説明

印刷装置および印刷装置の通知方法

【課題】インクリボンと用紙の不足を直感的に知らせる印刷装置と通知方法を提供する。
【解決手段】記録媒体である用紙の用紙ロールAを回転可能に保持する第1回転軸57と、印刷のためのインクリボンロールBを回転可能に保持する第2回転軸55と、用紙ロールの残量の有無を検出する第1センサ61,62と、インクリボンロールの残量の有無を検出する第2センサ63,64と、用紙ロールおよびインクリボンロールを外部から視認可能に当該印刷装置の筐体に設けられた窓部Wと、窓部を介して外部から視認可能に発光する発光素子L1,L2と、第1センサからの検出信号に基づく用紙ロールの不足または第2センサからの検出信号に基づくインクリボンロールの不足に応じて発光素子を点滅させる制御部31をもつ印刷装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、インクリボンおよび用紙の状態を通知する印刷装置および印刷装置の通知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、印刷装置は用途が複雑化・多様化してきており、様々な形態の印刷処理が可能になってきている。このような印刷装置では、印刷処理が何らかの原因で滞れば、これをエラーと認識して警告する働きがあり、ユーザは、この警告に従って、エラーの原因を取り除くことが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−181122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
印刷装置においては、少なくともインクリボンと用紙が不足すると印刷を行うことができないため、エラー通知の対象となっている。しかしながら、インクリボンまたは用紙が完全に消耗してしまってから通知を行い、この通知を受けてインクリボンや用紙を準備するのでは、すぐにインクリボンや用紙を準備できない場合があり、この場合は印刷がそこで中断してしまう。このため、インクリボンや用紙の残量が完全に無くなってしまってから通知するのではなく、事前に分かり易い形で、どの程度不足気味なのか等の注意をユーザに知らせることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
課題を解決する一実施形態は、
記録媒体である用紙の用紙ロールを回転可能に保持する第1回転軸と、
印刷のためのインクリボンロールを回転可能に保持する第2回転軸と、
前記用紙ロールの残量の有無を検出する第1センサと、
前記インクリボンロールの残量の有無を検出する第2センサと、
前記用紙ロールおよび前記インクリボンロールを外部から視認可能に、当該印刷装置の筐体に設けられた窓部と、
前記窓部を介して外部から視認可能に発光する発光素子と、
前記第1センサおよび前記第2センサからの検出信号に基づいて、前記用紙ロールおよび前記インクリボンロールの残量に応じて前記発光素子を点滅させる制御部と、
を具備することを特徴とする印刷装置である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明の一実施形態に係る印刷装置における外観の一例を示す外観図。
【図2】同印刷装置の内部の一例を示す説明図。
【図3】同印刷装置における機械的構成の一例を示す説明図。
【図4】同印刷装置における電気的構成の一例を示すブロック図。
【図5】同印刷装置における用紙の通知処理の一例を示すフローチャート。
【図6】同印刷装置におけるインクリボンの通知処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
本発明の一実施形態に係る印刷装置1を図1乃至図4を用いて、以下に詳細に説明する。本発明の一実施形態に係る印刷装置1は、図1において、プリンタエンジンを格納する制御ボックス6と、この制御ボックス6とヒンジにより回動可能に接続されているカバー7と、さらに、カバー7の正面に設けられ、印刷された記録媒体を排出する排出口3と、制御ボックス6の正面に設けられた操作部4と、操作情報や操作メニュを表示する液晶画面等を用いた表示部5と、用紙ロールAおよびインクリボンロールBの一部または全部を視認可能にカバー7に設けられた窓Wと、この窓Wから発光が放射される発光素子である赤LED(Light Emitting Diode)L1と、同じく窓Wから発光が放射され外部から窓Wを介して視認可能である発光素子である青LED(Light Emitting Diode)L2を有している。また、窓Wはカバー7に設けられており、窓Wの開口部分に透過部材を設けるか、何も設けないものである。
【0008】
本発明の一実施形態に係る印刷装置1は、さらに図2および図3において、カバー7を開くと、用紙ロールAを回転可能に保持する用紙保持部57と、インクリボンロールBを保持してインクリボンRを供給するリボン供給軸55と、リボン供給軸55から供給されるインクリボンRを巻き取って保持するリボン巻取軸56と、一対のサイドフェンス58a,58bを有している。さらに、印刷装置1は、図2および図3に示すように、用紙保持部57に保持される用紙ロールAから供給される用紙Dを搬送する搬送ローラ10および搬送路12と、搬送路12に設けられ用紙Dを搬送するピンチローラ50と、搬送路12に設けられ用紙Dを検出する用紙検出センサ17と、リボン供給軸55からインクリボンRが供給される搬送路19と、保持側板22と、インクリボンRおよび用紙Dを搬送するプラテンローラ13と、用紙Dに印刷を行うサーマルヘッド28を有しており、印刷した用紙Dは、排出口3から排出される。また、印刷装置1において、用紙保持部57の近傍には、後述する用紙センサ62よりも用紙ロールAの内周側に設けられ、用紙ロールAの用紙Dがどの程度残っているかを検出する用紙センサ61と、用紙センサ61よりは外周側であってサイドフェンス58a、58bのいずれか一方に設けられた用紙センサ62を有する。用紙センサ61、62は、サイドフェンス58a、58bのいずれか一方に設けられている。また、インクリボンロールBの内周側に設けられ、インクリボンロールBのインクリボンRがどの程度残っているかを検出するリボンセンサ63と、リボンセンサ63よりは外周側に設けられたリボンセンサ64を有しており、リボンセンサ63,64は、リボン供給軸55、リボン巻取軸56を支持する印刷装置1の面に取り付けられている。また、用紙センサ61,62およびリボンセンサ63,64は、一例として、発光部と受光部からなり被検体からの反射光の強度または被検体の透過光の強度を受光部で検出することで、被検体の有無を判断する。
【0009】
また、本発明の一実施形態に係る印刷装置1は、さらに図4の電気的構成の一例を示すブロック図を参照すると、全体の動作を制御する制御部31と、それぞれが制御部31に接続され、操作情報や設定情報、動作プログラム等が格納されているFROM32(Floating Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)33と、表示部の働きを制御する表示制御回路34と、表示制御回路34に制御される液晶画面等の表示部5と、外部に設けられたユーザ等が扱うホストコンピュータH等と通信を行う通信部16と、上述した操作部4と、上述した搬送ローラ10、プラテンローラ13、ピンチローラ50等を駆動するステッピングモータ36と、ステッピングモータ36を制御するモータ制御回路35と、上述したリボン巻取軸56を駆動するリボンモータ38と、リボンモータ38を制御するモータ制御回路37と、上述したサーマルヘッド28を制御するヘッド制御回路39と、さらに、それぞれ制御部31に接続されている、上述した赤LEDL1と、青LEDL2と、用紙ロールAがほぼ消耗した場合にこの消耗を検出するための位置に設けられた用紙センサ61と、用紙センサ61よりも外側に設けられた用紙センサ62と、インクリボンロールBの内側に設けられたリボンセンサ63と、リボンセンサ63よりも外側に設けられたリボンセンサ64を有している。
【0010】
このような構成をもつ印刷装置1は、制御部31の制御下において、操作部4またはホストコンピュータHからの操作に従って、一例として、記録媒体である用紙Dにサーマルヘッド28により印刷して、搬送ローラ10、プラテンローラ13、ピンチローラ50等により用紙Dを搬送して排出口3へと排出する。
【0011】
次に、印刷装置1の用紙DおよびインクリボンRの通知処理を図5および図6のフローチャートを用いて、以下に詳細に説明する。制御部31は、電源部の投入等により起動すると、初めに、内側の用紙センサ61が用紙Dの消耗(残量が無い状態)を検出したか否かを判断し(ステップS11)、用紙Dの消耗を検出したら、制御部31は例えば赤LEDL1をステップS15に後述する場合よりも早く点滅させる(ステップS14)。もし、ステップS11で、制御部31は、内側の用紙センサ61が用紙Dの消耗の検出を行わなかったら、次に、制御部31は、外側の用紙センサ62が用紙Dの消耗を検出したか否かを判断し(ステップS12)、用紙Dの消耗を検出したら、制御部31は例えば赤LEDL1をステップS14の場合よりも遅く点滅させる(ステップS15)。
【0012】
しかし、ステップS12で、制御部31は、外側の用紙センサ62も用紙Dの消耗の検出を行わなかったら、一例として、ジャム等の搬送エラーが発生したか否かを判断する(ステップS13)。制御部31は、ステップS13において、ジャム等の搬送エラー(搬送系エラー)等の発生を検出すると、例えば赤LEDL1をステップS12の場合よりも遅く点滅させる(ステップS15)。しかし、制御部31は、ステップS13において、ジャム等の搬送エラー(搬送系エラー)等の発生も検出しない場合は、ステップS11に戻って処理を継続する。このように、印刷装置1は、LEDの色およびLEDの点滅の速度および、窓Wからの用紙ロールAの残りを肉眼で直視することにより、用紙ロールAの残りを直感的に理解することができる。
【0013】
次に、印刷装置1のインクリボンRの通知処理を図6のフローチャートを用いて、以下に詳細に説明する。制御部31は、電源部の投入等により起動すると、初めに、内側のリボンセンサ63がインクリボンRの消耗を検出したか否かを判断し(ステップS21)、インクリボンRの消耗を検出したら、制御部31は例えば青LEDL2をステップS25に後述する場合よりも早く点滅させる(ステップS24)。もし、ステップS21で、制御部31は、内側のリボンセンサ63がインクリボンRの消耗の検出を行わなかったら、次に、制御部31は、外側の用紙センサ62がインクリボンRの消耗を検出したか否かを判断し(ステップS22)、インクリボンRの消耗を検出したら、制御部31は例えば青LEDL2をステップS24の場合よりも遅く点滅させる(ステップS25)。
【0014】
しかし、ステップS22で、制御部31は、外側の用紙センサ62もインクリボンRの消耗の検出を行わなかったら、一例として、印字ヘッドが印字開始可能な状態とならない(例えば、プラテンローラと対面する位置まで下がらない)等の印刷エラーまたは通信エラー(例えば、ホストコンピュータHと通信部16との間の通信エラー)が発生したか否かを判断する(ステップS23)。制御部31は、ステップS23において、印刷エラーまたは通信エラー等の発生を検出すると、例えば青LEDL2をステップS22の場合よりも遅く点滅させる(ステップS25)。しかし、制御部31は、ステップS23において、印刷エラーまたは通信エラー等の発生も検出しない場合は、ステップS21に戻って処理を継続する。このように、印刷装置1は、LEDの色およびLEDの点滅の速度および、窓WからのインクリボンロールBの残りを肉眼で直視することにより、インクリボンロールBの残りを直感的に理解させることができる。また、このように点灯するLEDの色を異ならせることで、用紙ロールとインクリボンのどちらかが不足したのかを相手に目視にて判断させることが可能になる。
【0015】
なお、用紙Dを赤LEDの点滅、インクリボンRを青LEDの点滅で通知したが、本発明の実施形態は、これに限定されるものではない。また、各センサは、内側と外側に一つずつ設けたが、3つ以上であってもかまわない。
【0016】
以上記載した様々な実施形態は複数同時に実施することが可能であり、これらの記載により、当業者は本発明を実現することができるが、さらにこれらの実施形態の様々な変形例を思いつくことが当業者によって容易であり、発明的な能力をもたなくとも様々な実施形態へと適用することが可能である。従って、本発明は、開示された原理と新規な特徴に矛盾しない広範な範囲に及ぶものであり、上述した実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0017】
1…印刷装置、4…操作部、5…表示部、31…制御部、28…サーマルヘッド、16…通信部、H…ホストコンピュータ、61,62…用紙センサ、63,64…リボンセンサ、L1…赤LED、L2…青LED。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体である用紙の用紙ロールを回転可能に保持する第1回転軸と、
印刷のためのインクリボンロールを回転可能に保持する第2回転軸と、
前記用紙ロールの残量の有無を検出する第1センサと、
前記インクリボンロールの残量の有無を検出する第2センサと、
前記用紙ロールおよび前記インクリボンロールを外部から視認可能に、当該印刷装置の筐体に設けられた窓部と、
前記窓部を介して外部から視認可能に発光する発光素子と、
前記第1センサからの検出信号に基づく前記用紙ロールの残量、または、前記第2センサからの検出信号に基づく前記インクリボンロールの残量に応じて前記発光素子を点滅させる制御部と、を具備することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記発光素子は、前記用紙ロールの残量に応じて点滅する第1発光素子と、前記インクリボンロールの残量に応じて点滅する第2発光素子を有することを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項3】
前記第1回転軸の近傍に設けられ前記用紙ロールの有無を検出する第1センサは、前記用紙ロールにおけるそれぞれの相対的な位置が内周側のセンサと外周側のセンサを有しており、
前記制御部は、前記内周側のセンサが前記用紙ロールの残量が無いことを検出したときは、前記外周側のセンサが前記用紙ロールの残量が無いことを検出したときよりも前記発光素子を早く点滅するべく制御することを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項4】
前記第2回転軸の近傍に設けられ前記インクリボンロールの有無を検出する第2センサは、前記インクリボンロールにおけるそれぞれの相対的な位置が内周側のセンサと外周側のセンサを有しており、
前記制御部は、前記内周側のセンサが前記インクリボンロールが無いことを検出したときは、前記外周側のセンサが前記インクリボンロールが無いことを検出したときよりも前記発光素子を早く点滅するべく制御することを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項5】
記録媒体である用紙の用紙ロールの残量を検出し、
印刷のためのインクリボンロールの残量を検出し、
前記用紙ロールの残量に応じて、または、前記インクリボンロールの残量に応じて、印刷装置の筐体に設けられた窓部を介して外部から視認可能に、発光素子を点滅させることを特徴とする印刷装置の通知方法。
【請求項6】
前記発光素子は、前記用紙ロールの残量に応じて点滅する第1発光素子と、前記インクリボンロールの残量に応じて点滅する第2発光素子を含むことを特徴とする請求項5記載の印刷装置の通知方法。
【請求項7】
前記用紙ロールの残量の程度に応じて、前記発光素子を点滅する速度を変化させることを特徴とする請求項5記載の印刷装置の通知方法。
【請求項8】
前記インクリボンロールの残量の程度に応じて、前記発光素子を点滅する速度を変化させることを特徴とする請求項5記載の印刷装置の通知方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−40809(P2012−40809A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−185335(P2010−185335)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】