説明

半導体装置の製造方法、EUV光照射用の光源およびEUV光照射用の光源を有する装置

【課題】露光特性を向上させる。
【解決手段】陰極および陽極間に電圧を印加し、陰極と陽極との間において、所定の原子をプラズマ励起させることによりEUV光を生じさせ、このEUV光を、露光部に導き、露光部内において基板の上方に形成された感光膜を露光する工程を、冷却機構により、陰極103の先端部103bを構成する金属部の融点未満の温度に冷却しつつ行なう。例えば、陰極103は、支持部103aと、先端部103bとを有し、冷却機構は、支持部内に冷却溶媒を循環させる機構である。また、支持部103aは、銅よりなり、先端部103bを構成する金属部は、タングステンよりなり、冷却機構の支持部103a側の端部からタングステン端部までの距離(D1)を7mm以下とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法、EUV光照射用の光源およびEUV光照射用の光源を有する装置に関し、特に、EUV光による露光工程を有する半導体装置の製造技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造過程においては、半導体基板(ウエハ)の主面上にパターンを形成する技術としてリソグラフィ(露光・現像)技術が用いられている。このリソグラフィには主に投影露光装置が用いられ、この投影露光装置に装着したマスク(原版)を透過した露光光をウエハの主面上に塗布されたレジストに照射することにより、フォトマスクに形成されたマスクパターンがレジストに転写される。
【0003】
近年、半導体素子の高集積化および半導体素子の動作速度の高速化が要求されており、これらの要求に応えるためにパターンの微細化が進められている。この微細化の要求に答えるため、露光波長の短波長化により、投影像の解像度を向上する努力がなされている。例えば、従来のKrF(248nm)やArF(193nm)の紫外レーザーの領域よりも1桁以上波長の短い波長13.5nmのEUV(Extreme Ultra-Violet、極端紫外)光を用いたリソグラフィ技術が検討されている。
【0004】
例えば、下記特許文献1(特開2005−243771号公報)には、光源(101)からの露光光(108)によりマスク(111)のパターン像を、複数の光学素子を介して感光性基板(112)に投影する技術が開示されている。なお、カッコ内は、特許文献1中に記載の符号である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−243771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者は、上記EUV光を用いた露光技術についての研究開発に従事している。上記EUV光を用いた露光技術の検討において、追って詳細に説明するように、EUV光を生じさせる発光部の電極の溶融が確認された。
【0007】
そこで、本発明の目的は、露光特性を向上させ、半導体装置の特性を向上させることができる半導体装置の製造方法を提供することにある。
【0008】
また、本発明の他の目的は、半導体装置の製造コストの低減を図ることにある。
【0009】
本発明の上記目的およびその他の目的と新規な特徴は、本願明細書の記載および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0011】
本願において開示される発明のうち、代表的な実施の形態に示される半導体装置の製造方法は、以下の(a)〜(c)工程を有する。(a)は、露光装置を準備する工程であって、(a1)第1電極および第2電極間を有し、EUV光を生じさせる発光部と、(a2)上記第1電極を冷却する第1冷却機構と、(a3)上記EUV光をマスクを介して基板上に照射する露光部と、を有する露光装置を準備する工程である。(b)は、上記第1電極および上記第2電極間に電圧を印加し、上記第1電極と上記第2電極との間において、所定の原子をプラズマ励起させることによりEUV光を生じさせる工程である。(c)は、上記EUV光を、上記露光部に導き、上記露光部内において上記基板の上方に形成された感光膜を露光する工程である。そして、上記(b)工程は、上記第1冷却機構により、上記第1電極を、上記第1電極の先端部を構成する金属部の融点未満の温度に冷却しつつ行なわれる。
【0012】
本願において開示される発明のうち、代表的な実施の形態に示される半導体装置の製造方法は、以下の(a)〜(c)工程を有する。(a)は、(a)露光装置を準備する工程であって、(a1)第1電極および第2電極間を有し、EUV光を生じさせる発光部と、(a2)上記EUV光をマスクを介して基板上に照射する露光部と、を有する露光装置を準備する工程である。(b)は、上記第1電極および上記第2電極間に電圧を印加し、上記第1電極と上記第2電極との間において、所定の原子をプラズマ励起させることによりEUV光を生じさせる工程である。(c)は、上記EUV光を、上記露光部に導き、上記露光部内において上記基板の上方に形成された感光膜を露光する工程である。そして、上記(b)工程は、上記第1電極の先端部と、上記所定の原子のプラズマ生成部との距離を制御することにより、上記第1電極の先端部を構成する金属部が、その融点未満の温度に維持された状態で行われる。
【0013】
本願において開示される発明のうち、代表的な実施の形態に示される半導体装置の製造方法は、以下の(a)〜(d)工程を有する。(a)は、露光装置を準備する工程であって、(a1)所定の原子のプラズマ励起によりEUV光を発生させる発光部と、(a2)上記発光部から照射された上記EUV光を集光させる集光部と、(a3)上記集光部により集光した上記EUV光をマスクを介して基板上に照射する露光部と、を有する露光装置を準備する工程である。(b)は、上記露光装置の調整工程であって、(b1)上記発光部において試験EUV光を複数回発生させる工程と、(b2)上記試験EUV光の発生回数と上記第1電極の溶融量との関係から、上記溶融量と上記プラズマによる輻射熱との均衡領域とを調べる工程と、(b3)上記均衡領域における上記第1電極の残存量と対応するよう上記第1電極の先端部の位置を調整する工程と、を有する上記露光装置の調整工程である。(c)は、上記第1電極および上記第2電極間に電圧を印加し、上記第1電極と上記第2電極との間において、上記所定の原子をプラズマ励起させることにより上記EUV光を生じさせる工程である。(d)は、上記EUV光を、上記露光部に導き、上記露光部内において上記基板の上方に形成された感光膜を露光する工程である。
【0014】
本願において開示される発明のうち、代表的な実施の形態に示されるEUV光照射用の光源は、第1電極および第2電極間を有し、上記第1電極および上記第2電極間に電圧を印加し、上記第1電極と上記第2電極との間において、所定の原子をプラズマ励起させることによりEUV光を生じさせる発光部と、上記第1電極を冷却する冷却機構と、を有する。
【0015】
本願において開示される発明のうち、代表的な実施の形態に示されるEUV光照射用の光源を有する装置は、第1電極および第2電極間を有し、前記第1電極および前記第2電極間に電圧を印加し、前記第1電極と前記第2電極との間において、所定の原子をプラズマ励起させることによりEUV光を生じさせる発光部と、前記第1電極を冷却する冷却機構と、を有する光源を有する。
【発明の効果】
【0016】
本願において開示される発明のうち、以下に示す代表的な実施の形態に示される半導体装置の製造方法によれば、半導体装置の特性を向上させることができる。また、半導体装置の製造コストを低減することができる。
【0017】
本願において開示される発明のうち、以下に示す代表的な実施の形態に示されるEUV光照射用の光源によれば、EUV光の出力を安定させることができる。また、光源構成部位の交換頻度を低減することができる。
【0018】
本願において開示される発明のうち、以下に示す代表的な実施の形態に示されるEUV光照射用の光源を有する装置によれば、EUV光の出力を安定させることができる。また、光源構成部位の交換頻度を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施の形態1の半導体装置の製造に用いられる露光装置の構成を示すブロック図である。
【図2】発光部および集光部の近傍の構成の断面模式図である。
【図3】発光部の陰極と陽極の構成を示す斜視図である。
【図4】陰極の断面図である。
【図5】陰極および陽極に流路を設けた発光部の構成を示す断面模式図である。
【図6】コレクタ(集光光学系)の一例を示す断面図である。
【図7】コレクタ(集光光学系)の一例を示す斜視図である。
【図8】冷却機構と先端部との距離D1を説明する図である。
【図9】陽極および陰極間に印加したパルス数と、陰極の先端部を構成するタングステンの残膜厚(mm)との関係を示すグラフである。
【図10】80ミリオンパルスを印加した後の陰極の断面を示す写真である。
【図11】図10に示す写真の要部を模写した図である。
【図12】(A)は、応用例1における陰極の構成を示す要部断面図であり、(B)は、応用例2における陰極の構成を示す要部断面図である。
【図13】半導体装置の製造工程を示す基板の要部断面図である。
【図14】半導体装置の製造工程を示す基板の要部断面図であって、図13に続く半導体装置の製造工程を示す基板の要部断面図である。
【図15】半導体装置の製造工程を示す基板の要部断面図であって、図14に続く半導体装置の製造工程を示す基板の要部断面図である。
【図16】半導体装置の製造工程を示す基板の要部断面図であって、図15に続く半導体装置の製造工程を示す基板の要部断面図である。
【図17】実施の形態2の発光部の陰極と陽極の構成を示す断面模式図である。
【図18】金属の融点(℃)と導電率(1/m・Ω)との関係を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、応用例、詳細説明、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0021】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数等(個数、数値、量、範囲等を含む)についても同様である。
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一または関連する符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0023】
また、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
【0024】
(実施の形態1)
以下、図面を参照しながら本実施の形態の半導体装置の製造方法に用いられる露光装置の構成および当該露光装置を用いた露光方法について説明する。
【0025】
[露光装置の構成説明]
図1は、本実施の形態の半導体装置の製造に用いられる露光装置の構成を示すブロック図である。
【0026】
図1に示す露光装置1は、発光部10と、集光部20と、露光部30とを有する。
【0027】
発光部10においては、Xe(キセノン)のプラズマガスからEUV光が生成する。この発光部10におけるEUV光の発光点(プラズマ励起部、プラズマ生成部)をEPで示す。プラズマガス種としては、Xeのプラズマガスの他、Sn(錫)系のプラズマガス(例えば、錫の水素化物など)を用いてもよい。錫の水素化物としては、SnH(スタナン)などを用いることができる。
【0028】
集光部20は、発光部10により生じたEUV光を集光点(中間集光点:Intermediate Focus)IFに集光する。発光点EPと集光点IFとを結ぶ線を光軸OAという。ここで“光軸”とは、光学系において、系全体を通過する光束の中心となる光線または光束の中心となる光線が通過する経路を意味する。
【0029】
上記集光点IFに集光した光が、露光部30に導かれ、レチクル(フォトマスク、マスク原版)を介して、半導体基板上の感光膜に照射される。
【0030】
図2は、発光部および集光部の近傍の構成の断面模式図である。図3は、発光部の陰極と陽極の構成を示す斜視図であり、左図は、図2の陰極を示す斜視図であり、右図は、図2の陽極の一部を示す斜視図である。
【0031】
図2および図3に示すように発光部10は、陰極(陰電極、第1電極)103と陽極(陽電極、第2電極)102とを有する。
【0032】
陰極103は、中心部にガス供給孔(ガス供給口)2fを有する筒状物であり、ここでは、支持部103aと先端部103bとを有する。支持部103aは、銅(Cu)などの金属よりなり、先端部103bは、タングステン(W)などの高融点金属よりなる。図4は、陰極103の断面図である。支持部103aには、冷却機構が内蔵されている。例えば、図4に示すように、支持部103aは、外壁と、この外壁と一定距離離間して配置された隔壁とを有し、外壁と隔壁間に流路(空洞、窪み、溝)3fを有する。この流路3fに、水などの冷却溶媒を流すことにより、支持部103aおよび先端部103bを冷却することができる。
【0033】
流路3fの構成は、図4に示す構成に限られるものではなく、支持部103a内に、ガス供給孔2fを取巻くように螺旋状に流路を配置してもよい。また、支持部103a外に、冷却機構を設けてもよい。但し、冷却機構を内蔵させた方が冷却効率が向上するため好ましい。支持部103aから先端部103bまで延在するように、流路を設けてもよい。但し、材質の異なる部材(103a、103b)間に渡って流路を形成する場合と比較し、支持部103a内に流路を設ける方が、加工が容易となる。よって、支持部103a内に冷却溶媒を循環させる機構とすることが好ましい。また、支持部103aと先端部103bを同一部材(例えば、タングステン)で構成してもよいが、先端部103bにのみ高融点金属を使用することで、電極(陰極)のコストを抑えることができる。なお、図5に示すように、陽極102にも、流路を設けてもよい。図5は、陰極および陽極に流路を設けた発光部の構成を示す断面模式図である。
【0034】
一方、陽極102は、図2に示すように、支持部102aと平板リング状部102bとを有する。また、図3に示すように、陽極102を構成する平板リング状部102bは、ガス供給孔2fに対応する部分に開口部を有する。
【0035】
陽極102と陰極103とは、電極制御部109を介して高電圧電源105に接続されており、陽極102と陰極103との間に高電界を印加することにより、陽極102と陰極103との対向部において原料ガス(ここでは、Xe)がプラズマ化し、プラズマ導電により例えば13.5nmのEUV光が発生する。かかる構成(発光部10)は、真空チャンバー(筐体)106で覆われている。真空チャンバー106には、その内部の減圧(真空)状態を制御できるように、図示しない減圧手段(例えば、ポンプなど)が接続されている。なお、ここでは、真空チャンバー106内に、集光部20を構成するコレクタ207やDMT208が配置されている。
【0036】
集光部20の構成に制限はないが、例えば、光軸OAに対して対称に反射ミラーを配置することで、EUV光を集光することができる。図6および図7にコレクタ(集光光学系)の一例を示す。図6は、コレクタ(集光光学系)の一例を示す断面図であり、図7は、コレクタ(集光光学系)の一例を示す斜視図である。図6および図7に示すように、円筒状の反射ミラーを所定の間隔を開けて複数枚重ねたコレクタ(集光光学系)207を用いることで、集光度を向上させることができる。即ち、集光点IFにおけるEUV光の強度を向上させることができる。
【0037】
なお、図6に示す一の反射ミラーは、円錐の側面形状であり、第1傾斜角の第1側面と、第1傾斜角より小さい第2傾斜角の第2側面との合成形状となっている。一の反射ミラーの断面形状を略楕円形状としてもよい。図1は、断面が略楕円形状の反射ミラーを複数枚重ねたコレクタ207を模式的に示してある。
【0038】
この反射ミラーの構成材料に制限はないが、例えば、Mo(モリブデン)とSi(シリコン)の積層膜を用いた多層膜ミラーが好適に用いられる。このようにわずかに異なる屈折率を持った物質を交互に積層することによりEUV光を効率よく反射することができる。また、発光点EPとコレクタ207との間に、DMT(デブリシールド、Debris Mitigation Tool)208を設けてもよい。このDMTにより、デブリを除去でき、集光度を向上させることができる(図2参照)。
【0039】
露光部30においては、集光されたEUV光が、レチクルに反射して半導体基板の上部に形成されたフォトレジスト膜に照射され、レチクルに描かれたパターンがフォトレジスト膜に転写される。集光されたEUV光をレチクルに直接照射してもよいし、また、反射ミラーを介してレチクルに照射してもよい。
【0040】
ここで、本実施の形態の露光装置においては、図8に示すように、冷却機構(流路3f)と先端部103bまでの距離が、特定の距離D1(ここでは、7mm)以下となるように、先端部103bの膜厚(T1)が設定されている。図8は、冷却機構と先端部との距離D1を説明する図である。
【0041】
このように、先端部(ここでは、タングステン)103bの膜厚を設定することで、先端部(ここでは、タングステン)103bの溶融を低減し、EUV光の安定した出力を維持することができる。
【0042】
以下、具体的な検討事例を参照しながらより詳細に説明する。
【0043】
図9は、陽極および陰極間に印加したパルス数と、陰極の先端部を構成するタングステンの残膜厚(mm)との関係を示すグラフである。なお、♯31〜♯34および♯36は、測定点を示す。図10は、80ミリオンパルス(Mpls)を印加した後の陰極の断面を示す写真であり、図11は、図10に示す写真の要部を模写した図である。冷却溶媒としては、24℃の水を用い、流量は200ml/分とした。プラズマガスとしては、Xeを用いた。また、電極間の印加電圧4.0kV、繰り返し周波数は200Hzとした。
【0044】
図9に示すように、陽極および陰極間に高電位を印加し続けると、先端部(ここでは、タングステン)103bの膜減りが確認された。先端部(ここでは、タングステン)103bの膜厚は、発光点EPと先端部(ここでは、タングステン)103bとの最短距離部T2にて測定した(図11、図12等参照)。また、先端部(ここでは、タングステン)の膜減りは、図10に示すように写真でも確認することができた。上記パルス数は、電極間に印加した高電位の回数であるため、露光(ショット)回数と対応する。
【0045】
よって、図9から露光回数が増えるにしたがって、陰極103の溶融が生じることが判明した。このような、溶融により、露光精度の低下が生じる。即ち、溶融による陰極103の変形により、電極間に形成される電場が変化してEUV光の出力が不安定になる。特に、陰極103はガス供給孔2fを取巻くように配置されているため、ガス供給孔2fの変形により、プラズマ励起に寄与するガス量の変動をきたす。これにより、効率的なプラズマ励起が阻害され、さらに、EUV光の出力が不安定になる。
【0046】
しかしながら、図9をさらに検討するに、パルス数が45ミリオンパルス程度から70ミリオンパルス程度まで上昇するにしたがって、タングステンの膜減りが急速に進行するものの、70ミリオンパルス以降においては、タングステンの残膜厚の変化は少なく、ほぼ一定である。
【0047】
このような現象は次のように考察される。即ち、陰極103の溶融は、プラズマ励起の際に、プラズマ(発光点EP)から生じる輻射熱により生じる。しかしながら、溶融が進み、プラズマ(発光点EP)から陰極103の端部が遠ざかり、また、陰極103の端部が、冷却機構(流路3f)に近づくにしたがって、輻射熱の影響と冷却機構による冷却効率が均衡状態となり、タングステンの膜減りが低減、即ち、溶融が低減するものと考えられる。
【0048】
そこで、あらかじめ先端部(ここでは、タングステン)103bの膜厚を冷却機構(流路3f)の端部から上記7mm以下となるように設定しておけば、輻射熱と冷却効率が均衡状態となり、陰極103をタングステンの溶融温度以下に保持することができる。
【0049】
なお、冷却機構の冷却効率を向上させる場合、例えば、冷却溶媒(例えば、水)の温度を24℃以下とする、または、冷却溶媒(例えば、水)の流量を多くする、また、冷却効率のよい冷却溶媒(例えば、フロンなど)を用いれば、上記距離D1の上限を7mm以上とすることができる。また、印加電圧または周波数を大きくし、EUV光の強度を大きくするような場合には、上記距離D1の上限をさらに小さく、7mm以下とする必要がある。また、タングステンより融点が低い金属を用いる場合には、上記距離D1の上限をさらに小さくする必要がある。
【0050】
但し、重要な事項は、所定の露光条件に基づいて、図9に示したような、電極間パルス数と陰極103の膜減りから輻射熱の影響と冷却機構による冷却効率が均衡状態を判定し、これにより、均衡状態を保持できる、冷却機構(流路3f)の端部と先端部103bとの距離D1や先端部103bの膜厚を設定することが重要である。
【0051】
このように、本実施の形態によれば、陰極103の膜厚を最適化することで、陰極103の溶融を低減し、EUV光の出力の安定化を図ることができる。よって、露光特性を向上させ、また、露光光率を向上させることができる。また、発光部を構成する陰極103などの光源構成部の取替え(メンテナンス)頻度を低減することができる。また、電極の摩耗により生じるデブリを低減することにより、露光特性を向上させることができる。
【0052】
(応用例1)
図8においては、先端部(タングステン)103bの膜厚を調整することで、輻射熱と冷却効率との均衡を図った。これは、例えば、図12(A)に示すように、当初膜厚T0の先端部103bが溶融し膜厚T1となった時点で均衡状態となった場合に、先端部103bの膜厚をT1とする陰極103を形成し、当該陰極103を用いることに相当する。これに対し、当初膜厚T0の状態の陰極103を用いてもよい(図12(B))。図12(A)は、応用例1における陰極の構成を示す要部断面図であり、図12(B)は、応用例2における陰極の構成を示す要部断面図である。
【0053】
この場合、図12(B)に示すように、先端部(この場合、タングステン)103bの膜厚がT0である陰極103を準備し、この陰極103の先端部103bを発光点(プラズマ励起部、プラズマ生成部)EPから遠ざけるように配置する(図中の矢印参照)。
【0054】
即ち、例えば、発光部において試験EUV光を複数回発生させ、図9に示すような、試験EUV光の発生回数と陰極の溶融量との関係から、溶融量と発光点EPによる輻射熱との均衡領域とを調べる。
【0055】
具体的には、図9において、当初のタングステンの膜厚(T0)、即ち、サンプル♯31におけるタングステン残膜厚(4.1mm)と、サンプル♯36におけるタングステン残膜厚(2.75mm)との差Td(4.1−2.75=1.35mm)を算出し、このTd分だけ、図12(B)中の矢印の方向に、当初位置から後退させる。言い換えれば、発光点EPから遠ざかる方向に移動させることにより、発光点EPと陰極103の端部との距離を確保する。
【0056】
このように、陰極103の先端部103bと、発光点(プラズマ生成部)EPとの距離を制御することにより、陰極103の先端部103bを構成する金属部(ここでは、タングステン)が、その融点未満の温度に維持され、陰極103の溶融を低減することができる。その結果、EUV光の出力の安定化を図ることができ、露光特性を向上させ、また、露光光率を向上させることができる。
【0057】
また、発光部10を構成する陰極103などの光源構成部の取替え頻度を低減することができる。また、電極の摩耗により生じるデブリを低減することにより、露光特性を向上させることができる。
【0058】
なお、上記応用例1においては、サンプル♯36におけるタングステン残膜厚を、上記Tdの算出に用いたが、サンプル♯34およびサンプル♯36のタングステン残膜厚の平均値を上記Tdの算出に用いてもよい。
【0059】
(応用例2)
また、図8においては、タングステンを用い前述の所定の条件で図9に示す、電極間パルス数と陰極103の膜減りとの関係を調べたが、上記金属種(タングステン)や前述の条件に限定はない。例えば、先端部103bを構成する特定の金属(M)について、所定の露光条件に基づいて、電極間パルス数と陰極103の膜減りを測定し、ほぼ一定となる残膜量(T1)を測定してもよい。この後、膜厚がT1である金属Mを先端部103bに設けた陰極103を用い、後述する露光処理を行う。また、膜厚がT0の金属Mを先端部103bに設けた陰極103を、その端部が(T1−T0)分だけ発光点EPから遠ざけるよう、陰極103の位置を再設定すればよい(図12参照)。
【0060】
このように、陰極(第1電極)103の先端部103bと、発光点(プラズマ生成部)EPとの距離を制御することにより、先端部103bを構成する金属部が、その融点未満の温度に維持される。
【0061】
その結果、陰極103の溶融を低減することができ、EUV光の出力の安定化を図ることができ、露光特性を向上させ、また、露光光率を向上させることができる。
【0062】
また、発光部を構成する陰極103などの光源構成部の取替え頻度を低減することができる。また、電極の摩耗により生じるデブリを低減することにより、露光特性を向上させることができる。
【0063】
金属Mとしては、高融点金属、例えば、タングステンの他、レニウム、オスミウム、タンタル、モリブデン、ニオブ、イリジウム、ルテニウムおよびハフニウムから選択されたいずれかの金属またはこれらの合金などを用いることが好ましい。また、高融点金属に次いで比較的融点の高い銅、銀、金、白金や、これらの合金、または、上記高融点金属との合金など、を用いてもよい。図18に、上記金属の融点(℃)と導電率(1/m・Ω)との関係を示す。なお、E6は、×10を示す。また、露光条件としては、電極間の印加電圧および周波数の他、冷却条件(冷却溶媒の種類、冷却溶媒の温度、冷却溶媒の流量)なども含む。
【0064】
このように、本応用例においても、陰極(第1電極)103の先端部103bと、発光点(プラズマ生成部)EPとの距離を制御することにより、先端部103bを構成する金属部が、その融点未満の温度に維持される。その結果、陰極103の溶融を低減することができ、EUV光の出力の安定化を図ることができ、露光特性を向上させ、また、露光光率を向上させることができる。
【0065】
また、発光部を構成する陰極103などの光源構成部の取替え頻度を低減することができる。また、電極の摩耗により生じるデブリを低減することにより、露光特性を向上させることができる。
【0066】
なお、図12においては、先端部103bを支持部103a中に挿入する構成となっており、また、先端部103bが断面図においてテーパー状となっているが、かかる構成に限定されるものではない。例えば、図8に示す構成でも、先端部103bの位置を制御(再設定)、即ち、先端部103bを短くするか、若しくは、先端部103bの位置を後退させるかにより、本応用例の効果を奏することができる。
【0067】
[半導体装置の製造方法]
続いて、上記露光装置を用いた半導体装置の製造方法について説明する。具体的には、上記露光装置の露光部においてレチクルを介して基板上にEUV光を照射し、レチクルに描かれたパターンを基板上に転写する露光処理について説明する。図13〜図16は、本実施の形態の半導体装置の製造工程を示す基板の要部断面図である。
【0068】
例えば、図13に示すように、ゲート絶縁膜303を介して堆積された導電性膜305を有する半導体基板(基板)301を準備する。この半導体基板301の全面上にフォトレジスト膜(感光性絶縁膜)Rを形成し、上記[露光装置の構成説明]の欄で説明したように、陰極103をタングステンの溶融温度以下に保持できる露光装置、言い換えれば、陰極103の先端部103bの位置を再設定した露光装置を用いてEUV光Eaを照射する。
【0069】
具体的には、図14に示すように、レチクル(反射型のマスク)300に対してEUV光Eaを照射し、その反射光をフォトレジスト膜(感光膜)R上に照射することにより、レチクル300に描かれたパターンPを転写する。この際、縮小投影露光を行ってもよい。このEUV光Eaの照射により、例えば、照射部を硬化または分解させるなど、照射部の膜質を非照射部に対して変質させる。次いで、図15に示すように、所定の現像液を用いて、例えば、照射部以外のフォトレジスト膜を除去し、残存するフォトレジスト膜をマスクとして、下層の導電性膜をエッチングする。これにより、例えば、ゲート電極Gを形成する。次いで、ゲート電極Gの両側の半導体基板中に不純物イオンを注入することにより、ソース、ドレイン領域307を形成する(図16)。
【0070】
以上、いわゆるMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor、電界効果トランジスタ)の形成工程を例に説明したが、半導体装置を構成し得る各種構成部位のフォトリソグラフィ工程において上記EUV光Eaを採用可能であることは言うまでもない。
【0071】
このように、上記EUV光Eaは、出力が安定した露光光であり、当該EUV光Eaを用いることで、解像度を向上させることができ、所望の微細加工が可能となる。例えば、ゲート長を微細化し、MISFETの低電圧駆動が可能となり、また、動作速度を向上させるなど、半導体装置の特性を向上させることができる。また、MISFETの高集積化が可能になるなど、素子(装置)特性を向上させることができる。また、露光光の出力の安定により、露光光率が向上し、半導体装置の製造におけるスループットが向上する。また、露光装置の陰極取替え頻度が低下することにより、スループットが向上する。また、半導体装置の製造コストを低減することができる。
【0072】
以上、詳細に説明したように、本実施の形態の露光装置によれば、陰極103の先端部103bを、プラズマ輻射熱による溶融を避ける位置に配置したので、EUV光の出力の安定化を図ることができ、半導体装置の特性を向上させることができる。
【0073】
なお、本実施の形態においては、陰極103の位置の再設定を例に詳細に説明したが、前述したように、陽極102についても、プラズマ輻射熱による溶融現象が生じた場合、陰極103と同様に、その位置を再設定することができる。
【0074】
(実施の形態2)
上記実施の形態1においては、いわゆるホロー電極(中空電極)型の発光部を用いたが、対向電極型の発光部としてもよい。
【0075】
図17は、本実施の形態の発光部の陰極と陽極の構成を示す断面模式図である。
【0076】
図17に示すように発光部は、陰極(陰電極、第1電極)203と陽極(陽電極、第2電極)202とを有する。
【0077】
陰極203は、上下方向に最長辺を有する直方体形状であり、例えば、タングステン(W)などの高融点金属よりなる。陽極202は、上下方向に最長辺を有する直方体形状であり、例えば、タングステン(W)などの高融点金属よりなる。陰極203の上面は、陽極202の底面と対向して配置されている。
【0078】
陰極203と陽極202との対向領域に対して、横方向(図中左側)にガス供給管204が配置されている。
【0079】
陰極203には、冷却機構が内蔵されている。陰極203内には、コの字(U字状)の管(中空、流路)5fが設けられ、水などの冷却溶媒を流すことにより、陰極203を冷却することができる。
【0080】
また、陽極202にも、同様に、冷却機構が内蔵されている。即ち、陽極202内には、コの字(U字状)の管(中空、流路)5fが設けられ、水などの冷却溶媒を流すことにより、陽極202を冷却することができる。
【0081】
さらに、ガス供給管204の内部にも冷却機構が設けられている。例えば、図4と同様に、外壁と、この外壁と一定距離離間して配置された隔壁とを有し、外壁と隔壁間に流路(空洞、窪み、溝)3fを有する。
【0082】
陰極203、陽極202およびガス供給管204に設けられる冷却機構(流路3f、5f)の構成は、上記構成に限られるものではなく、例えば、陰極203、陽極202およびガス供給管204について、各部材の外周または内周に沿って螺旋状に形成された流路を配置してもよい。
【0083】
陽極202と陰極203とは、図示しない高電圧電源に接続されており、陽極202と陰極203との間に高電界を印加することにより、陽極202と陰極203との対向部においてガス供給管204から放出された原料ガス(ここでは、Xe)がプラズマ化し、プラズマ導電により例えば13.5nmのEUV光が発生する。
【0084】
上記構成(発光部10)は、図示しない真空チャンバー(筐体)で覆われている。真空チャンバーには、その内部の減圧(真空)状態を制御できるように、図示しない減圧手段(例えば、ポンプなど)が接続されている。なお、真空チャンバー内に、集光部を構成するコレクタやDMTなどを配置してもよい(図2参照)。
【0085】
なお、集光部20や露光部30の構成は、実施の形態1と同様の構成を採用することができる。
【0086】
このように、本実施の形態の露光装置によっても、実施の形態1と同様に、陰極203の先端部を、プラズマ輻射熱による溶融を避ける位置に配置することにより、EUV光の出力の安定化を図ることができる。また、陽極202やガス供給管204についてもプラズマ輻射熱による溶融を避ける位置に配置してもよい。さらに、陽極202やガス供給管204を冷却することで、これらの溶融変形を防止することができ、EUV光の出力の安定化を図ることができる。また、当該露光装置を用いて半導体装置を製造することで、半導体装置の特性を向上させることができる。
【0087】
(実施の形態3)
上記実施の形態1および2においては、上記発光部により生じたEUV光を露光工程に用いたが、当該EUV光の利用は露光に限られない。即ち、実施の形態1および2で説明した発光部10の構成を各種装置に組み込むことにより、EUV光を用いる各種装置に適用することができる。
【0088】
例えば、発光部10を光源として、EUV測定装置、EUV顕微鏡、EUVレジストアウトガス測定装置などに組み込むことができる。また、発光部10を光源として、EUVマスクおよびマスクブランクスの欠陥検査装置やEUVレジスト評価用の露光装置などに組み込むことができる。
【0089】
具体的には、例えば、EUVマスクの欠陥を評価するため、発光部10により生じたEUV光を上記EUVマスク等に照射し、欠陥の有無を評価することができる。また、EUVレジストの露光特性を評価するため、発光部10により生じたEUV光を上記EUVレジストに照射し、その露光特性を評価してもよい。
【0090】
また、上記欠陥の有無や露光特性を評価した後、これらの結果をフィードバックして、半導体装置を製造することにより、より高性能の半導体装置を製造することができる。
【0091】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明は、半導体装置の製造方法、EUV光照射用の光源およびEUV光照射用の光源を有する装置に関し、特に、EUV光による露光工程を有する半導体装置の製造技術に適用して有効である。
【符号の説明】
【0093】
1 露光装置
2f ガス供給孔
3f 流路
10 発光部
20 集光部
30 露光部
102 陽極
102a 支持部
102b 平板リング状部
103 陰極
103a 支持部
103b 先端部
105 高電圧電源
106 真空チャンバー
109 電極制御部
202 陽極
203 陰極
204 ガス供給管
207 コレクタ
300 レチクル
301 半導体基板
303 ゲート絶縁膜
305 導電性膜
307 ソース・ドレイン領域
EP 発光点
Ea EUV光
G ゲート電極
IF 集光点
OA 光軸
P パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)露光装置を準備する工程であって、
(a1)第1電極および第2電極間を有し、EUV光を生じさせる発光部と、
(a2)前記第1電極を冷却する第1冷却機構と、
(a3)前記EUV光をマスクを介して基板上に照射する露光部と、
を有する露光装置を準備する工程と、
(b)前記第1電極および前記第2電極間に電圧を印加し、前記第1電極と前記第2電極との間において、所定の原子をプラズマ励起させることによりEUV光を生じさせる工程と、
(c)前記EUV光を、前記露光部に導き、前記露光部内において前記基板の上方に形成された感光膜を露光する工程と、を有し、
前記(b)工程は、前記第1冷却機構により、前記第1電極を、前記第1電極の先端部を構成する金属部の融点未満の温度に冷却しつつ行なわれることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記所定の原子は、Xe(キセノン)またはSn(錫)であることを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記金属部は、タングステン、レニウム、オスミウム、タンタル、モリブデン、ニオブ、イリジウム、ルテニウムおよびハフニウムから選択されたいずれかの金属を含有することを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記露光装置は、前記第2電極を冷却する第2冷却機構を有し、
前記(b)工程は、前記第2冷却機構により、前記第2電極を冷却しつつ行なわれることを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記第1電極は、支持部と、前記支持部と連結した前記先端部とを有し、
前記冷却機構は、前記支持部内に冷却溶媒を循環させる機構であることを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記支持部は、銅よりなり、
前記先端部を構成する金属部は、タングステンよりなり、
前記第1冷却機構の前記支持部側の端部から前記タングステン端部までの距離は7mm以下であり、
前記冷却溶媒は水であることを特徴とする請求項5記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
(a)露光装置を準備する工程であって、
(a1)第1電極および第2電極間を有し、EUV光を生じさせる発光部と、
(a2)前記EUV光をマスクを介して基板上に照射する露光部と、
を有する露光装置を準備する工程と、
(b)前記第1電極および前記第2電極間に電圧を印加し、前記第1電極と前記第2電極との間において、所定の原子をプラズマ励起させることによりEUV光を生じさせる工程と、
(c)前記EUV光を、前記露光部に導き、前記露光部内において前記基板の上方に形成された感光膜を露光する工程と、を有し、
前記(b)工程は、前記第1電極の先端部と、前記所定の原子のプラズマ生成部との距離を制御することにより、前記第1電極の先端部を構成する金属部が、その融点未満の温度に維持された状態で行われることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記所定の原子は、Xe(キセノン)またはSn(錫)であることを特徴とする請求項7記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記金属部は、タングステン、レニウム、オスミウム、タンタル、モリブデン、ニオブ、イリジウム、ルテニウムおよびハフニウムから選択されたいずれかの金属を含有することを特徴とする請求項7記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記露光装置は、前記第1電極を冷却する冷却機構を有し、
前記(b)工程は、前記冷却機構により、前記第1電極を冷却しつつ行なわれることを特徴とする請求項7記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記露光装置は、前記第1電極を冷却する第1冷却機構および前記第2電極を冷却する第2冷却機構を有し、
前記(b)工程は、前記第1冷却機構により、前記第1電極を冷却し、前記第2冷却機構により、前記第2電極を冷却しつつ行なわれることを特徴とする請求項7記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
(a)露光装置を準備する工程であって、
(a1)所定の原子のプラズマ励起によりEUV光を発生させる発光部と、
(a2)前記発光部から照射された前記EUV光を集光させる集光部と、
(a3)前記集光部により集光した前記EUV光をマスクを介して基板上に照射する露光部と、
を有する露光装置を準備する工程と、
(b)前記露光装置の調整工程であって、
(b1)前記発光部において試験EUV光を複数回発生させる工程と、
(b2)前記試験EUV光の発生回数と前記第1電極の溶融量との関係から、前記溶融量と前記プラズマによる輻射熱との均衡領域とを調べる工程と、
(b3)前記均衡領域における前記第1電極の残存量と対応するよう前記第1電極の先端部の位置を調整する工程と、
を有する前記露光装置の調整工程と、
(c)前記第1電極および前記第2電極間に電圧を印加し、前記第1電極と前記第2電極との間において、前記所定の原子をプラズマ励起させることにより前記EUV光を生じさせる工程と、
(d)前記EUV光を、前記露光部に導き、前記露光部内において前記基板の上方に形成された感光膜を露光する工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記所定の原子は、Xe(キセノン)またはSn(錫)であることを特徴とする請求項12記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記金属部は、タングステン、レニウム、オスミウム、タンタル、モリブデン、ニオブ、イリジウム、ルテニウムおよびハフニウムから選択されたいずれかの金属を含有することを特徴とする請求項12記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記露光装置は、前記第1電極を冷却する冷却機構を有し、
前記(b)工程は、前記冷却機構により、前記第1電極を冷却しつつ行なわれることを特徴とする請求項12記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
第1電極および第2電極間を有し、前記第1電極および前記第2電極間に電圧を印加し、前記第1電極と前記第2電極との間において、所定の原子をプラズマ励起させることによりEUV光を生じさせる発光部と、
前記第1電極を冷却する冷却機構と、
を有することを特徴とするEUV光照射用の光源。
【請求項17】
前記所定の原子は、Xe(キセノン)またはSn(錫)であることを特徴とする請求項16記載のEUV光照射用の光源。
【請求項18】
前記金属部は、タングステン、レニウム、オスミウム、タンタル、モリブデン、ニオブ、イリジウム、ルテニウムおよびハフニウムから選択されたいずれかの金属を含有することを特徴とする請求項16記載のEUV光照射用の光源。
【請求項19】
前記第1電極は、支持部と、前記支持部と連結した前記先端部とを有し、
前記冷却機構は、前記支持部内に冷却溶媒を循環させる機構であることを特徴とする請求項16記載のEUV光照射用の光源。
【請求項20】
第1電極および第2電極間を有し、前記第1電極および前記第2電極間に電圧を印加し、前記第1電極と前記第2電極との間において、所定の原子をプラズマ励起させることによりEUV光を生じさせる発光部と、
前記第1電極を冷却する冷却機構と、
を有するEUV光照射用の光源を有することを特徴とする装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−222260(P2012−222260A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88791(P2011−88791)
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】