説明

即効薬剤組成物

急性疾患の治療用薬剤組成物を記載する。本組成物は、担体粒子の表面に接着している微粒子状態の、少なくとも1種の薬剤活性剤の本質的に無水である規則性混合物を含み、この担体粒子は前記1種または複数の活性剤粒子よりも実質的に大きく、本質的に水に不溶かまたは難溶で、生体接着および/または粘膜接着促進剤が組み合わさって、前記担体粒子の表面に接着している。本組成物は、舌下または鼻腔内投与を基本的に目的とする。本発明はまた、本組成物の調製方法および急性疾患を治療するための本組成物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤を舌下または鼻腔内投与するための即効薬剤組成物、このような組成物を調製するための方法およびこのような組成物の使用によって急性疾患を治療するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
急性および/または重症の疾患は、救急治療や入院の一般的な原因理由である。このタイプの疾患でもっとも共通するのは、急性疼痛または突出痛である。癌患者では、疼痛は通常、単独または併用の非ステロイド抗炎症性薬(NSAID)およびアヘン製剤で治療する。オピオイドを必要とする癌の疼痛患者には、通常持続性アヘン製剤(持続性モルヒネまたはケトベミドンあるいは経皮性フェンタニル)を投与する。癌の疼痛に固有な特質に、不充分な鎮痛 (突出痛)の時期がある。そうした疼痛はほとんどの場合、患者の身体的活動が増加したことに起因する。しかし、長時間作用性の鎮痛薬を臨時に投与する回数を増加させて一時的な激痛を治療することは、過剰鎮静作用、嘔吐および便秘などの有害な副作用を引き起こす。
【0003】
速効性の治療を必要とする他の疾患および病状には、たとえば、肺浮腫、胃食道逆流現象、不眠症および腎結石症がある。
【0004】
現在利用可能な口腔、直腸、鼻腔内または舌下製剤は、作用発現までに比較的長い時間を要するまたは不安定な吸収特性を有し、急性疾患のコントロールにはあまり適していない。
【0005】
手術/手術後または外傷性/外傷後の急性疼痛状態のみならず重症な疾病(たとえば、心筋梗塞、腎結石症など)に起因する疼痛は、通常オピオイド鎮痛薬を非経口(静脈または筋肉内投与)的に投与し鎮痛効果を迅速に発現させて治療する。このような場合に、迅速に作用発現する経口代替物には、治療的にかなり興味が持たれる。また他の急性疾患を治療するためにも、非経口または直腸投与の代わりに経口または鼻腔経由で投与し得る速効性治療組成物を提供することはかなり興味深いことである。
【0006】
しかし、経口的に投与すれば有利と思われる多くの薬剤活性剤は、嚥下に適さない。たとえば、胃腸の消化液によって不活性化される、水性媒体への溶解性が低いため作用が遅い、ペプチドホルモンが例に挙がるように、胃腸酵素による代謝を非常に受けやすく、吸収特性が低いことがある。したがって、活性成分が口腔または鼻腔の粘膜から取り込まれるように計らうことがより好ましい。口腔に関しては、もっとも好ましい投与方法は、舌下経路経由である。この投与方法では、投与単位の薬剤組成物を舌下に置き、それを取り巻く粘膜を通して活性成分を吸収させる。しかし、この投与方法では、唾液を飲み込むことによって患者が薬剤を飲み込んでしまうリスクがよく知られる。
【0007】
急性疼痛の治療には、フェンタニル、N-(1-フェネチル-4-ピペリディル)-プロピオアニリドまたはその薬剤として許容される塩の一種を使用し得る。この化合物はオピオイドアゴニストであり、モルヒネおよびメペリジンなどのアヘン剤の薬力学作用の多くを共有している。しかしこれらのアヘン剤と比較すると、フェンタニルは、催眠作用をほとんど示さず、ヒスタミン分泌を誘導することが稀で、また呼吸抑制もより短時間に終わる。フェンタニルは、静脈内、頬内(経粘膜口内錠)および経皮投与用に市販されている。
【0008】
フェンタニルの非経口投与後には、鎮痛作用はモルヒネおよびメペリジンよりもより速いが、長くは続かない。すなわち、投与後に鎮痛効果が現れるのが早く、鎮痛効果のピークは数分以内に得られる。口内錠によって頬内投与すると、口内錠は通常30分以内に完全に消費され、最高血漿濃度は約20分後に現れる。これは、たとえばFarrarらが、J. Natl. Cancer Inst., 1998, 90(8), p. 611-616に記載している。鎮痛は5〜15分以内に明らかとなり、約20〜50分後にピークに達する。これが胃腸吸収用経口投与をめぐる改良であるが、より早く鎮痛を開始させることが、患者にとって実質的に恩恵であろう。さらに、患者は口内錠に投与した相当量のフェンタニルを嚥下する。これは望ましいことではなく、薬物の過剰量投与をもたらし、副作用を生じるかもしれない。
【非特許文献1】Farrarら、J. Natl. Cancer Inst., 1998, 90(8), p. 611-616
【特許文献1】欧州特許(EP)第0,324,745号
【特許文献2】PCT出願国際公開(WO)第00/16750号公報
【非特許文献2】G. Salaら、Proceed. Int. Symp. Contr. Release. Bioact. Mat. 16:420, 1989)
【非特許文献3】Pharmaceutical Dosage Forms: Tablets. Volume 1, 2nd Edition, Lieberman H Aら; Eds.; Marcel Dekker, New York and Basel 1989, p. 354-356
【非特許文献4】Erikssonら1990
【非特許文献5】Alderbornら1985
【非特許文献6】Westerberg 1992; Sundell-Bredenberg and Nystron 2001
【非特許文献7】Corneら、1974
【非特許文献8】Alderbornら、1985
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、少なくとも1種の薬剤活性剤を、この1種または複数の作用剤の薬理学上有効な血漿濃度を投与から短時間以内に生じるような方法で経口または鼻腔内投与することによって行う急性疾患の治療を提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、この目的に適合する薬剤組成物を提供することである。
【0011】
本発明の別の目的は、このような組成物を製造する方法を提供することである。
【0012】
本発明の別の目的は、急性疾患の治療に有用な生理学的に有効な投与量の少なくとも1種の製薬上活性な化合物を含有する舌下または鼻腔内投与用の医薬品を製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によると、急性疾患の経口治療は、薬理学上有効な量の少なくとも1種の薬剤活性剤を含む規則性混合物を舌下投与することを含む。この1種または複数の作用剤を、生体接着および/または粘膜接着を促進する化合物と組み合わせて舌下に投与する。また、同様の組成物は、同じような方法で鼻腔内投与することも有効である。
【0014】
さらに本発明によると、少なくとも1種の薬剤活性剤を薬理学的に有効量含む舌下または鼻腔内投与用の単回投与の薬剤組成物もまた提供される。本組成物はまた、生体接着または粘膜接着を促進する化合物も含有する。本組成物は、飲み込まれた唾液を介した不安定な薬物吸収を減らし、前記1種または複数の作用剤の少量の投与を可能にする。したがって、副作用のリスクおよび患者内だけでなく患者間の治療応答のばらつきを実質的に減らす。これによって、薬物蓄積のリスクが減り、急性疾患に罹っている患者に繰り返し投与するに十分適した薬剤調製物が製造される。
【0015】
本発明の薬剤組成物に含有される1種または複数の活性剤の量は、担当医師によって評価されるべきいくつかの因子に明らかに依存する。このような因子には、使用する具体的な作用剤、治療する疾患のタイプ、患者の医学的状態、などが挙げられる。
【0016】
フェンタニルを、急性疼痛または突出痛の治療に使用する場合、本発明の組成物は、0.05から20重量%までのフェンタニルまたは薬剤として許容される塩の一種を含むべきである。組成物は0.05〜5重量%のフェンタニル、特に0.1から1重量%を含むことがより好ましい。また含有量は、錠剤などの組成物の投与単位中のフェンタニルの量として表わすこともできる。この場合、投与単位は0.025〜10mg、好ましくは0.05〜2mgのフェンタニルを含むべきである。フェンタニルを塩の状態で使用する場合、こうしたパーセンテージおよび量はそれ相応に計算しなおすべきである。
【0017】
さらに、本発明によると、舌下または鼻腔内組成物は、微粉末状の製薬上活性な1種または複数の作用剤で被覆された1種または複数の生体接着および/または粘膜接着性担体物質の規則性混合物を含む。本発明によると、前記1種または複数の担体物質は、水に不溶かまたは難溶である。「規則性混合物」という用語は、微粉末等級の活性成分をそれより粒の粗い賦形剤粒子と均質に混合して使用することを意味する。さらに、前記薬物微粒子は、一次粒子として賦形剤(担体)粒子の表面に付着することが不可欠である。また「相互作用性混合物」または「接着性混合物」といった用語もまたここでは交換可能に使用できる。
【0018】
本発明による組成物は、欧州特許(EP)第0,324,745号に開示される急速溶解規則性混合物組成物を配合するための技法を改変した方法を使用して配合することが好ましい。これらの組成物では、細分散状態の薬物が、実質的により大きな水溶性担体粒子の表面を被覆している。このような組成物は、水中で急速に崩壊することによって、微細な薬物粒子の配合物を分散する。
【0019】
規則性混合物からの微粒子薬物の引き離しは、これまでは可溶性担体の使用と関連付けられてきた。この手法は、担体が急速に溶解することによって、薬物微粒子を迅速に解放することが特徴である。分離した単位として存在しているこれらの薬物粒子が次に、好ましい流体力学によって急速に溶解することになる。この手法は、以前は、大量の溶解液を使用する場合に限られていた。この手法は、溶解が飽和現象または好ましくない流体力学によって妨げられないような大量の溶解液に対して薬物粒子を遊離する場合だけに限定されると理解されてきた。
【0020】
しかし、PCT出願国際公開(WO)第00/16750号公報では、溶解性担体を有する規則性混合物を舌下投与に適用している。口腔中の溶解液(唾液)の量は限られるにもかかわらず、急速溶解およびそれに続く薬物の取り込みが達成可能であることがわかった。現在は、予想外なことであるが、不溶または難溶の担体を使用しても同じ結果となることが認識されている。分離した(すなわち非凝集状態)の薬物粒子をそれより粒の粗い担体粒子の表面に最適に露出させることが、急速溶解を決定づける因子であるようだ。薬物が主要錠剤成分の表面に置かれているので、溶解の前に、不溶性担体からこれらの薬物粒子が遊離していないにもかかわらず、溶解にかかわる表面積が大きいことによって急速な溶解が生じることになる。したがって、薬物が微粒子状で、分離した非凝集単位である限り、担体に付着している薬物粒子から薬物が急速に分離できる。他の前提条件は、薬物を低割合で使用することにある。投与量は10mgより少ないことが好ましく、2mgより少ないことがより好ましい。
【0021】
溶解性担体を凌ぐ不溶性担体の利点は、これより微粒の生体/粘膜付着成分によって被覆された後、粘膜付着性向が改善されたことにある。溶解性担体は、投与後すぐに溶解を開始することにより、粘膜付着性が低下することがわかった。一方で、生体接着性粒子によって被覆された不溶性担体は、長期間粘膜に接着されたまま残り、粘膜接着性が改善される結果となる。これについては実施例1でさらに説明する。
【0022】
生体接着および/または粘膜接着促進剤は、本発明の担体粒子に追加的に添加される。生体接着および/または粘膜接着促進剤は、1種または複数の活性剤を口腔または鼻腔の粘膜に接着させるのに有効であり、さらに水と接触して膨潤かつ膨張する性質を有していてもよい。したがって、生体接着および/または粘膜接着促進剤は、担体粒子の表面に存在していなければならない。
【0023】
「粘膜接着」という表現は、口腔にある粘膜などの粘液に覆われている粘膜に対する接着を意味するが、一方「生体接着」という表現は、粘液に覆われていない粘膜を含めた、より一般的な生体表面に対する接着を意味する。これらの表現は一般的に規定が重複し、「生体接着」が幾分広い範囲を有するが、通常互いに入れ換えて使用してもよい。本発明の明細書および請求の範囲では、この2つの表現は本発明の目的に関しては同じ目的で働き、「生体/粘膜接着」という共通用語を使用して表現している。
【0024】
担体粒子は全組成物の0.1〜40までの重量%の生体/粘膜接着促進化合物を含有することが適切である。実際には、1重量%未満の含有量では、生体/粘膜接着効果が不十分であることがわかっている。好ましい生体/粘膜接着促進化合物の含有量は、2〜25重量%である。
【0025】
生体/粘膜接着促進化合物は、ポリマー物質であることが好ましく、約5,000(重量平均)を上回る平均分子量を有する物質であることが好ましい。粘膜接着促進化合物の界面の水和の程度は、生体/粘膜接着力の開発にあたって重要である。つまり、ポリマーの膨潤が早ければ早いほど、生体/粘膜接着の開始が早くなる。また、水和作用によって、生体接着化合物は、本発明による吸収エンハンサーとして有用なものとなる。
【0026】
担体の粒子径は750μm未満が好ましく、50〜500μmがより好ましい。指示された範囲外の粒子径でも使用できるが、このような粒子径を有する粒子から薬剤調製物を配合する際の経験から、実践では難しい。使用される担体には、薬剤として許容される物質であって、水に不溶または難溶であって、生体/粘膜接着促進剤の取り込みに適した粒子に配合可能であるいかなる物質を含んでもよい。このような物質は数多く当分野の技術者に知られている。適切な例には、セルロース(微結晶質セルロース)、セルロース誘導体、デンプン、デンプン誘導体、たとえばデンプン、セルロースベースの架橋ポリマーおよびポリビニルピロリドンなどのポリマー類が挙げられる。さらに、リン酸カルシウム、リン酸二カルシウム水和物、リン酸二カルシウム二水和物、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウムおよび硫酸バリウムなどの無機塩も使用できる。また上記記載の物質の混合物または混合抽出物も使用可能である。
【0027】
本発明の特に好ましい態様によると、担体もまたフラグメンテーション挙動を有している。フラグメンテーション挙動とは、薬剤組成物(担体がその一部を形成している)を圧縮して錠剤とする際に、担体が容易に粉砕され破壊される程度に壊れやすい物質であることを意味する。この効果は、生体/粘膜接着促進剤が崩壊剤としても作用する場合に特に顕著である。リン酸二カルシウムが、フラグメンテーション促進剤として特に適することがわかっている。
【0028】
薬剤として許容される界面活性剤を組成物に添加することもまた本発明の好ましい特徴である。界面活性剤の濡れ性向上効果は、担体粒子の濡れ性を高め、生体/粘膜接着の開始を早める結果となる。界面活性剤は、細かく分散した状態で、1種または複数の活性剤と均質に混合すべきである。界面活性剤の量は、組成物の0.5〜5重量%であるべきで、したがって0.5〜3重量%が好ましい。
【0029】
適切な界面活性剤の例には、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート、胆汁酸塩、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0030】
当分野で既知の種々のポリマーが、生体/粘膜接着促進剤として使用できる。その重合性に加えて、ポリマーの膨潤能が重要である。一方、ポリマーが実質的に水に不溶であることもまた重要である。水または唾液と接触させたときの体積膨潤率は、好ましくは少なくとも10倍にすべきであるが、少なくとも20倍がより好ましい。このような生体/粘膜接着促進剤の例には、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(NaCMC)、中程度に架橋したデンプンなどのデンプン誘導体、カルボマーおよびその誘導体(ポリカルボフィル、カルボポール(登録商標)など)などのアクリル系ポリマー、ポリエチレンオキサイド(PEO)、キトサン(ポリD-グルコサミン)、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、ペクチンなどの天然ポリマー類、スクレログルカン、キサンタンガム、グアガム、メチルビニルエーテル/マレイン酸無水物の共重合体、およびクロスカラメロースが含まれる。2つ以上の生体/粘膜接着性ポリマーを組み合わせても使用できる。より一般的には、生体/粘膜接着性を示す生理学的に許容可能な作用剤なら何でも担体中に取り入れ可能に使用することができる。生体/粘膜接着性は、たとえば、サラら(G. Sala et al., Proceed. Int. Symp. Contr. Release. Bioact. Mat. 16:420, 1989)に従ってインビトロで決定できる。
【0031】
代表的生体/粘膜接着性ポリマーの市販の適切な供給源には
カーボポル(Carbopol(登録商標))アクリル系ポリマー-BFグッドリッチ化学会社(BF Goodrich Chemical Co)クリーブランド、08、米国;
HPMC-ダウ化学会社(Dow Chemical Co.)、ミッドランド、MI、米国;
NEC(ナトロゾル(Natrosol))-ヘラクレス社(Hercules Inc.)、ウイルミントン、DE、米国;
HPC(クルセル(Klucel(登録商標)-ダウ化学会社、ミッドランド、MI、米国;
NaCMC-ヘラクレス社、ウイルミントン、DE、米国、
PEO-アルドリッチ化学(Aldrich Chemicals)、米国;
アルギン酸ナトリウム-エドワードマンデル社(Edward Mandell Co., Inc.)、カーメル、NY、米国;
ペクチン-BFグッドリッチ化学会社、クリーブランド、OH、米国;
エーシージゾル(Ac-Di-Sol、登録商標)(高膨潤性を有する変性セルロースガム)-エフエムシー社(FMC Corp.)、米国;
アクチガム(Actigum)-メロロゼットサティア(Mero-Rousselot-Satia)、Baupte、フランス;
サティアキサン(Satiaxane)-サノフィバイオ工業(Sanofi Bioindustries)、パリ、フランス;
ガトレッツ(Gantrez、登録商標)-ISP、ミラノ、イタリア;
キトサン-シグマ社、セントルイス、MS、米国;
【0032】
使用する生体/粘膜接着促進剤のタイプおよび割合によって、生体/粘膜接着率および強度は変わり得る。本発明の好ましい態様によると、高率かつ急速膨張性を有する物質が好ましい。
【0033】
本発明の薬剤組成物に生体/粘膜接着促進剤を添加する場合、その薬剤組成物を最適に作用させるため、生体/粘膜接着促進剤は、担体粒子の表面に配置しなければならない。ここで生体/粘膜接着促進剤は担体粒子にいくつかの方法で混合できる。本発明の好ましい実施形態では、生体/粘膜接着促進剤の微粉末をそれより粒の粗い担体と一緒に時間的に十分混合して、微粉末が分離した一次粉末として担体粒子の表面に接着して存在する規則性混合物をつくる。つまり、生体/粘膜接着促進剤は、欧州特許第0,324,725号に記載する活性化合物と同じ様に混合する。
【0034】
生体/粘膜接着促進剤は、1〜100μmの粒子径を有することが適切である。この作用剤粒子が、担体の粒子と混合し規則性混合物の形成に供するものである場合、その作用剤粒子の径は、その径区間の下半分内にあること、つまりその粒子径は10μm未満であることが適切である。
【0035】
本発明は、疼痛、不眠、アレルギー状態および肺浮腫などの急速かつ一時的な効果が望まれる医学的状態の治療に使用される薬物の投与を特に対象とする。このような薬物の非限定な例には、モルヒネ(鎮痛剤)、フェンタニル(鎮痛剤)、アルフェンタニル(鎮痛剤)、スフェンタニル(鎮痛剤)、ブプレノルフィン(鎮痛剤)、ピゾチフェン(鎮痛剤)、スマトリプタン(鎮痛剤)、インドメタシン(鎮痛剤)、スリンダック(鎮痛剤)、ジクロフェナック(鎮痛剤)、ケトロラック(鎮痛剤)、ピロキシカム(鎮痛剤)、テノキシカム(鎮痛剤)、イブプロフェン(鎮痛剤)、ナプロキセン(鎮痛剤)、ケトプロフェン(鎮痛剤)、ブタゾリジン(鎮痛剤)、フェニルブタゾン(鎮痛剤)、ジアゼパム(不眠症)、オキサゼパム(不眠症)、ゾピクロン(不眠症)、ゾルピデム(不眠症)、プロピオマジン(不眠症)、バイエリアーナ(不眠症)、レボメプロマジン(不眠症)、サイクリジン(アレルギー)、セチリジン(アレルギー)、テルフェナジン(アレルギー)、アクリバスチン(アレルギー)、フェクソフェナジン(アレルギー)およびフロセミド(利尿)が挙げられる。
【0036】
吸収を高めると恩恵が得られる薬物および急速な作用の開始が望まれる医学的状態に使用され得る他の薬物には、限定する意味はないが、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP、ANFおよびアウリクリン)(利尿)、脳ナトリウム利尿ペプチド(利尿)、血小板凝集阻害剤(抗凝集剤)、ストレプトキナーゼ(抗凝集剤)、ヘパリン(抗凝集剤)、ウロキナーゼ(抗凝集剤)、レニン阻害剤(高血圧)、インシュリン(抗糖尿病)、睡眠導入ペプチド(不眠症)などの種々のペプチドおよび酵素が含まれる。
【0037】
胃酸との接触を回避させなければならない薬物、および活性薬物を含む唾液の嚥下を、本配合物の生体/粘膜接着性によって最小に抑えることができる薬物のさらなる例には、限定する意味はないが、オメプラゾール、パントプラゾール、ペルプラゾールおよびランソプラゾールなどのH+、K+、ATPアーゼ阻害剤(胃酸減少)として使用されるベンズイミダゾール誘導体が含まれる。H+、K+、ATPアーゼ阻害剤は他に、アリルイソチオシアネート、トリフルオロペラジド、ノリニウムブロミド、RP40749およびフェノクチミンが含まれる。
【0038】
本発明は、フェンタニルおよびその薬剤として許容される、クエン酸またはマレイン酸などの水に難溶性の塩の投与に特に適する。フェンタニルおよびその塩の粒子は、約24μmの最大粒子径を有することが適切であるが、約10μm未満であることが好ましい。フェンタニルは、たとえば、フェンタニルと担体粒子を十分長い時間乾燥状態で混合することにより担体粒子に付着させられる。この時間は使用する混合装置によって異なる。活性物質、生体/粘膜接着促進剤および担体の所与の組み合わせについての適切な混合時間を、具体的な混合装置を使用して実験的に決定することは当分野の技術者にとってむずかしいことではない。
【0039】
本発明のさらに好ましい態様には、本発明の組成物中へ崩壊剤を混合することが含まれる。このような作用剤は、担体粒子の分散を促進することになる。本発明の崩壊剤の例には、架橋ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルデンプン、天然のデンプン、微晶質セルロース、セルロースガムおよびこれらの混合物が含まれる。崩壊剤の好ましい配合量は、配合物の1%から10%である。以上のように、崩壊剤および生体/粘膜接着促進剤の定義は幾分重複し、同一の物質によって両者の機能が果たされることが好ましい。しかし、これら2つの賦形剤のカテゴリーは同じではないこと、有効に作用する生体/粘膜接着性を持たない崩壊剤があること、またその逆もまた同様であることは大切な留意点である。
【0040】
本発明に従って調製した規則性混合物は、鼻腔内投与などに使用できる。普通は、粉体混合物をある種のデリバリー装置の助けを借りて鼻腔内に散布する。規則性混合物は、舌下投与を目的とする種々の薬剤調製物中に配合することができる。調製物に与えられた形状に関係なく、調製物は基本的に無水であることが重要である。というのは、調製物の生体/粘膜接着促進性は、水または唾液と接触させたときの実際、瞬間的な水和から生じるからである。水和が早すぎると、粘液接着促進性が劇的に減少し、活性物質の溶解が早すぎてしまう。
【0041】
舌下を好ましい投与経路とする薬剤組成物は、前記の規則性混合物を、舌下製剤用に当分野で使用される従来の製薬添加物および賦形剤と混合させることで得ることができる。適切な配合方法は当分野の技術者によく知られている(たとえばPharmaceutical Dosage Forms: Tablets. Volume 1, 2nd Edition, Lieberman H Aら; Eds.; Marcel Dekker, New York and Basel 1989, p. 354-356およびここに引用した文献を参照のこと)。適切な添加剤には、補足的な担体剤、保存剤、潤滑剤、滑沢剤、崩壊剤、香料、および染料が含まれる。
【0042】
したがって本発明は、簡易で安価に製造され、急速な活性物質の分泌を可能にさせ、口腔または鼻腔内粘膜を通して1種または複数の活性剤の急速な取り込みを促進し、ペプチドなどの難溶性である他の物質の取り込みを高める投与形態を提供する。作用時間を短くし、頻発する急性疾患の治療に必要な、患者が服用を何度も繰り返すことができる、活性剤の低投与量使用を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
次に、実施例を参照して本発明をより詳細に例証する。
【実施例1】
【0044】
材料
規則性混合物を調製する際に、水溶性の低い二塩基性のリン酸カルシウム二水和物(DCP)(Emcompress、Edward Mendell 社、米国)と高水溶性マンニトール(顆粒質、Roquetteフランス)を非生体接着性担体材料として使用した。各材料の180〜355μm径の細片をドライ篩(Retschドイツ)によって得た。
【0045】
架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(エーシージゾル(Ac-Di-Sol)、FMC、Cork、アイルランド)を細分化された状態で使用して、粘膜接着性/生体接着性を有する材料とした。モーター破砕機(Retschドイツ)で粉砕した後に空気選別(100 MZR、アルパイン、ドイツ)することによって微粒子径のエーシージゾル断片を得た。
【0046】
テスト材料の一次特徴付け
特徴付けおよび混合する前に、全ての粉末を40%RHおよび室温で、少なくとも48時間貯蔵した。マンニトールおよびDCPの粒の粗い粒子径(180-355μm)分画の外部表面積を、フリードリッヒのパーミアメトリー(n=3)(Erikssonら、1990)で測定した。ブライアンのパーミアメトリーを使用して、エーシージゾル粉末((Alderbornら、1985)(表1)の外部表面積を測定した。
【0047】
規定/相互作用性混合物の調製
粉砕されたエーシージゾル粉末(表1)を、割合を変えてマンニトールまたはDCPに添加(両者180〜355μm)して、異なる濃度のエーシージゾルを得た。粉末を2Lのタービュラ(Turbula)ミキサー(WA. Bachofen AG、バーゼル、スイス)のガラスビンの中で120rpm、24時間で混合した。混合は、以前に行った研究(Westerberg 1992; Sundell-Bredenberg and Nystron 2001)に従って行ない、混合物の均一性を目視で確認した。
【0048】
生体接着/粘膜接着性の測定
材料および粘膜の特性
新鮮なブタの腸を屠殺場で採取(Swedish Meat AB、ウプサラ、スウェーデン)し、新鮮なまま使用したかまたは必要となるまで冷凍した。使用前に、冷凍した腸を緩衝液中4℃で一晩解凍した。使用した緩衝溶液は、pH 7.4を有するクレブスリンガー重炭酸塩(シグマアルドリッチ社、ステインハイム、ドイツ)であった。
【0049】
粘膜層の質および粘膜処理の影響をテストするため、数種の組織サンプルをアルケイン(Alcain)ブルーでコルネ(Corne)ら(1974)の方法に部分的に従って染色した。次に新鮮な組織および冷凍組織を、アルシアンブルー8GX(サーティステイン(Certistain)、メルク、ドイツ) (lmg/ml)を有する、トリス(TRIZMA塩酸塩、シグマアルドリッチ化学会社、ステインハイム、ドイツ)緩衝ショ糖溶液(シグマアルドリッチ化学会社、ステインハイム、ドイツ)に2時間浸漬した。組織をTRIS/ショ糖緩衝液ですすぎ、目視で研究した。粘膜層の質および組織処理の影響を評価すると、解凍工程(緩衝液中で4℃)も処理も粘膜の質に悪影響を与えない、すなわち、粘膜層は完全なまま残ることが確認され、したがって新鮮な粘膜および冷凍粘膜を本研究に使用した。
【0050】
接着テスト
5kg のロードセルおよび関連ソフトを有するTA-HDi組織アナライザー(ステーブルマイクロシステムズ(Stable Micro Systems)、Haslemere、英国)を使用して生体接着テストを行った。ブタの腸を約2cm2の小片に切り分け、組織ホルダーに入れた。粉末混合物を両面テープ(スコッチ3M、Svenska AB、Sollentuna、スウェーデン)]を使用して上プローブに付着した。粉末混合物の塗布は、このプローブを粉末ベッドに含浸させた後、プローブをやさしく振盪して過剰な粉末を取り払い、粒子の単一層を作り上げこれを目視で確認した。ピペットで30μlの緩衝液を粘膜上に振りまいて水和を画一的に行った後、研究対象物を、0.5Nの力をかけて30秒間粘膜と接触させた。プローブを一定の速度0.1mm/sで持ち上げ、引き離し力を変位関数として記録した。分離力を測定サイクル中、25測定数/秒のサンプル率で測定した。モニターした最大の力すなわち破壊力をコンピュータソフトTexture Expert Exceed (ステーブルマイクロシステムズ、Haslemere、英国)を使用して測定した。張力(N/cm2)は、引き離し力をプローブの面積で割り算して求めた。
【0051】
担体材料の生体接着性を増加させるために規定/相互作用性混合物(生体接着性微粒子添加)を使用した結果
生体接着/粘膜接着成分量の影響
粘膜と非生体接着性担体粒子との張力は、粒の粗いDCPまたはマンニトールを微粒子径エーシージゾル(表1)に混合した場合に改善した(p<0.0001)。生体接着性は、最初はエーシージゾルの濃度の増加と共に改善した(p<0.05)。
【0052】
エーシージゾルを2つ(28.2および39.3%w/w)の高濃度で含むDCPの規則性混合物は、純粋なエーシージゾル粉末よりも著しく高い(p<0.05)張力値を示した(表1)。しかしこの効果は、マンニトールを含む混合物では見られなかった(p>0.1)が、これはおそらく 下記に論じるように、マンニトールの高い水溶性のためであろう。表1からわかるように、エーシージゾルのある特定の添加量までは生体接着強度の増加は著しい(p<0.01)。この量が、約20%w/wを越えると、引っ張り応力が増加する(p>0.1)。
【0053】
担体溶解性の影響
DCP混合物は、生体接着性がより有意に高く(p<0.02)、マンニトール混合物よりも高い引っ張り力を有していた。これはマンニトールの水溶性が高い結果と思われる。したがって、マンニトール混合物の破壊は、粘膜層全体ではなくて相互作用性混合物の周囲領域の溶解によって進行したのかもしれない。
【0054】
【表1】

【0055】
結論
粘膜とマンニトールまたはDCPの粗粒子粉末との引っ張り応力は、これらを微粒子エーシージゾルと混合すると改善された(p<0.0001)。これによってより高い粘着傾向を有する材料を添加すると、担体物質などの別の生体接着性の劣る物質の接着性を高めることが示唆される。水溶解性担体よりもむしろ水不溶性担体と生体接着粉体の相互作用性混合物を使用する方が、単一粉体表面被覆に近い割合では、予想外に優れていた。したがって、難溶性担体を使用するこのような相互作用性混合物は、舌下投与用急速分泌配合物などの生体接着性配合物を開発するにあたっての興味ある配合ツールであると結論される。
【実施例2】
【0056】
生体/粘膜接着促進性を有する急速崩壊錠の調製
1バッチの1000錠剤を下記組成物から製造した。すなわち、約250〜450ミクロンの粒子径を有する82.5gの二塩基性のリン酸カルシウム二水和物(DCP)を500mgの微粉化されたフェンタニルと50時間にわたって混合した。得られた混合物を10.0gの微粉化したアルギン酸ナトリウム(生体/粘膜接着促進剤)と5時間にわたって混合した。その後、5.0gのアビセル(Avicel、登録商標)Ph101(結合剤として作用)および2.0gのエーシージゾル(登録商標、有効な崩壊剤として作用する変性セルロースガム)を60分間混合した。得られた混合物を0.5gのステアリンマグネシウム(潤滑剤)と2分間混合し、最終の錠剤の塊を圧縮圧200MPaで固めて、1粒が重さ100mg、0.5mgのフェンタニルを含む錠剤とした。
【実施例3】
【0057】
心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)を投与するための急速崩壊錠剤の調製
舌下投与で大分子の吸収をさらに高める生体/接着性を有する急速崩壊錠剤(1粒0.7mgのANPを含有する)を実施例2に従って調製した。しかし本組成物には、アルギン酸ナトリウムを除き、崩壊剤としても生体接着性成分としても作用するエーシージゾル(登録商標)を5.0gに増やした。この錠剤は、従来の経口配合物と比較すると、ANPの急速分泌、口腔粘膜経由でのANPの取り込みの向上を示した。この調製物は、肺浮腫の治療に使用してもよい。
【実施例4】
【0058】
オメプラゾールを投与するための急速崩壊錠剤の調製
舌下投与用の生体/粘膜接着性を有する急速崩壊錠剤(1粒10mgのオメプラゾールを含む)を実施例3に従って調製した。錠剤は、従来の経口配合物と比較して、オメプラゾールの急速な分泌およびオメプラゾールの取り込みの増加、のみならず唾液に入ったオメプラゾールの飲み込みの減少を示した。この調製物は、胃食道逆流の治療に使用してもよい。
【実施例5】
【0059】
心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)の鼻腔用粉末の調製
生体/粘膜接着性を有する鼻腔投与用規則性混合物(粉末混合物各投与量には、0.7mgのANPが含まれる)を実施例2に従って調製した。実施例2の組成物とは対照的に、圧縮して錠剤をつくらないので、結合剤(アビセル)(登録商標)Ph101)も、崩壊剤(エーシージゾル)も潤滑剤(ステアリン酸マグネシウム)も添加せず作成した。鼻腔内に吸入した後、この粉末剤は、従来の経口組成物と比較してANPの急速な溶解、ANPの鼻腔粘膜からの取り込みの増加を示した。調製物は、肺浮腫の治療に使用してもよい。
【0060】
上述の明細書中で、種々の実施例および好ましい実施の形態を参照して本発明を記載した。しかし当分野の技術者にとっては、本発明の範囲がこれらの実施例および実施の形態に限定されず、本発明のアイデアから逸脱せずに変更を加えることが可能であることは明らかである。したがって本発明の範囲は、貼付の請求項によってのみ限定される。
【0061】
[参考文献]

【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】図面は1つであり、本発明による組成物の生体接着強度のテスト結果を示す。これは濃度に対する最高の引っ張り強度を示すダイヤグラムである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
担体粒子の表面に接着している少なくとも1種の薬剤活性剤の微粒子の本質的に無水である規則性混合物であって、前記粒子は前記微粒子より実質的に大きく、水に不溶または難溶である混合物と、前記担体粒子の表面に接着している生体接着および/または粘膜接着促進剤とを含む、舌下または鼻腔内投与による急性疾患の治療用薬剤組成物。
【請求項2】
前記1種または複数の活性剤の微粒子が、10μm未満の重量ベース平均径を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記担体粒子の平均の篩径が750μm未満、好ましくは50〜500μmである、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記担体粒子が、圧縮したときに容易に断片化する脆い材料を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記担体粒子が、生体/粘膜接着促進剤を全組成物の0.1から40重量%、好ましくは2〜25重量%含有する請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記生体/粘膜接着促進剤が、架橋ポリマー、アクリル系ポリマー、セルロース誘導体、生体/粘膜接着性を有する天然ポリマー、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記生体/粘膜接着促進剤が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、および変性セルロースガムを含むセルロース誘導体;クロスカラメロース;変性デンプン;カルボマーおよびその誘導体を含むアクリル系ポリマー;ポリエチレンオキサイド;キトサン;ゼラチン;アルギン酸ナトリウム;ペクチン;スクレログルカン;キサンタンガム;グアガム;メチルビニルエーテル/マレイン酸無水物共重合体およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
薬剤として許容される界面活性剤を、細かく分散した状態でかつ前記1種または複数の活性剤と均質に混合して含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記界面活性剤が、組成物の0.5から5重量%、好ましくは0.5〜3重量%の量で存在する、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記界面活性剤が、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート、胆汁酸塩、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項8または9に記載の組成物。
【請求項11】
前記担体粒子が、薬剤として許容されるポリマー、薬剤として許容される無機塩、およびこれらの物質の混合物または混合抽出物からなる群より選択される少なくとも1種の物質を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記担体粒子が、セルロース、セルロース誘導体、デンプン、デンプン誘導体、デンプンまたはセルロースをベースとする架橋ポリマー、またはポリビニルピロリドンからなる群から選択される少なくとも1種の物質を含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記無機塩は、リン酸カルシウム、リン酸二カルシウム二水和物、リン酸二カルシウム二水和物、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウムおよび硫酸バリウムからなる群から選択される、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
前記組成物が、前記1種または複数の活性剤と混合された担体粒子の舌下粘膜上での分散を促進する少なくとも1種の薬剤崩壊剤を含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の舌下組成物。
【請求項15】
前記崩壊剤が、架橋ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルデンプン、天然デンプン、微晶質セルロース、セルロースガムおよびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項14に記載の舌下組成物。
【請求項16】
前記崩壊剤が、組成物の1〜10重量%の量で存在する、請求項14または15に記載の舌下組成物。
【請求項17】
前記薬剤活性剤がフェンタニルまたはその薬剤として許容される塩である、請求項1から16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
舌下投与によって急性疾患を治療するための、請求項1から17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
フェンタニルまたはその薬剤として許容される塩の舌下投与による急性疼痛または突出痛を治療するための、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
鼻腔内投与によって急性疾患を治療するための、請求項1から13または17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
フェンタニルまたはその薬剤として許容される塩を鼻腔内に投与することによって急性または突出痛を治療するための、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
急性疾患を治療する方法であって、担体粒子の表面に接着している微粒子の形態の少なくとも1種の薬剤活性剤の有効量と、前記担体粒子の表面に接着している生体接着および/または粘膜接着促進剤とを含み、前記担体粒子が前記微粒子より実質的に大きく、本質的に水に溶解または難溶である、本質的に無水である薬剤組成物を少なくとも1投与単位、前記疾患に罹患した個人に舌下または鼻腔内投与する方法。
【請求項23】
前記薬剤活性剤が、フェンタニルまたは薬剤として許容される塩である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記フェンタニルが投与単位につき0.025〜10mg、好ましくは0.05〜2mgの量で投与する、請求項23に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2006−516616(P2006−516616A)
【公表日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−502771(P2006−502771)
【出願日】平成16年1月15日(2004.1.15)
【国際出願番号】PCT/SE2004/000037
【国際公開番号】WO2004/067004
【国際公開日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願人】(505141945)オレクソ・アクチエボラゲット (11)
【Fターム(参考)】