説明

印刷装置および該装置の制御方法

【課題】搬送機構により転写媒体を印刷位置へ送り込み、該印刷位置を通過した記録媒体を排出機構により排出する印刷装置において、少ない数のセンサでもジャム後の転写媒体の排出方向を適切に制御することができる技術を提供する。
【解決手段】用紙搬送方向における搬送ローラーの上流側に、紙後端センサーを設ける。キャリッジの走査移動中に用紙との接触に起因する速度変化が検出されると、キャリッジを退避させ(ステップS201)、紙後端センサーの出力状態をチェックする(ステップS202)。紙有りの場合には搬送ローラーを逆転させてリア側(給紙側)へ用紙を排出する(ステップS203)。一方、紙無し、つまり用紙後端が既にセンサー位置を通過してしまっている場合にはフロント側(排紙側)へ用紙を排出する(ステップS211)。排紙方向に応じたエラーメッセージを表示する(ステップS204、S212)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、搬送機構により転写媒体を印刷位置へ送り込んで画像を印刷し、該印刷位置を通過した記録媒体を排出機構により外部へ排出する印刷装置およびその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
転写媒体を印刷位置に送り込む搬送機構と、該転写媒体を印刷位置から排出する排出機構とを有する印刷装置においては、搬送機構と排出機構との間の搬送経路上で生じうる記録媒体の詰まり、いわゆるジャムに対し早期に対応するための技術が種々提案されてきている。例えば、特許文献1に記載の技術では、搬送経路に沿って紙後端センサ、第1の紙送りローラ(搬送機構に相当)、紙先端センサ、第2の紙送りローラ(排出機構に相当)および紙排出センサをこの順番に設け、各センサの出力に基づいてジャムを検知したときには、それらのセンサの状態によって紙の排出方向を決定するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−068527号公報(例えば、図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような技術は例えば民生用のフォトプリンターのような小型の印刷装置に適用することが可能であるが、装置コストおよび寸法上の制約から、このように多くのセンサを装置内に設けることができない場合がある。このことから、上記従来技術のようなジャム発生後の記録媒体の排出方向の制御を、より少ない数のセンサによって実現する技術の確立が求められている。
【0005】
この発明にかかるいくつかの態様は、搬送機構により転写媒体を印刷位置へ送り込み、該印刷位置を通過した記録媒体を排出機構により排出する印刷装置において、上記課題を解決して、少ない数のセンサでもジャム後の転写媒体の排出方向を適切に制御することができる技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明にかかる印刷装置は、上記課題を解決するため、所定の搬送経路に沿って、該搬送経路上の印刷位置に向けて記録媒体を送り込む搬送機構と、前記印刷位置に送り込まれる前記記録媒体に対し記録剤を付与して前記記録媒体に画像を印刷する印刷手段と、前記印刷位置を通過した前記記録媒体を前記搬送経路に沿って排出する排出機構と、前記記録媒体の搬送方向における前記搬送機構の上流側で前記記録媒体の有無を検出する記録媒体検出手段と、前記搬送機構から前記排出機構に至る前記搬送経路上における前記記録媒体のジャムを検知するジャム検知手段とを備え、前記ジャム検知手段がジャムを検知した時に、前記記録媒体検出手段が記録媒体有りを検出していれば、前記搬送機構により前記記録媒体を前記搬送方向とは反対方向に排出する一方、前記ジャム検知手段がジャムを検知した時に、前記記録媒体検出手段が記録媒体無しを検出していれば、前記排出機構により前記記録媒体を前記搬送方向に排出することを特徴としている。
【0007】
また、この発明にかかる印刷装置の制御方法は、搬送機構により、所定の搬送経路に沿って印刷位置に向けて記録媒体を送り込み、前記印刷位置に送り込まれた前記記録媒体に対し記録剤を付与して前記記録媒体に画像を印刷し、前記印刷位置を通過した前記記録媒体を排出機構により前記搬送経路に沿って排出する印刷装置の制御方法であって、上記課題を解決するため、前記搬送機構から前記排出機構に至る前記搬送経路において前記記録媒体のジャムを検知すると、前記記録媒体の搬送方向における前記搬送機構の上流側において前記記録媒体の有無を判定し、記録媒体有りであれば前記搬送機構により前記記録媒体を前記搬送方向とは反対方向に排出する一方、記録媒体無しであれば前記排出機構により前記記録媒体を前記搬送方向に排出することを特徴としている。
【0008】
このように構成された発明では、ジャムの状態に応じた記録媒体の排出方向の制御を、搬送機構の上流側に設けた1つの記録媒体検出手段の出力に基づいて行うことが可能である。その理由は以下の通りである。
【0009】
この発明では、記録媒体検出手段を搬送機構の上流に設けているので、記録媒体の搬送中であって記録媒体検出手段が記録媒体有りを検出しているときには、記録媒体は搬送機構による搬送が可能な状態にあると言える。したがって、この状態でジャムが生じたときには、搬送機構によって記録媒体を搬送方向と反対方向に排出させることで、記録媒体を確実に搬送経路から排出することができる。一方、記録媒体検出手段が記録媒体無しを検出しているとき、搬送方向における記録媒体の後端部が既に記録媒体検出手段により検出される位置を通過してしまっていると言える。この場合、記録媒体は搬送機構による搬送を脱している可能性がある。また、この時点までジャムが発生していなければ、搬送方向における記録媒体の先端部が排出機構に到達している可能性が高い。したがって、記録媒体検出手段が記録媒体を検出しなくなってからジャムが検知されたときには、排出機構によって記録媒体を搬送方向に排出させることで記録媒体を搬送経路から排出することが可能となる。
【0010】
この発明にかかる印刷装置では、例えば、記録媒体検出手段から排出機構までの搬送経路の長さが、搬送経路に沿った記録媒体の長さよりも短くなるようにしてもよい。ここで、「排出機構までの搬送経路の長さ」とは、搬送経路に沿って搬送される記録媒体が、排出機構を構成する部材に最初に接触する位置までの搬送径路の長さを表す。このようにすると、記録媒体の搬送に伴って記録媒体検出手段による検出が記録媒体有りから無しに変わるよりも前に、搬送方向における記録媒体の先端部が排出機構に到達することとなる。そのため、記録媒体検出手段が記録媒体無しを検出しているときにジャムが検知されても、排出機構により確実に記録媒体を排出することができる。
【0011】
また、記録媒体検出手段から搬送機構までの搬送経路の長さが、搬送経路に沿った記録媒体の長さよりも短くなるようにするのがより好ましい。このようにすると、記録媒体検出手段が記録媒体有りを検出しているときには確実に記録媒体が搬送機構による搬送可能な状態であるようにすることができる。
【0012】
また、例えば、記録媒体の搬送方向における搬送機構の上流側で記録媒体を保持して、該記録媒体を1枚ずつ搬送機構に供給する供給手段をさらに備え、記録媒体検出手段は、供給手段と搬送機構との間の搬送経路上に設けられてもよい。このようにすると、搬送経路に1枚ずつ供給される記録媒体のジャム検知およびその後の排出をより確実に行うことができる。
【0013】
また、印刷手段は、印刷位置に送り込まれる記録媒体に対向配置されて記録媒体に記録剤を付与するキャリッジと、該キャリッジを駆動して搬送経路に沿った記録媒体の搬送方向と異なる主走査方向に走査移動させる駆動部とを備え、ジャム検知手段は、キャリッジの駆動によって変化する物理量に基づいてジャム検知を行うようにしてもよい。この種の装置では、記録媒体の反りや撓みに起因する記録媒体とキャリッジとの接触によってジャムが発生することが多く、このようなジャムを、キャリッジの駆動に関わる物理量の変化から検知することができる。
【0014】
より具体的には、例えば、駆動部によるキャリッジの駆動トルク、駆動部が消費するエネルギーおよびキャリッジの移動速度のうち少なくとも1つを物理量とすることができる。これらの物理量はいずれも記録媒体がキャリッジに接触すると変動するものであり、本発明におけるジャム検知に好適に用いることができる。
【0015】
また、例えば、キャリッジの走査移動中にジャム検知手段によりジャムが検知されると、駆動部が該走査移動方向とは反対方向にキャリッジを退避させ、記録媒体検出手段の検出結果に応じて搬送機構または排出機構が記録媒体を排出するようにしてもよい。記録媒体とキャリッジとが接触した状態でキャリッジの駆動を継続するとジャム状態がさらに悪化することがあるので、ジャムが検知されたときにはキャリッジの駆動を停止することが望ましく、より望ましくはその時点でのキャリッジの移動方向と反対方向にキャリッジを退避させるのがよい。こうして記録媒体からキャリッジが退避されてから搬送機構または排出機構によりいずれかの方向に記録媒体を排出することで、ジャムに起因する記録媒体および装置へのダメージを最小限に抑えることができる。
【0016】
また、上記のように構成された印刷装置において、例えば、装置起動時に記録媒体検出手段が記録媒体有りを検出したときに、記録媒体のジャムに対応する所定のエラーメッセージを表示する表示手段を備えてもよい。この種の装置では、排出されたジャム後の記録媒体が装置から取り除かれないまま装置の電源が切られてしまうことがあり、そのまま装置を起動させるとジャムの原因となった記録媒体が再び搬送経路に送り込まれて新たなジャムを生じさせるおそれがある。この問題に対し、装置の起動時点で記録媒体検出手段が記録媒体有りを検出していればジャムの原因が取り除かれていないものとしてジャムに対応するエラーメッセージを表示させることにより、ユーザーにジャムの原因となった記録媒体の除去を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態としてのフォトプリンターの主要部を示す図。
【図2】図1のフォトプリンターの電気的構成を示すブロック図。
【図3】この実施形態における印刷動作を示すフローチャート。
【図4】印刷動作における用紙搬送の様子を模式的に示す図。
【図5】紙ジャム排出動作を示すフローチャート。
【図6】ジャム検知動作の原理を説明するための第1の図。
【図7】ジャム検知動作の原理を説明するための第2の図。
【図8】マージン量を決めるために行った実験を模式的に示す図。
【図9】この実施形態における起動処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は本発明にかかる印刷装置の一実施形態としてのフォトプリンターの主要部を示す図である。また、図2は図1のフォトプリンターの電気的構成を示すブロック図である。以下の説明の便宜のために、X、YおよびZ座標軸方向を図1のように定義する。
【0019】
このフォトプリンター1は、給紙トレイ90にセットされた記録媒体としてのシート状の用紙Pを1枚ずつ所定の搬送経路Fに沿って搬送する。そして、印刷データに対応して用紙の搬送方向Dpに直交する主走査方向に走査移動するキャリッジ10の下面中央部に設けられた印刷ヘッド11から記録剤としてのインクを用紙Pに吐出することで、用紙Pに印刷データに対応する画像を形成する。以下、各部の構成をより詳しく説明する。
【0020】
搬送経路Fに沿って、用紙搬送方向Dpの上流側から順に、給紙ローラー21、搬送ローラー31および排紙ローラー43が設けられており、これらが制御部80からの制御指令に応じて動作することによって用紙Pが搬送経路Fに沿って搬送される。具体的には、給紙ローラー21は円板の外周面の一部が切り欠かれた外形を有しており、給紙モーター25によって回転駆動される。制御部80からの制御指令に応じて給紙モーター25が回転すると、給紙ローラー21が回転して給紙トレイ90にセットされた用紙Pのうち最も上にある1枚の表面に当接し、これにより1枚の用紙Pが搬送経路Fに送り込まれる。
【0021】
給紙ローラー21によって搬送経路Fに送り込まれた用紙Pは、用紙搬送方向Dpにおいて給紙ローラー21の下流側に設けられた搬送機構30により印刷ヘッド11直下の印刷位置PPに送り込まれる。搬送機構30では、搬送経路Fを挟んで搬送ローラー31と従動ローラー32とが対向配置されており、搬送ローラー31は搬送モーター35によって回転駆動される。制御部80からの制御指令に応じて搬送モーター35が回転すると、搬送ローラー31と従動ローラー32とが当接してなる搬送ニップから印刷位置PPに向けて用紙Pが送られる。
【0022】
また、給紙ローラー21よりも下流側かつ搬送機構30よりも上流側位置で搬送経路F上における用紙Pの有無を検出する紙後端センサー51が設けられている。後に詳しく説明するが、紙後端センサー51はこの実施形態では主として搬送方向Dpにおける用紙Pの後端部が当該位置を通過したか否かを判断するために用いられる。紙後端センサー51としては例えば、反射型フォトセンサーあるいはフォトインタラプターのような光学的検出方法によるもの、マイクロスイッチのような機械的検出方法によるものなどを用いることができる。
【0023】
印刷位置PPでは、搬送経路Fを挟んでキャリッジ10と用紙ガイド91とが所定のギャップを隔てて対向配置されている。キャリッジ10は、制御部80により制御されるキャリッジ駆動機構15によって主走査方向(図1では紙面に垂直なY方向)に往復走査移動される。このとき、印刷データに対応して印刷ヘッド11からインクが吐出され、該インクが印刷位置PPを通過する用紙Pに付着することで印刷データに応じた画像が形成される。印刷位置PPでは、用紙ガイド91上面のうち印刷ヘッド11との対向位置に相当する部分が周囲よりもキャリッジ10側に若干盛り上がって、インクが着液する用紙Pをバックアップするバックアップ部位92となっている。印刷は公知のインクジェット方式によることができるがこれに限定されるものではない。図1では、キャリッジ10として一体的に走査移動する部位を、ドットパターンのハッチングを付すことにより他の部分と区別して示している。
【0024】
キャリッジ10の1回の走査移動によって、X方向における印刷ヘッド11の長さに対応する幅を有する帯状の画像が用紙Pに形成される。したがって、搬送機構30による印刷位置PPへの用紙Pの送り込みと、キャリッジ10の走査移動とを交互に実行することで、用紙P上に二次元画像を形成することができる。
【0025】
なお、この実施形態では、図2に示すように、主走査方向におけるキャリッジ10の位置を検出するためのエンコーダー14が設けられている。エンコーダー14としては例えば、装置内におけるキャリッジ10の位置情報を出力するリニアエンコーダーまたはキャリッジ駆動機構15に設けられたモーター(図示省略)の回転位相を出力することで間接的にキャリッジ10の位置を示すロータリーエンコーダーなどを用いることができる。制御部80は、エンコーダー14の出力からキャリッジ10の位置を把握することができるとともに、例えばエンコーダー14から出力されるキャリッジ10の移動に同期したパルスの出力間隔からキャリッジ10の移動速度を把握することができる。
【0026】
印刷位置PPを通過した用紙Pは搬送ローラー31によってさらに搬送され、用紙搬送方向Dpにおいて印刷位置PPの下流側に設けられた排出機構40に送り込まれる。排出機構40は、搬送経路Fに沿って配置されY方向に平行な回転軸周りに回転自在の第1ギザローラー41および第2ギザローラー42と、搬送経路Fを挟んで第2ギザローラー42と対向配置された排紙ローラー43とを備えている。排紙ローラー43は搬送モーター35により回転駆動される。したがって、搬送ローラー31と排紙ローラー43とは連動して回転する。第1および第2ギザローラーの表面には多数の突起が設けられており、これにより印刷直後の用紙Pの表面(印刷面)に対する接触面積を小さくして、画像の汚れを防止している。このように構成された排出機構40により、印刷位置PPを通過した用紙Pは図示を省略する排紙トレイに排出される。
【0027】
上記以外にも、図2に示すように、このフォトプリンター1は入力部71および表示部72を有するインターフェース部70を備えている。入力部71は、画像を記憶する記憶媒体や外部装置などからデータを受け付ける入力インターフェース、ユーザーによる操作入力を受け付けるキーボードや操作ボタン類などを備えており、これらの入力情報を制御部80に伝達する。また、表示部72は例えば液晶パネルからなるディスプレイを備えており、制御部80からの制御指令に応じて、印刷すべき画像に対応するプレビュー画像、操作説明やエラーメッセージなどユーザーに提供すべき種々の視覚情報がディスプレイに表示される。
【0028】
なお、図1においては、右方が本フォトプリンター1の前面(フロント面)に相当しており、左方が背面(リア面)に相当している。すなわち、このフォトプリンター1では、装置リア側上部に設けられた給紙トレイ90から用紙Pが装置内へ取り込まれて画像が印刷され、印刷後の用紙Pが装置フロント側の排紙トレイに排出される。
【0029】
次に、このように構成されたフォトプリンター1における印刷動作について説明する。このフォトプリンター1では、ユーザーまたは外部のホストコンピューターから印刷動作の実行が指示されると、制御部80がその指示内容に応じた印刷データを生成するとともに装置各部を制御して以下に示す印刷動作を実行することで、指定された画像を用紙Pに印刷する。
【0030】
図3はこの実施形態における印刷動作を示すフローチャートである。また、図4は印刷動作における用紙搬送の様子を模式的に示す図である。図4においては、理解を容易にするために、実際には曲線で表される搬送経路Fを直線に展開して示すとともに、各部の形状を簡略化している。なお、図3の印刷動作は、所定のジャム検知開始条件が成立したか否かを判定するステップ(ステップS104)および該条件が成立したときに実行されるジャム検知動作(ステップS121ないしS128)を含むが、理解を容易にするために、これらの処理については後に詳しく説明することとし、まずこれらの処理を除く印刷動作について説明する。
【0031】
この印刷動作では、まず給紙トレイ90にセットされた1枚の用紙Pを印刷開始位置へ送り込む給紙処理を行う(ステップS101)。より具体的には、給紙ローラー21を回転させて給紙トレイ90から1枚の用紙Pをピックアップし、これを搬送機構30により印刷開始位置まで搬送する。この印刷開始位置は、搬送方向Dpにおける用紙Pの先端部Paがキャリッジ10の下方に僅かにさしかかるような位置である。
【0032】
図4に示すように、時刻T1において給紙ローラー21および搬送ローラー31が回転駆動され、用紙先端部Paが紙後端センサー51直下の検出位置に到達する時刻T2において紙後端センサー51の出力が紙有りを示すHレベルになる。そして、用紙先端部Paが、搬送ローラー31と従動ローラー32とが形成する搬送ニップNtに到達する時刻T3以後は、搬送ローラー31の回転によって用紙Pが搬送され、先端部Paがキャリッジ10下方の印刷開始位置に到達する時刻T4においてローラーの回転駆動がいったん停止される。
【0033】
そして、制御部80は内部パラメータの1つである「累積紙送り量」をリセットする(ステップS102)。つまり、この時点での累積紙送り量をゼロとする。この「累積紙送り量」は、印刷開始位置を起点として用紙先端部Paが搬送経路Fに沿ってどれだけ送られたかを示す内部パラメータであり、搬送経路F上における現在の用紙Pの位置を指標するものである。なお、紙送り量、すなわち搬送方向Fに沿った用紙Pの搬送距離については、例えば搬送ローラー31の回転量や搬送モーター35に与えられた駆動パルス数等に基づいて求めることができる。
【0034】
以後は給紙ローラー21を動作させず、搬送モーター35の回転による搬送ローラー31および排紙ローラー43の回転により用紙Pを搬送経路Fに沿って搬送しながら、その都度キャリッジ10を動作させることで印刷を行う。このとき、搬送ローラー31による1回の用紙搬送量(紙送り量)は一定ではなく、印刷すべき画像の位置に応じて動的に設定される。具体的には、制御部80は、形成すべき画像の内容に対応する印刷データに基づいて、用紙Pを搬送経路F上における現在の位置から次に印刷を必要とする位置までの距離を算出し、そのために必要な紙送り量を設定する(ステップS103)。
【0035】
写真画像のように搬送方向Dpに沿って連続的な広がりを有する画像を印刷するときにはX方向における印刷ヘッド11の長さに対応する一定のピッチで用紙Pを搬送すればよい。一方、例えば字間または行間の広いテキスト画像のように搬送方向Dpに断続する画像では、このように紙送り量を動的に設定して印刷不要な領域については用紙Pを一気に進ませることにより、印刷に要する時間を短縮することができる。
【0036】
前記の通りステップS104については後に詳しく説明する。続いて、用紙Pを搬送方向Dpに沿って先に設定された紙送り量の分だけ進ませる紙送り処理を行う(ステップS105)。これにより、用紙Pのうち新たに画像を印刷すべき領域が印刷ヘッド11の直下位置に移動してくることになる。また、今回の紙送り量を累積紙送り量に加算し、累積紙送り量の値を更新する(ステップS106)。この状態で、キャリッジ10を主走査方向に走査移動させながら印刷データに応じて印刷ヘッド11からインクを吐出させる印刷処理を行う(ステップS107)。これにより、用紙Pに新たな帯状画像が印刷される。
【0037】
このとき、キャリッジ駆動機構15における負荷変動に基づいてジャム検知を行う(ステップS108)。具体的には、キャリッジ10の移動に同期してエンコーダー14から出力されるパルスの発生間隔が所定の閾値を超えたときに、負荷変動があったものと判断する。もしキャリッジ10と用紙ガイド91との間で紙詰まり(ジャム)が生じると、キャリッジ10と用紙Pとの接触に起因してキャリッジ駆動機構15からみた負荷が増大することになる。つまりキャリッジ駆動機構15からみた負荷が増大したことをもって、キャリッジ10と用紙ガイド91との間でジャムが発生したと判断することができる。この実施形態では、キャリッジ駆動機構15はキャリッジ10を一定速度で走査移動させるべく駆動するが、ジャムに起因して負荷が増大するとキャリッジ10の移動速度が低下することに鑑み、キャリッジ10の移動速度を示すエンコーダー14の出力パルスの間隔を用いてジャム検知を行う。なお、この明細書では、後に説明する「規定ジャム検知」と区別するために、印刷処理中のキャリッジ負荷変動を利用したジャム検知を「印刷時ジャム検知」と称する場合がある。
【0038】
この場合のジャム検知方法としては、上記以外にも、例えば本願出願人が先に開示した特開2005−178268号公報に記載の技術を適用することが可能である。つまり、この実施形態では、キャリッジ10の駆動によって変化する物理量のうちキャリッジ10の移動速度を表すエンコーダー14の出力パルス間隔に基づいて印刷処理中のジャム検知を行っているが、他の物理量、例えばキャリッジ駆動機構15が消費するエネルギー(より具体的には消費電流や消費電力)やキャリッジ10に対する駆動トルクの変化に基づいてジャム検知を行うようにしてもよい。
【0039】
また、キャリッジ駆動機構15からみた負荷変動に限らず、例えば搬送モーター35からみた負荷の変動からジャム検知を行うようにしてもよい。要するに、用紙Pがキャリッジ10と接触することなく搬送経路Fに沿って正常に搬送された場合に比べて、用紙Pがキャリッジ10に接触してキャリッジ10または用紙Pの移動が阻害された場合に大きく増大するような物理量を選択するとともに、正常な搬送において当該物理量が取り得る数値範囲よりも大きな値を閾値として設定しておき、当該物理量がこの閾値を超えたときにジャムありと判断することができる。逆に、ジャム発生時に大きく低下する物理量に対し正常な数値範囲より低い閾値を設定し、当該物理量が閾値を下回ったことをもってジャムありと判断してもよい。
【0040】
ジャムが検知された場合に実行される紙ジャム排出動作(ステップS200)については後に説明する。ジャムが検知されなければ、当該用紙Pに対応する印刷データの残りがあるか否かを判断し(ステップS109)、印刷データの残りがあれば上記したステップS103ないしS108の処理を繰り返す一方、印刷データの残りがなければ当該用紙Pに対する印刷は問題なく完了したので、排紙ローラー43を回転させて印刷後の用紙Pを装置フロント側に設けた排紙トレイへ排出するフロント側排出処理を行う(ステップS110)。この間、図4に示すように、搬送ローラー31および排紙ローラー43の作動による紙送り処理とキャリッジ10の作動による印刷処理とが交互に実行される。
【0041】
ここで、装置各部の位置関係は次の条件を満たすように定められている。大型のプリンターとは異なり、この種のフォトプリンター1では装置の小型化・軽量化に対する要請が強く、ジャム解消のために搬送経路を露出させることが可能な構造とすることが難しい。そこで、この実施形態では、第1に装置内部に用紙が詰まり取り出せなくなるようなジャムができるだけ発生することのないように、また第2にジャム発生時には可能な限り用紙を装置外へ排出することができるように、各部の構造および動作シーケンスが構成されている。
【0042】
まず、排紙ローラー43と第2ギザローラー42とが当接してなる排紙ニップNeに用紙先端部Paが到達する時刻T5よりも、用紙後端部Pbが搬送ニップNtを抜ける時刻T7の方が後になるように、つまり、用紙先端部Paが排紙ニップNeに到達した時点では、用紙Pの少なくとも一部が搬送ニップNtに残っているようにする。言い換えれば、搬送ニップNtから排紙ニップNeまでの搬送経路Fの長さL1が搬送方向Dpに沿った用紙長さLpよりも短くなるようにする。用紙先端部Paが排紙ニップNeに到達する前に後端部Pbが搬送ニップNtを抜けてしまうと、以後は用紙Pを排紙ニップNeに送り込むための搬送力を用紙Pに与えることができないからである。上記条件を満たすようにすることで、正常な紙搬送においては用紙Pが搬送ニップNtおよび排紙ニップNeの両方でニップされているタイミング(時刻T5からT7まで)が存在し、これにより用紙Pを確実に搬送することが可能となる。
【0043】
より好ましくは、用紙後端部Pbが紙後端センサー51による検出位置を通過する時刻T6が時刻T5よりも少し後になるように、検出位置から排紙ニップNeまでの搬送経路Fの長さL2が搬送方向Dpに沿った用紙長さLpよりも短くなるようにする。このようにすると、正常な紙搬送においては、紙後端センサー51の出力がHレベルからLレベルに変化する時刻T6には用紙先端部Paは既に排紙ニップNeに到達している。
【0044】
したがって、紙後端センサー51の出力がLレベルに変化するまでにジャムが発生しなければ、少なくとも用紙先端部Paは排紙ニップNeに到達していると考えられ、その後にジャムが発生したとしても、それが用紙先端部Paの搬送異常に起因するものである可能性は低い。例えば用紙後端部Pbが反っていたり折れ曲がっていた場合にこのようなジャムが発生しうる。一方、時刻T6よりも前にジャムが発生したとすれば、用紙先端部Paが正しく排紙ニップNeに到達していない可能性が高いと言うことができる。
【0045】
このように、紙後端センサー51の検出位置から排紙ニップNeまでの搬送経路Fの長さL2を搬送方向Dpに沿った用紙長さLpよりも短くすることで、ジャムの発生箇所をある程度推定することができる。この点に鑑み、この実施形態では印刷処理中にジャムが検知された時に実行する紙ジャム排出動作(ステップS200)の内容を以下の通りとしている。
【0046】
図5は紙ジャム排出動作を示すフローチャートである。キャリッジ10の負荷変動からジャムの発生が検知されると、まず直ちにキャリッジ10の退避処理を行う(ステップS201)。退避処理においては、キャリッジ10の走査移動を停止させるとともに、その時点までの移動方向とは反対方向にキャリッジ10を移動させて、用紙Pの上方にあるキャリッジ10を、用紙Pに干渉することのない側方のホームポジションに退避させる。これにより、ジャムによって用紙Pおよび装置が受けるダメージの悪化を防止することができる。
【0047】
そして、この時点で紙後端センサー51の出力をチェックする(ステップS202)。紙後端センサー51は搬送方向Dpにおいて搬送ニップNtよりも上流側(図1において左側)に配置されているので、紙後端センサー51が用紙有りを検知している限り、搬送ニップNtには用紙Pが存在している。このことから、用紙Pは少なくとも搬送機構30によって搬送することが可能な状態であると言える。したがって、紙後端センサー51の出力が用紙有り(Hレベル)である場合には、搬送ローラー機構30により用紙Pを本来の搬送方向Dpとは反対にリア側の給紙トレイ90に向けて排出する、リア側排出処理を実行する(ステップS203)。具体的には、搬送モーター35の回転方向を反転させることで、搬送ローラー31による用紙搬送方向を反転させる。
【0048】
続いて、リア側の給紙トレイ90に排出された用紙を取り除いて入力部71に設けられた確認ボタン(図示省略)を押下するよう、ユーザーに促すメッセージ(用紙排除メッセージ)を表示部72に表示させ(ステップS204)、確認ボタンの押下を待つ(ステップS205)。確認ボタンの押下が確認されると、ジャムの原因となった用紙は既に取り除かれたものとして、用紙排除メッセージの表示を解除し(ステップS206)、処理を終了するが、このときの終了状態は、動作が正常に終了した場合とは異なるエラー終了である(図3)。エラー終了の場合には、通常動作に戻る前に、後述する起動処理が実行される。
【0049】
一方、ステップS202において、紙後端センサー51の出力が用紙無し(Lレベル)であった場合、少なくとも用紙後端部Pbが紙後端センサー51による検出位置を通過するまではジャムは発生しなかったと言える。したがってジャムが発生するまでに用紙先端部Paは排紙ニップNeに到達している可能性が高い。一方で、この時点で搬送ニップNtに用紙Pが残っているか否かは一義的に判断できない。そこで、この場合には、排出機構40によって用紙Pを本来の搬送方向Dpに沿ってフロント側の排紙トレイに排出するフロント側排出処理を行う(ステップS211)。
【0050】
そして、フロント側に排出された用紙を取り除いて入力部71に設けられた確認ボタンを押下するよう、ユーザーに促す用紙排除メッセージを表示部72に表示させ、確認ボタンの押下を待つ(ステップS212)。確認ボタンが押下された後の動作は、用紙がリア側へ排出された場合と同じである。
【0051】
このように、この実施形態における印刷動作では、キャリッジ10の速度変動を検出することによってジャム検知を行うとともに、ジャムが発生したときには、搬送機構30の上流側に設けた紙後端センサー51の出力に応じて用紙Pの排出方向を決定するようにしている。すなわち、ジャム発生時点で紙後端センサー51が用紙有りを検出している場合には、搬送ローラー31を逆転させることにより、用紙Pを給紙トレイ90側に向けて本来の搬送方向Dpとは反対方向に排出する。一方、ジャム発生時点で紙後端センサー51が用紙無しを検出している場合には、排紙ローラー43を正転させて、用紙Pを本来の搬送方向Dpに沿って排紙トレイ側に排出する。
【0052】
特開2002−068527号公報に記載の技術では、搬送経路上に設けた3つのセンサーの出力の組み合わせでジャム発生時の用紙排出方向を決定しているが、本実施形態では1つの紙後端センサー51の出力によって同様の機能を果たすことができる。
【0053】
次に、図3に戻って、印刷動作におけるジャム検知処理(ステップS121ないしS128)について説明する。この実施形態ではキャリッジ10の速度変動によってジャム検知を行っているので、ジャム検知を行うためにはキャリッジ10を走査移動させる必要がある。しかしながら、印刷動作が途中でキャンセルされた場合や、印刷する画像の内容によっては、キャリッジ10の移動を伴わずに用紙Pを大きく進ませる場合もある。このような場合に例えば用紙Pの反りや撓みに起因するジャムが発生すると、それを直ちに検知することができず、用紙Pや装置に大きなダメージを与えるおそれがある。
【0054】
そこで、この実施形態では、用紙Pの累積紙送り量が所定のジャム検知開始条件に達した時、印刷の要否に関わらずキャリッジ10の走査移動を実行し、キャリッジ駆動機構15からみた負荷変動の有無を検出することで、起こりうるジャムを早期に検知することができるようにしている。この動作をジャム検知動作と称する。なお、印刷処理中に実行される「印刷時ジャム検知」と区別するために、ここで説明するジャム検知動作については、印刷の要否に関わらず予め規定された実行開始条件に基づく「規定ジャム検知」動作と称することができる。
【0055】
図6および図7は規定ジャム検知動作の原理を説明するための図である。具体的には、図6は搬送経路F上の用紙Pの位置と累積紙送り量との関係を示す図である。また、図7は搬送経路F上における用紙Pの姿勢の例を示す図である。印刷動作(図3)の開始後、用紙Pが印刷開始位置まで搬送された時点では、累積紙送り量はリセットされてその値はゼロである。その後、印刷データに基づく紙送り量の算出および算出結果に応じた紙送り処理の結果、累積紙送り量は次第に増加する。図6では、1回ごとの紙送り量を順にX1、X2、…、と表している。
【0056】
ここで、(N−1)回目までの累積紙送り量をX(n-1)、N回目の紙送り量をXnとしたとき、累積紙送り量Xaが以下の関係式、
X(n-1)≦Xe
Xe<X(n-1)+Xn
が成立するときを原理上のジャム検知開始条件とする。ここで、符号Xeは、用紙先端部Paが印刷開始位置から排出機構40の位置に到達するのに必要な累積紙送り量であり、具体的には、印刷開始位置から第1ギザローラー41までの搬送経路Fの長さに対応する値である。この関係式が意味するところは次の通りである。
【0057】
第1式は、これまでの用紙Pの累積紙送り量が、用紙先端部Paが排出機構40に到達するのに必要な累積紙送り量以下、つまり、用紙先端部Paが第1ギザローラー41との当接位置を超えていないことを意味している。したがって、この時点では、図7(a)に示すように、用紙先端部Paが排出機構40に到達していない。
【0058】
一方、第2式は、これまでの累積紙送り量に次回の紙送り量を加えると、加算後の累積紙送り量が、用紙先端部Paが排出機構40に到達するのに必要な累積紙送り量を超える、つまり、次回の紙送り処理を実行することによって、用紙先端部Paが確実に第1ギザローラー41との当接位置に到達するということを意味している。第2式の条件が満たされるとき、用紙Pが搬送経路Fに沿って適正に搬送されていれば、図7(b)に示すように、用紙先端部Paは既に排出機構40に到達しているはずである。したがって、この後の紙送りでは用紙Pは排出機構40によって排紙トレイに向け排出される。
【0059】
これに対して、図7(c)に例示するように用紙Pが反っていたり撓んでいると、用紙先端部Paが排出機構40に到達するのに十分な量の紙送りがなされたにも関わらず、実際には用紙先端部Paが排出機構40に到達していない場合があり得る。このような場合にこのまま紙送りを続けると、図7(d)に示すように、用紙Pが搬送経路Fを外れてジャムが発生するおそれがある。特に、印刷直後の用紙Pの表面にはガイド等を接触させることができないことから、搬送方向Dpにおけるキャリッジ10の下流側には比較的広いスペースSPが設けられるため、このスペースSPに用紙Pが入り込んでジャムとなる可能性がある。
【0060】
そこで、この実施形態では、印刷の要否に関わらず、用紙Pの先端部Paが確実に排出機構40に達しているであろうタイミングで、インクの吐出を伴わずにキャリッジ10を走査移動させてジャムの有無を検知するジャム検知動作を行う。こうすることで、キャリッジ10の走査移動を伴わない紙送りに起因するジャムを未然に防止する、もしくは、ジャムによって用紙Pや装置が受けるダメージを最小限に抑えることができる。
【0061】
インクの吐出を伴わないキャリッジ10の走査移動によるジャム検知は、用紙Pの少なくとも一部がキャリッジ10と用紙ガイド91との間のギャップに存在するときにおいて有効である。したがって、「規定ジャム検知」は、キャリッジ10が走査移動するときに用紙Pの少なくとも一部が走査移動するキャリッジ10と対向する位置に存在していれば有効である。一方、上記条件は、用紙Pの先端部Paが該ギャップを通過し排出機構40に到達しているであろうタイミングで規定ジャム検知動作を実行することができるように、累積紙送り量の値を規定したものである。後述するように、本願発明者の実験によれば、用紙Pとキャリッジ10とが接触するジャムの発生確率は、用紙先端部Paが印刷位置PPに到達するタイミングと、用紙先端部Paがキャリッジ10の下方を通過し排出機構40に到達するタイミングとで最も高くなる。前者のタイミングにおけるジャムは早期に検知することができ対応も比較的容易であるが、後者のタイミングにおけるジャムはより深刻な問題を引き起こすことがある。本実施形態におけるジャム検知動作は主として後者のタイミングにおけるジャムに対応することを目的とするものである。
【0062】
現実の搬送経路Fにおいては、ジャムを発生することなく用紙Pを搬送するのに、用紙Pの若干の反りや撓みは許容される。つまり、用紙の搬送不良があったとしても、累積紙送り量が値Xeを超えた時点で直ちにジャムとなるとは限らない。ただし、搬送不良に起因する用紙の反りや撓みが許容量を超えたときには用紙Pがキャリッジ10と接触してジャムとなる。したがって、より現実的には、ジャム検知動作の開始タイミングを決める累積紙送り量は印刷開始位置から排出機構40までの距離に相当する値Xeよりも若干長めとすることが好ましい。
【0063】
そこで、図6に示すように、印刷開始位置から排出機構40までの距離に相当する累積紙送り量Xeに代えて、これに所定のマージン量Xmを加えた値Xthを、ジャム検知開始条件を決める閾値とする。したがって、現実のジャム検知開始条件は次式、
X(n-1)≦Xth<X(n-1)+Xn
によって表される。ただし、閾値Xthについては、用紙Pの累積紙送り量が閾値Xthに達した時点では用紙後端部Pbが搬送ニップNtに到達しない大きさとする。つまり、搬送ニップNtから印刷開始位置までの搬送経路Fの長さ(図6の符号L3)に上記閾値Xthを加えた長さ(図6の符号L4)が、搬送方向Dpに沿った用紙Pの長さLpよりも短くなるようにする。このようにすると、用紙Pの累積紙送り量が閾値Xthに達した時でも依然として用紙Pは搬送ニップNtにニップされ、搬送ローラー31による搬送が可能な状態が維持される。具体的なマージン量Xmの決め方については後に説明することとし、ここではまずジャム検知動作の処理内容について、図3および図6を参照しながら説明する。
【0064】
印刷動作の途中で上記したジャム検知開始条件が成立すると(ステップS104)、ジャム検知動作が開始される。まず、紙送り処理を実行する(ステップS121)。このときの紙送り量は、図6に示すように、上記した閾値Xthから現在までの累積紙送り量X(n-1)を差し引いた値Xaである。この結果、この時点での累積紙送り量はその直前までの累積紙送り量X(n-1)の値に関わらず上記閾値Xthとなる。このとき、用紙Pが搬送経路Fに沿って正しく搬送されていれば、多少の反りや撓みがあったとしても用紙先端部Paは排出機構40に到達しているはずである。
【0065】
この状態で、キャリッジ10を現在の位置からY方向の一方端側へ向けて走査移動させる(ステップS122)。そして、キャリッジ駆動機構15の負荷変動に基づくジャム検知を行う(ステップS123)。この場合、Y方向における現在のキャリッジ位置がその往復範囲の中央でないときには、現在の位置から遠い側の端部に向かってキャリッジ10を移動させることが望ましい。このようにキャリッジ10を大きく移動させることで、迅速なジャム検知を行うことが可能となる。
【0066】
この過程で負荷変動が検出されたときにはジャムと判断する。この負荷変動は、用紙先端部Paが排出機構40に到達せず用紙Pが搬送経路F上で滞留していることに起因すると考えられるからである。この場合には、印刷処理中にジャムが検知された場合と同様に、リア側(給紙トレイ側)への排出処理および用紙排除メッセージの表示を行う(ステップS127、S128)。ここで、用紙の排出方向をリア側に固定しているのは、前記したように用紙Pの累積紙送り量が閾値Xthである時点では用紙Pは搬送ニップNtにニップされていることが保証されており、用紙Pを確実にリア方向へ排出することができるからである。
【0067】
この段階でジャムが検知されなかった場合、キャリッジ10を反対側の端部へ移動させて再度負荷変動の有無を検出する(ステップS124、S125)。ここで負荷変動が検出されたときにも、ジャムと判断しリア側(給紙トレイ側)への排出処理および用紙排除メッセージの表示を行う(ステップS127、S128)。一方、この時点でもジャムが検知されなければ、以後の紙送りにおいてジャム発生の危険性は低いと言える。そこで、この場合には通常の印刷動作に戻るが、それに先立って、印刷データから算出された紙送り量XnからステップS121で実施された紙送り量Xa(=(Xth−X(n-1)))を差し引いた紙送り量(図6に示す符号Xb)だけ紙送り処理を実行する(ステップS126)。その結果、図6に示すように、印刷再開時の用紙Pの位置は、先の印刷処理後の位置から印刷データに基づき算出された通常の紙送り量Xnだけ進んだ位置、つまり次の印刷動作を実行すべき位置となっている。この状態で印刷動作を再開することで、本来の位置への印刷を継続して行うことができる。
【0068】
次に、マージン量Xmの決め方について説明する。マージン量Xmについては、搬送経路Fの長さや用紙Pの硬さ、キャリッジ10と用紙ガイド91とのギャップ等に基づいて計算により求めることも不可能ではないが、用紙の反りや撓みの状況はばらつきが大きいため、より現実的には実験によって求めることができる。
【0069】
図8はマージン量を決めるために行った実験を模式的に示す図である。ジャム検知動作開始条件を決める閾値Xthに与えるマージン量Xmを種々に変更設定して実際にジャム検知動作を行うと、図8(a)に示すように、マージン量が小さい領域ではジャム検知数(ジャムの発生が検知された回数)が少なく、マージン量の増加に伴ってジャム検知数も増加する。したがってジャムを確実に検知するにはマージン量を大きくするのが好ましい。ただし、マージン量がある程度大きくなるとジャム検知数はそれ以上増加せず、ほぼ一定となる。したがってこれ以上マージン量を増やしても無意味である。マージン量Xmについては例えば以下のようにして実験的に定めることができる。
【0070】
本願発明者が行った実験では、先端部Paを少量(例えば5mm程度)カールさせたテスト用の用紙Ptを搬送経路Fに送り込んで累積紙送り量が設定値に達した時点で停止させ(予めキャリッジ10を用紙搬送に干渉しない位置に退避させており、この搬送中に用紙Pがキャリッジ10に接触することはない)、その状態でキャリッジ10を走査移動させる実験を複数回(例えば10回)行い、ジャムの発生確率を求めた。その結果、図8(b)に示すように、累積紙送り量が、用紙先端部Paが印刷位置PPに到達していることを示す値Xpであるときにジャム発生確率が大きい。このことは、カールした用紙Ptの先端部Paが印刷位置PP、つまりキャリッジ10の印刷ヘッド11と用紙ガイド91のバックアップ部位92との間のギャップに入り込む際にジャムが起きやすいことを示している。このようなジャムについては、印刷処理時の負荷変動から比較的早い時点で検知することが可能である。また、用紙Pの累積紙送り量が小さいため搬送ローラー31の反転により確実に給紙トレイ90側へ排出することが可能である。
【0071】
また、累積紙送り量が用紙先端部Paの位置が搬送方向Dpにおけるキャリッジ10の下流側端部位置に相当する値Xcよりも大きいときにもジャム発生確率が大きくなり、排出機構40との当接位置に相当する値Xeよりも大きい領域ではジャム発生確率はほぼ100%となる。これは、図7(d)に例示したように主にキャリッジ10と排出機構40との間のスペースSPに用紙が入り込んでしまうことに起因するジャムである。このように用紙先端部Paがキャリッジ10の下方を通過した後で発生するジャムでは、検知された時点で用紙後端部Pbが搬送ニップNtを通過してしまい、搬送ローラー31による排出がもはや不可能な状態となっている可能性がある。この場合、用紙先端部Paも排出機構40に到達していないため、結果的に用紙を装置から取り出せなくなってしまう。
【0072】
そこで、この実施形態では、このように累積紙送り量が値Xeよりも大きい領域でジャム発生確率がほぼ100%となり、かつ用紙Pがまだ搬送ニップNtに確実に存在しているような累積紙送り量の値を上記した閾値Xthとして設定し、こうして設定した閾値Xthに基づくジャム検知開始条件を用いてジャム検知動作(規定ジャム検知動作)を行う。これにより、用紙後端部Pbが搬送ニップNtを通過した後にジャムが発生し、用紙が取り出せなくなってしまうのを未然に防止することが可能となる。
【0073】
本願発明者が行った実験結果によれば、搬送方向Dpにおけるキャリッジ10の下流側端部から排出機構40(第1ギザローラー41)までの距離を符号Xs(=Xe−Xc)としたとき、マージン量Xmは該距離Xsの0.5倍以上が適当である。マージン量Xmがこれより小さいと、後の紙送りで起こりうるジャムを事前に検知する確率が低くなる。ただし、マージン量Xmをあまり大きくすると、ジャム検知動作開始時の紙送り量が多くなり、その分処理に時間がかかってしまい、また用紙先端部Paを排出機構40に向けて進めすぎることによるジャム等の新たな不具合が生じるおそれがある。この問題を防止するにはマージン量Xmは距離Xsの2倍以下に留めるのが好ましい。したがって、マージン量Xmとしては距離Xsの0.5倍ないし2倍程度が好ましく、距離Xsと同程度が最も好ましい。言い換えると、用紙先端部Paがキャリッジ10の下流側端部に到達してから規定ジャム検知動作が開始されるまでの用紙搬送距離(=Xth−Xc)が、キャリッジ10の下流側端部から排出機構40に到達するまでの用紙Pの搬送距離Xsの1.5倍ないし3倍、より望ましくは2倍程度となるように、累積紙送り量の閾値Xthを設定すればよい。
【0074】
これ以外にも、前記した通り、用紙Pの累積紙送り量が閾値Xthに達した時点で搬送ローラー31により用紙Pを給紙トレイ90側に排出可能な状態が維持されている、つまりこの時点で用紙Pの少なくとも一部が搬送ニップに残っていることも必要条件となる。
【0075】
ところで、この種のフォトプリンターの実使用状況においては、ジャム発生後、ジャムの原因となった用紙が正しく取り除かれないままに装置が再起動されることも多い。ここで、排紙トレイ側に排出された用紙については既に搬送経路Fから外れているので比較的問題は少ないが、給紙トレイ90側に排出された用紙については搬送経路Fから完全に除外されるものではないため、これが除去されないまま装置が再起動されると次のような不具合が生じる。
【0076】
装置の起動時には、搬送ローラー31等のローラー類をその動作確認も兼ねて空回転させる動作を含む初期化動作が一般的に行われる。このとき、用紙Pが給紙ローラー21から搬送ローラー31に至る搬送経路F上に残っていると、搬送ローラー31の回転によって該用紙が再び装置内に取り込まれてしまうこととなる。特に、ジャム発生により排出された用紙では屈曲や破損などのダメージを受けていることが多く、このような用紙が装置内に取り込まれると、用紙や装置にさらなるダメージを与えてしまうおそれがある。そこで、この実施形態では、装置起動時の処理を次のような内容としている。
【0077】
図9はこの実施形態における起動処理を示すフローチャートである。この起動処理は、例えば装置の電源が投入された直後に実行されるほか、印刷動作がエラー終了(図3)した場合にも実行される。この起動処理では、まず紙後端センサー51の出力状態をチェックし(ステップS301)、紙後端センサー51が紙無しを検出しているときにはそのまま通常の初期化動作(ステップS310)を行う。
【0078】
一方、この時点で紙後端センサー51が紙有りを検出しているとき、給紙トレイ90側に排出されたジャム後の用紙が搬送経路F上に残っていると考えられる。搬送ローラー31による排出動作では、搬送方向Dpにおける用紙先端部Paを紙後端センサー51による検出位置よりも上流側まで排出する作用はないからである。また原因の如何によらず搬送経路F上に用紙(または類似のシート状異物)の存在が検出された状態で初期化動作を実行すると、ジャムなどの不具合を生じる可能性が高い。
【0079】
そこで、起動時に紙後端センサー51が紙有りを検出した場合には、ジャムが検知された場合と同様に、リア(給紙トレイ90)側に用紙が残っていることを知らせる用紙排除メッセージを表示部72に表示させ(ステップS302)、ユーザーに用紙を取り除くよう促す。そして、確認ボタンが押されるのを待ち(ステップS303)、押下が確認されるとその時点で紙後端センサー51が紙無し状態であれば初期化動作に移行する一方(ステップS304)、依然として紙有り状態であれば、用紙が取り除かれるまで確認ボタンの押下を待つ。これにより、搬送経路Fから用紙またはシート状異物が確実に除かれた状態で初期化動作が実行されることとなり、上記のような不具合が生じることはない。
【0080】
以上説明したように、この実施形態においては、キャリッジ10およびキャリッジ駆動機構15がそれぞれ本発明の「キャリッジ」および「駆動部」として機能しており、これらが一体として本発明の「印刷手段」として機能している。また、本実施形態においては、制御部80およびキャリッジ10が一体として本発明の「ジャム検知手段」として機能している。また、本実施形態においては、紙後端センサー51および給紙ローラー21がそれぞれ本発明の「記録媒体検出手段」および「供給手段」として機能している。さらに、この実施形態では、表示部72が本発明の「表示手段」として機能している。
【0081】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、上記実施形態では、用紙先端部Paがキャリッジ10下方に達する印刷開始位置から累積紙送り量を積算しているが、紙送り量、すなわち用紙Pの搬送距離の起点はこれに限定されず任意である。例えば、紙後端センサー51の検出位置は搬送ニップ位置などを起点として搬送距離を求めてもよい。
【0082】
また例えば、上記実施形態では、ジャム検知動作時にキャリッジ10を往復移動させて負荷変動の有無を検出することでジャム検知を行っているが、例えばキャリッジ10を1方向のみに移動させてジャム検知を行ってもよい。また、ジャム検知動作時のキャリッジ10の移動速度については特に限定しないが、例えば印刷処理時と同じ速度とすることができる。また、印刷処理時よりも速い速度とすればジャム検知動作に要する時間を短縮することができる。一方、印刷処理時よりも遅い速度とすれば、ジャム発生時にキャリッジ10が停止するまでに用紙Pに与えるダメージを最小限に抑えることができる。
【0083】
また、上記実施形態では印刷処理時とジャム検知動作時との双方でキャリッジ負荷変動に基づくジャム検知を行っており、具体的にはキャリッジ10の移動速度を指標するエンコーダー14の出力パルス間隔が所定の閾値を超えた(つまりキャリッジ移動速度が所定値より低くなった)ことをもってジャムと判断している。この場合の閾値についても特に限定されず、それぞれの閾値を共通の値としてもよいし、個別の閾値を設定してもよい。例えばジャム検知動作時の閾値を印刷処理時より低くすれば、ジャム検知動作時は印刷処理時より厳しい条件で用紙Pが搬送されることとなるので、その後に起こりうるジャムをより高い確率で事前に検知することが可能となる。
【0084】
また、用紙Pとの接触に起因するキャリッジ10の移動速度の低下度合いは元の移動速度にも依存するので、例えばキャリッジ10の移動速度を複数段階に変更可能であるときには、その移動速度ごとにジャム検知の閾値を設定するようにしてもよい。
【0085】
また例えば、上記実施形態では、キャリッジ負荷変動、具体的にはキャリッジ10の移動速度の変動を検出することにより行っているが、ジャム検知の方法はこれに限定されるものではなく、キャリッジ10を走査移動させたときにキャリッジ10と用紙Pとの接触に起因する変化が検出できるものであれば他の方法によってもよい。例えば、搬送ローラー31の回転速度や、搬送モーター35からみた負荷変動を検出することによってジャム検知を行うようにしてもよい。
【0086】
また例えば、上記実施形態は印刷装置の一種であるインクジェット方式のフォトプリンターに本発明を適用したものであるが、本発明の適用対象はこれに限定されるものではなく、フォトプリンター以外の印刷装置や、インクジェット方式によらない(例えば感熱方式の)印刷装置であっても、搬送される記録媒体に対してキャリッジを走査移動させて印刷を行う各種の印刷装置に本発明を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0087】
10…キャリッジ(印刷手段、ジャム検知手段)、 11…印刷ヘッド、 15…キャリッジ駆動機構(駆動部、印刷手段)、 21…給紙ローラー(供給手段)、 30…搬送機構、 31…搬送ローラー、 35…搬送モーター、 40…排出機構、 41…第1ギザローラー、 42…第2ギザローラー、 43…排紙ローラー、 51…紙後端センサー(記録媒体検出手段)、 72…表示部(表示手段)、 80…制御部(ジャム検知手段)、 Dp…用紙搬送方向、 F…搬送経路、 P…用紙(記録媒体)、 PP…印刷位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の搬送経路に沿って、該搬送経路上の印刷位置に向けて記録媒体を送り込む搬送機構と、
前記印刷位置に送り込まれる前記記録媒体に対し記録剤を付与して前記記録媒体に画像を印刷する印刷手段と、
前記印刷位置を通過した前記記録媒体を前記搬送経路に沿って排出する排出機構と、
前記記録媒体の搬送方向における前記搬送機構の上流側で前記記録媒体の有無を検出する記録媒体検出手段と、
前記搬送機構から前記排出機構に至る前記搬送経路上における前記記録媒体のジャムを検知するジャム検知手段と
を備え、
前記ジャム検知手段がジャムを検知した時に、前記記録媒体検出手段が記録媒体有りを検出していれば、前記搬送機構により前記記録媒体を前記搬送方向とは反対方向に排出する一方、
前記ジャム検知手段がジャムを検知した時に、前記記録媒体検出手段が記録媒体無しを検出していれば、前記排出機構により前記記録媒体を前記搬送方向に排出する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記記録媒体検出手段から前記排出機構までの前記搬送経路の長さが、前記搬送経路に沿った前記記録媒体の長さよりも短い請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記記録媒体の搬送方向における前記搬送機構の上流側で前記記録媒体を保持して、該記録媒体を1枚ずつ前記搬送機構に供給する供給手段を備え、
前記記録媒体検出手段は、前記供給手段と前記搬送機構との間の前記搬送経路上に設けられる請求項1または2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記印刷手段は、前記印刷位置に送り込まれる前記記録媒体に対向配置されて前記記録媒体に前記記録剤を付与するキャリッジと、該キャリッジを駆動して前記搬送経路に沿った前記記録媒体の搬送方向と異なる主走査方向に走査移動させる駆動部とを備え、
前記ジャム検知手段は、前記キャリッジの駆動によって変化する物理量に基づいてジャム検知を行う請求項1ないし3のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項5】
前記ジャム検知手段は、前記駆動部による前記キャリッジの駆動トルク、前記駆動部が消費するエネルギーおよび前記キャリッジの移動速度のうち少なくとも1つを前記物理量とする請求項4に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記キャリッジの走査移動中に前記ジャム検知手段によりジャムが検知されると、前記駆動部が該走査移動方向とは反対方向に前記キャリッジを退避させ、前記記録媒体検出手段の検出結果に応じて前記搬送機構または前記排出機構が前記記録媒体を排出する請求項4または5に記載の印刷装置。
【請求項7】
装置起動時に前記記録媒体検出手段が記録媒体有りを検出したときに、記録媒体のジャムに対応する所定のエラーメッセージを表示する表示手段を備える請求項1ないし6のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項8】
搬送機構により、所定の搬送経路に沿って印刷位置に向けて記録媒体を送り込み、前記印刷位置に送り込まれた前記記録媒体に対し記録剤を付与して前記記録媒体に画像を印刷し、前記印刷位置を通過した前記記録媒体を排出機構により前記搬送経路に沿って排出する印刷装置の制御方法において、
前記搬送機構から前記排出機構に至る前記搬送経路において前記記録媒体のジャムを検知すると、前記記録媒体の搬送方向における前記搬送機構の上流側において前記記録媒体の有無を判定し、
記録媒体有りであれば前記搬送機構により前記記録媒体を前記搬送方向とは反対方向に排出する一方、記録媒体無しであれば前記排出機構により前記記録媒体を前記搬送方向に排出する
ことを特徴とする印刷装置の制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−61626(P2012−61626A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−205457(P2010−205457)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】