説明

半導体装置

【課題】特性のばらつきが少ないトランジスタを用いた消費電力の少ないSRAMセルを有する半導体装置を提供する。
【解決手段】一実施の形態による半導体装置は、半導体基板上に形成されたSRAMセルを有する。第1および第2のロードトランジスタの前記n型ソース領域、前記第1および第2のドライバトランジスタの前記n型ドレイン領域、ならびに前記第1および第2のトランスファトランジスタの前記n型ソース領域および前記n型ドレイン領域は、前記第1および第2のロードトランジスタの前記p型ドレイン領域ならびに前記第1および第2のドライバトランジスタの前記p型ソース領域のうちの任意の2つの領域の間以外の領域に位置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のSRAM(Static Random Access Memory)として、半導体のバンド間トンネルを利用した電界効果型トンネルトランジスタを用いたものが知られている。半導体のバンド間トンネルを利用した電界効果型トンネルトランジスタを用いることにより、従来のMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)を用いる場合と比較して、電源電圧を下げ、消費電力を下げることができる。
【0003】
しかし、このような電界効果型トンネルトランジスタはソース領域とドレイン領域が異なる導電型を有するため、SRAMセル内の不純物注入領域のパターンが複雑になるという問題がある。これにより、イオン注入に用いるマスクを形成するためのリソグラフィが困難になるため、不純物を的確に注入することができず、トランジスタの特性にばらつきが生じるおそれがある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】S. Mookerjea et al, IEDM Tech. Dig. Dec. 2009, pp.949-951.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、特性のばらつきが少ないトランジスタを用いた消費電力の少ないSRAMセルを有する半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施の形態による半導体装置は、半導体基板上に形成されたSRAMセルと、前記SRAMセルに含まれる第1および第2のロードトランジスタ、第1および第2のドライバトランジスタ、および第1および第2のトランスファトランジスタとを有する。前記第1および第2のロードトランジスタは、n型ソース領域とp型ドレイン領域を有する。前記第1および第2のドライバトランジスタは、p型ソース領域とn型ドレイン領域を有する。前記第1および第2のトランスファトランジスタは、n型ソース領域とn型ドレイン領域を有する。第1および第2のロードトランジスタの前記n型ソース領域、前記第1および第2のドライバトランジスタの前記n型ドレイン領域、ならびに前記第1および第2のトランスファトランジスタの前記n型ソース領域および前記n型ドレイン領域は、前記第1および第2のロードトランジスタの前記p型ドレイン領域ならびに前記第1および第2のドライバトランジスタの前記p型ソース領域のうちの任意の2つの領域の間以外の領域に位置する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】(a)、(b)は、本発明の実施の形態に係る半導体装置のSRAMセルの単位セルを概略的に表す上面図。
【図2】(a)、(b)は、不純物拡散領域を形成するためのイオン注入を行う領域を概略的に表す上面図。
【図3】(a)、(b)は、比較例としての従来のレイアウトの6トランジスタ型SRAMの単位セルを概略的に表す上面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
〔実施の形態〕
(半導体装置の構成)
図1(a)、(b)は、本発明の実施の形態に係る半導体装置のSRAMセルの単位セルを概略的に表す上面図である。図1(a)はコンタクトプラグの表示を省略した図、図1(b)はコンタクトプラグを表示した図である。
【0009】
本実施の形態に係る半導体装置は、6トランジスタ型のSRAMを有する。6トランジスタ型SRAMの単位セル1は、n型のトランスファトランジスタT1、T2、n型のドライバトランジスタD1、D2、p型のロードトランジスタL1、L2を有する。図中のW方向およびB方向は、それぞれワード線の長さ方向およびビット線の長さ方向を表す。
【0010】
ドライバトランジスタD1、D2およびロードトランジスタL1、L2は、ソース領域とドレイン領域の導電型が異なるトランジスタであり、例えば、半導体のバンド間トンネルを利用した電界効果型トンネルトランジスタである。
【0011】
トランスファトランジスタT1、T2は、ソース領域とドレイン領域が対称なトランジスタであり、例えば、プレーナ型MISFETである。
【0012】
半導体のバンド間トンネルを利用した電界効果型トンネルトランジスタは、従来のMISFETと比較してサブスレッショルド領域におけるリーク電流が少ないため、ドライバトランジスタD1、D2およびロードトランジスタL1、L2として用いることにより、SRAMの電源電圧を下げ、消費電力を下げることができる。
【0013】
一方、トンネルトランジスタにおいては電流がほぼ一方向にしか流れないため、トランスファトランジスタにトンネルトランジスタを用いた場合、読み出しと書き込みのいずれか一方のスピードが非常に遅くなる。そのため、トランスファトランジスタT1、T2には、ソース領域とドレイン領域が対称なトランジスタが用いられる。
【0014】
トランスファトランジスタT1は、n型不純物拡散領域35、33をそれぞれソース領域およびドレイン領域として用いる。また、トランスファトランジスタT2は、n型不純物拡散領域36、34をそれぞれソース領域およびドレイン領域として用いる。
【0015】
ドライバトランジスタD1は、p型不純物拡散領域23およびn型不純物拡散領域33をそれぞれソース領域およびドレイン領域として用いる。また、
ドライバトランジスタD2は、p型不純物拡散領域23およびn型不純物拡散領域34をそれぞれソース領域およびドレイン領域として用いる。
【0016】
ロードトランジスタL1は、n型不純物拡散領域31およびp型不純物拡散領域21をそれぞれソース領域およびドレイン領域として用いる。また、ロードトランジスタL2は、n型不純物拡散領域32およびp型不純物拡散領域22をそれぞれソース領域およびドレイン領域として用いる。
【0017】
p型不純物拡散領域21〜23、およびn型不純物拡散領域31〜36は、素子分離領域2により区画された基板上の領域である活性領域中に形成される。
【0018】
基板は、Si結晶等のSi系結晶からなる。素子分離領域2は、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)構造を有し、SiO等の絶縁材料が埋め込まれる。p型不純物拡散領域21〜23に含まれる不純物として、B、BF等のp型不純物を用いることができる。また、n型不純物拡散領域31〜36に含まれる不純物として、As、P等のn型不純物を用いることができる。
【0019】
ゲート電極11は、ロードトランジスタL1とドライバトランジスタD1に共有される。ゲート電極12は、ロードトランジスタL2とドライバトランジスタD2に共有される。また、ゲート電極13は、トランスファトランジスタT1、T2に共有される。
【0020】
ゲート電極11、12は、それぞれ基板上にゲート絶縁膜を介して形成される。ゲート電極11、12は、例えば、導電型不純物を含むSi系多結晶、金属、またはそれらの積層体からなる。
【0021】
コンタクトプラグ41、42、43、44、45、46は、n型不純物拡散領域31、32、33、34、35、36にそれぞれ接続される。コンタクトプラグ53は、p型不純物拡散領域23に接続される。また、シェアードコンタクトプラグ51、52は、p型不純物拡散領域51、52にそれぞれ接続される。
【0022】
コンタクトプラグ41〜46、53、およびシェアードコンタクトプラグ51、52は、W等の金属からなる。
【0023】
n型不純物拡散領域31、32には、コンタクトプラグ41、42を介して電源電圧(Vdd)が印加される。p型不純物拡散領域23には、コンタクトプラグ53を介してグラウンド電圧等の基準電圧(Vss)が印加される。
【0024】
n型不純物拡散領域35、36は、コンタクトプラグ45、46を介してビット線に接続される。ゲート電極13は、ワード線に接続される。
【0025】
コンタクトプラグ43とシェアードコンタクトプラグ51は上層の配線(図示しない)を介して接続され、ゲート電極12、p型不純物拡散領域21、およびn型不純物拡散領域33は、互いに接続される。また、コンタクトプラグ44とシェアードコンタクトプラグ52は他の上層の配線(図示しない)を介して接続され、ゲート電極11、p型不純物拡散領域22、およびn型不純物拡散領域34は、互いに接続される。
【0026】
図3(a)、(b)は、比較例としての従来のレイアウトの6トランジスタ型SRAMの単位セル5を概略的に表す上面図である。図3(a)はコンタクトプラグの表示を省略した図、図3(b)はコンタクトプラグを表示した図である。
【0027】
単位セル5は、ロードトランジスタの配置が本実施の形態の単位セル1と異なる。単位セル5のロードトランジスタL11は、n型不純物拡散領域131およびp型不純物拡散領域121をそれぞれソース領域およびドレイン領域として用いる。また、ロードトランジスタL12は、n型不純物拡散領域131およびp型不純物拡散領域122をそれぞれソース領域およびドレイン領域として用いる。
【0028】
ロードトランジスタL11、L12は、1つの活性領域を共有し、その活性領域上にp型不純物拡散領域121、122、およびn型不純物拡散領域131が形成される。p型不純物拡散領域121、122は、n型不純物拡散領域131を挟むように配置される。そのため、p型不純物拡散領域とn型不純物拡散領域が単位セル5内に分散して配置される。
【0029】
そのため、これらの不純物拡散領域を形成するためのイオン注入に用いるマスクのパターンが複雑になり、パターンを形成するためのリソグラフィが困難になる。また、リソグラフィの解像が困難になるため、パターンのエッジ部分に揺らぎが発生する。
【0030】
一方、本実施の形態の単位セル1においては、ロードトランジスタL1、L2は1つの活性領域を共有しておらず、p型不純物拡散領域21、22が素子分離領域2を挟んで隣接している。そのため、p型不純物拡散領域21、22、23がまとまって配置される。なお、ロードトランジスタL1、L2は、それぞれ単位セル1のW方向に隣接する他のSRAMセルのロードトランジスタと活性領域を共有する。
【0031】
具体的には、n型不純物拡散領域31、32、33、34、35、36のいずれも、p型不純物拡散領域21、22、23のうちの任意の2つの領域の間には位置しない。
【0032】
そのため、これらの不純物拡散領域を形成するためのイオン注入に用いるマスクのパターンが複雑にならず、比較的容易にリソグラフィを行うことができる。また、リソグラフィの解像が容易になるため、パターンのエッジ部分に揺らぎが発生するおそれが少ない。
【0033】
図2(a)、(b)は、不純物拡散領域を形成するためのイオン注入を行う領域を概略的に表す上面図である。点線で囲まれた領域3は、p型不純物が注入される領域を表す。領域3にp型不純物を注入することにより、p型不純物拡散領域21〜23が形成される。また、領域3以外の領域にn型不純物を注入することにより、n型不純物拡散領域31〜36が形成される。
【0034】
図2(a)は、ゲート電極11のロードトランジスタL1のゲートとして用いられる領域、およびゲート電極12のロードトランジスタL2のゲートとして用いられる領域にp型不純物を注入し、ゲート電極11のドライバトランジスタD1のゲートとして用いられる領域、およびゲート電極12のドライバトランジスタD2のゲートとして用いられる領域にn型不純物を注入する場合のイオン注入領域を表す。
【0035】
p型不純物拡散領域21、22、23がまとまって配置されているため、p型不純物を注入する領域である領域3が単純な形状を有し、また、領域3以外のn型不純物を注入する領域も単純な形状を有する。そのため、イオン注入のためのマスクパターンが単純になり、比較的容易にリソグラフィを行うことができる。
【0036】
図2(b)は、領域3が長方形であり、その輪郭がゲート電極11、12上にある場合のイオン注入領域を表す。この場合、イオン注入のためのマスクパターンがより単純な形状であるため、リソグラフィがより容易になる。
【0037】
なお、いずれの場合であっても、トランジスタの特性のばらつきを抑えるため、ゲート電極11、12が多結晶Siからなる場合は、ゲート電極11、12への不純物注入をゲート形状への加工前に行うことが好ましい。
【0038】
(実施の形態の効果)
実施の形態によれば、半導体のバンド間トンネルを利用した電界効果型トンネルトランジスタをドライバトランジスタD1、D2およびロードトランジスタL1、L2として用いることにより、SRAMの電源電圧を下げ、消費電力を下げることができる。
【0039】
また、p型不純物拡散領域21、22、23がまとまって配置されるため、不純物拡散領域を形成するためのイオン注入に用いるマスクのパターンを単純化することができる。それにより、比較的容易にリソグラフィを行うことができ、トランジスタ特性のばらつきを抑えることができる。なお、SRAMのレイアウトがこのような効果が得られるものであれば、単位セル1に含まれるトランジスタの数は6でなくてもよい。
【0040】
〔他の実施の形態〕
本発明は、上記実施の形態に限定されず、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施が可能である。また、発明の主旨を逸脱しない範囲内において上記実施の形態の構成要素を任意に組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0041】
1 単位セル、 11、12、13 ゲート電極、 21、22、23 p型不純物拡散領域、 31、32、33、34、35、36 n型不純物拡散領域 51、52 シェアードコンタクトプラグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上に形成されたSRAMセルと、
前記SRAMセルに含まれる、n型ソース領域とp型ドレイン領域を有する第1および第2のロードトランジスタと、
前記SRAMセルに含まれる、p型ソース領域とn型ドレイン領域を有する第1および第2のドライバトランジスタと、
前記SRAMセルに含まれる、n型ソース領域とn型ドレイン領域を有する第1および第2のトランスファトランジスタと、
を有し、
第1および第2のロードトランジスタの前記n型ソース領域、前記第1および第2のドライバトランジスタの前記n型ドレイン領域、ならびに前記第1および第2のトランスファトランジスタの前記n型ソース領域および前記n型ドレイン領域は、前記第1および第2のロードトランジスタの前記p型ドレイン領域ならびに前記第1および第2のドライバトランジスタの前記p型ソース領域のうちの任意の2つの領域の間以外の領域に位置する、半導体装置。
【請求項2】
前記第1および第2のロードトランジスタ、ならびに前記第1および第2のドライバトランジスタは、トンネルトランジスタである、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1および第2のロードトランジスタは1つの活性領域を共有しない、
請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1および第2のロードトランジスタは、それぞれ前記SRAMセルのワード線の長さ方向に隣接する他のSRAMセルのロードトランジスタと活性領域を共有する、
請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1のロードトランジスタの前記p型ドレイン領域と前記第2のロードトランジスタのゲート電極に接続される第1のシェアードコンタクトプラグと、
前記第2のロードトランジスタの前記p型ドレイン領域と前記第1のロードトランジスタのゲート電極に接続される第2のシェアードコンタクトプラグと、
をさらに有する、
請求項1〜4のいずれか1つに記載の半導体装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−84797(P2012−84797A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−231634(P2010−231634)
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】