説明

印刷制御装置、印刷制御装置の登録印刷データ登録方法、プログラムおよび印刷装置

【課題】 本発明は、レシートの末尾に付加して印刷する登録印刷データに対して、ユーザが予め余白データを付加した画像を作成する作業を必要とせずに登録印刷データを登録することができる印刷制御装置、印刷制御装置の登録印刷データ登録方法、プログラムおよび印刷装置を提供することをその課題とする。
【解決手段】登録印刷データDの主要部データD1を生成する主要部データ生成手段と、印刷装置50の印刷位置とカット位置間の距離であるヘッド−カッタ間距離Lに相当する長さの余白データD2を、主要部データD1の末尾に付加する余白データ付加手段と、余白データD2が付加された主要部データD1を登録印刷データDとして印刷装置50へ登録する登録印刷データ登録手段と、を備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レシート上に印刷を行う印刷装置に対して、登録印刷データを生成して印刷装置へ登録する印刷制御装置、印刷制御装置の登録印刷データ登録方法、プログラムおよび印刷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、レシートの装飾や販売促進を目的として、販売店のマーク、店名、住所、クーポン券等の登録印刷データを、レシートの先頭、末尾並びに任意の位置に付加して印刷する印刷方法が知られている。この登録印刷データをレシートに付加して印刷する印刷方法を新たに導入する場合、ホストコンピュータ内のPOSアプリケーションの変更を必要とせずに、レシートに登録印刷データを付加して印刷することができる印刷装置が開示されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−58323号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記の印刷装置においてレシートの末尾に登録印刷データの印刷を行う場合、印刷位置(印刷ヘッド位置)とカット位置(カッタ位置)とが離れており、かつPOSアプリケーションの仕様に応じて、印刷装置が印刷終了後、レシート送りを行うことなくレシートカットを行う構成の場合には、印刷された登録印刷データが途切れた状態でレシートがカットされてしまうことがある(図9参照)。これを回避するために、予めレシート末尾に印刷する登録印刷データに対し充分な長さの余白データを付加しておくことが必要であった。さらに、印刷位置とカット位置間の距離は印刷装置の機種毎に異なり、それぞれの機種に応じた余白データを登録印刷データにそれぞれ付加する必要があり、ユーザの作業の負担となっていた。
【0004】
上記の問題に鑑み、本発明は、レシートの末尾に付加して印刷する登録印刷データに対して、ユーザが予め余白データを付加した画像を作成する作業を必要とせずに登録印刷データを登録することができる印刷制御装置、印刷制御装置の登録印刷データ登録方法、プログラムおよび印刷装置を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の印刷制御装置は、受信した印刷データの末尾に、予め記憶した登録印刷データを挿入してレシート上に印刷を行った後、レシートカットを行う印刷装置と接続して用いられ、当該登録印刷データを登録する印刷制御装置であって、
登録印刷データの主要部データを生成する主要部データ生成手段と、印刷装置の印刷位置とカット位置間の距離であるヘッド−カッタ間距離に相当する長さの余白データを、主要部データの末尾に付加する余白データ付加手段と、余白データが付加された主要部データを登録印刷データとして印刷装置へ登録する登録印刷データ登録手段と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
また、本発明の印刷制御装置の印刷データ登録方法は、受信した印刷データの末尾に、予め記憶した登録印刷データを挿入してレシート上に印刷を行った後、レシートカットを行う印刷装置と接続して用いられ、当該登録印刷データを登録する印刷制御装置の印刷データ登録方法であって、登録印刷データの主要部データを生成する主要部データ生成工程と、印刷装置の印刷位置とカット位置間の距離であるヘッド−カッタ間距離に相当する長さの余白データを、主要部データの末尾に付加する余白データ付加工程と、余白データが付加された主要データを登録印刷データとして印刷装置へ登録する登録印刷データ登録工程と、を実行することを特徴とする。
【0007】
これらの構成によれば、上記の手段によって登録した登録印刷データをレシート末尾に印刷する場合、当該登録印刷データには、登録印刷データを印刷する印刷装置のヘッド−カッタ間距離に相当する長さの余白データが付加されているので、たとえ印刷位置とカッタ位置とが離れており、且つ、印刷終了後レシート送りを行うことなくレシートカットを行う構成の印刷装置を用いても、レシート上に印刷された登録印刷データが途切れた状態でレシートがカットされる虞がない。従って、レシート末尾に登録印刷データ全体が印刷された見栄えのいいレシートを作成することができる。さらに、複数機種の印刷装置へ登録印刷データを登録する場合でも、接続された印刷装置のヘッド−カッタ間距離に応じた余白データを付加するので、登録印刷データの主要部データは複数機種に共通して使用することが可能であり、機種毎に登録印刷データを生成することなく、登録印刷データを各印刷装置へ登録することができる。
【0008】
また、この場合、余白データの長さを表示する余白長表示手段と、余白データの長さを設定する余白長設定手段と、をさらに備え、余白データ付加手段は、ヘッド−カッタ間距離に相当する長さの余白データに代えて、余白長設定手段により設定された長さの余白データを付加することが好ましい。
【0009】
この構成によれば、ユーザは、表示された印刷装置のヘッド−カッタ間距離に相当する余白データの長さを参考とし、さらに付加する余白データの長さを調整して設定することができる。また、印刷装置の仕様に応じて、余白データを付加する必要がない場合には、付加する余白データの長さをゼロと設定することで余白データを付加しない選択も可能となる。従って、余白データを付加する必要のない登録印刷データの登録も行え、印刷制御装置が備えた登録印刷データ登録手段の汎用性を高めることができる。
【0010】
また、これらの場合、登録印刷データをプレビュー表示するプレビュー表示手段をさらに備えたことが好ましい。
【0011】
この構成によれば、登録印刷データがプレビュー表示されるので、登録印刷データが視認可能であることはもちろん、付加する余白データの長さを数値としてだけではなく、イメージで認識することができる。
【0012】
また、これらの場合、登録印刷データは、画素を示すドットから成るドットマトリックスで構成されることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、登録印刷データの主要部データに付加する余白データは、空白ドットで構成されるので、余白データとして、レシート送りを行うためのコマンド等を付加することなく容易に余白データを生成することができる。
【0014】
さらに、これらの場合、印刷データは、決済情報印刷データであり、登録印刷データは、レシート末尾に印刷するボトムロゴであることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、余白データを付加した登録印刷データを、決済情報が印刷されたレシート紙の末尾に、ボトムロゴとして印刷することができる。
【0016】
本発明のプログラムは、上記のいずれか1に記載の印刷制御装置における各手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、レシートの末尾に付加して印刷する登録印刷データに対して、ユーザが予め余白データを付加した画像を作成する作業を必要とせずに登録印刷データを登録するためのプログラムを提供することができる。
【0018】
本発明の印刷装置は、受信した印刷データの末尾に、予め記憶した登録印刷データを挿入してレシート上に印刷する印刷装置であって、登録印刷データの主要部データを記憶する主要部データ記憶手段と、用紙カットコマンドをトリガとして、印刷位置とカット位置間の距離であるヘッド−カッタ間距離に相当する長さの余白データを前記主要部データに付加し、これを登録印刷データとして、受信した印刷データの末尾に挿入する登録印刷データ挿入手段と、を備えたことを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、登録印刷データをレシート末尾に印刷する場合、印刷装置が記憶している登録印刷データの主要部データに、印刷装置のヘッド−カッタ間距離に相当する長さの余白データを付加したものを登録印刷データとして挿入するので、たとえ印刷位置とカッタ位置とが離れており、且つ、印刷終了後レシート送りを行うことなくレシートカットを行う構成の印刷装置を用いても、レシート上に印刷された登録印刷データが途切れた状態でレシートがカットされる虞がない。従って、レシート末尾に登録印刷データ全体が印刷された見栄えのいいレシートを作成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、添付の図面を参照して、本発明の印刷制御装置、印刷制御方法、プログラム、および印刷装置の実施形態について説明する。
【0021】
図1に示すように、本実施形態における印刷装置50は、スーパーやコンビニエンス・ストア等の店舗にて利用され、オペレータによって入力された商品販売に関する入力情報に基づいてレシートを発行するPOSシステムにおいて、POSアプリケーション41aを備えたPOS端末装置40において生成された決済情報印刷データを受信してレシート上に印刷するものである。また、印刷装置50は、予め記憶している設定値に基づいて、POS端末装置40から受信した決済情報印刷データに画像データを付加して印刷するレシート装飾処理(詳細は後述する)を行うことが可能であり、レシート装飾処理に関する設定値の設定は、印刷装置50と接続して用いる印刷制御装置10によって行う。
【0022】
POS端末装置40は、印刷装置50とインターフェースを介して有線又は無線で接続され、キーボード43による入力またはバーコードリーダ44によるバーコードの読み取りによって商品に関する入力情報を取得する。また、カードリーダ45によって顧客60のクレジットカードや会員カードを読み取り、クレジット清算に関する情報や会員番号等の会員に関する情報を取得する。さらに、後述するPOSサーバ30から送信された商品データを元に生成した商品情報を表示するディスプレイ42を有し、顧客60に対して購入商法の金額等を掲示する。これらの制御は、POS端末装置40内のPOSアプリケーション41aによって行われ、POSアプリケーション41aは、POSサーバ30から送信される商品データや入力情報に基づいてレシート上に印刷するための決済情報印刷データを生成し、印刷装置50へプリンタドライバ41bを経由して送信する。
【0023】
POSサーバ30は、制御装置(CPU31)の他、ROM32やRAM33等のメモリを有し、ROM32内に記憶された制御プログラムにしたがって、RAM33内のバッファ39等に記憶された情報の処理を行う。特にRAM33内には商品コードブロック35、商品名ブロック36、金額ブロック37、在庫ブロック38等からなる商品マスタを有しており、CPU31は、POS端末装置40から送信された入力情報に基づいて、商品マスタから商品コード、商品名、金額に関する情報を抽出し、レシートRへの印刷およびPOS端末装置40のディスプレイ42の表示に用いる商品データを生成する。
【0024】
一方印刷装置50は、レシートプリンタであり、POS端末装置40および印刷制御装置10から各種制御コマンドや印刷データを受信するデータ受信部100の他、搬送部110、印刷部120、切断部130、印刷部120および切断部130を駆動する駆動部140、印刷装置50全体を制御する制御部200等を備えている。制御部200は、レシートRに付加して印刷するための画像データや、画像データに関する各種設定値を記憶するメモリ(RAM230,図2参照)を備えており、当該各種設定値に従って、画像データをロゴとしてレシートRに付加するレシート装飾処理(詳細は後述する)の制御を行う。
【0025】
印刷制御装置10は、例えばパーソナルコンピュータであり、レシートRに付加して印刷するための画像データの編集や印刷装置50への画像データの登録、並びに上記したレシート装飾処理に関する設定値の設定や取得を行う印刷制御プログラム24を備え、ユーザは、マウス12やキーボード11を含む入力手段およびディスプレイ13を介して、印刷装置50のレシート装飾処理に関する設定値の設定や画像データの編集および登録・登録解除を行うことができる。また、印刷制御装置10と印刷装置50とはインターフェースを介して有線又は無線で接続されている。なお、印刷制御装置10は、画像データの編集や登録、およびレシート装飾処理に関する設定値の設定や取得時に、印刷装置50と接続して用いられるものであり、印刷装置50と常時接続されるものではない。
【0026】
ここで、図2を参照して印刷制御装置10および印刷装置50の制御構成について詳細に説明する。
同図に示すように、印刷制御装置10は、印刷装置50とデータの送受信を行うためのインターフェース21の他、CPU25、ROM26、RAM27、キーボード11、マウス12、ディスプレイ13、ハードディスク22を備え、これらはシステムバス28を介して互いに接続されている。
ハードディスク22は、オペレーティング・システム23(以下OSと記載)および印刷装置50に関する設定等を行うための印刷制御プラグラム24や他のアプリケーションプログラムを記憶しており、また、印刷制御プログラム24および他のアプリケーションプログラムの環境設定や起動時の表示に関する設定ファイル等を記憶している。また、OS23は、マウス12およびキーボード11からの入力の受付やディスプレイ13への表示等、それぞれのアプリケーションに共通する処理を提供するものであり、印刷制御装置10を動作させるための基本となるソフトウェアである。
【0027】
CPU25は、OS23のプログラムや印刷制御プログラム24、並びに他のアプリケーションプログラムに基づいて各種演算処理を行い印刷制御装置10の制御を行う。ROM26は、キーボード11、ディスプレイ13、ハードディスク22といったデバイスをコントロールするプログラムであるBIOS等が記憶されており、OS23はBIOSに命令を出すことでこれらのデバイスを制御する。RAM27は、ハードディスク22や他の記憶媒体(CD―ROMやCD−R等)から一時的に読み出されたOS23のプログラムおよびアプリケーションプログラムが、CPU25の制御の下に実行される作業領域として使用される。
【0028】
一方、印刷装置50は、インターフェース51を有し、POS端末装置40や印刷制御装置10とのデータの送受信を行うデータ受信部100(図1参照)と、レシート送りモータ111を有し、レシートRの搬送を行う搬送部110と、印刷ヘッド121を有し、レシートRの搬送に同期してレシート上に各種印刷データの印刷を行う印刷部120を備えている。
さらに、印刷装置50は、レシートカッタ132およびこれを駆動するカッタモータ131を有し、印刷済みレシートRの後端を切断する切断部130と、送りモータドライバ141、ヘッドドライバ142およびカッタモータドライバ143を有し、各部を駆動する駆動部140と、各部と接続され、印刷装置50全体を制御する制御部200と、によって構成されている。
【0029】
制御部200は、CPU210、ROM220、RAM230および入出力制御装置(以下、「IOC:Input Output Controller」という)240を備え、互いにシステムバス250により接続されている。ROM220は、印刷や後述するレシート装飾処理を含む制御をCPU210が実行するための制御プログラムを記憶する制御プログラムブロック221と、受信した印刷データに基づく印刷や後述する決済情報印刷データの削除のための制御データや各種テーブル等を記憶する制御データブロック222と、を有している。
【0030】
RAM230は、フラグ等として使用される各種ワークエリアブロック231の他、データ受信部100(図1参照)によって受信した印刷データを一時的に記憶する受信バッファ232、印刷部120により印刷可能な状態に展開したデータを記憶するプリントバッファ233、レシートRの任意の位置にロゴとして印刷するための複数の登録印刷データを記憶する登録印刷データブロック234を備えている。
【0031】
また、登録印刷データブロック234には、登録印刷データの他、レシートRの先頭に付加する印刷データすなわちトップロゴTLに関する設定値やレシートRの末尾に付加する印刷データすなわちボトムロゴBLに関する設定値、並びにレシートRにウォーターマークWMとして印刷するウォーターマークWMに関する設定値、および特定の文字列に対応してレシートに付加する印刷データすなわちキーワードロゴKLに関する設定値を記憶している。そして、CPU210は、これらの設定値に基づいて受信した印刷データの展開処理を行う。なお、RAM230は電源が切断されても記憶したデータを保持しておくように常にバックアップされている。また、登録印刷データブロック234は、不揮発性のメモリを用いてもよい。
【0032】
IOC240には、CPU210の機能を補うと共に各種周辺回路とのインターフェース信号を取り扱うための論理回路が、ゲートアレイやカスタムLSIなどにより構成されて組み込まれている。これにより、IOC240は、POS端末装置40および印刷制御装置10から受信した印刷データや制御データをそのまま或いは加工してシステムバス250に取り込むと共に、CPU210と連動して、CPU210からシステムバス250に出力されたデータや制御信号を、そのまま或いは加工して印刷部120等各部に出力する。
【0033】
そして、CPU210は、上記の構成により、ROM220内の制御プログラムに従って、IOC240を介して印刷装置50内の各部から各種信号・データを入力する。また、入力した各種信号・データに基づいてRAM230内の各種データを処理し、IOC240を介して印刷装置50内の各部に各種信号・データを出力することにより、印刷処理の制御を行う。
【0034】
ここで、上記したレシート装飾処理、特にPOS端末装置40から受信した決済情報印刷データにボトムロゴBLを付加して印刷する処理について図3および図4を参照して説明する。このボトムロゴBLは、店舗側の広告や顧客サービスの一環として、決済情報が印刷されたレシートRの末尾に、販売店のマークやクーポン券等として印刷されるドットマトリックスから成る画像データである。
【0035】
図3のフローチャートに示すように、印刷装置50はPOS端末装置40から決済情報印刷データを受信すると(S01:Yes)、受信した印刷データを受信バッファ232に格納し、これをプリントバッファ233内にデータ展開し、印刷ヘッド121により印刷を実行する(S02)。そして、POS端末装置40から用紙カットコマンドを受信すると(S03:Yes)、登録印刷データブロック234の設定値に基づきボトムロゴBLの印刷を実行する(S04)。ボトムロゴBLの印刷終了後、レシートRのレシートカットを行いレシート1枚分の処理を終了する(S05)。このような手順で印刷が行われたレシートRを図4に示す。
【0036】
また、図4に示すように、印刷装置50は、レシート装飾処理としてボトムロゴBL印刷の他にも登録印刷データブロック234に記憶した設定値に基づきレシートRにトップロゴTL、ウォーターマークWM、キーワードロゴKL、をそれぞれ付加してレシート上に印刷することができる。
【0037】
さらに、レシート装飾処理に用いる画像データ(登録印刷データ)の登録について図5および図6を参照して説明する。この処理は印刷制御装置10の印刷制御プログラム24により行われるものである。
図5は、レシート装飾処理に用いる登録印刷データDを印刷装置50に登録するための登録画面300を示している。同図に示すように、登録画面300の左上部には、リスト301が配置し、印刷制御装置10内の特定の場所に格納された、若しくは、印刷制御装置10から参照可能なネットワーク上に格納された登録印刷データDの主要部となる主要部データD1(図6参照)のファイル名が表示される。ユーザは、このリスト301に表示されたファイル名から、登録対象とする主要部データD1のファイル名を選択する(図では「Natural.bmp」が選択されている)。ユーザによって任意の主要部データD1が選択されると、登録画面右上部に配置されたプレビュー画面302に選択された主要部データD1がプレビュー表示される(図5(a)および図6(a)参照)。この主要部データD1は、ユーザが描画アプリケーション等を用いて作成したものを用いてもよいし、CD―ROM等の記憶媒体から印刷制御装置10へ読み込む構成でもよい。
【0038】
ところで、レシート末尾にボトムロゴBLを印刷する場合、印刷位置(印刷ヘッド位置)と、カット位置(カッタ位置)とが離れている印刷装置によって印刷を行うと、レシート末尾に印刷されたボトムロゴBLが途切れた状態でレシートRがカットされてしまうことがある。このような問題を解決するために、本実施形態の印刷制御装置は、予め印刷装置50の印刷ヘッド位置とカッタ位置に相当する距離であるヘッド−カッタ間距離Lに相当する長さの空白ドットから成る余白データD2を取得し、この余白データD2を主要部データD1に付加したものを登録印刷データDとして印刷装置50に登録するようになっている。
【0039】
図5に示す登録画面300の左下部には、印刷制御装置10と接続している印刷装置50のヘッド−カッタ間距離Lに相当する長さの余白データD2を取得するための余白データ取得ボタン303が配置している。この余白データ取得ボタン303のクリック操作によって、印刷制御装置10は、接続している印刷装置50のヘッド−カッタ間距離Lに相当する長さの余白データD2を取得する処理すなわちヘッド−カッタ間距離Lを取得する処理を開始する。
【0040】
ヘッド−カッタ間距離Lの取得処理について説明するが、まず印刷制御装置10が記憶している印刷制御プログラム24について説明する。この印刷制御プログラム24は、登録印刷データDの登録やレシート装飾処理に関する設定値の設定処理を行うメインプログラムと、このメインプログラムから印刷装置名等のパラメータを受理して、必要な情報をメインプログラムに提供するサブプログラムとから構成されている。メインプログラムはヘッド−カッタ間距離Lを取得したい印刷装置名(接続している印刷装置名)をサブプログラムに引き渡す。サブプログラムは、予め記憶している情報から、メインプログラムから引き渡された印刷装置名のヘッド−カッタ間距離Lを取得してメインプログラムに提供する。
【0041】
そして、メインプログラムはサブプログラムから受け取ったヘッド−カッタ間距離Lを余白データD2の長さとして登録画面左下部に配置したコンボボックス304に表示する(図では56dot)。このように、印刷制御プログラム24を、メインプログラムとサブプログラムとに分離して構成することにより、新しい機種の印刷装置を印刷制御プログラム24に対応させる際にも、サブプログラムのみを更新すればよいので、印刷制御プログラム24の保守性および汎用性を高めることができる。もちろん、ヘッド−カッタ間距離Lを印刷装置50から直接取得する構成でもよい。なお、本実施形態では余白データD2の長さ単位としてドット単位を想定しているが、これに限るものではない。例えばインチおよびミリ単位並びに行単位で表してもよい。
【0042】
余白データD2の取得後、プレビュー画面302上部の編集後オプションボタン305bを選択すると、取得した余白データD2が主要部データD1の末尾に付加された登録印刷データDがプレビュー表示される(図5(b)および図6(b)参照)。こうして、ユーザは印刷装置50のヘッド−カッタ間距離Lに相当する長さの余白データD2(本実施例では56dot)を数値として認識するだけではなく、実際にイメージとして視認することができる。また、ユーザがコンボボックス304を操作することにより、主要部データD1に付加する余白データD2の長さを設定することもできる。例えば、印刷装置50のヘッド−カッタ間距離Lに相当する長さ以上の余白を主要部データD1に付加する場合は、コンボボックス304に表示された数値を増やせばよいし、数値を0に設定することで主要部データD1に余白を付加しない選択も可能となる。
【0043】
登録印刷データDをボトムロゴBLとして印刷装置50へ登録する登録処理は、登録画面300右下部に配置した画像登録ボタン306をクリック操作によって開始される。印刷制御装置10は、画像登録ボタン306がクリックされると、コンボボックス304に表示された長さの余白データD2を主要部データD1の末尾に付加した登録印刷データDを印刷装置50へ送信する。そして、印刷装置50は、受信した登録印刷データDをボトムロゴBLとして登録印刷データブロック234に格納する。また、図示は省略するが、ボトムロゴBLの設定値には、レシート幅方向における位置揃え(左よせ、中央よせ、右よせの何れかに設定)も含まれている。
【0044】
このように、主要部データD1に余白データD2を付加した登録印刷データDをボトムロゴBLとしてレシート末尾に印刷すると、図7に示すレシートRのように、印刷位置(印刷ヘッド位置)とカット位置とが離れている印刷装置50において、ボトムロゴBLの印刷後、レシート送りを行うことなくレシートカットを行っても、印刷されたボトムロゴBLが途切れてレシートがカットされる虞がない。さらに、複数機種の印刷装置50へ登録印刷データDを登録する場合でも、各印刷装置50のヘッド−カッタ間距離Lに応じた余白データD2を取得して主要部データD1に付加するので、登録印刷データDの主要部データD1は複数機種に共通して使用することが可能であると共に、各機種に応じた余白データD2をユーザが生成する必要がないので、容易に登録印刷データDを各印刷装置50へ登録することができる。
【0045】
また、図8に示すように、余白データD2としてレシート送りコマンドを付加する構成でもよい。この場合、印刷制御装置10は、印刷装置50のヘッド−カッタ間距離Lに相当する長さを取得し、その長さ分のレシート送りを行うためのレシート送りコマンドを、余白データD2として主要部データD1に付加し、これを登録印刷データDとして印刷装置50へ送信する。印刷装置50は、用紙カットコマンド受信後、登録印刷データブロック234に記憶した主要部データD1をボトムロゴBLとして印刷した後、余白データD2(レシート送りコマンド)に基づきレシート送りを行い、レシートカットを行う。
【0046】
また、印刷装置50自身で上記の制御を実現してもよい。例えば、印刷装置50は、登録印刷データDの主要部データD1を記憶しており、用紙カットコマンドをトリガとして、ボトムロゴBLとして主要部データD1を印刷し、その後自身のヘッド−カッタ間距離Lに応じたレシート送りを行った後レシートカットを行う構成でもよい。
【0047】
また、本実施形態では、決済情報印刷データを生成するPOSアプリケーション41aを備えたPOS端末装置40と、印刷制御プログラム24を備えた印刷制御装置10とを互いに独立した別の装置として構成しているが、これらを1つの装置として構成することも当然可能である。この構成によれば、通常のレシート発行処理と、レシート装飾処理のための設定処理とを、1つの装置で行うことが可能となるので、装置構成が簡易となり、且つレシート発行処理とレシート装飾処理のための設定処理との切換えが容易となる。
【0048】
なお、上記の例に示した印刷制御装置10および印刷装置50の各部(各機能)をプログラムとして提供することも可能である。また、そのプログラムを記憶媒体(図示省略)に格納して提供することも可能である。記録媒体としては、CD−ROM、フラッシュROM、メモリカード(コンパクトフラッシュ(登録商標)、スマートメディア、メモリースティック等)、コンパクトディスク、光磁気ディスク、デジタルバーサタイルディスクおよびフレキシブルディスク等を利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施形態に係るPOSシステムの構成図である。
【図2】印刷制御装置および印刷装置の制御ブロック図である。
【図3】印刷装置のボトムロゴ印刷処理を示すフローチャートである。
【図4】レシート装飾処理の一例を示す説明図である。
【図5】登録印刷データの登録画面を示す図である。
【図6】登録印刷データを示す平面図である。
【図7】レシートに印刷されたボトムロゴを説明するための説明図である。
【図8】登録印刷データの他の例を示す説明図である。
【図9】従来技術を説明するための補足図である。
【符号の説明】
【0050】
10 印刷制御装置 50 印刷装置
14 印刷制御プログラム 234 画像データブロック
235 トップロゴブロック 236 ボトムロゴブロック
237 ウォーターマークブロック 238 キーワードロゴブロック
R レシート BL ボトムロゴ
D 登録印刷データ D1 主要部データ
D2 余白データ L ヘッド−カッタ間距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信した印刷データの末尾に、予め記憶した登録印刷データを挿入してレシート上に印刷を行った後、レシートカットを行う印刷装置と接続して用いられ、当該登録印刷データを登録する印刷制御装置であって、
前記登録印刷データの主要部データを生成する主要部データ生成手段と、
前記印刷装置の印刷位置とカット位置間の距離であるヘッド−カッタ間距離に相当する長さの余白データを、前記主要部データの末尾に付加する余白データ付加手段と、
前記余白データが付加された主要部データを前記登録印刷データとして前記印刷装置へ登録する登録印刷データ登録手段と、を備えたことを特徴とする印刷制御装置。
【請求項2】
前記余白データの長さを表示する余白長表示手段と、
前記余白データの長さを設定する余白長設定手段と、をさらに備え、
前記余白データ付加手段は、前記ヘッド−カッタ間距離に相当する長さの余白データに代えて、前記余白長設定手段により設定された長さの余白データを付加することを特徴とする請求項1に記載の印刷制御装置。
【請求項3】
前記登録印刷データをプレビュー表示するプレビュー表示手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の印刷制御装置。
【請求項4】
前記登録印刷データは、画素を示すドットから成るドットマトリックスで構成されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の印刷制御装置。
【請求項5】
前記印刷データは、決済情報印刷データであり、
前記登録印刷データは、レシート末尾に印刷するボトムロゴであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の印刷制御装置。
【請求項6】
受信した印刷データの末尾に、予め記憶した登録印刷データを挿入してレシート上に印刷を行った後、レシートカットを行う印刷装置と接続して用いられ、当該登録印刷データを登録する印刷制御装置の登録印刷データ登録方法であって、
前記登録印刷データの主要部データを生成する主要部データ生成工程と、
前記印刷装置の印刷位置とカット位置間の距離であるヘッド−カッタ間距離に相当する長さの余白データを、前記主要部データの末尾に付加する余白データ付加工程と、
前記余白データが付加された主要データを前記登録印刷データとして前記印刷装置へ登録する登録印刷データ登録工程と、を実行することを特徴とする印刷制御装置の登録印刷データ登録方法。
【請求項7】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の印刷制御装置における各手段としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項8】
受信した印刷データの末尾に、予め記憶した登録印刷データを挿入してレシート上に印刷する印刷装置であって、
前記登録印刷データの主要部データを記憶する主要部データ記憶手段と、
用紙カットコマンドをトリガとして、印刷位置とカット位置間の距離であるヘッド−カッタ間距離に相当する長さの余白データを前記主要部データに付加し、これを前記登録印刷データとして、前記受信した印刷データの末尾に挿入する登録印刷データ挿入手段と、を備えたことを特徴とする印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−79396(P2006−79396A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−263366(P2004−263366)
【出願日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】