説明

印刷組成物のための溶媒

インクジェット印刷技術を用いてOLED等の電子デバイスを製造するのに適した組成物が、導体または半導体の有機材料および溶媒を含み、該溶媒が250℃を超える沸点および5cPs未満の粘度を有する。該組成物は、好ましくは0.1と20cPsの間の範囲の粘度を有し、該溶媒は好ましくは式(I)


を有し、式中Rは、C〜C11アルキルを表す。その高沸点の溶媒は、「インク」が、印刷後長時間にわたって乾いていないままであることを可能にする。これにより、乾燥中のよりよいプロセス制御が提供され、より均一なフィルムおよびフィルム面に関するより大きい制御がもたらされる。低粘度の溶媒は、高い周波数での組成物の噴射を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導体または半導体の有機材料および溶媒を含む組成物に関するものであり、該組成物は、例えば、有機発光デバイス等の有機電子デバイスの製造において印刷技術によって堆積させるのに適している。
【背景技術】
【0002】
典型的な有機発光デバイス(OLED)は、アノード、カソードおよびそのアノードとカソードの間に位置付けられており、少なくとも1つのポリマーのエレクトロルミネセント材料を含んでいる発光層を担持する基板を含む。作動中、正孔がアノードからデバイス中に注入され、電子がカソードからデバイス中に注入される。正孔と電子は、発光層の中で結合して励起子を形成し、それが次に放射崩壊して発光する。
【0003】
その他の層をデバイス中に存在させることができ、例えば、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS)等の導電性正孔注入材料の層をアノードと発光層の間に設けて正孔のアノードから発光層への注入を助けることができる。さらに、正孔輸送材料でできている正孔輸送層を、アノードと発光層の間に設けて正孔の発光層への輸送を助けることができる。
【0004】
ルミネセント共役ポリマーは、次世代の情報技術に基づく消費者製品のための有機発光デバイスにおいて使用されるであろう材料の重要な種類である。ポリマーを使用することの本源的関心は、無機半導体材料および有機色素材料とは対照的に、フィルム形成性材料の溶液処理を用いる低コストのデバイス製造に対する可能性にある。この10年来、より効率的な材料かまたはデバイス構造を開発することによる有機発光ダイオード(OLED)の発光効率の改善に多くの努力が充てられてきた。
【0005】
共役ポリマーのさらなる利点は、それらがスズキ重合またはヤマモト重合により容易に形成することができることである。これにより、得られるポリマーの位置規則性に関する高度の制御が可能となる。
【0006】
共役ポリマーは、適当な可溶化基の存在により溶液処理が可能であり得る。ポリアリーレン、特にポリフルオレンに対する適当な溶媒としては、トルエンおよびキシレン等のモノ−またはポリ−アルキルベンゼンが挙げられる。特に好ましい溶液堆積技術は、スピンコーティングおよびインクジェット印刷である。
【0007】
スピンコーティングは、エレクトロルミネセント材料のパターニングが必要でないデバイスに対して、例えば照明用途、または単純なモノクロセグメント化ディスプレイに対して特に適している。
【0008】
インクジェット印刷は、高い情報量のディスプレイ、とりわけフルカラーディスプレイに特に適している。
【0009】
本組成物が適するその他の溶液堆積技術としては、ディップコーティング、ロール印刷およびスクリーン印刷が挙げられる。
【0010】
OLEDの発光層のインクジェット印刷は、例えば、EP0880303に記載されている。
【0011】
EP1083775は、インクジェット印刷方法で使用することができる組成物を開示している。その組成物は、機能材料と、1つまたは複数の置換基を有しており3つの置換基が合計で3つ以上の炭素原子を有する少なくとも1つのベンゼン誘導体を含む溶媒とからなる。次の溶媒が挙げられる:クメン、シメン、シクロヘキシルベンゼン、ドデシルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、ジペンチルベンゼン、ブチルベンゼン、テトラリンおよびテトラメチルベンゼン。ドデシルベンゼンは、EP1083775の実施例2−2において、赤、緑および青のルミネセント材料用の溶媒として使用されている。
【0012】
JP2006−241309は、ジフェニルエーテル、例えば3−フェノキシトルエンを含むインクジェット組成物を開示している。
【0013】
WO01/16251は、発光デバイス内に共役ポリマー層を堆積させるための配合物を開示している。発光デバイス内にポリマー層を堆積させるための配合物が開示されており、その配合物は、溶媒に溶解した共役ポリマーを含み、その溶媒は、テルペンおよびアルキル化芳香族化合物からなる群から選択される少なくとも1つの物質を含む。好ましいポリアルキル化芳香族化合物としては、シメンおよびイソジュレン等のポリアルキルベンゼンが挙げられることが述べられている。一実施形態によれば、その溶媒は、3つ以上の位置でアルキル基により置換されている少なくとも1つの芳香族化合物を含む。ジエチルベンゼンおよび1−メチル−4−t−ブチルベンゼン等のジアルキルベンゼンも開示されている。
【0014】
WO2006/123167は、光電気デバイスの製造で使用するための導体または半導体の有機材料をインクジェット印刷するための組成物に関する。WO2006/123167には、高沸点溶媒中に導体の有機材料を含む組成物として、電荷注入層を堆積させることができることが述べられている。PEDOT:PSSは、導体の有機材料として例示される。
【0015】
WO2006/123167は、また、有機エレクトロルミネセント材料および水よりも高い沸点を有する溶媒を含む組成物も開示している。
【0016】
次の高沸点溶媒が、WO2006/123167に開示されている:エチレングリコール、グリセロール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタン1,4ジオール、プロパン1,3ジオール、ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチル−2−ピロリドンおよびジメチルスルホキシド。
【0017】
インクジェット印刷に対する関心の主な理由は、拡張性(scalability)と適応性である。前者は、任意の大きいサイズの基板をパターン化することを可能にし、後者は、ある製品から別の製品に変更することに伴う工具費(tooling costs)が、基板に印刷される画像のドットがソフトウェアによって決められるために、無視できるはずであることを意味する。一見すると、これは画像の印刷と類似している、すなわち、工業用の印刷設備はビルボードサイズの基板に任意の画像を印刷することを可能にする[Inca digital website:http://www.incadigital.com/]。しかしながら、グラフィックプリンターとディスプレイパネルの間の大きな違いは、前者が、フィルム形成における乾燥環境の影響が非常に小さくなる多孔性の基板を使用するか、UV硬化可能なインクを使用することである。これに対して、OLEDディスプレイの製造で使用されるインクは、非多孔性の表面にインクジェット印刷され、湿ったインクから乾燥フィルムへの変化の過程は画素内のインクの乾燥環境に支配される。印刷プロセスはインクの印刷すじ(または幅)(インクジェットヘッド幅に対応する)を含むので、その乾燥環境には内蔵された非対称が存在する。加えて、OLEDデバイスはフィルムがナノメートルの許容誤差まで均一であることを必要とする。拡張性と適応性の達成のためには、インクのフィルム形成性の制御と画素の大きさ(pixel dimensions)および幅調節(swathe timing)における変化に対するこのプロセスのロバスト性が当然必要となる。
【0018】
優れた均一性を示す薄いポリマーフィルムを製造することができる材料配合物を使用することが重要である。この点において、表面張力、粘度、濃度、および接触角(堆積媒体およびそれを堆積すべき基板上)についての望ましい特性を示し、好ましくは良好な溶液安定性も示す配合物を使用することが重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明者らは、インクジェット印刷により堆積するのに適したさらなる組成物を提供する必要性を確認した。
【課題を解決するための手段】
【0020】
かくして、本発明の第一の態様は、請求項1〜19に特定されている組成物を提供する。
【0021】
本記述および特許請求の範囲の中で述べられている粘度の値は、例えば、コーンとプレートの配置を有するTA−AR1000制御ストレスレオメーターを用いて20℃で測定した動的粘度の値を指す。0〜1000/秒の範囲の剪断速度が使用され、その条件下では記載されている溶媒およびインクは、ニュートン流体であるかまたはニュートン流体に近い。
【0022】
本発明による組成物中で使用される高沸点の溶媒は、「インク」が、印刷後長時間にわたって乾いていないままであることを引き起こすかまたは可能にするという利点を有する。これにより、乾燥中のよりよいプロセス制御がもたらされ、より均一なフィルムおよびフィルム面に関するよりよい制御がもたらされる。さらに低粘度の溶媒は、6kHzを超えるような高い周波数での該組成物の噴射を可能にする。その溶媒は、また、該組成物が高い固形分含量(すなわち、高濃度の導体または半導体の有機材料)で配合されることも可能にする。
【0023】
好ましくは、その溶媒は、式I:
【0024】
【化1】

を有し、式中、Rは、直鎖状または分枝状のC〜C11のアルキル、アルコキシ、アルキルチオまたはアルキルアミノを表す。1つまたは複数のさらなるR基が、フェニル環の置換基として存在してもよい。
【0025】
好ましくは、Rは、C〜C11アルキル、より好ましくはC〜C10アルキル、最も好ましくはCアルキルを表す。
【0026】
好ましくは、Rは、直鎖状のC〜C11アルキル、より好ましくは直鎖状のC〜C10アルキル、最も好ましくは直鎖状のCアルキルを表す。
【0027】
好ましくは、溶媒は、少なくとも261℃の沸点を有する。好ましくは、溶媒は、4cPs未満の粘度を有する。好ましくは、溶媒は、溶媒分子中に酸素原子を持たない。
【0028】
本発明による組成物に関して、導体または半導体の有機材料が、250℃を超える沸点と5cPsを下回る粘度を有する溶媒中に溶解することは高く評価される。本発明者らは、導体または半導体の有機材料が、かかる溶媒中に実際に溶解することを発見したことに驚いた。
【0029】
さらに、式Iを有する溶媒は、高い固形分含量と一緒に、望ましい粘度を有する組成物を可能にすることが見出されている限りにおいて有利である。好ましくは、最終配合物の粘度は0.1〜20cPs、より好ましくは3〜12cPsの範囲内、最も好ましくは、8〜10cPsの範囲内である。粘度は固形分負荷によって制御することができる。
【0030】
高い固形分含量は、それによって2回以上の印刷を必要とするよりはむしろ1回の印刷で望ましい層の厚さの印刷を可能にすることができるので望ましい。
【0031】
上で定義した式Iを有する溶媒は、一般的には0.1と5cPsの間、より好ましくは1と4cPsの間、最も好ましくは2.7〜3.9cPs、または3〜4cPsの範囲内の粘度を有する。
【0032】
さらに、上で定義した式Iを有する溶媒は、一般的には少なくとも250℃、より一般的には少なくとも261℃の沸点を有する。そのような高い沸点の溶媒に対して、当業者ははるかに高い粘度の溶媒を予測するであろう。かくして、本発明による組成物は、インクジェット印刷、ロール印刷、またはスクリーン印刷等の印刷技術を使用して組成物を薄いフィルムまたは層として堆積させることを可能にする望ましい粘度の利点と一緒に、高沸点溶媒の利点を提供する。
【0033】
好ましい溶媒としては以下のものが挙げられる:
【0034】
【表1】

【0035】
インクジェット印刷は、特に興味深い。
【0036】
単一の溶媒、すなわち、式Iを有する溶媒を使用することができる。
【0037】
別法では、組成物は、溶媒ブレンドを有することができる。溶媒ブレンドは、組成物の粘度に関してさらなる制御を可能にする。溶媒ブレンドは、少なくとも250℃の沸点と5cPs未満の粘度を有する第1の溶媒を、より高いかまたはより低い沸点、好ましくはより低い沸点を有する第2の溶媒と一緒に含むことができる。好ましい第2の溶媒は、アルキル、アルコキシ、アルキルチオまたはアルキルアミノ置換基の1つまたは複数により置換されているベンゼン、例えば、4−メチルアニソール、メシチレン、ブチルベンゼンおよびオルト−キシレンからなる群から選択される。好ましくは、第2の溶媒は、250℃未満の沸点を有し、1〜5cPsの範囲内の粘度を有する。好ましい溶媒ブレンドは、第1の溶媒とより低い沸点を有する第2の溶媒の1:1のブレンドである。かかるブレンドは、結果として特に良好な平らなフィルムが形成されることが見出されている。
【0038】
好ましくは、導体または半導体の有機材料は、ポリマーを含む。ポリマーは、架橋できる基の存在によって架橋することができる。
【0039】
組成物の噴射特性は、測定された重量または体積のインクから溶媒を蒸発させて乾燥状態にする重量分析によって測定することができる固形分含量に強く依存している。その固形分含量は、残留している固体材料を計量し、溶媒の乾燥に基づく減量を計算することによって決定することができる。
【0040】
当然のことながら、固形分含量は、組成物の望ましい粘度を考慮して選択する。
【0041】
導体または半導体の有機材料は、好ましくは半導体材料である。
【0042】
導体または半導体の有機材料は、半導体のルミネセント材料であり得る。好ましくは、半導体のルミネセント材料の組成物中の濃度は、100〜1,500,000ダルトンMwの範囲のポリマー材料に関して、0.1%〜5%w/vの範囲、より好ましくは0.8%〜1.2%w/vの範囲である。
【0043】
導体または半導体の有機材料は、半導体の電荷輸送材料、特に半導体の正孔輸送材料であり得る。好ましくは、半導体の正孔輸送材料の組成物中の濃度は、最大で0.8w/v%まで、より好ましくは0.2〜0.5w/v%の範囲内である。
【0044】
導体または半導体の有機材料は、導体の正孔注入材料であり得る。好ましくは、正孔注入材料の組成物中の濃度は0.1〜4w/v%の範囲内である。
【0045】
好ましくは、半導体ルミネセント材料は、ルミネセントポリマー、より好ましくは共役ポリマーを含む。好ましくは、そのルミネセントポリマーは、500を超える範囲の絶対分子量、より好ましくは200〜300キロダルトンのMwを有する。
【0046】
好ましくは、半導体の電荷輸送材料(特に正孔輸送材料)は、電荷輸送ポリマー、より好ましくは共役ポリマーを含む。好ましくは、電荷輸送ポリマーは、少なくとも40キロダルトンの範囲のMw、より好ましくは、180キロダルトン〜500キロダルトンの範囲の絶対分子量を有する。
【0047】
本発明による組成物中のポリマーの絶対分子量は、ポリスチレンの標準に対するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定することができる。
【0048】
好ましい半導体の正孔輸送ポリマーは、トリアリールアミンの繰り返し単位を含む。好ましいトリアリールアミンの繰り返し単位は、一般式1:
【0049】
【化2】

を満たし、式中、ArとArは、適宜置換されているアリールまたはヘテロアリール基であり、nは、1以上、好ましくは1または2であり、R1は、Hまたは置換基、好ましくは置換基である。R1は、好ましくは、アルキルまたはアリールもしくはヘテロアリール、最も好ましくはアリールもしくはヘテロアリールである。式1の単位中のいずれのアリールもしくはヘテロアリール基も置換されていてよい。好ましい置換基としては、アルキルおよびアルコキシ基が挙げられる。式1の繰り返し単位中のいずれのアリールもしくはヘテロアリール基も直接結合または二価結合原子または基によって連結されていてよい。好ましい二価の連結原子および基としては、O、S,置換されているN、および置換されているCが挙げられる。
【0050】
式1を満たす特に好ましい単位としては、式2〜4:
【0051】
【化3】

の単位が挙げられ、式中、ArとArは、上で定義したものと同じであり、Arは、適宜置換されているアリールまたはヘテロアリールである。存在する場合のArに対する好ましい置換基としては、アルキルおよびアルコキシ基が挙げられる。
【0052】
特に好ましいこのタイプの正孔輸送ポリマーは、トリアリールアミン繰り返し単位と第2の繰り返し単位とのコポリマー(特にABコポリマー)である。第2の繰り返し単位は、好ましくは、フルオレン繰り返し単位、より好ましくは式5:
【0053】
【化4】

の繰り返し単位であり、式中、RおよびRは、独立して、水素または適宜置換されているアルキル、アルコキシ、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールおよびヘテロアリールアルキルから選択される。より好ましくは、RおよびRの少なくとも1つは、適宜置換されているC〜C20アルキルまたはアリール基を含む。
【0054】
好ましい導体の正孔注入材料は、通常ドープされている導体の有機または無機材料を含む。ドープされている有機正孔注入材料の例としては、ドープされているポリ(エチレンジオキシチオフェン)(PEDT)、とりわけ、EP0901176およびEP0947123に開示されているポリスチレンスルホネート(PSS)などの電荷平衡型ポリ酸、ポリアクリル酸またはフッ素化スルホン酸、例えば、Nafion(登録商標)によりドープされているPEDT;米国特許第5,723,873号および米国特許第5,798,170号に開示されているポリアニリン;およびポリ(チエノチオフェン)が挙げられる。導体の無機材料の例としては、Journal of Physics D:Applied Physics(1996)、29(11)、2750〜2753頁に開示されているVOx、MoOxおよびRuOx等の遷移金属酸化物が挙げられる。
【0055】
本発明の組成物は、上記のような低沸点溶媒を含むことができる。さらに、または、あるいは、当然のことながら他の材料を組成物に含めることができ、例えば、さらなる高沸点の溶媒を含めることができる。その他の表面湿潤剤(例えばアルコキシエーテル)等の非可溶化剤も含めることができる。
【0056】
本発明の第2の態様は、第1の態様に関連して定義された組成物を堆積させて層を形成するステップを含む、有機発光デバイスを形成する方法を提供する。
【0057】
好ましくは、堆積は、インクジェット印刷、ロール印刷またはスクリーン印刷による。
【0058】
導体または半導体の有機材料が、半導体の正孔輸送材料である実施態様において、該方法は、好ましくは、層を加熱することによって焼き付けるさらなるステップを含む。半導体の正孔輸送層を焼き付けた後には続いてルミネセント層が堆積される。焼付け条件は、半導体の正孔輸送層の少なくとも一部が不溶性となり、その結果その半導体の正孔輸送層を溶解することなくルミネセント層を堆積させることができるように選択すべきである。その半導体の正孔輸送材料は、得られた層を不溶性にするために、焼付け中に架橋する架橋可能な基を含むことができる。別法では、その材料は架橋可能な基を実質的に含まなくてもよく、その場合、その半導体の正孔輸送層は、例えば、WO2004/023573に記載されているように焼き付けることによって、それでも不溶性にすることができる。焼付けのための適当な温度は、180〜220℃の範囲内である。好ましくは、望ましい温度における焼付けは、5分と60分の間で行われる。
【0059】
本発明の第2の態様による方法においては、米国カリフォルニア州のLitrex Corporation社製の機械等の精密なインクジェットプリンターを使用することができ、適当なプリントヘッドは、英国ケンブリッジのXaar社および米国ニューハンプシャー州のSpectra,Inc.社から入手可能である。
【0060】
好ましくは、本発明の第2の態様による方法において、半導体のルミネセント層の厚さは、30〜120nm、より好ましくは50〜90nmの範囲である。
【0061】
好ましくは、本発明の第2の態様による方法において、半導体の正孔輸送層の厚さは、10〜40nm、より好ましくは15〜40nmの範囲である。
【0062】
好ましくは、本発明の第2の態様による方法において、導体の正孔注入層の厚さは、30〜200nm、より好ましくは50〜130nmの範囲である。
【0063】
本発明の第2の態様による方法において、該方法は、一般的に:
1.アノード層を準備するステップ、
2.アノード層上に導体の正孔注入層を適宜準備するステップ、
3.アノード層(または存在する場合には、正孔注入層)上に半導体の正孔輸送層を適宜準備するステップ、
4.アノード層(または存在する場合には、導体の正孔注入層または半導体の正孔輸送層)上にルミネセント層を準備するステップ、
5.ルミネセント層上に電子輸送層を適宜準備するステップ、および
6.ルミネセント層(または存在する場合には、電子輸送層)上にカソードを準備するステップ、
を含む。導体の正孔注入層、半導体の正孔輸送層、およびルミネセント層の任意の1つ、2つまたはすべてが、本発明の第1の態様による組成物の堆積によって形成され得る。上記プロセスのステップ1〜6は、逆の順序で実施して、それ故底部にカソードを有するOLEDを提供してもよい。
【0064】
当然のことながら、本発明の第2の態様において、好ましくは、該方法は、層の形成後に第1の態様による組成物から溶媒を除去するステップを含む。溶媒(複数可)を除去する好ましい方法としては、周囲温度での、および温度が最高150℃までである高温での真空乾燥が挙げられる。カソードの堆積の前の焼付けは、溶媒がフィルムから除去されたことを確保するために有益であり得る。
【0065】
本発明の第2の態様による方法において、当然のことながら、インクジェット印刷が使用されるとき、印刷は一般にバンク構造によって規定される画素中になされる。これに関連して、組成物の望ましい粘度は、ある程度、画素サイズ、液滴直径、液滴体積、液滴周波数、および該組成物を堆積させる表面のぬれ性(wetability)に依存する。小さい画素に関しては、より高い固形分含量が一般に使用される。より大きい画素に関しては、より低い固形分含量が使用される。より大きい画素に関して、組成物の濃度は、良好なフィルム形成特性を得るために低下させる。
【0066】
好ましくは、組成物は、それがバンクを濡らさずにウェルからあふれるようなバンクとの接触角を有するべきである。
【0067】
本発明の第3の態様は、本発明の第2の態様による方法によって作製される有機半導体デバイスを提供する。そのようなデバイスは、ダイオード(OLED)、薄膜トランジスタ(OTFT)および有機光検出器(OPD)等の発光デバイスを含み得る。
【0068】
そのデバイスは、フルカラーディスプレイ、または有機発光デバイスを含む光源を含むことができる。
【0069】
本発明の第3の態様によるデバイスの好ましい特徴を以下に提供する。
【0070】
図1に関して、本発明の第3の態様によるエレクトロルミネセントデバイスの構造は、(一般的には透明なガラスまたはプラスチックの)基板1、アノード2およびカソード4を好ましくは含む。ルミネセント層3は、アノード2とカソード4の間に与えられる。
【0071】
実際のデバイスにおいて、電極の少なくとも1つは、光を放つことができるように半透明である。アノードが透明である場合、それは一般的にはインジウムスズ酸化物を含む。
【0072】
半導体の正孔輸送層が、アノード2とルミネセント層3の間に存在する。さらなる層、例えば、電荷輸送層、電荷注入層または電荷ブロッキング層を、アノード2とカソード3の間に配置することができる。
【0073】
特に、アノード2と半導体の正孔輸送層の間に、導体の有機または無機材料から形成することができる導体の正孔注入層を設けて、アノードから半導体の正孔輸送層中へ正孔を注入する助けをすることが望ましい。ドープされている有機正孔注入材料の例としては、ドープされているポリ(エチレンジオキシチオフェン)(PEDT)、とりわけ、EP0901176およびEP0947123に開示されているポリスチレンスルホネート(PSS)などの電荷平衡型ポリ酸、ポリアクリル酸またはフッ素化スルホン酸、例えば、Nafion(登録商標)によりドープされているPEDT;米国特許第5,723,873号および米国特許第5,798,170号に開示されているポリアニリン;およびポリ(チエノチオフェン)が挙げられる。導体の無機材料の例としては、Journal of Physics D:Applied Physics(1996)、29(11)、2750〜2753頁に開示されているVOx、MoOxおよびRuOx等の遷移金属酸化物が挙げられる。
【0074】
アノード2とルミネセント層3の間に位置する正孔輸送層は、好ましくは、5.5ev以下、より好ましくはおよそ4.8〜5.5evのHOMOレベルを有する。HOMOレベルは、例えば、サイクリックボルタンメトリーにより測定することができる。
【0075】
存在する場合、エレクトロルミネセント層3とカソード4の間に位置する電子輸送層は、およそ3〜3.5eVのLUMOレベルを好ましくは有する。
【0076】
本発明は、有機発光デバイスを含むデバイスを提供する。デバイスは、例えば、フルカラーディスプレイまたは光源であり得る。
【0077】
好ましいフルカラーディスプレイは、「赤」の画素、「緑」の画素および「青」の画素を含み、各画素は、第2の態様に関連して定義したOLEDを含む。「赤」の画素は、赤のエレクトロルミネセント材料を含むルミネセント層を有するであろう。「緑」の画素は、緑のエレクトロルミネセント材料を含むルミネセント層を有するであろう。「青」の画素は、青のエレクトロルミネセント材料を含むルミネセント層を有するであろう。
【0078】
「赤のエレクトロルミネセント材料」とは、エレクトロルミネセンスにより600〜750nm、好ましくは600〜700nm、より好ましくは610〜650nmの範囲の波長を有し、最も好ましくはおよそ650〜660nmの発光ピークを有する放射線を放出する有機材料を意味する。「緑のエレクトロルミネセント材料」とは、エレクトロルミネセンスにより510〜580nm、好ましくは510〜570nmの範囲の波長を有する放射線を放出する有機材料を意味する。「青のエレクトロルミネセント材料」とは、エレクトロルミネセンスにより400〜500nm、好ましくは430〜500nmの範囲の波長を有する放射線を放出する有機材料を意味する。赤、緑および青のエレクトロルミネセント材料は技術的に既知である。
【0079】
本発明を、これから添付の図面を参照しながらより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】典型的なOLEDの構造を示す図である。
【図2】OLEDの一例の垂直断面図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0081】
第3の態様によるデバイスに言及すると、ルミネセント層3は、ルミネセント材料単独からなることができ、または1つまたは複数のさらなる材料と組み合わせたルミネセント材料を含むことができる。特に、ルミネセント材料は、例えば、WO99/48160に記載されているように、正孔および/または電子輸送材料とブレンドすることができ、または半導体のホストマトリックス中にルミネセントドーパントを含むことができる。あるいは、ルミネセント材料は、電荷輸送材料および/またはホスト材料に共有結合させることができる。
【0082】
ルミネセント層3は、パターン化されているかまたはパターン化されていないかであり得る。パターン化されていない層を含むデバイスは、例えば、照明光源として使用することができる。白色光を放出するデバイスはこの目的に特に適する。パターン化した層を含むデバイスは、例えば、アクティブマトリックスディスプレイまたはパッシブマトリックスディスプレイであり得る。アクティブマトリックスディスプレイの場合、パターン化したエレクトロルミネセント層は、パターン化したアノード層およびパターン化されていないカソードとの組合せで一般的には使用される。パッシブマトリックスディスプレイの場合、そのアノード層は、平行ストライプ状のアノード材料と、アノード材料と直角に配置されている平行ストライプ状のエレクトロルミネセント材料およびカソード材料とから形成されており、そのエレクトロルミネセント材料およびカソード材料のストライプは、一般的にはフォトリソグラフィーによって形成された絶縁材料のストライプ(「カソードセパレーター」)によって分離されている。
【0083】
ルミネセント層3において使用するのに適する材料としては、小分子、ポリマーおよびデンドリマー材料ならびにそれらの組成物が挙げられる。層3において使用するのに適するエレクトロルミネセントポリマーとしては、ポリ(アリーレンビニレン)、例えばポリ(p−フェニレンビニレン)など、およびポリアリーレン類、例えば、ポリフルオレン類、特に、2,7−結合9,9ジアルキルポリフルオレンまたは2,7−結合9,9ジアリールポリフルオレン;ポリスピロフルオレン類、特に、2,7−結合ポリ−9,9−スピロフルオレン;ポリインデノフルオレン類、特に、2,7−結合ポリインデノフルオレン類;ポリフェニレン類、特に、アルキルまたはアルコキシ置換ポリ−1,4−フェニレンなどが挙げられる。かかるポリマーは、例えば、Adv.Mater.、2000年、12(23)、1737〜1750頁およびその中の参考文献に記載されている。層3において使用するのに適するエレクトロルミネセントデンドリマーとしては、例えば、WO02/066552に開示されているデンドリマー基を持つエレクトロルミネセント金属錯体が挙げられる。
【0084】
カソード4は、電子をルミネセント層に注入することを可能にする仕事関数を有する材料から選択される。その他の要因、例えば、カソードとエレクトロルミネセント材料との間の有害な相互作用の可能性などが、カソードの選択に影響を及ぼす。カソードは、アルミニウム層等の単一の材料からなることができる。あるいは、それは、複数の金属、例えば、WO98/10621に開示されているカルシウムとアルミニウムのような低い仕事関数の材料と高い仕事関数の材料との二層;WO98/57381、Appl.Phys.Lett.、2002年、81(4)、634頁およびWO02/84759に開示されているような元素バリウム;または、WO00/48258に開示されているような、電子注入を助けるための、金属化合物の薄層、特にアルカリまたはアルカリ土類金属の酸化物またはフッ化物、例えばフッ化リチウムの薄層;Appl.Phys.Lett.、2001年、79(5)、2001頁に開示されているようなフッ化バリウム;および酸化バリウムを含むことができる。電子のデバイス中への効果的な注入を提供するために、カソードは、好ましくは、3.5eV未満、より好ましくは、3.2eV未満、最も好ましくは3eV未満の仕事関数を有する。金属の仕事関数は、例えば、Michaelson、J.Appl.Phys.、48(11)、4729頁、1977年の中で見出すことができる。
【0085】
カソードは、不透明かまたは透明であり得る。透明なカソードは、デバイスにおいて透明なアノードを通る発光が、発光画素の下部に位置する駆動回路によって少なくとも部分的に遮蔽されるため、アクティブマトリックス型デバイスに特に有利である。透明なカソードは、透明であるために十分に薄い電子注入材料の層を含む。一般的にこの層の側方の導電率(lateral conductivity)は、その薄さの結果として低いであろう。この場合、電子注入材料の層は、インジウムスズ酸化物等の透明な導電性の材料のより厚い層と組合せて使用される。
【0086】
当然のことながら、透明なカソードデバイスは、透明なアノードを有する必要はない(もちろん完全に透明なデバイスが望まれない限りは)ので、底部発光デバイスのために使用される透明なアノードは、アルミニウムの層のような反射性材料の層によって置き換えるまたは補完することができる。透明なカソードデバイスの例は、例えば、GB2348316に開示されている。
【0087】
光学デバイスは、水分および酸素に対して敏感である傾向がある。したがって、好ましくは、基板は水分および酸素のデバイス中への進入を防ぐために良好なバリア性を有する。基板は、通常はガラスであるが、特にデバイスの柔軟性が望まれる場合は別の基板を使用することができる。例えば、基板は、交互になっているプラスチックとバリア層からなる基板を開示している米国特許第6,268,695号におけるようなプラスチック、またはEP0949850に開示されているような薄いガラスとプラスチックの積層板を含むことができる。
【0088】
デバイスは、水分および酸素の進入を防ぐために封止材(図1には示されていない)によって好ましくは封止される。適当な封止材としては、ガラスのシート、適当なバリア性を有するフィルム、例えば、WO01/81649に開示されているようなポリマーと誘電体の交互堆積物など、または、例えば、WO01/19142に開示されているような気密容器が挙げられる。基板または封止材を通って浸透しうる大気中の水分および/または酸素を吸収するためのゲッタ材料を、該基板と封止材との間に配置することができる。
【0089】
図1の実施態様は、最初に基板上にアノードを形成し、続いてルミネセント層およびカソードを堆積させることによって形成されるデバイスを示しているが、当然のことながら、本発明のデバイスは、最初に基板上にカソードを形成し、続いてルミネセント層およびアノードを堆積させることによって形成することもできる。
【0090】
重合方法
半導体のポリマーを調製するための好ましい方法は、例えば、WO00/53656に記載されているスズキ重合、および、例えば、T.Yamamoto、「Electrically Conducting And Thermally Stable π−Conjugated Poly(arylene)s Prepared by Organometallic Processes」、Progress in Polymer Science、1993年、17、1153〜1205頁に記載されているヤマモト重合である。これらの重合技術は、両方とも、金属錯体触媒の金属原子がモノマーのアリール基と脱離基の間に挿入される「金属挿入」を介して機能する。ヤマモト重合の場合はニッケル錯体の触媒が使用され、スズキ重合の場合はパラジウム錯体の触媒が使用される。
【0091】
例えば、ヤマモト重合による線状ポリマーの合成においては、2つの反応性ハロゲン基を有するモノマーを使用する。同様に、スズキ重合の方法によれば、少なくとも1つの反応性基がボロン酸またはボロン酸エステル等のホウ素誘導体の基であり、他の反応性基がハロゲンである。好ましいハロゲンは、塩素、臭素およびヨウ素であり、最も好ましいのは臭素である。
【0092】
それ故当然のことながら、本出願を通して説明されているアリール基を含む繰り返し単位および末端基は、適当な脱離基を持つモノマーから誘導することができる。
【0093】
スズキ重合は、レジオレギュラー(regioregular)、ブロックおよびランダムコポリマーを調製するために使用することができる。特に、1つの反応性基がハロゲンであり、他の反応性基がホウ素誘導体の基であるときは、ホモポリマーまたはランダムコポリマーを調製することができる。あるいは、第1のモノマーの両方の反応性基がホウ素であり、第2のモノマーの両方の反応性基がハロゲンであるときは、ブロックまたはレジオレギュラー、特にAB型のコポリマーを調製することができる。
【0094】
ハロゲン化物の代わりとして、金属挿入に関与することができるその他の脱離基としてはトシル基、メシレート基およびトリフレート基が挙げられる。
【0095】
OLEDは、画素のマトリックスの基板上に堆積させて単色または多色の画素で構成されたディスプレイを形成することができる。多色のディスプレイは、赤、緑、および青を発光する画素の群を使用して構成することができる。いわゆるアクティブマトリックスディスプレイは、各画素と関連するメモリエレメント、一般的には記憶キャパシタ(storage capacitor)およびトランジスタを有する。パッシブマトリックスディスプレイは、そのようなメモリエレメントは有しておらず、その代わりに、繰り返し走査されて、動かない画像の印象を与える。
【0096】
図2は、OLEDデバイス100の一例の垂直断面図を示す。アクティブマトリックスディスプレイにおいて、画素の領域の一部が関連する駆動回路によって占められている(図2には示されていない)。そのデバイスの構造は説明のために幾分簡略化されている。
【0097】
OLED100は、一般的には0.7mmまたは1.1mmのガラスであるが場合によっては透明なプラスチックであり、その上にアノード層106が堆積されている基板102を含む。アノード層は、一般的にはおよそ150nmの厚さのITO(インジウムスズ酸化物)を含み、その上に、一般的にはおよそ500nmのアルミニウムの時々アノード金属と称される金属接触層が設けられている。ITOおよび接触金属がコーティングされているガラス基板は、米国のCorning社から購入することができる。接触金属(および場合によってITO)は、それがディスプレイを暗くしないように、フォトリソグラフィーとそれに続くエッチングの通常のプロセスにより所望の通りにパターン化される。
【0098】
実質的に透明な導体の正孔注入層108aは、アノード金属上に設けられ、続いて半導体の正孔輸送層108bおよびエレクトロルミネセント層108cが設けられる。バンク112は、例えばポジまたはネガのフォトレジスト材料から基板上に形成されてウェル114を規定することができ、その中にこれらの活性有機層を選択的に堆積させることができる。ウェルは従ってディスプレイの発光領域または画素を規定する。
【0099】
次にカソード層110が、例えば物理的蒸着によって塗布される。カソード層は、一般的には電子エネルギー準位整合を改善するために、低い仕事関数の金属、例えば、より厚いアルミニウムのキャッピング層で、場合によっては、エレクトロルミネセント層に直接隣接したフッ化リチウムの層等のさらなる層を含めて覆われているカルシウムまたはバリウムなどを含む。カソードラインの相互の電気的遮蔽は、カソードセパレーターの使用によって達成することができる。一般的には多数のディスプレイが単一の基板上に組み立てられ、その組み立て作業の最後に、その基板に印をつけて(scribed)ディスプレイが分離される。ガラスシートまたは金属等の封止材は、酸化および水分の進入を防ぐために利用することができる。
【0100】
バンクの縁または面は、図示されているように基板の面上で、一般的には10度と40度の間の角度で先細にされる。バンクは、それらが堆積される有機材料の溶液には濡れず、それにより堆積された材料をウェル内に収容することを助けるため、疎水性表面を呈する。これは、EP0989778に開示されているように、ポリイミド等のバンク材料をO/CFプラズマにより処理することによって達成される。あるいは、プラズマ処理ステップは、WO03/083960に開示されているように、フッ素化ポリイミド等のフッ素化材料を使用することによって回避することができる。
【0101】
バンクおよびセパレーターの構造物は、レジスト材料から、例えば、バンクに対してはポジティブ(またはネガティブ)レジストを使用して、セパレーターに対してはネガティブ(またはポジティブ)レジストを使用して形成することができ、これらのレジストは、両方とも、ポリイミドに基づいて、基板にスピンコートされてもよく、またはフッ素化されているもしくはフッ素化されているもののようなフォトレジストを採用してもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェット印刷、ロール印刷、またはスクリーン印刷等の印刷技術を用いて電子デバイスを製造するのに適した組成物であって、導体または半導体の有機材料および溶媒を含み、前記溶媒が250℃を超える沸点および5cPs未満の粘度を有する組成物。
【請求項2】
0.1から20cPsの間の範囲の粘度を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
溶媒が、式I:
【化1】

(式中、Rは、C〜C11アルキルを表す)
を有する、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
Rが、C〜C11アルキルを表す、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
Rが、C〜C10アルキルを表す、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
Rが、直鎖状のC〜C10アルキルを表す、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
導体または半導体の有機材料が、ポリマーを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
導体または半導体の有機材料が、半導体のルミネセント材料である、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
半導体のルミネセント材料が、半導体のルミネセントポリマーである、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
導体または半導体の有機材料が、半導体の正孔輸送材料である、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
半導体の正孔輸送材料が、トリアリールアミンの繰り返し単位を含む半導体の正孔輸送ポリマーである、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
導体または半導体の有機材料が、導体の正孔注入材料である、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
導体の正孔注入材料が、ポリスチレンスルホネート(PSS)をドープしたポリ(エチレンジオキシチオフェン)(PEDT)を含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
単一の溶媒を含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
2つ以上の溶媒を含む溶媒のブレンドを含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
溶媒のブレンドが、250℃を超える沸点および5cPs未満の粘度を有する第1の溶媒と、前記第1の溶媒より低い沸点を有する第2の溶媒とを含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
第2の溶媒が、4−メチルアニソール、メシチレン、ブチルベンゼンおよびオルト−キシレンからなる群から選択される、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
溶媒のブレンドが、第1の溶媒と第2の溶媒の1:1のブレンドである、請求項15から17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
溶媒が酸素を含有しない、請求項1から18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
有機半導体デバイスを形成する方法であって、請求項1から19のいずれか一項に記載の組成物を、インクジェット印刷、ロール印刷またはスクリーン印刷によって堆積させて層を形成するステップを含む方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法によって作製された有機発光デバイス。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−517369(P2011−517369A)
【公表日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−549186(P2010−549186)
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【国際出願番号】PCT/GB2009/000516
【国際公開番号】WO2009/109738
【国際公開日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(597063048)ケンブリッジ ディスプレイ テクノロジー リミテッド (152)
【Fターム(参考)】