説明

印刷制御装置、印刷装置及び印刷システム

【課題】布帛に印刷する場合においても、簡易な装置構成で、スクリーン印刷及びインク吐出印刷により、色ムラを生じさせることなく、適切に印刷する。
【解決手段】印刷装置2が備えるトップ位置検出センサ308により検出された検出値に基づいて、インク吐出基準位置を算出するインク吐出基準位置算出部22と、印刷装置2が備える測距センサ312により測定された測定値に基づいて、印刷装置1が備えるインクジェットヘッド302から印刷媒体までの距離から基準距離を減算した距離を補正距離として算出する補正距離算出部23と、印刷装置2に、印刷媒体の所定領域内の画素毎に算出された補正距離と画像データとに基づいて、インクジェットヘッド302をインク吐出基準位置の高さでインク吐出印刷を実行させる印刷データ補正演算部25とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーン印刷とインク吐出印刷とを併用するハイブリッド型の印刷装置と、この印刷装置に接続され、印刷装置を制御する印刷制御装置と、印刷装置及び印刷制御装置を備える印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、Tシャツ等の布帛に画像を印刷する印刷装置として、画像が形成されたスクリーン版を用いて布帛にインクを塗布するスクリーン印刷装置が普及している。このスクリーン印刷装置は、スクリーン版を用いるので生産性が高い反面、カラー画像などの印刷を行うためにはスクリーン版を多数制作する必要があった。一方、インク吐出ヘッドにより直接インクを布帛に吐出して画像を印刷するインクジェット印刷装置も一般的に良く知られている。このインクジェット印刷装置は、容易に高密度マルチカラーの印刷が可能である反面、背景画像など広い面積の印刷するためには、相当の時間を要する等の問題がある。
【0003】
そこで、特許文献1には、スクリーン印刷により布帛の所定の範囲を単色で印刷(以下、アンダーグラウンド印刷という)した後、この印刷された布帛の所定領域にインク吐出印刷によりカラー画像を印刷するスクリーン印刷及びインク吐出印刷を併用したハイブリッド型の印刷装置が提案されている。
【0004】
また、特許文献2には、Tシャツ等の可撓性シート状素材の表面に印刷する場合に、枠体により可撓性シート状素材を平らにし、さらに、この可撓性シート状素材を支持する支持台を昇降させることにより、インクジェットヘッドとの距離を調整するインクジェットプリンタが提案されている。
【特許文献1】特開2004−291493号公報
【特許文献2】特開2006−123361号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、Tシャツ等の布帛は、縫い目があり、また伸縮自在な素材で製造されている場合が多く、これにより布帛表面に凹凸が生じていた。
【0006】
そのため、特許文献1に記載の印刷装置では、スクリーン印刷によりTシャツ等の布帛にアンダーグラウンド印刷を行う場合、この布帛表面に生じた凹凸によって、アンダーグラウンド印刷された所定領域の色合いにムラが生じる場合があった。
【0007】
そして、特許文献1に記載の印刷装置は、このように色合いにムラが生じた布帛上に、インク吐出印刷により高密度なカラー画像を印刷するので、最終的に印刷された布帛にも色ムラが生じている場合があった。
【0008】
また、特許文献2に記載のインクジェットプリンタでは、支持台を昇降させるので、装置構造が大きくなるという課題があった。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、布帛に印刷する場合においても、簡易な装置構成で、スクリーン印刷及びインク吐出印刷により、布帛表面の凹凸に起因する色ムラを生じさせることなく、適切に印刷する印刷制御装置、印刷装置及び印刷システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係る印刷制御装置の第1の特徴は、画像データに基づいて印刷媒体の所定領域にスクリーン印刷を行うと共に、スクリーン印刷された印刷媒体の前記所定領域に、前記画像データに基づいてインク吐出印刷を行うハイブリッド型の印刷装置と接続され、前記印刷装置の制御を行う印刷制御装置であって、前記印刷装置が備えるトップ位置検出センサにより検出された検出値に基づいて、前記印刷媒体の所定領域内における最も高い位置から略垂直方向に所定の基準距離だけ離れた位置をインク吐出基準位置として算出するインク吐出基準位置算出手段と、前記印刷装置が備える測距センサにより前記印刷媒体の所定領域内の画素毎に検出された検出値に基づいて、前記印刷装置が備えるインクジェットヘッドから前記印刷媒体までの距離から前記基準距離を減算した距離を補正距離として算出する補正距離算出手段と、前記印刷装置に、前記印刷媒体の所定領域内の画素毎に算出された前記補正距離と、前記画像データとに基づいて、前記インクジェットヘッドを前記インク吐出基準位置の高さで前記インク吐出印刷を実行させる印刷データ補正演算手段とを備えたことにある。
【0011】
上記目的を達成するため、本発明に係る印刷制御装置の第2の特徴は、前記インクジェットヘッドにおけるインク吐出量の増加率を示すインク吐出増加率と、前記補正距離とを関連づけて、インク吐出増加率ルール情報として記憶するインク吐出増加率ルール記憶手段とを、更に備え、前記印刷データ補正演算手段は、前記補正距離算出手段により算出された補正距離と、前記インク吐出増加率ルール記憶手段に記憶されたインク吐出増加率ルール情報とに基づいて、前記印刷媒体の所定領域内の画素毎のインク吐出増加率を決定するインク吐出増加率決定手段と、前記決定されたインク吐出増加率と前記画像データとに基づいて、前記印刷装置に前記インク吐出印刷を実行させるインク吐出印刷制御手段と、を有することにある。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明に係る印刷制御装置の第3の特徴は、前記印刷データ補正演算手段は、前記補正距離算出手段により算出された補正距離が、予め定められた閾値以上であるか否かを判定する補完印刷判定手段と、前記補完印刷判定手段により前記補正距離が前記閾値以上であると判定された場合、この判定された前記印刷媒体の所定領域内の画素に、前記スクリーン印刷に用いたインクと同色のインクを用いて前記印刷装置に前記インク吐出印刷を実行させる補完印刷制御手段と、前記補完印刷制御手段により前記印刷装置が前記インク吐出印刷を実行した後に、前記印刷媒体の所定領域内に、前記画像データに基づいて、前記印刷装置にカラーインクを用いた前記インク吐出印刷を実行させるカラー印刷制御手段とを有することにある。
【0013】
上記目的を達成するため、本発明に係る印刷装置の第1の特徴は、印刷制御装置と接続され、前記印刷制御装置から供給された画像データに基づいて印刷媒体の所定領域にスクリーン印刷を行うと共に、スクリーン印刷された印刷媒体の前記所定領域に、前記画像データに基づいてインク吐出印刷を行うハイブリッド型の印刷装置であって、前記印刷媒体が固定された昇降台を略垂直方向に駆動させる昇降台駆動部と、前記印刷制御装置から前記印刷媒体の所定領域内における最も高い位置から略垂直方向に所定の基準距離だけ離れた位置を示すインク吐出基準位置が供給された場合に、インクジェットヘッドがこのインク吐出基準位置となるように、前記昇降台駆動部を制御する昇降台制御手段と、前記印刷媒体の所定領域内の画素毎に、前記インクジェットヘッドから前記印刷媒体までの距離を検出する測距センサと、前記印刷制御装置から前記インク吐出印刷が要求されると共に、前記測距センサにより検出された距離に基づいて前記印刷制御装置により算出された前記印刷媒体の所定領域内の画素毎にインク吐出の増加率を示すインク吐出増加率と、前記画像データとが前記印刷制御装置から供給された場合に、前記インク吐出増加率と前記画像データとに基づいて、前記印刷媒体の前記所定領域に、前記インク吐出印刷を実行するインク吐出印刷手段とを備えたことにある。
【0014】
上記目的を達成するため、本発明に係る印刷装置の第2の特徴は、印刷制御装置と接続され、前記印刷制御装置から供給された画像データに基づいて印刷媒体の所定領域にスクリーン印刷を行うと共に、スクリーン印刷された印刷媒体の前記所定領域に、前記画像データに基づいてインク吐出印刷を行うハイブリッド型の印刷装置であって、前記印刷媒体が固定された昇降台を略垂直方向に駆動させる昇降台駆動部と、前記印刷制御装置から前記印刷媒体の所定領域内における最も高い位置から略垂直方向に所定の基準距離だけ離れた位置を示すインク吐出基準位置が供給された場合に、インクジェットヘッドの位置がこのインク吐出基準位置となるように、前記昇降台駆動部を制御する昇降台制御手段と、前記印刷媒体の所定領域内の画素毎に、前記インクジェットヘッドから前記印刷媒体までの距離を検出する測距センサと、前記印刷制御装置から補完印刷の実行が要求されると共に、前記測距センサにより検出された距離に基づいて前記印刷制御装置により生成された前記補完印刷を行う前記印刷媒体の所定領域内の画素座標を示す補完印刷データが前記印刷制御装置から供給された場合に、印刷媒体の所定領域内に、前記補完印刷データに基づいて、前記スクリーン印刷に用いたインクと同色のインクを用いて前記インク吐出印刷を実行する補完印刷手段と、前記補完印刷手段により前記インク吐出印刷を実行した後に、前記印刷制御装置からカラー印刷の実行が要求される共に、前記画像データが供給された場合に、印刷媒体の所定領域内に、前記画像データに基づいて、カラーインクを用いた前記インク吐出印刷を実行するカラー印刷手段とを備えたことにある。
【0015】
上記目的を達成するため、本発明に係る印刷システムの第1の特徴は、画像データに基づいて印刷媒体の所定領域にスクリーン印刷を行うと共に、スクリーン印刷された印刷媒体の前記所定領域に、前記画像データに基づいてインク吐出印刷を行うハイブリッド型の印刷装置と、この印刷装置に接続され、前記印刷装置の制御を行う印刷制御装置とを備える印刷システムであって、前記印刷制御装置は、前記印刷装置が備えるトップ位置検出センサにより検出された検出値に基づいて、前記印刷媒体の所定領域内における最も高い位置から略垂直方向に所定の基準距離だけ離れた位置をインク吐出基準位置として算出するインク吐出基準位置算出手段と、前記印刷装置が備える測距センサにより前記印刷媒体の所定領域内の画素毎に検出された検出値に基づいて、前記印刷装置が備えるインクジェットヘッドから前記印刷媒体までの距離から前記基準距離を減算した距離を補正距離として算出する補正距離算出手段と、前記インクジェットヘッドにおけるインク吐出量の増加率を示すインク吐出増加率と、前記補正距離とを関連づけて、インク吐出増加率ルール情報として記憶するインク吐出増加率ルール記憶手段と、前記補正距離算出手段により算出された補正距離と、前記インク吐出増加率ルール記憶手段に記憶されたインク吐出増加率ルール情報とに基づいて、前記印刷媒体の所定領域内の画素毎のインク吐出増加率を決定するインク吐出増加率決定手段と、前記決定されたインク吐出増加率と前記画像データとに基づいて、前記印刷装置に前記インク吐出印刷を実行させるインク吐出印刷制御手段と、を有し、前記印刷装置は、前記印刷媒体が固定された昇降台を略垂直方向に駆動させる昇降台駆動部と、前記印刷制御装置から前記インク吐出基準位置が供給された場合に、前記インクジェットヘッドがこのインク吐出基準位置となるように、前記昇降台駆動部を制御する昇降台制御手段と、前記印刷制御装置から前記インク吐出印刷が要求されると共に、前記インク吐出増加率と、前記画像データとが供給された場合に、この供給された前記インク吐出増加率と、前記画像データとに基づいて、前記印刷媒体の前記所定領域に、前記インク吐出印刷を実行するインク吐出印刷手段と、を有することにある。
【0016】
上記目的を達成するため、本発明に係る印刷システムの第2の特徴は、画像データに基づいて印刷媒体の所定領域にスクリーン印刷を行うと共に、スクリーン印刷された印刷媒体の前記所定領域に、前記画像データに基づいてインク吐出印刷を行うハイブリッド型の印刷装置と、この印刷装置に接続され、前記印刷装置の制御を行う印刷制御装置とを備える印刷システムであって、前記印刷制御装置は、前記印刷装置が備えるトップ位置検出センサにより検出された検出値に基づいて、前記印刷媒体の所定領域内における最も高い位置から略垂直方向に所定の基準距離だけ離れた位置をインク吐出基準位置として算出するインク吐出基準位置算出手段と、前記印刷装置が備える測距センサにより前記印刷媒体の所定領域内の画素毎に検出された検出値に基づいて、前記印刷装置が備えるインクジェットヘッドから前記印刷媒体までの距離から前記基準距離を減算した距離を補正距離として算出する補正距離算出手段と、前記補正距離算出手段により算出された補正距離が、予め定められた閾値以上であるか否かを判定する補完印刷判定手段と、前記補完印刷判定手段により前記補正距離が前記閾値以上であると判定された場合、この判定された前記印刷媒体の所定領域内の画素に、前記スクリーン印刷に用いたインクと同色のインクを用いて前記印刷装置に前記インク吐出印刷を実行させる補完印刷制御手段と、前記補完印刷制御手段により前記印刷装置が前記インク吐出印刷を実行した後に、前記印刷媒体の所定領域内に、前記画像データに基づいて、前記印刷装置にカラーインクを用いた前記インク吐出印刷を実行させるカラー印刷制御手段と、を有し、前記印刷装置は、前記印刷媒体が固定された昇降台を略垂直方向に駆動させる昇降台駆動部と、前記印刷制御装置から前記インク吐出基準位置が供給された場合に、前記インクジェットヘッドの位置がこのインク吐出基準位置となるように、前記昇降台駆動部を制御する昇降台制御手段と、前記印刷制御装置から補完印刷の実行が要求されると共に、前記補完印刷を行う前記印刷媒体の所定領域内の画素座標を示す補完印刷データが供給された場合に、この供給された補完印刷データに基づいて、印刷媒体の所定領域内に、前記スクリーン印刷に用いたインクと同色のインクを用いて前記インク吐出印刷を実行する補完印刷手段と、前記補完印刷手段により前記インク吐出印刷を実行した後に、前記印刷制御装置からカラー印刷の実行が要求される共に、前記画像データが供給された場合に、この供給された画像データに基づいて、印刷媒体の所定領域内に、カラーインクを用いた前記インク吐出印刷を実行するカラー印刷手段と、を有することにある。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る印刷制御装置、印刷装置及び印刷システムによれば、布帛に印刷する場合においても、簡易な装置構成で、スクリーン印刷及びインク吐出印刷により、色ムラを生じさせることなく、適切に印刷することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0019】
本発明の実施例1では、画像データに基づいてスクリーン印刷によりTシャツの所定領域にアンダーグラウンド印刷を行うと共に、アンダーグラウンド印刷されたTシャツの所定領域に、インク吐出印刷によりカラー印刷を行う印刷装置と、この印刷装置と接続され、印刷装置の制御を行う印刷制御装置とを備えた印刷システムを例に上げて説明する。
【0020】
<印刷システムの構成>
図1は、本発明の実施例1である印刷システム10の全体斜視図である。
【0021】
図1に示すように、印刷システム10は、印刷制御装置1と、印刷装置2とを備えており、印刷制御装置1と印刷装置2とは、ケーブル6を介して接続されている。
【0022】
印刷制御装置1は、印刷装置2により測定された印刷装置2のインク吐出位置からTシャツまでの距離と画像データとに基づいて、印刷装置2にインク吐出印刷を実行させる。
【0023】
印刷装置2は、画像データに基づいて、Tシャツ100の所定領域に単色でアンダーグラウンド印刷を行うスクリーン印刷部4と、スクリーン印刷部4によりアンダーグラウンド印刷されたTシャツの所定領域に、画像データに基づいてカラー印刷を行うインクジェット印刷部3と、スクリーン印刷部4及びインクジェット印刷部3を制御する本体部5を備えている。
【0024】
本体部5は、基台101を備えており、この基台101上には、本体ベース102が固定されている。また、本体ベース102の上面中央部には、昇降台103が配置されており、本体ベース102が昇降台103を昇降させる。
【0025】
昇降台103上には、係合具103aが設けられており、Tシャツ100が装着されたアタッチメント104がこの係合具103aに取り付けられることにより、昇降台103上でTシャツ100が保持される。
【0026】
また、基台101の一端側の上面には、中空円柱状の支持筒105が固設されており、この支持筒105には、支持柱106が挿入されている。
【0027】
支持柱106の上端には、水平方向に180°離れた一対のアーム107a,107bを有する回転部材108が、支持柱106を回転軸として回転可能に設けられている。支持柱106の上端には、この回転部材108を介してネジ109が螺合されており、回転部材108の回転の自由度を制限し、又は回転部材108の回転方向の位置を任意の角度で固定できるように構成されている。
【0028】
各アーム107a,107bは、回転部材108に対して水平軸110a,110bを中心に上下方向に所定角度範囲で揺動可能となるように取り付けられている。アーム107aの先端には一対のネジ112が設けられており、このネジ112によりインクジェット印刷部3が固定されている。同様に、アーム107bの先端には一対のネジ113が設けられており、このネジ113によりスクリーン印刷部4が固定されている。
【0029】
アーム107aの上下方向における回転中心である水平軸110aの一端は、支点の外で軸心から外れた位置に延長され、ウエイト114aが取り付けられている。これによって、特に外力を加えない場合には、アーム107a及びインクジェット印刷部3はウエイト114aの重量で持ち上げられて斜め上方を向いた姿勢で保持される。同様に、アーム107bの回転中心である水平軸110bの一端は、支点の外で軸心から外れた位置に延長され、ウエイト114bが取り付けられている。
【0030】
図2は、本発明の実施例1である印刷システム10の断面図である。
【0031】
図2に示すように、利用者の操作によりウエイト114bが上方に持ち上げられた場合、アーム107bは下方に下ろされ、スクリーン印刷部4の下部に備えられた固定脚116が本体ベース102上に接触する。これにより、本体ベース102とスクリーン印刷部4との間に所定の間隔が設けられる。そして、本体ベース102に内蔵された昇降台モータ117が駆動することにより、本体ベース102の上面中央部に設けられた昇降台103が昇降する。これにより、この昇降台103上に配置されたTシャツ100とスクリーン印刷部4との間隔を調整することができる。
【0032】
回転部材108は、支持柱106を回転軸として水平面内で180°回転し、アーム107aが基台101上の所定の位置に設定された場合、アーム107aを下方の印刷位置まで下ろすことができる。
【0033】
アーム107aは、アーム107bと同様に、利用者の操作によりウエイト114aが上方に持ち上げられた場合、アーム107aは下方に下ろされ、インクジェット印刷部3の下部に備えられた固定脚115が本体ベース102上に接触する。これにより、本体ベース102とインクジェット印刷部3との間に所定の間隔を設ける。
【0034】
図3は、本発明の実施例1である印刷システム10のスクリーン印刷部4の斜視図である。
【0035】
図3に示すように、スクリーン印刷部4は、スクリーン枠401に囲まれたスクリーン版402を備え、スクリーン枠401の両端をY軸方向に跨ぐように、スキージガイド403がアーム107bの上部に固定される。また、アーム107b上には、スキージガイド403に隣接してスキージ駆動モータ406が配置されており、このスキージ駆動モータ406は、駆動伝達系(図示しない)を介して、スキージ固定部404をスキージガイド403に沿ってY軸方向へスライド移動させる。これにより、このスキージ固定部404に固定されたスキージ405も同様にY軸方向へスライド移動する。
【0036】
このようにして、スキージ405がY軸方向へスライド移動することにより、スクリーン版402上に塗布されたインクが、スクリーン版402に設けられた細孔を通過し、スクリーン版402の直下に配置されたTシャツ100の所定領域に単色でアンダーグラウンド印刷を行う。
【0037】
図4は、本発明の実施例1である印刷システム10のインクジェット印刷部3の斜視図である。
【0038】
図4に示すように、インクジェット印刷部3は、Tシャツ100上に所定の間隔を置いて配置される矩形の枠体301と、インクジェット式ヘッド302と、このインクジェット式ヘッド302をTシャツ100上で2次元的に移動させるヘッド位置移動部303とを備えている。
【0039】
ヘッド位置移動部303は、枠体301に対してY軸方向にスライド自在に支持されたXガイド軸304と、枠体301に対してX軸方向にスライド自在に支持されたYガイド軸305と、これらXガイド軸304及びYガイド軸305をそれぞれ駆動伝達系を介して移動させるY軸キャリアモータ306及びX軸キャリアモータ307と、Xガイド軸304の両端に固定されたトップ位置検出センサ308とを備えている。
【0040】
インクジェット式ヘッド302は、Xガイド軸304及びYガイド軸305に沿ってスライド自在に支持されている。例えば、Xガイド軸304がY軸方向に移動すると、インクジェット式ヘッド302がYガイド軸305に沿ってY軸方向に移動し、Yガイド軸305がX軸方向に移動すると、インクジェット式ヘッド302がXガイド軸304に沿ってX軸方向に移動する。これにより、インクジェット式ヘッド302は、枠体301内をX軸方向及びY軸方向に2次元的に移動する。なお、インクジェット式ヘッド302は、Xガイド軸304上で最もY軸キャリアモータ306に近い位置、かつYガイド軸305上で最もX軸キャリアモータ307に近い位置をホーム位置、即ちx−y座標が(0,0)となる基準位置として、印刷制御装置1から供給された制御信号に含まれるx−y座標に基づいて、枠体301内を移動する。
【0041】
トップ位置検出センサ308は、例えば透過型センサであり、発光素子と受光素子とを有し、Xガイド軸304がY軸方向に移動する際、受光素子による受光状態により、Tシャツ100の凹凸、即ちアンダーグラウンド高さを検出する。
【0042】
図5(a)は、インクジェット式ヘッド302を上面側から見た斜視図であり、図5(b)はインクジェット式ヘッド302を下面側から見た斜視図である。
【0043】
図5(a)に示すように、インクジェット式ヘッド302は、Xガイド軸304及びYガイド軸305にスライド自在に支持されたヘッド支持部310を有する。このヘッド支持部310には、4本の印刷用ヘッド部311が着脱自在に装着されている。4本の印刷用ヘッド部311は、それぞれブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のカラーインクを収容するインクタンク部311aを有する。このカラーインクは、顔料系や油性、UV硬化タイプ、樹脂系等の耐水性インクが使用され、布生地であるTシャツ100が洗濯等されても水落ちしないものである。
【0044】
また、図5(b)に示すように、4本の印刷用ヘッド部311は、インクタンク部311a内のカラーインクを吐出させる吐出ノズル部311bを有する。この吐出ノズル部311bによりカラーインクが吐出されることにより、この吐出ノズル部311bの直下に配置されたTシャツ100が、カラー印刷される。
【0045】
また、ヘッド支持部310の下側には、測距センサ312が固定されており、この測距センサ312の直下に配置されたTシャツ100の所定領域の画素毎に、Tシャツ100までの距離を検出する。
【0046】
<印刷装置2の構成>
次に、本発明の実施例1である印刷システム10に備えられた印刷装置2の機能構成について詳細に説明する。
【0047】
図6は、本発明の実施例1である印刷システム10の印刷装置2の機能構成を示す機能構成図である。
【0048】
図6に示すように、印刷装置2は、インクジェット印刷部3と、スクリーン印刷部4と、本体部5とを備えている。
【0049】
インクジェット印刷部3は、X軸キャリアモータ307と、Y軸キャリアモータ306と、インクジェット式ヘッド302と、測距センサ312と、トップ位置検出センサ308とを備える。なお、これらの構成については、上述したので、説明を省略する。
【0050】
スクリーン印刷部4は、スキージ駆動モータ406を備えている。なお、スキージ駆動モータ406の構成については、上述したので、説明を省略する。
【0051】
本体部5は、CPU102aと、ROM102bと、RAM102cと、出力印刷データ記憶部102dと、インク吐出増加率記憶部102qと、X軸モータ制御部102eと、Y軸モータ制御部102fと、印字ヘッド制御部102gと、A/D変換部102hと、スキージ制御部102jと、昇降台制御部102kと、昇降台モータ117と、インタフェース部102nとを備えており、それぞれは、バス102pを介して接続されている。
【0052】
CPU102aは、本体部5の中枢的な制御を行う。また、CPU102aは、印刷制御装置1から、インク吐出印刷が要求され場合に、インク吐出増加率と、画像データとに基づいて、Tシャツ100の所定領域にインク吐出印刷を行うように、X軸モータ制御部102eと、Y軸モータ制御部102fと、印字ヘッド制御部102gとに、それぞれX軸キャリアモータ307と、Y軸キャリアモータ306と、インクジェット式ヘッド302とを制御させる。
【0053】
ROM102bは、不揮発性半導体等で構成され、CPU102aが実行する各種制御プログラム等を記憶している。
【0054】
RAM102cは、揮発性半導体等で構成され、CPU102aが各種処理を実行する上で必要なデータ等を記憶する。
【0055】
出力印刷データ記憶部102dは、インタフェース部102nを介して印刷制御装置1から供給された制御信号に含まれる画像データを記憶する。
【0056】
インク吐出増加率記憶部102qは、インタフェース部102nを介して印刷制御装置1から供給された制御信号に含まれるTシャツ100の所定領域内の画素のx−y座標と、インク吐出増加率とを関連づけて、インク吐出増加率情報として記憶する。
【0057】
図7は、インク吐出増加率記憶部102qが記憶しているインク吐出増加率情報の一例を示した図である。
【0058】
図7に示すように、“x―y座標”(符号701)と、“インク吐出増加率”(符号702)とが関連づけられて、インク吐出増加率情報として記憶されている。
【0059】
X軸モータ制御部102eは、CPU102aからの命令に基づき、X軸キャリアモータ307を制御し、Y軸モータ制御部102fは、CPU102aからの命令に基づき、Y軸キャリアモータ306を制御する。
【0060】
印字ヘッド制御部102gは、CPU102aからの命令に基づき、インクジェット式ヘッド302を制御する。
【0061】
A/D変換部102hは、測距センサ312により検出された距離のアナログ信号をディジタル信号へ変換する。
【0062】
スキージ制御部102jは、CPU102aからの命令に基づき、スクリーン印刷部4のスキージ駆動モータ406を制御する。
【0063】
昇降台制御部102kは、CPU102aからの命令に基づき、昇降台103の高さを、印刷制御装置1から送信された昇降台高さになるように、昇降台モータ117を制御する。
【0064】
インタフェース部102nは、印刷制御装置1との接続インタフェースであり、CPU102aからの命令に基づき、A/D変換された測距情報を印刷制御装置1へ送信したり、印刷制御装置1から送信された制御信号を受信したりする。
【0065】
<印刷制御装置1の構成>
次に、本発明の実施例1である印刷システム10に備えられた印刷制御装置1の機能構成について詳細に説明する。
【0066】
図8は、本発明の実施例1である印刷システム10の印刷制御装置1の機能構成を示す機能構成図である。
【0067】
図8に示すように、印刷制御装置1は、CPU11と、操作部12と、ROM13と、RAM14と、画像データ記憶部15と、インク吐出増加率ルール記憶部16と、測距情報記憶部17と、トップ位置情報記憶部20と、表示部21と、インク吐出基準位置算出部22と、補正距離算出部23と、RGB→CMYK変換部24と、印刷データ補正演算部25と、プリンタドライブ部26と、インタフェース部27とを備えており、それぞれはバス30を介して接続されている。
【0068】
CPU11は、印刷制御装置1の中枢的な制御を行う。また、CPU11は、画像生成プログラム等を実行することにより、画像データを生成し、画像データ記憶部15に記憶させる。
【0069】
操作部12は、マウスやキーボード等の入力部を備えており、利用者の操作により、スクリーン印刷処理の開始や、インク吐出印刷処理の開始を要求する要求信号等を生成してCPU11へ供給する。
【0070】
ROM13は、不揮発性半導体等で構成され、CPU11が実行するための画像生成プログラム等の各種制御プログラムを記憶している。
【0071】
RAM14は、揮発性半導体等で構成され、CPU11が各種処理を実行する上で必要なデータ等を記憶する。
【0072】
画像データ記憶部15は、CPU11により生成された画像データを記憶する。
【0073】
インク吐出増加率ルール記憶部16は、利用者の操作により操作部12から供給された操作信号に基づいて、補正距離と、この補正距離に対応するインク吐出増加率とを関連づけて、インク吐出増加率ルール情報として記憶する。
【0074】
図9は、インク吐出増加率ルール記憶部16が記憶しているインク吐出増加率ルール情報の一例を示した図である。
【0075】
図9に示すように、“補正距離”(符号801)と、“インク吐出増加率”(符号802)とが関連づけられて、インク吐出増加率ルール情報として記憶されている。
【0076】
測距情報記憶部17は、Tシャツ100の所定領域内の画素のx−y座標と、測距センサ312により測定された測定距離とを関連づけて、測距情報として記憶する。
【0077】
図10は、測距情報記憶部17が記憶している測距情報の一例を示した図である。
【0078】
図10に示すように、“x―y座標”(符号901)と、“測定距離”(符号902)とが関連づけられて、測距情報として記憶されている。
【0079】
トップ位置情報記憶部20は、後述するインク吐出基準位置算出部22により算出されたトップ位置を記憶する。
【0080】
表示部21は、有機EL(electroluminescence)ディスプレイや、液晶ディスプレイ等の画像出力部を備え、CPU11から供給された出力信号に基づいて、各種画面を表示する。
【0081】
インク吐出基準位置算出部22は、印刷装置2のXガイド軸304がY軸方向に移動しながら主走査1ライン毎に検出されたアンダーグラウンド高さの値から最も高い値をトップ位置として算出する。そして、インク吐出基準位置算出部22は、この算出されたトップ位置の高さとインクジェット式ヘッド302とのギャップが基準距離になるような高さをインク吐出基準位置として算出する。
【0082】
ここで、基準距離とは、インクジェット式ヘッド302からTシャツ100の所定領域内における最も高い位置までの距離として、予め設定される距離であり、この基準距離に基づいて、インクジェット式ヘッド302の位置が定められる。この基準距離が長すぎると、インクジェット式ヘッド302からTシャツ100の所定領域内における最も低い位置までの距離が長くなりすぎ、吐出されたインクがTシャツ100まで到達し難くなる。一方、この基準距離が短すぎると、最も高い位置までの距離が短いので、吐出されたインクは適切に噴射できず、適切な印刷ができなくなる。そのため、例えば3(mm)といったように、予め提供者等が実測に基づいた適正な値を予め算出し、提供者や利用者等が予め適正な値を設定しておく必要がある。
【0083】
補正距離算出部23は、測距情報記憶部17に記憶された測距情報に基づいて、印刷装置2が備えるインクジェット式ヘッド302からTシャツ100までの距離、即ち測定距離から基準距離を減算した距離を補正距離として算出する。
【0084】
図11は、インク吐出基準位置算出部22によるインク吐出基準位置の算出方法、及び補正距離算出部23による補正距離の算出方法を模式的に示した図である。
【0085】
図11に示すように、インク吐出基準位置算出部22は、主走査1ライン毎に検出されたアンダーグラウンド高さの値から最も高い値であるトップ位置1001を算出する。そして、この算出されたトップ位置1001とインクジェット式ヘッド302とのギャップが、基準距離1003になるような高さをインク吐出基準位置1002として算出する。
【0086】
補正距離算出部23は、測距センサ312により測定されたインクジェット式ヘッド302からTシャツ100までの測定距離1004から基準距離1003を減算した距離を、補正距離1005として算出する。
【0087】
図8に示す印刷データ補正演算部25は、Tシャツ100の所定領域内の画素毎に算出された補正距離と、画像データとに基づいて、インクジェット式ヘッド302をインク吐出基準位置の高さでインク吐出印刷を実行させる。
【0088】
プリンタドライブ部26は、印刷装置2を制御するための各種制御信号を生成する。例えば、プリンタドライブ部26は、操作部12からスクリーン印刷処理の開始を要求する要求信号が供給された場合、画像データ記憶部15に記憶された画像データに基づいて、印刷装置2のスクリーン印刷部4のスキージ405を動作させる範囲を算出し、この算出された範囲を含むスクリーン印刷処理を実行させるための制御信号を生成する。
【0089】
インタフェース部27は、印刷装置2との接続インタフェースであり、プリンタドライブ部26から供給された制御信号を印刷装置2へ送信したり、A/D変換された測距情報を印刷装置2から受信したりする。
【0090】
図12は、本発明の実施例1である印刷システム10の印刷制御装置1の印刷データ補正演算部25の構成を示す構成図である。
【0091】
図12に示すように、印刷データ補正演算部25は、インク吐出増加率決定部25aと、インク吐出印刷制御部25bとを備えている。
【0092】
インク吐出増加率決定部25aは、補正距離算出部23により算出された補正距離と、インク吐出増加率ルール記憶部16に記憶されたインク吐出増加率ルール情報とに基づいて、Tシャツ100の所定領域内の画素毎のインク吐出増加率を決定する。
【0093】
インク吐出印刷制御部25bは、インク吐出増加率決定部25aにより決定されたインク吐出増加率と、画像データとに基づいて、印刷装置2にインク吐出印刷を実行させる。具体的には、インク吐出印刷制御部25bは、インク吐出増加率決定部25aにより決定された画素毎のインク吐出増加率と、RGB−CMYK変換部24によりCMYK表色系に変換された画像データと、この画像データを印刷する位置を示すx−y座標とを含む、印刷装置2にインク吐出印刷の実行を要求する制御信号を、インタフェース部27を介して印刷装置2へ送信する。
【0094】
<印刷システム10の作用>
次に、本発明の実施例1である印刷システム10の作用について説明する。
【0095】
本発明の実施例1である印刷システム10は、スクリーン印刷処理を実行することによりTシャツ100の所定領域を単色でアンダーグラウンド印刷する。そして、利用者によりインクジェット印刷部3がTシャツ100の上部にセットされた後、印刷システム10は、インク吐出印刷処理を実行することにより、アンダーグラウンド印刷されたTシャツ100の所定領域内にカラー画像を印刷する。
【0096】
ここでは、本発明の実施例1である印刷システム10のインク吐出印刷処理について説明する。
【0097】
図13は、本発明の実施例1である印刷システム10のインク吐出印刷処理の処理フローを示すシーケンスフロー図である。
【0098】
図13に示すように、印刷装置2の本体部5のCPU102aは、アンダーグラウンド高さを測定する(ステップS101)。具体的には、CPU102aからの指示により、Y軸モータ制御部102fがY軸キャリアモータ306を駆動させ、Xガイド軸304をY軸方向に1ラインづつ移動させる。そして、CPU102aは、Xガイド軸304が移動中にトップ位置検出センサ308が検出したアンダーグラウンド高さを、インタフェース部102nを介して印刷制御装置1へ送信する。
【0099】
そして、印刷制御装置1のインク吐出基準位置算出部22は、トップ位置を算出する(ステップS102)。具体的には、インク吐出基準位置算出部22は、印刷装置2から受信したY軸方向における1ライン毎のアンダーグラウンド高さの中から、最も高いアンダーグラウンド高さをトップ位置として算出し、この算出したトップ位置をトップ位置情報記憶部20へ記録させる。
【0100】
次に、印刷制御装置1のインク吐出基準位置算出部22は、インク吐出基準位置を算出する(ステップS103)。具体的には、インク吐出基準位置算出部22は、トップ位置情報記憶部20に記憶されたトップ位置の高さとインクジェット式ヘッド302とのギャップが、基準距離(例えば3mm)になるようなインク吐出基準位置を算出し、この算出されたインク吐出基準位置になるような昇降台の高さの値をインタフェース部27を介して印刷装置2の本体部5に送信する。
【0101】
そして、印刷装置2の昇降台制御部102kは、ステップS103において送信された昇降台の高さの値になるように、昇降台モータ117を制御する(ステップS104)。これにより、インク吐出印刷中、インクジェット式ヘッド302がTシャツ100に接触することを防止できる。
【0102】
次に、印刷装置2のX軸モータ制御部102e及びY軸モータ制御部102fは、それぞれX軸キャリアモータ307及びY軸キャリアモータ306を駆動させ、インクジェット式ヘッド302をホーム位置、即ちx−y座標が(0,0)となる基準位置へ移動させる(ステップS105)。
【0103】
次に、印刷制御装置1のCPU11は、カウンタ値iに初期値として“1”を代入する(ステップS106)。
【0104】
次に、印刷装置2のCPU102aは、インクジェット式ヘッド302を第i主走査ラインの位置へ移動させる(ステップS107)。ここで、第i主走査ラインの位置とは、Tシャツ100に印刷する所定領域のY軸方向において最も基準位置に近いラインを第1主走査ラインとし、この第1主走査ラインからY軸方向にi画素分ずらしたラインを第i主走査ラインとする。
【0105】
そして、印刷装置2のCPU102aは、第i主走査ラインの測距情報を生成する(ステップS108)。具体的には、CPU102aは、X軸キャリアモータ307の駆動によりYガイド軸305をX軸方向に移動させ、この移動中に測距センサ312により測定された第i主走査ラインにおける画素毎に距離を取得する。そして、CPU102aは、取得した第i主走査ラインにおける距離とx−y座標の値とを関連づけて、測距情報としてインタフェース部102nを介して印刷制御装置1へ送信する。
【0106】
測距情報を受信した印刷制御装置1のCPU11は、受信した測距情報を測距情報記憶部17に記憶させる(ステップS109)。
【0107】
次に、補正距離算出部23は、測距情報記憶部17に記憶された測距情報に基づいて、印刷装置が備えるインクジェット式ヘッド302から印刷媒体までの距離から基準距離を減算した距離を補正距離として算出する(ステップS110)。
【0108】
そして、印刷データ補正演算部25のインク吐出増加率決定部25aは、補正距離算出部23により算出された補正距離と、インク吐出増加率ルール記憶部16に記憶されたインク吐出増加率ルール情報とに基づいて、Tシャツ100における第i主走査ラインの画素毎のインク吐出増加率を決定する(ステップS111)。具体的には、インク吐出増加率決定部25aは、Tシャツ100における第i主走査ラインの画素のx−y座標毎に、インク吐出増加率ルール情報から補正距離算出部23により算出された補正距離に対応するインク吐出増加率を抽出し、この抽出されたインク吐出増加率とx−y座標とを関連づける。
【0109】
次に、RGB→CMYK変換部24は、画像データ記憶部15から、第i主走査ラインの画像データを読み出し、この読み出したRGB表色系で表された第i主走査ラインの画像データを画素のx−y座標毎に、CMYK表色系に変換する(ステップS112)。
【0110】
そして、印刷データ補正演算部25のインク吐出印刷制御部25bは、Tシャツ100における第i主走査ラインの画素毎のインク吐出増加率と、RGB−CMYK変換部24によりCMYK表色系に変換された画像データと、この画像データを印刷する位置を示すx−y座標とを含む制御信号を、インタフェース部27を介して印刷装置2へ送信する(ステップS113)。
【0111】
ステップS113において送信された制御信号を受信した印刷装置2のCPU102aは、受信した制御信号に含まれる第i主走査ライン分の画像データを出力印刷データ記憶部102dに記憶させると共に、第i主走査ライン分の画素毎のインク吐出増加率をインク吐出増加率記憶部102qに記憶させる(ステップS114)。
【0112】
次に、印刷装置2は、第i主走査ライン分のインク吐出印刷を実行する(ステップS115)。具体的には、CPU102aの指示により、X軸モータ制御部102eとY軸モータ制御部とが、受信した制御信号に含まれるx−y座標に基づいて、それぞれX軸キャリアモータ307とY軸キャリアモータ306とを駆動することにより、インクジェット式ヘッド302を移動させる。CPU102aは、出力印刷データ記憶部102dに記憶された第i主走査ラインの画像データを読み出すと共に、インク吐出増加率記憶部102qに記憶された第i主走査ラインのインク吐出増加率を読み出し、この読み出された画像データ及びインク吐出増加率に基づいて、Tシャツ100に第i主走査ラインの画像を印刷する。具体的には、CPU102aが、x−y座標毎に、画像データから算出される各色のインクの吐出量に、インク吐出増加率を乗算して吐出量を算出し、CPU102aの指示により、印字ヘッド102gがインクジェット式ヘッド302を駆動することにより、算出された吐出量でインクを吐出する。
【0113】
次に、印刷制御装置1のCPU11は、カウンタ値iをインクリメントした後(ステップS116)、第i主走査ラインが最終ラインか否かを判定する(ステップS117)。具体的には、Tシャツ100に印刷する所定範囲のY軸方向において最も基準位置に遠いラインの印刷が終了したか否かを判定する。
【0114】
そして、ステップS117において、第i主走査ラインが最終ラインではないと判定した場合、処理とステップS107へ移行し、第i主走査ラインが最終ラインであると判定した場合、処理を終了する。
【0115】
以上のように、本発明の実施例1である印刷システム10によれば、スクリーン印刷部4によりTシャツ100の所定領域に単色でアンダーグラウンド印刷を行った後に、アンダーグラウンド印刷されたTシャツの所定領域に、測距センサ312により測定された測距情報に基づいて吐出量を増加させてカラー印刷を行うので、Tシャツ等の布帛に印刷する場合においても、色ムラを生じさせることなく、適切に印刷することができる。
【実施例2】
【0116】
本発明の実施例2では、画像データに基づいてスクリーン印刷によりTシャツの所定領域にアンダーグラウンド印刷を行うと共に、アンダーグラウンド印刷されたTシャツの所定領域に、補完印刷とカラー印刷とを行う印刷装置と、この印刷装置と接続され、印刷装置の制御を行う印刷制御装置とを備えた印刷システムを例に上げて説明する。
【0117】
ここで、補完印刷とは、アンダーグラウンド印刷に用いられたインクと同色のインクを用いてインク吐出印刷を行うことをいい、カラー印刷とは、カラーインクを用いてインク吐出印刷を行うことをいう。なお、本発明の実施例2では、アンダーグラウンド印刷及び補完印刷にホワイトインクを用いる例を挙げて以下に説明する。
【0118】
<印刷システムの構成>
本発明の実施例2である印刷システム10Aは、印刷制御装置1Aと、印刷装置2Aとを備えており、このシステム構成は、本発明の実施例1である印刷システム10と同一であるので、説明を省略する。
【0119】
<印刷装置2Aの構成>
次に、本発明の実施例2である印刷システム10Aに備えられた印刷装置2Aの機能構成について詳細に説明する。
【0120】
図14は、本発明の実施例2である印刷システム10Aの印刷装置2Aの機能構成を示す機能構成図である。
【0121】
図14に示すように、印刷装置2Aは、インクジェット印刷部3Aと、スクリーン印刷部4と、本体部5Aとを備えている。
【0122】
インクジェット印刷部3Aは、X軸キャリアモータ307と、Y軸キャリアモータ306と、インクジェット式ヘッド302Aと、測距センサ312と、トップ位置検出センサ308とを備える。これらの構成うち、X軸キャリアモータ307と、Y軸キャリアモータ306と、測距センサ312と、トップ位置検出センサ308とは、それぞれ本発明の実施例1である印刷システム10のインクジェット印刷部3が備えるそれぞれ同一符号が付された構成と同一であるので、説明を省略する。
【0123】
インクジェット式ヘッド302Aは、本発明の実施例1である印刷システム10のインクジェット印刷部3が備えるインクジェット式ヘッド302と同様に、Xガイド軸304及びYガイド軸305に沿ってスライド自在に支持されており、印刷制御装置1から供給された制御信号に含まれるx−y座標に基づいて、枠体301内を移動する。
【0124】
図15(a)は、インクジェット式ヘッド302Aを上面側から見た斜視図であり、図5(b)はインクジェット式ヘッド302Aを下面側から見た斜視図である。
【0125】
図15(a)に示すように、インクジェット式ヘッド302Aは、Xガイド軸304及びYガイド軸305にスライド自在に支持されたヘッド支持部310を有する。このヘッド支持部310には、6本の印刷用ヘッド部311が着脱自在に装着されている。6本の印刷用ヘッド部311は、それぞれブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のカラーインクを収容するインクタンク部311aと、ホワイトインクを2本収容するインクタンク部311cとを有する。このカラーインク及びホワイトインクは、顔料系や油性、UV硬化タイプ、樹脂系等の耐水性インクが使用され、布生地であるTシャツ100が洗濯等されても水落ちしないものである。
【0126】
また、図15(b)に示すように、6本の印刷用ヘッド部311は、インクタンク部311a内のカラーインクを吐出させる吐出ノズル部311bと、インクタンク部311c内のホワイトインクを吐出させる吐出ノズル部311dとを有する。この吐出ノズル部311dによりホワイトインクが吐出されることにより、この吐出ノズル部311dの直下に配置されたTシャツ100が、ホワイトインクで補完印刷される。さらに、吐出ノズル部311bによりカラーインクが吐出されることにより、この吐出ノズル部311bの直下に配置されたTシャツ100が、カラー印刷される。
【0127】
また、ヘッド支持部310の下側には、測距センサ312が固定されており、この測距センサ312の直下に配置されたTシャツ100の所定領域の画素毎に、Tシャツ100までの距離を検出する。
【0128】
図14に示す本体部5Aは、CPU102sと、ROM102bと、RAM102cと、出力印刷データ記憶部102dと、補完印刷データ記憶部102rと、X軸モータ制御部102eと、Y軸モータ制御部102fと、印字ヘッド制御部102gと、A/D変換部102hと、スキージ制御部102jと、昇降台制御部102kと、昇降台モータ117と、インタフェース部102nとを備えており、それぞれは、バス102pを介して接続されている。
【0129】
ここで、本発明の実施例2である印刷システム10Aの印刷装置2Aの本体部5Aが備える構成のうち、ROM102bと、RAM102cと、出力印刷データ記憶部102dと、X軸モータ制御部102eと、Y軸モータ制御部102fと、印字ヘッド制御部102gと、A/D変換部102hと、スキージ制御部102jと、昇降台制御部102kと、昇降台モータ117と、インタフェース部102nとは、本発明の実施例1である印刷システム10の印刷装置2の本体部5が備えるそれぞれ同一符号が付された構成と同一であるので、説明を省略する。
【0130】
補完印刷データ記憶部102rは、インタフェース部102nを介して印刷制御装置1Aから供給された制御信号に含まれる補完印刷データを記憶する。補完印刷データは、Tシャツ100の所定領域内の画素のx−y座標と、補完印刷を行うか否かを示す補完印刷フラグとを含んでいる。
【0131】
図16は、補完印刷データ記憶部102rが記憶している補完印刷データの一例を示した図である。
【0132】
図16に示すように、“x―y座標”(符号1101)と、“補完印刷フラグ”(符号1102)とが関連づけられて、補完印刷データとして記憶されている。
【0133】
図14に示すCPU102sは、本体部5Aの中枢的な制御を行う。また、CPU102sは、その機能上、補完印刷部102tと、カラー印刷部102uとを備えている。
【0134】
補完印刷部102tは、印刷制御装置1Aから補完印刷の実行が要求されると共に、補完印刷データが供給された場合に、この供給された補完印刷データを補完印刷データ記憶部102rに記憶させる。また、補完印刷部102tは、補完印刷データ記憶部102rに記憶された補完印刷データに基づいて、補完印刷を実行する。具体的には、補完印刷データに基づいたTシャツ100の所定領域内の画素に、ホワイトインクを用いてインク吐出印刷を実行する。
【0135】
カラー印刷部102uは、補完印刷部102tにより補完印刷を実行した後に、印刷制御装置1Aからカラー印刷の実行が要求される共に、画像データが供給された場合に、この供給された画像データを出力印刷データ記憶部102dに記憶させる。また、カラー印刷部102uは、出力印刷データ記憶部102dに記憶された画像データに基づいて、カラー印刷を実行する。具体的には、画像データに基づいて、Tシャツ100の所定領域内の画素に、カラーインクを用いてインク吐出印刷を実行する。
【0136】
<印刷制御装置1Aの構成>
次に、本発明の実施例2である印刷システム10Aに備えられた印刷制御装置1Aの機能構成について詳細に説明する。
【0137】
図17は、本発明の実施例2である印刷システム10Aの印刷制御装置1Aの機能構成を示す機能構成図である。
【0138】
図17に示すように、印刷制御装置1Aは、CPU11と、操作部12と、ROM13と、RAM14と、画像データ記憶部15と、測距情報記憶部17と、トップ位置情報記憶部20と、表示部21と、インク吐出基準位置算出部22と、補正距離算出部23と、RGB→CMYK変換部24と、印刷データ補正演算部28と、プリンタドライブ部26と、インタフェース部27とを備えており、それぞれはバス30を介して接続されている。
【0139】
ここで、本発明の実施例2である印刷システム10Aの印刷制御装置1Aが備える構成のうち、CPU11と、操作部12と、ROM13と、RAM14と、画像データ記憶部15と、測距情報記憶部17と、トップ位置情報記憶部20と、表示部21と、インク吐出基準位置算出部22と、補正距離算出部23と、RGB→CMYK変換部24と、プリンタドライブ部26と、インタフェース部27とは、本発明の実施例1である印刷システム10の印刷制御装置1が備えるそれぞれ同一符号が付された構成と同一であるので、説明を省略する。
【0140】
印刷データ補正演算部28は、補完印刷データに基づいて、インクジェット式ヘッド302をインク吐出基準位置の高さで補完印刷を実行させると共に、画像データに基づいて、インクジェット式ヘッド302をインク吐出基準位置の高さでカラー印刷を実行させる。
【0141】
図18は、本発明の実施例2である印刷システム10Aの印刷制御装置1Aの印刷データ補正演算部28の構成を示す構成図である。
【0142】
図18に示すように、印刷データ補正演算部28は、補完印刷判定部28aと、補完印刷制御部28bと、カラー印刷制御部28cとを備えている。
【0143】
補完印刷判定部28aは、補正距離算出部23により算出された補正距離が、予め定められた閾値以上であるか否かを判定する。
【0144】
ここで、この閾値は、高すぎるとTシャツ100の表面に凹凸がある場合にも、補完印刷を実行しなくなるので、Tシャツ100の表面の凹凸が残ることになり、低すぎるとTシャツ100の表面の補完印刷を必要とない画素に補完印刷を実行するので、Tシャツ100の表面の凹凸が残る。そのため、例えば2(mm)といったように、予め提供者等が実測に基づいた適正な値を予め算出し、提供者や利用者等が予め適正な値を設定しておく必要がある。
【0145】
補完印刷制御部28bは、補完印刷判定部28aにより補正距離が閾値以上であると判定された場合、この判定されたTシャツ100の所定領域内の画素に、補完印刷を実行させる。具体的には、補完印刷制御部28bは、ホワイトインクを用いて印刷装置2Aにインク吐出印刷を実行させる。
【0146】
カラー印刷制御部28cは、補完印刷制御部28bにより補完印刷を実行した後に、Tシャツ100の所定領域内に、画像データに基づいて、カラー印刷を実行させる。具体的には、カラー印刷制御部28cは、印刷装置2Aにカラーインクを用いたインク吐出印刷を実行させる。
【0147】
<印刷システム10Aの作用>
次に、本発明の実施例2である印刷システム10Aの作用について説明する。
【0148】
本発明の実施例2である印刷システム10Aは、スクリーン印刷処理を実行することによりTシャツ100の所定領域を単色でアンダーグラウンド印刷する。そして、利用者によりインクジェット印刷部3AがTシャツ100の上部にセットされた後、印刷システム10Aは、インク吐出印刷処理を実行することにより、アンダーグラウンド印刷されたTシャツ100の所定領域内にカラー画像を印刷する。
【0149】
ここでは、本発明の実施例2である印刷システム10Aのインク吐出印刷処理について説明する。
【0150】
図19は、本発明の実施例2である印刷システム10Aのインク吐出印刷処理の処理フローを示すシーケンスフロー図である。
【0151】
ここで、図19に示すステップS101〜S110までの処理は、図13に示した本発明の実施例1である印刷システム10のインク吐出印刷処理の処理フローと同一であるので、説明を省略する。
【0152】
図19に示すように、ステップS110において、補正距離算出部23により補正距離が算出されると、印刷データ補正演算部28の補完印刷判定部28aは、算出された補正距離が閾値以上か否かを判定し、この判定結果に基づいて、Tシャツ100における第i主走査ラインの画素毎の補完印刷データを生成する(ステップS201)。具体的には、補完印刷判定部28aは、補正距離が、閾値以上である場合には、補完フラグの値を“1”とし、閾値未満である場合には、補完フラグの値を“0”として、x―y座標と補完印刷フラグとを関連づけて補完印刷データを生成する。
【0153】
次に、印刷データ補正演算部28の補完印刷制御部28bは、第i主走査ラインの補完印刷データを含む補完印刷の実行を要求する制御信号を、インタフェース部27を介して印刷装置2へ送信する(ステップS202)。
【0154】
ステップS202において送信された制御信号を受信した印刷装置2AのCPU102sの補完印刷部102tは、受信した制御信号に含まれる補完印刷データを補完印刷データ記憶部102rに記憶させる(ステップS203)。
【0155】
そして、補完印刷部102tは、第i主走査ライン分の補完印刷を実行する(ステップS204)。具体的には、補完印刷部102tの指示により、X軸モータ制御部102eとY軸モータ制御部102fとが、補完印刷データに含まれるx−y座標に基づいて、それぞれX軸キャリアモータ307とY軸キャリアモータ306とを駆動させることにより、インクジェット式ヘッド302を移動させる。
【0156】
そして、補完印刷部102tの指示により、印字ヘッド制御部102gがインクジェット式ヘッド302Aを駆動させることにより、補完印刷データに含まれる補完印刷フラグが“1”である画素に、ホワイトインクを吐出する。
【0157】
このように、Tシャツ100の表面のうち、補正距離が閾値以上である画素にホワイトインクを吐出するので、アンダーグラウンド印刷後のTシャツ100の表面の凹凸を、ほぼ平らな状態にすることができる。
【0158】
次に、印刷制御装置1AのRGB→CMYK変換部24は、画像データ記憶部15から、第i主走査ラインの画像データを読み出し、この読み出したRGB表色系で表された第i主走査ラインの画像データを画素のx−y座標毎に、CMYK表色系に変換する(ステップS205)。
【0159】
そして、印刷データ補正演算部28のカラー印刷制御部28cは、RGB−CMYK変換部24によりCMYK表色系に変換された画像データと、この画像データを印刷する位置を示すx−y座標とを含むカラー印刷の実行を要求する制御信号を、インタフェース部27を介して印刷装置2へ送信する(ステップS206)。
【0160】
ステップS206において送信された制御信号を受信した印刷装置2AのCPU102sのカラー印刷部102uは、受信した制御信号に含まれる第i主走査ライン分の画像データを出力印刷データ記憶部102dに記憶させる(ステップS207)。
【0161】
そして、カラー印刷部102uは、出力印刷データ記憶部102dに記憶された第i主走査ラインの画像データを読み出し、第i主走査ライン分のカラー印刷を実行する(ステップS208)。具体的には、カラー印刷部102uの指示により、X軸モータ制御部102eとY軸モータ制御部102fとが、受信した制御信号に含まれるx−y座標に基づいて、それぞれX軸キャリアモータ307とY軸キャリアモータ306とを駆動させることにより、インクジェット式ヘッド302を移動させる。
【0162】
そして、カラー印刷部102uの指示により、印字ヘッド制御部102gがインクジェット式ヘッド302Aを駆動させることにより、x−y座標毎に、画像データから算出される吐出量でカラーインクを吐出する。
【0163】
次に、印刷制御装置1AのCPU11は、カウンタ値iをインクリメントした後(ステップS210)、第i主走査ラインが最終ラインか否かを判定する(ステップS211)。具体的には、Tシャツ100に印刷する所定範囲のY軸方向において最も基準位置に遠いラインの印刷が終了したか否かを判定する。
【0164】
そして、ステップS210において、第i主走査ラインが最終ラインではないと判定した場合、処理とステップS107へ移行し、第i主走査ラインが最終ラインであると判定した場合、処理を終了する。
【0165】
図20は、本発明の実施例2である印刷システム10Aのインクジェット印刷処理を模式的に示した図である。
【0166】
図20に示すように、印刷装置2Aのインクジェット印刷部3Aは、インクジェット式ヘッド302をホーム位置、即ちx−y座標が(0,0)となる基準位置(ポジションA)へ移動させる。
【0167】
そして、インクジェット印刷部3は、インクジェット式ヘッド302を第1主走査ラインの位置(ポジションB)へ移動した後、ポジションBの位置からポジションCの位置へ向かって移動させながら、第1主走査ラインの距離を画素毎に測定する。
【0168】
そして、インクジェット式ヘッド302がポジションCの位置に到達すると、印刷制御装置1Aは、測定距離に基づいて、補正距離を算出して補完印刷データを生成する。
【0169】
次に、印刷装置2Aは、インクジェット式ヘッド302をポジションCの位置からポジションBの位置へ向かって移動させながら、第1主走査ラインの補完印刷データに基づいて補完印刷を実行する。
【0170】
次に、印刷装置2Aは、インクジェット式ヘッド302をポジションBの位置からポジションCの位置へ向かって移動させながら、第1主走査ラインの画像データに基づいてカラー印刷を実行する。
【0171】
そして、印刷装置2Aは、第1主走査ラインからY軸方向に1ライン分だけインクジェット式ヘッド302を移動させ、同様に、インクジェット式ヘッド302を枠体301内をX軸方向に1往復半移動させながら、第2主走査ラインの距離を測定し、補完印刷及びカラー印刷を実行する。
【0172】
このように、印刷制御装置1A及び印刷装置2Aは、主走査1ライン毎に、これら距離の測定処理、補完印刷データの生成処理、補完印刷処理、及びカラー印刷処理を、主走査最終ラインの位置(ポジションD)に到達するまで繰り返し実行することによって、印刷する所定領域1100の範囲全域にインク吐出印刷を行うことができる。
【0173】
以上のように、本発明の実施例2である印刷システム10Aによれば、スクリーン印刷部4によりTシャツ100の所定領域に単色でアンダーグラウンド印刷を行った後に、アンダーグラウンド印刷されたTシャツの所定領域に、測距センサ312により測定された測距情報に基づいて、補完印刷を行うので、Tシャツ100の表面の凹凸をほぼ平らにすることができ、この補完印刷が実行されたTシャツ100に、カラー印刷を行うので、Tシャツ100に色ムラを生じさせることなく、適切に印刷することができる。
【図面の簡単な説明】
【0174】
【図1】本発明の実施例1である印刷システムの全体斜視図である。
【図2】本発明の実施例1である印刷システムの断面図である。
【図3】本発明の実施例1である印刷システムのスクリーン印刷部の斜視図である。
【図4】本発明の実施例1である印刷システムのインクジェット印刷部の斜視図である。
【図5】(a)は、本発明の実施例1である印刷システムのインクジェット印刷部が備えるインクジェット式ヘッドを上面側から見た斜視図であり、(b)は、本発明の実施例1である印刷システムのインクジェット印刷部が備えるインクジェット式ヘッドを下面側から見た斜視図である。
【図6】本発明の実施例1である印刷システムの印刷装置の機能構成を示す機能構成図である。
【図7】本発明の実施例1である印刷システムの印刷装置に備えられたインク吐出増加率記憶部が記憶しているインク吐出増加率情報の一例を示した図である。
【図8】本発明の実施例1である印刷システムの印刷制御装置の機能構成を示す機能構成図である。
【図9】本発明の実施例1である印刷システムの印刷制御装置に備えられたインク吐出増加率ルール記憶部が記憶しているインク吐出増加率ルール情報の一例を示した図である。
【図10】本発明の実施例1である印刷システムの印刷制御装置に備えられた測距情報記憶部が記憶している測距情報の一例を示した図である。
【図11】本発明の実施例1である印刷システムの印刷制御装置に備えられたインク吐出基準位置算出部によるインク吐出基準位置の算出方法、及び補正距離算出部23による補正距離の算出方法を模式的に示した図である。
【図12】本発明の実施例1である印刷システムの印刷制御装置に備えられた印刷データ補正演算部の構成を示す構成図である。
【図13】本発明の実施例1である印刷システムのインク吐出印刷処理の処理フローを示すシーケンスフロー図である。
【図14】本発明の実施例2である印刷システムの印刷装置の機能構成を示す機能構成図である。
【図15】(a)は、本発明の実施例2である印刷システムのインクジェット印刷部が備えるインクジェット式ヘッドを上面側から見た斜視図であり、(b)は、本発明の実施例2である印刷システムのインクジェット印刷部が備えるインクジェット式ヘッドを下面側から見た斜視図である。
【図16】本発明の実施例2である印刷システムの印刷装置が備える補完印刷データ記憶部102rが記憶している補完印刷データの一例を示した図である。
【図17】本発明の実施例2である印刷システムの印刷制御装置の機能構成を示す機能構成図である。
【図18】本発明の実施例2である印刷システムの印刷制御装置の印刷データ補正演算部28の構成を示す構成図である。
【図19】本発明の実施例2である印刷システムのインク吐出印刷処理の処理フローを示すシーケンスフロー図である。
【図20】本発明の実施例2である印刷システムのインクジェット印刷処理を模式的に示した図である。
【符号の説明】
【0175】
1,1A…印刷制御装置
2,2A…印刷装置
3,3A…インクジェット印刷部
4…スクリーン印刷部
5,5A…本体部
10,10A…印刷システム
15…画像データ記憶部
16…インク吐出増加率ルール記憶部
17…測距情報記憶部
20…トップ位置情報記憶部
21…表示部
22…インク吐出基準位置算出部
23…補正距離算出部
24…CMYK変換部
25,28…印刷データ補正演算部
25a…インク吐出増加率決定部
25b…インク吐出印刷制御部
26…プリンタドライブ部
27…インタフェース部
28a…補完印刷判定部
28b…補完印刷制御部
28c…カラー印刷制御部
100…Tシャツ
102…本体ベース
102a,102s…CPU
102d…出力印刷データ記憶部
102k…昇降台制御部
102m…昇降台モータ
102q…インク吐出増加率記憶部
102t…補完印刷部
102u…カラー印刷部
103…昇降台
302,302A…インクジェット式ヘッド
308…トップ位置検出センサ
312…測距センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに基づいて印刷媒体の所定領域にスクリーン印刷を行うと共に、スクリーン印刷された印刷媒体の前記所定領域に、前記画像データに基づいてインク吐出印刷を行うハイブリッド型の印刷装置と接続され、前記印刷装置の制御を行う印刷制御装置であって、
前記印刷装置が備えるトップ位置検出センサにより検出された検出値に基づいて、前記印刷媒体の所定領域内における最も高い位置から略垂直方向に所定の基準距離だけ離れた位置をインク吐出基準位置として算出するインク吐出基準位置算出手段と、
前記印刷装置が備える測距センサにより前記印刷媒体の所定領域内の画素毎に検出された検出値に基づいて、前記印刷装置が備えるインクジェットヘッドから前記印刷媒体までの距離から前記基準距離を減算した距離を補正距離として算出する補正距離算出手段と、
前記印刷装置に、前記印刷媒体の所定領域内の画素毎に算出された前記補正距離と、前記画像データとに基づいて、前記インクジェットヘッドを前記インク吐出基準位置の高さで前記インク吐出印刷を実行させる印刷データ補正演算手段と、
を備えたことを特徴とする印刷制御装置。
【請求項2】
前記インクジェットヘッドにおけるインク吐出量の増加率を示すインク吐出増加率と、前記補正距離とを関連づけて、インク吐出増加率ルール情報として記憶するインク吐出増加率ルール記憶手段とを、更に備え、
前記印刷データ補正演算手段は、
前記補正距離算出手段により算出された補正距離と、前記インク吐出増加率ルール記憶手段に記憶されたインク吐出増加率ルール情報とに基づいて、前記印刷媒体の所定領域内の画素毎のインク吐出増加率を決定するインク吐出増加率決定手段と、
前記決定されたインク吐出増加率と前記画像データとに基づいて、前記印刷装置に前記インク吐出印刷を実行させるインク吐出印刷制御手段と、
を有することを特徴とする請求項1記載の印刷制御装置。
【請求項3】
前記印刷データ補正演算手段は、
前記補正距離算出手段により算出された補正距離が、予め定められた閾値以上であるか否かを判定する補完印刷判定手段と、
前記補完印刷判定手段により前記補正距離が前記閾値以上であると判定された場合、この判定された前記印刷媒体の所定領域内の画素に、前記スクリーン印刷に用いたインクと同色のインクを用いて前記印刷装置に前記インク吐出印刷を実行させる補完印刷制御手段と、
前記補完印刷制御手段により前記印刷装置が前記インク吐出印刷を実行した後に、前記印刷媒体の所定領域内に、前記画像データに基づいて、前記印刷装置にカラーインクを用いた前記インク吐出印刷を実行させるカラー印刷制御手段と、
を有することを特徴とする請求項1記載の印刷制御装置。
【請求項4】
印刷制御装置と接続され、前記印刷制御装置から供給された画像データに基づいて印刷媒体の所定領域にスクリーン印刷を行うと共に、スクリーン印刷された印刷媒体の前記所定領域に、前記画像データに基づいてインク吐出印刷を行うハイブリッド型の印刷装置であって、
前記印刷媒体が固定された昇降台を略垂直方向に駆動させる昇降台駆動部と、
前記印刷制御装置から前記印刷媒体の所定領域内における最も高い位置から略垂直方向に所定の基準距離だけ離れた位置を示すインク吐出基準位置が供給された場合に、インクジェットヘッドがこのインク吐出基準位置となるように、前記昇降台駆動部を制御する昇降台制御手段と、
前記印刷媒体の所定領域内の画素毎に、前記インクジェットヘッドから前記印刷媒体までの距離を検出する測距センサと、
前記印刷制御装置から前記インク吐出印刷が要求されると共に、前記測距センサにより検出された距離に基づいて前記印刷制御装置により算出された前記印刷媒体の所定領域内の画素毎にインク吐出の増加率を示すインク吐出増加率と、前記画像データとが前記印刷制御装置から供給された場合に、前記インク吐出増加率と前記画像データとに基づいて、前記印刷媒体の前記所定領域に、前記インク吐出印刷を実行するインク吐出印刷手段と、
を備えたことを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
印刷制御装置と接続され、前記印刷制御装置から供給された画像データに基づいて印刷媒体の所定領域にスクリーン印刷を行うと共に、スクリーン印刷された印刷媒体の前記所定領域に、前記画像データに基づいてインク吐出印刷を行うハイブリッド型の印刷装置であって、
前記印刷媒体が固定された昇降台を略垂直方向に駆動させる昇降台駆動部と、
前記印刷制御装置から前記印刷媒体の所定領域内における最も高い位置から略垂直方向に所定の基準距離だけ離れた位置を示すインク吐出基準位置が供給された場合に、インクジェットヘッドの位置がこのインク吐出基準位置となるように、前記昇降台駆動部を制御する昇降台制御手段と、
前記印刷媒体の所定領域内の画素毎に、前記インクジェットヘッドから前記印刷媒体までの距離を検出する測距センサと、
前記印刷制御装置から補完印刷の実行が要求されると共に、前記測距センサにより検出された距離に基づいて前記印刷制御装置により生成された前記補完印刷を行う前記印刷媒体の所定領域内の画素座標を示す補完印刷データが前記印刷制御装置から供給された場合に、印刷媒体の所定領域内に、前記補完印刷データに基づいて、前記スクリーン印刷に用いたインクと同色のインクを用いて前記インク吐出印刷を実行する補完印刷手段と、
前記補完印刷手段により前記インク吐出印刷を実行した後に、前記印刷制御装置からカラー印刷の実行が要求される共に、前記画像データが供給された場合に、印刷媒体の所定領域内に、前記画像データに基づいて、カラーインクを用いた前記インク吐出印刷を実行するカラー印刷手段と、
を備えたことを特徴とする印刷装置。
【請求項6】
画像データに基づいて印刷媒体の所定領域にスクリーン印刷を行うと共に、スクリーン印刷された印刷媒体の前記所定領域に、前記画像データに基づいてインク吐出印刷を行うハイブリッド型の印刷装置と、この印刷装置に接続され、前記印刷装置の制御を行う印刷制御装置とを備える印刷システムであって、
前記印刷制御装置は、
前記印刷装置が備えるトップ位置検出センサにより検出された検出値に基づいて、前記印刷媒体の所定領域内における最も高い位置から略垂直方向に所定の基準距離だけ離れた位置をインク吐出基準位置として算出するインク吐出基準位置算出手段と、
前記印刷装置が備える測距センサにより前記印刷媒体の所定領域内の画素毎に検出された検出値に基づいて、前記印刷装置が備えるインクジェットヘッドから前記印刷媒体までの距離から前記基準距離を減算した距離を補正距離として算出する補正距離算出手段と、
前記インクジェットヘッドにおけるインク吐出量の増加率を示すインク吐出増加率と、前記補正距離とを関連づけて、インク吐出増加率ルール情報として記憶するインク吐出増加率ルール記憶手段と、
前記補正距離算出手段により算出された補正距離と、前記インク吐出増加率ルール記憶手段に記憶されたインク吐出増加率ルール情報とに基づいて、前記印刷媒体の所定領域内の画素毎のインク吐出増加率を決定するインク吐出増加率決定手段と、
前記決定されたインク吐出増加率と前記画像データとに基づいて、前記印刷装置に前記インク吐出印刷を実行させるインク吐出印刷制御手段と、を有し、
前記印刷装置は、
前記印刷媒体が固定された昇降台を略垂直方向に駆動させる昇降台駆動部と、
前記印刷制御装置から前記インク吐出基準位置が供給された場合に、前記インクジェットヘッドがこのインク吐出基準位置となるように、前記昇降台駆動部を制御する昇降台制御手段と、
前記印刷制御装置から前記インク吐出印刷が要求されると共に、前記インク吐出増加率と、前記画像データとが供給された場合に、この供給された前記インク吐出増加率と、前記画像データとに基づいて、前記印刷媒体の前記所定領域に、前記インク吐出印刷を実行するインク吐出印刷手段と、を有する
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項7】
画像データに基づいて印刷媒体の所定領域にスクリーン印刷を行うと共に、スクリーン印刷された印刷媒体の前記所定領域に、前記画像データに基づいてインク吐出印刷を行うハイブリッド型の印刷装置と、この印刷装置に接続され、前記印刷装置の制御を行う印刷制御装置とを備える印刷システムであって、
前記印刷制御装置は、
前記印刷装置が備えるトップ位置検出センサにより検出された検出値に基づいて、前記印刷媒体の所定領域内における最も高い位置から略垂直方向に所定の基準距離だけ離れた位置をインク吐出基準位置として算出するインク吐出基準位置算出手段と、
前記印刷装置が備える測距センサにより前記印刷媒体の所定領域内の画素毎に検出された検出値に基づいて、前記印刷装置が備えるインクジェットヘッドから前記印刷媒体までの距離から前記基準距離を減算した距離を補正距離として算出する補正距離算出手段と、
前記補正距離算出手段により算出された補正距離が、予め定められた閾値以上であるか否かを判定する補完印刷判定手段と、
前記補完印刷判定手段により前記補正距離が前記閾値以上であると判定された場合、この判定された前記印刷媒体の所定領域内の画素に、前記スクリーン印刷に用いたインクと同色のインクを用いて前記印刷装置に前記インク吐出印刷を実行させる補完印刷制御手段と、
前記補完印刷制御手段により前記印刷装置が前記インク吐出印刷を実行した後に、前記印刷媒体の所定領域内に、前記画像データに基づいて、前記印刷装置にカラーインクを用いた前記インク吐出印刷を実行させるカラー印刷制御手段と、を有し、
前記印刷装置は、
前記印刷媒体が固定された昇降台を略垂直方向に駆動させる昇降台駆動部と、
前記印刷制御装置から前記インク吐出基準位置が供給された場合に、前記インクジェットヘッドの位置がこのインク吐出基準位置となるように、前記昇降台駆動部を制御する昇降台制御手段と、
前記印刷制御装置から補完印刷の実行が要求されると共に、前記補完印刷を行う前記印刷媒体の所定領域内の画素座標を示す補完印刷データが供給された場合に、この供給された補完印刷データに基づいて、印刷媒体の所定領域内に、前記スクリーン印刷に用いたインクと同色のインクを用いて前記インク吐出印刷を実行する補完印刷手段と、
前記補完印刷手段により前記インク吐出印刷を実行した後に、前記印刷制御装置からカラー印刷の実行が要求される共に、前記画像データが供給された場合に、この供給された画像データに基づいて、印刷媒体の所定領域内に、カラーインクを用いた前記インク吐出印刷を実行するカラー印刷手段と、を有する
ことを特徴とする印刷システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2010−94840(P2010−94840A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−265445(P2008−265445)
【出願日】平成20年10月14日(2008.10.14)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】