説明

半導体装置の実装方法

【課題】低コストで、かつ、半導体装置の厚さを薄くできる、半導体の実装基板にチップを実装する半導体装置の実装方法を提供する。
【解決手段】先ず、実装基板220の半導体チップが実装される表面230に金属配線240が形成された当該実装基板を用意する。さらに、半導体チップ110の実装基板と対向する面111に形成された凹部85内に導電端子90が備えられる当該半導体チップを用意する。次に、金属配線と導電端子とを導電性接着剤240を介して接着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体装置の実装方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話等の電子機器の小型化に伴い、電子部品の小型化と高機能化が進み、限られた面積に多くの部品を実装する必要性が高まっている。現在は、表面実装技術を用いて部品を実装しているが、平面にしか部品を配置することができないため、小型化には限界が生じている。この解決策として、基板内に部品を埋め込むことなどが検討されている。
【0003】
このような部品の実装方法として、薄いチップ上に形成された部品(以下、単にチップと称することもある。)をビルドアップ層に埋め込むビルドアップ法(例えば、非特許文献1参照。)や、基板上にチップを半田接合で固定する半田バンプ法(例えば、非特許文献2参照。)がある。
【非特許文献1】春原昌宏、村山啓、東光敏著「部品内臓基板の開発」マイクロファブリケーション研究会 第4回研究成果報告会資料 85−88ページ
【非特許文献2】郡利明、倉澤千春、田中秀一、伊東春樹著「鉛フリー対応WaferLevelCSPの二次実装信頼性考察」マイクロファブリケーション研究会 第4回研究成果報告会資料 101−104ページ
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、非特許文献1のビルドアップ法では、チップをビルドアップ層に埋め込んだ後に、チップとの電気的接続を取るための工程を行うために、コストが高くなる。
【0005】
また、非特許文献2の半田バンプ法では、半田の接着強度の点から半田バンプの径が50μm程度必要になり、実装後の半導体装置が全体的に厚くなってしまう。
【0006】
この発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、この発明の目的は、低コストで、かつ、半導体装置の厚さを薄くできる、半導体の実装基板にチップを実装する半導体装置の実装方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するために、この発明の半導体チップを半導体基板上に実装する半導体装置の実装方法は、以下の過程を含んでいる。先ず、実装基板の半導体チップが実装される表面に金属配線が形成された当該実装基板を用意する。さらに、半導体チップの実装基板と対向する面に形成された凹部内に導電端子が備えられる当該半導体チップを用意する。次に、金属配線と導電端子とを導電性接着剤を介して接着する。
【発明の効果】
【0008】
この発明の半導体装置の実装方法によれば、半導体チップの導電端子が凹部内に設けられていて、半導体基板と半導体チップとを導電性接着剤を介して接着する。導電性接着剤を用いて接着する場合、半田で接続するときに必要な50μm程度のバンプが不要となる。従って、ビルドアップ法に比べて低コストで、しかも、半田バンプ法に比べて薄く実装することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図を参照して、この発明の実施の形態について説明するが、構成および配置関係についてはこの発明が理解できる程度に概略的に示したものに過ぎない。また、以下、この発明の好適な構成例につき説明するが、各構成の組成(材質)および数値的条件などは、単なる好適例にすぎない。従って、この発明は以下の実施の形態に限定されない。
【0010】
(コンデンサチップの製造方法)
図1〜3を参照して、半導体チップの一例として高誘電体キャパシタを形成したコンデンサチップの製造方法について説明する。図1〜3は、コンデンサチップの製造方法を説明するための工程図である。
【0011】
先ず、シリコン基板10に対して950℃のウェット酸化を行うことにより、100nm厚のプロテクト酸化膜20を形成する(図1(A))。
【0012】
次に、プロテクト酸化膜20の表面20a上に、密着層32を、例えば、反応性スパッタリングにより、酸化タンタル(TaOx)で50nmの厚さに形成する。この密着層32は、プロテクト酸化膜20と後述する高誘電体キャパシタの下部電極とを密着させるために形成される層である。下部電極に白金を用いた場合、白金は反応性が低いので密着層32がないと、後の工程で剥離する可能性がある。密着層32上に第1導電体層34を、例えば、スパッタリングにより白金(Pt)で150nmの厚さに形成する。さらに、第1導電体層34上に、高誘電体層36を、スピンコートによる塗布及び熱処理により、100nmの厚さに形成する。
【0013】
ここでは、高誘電体層36の形成にBaxSr1-xTiO3(x=0.6)形成用ゾル−ゲル塗布液(以下、単に塗布液と称することもある。)を用いる。任意好適な公知のスピンコータを用いて、第1導電体層34上に、1分当たり500回転の回転速度で1秒間、塗布液を回転塗布し、その後、1分当たり2000回転の回転速度で30秒間、塗布液を回転塗布する。次いで、600℃の温度で30分間仮焼成を行う。上述の塗布液の塗布から仮焼成までの工程を3回繰り返した後、高誘電体層36の結晶性を高めるために750℃の酸素雰囲気中で60分間熱処理を行う。なお、BaxSr1-xTiO3(x=0.6)形成用ゾル−ゲル塗布液の合成方法については公知であり、ここでは説明を省略する。
【0014】
続いて、この高誘電体層36上に、第2導電体層38を、第1導電体層34と同様に、例えば、スパッタリングにより白金(Pt)で200nmの厚さに形成する(図1(B))。
【0015】
次に、任意好適な公知のフォトリソグラフィ及びドライエッチングにより、第2導電体層38を加工して、上部電極48を形成する。上部電極48の形成後、ドライエッチング用マスクとして形成され、ドライエッチング後に残存するフォトレジストをアッシングにより除去する(図1(C))。
【0016】
さらに、任意好適な公知のフォトリソグラフィ及びドライエッチングにより、高誘電体層36及び第1導電体層34を順次に加工して、高誘電体薄膜46及び下部電極44をそれぞれ形成する。この加工は、同一のエッチング処理で行う。従って、下部電極44は、高誘電体薄膜46をマスクとして自己整合的に形成される。このようにして、上部電極48、高誘電体薄膜46及び下部電極44で構成される高誘電体キャパシタ49を得る。その後、ドライエッチング用マスクとして形成され、ドライエッチング後に残存するフォトレジストをアッシングにより除去する(図1(D))。
【0017】
次に、任意好適な公知のフォトリソグラフィ及びドライエッチングにより、高誘電体開口部50を形成する。この高誘電体開口部50は、上部電極48から外れた領域に形成される。ドライエッチング用マスクとして形成され、ドライエッチング後に残存するフォトレジストをアッシングにより除去した後、高誘電体キャパシタのエッチングによるダメージを回復するために、750℃の酸素雰囲気中で30分間のアニールを行う(図2(A))。尚、図2(A)中、シリコン基板10の上側に、プロテクト酸化膜20と、密着層32と、高誘電体キャパシタ49とを有している構造体を第1構造体100として示す。
【0018】
図2(A)に示すように、高誘電体キャパシタ49は、上部電極48の面積が、下部電極44及び高誘電体薄膜46の面積よりも小さくなるように形成されている。高誘電体薄膜46の露出している面の付近は、エッチングによりダメージを受けている。従って、上部電極48を下部電極44及び高誘電体薄膜46よりも小さくすることにより、ダメージを受けている部分をキャパシタとして使用しないこととして、キャパシタの信頼性を高める。
【0019】
次に、高誘電体キャパシタ49を埋め込むように、第1構造体100上に、第1層間絶縁膜60を形成する。この第1層間絶縁膜60は、例えば、TEOS(tetraethylorthosilicate)を用いたプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法により、シリコン酸化膜で300nmの厚さに形成される(図2(B))。
【0020】
次に、高誘電体キャパシタ49の上部電極48及び下部電極44とコンデンサチップの外部回路とを電気的に接続するために、フォトリソグラフィ及びドライエッチングにより、第1層間絶縁膜60にコンタクト用のコンタクト用開口部52をそれぞれ設ける。その後、ドライエッチング用マスクとして形成され、ドライエッチング後に残存するフォトレジストをアッシングにより取り除く(図2(C))。
【0021】
次に、この高誘電体薄膜46に対して700℃の酸素雰囲気中で30分間の回復アニールを行って、第1層間絶縁膜60及びコンタクト用開口部52の形成時に与えられたダメージから、高誘電体薄膜46の結晶性を回復させる。
【0022】
次に、TiN膜(図示を省略する。)をスパッタリング法でそれぞれ75nmの厚さを有する2つの層で形成する。続いて、スパッタリング法でアルミニウム膜(図示を省略する。)を500nmの厚さで形成する。その後、フォトリソグラフィ及びドライエッチングによりアルミニウム膜及びTiN膜を加工して、アルミニウム(Al)電極70及びTiNバリア膜65を形成する。Al電極70を形成するアルミニウムと、上部電極48及び下部電極44を形成する白金とは、熱処理で反応するので、その反応を防ぐためにTiNバリア膜65を設けている(図3(A))。
【0023】
次に、第1層間絶縁膜60上に、バリア膜75を、例えば、反応性スパッタリングにより、酸化タンタル(TaOx)で50nmの厚さに形成する。このバリア膜75は、水素等の還元性ガスが高誘電体キャパシタ49にダメージを与えるのを防ぐために設けられる膜である。その後、バリア膜75の上にパッシベーション膜80を形成する。パッシベーション膜80として任意好適な公知のCVD法によりシリコン窒化膜を850nm堆積する。その後、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法などで、平坦化しても良い(図3(B))。
【0024】
次に、フォトリソグラフィ及びドライエッチングにより、端子用開口部85を設けて、Al電極70を露出させる。その後、端子用開口部85の底部及び側壁部にTaNバリア膜87を反応性スパッタリングにより形成する。続いて、銅膜(図示を省略する。)をスパッタ法で形成し、フォトリソグラフィ及びドライエッチングにより、端子用開口部85の底部以外の銅を除去し、残存する部分を導電端子90とする。その後、ドライエッチング用マスクとして形成され、エッチング後に残存するフォトレジストをアッシングにより取り除く(図3(C))。
【0025】
次に、シリコン基板10に対して任意好適な公知の機械研磨を行うことにより、全体の厚さを100μm以下、望ましくは50μm以下に薄化して、コンデンサチップ110とする。
【0026】
(第1実施形態)
図4を参照して、第1実施形態の、半導体チップを半導体の実装基板上に実装する、半導体装置の実装方法について説明する。図4(A)及び図4(B)は、第1実施形態の半導体装置の実装方法を説明するための図である。図4(A)は、実装前の状態を示す図であり、図4(B)は、実装後の状態を示す図である。ここでは、半導体チップとして図1〜3を参照して製造方法を説明したコンデンサチップを用いる例について説明する。なお、以下の説明では、必要な場合を除き、コンデンサチップの詳細な構造の説明及び図示を省略する。
【0027】
先ず、実装基板220のコンデンサチップが実装される表面(以下、単に実装面と称することもある。)221に金属配線230が形成された実装基板220を用意する。さらに、コンデンサチップ110の実装基板と対向する面111に形成された凹部である端子用開口部85内に導電端子90が備えられるコンデンサチップ110を用意する。次に、実装基板220に形成された金属配線230とコンデンサチップ110に形成された導電端子90とを導電性接着剤を介して接着する。この導電性接着剤による接着により、実装基板220とコンデンサチップ110とが接合される。
【0028】
以下、導電性接着剤による接着について説明する。実装基板220の実装面221に形成された金属配線230上に導電性接着剤240を塗布する。導電性接着剤としては任意好適な公知のものを用いることができ、ここでは、エポキシ樹脂に、導電性粒子として、銀をコーティングした銅粒子(平均粒径7μm)を配合させたものを用いる。このタイプの導電性接着剤は、無溶剤タイプで硬化収縮が小さいという特徴を有している。この導電性接着剤のガラス転移温度は約136℃である。
【0029】
実装基板220の実装面221に形成された金属配線230の、コンデンサチップ110の実装基板220と対抗する面111に形成された凹部である端子用開口部85内に備えられる導電端子90に対応する領域部分上に、導電性接着剤240の必要量を塗布する。
【0030】
その後、70℃で30分程度加熱し、導電性接着剤を仮硬化させる。仮硬化により、エポキシ樹脂の粘度が上がり、コンデンサチップチップ110と実装基板220の間のスリップが防止される。
【0031】
その後、コンデンサチップ110を実装基板220の実装面221上に設置し、適度な加圧下で150℃で30分間加熱し硬化する。
【0032】
第1実施形態では、接続に導電性接着剤を用いており、導電性接着剤が、コンデンサチップの凹部、すなわち、端子用開口部85内に入ってコンデンサチップ110と実装基板220とを接続する。接続に半田を用いる場合は、接着強度を確保するため径が50μm程度の半田バンプが必要である。これに対し、導電性接着剤を用いる場合は、導電性接着剤が端子用開口部内に収まる程度の量で良く、従って、導電性接着剤の厚さを考慮する必要がなく、半導体チップの厚さの分の追加で半導体チップが実装できる。
【0033】
(第1実施例)
図5を参照して、第1実施形態の第1実施例について説明する。図5は、第1実施形態の第1実施例で用いるコンデンサチップを説明するための概略図である。図5(A)は、コンデンサチップ112の、実装基板と対向する面113から見た平面図である。図5(B)は、図5(A)のB−B線に沿った面で切った概略断面図である。図5(C)は、コンデンサチップ112を側面から見た概略図である。
【0034】
第1実施例は、凹部である端子用開口部86が、スリット86aを備えている点が第1実施形態と異なる。このスリット86aを備えることで、導電性接着剤は、コンデンサチップ112の端子用開口部86に入り込みやすくなり、接続の信頼性が高まる。また、余分な導電性接着剤が、スリット86aを経て、隣接する導電端子91とは反対側に排出される。従って、隣接する導電端子91間で導電性接着剤による短絡が生じることを、防ぐことができる。
【0035】
なお、スリット86aは、図3(C)を参照して説明した、端子用開口部85を形成するのと同じ工程で行うことができる。この場合、フォトリソグラフィによって、スリット86aに対応する部分が露出するドライエッチング用マスクをフォトレジストで形成すれば良い。
【0036】
(第2実施例)
図6を参照して、第2実施例について説明する。第1実施形態では、半導体基板の配線上に導電性接着剤を塗布したが、第2実施例では、コンデンサチップ110の端子用開口部85内に導電性接着剤241を注入した後、接着を行う。
【0037】
上述の第1実施形態及び各実施例では、導電性接着剤として、エポキシ樹脂に、導電性粒子である、銀をコーティングした銅粒子(平均粒径7μm)を配合させたものを用いた例について説明した。これに対し、導電性接着剤として、導電性粒子である、銀のナノ粒子を用いたナノペーストを用いても良い。この場合、ピエゾ方式のインクジェット技術を用いて接着箇所に導電性接着剤を塗布する。
【0038】
導電性接着剤としてナノペーストを用いると、銀をコーティングした銅粒子が導電性粒子として配合された導電性接着剤よりも、抵抗値を低くすることができる。特に、半導体チップとしてコンデンサチップを用いる場合は、接続抵抗が低くなることで、キャパシタの高周波特性が向上する。
【0039】
(第2実施形態)
図7及び図8を参照して第2実施形態の半導体装置の実装方法について説明する。
【0040】
第2実施形態は、実装基板上にスペーサを形成する点が第1実施形態と異なる。
【0041】
図7及び図8は、第2実施形態の半導体装置の実装方法を説明するための図である。図7は、スペーサを形成するまでの工程を示す図であり、図8(A)は、実装前の状態を示す図であり、さらに、図8(B)は、実装後の状態を示す図である。
【0042】
先ず、図4を参照して説明したのと同様の実装基板を用意する。実装基板220の実装面221には、金属配線230が形成されている(図7(A))。
【0043】
実装基板220の実装面221上に、例えば、感光性樹脂であるポリイミド樹脂をスピン塗布して、樹脂膜250を形成する(図7(B))。
【0044】
次に、樹脂膜250の材料としてポリイミド樹脂を用いる場合、樹脂膜250を、露光、現像して、実装領域225に実装用開口部252を形成することで、スペーサ254とする(図7(C))。ポリイミド樹脂の塗布、露光、現像など、スペーサ254を形成する工程については、任意好適な公知のものを用いることができ、ここでは詳細な説明を省略する。ここで、スペーサ254の厚さは、実装基板220上に、実装するコンデンサチップ110と同じ厚さにする。
【0045】
実装基板220上にスペーサ254を形成した後、導電性接着剤240を用いてコンデンサチップ110を接合する(図8(A)及び(B))。半導体チップを接合する過程については、第1実施形態と同様なので詳細な説明を省略する。
【0046】
第2実施形態では、実装基板上にスペーサを形成した後に、コンデンサチップを実装するので、半導体チップの接合場所の位置の精度を良くすることができる。また、スペーサの厚さを実装する半導体チップの厚さと同程度に形成することにより、半導体チップの実装による段差が生じないので、その後の工程での、積層化の際に平坦化などの工程が不要になる。
【0047】
(第3実施形態)
図9を参照して第3実施形態の実装方法について説明する。図9(A)及び図9(B)は、第3実施形態の半導体装置の実装方法を説明するための図である。図9(A)は、実装前の状態を示す図であり、図9(B)は、実装後の状態を示す図である。第3実施形態では、実装基板の表面に配線を埋め込んで形成している平滑基板を用いている。実装基板である平滑基板を用意する工程については、従来公知であり、例えば、実装基板の表面221にエッチングにより溝を形成し、当該溝を埋め込むように金属配線231を設ければよい。
【0048】
実装基板として平滑基板を用いて、平滑基板222の上にコンデンサチップ110を実装すると、コンデンサチップ110が平滑基板222に密着する。
【0049】
一般に金属配線は、基板表面から金属厚分だけ高くなっていて、コンデンサチップ110を実装した場合に、コンデンサチップ110及び実装基板間に空隙ができる場合がある。空隙があると、コンデンサチップ110に機械的な負荷がかかった場合に、コンデンサチップ110が破損するおそれがある。このコンデンサチップ110の破損を防ぐために、コンデンサチップ110と実装基板の間に樹脂等を充填し硬化させるアンダーフィルなどの処置が必要な場合もある。
【0050】
これに対し、第3実施形態では、実装基板として平滑基板を用いているので、コンデンサチップ110及び実装基板間に空隙が生じない。従って、コンデンサチップ110に機械的な負荷がかかった場合の破損を防ぐことができる。
【0051】
(抵抗体チップの製造方法)
図10〜12を参照して、半導体チップの一例として抵抗体を形成した抵抗体チップの製造方法について説明する。図10及び図11は、抵抗体チップの製造方法を説明するための工程図であり、図12は、抵抗体チップの製造方法を説明するための概略的平面図である。
【0052】
先ず、シリコン基板10に対して、950℃のウェット酸化を行うことにより、100nm厚のプロテクト酸化膜20を形成する(図10(A))。
【0053】
次に、プロテクト酸化膜20の表面20a上に、ポリシリコン層130を形成する。このポリシリコン層130は、原料ガスとしてモノシラン(SiH4)ガスを用いたCVD法により、150〜200nmの厚さに形成される(図10(B))。さらに、このポリシリコン層130に、リン(P)又はホウ素(B)などをイオン注入することで、電気伝導性を与える。
【0054】
なお、原料ガスとしてSiH4ガスとホスフィン(PH3)ガスの混合ガスを用いたCVD法により、ポリシリコン層130として不純物としてリンがドープされたポリシリコンを成膜しても良い。この場合、上述のイオン注入の過程は不要となる。
【0055】
次に、このポリシリコン層130を、任意好適な公知のフォトリソグラフィ及びドライエッチングにより加工して、抵抗体132を形成する(図10(C))。
【0056】
図12は、図10(C)を参照して説明した、プロテクト酸化膜20の表面20a上に抵抗体132が形成された状態を示す平面図である。図12は、長方形状に4つの抵抗体132を備える構成を示している。1つの抵抗体チップに形成する抵抗体の個数は、この例に限定されるものではなく、1又は2以上の設定に応じた任意の個数とすることができる。また、抵抗体132の形状は、長方形状に限られず、設定に応じた任意好適な形状とすることができる。
【0057】
次に、抵抗体132を埋め込むように、抵抗体132及びプロテクト酸化膜20上に、第1層間絶縁膜61を形成する。この第1層間絶縁膜61は、例えば、TEOSを用いたプラズマCVD法により、シリコン酸化膜で300nmの厚さに形成される(図10(D))。
【0058】
次に、抵抗体132と抵抗体チップの外部回路とを電気的に接続するために、フォトリソグラフィ及びドライエッチングにより、第1層間絶縁膜61にコンタクト用開口部53を設ける。その後、ドライエッチング用マスクとして形成され、ドライエッチング後に残存するフォトレジストをアッシングにより取り除く(図10(E))。
【0059】
次に、スパッタリング法でアルミニウム膜(図示を省略する。)を500nmの厚さで形成する。その後、フォトリソグラフィ及びドライエッチングによりアルミニウム膜を加工して、アルミニウム(Al)電極71を形成する(図11(A))。
【0060】
次に、第1層間絶縁膜61及びAl電極71上に、パッシベーション膜81を形成する。パッシベーション膜81として任意好適な公知のCVD法によりシリコン窒化膜を850nm堆積する。その後、CMP法などで、平坦化しても良い。その後、フォトリソグラフィ及びドライエッチングにより、端子用開口部85aを設けて、Al電極71を露出させる(図12(B))。
【0061】
次に、端子用開口部85aの底部及び側壁部にTaNバリア膜87aを反応性スパッタリングにより形成する。続いて、銅膜(図示を省略する。)をスパッタ法で形成し、フォトリソグラフィ及びドライエッチングにより、端子用開口部85aの底部以外の銅を除去し、残存する部分を導電端子90aとする。その後、ドライエッチング用マスクとして形成され、エッチング後に残存するフォトレジストをアッシングにより取り除く(図12(C))。
【0062】
次に、シリコン基板10に対して任意好適な公知の機械研磨を行うことにより、全体の厚さを100μm以下、望ましくは50μm以下に薄化して、抵抗体チップとする。
【0063】
上述の各実施形態及び各実施例では、半導体チップとして、コンデンサチップを用いた例について説明したが、図10、11及び12を参照して製造方法を説明した抵抗体チップを半導体チップとして形成した場合にも適用可能である。従って、上述の各実施形態で得られるのと同様の効果が、抵抗体チップを半導体チップとして用いた場合にも得られる。
【0064】
(インダクタチップの製造方法)
図13及び図14を参照して、半導体チップの一例としてインダクタを形成したインダクタチップの製造方法について説明する。図13は、インダクタチップの製造方法を説明するための工程図であり、図14は、インダクタチップの製造方法を説明するための概略的平面図である。
【0065】
先ず、シリコン基板10に対して、950℃のウェット酸化を行うことにより、100nm厚のプロテクト酸化膜20を形成する(図13(A))。
【0066】
次に、プロテクト酸化膜20の表面20a上に、アルミニウム層140を形成する。このアルミニウム層140は、例えばスパッタリング法により、500nmの厚さに形成される(図13(B))。
【0067】
次に、アルミニウム層140を、任意好適な公知のフォトリソグラフィ及びドライエッチングにより加工して、インダクタ142を形成する(図13(C))。
【0068】
図14は、図13(C)を参照して説明した、プロテクト酸化膜20の表面20a上にインダクタ142が形成された状態を示す平面図である。図14は、渦巻き螺旋状のスパイラル電極により構成される2つのインダクタ142を備える構成を示している。1つのインダクタチップに形成するインダクタの個数は、この例に限定されるものではなく、1又は2以上の設定に応じた任意の個数とすることができる。
【0069】
インダクタ142を形成した後の工程は、図10(D)及び(E)、並びに図11(A)〜(C)の各図を参照して説明した、抵抗体チップを製造する方法と同様なので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0070】
インダクタ142を埋め込むように、インダクタ142及びプロテクト酸化膜20上に、第1層間絶縁膜61を形成した後、インダクタ142と外部回路とを電気的に接続するために、第1層間絶縁膜61にコンタクト用開口部を設ける。次に、スパッタリング法でアルミニウム膜を500nmの厚さで形成した後、アルミニウム膜を加工して、アルミニウム(Al)電極71を形成する。次に、第1層間絶縁膜61及びAl電極71上に、パッシベーション膜81として、例えば、CVD法によりシリコン窒化膜を850nm堆積する。その後、CMP法で平坦化しても良い。その後、端子用開口部85bを設けて、Al電極71を露出させる。次に、端子用開口部85aの底部及び側壁部にTaNバリア膜87bを反応性スパッタリングにより形成する。続いて、銅膜をスパッタ法で形成し、フォトリソグラフィ及びドライエッチングにより、端子用開口部85bの底部以外の銅を除去し、残存する部分を導電端子90bとする。その後、ドライエッチング用マスクとして形成され、エッチング後に残存するフォトレジストをアッシングにより取り除く(図12(C))。
【0071】
次に、シリコン基板10に対して任意好適な公知の機械研磨を行うことにより、全体の厚さを100μm以下、望ましくは50μm以下に薄化して、インダクタチップとする。
【0072】
上述の各実施形態及び各実施例では、半導体チップとして、コンデンサチップを用いた例について説明したが、図13及び14を参照して製造方法を説明したインダクタチップを半導体チップとして形成した場合にも適用可能である。従って、上述の各実施形態で得られるのと同様の効果が、インダクタチップを半導体チップとして用いた場合にも得られる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】コンデンサチップの製造方法を説明するための工程図(その1)である。
【図2】コンデンサチップの製造方法を説明するための工程図(その2)である。
【図3】コンデンサチップの製造方法を説明するための工程図(その3)である。
【図4】第1実施形態の半導体装置の実装方法である。
【図5】第1実施形態の第1実施例である。
【図6】第1実施形態の第2実施例である。
【図7】第2実施形態の半導体装置の実装方法(その1)である。
【図8】第2実施形態の半導体装置の実装方法(その2)である。
【図9】第3実施形態の半導体装置の実装方法である。
【図10】抵抗体チップの製造方法を説明するための工程図(その1)である。
【図11】抵抗体チップの製造方法を説明するための工程図(その2)である。
【図12】抵抗体チップの製造方法を説明するための概略的平面図である。
【図13】インダクタチップの製造方法を説明するための工程図である。
【図14】インダクタチップの製造方法を説明するための概略的平面図である。
【符号の説明】
【0074】
10 シリコン基板
20 プロテクト酸化膜
32 密着層
34 第1導電体層
36 高誘電体薄層
38 第2導電体層
44 下部電極
46 高誘電体薄膜
48 上部電極
49 高誘電体キャパシタ
50 高誘電体開口部
52、53 コンタクト用開口部
60、61 第1層間絶縁膜
65 TiNバリア膜
70、71 Al電極
75 バリア膜
80、81 パッシベーション膜
85、85a、85b、86 端子用開口部
86a スリット
87、87a TaNバリア膜
90、90a、90b、91 導電端子
100 第1構造体
110、112 コンデンサチップ
111 コンデンサチップの実装基板と対向する面
130 ポリシリコン層
132 抵抗体
140 アルミニウム層
142 インダクタ
220、222 実装基板
221 実装面
230、231 金属配線
240、241 導電性接着剤
250 感光性樹脂
252 実装用開口部
254 スペーサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体チップを半導体の実装基板上に実装するにあたり、
前記実装基板の前記半導体チップが実装される表面に金属配線が形成された当該実装基板を用意する過程と、
前記半導体チップの前記実装基板と対向する面に形成された凹部内に導電端子が備えられる当該半導体チップを用意する過程と、
前記金属配線と前記導電端子とを導電性接着剤を介して接着する過程と
を含むことを特徴とする半導体装置の実装方法。
【請求項2】
半導体チップを半導体の実装基板上に実装するにあたり、
前記実装基板の前記半導体チップが実装される表面に金属配線が形成された当該実装基板を用意する過程と、
前記半導体チップの前記実装基板と対向する面に形成された凹部内に導電端子が備えられる当該半導体チップを用意する過程と、
前記実装基板の前記半導体チップが実装される表面上に、前記半導体チップと同じ厚さの樹脂膜を設ける過程と、
前記実装基板の前記半導体チップが実装される実装領域に対応する前記樹脂膜の領域部分を除去して開口部を設ける過程と、
前記開口部により露出した金属配線と、前記導電端子とを導電性接着剤を介して接着する過程と
を備えることを特徴とする半導体装置の実装方法。
【請求項3】
前記導電性接着剤として、銀のナノ粒子を配合したナノペーストを用いて接着する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置の実装方法。
【請求項4】
前記実装基板として、前記配線が該実装基板の表面に埋め込んで形成される平滑基板を用意する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の半導体装置の実装方法。

【図1】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図10】
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【図12】
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【図14】
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【図2】
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【図4】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−93420(P2006−93420A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−277283(P2004−277283)
【出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(596091004)株式会社マルチ (18)
【出願人】(899000068)学校法人早稲田大学 (602)
【出願人】(502273096)株式会社関東学院大学表面工学研究所 (52)
【Fターム(参考)】