半導体装置モジュール
【課題】高温動作が可能であるとともに、小型化、軽量化を実現することが可能な半導体装置モジュールを提供する。
【解決手段】P側回路とN側回路とがケース18で囲まれ、ケース18と放熱板4とで構成される筐体内には絶縁性の封止材16が充填されてP側回路ユニット210およびN側回路ユニット220が樹脂封止されている。P側回路ユニット210の第2の主電極端子6AおよびN側回路ユニット220の第1の主電極端子7Aの形状は、上端部が2段階に曲げられて断面がZ字状となっている。第2の主電極端子6Aと第1の主電極端子7Aとの間の接続部材9Aは、長辺に沿った方向の両端部が同じ方向に90度よりもやや小さな角度となるように曲げられているとともに、中央部がカーブした断面形状を有している。
【解決手段】P側回路とN側回路とがケース18で囲まれ、ケース18と放熱板4とで構成される筐体内には絶縁性の封止材16が充填されてP側回路ユニット210およびN側回路ユニット220が樹脂封止されている。P側回路ユニット210の第2の主電極端子6AおよびN側回路ユニット220の第1の主電極端子7Aの形状は、上端部が2段階に曲げられて断面がZ字状となっている。第2の主電極端子6Aと第1の主電極端子7Aとの間の接続部材9Aは、長辺に沿った方向の両端部が同じ方向に90度よりもやや小さな角度となるように曲げられているとともに、中央部がカーブした断面形状を有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置モジュールに関し、特に、高温動作可能な半導体装置モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置には多くの電子部品が搭載され、これらの電子部品と配線部材とを接続することにより、電気回路を形成している。これらの電子部品の配設、配線部材の接続は、従来は、ネジ締めや、はんだ付け等のロウ付けにより行っていた。例えば、特許文献1には、半導体チップの内部リードを外部導出導体板にクリームはんだで接続する構成が開示されている。
【0003】
最近の半導体装置は、高機能化に従って、より多くの、かつ多種類に及ぶ部品が必要となっているが、一方で、民生用電機製品、車載用電子機器に使用される観点から、小型化および軽量化も要求されている。
【0004】
昨今は、シリコン基板に代わる半導体基板として炭化珪素(SiC)基板を用いた半導体素子(炭化珪素半導体素子)の開発がなされている。
【0005】
炭化珪素半導体素子は、これまでのシリコン半導体素子よりも高温な環境下での動作が可能とされている。シリコン半導体素子においては、175℃以上のジャンクション温度(Tj)を保証するいわゆる高Tj対応の半導体装置を得ることは困難であった。
【0006】
この点、炭化珪素半導体素子は、高Tj対応が可能とされているが、そのためには半導体装置モジュール内の配線の接続箇所においても、その耐久性を確保しなければならない。
【0007】
また、シリコン半導体素子では、放熱性を高める必要上、配置に制約が大きく、半導体装置モジュールの小型化に限界があった。例えば、特許文献2においては、半導体チップを平面的に配置し、半導体チップの両主面に放熱部材を押し当てることで放熱性を高める構成が開示されている。
【0008】
一方、高Tj対応が可能な炭化珪素半導体素子では、この制約が小さくなり、より半導体装置モジュールの小型化が可能であるが、これまでは十分な小型化を達成できていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平5−145011号公報
【特許文献2】特開2001−156225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、高温動作が可能であるとともに、小型化、軽量化を実現することが可能な半導体装置モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る半導体装置モジュールの態様は、半導体素子が搭載された回路基板と、前記回路基板を搭載する第1の放熱板と、前記半導体素子の主電極に電気的に接続される主電極端子と、を有した少なくとも1つの回路ユニットと、前記少なくとも1つの回路ユニットを搭載する第2の放熱板とを備え、前記第1の放熱板は、その主面が、前記第2の放熱板の主面に対して垂直となるように前記第2の放熱板上に搭載され、前記主電極端子は、一方端が前記回路基板に接続され、前記第1の放熱板の前記主面に対して平行な方向に延在して他方端が前記第1の放熱板上から突出し、前記第2の放熱板上に搭載され、前記主電極端子の前記他方端を除いて前記少なくとも1つの回路ユニットの周囲を囲むケースを備え、前記ケースと前記第2の放熱板とで構成される筐体内に、絶縁性の封止材が充填されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る半導体装置モジュールの態様によれば、第1の放熱板は、その主面が、第2の放熱板の主面に対して垂直となるように第2の放熱板上に搭載され、主電極端子は、一方端が回路基板に接続され、第1の放熱板の主面に対して平行な方向に延在して他方端が第1の放熱板上から突出するように構成されるので、小型化され軽量化された半導体装置モジュールを得ることができる。また、少なくとも1つの回路ユニットの周囲を囲むケースを設けて封止材を充填する構成を採ることで、製造工程を簡略化でき、また、少なくとも1つの回路ユニットの主電極端子の他方端を除いて封止材で覆うことにより、溶接時に接合部以外の部分に不具合が発生することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る実施の形態1の半導体装置モジュールの構成を示す斜視図である。
【図2】半導体装置モジュールの回路構成を示す図である。
【図3】P側パッケージユニットの構成を示す図である。
【図4】N側パッケージユニットの構成を示す図である。
【図5】溶接前の半導体装置モジュールの構成を示す断面図である。
【図6】溶接後の半導体装置モジュールの構成を示す断面図である。
【図7】溶接部の接合強度を説明する図である。
【図8】本発明に係る実施の形態1の半導体装置モジュールの製造工程を示す図である。
【図9】本発明に係る実施の形態1の半導体装置モジュールの製造工程を示す図である。
【図10】本発明に係る実施の形態1の半導体装置モジュールの製造工程を示す図である。
【図11】本発明に係る実施の形態1の半導体装置モジュールの製造工程を示す図である。
【図12】本発明に係る実施の形態1の半導体装置モジュールの製造工程を示す図である。
【図13】本発明に係る実施の形態1の半導体装置モジュールの製造工程を示す図である。
【図14】本発明に係る実施の形態1の半導体装置モジュールの製造工程を示す図である。
【図15】本発明に係る実施の形態1の半導体装置モジュールの製造工程を示す図である。
【図16】本発明に係る実施の形態1の半導体装置モジュールの製造工程を示す図である。
【図17】本発明に係る実施の形態2の半導体装置モジュールの構成を示す断面図である。
【図18】本発明に係る実施の形態3の半導体装置モジュールの構成を示す断面図である。
【図19】本発明に係る実施の形態3のP側回路ユニットの構成を示す図である。
【図20】本発明の変形例に係る半導体装置モジュールの構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施の形態1>
<装置構成>
図1〜図16を用いて本発明に係る実施の形態1について説明する。図1は半導体装置モジュール100の構成を示す斜視図である。
【0015】
図1に示すように、半導体装置モジュール100は、半導体素子(図示せず)が、シリコンまたはエポキシ等の樹脂によって樹脂封止されたP側パッケージユニット21およびN側パッケージユニット22を有し、P側パッケージユニット21およびN側パッケージユニット22は、金属の放熱板4の主面上に、金属の放熱板3の主面が垂直となるように配置されている。
【0016】
P側パッケージユニット21およびN側パッケージユニット22は、放熱板4の主面上に配設されたレール状のユニット装着部50に放熱板3の端縁部が挟まれることで固定される構成となっている。
【0017】
すなわち、ユニット装着部50は、放熱板4の長辺に沿って間隔を開けて並行して延在する2本の長尺材で1対のレール状構造をなし、レールの隙間に放熱板3の長辺側端縁部を挟み込む構成となっている。
【0018】
P側パッケージユニット21の、ユニット装着部50に挟まれた側とは反対側の長辺においては、直方体状に成形された樹脂パッケージ15の側面から、第1の主電極端子5、第2の主電極端子6および信号端子13が突出し、N側パッケージユニット22のユニット装着部50に挟まれた側とは反対側の長辺においては、樹脂パッケージ15の側面から、第1の主電極端子7、第2の主電極端子8および信号端子13が突出している。
【0019】
P側パッケージユニット21およびN側パッケージユニット22は、それぞれが半導体装置モジュールにおける1つの回路ユニットを構成するが、主電極端子の配置が異なっており、放熱板3どうしが対向するように配置することで、それぞれの第1の主電極端子と第2の主電極端子とが向かい合うように構成されている。
【0020】
そして、第2の主電極端子6および第1の主電極端子7は導電性の接続部材9によって互いに電気的かつ機械的に接続される構成となっている。なお、第1の主電極端子5、第2の主電極端子8および信号端子13も、それぞれ電源や電気機器、制御回路といった外部機器へと接続されるが図示は省略している。
【0021】
次に、図2を用いて半導体装置モジュール100の回路構成について説明する。図2は3相インバータIVの回路図を示しており、3相インバータIVは3つのインバータIV1〜IV3で構成されている。インバータIV1は、電源電圧VDDが与えられる電源線Pと、接地電位に接続される電源線N間に直列に接続されたIGBT(insulated gate bipolar transistor:以後、単にトランジスタと呼称する場合もあり)T1LおよびT1Uと、トランジスタT1LおよびT1Uにそれぞれに逆並列接続されたフリーホイールダイオードD1LおよびD1Uとを備えている。そして、トランジスタT1LおよびT1Uの接続ノードはU相出力となっている。
【0022】
インバータIV2も同様の構成であり、電源線P−N間に直列に接続されたトランジスタT2LおよびT2Uと、トランジスタT2LおよびT2Uにそれぞれに逆並列接続されたフリーホイールダイオードD2LおよびD2Uとを備え、トランジスタT2LおよびT2Uの接続ノードはV相出力となっている。
【0023】
インバータIV3は、電源線P−N間に直列に接続されたトランジスタT3LおよびT3Uと、トランジスタT3LおよびT3Uにそれぞれに逆並列接続されたフリーホイールダイオードD3LおよびD3Uとを備え、トランジスタT3LおよびT3Uの接続ノードはW相出力となっている。
【0024】
なお、図中においてはインバータIV1のトランジスタT1LおよびT1Uにおいて、エミッタ、コレクタ、ゲートをそれぞれ、E、C、Gとして示す。
【0025】
半導体装置モジュール100は、例えばインバータIV1を構成し、P側パッケージユニット21は、トランジスタT1UおよびフリーホイールダイオードD1Uを有して構成され、トランジスタT1UのコレクタCに第1の主電極端子5が接続され、エミッタEに第2の主電極端子6が接続され、ゲートGに信号端子13が接続される。同様に、N側パッケージユニット22は、トランジスタT1LおよびフリーホイールダイオードD1Lを有して構成され、トランジスタT1LのコレクタCに第1の主電極端子7が接続され、エミッタEに第2の主電極端子8が接続され、ゲートGに信号端子13が接続される。この場合、接続部材9によって互いに接続された第2の主電極端子6および第1の主電極端子7がU相出力となる。
【0026】
このように、半導体装置モジュール100を1つのインバータ回路とした場合、3つの半導体装置モジュール100を組み合わせることで、図2に示す3相インバータIVが構成される。
【0027】
次に、図3〜図5を用いて、半導体装置モジュール100の内部構成について説明する。図3は、P側パッケージユニット21を樹脂パッケージ15側から見た場合に、樹脂パッケージ15を省略して示した図である。
【0028】
放熱板3の主面上に回路基板2が搭載され、回路基板2の主面上に形成された細長形状の導体パターンP1上に、一辺の長さが2〜5mmで、厚さが0.06〜0.25mmの半導体素子1aおよび1bが、それぞれ2個ずつ、計4個が直列的に配設されている。
【0029】
半導体素子1aおよび1bは、炭化珪素基板に形成された炭化珪素半導体素子であり、半導体素子1aは、IGBTあるいはMOSFET(metal oxide semiconductor field effect transistor)などのスイッチング素子、半導体素子1bは、SBD(schottky barrier diode)などである。
【0030】
炭化珪素半導体素子を使用することで、シリコン半導体素子を使用する場合に比べて、小型、かつ耐熱性に優れた半導体装置モジュールを得ることができる。
【0031】
図3に示す構成では、半導体素子1aとしてIGBT1aを使用し、半導体素子1bとしてSBD1bを使用している。なお、図2を用いて説明した、トランジスタT1UおよびフリーホイールダイオードD1Uが、それぞれIGBT1aおよびSBD1bに該当するが、図3の例では、それぞれが2個ずつ並列して接続された回路構成となっている。
【0032】
また、上記は一例であり、半導体素子の種類は上記に限定されるものではなく、また個数に関しては各1個ずつでもさらに多くでも良く、求められる電流、電圧等の製品スペックにより種類、個数、組み合わせを選択して搭載すれば良い。なお、部品を共通化することで、コストを削減することができる。
【0033】
IGBT1aおよびSBD1bの導体パターンP1への接続は、その裏面側の電極(IGBTであればコレクタ、ダイオードであればカソード)が導体パターンP1に高温はんだ等のロウ材もしくは導電性接着材等の接合材11(図示せず)で接合されることで接続される。
【0034】
また、IGBT1aおよびSBD1bの上面側の電極(IGBTであればエミッタ、ダイオードであればアノード)は、良導電性を有した金属、例えば銅やその合金材料で形成された厚さ0.3〜1.5mmの配線部材10を、IGBT1aおよびSBD1bの上面の渡るように配置し、高温はんだ等のロウ材もしくは導電性接着剤等の接合材11で素子の上面と接合している。
【0035】
ここで、接合材11として、高温はんだを使用する場合は、Sn(スズ)を主成分とした175℃以上の耐熱性を有したはんだ材を用いる。また、接合材11として、導電性接着剤を使用する場合は、例えば、直径2〜30nmの銀の粒子(銀ナノ粒子)を有機分子膜で覆った銀ナノ粒子ペーストを使用し、これをIGBT1aおよびSBD1bの上面に塗布してその上に配線部材10を渡し、焼結することで、熱伝導率20〜90W/mKで175℃以上の耐熱性を有した接合部を形成することができる。
【0036】
また、導体パターンP1の端縁部には、第1の主電極端子5も接合され、導体パターンP1の延在方向であって第1の主電極端子5が接合された側とは反対側には、独立した導体パターンP2が配設されており、当該導体パターンP2には、配線部材10が接合されるとともに、第2の主電極端子6も接合されている。
【0037】
ここで、第1の主電極端子5および第2の主電極端子6は、良導電性を有した金属、例えば銅やその合金材料で形成され、その厚さは0.3〜1.5mm、長辺の長さは5〜20mmである。
【0038】
また、第1の主電極端子5、第2の主電極端子6および配線部材10には貫通孔THが設けられており、そこには接合材11が満たされている。このような構成を採ることで、第1の主電極端子5、第2の主電極端子6および配線部材10の表面が、対向する面と接合材11で接合されるとともに、貫通孔THの内壁面も接合材11で接合されるので、信頼性の高い接合部を得ることができる。なお、第1の主電極端子5および第2の主電極端子6に設ける貫通孔THは、図3の例では、それぞれ1箇所となっているが、これに限定されるものではない。
【0039】
また、導体パターンP1の延在方向に並行して、独立した導体パターンP3が設けられており、当該導体パターンP3には、信号端子13が接合されるとともに、IGBT1aのゲートとの間がリード14によって接合されている。リード14は、アルミニウム等の金属製のワイヤによって構成し、ワイヤボンディングや超音波ボンディングを用いて圧接により接合しても良いし、導体板を用いて接合材11を用いて接合しても良い。
【0040】
ここで、接合材11を用いてのIGBT1a、SBD1bおよび第1の主電極端子5の導体パターンP1への接合、第2の主電極端子6および配線部材10の導体パターンP2への接合、配線部材10とIGBT1aおよびSBD1bの上面側の電極との接合を接合材11を用いて接合する場合、あるいは導電性接着剤を用いて接合する場合には、これら全てを、共通の熱処理工程を経て同時に接合することができるので、生産性の向上を図ることができる。
【0041】
また、第2の主電極端子6を、IGBT1aおよびSBD1bの主電極に直接に接続するのではなく、一旦、導体パターンP2に接続した後、配線部材10を介して、IGBT1aおよびSBD1bの主電極と電気的に接続する構成を採るので、後述する主電極端子先端の溶接時や、樹脂封止時に半導体素子に無用のモーメントが与えられることを防止できる。
【0042】
回路基板2は、AlN(窒化アルミ)、Al2O3(アルミナ)およびSi2N3の何れかで構成された絶縁性を有した絶縁基板であり、厚さ0.6〜3mm、長辺の長さが10〜150mmとなっている。なお、長辺の長さは、搭載する半導体素子の個数によって任意に変更される。
【0043】
回路基板2の一方の主面には、図3に示したように導電パターンP1〜P3が形成されており、反対側の他方の主面には、ほぼ全面に渡って導体パターン(図示せず)が形成されており、当該導体パターンは放熱板3の主面に接合され、半導体素子が発する熱を、放熱板3へと伝え、放熱する役割を果たしている。
【0044】
ここで、放熱板3は、厚さ0.8〜4mmのアルミニウム、アルミニウム合金、銅または銅合金で構成され、熱容量を確保するため回路基板2の長辺の長さよりも長い長辺サイズを有している。
【0045】
そして、放熱板3の長辺側端縁部が、放熱板4の主面上に形成されたレール状構造のユニット装着部50に挟み込まれることで、放熱板4の主面に対して放熱板3の主面が垂直に位置することとなる。
【0046】
ユニット装着部50は、その隙間に放熱板3の長辺側端縁部が挿入された後、プレス機にてかしめられることで、放熱板3を固定している。このような構成を採ることで、半導体装置モジュール100の外形サイズをできるだけ小さくするとともに、熱容量を大きくすることができる。このため半導体装置モジュール100の駆動時に発熱する半導体素子の放熱性を向上させることができる。
【0047】
ここで、放熱板4は、厚さ0.8〜4mmのアルミニウム、アルミニウム合金、銅または銅合金で構成され、熱容量を確保するため回路基板2の長辺の長さよりも長い長辺サイズを有している。
【0048】
また、後述するように、主電極端子先端の溶接時にはアーク放電を利用した局所溶接、いわゆるマイクロ溶接を行うが、その際に発生する熱を、放熱板3および4を介して放熱させることができる。このため、各部の接合に使用される接合材11に融点以上の熱が加わることが防止され、接合材11の軟化、溶融による接合部の品質低下を防止することができる。
【0049】
また、放熱板4の裏面側(放熱板3が設けられる側とは反対側の主面側)に、放熱フィンを設けても良い。これにより放熱性をさらに向上させることができるが、これを用いるかは半導体素子の発熱量に応じて、また、半導体装置モジュール100の使用形態や取り付け状態に応じて決定すれば良い。
【0050】
また、放熱フィンの代わりに冷却ファンを設けて強制空冷しても良いし、水冷により強制冷却しても良い。これらの方法は、半導体装置モジュール100の高温動作域での動作を保証するために有効である。
【0051】
図3には示されていないが、放熱板3の回路基板2が接合された側の主面上は、IGBT1a、SBD1b、第1の主電極端子5、第2の主電極端子6および配線部材10が接合された状態の回路基板2を樹脂封止する樹脂パッケージ15(図1)が形成されている。なお、放熱板3の裏面(回路基板2が接合された側とは反対側の主面)側は露出している。
【0052】
樹脂パッケージ15の樹脂材料は、シリコン樹脂や、エポキシ樹脂を主成分とした樹脂であり、半導体素子や配線部材10を接合した後、絶縁性を確保するとともに、第1の主電極端子5、第2の主電極端子6を固定保持し、回路基板2との接合の耐久性を確保する。なお、樹脂封止の方法は、例えば型枠を用いたポッティング法を用い、80〜150℃の加熱により成型する。
【0053】
次に、N側パッケージユニット22の構成について説明する。図4は、N側パッケージユニット22を樹脂パッケージ15側から見た場合に、樹脂パッケージ15を省略して示した図である。
【0054】
図3示したP側パッケージユニット21と比較して、N側パッケージユニット22は、両パッケージ間に設定した仮想線に対して線対象な構造を採り、互いの放熱板3の裏面が対向する構成となっている。これは、半導体装置モジュール100の冷却能力を上げ、各パッケージに含まれる半導体素子の安定した動作を実現するために有効な構成である。
【0055】
図3に示したP側パッケージユニット21と同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略するが、N側パッケージユニット22においては、導体パターンP1の端縁部に、第1の主電極端子7が接合され、第1の主電極端子7が接合された側とは反対側の導体パターンP2には、配線部材10が接合されるとともに、第2の主電極端子8が接合されている。
【0056】
ここで、第1の主電極端子7および第2の主電極端子8は、良導電性を有した金属、例えば銅やその合金材料で形成され、その厚さは0.3〜1.5mmである。
【0057】
また、第1の主電極端子7、第2の主電極端子8および配線部材10には貫通孔THが設けられており、そこには接合材11が満たされている。このような構成を採ることで、第1の主電極端子7、第2の主電極端子8および配線部材10の表面が、対向する面と接合材11で接合されるとともに、貫通孔THの内壁面も接合材11で接合されるので、信頼性の高い接合部を得ることができる。なお、第1の主電極端子7および第2の主電極端子8に設ける貫通孔THは、図4の例では、それぞれ1箇所となっているが、これに限定されるものではない。
【0058】
また、導体パターンP1の延在方向に並行して、独立した導体パターンP3が設けられており、当該導体パターンP3には、信号端子13が接合されるとともに、IGBT1aのゲートとの間がリード14によって接合されている。
【0059】
図4には示されていないが、放熱板3の回路基板2が接合された側の主面上は、IGBT1a、SBD1b、第1の主電極端子7、第2の主電極端子8および配線部材10が接合された状態の回路基板2を樹脂封止する樹脂パッケージ15(図1)が形成されている。なお、放熱板3の裏面(回路基板2が接合された側とは反対側の主面)側は露出している。
【0060】
次に、図3および図4におけるA−A線での断面矢視図を図5に示す。図5に示すように、P側パッケージユニット21の第2の主電極端子6と、N側パッケージユニット22の第1の主電極端子7との間に、導電性の接続部材9が挿入されている。
【0061】
このように、回路基板2、IGBT1a、SBD1b、および配線部材10は樹脂パッケージ15内に樹脂封止されているが、第1の主電極端子5、7および第2の主電極端子6、8は、長辺の長さのうち、2〜15mmが樹脂パッケージ15から突出している。そして、突出した各主電極端子の先端は、平坦ではなく図3および図4に示すように短辺の中央部が凹んで凹凸を有する形状となっている。
【0062】
このような形状とすることで、第2の主電極端子6と第1の主電極端子7とを接続部材9に溶接する際に溶接部どうしが接触することを防止できる。
【0063】
ここで、各主電極端子の短辺に沿った方向を幅方向と呼称すると、凹凸形状の凹部と凸部の寸法は、主電極端子の幅をA(mm)とし、凹部の幅をX(mm)とすると、X≧0.4Aの関係を満たすように設定される。
【0064】
このように、凹凸形状の寸法を設定するのは、凹部の幅が狭いと、第2の主電極端子6と第1の主電極端子7とを接続部材9に溶接する際に、隣合う溶接部どうしが接したり、あるいは接合する可能性が生じるので、それを防止するためである。
【0065】
溶接部どうしが接合してしまうと、溶接部の形状が略半球形状といった安定した形状ではなく、不安定な形状になってしまい、信頼性が低下する可能性がある。一方で、半導体装置モジュール100は、小型化、軽量化が要求されており、主電極端子幅を無制限に広げることはできず、接合部の信頼性向上および製品品質の確保も考慮すると、上記関係を満たすことが望ましいということになる。
【0066】
なお、凹部の幅を広げ過ぎると、凸部の幅が狭くなり、溶接作業に支障を来すとともに接合強度が低下するので、凹部の幅の上限は、凸部の幅の0.5倍程度が望ましい。
【0067】
ここで、第2の主電極端子6と第1の主電極端子7とを接続部材9にアーク放電を利用した局所溶接により接合した状態の断面図を図6に示す。樹脂パッケージ15が形成された後のP側パッケージユニット21およびN側パッケージユニット22を、放熱板4上に設けられたユニット装着部50に装着して、プレス機等にてかしめた後、第2の主電極端子6と第1の主電極端子7との間に接続部材9を挿入すると、図5に示した状態となる。
【0068】
ここで、接続部材9は、長辺に沿った方向の両端部が同じ方向にほぼ90度に折れ曲がった形状を有し、折れ曲がった先の先端部は主電極端子と同じ凹凸を有する形状となっている。また、接続部材9の短辺に沿った方向を幅方向と呼称すると、接続部材9の幅は第2の主電極端子6および第1の主電極端子7の幅と同じ長さに設定され、凹部および凸部の寸法も第2の主電極端子6および第1の主電極端子7と同じである。このような構成とすることで、組立および溶接を容易行うことができる。
【0069】
接続部材9を、第2の主電極端子6と第1の主電極端子7との間に挿入する際には、第2の主電極端子6と第1の主電極端子7の先端部と、接続部材9の折れ曲がった先の先端部とが一致するように挿入する。
【0070】
その後、アーク放電を利用した局所溶接により、第2の主電極端子6および第1の主電極端子7の先端部と、接続部材9の先端部とを溶接する。アーク放電の熱により、互いの先端が溶融し、ほぼ半球状の溶接部BLが形成される。
【0071】
ここで、溶接部BLの最大幅は、接合前の第2の主電極端子6および第1の主電極端子7の先端部の凸部の幅より1.1倍以上の大きさを有した構造となっている。これにより接合部の信頼性を高め、製品品質を高めることができる。
【0072】
この理由について、図7を用いて説明する。図7は、横軸に、主電極端子の凸部の幅に対する接合幅(溶接部BLの最大幅)の比率を取り、縦軸に破断強度(N)を取った場合の接合強度試験結果を示している。
【0073】
図7より、溶接部BLの最大幅が、主電極端子の凸部の幅より1.1倍以上となることで、破断強度が10N(ニュートン)を越え、必要な接合強度を有することが判る。破断強度は、横軸の比率が1を越える辺りから急速に高まるが、比率が1.1より小さい場合には、十分な接合強度を得ることは難しい。
【0074】
また、この1.1倍というのは、電極の接合部の信頼性を最小エネルギーで確保するものであり、このような構造を最小接合構造と呼称する。そして、最小接合構造を採ることで、生産コストを削減できるとともに、小型化、軽量化を実現することができる。
【0075】
なお、図7より、溶接部BLの最大幅が、主電極端子の凸部の幅より1.1倍以上であれば必要な接合強度が得られるが、上限は、先に説明した主電極端子の凹部の幅との関係から、主電極端子の凸部の幅の2倍程度と考えられる。
【0076】
ここで、溶接方法についてはアーク放電を利用した局所溶接に替えて電子ビーム溶接、またはレーザ溶接を用いても良く、この場合も、ほぼ半球状の溶接部BLが形成することができる。
【0077】
また、樹脂パッケージ15が形成された後のP側パッケージユニット21およびN側パッケージユニット22を、ユニット装着部50に装着してかしめた後に、アーク放電を利用した局所溶接を行うので、半導体素子は封止樹脂に覆われており、スカート状に広がるアーク放電が、半導体素子にダメージを与えることはない。これは、電子ビーム溶接またはレーザ溶接を用いる場合も同様である。
【0078】
第2の主電極端子6と第1の主電極端子7とを接続部材9により接合することで、P側パッケージユニット21とN側パッケージユニット22とが電気的に接続されて図2に示した1組のインバータ回路が形成される。
【0079】
<製造方法>
次に、製造工程を順に示す図8〜図16を用いて、半導体装置モジュール100の製造方法について説明する。なお、以下の説明においては図3に示したP側パッケージユニット21の製造方法を例に採って説明する。
【0080】
まず、図8に示す工程において、一方の主面上に導体パターンP1〜P3が形成された回路基板2を準備し、導体パターンP1上の半導体素子が搭載される領域に接合材11を配置する。
【0081】
次に、図9に示す工程において、IGBT1aおよびSBD1bを準備し、接合材11が配置された領域に搭載する。
【0082】
次に、図10に示す工程において、IGBT1aおよびSBD1bの上面、導体パターンP1およびP2上の、それぞれ第1の主電極端子5および第2の主電極端子6が接合される領域および導体パターンP2上の配線部材10が接合される領域に接合材11を配置する。
【0083】
次に、図11に示す工程において、配線部材10および第1の主電極端子5および第2の主電極端子6を準備し、接合材11が配置された領域に搭載する。その後、回路基板2を所定の温度条件下で加熱して、接合材11を固化(または硬化)させることで、各構成を回路基板2上に接合(固着)する。
【0084】
次に、図12に示す工程において、放熱板3を準備し、一方の主面上の回路基板2が接合される領域に接合材11を配置する。
【0085】
次に、図13に示す工程において、半導体素子が実装された回路基板2を、接合材11が配置された領域に搭載し、所定の温度条件下で加熱して、接合材11を固化(または硬化)させることで、回路基板2を放熱板3上に接合(固着)する。
【0086】
次に、図14に示す工程において、IGBT1aのゲートを導体パターンP3に電気的に接続するため、ワイヤボンドまたは超音波ボンディングによりリード14の接合を行う。また、信号端子13もワイヤボンドまたは超音波ボンディングにより導体パターンP3に接続する。この工程までを完了した構成を便宜的に回路ユニットと呼称する。
【0087】
次に、図15に示す工程において、半導体素子が実装された回路基板2を放熱板3上で樹脂封止する。具体的な封止方法は、回路基板2が完全に覆われるとともに、第1の主電極端子5および第2の主電極端子6の端部が突出する型枠に放熱板3を嵌め込み、当該型枠内に熱硬化性の封止樹脂を導入し、80〜150℃で加熱して樹脂を硬化させて樹脂パッケージ15を成形する。これにより、P側パッケージユニット21およびN側パッケージユニット22が完成する。
【0088】
次に、図16に示す工程において、放熱板4を準備し、P側パッケージユニット21およびN側パッケージユニット22における放熱板3の長辺(主電極端子が設けられていない側の長辺)を、それぞれユニット装着部50のレールの隙間に挿入し、プレス機を用いてレールを構成する長尺材をかしめることで固定する。これにより、放熱板4の主面に対して、放熱板3の主面が垂直に位置するように固定される。
【0089】
その後、第2の主電極端子6と第1の主電極端子7との間に接続部材9を挿入し、アーク放電を利用した局所溶接により、第2の主電極端子6および第1の主電極端子7の先端部と、接続部材9の先端部とを溶接することで、図6に示した溶接部BLが形成され、半導体装置モジュール100が完成する。
【0090】
<効果>
以上説明したように半導体装置モジュール100においては、第2の主電極端子6および第1の主電極端子7と接続部材9との接合において、被接合材(主電極端子)と異なる金属で構成される接合材(例えばはんだ材)を使用することなく、母材である第2の主電極端子6、第1の主電極端子7および接続部材9を溶融し、凝固させることで金属原子どうしを結合させ接合するので、母材と接合材との線膨張係数のミスマッチが発生することがない。
【0091】
すなわち、半導体装置モジュールは、温度差(ΔT)225℃以上といった温度変化が大きい極めて厳しい環境下での使用が要求されるので、はんだ材のように異なった線膨張係数を有した材料を介して接合すると、母材との線膨張係数のミスマッチにより接合部に大きな熱歪みや熱応力が発生し、亀裂を生じさせる可能性がある。そして、主電極端子の厚みが0.3〜1.5mmと薄いため、一旦亀裂が生じると亀裂が進展する可能性がある。
【0092】
しかしながら、本発明においてはアーク放電を利用した局所溶接を使用することで、数msec〜数秒で溶接が終了して熱歪みの発生を抑制できるとともに、線膨張係数のミスマッチが発生せず、線膨張係数の違いに起因する亀裂の発生を抑制することができる。このため、信頼性の高い接合部を得ることができる。
【0093】
また、接合材11として、175℃以上の耐熱性を有したはんだ材や銀ナノ粒子ペーストを使用することで、樹脂パッケージ15内部の接合部においても175℃以上の耐熱性を確保でき、半導体素子として炭化珪素半導体素子を使用することと併せて半導体装置モジュール100自体の信頼性および製品品質を高めることができる。
【0094】
また、放熱板3の長辺側端縁部が、放熱板4の主面上に形成されたレール状構造のユニット装着部50に挟み込むことで、放熱板4を固定する構成を採るので、放熱板4の固定が確実かつ強固にできる。
【0095】
また、放熱板4の主面に対して放熱板3の主面が垂直に位置する構成を採ることで、樹脂パッケージ15の側面から主電極端子を突出させる構成と相俟って小型化、軽量化を図ることができる。
【0096】
また、放熱板3および4を組み合わせることで熱容量を大きくすることができるとともに、放熱板3の裏面が、空気に曝されることで、放熱板3の裏面においても放熱することができ、半導体装置モジュール100の駆動時に発熱する半導体素子の放熱性を向上させることができ、より高い温度でも正常な動作が可能となる。
【0097】
<実施の形態2>
次に、図17を用いて本発明に係る実施の形態2の半導体装置モジュール200の構成について説明する。なお、図3および図4に示した半導体装置モジュール100と同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0098】
図17は、図3および図4に示した半導体装置モジュール100と同様の部分における断面矢視図であり、半導体素子1bが回路基板2の上に接合され、放熱板3は放熱板4の主面上に接合材12を用いて接合されている。
【0099】
そして、P側回路とN側回路とがケース18で囲まれ、ケース18と放熱板4とで構成される筐体内には絶縁性の封止材16が充填されてP側回路およびN側回路が樹脂封止されている。ケース18は、PPS、PBT、SPSおよびエポキシなどの絶縁材で構成され、その厚さは0.5〜1.5mmである。
【0100】
このように、半導体装置モジュール200では、P側回路とN側回路とが共通して樹脂封止された構成であり、樹脂パッケージは1つであるので、便宜的にP側回路をP側回路ユニット210、N側回路をN側回路ユニット220と呼称する。
【0101】
P側回路ユニット210の第2の主電極端子6AおよびN側回路ユニット220の第1の主電極端子7Aの形状は、上端部が2段階に曲げられて断面がZ字状となっている。すなわち、一旦、主電極端子の主面に垂直な方向に曲げられることで第1の屈曲部が形成され、再び、主電極端子の主面と並行な方向に曲げ戻されることで第2の屈曲部が形成された構成を有している。そして、第1および第2の屈曲部が、直角よりもやや小さな角度となるように曲げられることで、Z字状の断面形状となっている。これは、第1の主電極端子7Aにおいても同じであるとともに、P側回路ユニット210の第1の主電極端子(図示せず)およびN側回路ユニット220の第2の主電極端子(図示せず)においても同じである。
【0102】
また、第2の主電極端子6Aと第1の主電極端子7Aとの間の接続部材9Aは、長辺に沿った方向の両端部が同じ方向に90度よりもやや小さな角度となるように曲げられているとともに、中央部がカーブした断面形状を有している。
【0103】
このような構成を採ることで、各主電極端子の接合部において発生する熱応力、熱歪みを屈曲部において吸収できるので、信頼性および製品品質をさらに高めることができる。
【0104】
すなわち、半導体装置モジュール200が厳しい環境下にて使用される場合、例えば寒冷地での使用、車載での使用等において特に効果がある。
【0105】
また、各主電極端子の形状を曲げ形状とすることで電極長を短くすることができ、さらなる小型化、軽量化を実現することができる。
【0106】
すなわち、主電極端子の材料である銅あるいは銅合金の密度は、約8933kg/m3であり、半導体装置モジュールの全重量に占める主電極端子の材料の重量比は、放熱板に次いで大きいからである。なお、各主電極端子の曲げ加工はプレス機等を用いて順送金型にて生産効率よく実行される。
【0107】
また、半導体装置モジュール200では、放熱板3は放熱板4の主面上に接合材12を用いて接合されているが、接合材12はSnを主成分とした175℃以上の耐熱性を有した高温はんだ等のロウ材もしくは銀ナノ粒子ペースト等の導電性接着剤を用いる。これにより、半導体装置モジュール200が175℃以上となる高温下でも耐久性が確保でき、また接合材12は熱伝導率が20〜90W/mKであるため、動作時に半導体素子が発する熱を放熱板3を介して放熱板4へと効率よく熱伝達することができる。
【0108】
なお、図3に示した半導体装置モジュール100と同様に、ユニット装着部50を用いてかしめにより放熱板3を固定する構成としても良い。逆に、半導体装置モジュール100においては、半導体装置モジュール200と同様に、接合材12を用いて放熱板3を接合する構成としても良い。
【0109】
半導体装置モジュール200の製造においては、放熱板4の一方の主面上にP側回路ユニット210およびN側回路ユニット220の放熱板3の長辺(主電極端子が設けられていない側の長辺)の側面を接合材12を用いて接合した後、無底無蓋のケース18を、P側回路ユニット210およびN側回路ユニット220囲むように接着剤(図示せず)を用いて放熱板4の主面上に固定する。
【0110】
その後、ケース18と放熱板4とで構成される筐体内に、封止材16として、例えば、シリコーンゲルまたはエポキシ樹脂を充填する。
【0111】
このように、筐体を設けて封止材16を充填する構成を採ることで、製造工程を簡略化でき、また、P側回路ユニット210およびN側回路ユニット220を、主電極端子の先端部除いて封止材16で覆うことで、溶接時に接合部以外の部分に不具合が発生することを防止できる。
【0112】
その後、封止材16から突出している第2の主電極端子6と第1の主電極端子7との間に接続部材9を挿入し、アーク放電を利用した局所溶接により、第2の主電極端子6および第1の主電極端子7の先端部と、接続部材9の先端部とを溶接することで半導体装置モジュール200が完成する。
【0113】
なお、第2の主電極端子6A、第1の主電極端子7Aおよび接続部材9Aを、実施の形態1の半導体装置モジュール100において第2の主電極端子6、第1の主電極端子7および接続部材9の代わりに用いても良い。
【0114】
<実施の形態3>
次に、図18および図19を用いて本発明に係る実施の形態3の半導体装置モジュール300の構成について説明する。なお、図3および図4に示した半導体装置モジュール100と同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0115】
図18は、図3および図4に示した半導体装置モジュール100と同様の部分における断面矢視図であり、半導体素子1bが回路基板2の上に接合され、放熱板3は放熱板4の主面上に接合材12を用いて接合されている。
【0116】
そして、P側回路およびN側回路の上方には、図示されないIGBT1aのゲートへの制御信号を生成する制御回路を含む制御基板19が配置され、当該制御基板19を含めて、P側回路およびN側回路全体が樹脂パッケージ17内に収納された構成となっている。
【0117】
このように、半導体装置モジュール300では、P側回路とN側回路とが共通して樹脂封止された構成であり、樹脂パッケージは1つであるので、便宜的にP側回路をP側回路ユニット210、N側回路をN側回路ユニット220と呼称する。
【0118】
図19に示すように、P側回路ユニット210およびN側回路ユニット220は、互いの回路基板2が向かい合うように放熱板4上に搭載され、それぞれの放熱板3の裏面は、樹脂パッケージ17の側面において露出するように構成されている。
【0119】
P側回路ユニット210およびN側回路ユニット220のそれぞれの放熱板3は、長辺(主電極端子が設けられていない側の長辺)の側面が、放熱板4の長辺側の端縁部に沿って設けられた段差部に接合材12によって接合されている。接合材12はSnを主成分とした175℃以上の耐熱性を有した高温はんだ等のロウ材もしくは銀ナノ粒子ペースト等の導電性接着剤を用いる。
【0120】
P側回路ユニット210の第2の主電極端子6およびN側回路ユニット220の第1の主電極端子7は、上方に配置された制御基板19を貫通して延在し、第2の主電極端子6および第1の主電極端子7の先端部は、間に挿入された接続部材9の先端部と、アーク放電を利用した局所溶接により溶接されて、溶接部BLが形成されている。
【0121】
また、P側回路ユニット210の第1の主電極端子5(図示せず)およびN側回路ユニット220の第2の主電極端子8(図示せず)は、上方に配置された制御基板19を貫通して延在し、それぞれの先端部は、外部端子30および31にアーク放電を利用した局所溶接により溶接されている。外部端子30および31の端部は、樹脂パッケージ17の上面から突出し、それぞれ電源や電気機器などに接続される。
【0122】
図19は、P側回路ユニット210を回路基板2側から見た場合に、P側回路ユニット210上の樹脂パッケージ17を省略して示した図である。なお、図19におけるB−B線での断面矢視図が図18に対応する。
【0123】
図19に示すように、導体パターンP3に接続された信号端子13は、上方の制御基板19に向けて延在し、制御基板19の制御回路(図示せず)に接続されることで制御信号が与えられる構成となっている。
【0124】
また、P側回路ユニット210の第2の主電極端子6およびN側回路ユニット220の第1の主電極端子7(図示せず)は、図示されない接続部材9に接続されているが、接続部材9はさらに外部端子32に接続され、外部端子32の端部は、樹脂パッケージ17の上面から突出する構成となっている。なお、外部端子32は接続部材9と一体で設けられた構成であっても良い。
【0125】
このように、半導体装置モジュール300では、P側回路ユニット210およびN側回路ユニット220のそれぞれの放熱板3の裏面が、樹脂パッケージ17の側面において露出し、放熱板4の裏面も露出しているため、放熱に関わる3つの面(放熱面)が外部に露出することとなり、より高い放熱性を得ることができる。これにより、半導体素子が持つ特性を十分に発揮することができる。
【0126】
なお、露出した放熱面を自然冷却で冷却しても良いが、各放熱面に空冷フィンを取り付けても良く、また水冷フィンを取り付けても良い。
【0127】
半導体装置モジュール300の製造においては、長辺側の端縁部に沿って段差部が設けられた放熱板4の主面上にP側回路ユニット210およびN側回路ユニット220の放熱板3の長辺(主電極端子が設けられていない側の長辺)の側面を接合材12を用いて接合した後、各主電極端子が、制御基板19に設けた開口部を貫通するとともに、P側回路ユニット210およびN側回路ユニット220のそれぞれの信号端子13が、制御基板19上の所定の制御回路に接続されるように制御基板19を配置する。このとき、信号端子13を制御回路に、例えばはんだ付けで接続することで、制御基板19を支える構成としても良い。
【0128】
次に、第2の主電極端子6と第1の主電極端子7との間に接続部材9を挿入し、アーク放電を利用した局所溶接により、第2の主電極端子6および第1の主電極端子7の先端部と、接続部材9の先端部とを溶接する。このとき、外部端子32と一体となった接続部材9を用いる場合には外部端子32を接続部材9に溶接する手間が省ける。
【0129】
また、P側回路ユニット210の第1の主電極端子5およびN側回路ユニット220の第2の主電極端子8(図示せず)に、それぞれ外部端子30および31をアーク放電を利用した局所溶接により溶接する。なお、外部端子30および31の、それぞれ第1の主電極端子5および第2の主電極端子8と接続される端部の形状は、第1の主電極端子5および第2の主電極端子8の端部と同様に凹凸を有する形状とすれば良い。
【0130】
その後、外部端子30〜32の先端部以外の部分が完全に樹脂封止されるように樹脂パッケージ17を形成する。
【0131】
具体的な封止方法は、放熱板4上に、P側回路ユニット210、N側回路ユニット220および先端部以外の外部端子30〜32を囲むような型枠を配置し、当該型枠内に熱硬化性の封止樹脂を導入し、80〜150℃で加熱して樹脂を硬化させて樹脂パッケージ17を成形する。
【0132】
このような構成を採ることで、各主電極端子と回路基板2との接合箇所も、樹脂パッケージ17で覆われているため、信頼性および製品品質を高めることができる。
【0133】
さらには、樹脂封止作業が金型を用いた一括成形によりなされるので、大量に製造するような場合などは、安価で生産性が非常に良い構造となる。
【0134】
なお、実施の形態2の半導体装置モジュール200において用いた、第2の主電極端子6A、第1の主電極端子7Aおよび接続部材9Aを、実施の形態3の半導体装置モジュール300において第2の主電極端子6、第1の主電極端子7および接続部材9の代わりに用いても良い。
【0135】
<変形例1>
図20には、図1に示した半導体装置モジュール100の周囲を樹脂ケース40で囲んだ構成を示す。なお、図1に示した半導体装置モジュール100と同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0136】
図20に示すように、無底無蓋の樹脂ケース40が、P側パッケージユニット21およびN側パッケージユニット22を囲むように放熱板4の主面上に固定されている。
【0137】
樹脂ケース40は、長辺に沿った方向の両側に、それぞれ外側に向けて延在するように設けられた台座部41および42を有している。
【0138】
そして、台座部41上には、接続部材9から外部端子ACTが延在しており、台座部42には、P側パッケージユニット21の第1の主電極端子5に溶接された外部端子PTおよびN側パッケージユニット22の第2の主電極端子8に溶接された外部端子NTが延在する構成となっている。
【0139】
接続部材9と外部端子ACTとは一体的に形成されており、接続部材9を第2の主電極端子6および第1の主電極端子7に溶接することで、外部端子ACTに第2の主電極端子6および第1の主電極端子7が電気的に接続されることとなる。
【0140】
また、P側パッケージユニット21の第1の主電極端子5と外部端子PTとの溶接、N側パッケージユニット22の第2の主電極端子8と外部端子NTとの溶接にもアーク放電を利用した局所溶接を使用する。
【0141】
なお、外部端子PTおよびNTの、それぞれ第1の主電極端子5および第2の主電極端子8と接続される端部の形状は、第1の主電極端子5および第2の主電極端子8の端部と同様に凹凸を有する形状とすれば良い。
【0142】
このように、P側パッケージユニット21およびN側パッケージユニット22を囲むように樹脂ケース40を配設することで、半導体装置モジュール100が1つのユニットとしてより強固な構造となる。
【0143】
また、外部端子ACT、PTおよびNTを設けることで、電源や電気機器などとの接続を容易にできるという効果がある。
【0144】
<変形例2>
以上説明した半導体装置モジュール100〜300においては、図2に示した3相インバータIVのうち、インバータIV1を構成する2つの回路ユニットを備えるものとして説明した。このように複数の回路ユニットで1つのモジュールを構成することで、組立性が向上する。
【0145】
しかし、1組のインバータのうち、一方の電位側のトランジスタおよびフリーホイールダイオードの回路ユニットだけでモジュールを構成しても良い。その場合は、6つの半導体装置モジュールを組み合わせることで、図2に示す3相インバータIVが構成されることとなる。
【0146】
また、1組のインバータでなく3組のインバータ、すなわち、図2に示した3相インバータIVを構成する全ての回路ユニットを含むようにモジュールを構成しても良い。その場合は、1つの半導体装置モジュールだけで、図2に示す3相インバータIVが構成されることとなる。1つの放熱板4上に3相インバータを構成するための全ての回路ユニットを配設する方が、組立性の観点からは有利である。
【符号の説明】
【0147】
1a IGBT、1b SBD、2 回路基板、3,4 放熱板、5,7,7A 第1の主電極端子、6,6A,8 第2の主電極端子、9,9A 接続部材、10 配線部材、11,12 接合材、15,17 樹脂パッケージ、16 封止材、18 ケース、P1〜P3 導体パターン。
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置モジュールに関し、特に、高温動作可能な半導体装置モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置には多くの電子部品が搭載され、これらの電子部品と配線部材とを接続することにより、電気回路を形成している。これらの電子部品の配設、配線部材の接続は、従来は、ネジ締めや、はんだ付け等のロウ付けにより行っていた。例えば、特許文献1には、半導体チップの内部リードを外部導出導体板にクリームはんだで接続する構成が開示されている。
【0003】
最近の半導体装置は、高機能化に従って、より多くの、かつ多種類に及ぶ部品が必要となっているが、一方で、民生用電機製品、車載用電子機器に使用される観点から、小型化および軽量化も要求されている。
【0004】
昨今は、シリコン基板に代わる半導体基板として炭化珪素(SiC)基板を用いた半導体素子(炭化珪素半導体素子)の開発がなされている。
【0005】
炭化珪素半導体素子は、これまでのシリコン半導体素子よりも高温な環境下での動作が可能とされている。シリコン半導体素子においては、175℃以上のジャンクション温度(Tj)を保証するいわゆる高Tj対応の半導体装置を得ることは困難であった。
【0006】
この点、炭化珪素半導体素子は、高Tj対応が可能とされているが、そのためには半導体装置モジュール内の配線の接続箇所においても、その耐久性を確保しなければならない。
【0007】
また、シリコン半導体素子では、放熱性を高める必要上、配置に制約が大きく、半導体装置モジュールの小型化に限界があった。例えば、特許文献2においては、半導体チップを平面的に配置し、半導体チップの両主面に放熱部材を押し当てることで放熱性を高める構成が開示されている。
【0008】
一方、高Tj対応が可能な炭化珪素半導体素子では、この制約が小さくなり、より半導体装置モジュールの小型化が可能であるが、これまでは十分な小型化を達成できていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平5−145011号公報
【特許文献2】特開2001−156225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、高温動作が可能であるとともに、小型化、軽量化を実現することが可能な半導体装置モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る半導体装置モジュールの態様は、半導体素子が搭載された回路基板と、前記回路基板を搭載する第1の放熱板と、前記半導体素子の主電極に電気的に接続される主電極端子と、を有した少なくとも1つの回路ユニットと、前記少なくとも1つの回路ユニットを搭載する第2の放熱板とを備え、前記第1の放熱板は、その主面が、前記第2の放熱板の主面に対して垂直となるように前記第2の放熱板上に搭載され、前記主電極端子は、一方端が前記回路基板に接続され、前記第1の放熱板の前記主面に対して平行な方向に延在して他方端が前記第1の放熱板上から突出し、前記第2の放熱板上に搭載され、前記主電極端子の前記他方端を除いて前記少なくとも1つの回路ユニットの周囲を囲むケースを備え、前記ケースと前記第2の放熱板とで構成される筐体内に、絶縁性の封止材が充填されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る半導体装置モジュールの態様によれば、第1の放熱板は、その主面が、第2の放熱板の主面に対して垂直となるように第2の放熱板上に搭載され、主電極端子は、一方端が回路基板に接続され、第1の放熱板の主面に対して平行な方向に延在して他方端が第1の放熱板上から突出するように構成されるので、小型化され軽量化された半導体装置モジュールを得ることができる。また、少なくとも1つの回路ユニットの周囲を囲むケースを設けて封止材を充填する構成を採ることで、製造工程を簡略化でき、また、少なくとも1つの回路ユニットの主電極端子の他方端を除いて封止材で覆うことにより、溶接時に接合部以外の部分に不具合が発生することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る実施の形態1の半導体装置モジュールの構成を示す斜視図である。
【図2】半導体装置モジュールの回路構成を示す図である。
【図3】P側パッケージユニットの構成を示す図である。
【図4】N側パッケージユニットの構成を示す図である。
【図5】溶接前の半導体装置モジュールの構成を示す断面図である。
【図6】溶接後の半導体装置モジュールの構成を示す断面図である。
【図7】溶接部の接合強度を説明する図である。
【図8】本発明に係る実施の形態1の半導体装置モジュールの製造工程を示す図である。
【図9】本発明に係る実施の形態1の半導体装置モジュールの製造工程を示す図である。
【図10】本発明に係る実施の形態1の半導体装置モジュールの製造工程を示す図である。
【図11】本発明に係る実施の形態1の半導体装置モジュールの製造工程を示す図である。
【図12】本発明に係る実施の形態1の半導体装置モジュールの製造工程を示す図である。
【図13】本発明に係る実施の形態1の半導体装置モジュールの製造工程を示す図である。
【図14】本発明に係る実施の形態1の半導体装置モジュールの製造工程を示す図である。
【図15】本発明に係る実施の形態1の半導体装置モジュールの製造工程を示す図である。
【図16】本発明に係る実施の形態1の半導体装置モジュールの製造工程を示す図である。
【図17】本発明に係る実施の形態2の半導体装置モジュールの構成を示す断面図である。
【図18】本発明に係る実施の形態3の半導体装置モジュールの構成を示す断面図である。
【図19】本発明に係る実施の形態3のP側回路ユニットの構成を示す図である。
【図20】本発明の変形例に係る半導体装置モジュールの構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施の形態1>
<装置構成>
図1〜図16を用いて本発明に係る実施の形態1について説明する。図1は半導体装置モジュール100の構成を示す斜視図である。
【0015】
図1に示すように、半導体装置モジュール100は、半導体素子(図示せず)が、シリコンまたはエポキシ等の樹脂によって樹脂封止されたP側パッケージユニット21およびN側パッケージユニット22を有し、P側パッケージユニット21およびN側パッケージユニット22は、金属の放熱板4の主面上に、金属の放熱板3の主面が垂直となるように配置されている。
【0016】
P側パッケージユニット21およびN側パッケージユニット22は、放熱板4の主面上に配設されたレール状のユニット装着部50に放熱板3の端縁部が挟まれることで固定される構成となっている。
【0017】
すなわち、ユニット装着部50は、放熱板4の長辺に沿って間隔を開けて並行して延在する2本の長尺材で1対のレール状構造をなし、レールの隙間に放熱板3の長辺側端縁部を挟み込む構成となっている。
【0018】
P側パッケージユニット21の、ユニット装着部50に挟まれた側とは反対側の長辺においては、直方体状に成形された樹脂パッケージ15の側面から、第1の主電極端子5、第2の主電極端子6および信号端子13が突出し、N側パッケージユニット22のユニット装着部50に挟まれた側とは反対側の長辺においては、樹脂パッケージ15の側面から、第1の主電極端子7、第2の主電極端子8および信号端子13が突出している。
【0019】
P側パッケージユニット21およびN側パッケージユニット22は、それぞれが半導体装置モジュールにおける1つの回路ユニットを構成するが、主電極端子の配置が異なっており、放熱板3どうしが対向するように配置することで、それぞれの第1の主電極端子と第2の主電極端子とが向かい合うように構成されている。
【0020】
そして、第2の主電極端子6および第1の主電極端子7は導電性の接続部材9によって互いに電気的かつ機械的に接続される構成となっている。なお、第1の主電極端子5、第2の主電極端子8および信号端子13も、それぞれ電源や電気機器、制御回路といった外部機器へと接続されるが図示は省略している。
【0021】
次に、図2を用いて半導体装置モジュール100の回路構成について説明する。図2は3相インバータIVの回路図を示しており、3相インバータIVは3つのインバータIV1〜IV3で構成されている。インバータIV1は、電源電圧VDDが与えられる電源線Pと、接地電位に接続される電源線N間に直列に接続されたIGBT(insulated gate bipolar transistor:以後、単にトランジスタと呼称する場合もあり)T1LおよびT1Uと、トランジスタT1LおよびT1Uにそれぞれに逆並列接続されたフリーホイールダイオードD1LおよびD1Uとを備えている。そして、トランジスタT1LおよびT1Uの接続ノードはU相出力となっている。
【0022】
インバータIV2も同様の構成であり、電源線P−N間に直列に接続されたトランジスタT2LおよびT2Uと、トランジスタT2LおよびT2Uにそれぞれに逆並列接続されたフリーホイールダイオードD2LおよびD2Uとを備え、トランジスタT2LおよびT2Uの接続ノードはV相出力となっている。
【0023】
インバータIV3は、電源線P−N間に直列に接続されたトランジスタT3LおよびT3Uと、トランジスタT3LおよびT3Uにそれぞれに逆並列接続されたフリーホイールダイオードD3LおよびD3Uとを備え、トランジスタT3LおよびT3Uの接続ノードはW相出力となっている。
【0024】
なお、図中においてはインバータIV1のトランジスタT1LおよびT1Uにおいて、エミッタ、コレクタ、ゲートをそれぞれ、E、C、Gとして示す。
【0025】
半導体装置モジュール100は、例えばインバータIV1を構成し、P側パッケージユニット21は、トランジスタT1UおよびフリーホイールダイオードD1Uを有して構成され、トランジスタT1UのコレクタCに第1の主電極端子5が接続され、エミッタEに第2の主電極端子6が接続され、ゲートGに信号端子13が接続される。同様に、N側パッケージユニット22は、トランジスタT1LおよびフリーホイールダイオードD1Lを有して構成され、トランジスタT1LのコレクタCに第1の主電極端子7が接続され、エミッタEに第2の主電極端子8が接続され、ゲートGに信号端子13が接続される。この場合、接続部材9によって互いに接続された第2の主電極端子6および第1の主電極端子7がU相出力となる。
【0026】
このように、半導体装置モジュール100を1つのインバータ回路とした場合、3つの半導体装置モジュール100を組み合わせることで、図2に示す3相インバータIVが構成される。
【0027】
次に、図3〜図5を用いて、半導体装置モジュール100の内部構成について説明する。図3は、P側パッケージユニット21を樹脂パッケージ15側から見た場合に、樹脂パッケージ15を省略して示した図である。
【0028】
放熱板3の主面上に回路基板2が搭載され、回路基板2の主面上に形成された細長形状の導体パターンP1上に、一辺の長さが2〜5mmで、厚さが0.06〜0.25mmの半導体素子1aおよび1bが、それぞれ2個ずつ、計4個が直列的に配設されている。
【0029】
半導体素子1aおよび1bは、炭化珪素基板に形成された炭化珪素半導体素子であり、半導体素子1aは、IGBTあるいはMOSFET(metal oxide semiconductor field effect transistor)などのスイッチング素子、半導体素子1bは、SBD(schottky barrier diode)などである。
【0030】
炭化珪素半導体素子を使用することで、シリコン半導体素子を使用する場合に比べて、小型、かつ耐熱性に優れた半導体装置モジュールを得ることができる。
【0031】
図3に示す構成では、半導体素子1aとしてIGBT1aを使用し、半導体素子1bとしてSBD1bを使用している。なお、図2を用いて説明した、トランジスタT1UおよびフリーホイールダイオードD1Uが、それぞれIGBT1aおよびSBD1bに該当するが、図3の例では、それぞれが2個ずつ並列して接続された回路構成となっている。
【0032】
また、上記は一例であり、半導体素子の種類は上記に限定されるものではなく、また個数に関しては各1個ずつでもさらに多くでも良く、求められる電流、電圧等の製品スペックにより種類、個数、組み合わせを選択して搭載すれば良い。なお、部品を共通化することで、コストを削減することができる。
【0033】
IGBT1aおよびSBD1bの導体パターンP1への接続は、その裏面側の電極(IGBTであればコレクタ、ダイオードであればカソード)が導体パターンP1に高温はんだ等のロウ材もしくは導電性接着材等の接合材11(図示せず)で接合されることで接続される。
【0034】
また、IGBT1aおよびSBD1bの上面側の電極(IGBTであればエミッタ、ダイオードであればアノード)は、良導電性を有した金属、例えば銅やその合金材料で形成された厚さ0.3〜1.5mmの配線部材10を、IGBT1aおよびSBD1bの上面の渡るように配置し、高温はんだ等のロウ材もしくは導電性接着剤等の接合材11で素子の上面と接合している。
【0035】
ここで、接合材11として、高温はんだを使用する場合は、Sn(スズ)を主成分とした175℃以上の耐熱性を有したはんだ材を用いる。また、接合材11として、導電性接着剤を使用する場合は、例えば、直径2〜30nmの銀の粒子(銀ナノ粒子)を有機分子膜で覆った銀ナノ粒子ペーストを使用し、これをIGBT1aおよびSBD1bの上面に塗布してその上に配線部材10を渡し、焼結することで、熱伝導率20〜90W/mKで175℃以上の耐熱性を有した接合部を形成することができる。
【0036】
また、導体パターンP1の端縁部には、第1の主電極端子5も接合され、導体パターンP1の延在方向であって第1の主電極端子5が接合された側とは反対側には、独立した導体パターンP2が配設されており、当該導体パターンP2には、配線部材10が接合されるとともに、第2の主電極端子6も接合されている。
【0037】
ここで、第1の主電極端子5および第2の主電極端子6は、良導電性を有した金属、例えば銅やその合金材料で形成され、その厚さは0.3〜1.5mm、長辺の長さは5〜20mmである。
【0038】
また、第1の主電極端子5、第2の主電極端子6および配線部材10には貫通孔THが設けられており、そこには接合材11が満たされている。このような構成を採ることで、第1の主電極端子5、第2の主電極端子6および配線部材10の表面が、対向する面と接合材11で接合されるとともに、貫通孔THの内壁面も接合材11で接合されるので、信頼性の高い接合部を得ることができる。なお、第1の主電極端子5および第2の主電極端子6に設ける貫通孔THは、図3の例では、それぞれ1箇所となっているが、これに限定されるものではない。
【0039】
また、導体パターンP1の延在方向に並行して、独立した導体パターンP3が設けられており、当該導体パターンP3には、信号端子13が接合されるとともに、IGBT1aのゲートとの間がリード14によって接合されている。リード14は、アルミニウム等の金属製のワイヤによって構成し、ワイヤボンディングや超音波ボンディングを用いて圧接により接合しても良いし、導体板を用いて接合材11を用いて接合しても良い。
【0040】
ここで、接合材11を用いてのIGBT1a、SBD1bおよび第1の主電極端子5の導体パターンP1への接合、第2の主電極端子6および配線部材10の導体パターンP2への接合、配線部材10とIGBT1aおよびSBD1bの上面側の電極との接合を接合材11を用いて接合する場合、あるいは導電性接着剤を用いて接合する場合には、これら全てを、共通の熱処理工程を経て同時に接合することができるので、生産性の向上を図ることができる。
【0041】
また、第2の主電極端子6を、IGBT1aおよびSBD1bの主電極に直接に接続するのではなく、一旦、導体パターンP2に接続した後、配線部材10を介して、IGBT1aおよびSBD1bの主電極と電気的に接続する構成を採るので、後述する主電極端子先端の溶接時や、樹脂封止時に半導体素子に無用のモーメントが与えられることを防止できる。
【0042】
回路基板2は、AlN(窒化アルミ)、Al2O3(アルミナ)およびSi2N3の何れかで構成された絶縁性を有した絶縁基板であり、厚さ0.6〜3mm、長辺の長さが10〜150mmとなっている。なお、長辺の長さは、搭載する半導体素子の個数によって任意に変更される。
【0043】
回路基板2の一方の主面には、図3に示したように導電パターンP1〜P3が形成されており、反対側の他方の主面には、ほぼ全面に渡って導体パターン(図示せず)が形成されており、当該導体パターンは放熱板3の主面に接合され、半導体素子が発する熱を、放熱板3へと伝え、放熱する役割を果たしている。
【0044】
ここで、放熱板3は、厚さ0.8〜4mmのアルミニウム、アルミニウム合金、銅または銅合金で構成され、熱容量を確保するため回路基板2の長辺の長さよりも長い長辺サイズを有している。
【0045】
そして、放熱板3の長辺側端縁部が、放熱板4の主面上に形成されたレール状構造のユニット装着部50に挟み込まれることで、放熱板4の主面に対して放熱板3の主面が垂直に位置することとなる。
【0046】
ユニット装着部50は、その隙間に放熱板3の長辺側端縁部が挿入された後、プレス機にてかしめられることで、放熱板3を固定している。このような構成を採ることで、半導体装置モジュール100の外形サイズをできるだけ小さくするとともに、熱容量を大きくすることができる。このため半導体装置モジュール100の駆動時に発熱する半導体素子の放熱性を向上させることができる。
【0047】
ここで、放熱板4は、厚さ0.8〜4mmのアルミニウム、アルミニウム合金、銅または銅合金で構成され、熱容量を確保するため回路基板2の長辺の長さよりも長い長辺サイズを有している。
【0048】
また、後述するように、主電極端子先端の溶接時にはアーク放電を利用した局所溶接、いわゆるマイクロ溶接を行うが、その際に発生する熱を、放熱板3および4を介して放熱させることができる。このため、各部の接合に使用される接合材11に融点以上の熱が加わることが防止され、接合材11の軟化、溶融による接合部の品質低下を防止することができる。
【0049】
また、放熱板4の裏面側(放熱板3が設けられる側とは反対側の主面側)に、放熱フィンを設けても良い。これにより放熱性をさらに向上させることができるが、これを用いるかは半導体素子の発熱量に応じて、また、半導体装置モジュール100の使用形態や取り付け状態に応じて決定すれば良い。
【0050】
また、放熱フィンの代わりに冷却ファンを設けて強制空冷しても良いし、水冷により強制冷却しても良い。これらの方法は、半導体装置モジュール100の高温動作域での動作を保証するために有効である。
【0051】
図3には示されていないが、放熱板3の回路基板2が接合された側の主面上は、IGBT1a、SBD1b、第1の主電極端子5、第2の主電極端子6および配線部材10が接合された状態の回路基板2を樹脂封止する樹脂パッケージ15(図1)が形成されている。なお、放熱板3の裏面(回路基板2が接合された側とは反対側の主面)側は露出している。
【0052】
樹脂パッケージ15の樹脂材料は、シリコン樹脂や、エポキシ樹脂を主成分とした樹脂であり、半導体素子や配線部材10を接合した後、絶縁性を確保するとともに、第1の主電極端子5、第2の主電極端子6を固定保持し、回路基板2との接合の耐久性を確保する。なお、樹脂封止の方法は、例えば型枠を用いたポッティング法を用い、80〜150℃の加熱により成型する。
【0053】
次に、N側パッケージユニット22の構成について説明する。図4は、N側パッケージユニット22を樹脂パッケージ15側から見た場合に、樹脂パッケージ15を省略して示した図である。
【0054】
図3示したP側パッケージユニット21と比較して、N側パッケージユニット22は、両パッケージ間に設定した仮想線に対して線対象な構造を採り、互いの放熱板3の裏面が対向する構成となっている。これは、半導体装置モジュール100の冷却能力を上げ、各パッケージに含まれる半導体素子の安定した動作を実現するために有効な構成である。
【0055】
図3に示したP側パッケージユニット21と同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略するが、N側パッケージユニット22においては、導体パターンP1の端縁部に、第1の主電極端子7が接合され、第1の主電極端子7が接合された側とは反対側の導体パターンP2には、配線部材10が接合されるとともに、第2の主電極端子8が接合されている。
【0056】
ここで、第1の主電極端子7および第2の主電極端子8は、良導電性を有した金属、例えば銅やその合金材料で形成され、その厚さは0.3〜1.5mmである。
【0057】
また、第1の主電極端子7、第2の主電極端子8および配線部材10には貫通孔THが設けられており、そこには接合材11が満たされている。このような構成を採ることで、第1の主電極端子7、第2の主電極端子8および配線部材10の表面が、対向する面と接合材11で接合されるとともに、貫通孔THの内壁面も接合材11で接合されるので、信頼性の高い接合部を得ることができる。なお、第1の主電極端子7および第2の主電極端子8に設ける貫通孔THは、図4の例では、それぞれ1箇所となっているが、これに限定されるものではない。
【0058】
また、導体パターンP1の延在方向に並行して、独立した導体パターンP3が設けられており、当該導体パターンP3には、信号端子13が接合されるとともに、IGBT1aのゲートとの間がリード14によって接合されている。
【0059】
図4には示されていないが、放熱板3の回路基板2が接合された側の主面上は、IGBT1a、SBD1b、第1の主電極端子7、第2の主電極端子8および配線部材10が接合された状態の回路基板2を樹脂封止する樹脂パッケージ15(図1)が形成されている。なお、放熱板3の裏面(回路基板2が接合された側とは反対側の主面)側は露出している。
【0060】
次に、図3および図4におけるA−A線での断面矢視図を図5に示す。図5に示すように、P側パッケージユニット21の第2の主電極端子6と、N側パッケージユニット22の第1の主電極端子7との間に、導電性の接続部材9が挿入されている。
【0061】
このように、回路基板2、IGBT1a、SBD1b、および配線部材10は樹脂パッケージ15内に樹脂封止されているが、第1の主電極端子5、7および第2の主電極端子6、8は、長辺の長さのうち、2〜15mmが樹脂パッケージ15から突出している。そして、突出した各主電極端子の先端は、平坦ではなく図3および図4に示すように短辺の中央部が凹んで凹凸を有する形状となっている。
【0062】
このような形状とすることで、第2の主電極端子6と第1の主電極端子7とを接続部材9に溶接する際に溶接部どうしが接触することを防止できる。
【0063】
ここで、各主電極端子の短辺に沿った方向を幅方向と呼称すると、凹凸形状の凹部と凸部の寸法は、主電極端子の幅をA(mm)とし、凹部の幅をX(mm)とすると、X≧0.4Aの関係を満たすように設定される。
【0064】
このように、凹凸形状の寸法を設定するのは、凹部の幅が狭いと、第2の主電極端子6と第1の主電極端子7とを接続部材9に溶接する際に、隣合う溶接部どうしが接したり、あるいは接合する可能性が生じるので、それを防止するためである。
【0065】
溶接部どうしが接合してしまうと、溶接部の形状が略半球形状といった安定した形状ではなく、不安定な形状になってしまい、信頼性が低下する可能性がある。一方で、半導体装置モジュール100は、小型化、軽量化が要求されており、主電極端子幅を無制限に広げることはできず、接合部の信頼性向上および製品品質の確保も考慮すると、上記関係を満たすことが望ましいということになる。
【0066】
なお、凹部の幅を広げ過ぎると、凸部の幅が狭くなり、溶接作業に支障を来すとともに接合強度が低下するので、凹部の幅の上限は、凸部の幅の0.5倍程度が望ましい。
【0067】
ここで、第2の主電極端子6と第1の主電極端子7とを接続部材9にアーク放電を利用した局所溶接により接合した状態の断面図を図6に示す。樹脂パッケージ15が形成された後のP側パッケージユニット21およびN側パッケージユニット22を、放熱板4上に設けられたユニット装着部50に装着して、プレス機等にてかしめた後、第2の主電極端子6と第1の主電極端子7との間に接続部材9を挿入すると、図5に示した状態となる。
【0068】
ここで、接続部材9は、長辺に沿った方向の両端部が同じ方向にほぼ90度に折れ曲がった形状を有し、折れ曲がった先の先端部は主電極端子と同じ凹凸を有する形状となっている。また、接続部材9の短辺に沿った方向を幅方向と呼称すると、接続部材9の幅は第2の主電極端子6および第1の主電極端子7の幅と同じ長さに設定され、凹部および凸部の寸法も第2の主電極端子6および第1の主電極端子7と同じである。このような構成とすることで、組立および溶接を容易行うことができる。
【0069】
接続部材9を、第2の主電極端子6と第1の主電極端子7との間に挿入する際には、第2の主電極端子6と第1の主電極端子7の先端部と、接続部材9の折れ曲がった先の先端部とが一致するように挿入する。
【0070】
その後、アーク放電を利用した局所溶接により、第2の主電極端子6および第1の主電極端子7の先端部と、接続部材9の先端部とを溶接する。アーク放電の熱により、互いの先端が溶融し、ほぼ半球状の溶接部BLが形成される。
【0071】
ここで、溶接部BLの最大幅は、接合前の第2の主電極端子6および第1の主電極端子7の先端部の凸部の幅より1.1倍以上の大きさを有した構造となっている。これにより接合部の信頼性を高め、製品品質を高めることができる。
【0072】
この理由について、図7を用いて説明する。図7は、横軸に、主電極端子の凸部の幅に対する接合幅(溶接部BLの最大幅)の比率を取り、縦軸に破断強度(N)を取った場合の接合強度試験結果を示している。
【0073】
図7より、溶接部BLの最大幅が、主電極端子の凸部の幅より1.1倍以上となることで、破断強度が10N(ニュートン)を越え、必要な接合強度を有することが判る。破断強度は、横軸の比率が1を越える辺りから急速に高まるが、比率が1.1より小さい場合には、十分な接合強度を得ることは難しい。
【0074】
また、この1.1倍というのは、電極の接合部の信頼性を最小エネルギーで確保するものであり、このような構造を最小接合構造と呼称する。そして、最小接合構造を採ることで、生産コストを削減できるとともに、小型化、軽量化を実現することができる。
【0075】
なお、図7より、溶接部BLの最大幅が、主電極端子の凸部の幅より1.1倍以上であれば必要な接合強度が得られるが、上限は、先に説明した主電極端子の凹部の幅との関係から、主電極端子の凸部の幅の2倍程度と考えられる。
【0076】
ここで、溶接方法についてはアーク放電を利用した局所溶接に替えて電子ビーム溶接、またはレーザ溶接を用いても良く、この場合も、ほぼ半球状の溶接部BLが形成することができる。
【0077】
また、樹脂パッケージ15が形成された後のP側パッケージユニット21およびN側パッケージユニット22を、ユニット装着部50に装着してかしめた後に、アーク放電を利用した局所溶接を行うので、半導体素子は封止樹脂に覆われており、スカート状に広がるアーク放電が、半導体素子にダメージを与えることはない。これは、電子ビーム溶接またはレーザ溶接を用いる場合も同様である。
【0078】
第2の主電極端子6と第1の主電極端子7とを接続部材9により接合することで、P側パッケージユニット21とN側パッケージユニット22とが電気的に接続されて図2に示した1組のインバータ回路が形成される。
【0079】
<製造方法>
次に、製造工程を順に示す図8〜図16を用いて、半導体装置モジュール100の製造方法について説明する。なお、以下の説明においては図3に示したP側パッケージユニット21の製造方法を例に採って説明する。
【0080】
まず、図8に示す工程において、一方の主面上に導体パターンP1〜P3が形成された回路基板2を準備し、導体パターンP1上の半導体素子が搭載される領域に接合材11を配置する。
【0081】
次に、図9に示す工程において、IGBT1aおよびSBD1bを準備し、接合材11が配置された領域に搭載する。
【0082】
次に、図10に示す工程において、IGBT1aおよびSBD1bの上面、導体パターンP1およびP2上の、それぞれ第1の主電極端子5および第2の主電極端子6が接合される領域および導体パターンP2上の配線部材10が接合される領域に接合材11を配置する。
【0083】
次に、図11に示す工程において、配線部材10および第1の主電極端子5および第2の主電極端子6を準備し、接合材11が配置された領域に搭載する。その後、回路基板2を所定の温度条件下で加熱して、接合材11を固化(または硬化)させることで、各構成を回路基板2上に接合(固着)する。
【0084】
次に、図12に示す工程において、放熱板3を準備し、一方の主面上の回路基板2が接合される領域に接合材11を配置する。
【0085】
次に、図13に示す工程において、半導体素子が実装された回路基板2を、接合材11が配置された領域に搭載し、所定の温度条件下で加熱して、接合材11を固化(または硬化)させることで、回路基板2を放熱板3上に接合(固着)する。
【0086】
次に、図14に示す工程において、IGBT1aのゲートを導体パターンP3に電気的に接続するため、ワイヤボンドまたは超音波ボンディングによりリード14の接合を行う。また、信号端子13もワイヤボンドまたは超音波ボンディングにより導体パターンP3に接続する。この工程までを完了した構成を便宜的に回路ユニットと呼称する。
【0087】
次に、図15に示す工程において、半導体素子が実装された回路基板2を放熱板3上で樹脂封止する。具体的な封止方法は、回路基板2が完全に覆われるとともに、第1の主電極端子5および第2の主電極端子6の端部が突出する型枠に放熱板3を嵌め込み、当該型枠内に熱硬化性の封止樹脂を導入し、80〜150℃で加熱して樹脂を硬化させて樹脂パッケージ15を成形する。これにより、P側パッケージユニット21およびN側パッケージユニット22が完成する。
【0088】
次に、図16に示す工程において、放熱板4を準備し、P側パッケージユニット21およびN側パッケージユニット22における放熱板3の長辺(主電極端子が設けられていない側の長辺)を、それぞれユニット装着部50のレールの隙間に挿入し、プレス機を用いてレールを構成する長尺材をかしめることで固定する。これにより、放熱板4の主面に対して、放熱板3の主面が垂直に位置するように固定される。
【0089】
その後、第2の主電極端子6と第1の主電極端子7との間に接続部材9を挿入し、アーク放電を利用した局所溶接により、第2の主電極端子6および第1の主電極端子7の先端部と、接続部材9の先端部とを溶接することで、図6に示した溶接部BLが形成され、半導体装置モジュール100が完成する。
【0090】
<効果>
以上説明したように半導体装置モジュール100においては、第2の主電極端子6および第1の主電極端子7と接続部材9との接合において、被接合材(主電極端子)と異なる金属で構成される接合材(例えばはんだ材)を使用することなく、母材である第2の主電極端子6、第1の主電極端子7および接続部材9を溶融し、凝固させることで金属原子どうしを結合させ接合するので、母材と接合材との線膨張係数のミスマッチが発生することがない。
【0091】
すなわち、半導体装置モジュールは、温度差(ΔT)225℃以上といった温度変化が大きい極めて厳しい環境下での使用が要求されるので、はんだ材のように異なった線膨張係数を有した材料を介して接合すると、母材との線膨張係数のミスマッチにより接合部に大きな熱歪みや熱応力が発生し、亀裂を生じさせる可能性がある。そして、主電極端子の厚みが0.3〜1.5mmと薄いため、一旦亀裂が生じると亀裂が進展する可能性がある。
【0092】
しかしながら、本発明においてはアーク放電を利用した局所溶接を使用することで、数msec〜数秒で溶接が終了して熱歪みの発生を抑制できるとともに、線膨張係数のミスマッチが発生せず、線膨張係数の違いに起因する亀裂の発生を抑制することができる。このため、信頼性の高い接合部を得ることができる。
【0093】
また、接合材11として、175℃以上の耐熱性を有したはんだ材や銀ナノ粒子ペーストを使用することで、樹脂パッケージ15内部の接合部においても175℃以上の耐熱性を確保でき、半導体素子として炭化珪素半導体素子を使用することと併せて半導体装置モジュール100自体の信頼性および製品品質を高めることができる。
【0094】
また、放熱板3の長辺側端縁部が、放熱板4の主面上に形成されたレール状構造のユニット装着部50に挟み込むことで、放熱板4を固定する構成を採るので、放熱板4の固定が確実かつ強固にできる。
【0095】
また、放熱板4の主面に対して放熱板3の主面が垂直に位置する構成を採ることで、樹脂パッケージ15の側面から主電極端子を突出させる構成と相俟って小型化、軽量化を図ることができる。
【0096】
また、放熱板3および4を組み合わせることで熱容量を大きくすることができるとともに、放熱板3の裏面が、空気に曝されることで、放熱板3の裏面においても放熱することができ、半導体装置モジュール100の駆動時に発熱する半導体素子の放熱性を向上させることができ、より高い温度でも正常な動作が可能となる。
【0097】
<実施の形態2>
次に、図17を用いて本発明に係る実施の形態2の半導体装置モジュール200の構成について説明する。なお、図3および図4に示した半導体装置モジュール100と同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0098】
図17は、図3および図4に示した半導体装置モジュール100と同様の部分における断面矢視図であり、半導体素子1bが回路基板2の上に接合され、放熱板3は放熱板4の主面上に接合材12を用いて接合されている。
【0099】
そして、P側回路とN側回路とがケース18で囲まれ、ケース18と放熱板4とで構成される筐体内には絶縁性の封止材16が充填されてP側回路およびN側回路が樹脂封止されている。ケース18は、PPS、PBT、SPSおよびエポキシなどの絶縁材で構成され、その厚さは0.5〜1.5mmである。
【0100】
このように、半導体装置モジュール200では、P側回路とN側回路とが共通して樹脂封止された構成であり、樹脂パッケージは1つであるので、便宜的にP側回路をP側回路ユニット210、N側回路をN側回路ユニット220と呼称する。
【0101】
P側回路ユニット210の第2の主電極端子6AおよびN側回路ユニット220の第1の主電極端子7Aの形状は、上端部が2段階に曲げられて断面がZ字状となっている。すなわち、一旦、主電極端子の主面に垂直な方向に曲げられることで第1の屈曲部が形成され、再び、主電極端子の主面と並行な方向に曲げ戻されることで第2の屈曲部が形成された構成を有している。そして、第1および第2の屈曲部が、直角よりもやや小さな角度となるように曲げられることで、Z字状の断面形状となっている。これは、第1の主電極端子7Aにおいても同じであるとともに、P側回路ユニット210の第1の主電極端子(図示せず)およびN側回路ユニット220の第2の主電極端子(図示せず)においても同じである。
【0102】
また、第2の主電極端子6Aと第1の主電極端子7Aとの間の接続部材9Aは、長辺に沿った方向の両端部が同じ方向に90度よりもやや小さな角度となるように曲げられているとともに、中央部がカーブした断面形状を有している。
【0103】
このような構成を採ることで、各主電極端子の接合部において発生する熱応力、熱歪みを屈曲部において吸収できるので、信頼性および製品品質をさらに高めることができる。
【0104】
すなわち、半導体装置モジュール200が厳しい環境下にて使用される場合、例えば寒冷地での使用、車載での使用等において特に効果がある。
【0105】
また、各主電極端子の形状を曲げ形状とすることで電極長を短くすることができ、さらなる小型化、軽量化を実現することができる。
【0106】
すなわち、主電極端子の材料である銅あるいは銅合金の密度は、約8933kg/m3であり、半導体装置モジュールの全重量に占める主電極端子の材料の重量比は、放熱板に次いで大きいからである。なお、各主電極端子の曲げ加工はプレス機等を用いて順送金型にて生産効率よく実行される。
【0107】
また、半導体装置モジュール200では、放熱板3は放熱板4の主面上に接合材12を用いて接合されているが、接合材12はSnを主成分とした175℃以上の耐熱性を有した高温はんだ等のロウ材もしくは銀ナノ粒子ペースト等の導電性接着剤を用いる。これにより、半導体装置モジュール200が175℃以上となる高温下でも耐久性が確保でき、また接合材12は熱伝導率が20〜90W/mKであるため、動作時に半導体素子が発する熱を放熱板3を介して放熱板4へと効率よく熱伝達することができる。
【0108】
なお、図3に示した半導体装置モジュール100と同様に、ユニット装着部50を用いてかしめにより放熱板3を固定する構成としても良い。逆に、半導体装置モジュール100においては、半導体装置モジュール200と同様に、接合材12を用いて放熱板3を接合する構成としても良い。
【0109】
半導体装置モジュール200の製造においては、放熱板4の一方の主面上にP側回路ユニット210およびN側回路ユニット220の放熱板3の長辺(主電極端子が設けられていない側の長辺)の側面を接合材12を用いて接合した後、無底無蓋のケース18を、P側回路ユニット210およびN側回路ユニット220囲むように接着剤(図示せず)を用いて放熱板4の主面上に固定する。
【0110】
その後、ケース18と放熱板4とで構成される筐体内に、封止材16として、例えば、シリコーンゲルまたはエポキシ樹脂を充填する。
【0111】
このように、筐体を設けて封止材16を充填する構成を採ることで、製造工程を簡略化でき、また、P側回路ユニット210およびN側回路ユニット220を、主電極端子の先端部除いて封止材16で覆うことで、溶接時に接合部以外の部分に不具合が発生することを防止できる。
【0112】
その後、封止材16から突出している第2の主電極端子6と第1の主電極端子7との間に接続部材9を挿入し、アーク放電を利用した局所溶接により、第2の主電極端子6および第1の主電極端子7の先端部と、接続部材9の先端部とを溶接することで半導体装置モジュール200が完成する。
【0113】
なお、第2の主電極端子6A、第1の主電極端子7Aおよび接続部材9Aを、実施の形態1の半導体装置モジュール100において第2の主電極端子6、第1の主電極端子7および接続部材9の代わりに用いても良い。
【0114】
<実施の形態3>
次に、図18および図19を用いて本発明に係る実施の形態3の半導体装置モジュール300の構成について説明する。なお、図3および図4に示した半導体装置モジュール100と同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0115】
図18は、図3および図4に示した半導体装置モジュール100と同様の部分における断面矢視図であり、半導体素子1bが回路基板2の上に接合され、放熱板3は放熱板4の主面上に接合材12を用いて接合されている。
【0116】
そして、P側回路およびN側回路の上方には、図示されないIGBT1aのゲートへの制御信号を生成する制御回路を含む制御基板19が配置され、当該制御基板19を含めて、P側回路およびN側回路全体が樹脂パッケージ17内に収納された構成となっている。
【0117】
このように、半導体装置モジュール300では、P側回路とN側回路とが共通して樹脂封止された構成であり、樹脂パッケージは1つであるので、便宜的にP側回路をP側回路ユニット210、N側回路をN側回路ユニット220と呼称する。
【0118】
図19に示すように、P側回路ユニット210およびN側回路ユニット220は、互いの回路基板2が向かい合うように放熱板4上に搭載され、それぞれの放熱板3の裏面は、樹脂パッケージ17の側面において露出するように構成されている。
【0119】
P側回路ユニット210およびN側回路ユニット220のそれぞれの放熱板3は、長辺(主電極端子が設けられていない側の長辺)の側面が、放熱板4の長辺側の端縁部に沿って設けられた段差部に接合材12によって接合されている。接合材12はSnを主成分とした175℃以上の耐熱性を有した高温はんだ等のロウ材もしくは銀ナノ粒子ペースト等の導電性接着剤を用いる。
【0120】
P側回路ユニット210の第2の主電極端子6およびN側回路ユニット220の第1の主電極端子7は、上方に配置された制御基板19を貫通して延在し、第2の主電極端子6および第1の主電極端子7の先端部は、間に挿入された接続部材9の先端部と、アーク放電を利用した局所溶接により溶接されて、溶接部BLが形成されている。
【0121】
また、P側回路ユニット210の第1の主電極端子5(図示せず)およびN側回路ユニット220の第2の主電極端子8(図示せず)は、上方に配置された制御基板19を貫通して延在し、それぞれの先端部は、外部端子30および31にアーク放電を利用した局所溶接により溶接されている。外部端子30および31の端部は、樹脂パッケージ17の上面から突出し、それぞれ電源や電気機器などに接続される。
【0122】
図19は、P側回路ユニット210を回路基板2側から見た場合に、P側回路ユニット210上の樹脂パッケージ17を省略して示した図である。なお、図19におけるB−B線での断面矢視図が図18に対応する。
【0123】
図19に示すように、導体パターンP3に接続された信号端子13は、上方の制御基板19に向けて延在し、制御基板19の制御回路(図示せず)に接続されることで制御信号が与えられる構成となっている。
【0124】
また、P側回路ユニット210の第2の主電極端子6およびN側回路ユニット220の第1の主電極端子7(図示せず)は、図示されない接続部材9に接続されているが、接続部材9はさらに外部端子32に接続され、外部端子32の端部は、樹脂パッケージ17の上面から突出する構成となっている。なお、外部端子32は接続部材9と一体で設けられた構成であっても良い。
【0125】
このように、半導体装置モジュール300では、P側回路ユニット210およびN側回路ユニット220のそれぞれの放熱板3の裏面が、樹脂パッケージ17の側面において露出し、放熱板4の裏面も露出しているため、放熱に関わる3つの面(放熱面)が外部に露出することとなり、より高い放熱性を得ることができる。これにより、半導体素子が持つ特性を十分に発揮することができる。
【0126】
なお、露出した放熱面を自然冷却で冷却しても良いが、各放熱面に空冷フィンを取り付けても良く、また水冷フィンを取り付けても良い。
【0127】
半導体装置モジュール300の製造においては、長辺側の端縁部に沿って段差部が設けられた放熱板4の主面上にP側回路ユニット210およびN側回路ユニット220の放熱板3の長辺(主電極端子が設けられていない側の長辺)の側面を接合材12を用いて接合した後、各主電極端子が、制御基板19に設けた開口部を貫通するとともに、P側回路ユニット210およびN側回路ユニット220のそれぞれの信号端子13が、制御基板19上の所定の制御回路に接続されるように制御基板19を配置する。このとき、信号端子13を制御回路に、例えばはんだ付けで接続することで、制御基板19を支える構成としても良い。
【0128】
次に、第2の主電極端子6と第1の主電極端子7との間に接続部材9を挿入し、アーク放電を利用した局所溶接により、第2の主電極端子6および第1の主電極端子7の先端部と、接続部材9の先端部とを溶接する。このとき、外部端子32と一体となった接続部材9を用いる場合には外部端子32を接続部材9に溶接する手間が省ける。
【0129】
また、P側回路ユニット210の第1の主電極端子5およびN側回路ユニット220の第2の主電極端子8(図示せず)に、それぞれ外部端子30および31をアーク放電を利用した局所溶接により溶接する。なお、外部端子30および31の、それぞれ第1の主電極端子5および第2の主電極端子8と接続される端部の形状は、第1の主電極端子5および第2の主電極端子8の端部と同様に凹凸を有する形状とすれば良い。
【0130】
その後、外部端子30〜32の先端部以外の部分が完全に樹脂封止されるように樹脂パッケージ17を形成する。
【0131】
具体的な封止方法は、放熱板4上に、P側回路ユニット210、N側回路ユニット220および先端部以外の外部端子30〜32を囲むような型枠を配置し、当該型枠内に熱硬化性の封止樹脂を導入し、80〜150℃で加熱して樹脂を硬化させて樹脂パッケージ17を成形する。
【0132】
このような構成を採ることで、各主電極端子と回路基板2との接合箇所も、樹脂パッケージ17で覆われているため、信頼性および製品品質を高めることができる。
【0133】
さらには、樹脂封止作業が金型を用いた一括成形によりなされるので、大量に製造するような場合などは、安価で生産性が非常に良い構造となる。
【0134】
なお、実施の形態2の半導体装置モジュール200において用いた、第2の主電極端子6A、第1の主電極端子7Aおよび接続部材9Aを、実施の形態3の半導体装置モジュール300において第2の主電極端子6、第1の主電極端子7および接続部材9の代わりに用いても良い。
【0135】
<変形例1>
図20には、図1に示した半導体装置モジュール100の周囲を樹脂ケース40で囲んだ構成を示す。なお、図1に示した半導体装置モジュール100と同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0136】
図20に示すように、無底無蓋の樹脂ケース40が、P側パッケージユニット21およびN側パッケージユニット22を囲むように放熱板4の主面上に固定されている。
【0137】
樹脂ケース40は、長辺に沿った方向の両側に、それぞれ外側に向けて延在するように設けられた台座部41および42を有している。
【0138】
そして、台座部41上には、接続部材9から外部端子ACTが延在しており、台座部42には、P側パッケージユニット21の第1の主電極端子5に溶接された外部端子PTおよびN側パッケージユニット22の第2の主電極端子8に溶接された外部端子NTが延在する構成となっている。
【0139】
接続部材9と外部端子ACTとは一体的に形成されており、接続部材9を第2の主電極端子6および第1の主電極端子7に溶接することで、外部端子ACTに第2の主電極端子6および第1の主電極端子7が電気的に接続されることとなる。
【0140】
また、P側パッケージユニット21の第1の主電極端子5と外部端子PTとの溶接、N側パッケージユニット22の第2の主電極端子8と外部端子NTとの溶接にもアーク放電を利用した局所溶接を使用する。
【0141】
なお、外部端子PTおよびNTの、それぞれ第1の主電極端子5および第2の主電極端子8と接続される端部の形状は、第1の主電極端子5および第2の主電極端子8の端部と同様に凹凸を有する形状とすれば良い。
【0142】
このように、P側パッケージユニット21およびN側パッケージユニット22を囲むように樹脂ケース40を配設することで、半導体装置モジュール100が1つのユニットとしてより強固な構造となる。
【0143】
また、外部端子ACT、PTおよびNTを設けることで、電源や電気機器などとの接続を容易にできるという効果がある。
【0144】
<変形例2>
以上説明した半導体装置モジュール100〜300においては、図2に示した3相インバータIVのうち、インバータIV1を構成する2つの回路ユニットを備えるものとして説明した。このように複数の回路ユニットで1つのモジュールを構成することで、組立性が向上する。
【0145】
しかし、1組のインバータのうち、一方の電位側のトランジスタおよびフリーホイールダイオードの回路ユニットだけでモジュールを構成しても良い。その場合は、6つの半導体装置モジュールを組み合わせることで、図2に示す3相インバータIVが構成されることとなる。
【0146】
また、1組のインバータでなく3組のインバータ、すなわち、図2に示した3相インバータIVを構成する全ての回路ユニットを含むようにモジュールを構成しても良い。その場合は、1つの半導体装置モジュールだけで、図2に示す3相インバータIVが構成されることとなる。1つの放熱板4上に3相インバータを構成するための全ての回路ユニットを配設する方が、組立性の観点からは有利である。
【符号の説明】
【0147】
1a IGBT、1b SBD、2 回路基板、3,4 放熱板、5,7,7A 第1の主電極端子、6,6A,8 第2の主電極端子、9,9A 接続部材、10 配線部材、11,12 接合材、15,17 樹脂パッケージ、16 封止材、18 ケース、P1〜P3 導体パターン。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子が搭載された回路基板と、
前記回路基板を搭載する第1の放熱板と、
前記半導体素子の主電極に電気的に接続される主電極端子と、を有した少なくとも1つの回路ユニットと、
前記少なくとも1つの回路ユニットを搭載する第2の放熱板とを備え、
前記第1の放熱板は、その主面が、前記第2の放熱板の主面に対して垂直となるように前記第2の放熱板上に搭載され、
前記主電極端子は、一方端が前記回路基板に接続され、前記第1の放熱板の前記主面に対して平行な方向に延在して他方端が前記第1の放熱板上から突出し、
前記第2の放熱板上に搭載され、前記主電極端子の前記他方端を除いて前記少なくとも1つの回路ユニットの周囲を囲むケースを備え、
前記ケースと前記第2の放熱板とで構成される筐体内に、絶縁性の封止材が充填される、半導体装置モジュール。
【請求項2】
半導体素子が搭載された回路基板と、
前記回路基板を搭載する第1の放熱板と、
前記半導体素子の主電極に電気的に接続される主電極端子と、を有した少なくとも1つの回路ユニットと、
前記少なくとも1つの回路ユニットを搭載する第2の放熱板とを備え、
前記第1の放熱板は、その主面が、前記第2の放熱板の主面に対して垂直となるように前記第2の放熱板上に搭載され、
前記主電極端子は、一方端が前記回路基板に接続され、前記第1の放熱板の前記主面に対して平行な方向に延在して他方端が前記第1の放熱板上から突出し、
前記第1の放熱板は、
前記回路基板が搭載された側とは反対側となる裏面が外側となるように、前記主電極端子が突出する側とは反対側の端面が前記第2の放熱板の端縁部に接合材によって接合され、
前記少なくとも1つの回路ユニットは、
前記第1の放熱板の前記裏面を除いて、前記少なくとも1つの回路ユニット全体を樹脂封止する樹脂パッケージを備える、半導体装置モジュール。
【請求項3】
前記主電極端子は、板状部材で構成され、前記他方端側が、一旦、その主面に垂直な方向に曲げられることで第1の屈曲部が形成され、再び、主面と並行な方向に曲げ戻されることで第2の屈曲部が形成されたZ字状の断面形状を有する、請求項1記載の半導体装置モジュール。
【請求項4】
前記第1の放熱板は、
前記主電極端子が突出する側とは反対側の端面が、前記第2の放熱板上に接合材によって接合される、請求項1記載の半導体装置モジュール。
【請求項5】
前記半導体素子は、炭化珪素半導体素子である、請求項1または請求項2記載の半導体装置モジュール。
【請求項1】
半導体素子が搭載された回路基板と、
前記回路基板を搭載する第1の放熱板と、
前記半導体素子の主電極に電気的に接続される主電極端子と、を有した少なくとも1つの回路ユニットと、
前記少なくとも1つの回路ユニットを搭載する第2の放熱板とを備え、
前記第1の放熱板は、その主面が、前記第2の放熱板の主面に対して垂直となるように前記第2の放熱板上に搭載され、
前記主電極端子は、一方端が前記回路基板に接続され、前記第1の放熱板の前記主面に対して平行な方向に延在して他方端が前記第1の放熱板上から突出し、
前記第2の放熱板上に搭載され、前記主電極端子の前記他方端を除いて前記少なくとも1つの回路ユニットの周囲を囲むケースを備え、
前記ケースと前記第2の放熱板とで構成される筐体内に、絶縁性の封止材が充填される、半導体装置モジュール。
【請求項2】
半導体素子が搭載された回路基板と、
前記回路基板を搭載する第1の放熱板と、
前記半導体素子の主電極に電気的に接続される主電極端子と、を有した少なくとも1つの回路ユニットと、
前記少なくとも1つの回路ユニットを搭載する第2の放熱板とを備え、
前記第1の放熱板は、その主面が、前記第2の放熱板の主面に対して垂直となるように前記第2の放熱板上に搭載され、
前記主電極端子は、一方端が前記回路基板に接続され、前記第1の放熱板の前記主面に対して平行な方向に延在して他方端が前記第1の放熱板上から突出し、
前記第1の放熱板は、
前記回路基板が搭載された側とは反対側となる裏面が外側となるように、前記主電極端子が突出する側とは反対側の端面が前記第2の放熱板の端縁部に接合材によって接合され、
前記少なくとも1つの回路ユニットは、
前記第1の放熱板の前記裏面を除いて、前記少なくとも1つの回路ユニット全体を樹脂封止する樹脂パッケージを備える、半導体装置モジュール。
【請求項3】
前記主電極端子は、板状部材で構成され、前記他方端側が、一旦、その主面に垂直な方向に曲げられることで第1の屈曲部が形成され、再び、主面と並行な方向に曲げ戻されることで第2の屈曲部が形成されたZ字状の断面形状を有する、請求項1記載の半導体装置モジュール。
【請求項4】
前記第1の放熱板は、
前記主電極端子が突出する側とは反対側の端面が、前記第2の放熱板上に接合材によって接合される、請求項1記載の半導体装置モジュール。
【請求項5】
前記半導体素子は、炭化珪素半導体素子である、請求項1または請求項2記載の半導体装置モジュール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2013−58809(P2013−58809A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−282374(P2012−282374)
【出願日】平成24年12月26日(2012.12.26)
【分割の表示】特願2010−14912(P2010−14912)の分割
【原出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年12月26日(2012.12.26)
【分割の表示】特願2010−14912(P2010−14912)の分割
【原出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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