除去する第7工程とによって構成されることを特徴とする3段メサ構造のヘテロ接合型バイポーラトランジスタの製造方法。
【請求項5】
前記第5工程及び前記第7工程で使用されるサイドエッチングは、結晶格子方向に応じてエッチング速度が異なる異方性エッチングを使用して前記ベースフィーディング領域の下部をエッチングすることを特徴とする請求項4に記載の3段メサ構造のヘテロ接合型バイポーラトランジスタの製造方法。
【請求項6】
前記第5工程及び前記第7工程で使用されるサイドエッチングは、InGaAsからなる層に対しては、H2PO4:H2O2:H2Oのエッチング液で、InPからなる層に対しては、HC1:H3PO4のエッチング液で行われることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の3段メサ構造のヘテロ接合型バイポーラトランジスタの製造方法。
【請求項7】
前記第5工程及び前記第7工程で使用されるサイドエッチングのエッチング速度は、エッチング液の種類、濃度、及び温度によって決定することを特徴とする請求項4乃至請求項6のいずれかに記載の3段メサ構造のヘテロ接合型バイポーラトランジスタの製造方法。
【請求項8】
前記第7工程の前記サイドエッチングは、前記InP半絶縁性基板を除いて、前記ベースフィーディング領域の下部に位置する前記積層構造物をエッチングで除去することにより、ベース・コレクタ寄生容量を低減することを特徴とする請求項4乃至請求項7のいずれかに記載の3段メサ構造のヘテロ接合型バイポーラトランジスタの製造方法。
【請求項9】
前記ヘテロ接合型バイポーラトランジスタがダブルヘテロ接合型バイポーラトランジスタの場合、前記InGaAsベース・コレクタ層はベース層となり、前記InPエッチング停止層はコレクタ層となることを特徴とする請求項4乃至請求項8のいずれかに記載の3段メサ構造のヘテロ接合型バイポーラトランジスタの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−310517(P2006−310517A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−130828(P2005−130828)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(592127149)韓国科学技術院 (129)
【Fターム(参考)】