説明

印刷電子機器

少なくとも1つの面上に官能化グラフェンシートおよび少なくとも1種のバインダを含む電気伝導性インクの層が適用されている基材を含む、印刷電子デバイス。印刷電子デバイスを形成する方法がさらに開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷電子デバイスおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、米国科学財団によって授与された、助成金番号CMS-0609049の下で、およびNASAによって授与された、助成金番号NCC1-02037の下で、政府支援によってなされた。政府は本発明に一定の権利を有する。
【0003】
印刷電子機器は、携帯用電子機器、看板、照明、製品識別、パッケージ用のフレキシブル電子デバイス(例えば、回転または屈曲可能であるもの)、光起電デバイス、医療および診断デバイス、アンテナ(RFIDアンテナを含む)、ディスプレイ、センサ、薄膜電池、電極およびその他多数を含めた多種多様な用途において、ますます使用が増大しつつある。印刷電子機器は、サブトラクティブ法を含めた他の方法を用いて作製される電子機器より多くの種々の利点を有する。印刷は、通常のサブトラクティブ法(例えば、エッチング)よりも速くなることができ、また、このような方法における場合よりも生成される廃棄物を少なくし、有害な化学薬品の使用を少なくすることができる。得られる電子機器は、使用の間に回転され、捻られ、屈曲されるように、または他の歪曲に付されるように設計されるフレキシブルデバイス、例えばディスプレイにおいて、より容易に用いることができる。
【0004】
印刷電子機器は、電気伝導性金属系インクを用いて基材に電子回路または他の部品もしくはデバイスを印刷することによって典型的には作製される。インクは、典型的には銀粒子、ならびにある場合には銅粒子、他の金属粒子、および/または導電性ポリマーを含有する。しかし、導電性ポリマーのみでは一般には十分に電気伝導性ではない。さらに、得られる印刷された金属回路は、該回路が使用の間に屈曲および/または伸長によって規則的に応力が加えられるデバイスを含めた殆どの用途において効果的であるには通常は電気伝導性が不十分である。したがって、所望のレベルの電気伝導度を達成するためには、印刷された基材を、多くの場合、高温で加熱して、導電性金属粒子を焼結しなければならない。焼結プロセスに用いられる温度は、電子機器の調製に関して、選択され得る基材を頻繁に制限する。例えば、多くの用途において、印刷電子機器用基材として、例えば、紙、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン)などの安価な材料を用いることが望ましいが、多くの場合に必要とされる焼結温度は高すぎるため、紙と一緒に用いることができない。
【0005】
さらに、銀は費用がかかり、他の高価でない金属は、環境に曝されるときに酸化物を形成する可能性があり、材料を用途に不十分な導電性にする可能性がある。加えて、金属系インクの使用は得られるデバイスに重量を付加する可能性があり、上記焼結プロセスが、製造プロセスに1つまたは複数の追加のステップ、時間、および複雑さを付加する可能性がある。したがって、費用がかかる高価な金属を含有せず、重量がより低く、焼結を必要とせずに十分に電気伝導性になり、紙、およびポリエチレンなどのポリオレフィンを含めたより広範囲の基材材料において用いられ得るインクを用いた、印刷電子デバイスを得ることが望ましいであろう。
【0006】
US7,097,788には、その中に配向粒子を含むインクの伝導度を増大させる方法が開示されている。US7,163,734には、素子ならびに電気または半導体デバイスにおける電子回路素子として好適である有機ポリマー電気伝導性層をパターン形成する方法が記載されている。US2006/0124922には、有機半導体トランジスタ用電極を形成するのに用いられる電気伝導性インクが開示されている。WO2004/006635には、電気伝導性インクを用いて印刷する方法が開示されている。WO2006/108165には、金属微粒子、ポリマー塩基、溶媒を含有する導電性インク、および導電性充填剤を含有するナノチューブが開示されている。WO2006/137666には、基材上に電気伝導性インクを印刷することによって形成されるアンテナラジエータを有するアンテナが開示されている。WO2007/053621には、電気流体力学的印刷および製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第7,097,788号明細書
【特許文献2】米国特許第7,163,734号明細書
【特許文献3】米国特許出願第2006/0124922号明細書
【特許文献4】国際公開第2004/006635号
【特許文献5】国際公開第2006/108165号
【特許文献6】国際公開第2006/137666号
【特許文献7】国際公開第2007/053621号
【特許文献8】米国特許出願第2007/0092432号明細書
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Staudenmaier、L. Ber. Stsch. Chem. Ges. 1898年、31、1481頁
【非特許文献2】Schniepp、H.C.、J. Phys. Chem. B. 2006年、110、8535〜8539頁
【非特許文献3】McAllister、M.J.、Chem. Materials 2007年、19、4396〜4404頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書において開示され、特許請求の範囲に記載されるのは、少なくとも1つの面を含む基材を備えた印刷電子デバイスであって、電気伝導性インクの層が該面の一部に適用されており、該インクが、官能化グラフェンシートおよび少なくとも1種のバインダを含む、印刷電子デバイスである。本明細書においてさらに開示され、特許請求の範囲に記載されるのは、印刷電子デバイスを形成する方法である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】ポリ(エチレンオキシド)内に組み込まれた官能化グラフェンシートを含むインクから印刷された、電気伝導性ラインの光学顕微鏡画像である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書において使用される用語「電気伝導性インク」は、液体に懸濁および/または溶解した電気伝導性材料を含む材料、ならびに液体を殆どまたは全く含有しない実質的に固体形態のペーストおよび材料を包含する。電気伝導性インクは、流動性、粘性、固体状、粉末状などであってよい。用語「インク」は、基材への適用に好適である形態のインク、ならびに任意の適用後処理(例えば、蒸発、架橋、硬化など)の前後両方で基材に適用された後の材料を称するのに用いる。
【0012】
本発明の印刷電子デバイス(本明細書において、「印刷電子機器」とも称する)は、完全な装置、デバイスのパーツまたは部分要素、電子部品などの形態であってよい。該デバイスは、高表面積の官能化グラフェンシートおよび少なくとも1種のバインダを含む電気伝導性インクの層が、少なくとも1つの面上に適用されている基材を含む。
【0013】
印刷電子機器は、所望の電子デバイスを達成するために設計された電気伝導性経路を含むパターンにおいて、インクを基材に適用することによって調製される。該経路は、固体状、殆ど固体状、液状またはゲル形態などであってよい。インクは、バインダ以外の担体をさらに場合により含んでよい。インクが基材に適用されたとき、担体の全部または一部が除去されて、電気伝導性経路を形成することもできる。バインダは、インクが基材に適用された後に、硬化または架橋されてよい。
【0014】
基材へのインクの適用から形成される印刷電子デバイスは、場合により焼結され、または他の場合には硬化されてよく、結果として、伝導する粒子間の直接結合の形成をもたらすことができ、これにより、伝導経路の数の増大をもたらすことができる。本発明の一実施形態において、インクから形成されるデバイスの全部または一部は焼結されておらず、かつ/または別の場合には硬化されていない。
【0015】
印刷電子デバイスを調製するために、シリンジ、スプレーコーティング、エレクトロスプレー堆積、インクジェット印刷、スピンコーティング、熱転写(レーザー転写を含む)法、スクリーン印刷、回転スクリーン印刷、グラビア印刷、毛管印刷、オフセット印刷、電気流体力学(EHD)印刷(その方法は、WO2007/053621に記載されており、参照により本明細書にこれにより組み入れられる)、フレキソ印刷、パッド印刷、スタンピング、ゼログラフィ、ミクロ接触印刷、ディップペンナノリソグラフィ、レーザー印刷、ペンまたは同様の手段による方法などを含めた任意の好適な方法を用いて、インクを基材に適用することができるが、これらに限定されるものではない。
【0016】
基材は、例えば、熱可塑性および熱硬化性ポリマーを含めたポリマー;パルプ製品、例えば、紙およびボール紙(コーティングされた材料およびコーティングされていない材料を含む);合成紙;織物(生地を含む)および布地;金属;木材;ガラスおよび他の無機物;シリコンおよび他の半導体;セラミック;種々の材料から作製された積層体などを含めた任意の好適な材料であってよい。
【0017】
ポリマーの例として、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなど);ポリイミド;ポリエステル(例えば、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(エチレンナフタレート)、液晶ポリエステルなど);ポリアミド(ポリテレフタルアミドを含む);アラミド(例えば、Kevlar(登録商標)およびNomex(登録商標));フルオロポリマー(例えば、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ(ビニルフルオライド)、ポリ(フッ化ビニリデン)など);ポリエーテルイミド;ポリ(ビニルクロライド);ポリ(塩化ビニリデン);ポリウレタン;セルロース系ポリマー;SAN;ABS;ポリカーボネート;ポリアクリレート;熱硬化性エポキシおよびポリウレタン;ならびにエラストマー(熱可塑性プラスチックおよび熱硬化性樹脂を含み、ゴム(例えば、天然ゴム)およびシリコンを含む)が挙げられる。
【0018】
本明細書において「FGS」とも称される、高表面積の官能化グラフェンシートは、約300〜約2630m2/gの表面積を有するグラファイトシートである。本発明のいくつかの実施形態において、FGSは、全て剥離された、グラファイトの単一のシート(多くの場合「グラフェン」と称する)を主に、殆ど完全に、または完全に含むが、他の実施形態では、それらは、2シート以上のグラファイトが互いに剥離されていない、部分的に剥離されたグラファイトシートを含んでよい。FGSは、全ておよび部分的に剥離されたグラファイトシートの混合物を含んでよい。
【0019】
グラフェンシートを得る一方法は、グラファイトおよび/またはグラファイト酸化物(黒鉛酸またはグラフェン酸化物としても公知である)に由来する。グラファイトを、酸化および挿入剤により処理し、剥離することができる。また、グラファイトを、挿入剤により処理し、電気化学的に酸化させ、剥離することもできる。グラフェンシートを、グラファイトおよび/またはグラファイト酸化物の液体懸濁液を超音波により剥離することによって形成することができる。剥離されたグラファイト酸化物の分散液または懸濁液を後に還元してグラフェンシートにすることができる。また、グラフェンシートを、グラファイトまたはグラファイト酸化物(これは、後に、グラフェンシートに還元することができる)を剥離する機械的処理(例えば、粉砕または破砕)によって形成することもできる。
【0020】
グラファイト酸化物のグラフェンへの還元は、水素ガスまたは他の還元剤を用いた化学的還元によるものであってよい。有用な化学的還元剤の例として、ヒドラジン(例えば、ヒドラジン、N,N-ジメチルヒドラジン)、水素化ホウ素ナトリウム、ハイドロキノンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。例えば、担体(例えば、水、有機溶媒、または溶媒の混合物)中の剥離されたグラファイト酸化物の分散液は、任意の好適な方法(例えば、超音波処理および/または機械的粉砕もしくは破砕)を用いて作製され、グラフェンシートに還元され得る。
【0021】
好ましい方法では、その開示内容が参照により本明細書にこれにより組み入れられるUS2007/0092432に開示されているように、グラファイトをグラファイト酸化物に酸化し、次いで熱的に剥離して、熱的に剥離されたグラファイト酸化物の形態である高表面積のFGSを形成する。このように形成された熱的に剥離されたグラファイト酸化物は、X-線または電子回折パターンにおいて、グラファイトまたはグラファイト酸化物に相当するサインを殆どまたは全く表示しない。
【0022】
グラファイト酸化物は、当該技術分野において公知の任意の方法、例えば、1種または複数の化学的酸化剤、および場合により硫酸などの挿入剤を用いたグラファイトの酸化を含むプロセスによって製造され得る。酸化剤の例として、硝酸、硝酸ナトリウムおよびカリウム、過塩素酸塩、過酸化水素、過マンガン酸ナトリウムおよびカリウム、五酸化リン、亜硫酸水素塩などが挙げられる。好ましい酸化剤として、KClO4;HNO3およびKClO3;KMnO4および/またはNaMnO4;KMnO4およびNaNO3;K2S2O8およびP2O5およびKMnO4;KMnO4およびHNO3;ならびにHNO3が挙げられる。好ましい挿入剤として、硫酸が挙げられる。また、グラファイトは、挿入剤で処理されて、電気化学的に酸化されてもよい。
【0023】
グラファイト酸化物の剥離を含めた剥離を、少なくとも220℃以上の温度、好ましくは220〜3000℃の温度で実施することが好ましい。
【0024】
本発明に用いられるFGSは、好ましくは約300〜約2630m2/g、またはより好ましくは約350〜約2400m2/g、またはなおより好ましくは約400〜約2400m2/g、またはさらに好ましくは約500〜約2400m2/gの表面積を有する。別の好ましい実施形態において、表面積は、約300〜約1100m2/gである。単一のグラファイトシートは、2630m2/gの最大表面積計算値を有する。表面積は、400、500、600、700、800、900、100、110、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200、2300、2400、および2500m2/gを特に含めたこれらの間の全ての値およびサブ値を含む。
【0025】
表面積は、窒素吸着/BET法、または好ましくは、メチレンブルー(MB)染色法のいずれかを用いて測定され得る。
【0026】
該染色法は、以下のように実施される。既知量のFGSをフラスコに添加する。次いで、FGSのグラムあたり少なくとも1.5gのMBをフラスコに添加する。フラスコにエタノールを添加して混合物を約15分間超音波処理する。次いでエタノールを蒸発させて既知量の水をフラスコに添加し、遊離MBを再溶解させる。好ましくはサンプルを遠心分離することによって、溶解していない材料を定着させる。溶液中のMBの濃度を、UV-可視分光法を用いて、λmax=298nmの吸光度を基準濃度の吸光度に対して測定することによって決定する。
【0027】
UV-可視分光光度法によって測定される、初めに添加されたMBの量と溶液中に存在する量との差は、FGSの面上に吸着されているMBの量であると推定される。次いで、吸着されたMBの1mgにつき被覆された面の値が2.54m2であることを用いてFGSの表面積を計算する。
【0028】
FGSは、約40〜約0.1kg/m3のかさ密度を好ましくは有する。かさ密度は、0.5、1、5、10、15、20、25、30、35kg/m3を特に含めたこれらの間の全ての値およびサブ値を含む。
【0029】
FGSは、元素分析によって測定される炭素対酸素のモル比(C:O比)、少なくとも約1:1、より好ましくは、少なくとも約3:2を典型的には有する。炭素対酸素比の例として、約3:2〜約85:15;約3:2〜約20:1;約3:2〜約30:1;約3:2〜約40:1;約3:2〜約60:1;約3:2〜約80:1;約3:2〜約100:1;約3:2〜約200:1;約3:2〜約500:1;約3:2〜約1000:1;約3:2〜1000:1超;約10:1〜約30:1;約80:1〜約100:1;約20:1〜約100:1;約20:1〜約500:1;約20:1〜約1000:1が挙げられる。本発明のいくつかの実施形態において、炭素対酸素比は、少なくとも約10:1、または少なくとも約20:1、または少なくとも約35:1、または少なくとも約50:1、または少なくとも約75:1、または少なくとも約100:1、または少なくとも約200:1、または少なくとも約300:1、または少なくとも約400:1、または少なくとも500:1、または少なくとも約750:1、または少なくとも約1000:1である。
【0030】
炭素対酸素比はまた、これらの範囲の間の全ての値およびサブ値も含む。
【0031】
本明細書に用いられるインクは、官能化グラフェンシート以外のさらなる電気伝導性成分、例えば金属(金属合金を含む)、導電性金属酸化物、ポリマー、高表面積の官能化グラフェンシート以外の炭素質材料、および金属コーティングした材料を場合により含有していてよい。これらの成分は、粒子、粉末、フレーク、箔、針状などを含めた種々の形態をとることができる。
【0032】
金属の例として、銀、銅、アルミニウム、白金、パラジウム、ニッケル、クロム、金、青銅などが挙げられる。金属酸化物の例として、酸化アンチモンスズおよび酸化インジウムスズ、ならびに金属酸化物でコーティングされた充填剤などの材料が挙げられるが、これらに限定されるものではない。金属および金属酸化物でコーティングした材料として、金属コーティングした炭素およびグラファイト繊維、金属コーティングしたガラス繊維、金属コーティングしたガラスビーズ、金属コーティングしたセラミック材料(例えばビーズ)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの材料は、ニッケルを含めた種々の金属によってコーティングされていてよい。
【0033】
電気伝導性ポリマーの例として、ポリアセチレン、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリアニリン、ポリピロールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0034】
高表面積の官能化グラフェンシート以外の炭素質材料の例として、カーボンブラック、グラファイト、カーボンナノチューブ、気相成長炭素ナノ繊維、炭素繊維、金属コーティングした炭素繊維などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0035】
好ましいバインダは、ポリマーバインダである。ポリマーバインダは、熱可塑性であっても熱硬化性であってもよく、エラストマーであってもよい。バインダはまた、基材へのインクの適用の前、間、または後に重合され得るモノマーを含んでいてもよい。ポリマーバインダは、インクが基材に適用された後に架橋または他の場合には硬化され得る。好ましいポリマーバインダの例として、ポリエーテル、例えばポリ(エチレンオキシド)(ポリ(エチレングリコール)としても公知である)、ポリ(プロピレンオキシド)(ポリ(プロピレングリコール)としても公知である)、エチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマー、セルロース系樹脂(例えば、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネートおよびセルロースアセテートブチレート)、およびポリ(ビニルブチラール)、ポリビニルアルコールおよびその誘導体、エチレン/酢酸ビニルポリマー、アクリルポリマーおよびコポリマー、スチレン/アクリルコポリマー、スチレン/無水マレイン酸コポリマー、イソブチレン/無水マレイン酸コポリマー、酢酸ビニル/エチレンコポリマー、エチレン/アクリル酸コポリマー、ポリオレフィン、ポリスチレン、オレフィンおよびスチレンコポリマー、エポキシ樹脂、アクリルラテックスポリマー、ポリエステルアクリレートオリゴマーおよびポリマー、ポリエステルジオールジアクリレートポリマー、UV-硬化性樹脂、ならびに約120〜255℃の間の融点を有するポリアミドポリマーおよびコポリマー(すなわち、少なくとも2個の異なる繰り返し単位を有するポリアミド)(例えば、Henkel社によって商品名Macromelt、およびCognis社によって商品名Versamidで販売されているもの)を含めたポリアミドが挙げられる。
【0036】
インクは、成分の一部または全てが溶解、懸濁、または他の場合には分散もしくは保持されている1種または複数の担体を場合により含んでいてよい。好適な担体の例として、水、蒸留または合成イソパラフィン系炭化水素(例えば、Isopar(登録商標)、Norpar(登録商標)(両方ともExxon社製)およびDowanol(登録商標)(Dow社製)、柑橘系テルペンおよび柑橘系テルペンを含有する混合物(例えば、Purogen、Electron、およびPositron(全てPurogen社製))、リモネン、脂肪族系石油蒸留物、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、i-プロパノール、n-ブタノール、i-ブタノール、sec-ブタノール、tert-ブタノール、ジアセトンアルコール、ブチルグリコールなど)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、i-ブチルケトン、2,6,8,トリメチル-4-ノナノンなど)、エステル(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸i-プロピル、酢酸n-ブチル、酢酸i-ブチル、酢酸カルビトールなど)、グリコールエーテル(例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルおよび他のプロピレングリコールエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルおよび他のエチレングリコールエーテル、エチレンおよびプロピレングリコールエーテルアセテート)、N-メチル-2-ピロリジン、ならびに上記の2種以上の混合物および上記の1種または複数と他の担体との混合物が挙げられる。好ましい溶媒として、低-または非-VOC溶媒、無害な空気汚染溶媒、および非ハロゲン化溶媒が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0037】
インクは、1種または複数のさらなる添加物、例えば分散助剤(界面活性剤、乳化剤および湿潤助剤を含む)、接着促進剤、増粘剤(クレーを含む)、消泡剤および泡止め剤、殺生物剤、さらなる充填剤、流動促進剤、安定化剤、架橋剤および硬化剤などを場合により含んでいてよい。本発明の一実施形態において、界面活性剤は、少なくとも1種のエチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマーである。
【0038】
インクはまた、1種または複数のプレポリマー、オリゴマー、光開始剤およびさらなる添加物を場合により含んで、UV、電子線または赤外線放射による硬化を可能にしてもよい。
【0039】
分散助剤の例として、グリコールエーテル(例えば、ポリ(エチレンオキシド)、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシド由来のブロックコポリマー(例えば、BASFによって商品名Pluronic(登録商標)で販売されているもの)、アセチレンジオール(例えば、2,5,8,11-テトラメチル-6-ドデシン-5,8-ジオールエトキシレート、ならびに商品名Surfynol(登録商標)およびDynol(登録商標)でAir Products社によって販売されている他のもの)、カルボン酸の塩(アルカリ金属およびアンモニウム塩を含む)、ならびにポリシロキサンが挙げられる。
【0040】
粉砕助剤の例として、ステアリン酸塩(例えばAl、Ca、Mg、およびZnのステアリン酸塩)およびアセチレンジオール(例えば、商品名Surfynol(登録商標)およびDynol(登録商標)でAir Products社によって販売されているもの)が挙げられる。
【0041】
接着促進剤の例として、チタンキレートおよび他のチタン化合物、例えばリン酸チタン錯体(ブチルリン酸チタンを含む)、チタン酸エステル、ジイソプロポキシチタンビス(エチル-3-オキソブタノエート)、イソプロポキシチタンアセチルアセトネート、および商品名VertecでJohnson-Matthey Catalysts社によって販売されているものが挙げられる。
【0042】
増粘剤の例として、グリコールエーテル(例えば、ポリ(エチレンオキシド)、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシド由来のブロックコポリマー(例えば、商品名Pluronic(登録商標)でBASF社によって販売されているもの)が挙げられる。
【0043】
インクは、電気伝導性であり、少なくとも約10-8S/cmの伝導度を好ましくは有する。本発明の一実施形態において、インクから作製された印刷電子デバイスの部品が、半導体として用いられるとき、該部品は、約10-8S/cm〜約103S/cm、またはより好ましくは約10-7S/cm〜約103S/cmの伝導度を好ましくは有する。本発明の別の実施形態において、インクは、少なくとも約102S/cm、またはより好ましくは少なくとも約103S/cm、またはなおより好ましくは少なくとも約104S/cmの伝導度を好ましくは有する。インクの伝導度は、インクが基材に適用されて任意の適用後処理(例えば、蒸発、硬化、架橋など)に付された後に決定される。
【0044】
FGSは、インクの全重量を基準にして少なくとも約0.01重量%でインク中に好ましくは存在する。本発明の一実施形態において、FGSは、少なくとも約0.01重量%、またはより好ましくは少なくとも約0.05重量%、またはさらにより好ましくは少なくとも約0.1重量%、またはなおより好ましくは少なくとも約0.5重量%、またはなおより好ましくは少なくとも約1重量%の量でインク中に好ましくは存在し、ここで、重量百分率は、インクが基材に適用されて任意の適用後処理(例えば、蒸発、硬化、架橋など)に付された後のインクの全重量を基準とする。しかし、当業者によって認識され得るように、インク中に存在するFGSの量は、所望の電気伝導度ならびに選択される特定のバインダおよび場合による他の成分に基づいて選択されてよい。
【0045】
インクは十分量のFGSを好ましくは含有して、インクが、FGSを除いた対象となるインクの各成分を含む対応する材料の電気伝導度を超える電気伝導度を有するようにする。
【0046】
インクは、湿式または乾式方法、ならびにバッチ、半連続および連続方法を含めた任意の好適な方法を用いて作製され得る。
【0047】
例えば、インクの成分、例えば、官能化グラフェンシート、バインダ、担体、および/または他の成分の2種以上を、以下を含めた好適な混合、分散および/または配合技術および装置を用いることによってブレンドすることができる:超音波装置、高剪断ミキサー、2ロールミル、3ロールミル、低温粉砕機、押出機、混練機、ダブル遊星連動ミキサー、トリプル遊星連動ミキサー、高圧ホモジナイザ、ボールミル、摩耗装置、サンドミル、ならびに水平および垂直の湿式粉砕ミルなど。
【0048】
得られたブレンドは、湿式または乾式粉砕技術を用いてさらに処理されてよい。該技術は、連続であっても非連続であってもよい。例として、ボールミル、摩耗装置、サンドミル、ならびに水平および垂直の湿式粉砕ミルが挙げられる。粉砕媒体としての使用に好適な材料として、金属、炭素鋼、ステンレス鋼、セラミック、安定化セラミック媒体(例えば、イットリウム安定化酸化ジルコニウム)、PTFE、ガラス、炭化タングステンなどが挙げられる。
【0049】
ブレンドおよび/または粉砕ステップの後に、増粘剤、粘度調整剤などのさらなる成分をインクに添加してもよいが、これらに限定されるものではない。インクはまた、さらなる担体の添加によって希釈されてもよい。
【0050】
インクは、基材に印刷された後、以下を含めた任意の好適な技術を用いて硬化されてよい:乾燥およびオーブン乾燥(空気中または別の不活性もしくは活性雰囲気において)、UV硬化、IR硬化、マイクロ波硬化または乾燥など。
【0051】
本発明の印刷電子デバイスは、種々の形態を呈することができる。これらは、複数層の電子部品(例えば、回路)および/または基材を含有していてよい。印刷された層の全てまたは一部は、別の材料、例えば、カバーコート、ワニス、カバー層、カバー膜、誘電体コーティング、電解液、および他の電気伝導性材料などで被覆またはコーティングされていてよい。基材と印刷回路との間に1種または複数の材料が存在していてもよい。層は、半導体、金属箔、および誘電材料を含んでいてよい。
【0052】
印刷電子機器は、さらなる部品、例えば、プロセッサ、メモリーチップ、他のマイクロチップ、バッテリー、レジスタ、ダイオード、コンデンサ、トランジスタなどをさらに含んでいてよい。
【0053】
印刷電子デバイスは、広範囲の形態を呈することができ、数々の用途に用いることができる。例として、受動および能動デバイスならびに受動および能動部品;電気および電子回路、集積回路;フレキシブル印刷回路板;トランジスタ;電界効果トランジスタ;微小電気機械システム(MEMS)デバイス;マイクロ波回路;アンテナ;インジケータ;チップレスタグ(例えば、ストア、ライブラリなどからの窃盗阻止);スマートカード;センサ;液晶ディスプレイ(LCD);看板;照明;フラットパネルディスプレイ;発光ダイオード、有機発光ダイオード、およびポリマー発光ダイオードディスプレイを含めたフレキシブルディスプレイ;ディスプレイ用のバックプレーンおよびフロントプレーン;エレクトロルミネッセンスおよびOLEO照明;光起電デバイス-バックプレーン;製品識別チップおよびデバイス;薄膜電池を含めたバッテリー;電極;インジケータ;携帯用電子デバイスにおける印刷回路(例えば、携帯電話、コンピュータ、携帯情報端末、全地球測位システムデバイス、音楽プレイヤ、ゲーム、計算機など);電子デバイス(例えば、携帯電話、携帯用コンピュータ、折りたたみ式キーボードなど)におけるヒンジまたは他の可動/屈曲接合によってなる電子接続;ウェアラブル電子機器;ならびに乗物、医療デバイス、診断デバイス、器具などにおける回路が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0054】
好ましい電子デバイスは、無線周波数識別(RFID)デバイスおよび/もしくはその部品ならびに/または無線周波数通信デバイスである。例として、限定されないが、RFIDタグ、チップ、およびアンテナが挙げられる。RFIDデバイスは、約868〜約928MHzの範囲内の周波数で典型的には作動する、極超短波RFIDデバイスであってよい。RFIDの使用の例は、追跡輸送コンテナ、ストアにおける製品、流通における製品、および製造プロセスに用いられるパーツ;パスポート;バーコード交換用途;在庫管理用途;ペット識別;家畜管理;非接触スマートカード;自動車のキーホルダなどのためのものである。
【0055】
(実施例)
≪実施例1〜3および比較例1の一般的詳細≫
グラファイト酸化物を、硫酸、硝酸、および塩素酸カリウムによる処理によってグラファイトから調製し、次いで熱的に剥離して非特許文献1ないし3に開示されている方法にしたがってFGSを形成する。
【0056】
インクを以下のように調製する。十分量のポリ(エチレンオキシド)(PEO)をエタノールおよび脱イオン水の1:1体積/体積混合物と混合し、全溶媒1mLあたり40mgのPEOを含有する混合物を製造することによって、PEO溶液を調製する。一晩撹拌した後、均一なPEOストック溶液を得る。
【0057】
FGSを秤量して、FGSに、十分量の濃縮された水性Pluronic(登録商標)F127(BASFによって供給されるエチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマー界面活性剤)溶液(典型的には2mg/mL)を添加して、FGSとPluronic F127との重量比が1:1である混合物を得る。十分な脱イオン水を添加して、水1mlあたり1mgのFGSを含有する懸濁液を生成する。得られた懸濁液を氷浴中20%のデューティサイクルで5分間音波処理する。次いで、1mLのFGS懸濁液を3mLのPEOストック溶液に添加して、混合物を均一になるまで3〜5分間撹拌する。
【0058】
(実施例1)
インクを4,000,000の分子量を有するPEOを用いて上記のように調製する。インクをWO2007/053621に開示されている方法を用いてガラス基材上に電気流体力学的に印刷する。印刷を、0.5mL/hrの流量で、7.2mm離れている電極間の2200kVの電位差の下に実施する。ラインの幅は約43μmである。図1は、一連の平行な印刷ラインの光学顕微鏡画像である。
【0059】
銅テープをラインの長さに対して垂直なラインに貼り付ける。電源(Tektronix PS 252G Programmable Power Supply、Tektronix Inc.、Beaverton、OR)およびマルチメータ(Fluke 27 Multimeter、Fluke Corp.、Everett、WA)を、銅テープを介して、印刷されたものと直列に取り付ける。電位差(5〜20V)を印加し、マルチメータによって電流をモニターする。2個の電極を有する電位計(Keithley 6514、Keithley Instruments Inc.、Cleveland、OH)を用いて、電流の方向に沿って2点間での電位差を測定する。電位差を膜において測定し、電流を用いて、オームの法則、すなわち、R=V/I(式中、R、V、およびIは、それぞれ、抵抗値、電圧、および電流である)を用いて抵抗値を求める。抵抗率(σ)を、σ=RA/L(式中、AおよびLは、電流が流れる膜の断面積、および電位差が測定される長さである)によって求める。伝導度(κ)を、κ=1/σによって求める。得られた伝導度は、約0.05S/mである。
【0060】
(実施例2)
インクを4,000,000の分子量を有するPEOを用いて上記のように調製する。インクをWO2007/053621に開示されている方法を用いてガラス基材上に電気流体力学的に印刷する。印刷を、0.5mL/hrの流量で、7.2mm離れている電極間の2200kVの電位差の下に実施する。ラインの幅は約130μmである。
【0061】
以下のようにして、インクから膜を形成する:2枚の銅板(22mm×22mm)を、下端の1mmでは銅が被覆されていない状態にして、Teflonテープでラッピングする。次いで該板を、Teflonセル(内側のベース領域:23mm×46mm、高さ:32mm)の短い方の側壁に、ねじを用いて堅く取り付ける。混合物をTeflonセル内に注入し、全ての溶媒を蒸発させるまでホットプレート上で50℃に保ち、銅板に取り付けられた膜を形成する。
【0062】
銅テープを膜の2つの端で互いに平行に取り付け、該テープが膜の全幅を被覆するようにする。膜の電気伝導度を実施例1について上記したように銅テープを横切って測定する。測定された伝導度は約12.4S/mである。
【0063】
(比較例1)
FGSをカーボンブラック(Cabot Corp社供給)に置き換え、300,000の分子量を有するPEOを用いて、上記のようにインクを調製する。インクをWO2007/053621に開示されている方法を用いてガラス基材上に電気流体力学的に印刷する。印刷を、0.5mL/hrの流量で、7.2mm離れている電極間の2200kVの電位差の下に実施する。ラインの幅は約130μmである。
【0064】
実施例2について上記したように、インクから膜を形成し、その電気伝導度を測定する。結果は、約1.3×10-8S/mである。
【0065】
(実施例3)
インクを4,000,000の分子量を有するPEOを用いて上記のように調製する。インクをWO2007/053621に開示されている方法を用いてガラス基材上に電気流体力学的に印刷する。印刷を、0.5mL/hrの流量で、7.2mm離れている電極間の2200kVの電位差の下に実施する。ラインの幅は約140μmであり、厚さは約300nmである。印刷ラインは、約19.6S/mの電気伝導度を有する。
【0066】
≪実施例4〜14の一般的詳細≫
[テストサンプルの調製]
液状分散液の形態のインクを、ドクターブレードを用いて基材上に印刷し、次いで空気中、オーブンにおいて125℃で乾燥させて、膜を形成する。印刷された膜において試験を実施する。
【0067】
[電気伝導度]
約1インチ離れた、膜の面に適用された、約0.3mmの直径を有する銀ペーストの2スポットからなる接触点を横切って、標準のマルチメータを用いて膜の2点間の抵抗率(オーム)を測定する。また、標準のマルチメータを用いて、これらの点を横切った抵抗値も測定し、読み取り値を10で割ることによって、抵抗率をΩ/squareで算出する。単一の数として与えられる結果は、いくつかの測定値の平均であり、数字の範囲として与えられる結果は、いくつかの測定値からの高い読み取り値および低い読み取り値を示す。
【0068】
[耐剥離性]
指の爪を膜の面を横切って前後に5回引く。引っかかれた膜の面および爪の先端を調査して、膜の耐剥離性を以下のように評価する。優良とは、膜面から爪への目立った移動がないことである;非常に良好とは、膜面から爪への最小限の移動があるが、膜の面に目立った圧痕はないことである;良好とは、膜面にいくらかの圧痕があることである;やや不良とは、膜の実質的に一部分が除去されていることである;そして、不良とは、基材が見えることである。基材に付着する粘性膜が形成されていない場合がある。
【0069】
[耐スクラッチ性]
指の爪を膜の面を横切って引く。膜および爪の先端を視覚的に検査する。耐スクラッチ性を以下のように評価する。指の爪への膜材料の移動なし=優良;約10%の移動=非常に良好;約20%の移動=良好/非常に良好;約30%の移動=良好;約40%の移動=やや不良/良好;約50%の移動=やや不良;約65%の移動=不良/やや不良;約85%の移動=不良;約100%の移動(基材を全て見ることができ、印刷された材料の残りはほんの僅かから全くないの間である)=非常に不良。
【0070】
[インク調製方法]
ボールミルA:Eiger Mini 250型M250-VSE-TEFV水平粉砕ミル
ボールミルB:互いに90°離れて設置されている4個のステンレス鋼製アームを有する垂直ステンレス鋼の垂直粉砕ミル。ミルは、圧縮空気モーターによって駆動され、底部放出弁を有する。
高剪断ミキサー:ロータステータオーバーヘッド攪拌機を有するホモジナイザ。
【0071】
[配合物に用いられる成分]
ElectronおよびPositronは、Ecolink、Tucker GAによって供給された柑橘系テルペン系溶媒である。
【0072】
(実施例4)
600,000の平均分子量を有するポリ(エチレンオキシド)(PEO)(236.2g)の4.9重量%水溶液を約100:1のC:O比を有するFGS(2.4g)、エチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマー界面活性剤(Pluronic F127、BASF社供給)(2.4g)、泡止め剤(AF 204、Sigma社供給)(0.3g)、および水(50g)と合わせる。混合物を、粉砕媒体として3/16インチのステンレス鋼製ボールを用いて6時間にわたってボールミルBにおいて650rpmで粉砕する。得られた分散液を熱的に安定化されたPET、コーティングされた紙、およびコーティングされていない紙上に印刷し、得られた印刷された膜の接着特性および電気抵抗率を測定する。結果を表1に与える。
【0073】
(実施例5)
600,000の平均分子量を有するポリ(エチレンオキシド)(PEO)(110.8g)の10.8重量%水溶液を、約100:1のC:O比を有するFGS(2.4g)、界面活性剤(Surfynol 104H、Air Products社供給)(2.4g)、泡止め剤(AF 204、Sigma社供給)(0.2g)、および水(134.2g)と合わせる。混合物を、粉砕媒体として3/16インチのステンレス鋼製ボールを用いて6時間にわたってボールミルBにおいて693rpmで粉砕する。得られた分散液を熱的に安定化されたPET、コーティングされた紙、およびコーティングされていない紙上に印刷し、得られた印刷された膜の接着特性および電気抵抗率を測定する。結果を表1に与える。
【0074】
【表1】

【0075】
(実施例6〜12)
実施例6〜10の場合には、ポリアミドバインダ(Versamid 750、Cognis社供給)の20重量%イソプロピルアルコール溶液(200g)を、約100:1のC:O比を有するFGS(10g)およびさらなるイソプロピルアルコール(40g)と合わせる。実施例18および19の場合には、ポリアミドバインダ(Versamid 750、Cognis社供給)の20重量%イソプロピルアルコール溶液(70g)を、約100:1のC:O比を有するFGS(6g)およびさらなるイソプロピルアルコール(124g)と合わせる。
【0076】
全ての場合において、得られた懸濁液を、粉砕媒体として0.3mmの5%イットリウム安定化酸化ジルコニウムを用いて、100゜FでボールミルAにおいて5000rpmで1.5時間粉砕する。実施例7および10の場合には、BYK-ES80(BYK USA、Wallingford、Conn社によって供給されている不飽和酸性カルボン酸エステルのアルカノールアンモニウム塩)(0.2g)を10gの得られた分散液に添加する。実施例9および12の場合には、ポリアニリン(PANI)(Panipol Oy、Porvoo、Finland社によって供給されているPanipol F)の10重量%クロロホルム溶液(2g)を10gの得られた分散液に添加する。これらの添加物をそれぞれ添加した後、得られた混合物を高剪断ミキサーにおいて約1分間ブレンドする。それぞれの場合において、得られた分散液を熱的に安定化されたPET上に印刷し、該印刷された膜の接着特性および電気抵抗率を測定する。結果を表2に与える。
【0077】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの面を含む基材を備えた印刷電子デバイスであって、電気伝導性インクの層が該面の一部に適用されており、該インクが、官能化グラフェンシートおよび少なくとも1種のバインダを含む、デバイス。
【請求項2】
前記基材が、紙および/またはボール紙を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記基材が、少なくとも1種のポリオレフィンを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記基材が、少なくとも1種のポリイミドを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記インクが、少なくとも1種の分散剤をさらに含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記バインダが、ポリマーバインダである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記バインダが、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)、およびエチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマーのうちの1種または複数である、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記インクが、少なくとも1種の金属成分をさらに含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記金属が、銀および/または銅である、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記インクが、少なくとも1種の電気伝導性ポリマーをさらに含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
前記インクが、前記官能化グラフェンシート以外の少なくとも1種の炭素質材料をさらに含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項12】
前記官能化グラフェンシートが、約300〜約2630m2/gの表面積を有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項13】
前記官能化グラフェンシートが、約400〜約2400m2/gの表面積を有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項14】
前記官能化グラフェンシートが、約60:40〜20:1の炭素対酸素比を有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項15】
プロセッサ、メモリチップ、バッテリー、レジスタ、ダイオード、コンデンサ、およびトランジスタからなる群から選択される1種または複数の部品をさらに含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項16】
集積回路の形態である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項17】
印刷回路板の形態である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項18】
発光ダイオードディスプレイの形態である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項19】
無線周波数識別デバイスおよび/または無線周波数デバイスアンテナの形態である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項20】
極超短波で使用するための無線周波数識別デバイスおよび/またはアンテナの形態である、請求項19に記載の無線周波数識別デバイスおよび/または無線周波数デバイスアンテナ。
【請求項21】
印刷電子デバイスを形成するための方法であって、電気伝導性インクを基材に適用するステップを含み、該インクが、官能化グラフェンシートおよび少なくとも1種のバインダを含む、方法。
【請求項22】
前記基材が、紙、ボール紙、ポリオレフィン、およびポリイミドのうちの1種または複数から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記電気伝導性インクが、担体をさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記電気伝導性インクが、分散剤をさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記官能化グラフェンシートが、約300〜約2630m2/gの表面積を有する、請求項21に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2011−520241(P2011−520241A)
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−545911(P2010−545911)
【出願日】平成21年1月9日(2009.1.9)
【国際出願番号】PCT/US2009/030570
【国際公開番号】WO2009/099707
【国際公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(510212845)
【出願人】(510212856)
【出願人】(510212867)
【出願人】(510212889)
【出願人】(510212890)
【出願人】(510212904)
【出願人】(510212878)
【Fターム(参考)】