説明

半嵌合防止コネクタ

【課題】CPAとパッキンを持つコネクタにショートばねが加わっても、また、端子極数が多極になった場合にもショートばねの短絡解除時の挿入力がそれほど高くならず、しかも半嵌合防止を従来通り満足することができる半嵌合防止コネクタを提供する。
【解決手段】オスコネクタ10と、メスコネクタ20と、メスコネクタ20の外側にスライド可能に取り付けられたCPA30とを備え、さらにオスコネクタ10がオスビーク10Lと、ショートばね10Sおよび端子10Tとを備え、メスコネクタ20がオスビーク10Lを乗り越えるメスロック20Lと、ショートばね10Sおよび端子10Tとの間へ挿入される短絡解除板部20Sとを備えたコネクタにおいて、オスビーク10Lの先端部に引き込み傾斜面Leを形成したことにより、メスロック20Lが引き込み傾斜面Leで推進力を得て、これが短絡解除板部20Sの挿入力を軽減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半嵌合防止のコネクタに関するもので、特にショートバネやパッキンを構成に含みかつ半嵌合防止機能を持たせたコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
オスコネクタハウジングとメスコネクタハウジング相互の中途嵌合状態を検知する半嵌合防止機能を持たせたコネクタは知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
(特許文献1記載の発明の目的と構成)
特許文献1記載の発明は、嵌合検知部材がメスコネクタハウジングに対してスライド移動する際に、嵌合作業をしている作業者の手指によってメスコネクタハウジングが押さえられた場合、嵌合できなくなるといった作業ミスを誘発することのないようにした発明で、具体的には、可撓ロックアームを有するコネクタハウジングと、嵌合方向に沿ってスライド移動可能にコネクタハウジングの外周に嵌合する筒状の検知部材本体と、可撓ロックアームとの係合によって検知部材本体を初期位置に規制する位置決め係止部とを有する嵌合検知部材と、を備え、嵌合検知部材には、嵌合時にコネクタハウジングの少なくとも可撓ロックアームを押圧しないように支持可能な指当て部が形成されるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−241275号公報
【0005】
(特許文献1記載の発明の問題点)
特許文献1記載のコネクタは、CPA(嵌合位置保障ロック)とパッキンだけを持つコネクタなので上記の半嵌合防止機能の効果を発揮したが、これに更にショートばねを含む構成が加わると、ショートばねへの短絡解除板部の挿入時に挿入力が高くなってしまうという問題点があった。
さらに、端子極数が多極になった場合にも挿入力が高くなる、という問題点もあった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記欠点を解決するためになされたもので、CPAとパッキンを持つコネクタが、さらに、ショートばねを含む構成になっても、挿入力が高くならないように、さらに、端子極数が多極になった場合にも挿入力が高くならないようにしたコネクタを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本願第1発明は、オスコネクタと、前記オスコネクタと嵌合するメスコネクタと、前記メスコネクタの外側にスライド可能に取り付けられた嵌合位置保障ロック(CPA)と、を備えたコネクタであって、前記オスコネクタが、オスビークと、ショートばねおよび端子と、を備え、前記メスコネクタが、前記オスビークを乗り越えるメスロックと、前記ショートばねと前記端子との間へ挿入される短絡解除板部と、を備え、前記オスビークの先端部に引き込み傾斜面を形成したことにより、前記メスロックが前記引き込み傾斜面に差しかかったとき前記メスロックが元に戻ろうとする復元力がコネクタ嵌合の推進力となって、前記ショートばねと前記端子との間への前記短絡解除板部の挿入力を軽減することを特徴としている。
また、本願第2発明は、第1発明において、前記オスビークおよび前記メスロックを乗り越えるCPAロックを前記CPAが備え、かつ、前記メスロックの先端部に先端傾斜面を形成したことにより、前記CPAロックが前記先端傾斜面に差しかかったとき元に戻ろうとする復元力を推進力としてワンアクション性を確保することを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
第1発明によれば、CPAとパッキンを持つコネクタがさらにショートばねを持っても、挿入力がそれほど高くならず、しかも半嵌合防止を満足することができるようになる。
第2発明によれば、CPAロックが先端の傾斜面に差しかかったとき、メスロックが元に戻ろうとする復元力が推進力となって、ワンアクション性を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は本発明に係るオスメスコネクタの嵌合前の縦断面図である。
【図2】図2はコネクタの嵌合開始(2)と嵌合途中(3)の縦断面図である。
【図3】図3はコネクタのメスロックが引き込みテーパにきたとき(4)とオスビークの先端に係合したとき(5)の縦断面図である。
【図4】図4はコネクタのCPAロックが先端テーパにきたとき(6)と完全嵌合が完了したときの縦断面図である。
【図5】図5はオスビークの形状を説明する縦断面図で、(A)は本発明に係るオスビーク10L、(B)は従来品のオスビーク10L’である。
【図6】図6はメスロックの形状を説明する縦断面図で、(A)は本発明に係るメスロック20L、(B)は従来品のメスロック20L’である。
【図7】図7はコネクタの嵌合開始から完了までの各部材の挿入力の推移を示すグラフで、図7(A)は本発明に係るコネクタのもの、図7(B)は従来のコネクタのものである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、ショートばねを持っても、さらに、端子極数が多極になった場合にも挿入力が高くならず、しかも半嵌合防止機能をも満足することができる本発明に係るコネクタについて、図面を用いて説明する。
【0011】
〈本発明が対象とするコネクタの3構成要素〉
図1は本発明に係るコネクタの嵌合前の縦断面図である。
本発明に係るコネクタは、大きく分けて、第1コネクタ(例えば、オスコネクタ)10と、第1コネクタと嵌合する第2コネクタ(例えば、メスコネクタ)20と、メスコネクタ20の外側にスライド可能に取り付けられたCPA(嵌合位置保障ロック)30とから構成されている。
以下、オスコネクタ10、メスコネクタ20、CPA30について順次説明する。
【0012】
〈オスコネクタ10の構成〉
オスコネクタ10は、オスハウジング10Hと、このオスハウジング10Hの内部空間にオスコネクタ端子10Tと、オスコネクタ端子10Tと接離可能なショートばね10Sとを備えている。
【0013】
《オスハウジング10H》
オスハウジング10Hにはメスロック20Lが乗り越えて係止するための縦断面がノコギリ歯状をした突起であるオスビーク10Lが設けられている。
【0014】
《オスビーク10Lの機能》
オスビーク自体は、従来より、図5(B)のような形状のもの10L’が公知である。
図5はオスビーク近傍を表す縦断面図で、(A)は本発明のもの、(B)は従来品のものである。従来品のオスビーク10L’(図5(B))は、メスロック20L’が乗り越える傾斜面Sと、メスロック20L’が乗り越えた後係止する垂直面Vとから成っている。
傾斜面Sは、メスロック20L’が乗り越えようとしている最中(半嵌合状態)に操作の手を離すと、メスロック20L’の反発力によってコネクタを元の位置に戻るようにするため傾斜面であり、これによって半嵌合が防止される。
そして、メスロック20L’が傾斜面Sを乗り越えてしまうと、メスロック20L’は垂直面Vに係止し、操作の手を離してもコネクタはもう元の位置には戻らなく成る(完全嵌合状態)。従来品のオスビーク10L’は傾斜面Sと垂直面Vを備えているので、半嵌合防止機能を備えている。
本発明のオスビーク10L(図5(A))も、従来品と同じくメスロック20Lが乗り越える傾斜面Sと、メスロック20Lが乗り越えた後係止する垂直面Vとを備えているので、半嵌合防止機能を備えている。
さらに、本発明のオスビーク10Lは引き込み傾斜面Leを備えているのが特徴である。
【0015】
《引き込み傾斜面Le》
引き込み傾斜面Leは、図5(A)に示すように、メスロック20Lが乗り越える傾斜面Sと垂直面Vの交差する部位近傍の傾斜面Sから近傍の垂直面Vに向けて形成される斜面である。この引き込み傾斜面Leにメスロック20Lが差しかかったときメスロック20Lが元に戻ろうとする復元力が発生し、これが推進力となってコネクタ挿入力を減ずる機能が得られる(この機能についてはショートばね10Sの説明後に再度説明する。)。
【0016】
《オスコネクタ端子10T》
オスコネクタ端子10T(図1)は、オスコネクタ10が相手側のメスコネクタ20と嵌合した状態で、メスコネクタ20のメスコネクタ端子20T(図1)の間に挿入されて、電気的接続がなされる(図4(7)参照)。このとき、コネクタ端子同士が摩擦接触するので挿入力が必要となる。図7はコネクタの嵌合開始から完了までの各部材の挿入力の推移を示すグラフで、図7(A)は本発明に係るコネクタのもの、図7(B)は従来のコネクタのものである。コネクタ端子の挿入力はFtで表されている。コネクタ端子の挿入力Ftは、本発明に係るコネクタも従来のコネクタも同じ推移を示し、最初挿入力が徐々に増加し、あるところから一定になり、最後ゼロとなる。
【0017】
《ショートばね10S》
ショートばね10Sは、オスコネクタ10がメスコネクタ20と嵌合していない状態(図1参照)では、オスコネクタ端子10Tと接触しているが、オスコネクタ10が相手側のメスコネクタ20と嵌合した状態(例えば、図4(7)参照)では、メスコネクタ20側の短絡解除板部20Sがショートばね10Sとオスコネクタ端子10Tとの間に挿入するので、オスコネクタ端子10Tとの接続が解除される。
短絡解除板部20Sがショートばね10Sとオスコネクタ端子10Tとの間に挿入する際に大きな挿入力が必要となる。図7(A)および(B)において、ショートばねの挿入力はFcで表されている。コネクタ端子の挿入力Ftは、本発明に係るコネクタも従来のコネクタも同じ推移を示し、最初挿入力が急増し、ピークから急減し、最後ゼロとなる。
このようにコネクタ端子挿入力Ftが急増する際に、本発明によればこの急増分を打ち消す方向に慣性力を発生させる(後述)ことで、全体の挿入力を従来品よりも小さくしたのである。
【0018】
〈メスコネクタ20の構成〉
メスコネクタ20は、メスハウジング20Hと、このメスハウジング20Hの内部空間にメスコネクタ端子20Tと、メスハウジング20Hの外側にCPA30がスライド可能に取り付けられている。
【0019】
《メスハウジング20H》
メスハウジング20Hはオスハウジング10Hの内部空間に挿入されてオスハウジング10Hと嵌合する。ハウジング同士の挿入力は、図7(A)および(B)において、Fhで表されている。ハウジング同士の挿入力Fhは最初から挿入力が大きく増加し、ピークに達する。このピークに達するまでは図7(A)も(B)も同じである。ピークに達した後は、本発明に係るコネクタは従来のコネクタと大きく異なる(後述)。
また、メスハウジング20Hには次のようなメスロック20Lが片持ち支持状態に設けられている。
【0020】
《メスロック20L》
片持ち支持状態に設けられたメスロック20Lの先端は、オスハウジング10Hに設けられた縦断面ノコギリ歯状をしたオスビーク10Lの傾斜面を乗り越えていき、最終的に傾斜面を乗り越えてオスビーク10Lの垂直面と係止する。
メスロック20Lはオスビーク10Lの傾斜面Sを乗り越えようとしている最中(半嵌合状態の図2(3)参照)に操作の手を離すとメスロック20Lの反発力によってコネクタを元の位置に戻り(半嵌合防止機能)、メスロック20Lが傾斜面Sを乗り越えてしまうと垂直面Vに係止してしまい、操作の手を離してもコネクタはもう元の位置には戻らなく成る(完全嵌合状態の図4(7)参照)。
【0021】
〈オスビーク10Lの引き込み傾斜面Leとメスロック20Lの協働機能〉
メスロック20L(図5(A))が、本発明によって形成された引き込み傾斜面Le(図5(A))に差しかかると、メスロック20Lが元に戻ろうとする復元力が推進力となって、ショートばね10Sの挿入時に必要とされる大きな挿入力を打ち消すように働く。
【0022】
《本発明に係るメスロック20Lの形状》
さらに、メスロック20Lは本発明によって先端に斜面が形成されている。
図6はメスロック20Lの形状を説明する縦断面図で、(A)は本発明に係るメスロック20L、(B)は従来品のメスロック20L’である。従来品のメスロック20L’は嵌合方向の先端部が角ばっているのに対して、本発明に係るメスロック20Lは、図6(A)に示すように、先端部が傾斜をした先端テーパLsが形成されている点が特徴である。この先端テーパLsにCPAロック30Lが差しかかったときCPAロック30Lが元に戻ろうとする復元力が発生し、こ復元力が推進力となってコネクタ挿入力を減ずる機能が得られる(この機能についてはCPAロック30Lの説明後に再度説明する。)。
【0023】
《メスコネクタ端子20T》
メスコネクタ端子20T(図1)は、オスコネクタ10側のオスコネクタ端子10Tを挿入させるため互いに対向する2つの端子構造となっている。したがって、オスコネクタ10がメスコネクタ20と嵌合した状態ではオスコネクタ端子10Tがメスコネクタ端子20T(図1)の間に挿入されて、電気的接続がなされる(図4(7)参照)。端子同士の挿入力Ftについては既述したとおりである。
【0024】
〈CPA30の構成〉
CPA30は、オスコネクタ10とメスコネクタ20が嵌合した状態でメスロック20Lがオスビーク10Lを乗り越えて係止しているが、何らかの拍子にメスロック20Lがオスビーク10Lとの係止から外れてしまうことがあるのを防止するために設けられたもので、CPAロック30Lがメスロック20Lの上を覆って戻らないようにしている。
【0025】
〈メスロック20Lの先端テーパLsとCPAロック30Lの協働機能〉
メスロック20Lは、図6(A)で説明したように、嵌合ピークから離れた部分で荷重が上がらないように先端テーパLsを設けており、CPAロック30Lが先端テーパLsに差しかかると、CPAロック30Lが元に戻ろうとする復元力が推進力となって、ワンアクション性を確保している。
これに対して、図6(B)の従来品では先端テーパLsがなくて上り傾斜面がまだ続いているため、CPAロック30Lがメスロック20Lの上り傾斜面を登っていくときは大きな挿入力が必要となり、挿入フィーリングが2段階で生じてしまいワンアクション性が得られない。したがって、スムーズな挿入ができない。
【0026】
〈本発明に係るコネクタの総合挿入力の推移〉
以上の説明を纏めて、嵌合開始から嵌合完了までの本発明に係るコネクタの総合挿入力の推移について、図7(A)のグラフを用いて説明する。
図7(A)は嵌合開始から嵌合完了までの本発明に係るコネクタの総合挿入力の推移を示すグラフである。Fhはハウジングの挿入力の推移、Ftは端子の挿入力の推移、FcはCPAの挿入力の推移、Fsはショートばねの挿入力の推移をそれぞれ表している。また、図7(B)は嵌合開始から嵌合完了までの従来品のコネクタの総合挿入力の推移を示すグラフである。
【0027】
《(1)嵌合前》
オスハウジング10とメスハウジング20がまだ互いに離れている状態(図1(1)参照)である。
【0028】
《(2)嵌合開始:ハウジング挿入力Fhのみ》
ハウジング同士の嵌合を開始した初期(図2(2))は、まだオス端子10Tがメス端子20Tに挿入する前なので端子の挿入力Ftは発生していなくて、オスハウジング10Hとメスハウジング20Hとの摩擦による挿入力Fhだけが増加している。したがって、総合挿入力FAはハウジング挿入力Fhだけである。
【0029】
《(3)嵌合途中:半嵌合防止機能》
嵌合を続ける(図2(3))と、メスロック20Lがオスビーク10Lに差しかかって持ち上げられる。オス端子10Tがメス端子20Tに挿入開始し、挿入が進むにつれて摩擦力が増加し、端子の挿入力Ftは増加していく。
また、CPAロック30Lはオスビーク10Lに差しかかったばかりでCPAロックの挿入力Fcはまだわずかであるが、挿入力Fcはこれから急激に増加していく。
このとき手を離すと、メスロック20Lの大きな反発力によりメスコネクタ20は元に戻る(半嵌合防止)。この半嵌合防止機能は従来技術である。
【0030】
《(4)メスロック20Lが引き込み傾斜面Leに:ショートばね挿入力Fsの打消し》
さらに嵌合を続ける(図3(4))と、メスロック20Lがオスビーク10Lを登りきり、本発明によって設けられた引き込み傾斜面(図5(A))に差しかかると、メスロック20Lが元に戻ろうとする復元力がコネクタ嵌合の推進力となりハウジング挿入力Fhは負の方向に大きく向かって、この間の端子挿入力Ftとショートばね挿入力Fsを打ち消すようになる。このショートばね挿入力Fs打ち消し機能が本発明の効果Aである。
これに対して、引き込み傾斜面のない従来品であるオスビーク10L’(図5(B))では、メスロック20Lが元に戻ろうとする力が発生しないため、総合挿入力FBのピークP’はそれまでのピークPよりもさらに高くなってしまう。
【0031】
《(5)嵌合前》
さらに嵌合は続き(図3(5))、メスロック20Lがオスビーク10Lの先端に係合するときの慣性力でCPAロック30Lが前方向に動き、オスビーク10Lを登りきる。このように慣性力でCPAロック30Lのオスビーク10Lを登るようにして、半嵌合を防止する技術は従来技術でもある。
【0032】
《(6)CPAロック30Lが先端テーパLsに:ワンアクション性》
さらに嵌合が続き(図4(6))、CPAロック30Lが嵌合ピークP(図7(A))から離れた部分T(図7(A))で荷重が上がらないようにするため、本発明によってメスロック20Lに設けられた先端テーパLs(図5(A))にCPAロック30Lが差しかかると、ここからCPAロック30Lが元に戻ろうとする復元力が発生し、この復元力が推進力となりCPAロック挿入力Fcは大きく負の方向に下がり、総合挿入力FAは低く抑えられ、ワンアクション性が確保される。このワンアクション性の確保が本発明の効果Bである。
これに対して、先端テーパLsのない従来品であるメスロック20L’(図5(B))では、CPAロック30Lが元に戻ろうとする力が発生しないため、総合挿入力FAは高くなり、ツーアクションとなり、スムーズな挿入ができない。
【0033】
《(7)嵌合前》
このようにして、半嵌合状態が排除されて、完全嵌合が完了する(図4(7))。
【0034】
〈まとめ〉
以上、本願第1発明によれば、引き込み傾斜面を設けたことにより、CPAとパッキンを持つコネクタにショートばねが加わっても、さらに、端子極数が多極になった場合にも、引き込み傾斜面に差しかかったメスロックに元に戻ろうとする復元力が発生し、この復元力が推進力となってショートばねの短絡解除時の挿入力を低減させるので、全体の挿入力がそれほど高くならず、しかも半嵌合防止も従来通り機能することができる。
さらに、本願第2発明によれば、先端テーパLsを設けたことにより、先端テーパLsに差しかかったCPAロックに元に戻ろうとする復元力が推進力となってワンアクション性が確保される。
【符号の説明】
【0035】
10 オスコネクタ
10L オスビーク
10S ショートばね
10T オス端子
20 メスコネクタ
20L メスロック
20S 短絡解除板部
20T メス端子
30 CPA
30L CPAロック
Le 引き込み傾斜面
Ls 先端テーパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1コネクタ(オスコネクタ)と、前記第1コネクタと嵌合する第2コネクタ(メスコネクタ)と、前記メスコネクタの外側にスライド可能に取り付けられた嵌合位置保障ロック(CPA)と、を備えたコネクタであって、
前記第1コネクタが、オスビークと、ショートばねおよび端子と、を備え、
前記第2コネクタが、前記オスビークを乗り越えるメスロックと、前記ショートばねおよび前記端子との間へ挿入される短絡解除板部と、を備え、
前記オスビークの先端部に引き込み傾斜面を形成したことにより、前記メスロックが前記引き込み傾斜面に差しかかったとき前記メスロックが元に戻ろうとする復元力がコネクタ嵌合の推進力となって、前記ショートばねと前記端子との間への前記短絡解除板部の挿入力を軽減することを特徴とする半嵌合防止コネクタ。
【請求項2】
前記CPAが、前記オスビークおよび前記メスロックを乗り越えるCPAロックを備え、
かつ、前記メスロックの先端部に先端傾斜面を形成したことにより、
前記CPAロックが前記先端傾斜面に差しかかったとき元に戻ろうとする復元力を推進力としてワンアクション性を確保することを特徴とする請求項1記載の半嵌合防止コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−64461(P2012−64461A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−208267(P2010−208267)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】