説明

印刷システムおよび印刷装置並びに印刷装置の制御方法、プログラム

【課題】携帯用電子機器を利用したフレーム印刷のシステムを提供する。
【解決手段】携帯電話60はRGBの色情報と透明性に関する情報としてのアルファチャンネルとが分離された状態で格納されたフレームファイルをサーバからダウンロードすると共にフレームファイルをマルチファンクションプリンタ10に送信し、マルチファンクションプリンタ10は携帯電話60からフレームファイルを受信したときにフレームファイルの色情報とアルファチャンネルとを合成してフレームデータを生成し生成したフレームデータにユーザにより選択された選択画像を合成して印刷用データを作成してフレーム印刷を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷システムおよび印刷装置並びに印刷装置の制御方法、プログラムに関し、詳しくは、画像の取り扱いが可能な携帯用電子機器と画像を印刷する印刷装置とからなる印刷システムおよび透過情報と色情報とが分離されたフォーマットのフレームファイルを用いて前記透過情報のないフレーム画像を表示可能な携帯用電子機器と無線通信可能な印刷装置並びに印刷装置の制御方法、印刷装置の制御方法の各ステップを1又は複数のコンピュータで実現させるためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷システムとしては、デジタルTV受信機などの表示装置とプリンタとにより構成されたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このシステムでは、プリンタは、ネットワークを介してサーバからフレーム画像をダウンロードし、ダウンロードしたフレーム画像のうちフレーム印刷に使用するフレーム画像を選択するための選択画面を表示装置に表示し、表示装置上で選択されたフレーム画像を用いてフレーム印刷を行なっている。
【特許文献1】特開2006−106846号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した印刷システムでは、プリンタに内蔵していないフレーム画像でもサーバからダウンロードしてフレーム印刷を行なうことができるが、プリンタをネットワークに接続する必要が生じる。また、パーソナルコンピュータを用いてメモリカードなどの記憶装置にフレーム画像を保存し、これをプリンタに取り付けて記憶装置からフレーム画像を読み出してフレーム印刷を行なうことも考えられるが、パーソナルコンピュータを介した操作が必要となり、操作が煩雑となる。一方、近年、例えば携帯電話などのように画像の取り扱いが可能な携帯用電子機器が広く普及してきており、無線通信の機能を有するものも多いため、こうした携帯用電子機器を利用した印刷システムを提供することは重要な課題として考えることができる。
【0004】
本発明の印刷システムおよび印刷装置並びに印刷装置の制御方法、プログラムは、携帯用電子機器を利用したフレーム印刷のシステムを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の印刷システムおよび印刷装置並びに印刷装置の制御方法、プログラムは、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0006】
本発明の印刷システムは、
画像の取り扱いが可能な携帯用電子機器と画像を印刷する印刷装置とからなる印刷システムであって、
前記携帯用電子機器は、透過情報と色情報とが分離されたフォーマットで構成されたフレームファイルに基づいて前記透過情報のないフレーム画像を表示可能で、前記フレームファイルを無線通信を用いて前記印刷装置に送信可能な機器であり、
前記印刷装置は、前記携帯用電子機器から送信されたフレームファイルを受信し、該受信したフレームファイルの透過情報と色情報とを合成してフレーム画像を作成し、該作成したフレーム画像にユーザにより選択された選択画像を挿入して印刷用画像を作成し、該作成した印刷用画像に基づいて印刷を実行する装置である
ことを要旨とする。
【0007】
この本発明の印刷システムでは、携帯用電子機器は、透過情報と色情報とが分離されたフォーマットで構成されたフレームファイルに基づいて透過情報のないフレーム画像を表示すると共にフレームファイルを無線通信を用いて印刷装置に送信し、印刷装置は、携帯用電子機器から送信されたフレームファイルを受信し受信したフレームファイルの透過情報と色情報とを合成してフレーム画像を作成し作成したフレーム画像にユーザにより選択された選択画像を挿入して印刷用画像を作成し作成した印刷用画像に基づいて印刷を実行する。これにより、携帯用電子機器を用いてフレーム画像の管理を容易に行なうことができると共にこの携帯用電子機器によりフレーム印刷を印刷装置で実行することができる。ここで、「携帯用電子機器」には、携帯電話が含まれる。
【0008】
こうした本発明の印刷システムにおいて、前記携帯用電子機器は、画像を記憶し、前記記憶されている画像の中からユーザにより選択された選択画像を前記印刷装置に送信可能な機器であり、前記印刷装置は、画像を記憶する記憶手段が接続され、前記携帯用電子機器側の選択画像の使用か前記印刷装置側の選択画像の使用かの指示を受け付け、前記携帯用電子機器側の選択画像の使用が指示されたときには前記携帯用電子機器から送信された選択画像を受信し前記フレーム画像に前記受信した選択画像を挿入して前記印刷用画像を作成し、前記印刷装置側の選択画像の使用が指示されたときには前記フレーム画像に前記記憶手段に記憶されている画像の中からユーザにより選択された選択画像を挿入して前記印刷用画像を作成するものとすることもできるし、前記携帯用電子機器は、画像を記憶し、前記記憶されている画像の中からユーザにより選択された選択画像を前記印刷装置に送信可能な機器であり、前記印刷装置は、画像を記憶する記憶手段が接続され、前記携帯用電子機器から送信される選択画像を受信可能な状態とし、前記携帯用電子機器から選択画像が受信されたときには前記フレーム画像に前記受信した選択画像を挿入して前記印刷用画像を作成し、前記携帯用電子機器から選択画像を受信する前に前記記憶手段に記憶されている画像の中からユーザにより選択画像が選択されたときには前記フレーム画像に前記選択された選択画像を挿入して前記印刷用画像を作成するものとすることもできる。こうすれば、携帯用電子機器側の画像と印刷装置側の画像を自由に選択してフレーム印刷を行なうことができる。
【0009】
また、本発明の印刷システムにおいて、前記携帯用電子機器は、無線通信ネットワークを介して前記フレームファイルをダウンロード可能な機器であるものとすることもできる。こうすれば、多様なフレーム画像を用いてフレーム印刷を行なうことができる。
【0010】
本発明の印刷装置は、
画像の取り扱いが可能な携帯用電子機器と無線通信可能な印刷装置であって、
前記携帯用電子機器から透過情報と色情報とが分離されたフォーマットのフレームファイルを受信し、該受信したフレームファイルの透過情報と色情報とを合成して前記透過情報を含むフレーム画像を作成し、ユーザにより選択された選択画像を前記作成したフレーム画像に挿入して印刷用画像を作成し、該作成した印刷用画像に基づいて印刷を実行する
ことを要旨とする。
【0011】
この本発明の印刷装置では、携帯用電子機器から透過情報と色情報とが分離されたフォーマットのフレームファイルを受信し、受信したフレームファイルの透過情報と色情報とを合成してフレーム画像を作成し、作成したフレーム画像にユーザにより選択された選択画像を挿入して印刷用画像を作成し作成した印刷用画像に基づいて印刷を実行する。これにより、携帯用電子機器を利用してフレーム印刷を印刷装置で実行することができる。
【0012】
本発明の印刷装置の制御方法は、
画像の取り扱いが可能な携帯用電子機器と無線通信可能な印刷装置の制御方法であって、
前記携帯用電子機器から透過情報と色情報とが分離されたフォーマットのフレームファイルを受信し、該受信したフレームファイルの透過情報と色情報とを合成して前記透過情報を含むフレーム画像を作成し、ユーザにより選択された選択画像を前記作成したフレーム画像に挿入して印刷用画像を作成し、該作成した印刷用画像に基づいて印刷を実行する ことを要旨とする。
【0013】
この本発明の印刷装置の制御方法によれば、携帯用電子機器から透過情報と色情報とが分離されたフォーマットのフレームファイルを受信し、受信したフレームファイルの透過情報と色情報とを合成してフレーム画像を作成し、作成したフレーム画像にユーザにより選択された選択画像を挿入して印刷用画像を作成し作成した印刷用画像に基づいて印刷を実行する。これにより、携帯用電子機器を利用してフレーム印刷を印刷装置で実行することができる。
【0014】
本発明のプログラムは、上述した印刷装置の制御方法の各ステップを1又は複数のコンピュータに実現させるためのものである。このプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体(例えばハードディスク、ROM、FD、CD、DVDなど)に記録されていてもよいし、伝送媒体(インターネットやLANなどの通信網)を介してあるコンピュータから別のコンピュータへ配信されてもよいし、その他どのような形で授受されてもよい。このプログラムを一つのコンピュータに実行させるか又は複数のコンピュータに各ステップを分担して実行させれば、上述した印刷装置の制御方法の各ステップが実行されるため、該制御方法と同様の作用効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、本発明を実施するための最良の形態を図面を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態である印刷システムの構成の概略を示す構成図であり、図2は、印刷システムを構成するマルチファンクションプリンタ10と携帯電話60の構成の概略を示す構成図である。
【0016】
本実施形態の印刷システムは、図1に示すように、マルチファンクションプリンタ10と、このマルチファンクションプリンタ10と赤外線通信が可能な携帯電話60と、携帯電話60とインターネットなどのネットワーク82を介して通信可能で携帯電話60で取り扱いが可能なフレームファイルを配信可能なコンテンツサーバ80とを備える。
【0017】
マルチファンクションプリンタ10は、図2に示すように、印刷ジョブに基づいて印刷用紙Sへの印刷を実行するプリンタユニット20と、原稿台に載置された書類を読み取るスキャナユニット30と、メモリカードスロット26に挿入されたメモリカード25との間でデータの入出力を行うメモリカードコントローラ28と、赤外線の受発光を行う赤外線通信ポート36と、赤外線通信ポート36を制御するIrDAコントローラ38と、各種情報を表示部42に表示したりユーザの指示をボタン類44の操作を介して入力したりする操作パネル40と、装置全体の制御を司るメインコントローラ50とを備える。このマルチファンクションプリンタ10では、メインコントローラ50とプリンタユニット20とスキャナユニット30とメモリカードコントローラ28とIrDAコントローラ38とがバス56を介して電気的に接続されており、互いに各種制御信号やデータのやり取りができるようになっている。
【0018】
プリンタユニット20は、プリンタASIC22とプリンタエンジン24とを備える。プリンタASIC22は、プリンタエンジン24の制御向けに作製された集積回路であり、メインコントローラ50から印刷指令を受けると、その印刷指令の対象となる印刷データに基づいて印刷用紙Sに印刷するようプリンタエンジン24を制御する。また、プリンタエンジン24は、印刷ヘッドから用紙へインクを吐出することにより印刷を行う周知のインクジェット方式のカラープリンタ機構として構成されている。なお、ASICは、Application Specific Integrated Circuitの略である。
【0019】
スキャナユニット30は、スキャナASIC32とスキャナエンジン34とを備えている。スキャナASIC32は、スキャナエンジン34の制御向けに作製された集積回路であり、メインコントローラ50からのスキャン指令を受けると、原稿台に載置された書類を画像データとして読み取るようスキャナエンジン34を制御する。また、スキャナエンジン34は、周知のイメージスキャナとして構成され、書類に向かって発光したあとの反射光をレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の各色に分解してスキャンデータとする周知のカラーイメージセンサを備えている。
【0020】
メモリカードコントローラ28は、メモリカードスロット26に挿入されたメモリカード25との間でデータの入出力を行うものである。このメモリカードコントローラ28は、メモリカードスロット26にメモリカード25が挿入されているとき、メモリカード25に保存されているファイルを読み出してメインコントローラ50に送信したりメインコントローラ50からの命令を入力しその命令に基づいてメモリカード25にデータを書き込んだりする。
【0021】
赤外線通信ポート36は、図示しないが携帯電話60が発光した赤外線を受光するフォトトランジスタと携帯電話60へ向けて赤外線を発光するLEDとにより構成されており、IrDA規格に準拠した通信方式で通信できるようになっている。
【0022】
操作パネル40は、表示部42とボタン類44とを備える。表示部42は、液晶ディスプレイであり、印刷状況やデータ受信状況などに関する情報や印刷メニューなどを表示する。ボタン類44は、電源ボタンや矢印キー、決定ボタン、キャンセルボタン、印刷ボタンなどからなり、印刷メニュー表示時におけるメニュー項目の選択や印刷実行の時などに適切なボタンが押下されることにより内部通信インタフェース79を介してメインコントローラ50にユーザの指示が入力される。
【0023】
メインコントローラ50は、CPU51を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、各種処理プログラムや各種データ、各種テーブルなどを記憶したROM52と、一時的にスキャンデータや印刷データを記憶したりデータを保存したりするRAM53と、電気的に書き換え可能で電源を切ってもデータは保持されるフラッシュメモリ54と、操作パネル40との通信を可能とする内部通信インタフェース55とを備え、これらはバス56を介して互いに信号のやり取りが可能なように接続されている。このメインコントローラ50は、プリンタユニット20やスキャナユニット30,IrDAコントローラ38からの各種動作信号や各種検出信号を入力したり、操作パネル40のボタン類44の操作に応じて発生する操作信号を入力したりする。また、メインコントローラ50は、印刷ジョブに含まれる画像データの印刷を実行するようプリンタユニット20に指示を出力したり、操作パネル40のボタン類44のスキャン指令に基づいて原稿台に載置された書類を画像データとして読み取るようスキャナユニット30に指示を出力したり、IrDAコントローラ38に赤外線通信で送信先に送信するデータを出力したり、操作パネル40に表示部42の制御指令を出力したりする。
【0024】
携帯電話60は、図2に示すように、IrDAに準拠した赤外線通信機能を搭載しており、テンキー等からなる操作ボタン61や受話口で話された音声を集音するマイク62、送話口を介して音声を外部に出力するスピーカ63、各種画面(画像)を表示するディスプレイ64、画像を撮影するCCDカメラ65、携帯電話網のデータ入出力インタフェースである送受信部66、各種データを一時的に保存可能なメモリ67、赤外線通信が可能な赤外線通信ポート68、赤外線通信ポート68を制御するIrDAコントローラ69と、携帯電話全体の制御を司る携帯電話制御部70を備える。ここで、メモリ67には、操作ボタン61を操作することにより逐次作成された電話帳データ、送受信部66を介して他の携帯電話やパーソナルコンピュータ等へ送信したか送信する予定の送信メールデータ、送受信部66を介して他の携帯電話やパーソナルコンピュータ等から受信した受信メールデータ、操作ボタン61の操作により作成されたメモ帳データ、CCDカメラ65によって撮影された画像データ、フレーム印刷用のフレームファイルなどが保存されている。携帯電話制御部70は、種々の制御を実行するが、そのうちの一つとして、操作ボタン61から送信指令が入力されたとき、これらのデータの中から選択されたデータを、赤外線通信ポート68を介してマルチファンクションプリンタ10へ送信する。
【0025】
こうした携帯電話60では、送受信部66によりネットワーク82を介してコンテンツサーバ80にアクセスしてフレームファイルをダウンロードすると共にダウンロードしたフレームファイルを赤外線通信ポート68によりマルチファンクションプリンタ10に送信してフレーム印刷することができる。この通信手順を図3に示す。フレームファイルのダウンロードは、例えば、図4に例示するフレームカタログ90を用いて行なうことができる。フレームカタログ90は、図示するように、フレームのサンプル画像92と各サンプル画像92のデータ保存先(URL)がコード化された2次元コード94とからなっており、コード読み取り機能を用いてCCDカメラ65で2次元コード94を撮影することにより、コンテンツサーバ80にアクセスし、必要なフレームファイルをダウンロードすることができる。図5に、フレームファイル100の一例を示す。フレームファイル100は、図示するように、デジタルカメラで撮影した画像用に使用されるExif(Exchangeable Image File Format)形式の画像ファイルであり、付加情報格納領域と画像データ格納領域とにより構成されている。付加情報格納領域には画素数や圧縮モード,撮影日時,機種名,絞り値,色空間などの情報が格納される他、メーカー固有の情報(MakerNote)が格納され、画像データ格納領域にはサムネイル画像データと主画像データとが格納される。主画像データやサムネイル画像データは、図5に示すように、レッド(R),グリーン(G),ブルー(B)の3原色の各々についての8ビットの階調値を持つ3つの色情報と透明性に関する8ビットの階調値をもつアルファチャンネルとからなるフレーム画像から色情報のみを取り出したアルファチャンネルのないフレーム画像データとして構成されている。この画像データはJPEG形式で圧縮されており、携帯電話60にJPEG画像を取り扱うことができるアプリケーションを組み込むことにより、フレームファイル(フレーム画像)も通常の画像として管理、即ち、フレーム画像をディスプレイ64に表示したりメモリ67に保存したりすることができる。なお、フレームファイル100の画像データの表色系はRGBに限られずYCbCrなど如何なる他の表色系とするものとしてもよい。アルファチャンネルデータは、付加情報格納領域の「MakerNote」に格納される。「MakerNote」には、上述したアルファチャンネルデータの他に、ファイルがフレームファイルか否かを示すフレーム有無フラグやレイアウトやフレームに挿入する画像の座標などを示すフレーム制御情報なども格納されている。
【0026】
次に、こうして構成された本実施形態の印刷システムの動作、特に、携帯電話60からフレーム画像をマルチファンクションプリンタ10に送信してフレーム印刷する際の動作について説明する。図6は、マルチファンクションプリンタ10により実行される印刷処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、操作パネル40のボタン類44の操作により携帯電話60を用いて印刷を実行する携帯電話印刷モードが設定されたときに実行される。
【0027】
携帯電話印刷処理ルーチンが実行されると、メインコントローラ50のCPU51は、まず、携帯電話60から画像ファイルを受信し(ステップS100)、受信した画像ファイルの付加情報格納領域に格納されているタグを解析し(ステップS110)、受信した画像ファイルがフレームファイルか否かを判定する(ステップS120)。この判定は、画像ファイルの「MakerNote」タグのフレーム有無フラグを調べることにより行なうことができる。受信した画像ファイルがフレームファイルでないときには、通常の画像と判断して、通常印刷処理を実行して(ステップS130)、本ルーチンを終了し、受信した画像ファイルがフレームファイルのときには、フレーム印刷処理を実行して(ステップS140)、本ルーチンを終了する。通常印刷処理は、受信した画像ファイルの画像データ格納領域に格納されている主画像データに基づいて印刷用データを作成し、作成した印刷用データをプリンタASIC22に出力することにより行なわれる。フレーム印刷処理は、図7に例示するフレーム印刷処理ルーチンを実行することにより行なわれる。以下、図7のフレーム印刷処理ルーチンについて説明する。
【0028】
フレーム印刷処理ルーチンでは、まず、図8に例示するフレームデータ生成処理を実行してフレームデータを生成する(ステップS200)。フレームデータの生成は、図8に示すように、フレームファイルの付加情報格納領域の「MakerNote」タグに格納されているフレーム制御情報を解析すると共に(ステップS300)、アルファチャンネルデータを解析し(ステップS310)、解析結果から主画像データをデコードし(ステップS320)、デコードデータに基づいて主画像にアルファチャンネルを合成してアルファチャンネル付きのフレーム画像を作成する(ステップS330)、ことにより行なわれる。
【0029】
フレームデータ(アルファチャンネル付きのフレーム画像)を生成すると、生成したフレーム画像に挿入する写真画像を選択するための図9に例示する写真選択処理を実行する(ステップS210)。写真画像の選択は、図9に示すように、携帯電話60のメモリ67かメモリカード25かのいずれかの写真保存元を選択するための写真保存元選択画面を表示して写真保存元の選択を受け付ける(ステップS400)。写真保存元の選択は、例えば、写真保存元選択画面に選択肢として「メモリカード」と「携帯電話」とを表示し、ボタン類44の矢印キーを用いていずれかを選択して決定ボタンを押すことにより行なうことができる。写真保存元としてメモリカード25が選択されたときには(ステップS410)、メモリカード25がメモリカードスロット26に挿入されているか否かを調べ(ステップS420)、メモリカード25が挿入されていないときには「メモリカードをメモリカードスロットに挿入して下さい」などのメッセージを表示して(ステップS430)、ステップS420に戻る。メモリカード25がメモリカードスロット26に挿入されているときには、メモリカード25内に写真画像が保存されているか否かを調べ(ステップS440)、写真画像が保存されていないときには「メモリカード内に画像がありません」などのメッセージを表示して(ステップS450)、ステップS420に戻る。一方、写真画像が保存されているときには、そのサムネイル画像を表示し(ステップS460)、サムネイル画像に基づいてボタン類44の操作により写真画像が選択されるのを待って(ステップS470)、本ルーチンを終了する。ステップS410で写真保存元として携帯電話60が選択されたと判定されると、受信待ちを示すメッセージを表示し(ステップS480)、画像ファイルが受信されたときに(ステップS490)、本ルーチンを終了する。
【0030】
こうして写真画像が選択されると、生成されたフレームデータ(アルファチャンネル付きのフレーム画像)に選択された写真画像を合成して合成画像データを作成し(ステップS230)、作成した合成画像データをプレビュー表示して(ステップS240)、フレーム印刷の開始を指示するボタン類44の決定ボタンが押されるのを待つ(ステップS250)。フレーム印刷の開始が指示されると、合成画像データに基づいて印刷用データを作成してプリンタASIC22に出力することによりフレーム印刷を実行し(ステップS260)、フレーム印刷を実行した後にフレームデータを保存するか否かを確認するための確認用メッセージを表示し(ステップS270)、保存が指示されたときには(ステップS280)、フレームデータをフラッシュメモリ54に登録して(ステップS290)、本ルーチンを終了し、保存が指示されなかったときには(ステップS280)、そのまま本ルーチンを終了する。フレームデータをフラッシュメモリ54に登録すると、次回以降は、携帯電話60で再度同じフレームファイルをマルチファンクションプリンタ10に送信することなく、登録したフレームデータを用いてフレーム印刷を行なうことができる。
【0031】
以上詳述した本実施形態の印刷システムによれば、携帯電話60でRGBの色情報とアルファチャンネルとが分離された状態で格納されたフレームファイルを取得し、マルチファンクションプリンタ10が携帯電話60からフレームファイルを受信したときに受信したフレームファイルの色情報とアルファチャンネルとを合成してフレームデータを生成し生成したフレームデータにユーザが選択した写真画像を合成して印刷用データを作成してフレーム印刷を実行するから、携帯電話60でフレームファイルを通常の画像ファイルと同様に管理することができると共にこのフレームファイルを用いてマルチファンクションプリンタ10でフレーム印刷を行なうことができる。
【0032】
本実施形態では、フレームファイルをコンテンツサーバ80からダウンロードすることにより携帯電話60で取得できるようにするものとしたが、フレームファイルが記憶されているメモリカードなどの記憶装置を携帯電話60に接続することにより取得するものとしてもよい。
【0033】
本実施形態では、図9の写真選択処理のステップS400,S410で写真保存元をユーザが選択できるようにするものとしたが、図10の変形例の写真選択処理ルーチンに示すように、携帯電話60側からの写真画像の受信待ちのメッセージを表示し(ステップS500)、携帯電話60側から写真画像の画像ファイルを受信してときには(ステップS510)、受信した画像ファイルを選択画像として処理し、画像ファイルを受信していないときには、図9のステップS420〜S460のメモリカード25から写真画像を受け付けるための処理を実行するものとしてもよい。
【0034】
本実施形態では、フレーム画像に挿入する写真画像をメモリカード25側から受け付けると共に携帯電話60側からも受け付けるものとしたが、いずれか一方だけから受け付けるようにしてもよい。
【0035】
本実施形態では、マルチファンクションプリンタ10は赤外線通信を用いて画像ファイルを携帯電話60から受信するものとしたが、用いる通信は赤外線通信に限定されるものではなく、他の如何なる無線通信を用いるものとしてもよい。
【0036】
本実施形態では、マルチファンクションプリンタ10は携帯電話60からフレームファイルを受信してフレーム印刷するものとして説明したが、例えばPDA(Personal Digital Assistant)などの他の携帯用電子機器からフレームファイルを受信するものとしてもよい。
【0037】
本実施形態では、マルチファンクションプリンタ10に本発明を適用した例を示したが、印刷機能を有する装置であれば特にこれに限定されるものではなく、例えばスキャナ部20を有さないインクジェットプリンタに本発明を適用してもよいし、ファクシミリ装置に本発明を適用してもよい。また、印刷方式もインクジェット方式に限らず、電子写真方式(レーザプリンタなど)であってもよいし熱転写式であってもよい。
【0038】
本実施形態では、本発明を画像の取り扱いが可能な携帯用電子機器としての携帯電話60とフレーム印刷が可能な印刷装置としてのマルチファンクションプリンタ10とを備える印刷システムの形態として説明したが、印刷装置の形態とするものとしてもよいし、印刷装置の制御方法の形態とするものとしてもよい。また、プログラムの形態とするものとしても構わない。
【0039】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】印刷システムの構成の概略を示す構成図。
【図2】プリンタ10と携帯電話60の構成の概略を示す構成図。
【図3】携帯電話60の通信手順の一例を示すシーケンス図。
【図4】フレームカタログ90の一例を示す説明図。
【図5】フレームファイル100の一例を示す説明図。
【図6】携帯電話印刷処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
【図7】フレーム印刷処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
【図8】フレームデータ生成処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
【図9】写真選択処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
【図10】写真選択処理ルーチンの他の例を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0041】
10 マルチファンクションプリンタ、20 プリンタユニット、22 プリンタASIC、24 プリンタエンジン、25 メモリカード、26 メモリカードスロット、28 メモリカードコントローラ、30 スキャナユニット、32 スキャナASIC、34 スキャナエンジン、36 赤外線通信ポート、38 IrDAコントローラ、40 操作パネル、42 表示部、44 ボタン類、50 メインコントローラ、51 CPU、52 ROM、53 RAM、54 フラッシュメモリ、55 内部通信I/F、56 バス、60 携帯電話、61 操作ボタン、62 マイク、63 スピーカ、64 ディスプレイ、65 CCD、66 送受信部、67 メモリ、68 赤外線通信ポート、69 IrDAコントローラ、70 携帯電話制御部、80 コンテンツサーバ、82 ネットワーク、90 フレームカタログ、92 サンプル画像、94 2次元コード、100 フレームファイル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像の取り扱いが可能な携帯用電子機器と画像を印刷する印刷装置とからなる印刷システムであって、
前記携帯用電子機器は、透過情報と色情報とが分離されたフォーマットで構成されたフレームファイルに基づいて前記透過情報のないフレーム画像を表示可能で、前記フレームファイルを無線通信を用いて前記印刷装置に送信可能な機器であり、
前記印刷装置は、前記携帯用電子機器から送信されたフレームファイルを受信し、該受信したフレームファイルの透過情報と色情報とを合成してフレーム画像を作成し、該作成したフレーム画像にユーザにより選択された選択画像を挿入して印刷用画像を作成し、該作成した印刷用画像に基づいて印刷を実行する装置である
印刷システム。
【請求項2】
請求項1記載の印刷システムであって、
前記携帯用電子機器は、画像を記憶し、前記記憶されている画像の中からユーザにより選択された選択画像を前記印刷装置に送信可能な機器であり、
前記印刷装置は、画像を記憶する記憶手段が接続され、前記携帯用電子機器側の選択画像の使用か前記印刷装置側の選択画像の使用かの指示を受け付け、前記携帯用電子機器側の選択画像の使用が指示されたときには前記携帯用電子機器から送信された選択画像を受信し前記フレーム画像に前記受信した選択画像を挿入して前記印刷用画像を作成し、前記印刷装置側の選択画像の使用が指示されたときには前記フレーム画像に前記記憶手段に記憶されている画像の中からユーザにより選択された選択画像を挿入して前記印刷用画像を作成する
印刷システム。
【請求項3】
請求項1記載の印刷システムであって、
前記携帯用電子機器は、画像を記憶し、前記記憶されている画像の中からユーザにより選択された選択画像を前記印刷装置に送信可能な機器であり、
前記印刷装置は、画像を記憶する記憶手段が接続され、前記携帯用電子機器から送信される選択画像を受信可能な状態とし、前記携帯用電子機器から選択画像が受信されたときには前記フレーム画像に前記受信した選択画像を挿入して前記印刷用画像を作成し、前記携帯用電子機器から選択画像を受信する前に前記記憶手段に記憶されている画像の中からユーザにより選択画像が選択されたときには前記フレーム画像に前記選択された選択画像を挿入して前記印刷用画像を作成する
印刷システム。
【請求項4】
前記携帯用電子機器は、無線通信ネットワークを介して前記フレームファイルをダウンロード可能な機器である請求項1ないし3いずれか1項に記載の印刷システム。
【請求項5】
前記携帯用電子機器は、携帯電話である請求項1ないし4いずれか1項に記載の印刷システム。
【請求項6】
画像の取り扱いが可能な携帯用電子機器と無線通信可能な印刷装置であって、
前記携帯用電子機器から透過情報と色情報とが分離されたフォーマットのフレームファイルを受信し、該受信したフレームファイルの透過情報と色情報とを合成して前記透過情報を含むフレーム画像を作成し、ユーザにより選択された選択画像を前記作成したフレーム画像に挿入して印刷用画像を作成し、該作成した印刷用画像に基づいて印刷を実行する
印刷装置。
【請求項7】
画像の取り扱いが可能な携帯用電子機器と無線通信可能な印刷装置の制御方法であって、
前記携帯用電子機器から透過情報と色情報とが分離されたフォーマットのフレームファイルを受信し、該受信したフレームファイルの透過情報と色情報とを合成して前記透過情報を含むフレーム画像を作成し、ユーザにより選択された選択画像を前記作成したフレーム画像に挿入して印刷用画像を作成し、該作成した印刷用画像に基づいて印刷を実行する
印刷装置の制御方法。
【請求項8】
請求項7記載の印刷装置の制御方法の各ステップを1又は複数のコンピュータで実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−187252(P2009−187252A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−26089(P2008−26089)
【出願日】平成20年2月6日(2008.2.6)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】