説明

印刷用マスク

【課題】印刷の精度を高度なものとする。
【解決手段】基板に対してセットされインク供給用貫通孔を通してインクが供給されることによって当該基板に対して所定の印刷パターンで印刷が行われるマスクであって、所定の印刷パターンに概略的に対応する貫通孔25を有する平板状のベース層20と、ベース層20の下側に位置して基板に対向する層であり、所定の印刷パターンに対応し、ベース層20の貫通孔とともにインク供給用貫通孔を構成する貫通孔を有する樹脂層30とを有し、樹脂層30の貫通孔35はレーザの照射によって形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷の際に使用されるマスクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子部品等が製造される際に、印刷によって配線される場合がある。その際には、所定の印刷パターンで印刷が行われるために、マスクが使用される。
そのマスクは、全体としてほぼ一平面状をなすとともに、所定の印刷パターンに対応した貫通孔(インク供給用貫通孔)を有している。そして、その貫通孔を通してインク(導電性を有する)が供給されることによって、印刷が行われる。
こうして、シリコン等の基板に対して、所定のパターンの配線が行われる。
【0003】
従来の印刷用マスクとしては、次のようなものがある。
例えば、ステンレス鋼等の線状材が編まれて形成されたスクリーンをベースとして、そのベースに、所定の印刷パターンに対応した貫通孔を有する樹脂層が配設されて形成されている。
その樹脂層は、光硬化性樹脂によって、次のように形成されている。すなわち、光硬化性樹脂が一様に塗布されて光硬化性樹脂の層が形成され、その光硬化性樹脂の層に対して所定のパターン(上述の印刷パターンとは反転関係のパターン)のフォトマスクが配設され、それに対して光が照射されることによって、光硬化性樹脂の層のうち所定のパターンの部分のみが硬化する。その後にフォトマスクが除去され、光硬化性樹脂の層のうち光の照射を受けず未硬化の部分が除去されることによって、印刷パターンに対応した貫通孔を有する樹脂層が形成される。
【0004】
ところで、近年においては、電子部品において各種の電子要素がより高密度に配置されることになっており、それに伴って、印刷による配線については、より高精度なものが求められている。
しかしながら、上述の印刷用マスクでは、印刷の精度をより高度なものにすることが困難であることが判明した。
【0005】
また、高精度の印刷を行うためには、印刷用マスクは、できるだけ正確な一平面状をなしていることが望ましい。
しかしながら、上述のように、線状材を編んで形成されたスクリーンをベースとする印刷用マスクの場合は、十分な高い剛性が得られず、正確な一平面状になりにくく、高精度の印刷を行うことに限界があることが判明した。
【0006】
なお、本発明に関連する技術分野において、特許文献1に開示された先行技術も存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−195858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、高精度の印刷を行うことができる印刷用マスクを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題を解決するために、請求項1に係る発明は、基板に対してセットされインク供給用貫通孔を通してインクが供給されることによって当該基板に対して所定の印刷パターンで印刷が行われるマスクであって、前記所定の印刷パターンに概略的に対応する貫通孔を有する平板状のベース層と、前記ベース層の下側に位置して前記基板に対向する層であり、前記所定の印刷パターンに対応し、前記ベース層の貫通孔とともに前記インク供給用貫通孔を構成する貫通孔を有する樹脂層とを有し、前記樹脂層の貫通孔はレーザの照射によって形成されている、印刷用マスクである。
【0010】
「前記所定の印刷パターンに概略的に対応する貫通孔を有する平板状のベース層」の「概略的に対応」には「対応」も含まれる。
【0011】
この発明の印刷用マスクでは、次の作用効果が得られる。
すなわち、まず、この印刷用マスクは、ベース層及び樹脂層の2層(又はそれ以上)を有している。
そして、ベース層は平板状をなすとともに、ベース層には、印刷パターンに概略的に対応する部分にのみ貫通孔が形成され得るため、その場合は、複数の線状材が編まれて形成されている等、ベース層の全体に貫通孔が形成されている場合と比較して、ベース層には大きな剛性が得られ、印刷用マスク全体としても大きな剛性が得られる。
このため、この印刷用マスクが、より正確な一平面状となり、高精度の印刷を行うことが可能となる。
一方、樹脂層はベース層の下側に位置して基板に対向するため、ベース層が直接的に基板に接触することが防止され、ベース層が直接的に基板に接触すると基板を傷つける可能性がある材質のものであっても、基板が傷つくことが防止される。
【0012】
また、この印刷用マスクでは、ベース層の貫通孔は印刷パターンに概略的に対応するものである一方、樹脂層の貫通孔が印刷パターンに対応するものであり、その樹脂層の貫通孔はレーザの照射によって形成されているために、高精度に形成され得る。
こうして、この印刷用マスクのインク供給用貫通孔は高精度のものとなり、基板に対して高精度の印刷を行うことが可能となる。
【0013】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の印刷用マスクであって、前記ベース層は、一様な厚みを有する金属板に対して前記貫通孔が設けられて形成されている、印刷用マスクである。
【0014】
この発明の印刷用マスクでは、請求項1に係る発明の作用効果に加えて、次の作用効果が得られる。
すなわち、この発明の印刷用マスクでは、ベース層が金属によって形成されているため、その点で、ベース層には大きな剛性が得られ、印刷用マスク全体としても大きな剛性が得られる。また、この金属のベース層は、電鋳法(めっきによって金属の層を形成する方法)とは異なり、一様な厚みを有する金属板に対して貫通孔が設けられて形成されているために、その点でも大きな剛性が得られる(電鋳法では一様な厚みにならないとともに、剛性が小さなものとなる)。
このため、この印刷用マスクが、より正確な一平面状となり、高精度の印刷を行うことが可能となる。
【0015】
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に係る発明の印刷用マスクであって、前記ベース層の貫通孔は、レーザの照射又はエッチングによって、複数の孔状に形成されている、印刷用マスクである。
【0016】
「前記ベース層の貫通孔は、……、複数の孔状に形成されている」とは、1つの印刷パターンに対応する1つの貫通孔が複数の孔状に形成されている」ことをいう。
【0017】
この発明の印刷用マスクでは、請求項1又は請求項2に係る発明の作用効果に加えて、次の作用効果が得られる。
すなわち、この発明では、ベース層の1つの貫通孔が複数の孔状に形成されているため、1つの孔状に形成されている態様と比較して、ベース層に大きな剛性が得られることとなり、印刷用マスク全体としても大きな剛性が得られることとなる。
このため、この印刷用マスクが、より正確な一平面状となり、高精度の印刷を行うことが可能となる。
なお、インクは流動性を有しているため、その流動性とベース層の貫通孔における複数の各孔状部分の間隔とのバランスがとれておれば、インクは、ベース層の複数の孔状の貫通孔を通って樹脂層の貫通孔に到達し、インクの流動性によって、樹脂層の貫通孔のすべてに行き渡り、適切に基板に到達する。こうして、適切な印刷が確保される。
【0018】
請求項4に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の印刷用マスクであって、前記ベース層の貫通孔は、レーザの照射又はエッチングによって、前記所定の印刷パターンの大きさより小さい複数の微孔状に形成されている、印刷用マスクである。
【0019】
この発明の印刷用マスクでは、請求項3に係る発明の作用効果と同様の効果が得られるとともに、さらに次の作用効果が得られる。
すなわち、この発明の印刷用マスクでは、ベース層の貫通孔が印刷パターンの大きさより小さい複数の微孔状に形成されているために、さらにベース層に大きな剛性が得られることとなり、印刷用マスク全体としても大きな剛性が得られることとなる。
このため、この印刷用マスクが、より正確な一平面状となり、高精度の印刷を行うことが可能となる。
【0020】
請求項5に係る発明は、請求項1〜請求項4のいずれかに係る発明の印刷用マスクであって、前記樹脂層を形成する樹脂板が前記ベース層に対して取り付けられる前の段階において、当該樹脂板に対して前記貫通孔が形成されたものである、印刷用マスクである。
【0021】
この発明の印刷用マスクにおいては、予め貫通孔が形成された樹脂板がベース層に対して取り付けられるため、樹脂層の貫通孔がベース層の貫通孔に該当しない部分にも及ぶものの場合にも、容易に、その樹脂層に当該貫通孔を形成することができる。
【0022】
請求項6に係る発明は、請求項1〜請求項5のいずれかに係る発明の印刷用マスクであって、太陽電池を製造するためのものである、印刷用マスクである。
【0023】
すなわち、請求項1〜請求項5のいずれかに係る発明の印刷用マスクは、高精度に印刷を行うことが可能であるため、高精度な配線を有する太陽電池を製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施例1の印刷用マスク及びその使用方法を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施例1の印刷用マスクを示す平面図である。
【図3】本発明の実施例1の印刷用マスク及びその使用方法を示す縦断面図である。(a)と(b)とは、異なった線で仮想的に切断した断面を示す。(b)は(a)よりも拡大したものである。
【図4】本発明の実施例1の印刷用マスクを示す分解斜視図である。
【図5】本発明の実施例1の印刷用マスクを示す分解平面図である。
【図6】本発明の実施例2の印刷用マスクを示す平面図である。
【図7】本発明の実施例2の印刷用マスクを示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[実施例1]
次に、本発明の実施例1について、図1〜図5に基づいて説明する。
図1等に示すように、この印刷用マスクは、主として、シリコン等の半導体の基板50上に印刷によって配線するために使用されるものである。そして、例えば、太陽電池等が製造される。
【0026】
図3及び図4等に示すように、この印刷用マスクは、ベース層20及び樹脂層30を有している。ベース層20及び樹脂層30は、重ねられて接着されている。ベース層20は、スクリーン10に対して取り付けられている。
図1及び図2等に示すように、この印刷用マスクは、インク供給用貫通孔15を有している。
図1及び図3等に示すように、この印刷用マスクは、基板50上にセット(載置)され、インク供給用貫通孔15を通してインクが供給されることによって、基板50上に所定の印刷パターン55で印刷が行われる。
【0027】
図1〜図5に示すように、スクリーン10は、合成樹脂又は金属からなる一平面状の網状をしている。スクリーン10は、四角形の枠11に対して取り付けられている。
スクリーン10は、その2次元の両方向に引っ張られた状態で枠11に対して取り付けられている。こうして、スクリーン10には、その2次元の両方向に所定の張力が存在している。
スクリーン10には、開口部12が形成されている。
【0028】
ベース層20は、金属等、十分な剛性を有する材質によって形成されており、一様な厚みを有している。金属の代表例として、ステンレス鋼等がある。
樹脂層30は、ポリイミド等の合成樹脂によって形成されている。
【0029】
ベース層20には、貫通孔25が形成されている。樹脂層30にも、貫通孔35が形成されている。
樹脂層30の貫通孔35とベース層20の貫通孔25とは、相互に対応している。両貫通孔25,35によって、この印刷用マスクのインク供給用貫通孔15が形成されている。
【0030】
ベース層20の貫通孔25(図4等参照)は、印刷パターン55(図1参照)に概略的に対応している。すなわち、基本的に、印刷パターン55よりも大きく(太く)形成されている。また、ベース層20においては、印刷パターン55に概略的に対応する部分にのみ貫通孔25が形成されている。
樹脂層30の貫通孔35は印刷パターン55に対応している(このことは次述)ために、ベース層20の貫通孔25は、樹脂層30の貫通孔35よりも太く形成されているともいえる(図3(b)も参照)。
【0031】
ただし、この実施例においては、印刷パターン55(図1)が線状に長く延びるものであるために、ベース層20の貫通孔25(図4等)は、単にそれよりも太く形成されているのではなく、複数の幅細の連結部26(いわゆる「はしご」)を有し、その複数の連結部26によって、複数の分断貫通孔27に分断されている(図3(a)も参照)。すなわち、連結部26によって、ベース層20の貫通孔25の両サイドが連結されている。
そして、連結部26によって、ベース層20の強度(剛性)が維持され、ベース層20が一平面状であることが維持されている。
また、ベース層20の貫通孔25は、樹脂層30の貫通孔35よりも若干短く形成されていてもよい(図面にはその態様が記載されている)。
【0032】
樹脂層30の貫通孔35(図4等参照)は、印刷パターン55(図1参照)に対応している。
樹脂層30の貫通孔35は、レーザによって形成されている。すなわち、平板状の樹脂板31(図5参照)が用意され、その樹脂板31に対してレーザが照射されることによって、貫通孔35が形成されている。レーザの照射によって形成された樹脂層30の貫通孔35は、ベース層20の貫通孔25よりも高精度に形成され得る。このため、樹脂層30の貫通孔35(その位置及び大きさ等)が、この印刷用マスクのインク供給用貫通孔15(その位置及び大きさ等)を規定する。
【0033】
次に、この印刷用マスクの製造方法について説明する。各種の方法がある。図5に基づいて説明する。
【0034】
第1の方法は、次のとおりである。
(1)スクリーン10が用意される。スクリーン10は、その2次元の両方向に引っ張られた状態で枠11に対して取り付けられている。その時点で、スクリーン10には開口部12は形成されていない。
(2)スクリーン10に対して、金属板21(一様な厚みを有する)が貼着される。その時点で、金属板21には貫通孔25は形成されていない。
(3)次に、スクリーン10に対して開口部12が形成される。こうして、金属板21が一平面状に維持されつつ、金属板21の縁部以外からスクリーン10が除去される。
(4)次に、金属板21に対して、レーザの照射又はエッチングによって、貫通孔25が形成される。
(5)次に、金属板21に対して、樹脂板31が貼着される(これによって、金属板21がベース層20となり、樹脂板31が樹脂層30となる)。その時点で、樹脂板31には貫通孔35は形成されていない。
(6)次に、樹脂板31(樹脂層30)に対して、レーザの照射によって、貫通孔35が形成される。
【0035】
第2の方法は、次のとおりである。第1の方法との相違点を中心に説明する(以下同様である)。
(1)スクリーン10が用意される。その時点で、スクリーン10には開口部12は形成されていない。
(2)一方、金属板21(一様な厚みを有する)が用意され、その金属板21に対して、レーザの照射又はエッチングによって、貫通孔25が形成される。
(3)次に、金属板21がスクリーン10に貼着される。
(4)次に、スクリーン10に対して開口部12が形成される。
(5)次に、金属板21(ベース層20)に対して、樹脂板31(樹脂層30)が貼着される。その時点で、樹脂板31には貫通孔35は形成されていない。
(6)次に、樹脂板31(樹脂層30)に対して、貫通孔35が形成される。
【0036】
第3の方法は、次のとおりである。
(1)スクリーン10が用意される。その時点で、スクリーン10には開口部12は形成されていない。
(2)スクリーン10に対して、金属板21(一様な厚みを有する)が貼着される。その時点で、金属板21には貫通孔25は形成されていない。
(3)次に、スクリーン10に対して開口部12が形成される。
(4)次に、金属板21に対して、レーザの照射又はエッチングによって、貫通孔25が形成される。
(5)一方、樹脂板31が用意され、その樹脂板31に対して、貫通孔35が形成される。例えば、樹脂板31はガラス板に対して仮に接着又は載置され、その状態で、樹脂板31に対してレーザの照射によって貫通孔35が形成される。
(6)次に、金属板21(ベース層20)に対して、樹脂板31(樹脂層30)が貼着される。その際、金属板21(金属層)と樹脂板31(樹脂層30)とが、所定の位置関係となるようにして、その貼着が行われる。
【0037】
第4の方法は、次のとおりである。
(1)スクリーン10が用意される。その時点で、スクリーン10には開口部12は形成されていない。
(2)金属板21(一様な厚みを有する)が用意され、その金属板21に対して、貫通孔25が形成される。
(3)次に、金属板21(ベース層20)に対して、樹脂板31(樹脂層30)が貼着される。その時点で、樹脂板31(樹脂層30)には貫通孔35は形成されていない。
(4)次に、その金属板21(ベース層20)及び樹脂板31(樹脂層30)が貼り合わせられたものが、スクリーン10に対して貼着される。
(5)次に、スクリーン10に対して、開口部12が形成される。
(6)次に、樹脂層30に対して、貫通孔35が形成される。
【0038】
第5の方法は、次のとおりである。
(1)スクリーン10が用意される。その時点で、スクリーン10には開口部12は形成されていない。
(2)金属板21(一様な厚みを有する)が用意され、その金属板21に対して、貫通孔25が形成される。
(3)一方、樹脂板31が用意され、その樹脂板31に対して、貫通孔35が形成される。その方法は、第3の方法の(5)と同様である。
(4)次に、金属板21(ベース層20)に対して樹脂板31(樹脂層30)が貼着される。その際、金属板21(金属層)と樹脂板31(樹脂層30)とが、所定の位置関係となるようにして、その貼着が行われる。
(5)次に、その金属板21(ベース層20)及び樹脂板31(樹脂層30)が貼り合わせられたものが、スクリーン10に対して貼着される。
(6)次に、スクリーン10に対して、開口部12が形成される。
【0039】
次に、この印刷用マスクの使用方法及び作用効果について説明する。
図1及び図3に示すように、この印刷用マスクは、シリコン等の基板50に対してセット(載置)される。なお、基板50は、予め水平にセットされている。印刷用マスクは、基板50の上方に位置するようにしてセットされる。
そして、印刷用マスク(ベース層20)の上にインクが供給される。インクは、導電性を有するものであり、印刷用マスクのインク供給用貫通孔15を通って基板50に到達し、基板50に印刷が行われる。
【0040】
その際の作用を詳細に述べると、次のとおりである。
インクは、ベース層20の貫通孔25内に流入し、さらに、樹脂層30の貫通孔35に到達する。ベース層20の貫通孔25は、基本的に樹脂層30の貫通孔35よりも大きい(太い)ために、ベース層20の貫通孔25内のインクは、樹脂層30の貫通孔35に円滑に流入する。
【0041】
なお、ベース層20の貫通孔25には部分的に連結部26が形成されており、ベース層20の貫通孔25は連結部26において複数の分断貫通孔27に分断されているが、連結部26が幅細であるとともに、インクが流動性を有しているために、インクは、樹脂層30の貫通孔35のすべての部分(ベース層20の貫通孔25の連結部26に対応する部分を含む)に行き渡る(充填状態となる)。
同様に、ベース層20の貫通孔25が樹脂層30の貫通孔35より若干短くても、インクの流動性によって、インクは樹脂層30の貫通孔35のすべての部分(両端部を含む)に行き渡る(充填状態となる)。
【0042】
そして、樹脂層30の貫通孔35内のインクは、基板50に対して付着する。こうして、樹脂層30の貫通孔35に対応したパターンで、基板50に対して印刷が行われることとなる。
【0043】
そして、この印刷用マスクにおいては、樹脂層30の貫通孔35は、レーザによって高精度に形成されている。このため、この印刷用マスクでは、高精度の印刷を行うことが可能である。
【0044】
また、この印刷用マスクにおいては、ベース層20が金属等によって形成され平板状をなしているとともに、貫通孔25は、ベース層20のうち、印刷パターン55に概略的に対応する部分にのみ形成されている。また、ベース層20(貫通孔25)は、電鋳法によるものでなく、一様な厚みを有する平板状のもの(金属板等)に対してレーザの照射又はエッチングによって形成されたものである。さらに、その貫通孔25は、複数の分断貫通孔27に分断されており、複数の幅細の連結部26を有している。
このため、ベース20には大きな剛性が得られ、この印刷用マスクは、より正確な一平面状となり得る。こうして、その点でも、この印刷用マスクでは、高精度の印刷を行うことが可能なのである。
【0045】
こうして、この印刷用マスクでは、基板50上に対して高精度に配線をすることが可能なのである。
【0046】
[実施例2]
次に、本発明の実施例2について、図6及び図7に基づいて説明する。実施例2は実施例1の変形例であるため、実施例1とのの相違点を中心に説明する。
【0047】
この印刷用マスクも、ベース層120及び樹脂層30を有している。
この印刷用マスクは、ベース層120の貫通孔125において、実施例1の印刷用マスクと相違する。
このベース層120の貫通孔125は、印刷パターン55に概略的に対応して、多数の微孔127の集合体として形成されている。
【0048】
この印刷用マスクでも、実施例1と同様の作用効果が得られる。
すなわち、この印刷用マスク(ベース層120)の上に供給されたインクは、ベース層120の貫通孔125(多数の各微孔127)に流入し、貫通孔125(各微孔127)内のインクは、樹脂層30の貫通孔35に到達する。インクは、流動性を有しているために、樹脂層30の貫通孔35のすべての部分に行き渡る(充填状態となる)。
そして、そのインクが基板50に対して付着し、高精度の印刷が行われる。
【0049】
なお、上記のものはあくまで本発明の複数の実施例にすぎず、当業者の知識に基づいて種々の変更を加えた態様で本発明を実施できることはもちろんである。
【符号の説明】
【0050】
15 インク供給用貫通孔
20,120 ベース層
25,125 貫通孔
30 樹脂層
35 貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に対してセットされインク供給用貫通孔を通してインクが供給されることによって当該基板に対して所定の印刷パターンで印刷が行われるマスクであって、
前記所定の印刷パターンに概略的に対応する貫通孔を有する平板状のベース層と、
前記ベース層の下側に位置して前記基板に対向する層であり、前記所定の印刷パターンに対応し、前記ベース層の貫通孔とともに前記インク供給用貫通孔を構成する貫通孔を有する樹脂層と
を有し、
前記樹脂層の貫通孔はレーザの照射によって形成されている、
印刷用マスク。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷用マスクであって、
前記ベース層は、一様な厚みを有する金属板に対して前記貫通孔が設けられて形成されている、
印刷用マスク。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の印刷用マスクであって、
前記ベース層の貫通孔は、レーザの照射又はエッチングによって、複数の孔状に形成されている、
印刷用マスク。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の印刷用マスクであって、
前記ベース層の貫通孔は、レーザの照射又はエッチングによって、前記所定の印刷パターンの大きさより小さい複数の微孔状に形成されている、
印刷用マスク。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載の印刷用マスクであって、
前記樹脂層を形成する樹脂板が前記ベース層に対して取り付けられる前の段階において、当該樹脂板に対して前記貫通孔が形成されたものである、
印刷用マスク。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれかに記載の印刷用マスクであって、
太陽電池を製造するためのものである、
印刷用マスク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−260307(P2010−260307A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−114557(P2009−114557)
【出願日】平成21年5月11日(2009.5.11)
【出願人】(504376681)アサヒテック株式会社 (7)
【Fターム(参考)】