説明

単一光子源を得る方法

本開示は、単一光子源を得る方法を提供する。本方法は、目印を有する基板を準備する工程と、基板上に載せられた複数の粒子を準備する工程を含む。粒子は目印に近接させて載せられおり、励起に応じて単一光子を放射する粒子を含む。本方法は単一光子の放射を特定するために、複数の粒子各々の光子放射の特性を識別し、その結果、一光子を放射する粒子の位置を上記目印に関連して特定する工程をも含む。さらに、本方法は目印及びこれに近接する領域を撮像し、それによって、上記単一光子を放射する粒子の像を得ることを含む。加えて、本方法は単一光子を放射する粒子を所定の位置に移動させる工程を含み、所定の位置に移動させる工程には、デバイスを結合してその粒子を持ち上げ、所定の位置に移動させることを含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広くは光子源を得る方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光ファイバーは高速で大量のデータを送信するための手段を提供している。しかしながら、従来の光データの伝送システムは、通常、限定的なセキュリティしか提供できず、送信データに関連する情報への不正なアクセスが問題となることがある。
【0003】
量子通信システムは、データの安全な認証を可能とする光データの伝送システムである。量子通信は量子力学の原理に基づいており、従来の光データの伝送システムを用いて伝送される複数の光子と対比すると、単一光子を伝送することを必要とする。単一光子からなるパルスの形態でデータを伝送した場合、アクセス権限なき者が何らかの方法で、データにアクセスし、および/または変更したかどうかを確認することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在の量子通信システムは、単一光子を供給するために弱められたレーザー光に依存している。しかしながら、かかるシステムでは、光子が単一光子である信頼性は85%しか保証されない。真の単一光子源は、現在のところ、研究室でのみ利用でき、とても大きく複雑な装置で構成される。例えば、単一光子源は、複数のダイヤモンド粒子を含んでおり、ダイヤモンド粒子は、いわゆる”色中心”を有し、励起によりダイヤモンド粒子から単一光子を放射する。各ダイヤモンド粒子は、複数の上記色中心を含む可能性があり、一つだけの色中心を有するダイヤモンド粒子を識別すること、および他の複数のダイヤモンド粒子の中で励起しているたった一つのダイヤモンド粒子を識別することは、困難である。そこで技術的な進歩が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第一の態様は、単一光子源を得る方法であって、
目印を有する基板を準備する工程と、
上記基板に上記目印に近接させて載せられた、励起に応じて単一光子を放射する粒子を含む複数の粒子を準備する工程と、
単一光子の放射を特定するために、上記複数の粒子各々の光子放射の特性を識別し、該識別によって、単一光子を放射する粒子の位置を上記目印に関連して特定する工程と、
上記目印及びこれに近接する領域を撮像し、それによって、上記単一光子を放射する粒子の像を得る工程と、
上記単一光子を放射する粒子にデバイスを結合してその粒子を持ち上げ、所定の位置に移動させる工程とを備える方法を提供する。
【0006】
本明細書を通して、用語 "単一光子を放射する(単一光子の放射)"は、一度に1つの光子だけを放射するような光子の放射に用いられる。用語 "単一光子源"は、単一光子の放射のために設けられた光子源に用いられる。例えば、単一光子源は、単一の(個別の)光子を連続して、またはパルス的に放射するように用いられる。
【0007】
本明細書を通して、用語 "目印" は、肉眼で、および/または顕微鏡(例えば、光学顕微鏡や電子顕微鏡)を用いて見ることができる特徴に用いられる。
【0008】
本方法は、基板に目印を与えるためにマークすることを含みうる。本方法は、通常、目印に対する、単一光子を放射する粒子の位置を記録する工程を含む。
【0009】
単一光子の放射を特定するために、複数粒子からの光子放射の特性を識別する工程は、通常、粒子からの蛍光放射を検知し、単一光子の放射に係る蛍光放射を、反相関測定を用いて分析することを含む。反相関測定には、Hanbury Brown−Twiss干渉計装置を使用することができる。
【0010】
本方法は、単一光子を放射するために設けられた粒子からの光学的応答を検出し、さらに目印に対するその粒子のおおよその位置を特定する。しかしながら、単一光子を放射する粒子は、とても小さな粒子である。その粒子は、通常500nmよりも小さい直径であったり、200nmよりも小さい直径であったり、80nmよりも小さい直径ですらある。具体的な一実施態様では、単一光子を放射する粒子は40〜150nm程度の直径を有しており、したがって、その粒子は、通常、光学顕微鏡法を用いて撮像し、正確な位置を特定するにはあまりにも小さい。
【0011】
目印および目印の近くの領域を撮像する工程では、通常、単一光子を放射する粒子の像を解像するための十分な空間分解能を有する電子顕微鏡法(例えば二次電子顕微鏡法)を用いる。
【0012】
単一光子を放射する粒子を所定の位置に移動させる工程は、通常、単一光子を放射する粒子のみを所定の位置に移動させることを含み、その所定の位置は、通常、他の粒子の位置から離れている。結果として、当該粒子のみの光学的励起により単一光子の放射を容易にする。本発明の第一の態様に従った本方法の実施形態は、明確な光学特性を有する単一光子源を得るのを可能にする。
【0013】
所定の位置へと当該粒子を移動させる工程は、通常、移動中の、粒子および適切なデバイスの少なくとも一部を撮像しながら行う。
【0014】
粒子と適切なデバイスとの結合は、静電結合によることを含みうる。
【0015】
例えば、適切なデバイスは、プローブでありうる。プローブは、シリカのように電気的絶縁材料から形成されるプローブでありうる。具体例の一つとして、プローブは、細長部材であり、直径約50〜200μmの太さから直径約20〜100nm(通常は50nm程度)の先端へと、1〜5mmの長さにわたって先細になる先端部を有する。
【0016】
所定の位置は、基板上に設けることができる。この場合、所定の位置は、通常、その他の粒子から離れた位置にある。
【0017】
具体的な一実施形態では、所定の位置は基板から離れている。例えば、所定の位置は、光ファイバーの端面上に設けることができる。本方法は、ファイバー端面に凹部を有する光ファイバーを供給する工程を含みうる。所定の位置は、通常、凹部内にあり、その凹部は、たいてい、光ファイバーのコア部に形成されている。
【0018】
この方法は、適切なエッチング処理を用いて、光ファイバーに凹部を形成することをも含む。例えば、凹部は、光ファイバーの端面をエッチングすることにより形成されうる。光ファイバーは、通常、コア部周辺の領域よりも高いドーパント濃度を有するコア部を含む。この場合、主にコア部にエッチング処理を施すように、エッチング処理を選択する。その結果、エッチングはコア部で凹部を形成することになり、もし、単一光子を放射する粒子が凹部内に位置するならば、粒子は実質的には端面の中央に位置する。
【0019】
粒子は、通常、ダイヤモンド型構造を有する材料を含んでおり、たいていは、単結晶ダイヤモンド材料や多結晶ダイヤモンド材料のようなダイヤモンド材料を含む。ダイヤモンド材料は、通常、少なくとも1つの色中心を含む。
【0020】
本明細書を通して, 用語 "色中心" は、光子がそこから放射されることが可能な、任意の光学的に活性な原子、分子、または空孔中心に用いられ、単一光子の放射により励起状態が減衰するようになった原子、分子、空孔中心を含む。
【0021】
各色中心は、通常、ダイヤモンド材料内の不純物をそれぞれ含んでいる。例えば、各不純物は、窒素−空孔(N−V)の色中心が形成されるような、空孔に隣接して配置された窒素原子であってもよい。各不純物は、一般に“NE8”色中心と呼ばれる、ニッケルに関連した色中心であってもよい。そのような窒素−空孔(N−V)中心は、適切な励起により、637nm付近の波長を有する単一光子を放射するために設けられている。
【0022】
単一光子を放射する粒子は、通常、1つの色中心を含む。
【0023】
基板は、シリコンウエハーなどのウエハーでもよい。複数の粒子が載った基板を供給する工程は、通常、基板上に粒子を載せることを含む。基板上に粒子を載せることは、粒子を懸濁させた液体に基板をさらし、蒸発やその他の方法による溶媒の除去により基板上に粒子を析出させることを含みうる。
【0024】
本発明の第二の態様は、本発明の第一の態様に従った方法により得られた単一光子源を提供する。
【0025】
本発明の第三の態様は、1つの粒子を所定の位置に移動させる方法であって
10〜500nmの直径を有する上記粒子を基板上に載せる工程と、
プローブの直径10〜500nmの先端を上記粒子に向かって移動させ、上記粒子に結合する工程と、
上記粒子を結合した上記プローブを移動させて、上記粒子を上記基板から持ち上げ、所定の位置に動かす工程とを備えることを特徴とする1つの粒子を所定の位置に移動させる方法を提供する。
【0026】
プローブと、通常は粒子も、電気絶縁材料によって形成されている。例えば、プローブはシリカよりなる。プローブの先端と粒子との結合は、静電結合によることを含みうる。
【0027】
具体例の一つとして、プローブは、細長部材であり、直径約50〜200μmの太さから直径約20〜100nm(通常は50nm程度)の先端へと、1〜5mmの長さにわたって先細になる先端部を有する。
【0028】
本発明は、以下の本発明の具体的な実施形態の説明により、さらに完全に理解されるであろう。本明細書は、添付図面を参照し、以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の具体的な実施形態に係る、単一光子源を得る方法を示すフローチャートである。
【図2】(a)は、本発明の具体的な実施形態に係る目印の概略図を示しており、(b)は、目印が設けられ、粒子が載せられた基板の顕微鏡写真である。
【図3】(a)は、粒子を有する基板の一領域の光学的蛍光放射の画像であり、(b)は、(a)で示したのと同じ領域の二次電子顕微鏡写真である。
【図4】(a)と(b)は、本発明の具体的な実施形態に係る、粒子を移動させるプローブと、粒子を載せた基板の高倍率の電子顕微鏡写真である。
【図5】本発明の具体的な実施形態に係る、エッチングされた光ファイバーの端面と粒子を移動させるためのプローブの顕微鏡写真である。
【図6】図5に示す光ファイバーの端面全体の表面の深さプロファイルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
最初に図1および図2は、本発明の具体的な実施態様に係る、単一光子源を得る方法を表す。方法100は、目印を有する基板を用意する工程102を含む。例えば、基板はシリコンウエハーのようなウエハーであったり、その他のしかるべき形態で用意されうる。本実施形態において、目印は、集束イオンビームを用いて、ウエハーの表面に刻まれた模様の形状で用意される。図2(a)は、図2(b)に示された基板220の表面に刻まれた目印200を示している。
【0031】
方法100は、基板上に複数の粒子を用意する工程104をも含む。図2(b)に示された複数の粒子222は、目印200の近くの位置にあり、適切な励起に応じて単一光子を放射する粒子を備える。
【0032】
本実施形態において、工程104は、基板220上に粒子を付着する前に、アセトン, メタノール、および、脱イオン水(純水)を用いて基板を洗浄することをも含む。粒子(本実施例では、ダイヤモンド粒子)は、最初、溶液中に懸濁させる(25mlのメタノールに約0.0076g)。本実施例では、ダイヤモンド粉末は、0.5〜5.0μmの範囲の直径を有する粒子を含む。ダイヤモンド粒子を有する溶液に対し、超音波処理を数時間行う。超音波処理は、さらにダイヤモンド粒子を破壊し、平均サイズが10〜500nm程度になり、粒子サイズの均一性を増すこととなる。
【0033】
次に、基板を上記溶液にさらし、そして超音波処理を約30分続ける。メタノールの蒸発を促進するために窒素流が用いられ、それによって、基板220上にダイヤモンド粒子が析出する。
【0034】
ダイヤモンド材料は、そのマトリックスに、空孔に隣接して配置された窒素原子 (N−Vの色中心) のような不純物を有する。N−Vの色中心は、通常、637nm付近の波長を有する光を放射するようになっている。単一光子を放射するダイヤモンド粒子は、通常、1つのN−Vの色中心を含んでいる。
【0035】
しかし、ダイヤモンド粒子の大多数は、通常、2以上のN−Vの色中心を含んでおり、どのようにして1の色中心を有する粒子を特定することができるのかを、以下に記載する。
【0036】
方法100は、単一光子の放射を特定し、それによって単一光子を放射する粒子の目印200に対するおおよその位置を特定するために、複数の各粒子からの光子放射の特徴を明らかにする工程106をも含む。工程106は、1つの色中心のみ含み、結果として、真の単一光子源として機能しうる粒子を選択する。
【0037】
図3(a)は、基板220から放射された蛍光放射と基板220上に配置されたダイヤモンド粒子222を示している。蛍光放射は個別の粒子222について画像を取り込み、取り込まれた蛍光放射について、Hanbury Brown−Twiss干渉計装置を用いて反相関測定によって単一光子の放射であるかどうか調べる。Hanbury Brown‐Twiss干渉計装置を用いた反相関測定についての詳細な説明は、参考文献R.Hanbury BrownとR.Q.Twiss”Correlation between photons in two coherent beams of light.” Nature 177,27−29(1956)に示されている。その結果、1以上の目印200に対する、単一光子を放射する特定の粒子の位置は、相対的に記録される。
【0038】
方法100は、単一光子を放射する粒子を撮像する二次電子顕微鏡法を用いて、目印及び目印の近くの領域を撮像する工程108をも含む。最初に、基板の表面を導電可能である炭素の薄い層で覆う。その結果、帯電することなく走査型電子顕微鏡を用いた撮像をすることができる。図3(b)は、図3(a)で示された光学画像と同じ領域の電子顕微鏡写真を示している(図3(a)(b)とも2,500倍の拡大である)。ダイヤモンド粒子は、通常、40〜500nm程度のサイズを有する。それ故に、ダイヤモンド粒子は、光学顕微鏡を用いて撮像するには小さすぎる。図3(a)は、粒子から放射された蛍光放射を示しているが、非常に小さいダイヤモンド粒子の本来の像は示していない。単一光子を放射する粒子のおおよその位置は記録されているので、図3(b)に撮像されたどの粒子が単一光子を放射する粒子であるかを特定することが可能である。
【0039】
図4(a)と図4(b)は、図2でも示された領域の高解像度の二次電子顕微鏡写真を示している。図4(a)は、12,000倍に拡大された基板220の一領域を示しており、図4(b)は、100,000倍に拡大された基板220の一領域を示している。
【0040】
さらに、図4(a)と図4(b)は、単一光子を放射する選ばれた粒子を移動させるためのプローブ300をも示している。本実施形態におけるプローブ300は、125μm程度の直径を有する細長い棒状のシリカから作られている。プローブ300は、1.75mmの長さにわたって、直径50nm程度の先端へと先細になる先端部を有する。
【0041】
本発明者は、プローブ300の先端を粒子(例えば適切なサイズを有するダイヤモンド粒子)に向かって移動させて接触させ、その後、プローブ300を持ち上げることにより、粒子をプローブ300の先端で持ち上げることができることに気づいた。(絶縁性のシリカでできている)プローブ300の先端と(絶縁性の)ダイヤモンド粒子との間の静電気力は十分な力をもたらすので、その結果、基板220の表面から粒子を持ち上げることができる。
【0042】
当然ながら、実施形態の変形で、プローブ300は異なった寸法を有し、他のしかるべき材料からできていることもありうる。さらに、プローブ300は、ダイヤモンド粒子以外の適切な粒子を移動するために使われることもある。
【0043】
方法100は、単一光子を放射する粒子を所定の位置へと動かす工程110をも含む。図4(b)は、単一光子を放射する粒子350を示している。プローブ300の先端を粒子350に向かって動かし、粒子350を基板の表面から持ち上げ、所定の位置に動かした。
【0044】
図5は、エッチングされた光ファイバーの端面360を示している。光ファイバーの端面360の作成のために、所定のドーパントプロファイルを有する光ファイバーを少し切断し、その後、光ファイバーの端面を、50%のHFと50%の水の溶液に30秒間さらした。その光ファイバーの端面は、比較的高いドーパント濃度を有する領域において顕著なエッチングをもたらす。HFと水の他の割合の組み合わせで使うことはできるが、ドープされたシリカとドープされていないシリカのエッチ速度は、上記割合の組み合わせに応じて変化することがある。プロファイルされた(profiled)上記端面360を洗浄し、乾燥する。
【0045】
当業者は、光ファイバーは一般的にドーパント濃度が領域によって異なることを認識しているだろう。例えば、光ファイバーのコア部は、通常、コア部周辺の領域よりも高いドーパント濃度を有する。光ファイバーの端面360は、図5に示される。光ファイバーはコア部周辺領域の内部において光ファイバーの半径全体にわたって変化するドーパント濃度を有し、その結果、エッチングによって光ファイバーと同心のくぼみが形成される。図6は、光ファイバーのエッチングされた端面360の深さプロファイル分析を示している。
【0046】
本実施形態において、所定の位置は、エッチング処理によりコア部に形成された凹部362の内部にあり、その所定の位置は、粒子を移動させる位置である。粒子を移動させる工程110は、本実施形態において、粒子350を有するプローブ300を、エッチングされた端面360の凹部362に向かって移動させ、凹部362内に粒子350を配置することを含む。本実施形態において、粒子は凹部362の壁部で"こそぎ落と"される。粒子350の位置とプローブ300の動きは、通常、二次電子顕微鏡法を用いてモニタされる。光ファイバーの端面360上の同心のくぼみは、 凹部362を設けるのを助けるものとして機能する。本実施形態において、単一光子を放射する粒子350は、光ファイバーの中心近くに配置される。
【0047】
複数の色中心を有する他のダイヤモンド粒子から単一光子を放射する粒子350を分離し、そして、粒子350、すなわち単一光子源の周囲の光ファイバーの領域をも含んだより広い領域を適切な光放射にさらすことによって、単一光子の放射は開始される。
【0048】
本発明は具体的な例に基づいて記載してきたが、本発明は数多くの他の形態により具体化されうることを、当業者は理解するであろう。例えば、所定の位置は必ずしも光ファイバーの端面上にある必要はないだろうし、単一光子を放射する粒子を何か他の適切な方法を用いて移動させることもできる。さらに、粒子は必ずしもダイヤモンド材料を含まなくてもよく、その代わりに粒子の少なくとも1つが単一光子を放射するのに用いられるために設けられた代替物質を含んでもよいことを、当業者は理解する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一光子源を得る方法であって、
目印を有する基板を準備する工程と、
上記基板に上記目印に近接させて載せられた、励起に応じて単一光子を放射する粒子を含む複数の粒子を準備する工程と、
単一光子の放射を特定するために、上記複数の粒子各々の光子放射の特性を識別し、該識別によって、単一光子を放射する粒子の位置を上記目印に関連して特定する工程と、
上記目印及びこれに近接する領域を撮像し、それによって、上記単一光子を放射する粒子の像を得る工程と、
上記単一光子を放射する粒子にデバイスを結合してその粒子を持ち上げ、所定の位置に移動させる工程とを備える
ことを特徴とする単一光子源を得る方法。
【請求項2】
請求項1に記載の単一光子源を得る方法であって、
上記基板に上記目印を与えるためにマークすることをさらに含む
ことを特徴とする単一光子源を得る方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の単一光子源を得る方法であって、
上記単一光子を放射する粒子の位置を上記目印に関連して特定する工程は、上記目印に対する、上記単一光子を放射する粒子の位置を記録する工程を含む。
ことを特徴とする単一光子源を得る方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の単一光子源を得る方法であって、
上記目印および上記目印の近くの領域を撮像する工程では、電子顕微鏡法を用いる
ことを特徴とする単一光子源を得る方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の単一光子源を得る方法であって、
上記単一光子を放射する粒子を所定の位置に移動させる工程は、該粒子のみを上記所定の位置に移動させる
ことを特徴とする単一光子源を得る方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の単一光子源を得る方法であって、
上記粒子を持ち上げるデバイスは、プローブであり、
該プローブは、細長部材であり、直径50〜200μmの太さから直径20〜100nmの先端へと、1〜5mmの長さにわたって先細になる先端部を有する
ことを特徴とする単一光子源を得る方法。
【請求項7】
請求項6に記載の単一光子源を得る方法であって、
上記プローブは電気絶縁材料によって形成される
ことを特徴とする単一光子源を得る方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の単一光子源を得る方法であって、
上記所定の位置は上記基板から離れている
ことを特徴とする単一光子源を得る方法。
【請求項9】
請求項8に記載の単一光子源を得る方法であって、
上記所定の位置は、光ファイバーの端面上にある
ことを特徴とする単一光子源を得る方法。
【請求項10】
請求項9に記載の単一光子源を得る方法であって、
上記ファイバー端面に凹部を有する光ファイバーを供給する工程を含む
ことを特徴とする単一光子源を得る方法。
【請求項11】
請求項10に記載の単一光子源を得る方法であって、
上記凹部は上記光ファイバーのコア部に形成されており、上記所定の位置は上記凹部内にある
ことを特徴とする単一光子源を得る方法。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の単一光子源を得る方法であって、
エッチング処理を用いて、上記光ファイバーに上記凹部を形成することを含む
のを特徴とする単一光子源を得る方法。
【請求項13】
請求項12に記載の単一光子源を得る方法であって、
上記光ファイバーは、上記コア部周辺の領域よりも高いドーパント濃度を有するコア部を含み、上記凹部は上記光ファイバーの端面をエッチングすることにより形成される
ことを特徴とする単一光子源を得る方法。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の単一光子源を得る方法であって、
上記複数の粒子はダイヤモンド型構造を有する材料を含み、かつ、少なくとも1つの色中心を含む
ことを特徴とする単一光子源を得る方法。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の単一光子源を得る方法であって、
上記複数の粒子を載せた基板を供給する工程は、上記基板上に上記粒子を載せる工程を含む
ことを特徴とする単一光子源を得る方法。
【請求項16】
請求項15に記載の単一光子源を得る方法であって、
上記基板上に上記複数の粒子を載せる工程は、上記基板を、上記粒子を懸濁させた液体にさらすことを含む
のを特徴とする単一光子源を得る方法。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれかに記載の方法によって得られる単一光子源。
【請求項18】
1つの粒子を所定の位置に移動させる方法であって
10〜500nmの直径を有する上記粒子を基板上に載せる工程と、
プローブの直径10〜500nmの先端を上記粒子に向かって移動させ、上記粒子に結合する工程と、
上記粒子を結合した上記プローブを移動させて、上記粒子を上記基板から持ち上げ、所定の位置に動かす工程と、を備える
ことを特徴とする1つの粒子を所定の位置に移動させる方法。
【請求項19】
請求項18に記載の1つの粒子を所定の位置に移動させる方法であって、
上記プローブは電気絶縁材料よりなる
ことを特徴とする1つの粒子を所定の位置に移動させる方法。
【請求項20】
請求項19に記載の1つの粒子を所定の位置に移動させる方法であって、
上記粒子は電気絶縁材料よりなる
ことを特徴とする1つの粒子を所定の位置に移動させる方法。
【請求項21】
請求項18〜20のいずれか一項に記載の1つの粒子を所定の位置に移動させる方法であって、
上記プローブは、細長部材よりなり、直径50〜200μmの太さから直径20〜100nmの先端へと、1〜5mmの長さにわたって先細になる先端部を有する
ことを特徴とする1つの粒子を所定の位置に移動させる方法。

【図1】
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【図6】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−517344(P2011−517344A)
【公表日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−547916(P2010−547916)
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【国際出願番号】PCT/AU2009/000215
【国際公開番号】WO2009/105815
【国際公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(507170262)ザ ユニバーシティー オブ メルボルン (8)
【Fターム(参考)】