説明

印刷装置、印刷システム、印刷方法及びその印刷方法を実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体

【課題】被印刷基板とスタンプとの間に気泡が入り込むことを抑制することによって、印刷精度を向上できるとともに、装置の小型化、省電力化を図ることができる印刷装置を提供する。
【解決手段】被印刷基板1とスタンプ部材2とを接触させることによって、印刷材料を被印刷基板1に印刷する印刷装置10において、第1の保持機構20及び第2の保持機構40のいずれか一方を他方に対して相対移動させることによって、第1の保持機構20に保持されている被印刷基板1と第2の保持機構40に保持されているスタンプ部材2とを大気圧下で接触させる移動機構30、50と、互いに接触している被印刷基板1とスタンプ部材2とが大気圧下にある状態で、被印刷基板1とスタンプ部材2との隙間を真空排気することによって、スタンプ部材2を被印刷基板1に吸着させる吸着機構60とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置、印刷システム、印刷方法及びその印刷方法を実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体集積回路は集積化(微細化)が進んでいる。この微細な半導体集積回路を形成するために、例えばフォトリソグラフィ技術によってレジストよりなるマスクパターンを形成し、形成したマスクパターンをマスクとしてエッチングを行うことで、所望の半導体集積回路に対応したパターンを形成する手法が用いられている。このとき、露光工程においては、さらなる高精度化を図るために、波長の短い例えばArFエキシマレーザ光を光源としたステッパ等により露光が行われている。このため、装置コスト又はレチクル等のマスクを作製するためのコストが増大している。
【0003】
一方、フォトリソグラフィ技術に代え、印刷方法によりパターンを形成する手法、例えばインプリント方法によりパターンを形成する手法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。このインプリント方法では、形成しようとするパターンの凹凸に対応する凹凸(表面形状)が形成されたスタンパを、被印刷基板の表面に型押しするものであり、微細なパターンを低コストで形成することができる。
【0004】
このようなインプリント方法では、スタンパを被印刷基板に型押しする前に、スタンパと被印刷基板との相対位置を高精度に位置合わせする必要がある。
【0005】
スタンパと被印刷基板との位置合わせ方法としては、スタンパの表面と被印刷基板の表面のそれぞれにアライメントパターンを設け、設けたアライメントパターンを光学的に観察することによってスタンパと被印刷基板との相対位置を位置合わせする方法が知られている。あるいは、スタンパと被印刷基板との両方に設けられた略同径の中心穴に、位置合わせ用ピンを挿通する方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−12858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上記したようなインプリント方法等の印刷方法では、スタンパと被印刷基板とを位置合わせした状態で接触させる際に、スタンパと被印刷基板との間に気泡が入り込むことがある。スタンパと被印刷基板との間に気泡が残存すると、精度よくパターンを形成することができないという問題がある。
【0008】
スタンパと被印刷基板との間に気泡を残さないようにするためには、減圧雰囲気下でスタンパと被印刷基板とを接触させることが考えられる。特許文献1に示す例では、被印刷基板とスタンパとが配置されたチャンバを減圧手段により減圧する。しかし、チャンバ全体を減圧にするため、減圧にする空間が大きくなり、装置の小型化、省電力化を図ることが難しい。
【0009】
また、上記した課題は、印刷材料が塗布されている被印刷基板にスタンパを押し付け、押し付けた部分の印刷材料を除去してパターンを印刷する場合に限られない。上記した課題は、例えば、印刷材料が塗布されているスタンプを被印刷部材に接触させてパターンを印刷する場合にも共通する課題である。
【0010】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、被印刷基板とスタンプとの間に気泡が入り込むことを抑制することによって、印刷精度を向上できるとともに、装置の小型化、省電力化を図ることができる印刷装置、印刷システム及び印刷方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために本発明では、次に述べる手段を講じたことを特徴とするものである。
【0012】
本発明の一実施例によれば、被印刷基板とスタンプ部材とを接触させることによって、印刷材料を前記被印刷基板に印刷する印刷装置において、前記被印刷基板を保持する第1の保持機構と、前記スタンプ部材を保持する第2の保持機構と、前記第1の保持機構及び前記第2の保持機構のいずれか一方を他方に対して相対移動させることによって、前記第1の保持機構に保持されている前記被印刷基板と前記第2の保持機構に保持されている前記スタンプ部材とを大気圧下で接触させる移動機構と、互いに接触している前記被印刷基板と前記スタンプ部材とが大気圧下にある状態で、前記被印刷基板と前記スタンプ部材との隙間を真空排気することによって、前記スタンプ部材を前記被印刷基板に吸着させる吸着機構とを有する、印刷装置が提供される。
【0013】
また、本発明の他の一実施例によれば、被印刷基板とスタンプ部材とを接触させることによって、印刷材料を前記被印刷基板に印刷する印刷方法において、第1の保持機構により前記被印刷基板を保持する第1の保持工程と、第2の保持機構により前記スタンプ部材を保持する第2の保持工程と、移動機構により前記第1の保持機構及び前記第2の保持機構のいずれか一方を他方に対して相対移動させることによって、前記第1の保持機構に保持されている前記被印刷基板と前記第2の保持機構に保持されている前記スタンプ部材とを大気圧下で接触させる移動工程と、互いに接触している前記被印刷基板と前記スタンプ部材とが大気圧下にある状態で、前記被印刷基板と前記スタンプ部材との隙間を吸着機構により真空排気することによって、前記スタンプ部材を前記被印刷基板に吸着させる吸着工程とを有する、印刷方法が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、被印刷基板とスタンプとの間に気泡が入り込むことを抑制することによって、印刷精度を向上できるとともに、装置の小型化、省電力化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施の形態に係る印刷装置の構成を示す概略平面図である。
【図2】第1の実施の形態に係る印刷装置の印刷ステージにおいて、真空吸着保持板に保持されている被印刷基板が、スタンプホルダに保持されているスタンプと接触している状態を示す概略断面図である。
【図3】第1の実施の形態に係る印刷方法の各工程における、被印刷基板の状態を示す概略平面図である。
【図4】第1の実施の形態に係る印刷方法の各工程における、被印刷基板の状態を示す概略断面図(その1)である。
【図5】第1の実施の形態に係る印刷方法の各工程における、被印刷基板の状態を示す概略断面図(その2)である。
【図6】中心部から外周部に向かって順次押圧されるときの被印刷基板とスタンプとの状態を示す概略断面図である。
【図7】外周部から中心部に向かって順次剥離されるときの被印刷基板とスタンプとの状態を示す概略断面図である。
【図8】第2の実施の形態に係る印刷システムの構成を示す概略斜視図である。
【図9】印刷モジュールの構成を示す概略斜視図である。
【図10】印刷ユニットの構成を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明を実施するための形態について図面と共に説明する。
(第1の実施の形態)
始めに、本発明の第1の実施の形態に係る印刷装置について説明する。本実施の形態に係る印刷装置は、被印刷基板とスタンプとを接触させることによって、スタンプに塗布されている印刷材料を被印刷基板に印刷するものである。
【0017】
図1は、本実施の形態に係る印刷装置10の構成を示す概略平面図である。図2は、本実施の形態に係る印刷装置10の印刷ステージ11において、真空吸着保持板20に保持されている被印刷基板1が、スタンプホルダ40に保持されているスタンプ2と接触している状態を示す概略断面図である。
【0018】
印刷装置10には、真空吸着保持板20、移動機構30、スタンプホルダ40、上下動作アーム50及び真空押圧ノズル60が設けられている。
【0019】
真空吸着保持板20は、上面に被印刷基板1が載置された状態で、載置された被印刷基板1を真空吸着することによって保持するためのものである。例えば、予め図示しない吸着ステージにおいて、真空吸着保持板20に形成された吸引孔21を図示しない真空排気機構と接続した状態で、真空排気機構により吸引孔21を介して被印刷基板1を真空吸着する。そして、例えば真空吸着保持板20の下面に設けられた図示しない開閉機構を閉じることによって吸引孔21の下側を閉じ、真空排気機構を切り離すことによって、被印刷基板1を保持することができる。
【0020】
被印刷基板1は、スタンプ2と接触させられることによって、スタンプ2に形成されたパターンに塗布されている印刷材料が転写されるためのものである。被印刷基板1としては、例えばガラス、シリコン等の無機材料よりなる基板、プラスチック等の高分子材料を含む有機材料よりなる基板、等の各種の材料よりなる基板を用いることができる。
【0021】
なお、真空吸着保持板20は、本発明における第1の保持機構に相当する。
【0022】
搬送機構30は、図1のX方向に沿って被印刷基板1を保持している真空吸着保持板20を移動するためのものである。搬送機構30として、例えばベルト搬送機構、コロ搬送機構等各種の搬送機構を用いることができる。また、搬送機構30の途中には、印刷ステージ11が設けられている。印刷ステージ11は、真空吸着保持板20に保持されている被印刷基板1を停止させ、停止している被印刷基板1上に、スタンプホルダ40に保持されているスタンプ2を接触させることによって、スタンプ2に塗布されている印刷材料を被印刷基板1に印刷する領域である。
【0023】
スタンプ2として、スタンプ2に形成されたパターンに塗布されている印刷材料を被印刷基板1に転写することによって印刷する、いわゆるマイクロコンタクトプリンティング法に用いられるようなスタンプを用いることができる。スタンプ2として、例えば1〜5μmの線幅のパターンが形成されたものを用いることができる。また、スタンプ2としては、弾性部材よりなるものが好ましく、例えばポリジメチルシロキサン(PDMS)等を含む各種のシリコーンゴムのいずれか1種以上よりなるものとすることができる。
【0024】
スタンプホルダ40は、スタンプ2の上面を吸着することによってスタンプ2を保持するためのものである。例えば、予め図示しない装着ステージにおいて、スタンプホルダ40に形成された吸引孔41を図示しない真空排気機構と接続した状態で、真空排気機構により吸引孔41を介してスタンプ2を真空吸着する。そして、例えばスタンプホルダ40の上面に設けられた図示しない開閉機構を閉じることによって吸引孔41の上側を閉じ、真空排気機構を切り離すことによって、スタンプ2を保持することができる。
【0025】
なお、スタンプホルダ40は、本発明における第2の保持機構に相当する。
【0026】
上下動作アーム50は、スタンプ2を保持した状態のスタンプホルダ40を保持し、保持しているスタンプホルダ40を上下移動させることによって、スタンプホルダ40に保持されているスタンプ2を上下移動させる。上下動作アーム50は、図2におけるZ方向に移動可能であり、図1におけるY方向に移動可能であるとともに、Z軸を中心とした回転方向であるθ方向に回転可能に設けられている。また、前述したように、搬送機構30は、図1及び図2におけるX方向に移動可能に設けられている。従って、搬送機構30及び上下動作アーム50により、真空吸着保持板20に保持されている被印刷基板1と、スタンプホルダ40を介して上下動作アーム50に保持されているスタンプ2とは、X方向、Y方向、Z方向及びθ方向に、互いに相対移動可能に設けられている。また、上下動作アーム50により、スタンプ2を保持した状態のスタンプホルダ40を移動させることによって、スタンプホルダ40に保持されているスタンプ2は、後述する塗布機構90や洗浄機構100に搬送可能に設けられている。
【0027】
なお、搬送機構30及び上下動作アーム50は、本発明における移動機構に相当する。また、搬送機構30及び上下動作アーム50は、真空吸着保持板20及びスタンプホルダ40のいずれか一方を他方に対して相対移動させることによって、被印刷基板1とスタンプ2とを大気圧下で接触させるものである。
【0028】
また、搬送機構30及び上下動作アーム50は、X方向、Y方向、Z方向及びθ方向に、被印刷基板1とスタンプ2との相対位置を位置合わせするものでもあり、本発明における位置合わせ機構に相当する。
【0029】
真空押圧ノズル60は、互いに接触している被印刷基板1とスタンプ2とが大気圧下にある状態で、被印刷基板1とスタンプ2との隙間を直接真空排気することによって、スタンプ2を被印刷基板1に吸着させるためのものである。真空押圧ノズル60は、枠体61とノズル62とを有する。ノズル62は、互いに接触している被印刷基板1及びスタンプ2の少なくとも一方の外周に沿って連続するスリット状のノズル孔が設けられたものとすることができる。あるいは、ノズル62は、互いに接触している被印刷基板1及びスタンプ2の少なくとも一方の外周に沿って、ノズル孔が所定の間隔で設けられたものとすることができる。また、被印刷基板1とスタンプ2との隙間を真空排気するための真空排気機構63が、途中に開閉バルブ64及び流量調整バルブ65が設けられたノズル配管66を介して、ノズル62に接続されている。
【0030】
また、真空押圧ノズル60は、スタンプ2を被印刷基板1に吸着させ、スタンプ2に塗布されている印刷材料を被印刷基板1に印刷した後、被印刷基板1とスタンプ2との隙間に気体を供給して隙間の内部を加圧することによって、被印刷基板1とスタンプ2とを剥離させるためのものである。従って、被印刷基板1とスタンプ2との隙間に気体を供給するための気体供給機構67が、途中に開閉バルブ68及び流量調整バルブ69が設けられたノズル配管70を介して、ノズル配管66の途中に接続されている。また、気体として例えば窒素(N)ガスを用いることができる。
【0031】
本実施の形態では、更に、伸縮機構80、塗布機構90及び洗浄機構100が設けられていてもよい。
【0032】
伸縮機構80は、スタンプ2が弾性部材よりなるときに、スタンプ2を水平面内のある方向に沿って伸縮させるためのものである。伸縮機構80として、例えばX方向にスタンプ2を伸縮させる第1の伸縮機構81と、Y方向にスタンプ2を伸縮させる第2の伸縮機構82を有していてもよい。第1の伸縮機構81として、X方向に沿って印刷ステージ11の前後両側の部分が、例えばボールねじにより間隔調整可能に連結されてなるものを用いることができる。第2の伸縮機構82として、Y方向に沿って印刷ステージ11の前後両側の部分が、例えばボールねじにより間隔調整可能に連結されてなるものを用いることができる。
【0033】
印刷プロセスによっては、異なるスタンプによるパターンを重ね印刷することがある。この場合、1μm以下の位置精度で印刷を行う必要がある。前述した伸縮機構80を用いることにより、単にスタンプの位置合わせを行うだけでなく、あるスタンプが、温度、印刷材料等の影響によって、被印刷基板又は他のスタンプに対して伸縮した場合にも、その伸縮を補正することができる。あるいは、被印刷基板が、温度、印刷材料等の影響によって、スタンプに対して伸縮した場合にも、その伸縮を補正することができる。従って、印刷精度を向上することができる。
【0034】
塗布機構90は、スタンプ2に印刷材料を塗布するためのものである。塗布機構90として、スタンプ2に印刷材料を塗布する塗布部91と、塗布部91に印刷材料を供給する供給部92とを有していてもよい。塗布部91として、例えば印刷材料を含む液体が貯留された貯留槽を有するものとすることができ、貯留槽にスタンプ2を浸漬させることによって、スタンプ2に印刷材料を塗布することができる。あるいは、塗布部91として、印刷材料を噴き付けるためのスプレーノズルを有するものとすることができ、スプレーノズルにより印刷材料を含む液体をスタンプ2に噴き付けることによって、スタンプ2に印刷材料を塗布することができる。供給部92は、例えば、印刷材料を供給する第1の供給部92aと、溶媒を供給する第2の供給部92bと、第1の供給部92aから供給された印刷材料と第2の供給部92bから供給された溶媒とを所定の混合比で混合させる混合部92cとを有するものとすることができる。
【0035】
印刷材料として、例えば銀を用いるときは、印刷材料を含む液体として、例えば銀インクを用いることができる。
【0036】
洗浄機構100は、スタンプ2を洗浄するためのものである。洗浄機構100として、第1の洗浄部101及び第2の洗浄部102を有するものであってもよい。第1の洗浄部101として、例えばイソプロピルアルコール(IPA)等の洗浄液が貯留された貯留槽を有するものとすることができ、印刷後のスタンプ2を貯留槽に浸漬させることによって、スタンプ2に残留する印刷材料を洗浄除去することができる。また、第2の洗浄部102として、例えば紫外線ランプ又は大気圧プラズマ装置を有するものとすることができ、第1の洗浄部101により印刷材料が洗浄除去されたスタンプ2を、紫外線ランプ又は大気圧プラズマ装置により洗浄処理することができる。
【0037】
なお、印刷装置10には、例えば図示しない演算処理部、記憶部及び表示部が備えられていてもよい。演算処理部は、例えばCPU(Central Processing Unit)を有するコンピュータである。記憶部は、演算処理部に、各種の処理を実行させるためのプログラムを記録した、例えばハードディスクにより構成されるコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。表示部は、例えばコンピュータの画面よりなる。演算処理部は、記憶部に記録されたプログラムを読み取り、そのプログラムに従って、印刷装置10を構成する各部に制御信号を送り、後述するような印刷方法を実行する。
【0038】
次に、図3から図5を参照し、本実施の形態に係る印刷方法について説明する。
【0039】
図3(a)から図3(e)は、本実施の形態に係る印刷方法の各工程における、被印刷基板1の状態を示す概略平面図である。図4(a)から図5(c)は、本実施の形態に係る印刷方法の各工程における、被印刷基板1の状態を示す概略断面図である。なお、図3では、図示を容易にするため、塗布機構、洗浄機構等の図示を省略している。
【0040】
始めに、図4(a)に示すように、真空吸着保持板20に被印刷基板1をセットする。前述したように、真空吸着保持板20に形成された吸引孔21を図示しない真空排気機構と接続した状態で、真空排気機構により吸引孔21を介して被印刷基板1を真空吸着する。そして、例えば真空吸着保持板20の下面に設けられた図示しない開閉機構を閉じることによって吸引孔21の下側を閉じ、真空排気機構を切り離すことによって、被印刷基板1を保持することができる(第1の保持工程)。そして、搬送機構30により、被印刷基板1を保持している真空吸着保持板20を、印刷ステージ11に搬入する。
【0041】
このとき、被印刷基板1を保持している真空吸着保持板20を搬送機構30により印刷ステージ11に搬入する途中において、図3(a)に示すように、例えば紫外線ランプ又は大気圧プラズマ装置よりなる基板洗浄機構31により、被印刷基板1を洗浄処理してもよい。そして、被印刷基板1を保持している真空吸着保持板20を、搬送機構30により、基板洗浄機構31の下方を通過させることによって、被印刷基板1を洗浄処理してもよい。
【0042】
次いで、図3(b)及び図4(b)に示すように、印刷ステージ11において、真空吸着保持板20に保持されている被印刷基板1に、真空押圧ノズル60を取り付ける。例えば図示しない真空押圧ノズル移動機構により真空押圧ノズル60を移動させ、ノズル62の先端が被印刷基板1の外周又はその後接触させられるスタンプ2の外周付近に位置するように、真空押圧ノズル60を取り付ける。
【0043】
次いで、図3(c)及び図4(c)に示すように、スタンプホルダ40に保持されているスタンプ2を、真空吸着保持板20に保持されている被印刷基板1上に移動させる。そして、スタンプ2の被印刷基板1に対する相対位置を、搬送機構30及び上下動作アーム50により位置合わせする(位置合わせ工程)。
【0044】
なお、予め、スタンプ2を、スタンプホルダ40により保持する(第2の保持工程)。そして、スタンプホルダ40に保持されているスタンプ2を、上下動作アーム50により、塗布機構90の塗布部91に搬送し、塗布部91に設けられた貯留槽にスタンプ2を浸漬させることによって、スタンプ2に印刷材料を塗布する(塗布工程)。
【0045】
前述したように、搬送機構30及び上下動作アーム50は、X方向、Y方向、Z方向及びθ方向における、被印刷基板1とスタンプ2との相対位置を位置合わせすることができる。従って、例えば被印刷基板1及びスタンプ2に形成されているアライメントマークを基準として、搬送機構30及び上下動作アーム50により、X方向、Y方向及びθ方向における、相対位置を位置合わせする。
【0046】
なお、伸縮機構80が設けられているときは、例えば第1の伸縮機構81によりX方向にスタンプ2を伸縮させることによって、被印刷基板1に対するスタンプ2のX方向における相対位置をより高精度に位置合わせすることができる(伸縮工程)。また、伸縮機構80が設けられているときは、例えば第2の伸縮機構82によりY方向にスタンプ2を伸縮させることによって、被印刷基板1に対するスタンプ2のY方向における相対位置をより高精度に位置合わせすることができる。
【0047】
次いで、図5(a)に示すように、上下動作アーム50によりスタンプホルダ40を下降させることによって、スタンプホルダ40に保持されているスタンプ2を真空吸着保持板20に保持されている被印刷基板1に大気圧下で接触させる(移動工程)。そして、互いに接触している被印刷基板1とスタンプ2とが大気圧下にある状態で、真空押圧ノズル60により被印刷基板1とスタンプ2との隙間を直接真空排気することによって、スタンプ2を被印刷基板1に吸着させる(吸着工程)。これにより、被印刷基板1とスタンプ2との間に気泡が入り込むことを抑制することによって、印刷精度を向上できるとともに、装置の小型化、省電力化を図ることができる。
【0048】
本実施の形態では、被印刷基板1に対して、スタンプ2が、スタンプ2の中心部から外周部に向かって順次押圧されるように、被印刷基板1とスタンプ2との隙間を直接真空排気するようにしてもよい。
【0049】
図6は、中心部から外周部に向かって順次押圧されるときの被印刷基板1とスタンプ2との状態を示す概略断面図である。
【0050】
例えば、スタンプ2の外周に沿って所定の間隔で設けられたノズル孔を複数のグループに分け、グループごとに個別の真空排気機構63a〜63dを設ける。又は、グループごとにノズル配管66を設け、ノズル配管66に個別に開閉バルブ64a〜64d及び流量調整バルブ65a〜65dを設ける。そして、グループごとに真空排気機構63a〜63dの排気能力又は流量調整バルブ65a〜65dの開度を調整することによって、それぞれのグループにおける排気流量を均等にする。これにより、スタンプ2の外周に沿った排気流量を略一定になるように調整することができる。そして、被印刷基板1に対して、スタンプ2が、スタンプ2の中心部(図6における破線で囲まれた領域I)から外周部に向かって順次押圧されるように、被印刷基板1とスタンプ2との隙間を直接真空排気することができる。よって、被印刷基板1とスタンプ2との間に気泡が入り込むことを更に抑制することができる。
【0051】
このように、互いに接触している被印刷基板1とスタンプ2とが大気圧下にある状態で、被印刷基板1とスタンプ2との隙間を真空排気し、スタンプ2を被印刷基板1に吸着させることによって、印刷材料を被印刷基板1に印刷する。
【0052】
次いで、図5(b)に示すように、真空押圧ノズル60により被印刷基板1とスタンプ2との隙間に気体を供給して加圧する。そして、図5(c)に示すように、上下動作アーム50によりスタンプホルダ40を上昇させることによって、スタンプホルダ40に保持されているスタンプ2を真空吸着保持板20に保持されている被印刷基板1から剥離させる。すなわち、真空押圧ノズル60は、被印刷基板1とスタンプ2との隙間に気体を供給しながら、スタンプ2を被印刷基板1から剥離させる(剥離工程)。また、図3(d)に示すように、スタンプホルダ40と真空押圧ノズル60を、印刷ステージ11の直上から待避させる。これにより、被印刷基板1とスタンプ2とを容易に剥離することができる。
【0053】
本実施の形態では、被印刷基板1から、スタンプ2が、スタンプ2の外周部から中心部に向かって順次剥離されるように、被印刷基板1とスタンプ2との隙間に気体を供給して加圧してもよい。
【0054】
図7は、外周部から中心部に向かって順次剥離されるときの被印刷基板1とスタンプ2との状態を示す概略断面図である。
【0055】
例えば、スタンプ2の外周に沿って所定の間隔で設けられたノズル孔を複数のグループに分け、グループごとにノズル配管70を設け、ノズル配管70に個別に開閉バルブ68a〜68d及び流量調整バルブ69a〜69dを設ける。そして、グループごとに流量調整バルブ69a〜69dの開度を調整することによって、それぞれのグループにおける気体供給機構67a〜67dからの気体の供給流量を均等にする。これにより、スタンプ2の外周に沿った気体の供給流量を略一定になるように調整する。そして、被印刷基板1から、スタンプ2が、スタンプ2の外周部(図7における破線で囲まれた領域II)から中心部に向かって順次剥離されるように、被印刷基板1とスタンプ2との隙間に気体を供給して加圧することができる。よって、被印刷基板1とスタンプ2とを更に容易に剥離することができる。
【0056】
次いで、搬送機構30により、被印刷基板1を保持している真空吸着保持板20を、印刷ステージ11から搬出する。
【0057】
このとき、被印刷基板1を保持している真空吸着保持板20を搬送機構30により印刷ステージ11から搬出する途中において、図3(e)に示すように、例えばヒータ又は紫外線ランプよりなる焼成機構32により、被印刷基板1に印刷されている印刷材料を焼成してもよい。そして、被印刷基板1を保持している真空吸着保持板20を、搬送機構30により、焼成機構32の下方を通過させることによって、被印刷基板1に印刷されている印刷材料を焼成してもよい。
【0058】
また、印刷後のスタンプ2については、スタンプホルダ40に保持されている状態で、上下動作アーム50により、第1の洗浄部101に搬送する。そして、第1の洗浄部101に設けられた貯留槽にスタンプ2を浸漬させることによって、スタンプ2に残留する印刷材料を洗浄除去することができる(洗浄工程)。次いで、第1の洗浄部101により印刷材料が洗浄除去されたスタンプ2を、上下動作アーム50により、第2の洗浄部102に搬送する。そして、第2の洗浄部102に設けられた紫外線ランプ又は大気圧プラズマ装置によりスタンプ2を洗浄処理することができる。
【0059】
従来技術のように、真空チャンバ内で印刷工程を行う場合、スタンプへの印刷材料の塗布や洗浄の都度、スタンプを真空チャンバから出し入れするか、塗布機構や洗浄機構を真空チャンバ内に設けなければならない。
【0060】
一方、本実施の形態では、スタンプへの印刷材料の塗布、洗浄、位置合わせ、印刷までの一連の動作を大気下で行うので、装置の簡素化や小型化ができるだけでなく、生産性の大幅な向上を達成することができる。また、スタンプが弾性部材で構成されている場合、中央部から外周部に向かって順次押圧されることで気泡の入り込みを防止できる他、スタンプを伸縮させることで熱歪みを補正できるという格別な効果を得ることができる。
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態に係る印刷システムについて説明する。本実施の形態に係る印刷システムは、印刷モジュールが上下方向に複数積層されてなり、真空吸着保持板に保持されている被印刷基板が受け渡しアームにより搬送される点で、第1の実施の形態に係る印刷装置と相違する。
【0061】
図8は、本実施の形態に係る印刷システム10aの構成を示す概略斜視図である。図9は、印刷モジュールM1の構成を示す概略斜視図である。図10は、印刷ユニット11aの構成を示す概略断面図である。なお、図9では、図示を容易にするため、上下動作アームの図示を省略している。
【0062】
印刷システム10aは、各種のモジュールが積層されてなる棚ユニットU1、U2を有する。棚ユニットU1は、例えば下から順に積層された、印刷モジュールM1を有する。棚ユニットU2は、例えば下から順に2つずつ積層された、基板洗浄モジュールM2及び焼成モジュールM3を有する。図8に示すように、棚ユニットU1と棚ユニットU2との間には、基板搬送用通路Cが設けられている。基板搬送用通路Cには、基板搬送用通路Cに沿って移動可能であるとともに、昇降可能な受け渡しアームDが設けられている。棚ユニットU1、U2の各モジュール同士の間では、受け渡しアームDによりウェハWが搬送される。受け渡しアームDは、少なくとも複数の印刷モジュールM1の積層方向である上下方向に移動可能に設けられていることが好ましく、被印刷基板1を複数の印刷モジュールM1の各々との間で搬送するものであることが好ましい。
【0063】
なお、印刷モジュールM1は、本発明における印刷装置に相当し、受け渡しアームDは、本発明における搬送アームに相当する。
【0064】
図9に示すように、印刷モジュールM1は、印刷ユニット11a、塗布ユニット90a及び洗浄ユニット100aを有している。図10に示すように、印刷ユニット11aは、例えば第1の実施の形態に係る印刷装置10における印刷ステージ11に設けられた各機構を有している。すなわち印刷ユニット11aは、真空吸着保持板20a、スタンプホルダ40、上下動作アーム50及び真空押圧ノズル60が設けられている。また、塗布ユニット90a及び洗浄ユニット100aは、印刷ユニット11aを中心として互いに反対側に設けられていてもよい。また、塗布ユニット90a及び洗浄ユニット100aは、それぞれ第1の実施の形態における塗布機構90及び洗浄機構100と同様の構成を有している。
【0065】
真空吸着保持板20aは、上面に被印刷基板1が載置された状態で、載置された被印刷基板1を真空吸着することによって保持するためのものである。本実施の形態では、真空吸着保持板20aは、印刷ユニット11a内に固定されている。そして、図10に示すように、本実施の形態における真空吸着保持板20aの構成は、印刷ユニット11a内に固定されている点を除き、第1の実施の形態における真空吸着保持板20と同様にすることができる。また、被印刷基板1も、第1の実施の形態と同様にすることができる。
【0066】
なお、真空吸着保持板20aは、本発明における第1の保持機構に相当する。
【0067】
また、スタンプホルダ40及び真空押圧ノズル60は、第1の実施の形態におけるスタンプホルダ40及び真空押圧ノズル60と同様にすることができる。ただし、第1の実施の形態では、印刷ステージ11を中心としてスタンプホルダ40と真空押圧ノズル60が互いに反対側に配置されているが、本実施の形態では、スタンプホルダ40と真空押圧ノズル60とは、真空吸着保持板20aを中心として同一側に配置されていてもよい。
【0068】
上下動作アーム50は、図10におけるZ方向に移動可能であり、図9におけるX方向及びY方向に移動可能であるとともに、Z軸を中心とした回転方向であるθ方向に回転可能に設けられている。従って、上下動作アーム50により、真空吸着保持板20aに保持されている被印刷基板1と、スタンプホルダ40を介して上下動作アーム50に保持されているスタンプ2とは、X方向、Y方向、Z方向及びθ方向に、移動可能に設けられている。また、上下動作アーム50により、スタンプ2を保持した状態のスタンプホルダ40を移動させることによって、スタンプホルダ40に保持されているスタンプ2は、塗布ユニット90aや洗浄ユニット100aに搬送可能に設けられている。
【0069】
あるいは、真空吸着保持板20aをX方向に移動可能に設け、X方向の相対移動については、真空吸着保持板20aにより行うようにしてもよい。このとき、真空吸着保持板20a及び上下動作アーム50は、本発明における移動機構に相当する。また、真空吸着保持板20a及び上下動作アーム50は、真空吸着保持板20a及びスタンプホルダ40のいずれか一方を他方に対して相対移動させることによって、被印刷基板1とスタンプ2とを大気圧下で接触させるものである。また、真空吸着保持板20a及び上下動作アーム50は、X方向、Y方向、Z方向及びθ方向に、被印刷基板1とスタンプ2との相対位置を位置合わせするものでもあり、本発明における位置合わせ機構に相当する。
【0070】
本実施の形態でも、伸縮機構80が設けられていてもよい。伸縮機構80は、第1の実施の形態における伸縮機構80と同様にすることができる。
【0071】
本実施の形態に係る印刷方法も、一部の工程を除き、図4及び図5を用いて説明した第1の実施の形態に係る印刷方法と同様に行うことができる。
【0072】
本実施の形態では、始めに、受け渡しアームDにより、例えば紫外線ランプ又は大気圧プラズマ装置よりなる基板洗浄モジュールM2に被印刷基板1を搬入し、基板洗浄モジュールM2により、被印刷基板1を洗浄処理することができる。
【0073】
次いで、受け渡しアームDにより、印刷ユニット11aに設けられている真空吸着保持板20aに被印刷基板1をセットする。受け渡しアームDに保持されていた被印刷基板1を、真空吸着保持板20aに設けられた図示しないリフトピンを介して真空吸着保持板20aに載置する。第1の実施の形態と同様に、真空吸着保持板20aに形成された吸引孔21を図示しない真空排気機構と接続した状態で、真空排気機構により吸引孔21を介して被印刷基板1を真空吸着する。そして、例えば真空吸着保持板20aの下面に設けられた図示しない開閉機構を閉じることによって吸引孔21の下側を閉じ、真空排気機構を切り離すことによって、被印刷基板1を保持する(第1の保持工程)。
【0074】
次いで、図4(b)に示すように、印刷ユニット11aにおいて、真空吸着保持板20aに保持されている被印刷基板1に、真空押圧ノズル60を取り付ける。具体的な方法は、第1の実施の形態と同様にすることができる。
【0075】
次いで、図4(c)に示すように、スタンプホルダ40に保持されているスタンプ2の、真空吸着保持板20aに保持されている被印刷基板1に対する相対位置を、上下動作アーム50により位置合わせする(位置合わせ工程)。
【0076】
なお、予め、スタンプ2を、スタンプホルダ40により保持する(第2の保持工程)。そして、スタンプホルダ40に保持されているスタンプ2を、上下動作アーム50により、塗布ユニット90aの塗布部91に搬送し、塗布部91に設けられた貯留槽にスタンプ2を浸漬させることによって、スタンプ2に印刷材料を塗布する(塗布工程)。
【0077】
そして、例えば被印刷基板1及びスタンプ2に形成されているアライメントマークを基準として、上下動作アーム50により、X方向、Y方向及びθ方向における、相対位置を位置合わせする(位置合わせ工程)。
【0078】
なお、第1の実施の形態と同様に、伸縮機構80が設けられているときは、スタンプ2を伸縮させることによって、被印刷基板1に対するスタンプ2のX方向及びY方向における相対位置をより高精度に位置合わせすることができる(伸縮工程)。
【0079】
次いで、図5(a)に示すように、上下動作アーム50によりスタンプホルダ40を下降させることによって、スタンプホルダ40に保持されているスタンプ2を、真空吸着保持板20aに保持されている被印刷基板1に、大気圧下で接触させる(移動工程)。そして、互いに接触している被印刷基板1とスタンプ2とが大気圧下にある状態で、真空押圧ノズル60により、被印刷基板1とスタンプ2との隙間を直接真空排気することによって、スタンプ2を被印刷基板1に吸着させる(吸着工程)。本実施の形態でも、被印刷基板1とスタンプ2との間に気泡が入り込むことを抑制することによって、印刷精度を向上できるとともに、装置の小型化、省電力化を図ることができる。
【0080】
なお、第1の実施の形態と同様に、被印刷基板1に対して、スタンプ2が、スタンプ2の中心部から外周部に向かって順次押圧されるように、被印刷基板1とスタンプ2との隙間を直接真空排気するようにしてもよい。これにより、被印刷基板1とスタンプ2との間に気泡が入り込むことを更に抑制することができる。
【0081】
このように、互いに接触している被印刷基板1とスタンプ2とが大気圧下にある状態で、被印刷基板1とスタンプ2との隙間を真空排気し、スタンプ2を被印刷基板1に吸着させることによって、印刷材料を被印刷基板1に印刷する。
【0082】
次いで、第1の実施の形態と同様に、図5(b)に示すように、真空押圧ノズル60により被印刷基板1とスタンプ2との隙間に気体を供給して加圧する。そして、図5(c)に示すように、上下動作アーム50によりスタンプホルダ40を上昇させることによって、スタンプホルダ40に保持されているスタンプ2を真空吸着保持板20aに保持されている被印刷基板1から剥離させる。すなわち、真空押圧ノズル60は、被印刷基板1とスタンプ2との隙間に気体を供給しながら、スタンプ2を被印刷基板1から剥離させる(剥離工程)。これにより、被印刷基板1とスタンプ2とを容易に剥離することができる。
【0083】
また、本実施の形態でも、第1の実施の形態と同様に、被印刷基板1から、スタンプ2が、スタンプ2の外周部から中心部に向かって順次剥離されるように、被印刷基板1とスタンプ2との隙間に気体を供給して加圧してもよい。これにより、被印刷基板1とスタンプ2とを更に容易に剥離することができる。
【0084】
次いで、真空吸着保持板20aの真空吸着を解除し、真空吸着保持板20aに載置されていた被印刷基板1を、真空吸着保持板20aに設けられた図示しないリフトピンを介して受け渡しアームDに受け渡す。受け渡された被印刷基板1は、受け渡しアームDにより、印刷ユニット11aから搬出される。そして、受け渡しアームDにより、棚ユニットU2の焼成モジュールM3に搬入し、加熱処理を行うことによって、印刷材料の溶媒を蒸発乾燥させ、印刷された印刷材料を焼成することができる。印刷材料を含む液体が第1の実施の形態で前述した銀インクであるときは、例えば180℃で30分間加熱処理することによって、銀として焼成することができる。
【0085】
また、印刷後のスタンプ2については、スタンプホルダ40に保持されている状態で、上下動作アーム50により、洗浄ユニット100aに設けられた第1の洗浄部101に搬送する。そして、第1の洗浄部101に設けられた貯留槽にスタンプ2を浸漬させることによって、スタンプ2に残留する印刷材料を洗浄除去することができる(洗浄工程)。次いで、第1の洗浄部101により印刷材料が洗浄除去されたスタンプ2を、上下動作アーム50により、第2の洗浄部102に搬送する。そして、第2の洗浄部102に設けられた紫外線ランプ又は大気圧プラズマ装置によりスタンプ2を洗浄処理することができる。
【0086】
本実施の形態によれば、印刷モジュールM1、基板洗浄モジュールM2、焼成モジュールM3が縦に積層されて配置されるので、装置の専有面積を小さくすることが可能になる。印刷、洗浄、焼成の各工程での所要時間に応じて、それぞれのモジュールを配置すれば、全体の最適化を図ることができる。
【0087】
以上、本発明の好ましい実施の形態について記述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0088】
例えば、本実施の形態では、印刷方法が、スタンプに形成されたパターンに塗布されている印刷材料を被印刷基板に転写することによって印刷する、いわゆるマイクロコンタクトプリンティング法である例について説明した。しかし、本発明は、スタンプに塗布されている印刷材料を被印刷基板に印刷する場合に限られない。従って、印刷材料が塗布されている被印刷基板にスタンパを押し付け、被印刷基板のうち、スタンパに形成されたパターンの凸状部分に対応する部分に塗布されている印刷材料を除去することによって、被印刷基板にパターン印刷するインプリント法にも適用可能である。
【符号の説明】
【0089】
1 被印刷基板
2 スタンプ
10 印刷装置
10a 印刷システム
20 真空吸着保持板
30 搬送機構
40 スタンプホルダ
50 上下動作アーム
60 真空押圧ノズル
80 伸縮機構
90 塗布機構
100 洗浄機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被印刷基板とスタンプ部材とを接触させることによって、印刷材料を前記被印刷基板に印刷する印刷装置において、
前記被印刷基板を保持する第1の保持機構と、
前記スタンプ部材を保持する第2の保持機構と、
前記第1の保持機構及び前記第2の保持機構のいずれか一方を他方に対して相対移動させることによって、前記第1の保持機構に保持されている前記被印刷基板と前記第2の保持機構に保持されている前記スタンプ部材とを大気圧下で接触させる移動機構と、
互いに接触している前記被印刷基板と前記スタンプ部材とが大気圧下にある状態で、前記被印刷基板と前記スタンプ部材との隙間を真空排気することによって、前記スタンプ部材を前記被印刷基板に吸着させる吸着機構と
を有する、印刷装置。
【請求項2】
前記吸着機構は、前記被印刷基板に対して、前記スタンプ部材が、前記スタンプ部材の中心部から外周部に向かって順次押圧されるように、前記隙間を真空排気することによって、前記スタンプ部材を前記被印刷基板に吸着させるものである、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記吸着機構は、前記被印刷基板に吸着している前記スタンプ部材と前記被印刷基板との隙間に気体を供給しながら、前記スタンプ部材を前記被印刷基板から剥離させるものである、請求項1又は請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記スタンプ部材は弾性部材よりなるものであり、
前記第2の保持機構に保持されている前記スタンプ部材を水平方向に伸縮させる伸縮機構を有する、請求項1から請求項3のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項5】
前記第1の保持機構に保持されている前記被印刷基板と前記第2の保持機構に保持されている前記スタンプ部材との相対位置を合わせる位置合わせ機構を有する、請求項1から請求項4のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項6】
前記印刷装置は、前記被印刷基板と前記スタンプ部材とを接触させることによって、前記スタンプ部材に塗布されている前記印刷材料を前記被印刷基板に印刷するものであり、
前記スタンプ部材に印刷材料を塗布する塗布機構を有する、請求項1から請求項5のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項7】
前記スタンプ部材を洗浄する洗浄機構を有する、請求項1から請求項6のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載の印刷装置が上下方向に複数積層されてなるユニットと、
少なくとも前記複数の印刷装置の積層方向に移動可能に設けられ、被印刷基板を前記複数の印刷装置の各々との間で搬送する搬送アームと
を有する、印刷システム。
【請求項9】
被印刷基板とスタンプ部材とを接触させることによって、印刷材料を前記被印刷基板に印刷する印刷方法において、
第1の保持機構により前記被印刷基板を保持する第1の保持工程と、
第2の保持機構により前記スタンプ部材を保持する第2の保持工程と、
移動機構により前記第1の保持機構及び前記第2の保持機構のいずれか一方を他方に対して相対移動させることによって、前記第1の保持機構に保持されている前記被印刷基板と前記第2の保持機構に保持されている前記スタンプ部材とを大気圧下で接触させる移動工程と、
互いに接触している前記被印刷基板と前記スタンプ部材とが大気圧下にある状態で、前記被印刷基板と前記スタンプ部材との隙間を吸着機構により真空排気することによって、前記スタンプ部材を前記被印刷基板に吸着させる吸着工程と
を有する、印刷方法。
【請求項10】
前記吸着工程は、前記被印刷基板に対して、前記スタンプ部材が、前記スタンプ部材の中心部から外周部に向かって順次押圧されるように、前記隙間を前記吸着機構により真空排気することによって、前記スタンプ部材を前記被印刷基板に吸着させるものである、請求項9に記載の印刷方法。
【請求項11】
前記被印刷基板に吸着している前記スタンプ部材と前記被印刷基板との隙間に、前記吸着機構により気体を供給しながら、前記スタンプ部材を前記被印刷基板から剥離させる剥離工程を有する、請求項9又は請求項10に記載の印刷方法。
【請求項12】
前記スタンプ部材は弾性部材よりなるものであり、
前記第2の保持機構に保持されている前記スタンプ部材を、伸縮機構により水平方向に伸縮させる伸縮工程を有する、請求項9から請求項11のいずれかに記載の印刷方法。
【請求項13】
前記第1の保持機構に保持されている前記被印刷基板と前記第2の保持機構に保持されている前記スタンプ部材との相対位置を、位置合わせ機構により合わせる位置合わせ工程を有する、請求項9から請求項12のいずれかに記載の印刷方法。
【請求項14】
前記印刷方法は、前記被印刷基板と前記スタンプ部材とを接触させることによって、前記スタンプ部材に塗布されている前記印刷材料を前記被印刷基板に印刷するものであり、
塗布機構により前記スタンプ部材に印刷材料を塗布する塗布工程を有する、請求項9から請求項13のいずれかに記載の印刷方法。
【請求項15】
洗浄機構により前記スタンプ部材を洗浄する洗浄工程を有する、請求項9から請求項14のいずれかに記載の印刷方法。
【請求項16】
コンピュータに請求項9から請求項15のいずれかに記載の印刷方法を実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−26603(P2013−26603A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−163199(P2011−163199)
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】