説明

半導体装置の製造方法

【課題】 被エッチング材に形成するパターンの線幅の面内ばらつきを抑制可能な半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】 被エッチング材105の第1領域110、第2領域210に、それぞれ第1パターン、第2パターンを形成する際に、リソグラフィのばらつきによりレジストパターン(開口部111、開口部211)に生じるばらつきに起因して発生する、第1パターン、第2パターンの線幅がばらつき、マスク材106の厚みを調整することにより抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に係り、特に、被エッチング材に形成するパターンの線幅の面内ばらつきを抑制する半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体ウェハの大口径化により、被エッチング材に形成するパターンの線幅の半導体ウェハ面内ばらつきを抑制することが困難となってきている。
【0003】
半導体装置の製造工程では、半導体ウェハ面を複数の領域(以下、半導体チップ形成領域)に分割し、各々の半導体チップ形成領域に半導体チップを形成した後に、ダイシングすることによりチップ分割する。このような半導体装置の製造工程では、通常、半導体ウェハ上に形成された層間絶縁膜等の被エッチング材をリソグラフィによりパターニングすることにより、複数の半導体チップ形成領域に等価なパターンを形成する。このとき、複数の半導体チップ形成領域間で対応するパターンは、パターンの線幅のばらつきが小さいことが求められる。しかし、半導体ウェハの大口径化により、リソグラフィにより形成されるレジストパターンを半導体ウェハ面内で均一とすることが困難となり、被エッチング材に形成されるパターンの線幅の面内ばらつきを抑制することが困難となってきている。
【0004】
これに対し、半導体ウェハ面内で、リソグラフィの露光時間を制御することにより、半導体ウェハ面内でレジストパターンを均一とし、被エッチング材に形成されるパターンの線幅のばらつきを抑制する技術が開示されている(例えば、特許公報1参照。)。しかし、この技術では、リソグラフィの露光時間を制御するため、レジストパターンを均一とすることは可能であるが、所望のレジストパターンできない可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−277423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、被エッチング材に形成するパターンの線幅の面内ばらつきを抑制し、かつ、所望の線幅のパターンを形成可能な半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明一態様の半導体装置の製造方法は、被エッチング材の第1領域に第1パターンを、第2領域に第1パターンと等価な第2パターンを形成する半導体装置の製造方法であって、前記第1領域と前記第2領域を含む前記被エッチング材上にマスク材を形成する工程と、前記第1領域上の前記マスク材に前記第2領域上の前記マスク材より大きいドーズ量のイオン注入を行う工程と、前記マスク材をウェットエッチングすることにより、前記第1領域の前記マスク材の膜厚と、前記第2領域の前記マスク材の膜厚とを、前記イオン注入のドーズ量に応じた膜厚とする工程と、前記マスク材上にレジストを形成する工程と、前記レジスト及び前記マスク材をパターニングすることにより、前記第1領域のマスク材に底部に前記被エッチング材が露出する第1開口部を形成し、前記第2領域のマスク材に底部に前記被エッチング材が露出する第2開口部を形成する工程と、前記第1開口部及び前記第2開口部から露出した前記被エッチング材をドライエッチングすることにより、前記第1領域に第1パターンを形成し、前記第2領域に第2パターンを形成する工程と、を具備することを特徴とする。
【0008】
本発明の別態様の半導体装置の製造方法は、被エッチング材の第1領域に第1パターンを、第2領域に第1パターンと等価な第2パターンを形成する半導体装置の製造方法であって、前記第1領域と前記第2領域を含む前記被エッチング材上にマスク材を形成する工程と、前記第1領域上の前記マスク材に前記第2領域上の前記マスク材より大きいドーズ量のイオン注入を行う工程と、前記マスク材上にレジストを形成する工程と、前記レジスト及び前記マスク材をパターニングすることにより、前記第1領域のマスク材に底部に前記被エッチング材が露出する第1開口部を形成し、前記第2領域のマスク材に底部に前記被エッチング材が露出し、前記第1開口部のテーパー角より大きいテーパー角を有する、第2開口部を形成する工程と、前記第1開口部及び前記第2開口部から露出した前記被エッチング材をドライエッチングすることにより、前記第1領域に第1パターンを形成し、前記第2領域に第2パターンを形成する工程と、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、被エッチング材に形成するパターンの線幅の面内ばらつきを抑制し、かつ、所望の線幅のパターンを形成可能な半導体装置の製造方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法により、第1パターンが形成される第1領域と、第2パターンが形成される第2領域との半導体ウェハ上の位置を示した概念図。
【図2(A)】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法により、第1領域、第2領域に、それぞれ第1パターン、第2パターンを形成する工程の一部を示した断面図。
【図2(B)】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法により、第1領域、第2領域に、それぞれ第1パターン、第2パターンを形成する工程の一部を示した断面図。
【図2(C)】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法により、第1領域、第2領域に、それぞれ第1パターン、第2パターンを形成する工程の一部を示した断面図。
【図2(D)】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法により、第1領域、第2領域に、それぞれ第1パターン、第2パターンを形成する工程の一部を示した断面図。
【図2(E)】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法により、第1領域、第2領域に、それぞれ第1パターン、第2パターンを形成する工程の一部を示した断面図。
【図2(F)】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法により、第1領域、第2領域に、それぞれ第1パターン、第2パターンを形成する工程の一部を示した断面図。
【図2(G)】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法により、第1領域、第2領域に、それぞれ第1パターン、第2パターンを形成する工程の一部を示した断面図。
【図3】本発明の実施例1に係る半導体製造の製造方法において、イオン注入のドーズ量を決定する手順のフローチャート。
【図4】本発明の実施例1に係る半導体装置の製造方法において、イオン注入量を算出する工程の一部を示した断面図。
【図5】本発明の実施例1に係る半導体装置の製造方法において、イオン注入量とマスク材の厚さの関係を示す模式図。
【図6(A)】本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法により、第1領域、第2領域に、それぞれ第1パターン、第2パターンを形成する工程の一部を示した断面図。
【図6(B)】本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法により、第1領域、第2領域に、それぞれ第1パターン、第2パターンを形成する工程の一部を示した断面図。
【図6(C)】本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法により、第1領域、第2領域に、それぞれ第1パターン、第2パターンを形成する工程の一部を示した断面図。
【図6(D)】本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法により、第1領域、第2領域に、それぞれ第1パターン、第2パターンを形成する工程の一部を示した断面図。
【図6(E)】本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法により、第1領域、第2領域に、それぞれ第1パターン、第2パターンを形成する工程の一部を示した断面図。
【図6(F)】本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法により、第1領域、第2領域に、それぞれ第1パターン、第2パターンを形成する工程の一部を示した断面図。
【図7】本発明の実施例2に係る半導体製造の製造方法において、イオン注入のドーズ量を決定する手順のフローチャート。
【図8】本発明の実施例2に係る半導体装置の製造方法において、イオン注入量を算出する工程の一部を示した断面図。
【図9】本発明の実施例2に係る半導体装置の製造方法において用いるマスク材の、イオン注入量とマスク材に形成される開口部のテーパー角との関係を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0012】
本発明の実施例1に係る半導体装置の製造方法について、図1、図2を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法により、第1パターンが形成される第1領域と、第2パターンが形成される第2領域との半導体ウェハ上の位置を示した半導体ウェハの概念図である。図2は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法により、第1領域、第2領域に、それぞれ第1パターン、第2パターンを形成する工程の一部を示した断面図である。
【0013】
図1に示すように、半導体ウェハ100は、複数の領域(以下、「半導体チップ形成領域」と称する)101、102を有する。各々の半導体チップ形成領域101、102には、半導体チップが形成される。後述するように、半導体チップの形成工程において、半導体ウェハ100上に形成された層間絶縁膜等の被エッチング材上に、フォトレジストを形成後、リソグラフィによりフォトレジストをパターニングすることで、レジストパターンを形成する。次いで、レジストパターンをマスクとして被エッチング材をエッチングすることにより、被エッチング材をパターニングし、被エッチング材にパターン(以下、「被エッチング材パターン」と称する)を形成する。複数の半導体チップ形成領域には、同一の機能を有する半導体チップが形成されるため、複数の半導体チップ形成領域には、等価な被エッチング材パターンが形成される。複数の半導体チップ形成領域間で対応する被エッチング材パターンは、線幅のばらつきが小さいことが望ましい。半導体ウェハ100は、等価な非エッチングパターンが形成される半導体チップ形成領域101、102を有し、半導体チップ形成領域101、102は、それぞれ、等価な対応する被エッチングパターンが形成される第1領域110、第2領域210とを有する。第1領域110には第1パターン(被エッチング材パターン)が形成され、第2領域には第2パターン(被エッチング材パターン)が形成される。第1パターンと第2パターンの線幅のばらつきが小さいことが望ましい。
【0014】
次に、図2を参照して第1領域110に第1パターンを形成し、第2領域に第2パターンを形成する工程について説明する。被エッチング材としては、例えば、半導体ウェハ100、半導体ウェハ100上に形成された層間絶縁膜、或は、半導体ウェハ100上に形成され、上部にリソグラフィによりレジストパターンが形成された後、このレジストパターンをマスクとしてエッチングされ得る層、又は膜が想定される。
【0015】
以下の説明では、被エッチング材105の第1領域110、第2領域210に、それぞれ第1パターン(被エッチング材パターン)、第2パターン(被エッチング材パターン)を形成する際に、リソグラフィのばらつきによりレジストパターン(開口部111、開口部211)に生じるばらつきに起因して発生する、第1パターン、第2パターンの線幅のばらつきを、マスク材の厚みを調整することにより抑制する半導体装置の製造工程の一部について説明する。
【0016】
まず、図2(A)に示すように、第1領域110と第2領域210を含む被エッチング材105上にマスク材106を形成する。マスク材106は、半導体ウェハ上に略均一に形成される。マスク材の材料としては、例えば、レジスト、シリコン酸化膜(SiO2)、シリコン窒化膜(SiN)、アモルファスシリコン(a−Si)等を用いる。
【0017】
次に、図2(B)に示すように、マスク材106に対してイオン注入を行うことにより、マスク材106にダメージを与える。このとき、第1領域110と第2領域210とでイオン注入量を調整することにより、第1領域110と、第2領域210とでマスク材106に与えるダメージを調整する。イオン注入量の決定方法については、後述する。図1(B)に示すように、第1領域110上のマスク材106に、第2領域210上のマスク材106より大きいドーズ量のイオン注入を行う。なお、第2領域110にはイオン注入を行わず、第1領域210にイオン注入を行う場合も想定できる。この場合、第2領域のマスク材106にはダメージが与えられず、第1領域210にはダメージが与えられる。
【0018】
次に、図2(C)に示すように、マスク材106をウェットエッチングする。マスク材106のエッチングレートは、マスク材106に対するイオン注入量に依存する。イオン注入工程において、第1領域110上のマスク材106に、第2領域210上のマスク材106より大きいドーズ量のイオン注入を行ったため、第1領域110上のマスク材106は、第2領域210上のマスク材106よりエッチング量が大きくなる。このため、ウェットエッチング後のマスク材106の膜厚は、第1領域110上のマスク材106の膜厚が、第2領域の210上のマスク材106の膜厚より薄くなる。第1領域110上のマスク材106の厚みをH、第2領域210上のマスク材106の厚みをHとする。
【0019】
次に、図2(D)に示すように、マスク材106上にレジスト107を形成する。レジスト107は、マスク材106上に略均一に形成する。このため、レジスト107表面は、マスク材106の膜厚に応じた凹凸を有し、レジスト107とマスク材106を合わせた膜厚は、第1領域110が第2領域210より薄く形成される。
【0020】
次に、図2(E)に示すように、リソグラフィによりレジスト107をパターニングすることにより、第1領域のレジスト107に開口部111を形成し、第2領域のレジスト107に開口部211を形成する。開口部111、開口部211の底部より、マスク材106を露出させる。このとき、リソグラフィのばらつきにより、開口部111と開口部211の開口幅W1a、W2aが、均一とならず、ばらつきが生じる。開口幅W1a、W2aの開口幅のばらつきは、製造工程に起因するばらつきであり、第1領域110と、第2領域210とのマスク材106の厚みの違いによる影響は十分に小さい。
【0021】
次に、図2(F)に示すように、レジスト107をマスクとして、開口部111と、開口部211の底部から露出されたマスク材106をエッチングする。これにより、第1領域110のマスク材106に開口部112を形成し、第2領域210のマスク材106に開口部212を形成する。このとき、マスク材106のエッチングに、ドライエッチングを用いることにより、開口部112のテーパー角θと、開口部212のテーパー角θを略同一に形成する。ここで、テーパー角θとは、開口部112、212の側壁と、被エッチング材表面に垂直方向とのなす角により定義する。
【0022】
開口部112は、上端の開口幅W1a、テーパー角θ、高さH(第1領域のマスク材106の厚さ)であり、下端の開口幅W1bは次式で与えられる。
【0023】
1b=W1a−2Htanθ (式1)
一方、開口部212は、上端の開口幅W2a、テーパー角θ、高さH(第2領域のマスク材106の厚さ)であり、下端の開口幅W2bは次式で与えられる。
【0024】
2b=W2a−2Htanθ (式2)
(式1)、(式2)に示すように、W1b、W2bは、それぞれ、上端の開口幅W1a、W2a、高さH、Hにより決定される。このため、リソグラフィのばらつきにより、レジストパターン(開口幅W1a、W2a)にばらつきが生じる場合には、マスク材106の厚さH、H(開口部112、212の高さH、H)を調整することにより、下端の開口幅W1b、W2bを制御すること可能である。本実施例では、リソグラフィのばらつきにより、開口幅W2aが、開口幅W1aより大きく形成される場合に、開口部112、212の高さH、Hを調整することにより、開口部112、212の下端の開口幅W1b、W2bを均一な開口幅Wとなるように制御する。
【0025】
次に、図2(G)に示すように、開口部112、212の底部から露出された被エッチング材105をエッチングすることにより、被エッチング材105の第1領域110に第1パターン120を形成し、被エッチング材105の第2領域210に第2パターン220を形成する。次いで、レジスト107をエッチング除去する。このとき、第1パターン120の線幅は、開口部112の下端の開口幅W1bと略同一となり、第2パターン220の線幅は、開口部212の下端の開口幅W2bと略同一となる。上記したように、本実施例では、マスク材の厚みH1、Hを調整することにより、開口部112、212の下端の開口幅W1b、W2bを均一な開口幅Wとすることが可能である。このため、第1パターン120の線幅と、第2パターン220の線幅とを均一とすることが可能となる。
【0026】
次に、図3、図4、図5を参照して、マスク材へのイオン注入のドーズ量を決定する手順について説明する。図3は、本発明の実施例1に係る半導体装置の製造方法において、イオン注入のドーズ量を決定する手順のフローチャートである。図4は、本発明の実施例1に係る半導体装置の製造方法において、イオン注入量を算出する工程の一部を示した断面図である。図5は、本発明の実施例1に係る半導体装置の製造方法において用いるマスク材の、イオン注入量とマスク材の厚さとの関係を示す模式図である。半導体ウェハの1つの領域(例えば、上記、第1領域10)に着目して説明する。
【0027】
まず、図4(A)に示すように、図2に示した前述の半導体装置の製造方法により、半導体ウェハ上に被エッチング材パターンを形成する(ステップ1)。この工程では、予め設定された適当なドーズ量をマスク材にイオン注入してもよいし、イオン注入を行わず、半導体全面で均一な厚みのマスク材を用いてもよい。これにより、マスク材106に開口部112を形成する。このとき、開口部112は、テーパー角θ、高さH(マスク材106の厚さ)、下端の開口幅Wであり、被エッチング材パターンの線幅はWとなる。
【0028】
次に、形成した被エッチング材パターンの線幅を線幅測定器により測定する。これにより、半導体ウェハ上の被エッチング材パターンの面内ばらつきを測定する(ステップ2)。この工程により、被エッチング材パターンの線幅Wが測定され、所望の被エッチング材パターンの線幅W(例えば、設計値)との乖離W(=W−W)を算出する。
【0029】
次に、形成した被エッチング材パターンの線幅の面内ばらつきが許容できるか否かの判断をする(ステップ3)。判断の結果、被エッチング材パターンが許容範囲である場合には、前述のステップ1の工程で用いたイオン注入のドーズ量により、イオン注入条件が決定される(ステップ4)。一方、判断の結果、被エッチング材パターンが許容範囲でない場合には、以下の工程により、イオン注入条件を決定する。
【0030】
まず、前述の乖離W(=W−W)から、マスク材の厚みの補正量を算出する(ステップ5)。マスク材の厚みの補正量とは、ステップ1において用いたマスク材の厚さHに対する調整量を指す。マスク材の厚みの補正量ΔHは、次式で与えられる。
【0031】
ΔH=W/(2tanθ) (式3)
θは、前述したように、マスク材に形成した開口部112のテーパー角である。
【0032】
次に、マスク材の厚さを補正し、マスク材厚さH+ΔHとするために、マスク材に注入するイオン注入量を算出する(ステップ6)。図5に示す、マスク材のイオン注入量とマスク材の厚みの関係を予め取得しておくことにより、マスク材厚さH+ΔHとするために、マスク材に注入するイオン注入量を算出する。
【0033】
次に、算出されたイオン注入量を用いて、図4(B)に示すように、図2に示した前述の半導体装置の製造方法により、半導体ウェハ上に被エッチング材パターンを形成する(ステップ1)。このとき、開口部112は、テーパー角θ、高さH+ΔH、下端の開口幅W、となり、被エッチング材パターンの線幅はWとなる。
【0034】
次に、図4(B)のように形成された被エッチング材パターンの線幅Wを測定し(ステップ2)、被エッチング材パターンの線幅の面内ばらつきが許容範囲であるか否かの判断を行い(ステップ3)、許容範囲であると判断した場合には、ステップ6により算出したイオン注入量を、マスク材に対するイオン注入量として決定する(ステップ4)。
【0035】
次に、決定されたイオン注入量を用い、被エッチング材のパターニングを含む半導体装置の製造を行う(ステップ7)。
【0036】
以上のように、被エッチング材上に形成されたマスク材にイオン注入を行い、マスク材の厚みを半導体ウェハ面内で調整することにより、被エッチング材に形成するパターンの線幅の面内ばらつきを抑制し、かつ、所望の線幅のパターンを形成可能な半導体装置の製造方法を提供することが可能となる。
【実施例2】
【0037】
本発明の実施例1に係る半導体装置の製造方法について、図6を参照して説明する。図6は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法により、第1領域、第2領域に、それぞれ第1パターン、第2パターンを形成する工程の一部を示した断面図である。実施例1と同様の構成については同一の符号を付し、説明を省略する。実施例2に係る半導体装置の製造方法における、第1領域、及び第2領域は、実施例1で説明した図1に示した領域と同様である。
【0038】
以下の説明では、被エッチング材105の第1領域110、第2領域210に、それぞれ第1パターン、第2パターンを形成する際に、リソグラフィのばらつきによりレジストパターン(開口部111、開口部211)に生じるばらつきに起因して発生する、第1パターン、第2パターンの線幅のばらつきを、マスク材のパターン(開口部112、開口部212)のテーパー角を調整することにより抑制する半導体装置の製造工程の一部について説明する。
【0039】
まず、図6(A)に示すように、第1領域110と第2領域210を含む被エッチング材105上にマスク材106を形成する。マスク材106は、半導体ウェハ上に略均一に形成される。マスク材の材料としては、例えば、レジスト、シリコン酸化膜(SiO2)、シリコン窒化膜(SiN)、アモルファスシリコン(a−Si)等を用いる。第1領域101、第2領域102におけるマスク材106の厚さHは略同一である。
【0040】
次に、図6(B)に示すように、マスク材106に対してイオン注入を行うことにより、マスク材106にダメージを与える。このとき、第1領域110と第2領域210とでイオン注入量を調整することにより、第1領域110と、第2領域210とでマスク材106に与えるダメージを調整する。イオン注入量の決定方法については後述する。図1(B)に示すように、第1領域110上のマスク材106に、第2領域210上のマスク材106より大きいドーズ量のイオン注入を行う。なお、第2領域110にはイオン注入を行わず、第1領域210にイオン注入を行う場合も想定できる。この場合、第2領域のマスク材106にはダメージが与えられず、第1領域210にはダメージが与えられる。
【0041】
次に、図6(C)に示すように、マスク材106上にレジスト107を形成する。レジスト107は、マスク材106上に略均一に形成する。
【0042】
次に、図6(D)に示すように、リソグラフィによりレジスト107をパターニングすることにより、第1領域のレジスト107に開口部111を形成し、第2領域のレジスト107に開口部211を形成する。開口部111、開口部211の底部より、レジスト107を露出させる。このとき、このとき、リソグラフィのばらつきにより、開口部111と開口部211の開口幅W1a、W2aが、均一とならず、ばらつきが生じる。開口幅W1a、W2aの開口幅のばらつきは、製造工程に起因するばらつきである。
【0043】
次に、図6(E)に示すように、レジスト107をマスクとして、開口部111と、開口部211の底部から露出されたマスク材106をエッチングすることにより、マスク材106に開口部112、開口部212を形成する。マスク材106のエッチングレートは、マスク材106に対するイオン注入量に依存する。イオン注入工程において、第1領域110上のマスク材106に、第2領域210上のマスク材106より大きいドーズ量のイオン注入を行ったため、第1領域110上のマスク材106は、第2領域210上のマスク材106よりエッチング量が大きい。このため、マスク材106をエッチングすることにより第1領域110に形成される開口部111のテーパー角θは、第2領域210に形成される開口部211のテーパー角θより小さくなる。
【0044】
開口部112は、上端の開口幅W1a、テーパー角θ、高さH(マスク材106の厚さ)であり、下端の開口幅W1bは次式で与えられる。
【0045】
1b=W1a−2Htanθ (式4)
一方、開口部212は、上端の開口幅W2a、テーパー角θ、高さH(マスク材106の厚さ)であり、下端の開口幅W2bは次式で与えられる。
【0046】
2b=W1a−2Htanθ (式5)
(式4)、(式5)に示すように、W1b、W2bは、それぞれ、上端の開口幅W1a、W2a、テーパー角θ、θにより決定される。このため、リソグラフィのばらつきにより、レジストパターン(開口幅W1a、W2a)にばらつきが生じる場合には、開口部112、212のテーパー角θ、θを調整することにより、開口幅W1b、W2bを制御することが可能である。本実施例では、リソグラフィのばらつきにより、開口幅W2aが、開口幅W1aより大きく形成される場合に、開口部112、212のテーパー角θ、θを調整することにより、開口部112、212の下端の開口幅W1b、W2bが均一な開口幅Wとなるように制御することが可能となる。
【0047】
次に、図6(F)に示すように、開口部112、212の底部から露出された被エッチング材105をエッチングすることにより、被エッチング材105の第1領域110に第1パターン120を形成し、被エッチング材105の第2領域210に第2パターン220を形成する。次いで、レジスト107をエッチング除去する。このとき、第1パターン120の線幅は、開口部112の下端の開口幅W1bと略同一となり、第2パターン220の線幅は、開口部212の下端の開口幅W2bと略同一となる。上記したように、本実施例では、開口部112、212のテーパー角を調整することにより、開口部112、212の下端の開口幅W1b、W2bが均一とすることが可能である。このため、第1パターン120の線幅と、第2パターン220の線幅とを均一とすることが可能となる。
【0048】
次に、図7、図8、図9を参照して、マスク材へのイオン注入のドーズ量を決定する手順について説明する。図7は、本発明の実施例2に係る半導体装置の製造方法において、イオン注入のドーズ量を決定する手順のフローチャートである。図8は、本発明の実施例2に係る半導体装置の製造方法において、イオン注入量を算出する工程の一部を示した断面図である。図9は、本発明の実施例2に係る半導体装置の製造方法において用いるマスク材の、イオン注入量とマスク材に形成される開口部のテーパー角との関係を示す模式図である。
【0049】
まず、図8(A)に示すように、図2に示した前述の半導体装置の製造方法により、半導体ウェハ上に被エッチング材パターンを形成する(ステップ1)。この工程では、予め設定された適当なドーズ量をマスク材にイオン注入してもよいし、イオン注入を行わず、半導体全面で均一な厚みのマスク材を用いてもよい。これにより、マスク材106に開口部112を形成する。このとき、開口部112は、下端の開口幅W、テーパー角θ、高さH(マスク材106の厚さ)であるとし、被エッチング材パターンの線幅はWとなる。
【0050】
次に、形成した被エッチング材パターンの線幅を線幅測定器により測定する。これにより、半導体ウェハ上の被エッチング材パターンの面内ばらつきを測定する(ステップ2)。この工程により、被エッチング材パターンの線幅Wが測定され、所望の被エッチング材パターンの線幅W(例えば、設計値)との乖離W(=W−W)を算出する。
【0051】
次に、形成した被エッチング材パターンの線幅の面内ばらつきが許容できるか否かの判断をする(ステップ3)。判断の結果、被エッチング材パターンが許容範囲である場合には、前述のステップ1の工程で用いたイオン注入のドーズ量により、イオン注入条件が決定される(ステップ4)。一方、判断の結果、被エッチング材パターンが許容範囲でない場合には、以下の工程により、イオン注入条件を決定する。
【0052】
まず、前述の乖離W(=W−W)から、マスク材のテーパー角の補正値を算出する(ステップ5)。マスク材のテーパー角の補正値θは、次式で与えられる。
【0053】
tanθ=2H/W (式6)
Hは、前述したように、マスク材の厚みである。
【0054】
次に、マスク材に形成する開口部112のテーパー角をθとするために。マスク材に注入するイオン注入量を算出する(ステップ6)。図9に示す、マスク材のイオン注入量と
マスク材に形成する開口部112のテーパー角θとの関係を予め取得しておくことにより、マスク材に形成する開口部112のテーパー角θとするために、マスク材に注入するイオン注入量を算出する。
【0055】
次に、算出されたイオン注入量を用いて、図8(B)に示すように、図2に示した前述の半導体装置の製造方法により、半導体ウェハ上に被エッチング材パターンを形成する(ステップ1)。このとき、開口部112は、テーパー角θ、高さH、下端の開口幅Wとなり、被エッチング材パターンの線幅はWとなる。
【0056】
次に、図4(B)のように形成された被エッチング材パターンの線幅Wを測定し(ステップ2)、被エッチング材パターンの線幅の面内ばらつきが許容範囲であるか否かの判断を行い(ステップ3)、許容範囲であると判断した場合には、ステップ6により算出したイオン注入量を、マスク材に対するイオン注入量として決定する(ステップ4)。
【0057】
次に、決定されたイオン注入量を用い、被エッチング材のパターニングを含む半導体装置の製造を行う(ステップ7)。
【0058】
以上のように、被エッチング材上に形成されたマスク材にイオン注入を行い、マスク材に形成する開口部のテーパー角を半導体ウェハ面内で調整することにより、被エッチング材に形成するパターンの線幅の面内ばらつきを抑制し、かつ、所望の線幅のパターンを形成可能な半導体装置の製造方法を提供することが可能となる。
【0059】
なお、前述した各実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更/改良されうると共に、本発明にはその等価物も含まれる。例えば、本実施例では、レジスト107として、ポジ型レジストを用いているが、ネガ型レジストであってもよい。この場合、レジスト107をマスク材としたエッチング後のマスク材106は、実施例に示すマスク材106のマスク材が残る部分と、エッチング除去される部分(開口部112、212)とが反転した構造となる。この場合についても、前述の実施例の効果が得られる。
【符号の説明】
【0060】
100 半導体ウェハ
101、102 半導体チップ形成領域
105 被エッチング材
106 マスク材
107 レジスト
110 第1領域
210 第2領域
111、112、211、212 開口部
120 第1パターン
220 第2パターン
W1a、W2a 上端の開口幅
W1b、W2b 下端の開口幅
θ1、θ2 テーパー角
H、H1、H2 厚さ(高さ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被エッチング材の第1領域に第1パターンを、第2領域に第1パターンと等価な第2パターンを形成する工程を備える半導体装置の製造方法であって、
前記第1領域と前記第2領域を含む前記被エッチング材上にマスク材を形成する工程と、
前記第1領域上の前記マスク材に前記第2領域上の前記マスク材より大きいドーズ量のイオン注入を行う工程と、
前記マスク材をウェットエッチングすることにより、前記第1領域の前記マスク材の膜厚と、前記第2領域の前記マスク材の膜厚とを、前記イオン注入のドーズ量に応じた膜厚とする工程と、
前記マスク材上にレジストを形成する工程と、
前記レジスト及び前記マスク材をパターニングすることにより、前記第1領域のマスク材に底部に前記被エッチング材が露出する第1開口部を形成し、前記第2領域のマスク材に底部に前記被エッチング材が露出する第2開口部を形成する工程と、
前記第1開口部及び前記第2開口部から露出した前記被エッチング材をドライエッチングすることにより、前記第1領域に第1パターンを形成し、前記第2領域に第2パターンを形成する工程と、
を具備することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記第1開口部のテーパー角と、前記第2開口部のテーパー角とが略同一であることを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
被エッチング材の第1領域に第1パターンを、第2領域に第1パターンと等価な第2パターンを形成する工程を備える半導体装置の製造方法であって、
前記第1領域と前記第2領域を含む前記被エッチング材上にマスク材を形成する工程と、
前記第1領域上の前記マスク材に前記第2領域上の前記マスク材より大きいドーズ量のイオン注入を行う工程と、
前記マスク材上にレジストを形成する工程と、
前記レジスト及び前記マスク材をパターニングすることにより、前記第1領域のマスク材に底部に前記被エッチング材が露出する第1開口部を形成し、前記第2領域のマスク材に底部に前記被エッチング材が露出し、前記第1開口部のテーパー角より大きいテーパー角を有する、第2開口部を形成する工程と、
前記第1開口部及び前記第2開口部から露出した前記被エッチング材をドライエッチングすることにより、前記第1領域に第1パターンを形成し、前記第2領域に第2パターンを形成する工程と、
を具備することを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2(A)】
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【図2(B)】
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【図2(C)】
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【図2(D)】
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【図2(E)】
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【図2(F)】
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【図2(G)】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6(A)】
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【図6(B)】
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【図6(C)】
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【図6(D)】
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【図6(E)】
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【図6(F)】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−23611(P2011−23611A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−168222(P2009−168222)
【出願日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】