説明

半導体記憶装置およびその製造方法

【課題】 従来の半導体記憶装置においては、メモリセルの電圧とリファレンスセルの電圧とが逆転することにより、誤判定が生じる。
【解決手段】 本発明の一実施形態に係る製造方法は、リファレンスセル41に隣接するようにダミーセル61〜61を形成する工程と、リファレンスセル41を覆うマスクを用いて、ダミーセル61〜61に不純物を注入する工程と、を含んでいる。ここで、不純物を注入する工程においては、リファレンスセル41にダミーセル61〜61から上記不純物が染み出すように、ダミーセル61〜61に上記不純物を注入することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体記憶装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体記憶装置に含まれるセンスアンプは、各メモリセルの微少な状態変化(電流、電位等の変化)を高速に大きな電位振幅として検出する回路である。センスアンプに求められる性能には、高速性、広い電圧・温度範囲、プロセスバラツキに対するマージン、電源ノイズマージン等がある。超高集積化が進んでいる現在、広い電圧・温度範囲、プロセスバラツキに対するマージンが減少し、その向上が求められている。
【0003】
従来の半導体記憶装置としては、例えば、特許文献1に記載されたものがある。同文献の半導体記憶装置は、マスクROM等の電源を切ってもメモリセルに記憶されたデータが保持される不揮発性半導体記憶装置である。この半導体記憶装置は、図4に示すように、メモリセル111と、選択セル11211,11221と、ワード線113と、カラム線114,114と、ワード線駆動回路115と、カラム選択回路116,116と、読出駆動部119と、バッファ120と、リファレンス部122と、センスアンプ123とを備えている。
【0004】
メモリセル111は、MOSトランジスタからなり、互いのゲートがワード線113を介して接続されるとともに、ワード線113を介してワード線駆動回路115の出力端に接続されている。
【0005】
選択セル11211は、MOSトランジスタからなり、互いのゲートがカラム線114を介して接続されるとともに、カラム線114を介してカラム選択回路116の出力端に接続されている。カラム選択回路116は、外部から供給されるアドレスを第1段階のデコーディングによりデコードした結果、当該カラム線114が選択された場合には、カラム線114にハイ(H)レベルの信号を印加する。これにより、選択セル11211は、ゲートにHレベルの信号が印加されるので、オンして、メモリセル111からデータを読み出すためのパスを形成する。
【0006】
選択セル11221は、MOSトランジスタからなり、互いのゲートがカラム線114を介して接続されるとともに、カラム線114を介してカラム選択回路116の出力端に接続されている。カラム選択回路116は、外部から供給されるアドレスを第2段階のデコーディングによりデコードした結果、当該カラム線114が選択された場合には、カラム線114にHレベルの信号を印加する。これにより、選択セル11221は、ゲートにHレベルの信号が印加されるので、オンして、メモリセル111からデータを読み出すためのパスを形成する。
【0007】
センスアンプ活性化信号は、外部からデータの読み出しの信号が供給されると、データ読み出しの開始を示すロー(L)レベルの信号が印加され、読出駆動部119、バッファ120およびリファレンス部122に供給する。
【0008】
読出駆動部119は、駆動トランジスタ131と、パス形成トランジスタ132と、パス遮断トランジスタ133と、ノア(NOR)ゲート134とを含んでいる。
【0009】
駆動トランジスタ131は、MOSトランジスタからなり、バッファ120の入力端にメモリセル111のオン状態またはオフ状態に応じた電圧を印加する。パス形成トランジスタ132は、MOSトランジスタからなり、ノアゲート134から供給されるHレベルの信号によりオンして、メモリセル111からデータを読み出すためのパスを形成する。パス遮断トランジスタ133は、MOSトランジスタからなり、センスアンプ活性化信号から供給されるHレベルの信号によりオンして、メモリセル111からデータを読み出すためのパスを遮断する。ノアゲート134は、その第1の入力端にセンスアンプ活性化信号が供給される。また、ノアゲート134は、その第2の入力端がパス形成トランジスタ132のソースと接続され、センスアンプ活性化信号から供給される信号およびパス形成トランジスタ132のソースの電圧がいずれもLレベルの場合に、Hレベルの信号を出力し、パス形成トランジスタ132をオンする。
【0010】
バッファ120は、パワーMOSトランジスタ135,136と、定電流源を構成するMOSトランジスタ137とを含んでいる。このバッファ120は、入力電圧を緩衝および増幅し、その出力電圧VD1をセンスアンプ123の第1の入力端に印加する。
【0011】
リファレンス部122は、リファレンスセル141,141と、選択セル14211,14212,14221,14222と、ワード線駆動回路143と、カラム選択回路144,144と、駆動トランジスタ145,145と、パス形成トランジスタ146,146と、パス遮断トランジスタ147,147と、ノアゲート148,148と、パワーMOSトランジスタ149,149,150,150と、定電流源を構成するMOSトランジスタ151,151とを含んでいる。
【0012】
リファレンスセル141,141は、メモリセル111と同一構造および同一特性のMOSトランジスタである。リファレンスセル141は、コードリン注入がされデプレッショントランジスタ状態、すなわちオン状態に予め設定されている。一方のリファレンスセル141は、コードリン注入がされていないエンハンストランジスタ状態、すなわちオフ状態に予め設定されている。
【0013】
選択セル14211,14212は選択セル11211と、選択セル14221,14222は選択セル11221と、ワード線駆動回路143はワード線駆動回路115と、カラム選択回路144はカラム選択回路116と、カラム選択回路144はカラム選択回路116と、駆動トランジスタ145,145は駆動トランジスタ131と、パス形成トランジスタ146,146はパス形成トランジスタ132と、それぞれ同一構造および同一特性である。
【0014】
同様に、パス遮断トランジスタ147,147はパス遮断トランジスタ133と、ノアゲート148,148はノアゲート134と、パワーMOSトランジスタ149,149,150,150はパワーMOSトランジスタ135,136と、MOSトランジスタ151,151はMOSトランジスタ137と、それぞれ同一構造および同一特性である。
【0015】
これは、センスアンプ123が差動増幅器により形成されているため、その第1の入力端に接続される負荷と、その第2の入力端に接続される負荷とをできるだけ等しくするためである。
【0016】
駆動トランジスタ145は、パワーMOSトランジスタ150のゲートにリファレンスセル141のオン状態に応じた電圧VRONを印加する。同様に、駆動トランジスタ145は、パワーMOSトランジスタ150のゲートにリファレンスセル141のオフ状態に応じた電圧VROFFを印加する。
【0017】
パワーMOSトランジスタ149,150と、定電流源を構成するMOSトランジスタ151とは、駆動トランジスタ145の出力電圧VRONを緩衝及び増幅する。一方、パワーMOSトランジスタ149,150と、定電流源を構成するMOSトランジスタ151とは、駆動トランジスタ145の出力電圧VROFFを緩衝および増幅する。すなわち、パワーMOSトランジスタ149,149,150,150と、MOSトランジスタ151,151とは、バッファ152を構成している。
【0018】
したがって、パワーMOSトランジスタ150のバッファの出力電流を電流Iとし、パワーMOSトランジスタ150の出力電流を電流Iとすると、MOSトランジスタ151,151それぞれによって構成される定電流源には、式(1)に示すように、電流Iと電流Iとを平均した電流Iが流れる。
=(I+I)/2…(1)
【0019】
これにより、センスアンプ123の第2の入力端には、式(2)に示すように、リファレンスセル141のオン状態に応じた電圧VRONと、リファレンスセル141のオフ状態に応じた電圧VROFFと中間の電圧Vが印加されることになる。
=(VRON+VROFF)/2…(2)
【0020】
センスアンプ123は、上述したように、差動増幅器からなり、バッファ120から供給される電圧とリファレンス部122から供給される電圧との差を検出・増幅してデータを外部に出力する。
【特許文献1】特許第3578661号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
しかしながら、かかる手法において、高集積化が進むにつれて各々のメモリセルピッチが狭くなると、上述の「同一構造および同一特性の」MOSトランジスタ、メモリセルが製造できなくなる。例として、図5を参照しつつ、マスクROMのメモリセル構成を説明する。
【0022】
図5は、図4のワード線駆動回路115、メモリセル111およびワード線113の部分の詳細な構成を示す模式図である。同図においては、ONセルを1重の円で示し、OFFセルを2重の円で示している。本例において、メモリセル111はOFFセルである。
【0023】
マスクROMにおけるONセルとOFFセルとは、上述のとおり、コードリンイオン注入により区別される。フォトレジスト(PR)にてONセルは開口させ、OFFセルは非開口にする。これにより、開口しているセルにはイオンが注入され、デプレッショントランジスタとなりONセルになる。一方、非開口セルはイオンが注入されずエンハンストランジスタとなりOFFセルとなる。
【0024】
ところが、高集積化進むにつれてメモリセルピッチが狭くなると、OFFセルであるメモリセル111に対して、隣接するONセル(メモリセル111〜111)からイオンが染み出すことが稀にある。すると、メモリセル111の閾値が下がり、高温時にセルのドレイン−ソース間にリーク電流が流れ、センスアンプ123が誤判定をする。このような現象は、同一のROM配置(ONセル、OFFセルの並び方)であってもランダムに発生する。そのため、センスアンプ123の第2の入力端に印加される電圧をVDONとVDOFFの中間に設定したとしても、誤判定が生じてしまう。
【0025】
この点について、図6を参照しつつ説明する。データの読み出しが開始されると、センスアンプ123の第1および第2の入力端にそれぞれ印加される電圧VD1および電圧Vは、選択セル11211,11221、選択セル14211,14221および選択セル14212,14222がオンするまでは、ほぼ同様な経過で上昇していく。次に、ワード線113以外にHレベルの信号が印加されるまでについても、電圧VD1および電圧Vは同様な経過で上昇していく(図中A参照)。そして、ワード線113以外にHレベルの信号が印加されると電圧Vについては、ワード線駆動回路143がダミーであるので変わらない傾斜で上昇していき、飽和状態となる(図中B参照)。
【0026】
一方、電圧VD1については、メモリセル111がONセルの場合は、下降していく(図中C参照)。メモリセルがOFFセル且つセルリークを発生しない場合は、さらに上昇していく(図中D参照)のに対し、メモリセルがOFFセル且つセルリークを発生する場合は、V近傍に落ち着く(図中E参照)。したがって、メモリセル111がOFFセル且つセルリークを発生する場合は、VD1とVのレベルが逆転し、誤判定が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明による半導体記憶装置の製造方法は、メモリセルの電圧とリファレンスセルの電圧とを比較することにより、上記メモリセルに記憶されたデータを読み出す半導体記憶装置を製造する方法であって、上記リファレンスセルのうちオフ状態とされるリファレンスセルに隣接するように、ダミーセルを形成する工程と、上記オフ状態とされるリファレンスセルを覆うマスクを用いて、上記ダミーセルに不純物を注入する工程と、を含み、上記不純物を注入する工程においては、上記オフ状態とされるリファレンスセルに上記ダミーセルから上記不純物が染み出すように、上記ダミーセルに上記不純物を注入することを特徴とする。
【0028】
この製造方法においては、リファレンスセルに隣接するダミーセルへの不純物注入時に、ダミーセルからリファレンスセルに不純物が染み出すようにしている。これにより、高温時に、リファレンスセルにリークが発生する。すると、リファレンスセルの電圧レベルが下がるため、メモリセルにリークが発生した場合であっても、メモリセルの電圧とリファレンスセルの電圧とが逆転するのを防ぐことができる。
【0029】
本発明による半導体記憶装置は、2つの素子分離領域の間に設けられ、第1の不純物濃度をもつ第1の領域と、上記第1の領域と上記素子分離領域の少なくとも一方との間に設けられ、上記第1の不純物濃度よりも高い第2の不純物濃度をもつ第2の領域と、を有するリファレンスセルを備えることを特徴とする。
【0030】
この半導体記憶装置においては、不純物濃度が比較的低い第1の領域と、不純物濃度が比較的高い第2の領域とがリファレンスセルに設けられている。これにより、高温時に、リファレンスセルにリークが発生する。このため、上述のとおり、メモリセルの電圧とリファレンスセルの電圧とが逆転するのを防ぐことができる。
【0031】
また、本発明による半導体記憶装置は、メモリセルに記憶されている情報を、基準となるリファレンスセルの情報と比較して読み出す半導体記憶装置であって、上記メモリセルは、第1のオフリーク特性を有し、上記リファレンスセルは、上記第1のオフリーク特性よりも大きい第2のオフリーク特性を有することを特徴とする。
【0032】
この半導体記憶装置においては、リファレンスセルが、メモリセルに比して大きなオフリーク特性を有している。これにより、高温時に、リファレンスセルにリークが発生する。このため、上述のとおり、メモリセルの電圧とリファレンスセルの電圧とが逆転するのを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、読出し時の誤判定確率が低減した半導体記憶装置およびその製造方法が実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、図面を参照しつつ、本発明による半導体記憶装置およびその製造方法の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0035】
図1は、本発明による半導体記憶装置の一実施形態を示す回路図である。半導体記憶装置1は、不揮発性半導体記憶装置であり、メモリセル11と、選択セル1211,1221と、ワード線13と、カラム線14,14と、ワード線駆動回路15と、カラム選択回路16,16と、読出駆動部19と、バッファ20と、リファレンス部22と、センスアンプ23とを備えている。
【0036】
メモリセル11は、MOSトランジスタからなり、互いのゲートがワード線13を介して接続されるとともに、ワード線13を介してワード線駆動回路15の出力端に接続されている。
【0037】
選択セル1211は、MOSトランジスタからなり、互いのゲートがカラム線14を介して接続されるとともに、カラム線14を介してカラム選択回路16の出力端に接続されている。カラム選択回路16は、外部から供給されるアドレスを第1段階のデコーディングによりデコードした結果、当該カラム線14が選択された場合には、カラム線14にHレベルの信号を印加する。これにより、選択セル1211は、ゲートにHレベルの信号が印加されるので、オンして、メモリセル11からデータを読み出すためのパスを形成する。
【0038】
選択セル1221は、MOSトランジスタからなり、互いのゲートがカラム線14を介して接続されるとともに、カラム線14を介してカラム選択回路16の出力端に接続されている。カラム選択回路16は、外部から供給されるアドレスを第2段階のデコーディングによりデコードした結果、当該カラム線14が選択された場合には、カラム線14にHレベルの信号を印加する。これにより、選択セル1221は、ゲートにHレベルの信号が印加されるので、オンして、メモリセル11からデータを読み出すためのパスを形成する。
【0039】
センスアンプ活性化信号は、外部からデータの読み出しの信号が供給されると、データ読み出しの開始を示すLレベルの信号が印加され、読出駆動部19、バッファ20およびリファレンス部22に供給する。
【0040】
読出駆動部19は、駆動トランジスタ31と、パス形成トランジスタ32と、パス遮断トランジスタ33と、ノアゲート34とを含んでいる。
【0041】
駆動トランジスタ31は、MOSトランジスタからなり、バッファ20の入力端にメモリセル11のオン状態またはオフ状態に応じた電圧を印加する。パス形成トランジスタ32は、MOSトランジスタからなり、ノアゲート34から供給されるHレベルの信号によりオンして、メモリセル11からデータを読み出すためのパスを形成する。パス遮断トランジスタ33は、MOSトランジスタからなり、センスアンプ活性化信号から供給されるHレベルの信号によりオンして、メモリセル11からデータを読み出すためのパスを遮断する。ノアゲート34は、その第1の入力端にセンスアンプ活性化信号が供給される。また、ノアゲート34は、その第2の入力端がパス形成トランジスタ32のソースと接続され、センスアンプ活性化信号から供給される信号およびパス形成トランジスタ32のソースの電圧がいずれもLレベルの場合に、Hレベルの信号を出力し、パス形成トランジスタ32をオンする。
【0042】
バッファ20は、パワーMOSトランジスタ35,36と、定電流源を構成するMOSトランジスタ37とを含んでいる。このバッファ20は、入力電圧を緩衝および増幅し、その出力電圧VD1をセンスアンプ23の第1の入力端に印加する。
【0043】
リファレンス部22は、リファレンスセル41,41と、選択セル4211,4212,4221,4222と、ワード線駆動回路43と、カラム選択回路44,44と、駆動トランジスタ45,45と、パス形成トランジスタ46,46と、パス遮断トランジスタ47,47と、ノアゲート48,48と、パワーMOSトランジスタ49,49,50,50と、定電流源を構成するMOSトランジスタ51,51とを含んでいる。
【0044】
リファレンスセル41,41は、メモリセル11と同一構造および同一特性のMOSトランジスタである。リファレンスセル41は、コードリン注入がされデプレッショントランジスタ状態、すなわちオン状態に予め設定されている。一方のリファレンスセル41は、コードリン注入がされていないエンハンストランジスタ状態、すなわちオフ状態に予め設定されている。
【0045】
選択セル4211,4212は選択セル1211と、選択セル4221,4222は選択セル1221と、ワード線駆動回路43はワード線駆動回路15と、カラム選択回路44はカラム選択回路16と、カラム選択回路44はカラム選択回路16と、駆動トランジスタ45,45は駆動トランジスタ31と、パス形成トランジスタ46,46はパス形成トランジスタ32と、それぞれ同一構造および同一特性である。
【0046】
同様に、パス遮断トランジスタ47,47はパス遮断トランジスタ33と、ノアゲート48,48はノアゲート34と、パワーMOSトランジスタ49,49,50,50はパワーMOSトランジスタ35,36と、MOSトランジスタ51,51はMOSトランジスタ37と、それぞれ同一構造および同一特性である。
【0047】
これは、センスアンプ23が差動増幅器により形成されているため、その第1の入力端に接続される負荷と、その第2の入力端に接続される負荷とをできるだけ等しくするためである。
【0048】
駆動トランジスタ45は、パワーMOSトランジスタ50のゲートにリファレンスセル41のオン状態に応じた電圧VRONを印加する。同様に、駆動トランジスタ45は、パワーMOSトランジスタ50のゲートにリファレンスセル41のオフ状態に応じた電圧VROFFを印加する。
【0049】
パワーMOSトランジスタ49,50と、定電流源を構成するMOSトランジスタ51とは、駆動トランジスタ45の出力電圧VRONを緩衝及び増幅する。一方、パワーMOSトランジスタ49,50と、定電流源を構成するMOSトランジスタ51とは、駆動トランジスタ45の出力電圧VROFFを緩衝および増幅する。すなわち、パワーMOSトランジスタ49,49,50,50と、MOSトランジスタ51,51とは、バッファ52を構成している。
【0050】
したがって、パワーMOSトランジスタ50のバッファの出力電流を電流Iとし、パワーMOSトランジスタ50の出力電流を電流Iとすると、MOSトランジスタ51,51それぞれによって構成される定電流源には、電流Iと電流Iとを平均した電流Iが流れる(式(1)参照)。
【0051】
これにより、センスアンプ23の第2の入力端には、リファレンスセル41のオン状態に応じた電圧VRONと、リファレンスセル41のオフ状態に応じた電圧VROFFと中間の電圧Vが印加されることになる(式(2)参照)。
【0052】
センスアンプ23は、上述したように、差動増幅器からなり、バッファ20から供給される電圧とリファレンス部22から供給される電圧との差を検出・増幅してデータを外部に出力する。
【0053】
図2は、半導体記憶装置1のワード線駆動回路43、リファレンスセル41およびワード線53の部分の詳細な構成を示す模式図である。同図においては、ONセルを1重の円で示し、OFFセルを2重の円で示している。本例において、リファレンスセル41はOFFセルである。
【0054】
リファレンスセル41の周囲には、ダミーセル61〜61が配置されている。これらのダミーセル61〜61は、リファレンスセル41に隣接している。ワード線駆動回路43の出力はワード線53を介して各セルのゲートと接続されている。また、各セルのドレインは下段セルのソースと接続され、最下段のセルのソースは接地されている。最上段のセルのドレインは、選択セル4222(図1参照)のソースへ接続されている。
【0055】
次に、本発明による半導体記憶装置の製造方法の一実施形態として、半導体記憶装置1の製造方法を説明する。この製造方法は、リファレンスセル41に隣接するようにダミーセル61〜61を形成する工程と、リファレンスセル41を覆うマスクを用いて、ダミーセル61〜61に不純物を注入する工程と、を含んでいる。ここで、不純物を注入する工程においては、リファレンスセル41にダミーセル61〜61から上記不純物が染み出すように、ダミーセル61〜61に上記不純物を注入することを特徴とする。なお、上記不純物としては、例えばリンイオンが挙げられる。
【0056】
具体的には、図7に示すように、上記マスクにおけるダミーセル61〜61に対応する開口(点線L1で示す)を、メモリセルのうちオン状態とされるメモリセルに対応する開口(参考として、点線L2で示す)よりも開口面積が大きくなるように設計する。同図において、上側はリファレンスセルアレイの平面図を、下側はそのA−A線に沿った断面図を示している。図からわかるように、拡散層72および素子分離領域74の延在方向と垂直な方向に沿ってワード線53が延びている。
【0057】
上述のとおりダミーセル61〜61に対応する開口を大きく設計することにより、不純物注入時に、矢印A1で示すように、ダミーセル61〜61の開口から注入された不純物がリファレンスセル41の拡散層に達する。これにより、点線C1で囲んだ領域で染み出しが発生する。かかる染み出しが発生する結果、リファレンスセル41は、2つの素子分離領域74の間に設けられ、第1の不純物濃度をもつ第1の領域と、第1の領域と素子分離領域74の少なくとも一方との間に設けられ、第1の不純物濃度よりも高い第2の不純物濃度をもつ第2の領域(不純物の染み出しが発生した領域)と、を有することとなる。ここで、リファレンスセル41の両側のダミーセル61,61の不純物濃度は、上記第2の不純物濃度以上である。また、半導体記憶装置1において、メモリセル11は第1のオフリーク特性を有し、リファレンスセル41は第1のオフリーク特性よりも大きい第2のオフリーク特性を有することとなる。
【0058】
これに対して、ダミーセル61〜61の開口の大きさをメモリセルの開口と等しくした場合には、矢印A2で示すように、ダミーセル61〜61の開口から注入された不純物がリファレンスセル41の拡散層に達しないため、染み出しが発生しない。
【0059】
また、拡散層72および素子分離領域74の延在方向について見ても、図8に示すように、ダミーセル61〜61からリファレンスセル41への不純物の染み出しが起こる。同図において、左側はリファレンスセルアレイの平面図を、右側はそのB−B線に沿った断面図を示している。なお、図7および図8のリファレンスセルアレイに対応する回路図は、図9に示すとおりである。
【0060】
続いて、本実施形態の効果を説明する。本実施形態においては、ダミーセル61〜61への不純物注入時に、ダミーセル61〜61からリファレンスセル41に不純物が染み出すようにしている。これにより、高温時に、リファレンスセル41にリークが発生する。すると、リファレンスセル41の電圧レベルが下がるため、メモリセルにリークが発生した場合であっても、メモリセルの電圧とリファレンスセルの電圧とが逆転するのを防ぐことができる。
【0061】
この点について、図3を参照しつつ説明する。データの読み出しが開始されると、センスアンプ23の第1および第2の入力端にそれぞれ印加される電圧VD1および電圧Vは、選択セル1211,1221、選択セル4211,4221および選択セル4212,4222がオンするまでは、ほぼ同様な経過で上昇していく。次に、ワード線13以外にHレベルの信号が印加されるまでについても、電圧VD1および電圧Vは同様な経過で上昇していく(図中A参照)。
【0062】
ワード線53以外にHレベルの信号が印加されると電圧Vについては、リファレンスセル41にリークが発生し、選択セルへの接続点F(図2参照)の電位が下がり、結果としてVは図3中のGに示すようになる。一方、電圧VDnについては、メモリセル11がONセルの場合は、下降していく(図中C参照)。メモリセル11がOFFセル且つセルリークを発生しない場合は、さらに上昇していく(図中D参照)のに対し、メモリセル11がOFFセル且つセルリークを発生する場合は、図中のEに示すようになる。したがって、 メモリセルがOFFセル且つセルリークを発生する場合でも、VDnとVのレベルが逆転することはなく、正常に判定されるのである。また、高温以外では、リーク電流は発生しないため、VDnとVも電圧降下はなく、安定動作を行う。
【0063】
また、上述したように、センスアンプ23の第2の入力端に、リファレンスセル41のオン状態に応じた電圧VRONと、リファレンスセル41のオフ状態に応じた電圧VROFFとの中間の電圧Vが印加されるので、電圧Vは、常に、メモリセル11がオン状態にある場合の電圧VDONと、メモリセル11がオフ状態である場合の電圧VDOFFとの中間に自動的に設定される。これにより、メモリセル11のオン状態およびオフ状態を検出するマージンをいずれも充分に確保することができる。
【0064】
本発明による半導体記憶装置およびその製造方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態に係る製造方法は、メモリセル11に接続されるワード線よりも細くなるように、オフ状態とされるリファレンスセル41に接続されるワード線を形成する工程を含んでいてもよい。こうすることにより、選択リファレンスセル41のドレイン−ソース間の実効L寸法が細くなり、イオン注入時に染み出しが発生する。よって、高温時に必ずセルリークを発生させることができる。
【0065】
また、不純物を注入する工程においては、メモリセルのうちオン状態とされるメモリセルよりも高いドーズ量で、ダミーセル61〜61に上記不純物を注入してもよい。こうすることにより、選択リファレンスセル41に対して、ダミーセル61〜61から染み出しが発生する。よって、高温時に必ずセルリークを発生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明による半導体記憶装置の一実施形態を示す回路図である。
【図2】図1の半導体記憶装置のワード線駆動回路、リファレンスセルおよびワード線の部分の詳細な構成を示す模式図である。
【図3】実施形態に係る製造方法の効果を説明するためのグラフである。
【図4】従来の半導体記憶装置を示す回路図である。
【図5】図4の半導体記憶装置のワード線駆動回路、メモリセルおよびワード線の部分の詳細な構成を示す模式図である。
【図6】従来の半導体記憶装置の課題を説明するためのグラフである。
【図7】実施形態に係る製造方法を説明するための平面図および断面図である。
【図8】実施形態に係る製造方法を説明するための平面図および断面図である。
【図9】図7および図8に示すリファレンスセルアレイに対応する回路図である。
【符号の説明】
【0067】
1 半導体記憶装置
11 メモリセル
1211,1221 選択セル
13 ワード線
14,14 カラム線
15 ワード線駆動回路
16,16 カラム選択回路
19 読出駆動部
20 バッファ
22 リファレンス部
23 センスアンプ
41,41 リファレンスセル
4211,4212,4221,4222 選択セル
43 ワード線駆動回路
44,44 カラム選択回路
45,45 駆動トランジスタ
45 駆動トランジスタ
45 駆動トランジスタ
46,46 パス形成トランジスタ
47,47 パス遮断トランジスタ
48,48 ノアゲート
52 バッファ
53 ワード線
61〜61 ダミーセル
72 拡散層
74 素子分離領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリセルの電圧とリファレンスセルの電圧とを比較することにより、前記メモリセルに記憶されたデータを読み出す半導体記憶装置を製造する方法であって、
前記リファレンスセルのうちオフ状態とされるリファレンスセルに隣接するように、ダミーセルを形成する工程と、
前記オフ状態とされるリファレンスセルを覆うマスクを用いて、前記ダミーセルに不純物を注入する工程と、を含み、
前記不純物を注入する工程においては、前記オフ状態とされるリファレンスセルに前記ダミーセルから前記不純物が染み出すように、前記ダミーセルに前記不純物を注入することを特徴とする半導体記憶装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体記憶装置の製造方法において、
前記マスクにおける前記ダミーセルに対応する開口は、前記メモリセルのうちオン状態とされるメモリセルに対応する開口よりも開口面積が大きい、半導体記憶装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の半導体記憶装置の製造方法において、
前記メモリセルに接続されるワード線よりも細くなるように、前記オフ状態とされるリファレンスセルに接続されるワード線を形成する工程を含む、半導体記憶装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1に記載の半導体記憶装置の製造方法において、
前記不純物を注入する工程においては、前記メモリセルのうちオン状態とされるメモリセルよりも高いドーズ量で、前記ダミーセルに前記不純物を注入する、半導体記憶装置の製造方法。
【請求項5】
2つの素子分離領域の間に設けられ、第1の不純物濃度をもつ第1の領域と、
前記第1の領域と前記素子分離領域の少なくとも一方との間に設けられ、前記第1の不純物濃度よりも高い第2の不純物濃度をもつ第2の領域と、を有するリファレンスセルを備えることを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項6】
請求項5に記載の半導体記憶装置において、
前記リファレンスセルの両側に設けられたダミーセルを備え、
前記ダミーセルの不純物濃度は、前記第2の不純物濃度以上である半導体記憶装置。
【請求項7】
メモリセルに記憶されている情報を、基準となるリファレンスセルの情報と比較して読み出す半導体記憶装置であって、
前記メモリセルは、第1のオフリーク特性を有し、
前記リファレンスセルは、前記第1のオフリーク特性よりも大きい第2のオフリーク特性を有することを特徴とする半導体記憶装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−53229(P2007−53229A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−237235(P2005−237235)
【出願日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願人】(302062931)NECエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】