半導体装置
【課題】低雑音増幅器が他の回路部のグランド電位の影響を受け難くする半導体装置を提供する。
【解決手段】絶縁性樹脂からなる封止体2と、封止体の内外に亘って設けられる複数のリード7と、封止体内に設けられ半導体素子固定領域とワイヤ接続領域を主面に有するとと、半導体素子固定領域に固定され露出する主面に電極端子9を有する半導体素子と、半導体素子の電極端子とリードを接続する導電性のワイヤ10と、半導体素子の電極端子とタブ4のワイヤ接続領域を接続する導電性のワイヤとを有する半導体装置1であって、半導体素子にモノリシックに形成される回路は複数の回路部で構成され、その回路部の一部の特定回路部(低雑音増幅器)においては、半導体素子の電極端子のうちの全てのグランド電極端子は、タブにワイヤを介して接続されることなく、ワイヤを介してリードに接続されるものである。
【解決手段】絶縁性樹脂からなる封止体2と、封止体の内外に亘って設けられる複数のリード7と、封止体内に設けられ半導体素子固定領域とワイヤ接続領域を主面に有するとと、半導体素子固定領域に固定され露出する主面に電極端子9を有する半導体素子と、半導体素子の電極端子とリードを接続する導電性のワイヤ10と、半導体素子の電極端子とタブ4のワイヤ接続領域を接続する導電性のワイヤとを有する半導体装置1であって、半導体素子にモノリシックに形成される回路は複数の回路部で構成され、その回路部の一部の特定回路部(低雑音増幅器)においては、半導体素子の電極端子のうちの全てのグランド電極端子は、タブにワイヤを介して接続されることなく、ワイヤを介してリードに接続されるものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置及び電子装置に係わり、例えば、微弱な信号を増幅する低雑音増幅器(LNA:Low Noise Amplifier)を含む高周波部アナログ信号処理ICを組み込んだ高周波パワーモジュール(半導体装置)及び無線通信装置(電子装置)に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機等の移動体通信機(移動端末)は、複数の通信システムに対応できるような構成になっている。即ち、携帯電話機の送受信機(フロントエンド)には複数の通信システムの送受信を行うように、複数の回路系が組み込まれている。例えば、通信方式(システム)の異なる携帯電話(例えばセルラー電話機)間での通話を可能とする方式としてデュアルバンド通信方式が知られている。デュアルバンド方式については、例えば、搬送周波数帯が880〜915MHzのGSM(Global System for Mobile Communications)と、搬送周波数帯が1710〜1785MHzのDCS−1800(Digital Cellular System 1800)によるデュアルバンド方式およびデュアルバンド用高周波電力増幅器について知られている。
【0003】
また、特開平11−186921号(1999年7月9日公開)には、PCN(Personal Communications Network:DCS−1800),PCS(Personal Communications Service:DCS−1900)およびGSMなどの携帯電話システムに利用できる多バンド移動体通信装置が開示されている。
【0004】
また、携帯電話機のフロントエンドでは、GSM用の高周波部アナログ信号処理回路のモジュール化が図られている。例えば、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field−Effect−Transistor)によるデュアルバンドまたはトリプルバンドのGSM用RF(Radio Frequency)パワーモジュールが有る。
【0005】
デュアルバンド方式はGSM及びDCS1800方式等の二つの通信系の信号を処理するものであり、トリプルバンド方式はGSM及びDCS(Digital Cellular System)1800並びにPCS1900方式等の三つの通信系の信号を処理するものである。GSMとしては、GSM900あるいはGSM850が組み込まれる。
【0006】
また、高周波パワーモジュールは、LNA,ミキサ,PLL(Phase−Locked Loop)シンセサイザ,オートキャリブレーション付PGA(Programmable GainAmplifier),IQ変調器/復調器,オフセットPLL,VCO(Voltage−Controlled Oscillator)等をモノリシックに集積したワンチップの半導体素子が組み込まれている。
【0007】
また、特開2002−76235号公報には、デュアルバンド送受信用半導体集積回路が開示されている。このデュアルバンド送受信用半導体集積回路に内蔵される差動低雑音増幅器(互いに位相が逆相である信号が入力される2つの単位増幅器からなる)は、一対の入力端子及び一対の出力端子を有し、差動増幅器の対を成す増幅器のグランドピンは隣同士となり、また同じ増幅器の入力ピンと、グランドピンは隣同士になっている。これにより、隣り合うピンの信号を逆相とし、ピン間のトランス結合を利用して、トランジスタエミッタにつくインピーダンスを低減し、差動増幅器の利得を改善する技術が開示されている。
【0008】
一方、携帯電話機は、その持ち運びが便利なように小型・軽量化が要請されている。この結果、高周波パワーモジュール等の電子部品もより小型・軽量化が望まれている。
【0009】
半導体装置は、そのパッケージの形態によって種々のものがあるが、その一つとして、絶縁性樹脂の封止体(パッケージ)の裏面(実装面)にリード(外部電極端子)を露出させ、封止体の側面に長くリードを突出させないノンリード型半導体装置が知られている。
【0010】
ノンリード型半導体装置としては、封止体の裏面の対面する2辺に沿ってリードを露出させるSON(Small Outline Non−Leaded Package)や、封止体の裏面の4辺側にリードを露出させるQFN(Quad Flat Non−Leaded Package)がある。小型でリード曲がりが発生しないノンリード型半導体装置については、例えば特開2001−313363号公報に記載されている。
【0011】
この文献に記載されている樹脂封止型半導体装置は、半導体チップを固定するダイパッドとワイヤを接続するワイヤボンディング部とを有するアイランドがあり、ダイパッド上に半導体チップが固定され、半導体チップの各電極端子は、リードやアイランドのワイヤボンディング部に接続される構造になっている。ダイパッドとワイヤボンディング部との間に空隙部を設けて熱ストレスによるボンディングされたワイヤの外れや切断を防止している。このような構造では、半導体チップのアース端子とアイランドをワイヤで接続することによって、アイランドをアースリードとしてプリント基板などに接続できる。
【0012】
また、特開平11−251494号公報には、半導体素子搭載部をグランドとする携帯電話機などに用いられるリード構造がガルウイング型となる高周波デバイスについて記載されている。この技術では、半導体素子の電極とリードをワイヤで接続する以外に、ダイパッドをグランド電極として利用するため、半導体素子の電極と半導体素子搭載部とをワイヤで接続している(ダウンボンディング)。ダウンボンディングするため、半導体素子搭載部は半導体素子よりも大きく、また実装状態では、半導体素子の外側に半導体素子搭載部の周縁部分が突出し、この部分にワイヤが接続される構造になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平11−186921号公報
【特許文献2】特開2002−76235号公報
【特許文献3】特開2001−313363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本出願人においては、高周波パワーモジュールをノンリード型半導体装置に組み込み、かつグランド電位の安定化のために、高周波パワーモジュールを構成する各回路部のグランド端子をワイヤを介してタブに電気的に接続する手法の採用を検討した。ダウンボンディングを採用することにより、外部電極端子の数を少なくでき、パッケージの小型化が図れ、最終的には半導体装置の小型化が図れる。
【0015】
しかし、無線通信系(通信システム)を用途とする高周波パワーモジュールでは、以下のような問題が発生することが判明した。
【0016】
携帯電話機の受信系では、アンテナで捕らえた信号は低雑音増幅器(LNA)で増幅されるが、入力信号は極めて微弱である。このため、各回路部、特に周期的に動作する発振器の動作に応じて共通端子であるタブの電位、即ちグランド電位が変動し、これに起因して一部の回路部との間でクロストークが発生し出力が変動して良好な通話ができなくなる。
【0017】
特に、リード間クロストークによる誘起電流、またはグランド電位の変動による信号波形の歪みが通信システムから出力され、この出力信号が使用中の通信システムに入ってしまい雑音となる。
【0018】
このようなグランド電位の変動、およびクロストークの影響を受けやすい回路部は、低雑音増幅器(LNA)以外では、高周波を扱うRFVCO(高周波電圧制御発振器)等がある。
【0019】
そこで、本発明者は、低雑音増幅器やRFVCOでは、半導体素子の電極端子のうちグランド端子は共通端子となるタブにワイヤを介して接続することなく、独立したリード端子(外部電極端子)にワイヤを介して接続させ、他の回路部のオン・オフ時等のグランド電位の変動の影響を少なくさせることを思い立ち本発明をなした。
【0020】
本発明の目的は、ダウンボンディング構造の半導体装置において、半導体素子に形成された回路のうち、特定の回路部におけるグランド電位が残りの回路部のグランド電位の影響を受け難くできる半導体装置を提供することにある。
【0021】
本発明の他の目的は、高周波パワーモジュールにおいて低雑音増幅器やRFVCO等の回路部が、他の回路部のグランド電位の変動によるクロストークの影響を受け難い高周波パワーモジュールを提供することにある。
【0022】
本発明の他の目的は、無線通信システムにおいて雑音の少ない良好な通話が可能となる無線通信装置を提供することにある。
【0023】
本発明の他の目的は、複数の通信システムを有する無線通信システムにおいて、雑音の少ない良好な通話が可能となる無線通信装置を提供することにある。
【0024】
一方、本発明者においては、互いに位相が逆相である信号(相補信号)が入力される2入力方式の低雑音増幅器(LNA:差動低雑音増幅器)について分析検討した。図34(a)及び(b)の各々は低雑音増幅器(LNA)100、高周波電圧制御発振器(RFVCO)101及びミキサ102を含む回路部分であり、図34(a)は1入力方式のLNAを示し、図34(b)は2入力方式のLNAを示す。
【0025】
アンテナからの受信信号を処理した低雑音増幅器100の出力信号と、局部発振器(RFVCO:高周波電圧制御発振器)101からの信号とをミキサ102でミキシングする回路構成において、図34(a)に示す1入力構成の低雑音増幅器では、RFVCO101の出力周波数がLNA100の出力周波数と同一となることから、RFVCO101の出力信号がLNA入力ラインに漏れると、そのままLNA100で増幅されてDCオフセットが大きくなってしまう弊害がある。
【0026】
そこで、図34(b)に示すように、LNA100を差動低雑音増幅器(差動増幅器:LNA)にして、互いに位相が逆相である信号(相補信号)を入力する2入力方式とすることによってDCオフセットを小さく抑えることが行われている。即ち、差動増幅器(差動増幅回路)100は、同じ構成の2つの単位増幅器で構成され、位相が逆相である2つの高周波信号(相補信号)が入力されて差動増幅することから、同相成分は、キャンセルされる為、DCオフセット値を小さく抑えることができる。
【0027】
しかしながら、搬送周波数帯が更に高くなった場合、上記相補信号を入力する2入力方式を用いただけでは、上記DCオフセットの問題を根本的に解決できないことが判明した。上記相補信号を入力する入力配線経路は、大別して、リードフレームで形成されるリード部分と、前記リード部分と半導体チップの電極を接続するためのワイヤ部分である。
【0028】
例えば、銅等の金属の板材で形成されるリード部分は厚さ及び幅が比較的大きいため、数ミリ程度の微小なリード長さの違いによるインダクタンスの違いは小さいが、直径が20〜30μm程度となるワイヤ部分はその長さの違いによってインダクタンスに大きな違いが発生し易い。このワイヤインダクタンスの違いは、2つの相補入力信号の入力時間の差となり、入力信号のペアー性が損なわれる。この結果、高速通信システムにおいては、利得低下の点で好ましくない。
【0029】
従って、本発明の他の目的は、相補信号を同時に差動低雑音増幅器に入力する回路部において、入力信号のペアー性を高めることにある。
【0030】
本発明の他の目的は、差動低雑音増幅器を有する高周波パワーモジュールの特性向上(DCオフセット小)を図ることにある。
【0031】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面からあきらかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0032】
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記のとおりである。
【0033】
(1)本発明の半導体装置は、
絶縁性樹脂からなる封止体と、
前記封止体の周囲に沿って、前記封止体の内外に亘って設けられる複数のリードと、
主面および裏面を有するタブと、
主面および裏面を有しており、その主面上に複数の電極端子と、それぞれが複数の半導体素子によって構成される複数の回路部とを有する半導体チップと、
前記複数の電極端子と前記リードとを接続する複数の導電性のワイヤと、
前記複数の電極端子に第1の電位を供給するために、前記複数の電極端子と前記タブの主面とを接続する複数の導電性のワイヤとを有する半導体装置(例えば、ノンリード型半導体装置)であって、
前記半導体チップの裏面は前記タブの主面上に固定されており、
前記複数の回路部は、第1の回路部(特定回路部)、第2の回路部を含んでおり、
前記複数の電極端子は、前記第1の回路部に外部信号を入力するための第1の電極端子と、前記第1の回路部に前記第1の電位(グランド電位)を供給するための第2の電極端子と、前記第2の回路部と接続する第3の電極端子と、前記第2の回路部に前記第1の電位を供給するための第4の電極端子とを有しており、
前記複数のリードは、第1のリード(信号用リード)と、第2のリード(信号用リード)と、前記第1のリードと第2のリードの間に配置された第3のリード(グランド用リード)とを含んでおり、
前記第1の電極端子は導電性のワイヤを介して前記第1のリードと接続しており、
前記第2の電極端子は導電性のワイヤを介して前記第3のリードと接続しており、
前記第3の電極端子は導電性のワイヤを介して前記第2のリードと接続しており、
前記第4の電極端子は導電性のワイヤを介して共通グランドとなる前記タブと接続しており、
前記第3のリードと前記タブは電気的に分離されていることを特徴とし、高周波モジュールを構成している。
前記第1の回路部は前記第1のリード、および前記第1の電極端子を介して入力される外部信号を増幅するための増幅回路(低雑音増幅器:LAN)であり、無線信号がアンテナを介して変換された電気信号を増幅するための回路である。
前記第2の回路部は、前記第1の回路部によって増幅された信号を処理する機能の少なくとも一部を有する。
【0034】
また、高周波パワーモジュールには複数の通信方式に対応できるように複数の通信回路が形成されている。このような高周波パワーモジュールは無線通信装置に組み込まれている。
【0035】
前記(1)の手段によれば、(a)半導体素子の電極端子はワイヤを介してリードに接続される以外に共通グランドとなるタブにも接続(ダウンボンディング)される。微弱な信号を増幅する低雑音増幅器(特定回路部)のグランド電極端子(半導体素子の電極端子)は、タブには接続されず、独立したリード端子(グランド用リード)に接続されるため、他の回路部との間でグランド電位が独立することになり、他の回路部の電源のオン・オフ時にもグランド電位変動が起き難くなり、グランド電位の変動に伴う低雑音増幅器の出力変動や信号波形の歪みも発生し難くなり、無線通信装置に組み込めば、出力変動や歪みのない良好な通話が可能になる。
【0036】
(b)複数の通信回路を有する高周波パワーモジュールにおいては、タブを利用する共通グランドの場合、グランド電位の変動に伴い使用していない通信回路に誘起電流が発生し、この誘起電流に起因する雑音が使用中(動作中)の通信回路に入り込む、いわゆるクロストークが発生するが、本発明の高周波パワーモジュールでは、各通信回路の低雑音増幅器は他の回路部のグランドと分離されていることから、低雑音増幅器の出力の変動や信号波形の歪みを抑制できる。この結果、複数の通信回路を有する無線通信装置においても出力変動や歪みのない良好な通話が可能になる。
【0037】
(c)低雑音増幅器の電極端子からワイヤを介してリードに至る信号配線はその両側にグランド配線が配置されて電磁シールドされていることから、信号配線間のクロストークを低減する事ができる。
【0038】
(d)高周波パワーモジュールはダウンボンディング構造のノンリード型の半導体装置であり、小型・薄型・軽量化が図れるとともに、タブが封止体の裏面に露出していることから、放熱性が良好であり、安定動作が可能になる。従って、この高周波パワーモジュールの組み込みによって通話性能が良好な小型・軽量の携帯電話機を提供することができる。
【発明の効果】
【0039】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、下記のとおりである。
【0040】
(1)クロストークが起き難いダウンボンディング構造の半導体装置を提供することができる。
【0041】
(2)低雑音増幅器やRFVCO等の特定回路部におけるグランド電位が残りの回路部のグランド電位の影響を受け難い、低雑音増幅器,ミキサ,VCO,シンセサイザ,IQ変調器/復調器,直交変調器等各回路部をモノリシックに形成した半導体素子を組み込んだ高周波パワーモジュールを提供することができる。
【0042】
(3)低雑音増幅器やRFVCO等の特定回路部におけるグランド電位が残りの回路部のグランド電位の影響を受け難い、低雑音増幅器,ミキサ,VCO,シンセサイザ,IQ変調器/復調器,直交変調器等各回路部をモノリシックに形成した半導体素子を組み込んだダウンボンディング構造でかつノンリード型の高周波パワーモジュールを提供することができる。
【0043】
(4)低雑音増幅器やRFVCO等の特定回路部におけるグランド電位が残りの回路部のグランド電位の影響を受け難い、低雑音増幅器,ミキサ,VCO,シンセサイザ,IQ変調器/復調器,直交変調器等各回路部をモノリシックに形成した半導体素子を組み込んだ小型・軽量の高周波パワーモジュールを提供することができる。
【0044】
(5)雑音の少ない良好な通話が可能となる無線通信装置を提供することができる。
【0045】
(6)雑音の少ない良好な通話が可能となる複数の通信方式に対処できる無線通信装置を提供することができる。
【0046】
(7)以上のように、本発明の半導体装置は携帯電話機等の無線通信装置に使用される。特に、通信システムが複数系統の携帯電話機において、低雑音増幅器のような入力信号が極めて微弱な信号を処理する回路部のグランド電極端子を共通グランド電位となるタブに接続することなく、全て独立したリードに接続してあることから、一系統の通信システムを使用中、他の系統の通信システムとの間でのクロストークが発生しなくなり、良好な通話が可能な高周波パワーモジュールを提供することができる。
【0047】
(8)リードを、外部電極端子を構成する第1部分と、樹脂封止体内に延在する第2部分とで形成することによって、第2部分のパターンを自由に選択できるようにすることから、半導体チップの電極端子とリードを接続するワイヤの長さをできるだけ短くするリードパターンを選ぶことができる。従って、ワイヤインダクタンスの低減を図ることができる。
【0048】
(9)差動増幅回路部等の2入力構成回路部を有する半導体装置において、2入力用の電極端子に接続するワイヤの長さを同じ長さにでき入力信号のペアー性を得ることができる。従って、無線通信装置の低雑音増幅器(LNA)やRFVCOを2入力構成回路部とする場合には、それぞれの回路部において入力信号のペアー性が得られ、高周波特性の向上・利得低下の抑制を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】図1は本発明の一実施形態(実施形態1)である高周波パワーモジュールの封止体の一部を切り欠いた模式的平面図である。
【図2】図2は本実施形態1の高周波パワーモジュールの断面図である。
【図3】図3は本実施形態1の高周波パワーモジュールの模式的平面図である。
【図4】図4は本実施形態1の高周波パワーモジュールに組み込まれる半導体チップにおける回路構成をブロック的に示す模式的平面図である。
【図5】図5は本実施形態1の高周波パワーモジュールにおける外部電極端子と半導体チップの低雑音増幅器やシンセサイザ等の各回路部との結線状態を示す模式的平面図である。
【図6】図6は本実施形態1の高周波パワーモジュールの製造方法を示すフローチャートである。
【図7】図7は本実施形態1の高周波パワーモジュールの製造において使用するリードフレームの平面図である。
【図8】図8は前記リードフレームにおける単位リードフレームパターンを示す模式的平面図である。
【図9】図9は半導体チップを搭載した前記リードフレームを示す模式的断面図である。
【図10】図10はワイヤボンディングが終了した前記リードフレームを示す模式的断面図である。
【図11】図11は封止体が形成された前記リードフレームを示す模式的断面図である。
【図12】図12は本実施形態1の高周波パワーモジュールが組み込まれた携帯電話機の回路構成を示すブロック図である。
【図13】図13は本実施形態1の高周波パワーモジュールの携帯電話機における実装状態を示す模式的断面図である。
【図14】図14は本発明の他の実施形態(実施形態2)である高周波パワーモジュールの封止体の一部を切り欠いた模式的平面図である。
【図15】図15は本発明の他の実施形態(実施形態3)である高周波パワーモジュールの封止体の一部を切り欠いた模式的平面図である。
【図16】図16は本発明の他の実施形態(実施形態4)である高周波パワーモジュールの封止体の一部を切り欠いた模式的平面図である。
【図17】図17は本実施形態4の高周波パワーモジュールの模式的断面図である。
【図18】図18は本実施形態4の高周波パワーモジュールの変形例を示す模式的断面図である。
【図19】図19は本発明の他の実施形態(実施形態5)である高周波パワーモジュールの模式的断面図である。
【図20】図20は本実施形態5の高周波パワーモジュールの平面図である。
【図21】図21は本実施形態5の高周波パワーモジュールの底面図である。
【図22】図22は本実施形態5の高周波パワーモジュールの封止体の一部を切り欠いた平面図である。
【図23】図23は高周波パワーモジュールの差動増幅回路部における一対の入力部のワイヤインダクタンスを揃えた本実施形態5のリード及びワイヤのパターン例と、ワイヤインダクタンスを揃えないリード及びワイヤのパターン例を示す模式図である。
【図24】図24は図23に示すリードパターンの違いによるワイヤの接続信頼性の違いを説明する模式図である。
【図25】図25は本実施形態5の高周波パワーモジュールにおける外部電極端子と半導体チップの低雑音増幅器やシンセサイザ等の各回路部との結線状態を示す模式的平面図である。
【図26】図26は本実施形態5の高周波パワーモジュールの製造において、リードフレームに固定された半導体チップの電極とリードとをワイヤで接続した状態を示す一部のリードフレームの平面図である。
【図27】図27は本実施形態5の高周波パワーモジュールの半導体チップ内部構成と、ワイヤの接続状態を示す模式的拡大断面図である。
【図28】図28は本実施形態5の高周波パワーモジュールの半導体チップ内部構成を示す模式的拡大断面図である。
【図29】図29は本実施形態5の高周波パワーモジュールの実装状態を示す模式的断面図である。
【図30】図30は本実施形態5の高周波パワーモジュールが組み込まれた携帯電話機の回路構成を示すブロック図である。
【図31】図31は本発明の他の実施形態(実施形態6)である、半導体チップを支持するタブが半導体チップよりも小さい構成(小タブ構成)の高周波パワーモジュールの模式的断面図である。
【図32】図32は本実施形態6の高周波パワーモジュールの製造に使用される小タブ構成のリードフレームの一部を示す模式的平面図である。
【図33】図33は前記小タブ構成の他の幾つかの変形例を示す高周波パワーモジュールの模式的断面図である。
【図34】図34は携帯電話機における2入力差動増幅回路部(LNA)を含むブロック図と、1入力差動増幅回路部(LNA)を含むブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、発明の実施の形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
【0051】
(実施形態1)
図1乃至図13は本発明の一実施形態(実施形態1)である半導体装置(高周波パワーモジュール)及びその高周波パワーモジュールを組み込んだ無線通信装置に係わる図である。図1乃至図5は高周波パワーモジュールに係わる図であり、図6乃至図11は高周波パワーモジュールの製造方法に係わる図であり、図12及び図13は無線通信装置に係わる図である。
【0052】
本実施形態1では、四角形状の封止体(パッケージ)の裏面の実装面に、タブ及びこのタブに連なるタブ吊りリード並びにリード(外部電極端子)が露出するQFN型の半導体装置に本発明を適用した例について説明する。半導体装置1は、例えば高周波パワーモジュールを構成している。
【0053】
QFN型の半導体装置1は、図1及び図2に示すように、偏平の四角形状の絶縁性樹脂で形成される封止体(パッケージ)2を有している。この封止体2の内部には四角形状の半導体素子(半導体チップ:チップ)3が埋め込まれている。前記半導体チップ3は四角形状のタブ4のタブ表面(主面)に接着剤5によって固定されている(図2参照)。図2に示すように、封止体2の裏面(下面)は実装される面側(実装面)となる。
【0054】
封止体2の裏面にはタブ4及びタブ4を支持するタブ吊りリード6並びにリード(外部電極端子)7の一面(実装面7a)が露出する構造となっている。これらタブ4及びタブ吊りリード6並びにリード7は、半導体装置1の製造において、パターニングした一枚の金属製(例えば、銅製)のリードフレームで形成され、その後切断されて形成される。
【0055】
従って、本実施形態1ではこれらタブ4及びタブ吊りリード6並びにリード7の厚さは同じになっている。しかし、リード7においては、内端部分は裏面を一定の深さエッチングして薄く形成しておくので、この薄いリード部分の下側には封止体2を構成する樹脂が入り込む構造になっている。これにより、リード7は封止体2から脱落し難くなる。
【0056】
タブ4は、その4隅が細いタブ吊りリード6によって支持される。これらタブ吊りリード6は四角形状の封止体2の対角線上に位置し、四角形状の封止体2の各隅部に外端を臨ませている。封止体2は偏平の四角形体となり、角部(隅部)は面取り加工が施されて斜面2aとなっている(図1参照)。タブ吊りリード6の外端はこの面取り部分に0.1mm以下と僅かに突出している。この突出長さは、リードフレーム状態のタブ吊りリードを切断するときのプレス機械の切断型によって決まり、例えば、0.1mm以下が選択される。
【0057】
また、図1に示すように、タブ4の周辺には、内端をタブ4に対面させるリード7が四角形の封止体2の各辺に沿って所定間隔で複数配置されている。タブ吊りリード6及びリード7の外端は封止体2の周縁にまで延在している。即ち、リード7及びタブ吊りリード6は封止体2の内外に亘って延在することになる。リード7の封止体2からの突出長さは、前記タブ吊りリード6と同様にリードフレーム状態のリードを切断するときのプレス機械の切断型によって決まり、例えば、0.1mm以下と僅かに突出する。
【0058】
また、封止体2の側面は傾斜面2bとなっている(図2参照)。この傾斜面2bは、リードフレームの一面に片面モールディングして封止体2を形成した後、成形金型のキャビティから封止体2を抜き取る際、抜き取りを容易にするためにキャビティの側面を傾斜面にした結果によるものである。なお、図1は、封止体2の上部を切り欠いてタブ4,タブ吊りリード6,リード7,半導体チップ3等が見えるようにした模式図である。
【0059】
また、図1及び図4に示すように、半導体チップ3の露出する主面には電極端子9が設けられている。電極端子9は、半導体チップ3の主面において、四角形の各辺に沿ってほぼ所定ピッチに設けられている。この電極端子9は導電性のワイヤ10を介してリード7の内端側に接続されている。
【0060】
タブ4は半導体チップ3に比較して大きく形成され、その主面の中央に半導体素子固定領域を有するとともに、この半導体素子固定領域の外側、即ちタブ4の周縁部分にワイヤ接続領域を有している。そして、この半導体素子固定領域に半導体チップ3が固定される。また、ワイヤ接続領域には、一端が半導体チップ3の電極端子9に接続される導電性のワイヤ10の他端が接続されている。特に、タブ4に接続されるワイヤ10をダウンボンドワイヤ10aと呼称する。ワイヤボンディング装置によって電極端子9とリード7との間のワイヤボンディング及び電極端子9とタブ4との間のワイヤボンディングを行うことから、ワイヤ10もダウンボンドワイヤ10aも同じ材質のものである。
【0061】
ダウンボンディング構造の採用の目的は、一般的にはタブを利用した半導体チップ内の各回路部のグランド電位の共通化である。タブを共通のグランド端子とし、このタブとグランド電極端子となる多くの電極端子をワイヤを介して接続することによって、封止体の周囲に沿って並ぶ外部電極端子であるリード(ピン)の数を少なくし、リード数低減による封止体の小型化を図ることができる。これは半導体装置の小型化に繋がる。
【0062】
また、本実施形態1の半導体装置1は、図3に示すように、各リード7とリード7の間、及びリード7とタブ吊りリード6との間には封止体2を形成する際発生するレジンバリが存在している。このレジンバリ部分は、半導体装置1の製造において、リードフレームの一面に片面モールディングして封止体2を形成する際発生するものである。モールディング後、不要リードフレーム部分を切断するが、この際のリードやタブ吊りリードの切断時に同時にレジンバリも切断されるため、レジンバリの外縁はリード7の縁やタブ吊りリード6の縁と一緒になり、一部のレジンバリが各リード7とリード7の間、及びリード7とタブ吊りリード6との間に残留することになる。
【0063】
また、本実施形態1では封止体2の裏面はタブ4,タブ吊りリード6及びリード7の裏面(実装面)よりも引っ込んだ構造になっている。これは、トランスファモールディングにおける片面モールディングにおいて、成形金型の上下型間に樹脂製のシートを張り、このシートにリードフレームの一面が接触するようにしてモールディングを行うことから、シートがリードフレームの隙間で食い込むようになるため、封止体2の裏面は引っ込む形になる。
【0064】
また、トランスファモールディングによる片面モールディング後、リードフレームの表面に表面実装用のメッキ膜を形成する。このため、半導体装置1の封止体2の裏面に露出するタブ4,タブ吊りリード6及びリード7の表面は、図示はしないがメッキ膜を有することになる。
【0065】
このようにリード7やタブ吊りリード6の裏面である実装面が突出し、封止体2の裏面が引っ込むオフセット構造では、実装基板等の配線基板に半導体装置1を表面実装する場合、半田の濡れ領域が特定されるため半田実装が良好となる特長がある。
【0066】
ここで、本実施形態1の半導体装置1の製造方法について、図6乃至図11を参照しながら説明する。図6のフローチャートに示すように、半導体装置1は、リードフレーム準備(S101),チップボンディング(S102),ワイヤボンディング(S103),封止(モールディング:S104),メッキ処理(S105),不要リードフレーム切断除去(S106)の各工程を経て製造される。
【0067】
図7は本実施形態1によるQFN型の半導体装置1を製造する際使用するマトリクス構成のリードフレーム13の模式的平面図である。
【0068】
このリードフレーム13は、単位リードフレームパターン14がX方向に沿って20行、Y方向に沿って4列配置され、1枚のリードフレーム13から80個の半導体装置1を製造することができる。リードフレーム13の両側には、リードフレーム13の搬送や位置決め等に使用するガイド孔15a〜15cが設けられている。
【0069】
また、各列の左側には、トランスファモールディング時、ランナーが位置する。そこでランナー硬化レジンをエジェクターピンの突き出しによってリードフレーム13から引き剥がすため、エジェクターピンが貫通できるエジェクターピン孔16が設けられている。また、このランナーから分岐し、キャビティに流れるゲート部分で硬化したゲート硬化レジンをエジェクターピンの突き出しによってリードフレーム13から引き剥がすため、エジェクターピンが貫通できるエジェクターピン孔17が設けられている。
【0070】
図8は単位リードフレームパターン14の一部を示す平面図である。単位リードフレームパターン14は、実際に製造するパターンであることから、模式図である図1や図2等とは必ずしも一致しない部分が有る。
【0071】
単位リードフレームパターン14は矩形枠状の枠部18を有している。この枠部18の4隅からタブ吊りリード6が延在し、中央のタブ4を支持するパターンとなっている。枠部18の各辺の内側から内方に向かって複数のリード7が延在し、その内端はタブ4の外周縁に近接している。タブ4及びリード7の主面には、チップボンディングやワイヤボンディングのために図示しないメッキ膜が設けられている。
【0072】
また、リード7はその先端側裏面は、ハーフエッチングされて薄くなっている(図2参照)。なお、リード7やタブ4等は、その周縁が主面の幅が裏面の幅よりも広くなるような斜面とし、逆台形断面に形成して封止体2から抜け難くする構造としてもよい。これは、エッチングやプレスによっても製造することができる。
【0073】
また、図8に示すように、タブ4の主面において、中央の四角形領域は半導体素子搭載部4a(二点鎖線枠で囲まれる領域)となり、その外側の領域はワイヤ接続領域4bとなる。
【0074】
このようなリードフレーム13を準備した後、図8及び図9に示すように、各単位リードフレームパターン14のタブ4の半導体素子搭載部4aに接着剤5を介して半導体チップ3を固定(チップボンディング)する(S102)。
【0075】
つぎに、図10に示すように、ワイヤボンディングを行い、半導体チップ3の電極端子とリード7の先端を導電性のワイヤ10で接続するとともに、所定の電極端子とタブ4のワイヤ接続領域4bを導電性のワイヤ10で接続する(S103)。電極端子とタブ4のワイヤ接続領域4bを接続したワイヤを特にダウンボンドワイヤ10aと呼称する。ワイヤは例えば金線を使用する。
【0076】
つぎに、常用のトランスファモールディングによる片面モールディングを行い、リードフレーム13の主面に絶縁性樹脂による封止体2を形成する(S104)。封止体2はリードフレーム13の主面側の半導体チップ3,リード7等を被う。図8において、二点鎖線枠で示す部分が封止体2が形成される領域である。
【0077】
つぎに、図示はしないが、メッキ処理を行う(S105)。この結果、リードフレーム13の裏面には図示しないメッキ膜が形成される。このメッキ膜は、半導体装置1の表面実装時の接合材として使用されるものであり、例えば、半田メッキ膜である。前記メッキ膜を形成する工程に代えて、あらかじめリードフレーム13の表面全面にPdメッキが施された物を使用しても良い、また特にPdメッキされたリードフレーム13を用いる場合には前記封止後のメッキ工程を省略する事ができ、製造工程の簡略化をし、製造コストを削減する事ができる。
【0078】
つぎに、不要なリードフレーム部分を切断除去し(S106)、図1に示すような半導体装置1を製造する。図8に示す二点鎖線枠の封止体2の僅か外側で、図示しないプレス機械の切断型でリード7及びタブ吊りリード6が切断される。切断型の構造により、リード7及びタブ吊りリード6は封止体2から僅か外れた位置で切断するが、この外れた位置の封止体2からの距離は、例えば0.1mm以下とされる。リード7及びタブ吊りリード6の封止体2からの突出長さは、引っ掛かり防止等の点では短い程よい。この突出長さはプレス機械の切断型の変更で0.1mm以上では自由に選択できる。
【0079】
ここで、半導体装置1の各部の寸法の一例を挙げる。リードフレーム(タブ4,タブ吊りリード6,リード7)の厚さは0.2mm、チップ3の厚さは0.28mm、半導体装置1の厚さは1.0mm、リード7の幅は0.2mm、リード7の長さは0.5mm、タブ4のワイヤ接続箇所(点)は搭載されたチップ3の端から1.0mm、また、タブ4とリード7のとの間隔は0.2mmである。
【0080】
一方、これが本発明の特徴の一つであるが、半導体チップ3内の回路の一部、即ち特定回路部のグランドはグランド電極端子として取り出し、かつリードにワイヤを介して接続し、残りの回路部のグランドとは分離するものである。残りの各回路部は必要に応じて共通グランドとなるタブにワイヤを介して接続するとともに、必要に応じてリードにワイヤを介して接続するものである。また、特定回路部のグランドと他の残りの回路部のグランドは、図示はしないが、半導体チップ3内の配線においても層間絶縁膜等によって絶縁分離されているものである。
【0081】
本実施形態1で適用した高周波パワーモジュールでは、単一の半導体チップ内に形成された各回路部全てをグランド共通化にすると、先に説明したようにグランド電位の変動によってクロストークが発生し、それぞれの回路部での出力変動や信号波形の歪みが発生するおそれがある。また、デュアルバンドやトリプルバンド等複数の通信回路を有する高周波パワーモジュールにおいては、動作中の通信回路に動作させていない通信回路に誘起電流が発生し、この誘起電流が雑音として動作中の通信回路に入り込むおそれがある。そこで、本実施形態1では特定回路部のグランド用の電極端子(グランド電極端子)はタブに接続することなく、独立したリード(グランドリード)にワイヤを介して接続することとする。
【0082】
また、入力信号配線同士のクロストークによってもそれぞれの回路部での出力変動や信号波形の歪みが発生するおそれがあり、特に入力信号の小さいアンテナからの外部信号入力用リードにおいては、隣接するリードとのクロストークの影響を極力避ける必要が有る。
【0083】
本実施形態1において半導体装置1は携帯電話機のトリプルバンド用の高周波パワーモジュールであることから、特定回路部は低雑音増幅器(LNA)である。トリプルバンドであることから、アンテナに繋がる低雑音増幅器(LNA)も3個配置されている。
【0084】
単一のLNAが本発明で言う狭義の特定回路部となる。即ち、図5に示すように、各LNAのアンテナからの入力信号配線は2本となっている。そして、この2本の信号配線を電磁シールドするために、2本の信号用リードと他の信号用リードとの間、好ましくは2本の信号用リードの両側にそれぞれグランド用リードを配置している。
【0085】
入力信号配線を2本にして差動入力構成にすると、入力信号配線の2本に同程度のクロストークによる影響が出てノイズ(クロストーク)を相殺(キャンセル)することができる。なお、図5に示すように、3個のLNAを囲んだ矩形枠部分を広義の特定回路部11とする。この特定回路部11では、半導体チップにおいて、他の回路部から絶縁分離された領域に各LNAが形成されている。そして、各LNAのグランド電位は共通になっている。これは、デュアル通信システム、トリプル通信システムでは、一つの通信システム(通信系)を使用している間、残りの通信システムはアイドリング状態となっていることから、アイドリング状態になっている通信システムに属するLNAによるグランド電位に対する影響が小さいため、各々別個の通信システムに属するLNA同士のグランド電極およびグランド配線を共通化しても、お互いに及ぼす悪影響が小さいからである。しかし、必要ならば、各LNAごとにアイソレーションを施して、各LNAのグランド電位を独立とさせる構成でもよい。
【0086】
図13は本実施形態1の半導体装置(高周波パワーモジュール)1の携帯電話機における実装状態を示す模式的断面図である。
【0087】
携帯電話機の実装基板(配線基板)80の主面には半導体装置1を搭載するために、半導体装置1のリード7及びタブ4に対応して配線に連なるランド81及びタブ固定部82が設けられている。そこで、半導体装置1のリード7及びタブ4が前記ランド81及び固定部82に一致して重なるように半導体装置1を位置決め載置する。そして、この状態で半導体装置1のリード7及びタブ4の裏面に予め形成しておいた半田メッキ膜を一時的に溶融(リフロー)してリード7及びタブ4を半田83で接続(実装)する。
【0088】
ここで、トリプルバンド構成の携帯電話機の回路構成(機能構成)について図12を参照しながら簡単に説明する。即ち、この携帯電話機は、例えば、900MHz帯のGSM通信方式と、1800MHz帯のDCS1800通信方式と、1900MHz帯のPCS1900通信方式の信号処理を行うことができる。
【0089】
図12のブロック図では、アンテナ20にアンテナスイッチ21を介して接続する送信系と、受信系とを示してあり、送信系及び受信系はいずれもベースバンドチップ22に接続されるものである。
【0090】
受信系は、アンテナ20,アンテナスイッチ21,このアンテナスイッチ21に並列に接続される3個の帯域通過フィルタ23、前記帯域通過フィルタ23にそれぞれ接続される低雑音増幅器(LNA)24、前記3個のLNA24に接続されかつ並列に接続される可変増幅器25を有する。この二つの可変増幅器25には、それぞれミキサ26,ローパスフィルタ27,PGA28,ローパスフィルタ29,PGA30,ローパスフィルタ31,PGA32,ローパスフィルタ33,復調器34が接続される。PGA28,PGA30,PGA32はADC/DAC&DCオフセット用制御論理回路部35によって制御される。また、二つのミキサ26は90度位相変換器(90度移相器)40で位相制御される。
【0091】
図12において、90度位相変換器40および2つのミキサ26によって構成されるI/Q変調器は、各バンド帯域に対応するために、3つのLNAに対応してそれぞれ設けられるが、図12においては、簡略化のために1つにまとめて書いてある。
【0092】
半導体チップ3には、信号処理ICとしてRFシンセサイザ41及びIF(Intermediate)シンセサイザ42からなるシンセサイザが設けられている。RFシンセサイザ41はバッファ43を介してRFVCO44に接続され、RFVCO44がRFローカル信号を出力するように制御する。バッファ43には、直列に2つのローカル信号用分周器37,38が接続され、それぞれの出力端にはスイッチ48,49が接続されている。RFVCO44から出されたRFローカル信号はスイッチ48の切替えによって90度位相変換器40に入力される。このRFローカル信号によって90度位相変換器40はミキサ26を制御する。
【0093】
RFVCO44の信号出力モードはRxモードの場合、GSMでは3780〜3840MHz、DCSでは3610〜3760MHz、PCSでは3860〜3980MHzである。またTxモードはGSMでは3840〜3980MHz、DCSでは3580〜3730MHz、PCSでは3860〜3980MHzである。
【0094】
IFシンセサイザ42は分周器46を介してIFVCO(中間波電圧制御発振器)45に接続され、IFVCO45がIFローカル信号を出力するように制御する。IFVCO45による出力信号の周波数は各通信方式共に640MHzである。また、RFシンセサイザ41及びIFシンセサイザ42によってVCXO(電圧制御水晶発振器)50を制御し、基準信号を出力し、ベースバンドチップ22に送る。
【0095】
受信系ではシンセサイザ及びADC/DAC&DCオフセット用制御論理回路部35によってIF信号を制御し、復調器34によってベースバンドチップ信号(I,Q信号)に変換してベースバンドチップ22に送る。
【0096】
送信系は、ベースバンドチップ22から出力されるI,Q信号を入力信号とする二つのミキサ61と、この二つのミキサ61の位相を制御する90度位相変換器62と、二つのミキサ61の出力を加算する加算器63と、加算器63の出力をいずれも入力とするミキサ64及びDPD(デジタルフェーズディテクタ)65と、ミキサ64及びDPD65の出力を共に入力とするループフィルタ66と、ループフィルタ66の出力を共に入力とする二つのTXVCO(送信波電圧制御発信器)67と、二つのTXVCO67の出力を共に入力とするパワーモジュール68と、アンテナスイッチ21とからなっている。ループフィルタ66は外付け部品である。
【0097】
ミキサ61,90度位相変換器(90度位相器)62及び加算器63によって直交変調器を構成する。90度位相変換器62は分周器46に分周器47を介して接続され、IFVCO45から出力されるIFローカル信号によって制御される。
【0098】
二つのTXVCO67の出力はカプラー70によって電流を検出される。この検出信号は増幅器71を介してミキサ72に入力される。ミキサ72はスイッチ49を介してRFVCO44から出力されるRFローカル信号を入力する。ミキサ72の出力信号は加算器63の出力信号と共にミキサ64及びDPD65に入力される。ミキサ64とDPD65によってオフセットPLL(Phase−Locked Loop)を構成する。ミキサ72による出力信号の周波数は各通信方式共に80MHzである。
【0099】
二つのTXVCO67のうちの一方のTXVCO67はGSM通信方式用であり、出力信号の周波数は880〜915MHzである。また、他のTXVCO67はDCS・PCS通信方式用であり、出力信号の周波数は1710〜1785MHz、または1850〜1910MHzである。パワーモジュール68は低周波用パワーモジュールと高周波用パワーモジュールを内蔵し、低周波用パワーモジュールは880〜915MHzの信号を出力するTXVCO67からの信号を受けて増幅処理し、高周波用パワーモジュールは1710〜1785MHz、または1850〜1910MHzの信号を出力するTXVCO67からの信号を受けて増幅処理し、アンテナスイッチ21に送る。
【0100】
本実施形態1の半導体装置1にはロジック回路60もモノリシックに形成され、出力信号をベースバンドチップ22に送る。
【0101】
本実施形態1の半導体装置(高周波パワーモジュール)1は、図12において太線で囲った部分の各回路部がモノリシックに形成されていることになる。そして、3個のLNA24の部分が、本実施形態1における特定回路部11になる(図4,図5参照)。これら各回路部を模式的に一部示したものが、図4及び図5の半導体チップ3のブロック平面図である。
【0102】
アンテナ20で受信された無線信号(電波)は電気信号に変換され、受信系の各素子で順次処理されてベースバンドチップ22に送られる。また、ベースバンドチップ22から出力された電気信号は、送信系の各素子で順次処理されてアンテナ20から電波として放射される。
【0103】
図4は、半導体チップ3における各回路部の配置を示す模式的レイアウト図である。半導体チップ3の主面には、辺に沿って電極端子(パッド)9が配置されている。そして、これら電極端子9の内側に領域を分けて各回路部が配置されている。図4に示すように、半導体チップ3中央にはADC/DAC&DCオフセット用制御論理回路部35が配置され、その左側にはミキサ26,64と3個のLNA24が並び、上側にはRFVCO44位置し、右側には上から下に掛けてRFシンセサイザ41,VCXO50,IFシンセサイザ42,IFVCO45が並び、下側にはTXVCO67が位置している。
【0104】
図5には各回路部(第1の回路部及び第2の回路部)とその電極端子9との関係、電極端子9とリード7のワイヤ10による結線状態を示す。ワイヤ10は電極端子9とリード7を結線するワイヤ10と、電極端子9とタブ4を結線するダウンボンドワイヤ10aが示されている。
【0105】
特定回路部11(第1の回路部)である3個のLNA24に着目すると、外付け部品である帯域通過フィルタ23と繋がる予定のリード7、即ちSignalと左側に記載されたリード7と、LNA24の信号電極端子9がワイヤ10を介して接続されている。電極端子9からワイヤ10を介してリード7に至る信号配線は2本設けられ、この2本の信号配線の両側は、特定回路部11であるLNA24のグランド電極端子9がワイヤ10を介してグランドリード7(図中GNDと左側に記載されたリード7)に接続されてグランド配線が形成されている。
【0106】
これにより、他の回路部、少なくとも各VCOのグランドとLNA24のグランドは絶縁分離され、かつ、隣接する他の回路部のリードとLNA24のリードの間がグランドリード7によって電磁シールドされている。また、隣接するLNA24同士もグランドリード7によって電磁シールドされている。
【0107】
アンテナから入ってくる微弱信号を増幅するLNA24に比較して、ベースバンドチップ22から出力される電気信号を処理する送信系の各回路部(例えばオフセットPLL、TXVCO67など)においては、その電気信号が前記微弱信号に比較して大きいために、グランド電位の変動やクロストークによるノイズにより強いという特性を持つ。そこで、送信系の回路部へのグランド電位の供給は、各VCOなどとタブ4を介して共通にする事により、リード7の数を減らす事ができ、半導体装置の小型化をする事ができる。
【0108】
LNAは、半導体チップ3主面上に形成された配線間でのクロストークによる信号の劣化を防ぐために、例えばPGAなど、前記LNAによって増幅された信号を扱う回路、または送信系の回路などと比較して前記配線の長さが短くなる様に、電極端子9のより近くに配置するのが好ましい。
【0109】
本実施形態1によれば、以下の効果を有する。
(1)半導体装置1、即ち高周波パワーモジュール1においては、半導体素子(半導体チップ)3の電極端子9はワイヤ10を介してリード7に接続される以外にタブ4にも接続(ダウンボンディング)される。そして、このダウンボンディングはタブ4が共通グランドとなることから、特定回路部11である低雑音増幅器24のグランド電極端子(半導体素子の電極端子)はタブ4には接続されず、独立したリード端子(グランドリード)に接続される。低雑音増幅器24は微弱な信号を増幅するため、グランド電位の変動は低雑音増幅器24の出力の変動となるとともに、信号波形も歪むが、低雑音増幅器24のグランドは他の回路部のグランドと分離されていることから、低雑音増幅器24の出力の変動や信号波形の歪みを抑制できる。この結果、無線通信装置に組み込むことによって出力変動や歪みのない良好な通話が可能になる。
【0110】
(2)複数の通信回路を有する高周波パワーモジュールにおいては、タブ4を利用する共通グランドの場合、グランド電位の変動に伴い使用していない通信回路に誘起電流が発生し、この誘起電流に起因する雑音が使用中(動作中)の通信回路に入り込む、いわゆるクロストークが発生するが、本発明の高周波パワーモジュール1では、各通信回路の低雑音増幅器24は他の回路部のグランドと分離されていることから、低雑音増幅器24の出力の変動や信号波形の歪みを抑制できる。この結果、複数の通信回路を有する無線通信装置においても出力変動や歪みのない良好な通話が可能になる。
【0111】
(3)高周波パワーモジュール1において、低雑音増幅器24の電極端子9からワイヤ10を介してリード7に至る信号配線はその両側にグランド配線が配置されて電磁シールドされていることから、信号配線はクロストークを受け難くなる。
【0112】
(4)高周波パワーモジュール1は、タブ4が封止体2の裏面に露出していることから、半導体チップ3で発生した熱を効果的に実装基板80に放散することができる。従って、この高周波パワーモジュール1を組み込んだ無線通信装置は安定動作が可能になる。
【0113】
(5)高周波パワーモジュール1は、タブ4及びリード7が封止体2の裏面に露出するノンリード型半導体装置であることから、高周波パワーモジュール1の小型・薄型化が可能になり、軽量化も図れる。従って、この高周波パワーモジュール1を組み込んだ無線通信装置の小型・軽量化も可能になる。
【0114】
(6)高周波パワーモジュール1は、半導体チップ3の電極端子9とリード(ピン)7をワイヤ10で接続するとともに、グランド電位となるタブ4と半導体チップ3の電極端子(グランド電極端子)9をダウンボンドワイヤ10aで接続するダウンボンディング構造となっていることから、外部電極端子7となるグランドリードを少なくすることができ、ピン数低減による封止体2の小型化が可能になり、高周波パワーモジュール1の小型化が達成できる。
【0115】
(実施形態2)
図14は本発明の他の実施形態(実施形態2)である高周波パワーモジュールの封止体の一部を切り欠いた模式的平面図である。
【0116】
本実施形態2では、実施形態1において、特定回路部11として3個の低雑音増幅器(LNA)24を有する回路部以外に、VCOのうち、高周波を扱うRFVCO44も特定回路部11としたものである。従って、RFVCO44の全てのグランド電極端子9がワイヤ10を介してリード(グランドリード)7に接続され、タブ4にはワイヤを介して接続しないものである。
【0117】
半導体チップ3の電極端子9からワイヤ10を介してリード7に至る配線において、RFVCO44の2本の信号配線の両側にグランド配線が配置され、信号配線の電磁シールドがなされている。
【0118】
これにより、高周波信号を取り扱う特定回路部11のグランド電位が他の回路部のグランド電位から絶縁分離されることにより、クロストークが発生しなくなる。
【0119】
(実施形態3)
図15は本発明の他の実施形態(実施形態3)である高周波パワーモジュールの封止体の一部を切り欠いた模式的平面図である。
【0120】
本実施形態3では、RFVCO44を外付け部品とし、半導体チップ3にはモノリシックに形成しない例である。このデュアルバンド通信方式では、低雑音増幅器,ミキサ,VCO,シンセサイザ,IQ変調器/復調器,分周器、直交変調器等各回路部をモノリシックに形成したものである。
【0121】
受信系の二つのミキサはそれぞれ分周器によって制御され、またこの分周器は外付け部品であるRFVCOから出力された高周波の信号を、より低周波の信号に変換するための周波数変換回路である。
【0122】
従って、本実施形態3では、図15に示すように、半導体装置1の外側にRFVCO44が存在し、RFVCO44の信号配線が2本半導体装置1のリード7に接続される。そして、RFVCO44に接続される二つのリード7からワイヤ10を介して半導体チップ3の電極端子9に至る2本の信号配線の両側の電極端子9とリード7とはワイヤ10を介して接続されている。この2本の信号配線の両側の電極端子9はグランド電極端子であり、このグランド電極端子にワイヤ10を介して接続されるリード7もグランドリードとなっている。これにより、実施形態2の場合と同様に高周波信号を扱う信号配線も電磁シールドされるとともに、半導体チップ3における他の回路部とはグランド電位が独立した構成になっている。
【0123】
本実施形態3においても、実施形態2と同様に、RFVCO44のグランド電位の変動に伴う障害は発生しなくなる。
【0124】
(実施形態4)
図16及び図17は本発明の他の実施形態(実施形態4)である高周波パワーモジュールに係わる図であり、図16は高周波パワーモジュールの封止体の一部を切り欠いた模式的平面図、図17は高周波パワーモジュールの模式的断面図である。
【0125】
本実施形態4は、共通のグランド端子となるタブ4と、グランド電位とされるリード7を導電性のワイヤ10bで電気的に接続し、リード7をもグランド外部電極端子とするものである。本実施形態4の半導体装置1では、タブ4の裏面が封止体2の裏面(実装面)から露出するため、タブ4をグランド用外部電極端子として使用できるとともに、タブ4にワイヤ10bを介して接続されたリード7もグランド用外部電極端子としても使用することができる。
【0126】
図18は本実施形態4の変形例である。即ち、この変形例では、タブ4の裏面側をハーフエッチングして薄くしてあることから、片面モールディング時、タブ4の裏面側にも樹脂が回り込むことから、図18に示すように、タブ4はその裏面も封止体から露出することなく、完全に封止体2内に埋没する。このような構造の場合、タブ4がワイヤ10bを介してリード7に接続されていることから、このリード7をグランド用外部電極端子として使用することができる。なお、タブを封止体内に埋没させる別の構造としては、タブ吊りリードの途中で一段高く階段状に折り曲げる構造でもよい。
【0127】
図18に記載の構成においては、ダウンボンドワイヤ10aを介してタブ4に接続するグランド電位供給用の電極端子9の数に比較して、ワイヤ10bを介してタブと接続するリード7の数を少なくする事により、封止体2の周囲に沿って配列されるリード7の本数を少なくし、装置を小型化することができるとともに、タブ4の裏面が封止体2によって覆われているために、本実施例における半導体装置1を配線基板上に実装した際に半導体装置1の下の領域も配線基板上の配線を配置するための領域として利用できるという利点がある。従って、本実施例においては、半導体装置1の小型化に併せて、配線基板上の実装密度を向上できるという利点がある。
【0128】
(実施形態5)
図19乃至図30は本発明の他の実施形態(実施形態5)である高周波パワーモジュール(半導体装置)に係わる図である。本実施形態5の高周波パワーモジュールは、基本的に実施形態1の高周波パワーモジュールと同じである。
本実施形態5の高周波パワーモジュール1は、図30に示すように、トリプルバンド構成(GSM通信,DCS通信及びPCS通信)の無線通信装置(携帯電話機等の携帯用無線機器)に組み込まれて使用される。図30は図12にほぼ対応し、アンテナ20からベースバンド22に至る送・受信系の回路構成が示されている。本実施形態5では、アンテナ20が接続されるアンテナスイッチ21に接続される帯域通過フィルタ23から一対の位相が逆相となる相補信号が出力され、この相補信号が2入力・2出力構成の低雑音増幅器(LNA)24に入力される構成になり、LNA24の出力信号は順次各回路部で処理されてベースバンド22や送・受信系切替えスイッチ36に送られるようになっている。
【0129】
図30と図12の基本的な違いは、図30では、信号が相補信号処理によるものであることを示すために各回路部を結ぶ結線を2本としてあること、90度位相器40からミキサ26への出力信号線も2本になっていることである。
【0130】
本実施形態5の高周波パワーモジュール1は、図19乃至図22に示すように、封止体(樹脂封止体)2の裏面にリード7の一面(下面:実装面7a)を露出するノンリード型半導体装置となり、かつ四角形状の4辺からそれぞれリード7を突出させるQFN構造になっている。チップ搭載部(タブ)4,タブ吊りリード6及びリード7は、一枚の一定の厚さ(例えば0.2mm程度)を有する金属板(例えば、銅板)をプレスやエッチングによってパターニングして形成される。また、リード7やタブ吊りリード6の下面(裏面)は部分的に一定厚さ(例えば0.1mm程度)エッチングされて薄くなっている。また、リード幅は、第1部分7cで例えば0.2mm程度、第2部分7dで例えば0.15mm程度になっている。この結果、半導体チップ3を搭載するチップ搭載部4の上面,リード7の上面及びタブ吊りリード6の上面は同一平面上に位置する構造になるとともに、樹脂封止体2の下面にチップ搭載部4の下面が露出し、リード7及びタブ吊りリード6の一部が露出する構造になっている。
【0131】
樹脂封止体2は上面と、この上面に対抗する裏面(下面)と、前記上面及び裏面に挟まれた側面を有する偏平矩形な構造になっている。そして、樹脂封止体2の周囲に沿って、樹脂封止体2の内外に亘って設けられる複数のリード7を有している。高周波パワーモジュール1の外形寸法は実施形態1と同じである。
【0132】
チップ搭載部4は、図22に示すように、複数のリード7に囲まれた領域に位置し、このチップ搭載部4の上面には接着剤5を介して半導体チップ3が固定されている。半導体チップ3の平面形状は四角形状となり、その主面上に複数の電極端子9と、それぞれが複数の半導体素子によって構成される複数の回路部とを有する構造になっている。
【0133】
半導体チップ3は、チップ搭載部(タブ)4の周辺に沿って設けたスリット200に囲まれた四角形状の領域上に固定されている。チップ搭載部4はグランド電位に固定される。また、チップ搭載部4と半導体チップ3の所定の電極端子9(グランド電位用電極端子)は導電性のワイヤ10で接続されるが、このワイヤ10、即ちダウンボンドワイヤ10aはスリット200の外側のチップ搭載部分に接続されている。スリット200の外側のチップ搭載部分にダウンボンドワイヤ10aが接続されるため、スリット200の外側のチップ搭載部分は流出する接着剤5で汚染されることがなく、ダウンボンドワイヤ10aの接続性が良好になる。また、スリット200の存在により、スリット200内に樹脂封止体2を形成する樹脂が入り込み、チップ搭載部4と樹脂封止体2の接合強度も高まり、パッケージング性が向上する。さらに、スリット200の存在によって、実装加熱時の耐熱性向上とダウンボンディングのタブボンディング部のワイヤ剥離防止なる効果が得られる。
【0134】
半導体チップ3の複数の回路部は、一対の入力を有する差動増幅器(差動増幅回路部)を含んでいる。この差動増幅回路部が、図25に示すように、低雑音増幅器(LNA)24を構成する。図25に示すように、3個のLNAを囲んだ特定回路部11では、半導体チップにおいて、他の回路部から絶縁分離された領域に各LNAが形成されている。そして、各LNAのグランド電位は共通になっている。この部分の構成は実施形態1と同様である。
【0135】
LNA24は、携帯用無線機器において、アンテナを介して変換された電気信号を増幅するための回路部である。本実施形態5のLNA24の各々は差動増幅器を構成することから、2個の入力配線用の電極端子9を有している。これら2個の電極端子9に接続されるワイヤ10の長さは、差動増幅回路部の入力信号のペアー性を維持するために、同じ長さになっている。また、これら2個の電極端子9とこれに対応するリード7を接続するワイヤ10の両側にはグランド用のワイヤ10が配置され、信号線を電磁シールドしてクロストークが発生しないようになっている。
【0136】
つぎに、差動増幅回路部の入力配線(信号線)について、リード7のパターン等を含みさらに説明する。半導体チップ3の複数の電極端子9は、図23(a)に示すように、差動増幅回路部の一対の入力に対応する第1電極端子9a及び第2電極端子9bとを含んでいる。この第1電極端子9a及び第2電極端子9bは半導体チップ3の一辺に沿って、互いに隣接して配置されている。第1電極端子9a及び第2電極端子9bには、一対の位相の異なる(逆相になる)相補信号が入力される。入力信号(相補信号)の同時入力性(ペアー性)を得るために、第1電極端子9a及び第2電極端子9bに接続するワイヤ10の長さを同じ長さにする。
【0137】
ワイヤ10の長さを同じにするために、リード7の平面的パターンを変えて、所定の電極端子9との距離を同じにする。
【0138】
ここで、チップ搭載部4,リード7及びタブ吊りリード6との関係について説明する。複数のリード7は、図19に示すように、樹脂封止体2の裏面に裏面(下面)が露出する第1部分7cと、第1部分7cからチップ搭載部4に向かって内側に伸びる第2部分7dとからなり、第2部分7dの下面はエッチングによって一定厚さ除去されている。この結果、リード7の第2部分7dは第1部分7cに比較して厚さが薄くなり、かつ第2部分7dは樹脂封止体2内にその全体が覆われる構造になる。また、タブ吊りリード6の途中部分もその下面が前記第2部分7dと同様に所定厚さエッチングされることから、トランスファモールディング時にエッチングされた部分に樹脂が入り込むことから、樹脂封止体2の裏面にはタブ吊りリード6は部分的にしか露出しなくなる。また、リード7の第1部分7cは、樹脂封止体2の側面(周面)から露出するように樹脂封止体2の周囲に突出している。この突出長さは0.1mm程度以下である。
【0139】
リード7の第2部分7dが樹脂封止体2内に埋没し、第2部分7dの端部(ワイヤ接続部)とチップ搭載部4の外周部との間には絶縁性樹脂が介在されることになることから、第2部分7dの端をチップ搭載部4に近接させることができる。
即ち、リード7の第2部分7dは樹脂封止体2の裏面に露出せず、樹脂封止体2内を延在する構造になっていることから、図29に示すように高周波パワーモジュール1を実装基板80に実装する際、リード7及びチップ搭載部4を実装基板80のランド81や固定部82に半田83を介して固定する場合、リード7とランド81を固定する半田83と、チップ搭載部4を固定部82に固定する半田83とが接触、または電気的短絡を発生するほどの接近をすることを考慮しなくてもよいことから、第2部分7dの端部をチップ搭載部4の外周部に接近させることができるようになる。
【0140】
このように、リード7の第2部分7dを樹脂封止体2内に埋没させることによって、外部電極となる部分(第1部分7c)の形状とは独立して前記第2部分7dのパターンを決定することが可能である。
【0141】
このため、入力信号(相補信号)のペアー性を得るために、第1電極端子9a及び第2電極端子9bに接続するワイヤ10の長さを同じにすることができるようにリード7(第1部分7c及び第2部分7d)のパターンを決定することができる。本実施形態5では、第1電極端子9aは、第2電極端子9bより、半導体チップ3の一つの角部に近く配置され、第1電極端子9aに電気的に接続されるリード7の第2部分7dの端部は、第2電極端子9bに電気的に接続されるリード7の第2部分7dの端部より半導体チップ3の一辺に近い位置まで伸びている(図23(a)参照)。そして、第1電極端子9aとリード7の第2部分7dを接続する導電性ワイヤ10の長さと、第2電極端子9bとリード7の第2部分7dを接続する導電性ワイヤ10の長さはL0となり、ほぼ同じ長さになっている。
【0142】
一方、第2部分7dを有しない図23(b)で示すリード7の場合は、隣接するリード7と隣接する電極端子9a,9bを接続する導電性のワイヤ10の長さは、それぞれL1,L2となり、前記L0よりも長くなるためインダクタンスが大きくなり高周波特性が劣化する。
【0143】
また、L1とL2の長さは異なるため、インダクタンスの差異が大きくなり、入力信号のペアー性が劣化する。
【0144】
例えば、ワイヤとして、直径25ミクロンメートルのAuワイヤを用いた場合、動作周波数帯がGHz オーダーになると、ワイヤ長が0.5mm異なるだけで、0.5nH(ナノヘンリー)の差異があり、相補入力信号のペアー性が著しく損なわれる懸念がある。
【0145】
QFNの外形規格として、樹脂封止体2の裏面の周囲に配置するリード7は外部電極端子となることから、所定のピッチで平行に配置する必要がある。
【0146】
本実施形態5の場合では、図23(a)に示すように、リード7は樹脂封止体2の裏面に下面を露出する第1部分7cと、この第1部分7cから延在し樹脂封止体2内に埋没状態で延在する第2部分7dとからなるため、第2部分7dを前述の説明のように自由な方向に延在させることができ、隣接するリード同士を所望方向にそれぞれ延在させることができ、隣接するリード7と隣接する電極端子9間においてもワイヤ10の長さをほぼ同一(LO)にすることができる。この結果、第1電極端子9aとリード7を接続するワイヤ10の長さと、第2電極端子9bとリード7を接続するワイヤ10の長さを同じ長さにすることができ、それぞれのワイヤ10のインダクタンスを同じにすることができる。
【0147】
また、前述のように、リード7の第2部分7dは樹脂封止体2の内部に位置し、樹脂封止体2の裏面に露出しないことから、自由な方向に延在させることができる。即ち、図24(a)に示すように、第2部分7dの延在方向をワイヤ10の延在方向に一致させることができ、ワイヤ10をリード7の先端の幅内に位置させることができるため、ワイヤ10の接続部分の長さをfと長くできる。
【0148】
図24(b)はリード7を第1部分7cだけで形成した場合の図である。第1部分7cは樹脂封止体2の裏面において外部電極端子を構成することから、各外部電極端子は所定の間隔で平行に配列されることになる。この結果、図24(b)に示すように、外部電極端子が四角形状の樹脂封止体2の角の方に寄るにつれて外部電極端子に対するワイヤの交差角度θが大きくなり、ワイヤ10はリード7の幅員から外れてリード7の側縁に交差する形状となるため、ワイヤ10のリード7に対する接続長さはhとなり、接続長さfよりも短くなる。
【0149】
本実施形態5のように、図24(a)に示すように第2部分7dの延在方向をワイヤ10の張り方向に一致させることにより、リード7とワイヤ10との接続長さをfと長くでき、ワイヤの接続強度向上及びワイヤの接続(ワイヤボンディング)の信頼性を高めることができる。
【0150】
また、入力信号のペアー性は、高周波信号を扱うRFVCO44でも同様に重要である。本実施形態5では、図25に示すように、RFVCO44の2本の間に延在する信号線になる2本のワイヤ10もワイヤ長さが同じにされている。また、2本の信号線も両側のグランド配線によって電磁シールドされることになり、クロストークが発生しなくなる。
【0151】
図26は高周波パワーモジュールの製造の一部を示す平面図であり、リードフレーム13に固定された半導体チップ3の電極端子9とリード7とをワイヤ10で接続した状態を示す一部のリードフレームの図である。本実施形態5の高周波パワーモジュール1の製造方法も実施形態1と同様であることからその説明は省略する。
【0152】
本実施形態5では、図27の模式的拡大断面図に示すように、チップ搭載部4の上面に半導体チップ3が接着剤5を介して搭載されている。半導体チップ3は第1半導体基板85と、第1半導体基板85の表面に形成された絶縁層86と、絶縁層86上に形成された第2半導体基板87とを有し、複数の電極端子9は第2半導体基板87の主面に形成され、複数の回路部は第2半導体基板87に形成され、半導体チップ3の第1半導体基板85の裏面がチップ搭載部4に導電性の接着剤5を介して電気的に接続されている。
【0153】
第1半導体基板85はP型シリコン基板であり、第2半導体基板87はN型シリコン基板であり、両者は絶縁層86で貼りあわされたSOI構造(silicon on insulator)になっている。半導体チップ3の上面の複数の電極端子9は信号用電極端子,電源電位用電極端子,基準電源電位用電極端子をそれぞれ構成している。チップ搭載部4と半導体チップ3の電極端子9を接続するワイヤ10はダウンボンドワイヤ10aであり、チップ搭載部4を接地電位又は負電位に固定する。チップ搭載部4を負電位に固定した場合には、第1半導体基板85が負電位に固定され、その結果、空乏層が第1半導体基板85側に伸びることになる。
【0154】
そのため、第2半導体基板87に形成された複数の回路部に付加される寄生容量を低減でき、回路の高速化を図れる効果がある。
【0155】
第2半導体基板87には下底が絶縁層86に到達するアイソレーション溝が多数設けられている。このアイソレーション溝には絶縁体89が充填され、アイソレーション溝によって囲まれた領域は電気的に独立したアイランドになっている。そして、各アイソレーション溝に囲まれる第2半導体基板87の表面には、全体的に又は部分的に所定不純物濃度のN型及びP型の半導体層(N,P)が形成され、所定のpn接合を含む半導体素子が形成されている。また、各半導体素子を含む第2半導体基板の表面には酸化シリコン膜等の絶縁層INS1、INS2やアルミニウムや銅等の金属配線層、上下の配線層を接続する導体M1〜M4が順次形成され、図27に示すように、最上層の配線M4で複数の電極端子9を形成する構造になっている。
【0156】
図28は、図27に示したチップの詳細構造を示す模式的断面図であり、半導体素子として、左から右に亘って、NPN縦型トランジスタ(NPN Trs)、PNP縦型トランジスタ(V−PNP Trs)、Pチャネル型MOSトランジスタ(PMOS)、Nチャネル型MOSトランジスタ(NMOS)、MOS容量、抵抗(ポリシリコン抵抗)を表示してある。そして、このような複数の半導体素子の組み合わせによって、図30に示す高周波パワーモジュール(半導体装置)1が形成されている。
【0157】
なお、このような高周波パワーモジュール1の製造においては、第1半導体基板85を用意した後、第2半導体基板87を絶縁層86を介して貼り合わせ、その後、第2半導体基板87を所定の厚さに形成した後、第2半導体基板87を所定の厚さ選択的にエッチング除去し、ついで所望の半導体層を選択的に繰り返して形成し、各半導体素子を形成するとともに、アイソレーション溝の形成と絶縁体89とを形成し、ついで配線構造を形成し、最終的に第1半導体基板85を縦横に分断して半導体チップ3を形成する。
【0158】
本実施形態5の高周波パワーモジュール1は、高周波信号を扱う低雑音増幅器(LNA)24及びRFVCO44は2入力2出力構成になるとともに、2入力信号のペアー性を維持するために2入力のワイヤ10の長さを同じにしてある。また、信号線を構成するワイヤ10の長さは、半導体チップ3の電極端子9とリード7の第2部分7dの端部分に接続することによってワイヤの長さを短くしてワイヤインダクタンスを小さくしている。このようなことから高周波特性(DCオフセット小)の向上が図れる。
【0159】
換言するならば、本実施形態5では、GSM・DCS・PCS通信用の3個の低雑音増幅器(LNA)24は、図33(b)に示す2入力方式の差動低雑音増幅器(差動増幅器)で構成されている。即ち、実施形態5の各低雑音増幅器(LNA)24は、互いに位相が逆相である信号(相補信号)が入力される2つの単位増幅器からなっている。従って、90度位相器40の出力信号がLNA入力ラインに漏れる場合があっても相補信号が入力されることから、同相成分はキャンセルされることになり、LNA24で増幅されないことになり、DCオフセットを小さくするものである。この結果、搬送周波数帯が高くなる通信方式では、DCオフセット特性劣化を抑える効果がある。
【0160】
また、本実施形態5の高周波パワーモジュール1は、DCオフセット小、利得低下抑制の効果がある。
【0161】
(実施形態6)
図31は本発明の他の実施形態(実施形態6)である、半導体チップを支持するタブが半導体チップよりも小さい構成(小タブ構成)の高周波パワーモジュールの模式的断面図、図32は本実施形態6の高周波パワーモジュールの製造に使用される小タブ構成のリードフレームの一部を示す模式的平面図である。
【0162】
本実施形態6の高周波パワーモジュール1は、実施形態5の高周波パワーモジュール1において、チップ搭載部4を半導体チップ3よりも小さくした小タブ構成とするとともに、チップ搭載部4を図示されていないタブ吊りリード6を途中部分で一段階段状に折り曲げてチップ搭載部4の下面がリード7の第1部分7cの下面よりも高くなり、樹脂封止体2内に埋没する構造としたものである。即ち、本実施形態6の特徴は、チップ搭載部4とリード7の第1部分7cは段差が付き、チップ搭載部4は樹脂封止体2内に位置しているものである。これにより、ワイヤボンディング部の直下が半田付けされておらず実装基板へ搭載した時、温度変化時の基板からの応力の影響を受けず、接続信頼性を向上できる効果がある。
【0163】
図31に示すように、半導体チップ3とリード7を接続するワイヤ10において、ワイヤ10のリード7との接続位置を二点鎖線で示すようにリード7の第1部分7cではなく、リード7の第2部分7dの端部分に接続することによってワイヤの長さをk程度短くすることができる。
【0164】
本実施形態6の高周波パワーモジュール1も実施形態1が有する一部の効果を有する。図32に示すように、タブ(チップ搭載部)4を半導体チップ3よりも小さくする構造とすることによってリードフレームの汎用性が高くなり、高周波パワーモジュール1の製造コストの低減が達成できる。
【0165】
図33は小タブ構成の他の幾つかの変形例を示す高周波パワーモジュールの模式的断面図である。図33(a)はリード7の第1部分7cから屈曲して第2部分7dが延在して樹脂封止体2内に第2部分7dが位置している構造である。これは、リードフレーム形成の段階で、リード7及びタブ吊りリード6を途中部分で一段階段状に屈曲することによって形成するものであり、リード7においてこの屈曲処理によって第1部分7cから屈曲して延在する第2部分7dが形成され、タブ吊りリード6の屈曲によってチップ搭載部4が樹脂封止体2内に埋没する構成とすることができる。この構造はリードやチップ搭載部4及びタブ吊りリード6の選択的エッチング処理が不要となり、高周波パワーモジュール1の製造コストの低減が可能になる。
【0166】
図33(b)はタブ吊りリード6を屈曲させずにリード7のみを屈曲させて第1部分7cから屈曲して延在する第2部分7dを有する構造としたものである。この例では、チップ搭載部4を樹脂封止体2の下面に露出させる構造になることから、チップ搭載部4の下面からの放熱効果が増大する。従って、チップ搭載部4に搭載された半導体素子の放熱性が良好になり安定動作が可能になる。
【0167】
図33(c)は実施形態5の高周波パワーモジュール1において、チップ搭載部4を半導体チップ3よりも小タブとした構造であり、リードフレームの汎用性が高くなり、高周波パワーモジュール1の製造コストの低減が達成できる。
【0168】
図33(d)は実施形態5の高周波パワーモジュール1において、チップ搭載部4を半導体チップ3よりも小タブとするとともに、チップ搭載部4の下面をリード7の第2部分7dと同じようにエッチングして薄く形成した例である。
【0169】
小タブ構成であることから、製造において使用するリードフレームの汎用性を高くすることができ、高周波パワーモジュール1の製造コストの低減が達成できる。
【0170】
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0171】
前記実施の形態では、共通化し、または分離する電源電位についてグランド電位についてのみ記載したが、本発明の適用の範囲はグランド電位とそれに関連する構成についてのみに限られる物ではなく、発明を適用する上で適当な電源電位(第1の電位)、例えば電極の共通化をする事によってよりリード7の数を少なくする事ができる電源電位に着目し、その電源電位を供給するための電極端子9やリード7の構成に対して本発明を適用しても良い。
【0172】
前記実施形態では、QFN型の半導体装置の製造に本発明を適用した例について説明したが、例えば、SON型半導体装置の製造に対しても本発明を同様に適用でき、同様の効果を有することができる。さらに、本発明はノンリード型半導体装置に限定されることなく、例えば、封止体2の周囲に沿って、ガルウイング形状に折り曲げられたリードが突出するQFP(Quad Flat Package)やSOP(Small Outline Package)と呼ばれる半導体装置についても同様に適用する事ができるが、前記QFPやSOPに比較して、封止体2の周囲におけるリードの突出量が小さいQFN型の構造を採用した方が、装置の小型化を達成する上ではより好ましい。
【0173】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、下記のとおりである。
【0174】
(1)クロストークが起き難いダウンボンディング構造の半導体装置を提供することができる。
【0175】
(2)低雑音増幅器やRFVCO等の特定回路部におけるグランド電位が残りの回路部のグランド電位の影響を受け難い、低雑音増幅器,ミキサ,VCO,シンセサイザ,IQ変調器/復調器,直交変調器等各回路部をモノリシックに形成した半導体素子を組み込んだ高周波パワーモジュールを提供することができる。
【0176】
(3)低雑音増幅器やRFVCO等の特定回路部におけるグランド電位が残りの回路部のグランド電位の影響を受け難い、低雑音増幅器,ミキサ,VCO,シンセサイザ,IQ変調器/復調器,直交変調器等各回路部をモノリシックに形成した半導体素子を組み込んだダウンボンディング構造でかつノンリード型の高周波パワーモジュールを提供することができる。
【0177】
(4)低雑音増幅器やRFVCO等の特定回路部におけるグランド電位が残りの回路部のグランド電位の影響を受け難い、低雑音増幅器,ミキサ,VCO,シンセサイザ,IQ変調器/復調器,直交変調器等各回路部をモノリシックに形成した半導体素子を組み込んだ小型・軽量の高周波パワーモジュールを提供することができる。
【0178】
(5)雑音の少ない良好な通話が可能となる無線通信装置を提供することができる。
【0179】
(6)雑音の少ない良好な通話が可能となる複数の通信方式に対処できる無線通信装置を提供することができる。
【0180】
(7)以上のように、本発明の半導体装置は携帯電話機等の無線通信装置に使用される。特に、通信システムが複数系統の携帯電話機において、低雑音増幅器のような入力信号が極めて微弱な信号を処理する回路部のグランド電極端子を共通グランド電位となるタブに接続することなく、全て独立したリードに接続してあることから、一系統の通信システムを使用中、他の系統の通信システムとの間でのクロストークが発生しなくなり、良好な通話が可能な高周波パワーモジュールを提供することができる。
【0181】
(8)リードを、外部電極端子を構成する第1部分と、樹脂封止体内に延在する第2部分とで形成することによって、第2部分のパターンを自由に選択できるようにすることから、半導体チップの電極端子とリードを接続するワイヤの長さをできるだけ短くするリードパターンを選ぶことができる。従って、ワイヤインダクタンスの低減を図ることができる。
【0182】
(9)差動増幅回路部等の2入力構成回路部を有する半導体装置において、2入力用の電極端子に接続するワイヤの長さを同じ長さにでき入力信号のペアー性を得ることができる。従って、無線通信装置の低雑音増幅器(LNA)やRFVCOを2入力構成回路部とする場合には、それぞれの回路部において入力信号のペアー性が得られ、高周波特性の向上・利得低下の抑制を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0183】
以上のように、本発明の半導体装置は携帯電話機等の無線通信装置に使用される。特に、通信システムが複数系統の携帯電話機において、低雑音増幅器のような入力信号が極めて微弱な信号を処理する回路部のグランド電極端子を共通グランド電位となるタブに接続することなく、全て独立したリードに接続してあることから、一系統の通信システムを使用中、他の系統の通信システムとの間でのクロストークが発生しなくなり、良好な通話が可能な高周波パワーモジュールを提供することができる。
【符号の説明】
【0184】
1…半導体装置(高周波パワーモジュール)、2…封止体(樹脂封止体)、2a…斜面、2b…傾斜面、3…半導体チップ、4…タブ(チップ搭載部)、4a…半導体素子搭載部、4b…ワイヤ接続領域、5…接着剤、6…タブ吊りリード、7…リード(外部電極端子)、7a…実装面、7c…第1部分、7d…第2部分、9…電極端子、9a…第1電極端子、9b…第2電極端子、
10…ワイヤ、10a…ダウンボンドワイヤ、10b…ワイヤ、11…特定回路部、13…リードフレーム、14…単位リードフレームパターン、15a〜15c…ガイド孔、16,17…エジェクターピン孔、18…枠部、
20…アンテナ、21…アンテナスイッチ、22…ベースバンドチップ、23…帯域通過フィルタ、24…低雑音増幅器(LNA)、25…可変増幅器、26…ミキサ、27…ローパスフィルタ、28…PGA、29…ローパスフィルタ、
30…PGA、31…ローパスフィルタ、32…PGA、33…ローパスフィルタ、34…復調器、35…ADC/DAC&DCオフセット用制御論理回路部、37,38…ローカル信号用分周器、
40…90度位相変換器、41…RFシンセサイザ、42…IFシンセサイザ、43…バッファ、44…RFVCO、45…IFVCO(中間波電圧制御発振器)、46,47…分周器、48,49…スイッチ、
50…VCXO(電圧制御水晶発振器)、
60…ロジック回路、61…ミキサ、62…90度位相変換器、63…加算器、64…ミキサ、65…DPD(デジタルフェーズディテクタ)、66…ループフィルタ、67…TXVCO(送信波電圧制御発信器)、68…パワーモジュール、
70…カプラー、71…増幅器、72…ミキサ、
80…実装基板、81…ランド、82…タブ固定部、83…半田、85…第1半導体基板、86…絶縁層、87…第2半導体基板、89…絶縁体、
100…低雑音増幅器(LNA)、101…高周波電圧制御発振器(RFVCO)、102…ミキサ、
200…スリット。
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置及び電子装置に係わり、例えば、微弱な信号を増幅する低雑音増幅器(LNA:Low Noise Amplifier)を含む高周波部アナログ信号処理ICを組み込んだ高周波パワーモジュール(半導体装置)及び無線通信装置(電子装置)に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機等の移動体通信機(移動端末)は、複数の通信システムに対応できるような構成になっている。即ち、携帯電話機の送受信機(フロントエンド)には複数の通信システムの送受信を行うように、複数の回路系が組み込まれている。例えば、通信方式(システム)の異なる携帯電話(例えばセルラー電話機)間での通話を可能とする方式としてデュアルバンド通信方式が知られている。デュアルバンド方式については、例えば、搬送周波数帯が880〜915MHzのGSM(Global System for Mobile Communications)と、搬送周波数帯が1710〜1785MHzのDCS−1800(Digital Cellular System 1800)によるデュアルバンド方式およびデュアルバンド用高周波電力増幅器について知られている。
【0003】
また、特開平11−186921号(1999年7月9日公開)には、PCN(Personal Communications Network:DCS−1800),PCS(Personal Communications Service:DCS−1900)およびGSMなどの携帯電話システムに利用できる多バンド移動体通信装置が開示されている。
【0004】
また、携帯電話機のフロントエンドでは、GSM用の高周波部アナログ信号処理回路のモジュール化が図られている。例えば、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field−Effect−Transistor)によるデュアルバンドまたはトリプルバンドのGSM用RF(Radio Frequency)パワーモジュールが有る。
【0005】
デュアルバンド方式はGSM及びDCS1800方式等の二つの通信系の信号を処理するものであり、トリプルバンド方式はGSM及びDCS(Digital Cellular System)1800並びにPCS1900方式等の三つの通信系の信号を処理するものである。GSMとしては、GSM900あるいはGSM850が組み込まれる。
【0006】
また、高周波パワーモジュールは、LNA,ミキサ,PLL(Phase−Locked Loop)シンセサイザ,オートキャリブレーション付PGA(Programmable GainAmplifier),IQ変調器/復調器,オフセットPLL,VCO(Voltage−Controlled Oscillator)等をモノリシックに集積したワンチップの半導体素子が組み込まれている。
【0007】
また、特開2002−76235号公報には、デュアルバンド送受信用半導体集積回路が開示されている。このデュアルバンド送受信用半導体集積回路に内蔵される差動低雑音増幅器(互いに位相が逆相である信号が入力される2つの単位増幅器からなる)は、一対の入力端子及び一対の出力端子を有し、差動増幅器の対を成す増幅器のグランドピンは隣同士となり、また同じ増幅器の入力ピンと、グランドピンは隣同士になっている。これにより、隣り合うピンの信号を逆相とし、ピン間のトランス結合を利用して、トランジスタエミッタにつくインピーダンスを低減し、差動増幅器の利得を改善する技術が開示されている。
【0008】
一方、携帯電話機は、その持ち運びが便利なように小型・軽量化が要請されている。この結果、高周波パワーモジュール等の電子部品もより小型・軽量化が望まれている。
【0009】
半導体装置は、そのパッケージの形態によって種々のものがあるが、その一つとして、絶縁性樹脂の封止体(パッケージ)の裏面(実装面)にリード(外部電極端子)を露出させ、封止体の側面に長くリードを突出させないノンリード型半導体装置が知られている。
【0010】
ノンリード型半導体装置としては、封止体の裏面の対面する2辺に沿ってリードを露出させるSON(Small Outline Non−Leaded Package)や、封止体の裏面の4辺側にリードを露出させるQFN(Quad Flat Non−Leaded Package)がある。小型でリード曲がりが発生しないノンリード型半導体装置については、例えば特開2001−313363号公報に記載されている。
【0011】
この文献に記載されている樹脂封止型半導体装置は、半導体チップを固定するダイパッドとワイヤを接続するワイヤボンディング部とを有するアイランドがあり、ダイパッド上に半導体チップが固定され、半導体チップの各電極端子は、リードやアイランドのワイヤボンディング部に接続される構造になっている。ダイパッドとワイヤボンディング部との間に空隙部を設けて熱ストレスによるボンディングされたワイヤの外れや切断を防止している。このような構造では、半導体チップのアース端子とアイランドをワイヤで接続することによって、アイランドをアースリードとしてプリント基板などに接続できる。
【0012】
また、特開平11−251494号公報には、半導体素子搭載部をグランドとする携帯電話機などに用いられるリード構造がガルウイング型となる高周波デバイスについて記載されている。この技術では、半導体素子の電極とリードをワイヤで接続する以外に、ダイパッドをグランド電極として利用するため、半導体素子の電極と半導体素子搭載部とをワイヤで接続している(ダウンボンディング)。ダウンボンディングするため、半導体素子搭載部は半導体素子よりも大きく、また実装状態では、半導体素子の外側に半導体素子搭載部の周縁部分が突出し、この部分にワイヤが接続される構造になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平11−186921号公報
【特許文献2】特開2002−76235号公報
【特許文献3】特開2001−313363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本出願人においては、高周波パワーモジュールをノンリード型半導体装置に組み込み、かつグランド電位の安定化のために、高周波パワーモジュールを構成する各回路部のグランド端子をワイヤを介してタブに電気的に接続する手法の採用を検討した。ダウンボンディングを採用することにより、外部電極端子の数を少なくでき、パッケージの小型化が図れ、最終的には半導体装置の小型化が図れる。
【0015】
しかし、無線通信系(通信システム)を用途とする高周波パワーモジュールでは、以下のような問題が発生することが判明した。
【0016】
携帯電話機の受信系では、アンテナで捕らえた信号は低雑音増幅器(LNA)で増幅されるが、入力信号は極めて微弱である。このため、各回路部、特に周期的に動作する発振器の動作に応じて共通端子であるタブの電位、即ちグランド電位が変動し、これに起因して一部の回路部との間でクロストークが発生し出力が変動して良好な通話ができなくなる。
【0017】
特に、リード間クロストークによる誘起電流、またはグランド電位の変動による信号波形の歪みが通信システムから出力され、この出力信号が使用中の通信システムに入ってしまい雑音となる。
【0018】
このようなグランド電位の変動、およびクロストークの影響を受けやすい回路部は、低雑音増幅器(LNA)以外では、高周波を扱うRFVCO(高周波電圧制御発振器)等がある。
【0019】
そこで、本発明者は、低雑音増幅器やRFVCOでは、半導体素子の電極端子のうちグランド端子は共通端子となるタブにワイヤを介して接続することなく、独立したリード端子(外部電極端子)にワイヤを介して接続させ、他の回路部のオン・オフ時等のグランド電位の変動の影響を少なくさせることを思い立ち本発明をなした。
【0020】
本発明の目的は、ダウンボンディング構造の半導体装置において、半導体素子に形成された回路のうち、特定の回路部におけるグランド電位が残りの回路部のグランド電位の影響を受け難くできる半導体装置を提供することにある。
【0021】
本発明の他の目的は、高周波パワーモジュールにおいて低雑音増幅器やRFVCO等の回路部が、他の回路部のグランド電位の変動によるクロストークの影響を受け難い高周波パワーモジュールを提供することにある。
【0022】
本発明の他の目的は、無線通信システムにおいて雑音の少ない良好な通話が可能となる無線通信装置を提供することにある。
【0023】
本発明の他の目的は、複数の通信システムを有する無線通信システムにおいて、雑音の少ない良好な通話が可能となる無線通信装置を提供することにある。
【0024】
一方、本発明者においては、互いに位相が逆相である信号(相補信号)が入力される2入力方式の低雑音増幅器(LNA:差動低雑音増幅器)について分析検討した。図34(a)及び(b)の各々は低雑音増幅器(LNA)100、高周波電圧制御発振器(RFVCO)101及びミキサ102を含む回路部分であり、図34(a)は1入力方式のLNAを示し、図34(b)は2入力方式のLNAを示す。
【0025】
アンテナからの受信信号を処理した低雑音増幅器100の出力信号と、局部発振器(RFVCO:高周波電圧制御発振器)101からの信号とをミキサ102でミキシングする回路構成において、図34(a)に示す1入力構成の低雑音増幅器では、RFVCO101の出力周波数がLNA100の出力周波数と同一となることから、RFVCO101の出力信号がLNA入力ラインに漏れると、そのままLNA100で増幅されてDCオフセットが大きくなってしまう弊害がある。
【0026】
そこで、図34(b)に示すように、LNA100を差動低雑音増幅器(差動増幅器:LNA)にして、互いに位相が逆相である信号(相補信号)を入力する2入力方式とすることによってDCオフセットを小さく抑えることが行われている。即ち、差動増幅器(差動増幅回路)100は、同じ構成の2つの単位増幅器で構成され、位相が逆相である2つの高周波信号(相補信号)が入力されて差動増幅することから、同相成分は、キャンセルされる為、DCオフセット値を小さく抑えることができる。
【0027】
しかしながら、搬送周波数帯が更に高くなった場合、上記相補信号を入力する2入力方式を用いただけでは、上記DCオフセットの問題を根本的に解決できないことが判明した。上記相補信号を入力する入力配線経路は、大別して、リードフレームで形成されるリード部分と、前記リード部分と半導体チップの電極を接続するためのワイヤ部分である。
【0028】
例えば、銅等の金属の板材で形成されるリード部分は厚さ及び幅が比較的大きいため、数ミリ程度の微小なリード長さの違いによるインダクタンスの違いは小さいが、直径が20〜30μm程度となるワイヤ部分はその長さの違いによってインダクタンスに大きな違いが発生し易い。このワイヤインダクタンスの違いは、2つの相補入力信号の入力時間の差となり、入力信号のペアー性が損なわれる。この結果、高速通信システムにおいては、利得低下の点で好ましくない。
【0029】
従って、本発明の他の目的は、相補信号を同時に差動低雑音増幅器に入力する回路部において、入力信号のペアー性を高めることにある。
【0030】
本発明の他の目的は、差動低雑音増幅器を有する高周波パワーモジュールの特性向上(DCオフセット小)を図ることにある。
【0031】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面からあきらかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0032】
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記のとおりである。
【0033】
(1)本発明の半導体装置は、
絶縁性樹脂からなる封止体と、
前記封止体の周囲に沿って、前記封止体の内外に亘って設けられる複数のリードと、
主面および裏面を有するタブと、
主面および裏面を有しており、その主面上に複数の電極端子と、それぞれが複数の半導体素子によって構成される複数の回路部とを有する半導体チップと、
前記複数の電極端子と前記リードとを接続する複数の導電性のワイヤと、
前記複数の電極端子に第1の電位を供給するために、前記複数の電極端子と前記タブの主面とを接続する複数の導電性のワイヤとを有する半導体装置(例えば、ノンリード型半導体装置)であって、
前記半導体チップの裏面は前記タブの主面上に固定されており、
前記複数の回路部は、第1の回路部(特定回路部)、第2の回路部を含んでおり、
前記複数の電極端子は、前記第1の回路部に外部信号を入力するための第1の電極端子と、前記第1の回路部に前記第1の電位(グランド電位)を供給するための第2の電極端子と、前記第2の回路部と接続する第3の電極端子と、前記第2の回路部に前記第1の電位を供給するための第4の電極端子とを有しており、
前記複数のリードは、第1のリード(信号用リード)と、第2のリード(信号用リード)と、前記第1のリードと第2のリードの間に配置された第3のリード(グランド用リード)とを含んでおり、
前記第1の電極端子は導電性のワイヤを介して前記第1のリードと接続しており、
前記第2の電極端子は導電性のワイヤを介して前記第3のリードと接続しており、
前記第3の電極端子は導電性のワイヤを介して前記第2のリードと接続しており、
前記第4の電極端子は導電性のワイヤを介して共通グランドとなる前記タブと接続しており、
前記第3のリードと前記タブは電気的に分離されていることを特徴とし、高周波モジュールを構成している。
前記第1の回路部は前記第1のリード、および前記第1の電極端子を介して入力される外部信号を増幅するための増幅回路(低雑音増幅器:LAN)であり、無線信号がアンテナを介して変換された電気信号を増幅するための回路である。
前記第2の回路部は、前記第1の回路部によって増幅された信号を処理する機能の少なくとも一部を有する。
【0034】
また、高周波パワーモジュールには複数の通信方式に対応できるように複数の通信回路が形成されている。このような高周波パワーモジュールは無線通信装置に組み込まれている。
【0035】
前記(1)の手段によれば、(a)半導体素子の電極端子はワイヤを介してリードに接続される以外に共通グランドとなるタブにも接続(ダウンボンディング)される。微弱な信号を増幅する低雑音増幅器(特定回路部)のグランド電極端子(半導体素子の電極端子)は、タブには接続されず、独立したリード端子(グランド用リード)に接続されるため、他の回路部との間でグランド電位が独立することになり、他の回路部の電源のオン・オフ時にもグランド電位変動が起き難くなり、グランド電位の変動に伴う低雑音増幅器の出力変動や信号波形の歪みも発生し難くなり、無線通信装置に組み込めば、出力変動や歪みのない良好な通話が可能になる。
【0036】
(b)複数の通信回路を有する高周波パワーモジュールにおいては、タブを利用する共通グランドの場合、グランド電位の変動に伴い使用していない通信回路に誘起電流が発生し、この誘起電流に起因する雑音が使用中(動作中)の通信回路に入り込む、いわゆるクロストークが発生するが、本発明の高周波パワーモジュールでは、各通信回路の低雑音増幅器は他の回路部のグランドと分離されていることから、低雑音増幅器の出力の変動や信号波形の歪みを抑制できる。この結果、複数の通信回路を有する無線通信装置においても出力変動や歪みのない良好な通話が可能になる。
【0037】
(c)低雑音増幅器の電極端子からワイヤを介してリードに至る信号配線はその両側にグランド配線が配置されて電磁シールドされていることから、信号配線間のクロストークを低減する事ができる。
【0038】
(d)高周波パワーモジュールはダウンボンディング構造のノンリード型の半導体装置であり、小型・薄型・軽量化が図れるとともに、タブが封止体の裏面に露出していることから、放熱性が良好であり、安定動作が可能になる。従って、この高周波パワーモジュールの組み込みによって通話性能が良好な小型・軽量の携帯電話機を提供することができる。
【発明の効果】
【0039】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、下記のとおりである。
【0040】
(1)クロストークが起き難いダウンボンディング構造の半導体装置を提供することができる。
【0041】
(2)低雑音増幅器やRFVCO等の特定回路部におけるグランド電位が残りの回路部のグランド電位の影響を受け難い、低雑音増幅器,ミキサ,VCO,シンセサイザ,IQ変調器/復調器,直交変調器等各回路部をモノリシックに形成した半導体素子を組み込んだ高周波パワーモジュールを提供することができる。
【0042】
(3)低雑音増幅器やRFVCO等の特定回路部におけるグランド電位が残りの回路部のグランド電位の影響を受け難い、低雑音増幅器,ミキサ,VCO,シンセサイザ,IQ変調器/復調器,直交変調器等各回路部をモノリシックに形成した半導体素子を組み込んだダウンボンディング構造でかつノンリード型の高周波パワーモジュールを提供することができる。
【0043】
(4)低雑音増幅器やRFVCO等の特定回路部におけるグランド電位が残りの回路部のグランド電位の影響を受け難い、低雑音増幅器,ミキサ,VCO,シンセサイザ,IQ変調器/復調器,直交変調器等各回路部をモノリシックに形成した半導体素子を組み込んだ小型・軽量の高周波パワーモジュールを提供することができる。
【0044】
(5)雑音の少ない良好な通話が可能となる無線通信装置を提供することができる。
【0045】
(6)雑音の少ない良好な通話が可能となる複数の通信方式に対処できる無線通信装置を提供することができる。
【0046】
(7)以上のように、本発明の半導体装置は携帯電話機等の無線通信装置に使用される。特に、通信システムが複数系統の携帯電話機において、低雑音増幅器のような入力信号が極めて微弱な信号を処理する回路部のグランド電極端子を共通グランド電位となるタブに接続することなく、全て独立したリードに接続してあることから、一系統の通信システムを使用中、他の系統の通信システムとの間でのクロストークが発生しなくなり、良好な通話が可能な高周波パワーモジュールを提供することができる。
【0047】
(8)リードを、外部電極端子を構成する第1部分と、樹脂封止体内に延在する第2部分とで形成することによって、第2部分のパターンを自由に選択できるようにすることから、半導体チップの電極端子とリードを接続するワイヤの長さをできるだけ短くするリードパターンを選ぶことができる。従って、ワイヤインダクタンスの低減を図ることができる。
【0048】
(9)差動増幅回路部等の2入力構成回路部を有する半導体装置において、2入力用の電極端子に接続するワイヤの長さを同じ長さにでき入力信号のペアー性を得ることができる。従って、無線通信装置の低雑音増幅器(LNA)やRFVCOを2入力構成回路部とする場合には、それぞれの回路部において入力信号のペアー性が得られ、高周波特性の向上・利得低下の抑制を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】図1は本発明の一実施形態(実施形態1)である高周波パワーモジュールの封止体の一部を切り欠いた模式的平面図である。
【図2】図2は本実施形態1の高周波パワーモジュールの断面図である。
【図3】図3は本実施形態1の高周波パワーモジュールの模式的平面図である。
【図4】図4は本実施形態1の高周波パワーモジュールに組み込まれる半導体チップにおける回路構成をブロック的に示す模式的平面図である。
【図5】図5は本実施形態1の高周波パワーモジュールにおける外部電極端子と半導体チップの低雑音増幅器やシンセサイザ等の各回路部との結線状態を示す模式的平面図である。
【図6】図6は本実施形態1の高周波パワーモジュールの製造方法を示すフローチャートである。
【図7】図7は本実施形態1の高周波パワーモジュールの製造において使用するリードフレームの平面図である。
【図8】図8は前記リードフレームにおける単位リードフレームパターンを示す模式的平面図である。
【図9】図9は半導体チップを搭載した前記リードフレームを示す模式的断面図である。
【図10】図10はワイヤボンディングが終了した前記リードフレームを示す模式的断面図である。
【図11】図11は封止体が形成された前記リードフレームを示す模式的断面図である。
【図12】図12は本実施形態1の高周波パワーモジュールが組み込まれた携帯電話機の回路構成を示すブロック図である。
【図13】図13は本実施形態1の高周波パワーモジュールの携帯電話機における実装状態を示す模式的断面図である。
【図14】図14は本発明の他の実施形態(実施形態2)である高周波パワーモジュールの封止体の一部を切り欠いた模式的平面図である。
【図15】図15は本発明の他の実施形態(実施形態3)である高周波パワーモジュールの封止体の一部を切り欠いた模式的平面図である。
【図16】図16は本発明の他の実施形態(実施形態4)である高周波パワーモジュールの封止体の一部を切り欠いた模式的平面図である。
【図17】図17は本実施形態4の高周波パワーモジュールの模式的断面図である。
【図18】図18は本実施形態4の高周波パワーモジュールの変形例を示す模式的断面図である。
【図19】図19は本発明の他の実施形態(実施形態5)である高周波パワーモジュールの模式的断面図である。
【図20】図20は本実施形態5の高周波パワーモジュールの平面図である。
【図21】図21は本実施形態5の高周波パワーモジュールの底面図である。
【図22】図22は本実施形態5の高周波パワーモジュールの封止体の一部を切り欠いた平面図である。
【図23】図23は高周波パワーモジュールの差動増幅回路部における一対の入力部のワイヤインダクタンスを揃えた本実施形態5のリード及びワイヤのパターン例と、ワイヤインダクタンスを揃えないリード及びワイヤのパターン例を示す模式図である。
【図24】図24は図23に示すリードパターンの違いによるワイヤの接続信頼性の違いを説明する模式図である。
【図25】図25は本実施形態5の高周波パワーモジュールにおける外部電極端子と半導体チップの低雑音増幅器やシンセサイザ等の各回路部との結線状態を示す模式的平面図である。
【図26】図26は本実施形態5の高周波パワーモジュールの製造において、リードフレームに固定された半導体チップの電極とリードとをワイヤで接続した状態を示す一部のリードフレームの平面図である。
【図27】図27は本実施形態5の高周波パワーモジュールの半導体チップ内部構成と、ワイヤの接続状態を示す模式的拡大断面図である。
【図28】図28は本実施形態5の高周波パワーモジュールの半導体チップ内部構成を示す模式的拡大断面図である。
【図29】図29は本実施形態5の高周波パワーモジュールの実装状態を示す模式的断面図である。
【図30】図30は本実施形態5の高周波パワーモジュールが組み込まれた携帯電話機の回路構成を示すブロック図である。
【図31】図31は本発明の他の実施形態(実施形態6)である、半導体チップを支持するタブが半導体チップよりも小さい構成(小タブ構成)の高周波パワーモジュールの模式的断面図である。
【図32】図32は本実施形態6の高周波パワーモジュールの製造に使用される小タブ構成のリードフレームの一部を示す模式的平面図である。
【図33】図33は前記小タブ構成の他の幾つかの変形例を示す高周波パワーモジュールの模式的断面図である。
【図34】図34は携帯電話機における2入力差動増幅回路部(LNA)を含むブロック図と、1入力差動増幅回路部(LNA)を含むブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、発明の実施の形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
【0051】
(実施形態1)
図1乃至図13は本発明の一実施形態(実施形態1)である半導体装置(高周波パワーモジュール)及びその高周波パワーモジュールを組み込んだ無線通信装置に係わる図である。図1乃至図5は高周波パワーモジュールに係わる図であり、図6乃至図11は高周波パワーモジュールの製造方法に係わる図であり、図12及び図13は無線通信装置に係わる図である。
【0052】
本実施形態1では、四角形状の封止体(パッケージ)の裏面の実装面に、タブ及びこのタブに連なるタブ吊りリード並びにリード(外部電極端子)が露出するQFN型の半導体装置に本発明を適用した例について説明する。半導体装置1は、例えば高周波パワーモジュールを構成している。
【0053】
QFN型の半導体装置1は、図1及び図2に示すように、偏平の四角形状の絶縁性樹脂で形成される封止体(パッケージ)2を有している。この封止体2の内部には四角形状の半導体素子(半導体チップ:チップ)3が埋め込まれている。前記半導体チップ3は四角形状のタブ4のタブ表面(主面)に接着剤5によって固定されている(図2参照)。図2に示すように、封止体2の裏面(下面)は実装される面側(実装面)となる。
【0054】
封止体2の裏面にはタブ4及びタブ4を支持するタブ吊りリード6並びにリード(外部電極端子)7の一面(実装面7a)が露出する構造となっている。これらタブ4及びタブ吊りリード6並びにリード7は、半導体装置1の製造において、パターニングした一枚の金属製(例えば、銅製)のリードフレームで形成され、その後切断されて形成される。
【0055】
従って、本実施形態1ではこれらタブ4及びタブ吊りリード6並びにリード7の厚さは同じになっている。しかし、リード7においては、内端部分は裏面を一定の深さエッチングして薄く形成しておくので、この薄いリード部分の下側には封止体2を構成する樹脂が入り込む構造になっている。これにより、リード7は封止体2から脱落し難くなる。
【0056】
タブ4は、その4隅が細いタブ吊りリード6によって支持される。これらタブ吊りリード6は四角形状の封止体2の対角線上に位置し、四角形状の封止体2の各隅部に外端を臨ませている。封止体2は偏平の四角形体となり、角部(隅部)は面取り加工が施されて斜面2aとなっている(図1参照)。タブ吊りリード6の外端はこの面取り部分に0.1mm以下と僅かに突出している。この突出長さは、リードフレーム状態のタブ吊りリードを切断するときのプレス機械の切断型によって決まり、例えば、0.1mm以下が選択される。
【0057】
また、図1に示すように、タブ4の周辺には、内端をタブ4に対面させるリード7が四角形の封止体2の各辺に沿って所定間隔で複数配置されている。タブ吊りリード6及びリード7の外端は封止体2の周縁にまで延在している。即ち、リード7及びタブ吊りリード6は封止体2の内外に亘って延在することになる。リード7の封止体2からの突出長さは、前記タブ吊りリード6と同様にリードフレーム状態のリードを切断するときのプレス機械の切断型によって決まり、例えば、0.1mm以下と僅かに突出する。
【0058】
また、封止体2の側面は傾斜面2bとなっている(図2参照)。この傾斜面2bは、リードフレームの一面に片面モールディングして封止体2を形成した後、成形金型のキャビティから封止体2を抜き取る際、抜き取りを容易にするためにキャビティの側面を傾斜面にした結果によるものである。なお、図1は、封止体2の上部を切り欠いてタブ4,タブ吊りリード6,リード7,半導体チップ3等が見えるようにした模式図である。
【0059】
また、図1及び図4に示すように、半導体チップ3の露出する主面には電極端子9が設けられている。電極端子9は、半導体チップ3の主面において、四角形の各辺に沿ってほぼ所定ピッチに設けられている。この電極端子9は導電性のワイヤ10を介してリード7の内端側に接続されている。
【0060】
タブ4は半導体チップ3に比較して大きく形成され、その主面の中央に半導体素子固定領域を有するとともに、この半導体素子固定領域の外側、即ちタブ4の周縁部分にワイヤ接続領域を有している。そして、この半導体素子固定領域に半導体チップ3が固定される。また、ワイヤ接続領域には、一端が半導体チップ3の電極端子9に接続される導電性のワイヤ10の他端が接続されている。特に、タブ4に接続されるワイヤ10をダウンボンドワイヤ10aと呼称する。ワイヤボンディング装置によって電極端子9とリード7との間のワイヤボンディング及び電極端子9とタブ4との間のワイヤボンディングを行うことから、ワイヤ10もダウンボンドワイヤ10aも同じ材質のものである。
【0061】
ダウンボンディング構造の採用の目的は、一般的にはタブを利用した半導体チップ内の各回路部のグランド電位の共通化である。タブを共通のグランド端子とし、このタブとグランド電極端子となる多くの電極端子をワイヤを介して接続することによって、封止体の周囲に沿って並ぶ外部電極端子であるリード(ピン)の数を少なくし、リード数低減による封止体の小型化を図ることができる。これは半導体装置の小型化に繋がる。
【0062】
また、本実施形態1の半導体装置1は、図3に示すように、各リード7とリード7の間、及びリード7とタブ吊りリード6との間には封止体2を形成する際発生するレジンバリが存在している。このレジンバリ部分は、半導体装置1の製造において、リードフレームの一面に片面モールディングして封止体2を形成する際発生するものである。モールディング後、不要リードフレーム部分を切断するが、この際のリードやタブ吊りリードの切断時に同時にレジンバリも切断されるため、レジンバリの外縁はリード7の縁やタブ吊りリード6の縁と一緒になり、一部のレジンバリが各リード7とリード7の間、及びリード7とタブ吊りリード6との間に残留することになる。
【0063】
また、本実施形態1では封止体2の裏面はタブ4,タブ吊りリード6及びリード7の裏面(実装面)よりも引っ込んだ構造になっている。これは、トランスファモールディングにおける片面モールディングにおいて、成形金型の上下型間に樹脂製のシートを張り、このシートにリードフレームの一面が接触するようにしてモールディングを行うことから、シートがリードフレームの隙間で食い込むようになるため、封止体2の裏面は引っ込む形になる。
【0064】
また、トランスファモールディングによる片面モールディング後、リードフレームの表面に表面実装用のメッキ膜を形成する。このため、半導体装置1の封止体2の裏面に露出するタブ4,タブ吊りリード6及びリード7の表面は、図示はしないがメッキ膜を有することになる。
【0065】
このようにリード7やタブ吊りリード6の裏面である実装面が突出し、封止体2の裏面が引っ込むオフセット構造では、実装基板等の配線基板に半導体装置1を表面実装する場合、半田の濡れ領域が特定されるため半田実装が良好となる特長がある。
【0066】
ここで、本実施形態1の半導体装置1の製造方法について、図6乃至図11を参照しながら説明する。図6のフローチャートに示すように、半導体装置1は、リードフレーム準備(S101),チップボンディング(S102),ワイヤボンディング(S103),封止(モールディング:S104),メッキ処理(S105),不要リードフレーム切断除去(S106)の各工程を経て製造される。
【0067】
図7は本実施形態1によるQFN型の半導体装置1を製造する際使用するマトリクス構成のリードフレーム13の模式的平面図である。
【0068】
このリードフレーム13は、単位リードフレームパターン14がX方向に沿って20行、Y方向に沿って4列配置され、1枚のリードフレーム13から80個の半導体装置1を製造することができる。リードフレーム13の両側には、リードフレーム13の搬送や位置決め等に使用するガイド孔15a〜15cが設けられている。
【0069】
また、各列の左側には、トランスファモールディング時、ランナーが位置する。そこでランナー硬化レジンをエジェクターピンの突き出しによってリードフレーム13から引き剥がすため、エジェクターピンが貫通できるエジェクターピン孔16が設けられている。また、このランナーから分岐し、キャビティに流れるゲート部分で硬化したゲート硬化レジンをエジェクターピンの突き出しによってリードフレーム13から引き剥がすため、エジェクターピンが貫通できるエジェクターピン孔17が設けられている。
【0070】
図8は単位リードフレームパターン14の一部を示す平面図である。単位リードフレームパターン14は、実際に製造するパターンであることから、模式図である図1や図2等とは必ずしも一致しない部分が有る。
【0071】
単位リードフレームパターン14は矩形枠状の枠部18を有している。この枠部18の4隅からタブ吊りリード6が延在し、中央のタブ4を支持するパターンとなっている。枠部18の各辺の内側から内方に向かって複数のリード7が延在し、その内端はタブ4の外周縁に近接している。タブ4及びリード7の主面には、チップボンディングやワイヤボンディングのために図示しないメッキ膜が設けられている。
【0072】
また、リード7はその先端側裏面は、ハーフエッチングされて薄くなっている(図2参照)。なお、リード7やタブ4等は、その周縁が主面の幅が裏面の幅よりも広くなるような斜面とし、逆台形断面に形成して封止体2から抜け難くする構造としてもよい。これは、エッチングやプレスによっても製造することができる。
【0073】
また、図8に示すように、タブ4の主面において、中央の四角形領域は半導体素子搭載部4a(二点鎖線枠で囲まれる領域)となり、その外側の領域はワイヤ接続領域4bとなる。
【0074】
このようなリードフレーム13を準備した後、図8及び図9に示すように、各単位リードフレームパターン14のタブ4の半導体素子搭載部4aに接着剤5を介して半導体チップ3を固定(チップボンディング)する(S102)。
【0075】
つぎに、図10に示すように、ワイヤボンディングを行い、半導体チップ3の電極端子とリード7の先端を導電性のワイヤ10で接続するとともに、所定の電極端子とタブ4のワイヤ接続領域4bを導電性のワイヤ10で接続する(S103)。電極端子とタブ4のワイヤ接続領域4bを接続したワイヤを特にダウンボンドワイヤ10aと呼称する。ワイヤは例えば金線を使用する。
【0076】
つぎに、常用のトランスファモールディングによる片面モールディングを行い、リードフレーム13の主面に絶縁性樹脂による封止体2を形成する(S104)。封止体2はリードフレーム13の主面側の半導体チップ3,リード7等を被う。図8において、二点鎖線枠で示す部分が封止体2が形成される領域である。
【0077】
つぎに、図示はしないが、メッキ処理を行う(S105)。この結果、リードフレーム13の裏面には図示しないメッキ膜が形成される。このメッキ膜は、半導体装置1の表面実装時の接合材として使用されるものであり、例えば、半田メッキ膜である。前記メッキ膜を形成する工程に代えて、あらかじめリードフレーム13の表面全面にPdメッキが施された物を使用しても良い、また特にPdメッキされたリードフレーム13を用いる場合には前記封止後のメッキ工程を省略する事ができ、製造工程の簡略化をし、製造コストを削減する事ができる。
【0078】
つぎに、不要なリードフレーム部分を切断除去し(S106)、図1に示すような半導体装置1を製造する。図8に示す二点鎖線枠の封止体2の僅か外側で、図示しないプレス機械の切断型でリード7及びタブ吊りリード6が切断される。切断型の構造により、リード7及びタブ吊りリード6は封止体2から僅か外れた位置で切断するが、この外れた位置の封止体2からの距離は、例えば0.1mm以下とされる。リード7及びタブ吊りリード6の封止体2からの突出長さは、引っ掛かり防止等の点では短い程よい。この突出長さはプレス機械の切断型の変更で0.1mm以上では自由に選択できる。
【0079】
ここで、半導体装置1の各部の寸法の一例を挙げる。リードフレーム(タブ4,タブ吊りリード6,リード7)の厚さは0.2mm、チップ3の厚さは0.28mm、半導体装置1の厚さは1.0mm、リード7の幅は0.2mm、リード7の長さは0.5mm、タブ4のワイヤ接続箇所(点)は搭載されたチップ3の端から1.0mm、また、タブ4とリード7のとの間隔は0.2mmである。
【0080】
一方、これが本発明の特徴の一つであるが、半導体チップ3内の回路の一部、即ち特定回路部のグランドはグランド電極端子として取り出し、かつリードにワイヤを介して接続し、残りの回路部のグランドとは分離するものである。残りの各回路部は必要に応じて共通グランドとなるタブにワイヤを介して接続するとともに、必要に応じてリードにワイヤを介して接続するものである。また、特定回路部のグランドと他の残りの回路部のグランドは、図示はしないが、半導体チップ3内の配線においても層間絶縁膜等によって絶縁分離されているものである。
【0081】
本実施形態1で適用した高周波パワーモジュールでは、単一の半導体チップ内に形成された各回路部全てをグランド共通化にすると、先に説明したようにグランド電位の変動によってクロストークが発生し、それぞれの回路部での出力変動や信号波形の歪みが発生するおそれがある。また、デュアルバンドやトリプルバンド等複数の通信回路を有する高周波パワーモジュールにおいては、動作中の通信回路に動作させていない通信回路に誘起電流が発生し、この誘起電流が雑音として動作中の通信回路に入り込むおそれがある。そこで、本実施形態1では特定回路部のグランド用の電極端子(グランド電極端子)はタブに接続することなく、独立したリード(グランドリード)にワイヤを介して接続することとする。
【0082】
また、入力信号配線同士のクロストークによってもそれぞれの回路部での出力変動や信号波形の歪みが発生するおそれがあり、特に入力信号の小さいアンテナからの外部信号入力用リードにおいては、隣接するリードとのクロストークの影響を極力避ける必要が有る。
【0083】
本実施形態1において半導体装置1は携帯電話機のトリプルバンド用の高周波パワーモジュールであることから、特定回路部は低雑音増幅器(LNA)である。トリプルバンドであることから、アンテナに繋がる低雑音増幅器(LNA)も3個配置されている。
【0084】
単一のLNAが本発明で言う狭義の特定回路部となる。即ち、図5に示すように、各LNAのアンテナからの入力信号配線は2本となっている。そして、この2本の信号配線を電磁シールドするために、2本の信号用リードと他の信号用リードとの間、好ましくは2本の信号用リードの両側にそれぞれグランド用リードを配置している。
【0085】
入力信号配線を2本にして差動入力構成にすると、入力信号配線の2本に同程度のクロストークによる影響が出てノイズ(クロストーク)を相殺(キャンセル)することができる。なお、図5に示すように、3個のLNAを囲んだ矩形枠部分を広義の特定回路部11とする。この特定回路部11では、半導体チップにおいて、他の回路部から絶縁分離された領域に各LNAが形成されている。そして、各LNAのグランド電位は共通になっている。これは、デュアル通信システム、トリプル通信システムでは、一つの通信システム(通信系)を使用している間、残りの通信システムはアイドリング状態となっていることから、アイドリング状態になっている通信システムに属するLNAによるグランド電位に対する影響が小さいため、各々別個の通信システムに属するLNA同士のグランド電極およびグランド配線を共通化しても、お互いに及ぼす悪影響が小さいからである。しかし、必要ならば、各LNAごとにアイソレーションを施して、各LNAのグランド電位を独立とさせる構成でもよい。
【0086】
図13は本実施形態1の半導体装置(高周波パワーモジュール)1の携帯電話機における実装状態を示す模式的断面図である。
【0087】
携帯電話機の実装基板(配線基板)80の主面には半導体装置1を搭載するために、半導体装置1のリード7及びタブ4に対応して配線に連なるランド81及びタブ固定部82が設けられている。そこで、半導体装置1のリード7及びタブ4が前記ランド81及び固定部82に一致して重なるように半導体装置1を位置決め載置する。そして、この状態で半導体装置1のリード7及びタブ4の裏面に予め形成しておいた半田メッキ膜を一時的に溶融(リフロー)してリード7及びタブ4を半田83で接続(実装)する。
【0088】
ここで、トリプルバンド構成の携帯電話機の回路構成(機能構成)について図12を参照しながら簡単に説明する。即ち、この携帯電話機は、例えば、900MHz帯のGSM通信方式と、1800MHz帯のDCS1800通信方式と、1900MHz帯のPCS1900通信方式の信号処理を行うことができる。
【0089】
図12のブロック図では、アンテナ20にアンテナスイッチ21を介して接続する送信系と、受信系とを示してあり、送信系及び受信系はいずれもベースバンドチップ22に接続されるものである。
【0090】
受信系は、アンテナ20,アンテナスイッチ21,このアンテナスイッチ21に並列に接続される3個の帯域通過フィルタ23、前記帯域通過フィルタ23にそれぞれ接続される低雑音増幅器(LNA)24、前記3個のLNA24に接続されかつ並列に接続される可変増幅器25を有する。この二つの可変増幅器25には、それぞれミキサ26,ローパスフィルタ27,PGA28,ローパスフィルタ29,PGA30,ローパスフィルタ31,PGA32,ローパスフィルタ33,復調器34が接続される。PGA28,PGA30,PGA32はADC/DAC&DCオフセット用制御論理回路部35によって制御される。また、二つのミキサ26は90度位相変換器(90度移相器)40で位相制御される。
【0091】
図12において、90度位相変換器40および2つのミキサ26によって構成されるI/Q変調器は、各バンド帯域に対応するために、3つのLNAに対応してそれぞれ設けられるが、図12においては、簡略化のために1つにまとめて書いてある。
【0092】
半導体チップ3には、信号処理ICとしてRFシンセサイザ41及びIF(Intermediate)シンセサイザ42からなるシンセサイザが設けられている。RFシンセサイザ41はバッファ43を介してRFVCO44に接続され、RFVCO44がRFローカル信号を出力するように制御する。バッファ43には、直列に2つのローカル信号用分周器37,38が接続され、それぞれの出力端にはスイッチ48,49が接続されている。RFVCO44から出されたRFローカル信号はスイッチ48の切替えによって90度位相変換器40に入力される。このRFローカル信号によって90度位相変換器40はミキサ26を制御する。
【0093】
RFVCO44の信号出力モードはRxモードの場合、GSMでは3780〜3840MHz、DCSでは3610〜3760MHz、PCSでは3860〜3980MHzである。またTxモードはGSMでは3840〜3980MHz、DCSでは3580〜3730MHz、PCSでは3860〜3980MHzである。
【0094】
IFシンセサイザ42は分周器46を介してIFVCO(中間波電圧制御発振器)45に接続され、IFVCO45がIFローカル信号を出力するように制御する。IFVCO45による出力信号の周波数は各通信方式共に640MHzである。また、RFシンセサイザ41及びIFシンセサイザ42によってVCXO(電圧制御水晶発振器)50を制御し、基準信号を出力し、ベースバンドチップ22に送る。
【0095】
受信系ではシンセサイザ及びADC/DAC&DCオフセット用制御論理回路部35によってIF信号を制御し、復調器34によってベースバンドチップ信号(I,Q信号)に変換してベースバンドチップ22に送る。
【0096】
送信系は、ベースバンドチップ22から出力されるI,Q信号を入力信号とする二つのミキサ61と、この二つのミキサ61の位相を制御する90度位相変換器62と、二つのミキサ61の出力を加算する加算器63と、加算器63の出力をいずれも入力とするミキサ64及びDPD(デジタルフェーズディテクタ)65と、ミキサ64及びDPD65の出力を共に入力とするループフィルタ66と、ループフィルタ66の出力を共に入力とする二つのTXVCO(送信波電圧制御発信器)67と、二つのTXVCO67の出力を共に入力とするパワーモジュール68と、アンテナスイッチ21とからなっている。ループフィルタ66は外付け部品である。
【0097】
ミキサ61,90度位相変換器(90度位相器)62及び加算器63によって直交変調器を構成する。90度位相変換器62は分周器46に分周器47を介して接続され、IFVCO45から出力されるIFローカル信号によって制御される。
【0098】
二つのTXVCO67の出力はカプラー70によって電流を検出される。この検出信号は増幅器71を介してミキサ72に入力される。ミキサ72はスイッチ49を介してRFVCO44から出力されるRFローカル信号を入力する。ミキサ72の出力信号は加算器63の出力信号と共にミキサ64及びDPD65に入力される。ミキサ64とDPD65によってオフセットPLL(Phase−Locked Loop)を構成する。ミキサ72による出力信号の周波数は各通信方式共に80MHzである。
【0099】
二つのTXVCO67のうちの一方のTXVCO67はGSM通信方式用であり、出力信号の周波数は880〜915MHzである。また、他のTXVCO67はDCS・PCS通信方式用であり、出力信号の周波数は1710〜1785MHz、または1850〜1910MHzである。パワーモジュール68は低周波用パワーモジュールと高周波用パワーモジュールを内蔵し、低周波用パワーモジュールは880〜915MHzの信号を出力するTXVCO67からの信号を受けて増幅処理し、高周波用パワーモジュールは1710〜1785MHz、または1850〜1910MHzの信号を出力するTXVCO67からの信号を受けて増幅処理し、アンテナスイッチ21に送る。
【0100】
本実施形態1の半導体装置1にはロジック回路60もモノリシックに形成され、出力信号をベースバンドチップ22に送る。
【0101】
本実施形態1の半導体装置(高周波パワーモジュール)1は、図12において太線で囲った部分の各回路部がモノリシックに形成されていることになる。そして、3個のLNA24の部分が、本実施形態1における特定回路部11になる(図4,図5参照)。これら各回路部を模式的に一部示したものが、図4及び図5の半導体チップ3のブロック平面図である。
【0102】
アンテナ20で受信された無線信号(電波)は電気信号に変換され、受信系の各素子で順次処理されてベースバンドチップ22に送られる。また、ベースバンドチップ22から出力された電気信号は、送信系の各素子で順次処理されてアンテナ20から電波として放射される。
【0103】
図4は、半導体チップ3における各回路部の配置を示す模式的レイアウト図である。半導体チップ3の主面には、辺に沿って電極端子(パッド)9が配置されている。そして、これら電極端子9の内側に領域を分けて各回路部が配置されている。図4に示すように、半導体チップ3中央にはADC/DAC&DCオフセット用制御論理回路部35が配置され、その左側にはミキサ26,64と3個のLNA24が並び、上側にはRFVCO44位置し、右側には上から下に掛けてRFシンセサイザ41,VCXO50,IFシンセサイザ42,IFVCO45が並び、下側にはTXVCO67が位置している。
【0104】
図5には各回路部(第1の回路部及び第2の回路部)とその電極端子9との関係、電極端子9とリード7のワイヤ10による結線状態を示す。ワイヤ10は電極端子9とリード7を結線するワイヤ10と、電極端子9とタブ4を結線するダウンボンドワイヤ10aが示されている。
【0105】
特定回路部11(第1の回路部)である3個のLNA24に着目すると、外付け部品である帯域通過フィルタ23と繋がる予定のリード7、即ちSignalと左側に記載されたリード7と、LNA24の信号電極端子9がワイヤ10を介して接続されている。電極端子9からワイヤ10を介してリード7に至る信号配線は2本設けられ、この2本の信号配線の両側は、特定回路部11であるLNA24のグランド電極端子9がワイヤ10を介してグランドリード7(図中GNDと左側に記載されたリード7)に接続されてグランド配線が形成されている。
【0106】
これにより、他の回路部、少なくとも各VCOのグランドとLNA24のグランドは絶縁分離され、かつ、隣接する他の回路部のリードとLNA24のリードの間がグランドリード7によって電磁シールドされている。また、隣接するLNA24同士もグランドリード7によって電磁シールドされている。
【0107】
アンテナから入ってくる微弱信号を増幅するLNA24に比較して、ベースバンドチップ22から出力される電気信号を処理する送信系の各回路部(例えばオフセットPLL、TXVCO67など)においては、その電気信号が前記微弱信号に比較して大きいために、グランド電位の変動やクロストークによるノイズにより強いという特性を持つ。そこで、送信系の回路部へのグランド電位の供給は、各VCOなどとタブ4を介して共通にする事により、リード7の数を減らす事ができ、半導体装置の小型化をする事ができる。
【0108】
LNAは、半導体チップ3主面上に形成された配線間でのクロストークによる信号の劣化を防ぐために、例えばPGAなど、前記LNAによって増幅された信号を扱う回路、または送信系の回路などと比較して前記配線の長さが短くなる様に、電極端子9のより近くに配置するのが好ましい。
【0109】
本実施形態1によれば、以下の効果を有する。
(1)半導体装置1、即ち高周波パワーモジュール1においては、半導体素子(半導体チップ)3の電極端子9はワイヤ10を介してリード7に接続される以外にタブ4にも接続(ダウンボンディング)される。そして、このダウンボンディングはタブ4が共通グランドとなることから、特定回路部11である低雑音増幅器24のグランド電極端子(半導体素子の電極端子)はタブ4には接続されず、独立したリード端子(グランドリード)に接続される。低雑音増幅器24は微弱な信号を増幅するため、グランド電位の変動は低雑音増幅器24の出力の変動となるとともに、信号波形も歪むが、低雑音増幅器24のグランドは他の回路部のグランドと分離されていることから、低雑音増幅器24の出力の変動や信号波形の歪みを抑制できる。この結果、無線通信装置に組み込むことによって出力変動や歪みのない良好な通話が可能になる。
【0110】
(2)複数の通信回路を有する高周波パワーモジュールにおいては、タブ4を利用する共通グランドの場合、グランド電位の変動に伴い使用していない通信回路に誘起電流が発生し、この誘起電流に起因する雑音が使用中(動作中)の通信回路に入り込む、いわゆるクロストークが発生するが、本発明の高周波パワーモジュール1では、各通信回路の低雑音増幅器24は他の回路部のグランドと分離されていることから、低雑音増幅器24の出力の変動や信号波形の歪みを抑制できる。この結果、複数の通信回路を有する無線通信装置においても出力変動や歪みのない良好な通話が可能になる。
【0111】
(3)高周波パワーモジュール1において、低雑音増幅器24の電極端子9からワイヤ10を介してリード7に至る信号配線はその両側にグランド配線が配置されて電磁シールドされていることから、信号配線はクロストークを受け難くなる。
【0112】
(4)高周波パワーモジュール1は、タブ4が封止体2の裏面に露出していることから、半導体チップ3で発生した熱を効果的に実装基板80に放散することができる。従って、この高周波パワーモジュール1を組み込んだ無線通信装置は安定動作が可能になる。
【0113】
(5)高周波パワーモジュール1は、タブ4及びリード7が封止体2の裏面に露出するノンリード型半導体装置であることから、高周波パワーモジュール1の小型・薄型化が可能になり、軽量化も図れる。従って、この高周波パワーモジュール1を組み込んだ無線通信装置の小型・軽量化も可能になる。
【0114】
(6)高周波パワーモジュール1は、半導体チップ3の電極端子9とリード(ピン)7をワイヤ10で接続するとともに、グランド電位となるタブ4と半導体チップ3の電極端子(グランド電極端子)9をダウンボンドワイヤ10aで接続するダウンボンディング構造となっていることから、外部電極端子7となるグランドリードを少なくすることができ、ピン数低減による封止体2の小型化が可能になり、高周波パワーモジュール1の小型化が達成できる。
【0115】
(実施形態2)
図14は本発明の他の実施形態(実施形態2)である高周波パワーモジュールの封止体の一部を切り欠いた模式的平面図である。
【0116】
本実施形態2では、実施形態1において、特定回路部11として3個の低雑音増幅器(LNA)24を有する回路部以外に、VCOのうち、高周波を扱うRFVCO44も特定回路部11としたものである。従って、RFVCO44の全てのグランド電極端子9がワイヤ10を介してリード(グランドリード)7に接続され、タブ4にはワイヤを介して接続しないものである。
【0117】
半導体チップ3の電極端子9からワイヤ10を介してリード7に至る配線において、RFVCO44の2本の信号配線の両側にグランド配線が配置され、信号配線の電磁シールドがなされている。
【0118】
これにより、高周波信号を取り扱う特定回路部11のグランド電位が他の回路部のグランド電位から絶縁分離されることにより、クロストークが発生しなくなる。
【0119】
(実施形態3)
図15は本発明の他の実施形態(実施形態3)である高周波パワーモジュールの封止体の一部を切り欠いた模式的平面図である。
【0120】
本実施形態3では、RFVCO44を外付け部品とし、半導体チップ3にはモノリシックに形成しない例である。このデュアルバンド通信方式では、低雑音増幅器,ミキサ,VCO,シンセサイザ,IQ変調器/復調器,分周器、直交変調器等各回路部をモノリシックに形成したものである。
【0121】
受信系の二つのミキサはそれぞれ分周器によって制御され、またこの分周器は外付け部品であるRFVCOから出力された高周波の信号を、より低周波の信号に変換するための周波数変換回路である。
【0122】
従って、本実施形態3では、図15に示すように、半導体装置1の外側にRFVCO44が存在し、RFVCO44の信号配線が2本半導体装置1のリード7に接続される。そして、RFVCO44に接続される二つのリード7からワイヤ10を介して半導体チップ3の電極端子9に至る2本の信号配線の両側の電極端子9とリード7とはワイヤ10を介して接続されている。この2本の信号配線の両側の電極端子9はグランド電極端子であり、このグランド電極端子にワイヤ10を介して接続されるリード7もグランドリードとなっている。これにより、実施形態2の場合と同様に高周波信号を扱う信号配線も電磁シールドされるとともに、半導体チップ3における他の回路部とはグランド電位が独立した構成になっている。
【0123】
本実施形態3においても、実施形態2と同様に、RFVCO44のグランド電位の変動に伴う障害は発生しなくなる。
【0124】
(実施形態4)
図16及び図17は本発明の他の実施形態(実施形態4)である高周波パワーモジュールに係わる図であり、図16は高周波パワーモジュールの封止体の一部を切り欠いた模式的平面図、図17は高周波パワーモジュールの模式的断面図である。
【0125】
本実施形態4は、共通のグランド端子となるタブ4と、グランド電位とされるリード7を導電性のワイヤ10bで電気的に接続し、リード7をもグランド外部電極端子とするものである。本実施形態4の半導体装置1では、タブ4の裏面が封止体2の裏面(実装面)から露出するため、タブ4をグランド用外部電極端子として使用できるとともに、タブ4にワイヤ10bを介して接続されたリード7もグランド用外部電極端子としても使用することができる。
【0126】
図18は本実施形態4の変形例である。即ち、この変形例では、タブ4の裏面側をハーフエッチングして薄くしてあることから、片面モールディング時、タブ4の裏面側にも樹脂が回り込むことから、図18に示すように、タブ4はその裏面も封止体から露出することなく、完全に封止体2内に埋没する。このような構造の場合、タブ4がワイヤ10bを介してリード7に接続されていることから、このリード7をグランド用外部電極端子として使用することができる。なお、タブを封止体内に埋没させる別の構造としては、タブ吊りリードの途中で一段高く階段状に折り曲げる構造でもよい。
【0127】
図18に記載の構成においては、ダウンボンドワイヤ10aを介してタブ4に接続するグランド電位供給用の電極端子9の数に比較して、ワイヤ10bを介してタブと接続するリード7の数を少なくする事により、封止体2の周囲に沿って配列されるリード7の本数を少なくし、装置を小型化することができるとともに、タブ4の裏面が封止体2によって覆われているために、本実施例における半導体装置1を配線基板上に実装した際に半導体装置1の下の領域も配線基板上の配線を配置するための領域として利用できるという利点がある。従って、本実施例においては、半導体装置1の小型化に併せて、配線基板上の実装密度を向上できるという利点がある。
【0128】
(実施形態5)
図19乃至図30は本発明の他の実施形態(実施形態5)である高周波パワーモジュール(半導体装置)に係わる図である。本実施形態5の高周波パワーモジュールは、基本的に実施形態1の高周波パワーモジュールと同じである。
本実施形態5の高周波パワーモジュール1は、図30に示すように、トリプルバンド構成(GSM通信,DCS通信及びPCS通信)の無線通信装置(携帯電話機等の携帯用無線機器)に組み込まれて使用される。図30は図12にほぼ対応し、アンテナ20からベースバンド22に至る送・受信系の回路構成が示されている。本実施形態5では、アンテナ20が接続されるアンテナスイッチ21に接続される帯域通過フィルタ23から一対の位相が逆相となる相補信号が出力され、この相補信号が2入力・2出力構成の低雑音増幅器(LNA)24に入力される構成になり、LNA24の出力信号は順次各回路部で処理されてベースバンド22や送・受信系切替えスイッチ36に送られるようになっている。
【0129】
図30と図12の基本的な違いは、図30では、信号が相補信号処理によるものであることを示すために各回路部を結ぶ結線を2本としてあること、90度位相器40からミキサ26への出力信号線も2本になっていることである。
【0130】
本実施形態5の高周波パワーモジュール1は、図19乃至図22に示すように、封止体(樹脂封止体)2の裏面にリード7の一面(下面:実装面7a)を露出するノンリード型半導体装置となり、かつ四角形状の4辺からそれぞれリード7を突出させるQFN構造になっている。チップ搭載部(タブ)4,タブ吊りリード6及びリード7は、一枚の一定の厚さ(例えば0.2mm程度)を有する金属板(例えば、銅板)をプレスやエッチングによってパターニングして形成される。また、リード7やタブ吊りリード6の下面(裏面)は部分的に一定厚さ(例えば0.1mm程度)エッチングされて薄くなっている。また、リード幅は、第1部分7cで例えば0.2mm程度、第2部分7dで例えば0.15mm程度になっている。この結果、半導体チップ3を搭載するチップ搭載部4の上面,リード7の上面及びタブ吊りリード6の上面は同一平面上に位置する構造になるとともに、樹脂封止体2の下面にチップ搭載部4の下面が露出し、リード7及びタブ吊りリード6の一部が露出する構造になっている。
【0131】
樹脂封止体2は上面と、この上面に対抗する裏面(下面)と、前記上面及び裏面に挟まれた側面を有する偏平矩形な構造になっている。そして、樹脂封止体2の周囲に沿って、樹脂封止体2の内外に亘って設けられる複数のリード7を有している。高周波パワーモジュール1の外形寸法は実施形態1と同じである。
【0132】
チップ搭載部4は、図22に示すように、複数のリード7に囲まれた領域に位置し、このチップ搭載部4の上面には接着剤5を介して半導体チップ3が固定されている。半導体チップ3の平面形状は四角形状となり、その主面上に複数の電極端子9と、それぞれが複数の半導体素子によって構成される複数の回路部とを有する構造になっている。
【0133】
半導体チップ3は、チップ搭載部(タブ)4の周辺に沿って設けたスリット200に囲まれた四角形状の領域上に固定されている。チップ搭載部4はグランド電位に固定される。また、チップ搭載部4と半導体チップ3の所定の電極端子9(グランド電位用電極端子)は導電性のワイヤ10で接続されるが、このワイヤ10、即ちダウンボンドワイヤ10aはスリット200の外側のチップ搭載部分に接続されている。スリット200の外側のチップ搭載部分にダウンボンドワイヤ10aが接続されるため、スリット200の外側のチップ搭載部分は流出する接着剤5で汚染されることがなく、ダウンボンドワイヤ10aの接続性が良好になる。また、スリット200の存在により、スリット200内に樹脂封止体2を形成する樹脂が入り込み、チップ搭載部4と樹脂封止体2の接合強度も高まり、パッケージング性が向上する。さらに、スリット200の存在によって、実装加熱時の耐熱性向上とダウンボンディングのタブボンディング部のワイヤ剥離防止なる効果が得られる。
【0134】
半導体チップ3の複数の回路部は、一対の入力を有する差動増幅器(差動増幅回路部)を含んでいる。この差動増幅回路部が、図25に示すように、低雑音増幅器(LNA)24を構成する。図25に示すように、3個のLNAを囲んだ特定回路部11では、半導体チップにおいて、他の回路部から絶縁分離された領域に各LNAが形成されている。そして、各LNAのグランド電位は共通になっている。この部分の構成は実施形態1と同様である。
【0135】
LNA24は、携帯用無線機器において、アンテナを介して変換された電気信号を増幅するための回路部である。本実施形態5のLNA24の各々は差動増幅器を構成することから、2個の入力配線用の電極端子9を有している。これら2個の電極端子9に接続されるワイヤ10の長さは、差動増幅回路部の入力信号のペアー性を維持するために、同じ長さになっている。また、これら2個の電極端子9とこれに対応するリード7を接続するワイヤ10の両側にはグランド用のワイヤ10が配置され、信号線を電磁シールドしてクロストークが発生しないようになっている。
【0136】
つぎに、差動増幅回路部の入力配線(信号線)について、リード7のパターン等を含みさらに説明する。半導体チップ3の複数の電極端子9は、図23(a)に示すように、差動増幅回路部の一対の入力に対応する第1電極端子9a及び第2電極端子9bとを含んでいる。この第1電極端子9a及び第2電極端子9bは半導体チップ3の一辺に沿って、互いに隣接して配置されている。第1電極端子9a及び第2電極端子9bには、一対の位相の異なる(逆相になる)相補信号が入力される。入力信号(相補信号)の同時入力性(ペアー性)を得るために、第1電極端子9a及び第2電極端子9bに接続するワイヤ10の長さを同じ長さにする。
【0137】
ワイヤ10の長さを同じにするために、リード7の平面的パターンを変えて、所定の電極端子9との距離を同じにする。
【0138】
ここで、チップ搭載部4,リード7及びタブ吊りリード6との関係について説明する。複数のリード7は、図19に示すように、樹脂封止体2の裏面に裏面(下面)が露出する第1部分7cと、第1部分7cからチップ搭載部4に向かって内側に伸びる第2部分7dとからなり、第2部分7dの下面はエッチングによって一定厚さ除去されている。この結果、リード7の第2部分7dは第1部分7cに比較して厚さが薄くなり、かつ第2部分7dは樹脂封止体2内にその全体が覆われる構造になる。また、タブ吊りリード6の途中部分もその下面が前記第2部分7dと同様に所定厚さエッチングされることから、トランスファモールディング時にエッチングされた部分に樹脂が入り込むことから、樹脂封止体2の裏面にはタブ吊りリード6は部分的にしか露出しなくなる。また、リード7の第1部分7cは、樹脂封止体2の側面(周面)から露出するように樹脂封止体2の周囲に突出している。この突出長さは0.1mm程度以下である。
【0139】
リード7の第2部分7dが樹脂封止体2内に埋没し、第2部分7dの端部(ワイヤ接続部)とチップ搭載部4の外周部との間には絶縁性樹脂が介在されることになることから、第2部分7dの端をチップ搭載部4に近接させることができる。
即ち、リード7の第2部分7dは樹脂封止体2の裏面に露出せず、樹脂封止体2内を延在する構造になっていることから、図29に示すように高周波パワーモジュール1を実装基板80に実装する際、リード7及びチップ搭載部4を実装基板80のランド81や固定部82に半田83を介して固定する場合、リード7とランド81を固定する半田83と、チップ搭載部4を固定部82に固定する半田83とが接触、または電気的短絡を発生するほどの接近をすることを考慮しなくてもよいことから、第2部分7dの端部をチップ搭載部4の外周部に接近させることができるようになる。
【0140】
このように、リード7の第2部分7dを樹脂封止体2内に埋没させることによって、外部電極となる部分(第1部分7c)の形状とは独立して前記第2部分7dのパターンを決定することが可能である。
【0141】
このため、入力信号(相補信号)のペアー性を得るために、第1電極端子9a及び第2電極端子9bに接続するワイヤ10の長さを同じにすることができるようにリード7(第1部分7c及び第2部分7d)のパターンを決定することができる。本実施形態5では、第1電極端子9aは、第2電極端子9bより、半導体チップ3の一つの角部に近く配置され、第1電極端子9aに電気的に接続されるリード7の第2部分7dの端部は、第2電極端子9bに電気的に接続されるリード7の第2部分7dの端部より半導体チップ3の一辺に近い位置まで伸びている(図23(a)参照)。そして、第1電極端子9aとリード7の第2部分7dを接続する導電性ワイヤ10の長さと、第2電極端子9bとリード7の第2部分7dを接続する導電性ワイヤ10の長さはL0となり、ほぼ同じ長さになっている。
【0142】
一方、第2部分7dを有しない図23(b)で示すリード7の場合は、隣接するリード7と隣接する電極端子9a,9bを接続する導電性のワイヤ10の長さは、それぞれL1,L2となり、前記L0よりも長くなるためインダクタンスが大きくなり高周波特性が劣化する。
【0143】
また、L1とL2の長さは異なるため、インダクタンスの差異が大きくなり、入力信号のペアー性が劣化する。
【0144】
例えば、ワイヤとして、直径25ミクロンメートルのAuワイヤを用いた場合、動作周波数帯がGHz オーダーになると、ワイヤ長が0.5mm異なるだけで、0.5nH(ナノヘンリー)の差異があり、相補入力信号のペアー性が著しく損なわれる懸念がある。
【0145】
QFNの外形規格として、樹脂封止体2の裏面の周囲に配置するリード7は外部電極端子となることから、所定のピッチで平行に配置する必要がある。
【0146】
本実施形態5の場合では、図23(a)に示すように、リード7は樹脂封止体2の裏面に下面を露出する第1部分7cと、この第1部分7cから延在し樹脂封止体2内に埋没状態で延在する第2部分7dとからなるため、第2部分7dを前述の説明のように自由な方向に延在させることができ、隣接するリード同士を所望方向にそれぞれ延在させることができ、隣接するリード7と隣接する電極端子9間においてもワイヤ10の長さをほぼ同一(LO)にすることができる。この結果、第1電極端子9aとリード7を接続するワイヤ10の長さと、第2電極端子9bとリード7を接続するワイヤ10の長さを同じ長さにすることができ、それぞれのワイヤ10のインダクタンスを同じにすることができる。
【0147】
また、前述のように、リード7の第2部分7dは樹脂封止体2の内部に位置し、樹脂封止体2の裏面に露出しないことから、自由な方向に延在させることができる。即ち、図24(a)に示すように、第2部分7dの延在方向をワイヤ10の延在方向に一致させることができ、ワイヤ10をリード7の先端の幅内に位置させることができるため、ワイヤ10の接続部分の長さをfと長くできる。
【0148】
図24(b)はリード7を第1部分7cだけで形成した場合の図である。第1部分7cは樹脂封止体2の裏面において外部電極端子を構成することから、各外部電極端子は所定の間隔で平行に配列されることになる。この結果、図24(b)に示すように、外部電極端子が四角形状の樹脂封止体2の角の方に寄るにつれて外部電極端子に対するワイヤの交差角度θが大きくなり、ワイヤ10はリード7の幅員から外れてリード7の側縁に交差する形状となるため、ワイヤ10のリード7に対する接続長さはhとなり、接続長さfよりも短くなる。
【0149】
本実施形態5のように、図24(a)に示すように第2部分7dの延在方向をワイヤ10の張り方向に一致させることにより、リード7とワイヤ10との接続長さをfと長くでき、ワイヤの接続強度向上及びワイヤの接続(ワイヤボンディング)の信頼性を高めることができる。
【0150】
また、入力信号のペアー性は、高周波信号を扱うRFVCO44でも同様に重要である。本実施形態5では、図25に示すように、RFVCO44の2本の間に延在する信号線になる2本のワイヤ10もワイヤ長さが同じにされている。また、2本の信号線も両側のグランド配線によって電磁シールドされることになり、クロストークが発生しなくなる。
【0151】
図26は高周波パワーモジュールの製造の一部を示す平面図であり、リードフレーム13に固定された半導体チップ3の電極端子9とリード7とをワイヤ10で接続した状態を示す一部のリードフレームの図である。本実施形態5の高周波パワーモジュール1の製造方法も実施形態1と同様であることからその説明は省略する。
【0152】
本実施形態5では、図27の模式的拡大断面図に示すように、チップ搭載部4の上面に半導体チップ3が接着剤5を介して搭載されている。半導体チップ3は第1半導体基板85と、第1半導体基板85の表面に形成された絶縁層86と、絶縁層86上に形成された第2半導体基板87とを有し、複数の電極端子9は第2半導体基板87の主面に形成され、複数の回路部は第2半導体基板87に形成され、半導体チップ3の第1半導体基板85の裏面がチップ搭載部4に導電性の接着剤5を介して電気的に接続されている。
【0153】
第1半導体基板85はP型シリコン基板であり、第2半導体基板87はN型シリコン基板であり、両者は絶縁層86で貼りあわされたSOI構造(silicon on insulator)になっている。半導体チップ3の上面の複数の電極端子9は信号用電極端子,電源電位用電極端子,基準電源電位用電極端子をそれぞれ構成している。チップ搭載部4と半導体チップ3の電極端子9を接続するワイヤ10はダウンボンドワイヤ10aであり、チップ搭載部4を接地電位又は負電位に固定する。チップ搭載部4を負電位に固定した場合には、第1半導体基板85が負電位に固定され、その結果、空乏層が第1半導体基板85側に伸びることになる。
【0154】
そのため、第2半導体基板87に形成された複数の回路部に付加される寄生容量を低減でき、回路の高速化を図れる効果がある。
【0155】
第2半導体基板87には下底が絶縁層86に到達するアイソレーション溝が多数設けられている。このアイソレーション溝には絶縁体89が充填され、アイソレーション溝によって囲まれた領域は電気的に独立したアイランドになっている。そして、各アイソレーション溝に囲まれる第2半導体基板87の表面には、全体的に又は部分的に所定不純物濃度のN型及びP型の半導体層(N,P)が形成され、所定のpn接合を含む半導体素子が形成されている。また、各半導体素子を含む第2半導体基板の表面には酸化シリコン膜等の絶縁層INS1、INS2やアルミニウムや銅等の金属配線層、上下の配線層を接続する導体M1〜M4が順次形成され、図27に示すように、最上層の配線M4で複数の電極端子9を形成する構造になっている。
【0156】
図28は、図27に示したチップの詳細構造を示す模式的断面図であり、半導体素子として、左から右に亘って、NPN縦型トランジスタ(NPN Trs)、PNP縦型トランジスタ(V−PNP Trs)、Pチャネル型MOSトランジスタ(PMOS)、Nチャネル型MOSトランジスタ(NMOS)、MOS容量、抵抗(ポリシリコン抵抗)を表示してある。そして、このような複数の半導体素子の組み合わせによって、図30に示す高周波パワーモジュール(半導体装置)1が形成されている。
【0157】
なお、このような高周波パワーモジュール1の製造においては、第1半導体基板85を用意した後、第2半導体基板87を絶縁層86を介して貼り合わせ、その後、第2半導体基板87を所定の厚さに形成した後、第2半導体基板87を所定の厚さ選択的にエッチング除去し、ついで所望の半導体層を選択的に繰り返して形成し、各半導体素子を形成するとともに、アイソレーション溝の形成と絶縁体89とを形成し、ついで配線構造を形成し、最終的に第1半導体基板85を縦横に分断して半導体チップ3を形成する。
【0158】
本実施形態5の高周波パワーモジュール1は、高周波信号を扱う低雑音増幅器(LNA)24及びRFVCO44は2入力2出力構成になるとともに、2入力信号のペアー性を維持するために2入力のワイヤ10の長さを同じにしてある。また、信号線を構成するワイヤ10の長さは、半導体チップ3の電極端子9とリード7の第2部分7dの端部分に接続することによってワイヤの長さを短くしてワイヤインダクタンスを小さくしている。このようなことから高周波特性(DCオフセット小)の向上が図れる。
【0159】
換言するならば、本実施形態5では、GSM・DCS・PCS通信用の3個の低雑音増幅器(LNA)24は、図33(b)に示す2入力方式の差動低雑音増幅器(差動増幅器)で構成されている。即ち、実施形態5の各低雑音増幅器(LNA)24は、互いに位相が逆相である信号(相補信号)が入力される2つの単位増幅器からなっている。従って、90度位相器40の出力信号がLNA入力ラインに漏れる場合があっても相補信号が入力されることから、同相成分はキャンセルされることになり、LNA24で増幅されないことになり、DCオフセットを小さくするものである。この結果、搬送周波数帯が高くなる通信方式では、DCオフセット特性劣化を抑える効果がある。
【0160】
また、本実施形態5の高周波パワーモジュール1は、DCオフセット小、利得低下抑制の効果がある。
【0161】
(実施形態6)
図31は本発明の他の実施形態(実施形態6)である、半導体チップを支持するタブが半導体チップよりも小さい構成(小タブ構成)の高周波パワーモジュールの模式的断面図、図32は本実施形態6の高周波パワーモジュールの製造に使用される小タブ構成のリードフレームの一部を示す模式的平面図である。
【0162】
本実施形態6の高周波パワーモジュール1は、実施形態5の高周波パワーモジュール1において、チップ搭載部4を半導体チップ3よりも小さくした小タブ構成とするとともに、チップ搭載部4を図示されていないタブ吊りリード6を途中部分で一段階段状に折り曲げてチップ搭載部4の下面がリード7の第1部分7cの下面よりも高くなり、樹脂封止体2内に埋没する構造としたものである。即ち、本実施形態6の特徴は、チップ搭載部4とリード7の第1部分7cは段差が付き、チップ搭載部4は樹脂封止体2内に位置しているものである。これにより、ワイヤボンディング部の直下が半田付けされておらず実装基板へ搭載した時、温度変化時の基板からの応力の影響を受けず、接続信頼性を向上できる効果がある。
【0163】
図31に示すように、半導体チップ3とリード7を接続するワイヤ10において、ワイヤ10のリード7との接続位置を二点鎖線で示すようにリード7の第1部分7cではなく、リード7の第2部分7dの端部分に接続することによってワイヤの長さをk程度短くすることができる。
【0164】
本実施形態6の高周波パワーモジュール1も実施形態1が有する一部の効果を有する。図32に示すように、タブ(チップ搭載部)4を半導体チップ3よりも小さくする構造とすることによってリードフレームの汎用性が高くなり、高周波パワーモジュール1の製造コストの低減が達成できる。
【0165】
図33は小タブ構成の他の幾つかの変形例を示す高周波パワーモジュールの模式的断面図である。図33(a)はリード7の第1部分7cから屈曲して第2部分7dが延在して樹脂封止体2内に第2部分7dが位置している構造である。これは、リードフレーム形成の段階で、リード7及びタブ吊りリード6を途中部分で一段階段状に屈曲することによって形成するものであり、リード7においてこの屈曲処理によって第1部分7cから屈曲して延在する第2部分7dが形成され、タブ吊りリード6の屈曲によってチップ搭載部4が樹脂封止体2内に埋没する構成とすることができる。この構造はリードやチップ搭載部4及びタブ吊りリード6の選択的エッチング処理が不要となり、高周波パワーモジュール1の製造コストの低減が可能になる。
【0166】
図33(b)はタブ吊りリード6を屈曲させずにリード7のみを屈曲させて第1部分7cから屈曲して延在する第2部分7dを有する構造としたものである。この例では、チップ搭載部4を樹脂封止体2の下面に露出させる構造になることから、チップ搭載部4の下面からの放熱効果が増大する。従って、チップ搭載部4に搭載された半導体素子の放熱性が良好になり安定動作が可能になる。
【0167】
図33(c)は実施形態5の高周波パワーモジュール1において、チップ搭載部4を半導体チップ3よりも小タブとした構造であり、リードフレームの汎用性が高くなり、高周波パワーモジュール1の製造コストの低減が達成できる。
【0168】
図33(d)は実施形態5の高周波パワーモジュール1において、チップ搭載部4を半導体チップ3よりも小タブとするとともに、チップ搭載部4の下面をリード7の第2部分7dと同じようにエッチングして薄く形成した例である。
【0169】
小タブ構成であることから、製造において使用するリードフレームの汎用性を高くすることができ、高周波パワーモジュール1の製造コストの低減が達成できる。
【0170】
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0171】
前記実施の形態では、共通化し、または分離する電源電位についてグランド電位についてのみ記載したが、本発明の適用の範囲はグランド電位とそれに関連する構成についてのみに限られる物ではなく、発明を適用する上で適当な電源電位(第1の電位)、例えば電極の共通化をする事によってよりリード7の数を少なくする事ができる電源電位に着目し、その電源電位を供給するための電極端子9やリード7の構成に対して本発明を適用しても良い。
【0172】
前記実施形態では、QFN型の半導体装置の製造に本発明を適用した例について説明したが、例えば、SON型半導体装置の製造に対しても本発明を同様に適用でき、同様の効果を有することができる。さらに、本発明はノンリード型半導体装置に限定されることなく、例えば、封止体2の周囲に沿って、ガルウイング形状に折り曲げられたリードが突出するQFP(Quad Flat Package)やSOP(Small Outline Package)と呼ばれる半導体装置についても同様に適用する事ができるが、前記QFPやSOPに比較して、封止体2の周囲におけるリードの突出量が小さいQFN型の構造を採用した方が、装置の小型化を達成する上ではより好ましい。
【0173】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、下記のとおりである。
【0174】
(1)クロストークが起き難いダウンボンディング構造の半導体装置を提供することができる。
【0175】
(2)低雑音増幅器やRFVCO等の特定回路部におけるグランド電位が残りの回路部のグランド電位の影響を受け難い、低雑音増幅器,ミキサ,VCO,シンセサイザ,IQ変調器/復調器,直交変調器等各回路部をモノリシックに形成した半導体素子を組み込んだ高周波パワーモジュールを提供することができる。
【0176】
(3)低雑音増幅器やRFVCO等の特定回路部におけるグランド電位が残りの回路部のグランド電位の影響を受け難い、低雑音増幅器,ミキサ,VCO,シンセサイザ,IQ変調器/復調器,直交変調器等各回路部をモノリシックに形成した半導体素子を組み込んだダウンボンディング構造でかつノンリード型の高周波パワーモジュールを提供することができる。
【0177】
(4)低雑音増幅器やRFVCO等の特定回路部におけるグランド電位が残りの回路部のグランド電位の影響を受け難い、低雑音増幅器,ミキサ,VCO,シンセサイザ,IQ変調器/復調器,直交変調器等各回路部をモノリシックに形成した半導体素子を組み込んだ小型・軽量の高周波パワーモジュールを提供することができる。
【0178】
(5)雑音の少ない良好な通話が可能となる無線通信装置を提供することができる。
【0179】
(6)雑音の少ない良好な通話が可能となる複数の通信方式に対処できる無線通信装置を提供することができる。
【0180】
(7)以上のように、本発明の半導体装置は携帯電話機等の無線通信装置に使用される。特に、通信システムが複数系統の携帯電話機において、低雑音増幅器のような入力信号が極めて微弱な信号を処理する回路部のグランド電極端子を共通グランド電位となるタブに接続することなく、全て独立したリードに接続してあることから、一系統の通信システムを使用中、他の系統の通信システムとの間でのクロストークが発生しなくなり、良好な通話が可能な高周波パワーモジュールを提供することができる。
【0181】
(8)リードを、外部電極端子を構成する第1部分と、樹脂封止体内に延在する第2部分とで形成することによって、第2部分のパターンを自由に選択できるようにすることから、半導体チップの電極端子とリードを接続するワイヤの長さをできるだけ短くするリードパターンを選ぶことができる。従って、ワイヤインダクタンスの低減を図ることができる。
【0182】
(9)差動増幅回路部等の2入力構成回路部を有する半導体装置において、2入力用の電極端子に接続するワイヤの長さを同じ長さにでき入力信号のペアー性を得ることができる。従って、無線通信装置の低雑音増幅器(LNA)やRFVCOを2入力構成回路部とする場合には、それぞれの回路部において入力信号のペアー性が得られ、高周波特性の向上・利得低下の抑制を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0183】
以上のように、本発明の半導体装置は携帯電話機等の無線通信装置に使用される。特に、通信システムが複数系統の携帯電話機において、低雑音増幅器のような入力信号が極めて微弱な信号を処理する回路部のグランド電極端子を共通グランド電位となるタブに接続することなく、全て独立したリードに接続してあることから、一系統の通信システムを使用中、他の系統の通信システムとの間でのクロストークが発生しなくなり、良好な通話が可能な高周波パワーモジュールを提供することができる。
【符号の説明】
【0184】
1…半導体装置(高周波パワーモジュール)、2…封止体(樹脂封止体)、2a…斜面、2b…傾斜面、3…半導体チップ、4…タブ(チップ搭載部)、4a…半導体素子搭載部、4b…ワイヤ接続領域、5…接着剤、6…タブ吊りリード、7…リード(外部電極端子)、7a…実装面、7c…第1部分、7d…第2部分、9…電極端子、9a…第1電極端子、9b…第2電極端子、
10…ワイヤ、10a…ダウンボンドワイヤ、10b…ワイヤ、11…特定回路部、13…リードフレーム、14…単位リードフレームパターン、15a〜15c…ガイド孔、16,17…エジェクターピン孔、18…枠部、
20…アンテナ、21…アンテナスイッチ、22…ベースバンドチップ、23…帯域通過フィルタ、24…低雑音増幅器(LNA)、25…可変増幅器、26…ミキサ、27…ローパスフィルタ、28…PGA、29…ローパスフィルタ、
30…PGA、31…ローパスフィルタ、32…PGA、33…ローパスフィルタ、34…復調器、35…ADC/DAC&DCオフセット用制御論理回路部、37,38…ローカル信号用分周器、
40…90度位相変換器、41…RFシンセサイザ、42…IFシンセサイザ、43…バッファ、44…RFVCO、45…IFVCO(中間波電圧制御発振器)、46,47…分周器、48,49…スイッチ、
50…VCXO(電圧制御水晶発振器)、
60…ロジック回路、61…ミキサ、62…90度位相変換器、63…加算器、64…ミキサ、65…DPD(デジタルフェーズディテクタ)、66…ループフィルタ、67…TXVCO(送信波電圧制御発信器)、68…パワーモジュール、
70…カプラー、71…増幅器、72…ミキサ、
80…実装基板、81…ランド、82…タブ固定部、83…半田、85…第1半導体基板、86…絶縁層、87…第2半導体基板、89…絶縁体、
100…低雑音増幅器(LNA)、101…高周波電圧制御発振器(RFVCO)、102…ミキサ、
200…スリット。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面と、前記上面に対向する裏面と、前記上面及び裏面に挟まれた側面とを有する樹脂封止体と、
前記封止体の周囲に沿って、前記樹脂封止体の内外に亘って設けられる複数のリードと、
前記複数のリードに囲まれた領域に配置されたチップ搭載部と、
その主面上に複数の電極端子と、それぞれが複数の半導体素子によって構成される複数の回路部とを有し、前記チップ搭載部上に配置され、かつ、前記樹脂封止体により封止された四角形状の半導体チップと、
前記半導体チップの複数の電極端子と前記複数のリードとを接続する複数の第1導電性ワイヤと、
前記半導体チップの複数の電極端子と前記チップ搭載部とを接続する複数の第2導電性ワイヤとを有し、
前記複数のリードは、前記樹脂封体の裏面に露出する第1部分と、前記第1部分から前記チップ搭載部に向かって内側に伸びる第2部分とを有し、
前記複数の第1導電性ワイヤの両端部は、前記複数のリードの第2部分の端部及び前記半導体チップの複数の電極端子にそれぞれ接続され、
前記チップ搭載部は、平面的に見て、前記半導体チップより大きく形成され、
前記半導体チップは、第1半導体基板と、前記第1半導体基板表面に形成された絶縁層と、前記絶縁層上に形成された第2半導体基板とを有し、
前記複数の電極端子及び前記複数の回路部は、前記第2半導体基板の主面に形成され、
前記半導体チップの第1半導体基板の裏面が前記チップ搭載部に電気的に接続され、
前記チップ搭載部には、前記複数の第2導電性ワイヤを介して、固定電位が供給されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記半導体チップの第1半導体基板は、P型シリコン基板であり、前記第2半導体基板は、P型シリコン基板であり、前記固定電位は、負電位であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記複数のリードの第2部分は、前記第1部分よりも、その厚さが薄いことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記複数のリードの第2部分は、前記樹脂封止体にその全体が覆われていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記半導体チップが搭載された面と反対側のチップ搭載部の裏面は、前記樹脂封止体の外部に露出していることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記複数のリードの第1部分は、前記樹脂封止体の側面から露出するように前記樹脂封止体の周囲に突出していることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
平面的に見て、前記半導体チップの外側に位置するチップ搭載部には、複数のスリットが形成され、前記複数の第2導電性ワイヤの一端部は、前記スリットの外側部分に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記半導体チップが搭載された面と反対側になるチップ搭載部の裏面は、前記樹脂封止体内に位置していることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記チップ搭載部のチップ搭載面と、前記リードの第1部分の上面及び第2部分の上面は同一平面上に位置していることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記リードの第1部分の厚さよりも前記チップ搭載部及び第2部分の厚さは薄くなり、前記チップ搭載部及び第2部分は前記樹脂封止体内に位置していることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記チップ搭載部と前記リードの第1部分は段差が付き、前記チップ搭載部は前記樹脂封止体内に位置していることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記リードの第1部分から屈曲して前記第2部分が延在して前記樹脂封止体内に前記第2部分が位置していることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記チップ搭載部は前記半導体チップよりも小さくなっていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項1】
上面と、前記上面に対向する裏面と、前記上面及び裏面に挟まれた側面とを有する樹脂封止体と、
前記封止体の周囲に沿って、前記樹脂封止体の内外に亘って設けられる複数のリードと、
前記複数のリードに囲まれた領域に配置されたチップ搭載部と、
その主面上に複数の電極端子と、それぞれが複数の半導体素子によって構成される複数の回路部とを有し、前記チップ搭載部上に配置され、かつ、前記樹脂封止体により封止された四角形状の半導体チップと、
前記半導体チップの複数の電極端子と前記複数のリードとを接続する複数の第1導電性ワイヤと、
前記半導体チップの複数の電極端子と前記チップ搭載部とを接続する複数の第2導電性ワイヤとを有し、
前記複数のリードは、前記樹脂封体の裏面に露出する第1部分と、前記第1部分から前記チップ搭載部に向かって内側に伸びる第2部分とを有し、
前記複数の第1導電性ワイヤの両端部は、前記複数のリードの第2部分の端部及び前記半導体チップの複数の電極端子にそれぞれ接続され、
前記チップ搭載部は、平面的に見て、前記半導体チップより大きく形成され、
前記半導体チップは、第1半導体基板と、前記第1半導体基板表面に形成された絶縁層と、前記絶縁層上に形成された第2半導体基板とを有し、
前記複数の電極端子及び前記複数の回路部は、前記第2半導体基板の主面に形成され、
前記半導体チップの第1半導体基板の裏面が前記チップ搭載部に電気的に接続され、
前記チップ搭載部には、前記複数の第2導電性ワイヤを介して、固定電位が供給されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記半導体チップの第1半導体基板は、P型シリコン基板であり、前記第2半導体基板は、P型シリコン基板であり、前記固定電位は、負電位であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記複数のリードの第2部分は、前記第1部分よりも、その厚さが薄いことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記複数のリードの第2部分は、前記樹脂封止体にその全体が覆われていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記半導体チップが搭載された面と反対側のチップ搭載部の裏面は、前記樹脂封止体の外部に露出していることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記複数のリードの第1部分は、前記樹脂封止体の側面から露出するように前記樹脂封止体の周囲に突出していることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
平面的に見て、前記半導体チップの外側に位置するチップ搭載部には、複数のスリットが形成され、前記複数の第2導電性ワイヤの一端部は、前記スリットの外側部分に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記半導体チップが搭載された面と反対側になるチップ搭載部の裏面は、前記樹脂封止体内に位置していることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記チップ搭載部のチップ搭載面と、前記リードの第1部分の上面及び第2部分の上面は同一平面上に位置していることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記リードの第1部分の厚さよりも前記チップ搭載部及び第2部分の厚さは薄くなり、前記チップ搭載部及び第2部分は前記樹脂封止体内に位置していることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記チップ搭載部と前記リードの第1部分は段差が付き、前記チップ搭載部は前記樹脂封止体内に位置していることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記リードの第1部分から屈曲して前記第2部分が延在して前記樹脂封止体内に前記第2部分が位置していることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記チップ搭載部は前記半導体チップよりも小さくなっていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【公開番号】特開2012−191231(P2012−191231A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−128107(P2012−128107)
【出願日】平成24年6月5日(2012.6.5)
【分割の表示】特願2009−142145(P2009−142145)の分割
【原出願日】平成15年4月28日(2003.4.28)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年6月5日(2012.6.5)
【分割の表示】特願2009−142145(P2009−142145)の分割
【原出願日】平成15年4月28日(2003.4.28)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】
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