半導体装置の製造方法、半導体装置、及び電気光学装置
【課題】フレキシブル基板上に駆動能力の高いTFTと、可撓性に優れた有機TFTとが形成された半導体装置を製造するにあたって、有機半導体層の劣化を極力抑える。
【解決手段】半導体装置10の製造に際して、予め暫定基板に形成した駆動回路50a、50bをフレキシブル基板20の表面に転写し、その後に、有機半導体層を液相プロセスで形成して有機TFT10aを形成する半導体装置の製造方法。
【解決手段】半導体装置10の製造に際して、予め暫定基板に形成した駆動回路50a、50bをフレキシブル基板20の表面に転写し、その後に、有機半導体層を液相プロセスで形成して有機TFT10aを形成する半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法、半導体装置、及び電気光学装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自由に折り曲げられる電子機器が注目されている。例えば、電子ペーパーに代表されるフレキシブルディスプレイは、携帯時の軽さに加え、衝撃に対する吸収や、手に馴染む柔軟性など、ユビキタス社会の一役を担う電子機器となり得るものである。このような電子機器としては、可撓性を有するプラスチック基板上に屈曲可能な有機薄膜トランジスタ(以下、有機TFTと略記する。)を積載したものが提案されている(例えば特許文献1参照。)。
【0003】
有機TFTは、トランジスタ素子を常温常圧下で作成できるので、製造コストを低くできるばかりでなく、インクジェット法やスピンコート法などの汎用の印刷技術の適用も可能なことから、製造コストの大幅な低減が見込めるという利点がある。
【0004】
ところが、有機TFTの電界効果移動速度は、シリコン薄膜を用いたTFTに比べて数桁低いので、電子デバイス中の総てのTFTを有機TFTにすると、デバイスの駆動能力が低下してしまうという問題があった。そこで、デバイス中の一部分のみを有機TFTとして、駆動回路は電界効果移動速度の高い他の半導体素子にすることが考えられる。
【0005】
なかでも低温ポリシリコン薄膜トランジスタ(以下、LTPS−TFTと略記する。)は大きな電界効果移動速度を有するので、電子デバイス中における占有面積を小さくしても駆動能力が低下しないので、軽量化、薄型化に適しており、上記課題の解決に合致している。しかしながら、このLTPS−TFTの製造には、600℃近くの高温が必要であり、フレキシブルデバイス用のプラスチック基板上に作成することが困難であるという問題があった。
【0006】
上記した問題は、予めLTPS−TFTをガラス基板上に作成しておいた後に、このLTPS−TFTをプラスチック基板上に転写する、SUFTLA(Surface-Free Technology by Laser Ablaion/Annealing)(セイコーエプソン社登録商標)と称される実装技術で解決される。(たとえば特許文献2参照。)
【特許文献1】特表2003−518756号公報
【特許文献2】特開2003−297974号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、有機TFTは熱や水分による劣化を受けやすいので、このような構成の半導体装置を製造するにあたって、初めに有機TFTをフレキシブル基板上に形成してしまうと、プロセスダメージを受けやすいという問題があった。より具体的には、周辺回路を転写するSUFTLAの工程においては、LTPS−TFTをフレキシブル基板上に接着剤で熱圧着するので、高温、高圧が有機TFTに印加されてトランジスタ素子の能力が劣化する恐れがあった。
【0008】
本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑み成されたものであって、駆動能力が高い半導体装置をフレキシブル基板上に製造する方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の半導体装置の製造方法は、有機半導体層を備えてなるスイッチング素子と、該スイッチング素子に電気的に接続された駆動回路とを、フレキシブル基板表面に備えた半導体装置の製造方法であって、予め暫定基板に前記駆動回路を形成した後、前記駆動回路を前記フレキシブル基板表面に転写し、ついで前記有機半導体層を液相プロセスにて形成することを特徴とする。
【0010】
本発明の半導体装置の製造方法によれば、暫定基板上に予め駆動回路を形成しておき、これをフレキシブル基板上に転写するので、耐熱性や熱膨張率の差の大きさから現実的でないとされてきたフレキシブル基板上への駆動回路の形成を簡便かつ確実に行うことができる。
さらに、フレキシブル基板に駆動回路を転写した後に有機半導体層を形成するので、有機半導体層が高温、高圧に曝されることがなくなり、有機半導体層が劣化する恐れが無くなり、安定した特性を備えた半導体装置を提供できる。
【0011】
本発明の半導体装置の製造方法にあっては、前記駆動回路を前記フレキシブル基板の表面に転写するに先立って、前記フレキシブル基板裏面に支持基板を貼着することが好ましい。
このようにすると、製造の各工程において、フレキシブル基板の反りやうねりを低減させることができ、アライメントの精度を向上させることができるばかりでなく、取り扱い性も向上するので好適である。特に、駆動回路を暫定基板からフレキシブル基板表面に転写する工程におけるアライメント、なかでも接着剤滴下の際のアライメントに関して非常に有用である。
【0012】
本発明の製造方法にあっては、前記液相プロセスとして液滴吐出法を用いることが好ましい。
液滴吐出法によれば、フレキシブル基板に熱負荷を与えることなく、高精細なパターンを形成できるばかりでなく、基板上の所望部分にのみ、有機半導体層を直接、形成するこことができるので、基板全体に成膜した後にパターニングする従来方法に比べて、工程が簡略化され、低コストでフレキシブルな半導体装置を製造することができる。
【0013】
本発明の半導体装置は、先に記載の製造方法によって製造されたことを特徴とする。本発明によれば、有機半導体層を有するスイッチング素子と、高い電界効果移動速度を有する駆動回路とを、フレキシブル基板に実装してなるものであるので、屈曲性と駆動特性とに優れた半導体装置となる。
【0014】
本発明の電気光学装置は、先に記載の半導体装置を備えることを特徴とする。このようにれば、屈曲性と駆動特性とに優れた電気光学装置となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、図1〜図5を参照し、本発明の半導体装置の製造方法、半導体装置、電気光学装置について説明する。
本実施形態は、本発明の一態様を示すものであり、本発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。なお、以下に示す各図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材ごとに縮尺を異ならせてある。
【0016】
(半導体装置)
まず、図1を参照し、半導体装置の構成について説明する。
図1aは、本発明の製造方法によって得られた半導体装置の平面図であり、図1bは、同、半導体装置の要部断面図であって、図1aにおけるA−A’線に沿う概略断面図である。
図1(a)に示すように、半導体装置10は、例えば電気泳動表示装置等に好適に用いられるアクティブマトリクス基板の一実施例であって、フレキシブル基板20と、フレキシブル基板20上に平面視マトリクス状に配列された複数の画素電極Dと、各画素電極Dに対応して設けられたスイッチング素子としての有機薄膜トランジスタ(TFT)10aと、低温ポリシリコン薄膜トランジスタ(LTPS−TFT)を備えた駆動回路50a、50bとを備えて構成されている。
有機TFT10aは、フレキシブル基板20上で互いに交差する方向に延びるデータ線34a及び走査線34bと電気的に接続されている。データ線34aは有機TFT10aのソースに、走査線34bは有機TFT10aのゲートに接続されている。図示−X側に延びたデータ線34aの端部は、駆動回路50aと電気的に接続されており、2個の駆動回路50aは図1a中のY方向に沿って配列されている。また、図示−Y側に延びた走査線34bの端部は駆動回路50bと電気的に接続されており、2個の駆動回路50bは、図1a中のX方向に沿って配列されている。
【0017】
フレキシブル基板20は、透明性、非透過性に限定することなく、各種材料によって構成されるものである。本実施形態では、特に可撓性に優れたものとして、プラスチック基板を採用している。具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリイミド(PI)等で構成されるプラスチック基板(樹脂基板)を例示することができる。また、この他にも可撓性のあるものであれば、ガラス基板、シリコン基板、金属基板、ガリウム砒素基板等を採用してもよい。
【0018】
データ線34aは、図1a中のX方向に延在する配線であり、図1bに示す有機TFT10aのソース電極30と駆動回路50aとを電気的に接続している。走査線34bは、図1a中のY方向に延在する配線であり、図1bに示す有機TFT10aのゲート電極40と駆動回路50bとを電気的に接続している。駆動回路50aは、有機TFT10aのデータ線34aに画像信号を供給し、駆動回路50bは走査線34bに駆動信号を供給することによって、有機TFT10aをアクティブ駆動するようになっている。
【0019】
図1bに示す有機TFT10aは、後述するように主として湿式成膜法を用いて形成されるスイッチング素子であり、フレキシブル基板20側からソース電極及びドレイン電極30、有機半導体層31、絶縁層32、ゲート電極40とが積層形成されたいわゆるトップゲート構造のトランジスタである。また、有機TFT10aに対応して図示略の画素電極Dが設けられ、画素電極Dは図示略のコンタクトホールを介して有機TFT10aのドレイン電極30と電気的に接続されている。
なお、本実施形態では、トップゲート構造について説明するが、当該構造に限定されるものではなく、ボトムゲート構造であってもよい。
【0020】
有機TFT10aのゲート電極40は、直接又は他の配線を介してフレキシブル基板20のY方向に延びる走査線34bと電気的に接続されており、フレキシブル基板20の周縁部に形成された接続部55を介して駆動回路50bの端子部56と電気的に接続されている。有機TFT10aは、図1bに示すように、その外周部において絶縁層32が段差部32aをなしているので、絶縁層32上に形成された走査線34bは、この段差部32aに沿うように絶縁層32の表面を覆って接続部55に達するように形成されている。接続部55はフレキシブル基板20上に形成された金属パッド等であって、各配線上に設けられており、駆動回路50bは、接着剤51によってフレキシブル基板20に固定されている。また駆動回路50bのフレキシブル基板20と対向する側の面に形成された端子部56が、フレキシブル基板20上の接続部55と当接して電気的に接続されている。
【0021】
なお、図示は省略しているが、有機TFT10aのソース電極30は、図1aのX方向に沿って延びるデータ線34aに対して直接又は他の配線を介して電気的に接続されており、データ線34aの端部は、駆動回路50aに設けられた端子部に接続されている。ここで、ソース電極30及びデータ線34aは絶縁層32の下層に形成されているので、駆動回路50a側の絶縁層32の端部において、データ線34aはフレキシブル基板20と絶縁層32との間から延出され、当該延出部が駆動回路50aとの接続端子となる。
【0022】
(半導体装置の製造方法)
次に、図2を参照して半導体装置10の製造方法を説明する。図2a〜図2gは半導体装置10の製造の工程図であり、図1に示した半導体装置10の端部断面図が示されている。
まず、図2aに示すように、フレキシブル基板20上に第1層配線としての金属膜パターン3を形成する。金属膜パターン3とは、図1bに示した有機TFT10aのソース電極及びドレイン電極30、データ線34a、接続部55となる導電配線等である。フレキシブル基板20の直上に配置される上記の各配線を総て一括してパターン形成する。
なお、走査線34bの一定部分は最下層ではなく、他の層の上に積層されるべきものであるので、この工程において一括して形成せずにブランク部としておき、走査線34bと接続される接続部55のみを当該工程では形成する。
【0023】
金属膜パターン3の形成方法は特に限定されるものではないが、液相プロセスを用いることが好ましい。液相プロセスは、フレキシブル基板20上に液体材料を選択的に配置し、これを乾燥、固化させて金属膜パターン3を形成する方法である。液体材料は、例えば、導電性粒子と溶媒とを混合した分散液である。導電性粒子としては、例えばCr、Al、Ta、Mo、Nd、Cu、Ag、Au、Pd、In、Ni、Co等やそれらの金属を用いた合金、公知のあらゆる金属材料、及びその合金、及びその金属酸化物等を採用することができる。また、公知の導電性有機材料、たとえばPEDOT(ポリエチレンジオキシチオフェン)や金属コロイド等を利用できる。分散液としては水を主成分とするが、アルコールを添加した液体を分散媒に用いてもよい。
【0024】
液滴の塗布方法としては、スピンコート法、スリットコート法、ディップコート法、スプレー法、ロールコート法、カーテンコート法、印刷法、液滴吐出法等を利用できる。なかでも液滴吐出法すなわちインクジェット法を採用することが好ましい。インクジェット法によれば、フレキシブル基板20上にパターンを直接形成することが可能であり、必要部分のみの成膜が可能なので、製造工程が非常に簡略化できるうえに、温和な条件(大気圧下)で成膜できる。
フレキシブル基板20の表面には、下地絶縁膜として酸化シリコン膜(SiO2)等を形成してもよい。本実施形態においては、配線パターンが1層のみ形成された構造について説明しているが、2層や3層構造であってもよい。
【0025】
インクジェット法においては、インクジェットヘッド(図示せず。)とフレキシブル基板20とを相対移動させる移動機構によって、フレキシブル基板20の所定位置に液体材料を吐出する。液体材料が吐出されるパターンは、液滴吐出装置に記憶されたビットマップパターン等の電子データに基づいて形成されるので、電子データを作製するだけで、所望の位置に液体材料を塗布することができる。インクジェットヘッドには、圧電素子でインクキャビティの体積を変化させて液滴を吐出する圧電方式と、インクキャビティ内でインクを加熱して気泡を発生させて液滴を吐出するサーマル方式とが用いられるが、熱の影響のない圧電方式が好ましい。
【0026】
次に、図2bに示すように、フレキシブル基板20の裏面側、すなわち金属膜パターン3が形成されていない側の面に支持基板21を貼着する。これにより、後述する各製造工程においてフレキシブル基板20を剛直な基板として取り扱うことができるようになる。また、フレキシブル基板20の反りやうねりを低減させることができるので、各工程でのアライメント精度を高くすることができる。後述するSUFTLA(Surface-Free Technology by Laser Ablaion/Annealing)(登録商標)工程において駆動素子を暫定基板からフレキシブル基板表面に転写する際のアライメント、なかでも接着剤滴下の際のアライメントに関して非常に有用である。
【0027】
図2cから図2fは、フレキシブル基板20上に駆動素子としての駆動回路50(駆動回路50a、50bを総括して駆動回路50と称する。)を転写する工程を示したものである。この転写工程には公知の技術が採用されるが、本実施形態では、特にSUFTLA(登録商標)を用いる。
まず、図2cに示すように、フレキシブル基板20の表面に接着剤51を滴下する。この接着剤51はフレキシブル基板20に駆動回路50を固定するものであり、駆動回路50の端子部56を金属膜パターン3の接続部55に電気的に接続する機能を具備したものであってもよい。すなわち、接着剤51として、導電粒子を含有する異方性導電性ペースト(ACP)を用いることができる。
この際に、フレキシブル基板20の裏面には支持基板21が貼着されているので、フレキシブル基板20の表面は反りやうねりのない平滑なものとなっている。さらに、支持基板21によって剛直性を与えられているので、接着剤51を塗布する際の位置あわせを正確かつ迅速に行うことができる。
【0028】
上記のフレキシブル基板20とは別に、図2dに示すように、転写すべき駆動回路50を高温プロセスを含む公知の技術によって暫定基板22上に形成する。暫定基板22上には剥離層23が形成されており、この剥離層23上に駆動回路50を形成する。
【0029】
暫定基板22は、半導体装置10の構成要素ではなく、駆動回路50の製造工程と、フレキシブル基板20への転写工程にのみに用いられる部材である。具体的には、1000℃程度に耐える石英ガラス等の透光性耐熱基板が好ましい。また、石英ガラスの他、ソーダガラス、コーニング7059、日本電気ガラスOA−2等の耐熱性ガラス等が使用可能である。この暫定基板22の厚さには、大きな制限要素はないが、0.1mm〜0.5mm程度であることが好ましく、0.5mm〜1.5mm程度であることがより好ましい。暫定基板22の厚さが薄すぎると強度の低下を招き、逆に厚すぎると基台の透過率が低い場合に照射光の減衰を招くからである。ただし、照射光に対する透過率が高い基材を用いる場合には、前記上限値を超えてその厚みを厚くすることができる。
【0030】
剥離層23は、レーザ光等の照射光により当該層内や界面において剥離(「層内剥離」又は「界面剥離」ともいう)が生ずる材料からなる。すなわち、一定の強度の光を照射することにより、構成物質を構成する原子又は分子における原子間又は分子間の結合力が消失し又は減少し、アブレーション(ablation)等を生じ、剥離を起こすものである。また、照射光の照射により、剥離層23に含有されていた成分が気体となって放出され分離に至る場合と、剥離層23が光を吸収して気体になり、その蒸気が放出されて分離に至る場合とがある。
【0031】
剥離層23の組成としては、例えば、非晶質シリコン(a−Si)が採用され、また、当該非晶質シリコン中に水素(H)が含有されていてもよい。水素が含有されていると、光の照射により、水素が放出されることにより剥離層23に内圧が発生し、これが剥離を促進するので好ましい。この場合の水素の含有量は、2at%程度以上であることが好ましく、2〜20%at%であることが更に好ましい。水素の含有量は、成膜条件、例えば、CVD法を用いる場合には、そのガス組成、ガス圧力、ガス雰囲気、ガス流量、ガス温度、基板温度、投入するパワー等の条件を適宜設定することによって調整する。
この他の剥離層23の材料としては、酸化ケイ素もしくはケイ酸化合物、窒化ケイ素、窒化アルミ、窒化チタン等の窒化セラミックス、有機高分子材料(光の照射によりこれらの原子間結合が切断されるもの)、金属、例えば、Al、Li、Ti、Mn、In、Sn、Y、La、Ce、Nd、Pr、Gd若しくはSm、又はこれらのうち少なくとも一種を含む合金が挙げられる。
【0032】
剥離層23の厚さとしては、1nm〜20μm程度であるのが好ましく、10nm〜2μm程度であるのがより好ましく、20nm〜1μm程度であるのがさらに好ましい。剥離層23の厚みが薄すぎると、形成された膜厚の均一性が失われて剥離にむらが生じるからであり、剥離層23の厚みが厚すぎると、剥離に必要とされる照射光のパワー(光量)を大きくする必要があったり、また、剥離後に残された剥離層23の残渣を除去するのに時間を要する場合がある。
【0033】
剥離層23の形成方法は、均一な厚みで剥離層23を形成可能な方法であればよく、剥離層23の組成や厚み等の諸条件に応じて適宜選択することが可能である。例えば、CVD(MOCCVD、低圧CVD、ECR−CVD含む)法、蒸着、分子線蒸着(MB)、スパッタリング法、イオンドーピング法、PVD法等の各種気相成膜法、電気メッキ、浸漬メッキ(ディッピング)、無電解メッキ法等の各種メッキ法、ラングミュア・プロジェット(LB)法、スピンコート法、スプレーコート法、ロールコート法等の塗布法、各種印刷法、転写法、インクジェット法、粉末ジェット法等に適用できる。これらのうち2種以上の方法を組み合わせてもよい。
【0034】
特に剥離層23の組成が非晶質シリコン(a−Si)の場合には、CVD法、特に低圧CVDやプラズマCVDにより成膜するのが好ましい。また、剥離層23をゾルゲル法によりセラミックを用いて成膜する場合や有機高分子材料で構成する場合には、塗布法、特にスピンコートにより成膜するのが好ましい。
【0035】
駆動回路50は、暫定基板22側から順次、半導体層52と、ゲート電極57と、ソース電極及びドレイン電極54とが積層されてなるものである。これらの各層間は層間絶縁膜58によって隔離され、その最表面には保護層59が被覆されている。また外部との端子部56は保護層59上の最上層に形成されたバンプであり、接着剤51によりデータ線34a若しくは走査線34bの接続部55に接続される。
【0036】
剥離層23の上に、駆動回路50を形成する。駆動回路50の製造は公知技術で製造可能であり、たとえば以下の工程による。
まず、剥離層23が形成された暫定基板22上に、層間絶縁膜58の一部を構成し、剥離層23の保護層となる下地絶縁層を形成する。この下地絶縁層としては、例えばSiO2を用いることができ、プラズマCVD等の公知の成膜方法により形成することができる。
次に、上述した下地絶縁層上に、SiH4を用いたPECVDやSi2H6を用いたLPCVDによって、非晶質シリコン膜を形成する。これにレーザを照射すると、非晶質シリコンが結晶化して多結晶シリコン膜となるので、これを半導体層52とする。次いで、この多結晶シリコン膜をパターニングした後、ゲート絶縁膜を成膜し、ゲート電極57を成膜してパターニングする。そしてリンやボロンなどの不純物をゲート電極を用いて自己整合的に多結晶シリコン膜に打ち込み、活性化し、CMOS構造のソース領域及びドレイン領域を形成する。層間絶縁膜58を成膜し、コンタクトホール53を開口し、ソース電極54及びドレイン電極54をパターン形成する。さらにこれを被覆するように保護層59を形成して、LTPS−TFTを含む駆動回路50を得る。
【0037】
図2eに示すように、暫定基板22を反転して、駆動回路50の端子部56が金属膜パターン3に対向するようにして、暫定基板22とフレキシブル基板20とを配置する。この際に、本発明の製造方法にあっては、フレキシブル基板20に支持基板21が貼着されているので、フレキシブル基板20と暫定基板22とに十分な押圧力を加えることができる。また、このような押圧力を加えても、フレキシブル基板20に反りや撓みが発生することがない。この際に、接着剤51を硬化させる目的で、熱を加えてもよい。
【0038】
次に、接着剤51が塗布された領域に位置する駆動回路50の一面側に、暫定基板22の裏面側(TFT非形成面)から、レーザ光を照射する。すると、剥離層23の原子や分子の結合が弱まり、また、剥離層23内の水素が分子化し、結晶の結合から分離されることにより、駆動回路50と暫定基板22との結合力が完全になくなり、レーザ光が照射された部分の駆動回路50を容易に取り外すことができる。次いで、暫定基板22とフレキシブル基板20とを引き離すと、図2fに示すように、暫定基板22上から1個の駆動回路50がフレキシブル基板20上の所定位置に転写される。
【0039】
この後、有機TFT10aを形成する。すでに、有機TFT10aのソース電極及びドレイン電極30は、フレキシブル基板20上に形成してあるので、ここに有機半導体層31を積層する。
有機半導体層31は液相プロセスによって塗布形成されるので、当該液相プロセスの前処理として、ソース電極及びドレイン電極30の表面を分子レベルで清浄化する必要がある。したがって、ソース電極及びドレイン電極30が形成された基板20を水、有機溶剤等で洗浄した後、酸素プラズマによって表面処理を施す。このようなプラズマ処理においては、チャンバ内を真空ポンプによって減圧し、酸素、窒素、アルゴン、水素、等のガスを導入して生成されたプラズマに対して基板を曝すことが標準的な方法である。プラズマ処理は大気圧プラズマを用いる方法でもよい。
【0040】
酸素プラズマ処理を施した後に、インクジェット法(液滴吐出法)に代表される液相プロセスによって有機半導体層31を形成する。有機半導体層31の材料としては、低分子系有機半導体材料、ポリマー有機半導体材料のいずれも使用することができる。
ポリマー有機半導体材料としては、ポリ(3−アルキルチオフェン)(ポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3HT)、ポリ(3−オクチルチオフェン)、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)(PTV)、ポリ(パラ−フェニレンビニレン)(PPV)、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−コ−ビス−N,N’−(4−メトキシフェニル)−ビス−N,N’−フェニル−1,4−フェニレンジアミン)(PFMO)、ポリ(9,9ジオクチルフルオレン−コ−ベンゾチアジアゾール)(BT)、フルオレン−トリアリルアミン共重合体、トリアリルアミン系ポリマー、フルオレンビチオフェン共重合体等が挙げられる。
【0041】
低分子系有機半導体としては、例えば、C(カーボン)60、又は金属フタロシアニン若しくはそれらの置換誘導体、又はアントラセン、テトラセン、ペンタセン、ヘキサセン等のアセン分子材料、又はα−オリゴチオフェン類(具体的にはクォーターチオフェン(4T)、セキシチオフェン(6T)、オクチチオフェン(8T)、ジヘキシルクォーターチオフェン(DH4T)、ジヘキルセキシチオフェン(DH6T)等)が挙げられる。
【0042】
これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、特に、高分子の有機半導体材料を用いるのが好ましい。高分子の有機半導体材料は、簡易な方法で成膜することができ、比較的容易に配向させることができるという利点がある。また、空気中で酸化されにくく安定であること等の理由から、フルオレン−ビチオフェン共重合体、あるいは、ポリアリールアミンを用いるのが特に好ましい。
【0043】
このようにして形成された有機半導体層31上に、絶縁性のポリマーをスピンコートで塗布し、絶縁層32を形成する。絶縁層32としては、公知のゲート絶縁体材料であれば、種類は特に限定されるものではない。ここでは、有機材料を用いることが好ましく、ポリビニルフェノール、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、あるいはポリイソブチレンに代表されるポリオレフィン系ポリマー等が挙げられる。形成方法としては、例えば、スピンコート法、インクジェット法等の湿式法を用いて形成することができる。
【0044】
ここで、溶液の塗布によって絶縁層32を作製する場合、絶縁層32の溶液の溶媒が、有機半導体層31や基板20を膨潤させたり、溶解させたりしないことが必要である。有機半導体層31自体が溶媒に可溶である場合は特に注意が必要である。有機半導体層31が芳香環を含む共役性分子、又は、共役性高分子であるため芳香系炭化水素には溶けやすい。したがって、絶縁層32の塗布には芳香系炭化水素以外の炭化水素、あるいは、ケトン系、エーテル系、エステル系の有機溶媒を使うことが望ましい。また、絶縁層32は、後述するゲート電極40の液体材料に対して非溶解性の特性を有していることが好ましい。
【0045】
次に、ゲート電極40(走査線34b)の材料である液体材料を絶縁層32に向けて液滴として滴下する。
液体材料の吐出は、インクジェット法によって行われる。インクジェット法においては、金属膜パターン3の形成と全く同様にして、インクジェットヘッドとフレキシブル基板20とを相対移動させる移動機構が作動することにより、絶縁層32の所定位置に液体材料を吐出することが可能となる。液体材料としては、金属膜パターン3の形成と全く同様に低抵抗の金属微粒子と溶媒とを混合させた分散液を材料液体として採用するほか、PEDOT(ポリエチレンジオキシチオフェン)や金属コロイドの水分散液が採用される。
【0046】
また、ゲート電極40とともに走査線34bを形成する。これにより、有機TFT10aのゲート電極40から駆動回路50との接続部55(駆動回路50の端子部56)までが走査線34bで配線される。ここで、走査線34bは、図1aにおいてY方向に延在する配線であるので、インクジェット法によって形成するには、インクジェットヘッドとフレキシブル基板20を単一方向に走査させながら吐出することで行われる。したがって、最低限の走査(移動量)によって走査線34bを形成できる。
【0047】
次に、ゲート電極40と絶縁層32とを覆うように層間絶縁膜(図示せず)を最上層に形成した後に、フレキシブル基板20の裏面に貼着していた支持基板21を剥離すれば、本実施形態の半導体装置10が完成する。層間絶縁膜としては、前述の絶縁層32と同様の材料を用い、同様のスピンコート法、インクジェット法等の湿式法(液相プロセス)を採用することができる。
なお、上記の実施形態は、トップゲート構造の有機トランジスタの製造方法について説明したが、ボトムゲート構造の有機トランジスタの製造方法においても適用可能である。ボトムゲート構造では、下部電極としてゲート電極が採用され、当該ゲート電極上に絶縁層を介してソース電極及びドレイン電極が形成される。
【0048】
上述したように、本発明の製造方法においては、また、駆動回路50(50a、50b)を実装した後に、有機TFT10aをフレキシブル基板20上に形成するので、一連の工程において、有機TFT10aの半導体層に対して熱負荷を与える工程数が最小で済むことになる。特に有機半導体層31の成膜後に、洗浄や加熱を伴う工程がないので、有機半導体層31が水分や熱によって劣化する恐れがなくなる。また、金属膜パターン3を形成した後に、駆動回路50をSUFTLAによってフレキシブル基板20上に転写するので、フレキシブル基板20に熱負荷を与えることなく、所望の機能を有する駆動回路を実装することができる。したがって、フレキシブル基板20の熱負荷に起因する基板の熱膨張や撓み等の変形を抑制することができるばかりでなく、半導体層の劣化の恐れを低減することができる。
【0049】
また、フレキシブル基板20に支持基板21を貼り付けておくので、各製造工程においてフレキシブル基板20を剛直な基板として取り扱いでき、ハンドリングが容易となる。また、支持基板によってフレキシブル基板20の反りやうねりが無くなるので、各工程での位置あわせが非常に容易となる。
また、データ線34a、走査線34bの一部及び、画素電極D、ソース及びドレイン電極30とからなる金属膜パターン3をインクジェット法を用いることにより、基板20上に直接的にパターン形成することが可能となり、これらの配線等を基板表面に全面成膜する工程や除去する工程が不要となり、容易に形成することができる。
【0050】
以上説明したように、本発明の半導体装置装の製造方法によれば、低コスト、低温、低エネルギーで半導体装置を製造することができる。特に、フレキシブルなデバイスを製造するのに好適である。また、このようにして製造された半導体装置は、デバイス中の一部分のみを有機TFTとして、駆動回路は電界効果移動速度のLTPS−TFTを含むものであるので、種々の電子デバイスに適用した際に、充分な駆動能力を有するものとなる。また、このような半導体装置の有機TFTは、製造工程において、高温に曝されることがないので、半導体層の劣化の恐れのない、優れたものとなる。
なお、本実施形態においては、有機半導体層を備えるスイッチング素子として有機TFTを、駆動回路としてLTPS−TFTを用いているが、本発明の半導体装置の製造方法はこれに限定されるものではない。
【0051】
(電気光学装置)
次に、図3を参照して本発明の一実施形態に相当する電気光学装置を説明する。ここでは電気光学装置として、上述した半導体装置を用いて構成した電気泳動表示装置について説明する。この電気泳動表示装置EPDは、半導体装置10をTFT基板として用い、これに対向するように対向基板60を配置し、TFT基板10と対向基板60との間に電気泳動層(電気光学層)70を配置することによって構成される。
【0052】
電気泳動層70は、マイクロカプセル70aを複数備えている。マイクロカプセル70aは樹脂皮膜によって形成されており、マイクロカプセル70aの大きさは1画素の大きさと同程度とされ、表示領域全域を覆うように複数配置されている。また、マイクロカプセル70aは、実際には隣接するマイクロカプセル70a同士が密着するため、表示領域はマイクロカプセル70aによって隙間なく覆われている。マイクロカプセル70aには、分散媒71、電気泳動粒子72等を有する電気泳動分散液73が封入されている。
【0053】
次に、分散媒71、電気泳動粒子72を有する電気泳動分散液73について説明する。
電気泳動分散液73は、染料によって染色された分散媒71中に電気泳動粒子72を分散させた構成である。電気泳動粒子72は、無機酸化物又は無機水酸化物からなる直径0.01μm〜10μm程度の略球状の微粒子であり、上記分散媒71と異なる色相(白色及び黒色を含む)を有している。このように酸化物又は水酸化物からなる電気泳動粒子72には固有の表面等電点が存在し、分散媒71の水素イオン指数pHによってその表面電荷密度(帯電量)が変化する。
【0054】
ここで、表面等電点とは、水溶液中における両性電解質の電荷の代数和がゼロとなる状態を水素イオン指数pHによって示したものである。例えば、分散媒71のpHが電気泳動粒子72の表面等電点に等しい場合には、粒子の実効電荷はゼロとなり、粒子は外部電界に対して無反応な状態となる。また、分散媒71のpHが粒子の表面等電点よりも低い場合には、粒子の表面は下式(1)によりプラスの電荷を帯びる。逆に、分散媒71のpHが粒子の表面等電点よりも高い場合には、粒子の表面は下式(2)によりマイナスの電荷を帯びる。
pH低:M−OH+H+(過剰)+OH−→M−OH2++OH− ・・・(1)
pH高:M−OH+H++OH−(過剰)→M−OH―+H+ ・・・(2)
【0055】
なお、分散媒71のpHと粒子の表面等電点との差を大きくしていった場合、反応式(1)又は(2)にしたがって粒子の帯電量は増加していくが、この差が所定値以上となると略飽和し、pHをそれ以上変化させても帯電量は変化しない。この差の値は、粒子の種類、大きさ、形状等によって異なるものの、概ね1以上であればどのような粒子においても帯電量は略飽和すると考えられる。
【0056】
上述の電気泳動粒子72としては、例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、ベンガラ、酸化アルミニウム、黒色低次酸化チタン、酸化クロム、ベーマイト、FeOOH、二酸化珪素、水酸化マグネシウム、水酸化ニッケル、酸化ジルコニウム、酸化銅等が用いられている。
【0057】
また、このような電気泳動粒子72は、単独の微粒子としてだけでなく、各種表面改質を施した状態でも用いることが可能である。このような表面改質の方法としては、例えば、粒子表面をアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等のポリマーでコーティング処理する方法や、シラン系、チタネート系、アルミニウム系、弗素系等のカップリング剤でカップリング処理する方法や、アクリル系モノマー、スチレンモノマー、エポキシ系モノマー、イソシアネート系モノマー等とグラフト重合処理する方法等があり、これらの処理を単独又は二種類以上組み合わせて行うことができる。
分散媒71には、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、エーテル等の非水系有機溶媒が用いられており、スピリトブラック、オイルイエロー、オイルブルー、オイルグリーン、バリファーストブルー、マクロレックスブルー、オイルブラウン、スーダンブラック、ファーストオレンジ等の染料によって染色されて、電気泳動粒子72と異なる色相を呈している。
【0058】
このように構成された電気泳動表示装置においては、先に記載した半導体装置10をTFT基板として備える構成となっているので、低コスト、低温、低エネルギーで製造された電気泳動表示装置となる。また、フレキシブルな表示装置となる。
なお、本発明の半導体装置を利用した電気光学装置は、本実施の形態に限定されるものではなく、有機ELディスプレイ等にも好適に用いることができるのは勿論である。
【0059】
(電子機器)
上述した電気泳動表示装置は、表示部を備えた様々な電子機器に適用される。以下、上述の電気泳動表示装置を備えた電子機器の例について説明する。
まず、電気泳動表示装置をフレキシブルな電子ペーパーに適用した例について説明する。図4はこの電子ペーパーの構成を示す斜視図であり、電子ペーパー1400は、本発明の電気泳動表示装置を表示部1401として備える。電子ペーパー1400は、従来の紙と同様の質感及び柔軟性を有する書き換え可能なシートからなる本体1402を備えて構成されている。
【0060】
また、図5は、電子ノートの構成を示す斜視図であり、電子ノート1500は、図4で示した電子ペーパー1400が複数枚束ねられ、カバー1501に挟まれているものである。カバー1501は、例えば外部の装置から送られる表示データを入力する不図示の表示データ入力手段を備える。これにより、その表示データに応じて、電子ペーパーが束ねられた状態のまま、表示内容を変更したり更新したりできる。
【0061】
また、上述した例に加えて、他の例として、液晶テレビ、ビューファインダ型やモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等が挙げられる。本発明に係る電気光学装置は、こうした電子機器の表示部としても好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1a】本発明の製造方法によって得られた半導体装置の一実施形態の概略平面図。
【図1b】本発明の製造方法によって得られた半導体装置の一実施形態のA−A´線概略断面図。
【図2a】本発明の半導体装置の製造方法を説明するための工程図。
【図2b】本発明の半導体装置の製造方法を説明するための工程図。
【図2c】本発明の半導体装置の製造方法を説明するための工程図。
【図2d】本発明の半導体装置の製造方法を説明するための工程図。
【図2e】本発明の半導体装置の製造方法を説明するための工程図。
【図2f】本発明の半導体装置の製造方法を説明するための工程図。
【図2g】本発明の半導体装置の製造方法を説明するための工程図。
【図3】本発明の電気光学装置の一例を示す図。
【図4】本発明の電子機器を例示する図。
【図5】本発明の電子機器を例示する図。
【符号の説明】
【0063】
10…半導体装置、10a…有機トランジスタ(有機TFT)、20…フレキシブル基板、21…支持基板、22…暫定基板、31…有機半導体層、50,50a,50b…駆動回路、EPD…電気泳動表示装置。
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法、半導体装置、及び電気光学装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自由に折り曲げられる電子機器が注目されている。例えば、電子ペーパーに代表されるフレキシブルディスプレイは、携帯時の軽さに加え、衝撃に対する吸収や、手に馴染む柔軟性など、ユビキタス社会の一役を担う電子機器となり得るものである。このような電子機器としては、可撓性を有するプラスチック基板上に屈曲可能な有機薄膜トランジスタ(以下、有機TFTと略記する。)を積載したものが提案されている(例えば特許文献1参照。)。
【0003】
有機TFTは、トランジスタ素子を常温常圧下で作成できるので、製造コストを低くできるばかりでなく、インクジェット法やスピンコート法などの汎用の印刷技術の適用も可能なことから、製造コストの大幅な低減が見込めるという利点がある。
【0004】
ところが、有機TFTの電界効果移動速度は、シリコン薄膜を用いたTFTに比べて数桁低いので、電子デバイス中の総てのTFTを有機TFTにすると、デバイスの駆動能力が低下してしまうという問題があった。そこで、デバイス中の一部分のみを有機TFTとして、駆動回路は電界効果移動速度の高い他の半導体素子にすることが考えられる。
【0005】
なかでも低温ポリシリコン薄膜トランジスタ(以下、LTPS−TFTと略記する。)は大きな電界効果移動速度を有するので、電子デバイス中における占有面積を小さくしても駆動能力が低下しないので、軽量化、薄型化に適しており、上記課題の解決に合致している。しかしながら、このLTPS−TFTの製造には、600℃近くの高温が必要であり、フレキシブルデバイス用のプラスチック基板上に作成することが困難であるという問題があった。
【0006】
上記した問題は、予めLTPS−TFTをガラス基板上に作成しておいた後に、このLTPS−TFTをプラスチック基板上に転写する、SUFTLA(Surface-Free Technology by Laser Ablaion/Annealing)(セイコーエプソン社登録商標)と称される実装技術で解決される。(たとえば特許文献2参照。)
【特許文献1】特表2003−518756号公報
【特許文献2】特開2003−297974号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、有機TFTは熱や水分による劣化を受けやすいので、このような構成の半導体装置を製造するにあたって、初めに有機TFTをフレキシブル基板上に形成してしまうと、プロセスダメージを受けやすいという問題があった。より具体的には、周辺回路を転写するSUFTLAの工程においては、LTPS−TFTをフレキシブル基板上に接着剤で熱圧着するので、高温、高圧が有機TFTに印加されてトランジスタ素子の能力が劣化する恐れがあった。
【0008】
本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑み成されたものであって、駆動能力が高い半導体装置をフレキシブル基板上に製造する方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の半導体装置の製造方法は、有機半導体層を備えてなるスイッチング素子と、該スイッチング素子に電気的に接続された駆動回路とを、フレキシブル基板表面に備えた半導体装置の製造方法であって、予め暫定基板に前記駆動回路を形成した後、前記駆動回路を前記フレキシブル基板表面に転写し、ついで前記有機半導体層を液相プロセスにて形成することを特徴とする。
【0010】
本発明の半導体装置の製造方法によれば、暫定基板上に予め駆動回路を形成しておき、これをフレキシブル基板上に転写するので、耐熱性や熱膨張率の差の大きさから現実的でないとされてきたフレキシブル基板上への駆動回路の形成を簡便かつ確実に行うことができる。
さらに、フレキシブル基板に駆動回路を転写した後に有機半導体層を形成するので、有機半導体層が高温、高圧に曝されることがなくなり、有機半導体層が劣化する恐れが無くなり、安定した特性を備えた半導体装置を提供できる。
【0011】
本発明の半導体装置の製造方法にあっては、前記駆動回路を前記フレキシブル基板の表面に転写するに先立って、前記フレキシブル基板裏面に支持基板を貼着することが好ましい。
このようにすると、製造の各工程において、フレキシブル基板の反りやうねりを低減させることができ、アライメントの精度を向上させることができるばかりでなく、取り扱い性も向上するので好適である。特に、駆動回路を暫定基板からフレキシブル基板表面に転写する工程におけるアライメント、なかでも接着剤滴下の際のアライメントに関して非常に有用である。
【0012】
本発明の製造方法にあっては、前記液相プロセスとして液滴吐出法を用いることが好ましい。
液滴吐出法によれば、フレキシブル基板に熱負荷を与えることなく、高精細なパターンを形成できるばかりでなく、基板上の所望部分にのみ、有機半導体層を直接、形成するこことができるので、基板全体に成膜した後にパターニングする従来方法に比べて、工程が簡略化され、低コストでフレキシブルな半導体装置を製造することができる。
【0013】
本発明の半導体装置は、先に記載の製造方法によって製造されたことを特徴とする。本発明によれば、有機半導体層を有するスイッチング素子と、高い電界効果移動速度を有する駆動回路とを、フレキシブル基板に実装してなるものであるので、屈曲性と駆動特性とに優れた半導体装置となる。
【0014】
本発明の電気光学装置は、先に記載の半導体装置を備えることを特徴とする。このようにれば、屈曲性と駆動特性とに優れた電気光学装置となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、図1〜図5を参照し、本発明の半導体装置の製造方法、半導体装置、電気光学装置について説明する。
本実施形態は、本発明の一態様を示すものであり、本発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。なお、以下に示す各図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材ごとに縮尺を異ならせてある。
【0016】
(半導体装置)
まず、図1を参照し、半導体装置の構成について説明する。
図1aは、本発明の製造方法によって得られた半導体装置の平面図であり、図1bは、同、半導体装置の要部断面図であって、図1aにおけるA−A’線に沿う概略断面図である。
図1(a)に示すように、半導体装置10は、例えば電気泳動表示装置等に好適に用いられるアクティブマトリクス基板の一実施例であって、フレキシブル基板20と、フレキシブル基板20上に平面視マトリクス状に配列された複数の画素電極Dと、各画素電極Dに対応して設けられたスイッチング素子としての有機薄膜トランジスタ(TFT)10aと、低温ポリシリコン薄膜トランジスタ(LTPS−TFT)を備えた駆動回路50a、50bとを備えて構成されている。
有機TFT10aは、フレキシブル基板20上で互いに交差する方向に延びるデータ線34a及び走査線34bと電気的に接続されている。データ線34aは有機TFT10aのソースに、走査線34bは有機TFT10aのゲートに接続されている。図示−X側に延びたデータ線34aの端部は、駆動回路50aと電気的に接続されており、2個の駆動回路50aは図1a中のY方向に沿って配列されている。また、図示−Y側に延びた走査線34bの端部は駆動回路50bと電気的に接続されており、2個の駆動回路50bは、図1a中のX方向に沿って配列されている。
【0017】
フレキシブル基板20は、透明性、非透過性に限定することなく、各種材料によって構成されるものである。本実施形態では、特に可撓性に優れたものとして、プラスチック基板を採用している。具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリイミド(PI)等で構成されるプラスチック基板(樹脂基板)を例示することができる。また、この他にも可撓性のあるものであれば、ガラス基板、シリコン基板、金属基板、ガリウム砒素基板等を採用してもよい。
【0018】
データ線34aは、図1a中のX方向に延在する配線であり、図1bに示す有機TFT10aのソース電極30と駆動回路50aとを電気的に接続している。走査線34bは、図1a中のY方向に延在する配線であり、図1bに示す有機TFT10aのゲート電極40と駆動回路50bとを電気的に接続している。駆動回路50aは、有機TFT10aのデータ線34aに画像信号を供給し、駆動回路50bは走査線34bに駆動信号を供給することによって、有機TFT10aをアクティブ駆動するようになっている。
【0019】
図1bに示す有機TFT10aは、後述するように主として湿式成膜法を用いて形成されるスイッチング素子であり、フレキシブル基板20側からソース電極及びドレイン電極30、有機半導体層31、絶縁層32、ゲート電極40とが積層形成されたいわゆるトップゲート構造のトランジスタである。また、有機TFT10aに対応して図示略の画素電極Dが設けられ、画素電極Dは図示略のコンタクトホールを介して有機TFT10aのドレイン電極30と電気的に接続されている。
なお、本実施形態では、トップゲート構造について説明するが、当該構造に限定されるものではなく、ボトムゲート構造であってもよい。
【0020】
有機TFT10aのゲート電極40は、直接又は他の配線を介してフレキシブル基板20のY方向に延びる走査線34bと電気的に接続されており、フレキシブル基板20の周縁部に形成された接続部55を介して駆動回路50bの端子部56と電気的に接続されている。有機TFT10aは、図1bに示すように、その外周部において絶縁層32が段差部32aをなしているので、絶縁層32上に形成された走査線34bは、この段差部32aに沿うように絶縁層32の表面を覆って接続部55に達するように形成されている。接続部55はフレキシブル基板20上に形成された金属パッド等であって、各配線上に設けられており、駆動回路50bは、接着剤51によってフレキシブル基板20に固定されている。また駆動回路50bのフレキシブル基板20と対向する側の面に形成された端子部56が、フレキシブル基板20上の接続部55と当接して電気的に接続されている。
【0021】
なお、図示は省略しているが、有機TFT10aのソース電極30は、図1aのX方向に沿って延びるデータ線34aに対して直接又は他の配線を介して電気的に接続されており、データ線34aの端部は、駆動回路50aに設けられた端子部に接続されている。ここで、ソース電極30及びデータ線34aは絶縁層32の下層に形成されているので、駆動回路50a側の絶縁層32の端部において、データ線34aはフレキシブル基板20と絶縁層32との間から延出され、当該延出部が駆動回路50aとの接続端子となる。
【0022】
(半導体装置の製造方法)
次に、図2を参照して半導体装置10の製造方法を説明する。図2a〜図2gは半導体装置10の製造の工程図であり、図1に示した半導体装置10の端部断面図が示されている。
まず、図2aに示すように、フレキシブル基板20上に第1層配線としての金属膜パターン3を形成する。金属膜パターン3とは、図1bに示した有機TFT10aのソース電極及びドレイン電極30、データ線34a、接続部55となる導電配線等である。フレキシブル基板20の直上に配置される上記の各配線を総て一括してパターン形成する。
なお、走査線34bの一定部分は最下層ではなく、他の層の上に積層されるべきものであるので、この工程において一括して形成せずにブランク部としておき、走査線34bと接続される接続部55のみを当該工程では形成する。
【0023】
金属膜パターン3の形成方法は特に限定されるものではないが、液相プロセスを用いることが好ましい。液相プロセスは、フレキシブル基板20上に液体材料を選択的に配置し、これを乾燥、固化させて金属膜パターン3を形成する方法である。液体材料は、例えば、導電性粒子と溶媒とを混合した分散液である。導電性粒子としては、例えばCr、Al、Ta、Mo、Nd、Cu、Ag、Au、Pd、In、Ni、Co等やそれらの金属を用いた合金、公知のあらゆる金属材料、及びその合金、及びその金属酸化物等を採用することができる。また、公知の導電性有機材料、たとえばPEDOT(ポリエチレンジオキシチオフェン)や金属コロイド等を利用できる。分散液としては水を主成分とするが、アルコールを添加した液体を分散媒に用いてもよい。
【0024】
液滴の塗布方法としては、スピンコート法、スリットコート法、ディップコート法、スプレー法、ロールコート法、カーテンコート法、印刷法、液滴吐出法等を利用できる。なかでも液滴吐出法すなわちインクジェット法を採用することが好ましい。インクジェット法によれば、フレキシブル基板20上にパターンを直接形成することが可能であり、必要部分のみの成膜が可能なので、製造工程が非常に簡略化できるうえに、温和な条件(大気圧下)で成膜できる。
フレキシブル基板20の表面には、下地絶縁膜として酸化シリコン膜(SiO2)等を形成してもよい。本実施形態においては、配線パターンが1層のみ形成された構造について説明しているが、2層や3層構造であってもよい。
【0025】
インクジェット法においては、インクジェットヘッド(図示せず。)とフレキシブル基板20とを相対移動させる移動機構によって、フレキシブル基板20の所定位置に液体材料を吐出する。液体材料が吐出されるパターンは、液滴吐出装置に記憶されたビットマップパターン等の電子データに基づいて形成されるので、電子データを作製するだけで、所望の位置に液体材料を塗布することができる。インクジェットヘッドには、圧電素子でインクキャビティの体積を変化させて液滴を吐出する圧電方式と、インクキャビティ内でインクを加熱して気泡を発生させて液滴を吐出するサーマル方式とが用いられるが、熱の影響のない圧電方式が好ましい。
【0026】
次に、図2bに示すように、フレキシブル基板20の裏面側、すなわち金属膜パターン3が形成されていない側の面に支持基板21を貼着する。これにより、後述する各製造工程においてフレキシブル基板20を剛直な基板として取り扱うことができるようになる。また、フレキシブル基板20の反りやうねりを低減させることができるので、各工程でのアライメント精度を高くすることができる。後述するSUFTLA(Surface-Free Technology by Laser Ablaion/Annealing)(登録商標)工程において駆動素子を暫定基板からフレキシブル基板表面に転写する際のアライメント、なかでも接着剤滴下の際のアライメントに関して非常に有用である。
【0027】
図2cから図2fは、フレキシブル基板20上に駆動素子としての駆動回路50(駆動回路50a、50bを総括して駆動回路50と称する。)を転写する工程を示したものである。この転写工程には公知の技術が採用されるが、本実施形態では、特にSUFTLA(登録商標)を用いる。
まず、図2cに示すように、フレキシブル基板20の表面に接着剤51を滴下する。この接着剤51はフレキシブル基板20に駆動回路50を固定するものであり、駆動回路50の端子部56を金属膜パターン3の接続部55に電気的に接続する機能を具備したものであってもよい。すなわち、接着剤51として、導電粒子を含有する異方性導電性ペースト(ACP)を用いることができる。
この際に、フレキシブル基板20の裏面には支持基板21が貼着されているので、フレキシブル基板20の表面は反りやうねりのない平滑なものとなっている。さらに、支持基板21によって剛直性を与えられているので、接着剤51を塗布する際の位置あわせを正確かつ迅速に行うことができる。
【0028】
上記のフレキシブル基板20とは別に、図2dに示すように、転写すべき駆動回路50を高温プロセスを含む公知の技術によって暫定基板22上に形成する。暫定基板22上には剥離層23が形成されており、この剥離層23上に駆動回路50を形成する。
【0029】
暫定基板22は、半導体装置10の構成要素ではなく、駆動回路50の製造工程と、フレキシブル基板20への転写工程にのみに用いられる部材である。具体的には、1000℃程度に耐える石英ガラス等の透光性耐熱基板が好ましい。また、石英ガラスの他、ソーダガラス、コーニング7059、日本電気ガラスOA−2等の耐熱性ガラス等が使用可能である。この暫定基板22の厚さには、大きな制限要素はないが、0.1mm〜0.5mm程度であることが好ましく、0.5mm〜1.5mm程度であることがより好ましい。暫定基板22の厚さが薄すぎると強度の低下を招き、逆に厚すぎると基台の透過率が低い場合に照射光の減衰を招くからである。ただし、照射光に対する透過率が高い基材を用いる場合には、前記上限値を超えてその厚みを厚くすることができる。
【0030】
剥離層23は、レーザ光等の照射光により当該層内や界面において剥離(「層内剥離」又は「界面剥離」ともいう)が生ずる材料からなる。すなわち、一定の強度の光を照射することにより、構成物質を構成する原子又は分子における原子間又は分子間の結合力が消失し又は減少し、アブレーション(ablation)等を生じ、剥離を起こすものである。また、照射光の照射により、剥離層23に含有されていた成分が気体となって放出され分離に至る場合と、剥離層23が光を吸収して気体になり、その蒸気が放出されて分離に至る場合とがある。
【0031】
剥離層23の組成としては、例えば、非晶質シリコン(a−Si)が採用され、また、当該非晶質シリコン中に水素(H)が含有されていてもよい。水素が含有されていると、光の照射により、水素が放出されることにより剥離層23に内圧が発生し、これが剥離を促進するので好ましい。この場合の水素の含有量は、2at%程度以上であることが好ましく、2〜20%at%であることが更に好ましい。水素の含有量は、成膜条件、例えば、CVD法を用いる場合には、そのガス組成、ガス圧力、ガス雰囲気、ガス流量、ガス温度、基板温度、投入するパワー等の条件を適宜設定することによって調整する。
この他の剥離層23の材料としては、酸化ケイ素もしくはケイ酸化合物、窒化ケイ素、窒化アルミ、窒化チタン等の窒化セラミックス、有機高分子材料(光の照射によりこれらの原子間結合が切断されるもの)、金属、例えば、Al、Li、Ti、Mn、In、Sn、Y、La、Ce、Nd、Pr、Gd若しくはSm、又はこれらのうち少なくとも一種を含む合金が挙げられる。
【0032】
剥離層23の厚さとしては、1nm〜20μm程度であるのが好ましく、10nm〜2μm程度であるのがより好ましく、20nm〜1μm程度であるのがさらに好ましい。剥離層23の厚みが薄すぎると、形成された膜厚の均一性が失われて剥離にむらが生じるからであり、剥離層23の厚みが厚すぎると、剥離に必要とされる照射光のパワー(光量)を大きくする必要があったり、また、剥離後に残された剥離層23の残渣を除去するのに時間を要する場合がある。
【0033】
剥離層23の形成方法は、均一な厚みで剥離層23を形成可能な方法であればよく、剥離層23の組成や厚み等の諸条件に応じて適宜選択することが可能である。例えば、CVD(MOCCVD、低圧CVD、ECR−CVD含む)法、蒸着、分子線蒸着(MB)、スパッタリング法、イオンドーピング法、PVD法等の各種気相成膜法、電気メッキ、浸漬メッキ(ディッピング)、無電解メッキ法等の各種メッキ法、ラングミュア・プロジェット(LB)法、スピンコート法、スプレーコート法、ロールコート法等の塗布法、各種印刷法、転写法、インクジェット法、粉末ジェット法等に適用できる。これらのうち2種以上の方法を組み合わせてもよい。
【0034】
特に剥離層23の組成が非晶質シリコン(a−Si)の場合には、CVD法、特に低圧CVDやプラズマCVDにより成膜するのが好ましい。また、剥離層23をゾルゲル法によりセラミックを用いて成膜する場合や有機高分子材料で構成する場合には、塗布法、特にスピンコートにより成膜するのが好ましい。
【0035】
駆動回路50は、暫定基板22側から順次、半導体層52と、ゲート電極57と、ソース電極及びドレイン電極54とが積層されてなるものである。これらの各層間は層間絶縁膜58によって隔離され、その最表面には保護層59が被覆されている。また外部との端子部56は保護層59上の最上層に形成されたバンプであり、接着剤51によりデータ線34a若しくは走査線34bの接続部55に接続される。
【0036】
剥離層23の上に、駆動回路50を形成する。駆動回路50の製造は公知技術で製造可能であり、たとえば以下の工程による。
まず、剥離層23が形成された暫定基板22上に、層間絶縁膜58の一部を構成し、剥離層23の保護層となる下地絶縁層を形成する。この下地絶縁層としては、例えばSiO2を用いることができ、プラズマCVD等の公知の成膜方法により形成することができる。
次に、上述した下地絶縁層上に、SiH4を用いたPECVDやSi2H6を用いたLPCVDによって、非晶質シリコン膜を形成する。これにレーザを照射すると、非晶質シリコンが結晶化して多結晶シリコン膜となるので、これを半導体層52とする。次いで、この多結晶シリコン膜をパターニングした後、ゲート絶縁膜を成膜し、ゲート電極57を成膜してパターニングする。そしてリンやボロンなどの不純物をゲート電極を用いて自己整合的に多結晶シリコン膜に打ち込み、活性化し、CMOS構造のソース領域及びドレイン領域を形成する。層間絶縁膜58を成膜し、コンタクトホール53を開口し、ソース電極54及びドレイン電極54をパターン形成する。さらにこれを被覆するように保護層59を形成して、LTPS−TFTを含む駆動回路50を得る。
【0037】
図2eに示すように、暫定基板22を反転して、駆動回路50の端子部56が金属膜パターン3に対向するようにして、暫定基板22とフレキシブル基板20とを配置する。この際に、本発明の製造方法にあっては、フレキシブル基板20に支持基板21が貼着されているので、フレキシブル基板20と暫定基板22とに十分な押圧力を加えることができる。また、このような押圧力を加えても、フレキシブル基板20に反りや撓みが発生することがない。この際に、接着剤51を硬化させる目的で、熱を加えてもよい。
【0038】
次に、接着剤51が塗布された領域に位置する駆動回路50の一面側に、暫定基板22の裏面側(TFT非形成面)から、レーザ光を照射する。すると、剥離層23の原子や分子の結合が弱まり、また、剥離層23内の水素が分子化し、結晶の結合から分離されることにより、駆動回路50と暫定基板22との結合力が完全になくなり、レーザ光が照射された部分の駆動回路50を容易に取り外すことができる。次いで、暫定基板22とフレキシブル基板20とを引き離すと、図2fに示すように、暫定基板22上から1個の駆動回路50がフレキシブル基板20上の所定位置に転写される。
【0039】
この後、有機TFT10aを形成する。すでに、有機TFT10aのソース電極及びドレイン電極30は、フレキシブル基板20上に形成してあるので、ここに有機半導体層31を積層する。
有機半導体層31は液相プロセスによって塗布形成されるので、当該液相プロセスの前処理として、ソース電極及びドレイン電極30の表面を分子レベルで清浄化する必要がある。したがって、ソース電極及びドレイン電極30が形成された基板20を水、有機溶剤等で洗浄した後、酸素プラズマによって表面処理を施す。このようなプラズマ処理においては、チャンバ内を真空ポンプによって減圧し、酸素、窒素、アルゴン、水素、等のガスを導入して生成されたプラズマに対して基板を曝すことが標準的な方法である。プラズマ処理は大気圧プラズマを用いる方法でもよい。
【0040】
酸素プラズマ処理を施した後に、インクジェット法(液滴吐出法)に代表される液相プロセスによって有機半導体層31を形成する。有機半導体層31の材料としては、低分子系有機半導体材料、ポリマー有機半導体材料のいずれも使用することができる。
ポリマー有機半導体材料としては、ポリ(3−アルキルチオフェン)(ポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3HT)、ポリ(3−オクチルチオフェン)、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)(PTV)、ポリ(パラ−フェニレンビニレン)(PPV)、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−コ−ビス−N,N’−(4−メトキシフェニル)−ビス−N,N’−フェニル−1,4−フェニレンジアミン)(PFMO)、ポリ(9,9ジオクチルフルオレン−コ−ベンゾチアジアゾール)(BT)、フルオレン−トリアリルアミン共重合体、トリアリルアミン系ポリマー、フルオレンビチオフェン共重合体等が挙げられる。
【0041】
低分子系有機半導体としては、例えば、C(カーボン)60、又は金属フタロシアニン若しくはそれらの置換誘導体、又はアントラセン、テトラセン、ペンタセン、ヘキサセン等のアセン分子材料、又はα−オリゴチオフェン類(具体的にはクォーターチオフェン(4T)、セキシチオフェン(6T)、オクチチオフェン(8T)、ジヘキシルクォーターチオフェン(DH4T)、ジヘキルセキシチオフェン(DH6T)等)が挙げられる。
【0042】
これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、特に、高分子の有機半導体材料を用いるのが好ましい。高分子の有機半導体材料は、簡易な方法で成膜することができ、比較的容易に配向させることができるという利点がある。また、空気中で酸化されにくく安定であること等の理由から、フルオレン−ビチオフェン共重合体、あるいは、ポリアリールアミンを用いるのが特に好ましい。
【0043】
このようにして形成された有機半導体層31上に、絶縁性のポリマーをスピンコートで塗布し、絶縁層32を形成する。絶縁層32としては、公知のゲート絶縁体材料であれば、種類は特に限定されるものではない。ここでは、有機材料を用いることが好ましく、ポリビニルフェノール、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、あるいはポリイソブチレンに代表されるポリオレフィン系ポリマー等が挙げられる。形成方法としては、例えば、スピンコート法、インクジェット法等の湿式法を用いて形成することができる。
【0044】
ここで、溶液の塗布によって絶縁層32を作製する場合、絶縁層32の溶液の溶媒が、有機半導体層31や基板20を膨潤させたり、溶解させたりしないことが必要である。有機半導体層31自体が溶媒に可溶である場合は特に注意が必要である。有機半導体層31が芳香環を含む共役性分子、又は、共役性高分子であるため芳香系炭化水素には溶けやすい。したがって、絶縁層32の塗布には芳香系炭化水素以外の炭化水素、あるいは、ケトン系、エーテル系、エステル系の有機溶媒を使うことが望ましい。また、絶縁層32は、後述するゲート電極40の液体材料に対して非溶解性の特性を有していることが好ましい。
【0045】
次に、ゲート電極40(走査線34b)の材料である液体材料を絶縁層32に向けて液滴として滴下する。
液体材料の吐出は、インクジェット法によって行われる。インクジェット法においては、金属膜パターン3の形成と全く同様にして、インクジェットヘッドとフレキシブル基板20とを相対移動させる移動機構が作動することにより、絶縁層32の所定位置に液体材料を吐出することが可能となる。液体材料としては、金属膜パターン3の形成と全く同様に低抵抗の金属微粒子と溶媒とを混合させた分散液を材料液体として採用するほか、PEDOT(ポリエチレンジオキシチオフェン)や金属コロイドの水分散液が採用される。
【0046】
また、ゲート電極40とともに走査線34bを形成する。これにより、有機TFT10aのゲート電極40から駆動回路50との接続部55(駆動回路50の端子部56)までが走査線34bで配線される。ここで、走査線34bは、図1aにおいてY方向に延在する配線であるので、インクジェット法によって形成するには、インクジェットヘッドとフレキシブル基板20を単一方向に走査させながら吐出することで行われる。したがって、最低限の走査(移動量)によって走査線34bを形成できる。
【0047】
次に、ゲート電極40と絶縁層32とを覆うように層間絶縁膜(図示せず)を最上層に形成した後に、フレキシブル基板20の裏面に貼着していた支持基板21を剥離すれば、本実施形態の半導体装置10が完成する。層間絶縁膜としては、前述の絶縁層32と同様の材料を用い、同様のスピンコート法、インクジェット法等の湿式法(液相プロセス)を採用することができる。
なお、上記の実施形態は、トップゲート構造の有機トランジスタの製造方法について説明したが、ボトムゲート構造の有機トランジスタの製造方法においても適用可能である。ボトムゲート構造では、下部電極としてゲート電極が採用され、当該ゲート電極上に絶縁層を介してソース電極及びドレイン電極が形成される。
【0048】
上述したように、本発明の製造方法においては、また、駆動回路50(50a、50b)を実装した後に、有機TFT10aをフレキシブル基板20上に形成するので、一連の工程において、有機TFT10aの半導体層に対して熱負荷を与える工程数が最小で済むことになる。特に有機半導体層31の成膜後に、洗浄や加熱を伴う工程がないので、有機半導体層31が水分や熱によって劣化する恐れがなくなる。また、金属膜パターン3を形成した後に、駆動回路50をSUFTLAによってフレキシブル基板20上に転写するので、フレキシブル基板20に熱負荷を与えることなく、所望の機能を有する駆動回路を実装することができる。したがって、フレキシブル基板20の熱負荷に起因する基板の熱膨張や撓み等の変形を抑制することができるばかりでなく、半導体層の劣化の恐れを低減することができる。
【0049】
また、フレキシブル基板20に支持基板21を貼り付けておくので、各製造工程においてフレキシブル基板20を剛直な基板として取り扱いでき、ハンドリングが容易となる。また、支持基板によってフレキシブル基板20の反りやうねりが無くなるので、各工程での位置あわせが非常に容易となる。
また、データ線34a、走査線34bの一部及び、画素電極D、ソース及びドレイン電極30とからなる金属膜パターン3をインクジェット法を用いることにより、基板20上に直接的にパターン形成することが可能となり、これらの配線等を基板表面に全面成膜する工程や除去する工程が不要となり、容易に形成することができる。
【0050】
以上説明したように、本発明の半導体装置装の製造方法によれば、低コスト、低温、低エネルギーで半導体装置を製造することができる。特に、フレキシブルなデバイスを製造するのに好適である。また、このようにして製造された半導体装置は、デバイス中の一部分のみを有機TFTとして、駆動回路は電界効果移動速度のLTPS−TFTを含むものであるので、種々の電子デバイスに適用した際に、充分な駆動能力を有するものとなる。また、このような半導体装置の有機TFTは、製造工程において、高温に曝されることがないので、半導体層の劣化の恐れのない、優れたものとなる。
なお、本実施形態においては、有機半導体層を備えるスイッチング素子として有機TFTを、駆動回路としてLTPS−TFTを用いているが、本発明の半導体装置の製造方法はこれに限定されるものではない。
【0051】
(電気光学装置)
次に、図3を参照して本発明の一実施形態に相当する電気光学装置を説明する。ここでは電気光学装置として、上述した半導体装置を用いて構成した電気泳動表示装置について説明する。この電気泳動表示装置EPDは、半導体装置10をTFT基板として用い、これに対向するように対向基板60を配置し、TFT基板10と対向基板60との間に電気泳動層(電気光学層)70を配置することによって構成される。
【0052】
電気泳動層70は、マイクロカプセル70aを複数備えている。マイクロカプセル70aは樹脂皮膜によって形成されており、マイクロカプセル70aの大きさは1画素の大きさと同程度とされ、表示領域全域を覆うように複数配置されている。また、マイクロカプセル70aは、実際には隣接するマイクロカプセル70a同士が密着するため、表示領域はマイクロカプセル70aによって隙間なく覆われている。マイクロカプセル70aには、分散媒71、電気泳動粒子72等を有する電気泳動分散液73が封入されている。
【0053】
次に、分散媒71、電気泳動粒子72を有する電気泳動分散液73について説明する。
電気泳動分散液73は、染料によって染色された分散媒71中に電気泳動粒子72を分散させた構成である。電気泳動粒子72は、無機酸化物又は無機水酸化物からなる直径0.01μm〜10μm程度の略球状の微粒子であり、上記分散媒71と異なる色相(白色及び黒色を含む)を有している。このように酸化物又は水酸化物からなる電気泳動粒子72には固有の表面等電点が存在し、分散媒71の水素イオン指数pHによってその表面電荷密度(帯電量)が変化する。
【0054】
ここで、表面等電点とは、水溶液中における両性電解質の電荷の代数和がゼロとなる状態を水素イオン指数pHによって示したものである。例えば、分散媒71のpHが電気泳動粒子72の表面等電点に等しい場合には、粒子の実効電荷はゼロとなり、粒子は外部電界に対して無反応な状態となる。また、分散媒71のpHが粒子の表面等電点よりも低い場合には、粒子の表面は下式(1)によりプラスの電荷を帯びる。逆に、分散媒71のpHが粒子の表面等電点よりも高い場合には、粒子の表面は下式(2)によりマイナスの電荷を帯びる。
pH低:M−OH+H+(過剰)+OH−→M−OH2++OH− ・・・(1)
pH高:M−OH+H++OH−(過剰)→M−OH―+H+ ・・・(2)
【0055】
なお、分散媒71のpHと粒子の表面等電点との差を大きくしていった場合、反応式(1)又は(2)にしたがって粒子の帯電量は増加していくが、この差が所定値以上となると略飽和し、pHをそれ以上変化させても帯電量は変化しない。この差の値は、粒子の種類、大きさ、形状等によって異なるものの、概ね1以上であればどのような粒子においても帯電量は略飽和すると考えられる。
【0056】
上述の電気泳動粒子72としては、例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、ベンガラ、酸化アルミニウム、黒色低次酸化チタン、酸化クロム、ベーマイト、FeOOH、二酸化珪素、水酸化マグネシウム、水酸化ニッケル、酸化ジルコニウム、酸化銅等が用いられている。
【0057】
また、このような電気泳動粒子72は、単独の微粒子としてだけでなく、各種表面改質を施した状態でも用いることが可能である。このような表面改質の方法としては、例えば、粒子表面をアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等のポリマーでコーティング処理する方法や、シラン系、チタネート系、アルミニウム系、弗素系等のカップリング剤でカップリング処理する方法や、アクリル系モノマー、スチレンモノマー、エポキシ系モノマー、イソシアネート系モノマー等とグラフト重合処理する方法等があり、これらの処理を単独又は二種類以上組み合わせて行うことができる。
分散媒71には、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、エーテル等の非水系有機溶媒が用いられており、スピリトブラック、オイルイエロー、オイルブルー、オイルグリーン、バリファーストブルー、マクロレックスブルー、オイルブラウン、スーダンブラック、ファーストオレンジ等の染料によって染色されて、電気泳動粒子72と異なる色相を呈している。
【0058】
このように構成された電気泳動表示装置においては、先に記載した半導体装置10をTFT基板として備える構成となっているので、低コスト、低温、低エネルギーで製造された電気泳動表示装置となる。また、フレキシブルな表示装置となる。
なお、本発明の半導体装置を利用した電気光学装置は、本実施の形態に限定されるものではなく、有機ELディスプレイ等にも好適に用いることができるのは勿論である。
【0059】
(電子機器)
上述した電気泳動表示装置は、表示部を備えた様々な電子機器に適用される。以下、上述の電気泳動表示装置を備えた電子機器の例について説明する。
まず、電気泳動表示装置をフレキシブルな電子ペーパーに適用した例について説明する。図4はこの電子ペーパーの構成を示す斜視図であり、電子ペーパー1400は、本発明の電気泳動表示装置を表示部1401として備える。電子ペーパー1400は、従来の紙と同様の質感及び柔軟性を有する書き換え可能なシートからなる本体1402を備えて構成されている。
【0060】
また、図5は、電子ノートの構成を示す斜視図であり、電子ノート1500は、図4で示した電子ペーパー1400が複数枚束ねられ、カバー1501に挟まれているものである。カバー1501は、例えば外部の装置から送られる表示データを入力する不図示の表示データ入力手段を備える。これにより、その表示データに応じて、電子ペーパーが束ねられた状態のまま、表示内容を変更したり更新したりできる。
【0061】
また、上述した例に加えて、他の例として、液晶テレビ、ビューファインダ型やモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等が挙げられる。本発明に係る電気光学装置は、こうした電子機器の表示部としても好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1a】本発明の製造方法によって得られた半導体装置の一実施形態の概略平面図。
【図1b】本発明の製造方法によって得られた半導体装置の一実施形態のA−A´線概略断面図。
【図2a】本発明の半導体装置の製造方法を説明するための工程図。
【図2b】本発明の半導体装置の製造方法を説明するための工程図。
【図2c】本発明の半導体装置の製造方法を説明するための工程図。
【図2d】本発明の半導体装置の製造方法を説明するための工程図。
【図2e】本発明の半導体装置の製造方法を説明するための工程図。
【図2f】本発明の半導体装置の製造方法を説明するための工程図。
【図2g】本発明の半導体装置の製造方法を説明するための工程図。
【図3】本発明の電気光学装置の一例を示す図。
【図4】本発明の電子機器を例示する図。
【図5】本発明の電子機器を例示する図。
【符号の説明】
【0063】
10…半導体装置、10a…有機トランジスタ(有機TFT)、20…フレキシブル基板、21…支持基板、22…暫定基板、31…有機半導体層、50,50a,50b…駆動回路、EPD…電気泳動表示装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機半導体層を備えてなるスイッチング素子と、該スイッチング素子に電気的に接続された駆動回路とを、フレキシブル基板表面に備えた半導体装置の製造方法であって、
予め暫定基板に前記駆動回路を形成した後、前記駆動回路を前記フレキシブル基板表面に転写し、次いで前記有機半導体層を液相プロセスにて形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記駆動回路を前記フレキシブル基板の表面に転写するに先立って、前記フレキシブル基板の裏面に支持基板を貼着することを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記液相プロセスとして液滴吐出法を用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記請求項1から3のいずれか1項に記載の製造方法によって製造されたことを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項4に記載の半導体装置を備えたことを特徴とする電気光学装置。
【請求項1】
有機半導体層を備えてなるスイッチング素子と、該スイッチング素子に電気的に接続された駆動回路とを、フレキシブル基板表面に備えた半導体装置の製造方法であって、
予め暫定基板に前記駆動回路を形成した後、前記駆動回路を前記フレキシブル基板表面に転写し、次いで前記有機半導体層を液相プロセスにて形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記駆動回路を前記フレキシブル基板の表面に転写するに先立って、前記フレキシブル基板の裏面に支持基板を貼着することを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記液相プロセスとして液滴吐出法を用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記請求項1から3のいずれか1項に記載の製造方法によって製造されたことを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項4に記載の半導体装置を備えたことを特徴とする電気光学装置。
【図1a】
【図1b】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図2e】
【図2f】
【図2g】
【図3】
【図4】
【図5】
【図1b】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図2e】
【図2f】
【図2g】
【図3】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2008−20849(P2008−20849A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−194733(P2006−194733)
【出願日】平成18年7月14日(2006.7.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月14日(2006.7.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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