説明

印画用シートの製造方法

【課題】 量産性に優れ、高品質の印画用シートを得ることができる印画用シートの製造方法を提供する。
【解決手段】
連続走行する透明基材7の一方面に、透明熱可塑性樹脂9を供給し、ニップローラ3と鏡面ローラ2により透明基材7と透明熱可塑性樹脂9を挟圧し、鏡面ローラ2で透明熱可塑性樹脂9を冷却固化し、コーター10により分散液を塗布し、乾燥ゾーン11を通過させて樹脂層上に受容層を形成し、透明基材7の多方面に透明熱可塑性樹脂18を供給し、ニップローラ14とエンボスローラ13により挟圧して、透明熱可塑性樹脂18に型を転写し、エンボスローラ13により透明熱可塑性樹脂18を冷却固化し、フィルムロール8に巻き取る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は印画用シートの製造方法において、特に、一方の面にレンズを備えた印画用シートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、立体画像や、見る方向によって表示される絵の内容が切り替わる絵変わり表示画像を記録する記録シートとして、レンズ部を有するプラスチックシートの裏面に受像層を設けた転写方式の印画用シートが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1は、レンチキュラーレンズシートを基材とし、レンチキュラーレンズシートの背面上に、染料受容層を塗工、乾燥して設け、立体写真用感熱転写記録シートを製造することを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−282019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の方法では、レンズ層形成後に受容層形成しているため、受容層の塗布乾燥工程で高温に曝されることによってレンズ形状が変形して鈍ってしまう問題があった。
【0006】
その問題を解決するため、レンズ層樹脂には耐熱性の高いものを選定しなくてはならず、素材選定の制約が大きくなってしまう。また、より高温で溶融しなければならないため、製造時のエネルギー効率も悪くなってしまう。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、量産性に優れ、高品質の印画用シートの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明の印画用シートの製造方法は、連続走行する透明基材の一方面に、溶融した第1の熱可塑性樹脂を押出しする工程と、前記第1の熱可塑性樹脂側に配置された平滑面を有する第1の冷却ローラと前記透明基材側に配置された第1のニップローラにより、前記透明基材と前記第1の熱可塑性樹脂を挟圧する工程と、前記第1の熱可塑性樹脂を前記第1の冷却ローラで冷却し、第1の熱可塑性樹脂層を形成する工程と、前記第1の熱可塑性樹脂層がラミネートされた前記透明基材を前記第1の冷却ローラから剥離する工程と、連続走行する前記透明基材の他方面に、溶融した第2の熱可塑性樹脂を押出しする工程と、前記第2の熱可塑性樹脂側に配置されたレンズ形成用の型を有する第2の冷却ローラと前記第1の熱可塑性樹脂層側に配置された第2のニップローラにより、前記第1の熱可塑性樹脂層と前記第2の熱可塑性樹脂を挟圧し、前記第2の熱可塑性樹脂にレンズを形成する工程と、前記第2の熱可塑性樹脂を前記第2の冷却ローラで冷却し、第2の熱可塑性樹脂層を形成する工程と、レンズが形成された前記第2の熱可塑性樹脂層がラミネートされた前記透明基材を前記第2の冷却ローラから剥離する工程と、を含むことを特徴とする。
【0009】
本発明の印画用シートの製造方法は、前記発明において、前記透明基材が一方面及び他方面の少なくとも一つに接着層を有することが好ましい。
【0010】
前記目的を達成するために、本発明の印画用シートの製造方法は、連続走行する透明基材の一方面に、溶融した第1の接着層と溶融した第1の熱可塑性樹脂とを共押出しする工程と、前記第1の熱可塑性樹脂側に配置された平滑面を有する第1の冷却ローラと前記透明基材側に配置された第1のニップローラにより、前記透明基材と前記第1の熱可塑性樹脂を挟圧する工程と、前記第1の熱可塑性樹脂を前記第1の冷却ローラで冷却し、第1の熱可塑性樹脂層を形成する工程と、前記第1の熱可塑性樹脂層が前記第1の接着層を介してラミネートされた前記透明基材を前記第1の冷却ローラから剥離する工程と、連続走行する前記透明基材の他方面に、溶融した第2の接着層と溶融した第2の熱可塑性樹脂とを共押出しする工程と、前記第2の熱可塑性樹脂側に配置されたレンズ形成用の型を有する第2の冷却ローラと前記第1の熱可塑性樹脂層側に配置された第2のニップローラにより、前記第1の熱可塑性樹脂層と前記第2の熱可塑性樹脂を挟圧し、前記第2の熱可塑性樹脂にレンズを形成する工程と、前記第2の熱可塑性樹脂を前記第2の冷却ローラで冷却し、第2の熱可塑性樹脂層を形成する工程と、レンズが形成された前記第2の熱可塑性樹脂層が前記第2の接着層を介してラミネートされた前記透明基材を前記第2の冷却ローラから剥離する工程と、を含むことを特徴とする。
【0011】
本発明の印画用シートの製造方法は、前記発明において、前記第1の熱可塑性樹脂層上に受容層を形成する工程をさらに有することが好ましい。
【0012】
本発明の印画用シートの製造方法は、前記発明において、前記第1の熱可塑性樹脂層と前記第2の熱可塑性樹層は少なくとも同一の樹脂成分を含むことが好ましい。
【0013】
本発明の印画用シートの製造方法は、前記発明において、前記第1の熱可塑性樹脂層は、前記第2の熱可塑性樹脂層を形成する工程において、前記透明基材がカールするのを抑制する機能を備えることが好ましい。
【0014】
本発明の印画用シートの製造方法は、前記発明において、前記第1の熱可塑性樹脂層が15μm〜45μmの厚さを有し、前記第2の熱可塑性樹脂層が80μm〜130μmの厚さを有することが好ましい。
【0015】
本発明の印画用シートの製造方法は、前記発明において、前記透明基材は、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、及びポリスルホン樹脂から成る群から選ばれた一つの材料を含むことが好ましい。
【0016】
本発明の印画用シートの製造方法は、前記発明において、前記第1の熱可塑性樹脂及び前記第2の熱可塑性樹脂は、ポリエステル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、及びポリエチレン樹脂から成る群から選ばれた一つの材料を含むことが好ましい。
【0017】
本発明の印画用シートの製造方法は、前記発明において受容層を形成する工程は、前記第1の熱可塑性樹脂層上に分散液を塗布し乾燥する工程を含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、量産性に優れ、高品質の印画用シートを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】印画用シートの層構成を示す図。
【図2】第1の実施形態に係る製造ラインを示す概略構成図。
【図3】第1の実施形態における共押し出しの状態を示す構成図。
【図4】第2の実施形態に係る製造ラインを示す概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について説明する。本発明は以下の好ましい実施の形態により説明されるが、本発明の範囲を逸脱すること無く、多くの手法により変更を行うことができ、本実施の形態以外の他の実施の形態を利用することができる。従って、本発明の範囲内における全ての変更が特許請求の範囲に含まれる。また、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を含む範囲を意味する。
【0021】
印画用シートの層構成の例を示す。図1に示される印画用シート40は、透明基材42と、第1の接着層44により透明基材42の表面側に接着されたレンズ層46と、第2の接着層48により透明基材42の裏面側に接着された樹脂層50と、樹脂層50上に形成された受容層52を有する。
【0022】
<透明基材>
透明基材42は、できるだけ平滑なシート表面を有することが好ましい。また、溶融押出しされた溶融樹脂の熱に耐える必要があり、比較的耐熱性の高いポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂等を挙げることができる。特に、平滑性が良好な点から、二軸延伸のポリエチレンテレフタレート樹脂が好ましい。また、透明基材42上にレンズ層46や樹脂層50を形成するための樹脂を接着するため、透明基材42側に第1の接着層44と第2の接着層48を設けるのが好ましい。この接着層44及び48は、変性ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。第1の接着層44と第2の接着層48は、透明基材42を形成するための透明熱可塑性樹脂の片面もしくは両面に接着性樹脂を配置して、共押出しして形成してもよい。透明基材42は100μm〜300μmの厚さを有するのが好ましく、160μm〜210μmの厚さを有するのがより好ましい。
【0023】
<レンズ層>
透明基材42の表面側に第1の接着層44を介してレンズ層46が設けられる。レンズ層46を構成する樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA)、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、メタクリレート-スチレン共重合樹脂(MS樹脂)、アクリロニトリル-スチレン共重合樹脂(AS樹脂)、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、熱可塑性エラストマー、又はこれらの共重合体、シクロオレフィンポリマー等が挙げられる。溶融押出しやすさを考慮すると、例えば、ポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA)、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、メタクリレート-スチレン共重合樹脂(MS樹脂)、ポリエチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート樹脂のような溶融粘度の低い樹脂を用いるのが好ましく、転写しやすさやシートの割れにくさ、パターンの耐久性などを考慮するとグリコール変性ポリエチレンテレフタレート樹脂を用いるのがより好ましい。レンズ層46は、複数の樹脂を含んでもよい。透明基材42に対してレンズ層46を構成する樹脂材料が接着力を有する場合、第1の接着層44を設ける必要はない。
【0024】
レンズ層46は50μm〜200μmの厚さ(T)を有し、その表面にレンチキュラーレンズ形状を備える。レンチキュラーレンズ形状は、例えば、100μm〜200μmのレンズ半径(R)、50μm〜100μmのレンズ高さ(H)、100μm〜318μmのレンズ間距離(P)で形成される。ただし、この数値に限定されるものではない。レンチキュラーレンズ形状とは、縦方向に長いかまぼこ型のレンズを横に並べた板状のレンズアレイ、つまり、シリンドリカルレンズが2次元的に配列をもった形状を意味する。
【0025】
第1の接着層44の厚さについて、レンズ層46中の厚さが50μm〜200μmの凸部では、第1の接着層44は10μm〜66μmの厚さを有し、レンズ層46中の厚さが20μm〜100μmの谷部では第1の接着層44は4μm〜33μmの厚さを有する。
【0026】
<樹脂層>
透明基材42のレンズ層46が設けられる側とは反対側に第2の接着層48を介して樹脂層50が設けられる。樹脂層50を構成する樹脂の少なくとも1種は、レンズ層46を構成する少なくとも1種の樹脂と同一の樹脂である。なお、樹脂層50を構成する樹脂とレンズ層46を構成する樹脂とが複数の樹脂を含む場合、その全てが同じ樹脂であることが好ましい。樹脂層50を構成する樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA)、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、メタクリレート-スチレン共重合樹脂(MS樹脂)、アクリロニトリル-スチレン共重合樹脂(AS樹脂)、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、熱可塑性エラストマー、又はこれらの共重合体、シクロオレフィンポリマー等が挙げられる。溶融押出しやすさを考慮すると、例えば、ポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA)、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、メタクリレート-スチレン共重合樹脂(MS樹脂)、ポリエチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート樹脂のような溶融粘度の低い樹脂を用いるのが好ましく、転写しやすさやシートの割れにくさ、パターンの耐久性などを考慮するとグリコール変性ポリエチレンテレフタレート樹脂を用いるのがより好ましい。透明基材42に対して樹脂層50を構成する樹脂材料が接着力を有する場合、第2の接着層48を設ける必要はない。
【0027】
樹脂層50は、15μm〜50μmの厚さを有するのが好ましく、20μm〜30μmの厚さを有するのがより好ましい。第2の接着層48は、樹脂層50の1/5〜1/3程度の厚さを有し、より好ましくは樹脂層50の1/4程度の厚さを有する。
【0028】
樹脂層50の厚さ及び樹脂材料を適宜選択することで、後述する製造工程において樹脂層50は透明基材42がカールするのを抑制することができる。特に、比較的厚い(例えば、100μm以上)レンズ層46を形成する場合、樹脂層50のカール抑制機能は重要となる。
【0029】
<受容層>
受容層は、熱転写用インクシートから転写された染料を取り込んで着色するものと、インクジェットヘッドから吐出したインク液滴を取り込んで着色する両方の方式に適合した層を選択することができる。熱転写方式による受容層については、下記参照。インクジェット方式によるインク受容層は、例えばポリビニルアルコール、カチオン樹脂等の親水・吸水性のポリマーや樹脂、顔料、バインダー等からなる。
【0030】
本実施の形態の感熱転写受像シートは少なくとも1層の受容層を有する。受容層は、感熱転写シートから移行してくる染料を染着し、形成された画像を維持する役割を果たす樹脂を含有するものである。受容層は少なくともポリマーラテックスを含有する。
【0031】
(ポリマーラテックス)
本明細書中、ポリマーラテックスとは、水不溶な疎水性ポリマーが微細な粒子として水溶性の分散媒中に分散したもののことを言う。
【0032】
本実施の形態の受容層に用いられるポリマーラテックスに用いられる熱可塑性樹脂の例としては、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアクリレート、塩化ビニル、塩化ビニル系共重合体、ポリウレタン、スチレン-アクリロニトリル共重合体、ポリカプロラクトン等が挙げられる。
【0033】
(水溶性ポリマー)
本実施の形態おいては、受容層に水溶性ポリマーを含有してもよく、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン共重合体が好ましく用いられ、なかでも塗布時のセット性が良好であるという理由からゼラチンが好ましく用いられる。これらの水溶性ポリマーは受容層の親疎水性の制御に有効であり、多量に使用し過ぎない場合はインクシートからの染料転写が良好であり、転写濃度も良好となる。水溶性ポリマーの使用量は、受容層の固形分全体の質量に対して0.1〜10質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがさらに好ましい。
【0034】
(ポリエーテル変性シリコーン)
本実施の形態において、受容層にシリコーンを含有することが好ましく、ポリエーテル変性シリコーンを含有することが好ましい。ポリエーテル変性シリコーンとしては、ポリエーテル変性シリコーンを含有ことが特に好ましい。
【0035】
(界面活性剤)
本実施の形態において、受容層に界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤が好ましく、アニオン性界面活性剤がより好ましい。
【0036】
(その他の添加剤)
本実施の形態の受容層には、必要に応じて、添加剤を含有させることができる。このような添加剤としては、紫外線吸収剤、防腐剤、造膜助剤、硬膜剤、マット剤(滑剤を含む)、酸化防止剤、その他の添加剤を含有させることができる。
【0037】
[受容層の作製方法]
以下、本実施の形態の受容層の作製方法について説明する。受容層は、水系塗布であることが好ましい。ただし、ここで言う「水系」とは塗布液の溶媒(分散媒)の60質量%以上が水であることをいう。塗布液の水以外の成分としてはメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド、酢酸エチル、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール、ベンジルアルコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、オキシエチルフェニルエーテルなどの水混和性の有機溶媒を用いることができる。受容層の作製方法としては、スライド塗布、バー塗布、スロット塗布などが用いられる。
【0038】
乾燥ゾーンでは、乾燥速度が一定で、材料温度とほぼ湿球温度が等しい恒率乾燥期間と、乾燥速度が遅くなり、材料温度が上昇する減率乾燥期間を経て乾燥が進む。恒率乾燥期間では、外部から与えられた熱はすべて水分の蒸発に使われる。減率乾燥期間では、材料内部での水分拡散が律速になり、蒸発表面の後退等により乾燥速度が低下し、与えられた熱は材料温度上昇にも使われるようになる。
【0039】
乾燥された塗布済み品は、一定の含水率に調整され巻き取られるが、巻取り、塗布済み品の保存過程での含水率、温度によって硬膜進行が影響されるため、巻取りでの含水率について適切な調湿過程条件の設定が必要となる。
【0040】
図1では、受容層52が樹脂層50に形成されている印画用シート40を例で示した。しかし、これに限定されることなく樹脂層50に受容層52を形成しなくてもよい。この場合、印刷装置により、樹脂層50に受容層52が形成され、その後、同じ又は別の印刷装置により、受容層52に画像が形成される。
【0041】
次に、本実施の形態に係る印画用シートの製造方法を説明する。印画用シートの製造方法は、連続走行する透明基材の一方面に、溶融した第1の熱可塑性樹脂を押出しする工程と、前記第1の熱可塑性樹脂側に配置された平滑面を有する第1の冷却ローラと前記透明基材側に配置された第1のニップローラにより、前記透明基材と前記第1の熱可塑性樹脂を挟圧する工程と、前記第1の熱可塑性樹脂を前記第1の冷却ローラで冷却し、第1の熱可塑性樹脂層を形成する工程と、前記第1の熱可塑性樹脂層がラミネートされた前記透明基材を前記第1の冷却ローラから剥離する工程と、連続走行する前記透明基材の他方面に、溶融した第2の熱可塑性樹脂を押出しする工程と、前記第2の熱可塑性樹脂側に配置されたレンズ形成用の型を有する第2の冷却ローラと前記第1の熱可塑性樹脂層側に配置された第2のニップローラにより、前記第1の熱可塑性樹脂層と前記第2の熱可塑性樹脂を挟圧し、前記第2の熱可塑性樹脂にレンズを形成する工程と、前記第2の熱可塑性樹脂を前記第2の冷却ローラで冷却し、第2の熱可塑性樹脂層を形成する工程と、レンズが形成された前記第2の熱可塑性樹脂層がラミネートされた前記透明基材を前記第2の冷却ローラから剥離する工程と、を含むことを特徴とする。
【0042】
さらに、印画用シートの製造方法は、連続走行する透明基材の一方面に、溶融した第1の接着層と溶融した第1の熱可塑性樹脂とを共押出しする工程と、前記第1の熱可塑性樹脂側に配置された平滑面を有する第1の冷却ローラと前記透明基材側に配置された第1のニップローラにより、前記透明基材と前記第1の熱可塑性樹脂を挟圧する工程と、前記第1の熱可塑性樹脂を前記第1の冷却ローラで冷却し、第1の熱可塑性樹脂層を形成する工程と、前記第1の熱可塑性樹脂層が前記第1の接着層を介してラミネートされた前記透明基材を前記第1の冷却ローラから剥離する工程と、連続走行する前記透明基材の他方面に、溶融した第2の接着層と溶融した第2の熱可塑性樹脂とを共押出しする工程と、前記第2の熱可塑性樹脂側に配置されたレンズ形成用の型を有する第2の冷却ローラと前記第1の熱可塑性樹脂層側に配置された第2のニップローラにより、前記第1の熱可塑性樹脂層と前記第2の熱可塑性樹脂を挟圧し、前記第2の熱可塑性樹脂にレンズを形成する工程と、前記第2の熱可塑性樹脂を前記第2の冷却ローラで冷却し、第2の熱可塑性樹脂層を形成する工程と、レンズが形成された前記第2の熱可塑性樹脂層が前記第2の接着層を介してラミネートされた前記透明基材を前記第2の冷却ローラから剥離する工程と、を含むことを特徴とする。
【0043】
上述の方法によれば、押出成形方法に比べて生産性が高く、UV硬化樹脂を使う2P法よりも材料選択の自由度が高いため、透明性や屈折率の観点から高品質な印画用シートを製造することができる。
【0044】
図2は、第1の実施形態に係る製造ラインを示す概略構成図である。最初に樹脂層を形成する原料の計量や混合が行われる。具体的には、原料サイロ(又は原料タンク)から真空乾燥機に送られた原料樹脂が所定含水分にまで乾燥される。
【0045】
乾燥された原料樹脂がホッパー6を介して押出機5に投入される。押出機5により混練されながら溶融される。押出機5は単軸式押出機及び多軸式押出機の何れでもよく、押出機5の内部を真空にするベント機能を含むものでもよい。押出機5で溶融された原料樹脂は、供給管を介してシートダイ1に送られる。樹脂層形成用の材料が原料樹脂としてホッパー6に供給される。
【0046】
シートダイ1からシート状に押し出された単層の透明熱可塑性樹脂9は鏡面ローラ2とニップローラ3との間に供給される。一方、透明基材7が送り出し機(不図示)により送り出される。透明基材7はニップローラ3に沿いながら、鏡面ローラ2とニップローラ3との間に供給される。その結果、透明熱可塑性樹脂9が透明基材7と鏡面ローラ2との間に供給される。
【0047】
鏡面ローラ2とニップローラ3により透明熱可塑性樹脂9と透明基材7が挟圧され、透明基材7がニップローラ3から剥離される。透明基材7上の透明熱可塑性樹脂9が鏡面ローラ2に巻き付けながら冷却固化され、樹脂層が形成される。次に、樹脂層がラミネートされた透明基材7が剥離ローラ4により鏡面ローラ2から剥離される。
【0048】
図1では、透明基材7に単層の透明熱可塑性樹脂9が供給される例を示したが、複数の押出機を用いてフィードブロックで合流させて多層の透明熱可塑性樹脂を透明基材に供給することができる。例えば、図3に示すように、原料樹脂を、ホッパー6を介して押出機5からシートダイ1Aに供給し、別の原料樹脂を、ホッパー6Aを介して押出機5Aからシートダイ1Aに供給することができる。シートダイ1Aはフィードブロック(不図示)を備える。フィードブロックにより2種類の樹脂が合流される。2種類の樹脂がシートダイ1Aからシート状の2層の透明熱可塑性樹脂積層体9Aとして溶融共押し出しされる。ホッパー6Aに供給される樹脂を接着性樹脂とし、ホッパー6に供給される樹脂を樹脂層形成用の透明熱可塑性樹脂とすることで、接着性樹脂を透明基材7と透明熱可塑性樹脂との間に配置することができる。これにより、樹脂層と透明基材7との接着性を向上することができる。
【0049】
鏡面ローラ2は、平均粗さ(Ra)0.05μm〜0.25μmの表面を有する。材質としては、各種鉄鋼部材、ステンレス鋼、銅、亜鉛、真鍮、これらの金属材料を芯金として硬質クロムメッキ(HCrメッキ)、Cuメッキ、Niメッキ等のメッキを施したもの、セラミックス、及び各種の複合材料が採用できる。
【0050】
鏡面ローラ2に対向配置されたニップローラ3は、鏡面ローラ2とで透明基材7と透明熱可塑性樹脂9を挟圧するためのローラである。ニップローラ3の材質としては、各種鉄鋼部材、ステンレス鋼、銅、亜鉛、真鍮、これらの金属材料を芯金として、表面にゴムライニングしたものが採用できる。ニップローラ3には、図示しない加圧手段が設けられており、鏡面ローラ2との間の透明基材7と透明熱可塑性樹脂9とを所定の圧力で挟圧できる。加圧手段は、いずれも、ニップローラ3と鏡面ローラ2との接触点における法線方向に圧力を印加する構成のもので、モータ駆動手段、エアシリンダ、油圧シリンダ等の公知の各種手段が採用できる。
【0051】
ニップローラ3には、挟圧力の反力による撓みが生じにくくなるような構成を採用することもできる。このような構成としては、ニップローラ3の背面側(鏡面ローラ2の反対側)に図示しないバックアップローラを設ける構成、クラウン形状(中高形状とする)を採用する構成、ローラの軸方向中央部の剛性が大きくなるような強度分布を付けたローラの構成、及びこれらを組み合わせた構成等が採用できる。
【0052】
剥離ローラ4は、鏡面ローラ2に対向配置され、透明基材7を巻き掛けることにより樹脂層がラミネートされた透明基材7を鏡面ローラ2より剥離するためのローラである。剥離ローラ4の材質としては、各種鉄鋼部材、ステンレス鋼、銅、亜鉛、真鍮、これらの金属材料を芯金として、表面にゴムライニングしたものが採用できる。
【0053】
鏡面ローラ2の温度は、挟圧部での透明熱可塑性樹脂9の温度がガラス転移温度以上となるように設定することが好ましい。また、溶融された樹脂のダイ1からの吐出温度が調整され、挟圧部での透明熱可塑性樹脂9の温度はガラス転移温度以上とされる。透明基材7に供給された透明熱可塑性樹脂9の厚さを均一するためである。一方、剥離ローラ4により透明基材7を鏡面ローラ2から剥離する場合、鏡面ローラ2と樹脂層との接着が強すぎると、透明基材7が不規則に剥離して突起状に変形する。鏡面ローラ2の温度は転写が可能な限りで低く設定することが好ましい。樹脂の材料にグリコール変性ポリエチレンテレフタレート樹脂を採用した場合、鏡面ローラ2の表面温度は30〜90℃、好ましくは40〜70℃とすることができる。なお、鏡面ローラ2の温度を制御するために、鏡面ローラ2内部を熱媒体(温水、油)で満たし循環させる等の公知の手段が採用できる。
【0054】
また、透明熱可塑性樹脂9の熱分解による面状悪化などの問題を生じることから、吐出温度は転写が可能な限りで低く設定することが好ましい。樹脂の材料にグリコール変性ポリエチレンテレフタレート樹脂を採用した場合、シートダイ1からの吐出温度は240〜290℃、好ましくは250〜280℃とすることができる。
【0055】
次に、樹脂層がラミネートされた透明基材7はコーター10に搬送される。コーター10により、樹脂層上に受容層形成用の分散液が厚さ2μm〜4μmで塗布される。コーター10として、バーコータ、ダイコータ等の公知の塗布装置を使用することができる。
【0056】
分散液が塗布された透明基材7は乾燥ゾーン11に搬送される。乾燥ゾーン11内は、40℃〜120℃に設定される。分散液に含まれる溶媒を蒸発し、受容層を樹脂層上に形成する。乾燥方法として、ヒータによる乾燥、熱風による乾燥、赤外線ヒータによる乾燥方法を使用することができる。
【0057】
受容層が形成された透明基材7は、受容層側をニップローラ14に沿うように、エンボスローラ13とニップローラ14との間に供給される。乾燥された原料樹脂がホッパー17を介して押出機16に投入される。押出機16により混練されながら溶融される。押出機16は単軸式押出機及び多軸式押出機の何れでもよく、押出機16の内部を真空にするベント機能を含むものでもよい。押出機16で溶融された原料樹脂は、供給管を介してシートダイ12に送られる。レンズ層形成用の材料が原料樹脂としてホッパー17に供給される。
【0058】
シートダイ12からシート状に押し出された単層の透明熱可塑性樹脂18は透明基材7とエンボスローラ13との間に供給される。エンボスローラ13の表面には、例えば、レンチキュラーレンズ形状を成形するための反転形状が形成されている。透明熱可塑性樹脂18と透明基材7がエンボスローラ13とニップローラ14により挟圧され、エンボスローラ13で形成された反転形状が透明熱可塑性樹脂18に転写される。透明基材7がニップローラ14から剥離される。レンチキュラーレンズ形状が転写された透明熱可塑性樹脂18がエンボスローラ13に巻き付けながら冷却固化され、レンズ層が形成される。レンズ層がラミネートされた透明基材7が剥離ローラ15によりエンボスローラ13から剥離される。
【0059】
レンズ層が形成されるとき、冷却固化により透明熱可塑性樹脂18は熱収縮が発生する。本実施の形態では、透明基材7のレンズ層が形成される面と反対面に樹脂層が形成されているので、この樹脂層が、透明熱可塑性樹脂18の熱収縮による透明基材7の反りを抑制することができる。特に、透明熱可塑性樹脂18が100μm以上の厚さを有し、大きな熱収縮を発現する場合には、樹脂層により透明基材7のカールを抑制することが重要となる。
【0060】
エンボスローラ13の材質としては、鏡面ローラ2と同様に、各種鉄鋼部材、ステンレス鋼、銅、亜鉛、真鍮、これらの金属材料を芯金として硬質クロムメッキ(HCrメッキ)、Cuメッキ、Niメッキ等のメッキを施したもの、セラミックス、及び各種の複合材料が採用できる。また、ニップローラ14は、エンボスローラ13に対向配置され、エンボスローラ13とで樹脂層、透明基材7と透明熱可塑性樹脂18を挟圧するためのローラである。ニップローラ14の材質としては、各種鉄鋼部材、ステンレス鋼、銅、亜鉛、真鍮、これらの金属材料を芯金として、表面にゴムライニングしたものが採用できる。
【0061】
ニップローラ3と同様に、ニップローラ14に加圧手段を設けることができる。また、挟圧力の反力による撓みが生じにくくなるような構成を採用することもできる。
【0062】
また、図3に示す装置と同様の装置を使用することにより、レンズ層形成用の透明熱可塑性樹脂18および接着剤樹脂を溶融共押出しして、透明基材7に供給することができる。これにより、レンズ層と透明基材7との接着性を向上させることができる。
【0063】
エンボスローラ13の温度は、挟圧部での樹脂シートの温度がガラス転移温度以上となるように設定される。透明熱可塑性樹脂18への型転写が完了する前に冷却固化しないようにするためである。一方、剥離ローラ15により透明基材7をエンボスローラ13から剥離する場合、エンボスローラ13とレンズ層との接着が強すぎると、透明基材7が不規則に剥離して突起状に変形する。エンボスローラ13の温度は転写が可能な限りで低く設定することが好ましい。
【0064】
樹脂の材料にグリコール変性ポリエチレンテレフタレート樹脂を採用した場合、エンボスローラ13の表面温度は30〜90℃、好ましくは40〜70℃とすることができる。なお、エンボスローラの温度を制御するために、エンボスローラ13内部を熱媒体(温水、油)で満たし循環させる等の公知の手段が採用できる。溶融された透明熱可塑性樹脂18のシートダイ12からの吐出温度は調整され、挟圧部での透明熱可塑性樹脂18の温度がガラス転移温度以上となっているように設定される。挟圧した透明熱可塑性樹脂18への型転写が完了する前に冷却固化しないようにするためである。
【0065】
また、透明熱可塑性樹脂18の熱分解による面状悪化などの問題を生じることから、吐出温度は転写が可能な限りで低く設定することが好ましい。樹脂の材料にグリコール変性ポリエチレンテレフタレート樹脂を採用した場合、シートダイ12からの吐出温度は240〜290℃、好ましくは250〜280℃とすることができる。
【0066】
剥離ローラ15によりエンボスローラ13から剥離された透明基材7はフィルムロール8に巻き取られる。一方面にレンズ層、他方面に樹脂層が形成されたフィルムロール8は巻き戻され、打ち抜き工程(不図示)に搬送される。打ち抜き工程ではフィルムロール8が所定のサイズ(例えば、12.7cm×17.8cm)に打ち抜かれる。
【0067】
図4は、第2の実施形態に係る製造ラインを示す概略構成図である。図2と同様の構成には同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
【0068】
第2の実施形態は、樹脂層上に受容層を形成した後に透明基材7を一旦、フィルムロール19に巻き取っている。次いで、フィルムロール19を巻き戻し、透明熱可塑性樹脂18を透明基材7とエンボスローラ13との間に供給する。一方、第1の実施形態では、透明基材7を送り出し、透明基材7の一方面に樹脂層と受容層、他方面にレンズ層を形成した後にフィルムロール8に巻き取っている。
【実施例】
【0069】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。なお、実施例中で、組成について部または%とある場合、特に断りのない限り質量基準である。
【0070】
(樹脂層の形成)
透明基材として厚さ188μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(富士フイルム(株)製)を用い、鏡面ローラ(φ350mm、表面温度15℃)とニップローラの間に20m/分で走行するPETフィルム(厚み188μm)を挿入して、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート樹脂PETG(SKケミカル社製)と接着性樹脂(アドマー、三井化学(株)製)を、温度280℃に設定したTダイ(吐出巾350mm)より、実測樹脂温度260〜280℃として共押出して、PETフィルムと鏡面ローラの間に供給して、樹脂層を形成したシートを巻取り工程で巻き取った。
【0071】
(受容層の形成)
(1)ポリエーテル変性シリコーンの合成)
ポリエーテル変性シリコーンの合成は、伊藤邦雄著「シリコーンハンドブック」(日刊工業新聞社、1990年、p.163)等に記載されている公知の方法を用いることができる。
【0072】
具体的には、撹拌装置と温度計付きガラスフラスコ内で、ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体20質量部と片末端アリルエーテル化ポリオキシアルキレン40質量部とを混合し、溶媒としてイソプロピルアルコール20質量部を加えた。更に塩化白金酸を加えて86℃で2時間撹拌した後、赤外吸収スペクトルでSi−Hを示すピークが消失していることを確認し、さらに30分間撹拌した。反応液を減圧濃縮することにより、ポリエーテル変性シリコーンを得た。
【0073】
(2)受容層塗布液の調製
塩化ビニル/アクリル系共重合体ラテックス 20.0質量部(ビニブラン900、商品名、日信化学工業(株)製、固形分40%)
塩化ビニル/アクリル系共重合体ラテックス 20.0質量部(ビニブラン690、商品名、日信化学工業(株)製、固形分55%)
ゼラチン(10%水溶液) 2.0質量部
ポリビニルピロリドン 0.5質量部(K−90、商品名、ISP(株)製)
前記ポリエーテル変性シリコーン(100%) 1.5質量部
アニオン性界面活性剤A1−1 0.5質量部
水 50.0質量部
(3)塗布
樹脂層上に、バーコータにより、受容層塗布液を、乾燥後の塗布量が、2.5g/m2となるように塗布し、受容層を形成した。
【0074】
(レンズ層の形成)
レンズ層は、厚み188μmのポリエチレンテレフタレートシートフィルム支持体の片面側にレンチキュラーレンズを次のように形成することで作製した。ポリエチレンテレフタレートシートを送り出し工程より20m/分で巻き出して、レンチキュラーレンズ形状(半径150μm、レンズ高さ70μm、ピッチ254μm)を付けたエンボスローラ(φ350mm、40℃)とニップローラの間に挿入して、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート樹脂PETG(SKケミカル製)と接着性樹脂(アドマー、商品名、三井化学(株)製)を、温度280℃に設定したTダイ(吐出巾330mm)より、実測樹脂温度260〜280℃として共押出して、樹脂シートとエンボスローラの間に供給して積層し、レンチキュラーレンズが形成されたレンチキュラーレンズシートを得ることができた。
【符号の説明】
【0075】
1、1A…シートダイ、2…鏡面ロール、3…ニップローラ、4…剥離ローラ、5、5A…押出機、6、6A…ホッパー、7…透明基材、8…フィルムロール、9、9A…透明熱可塑性樹脂、10…コーター、11…乾燥ゾーン、12…シートダイ、13…エンボスローラ、14…ニップローラ、15…剥離ローラ、16…押出機、17…ホッパー、18…透明熱可塑性樹脂、19…フィルムロール、20…フィルムロール、40…印画用シート、42…透明基材、44…第1の接着層、46…レンズ層、48…第2の接着層、50…樹脂層、52…受容層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続走行する透明基材の一方面に、溶融した第1の熱可塑性樹脂を押出しする工程と、
前記第1の熱可塑性樹脂側に配置された平滑面を有する第1の冷却ローラと前記透明基材側に配置された第1のニップローラにより、前記透明基材と前記第1の熱可塑性樹脂を挟圧する工程と、
前記第1の熱可塑性樹脂を前記第1の冷却ローラで冷却し、第1の熱可塑性樹脂層を形成する工程と、
前記第1の熱可塑性樹脂層がラミネートされた前記透明基材を前記第1の冷却ローラから剥離する工程と、
連続走行する前記透明基材の他方面に、溶融した第2の熱可塑性樹脂を押出しする工程と、
前記第2の熱可塑性樹脂側に配置されたレンズ形成用の型を有する第2の冷却ローラと前記第1の熱可塑性樹脂層側に配置された第2のニップローラにより、前記第1の熱可塑性樹脂層と前記第2の熱可塑性樹脂を挟圧し、前記第2の熱可塑性樹脂にレンズを形成する工程と、
前記第2の熱可塑性樹脂を前記第2の冷却ローラで冷却し、第2の熱可塑性樹脂層を形成する工程と、
レンズが形成された前記第2の熱可塑性樹脂層がラミネートされた前記透明基材を前記第2の冷却ローラから剥離する工程と、を含む印画用シートの製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の印画用シートの製造方法において、前記透明基材が一方面及び他方面の少なくとも一つに接着層を有する印画用シートの製造方法。
【請求項3】
連続走行する透明基材の一方面に、溶融した第1の接着層と溶融した第1の熱可塑性樹脂とを共押出しする工程と、
前記第1の熱可塑性樹脂側に配置された平滑面を有する第1の冷却ローラと前記透明基材側に配置された第1のニップローラにより、前記透明基材と前記第1の熱可塑性樹脂を挟圧する工程と、
前記第1の熱可塑性樹脂を前記第1の冷却ローラで冷却し、第1の熱可塑性樹脂層を形成する工程と、
前記第1の熱可塑性樹脂層が前記第1の接着層を介してラミネートされた前記透明基材を前記第1の冷却ローラから剥離する工程と、
連続走行する前記透明基材の他方面に、溶融した第2の接着層と溶融した第2の熱可塑性樹脂とを共押出しする工程と、
前記第2の熱可塑性樹脂側に配置されたレンズ形成用の型を有する第2の冷却ローラと前記第1の熱可塑性樹脂層側に配置された第2のニップローラにより、前記第1の熱可塑性樹脂層と前記第2の熱可塑性樹脂を挟圧し、前記第2の熱可塑性樹脂にレンズを形成する工程と、
前記第2の熱可塑性樹脂を前記第2の冷却ローラで冷却し、第2の熱可塑性樹脂層を形成する工程と、
レンズが形成された前記第2の熱可塑性樹脂層が前記第2の接着層を介してラミネートされた前記透明基材を前記第2の冷却ローラから剥離する工程と、を含む印画用シートの製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか記載の印画用シートの製造方法において、前記第1の熱可塑性樹脂層上に受容層を形成する工程をさらに有する印画用シートの製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか記載の印画用シートの製造方法において、前記第1の熱可塑性樹脂層と前記第2の熱可塑性樹層は少なくとも同一の樹脂成分を含む印画用シートの製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか記載の印画用シートの製造方法において、前記第1の熱可塑性樹脂層は、前記第2の熱可塑性樹脂層を形成する工程において、前記透明基材がカールするのを抑制する機能を備える印画用シートの製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか記載の印画用シートの製造方法において、前記第1の熱可塑性樹脂層が15μm〜45μmの厚さを有し、前記第2の熱可塑性樹脂層が80μm〜130μmの厚さを有する印画用シートの製造方法。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか記載の印画用シートの製造方法において、前記透明基材は、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、及びポリスルホン樹脂から成る群から選ばれた一つの材料を含む印画用シートの製造方法。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか記載の印画用シートの製造方法において、前記第1の熱可塑性樹脂及び前記第2の熱可塑性樹脂は、ポリエステル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、及びポリエチレン樹脂から成る群から選ばれた一つの材料を含む印画用シートの製造方法。
【請求項10】
請求項4〜9の何れか記載の印画用シートの製造方法において、受容層を形成する工程は、前記第1の熱可塑性樹脂層上に分散液を塗布し乾燥する工程を含む印画用シートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−148266(P2011−148266A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−13339(P2010−13339)
【出願日】平成22年1月25日(2010.1.25)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】