説明

半導体装置

【課題】半導体素子と配線部材との接合寿命を向上させることのできる半導体装置を提供する。
【解決手段】電力用のIGBTモジュール10の表面にその中心から側辺に向けて長方形状に延設された三列の電極11〜13にそれぞれ配線部材W1〜W3が接合される。ここでは特に、これら配線部材W1〜W3を、長方形状に延設された各電極11〜13の延設方向端部を含めて接合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力の変換や各種電力制御等に用いられる電力用の半導体素子の表面電極にバスバーやボンディングワイヤ等の配線部材が電気的かつ機械的に接合されている半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
こうした半導体装置としては、例えばハイブリッド車や電気自動車などにあって、車載バッテリから供給される直流電力を三相交流等に変換してモータ駆動用の電力変換を行うインバータ装置が知られている。図8に、従来一般に用いられているインバータ装置について、その回路構成の一例を示す。
【0003】
図8に示されるように、このインバータ装置における直流電源Bの正極母線である正極バスバーBBPと負極母線である負極バスバーBBNとの間には、直流電源Bから印加される直流電圧を平滑化する平滑コンデンサC及び同直流電圧を三相交流に変換するインバータ回路INVが接続されている。インバータ回路INVは、上アームを構成する3つのスイッチング素子(IGBT:絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ)T1U、T3V、T5Wと、下アームを構成する3つのスイッチング素子T2U、T4V、T6Wとが三相ブリッジ接続されている。
【0004】
また、スイッチング素子T1U、T3V、T5Wの各エミッタ電極、及びスイッチング素子T2U、T4V、T6Wの各コレクタ電極の結線部であるU相出力電極、V相出力電極、W相出力電極は、それぞれ出力線OWU、OWV、OWWを介して三相交流モータMのU相コイル、V相コイル、W相コイルに接続されている。
【0005】
ここで、上記各スイッチング素子T1U、T3V、T5W、及びスイッチング素子T2U、T4V、T6Wのエミッタ電極とコレクタ電極との間には、それぞれ整流素子である還流ダイオードD1U、D3V、D5W、及び還流ダイオードD2U、D4V、D6Wが逆並列に接続されている。
【0006】
こうして、U相アームとしての半導体装置SDUが、スイッチング素子T1U、T2U及び還流ダイオードD1U、D2Uによって構成されている。また、V相アームとしての半導体装置SDVが、スイッチング素子T3V、T4V及び還流ダイオードD3V、D4Vによって構成されている。また一方、W相アームとしての半導体装置SDWが、スイッチング素子T5W、T6W及び還流ダイオードD5W、D6Wによって構成されている。
【0007】
こうした半導体装置SDU、SDV、SDWは、一例として半導体装置SDUの構成例を図9に示すように、スイッチング素子T1U及びT2UからなるIGBTモジュール10と還流ダイオードD1U及びD2Uからなるダイオードモジュール20とによって構成されている。
【0008】
このうち、IGBTモジュール10では、上記スイッチング素子T1Uのエミッタ端子及びスイッチング素子T2Uのコレクタ端子に対して電気的に接続された電極11を有している。そして、上記出力線OWUを構成する配線部材W1には、こうした電極11が電気的に接続されるとともにダイオードモジュール20の表面に設けられた還流ダイオードD2Uのアノード側の電極21が接続され、これによってそれら電極11と電極21との電気的な接続が行なわれている。また、上記負極バスバーBBNを構成する配線部材W2には、IGBTモジュール10を構成するスイッチング素子T2Uのエミッタ端子に電気
的に接続された電極12とダイオードモジュール20を構成する還流ダイオードD2Uのカソード側の電極22とが接続され、これによってそれら電極12と電極22との電気的な接続が行なわれている。そして、上記正極バスバーBBPを構成する配線部材W3には、IGBTモジュール10を構成するスイッチング素子T1Uのコレクタ端子に電気的に接続された電極13とダイオードモジュール20を構成する還流ダイオードD1Uのカソード側の電極23とが接続され、これによってそれら電極13と電極23との電気的な接続が行なわれている。また、スイッチング素子T1U及びT2Uの各ゲート電極が、それぞれ電極14及び15に電気的に接続されている。
【0009】
ここで、こうした配線部材が用いられる半導体装置としては、例えば特許文献1や特許文献2に記載の半導体装置がある。このうち、特許文献1に記載の半導体装置では、厚さが0.15mm〜0.6mm、幅が0.84mm以上の断面角形をなす帯状の配線部材が半導体素子の電極に超音波接合されることにより、各半導体素子の電極間の電気的な接続が行なわれている。また、特許文献2に記載の半導体装置では、半導体素子の表面の電極の接合面に形成された凹部を有する配線部材が、その凹部内に向けて変形した状態で半導体素子の各電極に接合されることによって、各半導体素子の電極間の電気的な接続が行なわれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007−5474号公報
【特許文献2】特開2007−220704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、上記半導体装置は通常、図10(a)及び(b)にその一例を示すように、各配線部材W1〜W3の一端がIGBTモジュール10の表面に長方形状に延設された各電極11〜13の中央付近で接合されるとともに、これら配線部材W1〜W3の途中で中継電極を兼ねるダイオードモジュール20の各電極21〜23に接合されている。
【0012】
半導体装置としてこのような構成によれば、上記各配線部材W1〜W3によって各電極が電気的に接続されるようにはなる。しかし、上記インバータ装置のように、配線部材W1〜W3の接合対象が電力用の半導体素子のような場合には、その動作に伴う温度上昇が大きいことから、上記各電極11〜13にて接合された配線部材W1〜W3に対して加わる熱ストレスが増大することとなる。この結果、こうした熱ストレスの増大に起因して、半導体素子と配線部材との接合寿命が低下する等、半導体装置としての劣化を早期に招くことにもなりかねない。
【0013】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、半導体素子と配線部材との接合寿命を向上させることのできる半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、電力用の半導体素子の表面にその中心から側辺に向けて長方形状に延設された1乃至複数の電極に配線部材が接合されてなる半導体装置において、前記配線部材は、前記長方形状に延設された電極の延設方向端部を含めて接合されてなることを要旨とする。
【0015】
上記電力用の半導体素子は、その動作時において、熱源となる同半導体素子の中央部が温度上昇率の高い高温領域となる一方、同半導体素子の端部は通常、温度上昇率が低い。
そこで、上記構成によるように、半導体素子の上記長方形状に延設された電極の延設方向端部を含めて配線部材を接合することとすれば、上記温度上昇率が低い領域となる延設方向端部を含むかたちで配線部材と電極とが接合されることから、配線部材と電極との接合部に対する熱ストレスが低減されるようになる。これにより、こうした配線部材によって各電極間の電気的な接合を行なう上で、半導体素子と配線部材との接合寿命を向上させることができるようになる。
【0016】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の半導体装置前記配線部材は、前記長方形状に延設された電極の延設方向両端部に対して接合されてなることを要旨とする。
上記構成によるように、長方形状に延設された電極の延設方向両端部に対して配線部材を接合することとすれば、配線部材の接合対象となる電極のうち、特に上記温度上昇率が低い領域での接合が可能となる。これにより、配線部材に対する熱ストレスをより確実に低減することができるようになる。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の半導体装置において、前記電極は前記半導体素子の表面に複数配列されてなり、前記配線部材は、それら電極のうち、前記半導体素子の角部に位置する部位を含めて接合されてなることを要旨とする。
【0018】
上記構成によれば、例えばスイッチング素子のように配線部材の接合対象となる電極を複数有する場合であれ、それら電極のうちの素子角部に位置する部位を含めて配線部材が接合されることによって、半導体素子の発熱の影響の最も少ない部位での各電極と配線部材との接合が可能となる。
【0019】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の半導体装置において、前記配線部材が、バスバーまたはボンディングワイヤであることを要旨とする。
この発明は、請求項4にかかる発明のように、配線部材としてバスバーまたはボンディングワイヤを用いる場合に特に有効であり、これらバスバー及びボンディングワイヤに対する熱ストレスの低減を通じて、半導体素子と接合部材との接合寿命の向上が図られるようになる。
【0020】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の半導体装置において、前記配線部材が、アルミニウムからなることを要旨とする。
上記構成によるように、アルミニウムからなる配線部材を用いることとすれば、アルミニウムの硬度が低いことから、半導体素子と配線部材との接合寿命の向上はもとより、配線部材としての接合形状の自由度が高められるようになる。
【0021】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の半導体装置において、前記配線部材が、銅からなることを要旨とする。
上記構成によるように、銅からなる配線部材を用いることとすれば、銅の導電性が高いことから、半導体素子と配線部材との接合寿命の向上はもとより、配線部材としての導電性の向上が図られるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明にかかる半導体装置の一実施の形態について、(a)は配線部材によるIGBTモジュールとダイオードモジュールとの接合態様を模式的に示す平面図、(b)は同装置を側面から見た側面構造を模式的に示す側面図。
【図2】同実施の形態の半導体装置を構成するIGBTモジュールの熱分布を示す平面図。
【図3】配線部材が接合される半導体素子(IGBT)の素子温度変化量と、同配線部材と半導体素子との接合寿命との関係を示すグラフ。
【図4】本発明にかかる半導体装置の他の実施の形態について、(a)は配線部材によるIGBTモジュールとダイオードモジュールとの接合態様を模式的に示す平面図、(b)は同装置を側面から見た側面構造を模式的に示す側面図。
【図5】本発明にかかる半導体装置の他の実施の形態について、(a)は配線部材によるIGBTモジュールとダイオードモジュールとの接合態様を模式的に示す平面図、(b)は同装置を側面から見た側面構造を模式的に示す側面図。
【図6】本発明にかかる半導体装置の他の実施の形態について、(a)は配線部材によるIGBTモジュールとダイオードモジュールとの接合態様を模式的に示す平面図、(b)は同装置を側面から見た側面構造を模式的に示す側面図。
【図7】本発明にかかる半導体装置の他の実施の形態について、(a)は配線部材によるIGBTモジュールとダイオードモジュールとの接合態様を模式的に示す平面図。(b)は同装置を側面から見た側面構造を模式的に示す側面図。
【図8】直流−三相交流変換を行うインバータ装置の一般的な構成例を示す回路図。
【図9】インバータ装置の一部を構成する一般的な半導体装置の構成例としてIGBTモジュールとダイオードモジュールとの接続態様を模式的に示す等価回路図。
【図10】上記IGBTモジュールとダイオードモジュールを有する従来の半導体装置について、(a)は配線部材によるIGBTモジュールとダイオードモジュールとの接合態様を模式的に示す平面図、(b)は同装置を側面から見た側面構造を模式的に示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1に、本発明にかかる半導体装置を具現化した一実施の形態についてその構成を示す。
本実施の形態の半導体装置も、例えば先の図8及び図9に示したインバータ装置に用いられる半導体装置として構成されており、大きくは図1に示されるIGBTモジュール10とダイオードモジュール20とを有して構成されている。なお、図1(a)は同装置の平面構造を示しており、図1(b)は同装置を側面から見た側面構造を示している。
【0024】
図1(a)に示すように、半導体装置を構成するIGBTモジュール10の表面には、その中心から側辺に向けて長方形状に延設された三列の電極11〜13と前記ゲート電極に接続されている電極14及び15とが設けられている。こうしたIGBTモジュール10の各電極のうち、特に電極11〜13には、IGBTモジュール10の角部に位置する部位を含めるかたちで各電極11〜13の延設方向両端部に例えばバスバー、ボンディングワイヤ、金属リボン等からなる配線部材W1〜W3が接合されている。こうして、各電極11〜13に接合された各配線部材W1〜W3は、各電極11〜13の延設方向に沿って配線されるとともに、その途中で中継電極を兼ねるダイオードモジュール20の表面に設けられた各電極21〜23に接合されている。なお、上記配線部材W1〜W3としては、その接合形状の自由度を優先する上では硬度の低いアルミニウムが望ましく、配線部材としての導電率を優先する上では導電性の高い銅が望ましい。
【0025】
こうして、同図1(b)に示す側面構造からも明らかなように、各配線部材W1〜W3は、その一端がIGBTモジュール10の各電極11〜13の上端に接合されている。また、これら各配線部材W1〜W3には、各電極11〜13との接合部から各電極11〜13の延設方向に沿って配線される途中において、IGBTモジュール10の中心部を避けるかたちで同モジュール10の外側に一端屈曲されたのちに各電極11〜13の下端に接合されている。
【0026】
こうした各配線部材W1〜W3は、IGBTモジュール10の各電極11〜13との接合部からそれら電極11〜13の延設方向に沿ってさらに延びるとともに、その途中でダイオードモジュール20の表面に設けられた三列の電極21〜23に接合されている。こ
うして、IGBTモジュール10の各電極11〜13とダイオードモジュール20の各電極21〜23とが電気的に接続された半導体装置が構成される。
【0027】
次に、こうした半導体装置を構成するIGBTモジュール10の動作時における熱分布について図2を参照して説明する。
すなわちいま、先のインバータ装置の駆動に伴ってIGBTモジュール10に電流が流れたとすると、IGBTモジュール10は全面を熱源としてその温度が上昇するようになる。そして、IGBTモジュール10の中心部から周辺にかけて熱抵抗が低くなるため中央部のみの温度が高くなる。このため、こうしたIGBTモジュール10の熱分布を図2に示すように、同IGBTモジュール10の中心部が最も温度の高い高温領域となる。一方、こうしたIGBTモジュール10の中心部との距離が離れるにつれて同モジュール10の温度は低くなるため、IGBTモジュール10の角部が最も温度上昇率の低い領域となる。そこで、本実施の形態では、先の図1(a)、(b)に示したように、上記各電極11〜13の延設方向両端部、すなわちIGBTモジュール10の表面における温度上昇率の低い領域上に上記各配線部材W1〜W3を接合することとする。そしてこれにより、これら各電極11〜13と各配線部材W1〜W3との接合部では、IGBTモジュール10の発熱に伴う熱ストレスが低減されるようにしている。
【0028】
次に、上記配線部材W1〜W3の接合対象とされる半導体素子の素子温度変化量ΔTjと配線部材W1〜W3及び半導体素子の接合寿命との関係を、図3を参照して説明する。
図3に示すように、上記配線部材W1〜W3に対して加えられる温度と同配線部材W1〜W3の接合寿命とは相関する関係にあり、配線部材W1〜W3の接合対象とされる半導体素子の素子温度変化量ΔTjが大きいほど、すなわち、配線部材W1〜W3に伝播する熱が高くなるほど、これに起因して配線部材W1〜W3の接合寿命も短くなる。一方、配線部材W1〜W3の接合対象とされる半導体素子の素子温度変化量ΔTjが小さいほど、すなわち、配線部材W1〜W3に伝播する熱が低くなるほど、これに起因して配線部材W1〜W3の接合寿命は長くなる。このため、先の図10に示したように、配線部材W1〜W3が、IGBTモジュール10の各電極11〜13のうち高温領域となる同モジュール10の中心付近に接合された場合には、その配線部材W1〜W3に伝播する熱も高くなり、これに起因して各電極11〜13に接合された配線部材W1〜W3の接合寿命は短くなる。
【0029】
一方、本実施の形態にかかる半導体装置として先の図1(a)、(b)に示したように、配線部材W1〜W3がIGBTモジュール10の各電極11〜13のうち温度上昇率の低い領域となる延設方向両端部に接合された場合には、同配線部材W1〜W3に伝播する熱も低くなることから、配線部材W1〜W3の接合寿命は長くなる。
【0030】
このように、上記半導体装置では、IGBTモジュール10の各電極11〜13のうち、温度上昇率の低い領域となる各電極11〜13の延設方向両端部に配線部材W1〜W3が接合されたことによって、これら各電極11〜13と各配線部材W1〜W3との接合にかかる寿命の長期化、ひいては、上記半導体装置としての寿命の長期化が図られるようになる。
【0031】
以上説明したように、本実施の形態にかかる半導体装置によれば、以下に列記する効果が得られるようになる。
(1)上記各配線部材W1〜W3を、IGBTモジュール10の表面に長方形状に延設された各電極11〜13の延設方向両端部に対して接合することとした。これにより、IGBTモジュール10に各配線部材W1〜W3を接合する上で接合対象とされる各電極11〜13のうち特に温度上昇率の低い領域での各配線部材W1〜W3の接合が可能となり、ひいては、IGBTモジュール10と各配線部材W1〜W3との接合寿命の向上が図ら
れるようになる。
【0032】
(2)上記各配線部材W1〜W3を、接合対象とされる各電極11〜13のうちIGBTモジュール10の角部に位置する部位を含めて接合することとした。これにより、接合対象とされる各電極11〜13のうち、より温度上昇率の低い領域でのIGBTモジュール10と各配線部材W1〜W3との接合が担保されるようになり、ひいては、それら接合にかかる信頼性がより高められるようになる。
【0033】
(3)配線部材として、アルミニウムまたは銅によって形成された配線部材W1〜W3を用いることとした。これにより、これら配線部材W1〜W3によってIGBTモジュール10とダイオードモジュール20とを電気的に接続する上で、その接合形状の自由度や配線部材としての導電性の向上が図られるようになる。
【0034】
なお、上記実施の形態は、以下のような形態をもって実施することもできる。
・上記各配線部材W1〜W3を、IGBTモジュール10の角部に位置する部位を含めて上記各電極11〜13の延設方向両端に対して接合することとした。しかし、これら配線部材W1〜W3の接合位置は、各電極11〜13の延設方向両端であればよく、それら各電極11〜13の延設方向端部のうちのIGBTモジュール10の角部以外の部位に対して各配線部材W1〜W3を接合するようにしてもよい。
【0035】
・上記配線部材W1〜W3を、IGBTモジュール10の各電極11〜13の延設方向両端部に対して接合することとした。これに限らず、先の図1(a)及び(b)に対応する図として図4(a)及び(b)に示すように、IGBTモジュール10の各電極11〜13の延設方向下端のみに対して各配線部材W1〜W3の一端を接合するようにしてもよい。また、同じく図5(a)及び(b)に示すように、IGBTモジュール10の各電極11〜13の延設方向上端のみに対して各配線部材W1〜W3の一端を接合するようにしてもよい。また一方、同じく図6(a)及び(b)に示すように、IGBTモジュール10の各電極11及び13にはその延設方向上端のみに対して配線部材W1及びW3の一端を接合するとともに、IGBTモジュール10の電極12についてはその延設方向下端のみに対して配線部材W2の一端を接合するようにしてもよい。他方、これも同じく図7(a)及び(b)に示すように、IGBTモジュール10の電極12にはその延設方向上端のみに対して配線部材W2の一端を接合するとともに、IGBTモジュール10の電極11及び13についてはその延設方向下端のみに対して配線部材W1及びW3の一端を接合するようにしてもよい。
【0036】
要は、配線部材W1〜W3が上記長方形状に延設された各電極11〜13の延設方向端部を含めて接合されるものであればよく、これらに限定されるものではない。
・アルミニウムまたは銅からなる配線部材W1〜W3を用いることとしたが、例えば、アルミニウム合金や銅合金等からなる配線部材を用いることも可能であり、これらに限定されるものではない。要は、これら配線部材としては、上記IGBTモジュール10の各電極11〜13とダイオードモジュール20の各電極21〜23との接合を通じて、接続対象とする各電極同士を電気的に接続可能なものであればよい。
【0037】
・上記配線部材の接合対象として、IGBTモジュール10の表面に設けられた三列の電極11〜13を有するインバータ用の半導体素子(IGBT)を用いることとした。しかし、上記配線部材の接合対象としては、この他、電力用トランジスタやダイオード等であってもよく、その表面に長方形状に延設された1乃至複数の電極を有するものであれば本発明の適用は可能である。
【符号の説明】
【0038】
10…IGBTモジュール、11〜13…IGBTモジュールの各電極、20…ダイオードモジュール、21〜23…ダイオードモジュールの各電極、B…直流電源、c…平滑コンデンサ、M…三相交流モータ、W1〜W3…配線部材(バスバー、ワイヤボンディング、リボン)、BBN…負極バスバー、BBP…正極バスバー、D1U、D2U、D3V、D5W…還流ダイオード、INV…インバータ回路、OWU、OWV、OWW…出力線、SDU、SDV、SDW…半導体装置、T1U、T2U、T3V、T5W…スイッチング素子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力用の半導体素子の表面にその中心から側辺に向けて長方形状に延設された1乃至複数の電極に配線部材が接合されてなる半導体装置において、
前記配線部材は、前記長方形状に延設された電極の延設方向端部を含めて接合されてなる
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記配線部材は、前記長方形状に延設された電極の延設方向両端部に対して接合されてなる
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記電極は前記半導体素子の表面に複数配列されてなり、前記配線部材は、それら電極のうち、前記半導体素子の角部に位置する部位を含めて接合されてなる
請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記配線部材が、バスバーまたはボンディングワイヤである
請求項1〜3のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記配線部材が、アルミニウムからなる
請求項1〜4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記配線部材が、銅からなる
請求項1〜4のいずれか一項に記載の半導体装置。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−14744(P2011−14744A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−158174(P2009−158174)
【出願日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】