説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】 微粒子とこの微粒子に結合した有機半導体分子とによって導電路が形成され、その導電性が電界によって制御されるように構成された半導体装置及びその製造方法であって、有機半導体分子が長鎖状であっても電気伝導性が低下しない半導体装置及びその容易な製造方法を提供する。
【解決手段】 金などの微粒子6を、凝集を防ぐための保護膜分子で表面を被覆した状態で形成する。次に微粒子6と結合できる官能基を有する第1の分子を微粒子6に作用させ、保護膜分子を置換する。次に微粒子6に結合した第1の分子に第2の分子を重合させ、長鎖状の前駆体分子11を生成させる。次に前駆体分子11が結合した微粒子6を、チャネル層9の形成領域に配置した後、微粒子6に結合した前駆体分子11と、隣接する微粒子6に結合した他の前駆体分子11とを結合させ、この結果生成する有機半導体分子7によって、隣接する微粒子6間を連結する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導体又は半導体からなる微粒子と有機半導体分子とによって導電路が形成されている導電体及びその製造方法、並びにそれを用いた半導体装置及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor;以下、TFTと略記する)は、電子回路、特にディスプレイ等のアクティブマトリックス回路におけるスイッチング素子として広く用いられている。
【0003】
現在、大部分のTFTは、半導体層(チャネル層)としてアモルファスシリコンまたは多結晶シリコンを用いるシリコン系無機半導体トランジスタである。これらの製造は、半導体層形成にプラズマCVD法(Chemical Vapor Deposition;化学気相成長法)などを用いるため、プロセスコストが高い。また、350℃程度の高温での熱処理が必要であることから、プロセスコストが高くなるとともに、基板が制約される。
【0004】
近年、スピンコーティングや浸漬などの低い温度下での低コストのプロセスで製造でき、プラスチック等の耐熱性のないフレキシブルな基板等へも製膜することができることから、有機半導体材料を用いた有機半導体トランジスタの開発が盛んに行われている。
【0005】
しかしながら、有機半導体材料では、TFTの特性指標である移動度は、典型的な値として10-3〜1cm2/Vsが得られているにすぎない(C.D.Dimitrakopoulosら, Adv. Mater., 14, 99 (2002))。この値は、アモルファスシリコンの移動度である数cm2/Vsや多結晶シリコンの移動度である約100cm2/Vsに比べて低く、ディスプレイ用TFTで要求される移動度1〜3cm2/Vsに達していない。このため、移動度を改善することが有機半導体材料開発の大きな課題となっている。
【0006】
有機半導体材料の移動度は、分子内の電荷移動及び分子間の電荷移動によって決定される。分子内の電荷移動は、電子が非局在化して共役系を形成することによって可能となる。分子間の電荷移動は、分子間の結合、ファンデルワールス力による分子軌道の重なりによる伝導、又は、分子間のトラップ準位を介してのホッピング伝導によって行われる。
【0007】
この場合、分子内での移動度をμ-intra、分子間の結合による移動度をμ-inter、分子間のホッピング伝導の移動度をμ-hopとすると、
μ-intra ≫ μ-inter > μ-hop
の関係がある。有機半導体材料では、遅い分子間の電荷移動が全体としての移動度を制限しているため、電荷の移動度が小さくなっている。
【0008】
移動度の改善のために、例えば、有機半導体材料のペンタセン薄膜を蒸着で形成する際に、蒸着の堆積速度を極端に抑え、且つ、基板温度を室温に抑えることにより、分子の配向性を向上させ、移動度として0.6cm2/Vsを達成している例がある(C.D.Dimitrakopoulosら, IBM J. Res.& Dev., 45, 11 (2001))。
【0009】
これは、材料の結晶性を良くし、分子間のホッピング伝導を抑えることにより、移動度の改善を目指すものである。多少の改善はあるものの、分子間の移動が全体としての移動度を制限していることに変わりはなく、満足できるほどの大きな移動度は得られていない。
【0010】
これとは別に、有機半導体材料と他の材料とを組み合わせることによって、電気的特性の改善を目指す試みもなされている。
【0011】
例えば、後述の特許文献1では、導体または半導体からなる微粒子と、この微粒子と結合した有機半導体分子とによってネットワーク型の導電路を形成し、この導電路の導電性を電界によって制御できるように構成した半導体装置、及びその製造方法が提案されている。
【0012】
図12は、特許文献1に開示されている絶縁ゲート型電界効果トランジスタの断面図(a)と、要部拡大図(b)とである。この電界効果トランジスタでは、ソース電極104とドレイン電極105との間に、金などの微粒子109と、4,4’−ビフェニルジチオールなどの有機半導体分子112とがネットワーク状に結合されたチャネル層108が形成され、この結合体におけるキャリア移動がゲート電極102に印加されるゲート電圧によって制御されるように構成されている。
【0013】
図12(b)に示すように、上記の結合体では、有機半導体分子112が両端にある官能基によって微粒子109と結合し、これによって微粒子109と有機半導体分子112とが交互に連結され、微粒子109内の導電路と有機半導体分子112内の導電路とが接続された導電路が形成される。微粒子109には多数の有機半導体分子112が結合できるので、全体としては二次元または三次元網目状に連結されたネットワーク型の導電路が形成されている。
【0014】
上記の導電路には、従来の有機半導体の低い移動度の原因であった分子間の電子移動が含まれず、しかも、有機半導体分子内の電子移動は、分子骨格に沿って形成された共役系を通じて行われるので、高い移動度が期待される。
【0015】
図13と図14は、図12に示した絶縁ゲート型電界効果トランジスタの作製工程のフローを示す断面図である。以下、微粒子109として金微粒子を、有機半導体分子112として4,4’−ビフェニルジチオールを想定して説明する。
【0016】
工程1
まず、図13(a)に示すように、プラスチック基板などの基板101の上にゲート電極102、ゲート絶縁膜103、ソース電極104及びドレイン電極105を形成する。例えば、電極102、104および105は金を蒸着して形成し、ゲート絶縁膜103は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)の溶液をスピンコーティング法で塗布した後、溶媒を蒸発させて形成する。
【0017】
工程2
次に、チャネル層108を形成する領域の表面を、例えば、はんだ分子107である3−アミノプロピルトリメトキシシラン(APTMS)のトルエン溶液またはヘキサン溶液に浸漬し、溶媒で洗浄して溶液を置換した後、溶媒を蒸発させ、図13(b)に示すように、金微粒子109を1層分だけ固定する下地層として分子はんだ層106を形成する。APTMSは、一方の端部にあるシラノール基によってゲート絶縁膜103と結合できるとともに、もう一方の端部にあるアミノ基によって金微粒子109と結合することができる。このように、はんだ分子107は、一方の端部でゲート絶縁膜103と結合できるとともに、もう一方の端部で微粒子109と結合でき、微粒子109をゲート絶縁膜103に固定する機能を有する分子である。
【0018】
工程3
次に、金微粒子109をトルエンやクロロフォルム等の溶媒に分散させた分散液(濃度数mM)に基板101を数分間〜数時間浸漬した後、溶媒を蒸発させる。これにより、図13(c)に示すように、基板101の分子はんだ層106の表面に金微粒子109が固定され、金微粒子109からなる金微粒子層109aが分子はんだ層106の上に形成される。分子はんだ層106には、アミノ基と結合する1層分の金微粒子層109aだけが固定される。分子はんだ層106に固定されていない余剰の金微粒子109は洗浄して洗い流す。
【0019】
なお、金微粒子109は、その粒子径が10nmまたはそれ以下のコロイド粒子である。この金微粒子109をトルエンやクロロフォルム等の溶媒に安定に分散させるためには、微粒子同士が凝集して沈殿してしまうのを防止する保護膜分子を付着させ、保護膜110で被覆した状態にしておく必要があり、分子はんだ層106の上にはこの状態で導入する。はんだ分子107はこの保護膜分子の一部を置換して金微粒子109と結合するが、図13(c)に示すように、保護膜分子の大部分は、まだ、金微粒子109に結合したままである。
【0020】
工程4
続いて、4,4’−ビフェニルジチオール112のトルエン溶液(濃度数mM以下)に基板101を浸漬し、溶媒で洗浄して溶液を置換した後、溶媒を蒸発させる。この時、図13(d)に示すように、4,4’−ビフェニルジチオール112は、分子の末端にあるチオール基−SHによって金微粒子109と反応し、保護膜110を形成していた保護膜分子を置換して、金微粒子109の表面に結合する。1個の金微粒子109の表面には、多数の4,4’−ビフェニルジチオール分子112が金微粒子109を包み込むように結合する。それらのうちの一部が、もう一方の分子末端にあるチオール基を用いて他の金微粒子109とも結合するため、4,4’−ビフェニルジチオール分子112によって金微粒子109が二次元ネットワーク状に連結された1層目のチャネル層108aが形成される。
【0021】
このチャネル層108aの表面には、4,4’−ビフェニルジチオール112の未反応のチオール基が多数残存しているので、チャネル層108aの表面は、金微粒子112に対して強い結合力を有している。
【0022】
工程5
次に、図14(e)に示すように、工程3と同様に、金微粒子109をトルエンやクロロフォルム等の溶媒に分散させた分散液に基板101を数分間〜数時間浸漬し、その後、溶媒を蒸発させる。これにより、1層目のチャネル層108aの表面に金微粒子109が結合して固定され、2層目の金微粒子層109bが形成される。この際、2層目の金微粒子109は、4,4’−ビフェニルジチオール112によって1層目の金微粒子109と連結されるが、同一の2層目金微粒子109と連結した1層目金微粒子109同士は、この2層目金微粒子109を介して間接的に連結されることになり、金微粒子109同士の連結は三次元的なものになる。チャネル層108aに固定されていない余剰の金微粒子109は洗浄して洗い流す。
【0023】
なお、工程5では、工程3と同様に、金微粒子109が微粒子同士で凝集するのを防止するために、金微粒子109は、保護膜110で被覆した状態でチャネル層108aの上に導入する。チャネル層108aの表面に残存していた、4,4’−ビフェニルジチオール112の未反応のチオール基は、保護膜分子を置換して金微粒子109と結合するが、図14(e)に示すように、保護膜分子のかなりの部分は、まだ、金微粒子109に結合したままである。
【0024】
工程6
続いて、工程4と同様に、4,4’−ビフェニルジチオール112をトルエンに溶解した濃度数mM以下の溶液に基板101を浸漬し、溶媒で洗浄して溶液を置換した後、溶媒を蒸発させる。この結果、図13(f)に示すように、金微粒子109を包み込むように多数の4,4’−ビフェニルジチオール112が結合し、4,4’−ビフェニルジチオール分子112によって金微粒子109同士が連結された2層目のチャネル層108bが形成される。
【0025】
この後、工程5と工程6とを繰り返し行うことで、図13(g)に示すように、三次元網目状のネットワーク型の導電路が形成されたチャネル層108を、1層ずつ形成することができる。この繰り返しの回数を適切に選ぶことで、所望の厚さのチャネル層108を形成することができる(ここに記載した金微粒子層の形成方法については、M.D.Musickら, Chem. Mater., 9, 1499 (1997); Chem. Mater., 12, 2869 (2000) 参照。)。
【0026】
特許文献1に開示されている導電路には、分子間の電子移動が含まれず、移動度が分子間の電子移動によって制限されることがない。このため、有機半導体分子内の主鎖に沿った(分子の軸方向の)導電路の移動度、例えば非局在化した電子による高い分子内移動度を最大限に利用することができる。
【0027】
しかしながら、導電路の作製工程において、金などの微粒子109が微粒子同士で凝集して沈殿してしまうのを防止するためには、微粒子のコロイド溶液を形成する際に、凝集を防止する保護膜分子で微粒子109を被覆する必要がある。このため、特許文献1に示されている半導体装置の製造方法では、図13(c)や図14(e)に示したように、保護膜110で被覆した微粒子109を溶媒に分散させて基板上に導入し、微粒子層109aや109bを形成させて微粒子109を基板上に固定した後に、図13(d)や図14(f)に示したように、両端に微粒子109と強固に結合できる官能基を有する有機半導体分子112を作用させ、有機半導体分子112で保護膜分子を置換するとともに、有機半導体分子112によって微粒子109の間を連結して、微粒子109と有機半導体分子112とからなるネットワーク型の導電路を形成する。
【0028】
この際、半導体装置の性能を左右する微粒子間のネットワーク化を高効率に達成するためには、次のようなことが必要になる。
(1)保護膜分子を置換した有機半導体分子112によって微粒子109同士が連結される割合が高まるように、微粒子層109aや109bにおける微粒子109同士の間隔を、少なくとも有機半導体分子112の最大長以下とし、望ましくは有機半導体分子112によって連結されやすい長さ、例えば、有機半導体分子112の自然長程度の長さに調整しておく。
(2)置換反応が効率よく進むように、有機半導体分子112に比べ微粒子109への結合力が小さい保護膜分子を用いる。
【0029】
しかしながら、微粒子層109aや109bにおける微粒子同士の間隔を正確に制御することは難しい。また、微粒子109に対する保護膜分子の結合力が弱くなりすぎると、微粒子109に対する保護作用が十分ではなくなる。従って、十分な保護作用を有し、しかも上記(2)の条件を満たすためには、微粒子109に対する保護膜分子の結合性は大きく制限され、適切な保護膜分子を見出すことは難しくなる。これらの結果、特許文献1の方法で微粒子間のネットワーク化を高効率に達成することは難しい。
【0030】
また、上記の半導体装置においてゲート電界効果を効果的に得るためには、ゲート電極による電界が有機半導体分子112に十分に印加されるような構造が必要である。例えば、有機半導体分子112の長さが1〜2nm程度以下である場合、金属微粒子109同士が有機半導体分子112の長さにまで接近すると、ゲート電極による電界が金属微粒子109によって遮蔽され、有機半導体分子112に十分に作用せず、ゲート電界効果を効果的に得ることができない。
【0031】
従って、金属微粒子109によってゲート電界が遮蔽されてしまわないようにするためには、微粒子109間を連結する有機半導体分子112にはある程度、例えば5nm程度以上の長さが必要である。特許文献1の方法で、長い有機半導体分子112を用いて上記の半導体装置を作製するには、初めに、有機半導体分子112の半分程度の長さをもつ保護膜分子で微粒子109を被覆し、微粒子109間の距離を調節しておく必要がある。しかし、このようにすると、微粒子109を覆う保護膜が厚くなりすぎ、保護膜分子を有機半導体分子112で置換する工程が起こりにくくなる。この結果、微粒子層109aや109bを高効率にネットワーク化することができなくなるという問題が生じる。
【0032】
そこで、本発明者は、後述の特許文献2において、微粒子に結合した保護膜分子と、隣接する微粒子に結合した他の保護膜分子とが結合を形成して、微粒子間を連結する有機半導体分子を構成している半導体装置と、微粒子に有機半導体分子となる保護膜分子を結合させ、しかる後に、微粒子の複数個を配置し、これらの微粒子間で保護膜分子同士の結合を形成し、微粒子間を連結する有機半導体分子を生成させる、半導体装置の製造方法を提案した。
【0033】
【特許文献1】特開2004−88090号公報(第11−14頁、図1及び2)
【特許文献2】特開2006−100519号公報(第11−16頁、図1−4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0034】
図15は、特許文献1の方法による半導体装置の製造方法と、特許文献2の方法による半導体装置の製造方法の要点を比較して示す説明図である。特許文献1の方法では、上述したように、まず、保護膜で覆われた微粒子を用いて基板上に微粒子層を形成するが、その後、両端に微粒子と強固な結合を形成する官能基を有する有機半導体分子で保護膜を置換する必要があり、有機半導体分子の長さが長くなると、この工程が難しい。また、ネットワーク化を高効率で達成するためには、有機半導体分子で置換する前に、微粒子同士の間隔を有機半導体分子の長さにほぼ一致させておく必要がある。
【0035】
それに対して、特許文献2の方法では、図15(b)に示すように、保護膜を有機半導体分子で置換する工程をへることなく、半導体装置を製造することができるため、有機半導体分子の長さに関係なく、微粒子間を連結することが可能である。
【0036】
しかし、特許文献2の方法では、保護膜分子に、微粒子を保護する作用と半導体分子を生成させる作用との2つの働きが求められるため、保護膜分子の選択が難しくなる。特に、半導体分子が長鎖状で、保護膜分子も長鎖状である場合には、十分な電気伝導性を有する保護膜分子を見出すことが難しいという問題が生じる。
【0037】
例えば、電圧が印加されたときに半導体分子中を流れる電流は、非共鳴のトンネル電流が支配的である場合が一般的であるが、この場合には電気伝導度が半導体分子の長さの指数関数に反比例して電気伝導度が減少する。すなわち、微粒子間の距離がLで半導体分子の長さもLであり、距離Lがゼロのときの伝導度がσ0、減衰定数がβであるとすると、長鎖の有機半導体分子で連結された微粒子間の電気伝導度σは、式σ=σ0 exp(-βL)で近似的に表される( M. A. Ratner, B. Davis, M. Kemp, V. Mujica, A. Roitberg, S. Yaliraki, Ann. N.Y. Acad. Sci., 852, p.22-p.37 (1998)のp.31参照。)。
【0038】
従って、電子デバイスとして動作させることのできる現実的な電気伝導度を保つためには、Lが大きくなるほどそれに反比例してβを小さくする必要がある。一般に、分子が共役系であればβの値が小さく、非共役系であればβの値が相対的に大きくなる。そこで、微粒子間を結合する半導体分子として、共役系を有しβが小さい分子群、すなわち、分子ワイヤー的な挙動を示す長鎖状分子を選ぶことが必要になる。また、このような長鎖状の有機半導体分子は、一般に多段階の有機合成反応により合成されるのが実状であるので、これらを利用しやすくするには、これらをより簡易に合成できる合成方法の開発が欠かせないという問題もある。
【0039】
また、以上の問題とは別に、用いる分子が長くなればなるほど、あらかじめ合成した分子を微粒子表面全面にわたって密に結合させることが困難になるという問題もある。
【0040】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであって、その目的は、微粒子とこの微粒子に結合した有機半導体分子とによって導電路が形成され、その導電性が電界によって制御されるように構成された半導体装置及びその製造方法であって、有機半導体分子が長鎖状であっても電気伝導性が低下しない半導体装置及びその容易な製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0041】
即ち、本発明は、導体又は半導体からなる微粒子と、この微粒子と結合した有機半導体分子とによって導電路が形成され、この導電路の導電性が電界によって制御されるように構成された半導体装置において、
前記微粒子に結合した前駆体分子と、隣接する前記微粒子に結合した他の前駆体分子 とが結合を形成して、前記微粒子間を連結する前記有機半導体分子を構成しており、
前記前駆体分子は、前記微粒子に結合した第1の分子と、1種以上の第2の分子との 重合によって生じた分子である
ことを特徴とする、半導体装置に係わるものである。
【0042】
また、前記半導体装置の製造方法であって、
前記微粒子を、凝集を防ぐための保護膜分子で表面を被覆した状態で形成する工程と 、
前記微粒子と結合できる官能基を有する前記第1の分子を前記微粒子に作用させ、前 記保護膜分子を置換して、前記微粒子に結合させる工程と、
前記微粒子に結合した前記第1の分子と、1種以上の前記第2の分子とを重合させ、 前記前駆体分子を生成させる工程と、
前記前駆体分子が結合した前記微粒子を、前記導電路の形成領域に配置する工程と、
前記微粒子に結合した前記前駆体分子と、隣接する前記微粒子に結合した他の前記前 駆体分子とを結合させ、前記微粒子間を連結する前記有機半導体分子を生成させる工程 と
を有する、半導体装置の製造方法に係わるものである。
【0043】
なお、前記第1の分子と前記第2の分子とは、異なる種類の分子であるのが一般的であるが、可能であれば、同じ種類の分子であってもよい。
【発明の効果】
【0044】
本発明の半導体装置の製造方法によれば、
前記微粒子と結合できる官能基を有する前記第1の分子を前記微粒子に作用させ、前 記保護膜分子を置換して、前記微粒子に結合させる工程と、
前記微粒子に結合した前記第1の分子と、1種以上の前記第2の分子とを重合させ、 前記前駆体分子を生成させる工程と
を有する。前記重合工程では前記第2の分子を1分子ずつ重合させていくことが可能で、しかも、前記微粒子に結合した重合体分子と、未反応の前記第2の分子の分離は容易であるため、前記前駆体分子の長さを正確に制御しながら、容易に、確実に前記前駆体分子を合成することができる。また、従来の方法では、用いる半導体分子が長くなればなるほど、あらかじめ合成した長鎖状分子を微粒子表面全面にわたって密に結合させることが困難になるという問題があったが、本発明によれば、予め短い前記第1の分子を前記微粒子表面に結合させておき、この第1の分子を前記重合工程によって前記前駆体分子に成長させるので、前記前駆体分子が非常に長い長鎖状分子であるとしても、その長さに関係なく、前記前駆体分子を前記微粒子の表面全面にわたって密に結合させることができる。
【0045】
また、前記前駆体分子が結合した前記微粒子を、前記導電路の形成領域に配置する工程 と、
前記微粒子に結合した前記前駆体分子と、隣接する前記微粒子に結合した他の前記前 駆体分子とを結合させ、前記微粒子間を連結する前記有機半導体分子を生成させる工程 と
を有する。このため、先述した特許文献2の方法と同様、前記微粒子を前記導電路の形成領域に配置する工程の後に、前記保護膜分子を有機半導体分子で置換する工程をへることなく、既に前記微粒子に結合している前記前駆体分子間の前記結合によって前記有機半導体分子を生成させるので、前記微粒子間の距離と前記有機半導体分子の長さとの大小に関係なく、前記微粒子間を確実に連結して前記半導体装置を製造することが可能である。
【0046】
しかも、前記微粒子と結合した前記保護膜分子を前記第1の分子で置換した後に、前記第2の分子を重合させるので、前記第1の分子及び前記第2の分子を選択する自由度が大きい。このため、前記第1の分子及び/又は前記第2の分子として電気伝導性に優れた骨格構造を有する分子を選択することができ、長鎖状の前記有機半導体分子を形成し、前記微粒子間の距離が増大しても、前記導電路の電気伝導性が低下することが少ない。この結果、本発明の半導体装置では、長鎖状の前記有機半導体分子を用いることが可能になり、前記微粒子間の距離を大きくとることができるため、前記電界が前記微粒子によって遮蔽されることが少なくなり、前記有機半導体分子に対する前記電界の効果をより効果的に引き出し、前記導電路の前記導電性を前記電界によってより効果的に制御することが可能になる。
【0047】
本発明の半導体装置は、本発明の半導体装置の製造方法によって作製される半導体装置であり、上述したように、その製造方法に対応した特徴的構造を有する前記有機半導体分子によって構成されている。その結果、高度にネットワーク化された前記導電路による高い移動度を有し、かつ、上述した特徴を有する半導体装置が容易に得られるという特徴を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
本発明の半導体装置及びその製造方法において、前記前駆体分子と前記他の前駆体分子との前記結合が、錯体形成反応、縮合反応、置換反応、カップリング反応、付加反応、水素結合形成反応、及びπ−πスタッキング形成反応からなる群より選ばれた少なくとも一種の反応によって形成されているのがよい。
【0049】
この際、前記反応が、加熱、光照射、系への反応開始剤や金属イオンの導入、及び溶媒の除去からなる群より選ばれた少なくとも一つの手段によって引き起こされるのがよい。光による化学反応を用いる場合、光を当てる領域を光学的に絞り込むことで、特定の領域に存在する前記微粒子のみを反応させることができ、必要であれば、その後に未反応の微粒子を洗い流すこともできる。また、前記結合を形成する連結基が、前記重合において前記前駆体分子に導入されているのがよい。
【0050】
また、前記有機半導体分子と前記微粒子とが交互に結合し、前記微粒子に単数又は複数個の前記有機半導体分子が結合することによって、ネットワーク型の前記導電路が形成されているのがよい。
【0051】
また、前記第1の分子と前記第2の分子との前記重合によって、前記前駆体分子の分子骨格に共役系を有する、長鎖状の導電部が形成されているのがよい。この際、前記導電部の主要部が同一構造単位の繰り返しからなるのがよい。このような構造は、同一構造単位を有する前記第1の分子及び/又は前記第2の分子を重合することによって生成させることができる。
【0052】
また、前記有機半導体分子の自然長が5nm以上であるのがよい。このようにすると、ゲート電界が前記微粒子によって遮蔽され、前記有機半導体分子に有効に作用しなくなるという問題を避けることができる。このため、前記前駆体分子の長さは2.5〜3nm以上とする。
【0053】
また、前記微粒子と前記有機半導体分子との結合体は、単一層又は複数層を成して前記導電路を形成しているのがよい。この際、前記前駆体分子が結合した前記微粒子を、前記導電路の形成領域に単一層として配置する工程と、その後に前記前駆体分子と前記他の前駆体分子との前記結合を形成する工程とを各1回行うことによって、前記結合体の単一層からなる前記導電路を形成することができる。また、これらの工程を複数回繰り返すことによって、前記結合体の複数層からなる前記導電路を形成することができる。
【0054】
或いは、前記微粒子の層を複数層形成した後に前記結合を形成する工程を行い、前記結合体の複数層からなる前記導電路を形成することもできる。例えば、前記結合を形成する反応が加熱によって活性化される場合には、前記結合を形成する前に前記微粒子の層を複数層形成し、加熱によって前記結合の形成を複数層の全領域にわたって行わせ、ひとまとめに前記微粒子をネットワーク化することができる。これにより、凹凸の激しい基板や曲面基板への半導体装置の形成が容易になる。
【0055】
また、前記微粒子は、前記導体としての金、銀又は白金、或いは前記半導体としての硫化カドミウム、セレン化カドミウム又はシリコンからなる微粒子で、その粒子径は10nm以下であるのがよい。
【0056】
また、前記第1の分子が前記微粒子にチオール基−SH、アミノ基−NH2 、イソシアノ基−NC、チオアセトキシル基−SCOCH3 、又はカルボキシル基−COOHによって結合しているのがよい。
【0057】
また、前記導電路を有するチャネル領域を形成し、このチャネル領域の両側にソース及びドレイン電極を設け、これらの両電極間にゲート電極を設け、絶縁ゲート型電界効果トランジスタを構成するのがよい。この構造は、共役系をもつ有機半導体分子として可視部付近の光に対して光吸収性のある色素の使用により、光センサ等としても動作可能である。
【0058】
この際、前記ソース電極及び/又は前記ドレイン電極の表面に、前記前駆体分子と結合して導電路を形成することのできる下地分子によって、下地分子層が形成されているのがよい。このようにすることで、前記ソース電極及び/又は前記ドレイン電極と前記導電路との良好な電気的接続を簡易に得ることができる。
【0059】
次に、本発明の好ましい実施の形態を図面参照下に具体的かつ詳細に説明する。
【0060】
図1(a)は、本実施の形態に基づく絶縁ゲート型電界効果トランジスタの一例を示す概略断面図であり、TFTとしてよく用いられるボトムゲート型のデバイス構造を示している。この電界効果トランジスタでは、基板1の上にゲート電極2およびゲート絶縁膜3が積層して形成され、ゲート絶縁膜3の表面にソース電極4およびドレイン電極5がパターニングされて形成されている。そして、ソース電極4とドレイン電極5との間に、金などの微粒子6と、有機半導体分子7とがネットワーク状に結合された結合体からなるチャネル層9が形成されている。このチャネル層9を通じてソース電極4とドレイン電極5との間に流れる電流が、ゲート電極2の電位によって変調され、電界効果トランジスタとして動作する。
【0061】
図1(b)は、チャネル層9における導電路10の単位構造を示す説明図である。チャネル層9では、有機半導体分子7が両端にある結合部12によって微粒子6と結合し、これによって微粒子6と有機半導体分子7とが交互に連結され、微粒子6内の導電路と有機半導体分子7内の導電路とが接続された導電路10が形成されている。図1(a)に示すように、微粒子6には多数の有機半導体分子7が結合できるので、全体としては二次元または三次元網目状に連結されたネットワーク型の導電路が形成されている。チャネル層9における電子伝導は、このネットワーク型の導電路10を通じて行われ、その導電性がゲート電極2に印加する電圧によって制御される。
【0062】
有機半導体分子7は、1個の微粒子6に結合した前駆体分子11と、隣接する微粒子6に結合した他の前駆体分子11とが、連結部13で結合することによって形成されている。結合部12と連結部13との間には、前記第1の分子と前記第2の分子との重合によって生じた、分子骨格に共役系を有する、長鎖状の導電部14が配置されている。この導電部14の主要部は、通常、同一構造単位15の繰り返しによって形成されている。
【0063】
上記の絶縁ゲート型電界効果トランジスタでは、導電路10に、従来の有機半導体の低い移動度の原因であった分子間の電子移動が含まれず、しかも、有機半導体分子内の電子移動は、長鎖状の導電部14に形成された共役系を通じて行われるので、高い移動度および高い電気伝導性が得られる。さらに、この導電部14は前記第2の分子の重合によって十分な長さに形成されているため、微粒子6によってゲート電界が遮蔽されることが少なく、チャネル層9を通じてソース電極4とドレイン電極5との間に流れる電流が、ゲート電極2の電位によって効果的に変調される。
【0064】
以下、より詳細に説明する。
【0065】
基板1としては、シリコン基板や、例えばポリイミドやポリカーボネートやポリエチレンテレフタラート(PET)などのプラスチック基板や、ガラス基板や、石英基板などを用いることができる。プラスチック基板を用いると、例えば曲面形状をもつディスプレイのように、フレキシブルな形状の半導体装置を製造できる。
【0066】
基板1上に形成されたトランジスタは、ディスプレイ装置として応用する場合のように、基板1ごと多数のトランジスタを集積したモノリシック集積回路として利用してもよいし、各トランジスタを切断して個別化し、ディスクリート部品として利用してもよい。
【0067】
ゲート電極2の材料としては、金Au、銀Ag、白金Pt、クロムCr、銅Cu、パラジウムPd、アルミニウムAl、チタンTiなどの金属、不純物をドープしたシリコン、グラファイト、および、例えば、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)などの有機導電性材料、又はこれらを組み合わせたものを用いることができる。基板1の上面およびゲート絶縁膜3の下面は、ゲート電極2に密着している。
【0068】
ゲート絶縁膜3の材料としては、例えば、酸化ケイ素SiO2 、窒化ケイ素Si34 、酸化アルミニウムAl23、金属酸化物高誘電体、雲母、および、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリビニルフェノール(PVP)などの有機高分子が挙げられる。
【0069】
ソース電極4およびドレイン電極5の材料としては、ゲート電極2の材料として挙げた導電性材料を用いることができる。各電極は必ずしも同じ材料である必要はない。
【0070】
本実施の形態によれば、作製工程における処理温度を200℃以下に抑えることができるので、上記の材料をすべて有機化合物で構成することもできる。
【0071】
微粒子6は、例えば、粒子径が10nm以下の微粒子で、その材料としては、例えば、金Au、銀Ag、白金Pt、銅Cu、パラジウムPd、鉄Feなどの金属、あるいはこれら合金からなる導体や、シリコンSi、酸化チタンTiO2、ガリウム砒素GaAs、セレン化カドミウムCdSeなどの半導体を用いることができる。
【0072】
有機半導体分子7は、分子骨格に共役系を有する有機半導体分子であって、分子の両端に微粒子6と化学的に結合できる官能基として、例えばチオール基−SH、ジスルフィド基−S−S−、アミノ基−NH2、イソシアノ基−NC、チオアセトキシル基−SCOCH3 、カシボキシル基−COOH、又はホスホノ基−PO(OH)2などを有するものである。結合部12として用いることのできる官能基は微粒子6の構成材料によって異なり、チオール基、アミノ基、イソシアノ基及びチオアセトキシル基は、金などの導体微粒子に結合する官能基であり、カシボキシル基は、半導体微粒子に結合する官能基である。
【0073】
金属あるいは半導体からなる微粒子と、結合部12として好適な官能基の組み合わせの例は以下の通りである。
Au微粒子の場合…−SH、−S−S−、−NH2、−CN、−NC
Ag微粒子の場合…−SH、−S−S−、−COOH
Pt微粒子の場合…−SH、−S−S−
Cu微粒子の場合…−SH、−S−S−
TiO微粒子の場合…−PO(OH)2、−COOH、−NH2
【0074】
次に、作製方法について説明する。
【0075】
<微粒子に結合した前駆体分子の合成>
図2は、微粒子6に結合した前駆体分子11の合成経路を示す説明図である。
【0076】
まず、公知の方法によって、微粒子6を、微粒子同士の融合を防ぐための保護膜で表面が覆われた状態で合成する。この微粒子6が分散した溶液中に、前記第1の分子に相当する反応分子21を導入し、保護膜分子を置き換える(反応1)。反応分子21は、例えば共役系のように電気伝導性が高い構造単位15をもち、一方の端部に、微粒子6と結合する結合部(微粒子6と結合可能な官能基)12を有し、他の端部に、後述する反応分子22との重合の際、反応分子22の反応部位bとの反応部位として働く反応部位aを有する分子である。反応1の結果、反応分子21は物理的かつ電気的に微粒子6と結合する。その後、限外ろ過、溶媒抽出、サイズ排除クロマトグラフィー、電気泳動などの方法によって、微粒子6に結合していない分子21を溶液中から除去する。
【0077】
次に、構造単位15をもち、その両端に反応部位aおよび反応部位bをもち、そのうち、反応部位aが保護基cによって不活化されている反応分子22を導入する。反応分子22は反応部位bによって反応分子21の反応部位aと反応し、反応分子22と反応分子21とが重合する(反応2)。この後、限外ろ過、溶媒抽出、サイズ排除クロマトグラフィー、電気泳動などの方法によって、未反応の分子22を溶液中から除去する。
【0078】
次に、反応分子22の反応部位aに結びついている保護基cを取り除き、反応部位aを反応活性の状態にする(反応3)。
【0079】
この後、反応2と反応3とを繰り返し行い、構造単位15の繰り返しによって導電部14が所定の長さを有する重合体分子を形成する。
【0080】
次に、分子の両端に反応部位bと、連結部13を形成する連結基16とを有する反応分子23を重合させ、重合体分子に連結基16を導入する(反応4)。以上によって、微粒子6に結合した前駆体分子11の合成が終了する。図2には、反応分子23が反応部位bおよび連結基16のみからなる例を示したが、中間に構造単位15などが含まれていてもよい。
【0081】
図3は、前駆体分子の合成反応の一例を示す説明図である。反応分子21は、電気伝導性が高い構造単位15としてフェニレンエチニレン基をもち、一方の端部に、金などの微粒子6と結合する結合部(微粒子6と結合可能な官能基)12としてチオール基を有し、他の端部に反応部位aとして≡C−Hを有する。反応分子22は、電気伝導性が高い構造単位15としてフェニレンエチニレン基をもち、一方の端部に、反応部位bとしてベンゼン環に結合したヨウ素基をもち、他の端部に、保護基cであるトリメチルシリル(TMS)基やトリブチルシリル基などのトリアルキルシリル基によってマスクされた反応部位aをもつ。反応分子23は、一方の端部に、反応部位bとしてベンゼン環に結合したヨウ素基をもち、他の端部に、連結基16であるテルピリジル基をもつ。
【0082】
反応1〜反応4は図3に示す通りである。反応2および反応4は、Pd(II)およびCu(I)触媒の存在下で高効率に起こる反応である( D. L. Peason,J. M. Tour,J. Org. Chem.,62,1376-1387(1997);とくに、p.1379の化合物11および23参照。)反応4は、連結基16を導入する反応である。連結基16としては、金属錯体の配位子となり得るような、ピリジル基、ビピリジル基、テルピリジル基、フェナントロリン、キノリノール、キノリンなどを用いることができる。
【0083】
電気伝導性が高い構造単位15としては、例えば、フェニレン基、フェニレンエチニレン基、チオフェン骨格など、β値が小さく、電気伝導性が高い共役系によって構成されているものがよい。保護基cは官能基によって様々なタイプのものが知られており、マイルドな反応条件で高い収率にて保護、脱保護が可能なものを選択するのが望ましい(Theodora W. Greene and Peter G. M. Wuts,in“Protective groups in organic synthesis,”3rd edition,Wiley-Interscience,New York,1999参照。)。例えば、フェニレンエチニレン基を構造単位15とする場合、≡C−Hを保護する目的で上記トリメチルシリル基を用いることができる。
【0084】
図4は、前駆体分子の合成反応の別の例を示す説明図である。反応分子21は、電気伝導性が高い構造単位15としてフェニレン基をもち、一方の端部に、金などの微粒子6と結合する結合部12としてチオール基を有し、他の端部に反応部位aとしてカルボキシル基を有する。反応分子22は、電気伝導性が高い構造単位15としてフェニレン基をもち、一方の端部に反応部位bとして銅イオンに配位したカルボキシル基を有し、他の端部に、エステル化によって、保護基cとしてのアルキル基によってマスクされた反応部位aであるカルボキシル基をもつ。反応1〜反応4は図4に示す通りである(但し、図4において銅イオンに配位している他の配位子は図示省略した。)。この例のように、電気伝導性が高い構造単位15として有機金属錯体部を含むものを用いることも可能である。この場合、配位子としては、保護基が導入可能なカルボキシル基やヒドロキシル基(水酸基)などを分子の両末端に有するテレフタル酸塩、クロルアニル塩、シュウ酸塩、9,10-ビス(3,5-ジヒドロキシフェニル)アントラセンなどが挙げられる。両末端の官能基は異なっていてもよい。金属イオンとしては、上記配位子と錯体形成が可能なものを選択する。
【0085】
図5は、反応分子21および反応分子22の例を示す構造式である。表中、A欄に示した例は、Xがフェニレン基であれば図3に示した例になり、その他は変形例である。Xは2価の原子団で、表の下に点線の枠で囲んで示した例などを挙げることができ、式中のZ1〜Z4はさらに下に点線の枠で囲んで示した例などを挙げることができる。なお、m、nは1以上の整数である。また、表中、B欄に示した例は、Xがフェニレン基であれば図4に示した例になり、その他は変形例である。XおよびZ1〜Z4は、上記と同様である。
【0086】
図6は、前駆体分子の合成反応のさらに別の例を示す説明図である。反応分子21は、電気伝導性が高い構造単位15としてフェニレン基などであるXをもち、一方の端部に結合部12としてチオール基を有し、他の端部に反応部位aとしてテルピリジル基を有する。反応分子22は、電気伝導性が高い構造単位15としてフェニレン基などであるXをもち、分子の両端部にそれぞれ反応部位bおよびaとしてテルピリジル基を有する。XおよびZ1〜Z4は、上記と同様である。反応1〜反応3は図6に示す通りである。テルピリジル基はルテニウム(III)イオンRu3+に配位しやすいので、反応2および3に示すように、Ru3+との錯体形成反応によって反応分子同士を連結することができる。このRu3+との錯体形成反応は、後述する前駆体分子同士を連結して、有機半導体分子を形成する際にも用いられる。なお、図中、DMFはジメチルホルムアミドである。反応分子22が連結基16を有するので、連結基16を導入する反応4は不要である。
【0087】
図7は、微粒子6に結合した前駆体分子11の別の合成経路を示す説明図である。図7に示す合成経路では、反応分子31が活性部位aを有し、反応分子32がもつ活性部位aおよび反応部位bのうち、反応部位bが保護基dで保護されている点が、図2に示した合成経路と異なっている。
【0088】
<半導体装置の作製>
図8および図9は、図1に示した絶縁ゲート型電界効果トランジスタの作製工程を示すフロー図である。
【0089】
まず、図8(a)に示すように、公知の方法を用いて、基板1の上にゲート電極2、ゲート絶縁膜3、ソース電極4およびドレイン電極5を形成する。
【0090】
基板1としては、シリコン基板や、例えばポリイミドやポリカーボネートなどのプラスチック基板や、ガラス基板や、石英基板などを用いる。
【0091】
基板1の上に、金を蒸着してゲート電極2を形成する。ゲート電極2の材料としては、金以外に、例えば、導電性高分子、白金、アルミニウム、ニッケル、チタンなどの導電性物質、またはこれらを組み合わせたものを用いることができ、リフトオフ法、シャドウマスク法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法などで形成する。例えば、基板が高濃度にドープされたシリコン基板などであって、基板自体が十分な導電性を有する場合には、上記の金蒸着をしないで、基板自体をゲート電極とすることも可能である。
【0092】
続いて、ゲート絶縁膜3を熱酸化法、CVD法、スピンコーティング法、スパッタ法、浸漬法、キャスティング法等により形成する。ゲート絶縁膜3の材料としては、例えば、酸化ケイ素、ポリメチルメタクリレート、スピンオンガラス、窒化ケイ素、金属酸化物高誘電絶縁膜などや、これらを組み合わせたものを用いることができる。
【0093】
ゲート絶縁膜3の上に、他の部分をマスクしながら金を蒸着して、ソース電極4とドレイン電極5とを形成する。ソース電極4およびドレイン電極5の材料としては、金以外に、例えば、パラジウム、白金、クロム、ニッケル、導電性高分子等の導電性物質、またはこれらを組み合わせたものを用いることができ、リフトオフ法、シャドウマスク法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法などで形成する。
【0094】
次に、図8(b)に示すように、ソース電極4およびドレイン電極5の表面に、前駆体分子11と結合して導電路を形成することのできる下地分子17によって、下地分子層を形成する。このようにすることで、ソース電極4およびドレイン電極5と、チャネル層9の導電路10との間に良好な電気的接続を簡易に得ることができる。下地分子17としては、構造単位15を有し、その両端部に、ソース電極4またはドレイン電極5に結合できる官能基と、前駆体分子11と連結部15を形成できる連結基16とを有する分子がよい。
【0095】
次に、図8(c)に示すように、前駆体分子11が結合した微粒子6からなる単粒子膜8aを、浸漬法、キャスト法、ラングミュアーブロジェット(LB)法、インクジェット法、またはスタンプ法などにより作製し、ソース電極4およびドレイン電極5がパターニングされた基板1の表面に固定する。このとき、微粒子6は六方最密充填に基づく二次元の規則的配列を形成していることが望ましい。
【0096】
浸漬法では、微粒子6をトルエンやクロロフォルムなどの適当な溶媒に分散させた分散液(濃度数mM)に基板1を数分間〜数時間浸漬した後、溶媒を蒸発させる。これにより、基板1に微粒子層6aが形成される。余剰の微粒子6は洗浄して洗い流す。
【0097】
キャスト法では、微粒子6を分散させた分散液を基板上に滴下し、徐々に溶媒を蒸発させる。これにより、基板1の表面に微粒子層6aが形成される。微粒子層が一層だけ形成されるように分散液の濃度をあらかじめ調整しておく。
【0098】
LB法では、静置した水面上に微粒子6を分散させた分散液を展開し、微粒子層6aを形成させる。次に、水面下降法などにより基板1の上に微粒子層6aを転写し、基板1の上に微粒子層6aを形成する。
【0099】
スタンプ法では、固体表面や水面にキャスト法やLB法で形成した微粒子層6aを一度ポリジメチルシロキサンなどの表面に転写し、それをスタンプのように基板1の上に押しつけて、基板1の上に金微粒子層6aを転写する。
【0100】
次に、図8(d)に示すように、微粒子6に結合した前駆体分子11と、隣接する他の微粒子6に結合した前駆体分子11とを結合させ、微粒子6間を連結する有機半導体分子7を生成させるとともに、微粒子6をネットワーク状に連結する導電路10を形成する。
【0101】
図10は、上記連結工程を説明する説明図である。この連結工程には、特許文献2に報告した方法を用いることができる。例えば、連結基16が金属錯体の配位子となりうるような原子団で構成されている場合には、金属イオンを含む溶液に微粒子層が形成された基板1を浸漬することによって、図10(a)に示すように、金属イオンを連結基16間に導入し、錯体形成反応によって前駆体分子11間を連結する(J. Park, A. N. Pasupathy, J. I. Goldsmith, C. Chang, Y. Yaish, J. R. Petta, M. Rinkoski, J. P. Sethna, H. D. Abruna, P. L. McEuen, and D. C. Ralph, Nature(2002), 417, 722-725参照。)。一方、連結基16同士が反応して結合を形成できる場合には、図10(b)に示すように、加熱、光照射、反応開始剤や触媒の導入などによって反応させ、前駆体分子11間を連結する。また、連結基16が隣接する連結基16と静電引力、ファンデルワールス力、水素結合、π-πスタッキングなどにより相互作用する場合には、これらの作用で前駆体分子11間を連結することも可能である。
【0102】
この後は、工程(c)と工程(d)とを所定の回数だけ繰り返し、絶縁ゲート型電界効果トランジスタを形成する。
【0103】
図11は、絶縁ゲート型電界効果トランジスタの種々のデバイス構造を示す断面図であり、本発明に基づく絶縁ゲート型電界効果トランジスタは、どのデバイス構造をもとることができる。図11(a)は、既に図1に概略断面図を示したボトムゲート型のデバイス構造を示し、先にゲート電極2、ゲート絶縁膜3、ソース電極4およびドレイン電極5を形成しておき、ゲート絶縁膜3の上の、ソース電極4とドレイン電極5との間の領域にチャネル層9を形成するものである。図11(b)は、トップゲート型のデバイス構造を示す断面図であり、先にソース電極4およびドレイン電極5を形成しておき、その間の領域にチャネル層9を形成し、その上に蒸着等でゲート絶縁膜3およびゲート電極2を形成するものである。図11(c)は、デュアルゲート型のデバイス構造を示す断面図であり、この構造は、第1ゲート電極2aと第1ゲート絶縁膜3a、および第2ゲート電極2bと第2ゲート絶縁膜3bを設けることによって、より有効にチャネル層9の導電性を制御することができる。
【0104】
本発明の実施形態によれば、有機半導体分子7における繰り返し構造単位15の電気伝導性が高いため、長鎖の有機半導体分子7を用いることによって微粒子間距離が増大しても、ネットワーク化された微粒子層の伝導性の低下を避けることが可能である。微粒子間距離の増加によって、ゲート電極による電界が微粒子でシールドされにくくなるため、有機半導体分子7にその電界効果をより効率的に引き出すことが可能になる。
【0105】
構造単位15の繰り返しからなる前駆体分子11の合成は、構造単位15を1単位ずつ重合させていくので、鎖長の制御が容易である。この際、一般に、異なる鎖長の分子をそれぞれ有機合成にて準備する場合、系中の未反応分子の分離・除去にはクロマトグラフィーなどの高い精度で分離可能な操作が必要となる。これに対し、本発明のように、微粒子6の表面に有機分子の一端部を結合させた状態で1構造単位ずつ繰り返し構造を延長していく場合には、表面に有機分子が結合した微粒子6と、未反応の反応分子21〜23および31〜33とを分離すればよいため、限外ろ過や溶媒抽出などの比較的手間がかからない方法を用いることができるメリットがある。
【0106】
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれらの例に何ら限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明の半導体装置及びその製造方法は、種々の電子回路、特にディスプレイのアクティブマトリックス回路などのスイッチング素子として広く用いられている薄膜トランジスタ(TFT)などの半導体装置及びその製造方法として用いられ、その低コスト化や、プラスチック等の耐熱性のないフレキシブルな基板への適用などの新規な用途の開発に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明の実施の形態に基づく絶縁ゲート型電界効果トランジスタの一例を示す概略断面図(a)および要部模式図(b)である。
【図2】同、前駆体分子の合成方法を示す説明図である。
【図3】同、前駆体分子の合成反応の一例を示す説明図である。
【図4】同、前駆体分子の合成反応の別の例を示す説明図である。
【図5】同、反応分子の例を示す構造式である。
【図6】同、前駆体分子の合成反応のさらに別の例を示す説明図である。
【図7】同、前駆体分子の別の合成方法を示す説明図である。
【図8】同、絶縁ゲート型電界効果トランジスタの作製工程を示すフロー図である。
【図9】同、絶縁ゲート型電界効果トランジスタの作製工程を示すフロー図である。
【図10】同、前駆体分子の連結工程の例を示す説明図である。
【図11】同、絶縁ゲート型電界効果トランジスの種々のデバイス構造を示す断面図である。
【図12】特許文献1に開示されている絶縁ゲート型電界効果トランジスタの断面図(a)と、要部拡大図(b)とである。
【図13】同、絶縁ゲート型電界効果トランジスタの作製工程を示すフロー図である。
【図14】同、絶縁ゲート型電界効果トランジスタの作製工程を示すフロー図である。
【図15】特許文献1の方法による半導体装置の製造方法と、特許文献2の方法による半導体装置の製造方法の要点を比較して示す説明図である。
【符号の説明】
【0109】
1…基板、2…ゲート電極、3…ゲート絶縁膜、4…ソース電極、5…ドレイン電極、
6…微粒子(金など)、7…有機半導体分子、8a…1層目の微粒子層、
8b…2層目の微粒子層、9…チャネル層、9a…1層目のチャネル層、
9b…2層目のチャネル層、10…導電路、11…前駆体分子、12…結合部、
13…連結部、14…導電部(好ましくは、長鎖状導電部)、15…導電部の構造単位、
16…連結基、17…下地分子、21〜23、31〜33…反応分子、101…基板、
102…ゲート電極、103…ゲート絶縁膜、104…ソース電極、
105…ドレイン電極、106…分子はんだ層、107…はんだ分子、
108…チャネル層、108a…1層目のチャネル層、108b…2層目のチャネル層、
109…金などの微粒子、109a…1層目の微粒子層、109b…2層目の微粒子層、
110…保護膜、111…保護膜分子、
112…4,4’−ビフェニルジチオールなどの有機半導体分子、a,b…反応部位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体又は半導体からなる微粒子と、この微粒子と結合した有機半導体分子とによって導電路が形成され、この導電路の導電性が電界によって制御されるように構成された半導体装置において、
前記微粒子に結合した前駆体分子と、隣接する前記微粒子に結合した他の前駆体分子 とが結合を形成して、前記微粒子間を連結する前記有機半導体分子を構成しており、
前記前駆体分子は、前記微粒子に結合した第1の分子と、1種以上の第2の分子との 重合によって生じた分子である
ことを特徴とする、半導体装置。
【請求項2】
前記前駆体分子と前記他の前駆体分子との前記結合が、錯体形成反応、縮合反応、置換反応、カップリング反応、付加反応、水素結合形成反応、及びπ−πスタッキング形成反応からなる群より選ばれた少なくとも一種の反応によって形成されている、請求項1に記載した半導体装置。
【請求項3】
前記結合を形成する連結基が、前記重合において前記前駆体分子に導入されている、請求項2に記載した半導体装置。
【請求項4】
前記有機半導体分子と前記微粒子とが交互に結合し、かつ、前記微粒子に単数又は複数個の前記有機半導体分子が結合することによって、ネットワーク型の前記導電路が形成されている、請求項1に記載した半導体装置。
【請求項5】
前記第1の分子と前記第2の分子との前記重合によって、分子骨格に共役系を有する、長鎖状の導電部が形成されている、請求項1に記載した半導体装置。
【請求項6】
前記導電部の主要部が同一構造単位の繰り返しからなる、請求項5に記載した半導体装置。
【請求項7】
前記有機半導体分子の自然長が5nm以上である、請求項1に記載した半導体装置。
【請求項8】
前記微粒子は、前記導体としての金、銀又は白金、或いは前記半導体としての硫化カドミウム、セレン化カドミウム、シリコン、又は酸化チタンからなる、請求項1に記載した半導体装置。
【請求項9】
前記微粒子は、粒子径10nm以下の微粒子である、請求項1に記載した半導体装置。
【請求項10】
前記第1の分子が前記微粒子にチオール基−SH、アミノ基−NH2 、イソシアノ基−NC、チオアセトキシル基−SCOCH3 、カルボキシル基−COOH、又はホスホノ基−PO(OH)2によって結合している、請求項1に記載した半導体装置。
【請求項11】
前記導電路を有するチャネル領域が形成され、このチャネル領域の両側にソース電極及びドレイン電極が設けられ、これらの両電極間にゲート電極が設けられている絶縁ゲート型電界効果トランジスタとして構成された、請求項1に記載した半導体装置。
【請求項12】
前記ソース電極及び/又は前記ドレイン電極の表面に、前記前駆体分子と結合して導電路を形成することのできる下地分子によって、下地分子層が形成されている、請求項11に記載した半導体装置。
【請求項13】
請求項1に記載した半導体装置の製造方法であって、
前記微粒子を、凝集を防ぐための保護膜分子で表面を被覆した状態で形成する工程と 、
前記微粒子と結合できる官能基を有する前記第1の分子を前記微粒子に作用させ、前 記保護膜分子を置換して、前記微粒子に結合させる工程と、
前記微粒子に結合した前記第1の分子と、1種以上の第2の分子とを重合させ、前記 前駆体分子を生成させる工程と、
前記前駆体分子が結合した前記微粒子を、前記導電路の形成領域に配置する工程と、
前記微粒子に結合した前記前駆体分子と、隣接する前記微粒子に結合した他の前記前 駆体分子とを結合させ、前記微粒子間を連結する前記有機半導体分子を生成させる工程 と
を有する、半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記前駆体分子と前記他の前駆体分子との前記結合を、錯体形成反応、縮合反応、置換反応、カップリング反応、付加反応、水素結合形成反応、及びπ−πスタッキング形成反応からなる群より選ばれた少なくとも一種の反応によって形成する、請求項13に記載した半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記反応を、加熱、光照射、系への反応開始剤や金属イオンの導入、及び溶媒の除去からなる群より選ばれた少なくとも一つの手段によって引き起こす、請求項14に記載した半導体装置の製造方法。
【請求項16】
前記結合を形成する連結基を、前記重合において前記前駆体分子に導入する、請求項14に記載した半導体装置の製造方法。
【請求項17】
前記有機半導体分子と前記微粒子とを交互に結合し、かつ、前記微粒子に単数又は複数個の前記有機半導体分子を結合させることによって、ネットワーク型の前記導電路を形成する、請求項13に記載した半導体装置の製造方法。
【請求項18】
前記第1の分子と前記第2の分子との前記重合によって、前記前駆体分子の分子骨格に共役系を有する、長鎖状の導電部を形成する、請求項13に記載した半導体装置の製造方法。
【請求項19】
同一構造単位を有する前記第1の分子及び/又は前記第2の分子を用いて、同一構造単位の繰り返しからなる、前記導電部の主要部を形成する、請求項18に記載した半導体装置の製造方法。
【請求項20】
自然長が2.5nm以上である前記前駆体分子を生成させる、請求項13に記載した半導体装置の製造方法。
【請求項21】
前記微粒子として、前記導体としての金、銀又は白金、或いは前記半導体としての硫化カドミウム、セレン化カドミウム、シリコン、又は酸化チタンからなる微粒子を用いる、請求項13に記載した半導体装置の製造方法。
【請求項22】
前記微粒子として、粒子径10nm以下の微粒子を用いる、請求項13に記載した半導体装置の製造方法。
【請求項23】
前記官能基が、チオール基−SH、アミノ基−NH2 、イソシアノ基−NC、チオアセトキシル基−SCOCH3、カルボキシル基−COOH、又はホスホノ基−PO(OH)2である、請求項13に記載した半導体装置の製造方法。
【請求項24】
前記導電路を有するチャネル領域を形成し、このチャネル領域の両側にソース及びドレイン電極を設け、これらの両電極間にゲート電極を設けた絶縁ゲート型トランジスタを製造する、請求項13に記載した半導体装置の製造方法。
【請求項25】
前記ソース電極及び/又は前記ドレイン電極の表面に、前記前駆体分子と結合して導電路を形成することのできる下地分子によって、下地分子層を形成する、請求項24に記載した半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−153257(P2008−153257A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−336737(P2006−336737)
【出願日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】