説明

印刷版およびエポキシノボラック樹脂を有する硬化性組成物を用いて印刷版を製造するための方法

【課題】印刷版およびエポキシノボラック樹脂を有する硬化性組成物を用いて印刷版を製造するための方法を提供する。
【解決手段】本発明は、印刷版、および156〜300g/当量のエポキシド当量重量を有するエポキシノボラック樹脂と、60g/当量以下のアミン当量重量を有する、第一アミンおよび第二アミンから選択されるアミン硬化剤とを含む硬化性組成物から、印刷版を製造するための方法に関する。本方法は、硬化性組成物を支持基材に塗布して層を形成する工程、層をある温度範囲内の1つ以上の温度で硬化させる工程、および硬化層に彫刻して少なくとも1つのセルを形成する工程を含む。本方法は、彫刻可能であり、溶剤インクおよび機械的摩耗に対して耐性があり、かつグラビア品質画像を印刷することが可能な硬化樹脂組成物層を有する印刷版、特にグラビア印刷版を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷版および印刷版を製造するための方法、特に、1つ以上の従来の金属層を特定のエポキシノボラック樹脂に置き換えたグラビア印刷版を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
グラビア印刷は、画像部から印刷版が印刷する印刷方法であり、画像部が窪んでいてインクまたは印刷材料を入れるための小さい凹陥部(recessed cup)または溜めからなり、非画像部が版の表面である。例えばグラビアシリンダーは、基本的に、銅層をベースローラー上に電気めっきし、次いで、小さい凹陥部または溜めからなる画像をダイヤモンドスタイラスまたはレーザーエッチング機によりデジタル方式で彫刻することにより作製される。セルが彫刻されたシリンダーは、次いで、印刷プロセスの間の耐久性を付与するために、非常に薄いクロムの層でオーバープレートされる。したがって、グラビア印刷版は、費用がかかり、製造にかなりの時間および材料を必要とする。
【0003】
電気めっきされる銅およびクロムの層をポリマーベースの組成物に替えることは、例えばBresslerら(特許文献1)、CampbellおよびBelser(特許文献2)、ならびにKellnerおよびSahl(特許文献3)により検討されている。しかしながら、ポリマーベースの組成物を有するグラビア印刷版が成功するためには、いくつもの処理要件および特性要件の組み合わせが満たされなければならない。経済的な方法のためには、ポリマーベースのコーティングは、シリンダーに容易に塗布され(「塗被性」)かつ適度に迅速に硬化されて(「硬化性」)、最小限の研削および研磨を必要とするだけで、グラビア彫刻および印刷に要求される厳密な許容誤差で高品質の表面層が生成されることを可能にするものである必要がある。表面層は、彫刻されたときに著しいチッピングも破壊もなく十分に画定された印刷セル構造を生じるレベルの硬さ(「彫刻性」)を有する必要がある。表面層はまた、グラビア印刷インクおよび清浄液において使用される溶剤に対する優れた耐性(「耐久性−耐溶剤性」)を備える必要もある。さらに、表面層は、印刷プロセスの間に直面する機械的摩耗(例えば、ドクターブレードの掻取りによる摩耗、インク中に存在し得るあらゆる研磨粒子による摩耗、および画像が印刷される面による摩耗)に対する耐性(「耐久性−耐機械的摩耗性」)がある必要がある。さらに、ポリマーベースの組成物を有するグラビア印刷版が従来の金属被覆グラビア印刷版に取って代わるためには、ポリマーベースの印刷版は、相対的に長い印刷運転が可能であり、最低100,000通しの間、一部の実施形態においては少なくとも200,000通しの間、安定したプリント画像を提供するものでなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5,694,852号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2004/0221756号明細書
【特許文献3】英国特許第2,071,574号明細書
【特許文献4】米国特許第3,684,771号明細書
【特許文献5】米国特許第3,788,996号明細書
【特許文献6】米国特許第4,070,388号明細書
【特許文献7】米国特許第4,032,698号明細書
【特許文献8】米国特許第6,472,463号明細書
【特許文献9】英国特許第1,544,748号明細書
【特許文献10】米国特許第4,007,680号明細書
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Epoxy Resins Chemistry and Technology,Clayton A.May editor,2nd edition,Marcel Dekker,Inc.,N.Y.
【非特許文献2】“Epoxy Resins,”by Ha.Q.Pham and Maurice J.Marks in Encyclopedia of Polymer Science and Technology,4th ed.,Jacqueline I.Kroschwitz,exec.ed.,John Wiley & Sons,Hoboken,NJ,2004,pp.678−804
【非特許文献3】“Use of A−B Block Polymers as Dispersants For Non−aqueous Coating Systems”by H.K.Jakubauskas,Journal of Coating Technology,Vol.58;Number 736;pages 71−82
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、彫刻性、耐溶剤性、耐機械的摩耗性、および印刷品質という必須の組み合わせを示す表面層を有する印刷版を、経済的でかつ環境に優しいやり方で製造するために使用され得る、具体的な組成物を特定する必要性が依然としてある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、a)i)156〜300g/当量のエポキシド当量重量を有する少なくとも1種のエポキシノボラック樹脂と、ii)60g/当量以下のアミン当量重量を有する、第一アミンおよび第二アミンから選択されるアミン硬化剤とを含む組成物を供給する工程を含む、印刷版を製造するための方法を提供する。当該方法は、b)硬化性組成物を支持基材上に塗布し、それにより層を形成する工程;c)室温〜約250℃の範囲内の1つ以上の温度で層を硬化させる工程;およびd)工程c)により得られる層に少なくとも1つのセルを彫刻する工程をさらに含む。
【0008】
本発明の別の態様によれば、a)上記の方法に従って印刷版を製造する工程;b)少なくとも1つのセルに溶剤インクを塗布する工程;およびc)セルから印刷適性基材にインクを転移させる工程を含む、印刷版を用いたグラビア印刷のための方法であって、硬化層は、層の重量に基づき≦10%膨張する、方法が提供される。
【0009】
本発明の別の態様によれば、支持基材に隣接する連続した印刷面を含む印刷版であって、連続した印刷面が、i)約156〜約300g/当量のエポキシド当量重量を有する少なくとも1種のエポキシノボラック樹脂と、ii)60g/当量以下のアミン当量重量を有する、第一アミンおよび第二アミンから選択されるアミン硬化剤とを含む硬化性組成物から製造された硬化エポキシ組成物である、印刷版が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の文脈において、多くの用語が利用されることになる。
【0011】
用語「エポキシノボラック樹脂」とは、エピクロロヒドリンとノボラックとの反応によって作られるエポキシ樹脂の群に属する任意のものを意味する。用語「ノボラック」は、反応の際に過剰のフェノールを用いて作られるフェノール−ホルムアルデヒド樹脂のうちの任意のもの、および反応の際に過剰のクレゾールを用いて作られるクレゾール−ホルムアルデヒド樹脂のうちの任意のものをいう。
【0012】
用語「グラビア印刷」とは、印刷版の表面に1つ以上の窪みを彫刻またはエッチングすることにより画像が作られ、彫刻またはエッチングされた領域がインクで満たされ、次いで、印刷版が基材(例えば、紙または別の材料)にインク画像を転移させる方法を意味する。個々の彫刻またはエッチングされた窪みを、「セル」と呼ぶ。
【0013】
用語「印刷版」とは、印刷用表面上にインクを塗布するために使用される(例えば、シリンダー、ブロック、またはプレートの形態の)物を意味する。
【0014】
用語「室温」、または同義的に「周囲温度」は、当業者に知られているとおりの通常の意味を有し、約16℃(60°F)〜約32℃(90°F)の範囲内の温度を含み得る。
【0015】
用語「第一アミン」とは、−NH2官能基を含有する有機化合物のクラスに属する任意のものを意味する。
【0016】
用語「第二アミン」とは、−NH−官能基を含有する有機化合物のクラスに属する任意のものを意味する。
【0017】
用語「溶剤インク」とは、水ベースのインクに対し、有機溶剤を含むインクを意味し、典型的には、有機溶剤は揮発性である。
【0018】
用語「硬化」は、化学添加剤、熱、紫外線、または電子ビームによってもたらされるポリマー鎖の架橋による、ポリマー材料または樹脂の硬化をいう。硬化は、ポリマー鎖の架橋によって主として起こる。しかし、ポリマー材料または樹脂内の他の相互作用(例えば、枝分れおよび連鎖延長)もまた、ポリマー鎖の架橋に比べて相対的に小さい程度に起こり得る。
【0019】
用語「硬化性組成物」は、本明細書で使用される場合、基材に塗布され、次いで硬化される組成物をいう。硬化性組成物は、少なくとも、硬化性ポリマー材料または樹脂とアミン硬化剤とを含有し、かつ、さらなる成分(例えば、触媒、反応性希釈剤、充填剤、ナノ粒子、軟化成分、樹脂改質剤、顔料、溶剤、および/または他の添加剤)を含み得る。
【0020】
用語「硬化組成物」は、本明細書で使用される場合、塗布され硬化された後に、基材上に残る組成物をいう。硬化組成物は、少なくとも、硬化性ポリマー材料または樹脂とアミン硬化剤とを含有し、かつ、さらなる成分(例えば、触媒、反応性希釈剤、充填剤、ナノ粒子、軟化成分、樹脂改質剤、顔料、および/または他の添加剤、ならびに微量の溶剤(溶剤は、典型的には、塗布および/または硬化の間に追い出される))を含み得る。硬化組成物はまた、硬化層、すなわち彫刻可能層と考えられ得る。場合によっては、硬化組成物は、硬化性組成物の硬化層と呼ばれ得る。
【0021】
用語「アミン当量重量」とは、アミン基含有分子の分子量を分子中のアミン水素の数で除した値を意味する。例えば、トリエチレンテトラアミン(「TETA」)は、146の分子量および6個のアミン水素を有するので、アミン当量重量は、146/6=24g/当量になる。
【0022】
用語「エポキシド当量重量」(EEW)とは、1グラム当量のエポキシドを含有するグラム単位での重量を意味する。
【0023】
用語「エポキシド」とは、「エポキシド基」である反応性基を含有する有機化合物を意味し、用語「エポキシド基」とは、以下のように示されるとおりに連結される酸素と2つの炭素との結合の結果生じる基を意味する。
【0024】
【化1】

【0025】
用語「ナノ粒子」とは、少なくとも1つの寸法が約500nm未満である粒子を意味する。
【0026】
用語「分子量」は、本明細書において別段の記載がない限り、重量平均分子量である。
【0027】
本明細書において別段の表示がない限り、成分の重量パーセント(重量%)は、硬化性組成物の、溶剤を除く成分の総合重量に基づく。
【0028】
本発明は、支持基材上で硬化性組成物の層を硬化させることにより形成される印刷面を有する印刷版、硬化性組成物から印刷版を製造するための方法、特に、硬化性組成物からグラビア印刷版を製造するための方法を含む。当該硬化性組成物は、i)約156〜約300のエポキシド当量重量を有するエポキシノボラック樹脂と、ii)60g/当量未満のアミン当量重量を有する、第一アミンおよび第二アミンから選択されるアミン硬化剤とを含む。特許請求の範囲に記載された方法は、グラビア印刷用の1つ以上の金属層を有する従来の印刷版よりもかなり短い時間での印刷版の製造を、削減されたコストで、かつより環境にとって健全なやり方で促進する。驚くべきことに、そして予想外なことに、特許請求の範囲に記載された方法は、従来のグラビア印刷版に匹敵する好結果の性能を得るための特性要件をいくつも満たすことが可能である、特定の範囲のエポキシド当量重量を有するエポキシノボラック樹脂と、特定のアミン当量重量を有するアミン硬化剤とを含有する特定の硬化性組成物から、印刷版を製造する。
【0029】
約156〜約300のエポキシド当量重量を有するエポキシノボラック樹脂と60g/当量未満のアミン当量重量を有するアミン硬化剤とを含有する硬化性組成物を用いて製造される本発明の印刷版は、彫刻性、耐溶剤性、耐機械的摩耗性、および印刷品質という必須の組み合わせを示す。本発明の硬化性組成物は、容易に塗布されて、相対的に均一な、最小限の研削または研磨しか必要としない層を支持基材上に形成し得ることから、組成物は、良好な塗被性を有している。本発明の硬化性組成物は、適度に迅速に、6時間未満で硬化され得、多くの実施形態において4時間未満で硬化され得ることから、組成物は、良好な硬化性を有している。良好な塗被性および硬化性は、エポキシ樹脂の高品質のコーティングが、最小限の後処理で、グラビア彫刻および印刷に要求される厳密な許容誤差の範囲内で生成されることを可能にする。さらに、高品質のコーティングおよび硬化が迅速に達成され得るので、特許請求の範囲に記載された方法は、時間および費用の点で非常に経済的であり、グラビア印刷シリンダーのための従来の金属めっき法と競合し得る。当該特定の硬化性組成物の層の硬化後、層は、彫刻性と耐機械的摩耗性との間の望ましいバランスを提供する。硬化層は、彫刻されると十分に画定された印刷セル構造を生じ、しかもなお、ドクターブレードおよび印刷基材、ならびにインク中に存在し得る研磨粒子との接触による印刷の間の摩耗に耐えるレベルの硬さを示す。本発明の組成物の硬化層は、隣接セル間の壁のブレークアウト(break out)をほとんどまたは全く伴わずに、少なくとも200ライン毎インチまでの解像度のセル密度を有するように彫刻され得る。しかも、本発明の組成物の硬化層は、相対的に長い印刷運転(すなわち、少なくとも100,000通し、好ましくは、少なくとも200,000通しまたはそれ以上)の間、10%以下のセル領域の摩耗減少で印刷することが可能であり、多くの実施形態において5%未満の摩耗で印刷することが可能である。さらに、本発明の組成物の硬化層は、印刷インクおよび清浄液中に使用される溶剤に対して優れた耐性を有しており、その結果、相対的に長い印刷運転の間、高品質の印刷が維持され得る。本発明の硬化性組成物の硬化層を有する本発明の印刷版は、グラビア印刷を行うために必要な特性の必須の組み合わせを示すので、本発明の印刷版は、先行技術の他の非金属樹脂ベースのグラビア印刷版に対して著しい進歩をもたらす。
【0030】
エピクロロヒドリンとノボラックとの反応によって作られるエポキシノボラック樹脂は、ペンダントエポキシド基を有したフェノール主鎖を有する中間体分子である。ノボラック樹脂は、非置換フェノールからも置換フェノール(例えば、クレゾール)からも製造され得る。エポキシノボラック樹脂はまた、クレゾールがエポキシノボラック樹脂のフェノール主鎖を構成するエポキシクレゾールノボラック樹脂をも含む。
【0031】
本明細書に記載される方法において使用されるエポキシノボラック樹脂は、以下の値のうちの任意の2つの間のエポキシド当量重量(EEW)、および任意選択でその2つを含むEEWにより特徴付けられる:156、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、および300g/当量。1つの実施形態において、EEWは、約156g/当量〜約230g/当量の間である。エポキシ当量重量が約300を超えると、エポキシノボラック樹脂の組成物の耐薬品性または耐溶剤性が低下するであろうことが予想される。
【0032】
一部の実施形態において、エポキシノボラック樹脂は、以下の値のうちの任意の2つの間の分子量、および任意選択でその2つを含む分子量を有する:312、400、600、800、1000、1200、1500、1800、2100、2400、2700、および3000。1つの実施形態において、エポキシノボラック樹脂の分子量は、約312〜約1500の間である。多くの実施形態において、エポキシノボラック樹脂は、硬化の際のより高い架橋密度に繋がる、2.0より高い平均官能基数を有する。より高い架橋密度を有するエポキシノボラック樹脂は、他のエポキシ樹脂組成物(例えば、DGEBPAおよびDGEBPF)と比較して、印刷版としての使用に適した耐摩耐衝撃性および耐溶剤性に繋がる良好な靱性および耐薬品性を有している。
【0033】
一部の実施形態において、エポキシノボラック樹脂は、以下の式(I)
【0034】
【化2】

【0035】
(式中、nは、約0.1〜約20(それらの間の分数を含む)の範囲であり得る)の樹脂を含む。一部の実施形態において、nは、約0.2〜約5.0の範囲である。他の実施形態において、nは、約0.2〜約2.0の範囲である。式(I)のエポキシノボラック樹脂の実施形態の例には、D.E.N.(商標)431、D.E.N.(商標)438、およびD.E.N.(商標)439(The Dow Chemical Company(Midland,Michigan,U.S.A.)から入手可能);ならびにEPON(商標)Resin 160、EPON(商標)Resin 161(Momentive Performance Materials Holdings,Inc.(Columbus,Ohio,U.S.A.)の一部であるMomentive Specialty Chemicals,Inc.(以前のHexion Specialty Chemicals)から入手可能)がある。
【0036】
一部の他の実施形態において、エポキシノボラック樹脂は、以下の式(II)
【0037】
【化3】

【0038】
(式中、nは、約0.1〜約20(それらの間の分数を含む)の範囲であり得る)のエポキシクレゾールノボラック樹脂を含む。一部の実施形態において、nは、約0.2〜約4の範囲である。式(II)のエポキシノボラック樹脂の実施形態の例には、Araldite(登録商標)ECN 1280およびECN 1273(Huntsmanから入手可能);ならびにEPON(商標)Resin 164およびEPON(商標)Resin 165がある。
【0039】
さらに他の実施形態において、エポキシノボラック樹脂は、以下の式(III)
【0040】
【化4】

【0041】
(式中、nは、約0〜約10(それらの間の分数を含む)の範囲であり得る)のエポキシノボラック樹脂を含む。一部の実施形態において、nは、約0〜約4の範囲である。式(III)のエポキシノボラック樹脂の実施形態の例には、EPON(商標)Resin SU−2.5がある。
【0042】
エポキシノボラック樹脂は、概して、複数のエポキシド基を含有する。1分子当たりのエポキシド基の数は、開始フェノールノボラック樹脂中のヒドロキシル基の数、それらが反応した程度、および合成の間に低分子化学種が重合する度合いによって決まる。複数のエポキシド基は、所望の程度の架橋結合密度をこれらの樹脂が達成するのを可能にする。式(I)、(II)、および(III)のエポキシノボラック化合物は、それぞれ、オリゴマー(すなわち、「−マー」単位)の分布を有し、そのようなものであるから、nは、上記に示された式(I)、式(II)、および式(III)についてのnの値の範囲に従う、エポキシノボラック化合物中の−マー単位数を表わす。本明細書で使用される場合、用語「−マー」または「−マー単位」は、ダイマー、トリマー、テトラマー、ペンタマー、ヘキサマー、およびヘプタマーを含む1より多くの反復単位を有するエポキシノボラックオリゴマー化合物を含む。1つの実施形態において、エポキシノボラック樹脂中の−マー単位の分布は、nが樹脂中の平均−マー単位数を表わすような、いくつかのまたは全ての可能な−マー単位(すなわち、ダイ−マーからヘプタ−マーまで)の混合物を含む。他の実施形態において、エポキシノボラック樹脂中の−マー単位の分布は、nが混合物中のオリゴマーの主化学種を表わすような、いくつかのまたは全ての可能な−マー単位(すなわち、ダイマーからヘプタマーまで)の混合物を含む。別の例として、nが2.4である場合の式(I)のエポキシノボラックは、主化学種がテトラマーおよびペンタマーであるオリゴマーの混合物(すなわち、ダイマー、トリマー、テトラマー、ペンタマー、およびヘキサマー(およびおそらくはヘプタマー)の混合物)である。式(I)、(II)、および(III)により表わされるエポキシノボラック化合物について、nは、以下の値のうちの任意の2つの間の値、および任意選択でその2つを含む値であり得る:上記されたnについての範囲に従い、0、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9。エポキシノボラック樹脂は、硬化性組成物中に、硬化性組成物の成分の総合重量に基づき約35〜約95重量%存在する。一部の実施形態において、エポキシノボラック樹脂は、以下の値のうちの任意の2つの間の量、および任意選択でその2つを含む量で存在する:硬化性組成物の成分の総合重量に基づき、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、および95重量%。
【0043】
エポキシ樹脂の混合物(すなわち、2種以上のエポキシノボラック樹脂または1種以上のエポキシノボラック樹脂と1種以上の他のエポキシ樹脂との混合物)もまた、当該硬化性組成物において使用され得る。エポキシノボラック樹脂とブレンドされ得る第2のエポキシ樹脂としての他のエポキシ樹脂の例としては、ビスフェノールAジグリシジルエーテル「DGEBPA」およびそのオリゴマー
【0044】
【化5】

【0045】
ならびにビスフェノールFジグリシジルエーテル「DGEBFA」およびそのオリゴマー
【0046】
【化6】

【0047】
が挙げられ、xは0〜約16であり得る(それらのオリゴマーについて)が、これらに限定されない。非オリゴマーであるDGEBPAおよびDGEBFAについては、xは0である。DGEBPAおよびDGEBFAのオリゴマーの分子量は、約5000g/モルまで(最大)であり得る。エポキシノボラック樹脂とブレンドされ得る第2のエポキシ樹脂として好適な他のエポキシ樹脂としては、約300cpsより高い粘度を有する多官能性エポキシ反応性希釈剤(例えば、三官能性および四官能性エポキシ反応性希釈剤)が挙げられる。一部の実施形態において、第2のエポキシ樹脂としての多官能性エポキシ反応性希釈剤は、単独で、または約300cpsより高い粘度を有する他の多官能性エポキシ反応性希釈剤と共に、使用され得る。第2のエポキシ樹脂としての多官能性エポキシ反応性希釈剤の例としては、Araldite(登録商標)MY0510として市販されている4−グリシジルオキシ−N,N−ジグリシジルアニリン、およびAraldite(登録商標)MY−721として市販されているN,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−メチレン−ビス−ベンゼンアミン(共に、Huntsman International LLC(Salt Lake City,Utah,U.S.A.)からのもの)が挙げられるが、これらに限定されない。硬化性組成物において少なくとも1種の他のエポキシ樹脂とブレンドされる場合、エポキシノボラック樹脂は、エポキシノボラック樹脂および少なくとも1種の他のエポキシ樹脂の総合重量に基づき、少なくとも50重量%で存在する。
【0048】
本明細書に記載される方法において使用される硬化剤は、第一アミンおよび第二アミンであり、したがって本明細書においてアミン硬化剤と呼ばれる。アミン硬化剤は、他の可能な硬化剤(例えば、酸および/または無水物)に比べて硬化性組成物の硬化速度を上昇させ、かつ適度の温度(例えば、室温〜約100℃)で組成物を硬化させることが可能であるので、本発明の方法にはアミン硬化剤が先ず第一に適している。アミン硬化剤は、約60g/当量以下のアミン当量重量(AEW)によって特徴付けられる。1つの実施形態において、アミン当量重量は、以下の値のうちの任意の2つの間の当量重量、および任意選択でその2つを含む当量重量である:20、30、40、50、および60g/当量。多くの実施形態において、アミン硬化剤は、約20〜60g/当量のアミン当量重量によって特徴付けられる。60g/当量以下のアミン当量重量を有するアミン硬化剤は、印刷品質が少なくとも100,000通し以上の印刷運転期間(print run length)の間維持され得るほど十分な程度の耐溶剤性を有する組成物の硬化層をもたらすのを助ける。印刷版上の樹脂ベースの層の耐溶剤性は、グラビア印刷において使用される多くのインクが溶剤ベースのインクであるので特に重要であり、樹脂ベースの層の溶剤による侵食は、層が膨張する原因となり得、その結果印刷品質および運転期間に悪影響を及ぼし得る。アミン硬化剤は、硬化性組成物中に、硬化性組成物の成分の総合重量に基づき、約3〜約30重量%存在する。一部の実施形態において、アミン硬化剤は、以下の値のうちの任意の2つの間の量、および任意選択でその2つを含む量で存在する:硬化性組成物の成分の総合重量に基づき、3、5、10、15、20、25、および30重量%。
【0049】
多くの実施形態において、アミン硬化剤は、1分子当り2個以上のアミノ官能基を有する。アミンは、脂肪族アミン(例えば、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン)、脂肪族ポリアミン、変性脂肪族ポリアミン、脂環式アミン(例えば、イソホロンジアミン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1−(2−アミノエチル)ピペラジン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン)、変性脂環式アミン、芳香族アミン(例えば、m−フェニレン−ジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、ジエチルトルエンジアミン);またはアリーリルアミン(アミン官能基がメチレン基−CH2−によって隔てられている脂環式または芳香族部分を有する)(例えば、m−キシリレンジアミンおよび1,3−ビス(アミノメチルシクロヘキサン))であり得る。エポキシ硬化剤は、(非特許文献1)に記載されている。市販のアミン硬化剤の広範な一覧もまた、(非特許文献2)の第730頁の表15に示されている。アミン硬化剤の混合物もまた使用され得る。一部の実施形態において、硬化剤は、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、または脂環式アミンである。多くの実施形態において、エポキシ官能基とアミン水素官能基との比は、モル対モルベースで、約0.7:1.0〜約1.0:0.7である。
【0050】
エポキシノボラック樹脂は、硬化剤および触媒の存在下で硬化され得、そのようなものであるから、硬化性組成物は、触媒を含み得る。エポキシ樹脂の触媒重合は、種々のルイス塩基および酸ならびに塩および金属錯体を用いて行われる。エポキシ樹脂硬化反応は、(非特許文献1)に記載されている。好適な触媒としては、イミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、およびノニルフェノールが挙げられるが、これらに限定されない。触媒は、硬化性組成物中に、硬化性組成物の成分の総合重量に基づき0〜約10重量%存在し得る。一部の実施形態において、触媒は、以下の値のうちの任意の2つの間の量、および任意選択でその2つを含む量で存在する:硬化性組成物の成分の総合重量に基づき、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10重量%。
【0051】
本明細書に記載される方法において使用される硬化性組成物は、任意選択で1種以上のエポキシ反応性希釈剤を含有する。エポキシ反応性希釈剤は、硬化させようとするエポキシ組成物の粘度および他の特性(例えば、湿潤および含浸)を改変するために使用される低粘度エポキシ樹脂である。エポキシ反応性希釈剤の粘度は、典型的には、室温で約300cps未満である。一部の実施形態において、エポキシ反応性希釈剤の粘度は、室温で約1000cps以下である。一部の他の実施形態において、エポキシ反応性希釈剤は、約300cpsより高い、約1000cpsまでの粘度を有し得、さらには(室温で)それより高い粘度も、特にそれより高い粘度のエポキシ反応性希釈剤が混合物の粘度が約300cps未満であるようなエポキシ反応性希釈剤の混合物に含められる場合に有し得る。エポキシ反応性希釈剤は、単官能性または多官能性(例えば、二官能性、三官能性、または四官能性)であり得、本明細書において、反応性希釈剤、または官能性希釈剤、または希釈剤と呼ばれ得る。
【0052】
単官能性希釈剤の例としては、p−t−ブチルフェノールグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、およびC8〜C14グリシジルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。単官能性希釈剤は、組成物の成分の総合重量に基づき0〜約20重量%という、エポキシ樹脂の耐薬品性が損なわれない、十分に少ない量で使用され得る。一部の実施形態において、単官能性希釈剤は、以下の値のうちの任意の2つの間の量、および任意選択でその2つを含む量で存在する:硬化性組成物の成分の総合重量に基づき、0、2、4、6、8、10、12、14、16、18、および20重量%。
【0053】
二官能性希釈剤の例としては、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル;ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル;およびシクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。二官能性希釈剤は、組成物の成分の総合重量に基づき、0〜約30重量%使用され得る。一部の実施形態において、二官能性希釈剤は、以下の値のうちの任意の2つの間の量、および任意選択でその2つを含む量で存在する:硬化性組成物の成分の総合重量に基づき、0、1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、および30重量%。
【0054】
三官能性希釈剤の例としては、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、およびHuntsman International LLC(Salt Lake City,Utah,U.S.A.)からAraldite(登録商標)MY0510として市販されている4−グリシジルオキシ−N,N−ジグリシジルアニリンが挙げられるが、これらに限定されない。三官能性希釈剤は、組成物の成分の総合重量に基づき、0〜約30重量%使用され得る。一部の実施形態において、三官能性希釈剤は、以下の値のうちの任意の2つの間の量、および任意選択でその2つを含む量で存在する:硬化性組成物の成分の総合重量に基づき、0、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、および30重量%。
【0055】
四官能性希釈剤の例には、ペンタエリトリトールテトラグリシジルエーテル、およびHuntsman InternationalからAraldite(登録商標)MY−721として市販されているN,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−メチレン−ビス−ベンゼンアミンがある。四官能性希釈剤は、組成物の成分の総合重量に基づき、0〜約20重量%使用され得る。一部の実施形態において、四官能性希釈剤は、以下の値のうちの任意の2つの間の量、および任意選択でその2つを含む量で存在する:硬化性組成物の成分の総合重量に基づき、0、2、4、6、8、10、12、14、16、18、および20重量%。
【0056】
エポキシ反応性希釈剤の混合物は、単官能性希釈剤の使用を最小限(すなわち、20重量%未満、好ましくは10重量%未満)に抑え、硬化性組成物の所望の粘度が組成物の所望の特性を維持しながら達成されるように使用され得る。一部の実施形態において、希釈剤の混合物は、硬化性組成物の成分の総合重量に基づき、0〜約40重量%存在し得る。一部の実施形態において、希釈剤の混合物は、以下の値のうちの任意の2つの間の量、および任意選択でその2つを含む量で存在する:硬化性組成物の成分の総合重量に基づき、0、1、3、5、7、9、10、11、13、15、17、19、20、21、23、25、27、29、30、31、33、35、37、および40重量%。
【0057】
硬化性組成物はまた、組成物を本発明の方法の塗布工程の実施に適応させるのを助ける1種以上の液状配合物を含み得る。硬化性組成物は、液状配合物中に分散または溶解または懸濁され得、その結果、硬化性組成物は、所望の手段で塗布され得、支持基材上に組成物の層を形成し得る。液状配合物は限定されず、有機配合物および水性配合物を含み得る。1種以上の液状配合物は、別の物質(すなわち、樹脂)を溶解して均一な混合物を形成することが可能な物質である、溶剤であり得る。液状配合物は、本発明の方法の工程を実施するのに十分な溶解状態に組成物中に材料を分散または懸濁させることが可能なキャリア(例えば、反応性希釈剤)であり得る。硬化性組成物は、1種以上の液状配合物を、硬化性組成物のための溶剤および/またはキャリアとして含み得る。多くの実施形態において、液状配合物は、1種以上の有機溶剤である。多くの実施形態において、液状溶剤または溶剤混合物は、支持基材への組成物の塗布後に、最も典型的には硬化工程の間に、蒸発により組成物から除去される。
【0058】
本明細書に記載される方法において使用される硬化性組成物中には、エポキシノボラック樹脂、アミン硬化剤、触媒、および反応性希釈剤の総合重量に基づき、エポキシノボラック樹脂が約35〜約95重量%で存在し、アミン硬化剤が約5〜約28重量%で存在し、触媒が0〜約10重量%で存在し、反応性希釈剤が0〜約40重量%で存在する。一部の実施形態において、硬化性組成物は、エポキシノボラック樹脂、アミン硬化剤、および反応性希釈剤の総合重量に基づき、約50〜約95重量%で存在するエポキシノボラック樹脂、約5〜約28重量%で存在するアミン硬化剤、および0〜約25重量%で存在する反応性希釈剤を含む。本明細書に記載される方法において使用される硬化性組成物の一部の他の実施形態において、硬化性組成物の成分の総合重量に基づき、エポキシノボラック樹脂は約50〜約90重量%で存在し、アミン硬化剤は約5〜約25重量%で存在し、触媒は約0〜約10重量%で存在し、反応性希釈剤は約0〜約25重量%で存在する。
【0059】
任意選択で、硬化性組成物は、約50重量%まで(最大)のナノ粒子(すなわち、少なくとも1つの寸法が約500nm未満である粒子)を含み得る。1つの実施形態において、少なくとも1つの寸法の値は、以下の値のうちの任意の2つの間の値、および任意選択でその2つを含む値である:1、10、50、75、100、200、300、400、および500nm。1つの実施形態において、この値は、約1nm〜約100nmの間である。ナノ粒子は、以下の値のうちの任意の2つの間の量、および任意選択でその2つを含む量で存在し得る:硬化性組成物の成分の総合重量に基づき、0、0.1、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48および50重量%。ナノ粒子は、当該組成物の硬化層の耐摩耗性の向上および彫刻性の改善に繋がり得る、当該組成物の硬度および弾性率をもたらし得る。1つの実施形態において、ナノ粒子は、当該組成物の成分の総合重量に基づき約0.1〜約50重量%の間の量で存在し;一部の実施形態においては、ナノ粒子は、当該組成物の成分の総合重量に基づき約0.1〜30重量%の間の量で存在し;他の実施形態においては、ナノ粒子は、当該組成物の成分の総合重量に基づき約0.1〜約20重量%の間の量で存在し;一部の実施形態においては、ナノ粒子は、当該組成物の成分の総合重量に基づき約0.1〜約10重量%の間の量で存在し;一部の他の実施形態においては、ナノ粒子は、当該組成物の成分の総合重量に基づき約10〜20重量%の間の量で存在する。
【0060】
任意選択で、ナノ粒子は、ナノ粒子と樹脂との間の相互作用を改善するために、例えば有機オニウム化学種での、コーティングが施されるか、または表面処理に供され得る。
【0061】
好適なナノ粒子の例としては、酸化アルミニウム(例えば、アルミナ);シリカ(例えば、コロイドシリカおよびヒュームドシリカ);酸化亜鉛;酸化ジルコニウム;酸化チタン;酸化マグネシウム;酸化タングステン;炭化タングステン;炭化ケイ素;炭化チタン;窒化ホウ素;二硫化モリブデン;粘土(例えば、ラポナイト、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、カオリナイト、ジッカイト、ナクライト、ハロイサイト、サポナイト、ノントロナイト、バイデル石、ボルコンスコアイト(volhonskoite)、ソーコナイト、マガディアイト(magadite)、メドモナイト(medmonite)、ケニヤアイト(kenyaite)、バーミキュライト、蛇紋岩、アタパルジャイト、クルケアイト、アレタイト(alletite)、海泡石、アロフェン、イモゴライト);グラフェン;酸化グラフェン;カーボンナノチューブ;カーボンブラック;炭素フィラメント;およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0062】
任意選択で、硬化性組成物は、硬化組成物層の改善された耐摩耗性を付与する固体潤滑剤としての充填剤を含み得る。充填剤は、少なくとも1つの寸法が約500nmより大きい、概して約500nm〜約5ミクロンの間である粒子を含む。充填剤の例としては、酸化アルミニウム(例えば、アルミナ);シリカ(例えば、コロイドシリカおよびヒュームドシリカ);酸化亜鉛;酸化ジルコニウム;酸化チタン;酸化マグネシウム;炭化タングステン;炭化ケイ素;炭化チタン;窒化ホウ素;二硫化モリブデン;グラファイト;ポリ(テトラフルオロエチレン);およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0063】
任意選択で、硬化性組成物は、樹脂改質剤を含み得る。樹脂改質剤は、架橋密度を高めるため、および/または架橋網目構造を安定化するために使用され得、それにより、改善した最終用途特性(例えば、向上した耐溶剤性、耐摩耗性)がもたらされ得、かつ/または組成物の硬化層の彫刻性が改善され得る。樹脂改質剤としては、アルコールおよびポリオールのアクリレートモノエステル;アルコールおよびポリオールのアクリレートポリエステル;アルコールおよびポリオールのメタクリレートモノエステル;ならびにアルコールおよびポリオールのメタクリレートポリエステルが挙げられるが、これらに限定されず、ここで、好適なアルコールおよびポリオールとしては、アルカノール、アルキレングリコール、トリメチロールプロパン、エトキシル化トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、およびポリアクリロールオリゴマーが挙げられるが、これらに限定されない。単官能性および多官能性アクリレートまたはメタクリレートの組み合わせが使用され得る。硬化性組成物は、硬化性組成物の成分の総合重量に基づき、約10重量%まで(最大)の樹脂改質剤を含み得る。
【0064】
硬化性組成物は、任意選択で、エポキシノボラック樹脂への添加剤(例えば、軟化成分、非反応性希釈剤(例えば、フタル酸ジブチル)、界面活性剤、分散剤、染料、顔料、ならびにコーティングの均一性および外観のための湿潤およびレベリング添加剤)を含み得る。好適な界面活性剤の例としては、フッ素化界面活性剤が挙げられるが、これに限定されない。エポキシ樹脂は、(非特許文献1)に記載されているように軟化され得る。好適な軟化成分としては、ポリアミド、カルボキシル化ポリマー、脂肪ジアミン、ポリグリコールジエポキシド、ポリウレタンアミン、およびポリエーテルウレタンアミンが挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態において、硬化性組成物中に含まれる軟化成分は、ポリウレタンアミンまたはポリエーテルウレタンアミン(例えば、Huntsman International LLCから入手可能なAradur(登録商標)70BDなど)である。軟化成分は、硬化性組成物の成分の総合重量に基づき0〜約15重量%で存在し得る。一部の実施形態において、軟化成分は、以下の値のうちの任意の2つの間の量、および任意選択でその2つを含む量で存在する:硬化性組成物の成分の総合重量に基づき、0、1、2、3、4、5、7、9、11、13、および15重量%。
【0065】
コーティングの均一性および外観のための、レベリング添加剤と呼ばれ得る、湿潤およびレベリング添加剤の例には、アクリルポリマー、ポリ(ジメチルシロキサン)、メチルアルキルポリシロキサンコポリマー、フルオロ変性アクリレート、およびフルオロ変性ポリアクリレートコポリマーがある。レベリング添加剤は、硬化性組成物の成分の総合重量に基づき、0〜約10重量%で存在し得る。一部の実施形態において、レベリング添加剤は、硬化性組成物の成分の総合重量に基づき、約0.1〜5重量%存在し得る。一部の実施形態において、レベリング添加剤は、以下の値のうちの任意の2つの間の量、および任意選択でその2つを含む量で存在する:硬化性組成物の成分の総合重量に基づき、0、0.1、1、2、3、4、5、7、9、および10重量%。
【0066】
分散剤は、ナノ粒子および/または充填剤および/または顔料を分散させ、フロキュレーションおよびアグロメレーションを回避するために添加され得る。使用に適する分散剤は、分散剤が層中のナノ粒子および/または充填剤を均一に分布させ得、かつ好適な層が生成されるほど十分に硬化性成分中の樹脂および他の成分と適合し得る限りにおいて、限定されない。各種の分散剤が、市販されている。好適な分散剤の一実施形態は、(非特許文献3)に一般的に記載されているA−B分散剤である。有用なA−B分散剤は、(特許文献4);(特許文献5);(特許文献6);および(特許文献7)に開示されている。他の有用な分散剤は、(特許文献8)に開示されている。分散剤の例としては、顔料、微粒子および/または充填剤の分散体を安定化し得る、塩基性基、酸性基および非イオン基を有するアクリレートポリマーが挙げられる。分散剤は、硬化性組成物中の成分の総合重量に基づき、約0.1〜10重量%の量で存在し得る。
【0067】
硬化性組成物は、上述のように、少なくとも、特定のEEWを有するエポキシノボラック樹脂と、特定のAEWを有するアミン硬化剤とを含む。多くの実施形態において、硬化性組成物は、エポキシノボラック樹脂、アミン硬化剤、および触媒を含み得るか、またはそれらから実質的になり得る。他の実施形態において、硬化性組成物は、エポキシノボラック樹脂、アミン硬化剤、触媒、およびナノ粒子を含み得るか、またはそれらから実質的になり得る。さらに他の実施形態において、硬化性組成物は、エポキシノボラック樹脂、アミン硬化剤、触媒、およびエポキシ反応性希釈剤を含み得るか、またはそれらから実質的になり得る。さらに他の実施形態において、硬化性組成物は、エポキシノボラック樹脂、アミン硬化剤、触媒、エポキシ反応性希釈剤、および軟化成分を含み得るか、またはそれらから実質的になり得る。さらに他の実施形態において、硬化性組成物は、エポキシノボラック樹脂、アミン硬化剤、触媒、エポキシ反応性希釈剤、およびレベリング添加剤を含み得るか、またはそれらから実質的になり得る。なお他の実施形態において、硬化性組成物は、エポキシノボラック樹脂、アミン硬化剤、さらなるエポキシ樹脂、触媒、およびエポキシ反応性希釈剤を含み得るか、またはそれらから実質的になり得る。一部の実施形態において、硬化性組成物は、硬化性組成物の成分の総合重量に基づき、約50〜約90重量%で存在するエポキシノボラック樹脂、約5〜約25重量%で存在するアミン硬化剤、約0〜約40重量%で存在する第2のエポキシ樹脂、約0〜約40重量%で存在する反応性希釈剤、約0〜約10重量%で存在する触媒、約1〜約50重量%で存在するナノ粒子、約0〜10重量%で存在する樹脂改質剤、約0〜約15重量%で存在する軟化剤、および約0〜10重量%で存在するレベリング添加剤を含む。
【0068】
1つの実施形態において、印刷版のために使用される硬化性組成物中のエポキシノボラック樹脂は、約156〜約200g/当量のエポキシド当量重量を有しており;そしてアミン硬化剤は、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、または脂環式アミンである。硬化性組成物は、1つの実施形態においては約50重量%まで(最大)のナノ粒子(例えば、アルミナナノ粒子またはシリカナノ粒子)を;別の実施形態においては約20重量%まで(最大)のナノ粒子をさらに含む。印刷版のための硬化性エポキシノボラック組成物は、少なくとも1種のさらなるエポキシ樹脂(例えば、ビスフェノールFジグリシジルエーテルまたはビスフェノールAジグリシジルエーテル)をさらに含み得る。
【0069】
当該印刷版製造方法は、支持基材上に硬化性組成物を塗布して、硬化性組成物の層を形成する工程を含む。組成物は、当該技術分野においてよく知られている種々の手段によって支持基材に塗布され得る。本発明の方法は、輪転グラビア印刷法において印刷ロールまたは印刷シリンダーとして使用され得る支持基材への、液体としての硬化性組成物の塗布に、特に適用可能である。支持基材への塗布についての一部の実施形態において、硬化性組成物は、約5000cps未満の粘度を有する。支持基材への塗布についての他の実施形態において、硬化性組成物は、約3000cps未満の粘度を有する。支持基材はまた、金属から典型的になる平面支持シートも含み得る。支持基材(例えば、印刷ロールまたは印刷シリンダー)は、金属(例えば、アルミニウムまたは鋼)、セラミック、またはポリマー材料で作られたものであり得る。支持基材への硬化性組成物の塗布に先立って、組成物を受ける支持基材の外面は、皮膜またはコーティングの浸潤および結合強さの改善のために支持基材の表面を清浄にするかつ/または改変する(すなわち、表面張力を低下させる)ために、プラズマまたはコロナ前処理によって前処理され得る。さらに、または代替的に、支持基材への硬化性(および硬化)組成物の接着を改善するために、プライマー溶液(例えば、エポキシプライマー溶液)が、支持基材の外面に塗布され得る。
【0070】
硬化性組成物は、任意の好適な方法(射出、流し込み、液体流延、噴射、浸漬、吹付け、蒸着、およびコーティングが挙げられるが、これらに限定されない)により支持基材に塗布され得る。好適なコーティング方法の例としては、スピンコーティング、ディップコーティング、スロットコーティング、ロールコーティング、押出コーティング、ブラシコーティング、リングコーティング、粉末コーティング、およびブレード(例えば、ドクターブレード)コーティングが挙げられ、いずれも当該技術分野において知られているとおりであり、例えば(特許文献9)に記載されているとおりである。1つの実施形態において、硬化性組成物は、支持基材(例えば、印刷ロールまたはシリンダー)の表面上に硬化性組成物を吹付けることによって塗布される。吹付けは、当該技術分野において知られている技術によりノズルの使用を通して成し遂げられ得る。別の実施形態において、硬化性組成物は、(特許文献10)に記載されているやり方と同様にしてブラシコーティングにより支持基材の外面に塗布される。多くの実施形態において、硬化性組成物は、印刷版に(硬化および彫刻後に)連続した印刷面をもたらすように、円筒状に造形された支持基材上に連続的またはシームレスな層を形成するように塗布される。支持基材の外面、または支持基材は、一部の実施形態においては、硬化性組成物の塗布に先立って約23℃から約40℃まで余熱され得る。硬化性組成物は、印刷基材の表面に塗布されると、約2〜約300ミル(50.8〜7620μm)の間の厚さを有する層を形成する。任意選択で、硬化性組成物層の厚さは、以下の厚さのうちの任意の2つを含む:2、4、8、12、16、20、50、100、150、200、250、および300ミル(50.8、102、203、305、406、508、1270、2540、3810、5080、6350、および7620μm)。
【0071】
当該印刷版製造方法は、室温〜約250℃の範囲内の1つ以上の温度で層を硬化させる工程を含む。硬化性組成物が支持基材に塗布された後、組成物の層は、層が彫刻されることが可能なように、支持基材上で硬化するように硬化される。樹脂組成物の硬化は、エポキシノボラック樹脂のポリマー鎖の、樹脂中の反応性基と組成物中の反応性成分(例えば、アミン硬化剤、任意選択の触媒、および任意選択で反応性希釈剤)によってもたらされる架橋によって起こる。硬化工程は、周囲温度で行われ得る。エポキシ樹脂を硬化させる方法は、紫外線への曝露および室温でのゲル化を含むが、本発明の方法の多くの実施形態について、硬化工程は、当該組成物の層を加熱することを含む。硬化工程は、室温(すなわち、周囲温度)超〜約250℃の範囲内の1つ以上の温度で硬化性組成物の層を加熱することによって加速され得る。本明細書に記載される硬化性組成物は、約6時間未満で熱的に(すなわち、加熱により)硬化される。一部の実施形態において、硬化性組成物の層は、4時間未満で熱的に硬化され;一部の他の実施形態において、硬化性組成物の層は、約1時間〜約2時間で熱的に硬化される。さらに他の実施形態において、硬化性組成物の層は、約1時間以下で熱的に硬化される。時間および温度は、具体的な硬化性組成物に依存するものであり、当業者によって容易に決定される。250℃までの温度での硬化はまた、溶剤が硬化性樹脂組成物中に存在する場合には、硬化しつつある樹脂層から溶剤を追い出すのに役立つ。より具体的には、温度は、以下の値のうちの任意の2つの間の範囲、および任意選択でその2つを含む範囲内である:16、30、50、70、90、110、130、150、170、190、210、230、および250℃。硬化は、その範囲内の1つの温度で、または逐次的に2つの温度で(例えば、100℃で1時間、次いで160℃で4時間)実施され得る。1つの実施形態において、当該組成物の層は、約100℃で2時間加熱することによって硬化される。別の実施形態において、当該組成物の層は、約100℃で1時間、次いで約150℃〜160℃でさらに約1時間加熱することによって硬化される。硬化性組成物の層が十分に硬化されるかどうかを決定する1つの適切な方法は、最終用途性能特性(例えば、接着性、耐摩耗性、および耐溶剤性)に基づく組成物のモデル検討を行うことによる。
【0072】
硬化性組成物の(支持基材表面への塗布および硬化後の)硬化層は、約2〜約300ミル(50.8〜7620μm)の厚さを有する。硬化層の厚さは、以下の厚さのうちの任意の2つの間の厚さ、および任意選択でその2つを含む厚さである:2、4、8、12、16、20、50、100、150、200、250、および300ミル(50.8、102、203、305、406、508、1270、2540、3810、5080、6350、および7620μm)。任意選択で、硬化層は、(特許文献1)に開示されているように、彫刻に先立って、所望の厚さ、円筒度および/または平滑度まで、研削および研磨され得る。硬化層の平滑度は、Rz値として報告され得る。多くの実施形態において、硬化層の平滑度は、約100マイクロインチ(2.54μm)未満のRz値を有し;他の実施形態において、Rz値は、約80マイクロインチ(2.03μm)未満である。
【0073】
当該印刷版製造方法は、支持基材上の当該組成物の硬化層に少なくとも1つのセルを彫刻する工程を含む。硬化性組成物が基材に塗布され硬化された後、硬化組成物層の彫刻工程で、その硬化組成物が掘り下げて除去されて、所望の画像のグラビア印刷の間に全部または一部が転移するインクを保持するための複数の別個のセルが層に形成される。別の実施形態においては、セルの彫刻工程で、当該層に窪みまたは凹部が形成され、当該層の最外面が、所望の画像のレリーフ印刷の間に全部または一部が転移するインクを保持する面である。支持基材上の硬化層への複数のセルの彫刻は、基材上への印刷によって所望の画像を再現することが可能な印刷面を有する印刷版(または同義的に、画像キャリア)をもたらす。彫刻工程は、当該技術分野において知られている種々の彫刻方法のうちの任意の方法によって成し遂げられ得る。例としては、電気機械彫刻(例えば、ダイヤモンドスタイラスを用いるもの)およびレーザー彫刻が挙げられるが、これらに限定されない。これらの彫刻方法は、電子彫刻系の一部であり得る。1つの実施形態において、彫刻は、ダイヤモンドスタイラスバイトを用いて実施される。別の実施形態において、直接レーザー非接触彫刻が、セルの生成に使用される。好適なレーザーの例としては、CO2レーザー、YAGレーザー(イットリウムアルミニウムガーネット結晶ベース)、およびダイオードレーザーが挙げられるが、これらに限定されない。エポキシノボラック組成物の硬化層を有する印刷版を製造する本発明の方法は、従来の彫刻装置を用いて、従来のグラビアシリンダーのための銅層を彫刻するために使用される標準的な、または実質的に標準的な条件で硬化層が彫刻され得るという点で、特に有利である。
【0074】
1種以上の顔料が、硬化性組成物に、レーザー彫刻性を向上させるために添加され得る。顔料は、レーザー彫刻可能な組成物中に、硬化性組成物の成分の総合重量に基づき約1重量%〜約25重量%の量で存在し得;1つの実施形態において、約3重量%〜約20重量%の量で存在し得る。一部の実施形態において、顔料は、以下の値のうちの任意の2つの間の量、および任意選択でその2つを含む量で存在する:硬化性組成物の成分の総合重量に基づき、0、1、3、6、8、10、12、14、16、18、20、22、および25重量%。そのような顔料の例としては、黒色珪質顔料(カーボン封入シリカ粒子含有)、およびカーボンブラックが挙げられるが、これらに限定されない。
【0075】
任意選択で、彫刻層は、バリを除去するための研磨によって、かつ/または印刷版のインク剥離性を改善するためにフルオロポリマー組成物のコーティング(すなわち、オーバーコート)を彫刻層上に塗布することによってさらに処理され得る。
【0076】
一部の実施形態において、印刷版は、シリンダーまたはプレートの形態である。一部の実施形態において、支持基材は、金属またはポリマーである。多くの実施形態において、印刷版は、グラビア印刷に適するものである。グラビア印刷は、画像部が窪んでいてインクまたは印刷材料を入れるための小さい凹陥部(または溜め)からなり、非画像部が版の表面であるところの、画像部から印刷版が印刷する印刷方法である。多くの実施形態において、印刷面は、グラビア印刷のためのインクを保持するのに適したインク受容セル面を形成するように彫刻されたエポキシノボラック組成物の硬化層である。一部の実施形態においては、印刷版は、凸版印刷版としての使用を含め、レリーフ印刷に適するものであり得ることも企図される。レリーフ印刷は、印刷版の画像部が隆起し、非画像部が窪んでいるところの、画像部から印刷版が印刷する印刷方法である。レリーフ印刷に有用な印刷版については、少なくとも1つのセルの彫刻は、所望の画像を印刷するためのインクを保持しないであろう非画像部を生成し、セルより上に隆起した表面が、所望の画像を印刷するためのインクを保持する画像部である。一部の実施形態において、印刷面は、レリーフ印刷のためのインクを保持するのに適したレリーフ面の隆起要素の最上面である。
【0077】
さらなる実施形態において、支持基材に隣接する連続した印刷面を含む印刷版であって、連続した印刷面が、i)約156〜約300のエポキシド当量重量を有するエポキシノボラック樹脂と、ii)60g/当量以下のアミン当量重量を有する、第一アミンおよび第二アミンから選択されるアミン硬化剤とを含む硬化性組成物から製造された硬化エポキシ組成物の層である、印刷版が提供される。
【0078】
別の実施形態において、上記のように製造された印刷版を用いた印刷のための方法が提供される。当該印刷方法は、製造された印刷版の硬化層に彫刻された少なくとも1つのセルにインク(典型的には、溶剤インク)を塗布する工程、および印刷適性基材にセルからインクを転移させる工程をさらに含む。好適な溶剤インクとしては、有機溶剤(例えば、アルコール、炭化水素(例えば、トルエン、ヘプタン)、アセテート(例えば、酢酸エチル)、およびケトン(例えば、メチルエチルケトン)であるが、これらに限定されない)ベースのインクが挙げられる。水性インクもまた、本発明の印刷版を用いた印刷に好適である。
【0079】
硬化層が十分に耐溶剤性でない場合、溶剤インクからの溶剤の吸収が、硬化層を過度に膨張させる原因となり得る。過度の膨張は、印刷品質にとって、および画像キャリアの耐久性にとって有害である。本明細書に記載される方法における硬化層重量増加に換算した膨張量は、約10重量%未満である。一部の実施形態において、硬化層の膨張量は、0重量%〜約5重量%の間である。これは、一部はアミン硬化剤の選択を通じて、すなわち、約60g/当量以下のアミン当量重量により特徴付けられるアミン硬化剤を用いることによって、達成され得る。さらには、エポキシノボラック樹脂の構造が、膨張量に影響を及ぼす。例えば、エポキシノボラック樹脂中のポリマー鎖の架橋の増大は、硬化層の膨張の減少、すなわち、耐溶剤性の改善に繋がり得る。
【実施例】
【0080】
本発明を、以下の実施例においてさらに規定する。これらの実施例は、本発明の好ましい実施形態を示すものではあるが、あくまでも例示として与えられるものと理解されるべきである。上記の検討およびこれらの実施例から、当業者は、本発明の基本的な特徴を確認し得、その精神および範囲から逸脱することなく様々な変更および修正を加えて本発明を様々な使用および条件に適合させ得る。
【0081】
略語の意味は、以下の通りである:「APS」は平均粒径を意味し、「cm」はセンチメートルを意味し、「DGEBPA」はビスフェノールAのジグリシジルエーテルを意味し、「DGEBPF」はビスフェノールFのジグリシジルエーテルを意味し、「EEW」はエポキシド当量重量を意味し、「equiv」は当量を意味し、「g」はグラムを意味し、「h」は時間を意味し、「L」はリットルを意味し、「lpi」はライン毎インチを意味し、「MEK」はメチルエチルケトンを意味し、「mg」はミリグラムを意味し、「mL」はミリリットルを意味し、「mPa・s」はミリパスカル・秒を意味し、「nm」はナノメートルを意味し、「oz」はオンスを意味し、「P」はポアズを意味し、「TETA」はトリエチレンテトラアミンを意味し、「重量%」は重量パーセント(百分率)を意味し、そして「μm」はマイクロメートルを意味する。
【0082】
別段の指摘がない限り、エポキシ材料のそれぞれについて言及されるエポキシド当量重量(EEW)は、各製造業者の標準試験方法に基づき製造業者によって報告された値である。
【0083】
方法
耐溶剤性
エポキシノボラック樹脂組成物を製造し、10ミル(254μm)のドローダウンバー(drawdown bar)を使用してMylar(登録商標)またはKapton(登録商標)シート支持体上にコーティングして、支持体上にポリマー皮膜(すなわち、層)を形成した。ポリマー皮膜試料を、実施例において示されるように硬化させ、Mylar(登録商標)またはKapton(登録商標)支持体から剥離した。ポリマー皮膜試料の皮膜断片(50〜100mg)を計量し、10〜20mLの特定の溶剤を含有するジャーに入れた。皮膜断片を、1週(すなわち、7日)の間浸漬させ、次いで、吸取り乾燥させ、計量した。皮膜断片重量の%変化は:
100*[重量(7日)−重量(初期)]/重量(初期)
のように計算される。溶剤中での7日後に断片重量の%変化が10%未満であれば、組成物は、良好な耐溶剤性を有していた。
【0084】
彫刻性
実施例において示されるようにエポキシノボラック樹脂組成物を製造し、シリンダー上にコーティングし、硬化させ、彫刻した。硬化樹脂試料は、170〜200ライン毎インチ(lpi)でセルを生成するための試料の彫刻が15%未満のブレークアウトで達成され得たならば、良好な彫刻性を有すると見なされた。170〜200ライン毎インチの彫刻画像解像度は、約115〜140μmのセル幅および25μm未満のセル壁の幅に相当する。ブレークアウトは、2つのセルに隣接する壁に破損があり、それによりその2つのセル間の連絡を生じている欠陥として本明細書において定義される。顕微鏡を用いて彫刻領域を検査し、30〜50個以上のセルを検査して、ブレークアウトパーセントを決定した。
【0085】
耐摩耗性
グラビア印刷プロセスを模倣するために、耐摩耗性試験を確立した。耐摩性耗試験のために、組成物の硬化層を有するシリンダーを回転させ、一部をインクトレーに浸漬させ、1回転に1度、鋼ドクターブレードと接触させた。試験に使用したインクは、Multiprint Whiteインク(Del Val Ink and Color Inc.からのもの)またはHT Color STR New Whiteインク(Hi−Tech Color Inc.(Odenton,MD,U.S.A.)からのもの)であった。Hirox KH−7700顕微鏡を用い、摩耗の程度を観察するために、彫刻したシリンダーのセル領域を、(特に示さない限り)300,000回転の前後に測定した。摩耗は、パーセントセル領域減少として報告される。
【0086】
印刷品質
印刷品質は、長い印刷運転(すなわち、100,000通しより多く)について決定したものであり、印刷品質(鮮鋭度、汚れなどのような特性を考慮)が視覚的に許容できなくなるまでの通し数に換算して報告される。
【0087】
材料
D.E.N.(商標)431エポキシノボラック樹脂は、The Dow Chemical Company(Midland,Michigan,U.S.A.)から入手した。この樹脂の特性は、172〜179g/当量のEEW、51.7℃で1100〜1700mPa・sの粘度、および多エポキシ官能性(±2.8)である。
【0088】
Insulcast 504 透明(ビスフェノールAエポキシ樹脂)、Insulcast 504 BLK(カーボンブラックを含むビスフェノールAエポキシ樹脂)およびInsulcure 9硬化剤(テトラエチレンペンタミン、CAS No.112−57−2)は、ITW Polymer Technologies(Glenview,Illinois,U.S.A.)から入手した。
【0089】
EPON(商標)Resin 828(ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、「DGEBPA」)は、Hexion Specialty Chemicals,Inc.(現在は、Momentive Performance Materials Holdings,Inc.(Columbus,Ohio,U.S.A.)の一部であるMomentive Specialty Chemicals,Inc.)から入手した。この樹脂の特性は、185〜192g/当量のEEW、110〜150Pの粘度である。
【0090】
EPON(商標)Resin 862(ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、「DGEBPF」)は、Hexion Specialty Chemicals,Inc.(現在は、Momentive Performance Materials Holdings,Inc.(Columbus,Ohio,U.S.A.)の一部であるMomentive Specialty Chemicals,Inc.)から入手した。この樹脂の特性は、165〜173g/当量のEEW、24〜45Pの粘度である。
【0091】
Resiflow(登録商標)流動性添加剤は、Estron Chemical,Inc.(Calvert City,Kentucky,U.S.A.)から入手した。
【0092】
Resiflow(登録商標)L−37は、反応性ポリアクリレート流動性添加剤である。
【0093】
Resiflow(登録商標)LH−240は、反応性ヒドロキシル官能性ポリアクリレート流動性添加剤である。
【0094】
Resiflow(登録商標)−Sは、Aromatic Solvent 100(芳香族炭化水素、CAS No.64742−95−6)流動性添加剤中アクリルポリマーの50重量%溶液である。
【0095】
Epikure(商標)硬化剤は、Hexion Specialty Chemicals,Inc.(現在は、Momentive Performance Materials Holdings,Inc.(Columbus,Ohio,U.S.A.)の一部であるMomentive Specialty Chemicals,Inc.)から入手した。
【0096】
Epikure(商標)3010は、トール油脂肪酸およびポリアミンをベースとするポリアミドアミンである。Epikure(商標)3072は、変性ポリエチレンポリアミン付加物である。Epikure(商標)3140は、二量体化脂肪酸およびポリアミンをベースとする低粘度ポリアミドである。
【0097】
Epikure(商標)3175は、変性ポリアミドである。
【0098】
Epikure(商標)3274は、脂肪族アミンである。
【0099】
Araldite(登録商標)ECNエポキシクレゾールノボラック樹脂およびAradur(登録商標)硬化剤は、Huntsman International LLC(Salt Lake City,Utah,U.S.A.)から入手した。
【0100】
Araldite(登録商標)ECN 1273エポキシクレゾールノボラック樹脂の特性は、EEW 217〜233g/当量、150℃で400〜800cpの溶融粘度、および4.8の官能性である。
【0101】
Araldite(登録商標)DY−Nは、二官能性エポキシ反応性希釈剤であり、Huntsman International LLC(Salt Lake City,Utah,U.S.A.)から入手した。
【0102】
Aradur(登録商標)355は、脂環式アミンである。
【0103】
Aradur(登録商標)70BDは、ポリエーテルウレタンアミンである。
【0104】
NanoTek(登録商標)のナノサイズの酸化アルミニウム(「ナノアルミナ」と呼ばれる)は、Alfa Aesar(カタログ番号44932、Ward Hill,Massachusetts,U.S.A.)から入手した。NanoTek(登録商標)ナノアルミナは、99.5% Al23、Alfa Aesar 44932、40〜50nm APSの粉末、32〜40m2/gの表面積である。
【0105】
使用した分散剤は、非イオン官能基を有するアクリルグラフトコポリマーであった。
【0106】
ORGANOSILICASOL(商標)コロイドシリカグレードMEK−ST_Lは、Nissan Chemical America Corporation(Houston,Texas,USA)から入手した。これは、メチルエチルケトン中に単分散したコロイドシリカである。シリカは30〜31重量%で存在し、シリカ粒径は40〜50nmである。
【0107】
酸化タングステン(VI)ナノ粒子は、Sigma−Aldrich Corporation(St.Louis,Missouri,USA)から入手した。この酸化タングステン(VI)は、<100nmの粒径(透過電子顕微鏡による)を有する。
【0108】
BYK(登録商標)−320は、脱泡作用を有するレベリング添加剤として使用されるポリエーテル変性メチルアルキルポリシロキサンコポリマーの溶液であり、The ALTANA Group(Wesel,Germany)の一員であるBYK Additives and Instrumentsから入手した。
【0109】
BYK(登録商標)−388は、レベリング添加剤としてのフルオロ変性ポリアクリレートコポリマーの溶液であり、The ALTANA Group(Wesel,Germany)の一員であるBYK Additives and Instrumentsから入手した。
【0110】
実施例2および比較例A、B、C、D、およびEにおいて、溶剤Aは、50gのMEKと、2gの酢酸ブチルと、6gのメチルアミルケトンと、6gのn−ブタノールと、5gの酢酸2−エチルヘキシルと、21gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートと、11gのキシレンとの混合物である。
【0111】
実施例5および6において、溶剤Bは、キシレン(57重量%)、MEK(29重量%)、酢酸ブチル(8重量%)、およびブタノール(6重量%)の混合物である。
【0112】
実施例15において、溶剤Cは、キシレン(41重量%)、MEK(29重量%)、酢酸ブチル(8重量%)、およびブタノール(22重量%)の混合物である。
【0113】
実施例1〜4および比較例A〜Eは、アミン硬化剤当量重量と耐溶剤性の関係を例示するものである。
【0114】
実施例1
エポキシノボラックD.E.N.(商標)431(22.5g)を、2.5gの9:1のキシレン:ブタノールに溶解させた。これに、0.8gの9:1のキシレン:ブタノールに溶解させた3.16gのTETAを添加し、続いてトリス−ジメチルアミノメチルフェノール(0.5g)を添加し、続いて0.1gのResiflow(登録商標)LH 240と9:1のキシレン:ブタノール中Resiflow(登録商標)−Sの80重量%溶液0.05gとを添加した。この混合物を、10ミル(254μm)のドローダウンバーを使用してMylar(登録商標)シート上にコーティングして、層を形成した。層を、100℃で1時間、次いで160℃で4時間加熱することによって硬化させた。耐溶剤性を上記のように測定した。その耐溶剤性を表1に示す。
【0115】
実施例2
エポキシノボラックD.E.N.(商標)431を溶剤Aに溶解させて、80重量%溶液を形成した。丸底フラスコにこのエポキシ溶液(18.8g)を投入し、続いてResiflow(登録商標)LH−240(0.19g)およびResiflow(登録商標)−S(0.12g)を投入した。混合物を10分間攪拌した。これに、溶剤A中Aradur(登録商標)355の80重量%溶液5.21gを加え、続いてトリス−ジメチルアミノメチルフェノール(0.5g)を加えた。混合物を、室温にて10分間攪拌した。この混合物を、10ミル(254μm)のドローダウンバーを使用してMylar(登録商標)シート上にコーティングして、層を形成した。層を、100℃で1時間、次いで160℃で4時間加熱することによって硬化させた。耐溶剤性を上記のように測定した。その耐溶剤性を表1に示す。
【0116】
実施例3
エポキシノボラックD.E.N.(商標)431(100g)、トリエチレンテトラミン(13.90g)、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(6.29g)、Resiflow(登録商標)LH−240流動性添加剤(0.36g)、分散剤(0.73g)、酸化アルミニウム(NanoTek(登録商標)アルミナ、23.33g)、キシレン(25.96g)、BYK 320(0.72g)およびブタノール(2.88g)を含有するエポキシ組成物を製造した。使用した分散剤は、非イオン官能基を有するアクリルグラフトコポリマーであった。組成物を、10ミル(254μm)のドローダウンバーを使用してMylar(登録商標)シート上にコーティングして、層を形成した。層を、100℃で1時間、次いで160℃で1時間加熱することによって硬化させた。耐溶剤性を上記のように測定した。その耐溶剤性を表1に示す。
【0117】
比較例A
エポキシノボラックD.E.N.(商標)431を溶剤Aに溶解させて、80重量%溶液を形成した。丸底フラスコにこのエポキシノボラック溶液(10g)を投入し、続いてEpikure(商標)3010ポリアミドアミン(4.26g)、トリス−ジメチルアミノメチルフェノール(0.5g)、およびResiflow(登録商標)LH−240(0.3g)を投入した。混合物を10分間攪拌した。この混合物を、10ミル(254μm)のドローダウンバーを使用してMylar(登録商標)シート上にコーティングして、層を形成した。層を、100℃で1時間、次いで160℃で4時間加熱することによって硬化させた。耐溶剤性を上記のように測定した。その耐溶剤性を表1に示す。
【0118】
比較例B
エポキシノボラックD.E.N.(商標)431を溶剤Aに溶解させて、80重量%溶液を形成した。丸底フラスコにこのエポキシノボラック溶液(10g)を投入し、続いてEpikure(商標)3072(2.98g)、トリス−ジメチルアミノメチルフェノール(0.5g)、およびResiflow(登録商標)LH−240(0.2g)を投入した。混合物を10分間攪拌し、次いで10ミル(254μm)のドローダウンバーを使用してMylar(登録商標)シート上にコーティングして、層を形成した。層を、100℃で1時間、次いで160℃で4時間硬化させた。耐溶剤性を上記のように測定した。その耐溶剤性を表1に示す。
【0119】
比較例C
エポキシノボラックD.E.N.(商標)431を溶剤Aに溶解させて、80重量%溶液を形成した。丸底フラスコにこのエポキシノボラック溶液(10g)を投入し、続いてEpikure(商標)3140(4.36g)、トリス−ジメチルアミノメチルフェノール(0.5g)、およびResiflow(登録商標)LH−240(0.3g)を投入した。Epikure(商標)3140は、二量体化脂肪酸およびポリアミンをベースとする低粘度ポリアミド樹脂である。混合物を10分間攪拌した。この混合物を、10ミル(254μm)のドローダウンバーを使用してMylar(登録商標)シート上にコーティングして、層を形成した。層を、100℃で1時間、次いで160℃で4時間加熱することによって硬化させた。耐溶剤性を上記のように測定した。その耐溶剤性を表1に示す。
【0120】
比較例D
エポキシノボラックD.E.N.(商標)431を溶剤Aに溶解させて、80重量%溶液を形成した。丸底フラスコにこのエポキシノボラック溶液(10g)を投入し、続いてEpikure(商標)3175(4.72g)、トリス−ジメチルアミノメチルフェノール(0.5g)、およびResiflow(登録商標)LH−240(0.3g)を投入した。Epikure(商標)3175は、変性ポリアミド樹脂ベースの硬化剤である。混合物を10分間攪拌した。この混合物を、10ミル(254μm)のドローダウンバーを使用してMylar(登録商標)シート上にコーティングして、層を形成した。層を、100℃で1時間、次いで160℃で4時間加熱することによって硬化させた。耐溶剤性を上記のように測定した。その耐溶剤性を表1に示す。
【0121】
比較例E
エポキシノボラックD.E.N.(商標)431を溶剤Aに溶解させて、80重量%溶液を形成した。丸底フラスコにこのエポキシノボラック溶液(10g)を投入し、続いてEpikure(商標)3274(3.49g)、トリス−ジメチルアミノメチルフェノール(0.5g)、およびResiflow(登録商標)LH−240(0.2g)を投入した。Epikure(商標)3274は、脂肪族アミン硬化剤である。混合物を10分間攪拌した。この混合物を、10ミル(254μm)のドローダウンバーを使用してMylar(登録商標)シート上にコーティングして、層を形成した。層を、100℃で1時間、次いで160℃で4時間加熱することによって硬化させた。耐溶剤性を上記のように測定した。その耐溶剤性を表1に示す。
【0122】
実施例4
エポキシクレゾールノボラックAraldite(登録商標)ECN 1273を、9:1のキシレン:ブタノールに溶解させて、80重量%溶液を形成した。丸底フラスコに、このエポキシクレゾールノボラック溶液(18.8g)を投入し、続いて2.09gのトリエチレンテトラミン溶液(9:1のキシレン:ブタノール中80重量%)、2.5gのトリス−ジメチルアミノメチルフェノール溶液(9:1のキシレン:ブタノール中80重量%)、およびResiflow(登録商標)S(0.2g)を投入した。混合物を5分間攪拌した。この混合物を、10ミル(254μm)のドローダウンバーを使用してMylar(登録商標)シート上にコーティングして、層を形成した。層を、100℃で1時間、次いで160℃で1時間加熱することによって硬化させた。耐溶剤性を上記のように測定した。その耐溶剤性を表1に示す。
【0123】
実施例5
エポキシノボラックD.E.N.431およびEpon 828 Resin(DGEBPA)をそれぞれ溶剤Bに溶解させて、80重量%溶液を形成した。丸底フラスコに、このエポキシノボラック溶液(6.4g)、DGEBPA溶液(1.6g)を投入し、続いて0.89gのトリエチレンテトラミン、0.22gのトリス−ジメチルアミノメチルフェノールを投入した。混合物を5分間攪拌した。この混合物を、10ミル(254μm)のドローダウンバーを使用してMylar(登録商標)シート上にコーティングして、層を形成した。層を、100℃で1時間、次いで160℃で1時間加熱することによって硬化させた。耐溶剤性を上記のように測定した。その耐溶剤性を表1に示す。
【0124】
実施例6
エポキシノボラックD.E.N.431およびEpon 862(DGEBPF)をそれぞれ溶剤Bに溶解させて、80重量%溶液を形成した。丸底フラスコに、このエポキシノボラック溶液(6.4g)、DGEBPF溶液(1.6g)を投入し、続いて0.90gのトリエチレンテトラミン、0.22gのトリス−ジメチルアミノメチルフェノールを投入した。混合物を5分間攪拌した。この混合物を、10ミル(254μm)のドローダウンバーを使用してMylar(登録商標)シート上にコーティングして、層を形成した。層を、100℃で1時間、次いで160℃で1時間加熱することによって硬化させた。耐溶剤性を上記のように測定した。その耐溶剤性を表1に示す。
【0125】
表1は、実施例1〜6および比較例A〜Eにおける樹脂の耐溶剤性測定値をまとめたものであり、アミン硬化剤の当量重量および硬化樹脂の耐溶剤性の間の関係を示している。
【0126】
【表1】

【0127】
これらの結果は、60g/当量未満のアミン当量重量を有するアミン硬化剤を含有するエポキシノボラック樹脂組成物の硬化層は、溶剤侵食に対する耐性があるということを証明した。メチルエチルケトン、酢酸エチル、およびトルエンは、グラビア印刷のためのインクにおいて使用されている従来の溶剤である。
【0128】
実施例7
本実施例は、16重量%のナノアルミナを含有する、良好な彫刻性および耐摩耗性を示す、低膨張性のエポキシノボラックを示すものである。
【0129】
金属シリンダーを40℃まで加熱し、シリンダー上に、ブラシコーティングにより、(特許文献10)に記載されているやり方と同様にして、エポキシノボラック樹脂組成物を塗布した。このエポキシ組成物は、実施例3のものと同一である、表2に詳述される組成物であった。この配合物の耐溶剤性は、表1の実施例3に示されるように、良好である。約8ミル(203μm)という所望のコーティング厚さが達成された後、シリンダーおよびコーティングを、約100℃で1時間、次いで約150℃で1時間加熱し、それによりコーティングを硬化させた。シリンダー上の硬化組成物層を、機械加工し、研磨し、次いで電気機械的に彫刻した。硬化樹脂を136μmのセル幅が9〜13μmのセル壁と共に得られるように電気機械的に彫刻した結果、約6%のセルブレークアウトが生じた。次いで、彫刻したシリンダーを、上記したとおりの耐摩耗性試験に供した。摩耗の程度を観察するために、彫刻したシリンダーのセル領域を測定した。300,000回転後、このナノアルミナ充填エポキシ樹脂は、4%のセル領域減少を示した。
【0130】
【表2】

【0131】
実施例8
本実施例は、良好な長期印刷試験性能を示す、低膨張性のエポキシノボラックを示すものである。
【0132】
金属シリンダーを、実施例7のエポキシノボラック樹脂組成物でコーティングした。ダブルシリンジおよびトランスレーターを用いて材料を供給するブラシ技術により、所望のコーティング厚さが得られるように、シリンダーをコーティングした。約8ミル(203μm)という所望のコーティング厚さが達成された後、シリンダーおよびコーティングを、約100℃で1時間、次いで約120℃で1時間加熱し、それにより樹脂を硬化させた。次いで、シリンダー上の硬化層を、機械加工し、研磨した。次いで、Ohio R−7100シリーズ彫刻機により、120度のダイヤモンドスタイラスを用いて3200Hzのセル速度(100%彫刻に対して200lpi(79l/cm)に相当)で層を電気機械的に彫刻した。次いで、彫刻したシリンダーを使用して、トルエンベースのシアンインクでC1S紙に印刷した。約400,000回転後、印刷品質は、初期印刷と同様に良好であった。
【0133】
比較例F
本比較例は、優れた彫刻性を示すが、耐溶剤性が乏しく、乏しい耐摩耗性を示し、かつ短い運転期間後に劣った印刷品質を示す、エポキシ樹脂を示すものである。
【0134】
8oz(0.24L)ジャー中で、手動ホモジナイザーを用いて5分間、1.43gの酸化タングステンナノ粉末(粒径<100nm)を8.57gのInsulcast 504(透明)中に予備分散(pre−disperse)させ、次いでロールミル上に2週間置いた。次いで、結果として得られた懸濁液を、4oz(0.12L)ジャー中で、10gのInsulcast 504 BLK(ビスフェノールAエポキシ樹脂)と合わせ、ロールミル上に1時間置いた。結果として得られた混合物を真空下で脱気して、気泡を除去し、2.8gのInsulcure 9を添加した。結果として得られた混合物を、磁気攪拌機で約15〜30分間、十分に混合し、真空下で脱気した。次いで、結果として得られた混合物を、余熱した40℃の金属シリンダー上に、厚さ11.4〜12.5ミル(290〜318μm)の皮膜が得られるようにコーティングした。次いで、コーティングを80〜90℃で2時間硬化させ、周囲温度まで徐々に冷却させた。
【0135】
ダブルシリンジおよびトランスレーター機構を用いて材料を供給するブラシ技術により、所望のコーティング厚さが得られるように、シリンダーをコーティングした。発熱によるシリンジ内での重合を防ぐために、氷1袋を用いて金属シリンジを冷却した。
【0136】
次いで、シリンダー上の硬化性組成物の硬化層を、水平スクリーン設定80ライン毎センチメートル、スクリーン角度60度、100%トーンとし、先端円錐角(face angle)が120度のダイヤモンドスタイラスを使用して、Ohio R−7100シリーズ彫刻機によりセル速度3200Hzで彫刻した。
【0137】
結果:
耐溶剤性を、上記のように決定した。結果を以下に示す。
【0138】
【表3】

【0139】
彫刻品質は優れており、セル密度100%で破壊セル壁<<1%であった。
【0140】
耐摩耗性:4%の印刷可能領域減少。
【0141】
印刷品質:乏しい耐溶剤性のため、印刷品質は、約40,000回転後に劣化した(トルエンベースのインクでの印刷)。
【0142】
比較例G
本実施例は、乏しい彫刻性を有する、(イミダゾール触媒を用いて単重合および硬化させた)耐溶剤性(低膨張性)のエポキシノボラック組成物を示すものである。
【0143】
金属シリンダーを40℃まで加熱し、シリンダー上にエポキシ組成物をコーティングした。このエポキシ組成物は、エポキシノボラックD.E.N.(商標)431(溶剤B中85重量%溶液、43.2g)と2−エチル−4−メチルイミダゾール(3.65g)との混合物を含有していた。約8ミル(203μm)という所望のコーティング厚さが達成された後、シリンダーおよびコーティングを、100℃で2時間、次いで約160℃で2時間加熱した。次いで、シリンダー上の硬化組成物層を、機械加工し、研磨し、次いで、110μmのセル幅が19μmのセル壁と共に得られるように電気機械的に彫刻した結果、約26%のセルブレークアウトが生じた。
【0144】
この組成物の耐溶剤性を上記のように測定した。結果を以下に示す。
【0145】
【表4】

【0146】
実施例9
本実施例は、良好な彫刻性および耐摩耗性を示す、耐溶剤性(低膨張性)の、無充填のエポキシノボラックを示すものである。この配合物の耐溶剤性は、表1の実施例1に示されている。
【0147】
金属シリンダーを40℃まで加熱し、エポキシ組成物(表3)をシリンダー上に塗布した。このエポキシ組成物は、実施例1のものと同一であった。約8ミル(203μm)という所望のコーティング厚さが達成された後、シリンダーおよびコーティングを、約100℃で1時間、次いで約150℃で1時間加熱し、それにより樹脂を硬化させた。シリンダー上の硬化組成物層を、機械加工し、研磨し、次いで、119μmのセル幅が15〜16μmのセル壁と共に得られるように電気機械的に彫刻した結果、約2%のセルブレークアウトが生じた。次いで、彫刻したシリンダーを、上記したとおりの耐摩耗性試験に供した。300,000回転後、このエポキシコーティングは、5%のセル領域減少を示した。
【0148】
【表5】

【0149】
実施例10
本実施例は、約1.8重量%のナノアルミナを含む、良好な彫刻性および耐摩耗性を示す、耐溶剤性(低膨張性)のエポキシノボラックを示すものである。
【0150】
金属シリンダーを40℃まで加熱し、エポキシ組成物をシリンダー上に塗布した。このエポキシ組成物は、D.E.N.(商標)431エポキシノボラック、トリエチレンテトラミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、流動性添加剤、分散剤、酸化アルミニウム(NanoTek(登録商標))、キシレン、およびブタノールからなった(表4参照)。使用した分散剤は、非イオン官能基を有するアクリルグラフトコポリマーであった。約8ミル(203μm)という所望のコーティング厚さが達成された後、シリンダーおよびコーティングを、約100℃で1時間、次いで約150℃で1時間加熱した。シリンダー上の硬化組成物層を、機械加工し、研磨し、次いで、120μmのセル幅が16〜20μmのセル壁と共に得られるように電気機械的に彫刻した結果、<1%のセルブレークアウトが生じた。次いで、彫刻したシリンダーを、上記したとおりの耐摩耗性試験に供した。300,000回転後、このナノアルミナ充填エポキシ樹脂は、3%のセル領域減少を示した。
【0151】
【表6】

【0152】
実施例11
本実施例は、軟化成分を含めて製造された、良好な彫刻性を示す、耐溶剤性(低膨張性)のエポキシノボラックを示すものである。表1の実施例2に、類似の配合物の耐溶剤性が示されている。
【0153】
金属シリンダーを40℃まで加熱し、エポキシ組成物をシリンダー上に塗布した。このエポキシ組成物は、エポキシノボラックD.E.N.(商標)431、Aradur(登録商標)355脂環式アミン硬化剤、軟化成分としてAradur(登録商標)70BDポリエーテルウレタンアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、流動性添加剤、MEK、酢酸ブチル、ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)およびキシレンを含有していた(表5参照)。約8ミル(203μm)という所望のコーティング厚さが達成された後、シリンダーおよびコーティングを、約100℃で1時間、次いで約160℃で1時間加熱した。次いで、シリンダー上の硬化組成物層を、機械加工し、研磨し、次いで、135μmのセル幅が11〜13μmのセル壁と共に得られるように電気機械的に彫刻した結果、<1%のセルブレークアウトが生じた。
【0154】
【表7】

【0155】
実施例12
本実施例は、約25重量%のシリカナノ粒子を含有する、良好な彫刻性を示す、耐溶剤性(低膨張性)のエポキシノボラックを示すものである。
【0156】
金属シリンダーを40℃まで加熱し、エポキシ組成物をシリンダー上にコーティングした。このエポキシ組成物は、エポキシノボラックD.E.N.(商標)431、Aradur(登録商標)355、シリカナノ粒子(MEK−ST_L)、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、流動性添加剤、MEK、酢酸ブチル、メチルアミルケトン、ブタノール、酢酸2−エチルヘキシル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)およびキシレンを含有していた(表6参照)。約8ミル(203μm)という所望のコーティング厚さが達成された後、シリンダーおよびコーティングを、約100℃で1時間、次いで約160℃で1時間加熱した。シリンダー上の硬化組成物層を、機械加工し、研磨し、次いで、135μmのセル幅が15〜16μmのセル壁と共に得られるように電気機械的に彫刻した結果、約11%のセルブレークアウトが生じた。
【0157】
【表8】

【0158】
実施例13
本実施例は、約16重量%のシリカナノ粒子を含有する、良好な彫刻性および耐摩耗性を示す、耐溶剤性(低膨張性)のエポキシノボラックを示すものである。
【0159】
金属シリンダーを40℃まで加熱し、エポキシ組成物をシリンダー上に塗布した。このエポキシ組成物は、エポキシノボラックD.E.N.(商標)431、TETA、シリカナノ粒子(ORGANOSILICASOL(商標)コロイドシリカグレードMEK−ST_L)、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、流動性添加剤、MEK、酢酸ブチル、ブタノール、およびキシレンを含有していた(表7参照)。約8ミルという所望のコーティング厚さが達成された後、シリンダーおよびコーティングを、約100℃で1時間、次いで約160℃で1時間加熱し、それにより樹脂を硬化させた。シリンダー上の硬化組成物層を、機械加工し、研磨し、次いで、119μmのセル幅が22μmのセル壁と共に得られるように電気機械的に彫刻した結果、<1%のセルブレークアウトが生じた。次いで、彫刻したシリンダーを、上記したとおりの耐摩耗性試験に供した。300,000回転後、このナノアルミナ充填エポキシ樹脂は、9%のセル領域減少を示した。
【0160】
【表9】

【0161】
実施例14
本実施例は、複数種のエポキシ反応性希釈剤を含む、良好な耐溶剤性および彫刻性を示す、エポキシノボラック組成物を示すものである。
【0162】
エポキシノボラックD.E.N.431(10g)、Araldite(登録商標)DY−N(2g)、および1,4−ブタンジグリシジルエーテル(1.2g)を、均一になるまで混合した。これに、TETA(1.99g)および0.2gのトリス−ジメチルアミノメチルフェノールを添加した。混合物を5分間攪拌した。この混合物を、10ミル(254μm)のドローダウンバーを使用してMylar(登録商標)シート上にコーティングして、層を形成した。層を、100℃で1時間、次いで160℃で1時間加熱することによって硬化させた。特定の溶剤中に7日間浸漬させた後の溶剤吸収量は、MEK中では1%、トルエン中では1%、酢酸エチル中では1%であった。
【0163】
同じ組成物を、実施例7に記載したようにシリンダー上にコーティングした。コーティング後に、組成物の層は約8ミル(203μm)の厚さを有しており、シリンダーおよびコーティングを、約100℃で1時間加熱し、それによりシリンダー上のコーティング層を硬化させた。シリンダー上の硬化組成物層を、研削および研磨した。次いで、層を、126μmのセル幅が16μmのセル壁と共に得られるように電気機械的に彫刻した結果、約5%のセルブレークアウトが生じた。
【0164】
実施例15
本実施例は、4−グリシジルオキシ−N,N−ジグリシジルアニリン(Araldite(登録商標)MY0510として市販されている)とブレンドされた、複数種のエポキシ反応性希釈剤を含む、良好な耐溶剤性を示す、エポキシノボラックを示すものである。
【0165】
エポキシノボラックD.E.N.431(5.6g)を、1.4gの溶剤Cに溶解させた。これに、Araldite(登録商標)MY0510(0.6g)および1,4−ブタングリシジルエーテル(2.4g)を添加した。混合物を均一になるまで攪拌した。これに、TETA(1.4g)および0.1gのトリス−ジメチルアミノメチルフェノールを添加した。混合物を5分間攪拌した。この混合物を、10ミル(254μm)のドローダウンバーを使用してMylar(登録商標)シート上にコーティングして、層を形成した。層を、100℃で1時間、次いで160℃で1時間加熱することによって硬化させた。特定の溶剤中に7日間浸漬させた後の溶剤吸収量は、MEK中では4%、トルエン中では1%であった。
【0166】
表8は、実施例および比較例の結果をまとめたものである。「合」または「否」は、特性要件が満たされたか、満たされなかったかを示す。
【0167】
【表10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)硬化性組成物を供給する工程であって、前記硬化性組成物が、
i)156〜300g/当量のエポキシド当量重量を有する少なくとも1種のエポキシノボラック樹脂と、
ii)60g/当量以下のアミン当量重量を有する、第一アミンおよび第二アミンから選択されるアミン硬化剤と
を含む、工程;
b)前記硬化性組成物を支持基材上に塗布することにより層を形成する工程;
c)室温〜250℃の範囲内の1つ以上の温度で前記層を硬化させる工程;および
d)工程c)により得られる前記層に少なくとも1つのセルを彫刻する彫刻工程
を含む印刷版を製造するための方法。
【請求項2】
前記層の硬化工程が、室温で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記層の硬化工程が、前記層を前記範囲内の1つの温度で加熱すること、または前記層を前記範囲内の第1の温度まで加熱し、そして前記範囲内の第2の温度まで加熱することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記塗布工程が、スピンコーティング、ディップコーティング、スロットコーティング、ロールコーティング、押出コーティング、ブラシコーティング、リングコーティング、粉末コーティング、またはドクターブレードコーティングから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記塗布工程の前に、前記支持基材を室温から40℃の温度まで予熱する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記硬化工程の後に、前記層を50.8〜7620μmの厚さを有するように研削する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
彫刻工程が、電気機械彫刻工程またはレーザー彫刻工程から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記彫刻工程の後に、前記層の外面を研磨する工程またはフルオロポリマー組成物のコーティングを前記層上に塗布する工程から選択される、追加の工程を実施することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記アミン硬化剤の前記アミン当量重量が、20〜60g/当量であり、かつ、脂肪族アミン、脂肪族ポリアミド、変性脂肪族ポリアミン、脂環式アミン、変性脂環式アミン、芳香族アミン、アリーリルアミン、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記アミン硬化剤が、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン;イソホロンジアミン、1−(2−アミノエチル)ピペラジン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンおよび他の脂環式アミン;m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、ジエチルトルエンジアミン;m−キシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチルシクロヘキサン)、ならびにこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記硬化性組成物が、1種以上のエポキシ反応性希釈剤をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記エポキシ反応性希釈剤が、p−t−ブチルフェノールグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、C8〜C14グリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、4−グリシジルオキシ−N,N−ジグリシジルアニリン、およびN,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−メチレン−ビス−ベンゼンアミンからなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記エポキシ反応性希釈剤が、単官能性希釈剤であり、かつ、前記硬化性組成物の成分の総合重量に基づき、20重量%まで存在する、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記エポキシ反応性希釈剤が、希釈剤の混合物であり、前記混合物は、前記硬化性組成物の成分の総合重量に基づき、40重量%まで存在する、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記硬化性組成物が、第2のエポキシ樹脂をさらに含み、前記第2のエポキシ樹脂は、エポキシノボラック樹脂ではなく、前記少なくとも1種のエポキシノボラック樹脂が、前記少なくとも1種のエポキシノボラック樹脂および前記第2のエポキシ樹脂の総合重量に基づき少なくとも50重量%で存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記第2のエポキシ樹脂が、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテルのオリゴマー、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテルのオリゴマー、またはこれらのうちの任意のものの混合物である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記硬化性組成物が、少なくとも1つの寸法が500nm未満であるナノ粒子を、前記硬化性組成物の成分の総合重量に基づき50重量%までさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記ナノ粒子の少なくとも1つの寸法が100nm未満である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ナノ粒子が、酸化アルミニウム、コロイドシリカ、ヒュームドシリカ、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化タングステン、酸化マグネシウム、炭化タングステン、炭化ケイ素、炭化チタン、窒化ホウ素、二硫化モリブデン、粘土、カーボンナノチューブ、カーボンブラック、炭素フィラメント、およびそれらの混合物からなる群の少なくとも1つのメンバーを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記粘土が、ラポナイト、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、カオリナイト、ジッカイト、ナクライト、ハロイサイト、サポナイト、ノントロナイト、バイデル石、ボルコンスコアイト(volhonskoite)、ソーコナイト、マガディアイト(magadite)、メドモナイト(medmonite)、ケニヤアイト(kenyaite)、バーミキュライト、蛇紋岩、アタパルジャイト、クルケアイト、アレタイト(alletite)、海泡石、アロフェン、イモゴライト、およびそれらの混合物からなる群の少なくとも1つのメンバーである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記支持基材が、シリンダーまたはシートの形態である、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記エポキシノボラック樹脂が、312〜1500の分子量および156〜200g/当量のエポキシド当量重量を有し;そして前記アミン硬化剤が、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、または脂環式アミンである、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記硬化性組成物が、前記硬化性組成物の成分の総合重量に基づき20重量%までのアルミナナノ粒子またはシリカナノ粒子をさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記エポキシノボラック樹脂が、312〜1500の分子量および156〜200g/当量の間の前記エポキシド当量重量を有し;前記アミン硬化剤が、20〜60g/当量の前記アミン当量重量を有し;そして前記組成物が、イミダゾール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、またはノニルフェノールから選択される触媒をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記エポキシノボラック樹脂が、312〜1500の分子量および156〜200g/当量の間のエポキシド当量重量を有し;前記アミン硬化剤が、20〜60g/当量の前記アミン当量重量を有し;そして前記硬化性組成物が、少なくとも1つの寸法が500nm未満でありかつ酸化アルミニウム、コロイドシリカ、ヒュームドシリカ、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化タングステン、酸化マグネシウム、炭化タングステン、炭化ケイ素、炭化チタン、窒化ホウ素、二硫化モリブデン、粘土、カーボンナノチューブ、カーボンブラック、炭素フィラメント、またはそれらの混合物から選択される、前記硬化性組成物の成分の総合重量に基づき30重量%までのナノ粒子をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記硬化性組成物が、アクリルポリマー、ポリ(ジメチルシロキサン)、メチルアルキルポリシロキサンコポリマー、フルオロ変性アクリレート、およびフルオロ変性ポリアクリレートから選択される1種以上のレベリング添加剤をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記レベリング添加剤が、前記硬化性組成物の成分の総合重量に基づき、10重量%まで存在する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記エポキシノボラック樹脂が、40〜90重量%の量で存在しかつ156〜200g/当量の間の前記エポキシド当量重量を有し;前記アミン硬化剤が、20〜60g/当量の前記アミン当量重量を有し;そして前記硬化性組成物が、前記硬化性組成物中に存在する成分の総合重量に基づき、30重量%までのナノ粒子と、40重量%までの少なくとも1種のエポキシ反応性希釈剤と、10重量%までの触媒と、15重量%までの軟化成分と、10重量%までのレベリング添加剤と、10重量%までの分散剤とをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
a)請求項1に記載の方法に従って前記硬化性組成物の硬化層に少なくとも1つの彫刻セルを有する印刷版を製造する工程;
b)前記少なくとも1つのセルに溶剤インクを塗布する工程;および
c)前記セルから印刷適性基材にインクを転移させる工程
を含む、印刷版による印刷のための方法であって、
前記硬化層は、前記層の重量に基づき≦10%膨張する、方法。
【請求項30】
支持基材に隣接する連続した印刷面を含む印刷版であって、前記連続した印刷面が硬化性組成物から製造された硬化エポキシ組成物であり、前記硬化性組成物が、
i)156〜300g/当量のエポキシド当量重量を有する少なくとも1種のエポキシノボラック樹脂と、
ii)第一アミンおよび第二アミンから選択されるアミン硬化剤であって、前記アミン硬化剤が60g/当量以下のアミン当量重量を有する、アミン硬化剤と
を含む、印刷版。
【請求項31】
前記硬化性組成物が、156〜200g/当量のエポキシド当量重量を有する少なくとも1種のエポキシノボラック樹脂を含み;そして前記アミン硬化剤が、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、または脂環式アミンである、請求項30に記載の印刷版。
【請求項32】
前記硬化性組成物が、前記硬化性組成物の成分の総合重量に基づき50重量%までのナノ粒子をさらに含む、請求項30に記載の印刷版。
【請求項33】
前記硬化性組成物が、前記硬化性組成物の成分の総合重量に基づき20重量%までのアルミナナノ粒子またはシリカナノ粒子を含む、請求項30に記載の印刷版。
【請求項34】
前記硬化性組成物が、ビスフェノールFジグリシジルエーテルまたはビスフェノールAジグリシジルエーテルをさらに含む、請求項30に記載の印刷版。
【請求項35】
前記印刷版が、シリンダーまたはプレートの形態である、請求項30に記載の印刷版。
【請求項36】
前記基材が、金属またはポリマーである、請求項30に記載の印刷版。
【請求項37】
前記硬化性組成物が、前記硬化性組成物の成分の総合重量に基づき10重量%までの触媒をさらに含む、請求項30に記載の印刷版。
【請求項38】
前記硬化性組成物が、前記硬化性組成物の成分の総合重量に基づき40重量%までのエポキシ反応性希釈剤をさらに含む、請求項30に記載の印刷版。
【請求項39】
前記硬化性組成物が、前記硬化性組成物の成分の総合重量に基づき10重量%までのレベリング添加剤をさらに含む、請求項30に記載の印刷版。
【請求項40】
前記硬化性組成物が、50〜90重量%の量の少なくとも1種のエポキシノボラック樹脂と、5〜25重量%の量のアミン硬化剤と、0〜40重量%の量の第2のエポキシ樹脂と、0〜10重量%の量の触媒と、0〜40重量%の量の1種以上の反応性希釈剤と、0〜50重量%の量のナノ粒子と、0〜10重量%の量の樹脂改質剤と、0〜15重量%の量の軟化成分と、0〜10重量%の量のレベリング添加剤とを含み、各重量%は、前記硬化性組成物中に存在する成分の総合重量に基づくものである、請求項30に記載の印刷版。

【公開番号】特開2012−236417(P2012−236417A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−109883(P2012−109883)
【出願日】平成24年5月11日(2012.5.11)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】