説明

半導体装置の製造方法

【課題】パターン形成不良が発生することを抑制する。
【解決手段】まず、N型コレクタとなる基板110上に、第1開口部(不図示)を有するシリコン酸化膜120を形成する。次いで、シリコン酸化膜120及び第1開口部に露出した基板110の表面上に第1絶縁膜を形成する。次いで、第1絶縁膜をエッチバックすることにより、シリコン酸化膜120の第1開口部における側壁のみに、第1絶縁膜を残存させて、側壁部を形成する。次いで、シリコン酸化膜120等の上に、ベース引出部144となるポリシリコン膜を形成する。次いで、ポリシリコン膜上に、第2開口部(不図示)を有する第2絶縁膜を形成する。次いで、第2絶縁膜をマスクとして、ポリシリコン膜のうち、第2開口部により露出している部分を酸化してシリコン酸化膜に変化させる。次いで、シリコン酸化膜に変化させた部分を選択的に除去する。次いで、側壁部と第2絶縁膜を選択的に除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、バイポーラトランジスタについて、様々な構造のものが提案されている。たとえば、特許文献1(特開2002−353231号公報)のバイポーラトランジスタが挙げられる。特許文献1には、ベース領域とベース電極とを接続するベース引出部を備えており、ベース引出部の少なくとも一部は、高融点金属シリサイド/高融点金属/高融点金属シリサイドからなる積層膜で構成されているバイポーラトランジスタが記載されている。これにより、ポリシリコン膜でベース引出部を構成するよりも、低抵抗化が図れるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−353231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、本発明者は、特許文献1のようなバイポーラトランジスタの構造において、下記のような課題を見出した。第1に、ベース領域を形成するために、ベース引出部下のシリコン酸化膜の開口部を形成する工程において、シリコン酸化膜がオーバーエッチングされてしまい、ベース引出部が垂れてしまうなどの不良が起こる可能性があった。第2に、このバイポーラトランジスタにおけるベース引出部は、特許文献1のようにポリシリコン層等で形成されている。このベース引出部をフォトレジスト形成後に塩素プラズマでエッチングした場合、ベース引出部の側壁に副生成物が付着し、エッチングされずに残渣となる。このようなベース引出部に副生成物が残存すると、その後の洗浄工程で除去できない可能性があった。このように、ベース引出部下のシリコン酸化膜の開口部を形成する工程において、パターン形成不良が起こる可能性があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、
第1導電型のコレクタとなる基板上に、第1開口部を有するシリコン酸化膜を形成する工程と、
前記シリコン酸化膜及び前記第1開口部に露出した前記基板の表面上に第1絶縁膜を形成する工程と、
前記第1絶縁膜をエッチバックすることにより、前記シリコン酸化膜の前記第1開口部における側壁のみに前記第1絶縁膜を残存させて、側壁部を形成する工程と、
前記シリコン酸化膜、前記第1開口部に露出した前記基板の表面、及び前記側壁部上に、ベース引出部となるポリシリコン膜を形成する工程と、
前記ポリシリコン膜上に、第2開口部を有する第2絶縁膜を形成する工程と、
前記第2絶縁膜をマスクとして、前記ポリシリコン膜のうち、前記第2開口部により露出している部分を酸化してシリコン酸化膜に変化させる工程と、
前記シリコン酸化膜に変化させた部分を選択的に除去する工程と、
前記側壁部と前記第2絶縁膜を選択的に除去する工程と、
前記ポリシリコン膜上と、当該ポリシリコン膜に形成された開口部の側壁と、前記シリコン酸化膜の前記第1開口部の側壁と、前記第1開口部に露出した前記基板の表面上と、を被覆するように、第2導電型の半導体膜をエピタキシャル成長させてベース領域を形成する工程と、
前記ベース領域上に、当該ベース領域の中央に第3開口部を有する第3絶縁膜を形成する工程と、
前記第3開口部から第1導電型のポリシリコン膜を成長させて、エミッタ領域を形成する工程と、
を備える半導体装置の製造方法が提供される。
【0006】
本発明によれば、第1導電型のコレクタとなる基板上に、第1開口部を有するシリコン酸化膜を形成する。次いで、シリコン酸化膜及び第1開口部に露出した基板の表面上に、第1絶縁膜を形成する。次いで、第1絶縁膜をエッチバックすることにより、シリコン酸化膜の第1開口部における側壁のみに第1絶縁膜を残存させて、側壁部を形成する。次いで、シリコン酸化膜、第1開口部に露出した基板の表面、及び側壁部上に、ベース引出部となるポリシリコン膜を形成する。次いで、ポリシリコン膜上に、第2開口部を有する第2絶縁膜を形成する。次いで、第2絶縁膜をマスクとして、ポリシリコン膜のうち、第2開口部により露出している部分を酸化してシリコン酸化膜に変化させる。次いで、シリコン酸化膜に変化させた部分を選択的に除去する。次いで、側壁部と第2絶縁膜を選択的に除去する。このとき、第1絶縁膜による側壁部が、シリコン酸化膜のエッチングを抑止し、シリコン酸化膜をオーバーエッチングさせることがない。また、ポリシリコン膜のパターニングの際に、ドライエッチングを用いた場合に生じる副生成物が形成されることもない。このようにして、パターン形成不良が発生することを抑制できる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、パターン形成不良が発生することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
【図2】第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための断面図である。
【図3】第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための断面図である。
【図4】第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための断面図である。
【図5】第2の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
【図6】第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。以下の実施の形態において、第1導電型がN型、第2導電型がP型である場合を例として示すが、これらは、逆とすることもできる。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。この半導体装置は、以下のような構成を備えている。まず、N型のコレクタとなる基板110上には、第1開口部(不図示)を有するシリコン酸化膜120が形成されている。シリコン酸化膜120上には、ベース引出部144が形成されている。また、シリコン酸化膜120とベース引出部144とを被覆するように、ベース領域(不図示)となる半導体膜160が形成されている。さらに、第3絶縁膜170は、ベース領域上に設けられており、その中央部には、第3開口部(不図示)が形成されている。第3絶縁膜170の第3開口部上には、N型のエミッタ領域180が形成されている。以下、詳細を説明する。なお、第1絶縁膜(130)、第2絶縁膜(150)については、製造方法の説明において詳細を後述する。
【0011】
基板110は、たとえば、N型のシリコン基板である。この基板110は、バイポーラトランジスタにおけるコレクタとして機能する。
【0012】
図1のように、基板110上には、第1開口部を有するシリコン酸化膜120が形成されている。シリコン酸化膜120上には、ベース引出部144が形成されている。ベース引出部144は、たとえば、ポリシリコン膜である。
【0013】
また、シリコン酸化膜120とベース引出部144とを被覆するように、ベース領域となる半導体膜160が形成されている。これにより、半導体膜160は、第1開口部内に入っていて、基板110に接続している。この半導体膜160のうち、第1開口部の基板110表面と接続している部分がベース領域として機能する。また、半導体膜160は、シリコン酸化膜120とベース引出部144とを被覆することで、凹部(不図示)を有している。ここで、半導体膜160は、たとえば、Si膜でもSiGe膜でもよい。具体的には、半導体膜160は、たとえば、P型Si膜である。
【0014】
さらに、第3絶縁膜170は、ベース領域上に設けられている。これにより、第3絶縁膜170も、半導体膜160と同じ位置に凹部を有している。この凹部における中央には、第3絶縁膜170の第3開口部が形成されている。第3絶縁膜170は、たとえば、シリコン酸化膜である。
【0015】
また、第3絶縁膜170の第3開口部及び凹部には、エミッタ領域180が形成されている。これにより、エミッタ領域180は、第3開口部内に入っていて、ベース領域に接続している。ここで、エミッタ領域180は、たとえば、N型ポリシリコンである。
【0016】
第3絶縁膜170及びエミッタ領域180上には、層間絶縁膜190が形成されている。層間絶縁膜190は、たとえば、シリコン酸化膜である。層間絶縁膜190には、ベース引出部144及びエミッタ領域180が位置する領域上に、ビア(不図示)が形成されている。そのうち、ベース引出部144の上方には、ベース電極210が設けられている。なお、ベース電極210は、ベース領域が形成された第1開口部、及びエミッタ領域180からずれている。また、エミッタ領域180の上方にはエミッタ電極220が設けられている。
【0017】
次に、図1〜図4を用いて、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する。図2〜4は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための断面図である。第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法は、以下の工程を備えている。まず、N型コレクタとなる基板110上に、第1開口部(不図示)を有するシリコン酸化膜120を形成する。次いで、シリコン酸化膜120及び第1開口部に露出した基板110の表面上に第1絶縁膜130を形成する。次いで、第1絶縁膜130をエッチバックすることにより、シリコン酸化膜120の第1開口部における側壁のみに、第1絶縁膜130を残存させて、側壁部132を形成する。次いで、シリコン酸化膜120、第1開口部に露出した基板110の表面、及び側壁部132上に、ベース引出部144となるポリシリコン膜140を形成する。次いで、ポリシリコン膜140上に、第2開口部(不図示)を有する第2絶縁膜150を形成する。次いで、第2絶縁膜150をマスクとして、ポリシリコン膜140のうち、第2開口部により露出している部分を酸化してシリコン酸化膜142に変化させる。次いで、シリコン酸化膜に変化させた部分(142)を選択的に除去する。次いで、側壁部132と第2絶縁膜150を選択的に除去する。次いで、ポリシリコン膜(144)上と、当該ポリシリコン膜(144)に形成された開口部の側壁と、シリコン酸化膜120の第1開口部の側壁と、第1開口部に露出した基板110の表面上と、を被覆するように、P型の半導体膜160をエピタキシャル成長させてベース領域(不図示)を形成する。次いで、ベース領域上に、当該ベース領域の中央に第3開口部を有する第3絶縁膜170を形成する。次いで、第3開口部からN型のポリシリコン膜を成長させて、エミッタ領域180を形成する。以下、詳細を説明する。
【0018】
まず、図2(a)のように、N型シリコン基板の基板110上に、第1開口部を有するシリコン酸化膜120を形成する。ここで、シリコン酸化膜120の第1開口部は、フッ酸によりウェットエッチングされる。このとき、ドライエッチングは、ベース領域が形成される基板110の表面にダメージを与えてしまうため、上記したようなウェットエッチングの方が好ましい。
【0019】
次いで、シリコン酸化膜120及び第1開口部に露出した前記基板の表面上に第1絶縁膜130を形成する。第1絶縁膜130は、たとえば、シリコン酸化膜120と異なる材料で、エッチング選択性を有する材料が用いられる。第1絶縁膜130は、たとえば、シリコン窒化膜である。
【0020】
次いで、図2(b)のように、異方性ドライエッチングを用い、第1絶縁膜130をエッチバックする。これにより、シリコン酸化膜120の第1開口部における側壁のみに、第1絶縁膜130を残存させて、側壁部132を形成する。
【0021】
次いで、図2(c)のように、CVD(Chemical Vapor Deposition)により、シリコン酸化膜120、第1開口部に露出した基板110の表面、及び側壁部132上に、ベース引出部144となるポリシリコン膜140を形成する。シリコン原料は、たとえばSiHである。
【0022】
次いで、図2(d)のように、ポリシリコン膜140上に、第2絶縁膜150を形成する。第2絶縁膜150は、たとえば、第1絶縁膜130と同じ材料であってもよい。これにより、後述する側壁部132と第2絶縁膜150を除去する工程を同時に行うことができる。具体的には、第2絶縁膜150は、たとえば、シリコン窒化膜である。
【0023】
次いで、第2絶縁膜150上にフォトレジストをパターニングし、所定の位置にフォトレジストパターンを形成する。次いで、そのフォトレジストをマスクにして、ドライエッチングにより、第2絶縁膜150に第2開口部を形成する。このとき、第2絶縁膜150の第2開口部を、側壁部132によって囲まれた領域(不図示)よりも広く、シリコン酸化膜120の第1開口部よりも狭く形成する。次いで、マスクとしたフォトレジストを除去する。
【0024】
次いで、図3(a)のように、第2絶縁膜150をマスクとして、図2(d)におけるポリシリコン膜140のうち、第2開口部により露出している部分を熱酸化する。このとき、熱酸化する時間は、ポリシリコン膜140の厚さを酸化させるために要する最小限の時間とする。ここでは、熱酸化を、たとえば、酸素を流した酸化炉において、800℃〜1000℃に加熱する。これにより、図2(d)におけるポリシリコン膜140のうち、第2開口部により露出している部分を、シリコン酸化膜142に変化させる。
【0025】
次いで、図3(b)のように、シリコン酸化膜に変化させた部分(142)を選択的に除去する。ここで、フッ酸を含むエッチャントにより、シリコン酸化膜に変化させた部分(142)をエッチングする。このとき、側壁部132及び第2絶縁膜150がシリコン窒化膜である場合、フッ酸を含むエッチャントによって、ほとんどエッチングされない。これにより、選択的にシリコン酸化膜に変化させた部分(142)のみがエッチングされる。
【0026】
また、このエッチング工程により、ドライエッチングを用いないため、ベース領域が形成される基板110の表面を損傷させることがない。また、上記した熱酸化工程で、基板110の表面の一部も酸化されてしまった場合においても、その一部に形成されたシリコン酸化膜をエッチングして、再度、清浄で平滑なシリコン表面を形成することができる。以上のようにして、この工程において、ベース引出部144を形成する。
【0027】
次いで、図3(c)のように、側壁部132と第2絶縁膜150を選択的に除去する。第1の実施形態では、側壁部132と第2絶縁膜150が同じ材料(シリコン窒化膜)であるため、同一のエッチング条件によって除去する。このとき、側壁部132と第2絶縁膜150のみがエッチングされやすい条件でエッチングを行う。具体的には、100℃以上に加熱したリン酸を含むエッチャントにより、側壁部132と第2絶縁膜150を同時にエッチングする。このリン酸を含むエッチャントはエッチング選択性が高く、シリコン酸化膜120をほとんどエッチングしないため、側壁部132と第2絶縁膜150のみを選択的にエッチングすることができる。
【0028】
なお、側壁部132(第1絶縁膜130)と第2絶縁膜150が別の材料から形成されている場合は、側壁部132(第1絶縁膜130)と第2絶縁膜150とが、それぞれ選択的にエッチングされやすい条件で、二度エッチングを行えばよく、シリコン酸化膜120をエッチングしない条件であればよい。
【0029】
次いで、図4(a)のように、CVDにより、ポリシリコン膜のベース引出部144上と、当該ポリシリコン膜(ベース引出部144)に形成された開口部の側壁と、シリコン酸化膜120の第1開口部の側壁と、第1開口部に露出した基板110の表面上と、を被覆するように、P型の半導体膜160をエピタキシャル成長させる。これにより、ベース領域(不図示)を形成する。詳細には、第1開口部に露出した基板110の表面上に、P型の半導体膜160をエピタキシャル成長させて、ベース領域を形成する。それと同時に、ポリシリコン膜(ベース引出部144)上に、多結晶の半導体膜160を形成する。ここでは、CVDにおいて、たとえば、シリコン原料としてSiH、ドーパントとしてBを使用する。これにより、半導体膜160として、たとえば、BがドーピングされたP型Si膜を形成する。
【0030】
次いで、図4(b)のように、ベース領域上に、第3絶縁膜170を形成する。上述のように、第3絶縁膜170は、たとえば、シリコン酸化膜である。次いで、第3絶縁膜170上にフォトレジストをパターニングし、所定の位置にフォトレジストパターンを形成する。次いで、そのフォトレジストをマスクにして、ドライエッチングにより、第3絶縁膜170に第3開口部を形成する。このとき、第3絶縁膜170の第3開口部を、ベース領域の中央部において、第1開口部よりも狭い範囲で形成する。次いで、マスクとしたフォトレジストを除去する。
【0031】
次いで、図4(c)のように、CVDにより、第3開口部からN型のポリシリコン膜を成長させる。ここでは、CVDにおいて、たとえば、シリコン原料としてSiH、ドーパントとしてPHを使用する。次いで、フォトレジストをパターン形成し、フォトレジストをマスクとして、ドライエッチングにより、所定のエミッタ領域180以外のポリシリコン膜を除去する。次いで、マスクとしたフォトレジストを除去して、エミッタ領域180を形成する。
【0032】
次いで、図1のように、第3絶縁膜170及びエミッタ領域180上に、層間絶縁膜190を形成する。次いで、ベース引出部144上に位置する第3絶縁膜170及び層間絶縁膜190にビアホール(不図示)を形成する。同時に、エミッタ領域180上に位置する層間絶縁膜190にビアホール(不図示)を形成する。
【0033】
次いで、上記したビアホールにシード膜(不図示)を形成する。次いで、シード膜をシードとしてメッキを行い、ビアホールに金属を埋め込む。これにより、ベース引出部144上にベース電極210を形成する。また、エミッタ領域180上にエミッタ電極220を形成する。
【0034】
以上のようにして、第1の実施形態のバイポーラトランジスタを形成する。
【0035】
次に、第1の実施形態の効果について、比較例と対比しながら説明する。
【0036】
まず、ベース引出部144下のシリコン酸化膜120の開口部を形成する工程において、基板110上に、シリコン酸化膜120とポリシリコン膜140を積層してから、後から一度にパターニングする場合と比較する。この場合においては、まず、フォトレジストを形成した後、ポリシリコン膜140をドライエッチングにより除去する。次いで、そのフォトレジストとポリシリコン膜140をマスクとして、さらにシリコン酸化膜120をエッチングする。このとき、エッチング量のバラつきや、エッチング時間のマージンを考慮して、シリコン酸化膜120をオーバーエッチングする。このようにして、上述したようなオーバーエッチング部の垂れなどが生じてしまう。
【0037】
また、上記方法では、ポリシリコン膜140をフォトレジスト形成後に塩素プラズマでエッチングした場合、ベース引出部144となるポリシリコン膜140の側壁に副生成物が付着し、エッチングされずに残渣となる。このような副生成物が残存すると、その後の洗浄工程で除去できない可能性がある。
【0038】
このように、上記比較例では、ベース引出部144下のシリコン酸化膜120の開口部を形成する工程において、パターン形成不良が起こる可能性がある。
【0039】
一方、第1の実施形態によれば、第1導電型のコレクタとなる基板上に、第1開口部を有するシリコン酸化膜を形成する。次いで、シリコン酸化膜及び第1開口部に露出した基板の表面上に、第1絶縁膜を形成する。次いで、第1絶縁膜をエッチバックすることにより、シリコン酸化膜の第1開口部における側壁のみに第1絶縁膜を残存させて、側壁部を形成する。次いで、シリコン酸化膜、第1開口部に露出した基板の表面、及び側壁部上に、ベース引出部となるポリシリコン膜を形成する。次いで、ポリシリコン膜上に、第2開口部を有する第2絶縁膜を形成する。次いで、第2絶縁膜をマスクとして、ポリシリコン膜のうち、第2開口部により露出している部分を酸化してシリコン酸化膜に変化させる。次いで、シリコン酸化膜に変化させた部分を選択的に除去する。次いで、側壁部と第2絶縁膜を選択的に除去する。このとき、第1絶縁膜による側壁部が、シリコン酸化膜のエッチングを抑止し、シリコン酸化膜をオーバーエッチングさせることがない。また、ポリシリコン膜のパターニングの際に、ドライエッチングを用いた場合に生じる副生成物が形成されることもない。
【0040】
このようにして、第1の実施形態によれば、パターン形成不良が発生することを抑制できる。
【0041】
(第2の実施形態)
図5は、第2の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。また、図6は、第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための断面図である。第2の実施形態は、以下の点を除いて、第1の実施形態と同様である。第2の実施形態によれば、シリコン酸化膜120における第1開口部の形成領域と、第2絶縁膜150における第2開口部の形成領域は等しい。以下、詳細を説明する。
【0042】
図5のように、シリコン酸化膜120における第1開口部とベース引出部144の端部は、面一で形成されている。
【0043】
図6(a)は、第1の実施形態における図2(c)後の状態を示している。図6(a)のように、第2絶縁膜150における第2開口部を、シリコン酸化膜120における第1開口部と等しい大きさで形成する。
【0044】
次いで、第1の実施形態における図3(a)、図3(b)と同様の工程を行う。
【0045】
以上により、図6(b)のように、ベース引出部144の端部を、シリコン酸化膜120における第1開口部と面一になるように形成することができる。
【0046】
次に、第2の実施形態の効果を説明する。第2の実施形態によれば、シリコン酸化膜120における第1開口部の形成領域と、第2絶縁膜150における第2開口部の形成領域は等しい。これにより、第1の実施形態と同様の工程を行うことで、ベース引出部144の端部を、シリコン酸化膜120における第1開口部と面一になるように形成することができる。以上のようにして、第1の実施形態の効果に加えて、トランジスタの形成領域を縮小化させることができる。また、パターン精度を向上させることができる。
【0047】
以上、二つの実施形態においては、第2導電型のベース領域はSi膜で形成されている場合を説明したが、SiGe膜のベース領域で形成されているヘテロバイポーラトランジスタであってもよい。
【0048】
以上、二つの実施形態においては、第2絶縁膜150はシリコン窒化膜である場合を説明したが、シリコン酸化膜であってもよい。この場合は、ポリシリコン膜140のうち、シリコン酸化膜に変化させた部分(142)を除去する工程において、第2絶縁膜150も同時に除去することができる。
【0049】
以上、二つの実施形態においては、半導体膜160及びエミッタ領域180を形成すると同時に不純物のドーピングを行う場合を説明したが、ノンドープ層を形成後にイオン注入によりドーピングしてもよい。
【0050】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0051】
110 基板
120 シリコン酸化膜
130 第1絶縁膜
132 側壁部
140 ポリシリコン膜
142 シリコン酸化膜
144 ベース引出部
150 第2絶縁膜
160 半導体膜
170 第3絶縁膜
180 エミッタ領域
190 層間絶縁膜
210 ベース電極
220 エミッタ電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型のコレクタとなる基板上に、第1開口部を有するシリコン酸化膜を形成する工程と、
前記シリコン酸化膜及び前記第1開口部に露出した前記基板の表面上に第1絶縁膜を形成する工程と、
前記第1絶縁膜をエッチバックすることにより、前記シリコン酸化膜の前記第1開口部における側壁のみに前記第1絶縁膜を残存させて、側壁部を形成する工程と、
前記シリコン酸化膜、前記第1開口部に露出した前記基板の表面、及び前記側壁部上に、ベース引出部となるポリシリコン膜を形成する工程と、
前記ポリシリコン膜上に、第2開口部を有する第2絶縁膜を形成する工程と、
前記第2絶縁膜をマスクとして、前記ポリシリコン膜のうち、前記第2開口部により露出している部分を酸化してシリコン酸化膜に変化させる工程と、
前記シリコン酸化膜に変化させた部分を選択的に除去する工程と、
前記側壁部と前記第2絶縁膜を選択的に除去する工程と、
前記ポリシリコン膜上と、当該ポリシリコン膜に形成された開口部の側壁と、前記シリコン酸化膜の前記第1開口部の側壁と、前記第1開口部に露出した前記基板の表面上と、を被覆するように、第2導電型の半導体膜をエピタキシャル成長させてベース領域を形成する工程と、
前記ベース領域上に、当該ベース領域の中央に第3開口部を有する第3絶縁膜を形成する工程と、
前記第3開口部から第1導電型のポリシリコン膜を成長させて、エミッタ領域を形成する工程と、
を備える半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2導電型の半導体膜は、Si膜またはSiGe膜である半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1開口部の形成領域と前記第2開口部の形成領域は等しい半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記シリコン酸化膜に変化させた部分を選択的に除去する工程において、フッ酸を含むエッチャントにより、前記シリコン酸化膜に変化させた部分をエッチングする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1絶縁膜は、シリコン窒化膜である半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2絶縁膜は、前記第1絶縁膜と同じ材料である半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1絶縁膜と前記第2絶縁膜は、シリコン窒化膜であり、
前記側壁部と前記第2絶縁膜を選択的に除去する工程において、100℃以上に加熱したリン酸を含むエッチャントにより、前記側壁部と前記第2絶縁膜を同時にエッチングする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−151264(P2012−151264A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−8521(P2011−8521)
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】