説明

印刷装置と画像投影方法と印刷方法

【課題】 用紙に印刷する前にその用紙上で用紙に印刷する画像のイメージを確認できるようにして印刷ミスを未然に防止する。
【解決手段】 ホスト装置2から入力された画像データに基づく画像を用紙上に印刷するプリンタ1において、印刷プレビュー画像データに基づく印刷プレビュー画像を上記用紙上に投影するプロジェクタを設け、CPU24は、上記画像データに対応する印刷プレビュー画像データを入力し、プロジェクタ制御部11のCPU35を介して、上記印刷プレビュー画像データに基づく印刷プレビュー画像が上記用紙と同じ大きさで上記用紙上に表示されるように上記プロジェクタによる投影を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ファクシミリ装置、プリンタ、コピー機、MFPを含む印刷装置と画像投影方法と印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パソコンで文書を作成してプリンタへ出力を行う場合、アプリケーションのプレビュー機能によりパソコンの表示装置の表示画面上に画像を表示することで、出来上がりの画像のイメージを確認することができる。
従来、印刷装置側の特性(例えばフォント情報等)に関して、端末装置側にその特性情報を送信し、端末装置側の表示画面上に特性情報を含むプレビュー画像を表示する装置(例えば、特許文献1参照)があった。
このような装置では、端末装置側の設定だけでは表示できないプレビュー画像として、よりできあがりの状態に近いプレビュー画像を表示画面上で確認することができる。
【特許文献1】特開2002−196901号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した従来の技術では、ユーザは、プリンタで印刷を行う用紙に対して画像がどのような位置や方向で印刷されるかを、パソコンの表示装置の表示画面上だけではイメージできないという問題があった。
したがって、例えば、葉書を用紙として宛名を印刷した表面の裏面に印刷するときに、宛名の方向と逆方向に印刷してしまい、失敗することがある。
また、宛名の面に印刷する場合でも、郵便番号を印刷するマスの中に数字が正しく収まるように印刷されないこともある。
このように、ユーザが期待した印刷の仕上がりにならないことがある。
このため、ユーザは再度印刷を行うことになり、用紙を無駄にすることがあった。
この発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、用紙に印刷する前にその用紙上で用紙に印刷する画像のイメージを確認できるようにして印刷ミスを未然に防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明は上記の目的を達成するため、次の印刷装置と画像投影方法と印刷方法を提供する。
(1)外部から入力された画像データに基づく画像を用紙上に印刷する印刷手段を備えた印刷装置において、上記画像データに対応する印刷プレビュー画像データを入力するデータ入力手段と、そのデータ入力手段によって入力された印刷プレビュー画像データに基づく印刷プレビュー画像を上記用紙上に投影する画像投影手段と、上記印刷プレビュー画像データに基づく印刷プレビュー画像が上記用紙と同じ大きさで上記用紙上に表示されるように、上記画像投影手段による投影を制御する投影制御手段を設けた印刷装置。
(2)上記のような印刷装置において、上記用紙上に投影された印刷プレビュー画像の形状が上記用紙の形状に合致するように、上記印刷プレビュー画像データを補正する形状補正手段を設けた印刷装置。
【0005】
(3)上記のような印刷装置において、上記画像投影手段を、上記用紙に画像を印刷するときの上記用紙の搬送方向に沿った上記用紙の側面側から上記映像を投影する位置に配置した印刷装置。
(4)上記のような印刷装置において、上記画像投影手段によって上記用紙上に投影した印刷プレビュー画像の移動方向と移動量を指示する指示手段と、その指示手段によって指示された移動方向の移動量に基づいて上記印刷プレビュー画像の投影位置の移動方向の移動量を求める移動量計算手段と、その移動量計算手段によって求められた移動方向の移動量に基づいて上記画像投影手段による印刷プレビュー画像の投影を上記指示された移動方向へ上記求められた移動量だけ移動させて投影する投影位置移動手段を設けた印刷装置。
【0006】
(5)上記のような印刷装置において、上記印刷手段によって上記印刷プレビュー画像に対応する画像データに基づく画像を印刷するとき、上記用紙に対する上記画像データに基づく画像の印刷位置を上記求められた移動方向の移動量に基づいて調整する手段を設けた印刷装置。
(6)上記のような印刷装置において、上記画像投影手段によって投影された印刷プレビュー画像の投影位置に上記用紙を設置させる設置ガイド部材を設けた印刷装置。
【0007】
(7)外部から印刷プレビュー画像データを入力するデータ入力工程と、そのデータ入力工程によって入力された印刷プレビュー画像データに基づいて、用紙上にその用紙と同じ大きさの印刷プレビュー画像を投影する画像投影工程とからなる画像投影方法。
(8)上記のような画像投影方法において、上記用紙上に投影された印刷プレビュー画像の形状が上記用紙の形状に合致するように、上記印刷プレビュー画像データを補正する形状補正工程を設けた画像投影方法。
(9)上記のような画像投影方法において、上記用紙上に投影した印刷プレビュー画像の移動方向と移動量を指示する指示工程と、その指示工程によって指示された移動方向の移動量に基づいて上記印刷プレビュー画像の投影位置の移動方向の移動量を求める移動量計算工程と、その移動量計算工程によって求められた移動方向の移動量に基づいて上記印刷プレビュー画像の投影を上記指示された移動方向へ上記求められた移動量だけ移動させて投影する投影位置移動工程を設けた画像投影方法。
(10)上記のような画像投影方法で投影した印刷プレビュー画像に対応する画像データに基づく画像を印刷する印刷方法であって、上記用紙に対する上記画像データに基づく画像の印刷位置を上記求められた移動方向の移動量に基づいて調整することを特徴とする印刷方法。
【発明の効果】
【0008】
この発明による印刷装置と画像投影方法と印刷方法は、用紙に印刷する前にその用紙上に印刷する画像のイメージを投影するので、ユーザは用紙上で印刷結果のイメージを確認することができ、印刷ミスを未然に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、この発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて具体的に説明する。
〔実施例〕
図2は、この発明の印刷装置の一実施例であるプリンタの外観斜視図である。
同図の(a)に示すように、このプリンタ1は、給紙トレイ40の用紙42がセットされる位置の正面に小型のプロジェクタ12を設け、そのプロジェクタ12から用紙42上に照射光を投射して用紙42上に印刷する情報の印刷プレビュー画像を投影する。
また、プロジェクタ12から投影される印刷プレビュー画像が用紙42上の正しい位置に投影されるように、プロジェクタ12によって投影された印刷プレビュー画像の投影位置に用紙を設置させる設置ガイド部材であるガイド41を設けている。
さらに、操作パネル14からの操作によって、用紙42に投影する印刷プレビュー画像の投影位置を、用紙42に対する印刷時の主走査方向に対して調整することができる。
【0010】
また、同図の(b)に示すように、プロジェクタ12を給紙トレイ40の用紙42がセットされる位置の側面側に設けるようにしてもよい。
すなわち、この場合は、プロジェクタ12を、用紙に画像を印刷するときの用紙の搬送方向に沿った用紙の側面側から映像を投影する位置に配置している。
このプリンタ1は、用紙42に印刷する前に、その用紙42上に直接に印刷プレビュー画像を映すことができるので、ユーザは、印刷前に印刷出力イメージを用紙42上で確認することができる。
【0011】
図1は、この発明の一実施例であるプリンタの機能構成を示すブロック図である。
このプリンタ1は、パーソナルコンピュータを含むホスト装置2とデータ通信可能に接続されており、そのホスト装置2外部から入力された画像データに基づく画像を用紙上に印刷するインクジェット方式の印刷装置である。
ここで、文章作成のアプリケーション等でホスト装置2側から印刷を実行する場合、アプリケーションのほとんどで印刷の前に、図3に示すように、ホスト装置2のディスプレイ上で印刷プレビュー画像を確認することができる。
ところが、ホスト装置2のディスプレイ上に表示された印刷プレビュー画像では、用紙に印刷された画像がディスプレイ上に表示された印刷プレビュー画像と異なる場合は印刷をやり直さなければならず、用紙を無駄にしてしまう。
このプリンタ1は、図4に示すように、用紙上に印刷しようとする画像の印刷プレビュー画像を重ね合わせて見ることができるので、印刷前に印刷結果をより具体的に確認することができる。
【0012】
図1に示すように、このプリンタ1は、メイン制御部10、プロジェクタ制御部11、プロジェクタ12、操作パネル制御部13、操作パネル14、インクヘッド部15を備えており、メイン制御部10に搭載されたCPU24は、プロジェクタ制御部11に搭載されたCPU35を介してプロジェクタ12を、操作パネル制御部13に搭載されたCPU33を介して操作パネル14を統括して制御する。
【0013】
メイン制御部10は、ホストインタフェース部20、インクヘッドコントロール部21、RAM22、画像処理部23、CPU24を有する。
ホストインタフェース部20は、ホスト装置2との間のデータのやり取りを制御し、ホスト装置2から画像データ及び画像データに対応する印刷プレビュー画像データを入力するデータ入力処理を司る。
インクヘッドコントロール部21は、インクヘッド部15を制御し、インクヘッド部15によってホスト装置2から入力された画像データに基づく画像を用紙上に印刷する。
RAM22は、ホストインタフェース部20によって入力された画像データ及び画像データに対応する印刷プレビュー画像データを格納するメモリである。
画像処理部23は、RAM22に格納された画像データ及び画像データに対応する印刷プレビュー画像データに各種の処理を施す。
【0014】
CPU24は、このプリンタ1の全体の制御と上述の制御処理と共に、ホストインタフェース部20によってホスト装置2から入力した画像データ及び画像データに対応する印刷プレビュー画像データをRAM22に格納する処理、そのRAM22に格納した画像データ及び画像データに対応する印刷プレビュー画像データを画像処理部23へ送る処理、画像処理部23で処理が施された画像データ及び画像データに対応する印刷プレビュー画像データをRAM22に格納する処理、RAM22に格納した画像データをインクヘッドコントロール部21へ送る処理、RAM22に格納した印刷プレビュー画像データをプロジェクタ制御部11へ送る処理を含む各種の処理を司る。
【0015】
プロジェクタ制御部11は、RAM34、CPU35を有する。
RAM34は、メイン制御部10から送られた印刷プレビュー画像データを格納するメモリである。
CPU35は、プロジェクタ12からRAM34に格納された印刷プレビュー画像データに基づく印刷プレビュー画像を投影する制御処理と、その印刷プレビュー画像データに基づく印刷プレビュー画像が用紙と同じ大きさで用紙上に表示されるように、プロジェクタ12による投影を制御する投影制御処理と、用紙上に投影された印刷プレビュー画像の形状が用紙の形状に合致するように、印刷プレビュー画像データを補正する形状補正処理を行う。
プロジェクタ12は、プロジェクタ制御部11の制御により、印刷プレビュー画像データに基づく印刷プレビュー画像を用紙上に投影する画像投影手段である。
【0016】
操作パネル制御部13は、RAM32、CPU33を有する。
RAM32は、CPU33が各種の制御処理を行う際の作業用メモリである。
CPU33は、操作パネル14のLCD30に対する各種の表示の制御と、タッチセンサ31からの入力情報をメイン制御部10へ通知する処理を含む各種の制御処理を行う。
操作パネル14は、LCD30、タッチセンサ31を有する。
LCD30は、操作パネル制御部13のCPU33の制御により、各種の操作画面を表示する表示部である。
タッチセンサ31は、LCD30に表示した操作画面上のタッチ位置の入力情報をCPU33へ通知する。
【0017】
次に、このプリンタ1における印刷処理について説明する。
ホストインタフェース部20は、ホスト装置2から送信される画像データを受信すると、RAM22に格納する。
RAM22に1ページ分の画像データが格納されると、その1ページ分の画像データを画像処理部23へ送って色変換処理を含む各種の画像処理を施し、インクヘッドコントロール部21でインクヘッド用の信号に変換し、インクヘッド部15によって印刷出力する。上記内部の画像データ転送のタイミング制御は、CPU24が管理している。
【0018】
次に、CPU24における印刷プレビュー画像を用紙に投影する時の処理について説明する。
図5は、図1に示すCPU24における印刷プレビュー画像を用紙に投影する時の処理を示すフローチャート図である。
CPU24は、ステップ(図中「S」で示す)1でホスト装置2から用紙上に印刷プレビュー画像を表示させる指示の用紙上プレビューコマンドをホストインタフェース部20を介して受信したか否かを判断し、受信しなければステップ1の判断処理を繰り返し、受信したら、ホスト装置2側から印刷プレビュー画像データを受信し、その印刷プレビュー画像データをRAM22に転送し、ステップ2で印刷プレビュー画像データの転送が終了したか否かを判断する。
【0019】
ステップ2で印刷プレビュー画像データ(例えば、用紙1枚に対するプレビュー映像の印刷プレビュー画像データ)の転送が終了したと判断したら、ステップ3でプロジェクタ制御部11のCPU35に印刷プレビュー画像の投影を指示する印刷プレビュー画像投影コマンドを送信し、RAM22に格納された印刷プレビュー画像データをプロジェクタ制御部11のRAM34へ転送する。
ステップ4でRAM34に印刷プレビュー画像データが転送されたことを検知すると、CPU35はRAM34の印刷プレビュー画像データに基づく印刷プレビュー画像をプロジェクタ12によって投影するように制御する。
【0020】
なお、上記用紙上プレビューコマンドと上記印刷プレビュー画像投影コマンドは、プロジェクタ12による投影を可能にするため、印刷プレビュー画像データが書かれるRAMへの先頭アドレスと主走査画素数とライン数の情報を含む。
また、ホスト装置2がプリンタ1へ用紙上プレビューコマンドを送信するきっかけは、例えば、アプリケーションが表示しているプレビュー画面の「用紙上プレビュー」ボタンをユーザがクリックしたときである。
【0021】
次に、用紙上の印刷プレビュー画像によって、用紙上への印刷位置の調整を行う処理について説明する。
用紙上に印刷プレビュー画像を投影している時、操作パネル14では、図6に示す操作画面が表示される。
この操作画面は、印刷プレビュー画像を用紙上に投影している時に、メイン制御部10上のCPU24から操作パネル制御部13上のCPU33にプレビュー状態を示すコマンドを送信することで実施する。
図6に示す操作画面に対して、ユーザが左右方向の矢印キーを押すことにより、用紙上に投影された印刷プレビュー画像の投影位置を左右(用紙に対する印刷時の主走査方向)に移動調整することができる。
【0022】
次に、上記印刷プレビュー画像の投影位置調整作業実施時の各CPUの処理について説明する。
図7は、操作パネル制御部13のCPU33における印刷プレビュー画像の投影位置調整作業実施時の処理を示すフローチャート図である。
この処理では、操作パネル14は、プロジェクタ12によって用紙上に投影した印刷プレビュー画像の移動方向と移動量を指示する指示手段の機能を果たし、CPU33は、LCD30に表示した投影画像を移動させるための操作画面に対して、タッチセンサ31から入力された移動方向と移動量の入力情報を検知すると、その入力情報に基づいて印刷プレビュー画像の投影位置の移動方向の移動量を求める移動量計算手段の機能を果たす。
【0023】
CPU33は、ステップ(図中「S」で示す)11で操作パネル14に配置されたLCD30の画面の矢印キーやボタンで操作されるタッチセンサ31からの入力情報を検知したか否かを判断する。
ステップ11の判断によってタッチセンサ31からの入力情報を検知すると、ステップ12で印刷プレビュー画像の左右方向(用紙の印刷時の主走査方向の移動方向)の移動量を計算して求め、ステップ13でその移動方向の移動量をメイン制御部10のCPU24に通知する。
ステップ14でCPU24からの印刷実行等の指示入力で用紙プレビュー終了か否かを判断し、用紙プレビュー終了と判断したら、この印刷位置調整の処理を終了する。
【0024】
次に、メイン制御部10のCPU24における印刷プレビュー画像の投影位置調整作業実施時の処理について説明する。
図8は、メイン制御部10のCPU24における印刷プレビュー画像の投影位置調整作業実施時の処理を示すフローチャート図である。
CPU24は、ステップ(図中「S」で示す)21で印刷プレビュー画像移動量(CPU33から通知された移動方向の移動量)の通知を検知したか否かを判断し、検知したと判断したら、ステップ22でプロジェクタ制御部11上のCPU35に印刷プレビュー画像移動量を通知し、ステップ23で、印刷プレビュー画像移動量をRAM22に記憶する。
【0025】
ステップ24でホスト装置2から印刷指示を検知したか否かを判断し、検知したと判断したら、ステップ25でRAM22に記憶している印刷プレビュー画像移動量を画像処理部23に設定し、画像処理部23はその設定された印刷プレビュー画像移動量に基づいて、印刷プレビュー画像に対応する画像データに基づく画像を印刷するとき、用紙に対する上記画像データに基づく画像の印刷位置を上記求められた移動方向の移動量に基づいて調整するものとして、画像データに対して印刷位置を印刷プレビュー画像移動量だけずらすための画像領域を設定する。
【0026】
上記調整の処理は、ライン印刷方向の移動の場合は、移動量に基づいてライン毎に一定画素の空白を先頭に付け加え、後端をその分(先頭に付け加えた空白部分に相当する分)削除して画像を移動する。また、逆方向の移動の場合は先頭画素を削除して後端に空白を付け加えることで行われる。
その後、ステップ26で上記画像データと上記設定された画像領域とに基づいてインクヘッドコントロール部21を介してインクヘッド部15によって印刷を行う画像印刷制御を実行する。
【0027】
ステップ27で全ページの印刷を終了したか否かを判断し、全ページの印刷を終了しなければ、ステップ26へ戻って次のページの印刷の画像印刷制御を実行し、ステップ27の判断で全ページの印刷を終了したと判断したら、ステップ28で、RAM22に蓄積した印刷プレビュー画像移動量と画像処理部23に設定した画像領域をクリアし、この処理を終了する。
上記画像処理部23では、上記設定された画像領域を上記画像データに設定してインクヘッドコントロール部21に出力することにより、ユーザが用紙上に投影した印刷プレビュー画像を移動させた距離だけ移動した画像が用紙上に印刷されるので、ユーザは用紙上に投影した印刷プレビュー画像に基づいて用紙に対する画像の印刷位置の調整を容易に行える。
【0028】
次に、プロジェクタ制御部11のCPU35における印刷プレビュー画像の投影位置調整作業実施時の処理について説明する。
図9は、プロジェクタ制御部11のCPU35における印刷プレビュー画像の投影位置調整作業実施時の処理を示すフローチャート図である。
CPU35は、ステップ31で印刷プレビュー画像移動量(CPU33から通知された移動方向の移動量)の通知を検知したか否かを判断し、検知したと判断したら、ステップ32でRAM34内の印刷プレビュー画像データによる印刷プレビュー画像の投影位置を上記印刷プレビュー画像移動量に基づいて調整してプロジェクタ12によって投影させる。
【0029】
ステップ33でメイン制御部10のCPU24からの通知が印刷実行等で用紙上プレビュー終了か否かを判断し、用紙上プレビュー終了ならば、この処理を終了する。
このように、印刷プレビュー画面の投影位置を調整すると、用紙に印刷する際に用紙に対してその移動量だけ移動させて画像を印刷するので、ホスト装置2上のアプリケーションで調整するよりも感覚的にわかりやすく、簡易な操作で所望の印刷画像を得ることができる。
【0030】
ところで、このプリンタ1においては、図2の(b)に示したように、プロジェクタ12を用紙に対して側面側から印刷プレビュー画像を投影するように配置すると、用紙上に投影された画像が台形の形状に歪んでしまう。
そこで、上記投影する印刷プレビュー画像には所定の補正が必要になる。
例えば、図10の(a)に示す長方形の画像が現画像であるとすると横からプロジェクタを投影するため、そのまま投影するとプロジェクタ12の位置から遠ざかるにつれて、その投影画像が拡大されて、図10の(b)のように台形になってしまう。
【0031】
そこで、CPU35は、RAM34に格納された印刷プレビュー画像データに対して、用紙上の投影画像が用紙と同じ大きさで同じ矩形になるように台形補正を施し、その台形補正後の印刷プレビュー画像データによってプロジェクタ12から印刷プレビュー画像を投影する。
上記台形補正は、公知技術(例えば、特開2006−14233号公報に記載された台形歪み補正処理)を用いれば良く、プロジェクタ12に近い側のライン部分についてはそのラインに対して画素の補間と挿入処理を行って画像領域を拡大し、プロジェクタ12から遠くなる側のライン部分に対しては間引き処理を施して画像領域を縮小する。
このようにして、用紙上に対して印刷プレビュー画像の大きさと形状を正しく投影することができる。
【0032】
このプリンタ1は、印刷が行われる用紙の印刷面に印刷プレビュー画像を等倍に実際に印刷される位置にあわせて投影する手段を備えているので、用紙に元から印刷されている画像と印刷手段でこれから印刷される画像を合わせた出来上がりイメージを確認することができる。
また、用紙上にプレビューすることで葉書のように用紙の設定方向が決まっている用紙の設定方向を間違えることも防止できる。
したがって、ユーザが正しい出来上がりイメージを確認してから印刷を実行することで、印刷ミスを未然に防止し、印刷ミスで用紙を無駄にすることを防ぐことによって紙資源の節約と電力の節約ができる。
【0033】
また、プロジェクタを用紙搬送経路上またはその延長上以外である側面に配置することにより、用紙の挿入の邪魔にならず、スムーズに用紙をセットすることができる。
さらに、プロジェクタによって印刷プレビュー画像を投影する用紙を、印刷プレビュー画像が投影される位置に正しく一致するように設置するガイドを有することにより、用紙の印刷面の正しい位置に印刷プレビュー画像が投影され、ユーザが正しい出来上がりイメージを確認してから印刷を実行することで、印刷ミスを未然に防止でき、印刷ミスで用紙を無駄にすることを防ぐことができる。
【0034】
また、プロジェクタから投影される印刷プレビュー画像が用紙上で歪まないように、例えば、印刷される画像に正しく一致するように台形補正を行うことによって、用紙の形状に合わせて印刷プレビュー画像を投影するので、ユーザが正しい出来上がりイメージを確認してから印刷を実行することで、印刷ミスを未然に防止でき、印刷ミスで用紙を無駄にすることを防ぐことができる。
さらに、操作パネルからの操作によって用紙上に投影した印刷プレビュー画像の投影位置を簡単に調整することができる。
また、用紙上に投影した印刷プレビュー画像の位置を確認しながら、操作パネルによって投影位置を調整し、その調整結果を印刷時の画像データにも反映させるので、調整した結果通りの印刷画像が得られ、簡単な調整で印刷ミスを未然に防止でき、印刷ミスで用紙を無駄にすることを防ぐことができる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
この発明による印刷装置と画像投影方法と印刷方法は、ファクシミリ装置、プリンタ、コピー機、MFPを含む印刷機能を備えた装置全般に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】この発明の一実施例であるプリンタの機能構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の印刷装置の一実施例であるプリンタの外観斜視図である。
【図3】図1に示すホスト装置のディスプレイ上における印刷プレビュー画像の表示例の図である。
【図4】印刷用紙の一例を示す図である。
【図5】図1に示すメイン制御部のCPUにおける印刷プレビュー画像を用紙に投影する時の処理を示すフローチャート図である。
【0037】
【図6】図1に示す操作パネル上に表示される操作画面の一例を示す図である。
【図7】図1に示す操作パネル制御部のCPUにおける印刷プレビュー画像の投影位置調整作業実施時の処理を示すフローチャート図である。
【図8】図1に示すメイン制御部のCPUにおける印刷プレビュー画像の投影位置調整作業実施時の処理を示すフローチャート図である。
【図9】図1に示すプロジェクタ制御部のCPUにおける印刷プレビュー画像の投影位置調整作業実施時の処理を示すフローチャート図である。
【図10】図1に示すプロジェクタからの投影画像の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0038】
1:プリンタ 2:ホスト装置 10:メイン制御部 11:プロジェクタ制御部 12:プロジェクタ 13:操作パネル制御部 14:操作パネル 15:インクヘッド部 20:ホストインタフェース部 21:インクヘッドコントロール部 22,32,34:RAM 23:画像処理部 24,33,35:CPU 30:LCD 31:タッチセンサ 40:給紙トレイ 41:ガイド 42:用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から入力された画像データに基づく画像を用紙上に印刷する印刷手段を備えた印刷装置において、
前記画像データに対応する印刷プレビュー画像データを入力するデータ入力手段と、
該データ入力手段によって入力された印刷プレビュー画像データに基づく印刷プレビュー画像を前記用紙上に投影する画像投影手段と、
前記印刷プレビュー画像データに基づく印刷プレビュー画像が前記用紙と同じ大きさで前記用紙上に表示されるように、前記画像投影手段による投影を制御する投影制御手段とを設けたことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記用紙上に投影された印刷プレビュー画像の形状が前記用紙の形状に合致するように、前記印刷プレビュー画像データを補正する形状補正手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項3】
前記画像投影手段を、前記用紙に画像を印刷するときの前記用紙の搬送方向に沿った前記用紙の側面側から前記映像を投影する位置に配置したことを特徴とする請求項2記載の印刷装置。
【請求項4】
前記画像投影手段によって前記用紙上に投影した印刷プレビュー画像の移動方向と移動量を指示する指示手段と、該指示手段によって指示された移動方向の移動量に基づいて前記印刷プレビュー画像の投影位置の移動方向の移動量を求める移動量計算手段と、該移動量計算手段によって求められた移動方向の移動量に基づいて前記画像投影手段による印刷プレビュー画像の投影を前記指示された移動方向へ前記求められた移動量だけ移動させて投影する投影位置移動手段とを設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記印刷手段によって前記印刷プレビュー画像に対応する画像データに基づく画像を印刷するとき、前記用紙に対する前記画像データに基づく画像の印刷位置を前記求められた移動方向の移動量に基づいて調整する手段を設けたことを特徴とする請求項4記載の印刷装置。
【請求項6】
前記画像投影手段によって投影された印刷プレビュー画像の投影位置に前記用紙を設置させる設置ガイド部材を設けたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項7】
外部から印刷プレビュー画像データを入力するデータ入力工程と、該データ入力工程によって入力された印刷プレビュー画像データに基づいて、用紙上に該用紙と同じ大きさの印刷プレビュー画像を投影する画像投影工程とからなることを特徴とする画像投影方法。
【請求項8】
前記用紙上に投影された印刷プレビュー画像の形状が前記用紙の形状に合致するように、前記印刷プレビュー画像データを補正する形状補正工程を設けたことを特徴とする請求項7記載の画像投影方法。
【請求項9】
前記用紙上に投影した印刷プレビュー画像の移動方向と移動量を指示する指示工程と、該指示工程によって指示された移動方向の移動量に基づいて前記印刷プレビュー画像の投影位置の移動方向の移動量を求める移動量計算工程と、該移動量計算工程によって求められた移動方向の移動量に基づいて前記印刷プレビュー画像の投影を前記指示された移動方向へ前記求められた移動量だけ移動させて投影する投影位置移動工程とを設けたことを特徴とする請求項7又は8に記載の画像投影方法。
【請求項10】
請求項9記載の画像投影方法で投影した印刷プレビュー画像に対応する画像データに基づく画像を印刷する印刷方法であって、前記用紙に対する前記画像データに基づく画像の印刷位置を前記求められた移動方向の移動量に基づいて調整することを特徴とする印刷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−34829(P2009−34829A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−198779(P2007−198779)
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】