説明

印刷方法およびそのための装置

【課題】 非接触式の孔版印刷方法であって、印刷すべき図柄の変更に容易に対応可能で、印刷剤として任意の材料から成る粒状物を使用することが可能な方法を提供する。
【解決手段】 複数の孔が設けられた版13を被印刷物1に対して離間して配置し、版13の孔を通じて印刷剤を被印刷物1上に供給することを含む印刷方法において、印刷剤として粒状物7を用い、版13には、複数の孔3aおよび5aが互いに異なる所定のパターンでそれぞれ設けられた原版3および修飾版5を重ね合わせて用い、版13の連通する孔3aおよび5aを通じて粒状物7を被印刷物1上に落下させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は印刷方法、特に粒状物を孔版印刷する方法およびそのための装置、ならびに粒状物が被印刷物に印刷された印刷物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷方式の1つとして孔版印刷が一般的に知られている。孔版印刷とは、スクリーン印刷に代表されるように、貫通孔と印刷剤を通さない膜とが所望の図柄に従って配された版を用い、版の上面から印刷剤を押し出して、通過した印刷剤を版の下の被印刷物に印刷する方式を言う。
【0003】
孔版印刷では、従来、孔版と被印刷物とを接触させる必要があったが、非接触で印刷可能な方法および装置が提案されている(特許文献1を参照のこと)。より詳細には、離間して配置したスクリーン版と被印刷物との間に静電場を形成し、ブラシなどで帯電させた着色樹脂粒子の印刷剤を版の孔を通じて被印刷物上に降下させ、静電場により付着させるものである。この方法では、スクリーン版を略円筒形に保持し、および帯電させた着色樹脂粒子を収容するためにスクリーン保持部材を用いている。このような方法によれば、深い溝や凹凸を有する被印刷物であっても、着色樹脂粒子を静電力により選択的に付着させ、緻密で均一な印刷画像を形成することができるとされている。
【0004】
一方、外壁用の建材の分野では、その建材に意匠を付与するために、ドラム等に納められた砂を建材の表面に一定の距離から落下させて均一に塗布している。しかし、このような従来の技術は、建材表面に砂を均一に塗布することにより砂による質感を建材表面に亘って付与し得るが、砂を何らかのパターンで塗布して砂による模様を建材表面に表現しようとするものではない。
【0005】
【特許文献1】特開2003−182024号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
印刷製品の多様化に対応すべく、印刷すべき図柄にバリエーションを持たせることが要請されている。上述のような非接触式孔版印刷において、スクリーン版はスクリーン保持部材により略円筒形に保持されるが、これは印刷の際に押圧力を受けて撓み得るので、印刷を高速で安定的に連続して実施するためには、スクリーン版をその断面が真円となるように保持することが望ましい。そこで、版そのものを金属製のドラムにより形成することが考えられるが、印刷すべき図柄を変更するには高価な金属ドラム版を図柄毎に作製し、また、金属ドラム版を交換する煩雑な作業を行う必要があり、このため印刷すべき図柄の変更に容易に対応できないという難点がある。
【0007】
また、上述のような静電力を利用した非接触式孔版印刷によれば、従来から一般的に使用されている液状またはペースト状の印刷剤(いわゆるインキ)ではなく、固体の着色樹脂粒子を印刷剤として使用することができる。しかしながら、この着色樹脂粒子は帯電可能なものに限定されるので、使用可能な印刷剤は材料面で制約を受けることとなる。また、その大きさも、静電力の作用を効果的に受け得るような程度に小さいもの(例えば粉体程度の小さい粒径のもの)であることを要するので、使用可能な印刷剤は大きさの面でも制約を受けることとなる。
【0008】
例えば砂岩調の外壁用建材が要求される場合、起伏のある岩肌を模した基材に対し、帯電可能な粉体塗料を印刷剤として用いて砂岩調の色彩や模様を印刷することはできるが、帯電しない砂岩そのものを印刷剤として用いることはできず、天然の砂岩が持つ質感、より詳細には砂粒の凹凸による触感および陰影などを再現して所望の通りに印刷画像を形成することは困難である。
【0009】
本発明の目的は、非接触式の孔版印刷方法および装置であって、印刷すべき図柄の変更に容易に対応可能で、印刷剤として任意の材料から成る粒状物を使用することが可能な方法および装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の1つの要旨によれば、複数の孔が設けられた版を被印刷物に対して離間して配置し、版の孔を通じて印刷剤を被印刷物上に供給することを含む印刷方法において、
印刷剤として粒状物を用い、
版には、複数の版であって、複数の孔が互いに異なる所定のパターンで設けられた複数の版を重ね合わせて用い、
複数の版の連通する孔を通じて粒状物を被印刷物上に落下させる
ことを特徴とする方法が提供される。
【0011】
本発明において、用語「印刷」は広く解釈し、固体であってよい印刷剤を被印刷物上に供給して、その表面に印刷剤により印刷画像を形成することを意味するものとする。また、本発明に関連して単に「版」と言うときは複数の版を重ね合わせたものを総称する意味で用いるものとし、「複数の版のうちの1つ」または「各版」と言うときは複数の版を構成する1つの版を指す意味で用いるものとする。また、用語「粒状物」は比較的小さい物質の集合物を意味し、その「最大粒径」は当該集合物を構成する物質のうちで最大の粒径を言うものとする。例えばこの集合物の粒度分布があるピークを有して分散している場合はその上限値であり、粒度分布の上方端がカットされている場合は上限カットオフ値であり、粒度分布がピークを有さずに所定の粒径を有している場合(例えば樹脂ビーズのように粒径分布図が矩形になる場合)はその上端値である。また、「上」および「下」なる概念は少なくとも粒状物の印刷部およびその近傍にて略鉛直方向について言うものとする。従って、例えばドラム(円筒)状の版を用いる場合には、版の「下面」とは版の外側の面を意味し、版の「上面」とは版の内側の面を意味し、版の「上方」とは版の内側を意味するものである。
【0012】
このような本発明の印刷方法によれば、複数の孔が互いに異なる所定のパターンで設けられた複数の版を重ね、これら版の連通する孔を通じて粒状物を被印刷物上に落下させて印刷している。よって、これらパターンの組合せを変えることによって、印刷すべき図柄を容易に変更することが可能となる。印刷すべき図柄の変更に際しては、少なくとも1つの版を新たな版と取り替えるという簡単な作業を行うだけでよい。複数の版を構成する各版の材料および厚みなどは、その目的に応じて別々に選択することができる。
【0013】
また、本発明の印刷方法によれば、粒状物を単に落下させることにより被印刷物上に供給しており、従来の非接触式孔版印刷のように静電力を利用していないので、印刷剤として任意の材料から成る粒状物を使用することができる。特に限定されるものではないが、例えば砂、硅砂、カラーサンド;ビーズ状、チップ状、粒子状またはフレーク状の樹脂、鉱物、ガラス、木材および金属(一般的にビーズおよびカラーチップと称されるもの、より詳細には透明なもしくは着色された樹脂ビーズ、樹脂チップおよび樹脂粒子、熱溶融性、熱発泡性および/または熱発色性を有する樹脂ビーズ、樹脂チップおよび樹脂粒子や、鉱物チップ、ガラスチップおよび木質チップなどを含む);ならびに顔料、トナーおよび光輝材(光輝材はマイカ粉、偏光マイカ、およびアルミニウムなどの金属片などを含み、例えばフレーク状などであってよい)からなる群より選択される少なくとも1種の粒状物を用いてよい。このような粒状物を用いることによって、様々な質感(より詳細には粒状物による凹凸など)を被印刷物に付与することができる。
【0014】
更に、本発明の印刷方法によれば、複数の孔が所定のパターンで設けられた版を被印刷物に対して離間して配置しているので、凹凸表面を有する被印刷物に印刷することができる。
【0015】
本発明のもう1つの要旨によれば、粒状物を被印刷物上に供給するための装置であって、
複数の版から構成され、複数の孔が互いに異なる所定のパターンで設けられ、および互いに重ね合わされた状態で被印刷物の上方で被印刷物に対して離間して位置合わせされる版と、
版の上方に配置され、版および被印刷物に対して相対的に移動しながら粒状物を排出するユニットと
を備え、ユニットから排出される粒状物は複数の版の連通する孔を通じて落下することにより被印刷物上に供給される装置が提供される。
【0016】
このような本発明の装置は、本発明の上記印刷方法を実施するために好適に用いることができ、これと同様の効果を奏する。
【0017】
本発明の装置において使用する複数の版のうちの1つは硬質版、例えば約0.1〜10mmの厚みを有する金属板で構成されていてよい。このような硬質版は、比較的高い真円度にて円形に保持することが可能でありながら、印刷の際に一般的に印加される押圧力に対しては変形せず、好適に利用できる。
【0018】
また、複数の版のうちの1つは非硬質版、例えば約0.1〜1mmの厚みを有する金属板または約0.05〜1mmの厚みを有する樹脂膜で構成されていてよい。このような非硬質版は、上記のような硬質版に比べて容易に、安価で作製することが可能であるので、印刷すべき図柄の変更に際しては、非硬質版を新たな非硬質版と取り替えることが好ましい。
【0019】
本発明の1つの態様において、複数の版のうちの1つは、印刷すべき図柄によらずに共通して利用可能なパターン、例えば均一パターンで複数の孔が設けられた版(以下、原版という)である。均一パターンとは孔が版の全面に亘って一様に設けられていることを意味し、例えば、同一寸法を有する孔が格子状または千鳥状に配置され得る。しかし、原版に設けられる複数の孔のパターンは均一パターンに限定されず、汎用性の高い基本パターン、例えば所定の非印刷部分(目地などに相当する)が除かれたパターンであってもよい。
【0020】
また、複数の版のうちの1つは、デザインされたパターンで複数の孔が設けられた版(以下、修飾版という)である。デザインされたパターンとは印刷すべき図柄に応じて自由に決定してよいパターンを意味し、複数の孔の形状、寸法および配置は自由に設定してよい。
【0021】
このような原版および修飾版を組み合わせて用いることが好ましい。印刷図柄の変更に際して、原版をそのまま維持し、修飾版を別の修飾版と取り替えることにより、印刷すべき図柄のバリエーションに幅広く対応することが可能である。この場合、原版は複数の版の形状を保持するように硬質版で構成されていることが好ましく、修飾版は加工性および費用の面で硬質版より優れ得る非硬質版で構成されていることが好ましい。
【0022】
更に、複数の版のうち最も上方に位置してユニットと接する版を修飾版とし、この修飾版の下方に原版を重ね合わせることが好ましい。一般的に、ユニットが通過した後の版の上面上に粒状物が残らないように、ユニット(例えば後述するようなドクターの先端部)は版の上面と接した状態で相対的に移動させており、このため、ユニットと接する版の上面が摩耗して、印刷画像にムラを生じるなどの悪影響を及ぼし得る。しかしながら、ユニットと接する最も上方の版に修飾版を用いることにより、この修飾版が摩耗して使用に耐えられなくなった場合には、原版を維持したままで、新たな修飾版とその都度交換すればよく、原版を保護し、原版の寿命を延ばすことができる。この場合にも、原版は複数の版の形状を保持するように硬質版で構成されていることが好ましく、修飾版は加工性および費用の面で硬質版より優れ得る非硬質版で構成されていることが好ましい。
【0023】
しかし、原版および修飾版の上下関係はこれに限定されず、例えば複数の版のうち最も上方に位置してユニットと接する版を原版とし、その下方に修飾版および場合によりその他の版を重ね合わせてもよい。また、複数の版を構成する各版は硬質版および非硬質版のいずれであってもよく、各版の孔パターンは均一パターン(または汎用性の高い基本パターン、以下同様)およびデザインされたパターンのいずれであってもよく、また、各版に割り当てられ得る図柄はドット式およびベタ式のいずれで表わされていてもよく、これらの任意の組合せから選択可能である。尚、本明細書において「ドット式」とは図柄をドット状に分割して表わす方式であり、「ベタ式」とは図柄をそのままの輪郭により(全く分割せずに、あるいは例えば格子状であり得る柱部分を版に残すことにより柱部分で分割して)表わす方式を意味する。
【0024】
本発明の装置において使用するユニットは、版の上面と接する先端部にてスリット状の排出口を形成するように配置された一対のドクターを含み、ドクターの先端部がブラシ状またはスポンジ状の部材から成ることが好ましい。ユニットと接する版の上面の摩耗は、より詳細には、版の孔の移動方向後方側に生じた筋状の跡として認められ、これは版の孔を通じて落下する粒状物が版の上面とドクターの先端部との間に挟まれ、ドクターの先端部が粒状物を版の上面に対して押圧した状態で相対的に移動することに起因するものである。しかしながら、ドクターの先端部にブラシ状またはスポンジ状の部材を用いることにより、版の上面とドクターの先端部との間に挟まれ得る粒状物に対し、ブラシ状またはスポンジ状の部材の屈曲性または伸縮性により強い押圧力が加わることを防止して摩耗を効果的に低減することができ、該部材の隙間および復元力により版の上面上に粒状物が残らないように効率的に掻き取ることができる。従って、複数の版のうち最も上方に位置してユニット(より詳細にはドクターの先端部)と接する版、好ましくは修飾版の寿命を延ばすことができ、また、高い画像再現性を得ることができる。尚、複数の版のうち最も上方に位置してユニット(より詳細にはドクターの先端部)と接する版を硬質版とする場合にも、上記と同様の理由により、硬質版の寿命を延ばすことができ、また、高い画像再現性を得ることができる。
【0025】
また、本発明の装置において使用するユニットは、版の上面と接する先端部にてスリット状の排出口を形成するように配置された一対のドクターを含み、スリット状の排出口の長手方向が、ユニットと版および被印刷物との間の相対的移動方向に対して略垂直となっているものであってよい。このようなユニット(以下、ドクターユニットとも言う)により、ユニットが版および被印刷物に対して相対的に移動するにつれて、一対のドクター間に保持される粒状物が排出口と順次連通する孔から落下し、ユニットが通過した後の版の上面上に粒状物が残らないようにして印刷できる。
【0026】
本発明のもう1つの要旨によれば、粒状物が基材に印刷された印刷物の製造方法であって、
基材上にその表面を被覆するシーラー層および水性ベース塗膜を順次形成して被印刷物とし、
被印刷物の水性ベース塗膜上に粒状物を本発明の印刷方法により印刷し、および
水性ベース塗膜およびその上に印刷された粒状物を被覆する水性クリヤー塗膜を形成することにより、粒状物が基材に印刷および固着されて成る印刷物を得る
ことを含む製造方法が提供される。
【0027】
このような本発明の印刷物の製造方法によれば、印刷画像を形成した状態で粒状物を基材に固着させることができ、これにより、取扱いが容易で耐久性(例えば耐候性および耐傷性など)に優れた印刷物であって、用いる粒状物によって様々な質感が付与された印刷物を、印刷すべき図柄の変更に容易に対応可能な方法で製造することができる。換言すれば、本発明の製造方法によれば、より意匠性に優れた印刷物を提供することが可能となる。
【0028】
例えば砂岩調の外壁用建材が所望される場合、本発明の製造方法によれば、起伏のある岩肌を模した基材に対し、砂または砂様の粒状物を印刷剤として用いて、天然の砂岩が持つ質感(例えば砂粒の凹凸による触感および陰影など)が再現された印刷物を得ることが可能となる。
【0029】
本発明の上記製造方法によれば、基材上にシーラー層、水性ベース塗膜、粒状物による印刷画像の層および水性クリヤー塗膜を順次形成している。水性ベース塗膜の上に粒状物を落下させて印刷することにより、粒状物が水性ベース塗膜に部分的に埋没し、その表面で散乱することが効果的に抑制される。また、印刷した粒状物および水性ベース塗膜を水性クリヤー塗膜で覆うことにより、粒状物を固着することができる。従って、とりわけ凹凸表面を有する基材ひいては被印刷物に対しても、取扱いが容易で耐久性に優れた印刷物を、印刷すべき図柄の変更に容易に対応可能な方法で提供することが可能となる。
【0030】
本発明の製造方法においてシーラー層を形成するため、基材と水性ベース塗膜との間でこれらの密着性を高めることができる任意のシーラー材料を用いてよい。シーラー材料は、対象とする基材および水性ベース塗膜の組合せによって適宜選択され得る。
【0031】
また、水性ベース塗膜を形成するため、任意の適切な水性ベース塗料を用いてよいが、粒状物の粒子の少なくとも1/10の体積部分が水性ベース塗膜中に埋没する水性ベース塗料を用いることが好ましい。このような水性ベース塗料は、好ましくは、アクリルエマルションおよびアクリルシリコンエマルションのうち少なくとも一方を含む塗膜形成性樹脂と、チクソトロピーインデックスを1.5以上5以下に調整する粘性制御剤とを含む組成物であり得る。
【0032】
水性クリヤー塗膜を形成するため、該塗膜を通じて粒状物による印刷画像を見ることができる程度に透明な任意の適切な水性クリヤー塗料を用いてよい。このような水性クリヤー塗料は、好ましくは、アクリルエマルションおよびアクリルシリコンエマルションのうち少なくとも一方を含む塗膜形成性樹脂を含む組成物であり得る。水性クリヤー塗膜は保護膜として機能し得るものであるが、印刷物の表面に位置してその外観に直接影響するものでもあるので、所望により光輝材、染料、顔料および意匠性添加剤からなる群より選択される少なくとも一種を更に含有する組成物を用いてよい。
【0033】
本発明の製造方法において、基材およびこれを被覆するシーラー層および水性ベース塗膜で構成される被印刷物上に粒状物を印刷するために本発明の上記印刷方法が適用される。しかしながら、本発明の印刷方法は他の方法にも広く適用可能であることに留意されるべきである。
【0034】
また、本発明の製造方法に対し、例えばグラビア印刷、インクジェット印刷、フレキソ印刷およびロール印刷などによる意匠性を付与する工程を更に追加してもよい。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、非接触式の孔版印刷方法および装置であって、印刷すべき図柄の変更に容易に対応可能で、印刷剤として任意の材料から成る粒状物を使用することが可能な方法および装置が提供される。更に、本発明によればこのような印刷方法を利用した印刷物の製造方法もまた提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
本発明のいくつかの実施形態について、以下図面を参照しながら説明する。
【0037】
(実施形態1)
本実施形態は粒状物を被印刷物に印刷するためにドラムタイプの版を用いた方法および装置であって、修飾版を原版の外側に配置したものに関する。
【0038】
図1に示すように、本実施形態の印刷装置20は、被印刷物1の上方に離間して配置される円筒形の回転可能な版13と、版13の上方に配置され、粒状物7を収容するユニット9とを備える。
【0039】
使用する粒状物7は、被印刷物1に付与すべき所望の質感に応じて任意の材料からなる粒状物から選択することができ、例えば砂、硅砂、カラーサンド;ビーズ状、チップ状、粒子状またはフレーク状の樹脂、鉱物、ガラス、木材および金属(一般的にビーズおよびカラーチップと称されるもの、より詳細には透明なもしくは着色された樹脂ビーズ、樹脂チップおよび樹脂粒子、熱溶融性、熱発泡性および/または熱発色性を有する樹脂ビーズ、樹脂チップおよび樹脂粒子や、鉱物チップ、ガラスチップおよび木質チップなどを含む);顔料、トナーおよび光輝材(光輝材はマイカ粉、偏光マイカ、およびアルミニウムなどの金属片などを含み、例えばフレーク状などであってよい);ならびにそれら2種以上の混合物であってよい。代表的には、粒状物7の粒径分布は約5〜600μmの範囲内にあるが、これら範囲に限定されるものではない。
【0040】
被印刷物1は特に限定されず、任意の材料および大きさのものであってよく、凹凸表面(または起伏)を有していてよく、また平滑表面を有していてもよい。被印刷物1は図示するようにコンベヤ10aおよび10bにより版13の下方で離間して搬送されるが、コンベヤ10aおよび10bに代えて任意の適当な他の搬送手段を用いてもよい。
【0041】
版13は複数の版を円筒形に重ね合わせて構成される。これら複数の版にはそれぞれ複数の孔が互いに異なる所定のパターンで設けられる。図1および2を参照して、本実施形態において版13は原版3とその外側に重ね合わされた修飾版5とにより構成される。原版3および修飾版5は重ね合わせた状態で、例えば磁力を用いた部材、ホットメルトまたはリベットなどにより脱着可能に固定することができる。原版3および修飾版5は回転支持体(図示せず)によって、図中点線矢印にて示すように版13の中心軸の周りで一体的に回転する。
【0042】
原版3には複数の孔3aが全面に亘って均一パターンで設けられる。この均一パターンは、例えば図4(a)に示すように、図柄のないドットパターン(総網点とも言う)であってよい。孔3aは一般的に円形断面を有し、その孔径(直径)は使用する粒状物7の最大粒径に対して例えば1倍以上となるように設計され得る。複数の孔3aの孔径は原版3にて同一である。原版3は硬質版、例えば約0.1〜10mm、好ましくは約0.3〜6mmの厚みを有する金属板であり、この金属材料は、例えばステンレス鋼、アルミニウム、銅、鉄などであってよい。原版3の孔3aは、このような硬質版にエッチングまたはパンチングなど任意の化学的、光学的および/または機械的方法により設けることができる。
【0043】
これに対して、修飾版5には複数の孔5aが、原版3の孔3aのパターンと相違したデザインされたパターンで設けられる。このデザインされたパターンは、例えば図4(b)に示すように、修飾版5に割り当てられた所定の図柄(代表的に3つの方形の図柄を図示する)をベタ式で表わしたパターンであってよい。孔5aの断面形状、寸法および配置は、使用する粒状物7が十分に通過し得る限り自由に設計され得る。修飾版5は非硬質版、例えば約0.1〜1mmの厚みを有する金属板であり、金属材料は上記のようなものから選択され得る。あるいは、修飾版5には約0.05〜1mmの厚みを有する樹脂膜を用いることもでき、樹脂材料は、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミドおよびポリエステルなどであってよい。金属板および樹脂膜はいずれもそれ単独で用いても、スクリーンと組み合わせて用いてもよい。スクリーンは当該技術分野においてメッシュまたは網とも呼ばれるものを意味し、例えばポリアミド系合成繊維、ポリエステル系合成繊維、ステンレス鋼などの織物であってよい。修飾版5の孔5aは、このような非硬質版にエッチングなど任意の化学的、光学的および/または機械的方法によりに設けることができる。本実施形態においては1つの修飾版5を用いているが、2つ以上の修飾版を組み合わせて用いてもよく、各修飾版に設けられる孔のパターンならびに各修飾版の材料および厚さなどは適宜設計可能である。
【0044】
被印刷物1と版13(より詳細には本実施形態においては修飾版5)との間の距離は例えば約5〜50mm、好ましくは約15〜40mmに設定され得る。被印刷物7が凹凸表面(または起伏)を有する場合、版13と被印刷物7とが接触しないことを確保すべく、これらの間の距離は例えば少なくとも約5mmとする。
【0045】
ユニット9は被印刷物1および版13に対して図中点線矢印にて示すように円周方向に相対的に移動可能なように版13の円筒形の内部空間に配置され、この空間の最も低い水平位置近傍にて版13の内壁面と接する排出口を有する。より詳細には図2に示すように、ユニット9は一対のドクター9aおよび9bを含むドクターユニットであり、版13(本実施形態においては原版3)の内壁面(印刷部における上面)と接するドクター9aおよび9bの先端部にてスリット状の排出口9cを形成し、排出口9cの長手方向(紙面に垂直な方向)がユニット9の移動方向(紙面に平行な方向)に対して略垂直になっている。このドクター9aおよび9bは、その間に粒状物7を収容するホッパー構造を形成するように版13に対してある角度で接する。ドクター9aおよび9bによるスリット状の排出口9cのスリット幅および版13に対する角度はいずれも調節可能である。また、本発明に必須ではないが、排出口9cから粒状物7を均等に排出するように粒状物7を均すための部材9dがユニット9の内部に備えられていてよい。均し部材9dにより、流動性の悪い粉体を粒状物7として用いる場合でもユニット9のホッパー構造内でのブリッジやラットホールを防止することができる。
【0046】
ドクター9aおよび9bの先端部はブラシ状またはスポンジ状の部材から成ることが好ましい。ブラシ状またはスポンジ状の部材は、版13の上面との間に空隙を有し、屈曲性または伸縮性と復元性とを兼ね備えるので、版13の上面とドクターの先端部との間に挟まれ得る粒状物7に対して強い押圧力が加わることを防止して版13(本実施形態においては原版3)の摩耗を効果的に低減しながら、版13の上面上に粒状物7が残らないように効率的に掻き取ることができる。これにより、印刷画像にムラを生じるなどの悪影響を低減でき、また、高い画像再現性を得ることができる。更に、ドクター9aおよび9bの先端部にブラシ状またはスポンジ状の部材を適用することにより、先端部自身が版13の上面との接触によって(また特に原版3および修飾版5を固定するために用いたリベットなどが版13の上面に突出しているときはリベットなどとの接触によって)、摩耗することを効果的に低減することもできる。
【0047】
ドクター先端部につき耐久性(耐摩耗性)が要求される場合はブラシ状部材がより好ましい。ブラシ状部材としては、例えば図3(a)に示すようなブラシ毛が全体として直線状に配置されたブラシ9eや、ブラシ毛が全体として曲線状(または波形)に配置されたブラシ、ブラシ毛が放射線状に延びたロールブラシなどを用いることができる。ブラシ毛は植え込み型およびチャンネル型などの任意の適切な方法でブラシ台部に取り付けられ得る。植え込み型ブラシの場合、ブラシ毛の毛束の配置は特に限定されず、ちどり型および並列型、ロールブラシでは更にV字型およびスパイラル型などのいずれであってもよい。ブラシ毛はナイロン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリブチレンテレフタレートおよびポリフェニレンサルファイドなどの合成繊維、あるいは馬、豚、山羊および猪などの動物またはパキン、シダおよびパームなどの植物に由来する天然繊維から成っていてよい。合成繊維は天然繊維より耐摩耗性が一層高く、特に好ましい。ブラシの全体形状、タイプ、配置、ブラシ毛の材質、線径、毛丈、チャンネル幅などは、印刷画像および使用する粒状物7の特性に応じて、所望の掻き取り性および摩耗低減作用が得られるように適宜選択され得る。
【0048】
スポンジ状部材としては、例えば図3(b)に示すようなスポンジロール9fや、直方体形のスポンジなどを用いることができる。スポンジ材料は、重合性モノマーの重合物またはクロロプレンゴム、エチレン−クロロプレンゴム、ブチルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム、多硫化ゴム、天然ゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、これらのゴムの発泡体またはこれらのゴム成分と光重合性モノマーとの反応物などであってよい。スポンジ材料、形状および寸法などは、印刷画像および使用する粒状物7の特性に応じて、所望の掻き取り性および摩耗低減作用が得られるように適宜選択され得る。
【0049】
しかしながら、ドクター9aおよび9bの先端部はブラシ状またはスポンジ状の部材に限定されず、好ましさは劣るが、例えば図3(c)に示すようなフェルト9gなどを用いることも可能である。フェルト9gは版13の上面に対して面接触(または密着)し、版13の上面とドクターの先端部との間に挟まれ得る粒状物7に対して強い押圧力が加わって版13(本実施形態においては原版3)が摩耗し易く、また、フェルト9gは版13の上面に対して若干傾斜していると押圧力が均等でなくなって粒状物7の掻き取り性が十分でないことがある。また、フェルト9gは、版13の上面(また特に原版3および修飾版5を固定するために用いたリベットなどが版13の上面に突出しているときはリベットなど)との接触によって擦れてそれ自身が摩耗し得る。しかしながら、これらのことは場合によっては許容可能であり得るであろう。
【0050】
次に、本実施形態の印刷装置20を用いた印刷方法について説明する。
【0051】
まず、原版3と修飾版5とを円筒形に重ね合わせ、例えば磁力を用いた部材、ホットメルトまたはリベットなどにより脱着可能に固定して版13を準備する。このとき、原版3の孔3aと修飾版5の孔5aとが互いに連通する部分(本発明において「連通する孔」とも言う)が印刷すべき図柄に対応したパターンを形成するように、原版3および修飾版5を位置合わせする。原版3は修飾版5と面接触し、原版3を構成する硬質版の剛性により、版13の断面の真円度をより高くすることが可能である。この版13は、粒状物7を収容したユニット9の排出口9cが版13の内壁面と接するようにして設置する。
【0052】
次に、ユニット9を固定した状態で版13を回転させる。この版13の回転と同期して被印刷物1をコンベヤ10aおよび10bにより版13の下方にて離間して搬送する。被印刷物1の搬送および版13の回転を同期させるため、被印刷物1と版13とが位置合わせされた状態でユニット9の下方を通過するように装置を操作する。
【0053】
版13が回転するにつれて、ユニット9の排出口9cが版13の内壁面を滑って版13の内側の原版3に設けられた孔3aと順次連通し、粒状物7が排出口9cから孔3aへ排出され、そして孔3aおよびこれと連通する孔5aを通じて被印刷物1上に落下する。このとき、版13にはドクター9aおよび9bの先端から押圧力が印加されるが、版13は原版(硬質版)3の剛性により真円度の高い円形形状を保持でき、高速回転印刷にも好適に対応できる。
【0054】
そして、粒状物7が原版3の孔3aおよび修飾版5の孔5aを通ることにより、これら連通する孔に対応する印刷画像が被印刷物1上に形成される。
【0055】
より詳細には、図4(a)に示すように複数の孔3aが均一パターンで形成された原版3と、図4(b)に示すように複数の孔5aが形成された修飾版5とを重ねて用いた場合、図4(c)に示す印刷画像Aが粒状物7により被印刷物上に形成される。ここで、原版3における孔3aの間の非開口領域3bは粒状物7をボカシて印刷し得る程度に狭く、他方、修飾版5における孔5aの間の非開口領域5bはより広く、目地に対応するように設計する。これにより得られる印刷画像Aは孔5aに対応し、非画像部Bとして目地を残すことができる。
【0056】
印刷画像の表現(例えばボカシの程度)は、粒状物7の粒径に対する孔3aの孔径、孔3aの間隔(またはピッチ)、版13の全厚さ、排出口9cのスリット幅および回転速度などにより異なり得るので、所望の印刷画像が得られるようにこれらを適宜設定してよい。
【0057】
被印刷物1がユニット9の下方を通過すると、粒状物7による印刷画像が被印刷物1上に形成され、印刷が終了する。これに続けて別の被印刷物に同じ図柄で印刷する場合は、版13を回転させたまま、これと同期して別の被印刷物を搬送すればよい。本実施形態はこのような連続印刷に適し、特にドクター9aおよび9bの先端部にブラシ状またはスポンジ状の部材を用いる場合にはドクター9aおよび9bの先端部と接する原版3の摩耗を一層低減できて原版3の寿命を延ばすことができると共に高い画像再現性を得ることができ、また、ドクター9aおよび9bの先端部自身の寿命も延ばすことができる。
【0058】
印刷すべき図柄を変更する場合は、修飾版5を新たな修飾版と取り替え、上記と同様にして印刷を実施すればよい。比較的安価な非硬質版から作製した修飾版5を取り替えるだけで図柄を容易に変更でき、比較的高価な硬質版から作製した原版3を図柄毎に作製する必要がないので、種々のバリエーションに幅広く対応できる。
【0059】
以上、本実施形態の印刷方法および装置によれば、被印刷物と版とを接触させず、印刷すべき図柄の変更に容易に対応でき、および印刷剤として任意の材料から成る粒状物を使用することができる。
【0060】
上記の実施形態1は種々の改変が可能である。例えば、実施形態1では修飾版5に複数の孔をベタ式で表わしたパターンで設けることとしたが、図5(b)に示すようにドット式で表わして設けてもよい。この場合、図5(a)に示す原版3の孔3aと、修飾版5の孔5aとが対応するように設けられ、これらを互いに重ね合わせて用いると、図5(c)に示す印刷画像Aが粒状物7により被印刷物上に形成される。
【0061】
また例えば、実施形態1では原版に複数の孔を均一パターンで設けることとしたが、汎用性の高い基本パターンなどの他のパターンとしてもよい。このパターンは、例えば図6(a)に示すように、原版3’に割り当てられた所定の図柄(代表的に3つの方形の図柄を図示する)を複数の孔3a’によりドット式で表わしたパターンであってよい(図示する原版3’は図4(a)および(b)にそれぞれ示す原版3および修飾版5を重ね合わせたものに相当し、仮に原版3’を単独で用いたとすると、図4(c)に示すような印刷画像Aを形成できる。)他方、修飾版5’には複数の孔5a’が原版3’と相違するデザインされたパターンで設けられ、このパターンは、例えば図6(b)に示すように、修飾版5’に割り当てられた図柄(代表的に3つの雲形の図柄を図示する)によりベタ式で表わしたパターンであってよい。このような原版3’に対して修飾版5’を重ね合わせて用いた場合、図6(c)に示す印刷画像A’が粒状物7により被印刷物上に形成される。
【0062】
また例えば、本発明に必須ではないが、印刷装置20は、版13の外側を覆うカバー17と、ユニット9の上方にて版13の外側に配置されるエアーノズル19とを更に備えていてよい。カバー17は版13の回転方向でユニット9より下流にて版13を包むように設けられ、これにより、版13の孔3aおよび5aに詰まり得る粒状物7が周囲に飛散することを防止できる。また、エアーノズル19により、版13の孔3aおよび5aに詰まり得る粒状物7をエアー圧で吹き出し、ユニット9の上部が開口したホッパー構造へ落し入れることができる。あるいは、カバー17およびエアーノズル19に代えて、サクション口(図示せず)を版13の回転方向でユニット9より下流の適当な位置に設け、これにより、版13の孔3aおよび5aに詰まり得る粒状物7を吸引および回収してよく、回収した粒状物7はユニット9に戻して再利用することが好ましい。
【0063】
また、本発明に必須ではないが、印刷装置20は、印刷部にて飛散し得る粒状物7を回収するため粒状物回収部材27および29を更に備えていてよい。粒状物回収部材27は版13と被印刷物1との間にて、ユニット9の排出口を下方に投射した左右または周囲に配置され得る。このような粒状物回収部材27により、不要な粒状物7が被印刷物1上に飛散するのを防止できると共に、これを回収することができる。他方、粒状物回収部材29は、ユニット9の排出口を下方に投射した左右に配置されるコンベヤ10aおよび10bの下方に配置され得る。このような粒状物回収部材29により、被印刷物1上に載らずに飛散した粒状物7を回収することができる。これら粒状物回収部材27および29は単なる板状部材であってもよいが、回収した粒状物をユニット9へ自動的に戻すようにコンベヤ(図示せず)などで構成された装置であってもよい。このような粒状物回収部材27および29はいずれか一方のみとしてもよい。
【0064】
(実施形態2)
本実施形態は粒状物を被印刷物に印刷するためにドラムタイプの版を用いた方法および装置であって、修飾版を原版の内側に配置したものに関する。
【0065】
本実施形態の印刷装置(図示せず)は、修飾版5を原版3の内側に配置した点において図1に示す実施形態1の印刷装置20と相違し、特に説明のない限り実施形態1と同様の構成である。
【0066】
本実施形態において版13は原版3とその内側に重ね合わされた修飾版5とにより構成され、ドクター9aおよび9bの先端部は修飾版5の内壁面(印刷部における上面)と接する。原版3は硬質版、例えば約0.1〜10mm、好ましくは約0.3〜6mmの厚みを有する金属板であり、原版3の内側(上方)に配置される修飾版5は非硬質版、例えば約0.1〜1mmの厚みを有する金属板、または約0.05〜1mmの厚みを有する樹脂膜である。金属板および樹脂膜はいずれもそれ単独で用いても、スクリーンと組み合わせて用いてもよい。この場合、スクリーンは原版3と修飾版5との間に配置され、より好ましくは原版3の外側(下方)に配置される。本実施形態においては1つの修飾版5を用いているが、2つ以上の修飾版を組み合わせて用いてもよく、各修飾版に設けられる孔のパターンならびに各修飾版の材料および厚さなどは適宜設計可能である。
【0067】
原版3と修飾版5とは、円筒状の形態を有する硬質版から成る原版3の内側に、外圧が加わっていない状態下で板状の形態を有する非硬質版から成る修飾版5を湾曲させて配置し、修飾版5の復元力によって互いに密着させて重ね合わせることにより脱着可能に固定することが好ましい。また、実施形態1と同様に、原版3および修飾版5は重ね合わせた状態で、例えば磁力を用いた部材、ホットメルトまたはリベットなどにより脱着可能に固定することもできる。
【0068】
本実施形態においてはドクター9aおよび9bの先端部と接する修飾版5が摩耗し得、比較的安価な非硬質版から作製した修飾版5により、比較的高価な硬質版から作製した原版3を保護することができる。
【0069】
このような印刷装置を用いて、実施形態1と同様にして、被印刷物に対して印刷が実施される。これに続けて別の被印刷物に同じ図柄で印刷する場合は、版13を回転させたまま、これと同期して別の被印刷物を搬送すればよい。本実施形態はこのような連続印刷に適し、特にドクター9aおよび9bの先端部にブラシ状またはスポンジ状の部材を用いる場合にはドクター9aおよび9bの先端部と接する修飾版5の摩耗を一層低減できて修飾版5の寿命を延ばすことができ、また、ドクター9aおよび9bの先端部自身の寿命も延ばすことができる。
【0070】
連続印刷により、修飾版5が摩耗して使用に耐えられなくなった場合には、原版3はそのままで、新たな修飾版とその都度交換すればよい。これにより、比較的安価な非硬質版から作製した修飾版5を消耗品として利用し、比較的高価な硬質版から作製した原版3の摩耗を無くして半永久的に使用することができるので、ランニングコストを顕著に低減することができる。
【0071】
加えて、本実施形態によれば、実施形態1と同様の作用および効果が得られる。
【0072】
(実施形態3)
本実施形態は粒状物を被印刷物に印刷するためにベルトタイプの版を用いた方法および装置に関する。
【0073】
図7に示す本実施形態の印刷装置22は、シームレスなベルト状の版13を用いた点において図1に示す実施形態1の印刷装置20と相違し、特に説明のない限り実施形態1と同様の構成である。
【0074】
印刷装置22において、版13は原版3とその外側に重ね合わされた修飾版5とにより構成され、一対のプーリ11aおよび11bによって図中点線矢印にて示すように一体的に回転する。版13の内側にはユニット9が固定して配置される。
【0075】
このような印刷装置22を用いた印刷方法では、被印刷物1を搬送し、被印刷物1に対して位置合わせした状態で版13を同期して回転させることにより、ユニット9は版13および被印刷物1に対して相対的に移動する。
【0076】
以上のような本実施形態によっても、版13の形状に関する点を除き、実施形態1と同様の作用および効果が得られる。また、本実施形態についても、実施形態1に対する実施形態2と同様、修飾版を原版の内側に配置するように改変することができ、実施形態2と同様の作用および効果が得られる。
【0077】
(実施形態4)
本実施形態は粒状物を被印刷物に印刷するために平板タイプの版を用いた方法および装置に関する。
【0078】
図8に示す本実施形態の印刷装置24は、平板状の版13を用いた点において図1に示す実施形態1の印刷装置20と相違し、特に説明のない限り実施形態1と同様の構成である。
【0079】
印刷装置24において、ユニット9は被印刷物1および版13に対して図中点線矢印にて示すように水平方向左右に相対的に移動可能であり、ドクター9aおよび9bの先端部は版13の上面とそれぞれ接する。
【0080】
このような印刷装置24を用いた印刷方法では、上記相対的移動は、ユニット9を固定しながら、被印刷物1および版13を位置合わせした状態で同期して移動させること、あるいは、被印刷物1および版13を位置合わせした状態で固定しながら、ユニット9を移動させることにより実施してよい。また、続けて別の被印刷物に同じ図柄で印刷する場合は、印刷画像を形成した被印刷物1を新たな被印刷物で置換し、ユニット9が上記他方の端部側から上記一方の端部側に戻るように、ユニット9と新たな被印刷物およびスクリーン5付きの版3とを逆方向に相対的に移動させればよい。
【0081】
以上のような本実施形態によっても、版13の形状および回転に関する点を除き、実施形態1と同様の作用および効果が得られる。また、本実施形態についても、実施形態1に対する実施形態2と同様、修飾版を原版の内側に配置するように改変することができ、実施形態2と同様の作用および効果が得られる。
【0082】
(実施形態5)
本実施形態は粒状物が被印刷物に印刷された印刷物の製造方法およびそれにより得られる印刷物に関する。
【0083】
本実施形態の製造方法においては、まず、図9を参照して、基材31の上にその表面を被覆するシーラー層33を形成し、次に、シーラー層33の上にその表面を被覆する水性ベース塗膜35を形成する。これにより得られた積層体は被印刷物1に相当する。シーラー層33および水性ベース塗膜35は、それぞれシーラー材料および水性ベース塗料を、例えばエアーレススプレーを用いてスプレーコートすることにより形成できる。また、スプレーコートに代えてカーテンコートまたはロールコートなどの他の塗装法を適用することもできる。
【0084】
基材31は特に限定されず、例えば窯業サイディング材など、凹凸表面を有する基材であってよい。
【0085】
シーラー材料には、シーラーとして既知の組成物を用いることができ、例えば日本ペイント株式会社製アクリルエマルションシーラー「オーデタイト126シーラー」を用いることができる。
【0086】
水性ベース塗料には、アクリルエマルションおよびアクリルシリコンエマルションのうち少なくとも一方を含む塗膜形成性樹脂と、チクソトロピーインデックス(TI値)を1.5以上5以下に調整する粘性制御剤とを含む組成物が好ましく用いられる。
【0087】
アクリルエマルションとしては既知のものを用いてよく、例えばアクリル系モノマーと必要に応じて他のエチレン性不飽和モノマーとを共重合させたものを用いることができる。具体的には、アクリル系モノマーとしては、アクリル酸またはメタクリル酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、n−ブチルエステル、i−ブチルエステル、t−ブチルエステル、2−エチルヘキシルエステル、ラウリルエステル、フェニルエステル、ベンジルエステル、2−ヒドロキシエチルエステル、2−ヒドロキシプロピルエステルの他、プラクセルFM−1(メタクリル酸2−ヒドロキシエチルエステルのポリカプロラクタン付加物、ダイセル化学工業株式会社製)、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、アクリロニトリル、多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。他のエチレン性不飽和モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、イタコン酸、マレイン酸、酢酸ビニル、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。
【0088】
アクリルシリコンエマルションについても既知のものを用いてよい。具体的には、上記のアクリルエマルションにオルガノポリシロキサンをグラフト重合したものや、エチレン性不飽和基を有するアルコキシシランモノマーとエチレン性不飽和モノマーとを共重合させたものの他に、アルコキシシランまたはその加水分解縮合物の存在下でアルコキシシリル基と反応する官能基を有するアクリルモノマーとエチレン性不飽和モノマーとを共重合させて得られたものなどが挙げられる。エチレン性不飽和基を有するアルコキシシランモノマーとしては、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシブチルトリメトキシシランなどが挙げられる。
【0089】
また、粘性制御剤についても既知のものを用いてよい。具体的には、ヒドロキシエチルセルロース等の繊維素誘導体系、変性ポリアクリルスルホン酸塩などのポリアクリル酸系、ポリエーテルウレタン変性物等のポリエーテル系、有機ベントナイト系などを用いることができる。
【0090】
このような粘性制御剤は、水性ベース塗料組成物のチクソトロピーインデックスを約1.5〜5に調整するように適当な量で含まれることが好ましい。チクソトロピーインデックスが1.5未満である場合には、水性ベース塗膜35を形成した後、粒状物7を印刷するまでに、凹凸表面を有し得る被印刷物の凸部から水性ベース塗料が流下し、粒状物の埋没が不十分になるため好ましくない。また、チクソトロピーインデックスが5を越える場合には、水性ベース塗膜に凹凸が発生するため好ましくない。本明細書においてチクソトロピーインデックス(TI値)とは、一般的に知られているように揺変性(チクソトロピー)を示す指標であり、揺変性とは温度一定下で撹拌するとゾル状になり、これを放置すると再びゲル状に戻る性質を意味する。チクソトロピーインデックスは、(旧)JIS−K−5400.4.5.3の参考試験「回転粘度計による非ニュートン性の評価」に準拠した方法により測定することができる。
【0091】
以上のようにして基材31の上にその表面を被覆するシーラー層33および水性ベース塗膜35が順次形成された被印刷物1が得られるが、シーラー層33を形成した後、水性ベース塗膜35を形成する前に、これら層33および35の間に一層または複数層の着色層を形成してもよい。
【0092】
次に、このようにして得られた被印刷物1に対して、水性ベース塗膜35上に粒状物7を印刷する。印刷方法およびそのための装置については実施形態1〜4にて上述したもののいずれを適用してもよい。尚、粒状物7の印刷は、被印刷物1を印刷装置内に複数回通して同一または異なる画像を印刷するものとしてもよく、あるいは、粒状物の材質、形状、色相および量などの条件を適切な組合せにて複数設置した印刷装置に被印刷物1を通して各装置にて画像を印刷するようにしてもよく、これにより、多様な意匠印刷が可能となる。
【0093】
尚、水性ベース塗膜35を形成した後で粒状物7を印刷する前、および/または粒状物7を印刷した後に、例えばグラビア印刷、インクジェット印刷、フレキソ印刷およびロール印刷などを実施することもでき、この際に水性ベース塗膜35が乾燥または硬化してしまう場合には、粒状物を印刷する直前に透明タイプの水性ベース塗膜を更に追加形成してもよい。
【0094】
粒状物7を被印刷物1に印刷した後、水性ベース塗膜35および粒状物7を被覆するように水性クリヤー塗膜39を形成する。水性クリヤー塗膜39は水性クリヤー塗料を、例えばエアーレススプレーを用いてスプレーコートすることにより形成できる。また、スプレーコートに代えてカーテンコートまたはロールコートなどの他の塗装法を適用することもできる。
【0095】
水性クリヤー塗料には、アクリルエマルションおよびアクリルシリコンエマルションのうち少なくとも一方を含む塗膜形成性樹脂を含む組成物が好ましく用いられる。アクリルエマルションおよびアクリルシリコンエマルションは、水性ベース塗膜35について上記で例示したものを用い得る。
【0096】
また、水性クリヤー塗料組成物は、光輝材、染料、顔料および意匠性添加剤からなる群より選択される少なくとも一種を更に含むことが好ましい。これらは水性クリヤー塗膜39が透明性を維持できる範囲内で配合することができ、いずれも既知のものを用いてよい。例えば、光輝材としてはカラーマイカ、樹脂フレークおよびガラスフレークの金属コート品などを用いることができる。また、顔料としては一般的に使用される塗料用顔料を用いてよいが、粒状物7による印刷画像が水性クリヤー塗膜39を通して見えるように約3体積%以下の含有量とすることが好ましい。意匠性添加剤としては樹脂ビーズ、樹脂カラービーズおよびガラスフレークなどを用いることができる。
【0097】
その後、必要に応じて乾燥、加熱、光照射などの後処理に付して、粒状物7が基材31に印刷および固着されて成る印刷物30が得られる。尚、このような後処理はシーラー層33および水性ベース塗膜35の各形成工程の際にも必要に応じて適宜実施され得る。
【0098】
本実施形態によれば、基材31に粒状物7を十分明瞭な印刷画像を形成した状態で固着させることができ、これにより、取扱いが容易で耐久性に優れた印刷物30であって、用いる粒状物7によって様々な質感が付与された印刷物30を印刷すべき図柄の変更に容易に対応可能な方法で製造することができる。
【0099】
以上、本発明のいくつかの実施形態について詳述してきたが、本発明はこれら実施形態に限定されず、種々の改変が可能である。
【0100】
例えば、本発明の印刷方法は、粒状物が基材に印刷された印刷物の製造方法であって、
粘着性材料が予め塗布された被印刷物上に粒状物を印刷し、および
これにより得られた被印刷物にて粘着性材料を実質的に非粘着性の固着材料とすることによって粒状物が被印刷物に固着されてなる印刷物を得る
ことを含む製造方法にも適用可能である。
【0101】
この製造方法に使用する粘着性材料には、例えば上述のような水性ベース塗料および水性クリヤー塗料や、溶媒蒸発、湿気、熱または光(例えば紫外線)などで硬化する接着剤などを用いることができる。このような粘着性材料は乾燥、加熱または光照射することにより実質的に非粘着性となり、固着材料として粒状物を被印刷物に固着することができる。
【0102】
また、上記製造方法は必要に応じて、粒状物が印刷された被印刷物の表面を被覆する保護膜を形成することを含んでいてよい。この保護膜は、例えば上述のような水性クリヤー塗料を塗布して形成することができる。
【0103】
上記製造方法によれば、粘着性材料が予め塗布された被印刷物上に粒状物を印刷するので、被印刷物上に落下した粒状物が粘着性材料と接触および付着することにより被印刷物表面で散乱することが効果的に抑制される。従って、とりわけ凹凸表面を有する被印刷物に対しても、緻密な印刷画像を形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明の1つの実施形態における印刷装置を示す概略模式図である。
【図2】図1の印刷装置のユニットおよびその排出口近傍での拡大模式図である。
【図3】図1の印刷装置のユニットのドクター先端部の拡大模式図であり、図3(a)〜図3(c)はドクター先端部のバリエーションを示す。
【図4】図1の実施形態における印刷装置を説明するための模式上面図であって、図4(a)は原版を示し、図4(b)は修飾版を示し、図4(c)は図4(a)の原版および図4(b)の修飾版を重ね合わせて用いることにより得られる印刷画像を示す。
【図5】図1の実施形態の改変例を説明するための模式上面図であって、図5(a)は原版を示し、図5(b)は修飾版を示し、図5(c)は図5(a)の原版および図5(b)の修飾版を重ね合わせて用いることにより得られる印刷画像を示す。
【図6】図1の実施形態の改変例を説明するための模式上面図であって、図6(a)は原版を示し、図6(b)は修飾版を示し、図6(c)は図6(a)の原版および図6(b)の修飾版を重ね合わせて用いることにより得られる印刷画像を示す。
【図7】本発明のもう1つの実施形態における印刷装置を示す概略模式図である。
【図8】本発明のもう1つの実施形態における印刷装置を示す概略模式図である。
【図9】本発明の1つの実施形態における製造方法により得られる印刷物の模式断面図である。
【符号の説明】
【0105】
1 被印刷物
3、3’ 原版
3a、3a’ 孔
3b、3b’ 非開口領域
5、5’ 修飾版
5a、5a’ 孔
5b、5b’ 非開口領域
7 粒状物(印刷剤)
9 ユニット
9a、9b ドクター
9c 排出口
9d 均し部材
9e ブラシ
9f スポンジロール
9g フェルト
10a、10b コンベヤ(搬送機構)
13 版
17 カバー
19 エアーノズル
20、22、24 印刷装置
27、29 粒状物回収部材
30 印刷物
31 基材
33 シーラー層
35 水性ベース塗膜
39 水性クリヤー塗膜
A、A’ 印刷画像
B、B’ 非画像部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の孔が設けられた版を被印刷物に対して離間して配置し、版の孔を通じて印刷剤を被印刷物上に供給することを含む印刷方法において、
印刷剤として粒状物を用い、
版には、複数の版であって、複数の孔が互いに異なる所定のパターンで設けられた複数の版を重ね合わせて用い、
複数の版の連通する孔を通じて粒状物を被印刷物上に落下させる
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
粒状物は砂、硅砂、カラーサンド;ビーズ状、チップ状、粒子状またはフレーク状の樹脂、鉱物、ガラス、木材および金属;ならびに顔料、トナーおよび光輝材からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
被印刷物は凹凸表面を有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
粒状物を被印刷物上に供給するための装置であって、
複数の版から構成され、複数の孔が互いに異なる所定のパターンで設けられ、および互いに重ね合わされた状態で被印刷物の上方で被印刷物に対して離間して位置合わせされる版と、
版の上方に配置され、版および被印刷物に対して相対的に移動しながら粒状物を排出するユニットと
を備え、ユニットから排出される粒状物は複数の版の連通する孔を通じて落下することにより被印刷物上に供給される装置。
【請求項5】
複数の版のうちの1つは0.1〜10mmの厚みを有する金属板である、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
複数の版のうちの1つは0.1〜1mmの厚みを有する金属板または0.05〜1mmの厚みを有する樹脂膜である、請求項4または5に記載の装置。
【請求項7】
複数の版のうちの1つは複数の孔が均一パターンで設けられている、請求項4〜6のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
複数の版のうちの1つは複数の孔がデザインされたパターンで設けられている、請求項4〜7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
複数の孔がデザインされたパターンで設けられている版が、複数の版のうち最も上方に位置してユニットと接する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
ユニットは、版の上面と接する先端部にてスリット状の排出口を形成するように配置された一対のドクターを含み、ドクターの先端部がブラシ状またはスポンジ状の部材から成る、請求項4〜9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
ユニットは、版の上面と接する先端部にてスリット状の排出口を形成するように配置された一対のドクターを含み、スリット状の排出口の長手方向が前記移動の方向に対して略垂直となっている、請求項4〜10のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
粒状物が基材に印刷された印刷物の製造方法であって、
基材上にその表面を被覆するシーラー層および水性ベース塗膜を順次形成して被印刷物とし、
被印刷物の水性ベース塗膜上に粒状物を請求項1〜3のいずれかに記載の方法により印刷し、および
水性ベース塗膜およびその上に印刷された粒状物を被覆する水性クリヤー塗膜を形成することにより、粒状物が基材に印刷および固着されて成る印刷物を得る
ことを含む製造方法。
【請求項13】
請求項12に記載の製造方法により製造された印刷物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−106103(P2007−106103A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−109635(P2006−109635)
【出願日】平成18年4月12日(2006.4.12)
【出願人】(000230054)日本ペイント株式会社 (626)
【Fターム(参考)】