半田付けパレット
【課題】本発明は、電子部品をプリント配線基板に半田付け実装する際、プリント配線基板の表面に亀裂等の破損が生じない、品質の良いプリント配線基板装置を提供することを課題とする。
【解決手段】プリント配線基板上に形成された貫通孔に電子部品のリード端子を挿入し、前記プリント配線基板をフロー半田槽に搬送することにより、前記電子部品のリード端子と、前記貫通孔の周囲のランドとを半田付け実装する際に用いる、プリント配線基板の半田付け用パレットにおいて、前記パレットの先端は、前記フロー半田槽に搬送する搬送方向に対し、略V字状に形成することを特徴とする。かかる構成により、電子部品をプリント配線基板に半田付け実装する際、フロー半田槽に浮遊する半田の酸化物が付着することが無く、品質の良いプリント配線基板装置を提供できる。
【解決手段】プリント配線基板上に形成された貫通孔に電子部品のリード端子を挿入し、前記プリント配線基板をフロー半田槽に搬送することにより、前記電子部品のリード端子と、前記貫通孔の周囲のランドとを半田付け実装する際に用いる、プリント配線基板の半田付け用パレットにおいて、前記パレットの先端は、前記フロー半田槽に搬送する搬送方向に対し、略V字状に形成することを特徴とする。かかる構成により、電子部品をプリント配線基板に半田付け実装する際、フロー半田槽に浮遊する半田の酸化物が付着することが無く、品質の良いプリント配線基板装置を提供できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品をプリント配線基板に半田付けする際に用いる半田付けパレットに関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線基板に形成された多数のスルーホールに電子部品のリードを挿入した後、プリント配線基板をフロー半田槽に投入し、プリント配線基板に電子部品を半田付けするフロー半田付けが一般に行われている(例えば、特許文献1〜4参照)。また、かかるフロー半田付けを行うに際し、プリント配線基板を半田付けパレットに保持する技術が開示されている(例えば、特許文献5〜12参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−101226号公報
【特許文献2】特開2002−190667号公報
【特許文献3】特開2003−347720号公報
【特許文献4】特開2009−059920号公報
【特許文献5】特開2002−190667号公報
【特許文献6】特開2005−072441号公報
【特許文献7】特開2005−317691号公報
【特許文献8】特開2006−032693号公報
【特許文献9】特開2007−109699号公報
【特許文献10】特開2007−173442号公報
【特許文献11】特開2008−235456号公報
【特許文献12】特開2009−060006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フロー半田層に投入前のプリント配線基板は、常温(室温)である。この常温のプリント配線基板の裏面は、フロー半田槽の溶融半田が高温(約200℃)であるため、フロー半田層の溶融半田に近づくにつれ徐々に温度が上がり、溶融半田と接触する直前には約150℃になる。その後、プリント配線基板の裏面は、溶融半田と接触し約200℃に加熱される。
【0005】
しかし、プリント配線基板の裏面が溶融半田に接触した時、プリント配線基板の表面はほぼ常温であり、プリント配線基板の表面と裏面の温度差は約175℃になる。そして、プリント配線基板の表面は、プリント配線基板の裏面より伝わる溶融半田の熱により、急速に加熱される。このため、プリント配線基板の表面および表面近傍の内層は、プリント配線基板の裏面からの熱衝撃(ヒートショック)によって亀裂が生じ、破損するという問題がある。
【0006】
本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであり、電子部品をプリント配線基板に半田付けする際の熱衝撃によるプリント配線基板の破損等を防止する半田付けパレットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上面にプリント配線基板を保持し、下面に溶融半田を接触させ、上面と下面を貫通する開口に侵入した溶融半田により、プリント配線基板に電子部品を半田付けする半田付けパレットに関するものである。そして、半田付けパレットは、上面に保持したプリント配線基板の外側において、下面と上面を貫通する貫通穴を形成し、貫通穴から上方に伝わった溶融半田の熱をプリント配線基板の表面に送る熱移送手段を設けたことを特徴とする。
【0008】
半田付けパレットを用いた一般的な半田付け方法について説明する。
まず、少なくとも半田付けする箇所の上面と裏面を貫通した開口が設けられた半田付けパレットに、プリント配線基板の裏面が半田付けパレットの上面に位置するようにプリント配線基板を保持(セット)する。保持は、市販されているクランプ等の一般的な部品を用いて行う。
【0009】
そして、市販されている電子部品挿入装置を用いて、半田付けパレットに保持されたプリント配線基板の貫通孔に、プリント配線基板の表面から電子部品のリード端子を挿入する。そして、半田付けパレットの下面をフロー半田槽の溶融半田に浸漬する。このとき、半田付けパレットの開口から溶融半田が流れ込むので、開口に位置したプリント配線基板の裏面の部分が溶融半田と接触し、プリント配線基板と電子部品のリードが半田付け実装される。ここで、実装とは、プリント配線基板に電子部品が固定され、かつ、電気的に接続された状態をいう。
【0010】
プリント配線基板の裏面は、半田付けパレットをフロー半田槽へ投入した際、溶融半田によって急激に約200℃に加熱される。それと同時に、プリント配線基板の表面は、半田付けパレットの下面と上面を貫通する貫通穴より溶融半田の熱が上方に伝わり、熱移送手段によって約150℃に加熱される。
【0011】
このため、プリント配線基板の表面と裏面の温度差が小さくなり、熱衝撃(ヒートショック)の発生を抑えることができ、プリント配線基板の表面や表面付近の内層における亀裂等の破損が生じることがない。したがって、品質の良いプリント配線基板装置を製造することができる。ここで、プリント配線基板装置とは、プリント配線基板に各種電子部品が実装されたものをいう。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、品質の良いプリント配線基板装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】半田付けパレットの平面図(実施例1)
【図2】半田付けパレットの側面図(実施例1)
【図3】ノブ付きマスクキャリアの平面図(実施例1)
【図4】ノブ付きマスクキャリアの平面図(実施例1)
【図5】プリント配線基板を取り付けたマスクキャリアの平面図(実施例1)
【図6】半田付けパレットの側面図(実施例1)
【図7】マスクキャリアの側面図(実施例1)
【図8】ノブ付きマスクキャリアの平面図
【図9】ノブ付きマスクキャリアの平面図
【図10】ノブ付きマスクキャリアの平面図
【図11】ノブ付きマスクキャリアの平面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、実施例を用いて本発明を具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例により何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0015】
本発明の一実施例を図1〜図7を用いて説明する。
図1は本発明に係る半田付けパレット1の平面図(上方から見た図)、図2は図1に示す半田付けパレット1の側面図(進行方向Aの後方から見た図)、図3は図1において熱移送手段10を透視して見たときの平面図、図4は図3のノブ8を動作させたときの平面図、図5は図1の半田付けパレット1にプリント配線基板16をセットし、熱移送手段10を透視して見たときの平面図、図6は半田付けパレット1の作用を説明するための図、図7はマスクキャリア4の側面図(進行方向Aの後方から見た図)である。
【0016】
図1および図2に示すように、本発明に係る半田付けパレット1は、上面(図1の紙面手前側、図2の紙面上側)にプリント配線基板16を保持する載置部2を備え、下面(図2の紙面下側)に溶融半田を接触させたときにプリント配線基板16に電子部品を半田付けするための溶融半田を侵入させる開口7を備えている。この開口7は、半田付けパレット1の上面と下面を貫通する貫通孔である。
【0017】
そして、本発明に係る半田付けパレット1は、プリント配線基板16を保持する載置部2の外側において、半田付けパレット1の下面と上面を貫通する貫通穴7が形成されており、この貫通穴7から半田付けパレット1の上方に伝わった溶融半田の熱をプリント配線基板16の表面に送る熱移送手段10が設けられている。
【0018】
本発明に係る半田付けパレット1をさらに詳述すると、半田付けパレット1は、縦:460mm×横:390mm×高さ:30mmの紙基材フェノール樹脂積層板(利昌工業株式会社製のPS−1121E)からなるマスクキャリア4と、マスクキャリア4の端部に固定された熱移送手段としての金属(例えば、アルミニウム)製のプレート10と、マスクキャリア4に回動可能に固定された複数の金属(例えば、アルミニウム)製のノブ8とからなる。
【0019】
マスクキャリア4は、その上面および下面がフライス盤のエンドミル等を用いて切削加工されており、矩形のプリント配線基板(図示しない)の裏面を載置し、プリント配線基板の外周面と対向する対向面3を備えた載置部2と、載置部2への溶融半田の流れ込みを防止するために載置部2を取り囲むように設けられた防止枠5と、プリント配線基板の裏面を溶融半田に接触させるために載置部2に設けられた貫通孔である開口7と、載置部2の外側においてマスクキャリア4の上面と下面を貫通した貫通穴6とが形成されている。
【0020】
マスクキャリア4の対向面3の外側近傍には、図3および図4に示すように、プリント配線基板16を保持するための4個(複数)のノブ8が設けられている。ノブ8は、待避させた状態で(図3)、載置部2にプリント配線基板16を載置した後、ノブ8の一部がプリント配線基板16の上面に位置するように回転軸8aを中心に回動させると、プリント配線基板16をマスクキャリア4に保持することができる(図5)。ここで、「回動」とは、正逆方向に円運動することをいう。また、マスクキャリア1の裏面には、開口部7に溶融半田が流れ込み易くするための溝9が半田付けパレット1の進行方向Aに沿って形成されている。
【0021】
また、プリント配線基板16を載置する載置部2の外側であって防止枠5の内側には、図1〜図7に示すように、マスクキャリア4の上面と下面を連通する貫通穴6が形成されている。図6に示すように、貫通穴6は、フロー半田槽に半田付けパレット1が投入され、溶融半田が半田付けパレット1(マスクキャリア4)の下面に接触した際、溶融半田の熱(約200℃)を半田付けパレット1の上方に伝える(移送する)ためのものである。
【0022】
また、図6に示すように、貫通穴6を介して半田付けパレット1の上方に移送された熱は、貫通穴6の上方に設けられた熱移送手段としてのプレート10により、プリント配線基板16の表面に移送される。つまり、プリント配線基板16は、その裏面は溶融半田により直接加熱されると共に、その表面も貫通穴6およびプレート10を介して溶融半田の熱により約150℃に加熱される。
【0023】
このため、プリント配線基板16の表面および裏面の温度差を小さくすることができ、熱衝撃(ヒートショック)によるプリント配線基板16の表面等の亀裂、破損を防止できる。
【0024】
尚、図6に示すように、フロー半田槽の溶融半田の液面17は、貫通穴6の上端よりも下なので(低い位置にあるので)、溶融半田が貫通穴6から半田付けパレット1(マスクキャリア4)の上面に流れ出ることは無い。また、プレート10のマスクキャリア4への固定は、ネジを用いたが他の方法であっても良い。
【0025】
前記した実施例は、説明のために例示したものであって、本発明としてはそれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲、明細書および図面の記載から当業者が認識することができる本発明の技術的思想に反しない限り、変更、削除および付加が可能である。
【0026】
例えば、前記した実施例1において、マスクキャリア4の貫通穴6は、図8および図9に示しすように複数にしても良い。また、貫通穴6は、実施例1に示したように、半田付けパレット1の進行方向Aに沿って設ける場合のみならず、図10に示すように、マスクキャリア1の進行方向Aとは垂直な方向に沿って設けても良い(図10の符号14が貫通穴)。図10においてプレート10の図示を省略しているが、プレート10は、言うまでもなく貫通穴14の上方に設けられている。
【0027】
つまり、貫通穴6、14は、マスクキャリア4の上面と下面を貫通し、フロー半田槽の溶融半田の熱が、プレート10によりマスクキャリア4の上面に伝わり、プリント配線基板16の表面を加熱することができるものであれば良く、貫通穴6、14の形状、位置、個数は問わない。
【0028】
また、前記した実施例1において、熱移送手段は、金属製のプレート10を例示したが、紙基材フェノール樹脂積層板(利昌工業株式会社製のPS−1121E)を加工したものであっても良く、200℃以上の耐熱性があれば良い。さらに、熱移送手段は、市販されているファン等の機械的な送風手段であっても良い。
【0029】
また、実施例1において、本発明の半田付けパレット1の進行方向Aの両側に、フロー半田槽へ半田付けパレット1を搬送するためのガイドを備えても良い。また、溝9は、テーパー形状に形成してもよい。
【0030】
また、半田付けパレット1に載置部2を複数設け、プリント配線基板16を複数支持するようにしてもよい。この場合、一度に複数のプリント配線基板16の半田付けを行うことができる。さらに、本発明の半田付けパレット1を搬送するコンベアは、チェーンコンベアだけではなく、他の機構をもつコンベアであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明に係る半田付けパレットは、電子部品をプリント配線基板に半田付け実装する際に用いられる。
【符号の説明】
【0032】
1…半田付け用パレット、2…載置部、3…対向面、4…マスクキャリア、5…防止枠、6、12、13、14、15…貫通穴、7…開口、8…押さえノブ、8a…回転軸、9…溝、10…プレート、11…溶融半田の熱流、16プリント配線基板、17…溶融半田の液面
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品をプリント配線基板に半田付けする際に用いる半田付けパレットに関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線基板に形成された多数のスルーホールに電子部品のリードを挿入した後、プリント配線基板をフロー半田槽に投入し、プリント配線基板に電子部品を半田付けするフロー半田付けが一般に行われている(例えば、特許文献1〜4参照)。また、かかるフロー半田付けを行うに際し、プリント配線基板を半田付けパレットに保持する技術が開示されている(例えば、特許文献5〜12参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−101226号公報
【特許文献2】特開2002−190667号公報
【特許文献3】特開2003−347720号公報
【特許文献4】特開2009−059920号公報
【特許文献5】特開2002−190667号公報
【特許文献6】特開2005−072441号公報
【特許文献7】特開2005−317691号公報
【特許文献8】特開2006−032693号公報
【特許文献9】特開2007−109699号公報
【特許文献10】特開2007−173442号公報
【特許文献11】特開2008−235456号公報
【特許文献12】特開2009−060006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フロー半田層に投入前のプリント配線基板は、常温(室温)である。この常温のプリント配線基板の裏面は、フロー半田槽の溶融半田が高温(約200℃)であるため、フロー半田層の溶融半田に近づくにつれ徐々に温度が上がり、溶融半田と接触する直前には約150℃になる。その後、プリント配線基板の裏面は、溶融半田と接触し約200℃に加熱される。
【0005】
しかし、プリント配線基板の裏面が溶融半田に接触した時、プリント配線基板の表面はほぼ常温であり、プリント配線基板の表面と裏面の温度差は約175℃になる。そして、プリント配線基板の表面は、プリント配線基板の裏面より伝わる溶融半田の熱により、急速に加熱される。このため、プリント配線基板の表面および表面近傍の内層は、プリント配線基板の裏面からの熱衝撃(ヒートショック)によって亀裂が生じ、破損するという問題がある。
【0006】
本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであり、電子部品をプリント配線基板に半田付けする際の熱衝撃によるプリント配線基板の破損等を防止する半田付けパレットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上面にプリント配線基板を保持し、下面に溶融半田を接触させ、上面と下面を貫通する開口に侵入した溶融半田により、プリント配線基板に電子部品を半田付けする半田付けパレットに関するものである。そして、半田付けパレットは、上面に保持したプリント配線基板の外側において、下面と上面を貫通する貫通穴を形成し、貫通穴から上方に伝わった溶融半田の熱をプリント配線基板の表面に送る熱移送手段を設けたことを特徴とする。
【0008】
半田付けパレットを用いた一般的な半田付け方法について説明する。
まず、少なくとも半田付けする箇所の上面と裏面を貫通した開口が設けられた半田付けパレットに、プリント配線基板の裏面が半田付けパレットの上面に位置するようにプリント配線基板を保持(セット)する。保持は、市販されているクランプ等の一般的な部品を用いて行う。
【0009】
そして、市販されている電子部品挿入装置を用いて、半田付けパレットに保持されたプリント配線基板の貫通孔に、プリント配線基板の表面から電子部品のリード端子を挿入する。そして、半田付けパレットの下面をフロー半田槽の溶融半田に浸漬する。このとき、半田付けパレットの開口から溶融半田が流れ込むので、開口に位置したプリント配線基板の裏面の部分が溶融半田と接触し、プリント配線基板と電子部品のリードが半田付け実装される。ここで、実装とは、プリント配線基板に電子部品が固定され、かつ、電気的に接続された状態をいう。
【0010】
プリント配線基板の裏面は、半田付けパレットをフロー半田槽へ投入した際、溶融半田によって急激に約200℃に加熱される。それと同時に、プリント配線基板の表面は、半田付けパレットの下面と上面を貫通する貫通穴より溶融半田の熱が上方に伝わり、熱移送手段によって約150℃に加熱される。
【0011】
このため、プリント配線基板の表面と裏面の温度差が小さくなり、熱衝撃(ヒートショック)の発生を抑えることができ、プリント配線基板の表面や表面付近の内層における亀裂等の破損が生じることがない。したがって、品質の良いプリント配線基板装置を製造することができる。ここで、プリント配線基板装置とは、プリント配線基板に各種電子部品が実装されたものをいう。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、品質の良いプリント配線基板装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】半田付けパレットの平面図(実施例1)
【図2】半田付けパレットの側面図(実施例1)
【図3】ノブ付きマスクキャリアの平面図(実施例1)
【図4】ノブ付きマスクキャリアの平面図(実施例1)
【図5】プリント配線基板を取り付けたマスクキャリアの平面図(実施例1)
【図6】半田付けパレットの側面図(実施例1)
【図7】マスクキャリアの側面図(実施例1)
【図8】ノブ付きマスクキャリアの平面図
【図9】ノブ付きマスクキャリアの平面図
【図10】ノブ付きマスクキャリアの平面図
【図11】ノブ付きマスクキャリアの平面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、実施例を用いて本発明を具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例により何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0015】
本発明の一実施例を図1〜図7を用いて説明する。
図1は本発明に係る半田付けパレット1の平面図(上方から見た図)、図2は図1に示す半田付けパレット1の側面図(進行方向Aの後方から見た図)、図3は図1において熱移送手段10を透視して見たときの平面図、図4は図3のノブ8を動作させたときの平面図、図5は図1の半田付けパレット1にプリント配線基板16をセットし、熱移送手段10を透視して見たときの平面図、図6は半田付けパレット1の作用を説明するための図、図7はマスクキャリア4の側面図(進行方向Aの後方から見た図)である。
【0016】
図1および図2に示すように、本発明に係る半田付けパレット1は、上面(図1の紙面手前側、図2の紙面上側)にプリント配線基板16を保持する載置部2を備え、下面(図2の紙面下側)に溶融半田を接触させたときにプリント配線基板16に電子部品を半田付けするための溶融半田を侵入させる開口7を備えている。この開口7は、半田付けパレット1の上面と下面を貫通する貫通孔である。
【0017】
そして、本発明に係る半田付けパレット1は、プリント配線基板16を保持する載置部2の外側において、半田付けパレット1の下面と上面を貫通する貫通穴7が形成されており、この貫通穴7から半田付けパレット1の上方に伝わった溶融半田の熱をプリント配線基板16の表面に送る熱移送手段10が設けられている。
【0018】
本発明に係る半田付けパレット1をさらに詳述すると、半田付けパレット1は、縦:460mm×横:390mm×高さ:30mmの紙基材フェノール樹脂積層板(利昌工業株式会社製のPS−1121E)からなるマスクキャリア4と、マスクキャリア4の端部に固定された熱移送手段としての金属(例えば、アルミニウム)製のプレート10と、マスクキャリア4に回動可能に固定された複数の金属(例えば、アルミニウム)製のノブ8とからなる。
【0019】
マスクキャリア4は、その上面および下面がフライス盤のエンドミル等を用いて切削加工されており、矩形のプリント配線基板(図示しない)の裏面を載置し、プリント配線基板の外周面と対向する対向面3を備えた載置部2と、載置部2への溶融半田の流れ込みを防止するために載置部2を取り囲むように設けられた防止枠5と、プリント配線基板の裏面を溶融半田に接触させるために載置部2に設けられた貫通孔である開口7と、載置部2の外側においてマスクキャリア4の上面と下面を貫通した貫通穴6とが形成されている。
【0020】
マスクキャリア4の対向面3の外側近傍には、図3および図4に示すように、プリント配線基板16を保持するための4個(複数)のノブ8が設けられている。ノブ8は、待避させた状態で(図3)、載置部2にプリント配線基板16を載置した後、ノブ8の一部がプリント配線基板16の上面に位置するように回転軸8aを中心に回動させると、プリント配線基板16をマスクキャリア4に保持することができる(図5)。ここで、「回動」とは、正逆方向に円運動することをいう。また、マスクキャリア1の裏面には、開口部7に溶融半田が流れ込み易くするための溝9が半田付けパレット1の進行方向Aに沿って形成されている。
【0021】
また、プリント配線基板16を載置する載置部2の外側であって防止枠5の内側には、図1〜図7に示すように、マスクキャリア4の上面と下面を連通する貫通穴6が形成されている。図6に示すように、貫通穴6は、フロー半田槽に半田付けパレット1が投入され、溶融半田が半田付けパレット1(マスクキャリア4)の下面に接触した際、溶融半田の熱(約200℃)を半田付けパレット1の上方に伝える(移送する)ためのものである。
【0022】
また、図6に示すように、貫通穴6を介して半田付けパレット1の上方に移送された熱は、貫通穴6の上方に設けられた熱移送手段としてのプレート10により、プリント配線基板16の表面に移送される。つまり、プリント配線基板16は、その裏面は溶融半田により直接加熱されると共に、その表面も貫通穴6およびプレート10を介して溶融半田の熱により約150℃に加熱される。
【0023】
このため、プリント配線基板16の表面および裏面の温度差を小さくすることができ、熱衝撃(ヒートショック)によるプリント配線基板16の表面等の亀裂、破損を防止できる。
【0024】
尚、図6に示すように、フロー半田槽の溶融半田の液面17は、貫通穴6の上端よりも下なので(低い位置にあるので)、溶融半田が貫通穴6から半田付けパレット1(マスクキャリア4)の上面に流れ出ることは無い。また、プレート10のマスクキャリア4への固定は、ネジを用いたが他の方法であっても良い。
【0025】
前記した実施例は、説明のために例示したものであって、本発明としてはそれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲、明細書および図面の記載から当業者が認識することができる本発明の技術的思想に反しない限り、変更、削除および付加が可能である。
【0026】
例えば、前記した実施例1において、マスクキャリア4の貫通穴6は、図8および図9に示しすように複数にしても良い。また、貫通穴6は、実施例1に示したように、半田付けパレット1の進行方向Aに沿って設ける場合のみならず、図10に示すように、マスクキャリア1の進行方向Aとは垂直な方向に沿って設けても良い(図10の符号14が貫通穴)。図10においてプレート10の図示を省略しているが、プレート10は、言うまでもなく貫通穴14の上方に設けられている。
【0027】
つまり、貫通穴6、14は、マスクキャリア4の上面と下面を貫通し、フロー半田槽の溶融半田の熱が、プレート10によりマスクキャリア4の上面に伝わり、プリント配線基板16の表面を加熱することができるものであれば良く、貫通穴6、14の形状、位置、個数は問わない。
【0028】
また、前記した実施例1において、熱移送手段は、金属製のプレート10を例示したが、紙基材フェノール樹脂積層板(利昌工業株式会社製のPS−1121E)を加工したものであっても良く、200℃以上の耐熱性があれば良い。さらに、熱移送手段は、市販されているファン等の機械的な送風手段であっても良い。
【0029】
また、実施例1において、本発明の半田付けパレット1の進行方向Aの両側に、フロー半田槽へ半田付けパレット1を搬送するためのガイドを備えても良い。また、溝9は、テーパー形状に形成してもよい。
【0030】
また、半田付けパレット1に載置部2を複数設け、プリント配線基板16を複数支持するようにしてもよい。この場合、一度に複数のプリント配線基板16の半田付けを行うことができる。さらに、本発明の半田付けパレット1を搬送するコンベアは、チェーンコンベアだけではなく、他の機構をもつコンベアであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明に係る半田付けパレットは、電子部品をプリント配線基板に半田付け実装する際に用いられる。
【符号の説明】
【0032】
1…半田付け用パレット、2…載置部、3…対向面、4…マスクキャリア、5…防止枠、6、12、13、14、15…貫通穴、7…開口、8…押さえノブ、8a…回転軸、9…溝、10…プレート、11…溶融半田の熱流、16プリント配線基板、17…溶融半田の液面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面にプリント配線基板を保持し、下面に溶融半田を接触させ、前記上面と前記下面を貫通する開口に侵入した前記溶融半田により、前記プリント配線基板に電子部品を半田付けする半田付けパレットにおいて、
前記プリント配線基板の外側において、前記下面と前記上面を貫通する貫通穴を形成し、
該貫通穴から上方に伝わった前記溶融半田の熱を前記プリント配線基板の表面に送る熱移送手段を設けたことを特徴とする半田付けパレット
【請求項1】
上面にプリント配線基板を保持し、下面に溶融半田を接触させ、前記上面と前記下面を貫通する開口に侵入した前記溶融半田により、前記プリント配線基板に電子部品を半田付けする半田付けパレットにおいて、
前記プリント配線基板の外側において、前記下面と前記上面を貫通する貫通穴を形成し、
該貫通穴から上方に伝わった前記溶融半田の熱を前記プリント配線基板の表面に送る熱移送手段を設けたことを特徴とする半田付けパレット
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−161379(P2010−161379A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2010−19002(P2010−19002)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000251288)鈴鹿富士ゼロックス株式会社 (156)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−19002(P2010−19002)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000251288)鈴鹿富士ゼロックス株式会社 (156)
【Fターム(参考)】
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