説明

半田付け装置、半田付け方法及び電子機器の製造方法

【課題】誘導加熱を利用して半田と別体の発熱体を加熱して半田付けを行う場合、導体に電流を流した際に発生する磁束を有効に利用して発熱体を効率良く加熱する。
【解決手段】半田付け装置は、高周波電流が供給される導体29と、透磁率の高い金属製で導体29を囲むように、かつ導体29に高周波電流が供給された際に発生する磁束が閉じた回路を構成する形状に形成された発熱体30を備えている。発熱体30には、発熱体30に発生した熱を半田付けすべきワークWに伝達する熱伝達部30aが一体に形成されている。ワークWは、支持部に支持され、熱伝達部30aとワークWの半田とが熱的に結合される半田付け位置にワークWが配置された状態で、導体29に高周波電流が供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半田付け装置、半田付け方法及び電子機器の製造方法に係り、詳しくは誘導加熱を利用して半田付けを行う半田付け装置、半田付け方法及び電子機器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
回路基板上に半導体素子やチップ抵抗、チップコンデンサ等の電子部品を実装する場合、回路基板と電子部品とを半田を介して接合する方法が一般的である。そして、基板上に電子部品を半田付けする場合に、基板上に予め半田及び電子部品を配置しておき、その半田を炉中で溶融して半田付けを行うリフロー半田付けが行われている。ところが、加熱炉を使用する方法では炉全体を加熱するため、加熱に必要なエネルギーが多くなり製造コストが高くなるとともに、電子部品全体が長時間高温雰囲気に保持されるため接合される電子部品に対する熱負荷が大きくなる。このような不都合を抑制するため、炉全体を加熱するのではなく、誘導加熱を利用して半田あるいは半田に接触している物体を加熱して半田付けを行う方法がある。
【0003】
誘導加熱を利用した半田付け方法として、基板上の接合部分(パッド)と電子部品の半田付けされる部分との間に、鉄系粒子が混入された半田を配置した状態で鉄系粒子が誘導加熱される所定周波数の電磁波を印加して鉄系粒子で発生する熱により半田を溶融させて接合する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。また、導電性と磁性とを持つ複数の発熱体と、これを保持する保持板とからなる治具及び誘導加熱コイルを用いて半田付けする方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。特許文献2の半田付け方法では、図9に示すように、プリント基板71に銅箔72,72aからなる配線回路を形成するプリント配線基板73と、導電性及び磁性を持つ複数の発熱体74とこれを保持する保持板75とからなる治具76と、誘導加熱コイル77とを準備する。発熱体74は、半田付けしようとする表面実装形の電子部品78の複数の電極79に対向して配置される。初め、銅箔72,72aの表面に半田80を載せ、電子部品78の電極79を半田80にあてがうように電子部品78を配置する。次に、電極79が半田80と発熱体74で挟まれて当接するように保持板75を配置する。その後、誘導加熱コイル77で発熱体74を誘導加熱して熱伝導により半田80を溶融させる。
【特許文献1】特開平8−46353号公報
【特許文献2】特開平8−293668号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
誘導加熱を利用して半田を溶融させる場合、特許文献1のように発熱物を半田に混ぜる方法では、半田が溶融しても発熱体は溶融しないため、半田付け強度等、半田の品質の点からは、半田と別体の発熱体を用いる方法の方が好ましい。
【0005】
特許文献2の方法では、半田付け部を集中的に加熱するため、発熱体74を保持板75で保持して電極79と当接する状態に保持する。しかし、誘導加熱コイル77は保持板75の上方に配置されるため、誘導加熱コイル77から発生する磁束のうち、保持板75と対応する側と反対側に発生する磁束は発熱体74の誘導加熱に寄与せず、加熱効率(投入電力に対する発熱体の発熱量の比率)が低くなる。
【0006】
本発明は、前記従来の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、誘導加熱を利用して半田と別体の発熱体を加熱して半田付けを行う場合、導体に電流を流した際に発生する磁束を有効に利用して発熱体を効率良く加熱することができる半田付け装置、半田付け方法及び電子機器の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するため請求項1に記載の発明は、高周波電流が供給される導体と、透磁率の高い金属製で前記導体を囲むように、かつ前記導体に高周波電流が供給された際に発生する磁束が閉じた回路を構成する形状に形成された発熱体と、前記発熱体と一体に形成され、前記発熱体に発生した熱を半田付けすべきワークに伝達する熱伝達部と、半田付けすべきワークを支持するとともに、前記ワークを前記熱伝達部と前記ワークの半田とが熱的に結合される半田付け位置に配置する支持部とを備えている。ここで、「半田付けすべきワーク」とは、例えば、基板上の所定位置に電子部品を半田付けする作業を行う際の基板及びその上に載置される半田及び電子部品を意味する。また、「磁束が閉じた回路を構成する形状」とは、導体の周囲に発生する磁束のうち発熱体を通過する磁束が発熱体の中だけを通過する形状である環状形状や、環状の一部に切れ目が存在しても、切れ目を挟んだ発熱体の両側の部分における磁束密度が同じ状態となる形状を意味する。また、「熱伝達部とワークの半田とが熱的に結合される」とは、熱伝達部の熱が直接半田に伝達されるだけでなく、熱伝達部の熱が、熱伝達部とワークを構成する半田との間に存在する電子部品、治具、基板の電極等を介して間接的に伝達される状態を意味する。以下、この明細書では同じ意味で使用する。
【0008】
この発明では、例えば、基板上に電子部品を半田付けする際、基板上の電子部品を半田付けすべき位置に半田及び電子部品が配置された状態の基板、即ち半田付けすべきワークが支持部上に載置される。その状態でワークが半田付け位置に配置されるとともに導体に高周波電流が供給され、生じた磁束による誘導加熱により発熱体が発熱し、その熱が半田に伝達されて半田が加熱されて溶融される。発熱体は、透磁率の高い金属製で導体を囲むように、かつ導体に高周波電流が供給された際に発生する磁束が閉じた回路を構成する形状に形成されているため、発生した磁束が発熱体に効率良く渦電流を発生させて発熱体を加熱させる。その結果、投入電力に対する発熱体の発熱量の比率が高くなる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記発熱体は前記導体に対して複数設けられている。一般に、基板上には複数の電子部品が半田付けされるため、基板上の複数箇所に同時に電子部品の半田付けが行われる方が作業効率が良くなる。この発明の装置は発熱体が複数設けられているため、複数の半田付け箇所に同時に半田付けを行うことが可能となる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記発熱体の少なくとも1つは環状に形成されている。一般に、基板上には複数の電子部品が半田付けされる。また、基板からの放熱が周縁部で大きいため、基板上の温度は均一ではなく、周縁部の温度が中央部に比較して低くなる。そのため、同じ電子部品を基板上の複数箇所に半田付けを行う場合でも、全ての箇所に設けられる発熱体が同じものでは、電子部品の半田付けを適正な温度で行うのは難しい。しかし、この発明では、複数の発熱体が全て環状に形成されているのではなく、環状でない発熱体も存在する。環状でない発熱体、例えば環の一部に切れ目がある形状の発熱体は、切れ目のない環状の発熱体に比較して発熱効率は低く、環状部に形成される切れ目の間隔により発熱効率が変わる。そのため、発熱体として発熱効率が高いものを基板の放熱が大きい部分と対応する位置に配置し、発熱効率が低いものを基板の放熱が小さい部分と対応する位置に配置することで、全ての箇所で電子部品の半田付けを適正な温度で行うことが可能になる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、基板上の所定位置に半田及び電子部品を配置するとともに誘導加熱により前記半田を溶融させて前記電子部品を半田付けする半田付け方法である。そして、電流が供給される導体の周囲を囲むように、かつ前記導体の周囲に生じた磁束が閉じる回路を構成するように設けられた透磁率の高い金属製の発熱体を誘導加熱で発熱させ、前記発熱体に発生した熱を前記半田と接触している前記電子部品又は前記基板の電極を介して前記半田に伝達して半田を溶融させる。
【0012】
この発明では、基板に電子部品を半田付けする際、基板上の所定位置に半田及び電子部品を配置し、誘導加熱により発熱体を発熱させるとともに、その熱を半田に伝達させて半田を溶融させて電子部品を半田付けする。発熱体は透磁率の高い金属製で導体を囲むように、かつ導体に高周波電流が供給された際に発生する磁束が閉じる回路を構成する形状に形成されているため、発生した磁束により発熱体で効率良く渦電流が発生して、発熱体が効率よく加熱される。そして、発熱体に発生した熱が半田と接触している電子部品又は基板の電極を介して半田に伝達されて半田が溶融する。その結果、加熱効率が高い状態で半田付けを行うことができる。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記電子部品は位置決め治具を用いて前記基板上に位置決めされ、前記発熱体は前記位置決め治具に当接して前記発熱体に発生した熱を前記半田に伝達する。基板上の所定位置に電子部品を半田付けする際、使用する半田の種類によっては電子部品又は半田の位置決めを行う治具を用いるのが好ましい。この発明では、発熱体で発生した熱は位置決め治具を介して半田に伝達されるため、熱が電子部品を介して半田に伝達される構成と異なり、電子部品が発熱の悪影響を受けることが防止される。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項4又は請求項5に記載の半田付け方法を半田付け工程に使用する電子機器の製造方法である。この発明では、電子機器の製造方法において、対応する前記請求項4又は請求項5に記載の発明の作用、効果を奏する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、誘導加熱を利用して半田と別体の発熱体を加熱して半田付けを行う場合、導体に電流を流した際に発生する磁束を有効に利用して発熱体を効率良く加熱することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図1〜図5にしたがって説明する。
図2に示すように、電子機器としての半導体モジュール10は、基板としての回路基板11と、回路基板11上に半田付けにより接合された電子部品12とを備えている。回路基板11は、表面に金属回路13を有する複数のセラミック基板14が金属製のヒートシンク15に金属板16を介して一体化された冷却回路基板である。各セラミック基板14上にはそれぞれ複数個の電子部品12が半田付けされている。電子部品12としては、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor )やダイオードが用いられている。
【0017】
ヒートシンク15は冷却媒体が流れる冷媒流路15aを備えている。ヒートシンク15は、アルミニウム系金属や銅等で形成されている。アルミニウム系金属とはアルミニウム又はアルミニウム合金を意味する。金属板16は、セラミック基板14とヒートシンク15とを接合する接合層として機能し、例えば、アルミニウムや銅などで形成されている。
【0018】
金属回路13は、例えば、アルミニウムや銅等で形成されている。セラミック基板14は、例えば、窒化アルミニウム、アルミナ、窒化ケイ素等により形成されている。電子部品12は、金属回路13に半田Hを介して接合されている。
【0019】
次に半導体モジュール10の製造方法を説明する。
先ず半田付けに用いる半田付け装置の構成を説明する。図3(a),(b)に示すように、半田付け装置HKは、半田付けすべきワークWを準備する準備部20と、ワークWに対する半田付け作業を行う半田付け装置本体21と、半田付けが終了した半導体モジュール10から位置決め治具を取り外す後処理部22とを備えている。
【0020】
準備部20は、ワーク準備部23及びベルトコンベヤ24で構成されている。ワーク準備部23は、回路基板11上の所定位置に位置決め治具、半田としての半田シート、電子部品12が載置された半田付けすべきワークW及びワークWを載置するトレイTを準備するとともに、そのワークWをトレイTと共にベルトコンベヤ24上に載置する。ベルトコンベヤ24は半田付け装置本体21の搬入口と対応する位置に設けられ、ワークWをトレイTと共に半田付け装置本体21へ搬入する。
【0021】
半田付け装置本体21は、密閉可能なチャンバ25を備え、チャンバ25は、準備部20と対応する側に入口扉26を備え、後処理部22と対応する側に出口扉27を備えている。入口扉26及び出口扉27は、上下方向を開閉方向として動作可能に設けられている。入口扉26の開放によりチャンバ25の入口が開放されて、準備部20から半田溶融前の半田付けすべきワークWを搬入可能な状態となる。また、出口扉27の開放によりチャンバ25の出口が開放されて、チャンバ25内にある半田溶融後のワークWを取り出し(搬出)可能な状態となる。チャンバ25は、入口扉26及び出口扉27の両方を閉鎖することにより、密閉可能な構造とされている。チャンバ25は図示しない真空ポンプと接続され、チャンバ25内の圧力を調整可能な構成とされている。また、チャンバ25内には図示しない還元ガス供給部から還元性ガス(この実施形態では水素)が、図示しない不活性ガス供給部から不活性ガス(この実施形態では窒素)がそれぞれ選択的に供給可能に構成されている。
【0022】
チャンバ25内には、入口側から出口側に向かってワークWをトレイTと共に移送する移送手段及びチャンバ25内でワークW及びトレイTを支持するベルトコンベヤ28が設けられている。ベルトコンベヤ28の上方には図示しない交流電源から高周波電流が供給される導体29が所定位置に固定配置されている。なお、チャンバ25は、導体29等のメンテナンスを容易にするため、上側の一部に開放可能な蓋部が形成され、蓋部は常には閉鎖位置に気密状態で固定されている。
【0023】
図1に示すように、導体29は、回路基板11上に設けられた複数の半田付け部の上方を蛇行状態で通過するように配置されている。導体29は、内部に冷却水を通すための通路29aを有するパイプで形成され、半田付け装置HKが備える図示しない冷却水タンクに接続されている。
【0024】
図1に示すように、導体29には、導体29の下方に配置されたワークWの電子部品12と対応する複数の所定箇所に発熱体30が設けられている。発熱体30は透磁率の高い金属製で導体29を囲むように、かつ導体29に高周波電流が供給された際に発生する磁束が閉じた回路を構成する形状に形成されるとともに、発熱体30に発生した熱を半田付けすべきワークWに伝達する熱伝達部30aが下方に向かって突出するように形成されている。この実施形態では発熱体30は磁性のステンレス(例えばSUS440)製で円環状に形成されるとともに熱伝達部30aは一対突設されている。発熱体30の内径は導体29の外径より大きく、各発熱体30は図示しないブラケットを介して導体29と接触しない状態に支持されている。
【0025】
図4に示すように、ベルトコンベヤ28は、トレイTの長さより短く形成されている。ベルトコンベヤ28の前後には、ベルトコンベヤ28上に前後方向両端部がベルトコンベヤ28から突出する状態で載置されたトレイTを昇降させる昇降手段31がそれぞれ設けられている。昇降手段31としてはエアシリンダが使用されているが、エアシリンダに限らず電気シリンダやリニアアクチュエータを使用してもよい。そして、トレイT及びワークWは、昇降手段31の駆動により下降位置と上昇位置とに配置されるようになっている。上昇位置は、トレイT上に配置されたワークWを、熱伝達部30aとワークWの半田とが熱的に結合される半田付け位置、即ち、この実施形態では発熱体30に発生した熱を半田付けすべきワークWに伝達する位置である熱伝達部30aが電子部品12と当接する位置となる。下降位置では、熱伝達部30aと電子部品12とが離間する状態となる。昇降手段31は、トレイTと共に、半田付けすべきワークWを支持するとともに、ワークWを熱伝達部30aとワークWの半田とが熱的に結合される半田付け位置に配置する支持部を構成する。
【0026】
また、トレイT及びワークWが下降位置に配置された状態では、準備部20側からワークWをベルトコンベヤ28上に円滑に移載可能で、かつ、ベルトコンベヤ28上の半田付けが行われたワークWをトレイTと共に後処理部22側へ円滑に移載可能な高さとなる。なお、ベルトコンベヤ28の前後には、トレイT及びワークWを準備部20側からベルトコンベヤ28上に、あるいはベルトコンベヤ28上から後処理部22側へ円滑に移送するため、補助ローラ32a,32bが配置されている。
【0027】
この実施形態では、半田付けの際に半田としてシート半田を使用するとともに、電子部品12を回路基板11の所定位置に半田付けするために位置決め治具を使用する。図1に示すように、回路基板11上には位置決め治具33を介して電子部品12が所定位置に位置決めされた状態で配置されている。位置決め治具33は、それぞれ2個の電子部品12につき1個の割合で使用されている。
【0028】
図5に示すように、位置決め治具33は、回路基板11を構成するセラミック基板14上に載置された状態において、金属回路13と係合可能な凹部34を有し、凹部34に、金属回路13に半田付けされる電子部品12の位置決め用の孔35が形成されている。孔35は、電子部品12のサイズに応じた大きさで形成されている。そして、孔35と対応する金属回路13上にシート半田36及び電子部品12の順に載置された状態で半田付けが行われるようになっている。この実施形態においては、各セラミック基板14上に複数個(2つ)の電子部品12が接合されるので、位置決め治具33には複数個(2つ)の孔35が形成されている。位置決め治具33は、例えば、グラファイト(カーボン)で形成されている。
【0029】
後処理部22は、ベルトコンベヤ37を備えている。また、後処理部22は、ベルトコンベヤ37上にトレイTと共に移載されたワークWから位置決め治具33を取り外すための取り外し手段(図示せず)を備えている。
【0030】
ベルトコンベヤ24,28,37は、図示しない制御装置からの指令により間欠的に駆動され、半田付けが必要なワークWが順次チャンバ25内に移送され、半田付けが終了したワークWが順次チャンバ25内から後処理部22に移送される。
【0031】
次に前記のように構成された半田付け装置HK及び位置決め治具33を用いて電子機器の部品となる半導体モジュール10の製造方法の一工程である電子部品(半導体素子)12の半田付け方法を説明する。
【0032】
準備部20において、回路基板11の各セラミック基板14上に位置決め治具33が載置され、位置決め治具33の各孔35内にシート半田36と電子部品12が配置されてワークWが準備される。また、ワークWがトレイT上に載置され、次にベルトコンベヤ24及びベルトコンベヤ28が駆動されてワークWがトレイTと共にチャンバ25内に搬入される。ワークWがチャンバ25内に搬入されるとともに各セラミック基板14が発熱体30と対応する位置でベルトコンベヤ28が停止された後、昇降手段31が上昇駆動されて、図5に示すように、各電子部品12が発熱体30の熱伝達部30aと当接する状態に配置される。また、入口扉26及び出口扉27が閉鎖位置に配置されてチャンバ25内が密閉された状態となった後、チャンバ25内が還元ガス雰囲気とされる。
【0033】
次に、高周波電源から導体29に高周波電流が供給される。すると、導体29の周囲には磁束Fが発生し、導体29を囲むように配置された発熱体30には磁束Fの通過によって渦電流が発生する。そして、発熱体30の電気抵抗により発熱体30にジュール熱が発生して発熱体30が発熱し、発熱体30で発生した熱は熱伝達部30aから電子部品12を介してシート半田36に伝達される。即ち、回路基板11の各金属回路13上に載置されたシート半田36には、発熱体30で発生した熱が熱伝達部30a及び電子部品12を介して集中的(局所的)に伝達されて加熱される。その結果、シート半田36は、電子部品12を介して伝達される熱で溶融温度以上の温度になることにより溶融する。
【0034】
シート半田36が完全に溶融した後、導体29への高周波電流の供給が停止される。なお、高周波電流の供給時間は予め試験によって適切な時間に設定されている。また、チャンバ25内の圧力は、はんだ付け作業の進行状況に合わせて加圧及び減圧され、適宜、雰囲気調整が行われる。導体29への電流供給を停止後、昇降手段31が作動されてワークWがトレイTと共に下降され、ワークWが発熱体30から離間された状態になる。次いで、還元ガスがチャンバ25内から排出された後、チャンバ25内に大気が供給されるとともに出口扉27が開放される。そして、ベルトコンベヤ28及びベルトコンベヤ37が駆動されて、ワークWがトレイTと共にチャンバ25内から後処理部22のベルトコンベヤ37上へ移載される。溶融した半田は、溶融温度未満に冷却されることによって凝固し、金属回路13と電子部品12とを接合する。この状態において半田付けが終了する。その後、後処理部22で、ワークWから位置決め治具33が取り外され半導体モジュール10が完成する。トレイT及び取り外された位置決め治具33は、準備部20で再使用される。また、半導体モジュール10は、電子機器の部品として使用される。
【0035】
高周波誘導加熱により発熱体30が加熱され、発熱体30で発生した熱が電子部品12を介してシート半田36に伝達されて半田の溶融が行われる。発熱体30は、導体29を囲むように、かつ導体29に高周波電流が供給された際に発生する磁束Fが閉じた回路を構成する形状に形成されているため、発生した磁束Fが発熱体30で効率良く渦電流を発生させて発熱体30を加熱させる。その結果、投入電力に対する発熱体30の発熱量の比率が高くなる。
【0036】
したがって、この実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)半田付け装置HKは、高周波電流が供給される導体29と、透磁率の高い金属製で導体29を囲むように、かつ導体29に高周波電流が供給された際に発生する磁束Fが閉じた回路を構成する形状に形成された発熱体30と、発熱体30と一体に形成され、発熱体30に発生した熱を半田付けすべきワークWに伝達する熱伝達部30aを備えている。また、半田付け装置HKは、半田付けすべきワークWを支持するとともに、ワークWを熱伝達部30aとワークWの半田とが熱的に結合される半田付け位置に配置する支持部(昇降手段31)を備えている。したがって、導体29に高周波電流が供給される際に発生する磁束Fが発熱体30で効率良く渦電流を発生させて発熱体30を加熱させる。その結果、投入電力に対する発熱体30の発熱量の比率が高くなる。また、磁束Fを有効に利用できるため、発熱体30を加熱(昇温)する場合により少ない電流を導体29に流せばよくなるため、導体29での銅損を減らすことができ、加熱効率が向上して製造コストを低減させることができる。
【0037】
(2)発熱体30は環状に形成されているため、導体29に高周波電流が供給される際に発生して発熱体30を通過する磁束Fは、発熱体30の外に出ることがないため、発熱体30でより効率良く渦電流が発生し、加熱効率がより向上する。
【0038】
(3)発熱体30は導体29に対して複数、この実施形態では回路基板11上に設けられた半田付け箇所と同数設けられている。したがって、複数の半田付け箇所に同時に半田付けを行うことが可能となり、この実施形態では一度の半田付け作業で、回路基板11上に全ての電子部品12を半田付けすることができる。
【0039】
(4)シート半田36及び電子部品12は位置決め治具33を用いて回路基板11上に位置決めされた状態で半田付けが行われる。回路基板11上の所定位置に電子部品12を半田付けする際、使用する半田が半田ペーストの場合は電子部品12や半田の位置決めは特に必要はないが、シート半田36を使用する場合は位置決めを行うのが好ましい。この実施形態では、位置決め治具33を用いているため、電子部品12を所定位置に容易に半田付けすることができる。
【0040】
(5)発熱体30は、チャンバ25の所定位置に保持され、半田が溶融されて導体29への高周波電流の供給が停止された後、ワークWとの当接状態が解除され、ワークWを冷却する際に発熱体30は積極的に冷却されない。したがって、新しいワークWの加熱処理を行う際に、発熱体30は前のワークWを処理した際の発熱で高温になっているため、発熱体30を室温から新たに加熱する必要がなく、使用電力をより低減することができる。
【0041】
(6)位置決め治具33はグラファイトで形成されている。したがって、軽量でかつ電子部品12との摩擦が小さく、半田が付着し難いため治具として適している。
(7)電子機器の部品となる半導体モジュール10の製造方法の一工程である電子部品12の半田付け工程において前記の方法で半田付けを行っている。したがって、電子機器の製造方法において、前記各効果を得ることができる。
【0042】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態を図6を参照しながら説明する。なお、第2の実施形態は、発熱体30で発生した熱を電子部品12を介してシート半田36に伝達させるのではなく、位置決め治具33及び金属回路13を介して伝達するようにした点が前記第1の実施形態と異なり、その他の構成は第1の実施形態と基本的に同様であるため、同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
【0043】
発熱体30と一体に形成された熱伝達部30aは、発熱体30の下部において両側方に突出するとともに、電子部品12に接触せずにその下端が位置決め治具33の上面に当接可能に形成されている。また、位置決め治具33は、形状は第1の実施形態のものと同じであるが、材質がカーボンではなく、カーボンより熱伝導性の優れた金属、例えば、銅やアルミニウムで形成されている。
【0044】
この実施形態では、回路基板11の各セラミック基板14上に位置決め治具33が載置され、位置決め治具33の各孔35内にシート半田36と電子部品12が配置されたワークWがチャンバ25内に搬入された後、昇降手段31が上昇駆動されると、各発熱体30の熱伝達部30aが位置決め治具33と当接する状態になる。そして、その状態で導体29に高周波電流が供給されて、誘導加熱により発熱体30が発熱するとともに、発生した熱は、熱伝達部30a、位置決め治具33及び金属回路13を介してシート半田36に伝達される。熱伝達部30aからシート半田36までの熱伝達経路の長さは、電子部品12を介して伝達される第1の実施形態の場合より長くなる。しかし、位置決め治具33がアルミニウムや銅のように熱伝導率の良い材質で形成されているため、熱伝達経路が長くても支障はない。
【0045】
したがって、この実施形態においては、前記第1の実施形態における効果(1)〜(5)及び(7)と同様な効果を有する他に次の効果を有する。
(8)発熱体30は位置決め治具33に当接して発熱体30に発生した熱をシート半田36に伝達する。したがって、熱が電子部品12を介してシート半田36に伝達される構成と異なり、電子部品12が発熱の悪影響を受けることが防止される。
【0046】
(9)発熱体30は1回毎に積極的に冷却されるのではないため、半田付けのためワークWがチャンバ25内に搬入されて、ワークWが熱伝達部30aと接触する状態に配置された際、発熱体30は前回の発熱で加熱された比較的高温状態にある。しかし、熱伝達部30aと電子部品12とを直接接触させないため、電子部品12の急激な温度上昇を緩和することもできる。
【0047】
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ 熱伝達部30aを電子部品12に当接させずに発熱体30で発生した熱を半田に伝達する方法として、図7に示すように、位置決め治具33を使用せずに熱伝達部30aを金属回路13に当接させるようにしてもよい。この場合、位置決め治具33を使用しないため、シート半田36に代えて半田ペースト38を使用するのが好ましい。この構成では、熱伝達部30aが電子部品12に当接しないため第2の実施形態と同様な効果を奏するだけでなく、熱伝達部30aが金属回路13に当接するため、位置決め治具33に当接する構成に比較して発熱体30で発生した熱が効率良く半田(半田ペースト38)に伝達される。
【0048】
○ 複数の発熱体を全て環状体で形成するのではなく、一部の発熱体を環状に形成し、一部の発熱体を図8に示すように、切れ目39を有する形状としてもよい。回路基板11上の複数の箇所に電子部品12を半田付けする場合、回路基板11からの放熱が周縁部で大きいため、回路基板11上の温度は均一ではなく、周縁部の温度が中央部に比較して低くなる。そのため、同じ電子部品12を回路基板11上の複数箇所に半田付けを行う場合でも、全ての箇所に設けられる発熱体30が同じものでは、電子部品12の半田付けを適正な温度で行うのは難しい。しかし、この実施形態では、複数の発熱体30が全て環状に形成されているのではなく、環状でない発熱体30も存在する。環状でない発熱体30は環状の発熱体30に比較して発熱効率は低く、環状部に形成される切れ目39の間隔により発熱効率が変わる。そのため、発熱体30として発熱効率が高いものを基板の放熱が大きい部分と対応する位置に配置し、発熱効率が低いものを基板の放熱が小さい部分と対応する位置に配置することで、回路基板11内における温度分布の調整が可能となり、全ての箇所で電子部品12の半田付けを適正な温度で行うことが可能になる。
【0049】
○ 加熱状態(発熱量)を調整する方法として、発熱体30に切れ目39を形成する代わりに、発熱体30の磁路断面積の一部を小さくして調整する方法を採用してもよい。
○ 加熱状態(発熱量)を調整する方法として、発熱体30に切れ目39を形成せずに透磁率の異なる材料で発熱体30を形成してもよい。しかし、切れ目39を形成してその大きさを変更することで発熱量を調整する方が所望の発熱量に調整することが容易になる。また、同じ材料で発熱体30を形成して切れ目39の有無及び切れ目39の大きさで発熱量を調整する方が使用する電力量を少なくでき、加熱効率が良くなる。
【0050】
○ 位置決め治具33が位置決めする電子部品12の数は2個に限らず、1個でも3個以上であってもよい。この場合、発熱体30には電子部品12の数に対応する数の熱伝達部30aが形成される。
【0051】
○ 第2の実施形態のように熱伝達部30aが位置決め治具33に当接する場合、位置決め治具33の材質にカーボンを使用してもよい。
○ 回路基板11上に設けられるセラミック基板14は、全て同じ数の電子部品12が半田付けされる構成に限らず、電子部品12の数が異なるセラミック基板14が搭載される構成であってもよい。
【0052】
○ 1本の導体29に設けられる発熱体30の数は10個に限らず9個以下でも11個以上でもよい。また、発熱体30の数は複数に限らず1個であってもよい。
○ 発熱体30の数は、一度にワークWの半田付けを行うべき箇所全ての半田付けを行うことができる数に限らない。例えば、1つのワークWの半田付けを複数回で行うようにしてもよい。
【0053】
○ 発熱体30を貫通する導体29は1本に限らず、複数本の導体29が発熱体30を貫通し、各導体に同方向に流れるように高周波電流を供給する構成としてもよい。
○ 複数ある各被半田付け部上に配置される半田は、必ずしも同じ溶融温度の半田とは限らず、被半田付け部によって異なる溶融温度の半田を使用してもよい。電子部品12によっては溶融温度が低いものを使用する方が好ましい場合があるが、そのような場合、被半田付け部によって適切な温度が異なるが、発熱体30として発熱量の異なる発熱体30を設けることにより適切な温度にすることができる。発熱量の異なる発熱体30として切れ目39の大きさを調整したり、透磁率が異なる磁性体製の発熱体30を使用したりする。
【0054】
○ 半田付け装置本体21はチャンバ25内に一度に複数個のワークWが搬入されるとともに、一度に複数個のワークWに対する半田付けが可能に、導体29が設けられてもよい。導体29は1本の導体29で全てのワークWに対応する発熱体30が設けられる構成に限らず、各ワークWに対応して導体29が設けられた構成であってもよい。
【0055】
○ 発熱体30の材料となる透磁率の高い材料としては、例えば、鉄、ケイ素鋼、炭素鋼、鉄・ニッケル・クロム合金、鉄・ニッケル・モリブデン合金、鉄・アルミニウム合金、鉄・ニッケル合金等が挙げられる。
【0056】
○ ワークWをトレイTと共に昇降手段31により昇降させる構成で、補助ローラ32a,32bを省略してもよい。また、昇降手段31をベルトコンベヤ28の前後に配置する代わりに、ベルトコンベヤ28の幅をトレイTの幅より狭くして、昇降手段31が幅方向の両側でトレイTを支持して昇降させる位置に配置してもよい。また、ベルトコンベヤ28に代えてローラコンベヤを配置し、昇降手段31をピストンロッドあるいは出力軸がローラの間からトレイTを支持して上昇する位置と、退避位置とに移動可能な位置に配置してもよい。
【0057】
○ 昇降手段31によりトレイTを昇降させてワークWを発熱体30の熱伝達部30aに当接する位置と、退避位置とに移動させる代わりに、ベルトコンベヤ28を昇降手段で昇降移動させてワークWを発熱体30の熱伝達部30aに当接する位置と、退避位置とに移動させる構成としてもよい。この場合、ベルトコンベヤ28は、半田付けすべきワークWを支持するとともに、ワークWを熱伝達部30aとワークWの半田とが熱的に結合される半田付け位置に配置する支持部を構成する。
【0058】
○ ベルトコンベヤ28が昇降手段31によって昇降されて発熱体30の熱伝達部30aにワークWが当接する状態に配置する構成に代えて、発熱体30が導体29と一体的に昇降されて発熱体30の熱伝達部30aがワークWに当接する状態に配置される構成としてもよい。
【0059】
以下の技術的思想(発明)は前記実施形態から把握できる。
(1)請求項4又は請求項5に記載の発明において、前記基板上に複数の電子部品を半田付けするとともに、一部の電子部品の半田付けに溶融温度が異なる半田を使用し、前記半田の溶融温度に対応して発熱体として発熱量の異なるものを使用する。
【0060】
(2)前記技術的思想(1)に記載の発明において、複数の前記発熱体を備え、複数の前記発熱体の内、発生する渦電流量が他と異なるものが存在し、発生する渦電流量を調整することにより発熱量が調整されている。
【0061】
(3)前記技術的思想(2)に記載の発明において、前記発熱体は環状に形成されるものと環状の一部に切れ目が形成されたもの又は発熱体の磁路断面積の一部を小さく形成されたものとが混在し、切れ目の大きさ又は磁路断面積の違いにより発生する渦電流量が調整され、発熱量が調整されている。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】第1の実施形態の基板と導体及び発熱体との関係を示す模式斜視図。
【図2】半導体モジュールの模式断面図。
【図3】(a)は半田付け装置の模式平面図、(b)は模式側面図。
【図4】ベルトコンベヤと昇降手段の関係を示す模式図。
【図5】基板、治具、半田、電子部品及び発熱体の関係を示す部分模式断面図。
【図6】別の実施形態の治具、電子部品及び発熱体等の関係を示す部分断面図。
【図7】別の実施形態の治具、電子部品及び発熱体等の関係を示す部分断面図。
【図8】別の実施形態の治具、電子部品及び発熱体等の関係を示す部分断面図。
【図9】従来技術の断面図。
【符号の説明】
【0063】
F…磁束、H…半田、T…支持部を構成するトレイ、W…ワーク、11…基板としての回路基板、12…電子部品、13…基板の電極としての金属回路、28…ベルトコンベヤ、29…導体、30…発熱体、30a…熱伝達部、31…支持部を構成する昇降手段、33…位置決め治具、36…半田としてのシート半田、38…半田としての半田ペースト。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波電流が供給される導体と、
透磁率の高い金属製で前記導体を囲むように、かつ前記導体に高周波電流が供給された際に発生する磁束が閉じた回路を構成する形状に形成された発熱体と、
前記発熱体と一体に形成され、前記発熱体に発生した熱を半田付けすべきワークに伝達する熱伝達部と、
半田付けすべきワークを支持するとともに、前記ワークを前記熱伝達部と前記ワークの半田とが熱的に結合される半田付け位置に配置する支持部と
を備えたことを特徴とする半田付け装置。
【請求項2】
前記発熱体は前記導体に対して複数設けられている請求項1に記載の半田付け装置。
【請求項3】
前記発熱体の少なくとも1つは環状に形成されている請求項2に記載の半田付け装置。
【請求項4】
基板上の所定位置に半田及び電子部品を配置するとともに誘導加熱により前記半田を溶融させて前記電子部品を半田付けする半田付け方法であって、
電流が供給される導体の周囲を囲むように、かつ前記導体の周囲に生じた磁束が閉じる回路を構成するように設けられた透磁率の高い金属製の発熱体を誘導加熱で発熱させ、前記発熱体に発生した熱を前記半田と接触している前記電子部品又は前記基板の電極を介して前記半田に伝達して半田を溶融させることを特徴とする半田付け方法。
【請求項5】
前記電子部品は位置決め治具を用いて前記基板上に位置決めされ、前記発熱体は前記位置決め治具に当接して前記発熱体に発生した熱を前記半田に伝達する請求項4に記載の半田付け方法。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載の半田付け方法を半田付け工程に使用する電子機器の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2009−95873(P2009−95873A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−271331(P2007−271331)
【出願日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】