説明

印刷システム

【課題】印刷機の前で待ち行列を発生させない、印刷結果を他者に見られない、印刷待ちのとき印刷機を監視しつづけなくとも、自分の順番であることが通知される公衆印刷装置を提案する。
【解決手段】クライアントに対して印刷JOBID、パスワード、所要時間を伝える機能と、RIP処理中のJOBIDを表示、発呼、或いはメールによりクライアントへ送信する手段と、JOBID表示中のJOBで、パスワードを入力したJOBのみ印刷する機能と、後回しになったJOBを待ち行列の適当な場所に挿入して、JOBスケジュールを組替える機能と、HDD内に退避したJOBを適切な時期に消去できる機能を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空港待合室、ホテルロビー、コンベンション会場などに設置され、多くのユーザに共用される印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、軽量化されたモバイルPC、高機能PDA、撮影機能付き高性能携帯電話の登場により、ユーザがデジタルコンテンツを手軽に持ち歩く環境が整いつつある。また特にデジタルカメラによる高精細写真データやHTML、PDFなどの電子文書フォーマットの普及により外出先にて、印刷出来る環境を必要とするユーザが増加すると考えられる。
【0003】
事実、クライアントPCとプリンタの組み合わせを選ばずに、印刷が行えるBMLinKSという統合ネットワークOA印刷仕様(実体はプリントドライバとネットワークユーティリティ)があるが、この仕様に対応した印刷装置は空港、ホテルなどに設置して、旅行者、会議・学会参加者に印刷サービスを提供する事を目的としている。
【0004】
ここで通常のオフィスに設置された印刷装置に比べ、公衆印刷装置の使われ方にどのような特徴があるかを考えると、
1 利用者数に対して設置台数が少ないため、印刷待ち行列が発生しやすい。
2 機密に関する書類の印刷ケースもあり、特に他人の視線が気になる。
3 印刷装置に気を取られてばかりは居られなく、印刷終了時間が予想できれば良い
等が挙げられる。
【0005】
関連した先願例を挙げてみると、印刷時間の予約に関しては、特許文献1において、
“クライアントが受け取り時間を指定し、印刷装置パネルから受付番号を入力することで繰り上げ印刷も可能”
という発明が提案されている。
【0006】
また、他人の視線を避けるという機能に関しては、クライアントからパスワードを設定し、印刷装置にパスワードを入力しないと印刷できないセキュアプリント機能は現在公知の機能である。
【特許文献1】特開2002−240401号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前述したような従来例においては、いずれも印刷終了時間の指定と印刷の実行に対して、ユーザ及びクライアントPCが主導となっている。全くオープンな環境で、所属組織の異なる複数のユーザが、集中して使用する公衆印刷装置にあっては、ユーザ及びクライアント主導とすると、結局待ち行列が発生し、常にユーザに、第三者が自分の印刷JOBを見るかも知れない、という懸念を抱かせる問題がある。
【0008】
本発明においては、
印刷機の前で待ち行列を発生させないこと、印刷結果を他者に見られないこと、印刷待ちのとき印刷機を監視しつづけなくとも、自分の順番であることが通知されること、という課題を解決し、ユーザが快適に使用できる公衆印刷装置を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1〜3に係る印刷システムにあっては、印刷装置に内部に
クライアントから印刷JOBを受け付けると該クライアントに対してJOB受付IDと印刷終了予想時間とプリントのために必要なパスワードをクライアントへ返信する機能と、
現在RIP途中のJOB受付IDを周囲のユーザへ表示する表示手段と、
発呼する発呼手段或いは通知する機能と、
RIP中でJOB_IDを表示している時に、該JOB_IDに対応したパスワードがパネルより入力された場合にのみ印刷を実行する機能と、
JOB_IDの表示時間はJOBのRIPに要する時間にかかわらず、常に定められた時間のみ表示を行い、その間に対応したパスワードが入力されない場合は次のJOB_IDを表示させる機能と、
JOB_ID表示中に対応パスワードが入力されず、一次退避されたJOBも、一定時間経過後には再びJOB_ID表示器に該IDを表示させ、パスワードの入力を許可させる機能と、
定められた時間が過ぎても、パスワードが入力されない場合は当該JOBをHDDから削除する機能
を有するものである。
【0010】
即ち、モバイルPC、PDA、携帯電話から印刷JOBを受け付けた公衆印刷装置は受付JOB_ID(3桁くらいの数字)とページ数及び受付済みJOBの数から概算した印刷までの待ち時間と、印刷実行に必要なパスワードを、クライアントであるデバイスに返信する。これによりユーザは自分のJOB_IDと何分後に引き取りに行けばよいかを認識する。
【0011】
一方公衆印刷装置には遠くからでも視認性が良いようにポールに設置されたJOB_ID表示器が実装されている。このJOB_ID表示器に現在RIP(RIPとは印刷に必要な画素単位情報[ビットマップデータ]を作成する作業)中のJOB_IDを表示することで該当ユーザのみ公衆印刷装置に近づくことを許す状況を作ることが可能となる。またJOB_IDを発呼する機能を有することで、ユーザがプリンタを監視していなくても、JOB_IDを知らせることが可能となる。該当JOB_IDが表示されたユーザが公衆印刷装置に赴き、パスワードを入力するとプリントを開始する。
【0012】
表示したJOBの該当ユーザがこない場合、公衆印刷装置は該RIP済みのJOBをHDDに一次保存し、次のJOBのIDを表示してRIPを開始する。ID表示器に表示されたIDと同時に入力されたパスワードが一致しない限り印刷を行わない。パスワードが入力されなかったJOBは一定時間後、再度ID表示され、遅れたユーザはこの時にパスワードを入力すれば良い。HDDの残存JOBは一定時間経過すると消去される。あるいはユーザにより残存JOB消去時期が指定できる、という機能が実現でき、これにより印刷機の前で待ち行列を発生させないこと、印刷結果を他者に見られないこと、印刷待ちのとき印刷機を監視しつづけなくとも、自分の順番であることが通知されることという効果がある。
【0013】
さらに請求項4〜5に係る印刷システムにおいては、クライアントのメールアドレスを登録できる機能と、
メールにてクライアントに当該JOBがRIP中である旨を通知する機能と、
JOB_ID表示中に対応パスワードが入力されず、一次退避されたJOBは、メールにてクライアントに当該JOBのRIPがスキップされた旨と、次に順番が回ってくるまでの予想時間を通知する機能、
を有するものである。
【0014】
すなわち、ユーザが公衆印刷装置の設置場所から離れていても、自分が該印刷装置に印刷結果を回収に行く時間を知ることができる、という効果がある。
【発明の効果】
【0015】
本発明において、印刷装置に、
クライアントに対して印刷JOBの受付ID、パスワード、印刷所要時間を伝える機能と、
RIP処理中の印刷JOBのIDを表示、発呼或いはメールによりクライアントへ送信する手段と、
JOB_ID表示中のJOBで、パスワードを入力したJOBのみ印刷すること、及び、
後回しになったJOBを待ち行列の適当な場所に挿入して、JOBスケジュールを組替えるように印刷装置本体がJOB処理順番を管理する機能と、
HDD内に退避した後回しJOBを適切な時期に消去できる機能と、
を有することで、
印刷機の前で待ち行列を発生させないこと、印刷結果を他者に見られないこと、印刷待ちのとき印刷機を監視しつづけなくとも、自分の順番であることが通知されることが出来るという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下本発明を実施するための最良の形態を、実施例により詳しく説明する。
【0017】
本実施例の構成を説明する前に、本発明を実施する印刷装置としてのカラー複写機の一般的な構成について図2、3、4を用いて説明する。
【0018】
なお、本実施例を適用するプリンタ部は、カラーレーザ方式に限られるものではなく、モノクロレーザ方式、LEDプリント方式、インクジェットプリント方式等、他のプリント方式でも良いことは言うまでもない。
【0019】
図2は本発明を適用可能な印刷装置の構成を示すブロック図であり、カラーレーザMFPの場合を示す。
【0020】
図において、1600はMFP本体であり、大きくリーダ部1300、画像生成部1400及びプリンタ部1500に分割される。メカ構造的にはMFPはリーダユニットとプリントユニットに大別されるが、画像生成部1400は製品によって、リーダユニットに取り込まれたり、プリントユニットに内蔵されていたり実現方法は様々である。
【0021】
以下、複写プロセスについて簡単に述べる。
リーダ部1300では、原稿台に置かれた原稿に原稿照明ランプ1311から光を照射するとその反射光はミラー1312により、レンズ1313を通って、CCD(電荷結合素子)1351へ入力される。CCD1351では、フィルタで光の三原色に分解されたRGB原稿画像情報が検知され、A/Dコンバータによりデジタル信号に変換された後、画像生成部1400内の画像処理手段1411へと送信される。画像処理手段1411においてはシェーディング補正、下地除去、文字判定、変倍、画像加工、濃度処理、黒検出、偽造防止追跡処理などの様々な画像処理に加え、RGB色空間からYMCK色空間へ色変換を実行した後、YMCK印刷ビデオデータを、プリンタ部1500のビデオI/F制御手段1540へと転送する。
【0022】
1412はパソコンあるいはFAX、Emailからの印刷データをYMCK印刷データに変換するプリンタ機能制御手段である。本手段により複写機はプリンタ機能を実現することとなる。
【0023】
1413はネットワーク、電話回線と画像データとの送受信を司る通信制御手段である。本手段により、複写機はFAX機能を有することとなり、印刷装置がFAXまたはEmailのSendモードの場合、リーダ部1300からの画像情報は圧縮されて通信制御手段1413により外部回線へ出力される。
【0024】
一方、印刷装置がCopyまたはPrinterモードの場合、ビデオI/F制御手段1540内のバッファメモリに格納されたYMCKビデオデータは不図示のPWM(パルス幅変調)回路により、レーザのスポット系を表すビデオデータに変換され、レーザドライバ1502を駆動して、感光ドラム1506にレーザ光を照射し、静電潜像を形成する。
【0025】
次に図3、4を用いてプリンタ部1500の動作についてより詳しく説明する。
【0026】
1500はカラーレーザMFPのプリンタ部であり、リーダ部1300からの入力多値画像データに応じて変調したレーザビームを感光ドラム上に走査することにより潜像を形成し、これを記録紙に転写した後定着させるという一連の電子写真プロセスによる記録を行う。
【0027】
画像生成部1400とプリンタ部1500はインタフェース信号線1200によって接続されている。主なインタフェース信号として、/RDY,/PRNT,/TOP,/LSYNC、VDO7〜VDO0、VCLKがあり、以下これについて簡単に説明する。
【0028】
/RDY信号は、コントローラに対してエンジンから送出される信号であって、エンジンが後述する/PRNT信号を受ければいつでもプリント動作を開始できる状態、またはプリント動作を継続できる状態にあることを示す信号である。
【0029】
/PRNT信号は、エンジンに対してコントローラから送出される信号であって、プリント動作の開始、またはプリント動作の継続を指示する信号である。
【0030】
/TOP信号は、副走査(垂直走査)方向の同期信号であって、コントローラに対してエンジンから送出される。
【0031】
/LSYNC信号は、主走査(水平走査)方向の同期信号であって、コントローラに対してエンジンから送出される。VDO7〜VDO0信号は、エンジンに対してコントローラから送出される画像信号であって、エンジンが印字すべき画像濃度情報を示す。VDO7が最上位、VDO0が最下位の8ビットで表わされる。エンジンでは、VDO7〜VDO0信号がFFHで現像中のトナー色の最大濃度で印字し、00Hで印字しない。これらは転送同期信号VCLKに同期して送出される。
【0032】
プリンタ部1500は/PRNT信号を受け取ると、不図示の駆動手段により、感光ドラム1506及び転写ドラム1508を図示矢印方向に回転させる。続いて、ローラ帯電器1509の帯電を開始し、感光ドラム1506上の電位を所定の値に均一に帯電する。次に、給紙ローラ1511によって、転写紙カセット1510から転写紙1528を転写ドラム1508に給紙する。転写ドラム1508は、中空の支持体上に誘電体シートを張ったもので、感光ドラム1506と同速で矢印方向に回転する。この転写ドラム1508に転写紙1528が供給されると、転写ドラムの支持体上に設けられたグリッパ1512によって転写紙1528が保持され、吸着ローラ1513及び吸着用帯電器1514により転写紙1528を転写ドラム1508に吸着させる。同時に、現像装置の支持体1515を回転させて、支持体1515に支持された4つの現像装置1516M、1516C、1516Y、1516BKのうち、第1のトナーであるマゼンタのトナーが入った現像装置1516Mを感光ドラム1506に対向させる。なお、1516Cはシアンのトナーが入った現像装置、1516Yはイエローのトナーが入った現像装置、1516Bkはブラックのトナーが入った現像装置である。
【0033】
一方、プリンタ部1500は、転写ドラム1506に吸着された転写紙1528の先端を検出器1517によって検出し、所定のタイミングで垂直同期信号/TOPを発生してリーダ部1300に送出する。リーダ部1300は印字ページに対する最初の/TOP信号を受け取ると、バッファメモリに格納されている画像データのうち、第1の印字色であるマゼンタのデータを所定のタイミングで読み出す。読み出された8ビットの画像データD7〜D0は、画像信号VDO7〜VDO0としてVCLK信号に同期してプリンタ部に送出される。
【0034】
リーダ部1300より出力されたVDO7〜VDO0信号は図4に示すようにパルス幅変調回路1501に入力され、レベルに応じたパルス幅(256段階)のレーザ駆動信号VDOとなり、レーザドライバに送出される。後述する現像時において、レーザ駆動信号VDOのパルス幅に応じてトナーの付着量が調節でき、それにより、各色256階調の濃淡が再現される。次に、図4において前記レーザ駆動信号VDOに応じて駆動されるレーザダイオード1503からのレーザビーム1527は不図示のモータにより矢印方向に回転駆動される回転多面鏡1504で偏向され、光路上に配置された結像レンズ1505を経て、感光ドラム1506上を主走査方向に走査し、感光ドラム1506上に潜像を形成する。このとき、ビームディテクタ1507はレーザビームの走査開始点を検出し、この検出信号から主走査の画像書き出しタイミングを決定するための水平同期信号である/LSYNC信号が生成される。
【0035】
以上述べた主走査の動作が繰り返されて1ページ分のマゼンタの潜像が感光ドラム1506上に形成されていく。
【0036】
図3に戻り、感光ドラム1506上に形成された潜像は上記マゼンタのトナーが入った現像装置1516Mによって現像され、マゼンタのトナー像となる。このマゼンタのトナー像は、転写用帯電器1519により、回転する転写ローラ1508に吸着されている転写紙1508に転写される。この際、転写されずに感光ドラム1506上に残ったトナーはクリーニング装置1525によって除去される。以上の動作により、転写紙1528上に1ページ分のマゼンタのトナー像が形成される。
【0037】
次に、現像装置の支持体1515を回転させて、第2のトナーであるシアンのトナーが入った現像装置1515Cを感光ドラム1506に対向させる。続いて、マゼンタのときと同様に、転写ローラ1508に吸着されたまま回転する転写紙1528の先端を検出器1517で検出し、垂直同期信号/TOPを発生してリーダ部1300に送出する。これを受けてリーダ部1300はバッファメモリからシアンのデータを読み出す。以下、同様の動作により、転写紙1528上にはマゼンタのトナー像に重ねてシアンのトナー像が転写される。
【0038】
更に、同様にして第3のトナーであるイエロー、第4のトナーであるブラックのトナー像が転写紙1528上に重ねて転写され、フルカラーのトナー像となる。
【0039】
上記4色のトナー像が全て転写された転写紙1528は、分離帯電器1520を経て、分離爪1521によって転写ドラム1508から剥がされ、搬送手段1522により定着装置1523に供給される。また、このとき、転写ドラムクリーナ1526によって転写ドラム表面の清掃が行なわれる。
【0040】
転写紙上のトナー像は定着装置1523で加熱、加圧されることによって熔融固着され、最終的なカラー出力画像となる。そして記録の終了した転写紙は排紙トレイ1524に排紙される。
【0041】
カラーパッチ検査センサ1531はキャリブレーションと呼ばれる色濃度補正処理の際に使用される濃度センサである。転写ドラム上に定められた各種濃度のカラーパッチパターンを現像し、その濃度を測定して、規定値と合わなければ濃度補正量を調整して適切な濃度再現性を得るものである。
【0042】
本発明はこれら説明したカラーMFPをベースに、空港、コンベンション会場などに設置した公衆印刷装置のセキュリティに関するユーザインタフェースの機能向上を提案するものである。
【実施例】
【0043】
以下に各実施例についての詳細を述べる。
【0044】
[第一実施例]
図1に本発明の第一実施例である公衆印刷装置のブロック図を示す。1は印刷装置本体で、基本的に発明実施の形態で述べた従来のカラーレーザコピア1600の構成を踏襲するものである。本機能を説明するのに必要な構成要素を除き、細かな構成要素の表示は割愛してある。2は印刷装置の全ての制御を司る印刷装置主制御部である。主制御部2内には演算装置であるCPU11、プログラムを格納したROM12、ワーク領域であるRAM13、ネットワーク22或いはダイレクトデータ入力部7からの印刷データの入力を司る通信制御部14、印刷に必要な画素単位データであるビットマップデータを生成する描画部15、操作部4を制御する操作部制御部16を持つ。3は前記プリンタ部1500に相当する印刷部である。4はLCDと入力キーから成る操作部である。5は印刷装置周囲からの視認性が良いように長いポールに装着されたLED表示機であるところのJOB_ID表示機である。6はJOB_ID表示機5に付随するスピーカであり、JOB_ID表示機5の表示内容とスピーカ6から出力する音声情報はJOB_ID表示/発呼制御部8により制御され、印刷装置主制御部2が現在RIP中(RIPとは印刷に必要な画素単位情報[ビットマップデータ]を作成する作業)の印刷JOBのIDを表示し、かつスピーカ6により“72番です”というように音声で知らせることができる。7はPDA、携帯電話などの高機能携帯機器23とローカルインタフェース(ネットワークで無いインタフェースを意味する)で接続し、印刷データを受信するダイレクトデータ入力部である。ダイレクトデータ入力部7は印刷データを受信するのみならず、印刷装置1からの情報を高機能携帯機器23へ通信することもできる。また、SmartMedia(登録商標),SDCardなどの携帯メモリを直接挿入できるICカードスロットを有すこともある。9はコピーデータ、プリントデータを一時保管する大容量メモリであるHDD(ハードディスクドライブ)である。10は印刷物の排紙トレイである排紙ビンである。
【0045】
21はクライアントPC、22は有線或いは無線のネットワークインフラストラクチャである。
【0046】
次に図5により、第一実施例のフローチャートについて説明する。
【0047】
前提条件として第一実施例の公衆印刷装置では、JOB_ID表示機の1_JOBあたりの表示時間は30秒、ユーザが印刷指示を意味するパスワードを入力しなかったJOBは最大3_JOB分後回しにされ、登録後1時間以上印刷されない場合は強制的にJOBを削除することをデフォルト設定とする。
【0048】
まず、モバイルPC21或いはPDA、携帯電話などの高機能携帯機器23等のクライアント機器から、ローカルインタフェースまたは無線或いは有線のネットワークインターフェースを用いて、公衆印刷装置1へ印刷JOBが送信される。
【0049】
すると公衆印刷装置1はJOBの受付を証明するJOB_ID(本例では3桁の数字)、印刷終了予想時間(ページ数と現在受け付けているJOBの数から概算)、パスワード(RIP後のデータを実際に印刷するのに必要)及び、印刷装置のJOB_ID表示機5に自分のJOB_IDが表示された時に、操作部4より前記パスワードを入力すると、印刷が実行できる旨を知らせる情報を、クライアント機器に返信する。
【0050】
もし、クライアント機器でなく、SmartMedia(登録商標)、SDカードなどのメモリカードからダイレクトに画像を印刷する場合は図13に示すように印刷装置操作部4を用いて、情報のやり取りを行う。この場合でも、ユーザに提供する情報は前述のクライアント機器の場合と同等である。
【0051】
公衆印刷装置1は、印刷装置主制御部2内のRAM13上に形成するところの、JOB処理順を管理するJOBスケジューリングテーブルに、新規JOBを追加登録する。このJOBスケジューリングテーブルの内容に従い、JOB_ID表示/発呼制御部8がJOB_ID表示機5とスピーカ6を制御する。
【0052】
公衆印刷装置1は遠くからでも視認性が良いようにポールに設置されたJOB_ID表示機5に現在RIP中のJOBのIDを表示し、スピーカ6によりIDを発呼する。これにより印刷装置から目を逸らしていた人にも表示が切り替わったことを知らせることができる。
【0053】
一定時間(ここでは30秒)JOB_IDが表示されて、印刷装置1はパスワードの入力を待機する。表示中のJOB_IDに対応した正しいパスワードが操作部4より入力されば、当該印刷JOBの印刷を実行する。
【0054】
もし、パスワードがJOB_IDを表示している30秒間に、入力されなかったり、誤った値が入力された場合は、当該RIP済みのJOBをHDD9に退避させる。印刷できなかった退避JOBは3_JOB分後に再度印刷順が廻ってくるようJOBスケジューリングテーブルを修正する。
【0055】
ここで図6によりJOBスケジューリングテーブルの修正について詳細を示す。図中、テーブル(1)ではJOB_069はパスワードが入力されたため印刷中で、JOB_070がRIP番になり、JOB_ID表示機5にID表示中であることを示している。しかし、30秒間のパスワード受け付け時間にJOB_070のパスワード“5555”が入力されなかったため、JOB_070は退避JOB扱いとなり、3JOB後の10002番めのJOBとして再登録される。公衆印刷装置1の近くから中座していたユーザが自分のJOB_IDよりも数が大きいJOB_IDが表示していることを認めた場合、自分のJOBの印刷は後回しになってしまったことを認識し、再度、自分のJOB_IDがJOB_ID表示機6に表示された時に、パスワードを入力して、印刷を実行することとなる。
【0056】
再度、図5に戻り、何度JOB_IDが表示されても、何時までもパスワードを入力されないJOBは登録から1時間が経過すると強制的にHDD9より消去されてしまう。これにより、都合により、印刷物の回収が出来なかったユーザの印刷情報の機密保持と、公衆印刷装置1のJOBスケジューリングの効率化と、HDD9の無駄なリソース消費を防ぐことが可能となる。
【0057】
[第二実施例]
図7に本発明の第二実施例である公衆印刷装置のブロック図を示す。図中先述したものに関しては同じ符号を用い、機能に関する説明を省略する。31は印刷装置本体で基本的に発明実施の形態で述べた従来のカラーレーザコピア1600の構成を踏襲するものである。本機能を説明するに必要な構成要素を除いて細かな構成要素の表示は割愛してある。32は印刷装置の全ての制御を司る印刷装置主制御部である。41はネットワーク22上のメールサーバであり、印刷装置主制御部32からメールアドレスを登録済みのクライアントに対してメールを送信し、様々な情報をクライアント機器に伝えることができる。クライアント機器とは無線或いは有線ネットワークに接続したクライアントPC21と高機能携帯機器23をまとめた総称である。33はクライアントメールアドレス保存部であり、印刷装置主制御部32が使用できるメモリ領域に作成される。公衆印刷装置31がクライアント機器21&23からの印刷JOBを受け付ける際にメールアドレス情報も同時に受け付け、クライアントメールアドレス保存部に登録するものである。
【0058】
次に図8により、第ニ実施例のフローチャートについて説明する。
【0059】
前提条件として第ニ実施例の公衆印刷装置では、JOB_ID表示機の1JOBあたりの表示時間は30秒。ユーザが印刷指示を意味するパスワードを入力しなかったJOBは全登録印刷JOBの最後尾に廻され、新たなJOB_IDを付けられる。但し、メールアドレスを登録できないユーザクライアントの場合には3_JOB分、後廻しとする。登録後1時間以上印刷されない場合は強制的にJOBを削除することをデフォルト設定とする。
【0060】
まず、モバイルPC21或いはPDA、携帯電話などの高機能携帯機器23等のクライアント機器から、ローカルインタフェースまたは無線或いは有線のネットワークインターフェースを用いて、公衆印刷装置31へ印刷JOBとメールアドレスが送信される。
【0061】
すると公衆印刷装置31はJOBの受付を証明するJOB_ID(本例では3桁の数字)、印刷終了予想時間(ページ数と現在受け付けているJOBの数から概算)、パスワード(RIP後のデータを実際に印刷するのに必要)及び、公衆印刷装置31のJOB_ID表示機5に自分のJOB_IDが表示された時に、操作部4より前記パスワードを入力すると、印刷が実行できる旨を知らせる情報を、クライアント機器に返信する。
【0062】
公衆印刷装置31は、印刷装置主制御部32内のRAM13上に形成するところの、JOB処理順を管理するJOBスケジューリングテーブルに新規JOBを追加する。このJOBスケジューリングテーブルの内容に従い、JOB_ID表示/発呼制御部8がJOB_ID表示機5とスピーカ6を制御する。
【0063】
公衆印刷装置31は遠くからでも視認性が良いようにポールに設置されたJOB_ID表示機5に現在RIP中のJOBのIDを表示し、スピーカ6によりIDを発呼する。これにより印刷装置31から目を逸らしていた人にも表示が切り替わったことを知らせることとなる。さらにメールアドレス登録済みのクライアントに対しては登録JOBのRIPが開始する旨をメールにて、若干早いタイミングで通知する。
【0064】
一定時間(ここでは30秒)JOB_IDが表示されて、印刷装置31はパスワードの入力を待機する。表示中のJOB_IDに対応した正しいパスワードがパネルより入力されば、当該印刷JOBの印刷を実行する。
【0065】
もし、パスワードがJOB_IDを表示している30秒間に、入力されなかったり、誤った値が入力された場合は、当該RIP済みのJOBをHDD9に退避させる。印刷できなかった退避JOBは登録JOBの最後尾に廻し、新たなJOB_IDを発行し、再度印刷順が廻ってくるようJOBスケジューリングテーブルを修正する。
【0066】
ここで図9によりJOBスケジューリングテーブルの修正について詳細を示す。図中、上部テーブルではJOB_069はパスワードが入力されたため印刷中でJOB_070がRIP番になり、JOB_ID表示機5にID表示中であることを示している。しかし、30秒間のパスワード受け付け時間にJOB_070のパスワード“5555”が入力されなかったため、JOB_070は退避JOB扱いとなり、最後尾の10003番めのJOBとして再登録され、JOB_IDも新たにJOB_075として発行される。新JOB_IDはメールによりユーザクライアントへ送信される。
【0067】
印刷装置31の近くから中座していたユーザが自分のJOBが抜かされたことは印刷装置31からのメールにより知ることとなる。もし、クライアントにメールアドレスが無いユーザの場合は、第一実施例と同様に、特定JOB数分後回しにして、JOB_IDそのままで、JOBスケジューリングテーブルを修正させるものとする。
【0068】
再度、図8に戻り、何度JOB_IDが表示されても、何時までもパスワードを入力されないJOBは登録から1時間が経過すると強制的にHDD9より消去されてしまう。
【0069】
第二実施例では、パスワードを入力し損ない、後回しとされたJOBに対して新たにJOB_IDを発行することにより、JOB_ID表示機の表示情報が規則的に1づつ増え、ユーザの混乱を防ぐ効果がある(但し、印刷装置からの遠隔地連絡手段の無いクライアントはこの限りではない)。
【0070】
[第三実施例]
図10に本発明の第三実施例である公衆印刷装置のブロック図を示す。図中先述したものに関しては同じ符号を用い、機能に関する説明を省略する。
【0071】
51は印刷装置本体で基本的に発明実施の形態で述べた従来のカラーレーザコピア1600の構成を踏襲するものである。本機能を説明するに必要な構成要素を除いて細かな構成要素の表示は割愛してある。52は印刷装置の全ての制御を司る印刷装置主制御部である。
【0072】
本実施例ではクライアント機器21,23から印刷装置51へ入力する情報の一つとして、HDD9に退避された印刷JOBの消去に関する時期指定情報を点が特徴である。53は印刷装置主制御部52に管理される、未印刷JOB消去管理部であり、先述のJOB消去時期指定情報に従って、HDD9内の退避JOBを消去するものである。その他の点は第一実施例と同一である。
【0073】
図11はクライアント機器21&23上の公衆印刷装置51用のプリンタドライバのユーザインタフェース(UI)を示すものである。
【0074】
上図は印刷データ送信時のもので、ページ数、部数、仕上げなどの印刷条件の他にJOB消去時期についての選択ボタンがある。ここでは選択できるパラメータとして
印刷終了後:一回印刷したら直ちに消去
登録後時間指定:指定時間内であれば、データを保存してあり、操作部からのJOB_IDとパスワードの入力でリプリントも可能
印刷未実行回数指定:N回、JOB_ID表示時にパスワード入力を行わない場合は直ちに消去
がある。
【0075】
下図は印刷装置本体51からの印刷JOB登録受付完了通知である。JOB_ID(本例では3桁の数字)、印刷終了予想時間(ページ数と現在受け付けているJOBの数から概算)、パスワード(RIP後のデータを実際に印刷するのに必要)、JOB消去時期及び、印刷装置のJOB_ID表示機5に自分のJOB_IDが表示された時に、操作部4より前記パスワードを入力すると、印刷が実行できる旨を知らせる情報が示してある。
【0076】
次に図12により第三実施例のフローチャートについて説明する。
【0077】
まず、モバイルPC21或いはPDA、携帯電話などの高機能携帯機器23等のクライアント機器から、ローカルインタフェースまたは無線或いは有線のネットワークインターフェースを用いて、公衆印刷装置51へ印刷JOBとJOB消去時期指定情報が送信される。
【0078】
すると公衆印刷装置51はJOBの受付を証明するJOB_ID、印刷終了予想時間、パスワード、JOB消去時期、及び印刷方法を、クライアント機器に返信する。
【0079】
公衆印刷装置51は、印刷装置主制御部52内のRAM13上に形成するところの、JOB処理順を管理するJOBスケジューリングテーブルに新規JOBを追加する。このJOBスケジューリングテーブルの内容に従い、JOB_ID表示/発呼制御部8がJOB_ID表示機5とスピーカ6を制御する。
【0080】
印刷装置51は遠くからでも視認性が良いようにポールに設置されたJOB_ID表示機5に現在RIP中のJOBのIDを表示し、スピーカ6によりIDを発呼する。これにより印刷装置から目を逸らしていた人にも表示が切り替わったことを知らせることとなる。
【0081】
一定時間JOB_IDが表示されて、印刷装置51はパスワードの入力を待機する。表示中のJOB_IDに対応した正しいパスワードがパネルより入力されば、当該印刷JOBの印刷を実行し、もしパスワードが規定時間内に入力されなかったり、誤った値が入力された場合は、当該RIP済みのJOBをHDD9に退避させる。
【0082】
ここで、各印刷JOB毎に設定されているJOB消去時期条件に合致した場合はHDDから退避JOBは消去される。
【0083】
まだ消去条件に合致していない、退避JOBは3JOB分後に再度印刷順が廻ってくるようJOBスケジューリングテーブルを修正する。
【0084】
勿論、退避印刷JOBは印刷装置本体51が設定しているデータ保存時間よりも永く保存することはできない。
【0085】
空港などではフライト待ち時間以上JOBを登録しておく必要は無いし、セキュリティの面でも、確実な消去を希望するユーザは多く、本実施例ではそのような要望に応える効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】第一実施例の印刷装置のブロック図
【図2】実施例のカラーMFPのブロック図
【図3】実施例のカラーMFPプリントエンジン部のブロック図
【図4】実施例のカラーMFPプリントエンジン光学系のブロック図
【図5】第一実施例のフローチャート
【図6】第一実施例のJOBスケジューリングテーブルの遷移概要
【図7】第二実施例の印刷装置のブロック図
【図8】第二実施例のフローチャート
【図9】第二実施例のJOBスケジューリングテーブルの遷移概要
【図10】第三実施例の印刷装置のブロック図
【図11】第三実施例のクライアント機器ドライバUI
【図12】第三実施例のフローチャート
【図13】第一実施例メモリカードダイレクトプリント時の操作部表示例
【符号の説明】
【0087】
1、31、51 公衆印刷装置本体
2、32、52 印刷装置主制御部
3 印刷部
4 操作部
5 JOB_ID表示機
6 スピーカ
7 ダイレクトデータ入力部
8 JOB_ID表示・発呼制御部
9 HDD
10 排紙ビン
11 CPU
12 ROM
13 RAM
14 通信制御部
15 描画部
16 操作部制御部
21 モバイルクライアントPC
22 ネットワーク(無線/有線)
23 高機能携帯機器
33 クライアントメールアドレス保存部
41 メールサーバ
53 未印刷ジョブ消去管理部
1200 エンジンインタフェース
1300 リーダ部
1311 原稿照明ランプ
1312 ミラー
1313 レンズ
1351 CCD
1400 画像生成部
1411 画像処理手段
1412 プリンタ機能制御手段
1413 画像通信制御手段
1500 カラープリンタ部
1501 パルス幅変調回路
1502 レーザドライバ
1503 レーザダイオード
1504 回転多面鏡
1505 結像レンズ
1506 感光ドラム
1507 ビームディテクタ
1508 転写ドラム
1509 ローラ帯電器
1510 給紙カセット
1511 給紙ローラ
1512 グリッパ
1513 吸着ローラ
1514 吸着用帯電器
1515 現像装置支持体
1516 各色現像装置
1517 記録紙先端検出器
1518 光学ユニット
1519 転写用帯電器
1520 分離帯電器
1521 分離爪
1522 搬送手段
1523 定着装置
1524 排紙トレイ
1525 クリーニング装置
1526 転写ドラムクリーナ
1527 レーザビーム
1528 転写紙
1531 カラーパッチ検査センサ
1540 ビデオI/F制御手段
1550 プリンタエンジン制御手段
1600 カラーMFP

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クライアント機器から印刷JOBを受け付けると該クライアント機器に対してJOB受付IDと印刷終了予想時間とプリントのために必要なパスワードをクライアント機器へ返信する機能と、
現在描画処理途中の印刷JOBのJOB受付IDを周囲のユーザへ表示する表示器、発呼する発呼器或いは通知する機能と、
描画処理途中で前記表示器がJOB受付IDを表示している時に、該JOB受付IDに対応したパスワードが操作部より入力された場合にのみ印刷を実行する機能と、
JOB受付IDの表示時間はJOBの描画処理に要する時間にかかわらず、常に定められた時間のみ表示を行い、その間に対応したパスワードが入力されない場合は、次のJOB受付IDを表示する機能と、
JOB受付ID表示中に対応パスワードが入力されず、一次退避された印刷JOBも、一定時間経過後には再びJOB受付ID表示器に該JOB受付IDを表示させ、パスワードの入力を許可させる機能と、
を有することを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
請求項1記載の印刷システムにおいて、予め定められた時間が過ぎても、パスワードが入力されずに、印刷処理が実行できなかった場合は、当該印刷JOBをHDDから削除する機能を有することを特徴とする印刷システム。
【請求項3】
請求項1又は2記載の印刷システムにおいて、印刷処理が実行出来ずHDDに一時退避された印刷JOBを何時HDDから削除すべきか、クライアント機器から印刷装置へ指定できる機能を有することを特徴とする印刷システム。
【請求項4】
請求項1乃至3いずれか記載の印刷システムにおいて、前記表示器へのJOB受付ID表示と同時に、予めクライアント機器のメールアドレスを登録していた場合は、メールにてクライアント機器に当該JOBが描画処理中である旨を通知する機能を有するを有することを特徴とする印刷システム。
【請求項5】
請求項1乃至3いずれか記載の印刷システムにおいて、前記JOB受付ID表示中に対応パスワードが入力されず、一次退避された印刷JOBは、予めクライアント機器のメールアドレスを登録していた場合は、メールにてクライアント機器に当該JOBの描画処理がスキップされた旨と、次に順番が回ってくるまでの予想時間を通知する機能を有するを有することを特徴とする印刷システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−218732(P2006−218732A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−34288(P2005−34288)
【出願日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】