説明

危険有害性物質センサユニットおよびセンシングシステム

【課題】危険有害性物質を高精度かつリアルタイムに識別することができ、識別のために危険有害性物質に測定者が近接する必要のない危険有害性物質センサユニットおよびセンシングシステムを提供する。
【解決手段】カプセル(A)と、該カプセル(A)に取り付けられ危険有害性物質特異的認識物質(B)と、前記カプセルに取り付けられ前記危険有害性物質特異的認識物質(B)が前記危険有害性物質と特異的に結合したことを検知するセンサ(C)と、前記カプセル(A)内に収納された警告表示物質(D)と、前記センサ(C)の検知信号を受けて前記警告表示物質(D)を前記カプセル(A)の外に放出させる表示物質放出手段(E)と、を少なくとも構成要素としてセンサユニットを構成する。また、前記センサ(C)の検知信号を受けて位置情報を発信する位置情報発信手段(G)を必要に応じて組み合わせ使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な危険有害性物質センサユニットおよびそれを用いたセンシングシスムに関するもので、さらに詳しくは、危険有害性物質を探知すると、その危険有害性物質の存在領域を警告表示物質または/および位置情報信号により確認可能状態にするカプセル型のセンサユニットおよびそれを用いたセンシングシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
人類の生活圏には、人工、天然を問わず様々な危険有害性物質が存在し、これらを周囲環境から識別し、安全策を講じる必要がある。従来、危険有害性物質を識別するために、さまざまな識別方法が提案されている。具体的には、非特許文献1〜4に記載のように、対象となる危険有害性物質を直接採集(吸引)し、濃縮などの前処理をした後に、赤外線吸光分析(IR)装置、ガスクロマトグラフィー(GC)装置、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)装置などの分析機器により分析し識別する方法や、危険有害性物質と接触すると化学反応を起こして変色する識別試薬を含んだ収集管や試験紙を用いて、対象とする危険有害性物質の濃度が視覚的に識別する方法や、危険有害性物質を検知する各種センサを危険有害性物質に接触させてセンサの抵抗変化や静電容量変化を電気的に読み取ることにより識別する方法が提案されている。また、近年、地雷による民間人の犠牲が問題となっているが、この地雷を検知するために、地雷の起爆源であるTNTを検知する方法として、TNTに反応する化学物質を薄膜化した薄膜センサなどの各種化学センサを用いて検知する方法が提案されている(非特許文献5)。なお、この地雷の所在の検知に関しては、周知のように、地雷容器の材質や形状をレーダーや金属探知器などで探知識別する方法が用いられている。
【0003】
【非特許文献1】「匂いセンサの最近の進歩(その1)」AROMA RESERCH No.14 (Vol.4/No.2 2003) pp174−177
【非特許文献2】「匂いセンサの最近の進歩(その2)」AROMA RESERCH No.14 (Vol.4/No.3 2003) pp263−271
【非特許文献3】「センサを用いた匂いの判別や認識」静電気学会誌 26,3(2002)L14−L18
【非特許文献4】”A Sensing System for Oder Plumes” Analytical Chemistry News & Features, August 1, 1999 pp531−536
【非特許文献5】”Detection of Explosives by Electronic Noses” Analytical Chemistry March 1, 2003 pp99−105
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来技術の内、分析機器を使った方法の場合は、判定速度が遅い、危険有害性物質が存在する場所での識別ができないなどのリアルタイム性に欠けるという問題点がある。また、収集管や試験紙を用いた方法や、各種センサを用いた方法は、リアルタイムに測定はできるものの検出感度や危険有害性物質を特異的に個別に識別するまでは至っていない。これらの方法で、特に問題であるのは、危険有害性物質を比較的高精度に測定できたとしても、広範な領域のどこに危険有害性物質が所在しているか不明な場合には、効果を発揮することができない点にある。もし、広範な領域から危険有害性物質の存在している場所を特定しようとした場合は、測定機器またはセンサを持って順に走査しなければならないからである。
【0005】
唯一、非特許文献4に記載の技術では、匂いセンサを搭載したロボット車により匂いの流れを逆に辿り、匂いの源を特定する構成が開示されている。しかしながら、この方法では、比較的広い領域に匂いが流れを形成する程度の量が危険有害性物質源から放出されていなければ、役に立たない。つまり、匂いの漏洩量が少なかったり、気流や風がない場合には、匂いの拡散がなく、ロボット車による匂いの追尾ができない。
【0006】
また、地雷のTNTを化学センサにて検知する方法では、TNTを含む雰囲気ガスあるいは水をサンプリングするために、ある程度の近さまで地雷原に近づかなければならない。そもそも、この方法では、少なくとも地雷原の概略の位置が判明していなければ、測定プローブをTNTを含むガスや水に触れさせることができないので、地雷原の位置を捜索するには不適である。
【0007】
さらに、地雷をレーダーや金属探知器にて探知識別する方法では、対象とする危険有害性物質(地雷中のTNT等)以外の物質を検知してしまうことがあり、目的とする物質(地雷)の検知確率が低いという問題点がある。
【0008】
このように従来の危険有害性物質を識別する方法では、識別精度が不十分であり、測定のリアルタイム性に劣る場合があり、さらに重要なことは識別のために危険有害性物質に測定者が近接しなければならないという問題がある。特に識別対象が地雷である場合には、識別作業中に爆発が起きれば、測定者の死傷につながるため、安全かつ正確な識別方法が希求されているのが現状である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記従来の問題点を解決するために鋭意検討を重ねたところ、次のような知見を得るに至った。すなわち、センサを測定者の手元に置くのではなく、簡易かつ精度の高いセンサと、染料、顔料及び塗料の1種以上や着色発煙物質などの警告表示物質または/および位置信号発信手段をカプセルに搭載しておき、このカプセルの多数個を危険有害性物質の所在が疑われる領域に散布し、カプセルが危険有害性物質に近づき該危険有害性物質をセンサが検知した場合に、警告表示物質を周囲に放出させるか、位置信号を発信するか、さらには警告表示物質を周囲に放出させるとともに位置信号を発信するように設定することにより、測定者が危険有害性物質に近づくことなく、リアルタイムで危険有害性物質の所在を識別することができ、しかも、識別後、その危険有害性物質の所在位置を継続的に明示できることを、知るに至った。
【0010】
本発明は、前記知見に基づいてなされたもので、本発明に係る危険有害性物質センサユニットは、カプセル(A)と、該カプセル(A)に取り付けられ前記危険有害性物質と特異的に結合する危険有害性物質特異的認識物質(B)と、前記カプセルに取り付けられ前記危険有害性物質特異的認識物質(B)が前記危険有害性物質と特異的に結合したことを検知するセンサ(C)と、前記カプセル(A)内に収納された警告表示物質(D)と、前記センサ(C)の検知信号を受けて前記警告表示物質(D)を前記カプセル(A)の外に放出させる表示物質放出手段(E)と、を具備してなることを特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかる危険有害性センサユニットの他の構成は、カプセル(A)と、該カプセル(A)に取り付けられ危険有害性物質と特異的に結合する危険有害性物質特異的認識物質(B)と、前記危険有害性物質特異的認識物質(B)が前記危険有害性物質と特異的に結合したことを検知するセンサ(C)と、前記センサ(C)の検知信号を受けて位置情報を発信する位置情報発信手段(G)と、を具備してなることを特徴とする。
【0012】
本発明の危険有害性物質センシングシステムは、前記いずれかの危険有害性物質センサユニットを用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明になる危険有害性物質センサユニットおよびそれを用いた危険有害性物質センシングシステムは、その対象物質を安全に感度よく捕らえることができ、また、染料、顔料及び塗料の1種以上などの警告表示物質を周囲に放出させるか、位置信号を発信するか、さらには警告表示物質を周囲に放出させるとともに位置信号を発信することにより、測定者が危険有害性物質に近づくことなく、リアルタイムで危険有害性物質の所在位置を遠隔から確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の危険有害性物質センサユニットおよびそれを用いた危険有害性物質センシングシステムについて詳しく説明する。
前述のように、本発明に係る第1の危険有害性物質センサユニットは、カプセル(A)と、該カプセル(A)に取り付けられ前記危険有害性物質と特異的に結合する危険有害性物質特異的認識物質(B)と、前記カプセルに取り付けられ前記危険有害性物質特異的認識物質(B)が前記危険有害性物質と特異的に結合したことを検知するセンサ(C)と、前記カプセル(A)内に収納された警告表示物質(D)と、前記センサ(C)の検知信号を受けて前記警告表示物質(D)を前記カプセル(A)の外に放出させる表示物質放出手段(E)と、を具備してなることを特徴とするものである。
【0015】
前記危険物質特異的認識物質(B)とセンサ(C)は、前記カプセル(A)の外表面に取り付けられていても良いが、識別性能を劣化させないために、カプセル(A)の内部に収納しておくことが望ましい。内部に収納した場合に、危険物質特異的認識物質(B)の一部がカプセル(A)の表面に露出する構造であってもかまわない。また、カプセル(A)内部に収納された危険物質特異的認識物質(B)を1本以上の配管等の連通手段を介してカプセル(A)の表面に接続する構造としてもよい。危険物質特異的認識物質(B)をカプセル内部に収納する場合は、カプセル(A)は危険物質を透過させる特性を有することが好ましく、危険物質特異的認識物質(B)が一部露出や連通手段等によりカプセル(A)表面に接続していない場合は、カプセル(A)は危険物質透過性を有することが必要である。この危険物質透過性は、カプセル(A)の材質を選択することにより達成しても良いし、構造的に対応しても良い。後述するように、気液透過性の材料や多孔性材料から構成することによって達成可能であるし、形状的に多孔構造とすることによっても達成可能である。
【0016】
また、前記警告表示物質(D)は、カプセル(A)の外部に取り付けて置いても良いし、カプセル(A)の内部に収納しておいても良い。危険有害性物質が検知されるまで警告表示物質(D)が不用意に放出されないように、警告表示物質(D)はカプセル(A)の内部に収納しておく方が望ましい。
【0017】
前記表示物質放出手段(E)は、警告表示物質(D)を収納する容器(e1)と、該容器(e1)を破壊する容器破壊手段(e2)とから構成してもよい。この場合、後述のように、カプセル(A)を多孔性構造あるいは多孔性材質から構成しておけば、前記容器(e1)の破壊後、前記警告表示物質(D)が前記カプセル(A)を透過して該カプセル(A)の外部に放出されることになり、目的を達することができる。
【0018】
また、前記表示物質放出手段(E)は、警告表示物質(D)を収納する容器(e1)と、該容器(e1)と前記カプセル(A)とを破壊する破壊手段(e3)とから構成してもよい。この場合、前記カプセル(A)を特に多孔性とする必要はない。破壊が可能な構造もしくは破壊可能な材質から構成しておけばよい。
【0019】
前記カプセル(A)は、危険有害性物質を内部に透過可能とするために多孔性構造を有していてもよい。
【0020】
前記多孔性構造のカプセル(A)を形成するにはプラスチックが製造コスト的に好適であるが、使用目的からして環境中に放置されることが避けがたいので、プラスチックの中でも生分解性樹脂を用いることが望ましい。生分解性樹脂としては、ポリ乳酸、脂肪族ポリエステル、ポリエステルアミド、セルロース及びその誘導体、ビニルポリマーなどがあるが、これらに限定されるものではなく、また、強度の補強として、各種フィラーの混合や各種樹脂を混合してもよい。また、この生分解性樹脂には、合成物に限らず、天然物も使用可能である。例えば、比較的剛直かつ可撓性のある植物繊維を編んでカプセルを形成することも可能である。そのようなものの具体物としては、竹ひごを丸かご状に編んで、これをカプセルとして使用することも可能である。
【0021】
前記カプセル(A)を多孔性構造に形成する代わりに、気液透過性材料から構成しても良い。気液透過性材料としては、公知の材料を用いて差し支えないが、できるだけ環境に負荷のない材質を選択することが大切である。
【0022】
本発明に用いるカプセル(A)は、危険有害性物質特異的認識物質(B)、センサ(C)、警告表示物質(D)、そして必要に応じ後述の電源(F)を包含することができれば、その大きさは、特に限定されるものではないが、操作性から考えると、直径が5〜20cm程度のものが好ましい。
【0023】
前記危険有害性物質特異的認識物質(B)としては、多種多様な危険有害性物質に対応する他種類の物質が考えられるが、従来公知の特異的認識物質は、基本的に全て、本発明の危険有害性物質特異的認識物質として用いることが可能である。危険有害性物質が地雷内部から放出される化学物質、例えば、TNT(トリニトロトルエン)またはその誘導体、RDX(Hexogen T−4)、Plastic(C−4)、ニトロセルロース、ヘキソーゲンである場合、このTNTまたはその誘導体等を特異的に認識する特異抗体分子や、TNTまたはその誘導体等に特異的に結合するアプタマー(アプタマ核酸)を危険有害性物質特異的認識物質(B)として好適に用いることができる。アプタマーを危険有害性物質特異的認識物質(B)として用いてTNTまたはその誘導体等を検知する場合には、アプタマーの分子を水晶振動子センサユニット表面に固定化し、TNTまたはその誘導体等がこれらの分子にトラップされることによる振動の変化を検知する。
【0024】
前記危険有害性物質特異的認識物質(B)としては、その他に、抗体、分子鋳型なども使用可能であり、いずれも高い認識精度を発揮可能である。前記分子鋳型を危険有害性物質特異的認識物質(B)として用いる場合は、認識分子の形を凹型に刷り込んだ分子薄膜を水晶振動子センサ表面に形成させて、TNTまたはその誘導体等をこの分子薄膜にトラップさせる。この分子鋳型用の薄膜としては、チオール膜やポリピロール膜などがある。
【0025】
前記センサ(C)としては、従来公知の化学物質センサ、匂いセンサ等を使用可能であり、QCM(水晶振動子マイクロバランス)も同様に使用可能である。化学物質センサ及び匂いセンサには、半導体センサが使用されており、この半導体センサとしては、酸化物半導体センサ、化合物半導体センサ、固体電解質センサ等が挙げられる。半導体センサの種類としては、酸化錫(SnO2)系と酸化亜鉛(ZnO)系や酸化タングステン(WO3)系等が用いられる。これらの半導体センサには、センシング感度を上げるために、アルミニウムなどの異種金属をドープしても良い。化合物半導体としては、IIIとV族(GaAs、GaP、InP等)の組み合わせやIV族同士(SiC)の組み合わせのものがあり、いずれを用いてもよい。固体電解質センサとしてはリチウム、カリウム、バリウムなどの炭酸塩が用いられる。いずれのセンサにおいても、危険有害性物質を捕らえられた場合の振動周波数変化や抵抗値変化あるいは、危険有害性物質が物理的に吸着する際の吸着熱や化学反応を伴う反応熱を電気的信号に変換する形態をとる。
【0026】
前記警告表示物質(D)としては、環境中に放出される都合上、環境を汚染することの少ない生分解性物質、あるいは、人体等に無害で一定期間で拡散、蒸発、気化等により消滅する物質を用いることが好ましい。また、その形態としては、粉末状または溶液状の染料、顔料及び塗料の1種以上か、粉末状または溶液状の着色発煙物質であることが好ましい。染料、顔料及び塗料の1種以上を用いた場合には、その後、比較的長期に渡って危険有害性物質の所在位置を明示し続けることができる。そのため、即時に危険有害性物質を処理できない場合でも、その場所に近づかないように周囲を封鎖するなどにより被害の防止が可能になる。警告表示物質(D)の色彩としては、特に限定されるものではないが、蛍光色を含むなど離れた場所からも容易に認識できることが好ましい。生分解性樹脂物質のマトリックス樹脂としては、ポリ乳酸、脂肪族ポリエステル、ポリエステルアミド、セルロース及びその誘導体、ビニルポリマーなどがあるが、これに限定されるものではない。
【0027】
前記危険有害性物質としては、天然、人工を問わず、様々な有害物質が対象となるが、有害物質が鉱毒や廃棄物から流出した毒素などの露出状態のものばかりでなく、地雷の起爆源であるTNTなどの容器の中に納められている危険有害性物質も、本発明の対象である。この場合、容器が気密にシーリングされている場合は、識別対象として扱うことはできない。地雷の場合は、識別対象となる危険有害性物質は、地雷のケーシングから漏洩するTNT(トリニトロトルエン)またはその誘導体である。
【0028】
前記センサ(C)、容器破壊手段(e2)および破壊(e3)を駆動するために、電源を使用する場合、それぞれ別々の電源を用意しても良いし、一つの電源(F)にて対応させても良い。この電源(F)としては、使用目的からして発電能力を持つことが望ましく、そのようなものとしては、太陽電池や、振動蓄電型電池が好適である。太陽電池を電源として用いる場合は、カプセル(A)の外表面に貼着することが好ましい。振動蓄電型電池の場合は、カプセル(A)の内壁に板バネなどの振動を増幅する部材を介して取り付けておくことが望ましい。
【0029】
前記警告表示物質(D)を収納可能な容器(e1)としては、プラスチックフィルム製の袋や、ガラスカプセルなどの破壊容易なものが好適に使用できる。この容器(e1)に対する容器破壊手段(e2)としては、プラスチックフィルム製の袋を破裂させる電気ヒューズや、ガラスカプセルに対するバネ機構などが使用できる。前記バネ機構としては、バネ部材の先端にハンマー様のおもりをつけておき、このバネ部材を付勢状態でトリガー固定しておき、前記電源を駆動源として前記トリガーを外す機構が用いられる。その他、同様の作用を行えるのであれば、容器(e1)の材質や形状にも、容器破壊手段(e2)の機構にも限定はない。例えば、生分解性プラスチックでカプセル(A)を二重壁構造に形成し、容器(e1)とカプセル(A)とを一体構造にしても良い。この場合、警告表示物質(D)は中心部空間に充填してもよいし、外周部空間に充填しても良い。これに対応して、危険有害性物質特異的認識物質(B)、センサ(C)などの他の構成要素は、二重壁構造の外周部の空間に収納するか、中心部の空間に収納する。そして、この場合、例えば、二重構造のカプセル(A)の少なくとも一部を薄く形成しておき、その薄厚部分を物理的打撃力もしくは熱衝撃力を発揮する容器破壊手段(e2)により破壊することによって、警告表示物質(D)をカプセル(A)の外部に放出し、危険有害性物質の所在を顕示する。
【0030】
また、前記容器破壊手段(e2)は、機械的に容器を破壊する手段に限らず、前記容器(e1)も機械的に破壊容易でなくてもよい。たとえば、前記容器(e1)として、簡易の圧力容器等も使用可能である。容器(e1)として圧力容器を用いる場合には、容器破壊手段(e2)を、圧力容器に接続した1本以上のチューブ(配管)とこのチューブに取り付けられた弁とから構成することも可能である。このチューブは、カプセル(A)の表面ないしは外側に開口するようにカプセル内に布設する。この場合、チューブの弁は熱により溶解して開栓するタイプでも良いし、簡易な電磁弁でも良い。弁が開状態になれば、圧力容器内の警告表示物質(D)はチューブ(配管)から勢いよく放出され、カプセル(A)の外側に散布されることになる。また、圧力容器の変形形態として、容器とこの容器に投入可能に設置された発泡剤とから構成した形態も可能である。危険物質を検知した時に前記発泡剤が容器内の警告表示物質(D)に投入され、容器内で発泡することにより容器内を陽圧にし、その圧力により容器が破壊され、カプセルの多数の孔から又は配管等を介して、警告表示物質(D)がカプセル(A)の外側に放出される。
【0031】
本発明に係る危険有害性物質センサユニットを構成するカプセル(A)やセンサ(C)や警告表示物質(D)を始めとする各構成要素は、容易に生分解性材料から構成可能なものはもちろんのこと、できるだけ多くの構成要素を生分解性材料もしくは環境汚染性の低い材料から構成することが大切である。生分解性材料などの環境汚染性の少ない材料により本発明にかかるセンサユニットを構成すれば、危険有害性物質の存在が疑われる地域であれば、いかなる場所であっても、環境汚染を心配することなく、本発明のセンサユニットを広域に散布することができ、それによって、より正確に危険有害性物質の所在を特定することが可能になる。
【0032】
前記第1の危険性物質センサユニットに、さらに、前記センサ(C)の検知信号を受けて位置情報信号を発信する位置情報発信手段(G)を装着しても良い。この位置情報発信手段(G)としては無線信号を持続的ないし間欠的に発信可能な周知の無線チップを用いることができる。
【0033】
前記位置情報発信手段(G)を装着すれば、目視可能な範囲をさらに超えたより広大な範囲が探索可能となる。自動車等の移動手段に無線受信機能とGPS(全地球測位システム)機能等の信号位置割り出し機能とを組み込んでおき、広大な範囲にカプセルを散布した後、危険性物質を検知したカプセルからの無線信号を受信すれば、即座に、その発信位置に向かい、確認することができる。この場合、前記警告表示物質(D)の放出も同時に行うようにしておけば、発信位置に近づいた後は、さらに目視により危険性物質の所在位置を確認することができる。
【0034】
前記構成のセンサユニットにおいて、警告表示物質(D)による検出を行わず、位置情報発信手段(G)のみにより危険有害性物質の検出も可能である。そのような構成に限定したのが、本発明の第2の危険有害性物質センサユニットである。すなわち、本発明の第2の危険有害性物質センサユニットは、カプセル(A)と、該カプセル(A)に取り付けられ危険有害性物質と特異的に結合する危険有害性物質特異的認識物質(B)と、前記危険有害性物質特異的認識物質(B)が前記危険有害性物質と特異的に結合したことを検知するセンサ(C)と、前記センサ(C)の検知信号を受けて位置情報を発信する位置情報発信手段(G)と、を具備してなることを特徴とする。
【0035】
この第2のセンサユニットでは、検出を無線信号のみによって行うので、カプセルを破壊する必要もなく、カプセル設計の自由度が高く、製造が容易となる。また、検知したときに信号を発する設定以外に、受信機能を付与しておき、コントロールセンターからの信号を受けて、任意に信号を発することを可能にしておけば、探索の完了した区域に残存するセンサユニットを回収することも可能になる。その場合には、センサユニットを構成する材料を特に生分解性材料に限定する必要はなくなる。
【0036】
本発明の危険有害性物質センシングシステムは、前記第1もしくは第2のセンサユニットを用いることに特徴があり、いかなる地理的環境下においても、安全、かつ確実に危険有害性物質を検出することを可能とするシステムである。
【実施例】
【0037】
以下、本発明の実施例を説明するが、以下に示す実施例は、本発明を好適に説明する例示に過ぎず、なんら本発明を限定するものではない。
【0038】
(実施例1)
図1は、本発明に係る危険有害性物質センサユニットの第1の実施例を示す断面構成図である。図中、符号1は、カプセル(カプセル(A))であり、このカプセル1は生分解性プラスチック製の断面楕円状の球状殻体であり、多数の孔1aが形成されている。このカプセル1の中央にはカプセル1内を2室に仕切る中央仕切壁2が形成されている。
【0039】
前記中央仕切壁2により仕切られた一方の室にはプラスチックフィルム製の袋体(容器(e1))3に充填された染料(警告表示物質(D))4が収納されており、他方の室には、電源(F)としての振動蓄電型電池5と、表面に危険有害性物質特異的認識物質(B)6が塗布されたセンサ(C)7とが設けられている。前記振動蓄電型電池5はバネ部材8を介してカプセル1の内壁に固定されており、カプセル1が搬送中もしくは散布された場合に生じる振動が微弱であった場合でも、バネ部材8によって振動が増幅され、電池5の蓄電が行われるようになっている。前記センサ7は、カプセル1の壁面に平行に形成された部分的仕切壁9によって支持されており、前記電池5から電源の供給を受けるようになっている。前記危険有害性物質特異的認識物質6としては、例えば、危険有害性物質がTNTである場合、このTNTまたはその誘導体を特異的に認識する特異抗体分子や、TNTに特異的に結合するアプタマー(アプタマ核酸)を用いる。アプタマーを危険有害性物質特異的認識物質6として用いてTNTを検知する場合には、センサ7として水晶振動しセンサユニットを用いる。この場合、アプタマーの分子を水晶振動子センサユニット表面に固定化し、TNTまたはその誘導体がこれらの分子にトラップされることによる振動の変化を検知する。
【0040】
前記中央仕切壁2の中心部分には連絡孔2aが形成されており、この連絡孔2aを中心にした中央仕切壁2の前記染料4側には、ヒューズ材10が染料4を収納している袋体3に密着するようにして、固定されている。このヒューズ材10が取り付けられている中央仕切壁2の反対面にはスイッチ装置11が取り付けられており、このスイッチ装置11には前記電池5からの電力線が接続され、その出力電力線が前記ヒューズ材10に接続されている。さらに、このスイッチ装置11には前記センサ7からの信号線が接続され、センサ7から検知信号が送られると、それに反応して前記電池5からの電力を前記ヒューズ材10に流すように設定されている。なお、前記構成において、ヒューズ材10とスイッチ装置11とは、容器破壊手段(e2)を構成している。
【0041】
前記構成において、危険有害性物質が危険有害性物質特異的認識物質6と結合し、これをセンサ7が検知し、電池5から電力が流されるとヒューズ材10は高温になり溶けると同時に前記プラスチックフィルム製の袋体3を溶かして破壊(破袋)させ、内部の染料4を解放することになる。解放された染料4は、カプセル1の多数の孔1aを通ってカプセル1の外に流れ出し、遠方からでも確認することができることになる。
【0042】
(実施例2)
図2は、本発明に係る危険有害性物質センサユニットの第2の実施例を示す断面構成図である。図中、符号20は、カプセル(カプセル(A))である。このカプセル20は、生分解性プラスチック製の半割球体21,22を組み合わせてなる断面楕円状の球状殻体であり、二重壁構造を有する。前記半割球体21,22はO−リング状の熱溶融性接着剤23によって一体的に結合されて、断面楕円状で2重壁構造のカプセル20を構成している。このカプセル20の外側の殻体20aには多数の孔20a1が形成されている。一方、内側の殻体20bには孔は形成されておらず、内側の殻体20bは警告表示物質(D)を収納する容器(e1)として、その内部は液密空間となっており、内部には警告表示物質(D)としての染料24が充填されている。
【0043】
前記外側の殻体20aの外表面には、太陽電池パネル25aが多数貼付されており、これらパネル25aにて発生した電力を蓄電する太陽電池蓄電部25bは、前記外側の殻体20aと内側の殻体20bとの間の空間に収納されている。これらパネル25aと蓄電部25bとから、電源(F)としての太陽電池25が構成されている。前記太陽電池の蓄電部25bが収納されている空間には、さらに表面に危険有害性物質特異的認識物質(B)26が塗布されたセンサ(C)27と、スイッチ装置28とが取り付けられている。前記センサ27は、前記蓄電部25bから電源の供給を受けるようになっている。前記危険有害性物質特異的認識物質26としては、例えば、危険有害性物質がTNTである場合、このTNTまたはその誘導体を特異的に認識する特異抗体分子や、TNTに特異的に結合するアプタマー(アプタマ核酸)を用いる。アプタマーを危険有害性物質特異的認識物質26として用いてTNTを検知する場合には、センサ27として水晶振動しセンサユニットを用いる。この場合、アプタマーの分子を水晶振動子センサユニット表面に固定化し、TNTまたはその誘導体がこれらの分子にトラップされることによる振動の変化を検知する。
【0044】
前記O−リング状の接着剤23中にはリング状のニクロム線29が埋め込まれており、その分岐線が前記スイッチ装置28に接続されている。このスイッチ装置28には前記蓄電部25bからの電力線が接続されるとともに、前記センサ27からの信号線が接続されている。このスイッチ装置28に前記センサ27から検知信号が送られると、それに反応して前記蓄電部25bからの電力を前記ニクロム線29に流すように設定されている。なお、前記構成において、ニクロム線29とスイッチ装置28とは、破壊手段(e3)を構成している。
【0045】
前記構成において、危険有害性物質が危険有害性物質特異的認識物質26と結合し、これをセンサ27が検知し、太陽電池の蓄電部25bから電力が流されるとニクロム線29は高温になり、前記接着剤23を溶かす。その結果、半割球体21と22とが分割して、内部の染料24を解放することになる。解放された染料24は、カプセル20の外に流れ出し、遠方からでも確認することができることになる。
【0046】
前記構成の危険有害性物質センサユニットを用いたセンシングシステムは、危険有害性物質の所在が疑われる領域に多数の前記センサユニットを均一に散布するだけで識別システムが開始される。その後は、危険有害性物質センサユニットが危険有害性物質に近接してセンサが反応すれば、前述のようにして、自動的に染料が散布され、危険位置を容易に特定することができる。
【0047】
(実施例3)
図3は、本発明に係る危険有害性物質センサユニットの第3の実施例を示す断面構成図である。本発明の実施例1を示す図1と同一構成要素には、同一符号を付して説明を簡略化する。
【0048】
本実施例3のセンサユニットの特徴は、前記実施例1の危険有害性物質センサユニットに、前記センサ7の検知信号を受けて無線信号を発信する無線チップ(位置情報発信手段(G))30を追加的に装着している点にある。この無線チップ30には、無線信号を発信するための電力を供給するために、電池5からの電力線が接続されている。さらに、この無線チップ30には、センサ7からの信号線が接続されている。この無線チップ30にセンサ7から検知信号が送られると、それに内蔵のスイッチ機構が反応して、無線チップ30は無線信号を発信する。
【0049】
本実施例のセンサユニットによれば、危険有害性物質を検知した場合に、染料4がカプセルの外に流れ出し、遠方から確認できるばかりでなく、流れ出した染料4を目視にて確認できないような更に遠方においても、無線信号を受信する機器が有れば、容易に危険有害性物質の所在を確認可能となる。
【0050】
本実施例のセンサユニットを用いたセンシングシステムとして、自動車等の移動手段に無線受信機能とGPS(全地球測位システム)機能等の信号位置割り出し機能とを組み込んで、移動可能な無線発信源検知システムを構成し、この無線発信源検知システムを用いた広域検知システムが可能となる。このシステムによれば、広大な範囲にカプセルを散布した後、危険性物質を検知したカプセルからの無線信号を受信することにより、即座に、その発信位置に向かい、確認することができる。この場合、前記染料(警告表示物質(D))4の放出も同時に行うようにしておけば、前記移動手段が発信源に近づいた後は、さらに目視により危険性物質の所在位置を確認することができる。
【0051】
(実施例4)
図4は、本発明の第4の実施例を示すもので、この実施例の特徴は、前記構成のセンサユニットにおいて、警告表示物質(D)と表示物質放出手段(E)による検出を行わず、位置情報発信手段(G)のみにより危険有害性物質の検出を行う点にある。
【0052】
図4において、符号41はカプセルを示すもので、このカプセル41は、好ましくは生分解性樹脂による一体成形品であり、サイズとしては、野球ボールやゴルフボール程度の大きさの好適であるが、特に限定はされない。このカプセル41には、複数の孔41aが形成されている。カプセル41の外表面には、太陽電池パネル42aが多数貼付されており、これらパネル42aにて発生した電力を蓄電する太陽電池蓄電部42bは、カプセル41の内壁部の一部に固定されている。これらパネル42aと蓄電部42bとから、電源(F)としての太陽電池42が構成されている。さらにカプセル41の内壁部の大部分には、表面に危険有害性物質特異的認識物質(B)43が塗布されたセンサ(C)44が取り付けられている。
【0053】
前記センサ44は、前記蓄電部42bから不図示の電力線を介して電力の供給を受けるようになっている。前記危険有害性物質特異的認識物質43としては、例えば、危険有害性物質がTNTである場合、このTNTまたはその誘導体を特異的に認識する特異抗体分子や、TNTに特異的に結合するアプタマー(アプタマ核酸)を用いる。アプタマーを危険有害性物質特異的認識物質43として用いてTNTを検知する場合には、センサ44として水晶振動しセンサユニットを用いる。この場合、アプタマーの分子を水晶振動子センサユニット表面に固定化し、TNTまたはその誘導体がこれらの分子にトラップされることによる振動の変化を検知する。さらにまた、カプセル41の内壁部の一部には、無線チップ(位置情報発信手段)45が固定されている。
【0054】
前記無線チップ45には、無線信号を発信するための電力を供給するために、前記蓄電部42bから不図示の電力線を介して電力が供給可能となっている。そして、この無線チップ45には、前記センサ44から不図示の信号線を介して検知信号が送られるようになっている。この無線チップ45にセンサ44から検知信号が送られると、それに内蔵のスイッチ機構が反応して、無線チップ45は無線信号を発信する。
【0055】
本実施例のセンサユニットによれば、危険有害性物質を検知した場合に、無線信号が発信されるので、カプセルを目視により確認できない遠方からでも、無線信号を受信する機器が有れば、容易に危険有害性物質の所在を確認可能となる。
【0056】
本実施例4のセンサユニットを用いたセンシングシステムとして、前記実施例3の場合と同様に、自動車等の移動手段に無線受信機能とGPS(全地球測位システム)機能等の信号位置割り出し機能とを組み込んで、移動可能な無線発信源検知システムを構成し、この無線発信源検知システムを用いた広域検知システムが可能となる。このシステムによれば、広大な範囲にカプセルを散布した後、危険性物質を検知したカプセルからの無線信号を受信することにより、即座に、その発信位置に向かい、確認することができる。
【0057】
なお、この実施例4のセンサユニットでは、検出を無線信号のみによって行うので、カプセルを破壊する必要もなく、カプセル設計の自由度が高く、製造が容易となる。また、検知したときに信号を発する設定以外に、受信機能を付与しておき、コントロールセンターからの信号を受けて、任意に信号を発することを可能にしておけば、探索の完了した区域に残存するセンサユニットを回収することも可能になる。その場合には、センサユニットを構成する材料を特に生分解性材料に限定する必要はなくなる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
以上説明したように、本発明の危険有害性物質センサユニットおよびそれを用いた危険有害性物質センシングシステムは、その対象物質を安全に感度よく捕らえることができ、しかも、染料などの警告表示物質を周囲へ放出することにより、対象物質である危険有害性物質の所在位置を遠隔からも目視により容易に確認可能とする。したがって、識別を行うに当たって、識別者を危険にさらすことがなく、取り扱い上安全であり、コンパクトかつ安価に提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明のセンサユニットの第1の実施例を示す断面構成図である。
【図2】本発明のセンサユニットの第2の実施例を示す断面構成図である。
【図3】本発明のセンサユニットの第3の実施例を示す断面構成図である。
【図4】本発明のセンサユニットの第4の実施例を示す断面構成図である。
【符号の説明】
【0060】
1,20,41 カプセル(カプセル(A))
3 プラスチックフィルム製の袋体(容器(e1))
4,24 染料(警告表示物質(D))
5 振動蓄電型電池(電源(F))
6,26,43 危険有害性物質特異的認識物質(危険有害性物質特異的認識物質(B))
7,27,44 センサ(センサ(C))
8 バネ部材
10 ヒューズ材(表示物質放出手段(E))
11,28 スイッチ装置(表示物質放出手段(E))
23 O−リング状の熱溶融性接着剤
25,42 太陽電池(電源(F))
29 ニクロム線(表示物質放出手段(E))
30,45 無線チップ(位置情報発信手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カプセル(A)と、該カプセル(A)に取り付けられ危険有害性物質と特異的に結合する危険有害性物質特異的認識物質(B)と、前記危険有害性物質特異的認識物質(B)が前記危険有害性物質と特異的に結合したことを検知するセンサ(C)と、前記カプセル(A)内に収納された警告表示物質(D)と、前記センサ(C)の検知信号を受けて前記警告表示物質(D)を前記カプセル(A)の外に放出させる表示物質放出手段(E)と、を具備してなる危険有害性物質センサユニット。
【請求項2】
前記カプセル(A)が前記危険物質透過性を有するとともに、前記危険物質特異的認識物質(B)とセンサ(C)が前記カプセル(A)内に収納されていることを特徴とする請求項1に記載の危険有害性物質センサユニット。
【請求項3】
前記警告表示物質(D)が前記カプセル(A)内に収納されていることを特徴とする請求項1または2に記載の危険有害性物質センサユニット。
【請求項4】
前記表示物質放出手段(E)が、警告表示物質(D)を収納する容器(e1)と、該容器(e1)を破壊する容器破壊手段(e2)とから構成され、前記容器(e1)の破壊後、前記警告表示物質(D)が前記危険物質透過性カプセル(A)を透過して該カプセル(A)の外部に放出されることを特徴とする請求項3に記載の危険有害性物質センサユニット。
【請求項5】
前記表示物質放出手段(E)が、警告表示物質(D)を収納する容器(e1)と、該容器(e1)と前記カプセル(A)とを破壊する破壊手段(e3)とから構成されていることを特徴とする請求項3に記載の危険有害性物質センサユニット。
【請求項6】
前記カプセル(A)が多孔性構造を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の危険有害性物質センサユニット。
【請求項7】
前記多孔性構造のカプセル(A)が生分解性樹脂から構成されていることを特徴とする請求項6に記載の危険有害性物質センサユニット。
【請求項8】
前記カプセル(A)が気液透過性材料から構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の危険有害性物質センサユニット。
【請求項9】
前記危険有害性物質特異的認識物質(B)がアプタマーであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の危険有害性物質センサユニット。
【請求項10】
前記危険有害性物質特異的認識物質(B)が抗体であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の危険有害性物質センサユニット。
【請求項11】
前記危険有害性物質特異的認識物質(B)が分子鋳型であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の危険有害性物質センサユニット。
【請求項12】
前記センサ(C)がQCM(水晶振動子マイクロバランス)であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の危険有害性物質センサユニット。
【請求項13】
前記センサ(C)が半導体センサであることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の危険有害性物質センサユニット。
【請求項14】
前記センサ(C)が酸化物半導体センサであることを特徴とする請求項13に記載の危険有害性物質センサユニット。
【請求項15】
前記センサ(C)が化合物半導体センサであることを特徴とする請求項13記載の危険有害性物質センサユニット。
【請求項16】
前記センサ(C)が固体電解質センサであることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の危険有害性物質センサユニット。
【請求項17】
前記警告表示物質(D)が生分解性物質から構成されていることを特徴とする請求項1〜16のいずれか1項に記載の危険有害性物質センサユニット。
【請求項18】
前記警告表示物質(D)が染料、顔料及び塗料の1種以上であることを特徴とする請求項1〜17のいずれか1項に記載の危険有害性物質センサユニット。
【請求項19】
前記警告表示物質(D)が着色発煙物質であることを特徴とする請求項1〜17のいずれか1項に記載の危険有害性物質センサユニット。
【請求項20】
前記危険有害性物質が地雷内部から放出される化学物質であることを特徴とする請求項1〜19のいずれか1項に記載の危険有害性物質センサユニット。
【請求項21】
前記地雷内部から放出される化学物質がTNT(トリニトロトルエン)またはその誘導体であることを特徴とする請求項20に記載の危険有害性物質センサユニット。
【請求項22】
前記カプセル(A)には前記センサ(C)、容器破壊手段(e2)および破壊手段(e3)の少なくともいずれか一つを駆動する電源(F)がさらに搭載されていることを特徴とする請求項1〜21のいずれか1項に記載の危険有害性物質センサユニット。
【請求項23】
前記電源(F)が太陽電池であることを特徴とする請求項22に記載の危険有害性物質センサユニット。
【請求項24】
前記電源(F)が振動蓄電型の電源であることを特徴とする請求項22に記載の危険有害性物質センサユニット。
【請求項25】
さらに、前記センサ(C)の検知信号を受けて位置情報信号を発信する位置情報発信手段(G)が装着されていることを特徴とする請求項1〜24のいずれか1項に記載の危険性物質センサユニット。
【請求項26】
カプセル(A)と、該カプセル(A)に取り付けられ危険有害性物質と特異的に結合する危険有害性物質特異的認識物質(B)と、前記危険有害性物質特異的認識物質(B)が前記危険有害性物質と特異的に結合したことを検知するセンサ(C)と、前記センサ(C)の検知信号を受けて位置情報を発信する位置情報発信手段(G)と、を具備してなる危険有害性物質センサユニット。
【請求項27】
請求項1〜25のいずれか1項記載の危険有害性物質センサユニットを用いた危険有害性物質センシングシステム。
【請求項28】
請求項26に記載の危険有害性物質センサユニットを用いた危険有害性物質センシングシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−170722(P2006−170722A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−361795(P2004−361795)
【出願日】平成16年12月14日(2004.12.14)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】