半導体装置
【課題】ダイパッドに搭載された半導体素子とリードとをボンディングワイヤで接続したものを、モールド樹脂で封止してなる樹脂封止型の半導体装置において、インナーリードにおける下地金属の表面拡散を抑制し、モールド樹脂とインナーリードとの密着性を確保して樹脂剥離を抑制しやすくする。
【解決手段】リード12のうちモールド樹脂40で被覆されている部位であるインナーリード12aの表面に形成されている金薄膜の方が、アウターリード12bの表面に形成されている金薄膜よりも膜厚が大きい。
【解決手段】リード12のうちモールド樹脂40で被覆されている部位であるインナーリード12aの表面に形成されている金薄膜の方が、アウターリード12bの表面に形成されている金薄膜よりも膜厚が大きい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、素子搭載部に搭載された半導体素子とリードとをボンディングワイヤで接続したものを、モールド樹脂で封止してなる樹脂封止型の半導体装置に関し、特にリードフレームに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の一般的な半導体装置としては、素子搭載部としてのダイパッドおよびリードを備えるリードフレームと、ダイパッドに搭載された半導体素子と、半導体素子とリードとを電気的に接続するボンディングワイヤと、半導体素子、ダイパッド、リードおよびボンディングワイヤを包み込むように封止するモールド樹脂とを備え、リードの一部は、モールド樹脂から露出して外部と接続される部位であるアウターリードとして構成されたものが、知られている。
【0003】
ここで、近年では、一般に、リードの表面に金よりなる膜である金薄膜が形成されたものが使用されている。具体的には、たとえばNi/Pd/Auメッキがされているリードフレーム(PPF:Pre Plated Flameの略)が使用されるようになっている(たとえば、特許文献1参照)。
【0004】
ここにおいて、従来では、上記特許文献1にも記載されているように、メッキで形成された金薄膜の膜厚は0.001〜0.1μm程度である。このように、リードの表面に金薄膜を設けることにより、インナーリードにおけるワイヤボンディング性の確保やアウターリードにおけるはんだ付け性の確保が行いやすい。
【0005】
また、一方で、従来より、この種の半導体装置においては、樹脂封止工程後やプリント基板へのはんだリフローによる実装工程後などに、モールド樹脂とインナーリードとの間で樹脂剥離が発生するという問題がある。従来では、この樹脂剥離を回避するために、たとえばモールド樹脂とインナーリードとの密着力向上を狙ってリード表面に粗化メッキを施す技術が提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平4−115558号公報
【特許文献2】特開平6−29439号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、本発明者の検討によれば、リードの表面に金薄膜を設けた構成では、リード表面に粗化メッキを施したとしても、モールド樹脂とインナーリードとの間の樹脂剥離を十分に回避することはできないことがわかった。
【0007】
そこで、本発明者は、この樹脂剥離が発生する原因を調査した。その結果、半導体チップをダイパッドにダイマウント材を介して搭載する場合の加熱硬化、および半導体チップとリードとの間をワイヤボンドする場合のリードフレームへの加熱により、リード表面に形成されている金薄膜の表面に、例えばPdなどの下地金属の拡散がみられた。このことは、EPMAなどの表面元素分析により確認した。
【0008】
また、図13は、本発明者が試作検討した結果を示す図である。これは、本発明者が、表面がAuメッキよりなるリードと表面がPdメッキよりなるリードとを作製し、これらについて、モールド樹脂との密着力のせん断強度を調査した結果を示すものである。この図13に示されるように、Auに対してPdでは、樹脂の密着力が大幅に低下することが確認された。
【0009】
以上のことから、インナーリードにおいて樹脂剥離が発生している原因は、下地金属の表面拡散と推定される。そこで、加熱による下地金属の表面拡散を抑制すれば、インナーリードとモールド樹脂との間の剥離を回避することができると考えられる。
【0010】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、素子搭載部に搭載された半導体素子とリードとをボンディングワイヤで接続したものを、モールド樹脂で封止してなる樹脂封止型の半導体装置において、インナーリードにおける下地金属の表面拡散を抑制し、モールド樹脂とインナーリードとの密着性を確保して樹脂剥離を抑制しやすくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、リードの表面の金薄膜を厚くして下地金属の表面拡散を抑制することが考えられる。ここで、アウターリードにおいて従来よりも金薄膜を厚くすると、アウターリードのはんだ付け性(特に、はんだ接続信頼性)の低下を招くため、アウターリードでは、金薄膜を厚くすることは好ましくない。
【0012】
このような点に着目して、本発明は、リード(12)のうちモールド樹脂(40)で被覆されている部位であるインナーリード(12a)の表面に形成されている金薄膜(10d)の方が、アウターリード(12b)の表面に形成されている金薄膜(10d)よりも膜厚が大きいことを特徴とする。
【0013】
それによれば、アウターリード(12b)における金薄膜(10d)は薄くして、アウターリード(12b)のはんだ付け性(特に、はんだ接続信頼性)を確保しながら、モールド樹脂(40)と密着するインナーリード(12a)については、アウターリード(12b)よりも金薄膜(10d)が厚くなるため、下地金属の表面拡散が抑制され、モールド樹脂(40)とインナーリード(12a)との密着性を確保して樹脂剥離を抑制しやすくなる。
【0014】
ここで、インナーリード(12a)の表面に形成されている金薄膜(10d)の膜厚は0.05μm〜0.2μmであり、アウターリード(12b)の表面に形成されている金薄膜(10d)の膜厚は0.002μm〜0.02μmであることが好ましい。より好ましくは、インナーリード(12a)の表面に形成されている金薄膜(10d)の膜厚は0.1μm〜0.2μmである。
【0015】
また、リード(12)は、母材(10a)の上にニッケルよりなる膜(10b)、パラジウムよりなる膜(10c)が順次形成され、パラジウムよりなる膜(10c)の上に最表面層として金薄膜(10d)が形成されてなるものにできる(後述の図2参照)。
【0016】
また、インナーリード(12a)の表面全体に形成されている金薄膜(10d)が、アウターリード(12b)の表面に形成されている金薄膜(10d)よりも膜厚が大きいものであってもよいし(後述の図1参照)、インナーリード(12a)の表面の一部に形成されている金薄膜(10d)が、アウターリード(12b)の表面に形成されている金薄膜(10d)よりも膜厚が大きいものであってもよい(後述の図4〜図7等参照)。
【0017】
また、インナーリード(12a)の表面の一部を、インナーリード(12a)のうちボンディングワイヤ(30)との接続部寄りの部位とし、モールド樹脂(40)の端面寄りの部位は、当該表面の一部から除かれるものとすれば、特に、ボンディングワイヤ(30)近傍における樹脂剥離を抑制し、ワイヤ(30)の断線やワイヤ(30)への水分の侵入などを回避できる(後述の図5参照)。
【0018】
また、インナーリード(12a)の表面の一部を、インナーリード(12a)のうちモールド樹脂(40)の端面寄りの部位とし、ボンディングワイヤ(30)との接続部寄りの部位は、当該表面の一部から除かれるものとすれば、特に、モールド樹脂(40)の端面での樹脂剥離を抑制し、外部からの水分の侵入を回避できる(後述の図6参照)。
【0019】
さらには、インナーリード(12a)の表面の一部とは、インナーリード(12a)のうちモールド樹脂(40)の端面寄りの部位およびボンディングワイヤ(30)との接続部寄りの部位であり、これら両部位の中間に位置する部位は、当該表面の一部から除かれるものであってもよい(後述の図7参照)。
【0020】
また、素子搭載部(11)の表面のうち半導体素子(20)が搭載される部位を除く部位に形成されている金薄膜(10d)が、アウターリード(12b)の表面に形成されている金薄膜(10d)よりも膜厚が大きいものとすれば、素子搭載部(11)における樹脂剥離も抑制しやすくなる(後述の図8参照)。
【0021】
また、素子搭載部が、半導体素子(20)の熱を放熱するためのヒートシンク(14)であるとき、ヒートシンク(14)のうちモールド樹脂(40)で被覆されている部位の表面に、アウターリード(12b)の表面に形成されている金薄膜(10d)よりも膜厚が大きい金薄膜(10d)を形成してもよい(後述の図10参照)。
【0022】
それによれば、ヒートシンク(14)とモールド樹脂(40)との密着性を向上させ、ヒートシンク(14)における樹脂剥離を抑制しやすい。
【0023】
なお、特許請求の範囲およびこの欄で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
【0025】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る樹脂封止型半導体装置100の概略断面構成を示す図であり、この半導体装置100をプリント基板200にはんだ210を介して実装した状態を示す。
【0026】
なお、リード12全体の最表面には金薄膜が形成されており、リード12においては当該金薄膜の厚い部位121と薄い部位122とに分かれている。ここで、図1のスケールでは、実際の金薄膜は薄すぎて図示できないが、図1では、リード12における金薄膜の厚い部位121のみ、金薄膜の厚さをデフォルメして形状の相違を図示し、金薄膜の膜厚の相違を識別しやすくしている。
【0027】
図1に示されるように、半導体装置100においては、素子搭載部としてのダイパッド11およびリード12を備えるリードフレーム10と、ダイパッド11に搭載された半導体素子20と、半導体素子20とリード12とを電気的に接続するボンディングワイヤ30と、これら半導体素子20、ダイパッド11、リード12およびボンディングワイヤ30を包み込むように封止するモールド樹脂40とが備えられている。
【0028】
ダイパッド11には、導電性接着剤やはんだなどのダイマウント材13を介して、半導体素子としての半導体チップ20が搭載されている。そして、この半導体チップ20とリード12とがボンディングワイヤ30を介して結線され電気的に接続されている。
【0029】
ここで、半導体チップ20は、シリコン半導体基板に周知の半導体製造技術を用いてトランジスタ素子などを形成してなるものである。また、ボンディングワイヤ30は、ワイヤボンディングにより形成された金(Au)やアルミニウム(Al)などからなるワイヤである。
【0030】
これら半導体チップ20、ボンディングワイヤ30、およびリード12の一部すなわちインナーリード12aは、モールド樹脂40により包み込まれるようにモールドされ封止されている。つまり、インナーリード12aは、リード12のうちモールド樹脂40で被覆されている部位である。
【0031】
このモールド樹脂40は、通常の樹脂封止型半導体装置に用いられるエポキシ系樹脂などのモールド材料を採用して、金型を用いたトランスファーモールド法などにより形成されるものである。そして、このモールド樹脂40が、半導体装置100の本体すなわちパッケージボディを構成している。
【0032】
ここで、リード12のうちアウターリード12bは、モールド樹脂40から突出している。このアウターリード12bは、図1に示されるように、モールド樹脂40側の根元部と先端部との中間部にて曲げられた形状となっている。本実施形態では、アウターリード12bは当該中間部にて2箇所曲げられた曲がり形状を有している。
【0033】
さらに、アウターリード12bにおける図1中の下面のうち先端部に位置する接続面12cは、本半導体装置100をプリント基板200に実装したときにプリント基板200に対向する面であり、プリント基板200に対して、はんだ210を介して接続される面12cである。
【0034】
ここで、図2は、本実施形態のリードフレーム10の表面付近の構成を示す概略断面図である。図2に示されるように、本実施形態のリードフレーム10は、たとえば銅系金属や鉄系金属などの通常のリードフレーム材料を母材10aとしている。
【0035】
そして、この母材10aの表面に、Ni(ニッケル)よりなるニッケル膜10b、Pd(パラジウム)よりなるパラジウム膜10c、金よりなる金薄膜10dが、それぞれ順次形成されたものである。
【0036】
たとえば、本例のリードフレーム10では、母材10aは銅または鉄およびこれらの合金よりなる板材であり、その板厚は0.125mm〜0.25mm程度、幅は0.2mm〜0.5mm程度とすることができる。また、母材10a上の上記各膜10b〜10dは、リードフレームの素材板をエッチングやスタンピングなどで、リードフレーム形状にパターニングした後、メッキ処理などを行うことで形成されるものである。
【0037】
ここで、本実施形態では、リードフレーム10、すなわちダイパッド11およびリード12は共に、上記図2に示される積層膜構成となっている。しかし、本実施形態では、リード12においては、当該リード12の最表面層として形成されている金薄膜10dの膜厚を、インナーリード12aの方がアウターリード12bよりも厚くなるように構成している。
【0038】
つまり、図1に示されるように、金薄膜10dの厚い部位121は、モールド樹脂40と密着するインナーリード12aの表面であり、金薄膜10dの薄い部位122は、モールド樹脂40から露出するアウターリード12bの表面である。
【0039】
そして、図1では、インナーリード12aの表面全体すなわちインナーリード12aにおけるモールド樹脂40と接触する面の全体を、アウターリード12bよりも金薄膜10dの厚い部位121としている。ここで、この金薄膜10dの厚い部位121と薄い部位122との膜厚の相違としては、厚い部位121の金薄膜10dの方が薄い部位121の金薄膜10dよりも膜厚が2倍以上、大きいことが望ましい。
【0040】
このインナーリード12aの金薄膜10dの厚い部位121においては、母材10a上の各膜10b〜10dの具体的な膜厚は、それぞれ、ニッケル膜10bが0.3μm〜1.5μm、パラジウム膜10cが0.002μm〜0.02μm、金薄膜10dが0.05μm〜0.2μm程度である。
【0041】
一方、アウターリード12bの金薄膜10dの薄い部位122においては、母材10a上の各膜10b〜10dの具体的な膜厚は、それぞれ、ニッケル膜10bが0.3μm〜1.5μm、パラジウム膜10cが0.002μm〜0.02μm、金薄膜10dが0.002μm〜0.02μm程度である。
【0042】
また、本実施形態では、ダイパッド11の母材10a表面全体に形成されている金薄膜10dの膜厚については、金薄膜10dの厚い部位121と同程度とすることができる。しかしながら、本実施形態においては、当該ダイパッド11における金薄膜10dの膜厚は、金薄膜10dの薄い部位122、すなわちアウターリード12bと同程度であってもかまわない。
【0043】
このようなリードフレーム10において、金薄膜10dの膜厚を部分的に異ならせた構成は、後述するように、一般的なメッキ方法を用いて形成することができる。
【0044】
ところで、本実施形態の半導体装置100によれば、インナーリード12aの表面に形成されている金薄膜10dの方が、アウターリード12bの表面に形成されている金薄膜10dよりも膜厚が大きい。
【0045】
それによれば、アウターリード12bについては金薄膜10dは薄くして、従来と同等のはんだ付け性を確保することができる。また、インナーリード12aについては、アウターリード12bよりも金薄膜10dが厚くなるため、インナーリード12aにおける下地金属であるPdの表面への拡散が抑制され、結果的に、モールド樹脂40とインナーリード12aとの密着性を確保して樹脂剥離を抑制しやすくなる。
【0046】
そして、このような効果を発揮するためには、上述したように、金薄膜10dの厚い部位121における金薄膜10dの方が、薄い部位121における金薄膜10dよりも膜厚が2倍以上、大きいことが望ましい。
【0047】
特に、本実施形態では、図1に示されるように、インナーリード12aの表面全体に形成されている金薄膜10dが、アウターリード12bの金薄膜10dよりも膜厚が大きいものとしている。つまり、インナーリード12aの表面全体を金薄膜10dの厚い部位121としているため、インナーリード12aの全体に渡って、樹脂剥離を回避することができ、これにより、水分の侵入やワイヤ30の断線なども回避できる。
【0048】
また、本発明者の検討によれば、実際の半導体装置にて、インナーリード12aの金薄膜10dの膜厚が0.002〜0.02μm程度では樹脂剥離が発生している。一方、0.05μmであれば、インナーリード12aと樹脂との剥離は回避できる。
【0049】
なお、半導体装置の組付け工程での加熱温度、時間などから考えて、安定した樹脂密着性を得るには、インナーリード12aの金薄膜10dの膜厚は、0.1μm以上が望ましい。また、金薄膜10dがあまり厚いとコストアップとなるため、実用上、0.2μm以下が望ましい。
【0050】
次に、本実施形態の樹脂封止型半導体装置100の製造方法について、説明する。まず、リードフレーム10の母材10aをエッチングやスタンピングなどで、上記したリードフレーム形状にパターニングする。
【0051】
その後、本実施形態では、この母材10aの表面に上記した各膜10b〜10cをメッキ処理により形成する。これら各膜10b〜10dは、上述したように、一般的なメッキ方法により形成できるものであり、電気メッキまたは無電解メッキのいずれの方法で形成してもよい。
【0052】
ここで、リードフレーム10のうちインナーリード12aおよびダイパッド11では金薄膜10dを厚く形成し、アウターリード12bではそれよりも薄く形成する。具体的には、まず、リードフレーム10の母材10aの全域に、ニッケル膜10bを0.3μm〜1.5μm程度、パラジウム膜10cを0.002μm〜0.02μm程度、金薄膜10dを0.002μm〜0.02μm程度、順次メッキにより形成する。
【0053】
その後、上記した金薄膜10dの厚い部位121を形成するため、さらに金薄膜10dを部分的に形成する。つまり、すでに形成されている薄い金薄膜10dの上に更に金薄膜10dを重ねて形成することにより、全体として膜厚の大きな金薄膜10dを形成する。この部分的なメッキはマスクを用いた方法により行うことができるが、その具体的なメッキ処理の一例を図3に示す。
【0054】
図3(a)に示されるように、合致することにより内部にキャビティを形成する第1の金型510および第2の金型520を用いる。これら両金型510および520の内面それぞれゴム膜501が固定されるとともに、金薄膜10dの厚い部位121に対応して開口する開口部511、521が設けられている。この開口部511、521により上記キャビティが構成される。
【0055】
そして、第1の金型510には、金メッキを行うためのメッキ液を貯留するタンク500が供給路512を介して連結され、第2の金型520には、排出路522が連結されている。これら供給路512および排出路522には、当該メッキ液の供給量、排出量を調節するバルブ513、523が介在設定されている。
【0056】
そして、図3(b)に示されるように、第1の金型510と第2の金型520とをリードフレーム10を挟んで合致させた状態で、上記開口部511、521よりなるキャビティ内へ、タンク500から当該メッキ液を供給する。なお、当該メッキ液は、図3(b)中の点ハッチングに示す。
【0057】
それにより、リードフレーム10のうち開口部511、521に位置する部位は、上記したように更に金薄膜10dが重ねて形成されることで金薄膜10dの厚い部位121となり、それ以外の部位は、ゴム膜501によってマスキングされているため、更に金薄膜10dが形成されず、金薄膜10dの薄い部位122となる。使用後のメッキ液は排出路522から排出される。
【0058】
こうして、本例の方法によれば、リード12のうちインナーリード12aおよびダイパッド11の表面に形成されている金薄膜10dの方が、アウターリード12bの表面に形成されている金薄膜10dよりも膜厚が大きくなっているリードフレーム10ができあがる。
【0059】
次に、このリードフレーム10において、ダイパッド11にダイマウント材13を介して半導体チップ20を搭載する。このとき、ダイマウント材13はたとえばエポキシ樹脂であり、150℃〜180℃程度で加熱硬化させることにより、半導体チップ20を接着する。
【0060】
その後、リードフレーム10を、150℃〜230℃程度に加熱しながら、この半導体チップ20とリード12との間でワイヤボンディングを行い、ボンディングワイヤ30によって互いを電気的に接続する。
【0061】
その後、165〜185℃程度に加熱されたモールド成形金型の中に、ワイヤボンディングまで完了したリードフレーム10を入れ、その後、加熱により溶融したエポキシ樹脂などのモールド樹脂40を当該金型に注入する。こうすることで、樹脂封止が行われ、モールド樹脂40による成形が完成する。
【0062】
その後、アウターリード12bを、プレス加工などにより切り離し、さらに曲げ加工を施す。このようにリードフレーム10の成形などを行い、本実施形態の半導体装置100ができあがる。
【0063】
そして、この半導体装置100は、アウターリード12bの先端部の接続面12cにおいて、はんだ210を介してプリント基板200上に接続されることで実装され、上記図1に示される実装構造が完成する。
【0064】
(第2実施形態)
図4は、本発明の第2実施形態に係る樹脂封止型半導体装置101の概略断面構成を示す図であり、プリント基板200への実装した状態を示す。なお、この図4においても、上記図1と同様に、リード12における金薄膜の膜厚の相違を考慮したデフォルメを行っている。上記第1実施形態との相違を中心に述べる。
【0065】
上記第1実施形態では、インナーリード12aの表面全体が金薄膜10dの厚い部位121であったが、本実施形態では、図4に示されるように、インナーリード12aの表面の全体ではなく一部が、金薄膜10dの厚い部位となっている。
【0066】
具体的には、図4に示されるように、インナーリード12aの表面のうち図中の上面、すなわちワイヤボンディング30が接続される面のみを、金薄膜10dの厚い部位121としている。そして、残りのインナーリード12aの表面部分、すなわち図4中のインナーリード12aの下面は、金薄膜10dの薄い部位122としている。
【0067】
この場合も、アウターリード12bについては金薄膜10dは薄くして、従来と同等のはんだ付け性を確保することができる。また、インナーリード12aのうちアウターリード12bよりも金薄膜10dが厚い部分では、下地金属の表面への拡散が抑制される。よって、本実施形態によっても、モールド樹脂40とインナーリード12aとの密着性を確保して樹脂剥離を抑制しやすくなる。
【0068】
(第3実施形態)
図5は、本発明の第3実施形態に係る樹脂封止型半導体装置をプリント基板200への実装した状態にて示す概略断面図であり、(a)は第1の例を示し、(b)は第2の例を示す。なお、この図5においても、上記図1と同様に、リード12における金薄膜の膜厚の相違を考慮したデフォルメを行っている。
【0069】
本実施形態も、上記第2実施形態と同様、インナーリード12aの表面の一部が、金薄膜10dの厚い部位121となっている。しかし、本実施形態では、図5に示されるように、インナーリード12aの表面の一部とは、インナーリード12aのうちボンディングワイヤ30との接続部寄りの部位である。
【0070】
そして、インナーリード12aのうち、当該ボンディングワイヤ30との接続部とは反対側に位置するモールド樹脂40の端面寄りの部位は、金薄膜10dの厚い部位121としての当該表面の一部から除かれ、金薄膜10dの薄い部位122である。
【0071】
そして、本実施形態によっても、アウターリード12bのはんだ付け性を確保することができ、また、インナーリード12aのうち金薄膜10dの厚い部位121となっている部分では、上記実施形態と同様に、樹脂剥離を抑制しやすくなる。特に、本実施形態では、ボンディングワイヤ30近傍における樹脂剥離を抑制し、ワイヤ30の断線やワイヤ30への水分の侵入などを回避できる。
【0072】
なお、図5(a)に示される第1の例と図5(b)に示される第2の例とでは、金薄膜10dの厚い部位121が、インナーリード12aにおける図中の上面と下面の両方にあるか、それとも上面のみにあるかの違いであり、本実施形態による効果は、どちらの場合でも発揮される。
【0073】
(第4実施形態)
図6は、本発明の第4実施形態に係る樹脂封止型半導体装置をプリント基板200への実装した状態にて示す概略断面図であり、(a)は第1の例を示し、(b)は第2の例を示す。なお、この図6においても、上記図1と同様に、リード12における金薄膜の膜厚の相違を考慮したデフォルメを行っている。
【0074】
本実施形態も、上記第2実施形態と同様、インナーリード12aの表面の一部が、金薄膜10dの厚い部位121となっているが、本実施形態では、図6に示されるように、インナーリード12aの表面の一部とは、インナーリード12aのうちモールド樹脂40の端面寄りの部位である。
【0075】
そして、インナーリード12aのうち当該モールド樹脂40の端面とは反対側のボンディングワイヤ30との接続部寄りの部位は、当該表面の一部から除かれ、金薄膜10dの薄い部位122である。
【0076】
そして、本実施形態によっても、アウターリード12bのはんだ付け性を確保しながら、インナーリード12aのうち金薄膜10dの厚い部位121となっている部分では、上記実施形態と同様に、樹脂剥離を抑制しやすくなる。特に、本実施形態では、モールド樹脂40の端面での樹脂剥離を抑制し、外部からの水分の侵入を回避できる。
【0077】
なお、図6(a)に示される第1の例と図6(b)に示される第2の例とでは、金薄膜10dの厚い部位121が、インナーリード12aにおける図中の上面と下面の両方にあるか、それとも上面のみにあるかの違いであり、本実施形態による効果は、どちらの場合でも発揮される。
【0078】
(第5実施形態)
図7は、本発明の第5実施形態に係る樹脂封止型半導体装置をプリント基板200への実装した状態にて示す概略断面図であり、(a)は第1の例を示し、(b)は第2の例を示す。なお、この図7においても、上記図1と同様に、リード12における金薄膜の膜厚の相違を考慮したデフォルメを行っている。
【0079】
本実施形態も、インナーリード12aの表面の一部を、金薄膜10dの厚い部位121としたものであるが、ここでは、図7に示されるように、インナーリード12aの表面の一部とは、インナーリード12aのうちモールド樹脂40の端面寄りの部位およびボンディングワイヤ30との接続部寄りの部位である。そして、これら両部位の中間に位置する部位は、金薄膜10dの薄い部位122である。
【0080】
そして、本実施形態によっても、アウターリード12bのはんだ付け性を確保しながら、インナーリード12aのうち金薄膜10dの厚い部位121となっている部分では、上記実施形態と同様に、樹脂剥離を抑制しやすくなる。特に、本実施形態では、上記第3および第4実施形態とを組み合わせた箇所を、金薄膜10dの厚い部位としており、これら組合せによる効果が期待できる。
【0081】
なお、本実施形態においても、図7中の第1の例と第2の例とでは、金薄膜10dの厚い部位121が、インナーリード12aにおける図中の上面と下面の両方にあるか、それとも上面のみにあるかの違いであり、本実施形態による効果は、どちらの場合でも発揮される。
【0082】
また、上記第2〜第5実施形態のように、インナーリード12aの表面の全体ではなく一部を、金薄膜10dの厚い部位121とする構成によれば、特に樹脂剥離が起こりやすい部位、あるいは樹脂剥離を特に発生させたくない部位において、選択的に樹脂剥離を抑制することが可能となる。
【0083】
(第6実施形態)
図8は、本発明の第6実施形態に係る樹脂封止型半導体装置の概略断面構成を示す図であり、プリント基板200への実装した状態を示す。なお、この図8においても、上記図1と同様に、リード12における金薄膜の膜厚の相違を考慮したデフォルメを行っている。上記第1実施形態との相違を中心に述べる。
【0084】
本実施形態の半導体装置は、上記第1実施形態の半導体装置において、さらに、ダイパッド11における金薄膜10dの膜厚構成を変えたものである。図8に示されるように、ダイパッド11における半導体チップ20の搭載面は、金薄膜10dの薄い部位122とし、当該搭載面とは反対側の面は金薄膜10dの厚い部位121としている。
【0085】
この場合、上記第1実施形態と同様の効果を奏することに加えて、ダイパッド11の表面のうち広い面積でモールド樹脂40と密着する面において、金薄膜10dを厚くしているため、ダイパッド11における樹脂剥離の抑制を行いやすくなる。
【0086】
なお、上記の各実施形態では、リードフレーム10のリード12において、金薄膜10dの厚い部位121および薄い部位122の配置を種々変更しているが、このような金薄膜10dの形成は、たとえば上記図3に示した金型のマスク形状を変更してやれば、容易に実現できる。
【0087】
(第7実施形態)
図9は、本発明の第7実施形態に係る樹脂封止型半導体装置の概略断面構成を示す図であり、プリント基板200への実装した状態を示す。なお、この図9においても、上記図1と同様に、リード12における金薄膜の膜厚の相違を考慮したデフォルメを行っている。上記第1実施形態との相違を中心に述べる。
【0088】
本実施形態の半導体装置は、上記第1実施形態の半導体装置において、ダイパッド11に代えて、素子搭載部としてヒートシンク14を用いたものである。このヒートシンク14は、Cuや42アロイなどよりなる。
【0089】
このヒートシンク14の一面には、ダイマウント材13を介して半導体チップ20が搭載・固定されており、この半導体チップ20の搭載面とは反対側のヒートシンク14の面は、モールド樹脂40から露出している。それにより、半導体素子20の熱はヒートシンク14を介して放熱されるようになっている。
【0090】
このダイパッド11に代えてヒートシンク14を用いた本実施形態の構成は、上記した第1実施形態以外にも、第2〜第5実施形態に適用が可能である。そして、これら適用が可能な各実施形態と同様の効果を発揮する。
【0091】
(第8実施形態)
図10は、本発明の第8実施形態に係る樹脂封止型半導体装置の概略断面構成を示す図であり、プリント基板200への実装した状態を示す。なお、この図10においても、上記図1と同様に、リード12における金薄膜の膜厚の相違を考慮したデフォルメを行っている。
【0092】
本実施形態の半導体装置は、上記第7実施形態と同様に、ヒートシンク14を用いたものであるが、図10に示されるように、本実施形態では、ヒートシンク14のうちモールド樹脂40で被覆されている部位の表面を、金薄膜10dの厚い部位121として構成している。ここでは、ヒートシンク14に対して金メッキを行うことにより、ヒートシンク14における金薄膜を形成することができる。また、半導体チップ20の搭載面は、金薄膜10dの薄い部位122であってもよい。
【0093】
つまり、図10では上記金薄膜10dは示さないが、本実施形態では、ヒートシンク14のうちモールド樹脂40で被覆されている部位の表面に、アウターリード12bに形成されている金薄膜10dよりも膜厚が大きい金薄膜10dが形成されている。さらに言うならば、このヒートシンク14における厚い金薄膜10dの膜厚は、インナーリード12aにおける厚い部位121の金薄膜10dと同程度の厚いものとしている。
【0094】
ここでは、ヒートシンク14における金薄膜10dの厚い部位121は、半導体チップ20の搭載面およびその両側の側面であり、ヒートシンク14のうちモールド樹脂40から露出している面は除かれる。また、ヒートシンク14のうち、モールド樹脂40から露出している面が、金薄膜10dの厚い部位121であってもよい。
【0095】
そして、この本実施形態のヒートシンク14の構成も、上記した第1実施形態以外にも、第2〜第5実施形態に適用が可能である。そして、本実施形態によれば、これら第1〜第5実施形態と同様の効果を発揮するとともに、ヒートシンク14における樹脂剥離の抑制も行いやすくなる。
【0096】
(第9実施形態)
図11は、本発明の第9実施形態に係るリードフレーム10における金薄膜の製造方法を示す工程図である。
【0097】
上記第1実施形態にて上記図3に示したように、リード12の金薄膜10dの膜厚が部分的に異なるリードフレーム10を製造することは、マスクを用いたメッキにより実現していたが、本実施形態の製造方法は、これ以外の方法を提供する。
【0098】
本実施形態では、まず、上記第1実施形態と同様に、リードフレーム10の母材10aの全域に、ニッケル膜10bを0.3μm〜1.5μm程度、パラジウム膜10cを0.002μm〜0.02μm程度、金薄膜10dを0.002μm〜0.02μm程度、順次メッキにより形成する。
【0099】
この後、図11に示すマスク600を用いてAuのスパッタもしくは蒸着を行う。このマスク600は、リードフレーム10のうち金薄膜の厚い部位121となるべき領域を開口させるものである。そして、このマスク600をリードフレーム10にセットしたものを、真空容器に入れて、スパッタもしくは蒸着を行う。
【0100】
それにより、リードフレーム10のうち金薄膜の厚い部位121となるべき領域のみに、スパッタもしくは蒸着によって金薄膜がさらに積層される。そして、この積層された部分では、下地のメッキによる金薄膜とスパッタもしくは蒸着による金薄膜との合計が金薄膜の厚さとなり、それ以外のリードフレーム10の部分では、メッキによる金薄膜のみとなる。
【0101】
このように、本実施形態によっても、インナーリード12aの金薄膜10dの方が、アウターリード12bの金薄膜10dよりも膜厚が大きくなっているリードフレーム10ができあがる。この場合、金薄膜10dを厚く形成するのはリードフレーム10の片側、すなわち半導体チップ20を搭載し、ワイヤボンドする側のみでよい。
【0102】
(第10実施形態)
図12は、本発明の第10実施形態に係るリードフレーム10における金薄膜の製造方法を示す工程図である。本実施形態は、リード12の金薄膜10dの膜厚が部分的に異なるリードフレーム10を製造する別の方法を提供するものである。
【0103】
本実施形態では、まず、上記第1実施形態と同様に、メッキによって、リードフレーム10の母材10aの全域に、ニッケル膜10bを0.3μm〜1.5μm程度、パラジウム膜10cを0.002μm〜0.02μm程度形成するが、表層の金薄膜10dは0.1μm〜0.2μm程度とし、上記方法よりも厚く形成する。
【0104】
この後、図12に示すようなマスク610を用いてエッチングを行う。このマスク610は、リードフレーム10のうち金薄膜の薄い部位122となるべき領域を開口したものである。そして、このマスク610をリードフレーム10にセットしたものを、真空容器に入れて、プラスマなどによるスパッタを行うことにより、金薄膜を所望の膜厚までエッチングする。
【0105】
それにより、リードフレーム10のうち金薄膜の薄い部位122となるべき領域のみが、エッチングされて金薄膜が薄くなる。このようにして、本実施形態によっても、インナーリード12aの金薄膜10dの方が、アウターリード12bの金薄膜10dよりも膜厚が大きくなっているリードフレーム10ができあがる。この場合、金薄膜10dを薄くするのはリードフレーム10の片側、すなわち半導体チップ20を搭載し、ワイヤボンドする側の反対側のみでよい。
【0106】
(他の実施形態)
なお、モールド樹脂40内における半導体チップ20とリード12とのボンディングワイヤ30を介した電気的な接続形態は、上記した各図に限定されるものではなく、種々の形態が可能である。
【0107】
また、リードフレーム10は、その表面が金薄膜10dならばよく、金薄膜10dの下地側の構成、材質などは上記した例に限定されるものではない。また、素子搭載部、インナーリード、アウターリードの形状、数などは上記の各図に示したものに限定されるものではない。
【0108】
また、上記各実施形態では、半導体装置はアウターリード12bにおける接続面12c(上記図1等参照)にて、はんだ210を介してプリント基板200に接続されていたが、半導体装置は、このようにアウターリードにてはんだ付けされるものならば、プリント基板以外にも、セラミック基板、バスバーなどに実装されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明の第1実施形態に係る樹脂封止型半導体装置の概略断面図である。
【図2】第1実施形態のリードフレームの表面付近の構成を示す概略断面図である。
【図3】第1実施形態に係るメッキ方法を示す工程図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る樹脂封止型半導体装置の概略断面図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係る樹脂封止型半導体装置の概略断面図であり、(a)は第1の例、(b)は第2の例を示す。
【図6】本発明の第4実施形態に係る樹脂封止型半導体装置の概略断面図であり、(a)は第1の例、(b)は第2の例を示す。
【図7】本発明の第5実施形態に係る樹脂封止型半導体装置の概略断面図であり、(a)は第1の例、(b)は第2の例を示す。
【図8】本発明の第6実施形態に係る樹脂封止型半導体装置の概略断面図である。
【図9】本発明の第7実施形態に係る樹脂封止型半導体装置の概略断面図である。
【図10】本発明の第8実施形態に係る樹脂封止型半導体装置の概略断面図である。
【図11】本発明の第9実施形態に係るリードフレームにおける金薄膜の製造方法を示す工程図である。
【図12】本発明の第10実施形態に係るリードフレームにおける金薄膜の製造方法を示す工程図である。
【図13】AuメッキとPdメッキとについて本発明者が樹脂密着性を調査した結果を示す図である。
【符号の説明】
【0110】
10…リードフレーム、10a…リードフレームの母材、
10b…ニッケル膜、10c…パラジウム膜、10d…金薄膜、
11…素子搭載部としてのダイパッド、12…リード、
12a…インナーリード、12b…アウターリード、
14…素子搭載部としてのヒートシンク、20…半導体素子としての半導体チップ、
30…ボンディングワイヤ、40…モールド樹脂。
【技術分野】
【0001】
本発明は、素子搭載部に搭載された半導体素子とリードとをボンディングワイヤで接続したものを、モールド樹脂で封止してなる樹脂封止型の半導体装置に関し、特にリードフレームに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の一般的な半導体装置としては、素子搭載部としてのダイパッドおよびリードを備えるリードフレームと、ダイパッドに搭載された半導体素子と、半導体素子とリードとを電気的に接続するボンディングワイヤと、半導体素子、ダイパッド、リードおよびボンディングワイヤを包み込むように封止するモールド樹脂とを備え、リードの一部は、モールド樹脂から露出して外部と接続される部位であるアウターリードとして構成されたものが、知られている。
【0003】
ここで、近年では、一般に、リードの表面に金よりなる膜である金薄膜が形成されたものが使用されている。具体的には、たとえばNi/Pd/Auメッキがされているリードフレーム(PPF:Pre Plated Flameの略)が使用されるようになっている(たとえば、特許文献1参照)。
【0004】
ここにおいて、従来では、上記特許文献1にも記載されているように、メッキで形成された金薄膜の膜厚は0.001〜0.1μm程度である。このように、リードの表面に金薄膜を設けることにより、インナーリードにおけるワイヤボンディング性の確保やアウターリードにおけるはんだ付け性の確保が行いやすい。
【0005】
また、一方で、従来より、この種の半導体装置においては、樹脂封止工程後やプリント基板へのはんだリフローによる実装工程後などに、モールド樹脂とインナーリードとの間で樹脂剥離が発生するという問題がある。従来では、この樹脂剥離を回避するために、たとえばモールド樹脂とインナーリードとの密着力向上を狙ってリード表面に粗化メッキを施す技術が提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平4−115558号公報
【特許文献2】特開平6−29439号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、本発明者の検討によれば、リードの表面に金薄膜を設けた構成では、リード表面に粗化メッキを施したとしても、モールド樹脂とインナーリードとの間の樹脂剥離を十分に回避することはできないことがわかった。
【0007】
そこで、本発明者は、この樹脂剥離が発生する原因を調査した。その結果、半導体チップをダイパッドにダイマウント材を介して搭載する場合の加熱硬化、および半導体チップとリードとの間をワイヤボンドする場合のリードフレームへの加熱により、リード表面に形成されている金薄膜の表面に、例えばPdなどの下地金属の拡散がみられた。このことは、EPMAなどの表面元素分析により確認した。
【0008】
また、図13は、本発明者が試作検討した結果を示す図である。これは、本発明者が、表面がAuメッキよりなるリードと表面がPdメッキよりなるリードとを作製し、これらについて、モールド樹脂との密着力のせん断強度を調査した結果を示すものである。この図13に示されるように、Auに対してPdでは、樹脂の密着力が大幅に低下することが確認された。
【0009】
以上のことから、インナーリードにおいて樹脂剥離が発生している原因は、下地金属の表面拡散と推定される。そこで、加熱による下地金属の表面拡散を抑制すれば、インナーリードとモールド樹脂との間の剥離を回避することができると考えられる。
【0010】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、素子搭載部に搭載された半導体素子とリードとをボンディングワイヤで接続したものを、モールド樹脂で封止してなる樹脂封止型の半導体装置において、インナーリードにおける下地金属の表面拡散を抑制し、モールド樹脂とインナーリードとの密着性を確保して樹脂剥離を抑制しやすくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、リードの表面の金薄膜を厚くして下地金属の表面拡散を抑制することが考えられる。ここで、アウターリードにおいて従来よりも金薄膜を厚くすると、アウターリードのはんだ付け性(特に、はんだ接続信頼性)の低下を招くため、アウターリードでは、金薄膜を厚くすることは好ましくない。
【0012】
このような点に着目して、本発明は、リード(12)のうちモールド樹脂(40)で被覆されている部位であるインナーリード(12a)の表面に形成されている金薄膜(10d)の方が、アウターリード(12b)の表面に形成されている金薄膜(10d)よりも膜厚が大きいことを特徴とする。
【0013】
それによれば、アウターリード(12b)における金薄膜(10d)は薄くして、アウターリード(12b)のはんだ付け性(特に、はんだ接続信頼性)を確保しながら、モールド樹脂(40)と密着するインナーリード(12a)については、アウターリード(12b)よりも金薄膜(10d)が厚くなるため、下地金属の表面拡散が抑制され、モールド樹脂(40)とインナーリード(12a)との密着性を確保して樹脂剥離を抑制しやすくなる。
【0014】
ここで、インナーリード(12a)の表面に形成されている金薄膜(10d)の膜厚は0.05μm〜0.2μmであり、アウターリード(12b)の表面に形成されている金薄膜(10d)の膜厚は0.002μm〜0.02μmであることが好ましい。より好ましくは、インナーリード(12a)の表面に形成されている金薄膜(10d)の膜厚は0.1μm〜0.2μmである。
【0015】
また、リード(12)は、母材(10a)の上にニッケルよりなる膜(10b)、パラジウムよりなる膜(10c)が順次形成され、パラジウムよりなる膜(10c)の上に最表面層として金薄膜(10d)が形成されてなるものにできる(後述の図2参照)。
【0016】
また、インナーリード(12a)の表面全体に形成されている金薄膜(10d)が、アウターリード(12b)の表面に形成されている金薄膜(10d)よりも膜厚が大きいものであってもよいし(後述の図1参照)、インナーリード(12a)の表面の一部に形成されている金薄膜(10d)が、アウターリード(12b)の表面に形成されている金薄膜(10d)よりも膜厚が大きいものであってもよい(後述の図4〜図7等参照)。
【0017】
また、インナーリード(12a)の表面の一部を、インナーリード(12a)のうちボンディングワイヤ(30)との接続部寄りの部位とし、モールド樹脂(40)の端面寄りの部位は、当該表面の一部から除かれるものとすれば、特に、ボンディングワイヤ(30)近傍における樹脂剥離を抑制し、ワイヤ(30)の断線やワイヤ(30)への水分の侵入などを回避できる(後述の図5参照)。
【0018】
また、インナーリード(12a)の表面の一部を、インナーリード(12a)のうちモールド樹脂(40)の端面寄りの部位とし、ボンディングワイヤ(30)との接続部寄りの部位は、当該表面の一部から除かれるものとすれば、特に、モールド樹脂(40)の端面での樹脂剥離を抑制し、外部からの水分の侵入を回避できる(後述の図6参照)。
【0019】
さらには、インナーリード(12a)の表面の一部とは、インナーリード(12a)のうちモールド樹脂(40)の端面寄りの部位およびボンディングワイヤ(30)との接続部寄りの部位であり、これら両部位の中間に位置する部位は、当該表面の一部から除かれるものであってもよい(後述の図7参照)。
【0020】
また、素子搭載部(11)の表面のうち半導体素子(20)が搭載される部位を除く部位に形成されている金薄膜(10d)が、アウターリード(12b)の表面に形成されている金薄膜(10d)よりも膜厚が大きいものとすれば、素子搭載部(11)における樹脂剥離も抑制しやすくなる(後述の図8参照)。
【0021】
また、素子搭載部が、半導体素子(20)の熱を放熱するためのヒートシンク(14)であるとき、ヒートシンク(14)のうちモールド樹脂(40)で被覆されている部位の表面に、アウターリード(12b)の表面に形成されている金薄膜(10d)よりも膜厚が大きい金薄膜(10d)を形成してもよい(後述の図10参照)。
【0022】
それによれば、ヒートシンク(14)とモールド樹脂(40)との密着性を向上させ、ヒートシンク(14)における樹脂剥離を抑制しやすい。
【0023】
なお、特許請求の範囲およびこの欄で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
【0025】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る樹脂封止型半導体装置100の概略断面構成を示す図であり、この半導体装置100をプリント基板200にはんだ210を介して実装した状態を示す。
【0026】
なお、リード12全体の最表面には金薄膜が形成されており、リード12においては当該金薄膜の厚い部位121と薄い部位122とに分かれている。ここで、図1のスケールでは、実際の金薄膜は薄すぎて図示できないが、図1では、リード12における金薄膜の厚い部位121のみ、金薄膜の厚さをデフォルメして形状の相違を図示し、金薄膜の膜厚の相違を識別しやすくしている。
【0027】
図1に示されるように、半導体装置100においては、素子搭載部としてのダイパッド11およびリード12を備えるリードフレーム10と、ダイパッド11に搭載された半導体素子20と、半導体素子20とリード12とを電気的に接続するボンディングワイヤ30と、これら半導体素子20、ダイパッド11、リード12およびボンディングワイヤ30を包み込むように封止するモールド樹脂40とが備えられている。
【0028】
ダイパッド11には、導電性接着剤やはんだなどのダイマウント材13を介して、半導体素子としての半導体チップ20が搭載されている。そして、この半導体チップ20とリード12とがボンディングワイヤ30を介して結線され電気的に接続されている。
【0029】
ここで、半導体チップ20は、シリコン半導体基板に周知の半導体製造技術を用いてトランジスタ素子などを形成してなるものである。また、ボンディングワイヤ30は、ワイヤボンディングにより形成された金(Au)やアルミニウム(Al)などからなるワイヤである。
【0030】
これら半導体チップ20、ボンディングワイヤ30、およびリード12の一部すなわちインナーリード12aは、モールド樹脂40により包み込まれるようにモールドされ封止されている。つまり、インナーリード12aは、リード12のうちモールド樹脂40で被覆されている部位である。
【0031】
このモールド樹脂40は、通常の樹脂封止型半導体装置に用いられるエポキシ系樹脂などのモールド材料を採用して、金型を用いたトランスファーモールド法などにより形成されるものである。そして、このモールド樹脂40が、半導体装置100の本体すなわちパッケージボディを構成している。
【0032】
ここで、リード12のうちアウターリード12bは、モールド樹脂40から突出している。このアウターリード12bは、図1に示されるように、モールド樹脂40側の根元部と先端部との中間部にて曲げられた形状となっている。本実施形態では、アウターリード12bは当該中間部にて2箇所曲げられた曲がり形状を有している。
【0033】
さらに、アウターリード12bにおける図1中の下面のうち先端部に位置する接続面12cは、本半導体装置100をプリント基板200に実装したときにプリント基板200に対向する面であり、プリント基板200に対して、はんだ210を介して接続される面12cである。
【0034】
ここで、図2は、本実施形態のリードフレーム10の表面付近の構成を示す概略断面図である。図2に示されるように、本実施形態のリードフレーム10は、たとえば銅系金属や鉄系金属などの通常のリードフレーム材料を母材10aとしている。
【0035】
そして、この母材10aの表面に、Ni(ニッケル)よりなるニッケル膜10b、Pd(パラジウム)よりなるパラジウム膜10c、金よりなる金薄膜10dが、それぞれ順次形成されたものである。
【0036】
たとえば、本例のリードフレーム10では、母材10aは銅または鉄およびこれらの合金よりなる板材であり、その板厚は0.125mm〜0.25mm程度、幅は0.2mm〜0.5mm程度とすることができる。また、母材10a上の上記各膜10b〜10dは、リードフレームの素材板をエッチングやスタンピングなどで、リードフレーム形状にパターニングした後、メッキ処理などを行うことで形成されるものである。
【0037】
ここで、本実施形態では、リードフレーム10、すなわちダイパッド11およびリード12は共に、上記図2に示される積層膜構成となっている。しかし、本実施形態では、リード12においては、当該リード12の最表面層として形成されている金薄膜10dの膜厚を、インナーリード12aの方がアウターリード12bよりも厚くなるように構成している。
【0038】
つまり、図1に示されるように、金薄膜10dの厚い部位121は、モールド樹脂40と密着するインナーリード12aの表面であり、金薄膜10dの薄い部位122は、モールド樹脂40から露出するアウターリード12bの表面である。
【0039】
そして、図1では、インナーリード12aの表面全体すなわちインナーリード12aにおけるモールド樹脂40と接触する面の全体を、アウターリード12bよりも金薄膜10dの厚い部位121としている。ここで、この金薄膜10dの厚い部位121と薄い部位122との膜厚の相違としては、厚い部位121の金薄膜10dの方が薄い部位121の金薄膜10dよりも膜厚が2倍以上、大きいことが望ましい。
【0040】
このインナーリード12aの金薄膜10dの厚い部位121においては、母材10a上の各膜10b〜10dの具体的な膜厚は、それぞれ、ニッケル膜10bが0.3μm〜1.5μm、パラジウム膜10cが0.002μm〜0.02μm、金薄膜10dが0.05μm〜0.2μm程度である。
【0041】
一方、アウターリード12bの金薄膜10dの薄い部位122においては、母材10a上の各膜10b〜10dの具体的な膜厚は、それぞれ、ニッケル膜10bが0.3μm〜1.5μm、パラジウム膜10cが0.002μm〜0.02μm、金薄膜10dが0.002μm〜0.02μm程度である。
【0042】
また、本実施形態では、ダイパッド11の母材10a表面全体に形成されている金薄膜10dの膜厚については、金薄膜10dの厚い部位121と同程度とすることができる。しかしながら、本実施形態においては、当該ダイパッド11における金薄膜10dの膜厚は、金薄膜10dの薄い部位122、すなわちアウターリード12bと同程度であってもかまわない。
【0043】
このようなリードフレーム10において、金薄膜10dの膜厚を部分的に異ならせた構成は、後述するように、一般的なメッキ方法を用いて形成することができる。
【0044】
ところで、本実施形態の半導体装置100によれば、インナーリード12aの表面に形成されている金薄膜10dの方が、アウターリード12bの表面に形成されている金薄膜10dよりも膜厚が大きい。
【0045】
それによれば、アウターリード12bについては金薄膜10dは薄くして、従来と同等のはんだ付け性を確保することができる。また、インナーリード12aについては、アウターリード12bよりも金薄膜10dが厚くなるため、インナーリード12aにおける下地金属であるPdの表面への拡散が抑制され、結果的に、モールド樹脂40とインナーリード12aとの密着性を確保して樹脂剥離を抑制しやすくなる。
【0046】
そして、このような効果を発揮するためには、上述したように、金薄膜10dの厚い部位121における金薄膜10dの方が、薄い部位121における金薄膜10dよりも膜厚が2倍以上、大きいことが望ましい。
【0047】
特に、本実施形態では、図1に示されるように、インナーリード12aの表面全体に形成されている金薄膜10dが、アウターリード12bの金薄膜10dよりも膜厚が大きいものとしている。つまり、インナーリード12aの表面全体を金薄膜10dの厚い部位121としているため、インナーリード12aの全体に渡って、樹脂剥離を回避することができ、これにより、水分の侵入やワイヤ30の断線なども回避できる。
【0048】
また、本発明者の検討によれば、実際の半導体装置にて、インナーリード12aの金薄膜10dの膜厚が0.002〜0.02μm程度では樹脂剥離が発生している。一方、0.05μmであれば、インナーリード12aと樹脂との剥離は回避できる。
【0049】
なお、半導体装置の組付け工程での加熱温度、時間などから考えて、安定した樹脂密着性を得るには、インナーリード12aの金薄膜10dの膜厚は、0.1μm以上が望ましい。また、金薄膜10dがあまり厚いとコストアップとなるため、実用上、0.2μm以下が望ましい。
【0050】
次に、本実施形態の樹脂封止型半導体装置100の製造方法について、説明する。まず、リードフレーム10の母材10aをエッチングやスタンピングなどで、上記したリードフレーム形状にパターニングする。
【0051】
その後、本実施形態では、この母材10aの表面に上記した各膜10b〜10cをメッキ処理により形成する。これら各膜10b〜10dは、上述したように、一般的なメッキ方法により形成できるものであり、電気メッキまたは無電解メッキのいずれの方法で形成してもよい。
【0052】
ここで、リードフレーム10のうちインナーリード12aおよびダイパッド11では金薄膜10dを厚く形成し、アウターリード12bではそれよりも薄く形成する。具体的には、まず、リードフレーム10の母材10aの全域に、ニッケル膜10bを0.3μm〜1.5μm程度、パラジウム膜10cを0.002μm〜0.02μm程度、金薄膜10dを0.002μm〜0.02μm程度、順次メッキにより形成する。
【0053】
その後、上記した金薄膜10dの厚い部位121を形成するため、さらに金薄膜10dを部分的に形成する。つまり、すでに形成されている薄い金薄膜10dの上に更に金薄膜10dを重ねて形成することにより、全体として膜厚の大きな金薄膜10dを形成する。この部分的なメッキはマスクを用いた方法により行うことができるが、その具体的なメッキ処理の一例を図3に示す。
【0054】
図3(a)に示されるように、合致することにより内部にキャビティを形成する第1の金型510および第2の金型520を用いる。これら両金型510および520の内面それぞれゴム膜501が固定されるとともに、金薄膜10dの厚い部位121に対応して開口する開口部511、521が設けられている。この開口部511、521により上記キャビティが構成される。
【0055】
そして、第1の金型510には、金メッキを行うためのメッキ液を貯留するタンク500が供給路512を介して連結され、第2の金型520には、排出路522が連結されている。これら供給路512および排出路522には、当該メッキ液の供給量、排出量を調節するバルブ513、523が介在設定されている。
【0056】
そして、図3(b)に示されるように、第1の金型510と第2の金型520とをリードフレーム10を挟んで合致させた状態で、上記開口部511、521よりなるキャビティ内へ、タンク500から当該メッキ液を供給する。なお、当該メッキ液は、図3(b)中の点ハッチングに示す。
【0057】
それにより、リードフレーム10のうち開口部511、521に位置する部位は、上記したように更に金薄膜10dが重ねて形成されることで金薄膜10dの厚い部位121となり、それ以外の部位は、ゴム膜501によってマスキングされているため、更に金薄膜10dが形成されず、金薄膜10dの薄い部位122となる。使用後のメッキ液は排出路522から排出される。
【0058】
こうして、本例の方法によれば、リード12のうちインナーリード12aおよびダイパッド11の表面に形成されている金薄膜10dの方が、アウターリード12bの表面に形成されている金薄膜10dよりも膜厚が大きくなっているリードフレーム10ができあがる。
【0059】
次に、このリードフレーム10において、ダイパッド11にダイマウント材13を介して半導体チップ20を搭載する。このとき、ダイマウント材13はたとえばエポキシ樹脂であり、150℃〜180℃程度で加熱硬化させることにより、半導体チップ20を接着する。
【0060】
その後、リードフレーム10を、150℃〜230℃程度に加熱しながら、この半導体チップ20とリード12との間でワイヤボンディングを行い、ボンディングワイヤ30によって互いを電気的に接続する。
【0061】
その後、165〜185℃程度に加熱されたモールド成形金型の中に、ワイヤボンディングまで完了したリードフレーム10を入れ、その後、加熱により溶融したエポキシ樹脂などのモールド樹脂40を当該金型に注入する。こうすることで、樹脂封止が行われ、モールド樹脂40による成形が完成する。
【0062】
その後、アウターリード12bを、プレス加工などにより切り離し、さらに曲げ加工を施す。このようにリードフレーム10の成形などを行い、本実施形態の半導体装置100ができあがる。
【0063】
そして、この半導体装置100は、アウターリード12bの先端部の接続面12cにおいて、はんだ210を介してプリント基板200上に接続されることで実装され、上記図1に示される実装構造が完成する。
【0064】
(第2実施形態)
図4は、本発明の第2実施形態に係る樹脂封止型半導体装置101の概略断面構成を示す図であり、プリント基板200への実装した状態を示す。なお、この図4においても、上記図1と同様に、リード12における金薄膜の膜厚の相違を考慮したデフォルメを行っている。上記第1実施形態との相違を中心に述べる。
【0065】
上記第1実施形態では、インナーリード12aの表面全体が金薄膜10dの厚い部位121であったが、本実施形態では、図4に示されるように、インナーリード12aの表面の全体ではなく一部が、金薄膜10dの厚い部位となっている。
【0066】
具体的には、図4に示されるように、インナーリード12aの表面のうち図中の上面、すなわちワイヤボンディング30が接続される面のみを、金薄膜10dの厚い部位121としている。そして、残りのインナーリード12aの表面部分、すなわち図4中のインナーリード12aの下面は、金薄膜10dの薄い部位122としている。
【0067】
この場合も、アウターリード12bについては金薄膜10dは薄くして、従来と同等のはんだ付け性を確保することができる。また、インナーリード12aのうちアウターリード12bよりも金薄膜10dが厚い部分では、下地金属の表面への拡散が抑制される。よって、本実施形態によっても、モールド樹脂40とインナーリード12aとの密着性を確保して樹脂剥離を抑制しやすくなる。
【0068】
(第3実施形態)
図5は、本発明の第3実施形態に係る樹脂封止型半導体装置をプリント基板200への実装した状態にて示す概略断面図であり、(a)は第1の例を示し、(b)は第2の例を示す。なお、この図5においても、上記図1と同様に、リード12における金薄膜の膜厚の相違を考慮したデフォルメを行っている。
【0069】
本実施形態も、上記第2実施形態と同様、インナーリード12aの表面の一部が、金薄膜10dの厚い部位121となっている。しかし、本実施形態では、図5に示されるように、インナーリード12aの表面の一部とは、インナーリード12aのうちボンディングワイヤ30との接続部寄りの部位である。
【0070】
そして、インナーリード12aのうち、当該ボンディングワイヤ30との接続部とは反対側に位置するモールド樹脂40の端面寄りの部位は、金薄膜10dの厚い部位121としての当該表面の一部から除かれ、金薄膜10dの薄い部位122である。
【0071】
そして、本実施形態によっても、アウターリード12bのはんだ付け性を確保することができ、また、インナーリード12aのうち金薄膜10dの厚い部位121となっている部分では、上記実施形態と同様に、樹脂剥離を抑制しやすくなる。特に、本実施形態では、ボンディングワイヤ30近傍における樹脂剥離を抑制し、ワイヤ30の断線やワイヤ30への水分の侵入などを回避できる。
【0072】
なお、図5(a)に示される第1の例と図5(b)に示される第2の例とでは、金薄膜10dの厚い部位121が、インナーリード12aにおける図中の上面と下面の両方にあるか、それとも上面のみにあるかの違いであり、本実施形態による効果は、どちらの場合でも発揮される。
【0073】
(第4実施形態)
図6は、本発明の第4実施形態に係る樹脂封止型半導体装置をプリント基板200への実装した状態にて示す概略断面図であり、(a)は第1の例を示し、(b)は第2の例を示す。なお、この図6においても、上記図1と同様に、リード12における金薄膜の膜厚の相違を考慮したデフォルメを行っている。
【0074】
本実施形態も、上記第2実施形態と同様、インナーリード12aの表面の一部が、金薄膜10dの厚い部位121となっているが、本実施形態では、図6に示されるように、インナーリード12aの表面の一部とは、インナーリード12aのうちモールド樹脂40の端面寄りの部位である。
【0075】
そして、インナーリード12aのうち当該モールド樹脂40の端面とは反対側のボンディングワイヤ30との接続部寄りの部位は、当該表面の一部から除かれ、金薄膜10dの薄い部位122である。
【0076】
そして、本実施形態によっても、アウターリード12bのはんだ付け性を確保しながら、インナーリード12aのうち金薄膜10dの厚い部位121となっている部分では、上記実施形態と同様に、樹脂剥離を抑制しやすくなる。特に、本実施形態では、モールド樹脂40の端面での樹脂剥離を抑制し、外部からの水分の侵入を回避できる。
【0077】
なお、図6(a)に示される第1の例と図6(b)に示される第2の例とでは、金薄膜10dの厚い部位121が、インナーリード12aにおける図中の上面と下面の両方にあるか、それとも上面のみにあるかの違いであり、本実施形態による効果は、どちらの場合でも発揮される。
【0078】
(第5実施形態)
図7は、本発明の第5実施形態に係る樹脂封止型半導体装置をプリント基板200への実装した状態にて示す概略断面図であり、(a)は第1の例を示し、(b)は第2の例を示す。なお、この図7においても、上記図1と同様に、リード12における金薄膜の膜厚の相違を考慮したデフォルメを行っている。
【0079】
本実施形態も、インナーリード12aの表面の一部を、金薄膜10dの厚い部位121としたものであるが、ここでは、図7に示されるように、インナーリード12aの表面の一部とは、インナーリード12aのうちモールド樹脂40の端面寄りの部位およびボンディングワイヤ30との接続部寄りの部位である。そして、これら両部位の中間に位置する部位は、金薄膜10dの薄い部位122である。
【0080】
そして、本実施形態によっても、アウターリード12bのはんだ付け性を確保しながら、インナーリード12aのうち金薄膜10dの厚い部位121となっている部分では、上記実施形態と同様に、樹脂剥離を抑制しやすくなる。特に、本実施形態では、上記第3および第4実施形態とを組み合わせた箇所を、金薄膜10dの厚い部位としており、これら組合せによる効果が期待できる。
【0081】
なお、本実施形態においても、図7中の第1の例と第2の例とでは、金薄膜10dの厚い部位121が、インナーリード12aにおける図中の上面と下面の両方にあるか、それとも上面のみにあるかの違いであり、本実施形態による効果は、どちらの場合でも発揮される。
【0082】
また、上記第2〜第5実施形態のように、インナーリード12aの表面の全体ではなく一部を、金薄膜10dの厚い部位121とする構成によれば、特に樹脂剥離が起こりやすい部位、あるいは樹脂剥離を特に発生させたくない部位において、選択的に樹脂剥離を抑制することが可能となる。
【0083】
(第6実施形態)
図8は、本発明の第6実施形態に係る樹脂封止型半導体装置の概略断面構成を示す図であり、プリント基板200への実装した状態を示す。なお、この図8においても、上記図1と同様に、リード12における金薄膜の膜厚の相違を考慮したデフォルメを行っている。上記第1実施形態との相違を中心に述べる。
【0084】
本実施形態の半導体装置は、上記第1実施形態の半導体装置において、さらに、ダイパッド11における金薄膜10dの膜厚構成を変えたものである。図8に示されるように、ダイパッド11における半導体チップ20の搭載面は、金薄膜10dの薄い部位122とし、当該搭載面とは反対側の面は金薄膜10dの厚い部位121としている。
【0085】
この場合、上記第1実施形態と同様の効果を奏することに加えて、ダイパッド11の表面のうち広い面積でモールド樹脂40と密着する面において、金薄膜10dを厚くしているため、ダイパッド11における樹脂剥離の抑制を行いやすくなる。
【0086】
なお、上記の各実施形態では、リードフレーム10のリード12において、金薄膜10dの厚い部位121および薄い部位122の配置を種々変更しているが、このような金薄膜10dの形成は、たとえば上記図3に示した金型のマスク形状を変更してやれば、容易に実現できる。
【0087】
(第7実施形態)
図9は、本発明の第7実施形態に係る樹脂封止型半導体装置の概略断面構成を示す図であり、プリント基板200への実装した状態を示す。なお、この図9においても、上記図1と同様に、リード12における金薄膜の膜厚の相違を考慮したデフォルメを行っている。上記第1実施形態との相違を中心に述べる。
【0088】
本実施形態の半導体装置は、上記第1実施形態の半導体装置において、ダイパッド11に代えて、素子搭載部としてヒートシンク14を用いたものである。このヒートシンク14は、Cuや42アロイなどよりなる。
【0089】
このヒートシンク14の一面には、ダイマウント材13を介して半導体チップ20が搭載・固定されており、この半導体チップ20の搭載面とは反対側のヒートシンク14の面は、モールド樹脂40から露出している。それにより、半導体素子20の熱はヒートシンク14を介して放熱されるようになっている。
【0090】
このダイパッド11に代えてヒートシンク14を用いた本実施形態の構成は、上記した第1実施形態以外にも、第2〜第5実施形態に適用が可能である。そして、これら適用が可能な各実施形態と同様の効果を発揮する。
【0091】
(第8実施形態)
図10は、本発明の第8実施形態に係る樹脂封止型半導体装置の概略断面構成を示す図であり、プリント基板200への実装した状態を示す。なお、この図10においても、上記図1と同様に、リード12における金薄膜の膜厚の相違を考慮したデフォルメを行っている。
【0092】
本実施形態の半導体装置は、上記第7実施形態と同様に、ヒートシンク14を用いたものであるが、図10に示されるように、本実施形態では、ヒートシンク14のうちモールド樹脂40で被覆されている部位の表面を、金薄膜10dの厚い部位121として構成している。ここでは、ヒートシンク14に対して金メッキを行うことにより、ヒートシンク14における金薄膜を形成することができる。また、半導体チップ20の搭載面は、金薄膜10dの薄い部位122であってもよい。
【0093】
つまり、図10では上記金薄膜10dは示さないが、本実施形態では、ヒートシンク14のうちモールド樹脂40で被覆されている部位の表面に、アウターリード12bに形成されている金薄膜10dよりも膜厚が大きい金薄膜10dが形成されている。さらに言うならば、このヒートシンク14における厚い金薄膜10dの膜厚は、インナーリード12aにおける厚い部位121の金薄膜10dと同程度の厚いものとしている。
【0094】
ここでは、ヒートシンク14における金薄膜10dの厚い部位121は、半導体チップ20の搭載面およびその両側の側面であり、ヒートシンク14のうちモールド樹脂40から露出している面は除かれる。また、ヒートシンク14のうち、モールド樹脂40から露出している面が、金薄膜10dの厚い部位121であってもよい。
【0095】
そして、この本実施形態のヒートシンク14の構成も、上記した第1実施形態以外にも、第2〜第5実施形態に適用が可能である。そして、本実施形態によれば、これら第1〜第5実施形態と同様の効果を発揮するとともに、ヒートシンク14における樹脂剥離の抑制も行いやすくなる。
【0096】
(第9実施形態)
図11は、本発明の第9実施形態に係るリードフレーム10における金薄膜の製造方法を示す工程図である。
【0097】
上記第1実施形態にて上記図3に示したように、リード12の金薄膜10dの膜厚が部分的に異なるリードフレーム10を製造することは、マスクを用いたメッキにより実現していたが、本実施形態の製造方法は、これ以外の方法を提供する。
【0098】
本実施形態では、まず、上記第1実施形態と同様に、リードフレーム10の母材10aの全域に、ニッケル膜10bを0.3μm〜1.5μm程度、パラジウム膜10cを0.002μm〜0.02μm程度、金薄膜10dを0.002μm〜0.02μm程度、順次メッキにより形成する。
【0099】
この後、図11に示すマスク600を用いてAuのスパッタもしくは蒸着を行う。このマスク600は、リードフレーム10のうち金薄膜の厚い部位121となるべき領域を開口させるものである。そして、このマスク600をリードフレーム10にセットしたものを、真空容器に入れて、スパッタもしくは蒸着を行う。
【0100】
それにより、リードフレーム10のうち金薄膜の厚い部位121となるべき領域のみに、スパッタもしくは蒸着によって金薄膜がさらに積層される。そして、この積層された部分では、下地のメッキによる金薄膜とスパッタもしくは蒸着による金薄膜との合計が金薄膜の厚さとなり、それ以外のリードフレーム10の部分では、メッキによる金薄膜のみとなる。
【0101】
このように、本実施形態によっても、インナーリード12aの金薄膜10dの方が、アウターリード12bの金薄膜10dよりも膜厚が大きくなっているリードフレーム10ができあがる。この場合、金薄膜10dを厚く形成するのはリードフレーム10の片側、すなわち半導体チップ20を搭載し、ワイヤボンドする側のみでよい。
【0102】
(第10実施形態)
図12は、本発明の第10実施形態に係るリードフレーム10における金薄膜の製造方法を示す工程図である。本実施形態は、リード12の金薄膜10dの膜厚が部分的に異なるリードフレーム10を製造する別の方法を提供するものである。
【0103】
本実施形態では、まず、上記第1実施形態と同様に、メッキによって、リードフレーム10の母材10aの全域に、ニッケル膜10bを0.3μm〜1.5μm程度、パラジウム膜10cを0.002μm〜0.02μm程度形成するが、表層の金薄膜10dは0.1μm〜0.2μm程度とし、上記方法よりも厚く形成する。
【0104】
この後、図12に示すようなマスク610を用いてエッチングを行う。このマスク610は、リードフレーム10のうち金薄膜の薄い部位122となるべき領域を開口したものである。そして、このマスク610をリードフレーム10にセットしたものを、真空容器に入れて、プラスマなどによるスパッタを行うことにより、金薄膜を所望の膜厚までエッチングする。
【0105】
それにより、リードフレーム10のうち金薄膜の薄い部位122となるべき領域のみが、エッチングされて金薄膜が薄くなる。このようにして、本実施形態によっても、インナーリード12aの金薄膜10dの方が、アウターリード12bの金薄膜10dよりも膜厚が大きくなっているリードフレーム10ができあがる。この場合、金薄膜10dを薄くするのはリードフレーム10の片側、すなわち半導体チップ20を搭載し、ワイヤボンドする側の反対側のみでよい。
【0106】
(他の実施形態)
なお、モールド樹脂40内における半導体チップ20とリード12とのボンディングワイヤ30を介した電気的な接続形態は、上記した各図に限定されるものではなく、種々の形態が可能である。
【0107】
また、リードフレーム10は、その表面が金薄膜10dならばよく、金薄膜10dの下地側の構成、材質などは上記した例に限定されるものではない。また、素子搭載部、インナーリード、アウターリードの形状、数などは上記の各図に示したものに限定されるものではない。
【0108】
また、上記各実施形態では、半導体装置はアウターリード12bにおける接続面12c(上記図1等参照)にて、はんだ210を介してプリント基板200に接続されていたが、半導体装置は、このようにアウターリードにてはんだ付けされるものならば、プリント基板以外にも、セラミック基板、バスバーなどに実装されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明の第1実施形態に係る樹脂封止型半導体装置の概略断面図である。
【図2】第1実施形態のリードフレームの表面付近の構成を示す概略断面図である。
【図3】第1実施形態に係るメッキ方法を示す工程図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る樹脂封止型半導体装置の概略断面図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係る樹脂封止型半導体装置の概略断面図であり、(a)は第1の例、(b)は第2の例を示す。
【図6】本発明の第4実施形態に係る樹脂封止型半導体装置の概略断面図であり、(a)は第1の例、(b)は第2の例を示す。
【図7】本発明の第5実施形態に係る樹脂封止型半導体装置の概略断面図であり、(a)は第1の例、(b)は第2の例を示す。
【図8】本発明の第6実施形態に係る樹脂封止型半導体装置の概略断面図である。
【図9】本発明の第7実施形態に係る樹脂封止型半導体装置の概略断面図である。
【図10】本発明の第8実施形態に係る樹脂封止型半導体装置の概略断面図である。
【図11】本発明の第9実施形態に係るリードフレームにおける金薄膜の製造方法を示す工程図である。
【図12】本発明の第10実施形態に係るリードフレームにおける金薄膜の製造方法を示す工程図である。
【図13】AuメッキとPdメッキとについて本発明者が樹脂密着性を調査した結果を示す図である。
【符号の説明】
【0110】
10…リードフレーム、10a…リードフレームの母材、
10b…ニッケル膜、10c…パラジウム膜、10d…金薄膜、
11…素子搭載部としてのダイパッド、12…リード、
12a…インナーリード、12b…アウターリード、
14…素子搭載部としてのヒートシンク、20…半導体素子としての半導体チップ、
30…ボンディングワイヤ、40…モールド樹脂。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子(20)と、
前記半導体素子(20)を搭載する素子搭載部(11、14)と、
前記半導体素子(20)とボンディングワイヤ(30)を介して電気的に接続されたリード(12)と、
前記半導体素子(20)、前記素子搭載部(11)、前記リード(12)および前記ボンディングワイヤ(30)を包み込むように封止するモールド樹脂(40)とを備え、
前記リード(12)の表面には、金よりなる膜である金薄膜(10d)が形成されており、
前記リード(12)の一部は、前記モールド樹脂(40)から露出して外部と接続される部位であるアウターリード(12b)として構成されている半導体装置において、
前記リード(12)のうち前記モールド樹脂(40)で被覆されている部位であるインナーリード(12a)の表面に形成されている前記金薄膜(10d)の方が、前記アウターリード(12b)の表面に形成されている前記金薄膜(10d)よりも膜厚が大きいことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記インナーリード(12a)の表面に形成されている前記金薄膜(10d)の膜厚は0.05μm〜0.2μmであり、前記アウターリード(12b)の表面に形成されている前記金薄膜(10d)の膜厚は0.002μm〜0.02μmであることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記インナーリード(12a)の表面に形成されている前記金薄膜(10d)の膜厚は0.1μm〜0.2μmであることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記リード(12)は、母材(10a)の上にニッケルよりなる膜(10b)、パラジウムよりなる膜(10c)が順次形成され、前記パラジウムよりなる膜(10c)の上に最表面層として前記金薄膜(10d)が形成されてなるものであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記インナーリード(12a)の表面全体に形成されている前記金薄膜(10d)が、前記アウターリード(12b)の表面に形成されている前記金薄膜(10d)よりも膜厚が大きいことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項6】
前記インナーリード(12a)の表面の一部に形成されている前記金薄膜(10d)が、前記アウターリード(12b)の表面に形成されている前記金薄膜(10d)よりも膜厚が大きいことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項7】
前記インナーリード(12a)の表面の一部とは、前記インナーリード(12a)のうち前記ボンディングワイヤ(30)との接続部寄りの部位であり、前記モールド樹脂(40)の端面寄りの部位は、当該表面の一部から除かれることを特徴とする請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記インナーリード(12a)の表面の一部とは、前記インナーリード(12a)のうち前記モールド樹脂(40)の端面寄りの部位であり、前記ボンディングワイヤ(30)との接続部寄りの部位は、当該表面の一部から除かれることを特徴とする請求項6に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記インナーリード(12a)の表面の一部とは、前記インナーリード(12a)のうち前記モールド樹脂(40)の端面寄りの部位および前記ボンディングワイヤ(30)との接続部寄りの部位であり、これら両部位の中間に位置する部位は、当該表面の一部から除かれることを特徴とする請求項6に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記素子搭載部(11)の表面のうち前記半導体素子(20)が搭載される部位を除く部位に形成されている前記金薄膜(10d)が、前記アウターリード(12b)の表面に形成されている前記金薄膜(10d)よりも膜厚が大きいことを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項11】
前記素子搭載部は、前記半導体素子(20)の熱を放熱するためのヒートシンク(14)であり、
前記ヒートシンク(14)のうち前記モールド樹脂(40)で被覆されている部位の表面には、前記アウターリード(12b)の表面に形成されている前記金薄膜(10d)よりも膜厚が大きい金薄膜(10d)が形成されていることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項1】
半導体素子(20)と、
前記半導体素子(20)を搭載する素子搭載部(11、14)と、
前記半導体素子(20)とボンディングワイヤ(30)を介して電気的に接続されたリード(12)と、
前記半導体素子(20)、前記素子搭載部(11)、前記リード(12)および前記ボンディングワイヤ(30)を包み込むように封止するモールド樹脂(40)とを備え、
前記リード(12)の表面には、金よりなる膜である金薄膜(10d)が形成されており、
前記リード(12)の一部は、前記モールド樹脂(40)から露出して外部と接続される部位であるアウターリード(12b)として構成されている半導体装置において、
前記リード(12)のうち前記モールド樹脂(40)で被覆されている部位であるインナーリード(12a)の表面に形成されている前記金薄膜(10d)の方が、前記アウターリード(12b)の表面に形成されている前記金薄膜(10d)よりも膜厚が大きいことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記インナーリード(12a)の表面に形成されている前記金薄膜(10d)の膜厚は0.05μm〜0.2μmであり、前記アウターリード(12b)の表面に形成されている前記金薄膜(10d)の膜厚は0.002μm〜0.02μmであることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記インナーリード(12a)の表面に形成されている前記金薄膜(10d)の膜厚は0.1μm〜0.2μmであることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記リード(12)は、母材(10a)の上にニッケルよりなる膜(10b)、パラジウムよりなる膜(10c)が順次形成され、前記パラジウムよりなる膜(10c)の上に最表面層として前記金薄膜(10d)が形成されてなるものであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記インナーリード(12a)の表面全体に形成されている前記金薄膜(10d)が、前記アウターリード(12b)の表面に形成されている前記金薄膜(10d)よりも膜厚が大きいことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項6】
前記インナーリード(12a)の表面の一部に形成されている前記金薄膜(10d)が、前記アウターリード(12b)の表面に形成されている前記金薄膜(10d)よりも膜厚が大きいことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項7】
前記インナーリード(12a)の表面の一部とは、前記インナーリード(12a)のうち前記ボンディングワイヤ(30)との接続部寄りの部位であり、前記モールド樹脂(40)の端面寄りの部位は、当該表面の一部から除かれることを特徴とする請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記インナーリード(12a)の表面の一部とは、前記インナーリード(12a)のうち前記モールド樹脂(40)の端面寄りの部位であり、前記ボンディングワイヤ(30)との接続部寄りの部位は、当該表面の一部から除かれることを特徴とする請求項6に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記インナーリード(12a)の表面の一部とは、前記インナーリード(12a)のうち前記モールド樹脂(40)の端面寄りの部位および前記ボンディングワイヤ(30)との接続部寄りの部位であり、これら両部位の中間に位置する部位は、当該表面の一部から除かれることを特徴とする請求項6に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記素子搭載部(11)の表面のうち前記半導体素子(20)が搭載される部位を除く部位に形成されている前記金薄膜(10d)が、前記アウターリード(12b)の表面に形成されている前記金薄膜(10d)よりも膜厚が大きいことを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項11】
前記素子搭載部は、前記半導体素子(20)の熱を放熱するためのヒートシンク(14)であり、
前記ヒートシンク(14)のうち前記モールド樹脂(40)で被覆されている部位の表面には、前記アウターリード(12b)の表面に形成されている前記金薄膜(10d)よりも膜厚が大きい金薄膜(10d)が形成されていることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1つに記載の半導体装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
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【図5】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−218472(P2008−218472A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−49701(P2007−49701)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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