厚膜材料劈開工程中の温度制御装置および温度制御方法
【課題】厚膜材料製造中における温度制御の方法および装置を提供する。
【解決手段】温度制御装置100は、注入され続いて劈開されるバルク材料110を支持する平面122を有するステージ120を備え、バルク材料は表面領域112、側部領域117、および底部領域118を有する。装置はさらに、バルク材料とステージの界面領域を通じて熱エネルギーの移動をするためにバルク材料が平面と接触する一方で表面領域が露出されるよう構成された機械的クランプ装置130と、表面領域の温度値を測定し、入力データを生成するセンサ装置150と、バルク材料の表面領域の一つまたは複数の部分に複数の粒子を注入する注入装置と、少なくともステージの平面とバルク材料の底部領域の間の界面領域を通じて表面領域の温度値を上昇および/または下降させるよう入力データを受信し、処理する制御装置160とを備える。
【解決手段】温度制御装置100は、注入され続いて劈開されるバルク材料110を支持する平面122を有するステージ120を備え、バルク材料は表面領域112、側部領域117、および底部領域118を有する。装置はさらに、バルク材料とステージの界面領域を通じて熱エネルギーの移動をするためにバルク材料が平面と接触する一方で表面領域が露出されるよう構成された機械的クランプ装置130と、表面領域の温度値を測定し、入力データを生成するセンサ装置150と、バルク材料の表面領域の一つまたは複数の部分に複数の粒子を注入する注入装置と、少なくともステージの平面とバルク材料の底部領域の間の界面領域を通じて表面領域の温度値を上昇および/または下降させるよう入力データを受信し、処理する制御装置160とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は全ての目的で全体を参照としてここに援用する2007年1月26日に出願された米国仮特許出願第60/886,912号に基づく優先権を主張する。
【0002】
本発明は概して、材料を製造する方法および装置を含む技術に関する。より詳しくは、本方法および装置は、シリコンインゴットなどバルク形態の材料から自立厚膜を劈開するための温度制御を含む。このような自立厚膜は太陽電池などの光起電材料として有益である。しかし、本発明の実施形態はより広い範囲の適用性があることが認識されるだろう。集積半導体素子、光素子、圧電素子、フラットパネルディスプレイ、微小電気機械システム(MEMS)、ナノテクノロジー構造、センサ、アクチュエータ、集積回路、半導体基板製造、生物学および生物医学装置などの3次元パッケージングなど、他の応用にも適用することができる。
【背景技術】
【0003】
太古から、人間はほとんど全ての有益なエネルギーを得ることを太陽に頼っている。このようなエネルギーは石油、光、木材、および様々な形態の熱エネルギーによってもたらされる。単なる例であるが、人間は需要の大半を石炭やガスなどの石油資源に大幅に頼っている。残念なことに、このような石油資源は激減しており、他の問題を引き起こしている。代替として、部分的に、太陽エネルギーが石油資源への依存を減らすために提案されている。単なる例であるが、太陽エネルギーは一般にシリコンから作られる「太陽電池」によって得ることができる。
【0004】
シリコン太陽電池は太陽光にさらされると電力を発生する。日射はシリコンの原子と相互作用し、シリコンのpとnにドーピングされた領域に移動してドーピングされた領域間に電位差および電流を発生させる電子とホールを形成する。用途によるが、太陽電池は効率を向上させるために集光素子を集積している。例としては、日射を活性光起電材料の一つまたは複数の部分に導く集光要素を用いて太陽光を集め焦点を合わせる。効率的ではあるが、これらの太陽電池は未だに多くの制限がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
単なる例であるが、太陽電池はシリコンなどの出発材料に依存する。このようなシリコンは大抵ポリシリコンおよび/または単結晶シリコン材料を用いて作られる。これらの材料は大抵製造するのが困難である。ポリシリコン電池は大抵ポリシリコンプレートを製造することによって形成される。これらのポリシリコンプレートはコスト効率の良い方法で形成することができる一方、太陽エネルギーを捕集し、捕集した太陽エネルギーを使用可能な電力に変換することにおいての最高効率は示さない。反対に、単結晶シリコン(c−Si)は高品位の太陽電池に適した性質を示す。しかし、このような単結晶シリコンは製造するのが高価で、有効でコスト効率の良い方法で太陽光を利用する用途に使うことは困難である。特に、太陽電池に組み込むために単結晶シリコン基板を製造する技術は、当初に成長した単結晶シリコンインゴットから単結晶シリコン厚膜の分離を必要とする。
【0006】
上述のことから、太陽電池を含む集積回路装置の応用のための自立厚膜を製造する改良された技術が望まれていることがわかる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施態様は概して、シリコンインゴットなどバルク形態の材料から自立厚膜(free−standing thick films)を劈開(cleaving)する間の温度制御の方法および装置を含む技術に関する。このような自立厚膜は太陽電池などの光起電材料として有益である。しかし、本発明にはより広い範囲の適用性があることが認識されるだろう。集積半導体素子、光素子、圧電素子、フラットパネルディスプレイ、微小電気機械システム(MEMS)、ナノテクノロジー構造、センサ、アクチュエータ、集積回路、半導体基板製造、生物学および生物医学装置などの3次元パッケージングなど、他の応用にも適用することができる。
【0008】
厚さが15μm以上の半導体材料の自立厚膜は、所望の表面温度でイオン種の注入(implantation)を活用したバルク材料から劈開(クリーブ(cleave))される。ある実施形態では、劈開には、機械的クランプ装置を用いて温度制御されたステージ上でシールを介してバルク材料を着脱自在に保持し、その後、劈開領域を作るためにイオンなどの粒子を第1の低い温度で注入し、次に劈開領域の応力を高めるためにイオンなどの粒子を第2の高い温度で注入することが含まれる。他の実施形態では、温度制御されたステージと前記バルク材料の底部の間のシールは圧力調整可能にガスを充填することのできる薄いキャビティを形成する。さらに別の実施形態では、薄いキャビティのガス圧を調整することにより、バルク材料の表面から底部への熱伝導や、さらに注入のための表面温度が制御される。特定の実施形態では、バルク材料の底部はバルク材料の取り付けと取り扱いを容易にすることができる熱的および機械的アダプタ板に接着される(例えば熱伝導性の接着剤または熱伝導性のエポキシを使う)。特定の実施形態では、アダプタ板は断面がバルク材料より僅かに大きいか、小さいか、または同じサイズである。特定の実施形態によれば、アダプタ板は他のバルク基板に再使用できる。結果として生じた劈開された単結晶シリコンなどの半導体材料の自立厚膜は、特に太陽エネルギーの収集に使うのに適している。
【0009】
具体的な実施形態では、本発明は厚膜材料製造の温度制御装置を提供する。この装置は注入されるバルク材料を支持するための平面を備えるステージを有する。前記バルク材料は表面領域、側部領域、および底部領域を有する。前記側部領域、前記底部領域、および前記表面領域は、前記底部領域と前記表面領域の間に規定される長さを持つ材料の体積を提供する。この装置はさらに、熱エネルギーが前記バルク材料と前記ステージの平面領域間の界面領域を通じて熱エネルギーが移転するよう前記バルク材料が前記平面と物理的に接触する一方で前記バルク材料の表面領域が実質的に露出するよう、前記バルク材料の底部領域を前記ステージの平面に係合するように設けられた機械的クランプ装置を有する。そのうえ、この装置は表面領域の温度を測定するよう構成されたセンサ装置を有する。このセンサ装置は入力データを生成するように構成される。さらに、この装置は前記バルク材料の表面領域の一つまたは複数の部分に複数の粒子の注入を行うように構成された注入装置を有する。さらに、この装置は、前記入力データを受信し、少なくとも前記ステージの平面と前記バルク材料の底部領域との間の前記界面領域を通じて前記バルク材料の表面領域の温度値を上昇および/または下降させるよう前記入力データを処理するように構成された制御装置を有する。
【0010】
別の具体的な実施形態では、本発明は一つまたは複数の厚膜を製造するためのバルク材料を取り付ける装置を提供する。この装置は前記バルク材料を支持するための平面を備えたステージを有する。前記バルク材料は、平坦化された表面領域、平坦化された端部領域、および前記表面領域から前記端部領域までの長さを持つ側部領域を有する。この装置はさらに、前記表面領域と前記表面領域から少なくとも70%の長さの前記側部領域が実質的に露出され、一つまたは複数の厚膜の製造のためにクランプ装置の干渉無しに劈開できるよう、前記バルク材料の平坦化された端部領域を前記ステージの平面に係合するように設けられた機械的クランプ装置を有する。
【0011】
さらに別の具体的な実施形態では、本発明はバルク材料から複数の自立厚膜を劈開する工程中の温度制御方法を提供する。この方法は劈開する前記バルク材料を用意することを含む。前記バルク材料は、表面領域、底部領域、前記表面領域から前記底部領域までの長さを持つ側部領域を有する。さらに、この方法は、前記底部領域と平面との間にある高さを有するキャビティを形成するよう、前記バルク材料の底部領域がシールを介してステージの平面に係合するように設けられた機械的クランプ装置を用いて前記バルク材料をクランプすることを含む。この平面は前記キャビティに充填されたガスを圧力調整可能にする複数のガス通路を有する。この方法はさらに入力データを生成するために前記バルク材料の状態を検知することを含む。この入力データには前記表面領域および前記底部領域での温度情報、および前記表面領域と前記底部領域間の前記バルク材料の長さが含まれる。さらに、この方法は、少なくとも前記入力データを処理し、前記表面領域を加熱するための粒子照射と、前記表面領域を加熱するための放射と、前記底部領域と前記ステージ間のガスを補助に用いる伝導のうち少なくとも一つまたは複数を利用した制御方式を実行することで前記表面領域の温度を維持することを含む。
【0012】
また別の具体的な実施形態では、本発明は厚膜転写のために半導体材料を処理する方法を提供する。この方法はバルク半導体材料をステージの平面に設けることを含む。前記バルク半導体材料は、表面領域、側部領域、および底部領域を有する。前記側部領域、前記底部領域、および前記表面領域は、前記底部領域と前記表面領域の間で規定される長さを有する材料の体積を提供する。前記底部領域は前記ステージの平面に結合する。そのうえ、この方法は、前記バルク材料と前記ステージの平面領域間で熱エネルギーの移動が生じるよう前記バルク材料が前記平面と物理的に接触する一方で前記バルク材料の表面領域は実質的に露出されるよう、前記バルク材料の底部領域を前記ステージの平面に係合するように設けられた機械的クランプ装置を用いて前記バルク半導体材料を固定することを含む。さらに、この方法は、前記表面領域が実質的に露出されて前記機械的クランプ装置により前記ステージの平面に保持される間に前記バルク材料の表面領域を処理することを含む。
【0013】
さらに別の実施形態では、本発明はバルク材料から自立膜を連続的に劈開する方法を提供する。この方法は機械的クランプ装置を用いてバルク材料をステージに固定することを含む。前記バルク材料は表面領域、側部領域、および底部領域を有する。前記表面領域は前記側部領域に接続し、体積を規定するよう前記側部領域から約90度の角度に向けられる。前記機械的クランプ装置は前記底部領域が前記ステージにしっかりと係合するよう前記バルク材料の底部領域および/または側部領域と結合するように設けられる。さらに、この方法は、前記表面領域の法線方向の物理的障害が実質的に何も無いように前記表面領域を保持することを含む。この方法はさらに、前記表面領域が前記表面領域の処理からの物理的干渉が実質的に何も無い間に少なくとも前記表面領域を処理することを含む。そのうえ、この方法は前記表面領域の処理中に前記表面領域の温度を選択的に維持することを含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、表面領域と対向するバルク材料の底部領域は、アダプタまたはインターフェース板を介して熱的および機械的に接触することができる。前記バルク材料は、温度制御ステージに取り付けられた板の対向面で、このようなアダプタ板に接着剤または他の手法を用いて固定される。アダプタ板の特定の実施形態では、クランプ取付も可能になる。このような実施形態では、クランプ取付を用いた前記アダプタ板は前記バルク材料を直接クランプする要件を排除し、前記バルク材料を前記底部領域近くで劈開することを可能にすることによりバルク材料の利用率を改善する。
【0015】
本発明の実施形態によるアダプタ板の利用はまた、前記バルク材料の底部領域の平坦化の許容範囲を好適に緩めることもでき、したがってコストを削減することができる。例えば、特定の条件下でインゴットの底部は僅かに凹凸があるようにできる。しかし、この凹凸は前記アダプタとサセプタ間のアタッチメントによって埋め合わせることができる。特に、前記アダプタは前記インゴットを位置調整するためのピンまたはシートを有し得る。
【0016】
具体的実施形態において、前記バルク材料と接触する前記アダプタ板の側部は、シール部材の一部を受容するように構成された凹部領域を有し得る。このようなシール部材は、適切な材料(例えばデュポンパフォーマンスエラストマー(DuPont Performance Elastomers L.L.C.)製のカルレッツ(Kalrez)(商標))から作られたOリングとすることができ、前記アダプタ板の端部領域の近傍に配置される。特定の実施形態では、接着剤を前記端部領域の内部領域内に塗布することができ、前記Oリングは接着材料を前記内部領域に密封し保持する。
【0017】
特定の実施形態によれば、電気伝導性が前記アダプタ板と前記バルク材料の間に与えられる。シーティングピンまたは他の型の接続装置はOリング内に規定された前記内部領域内、または特定の実施形態でのOリングの無いチャックの内部領域内に、空間的に配置することができる。このようなシーティングピンは前記バルク材料を前記アダプタに電気的および機械的に結合することができる。
【0018】
本発明の実施形態を利用して既存の技術に対して多くの利点を得ることができる。特に、本発明の実施形態は、コスト効率の良い線形加速器装置および層転写技術のための高エネルギー注入プロセスを提供する方法を用いる。このような線形加速器装置には、ドリフト管技術、一般にRFQと呼ばれる高周波四重極型、またはこれらの組み合わせ(例えば、ドリフト管リニアックまたはRFI(RF収束インターデジタル(RF−Focused Interdigital))線形加速器と組み合わされたRFQ)、および他の適切な技術が含まれるが、これに限定されるものではない。線形加速器装置の例は同一出願人による米国仮出願第60/864584号に見ることができ、全ての目的で参照としてここに援用する。好適な実施形態において、本方法および装置はドナー基板の劈開面によって画定される転写可能な材料の層を形成する。この転写可能な材料の層は光起電性素子、3次元MEMSまたは集積回路、ICパッケージング、半導体素子、これらの任意の組み合わせなどの応用のための高品質半導体材料を提供するためにさらに処理される。好適な実施形態では、本方法は特に高効率の光電池のための単結晶シリコンを提供する。好適な実施形態では、本方法および構造は低初期ドーズのエネルギー粒子を使うので、これは工程を費用効果が高く効率的にすることを可能とする。加えて、本方法および構造は大面積基板の製造を可能にする。本発明は、所望の形状の薄いシリコン材料板(例えば、50μm−200μmの厚さでサイズが15cm×15cmから1m×1m以上までのポリシリコンプレート)を作ることに応用できることがわかるであろう。代替の好適な実施形態では、本発明の実施形態は、さらにヘテロ構造エピタキシャルプロセスの積層を提供することができるシード層を提供することができる。前記ヘテロ構造エピタキシャルプロセスは特に薄い多接合光電池の形成に使うことができる。単なる例であるが、GaAsおよびGaInP層をゲルマニウムシード層にヘテロエピタキシャルに蒸着することができ、これは本発明の実施形態の注入工程を用いて形成した転写された層である。具体的実施形態において、本方法は単一のインゴット、例えばシリコンブールから連続的に複数のスライスを劈開することに適用できる。つまり、具体的実施形態に従ってこの方法は連続的にスライスを劈開することを繰り返すことができる(一塊の焼いたパンから薄切りを切るのに類似する)。好適な実施形態において、本発明は機械的および熱的な用途のためにバルクシリコンインゴットを固定するためのクランプおよび/または保持装置および関連した方法を提供する。もちろん、他の変形形態、修正形態、代替形態があり得る。
【0019】
これらのおよび他の利点は本明細書を通じてより詳しくは以下に記述される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明は概して、材料を製造する方法および装置を含む技術に関する。より詳しくは、本方法および装置は、シリコンインゴットなどバルク形態の材料から自立厚膜を劈開するための温度制御を含む。このような自立厚膜は太陽電池などの光起電材料として有益である。しかし、本発明の実施形態はより広い範囲の適用性があることが認識されるだろう。集積半導体素子、光素子、圧電素子、フラットパネルディスプレイ、微小電気機械システム(MEMS)、ナノテクノロジー構造、センサ、アクチュエータ、集積回路、半導体基板製造、生物学および生物医学装置などの3次元パッケージングなど、他の応用にも適用することができる。
【0021】
ここで使われる「バルク材料」の語は、大部分均一な自立する単結晶またはポリ結晶材料の塊、例えば単結晶シリコンブールまたはその一部分を示す。あるいは、本特許出願の目的から、「バルク材料」の語はまた、一または複数の追加要素を結合させた大部分均一な単結晶またはポリ結晶材料、例えば以下に記述される様々なアダプタ板の実施形態、そして、このようなアダプタ板を大部分均一な単結晶またはポリ結晶材料に固定するために使用される任意のOリングや他の要素を示す。
【0022】
15μm以上の厚さを有する半導体材料の自立厚膜は、MeVのエネルギーレベルでイオン種の注入を利用したバルク材料から劈開することができる。一つの実施形態では、劈開には、劈開領域を作るためにイオン粒子を第1の低い温度で注入し、次に劈開領域の応力を高めるためにイオン粒子を第2の高い温度で注入することが含まれる。この方法でのバルク材料の劈開は、歯またはワイヤーカットのカーフで従来失われる半導体材料の量を実質的に削減する。結果として生じた単結晶シリコンなどの半導体材料の劈開された自立厚膜は、特に太陽エネルギーの収集に適している。
【0023】
以下の開示のために、「自立厚膜」は、ハンドルや転写基板などの支持部材と接触するおよび/または支持部材の機械的支持を必要とすることなく、その構造的完全性を保持できる(つまり、砕けたり粉々に壊れたりしない)材料の膜として定義される。通常は、薄膜(例えば5−10μm以下の厚さを有するシリコン膜)は壊すことなく扱うことができない。従来、このような薄膜は支持構造を用いて扱われるが、そもそも薄膜を作る必要がある。厚膜(例えば15−50μmの厚さを有するシリコン膜)の扱いは支持の使用によって容易になるが、このような支持は必須ではない。したがって、本発明の実施形態は15μm超の厚さを有するシリコンの自立厚膜の製造に関連する。
【0024】
150μmまでの厚さの自立厚膜を、イオン注入によって作られた劈開領域から制御された劈開工程によってうまく分離することを確実にするために、具体的実施形態に従ってバルク材料の行き届いた温度制御を行うことが望ましい。特に最適温度制御は、注入および劈開工程中の一つまたは複数の熱源および/または熱出力のシンクをバランスさせることにより達成することができる。温度制御についての詳細は、本明細書を通じて、特に以下に詳述される。
【0025】
大抵の熱出力管理が関連するのは、具体的実施形態のCW(定常状態)熱出力である。CW出力フラックスソースおよび/またはシンク(sink)は次の一つまたは複数であり得る。(i)高熱伝導率の裏面接触、つまりガス層界面領域を介した加熱または冷却、を介してバルク材料と適切に係合する平面を備えた温度制御されたステージ、(ii)バルク材料体積中に電流を流すことによるIR加熱源(電磁誘導加熱源)、および(iii)上方から表面を加熱するための投光照明または他の適切なCW放射源、およびこれらの任意の組み合わせ。もちろん、当業者の中には他の変形形態、修正形態、代替形態を認識する者もいるであろう。
【0026】
具体的実施形態において、これらのCWソースまたはシンクの目的は、できるだけ正確かつ素早く、劈開領域と劈開領域を覆うシリコン層で規定される、バルク材料の処理領域を所望の範囲に設定することである。これらの熱源(ソース)またはシンクは、処理領域の所望の全温度プロフィールを達成するために、表面およびバルク温度測定を通じて電子制御装置を介して制御することができる。もちろん、当業者の中には他の変形形態、修正形態、代替形態を認識する者もいるであろう。
【0027】
追加の熱出力ソースは、具体的実施形態によれば、注入照射自体である。従来の注入装置は50−100kWのビーム出力を照射下の表面に届けることができる。これは、注入による劈開領域形成中の実質的な追加の加熱源である。劈開領域は基本的に、注入された高エネルギーイオン粒子の範囲端(End−of−Range)(EOR)近くに位置する劈開面周辺の比較的集中した欠陥のネットワークを含み、注入された粒子の運動エネルギーは部分的に熱エネルギーに変換される。この熱源は走査CWまたはパルス熱源になり得、注入装置のデューティファクタや走査速度や粒子ビームの空間的特性を調整することにより部分的に制御することができる。ビーム拡大は、高速電磁スキャニングにより起こり得るが、ビームが所望のビーム直径およびビーム束の空間的分布に自然に広がる距離を越えたビームのドリフトを通じても起こり得る。
【0028】
出力フラックスが十分小さい場合、拡大ビームの低速走査(または走査すらしない)は表面を過熱することがない。小さいビーム直径、例えば5cm(これは各タイル内にパターン化した注入ドーズ特性を生成するのに便利である)では、出力フラックスは5−10kw/cm2まで高くなり得、表面の過熱を避けるために磁気または静電気の高速スキャンが必要になる。注入の放射は具体的実施形態による他の形態のエネルギーと組み合わせることもできる。
【0029】
さらに、具体的実施形態において、表面はまたパルス熱出力フラックスを通じて処理することができる。パルス出力はここでは特定の材料および劈開される膜厚に依存する熱時定数内に届けられる熱パルスとして定義される。例えば、典型的なシリコン処理領域では、時定数は20−50μsecと推定される。より長い熱パルスは疑似CW(quasi−CW)であり、上述のCWソースとして組み合わされる。パルス出力フラックスソースは、フラッシュランプおよび30−50μsec内にエネルギーがデポジットされるパルスレーザソースを含む。これらのソースにより届けられる熱パルスは、瞬間的に処理領域を必要に応じてバルク材料の融点までそして融点を超えて加熱することができる。
【0030】
この処理によって意図される効果は劈開エネルギーを低くするよう形成中の劈開領域に剪断応力を加えることである。より具体的には、注入EOR内の熱伝導率が非常に低下するので、劈開面を横切って温度差が発生する。この温度差は劈開面を横切る材料間のCTE(熱膨張係数)の不釣り合いと対応する剪断応力を生じさせる。この剪断応力は、ステージ上のバルク材料を保持する方法により存在する内部応力とシリコンの変位応力などの他の応力に加わる。
【0031】
この応力は(劈開面のX−Y表面に沿う)面内応力であり、劈開面が加熱された場合、応力は圧縮面内応力である。これらは、ポアソン比(シリコンは約0.27)を乗じた面内応力に比例する量の面外引張応力を順に発生する。この応力値は次の関係によって定量化される。
(数1)
s=EaΔT
ここでsは劈開領域を横切る応力、Eはヤング率、aは熱膨張係数、ΔTは劈開領域を横切る温度差である。Paの熱出力フラックス密度(Watts/cm2)を仮定すると、次の関係が保たれる。
(数2)
Pa=κcrΔT/tcr
ここで、κcrは劈開領域の有効熱伝導率、tcrは劈開領域の厚さである。膜を横切る応力はさらに次の式で表すことができる。
(数3)
s=(EatcrPaβ)/κbulk
ここで、βはバルク材料に対する劈開領域の伝導率減衰係数である。したがって、この応力値は、出力フラックスPaによって決定され、注入EOR損傷の量に依存する係数βに関する減衰した熱伝導率にしたがって増加する。例えば、バルク材料がシリコンの場合、βは100位の大きさである。
【0032】
剪断応力を増加させるためのパルス出力フラックスを用いた処理は、劈開工程を促進するために必要な注入ドーズを効果的に低減することができ、同時にバルク放射欠陥のアニールを促進する。もちろん、他の変形形態、修正形態、代替形態があり得る。
【0033】
図1は本発明の実施形態による厚膜材料の製造のための温度制御装置の略図である。この図は単なる例であり、特許請求の範囲を不当に限定するものではない。当業者は多くの変形形態、修正形態、代替形態を認識するであろう。図1に示したように、温度制御装置100は、ステージ120、機械的クランプ装置130、注入装置140、センサ装置150、および制御装置160を備える。平面122を有するステージ120は、劈開されるバルク材料110を支持するために使われる。注入され劈開されるバルク材料110は、劈開面115と分離されていないシリコン材料113の上を覆う膜とから成る処理領域を含む表面領域112、側部領域117、底部領域118、表面領域112から底部領域118までで規定される長さ111によって特徴付けることができる。処理用のバルク材料についてのさらなる詳細は後述する。
【0034】
図1に一つの実施形態を示したように、ステージ120の平面122は、機械的クランプ装置130を用いて、バルク材料110の底部領域118と係合する。機械的クランプ装置130によるクランプは、バルク材料の(表面領域からの)長さ111の少なくとも70%の側部領域117だけでなく表面領域112も実質的に露出し、一つまたは複数の自立厚膜の製造をするために劈開される状態になるよう、着脱可能に作用する。例えば、いくつかの実施形態による任意選択のクランプ機構が図2A−2Fに示される。ある実施形態では、ステージ120と機械的クランプ装置130を、ステージの平面122と平行な平面内で2次元的に動作可能なトレイ170に取り付けることができる。他の実施形態では、ステージ120は、一つのCW出力フラックス源またはシンクとしてバルク材料の温度制御に使われる。バルク材料の底部領域とステージの平面間の高熱伝導率のガス層界面領域を介して係合されるバルク材料の底部領域118を加熱または冷却することにより、ステージ120は劈開工程中の表面領域112からの熱フラックス148の交換が可能となる。代わりに、機械的クランプ装置130を介してバルク材料110の体積に電流を流すことにより誘導ジュール熱源を装置100に適用することもできる。
【0035】
図1を参照すると、注入装置140は、バルク材料の表面領域112に所定の出力フラックス145を伴うMeVのエネルギーレベルのイオン粒子を注入することによって劈開領域115を形成するために用いられる。注入装置140はまた、表面領域への粒子照射からの出力フラックス145により、注入装置140のデューティファクタを調整することによって粒子出力フラックスを調整し、温度制御するために使うこともできる。一つの実施形態では、一つまたは複数の表面領域の上方に配置される投光照明などのCW熱源141を、追加の制御可能な放射熱フラックス146を提供するために使うことができる。他の実施形態では、一つまたは複数のパルス出力フラックスソース142もまた、劈開を促進するための剪断応力を加えるために表面領域112に向かう、(側部領域から)特に劈開領域にパルス熱フラックスを提供するために使うこともできる。
【0036】
センサ装置150は、温度センサ、位置センサ、圧力センサ、および表面粗さプローブを含む複数のセンサを備える。バルク材料110がステージ120に保持されるおよび注入工程中の任意の時点で、センサ装置150はその時点のバルク材料110の状態に関連する全てのセンサデータを収集する能力がある。センサ装置により記録されたセンサデータは制御装置160に送られ、注入とそれに続く劈開工程のためのバルク材料の温度を処方手順の値に変化および保持するための制御ルーチンを決めるためのフィードバック/フィードフォワード制御方式を実行するための入力データとして使われる。
【0037】
図1Aは、本発明の実施形態による情報の処理に使われるだけでなく図1の装置100の動作を監視および実行するために使われる制御装置160の略図である。この図は、単なる例であり、特許請求の範囲を不当に限定するものではない。当業者は多くの他の修正形態、代替形態、および変形形態を認識するであろう。図示のように、制御装置160はコンピュータシステム170にリンクする制御電子装置162を備える。
【0038】
具体的実施形態では、制御装置160は複数の制御機能を実行するために制御電子装置162を使う。例えば、制御電子装置162は複数の電子ボードまたはファンクションカードを備える。これらの各ボードはそれぞれ、温度制御機能を実行するためにステージ120に連結し、バルク材料110を固定または固定を外すために機械的クランプ装置130に連結し、注入工程のために注入装置140に連結し、温度制御と劈開工程支援の両方のための外部熱源(CWソース141やパルスソース142など)に連結し、およびセンサ装置150に連結してバルク材料の現在の状況に関連する情報を受信しコンピュータシステム170のための入力データパケットを生成するように構成することができる。
【0039】
他の具体的実施形態では、コンピュータシステム170は、Microsoft CorporationのオペレーティングシステムWindows(登録商標)NTが動作するペンティアム(登録商標)クラスをベースにしたコンピュータシステムにすることができる。しかし、このコンピュータシステムは、本発明の範囲を逸脱しない範囲で当業者によって容易に他のオペレーティングシステムやアーキテクチャに適合される。図1Bは本発明の実施形態による図1Aのコンピュータシステム170のハードウェア要素のより詳細な図である。この図は、単なる例であり、特許請求の範囲を不当に限定するものではない。図のように、コンピュータシステム170は、中央プロセッサ173で実行している複数の制御コード165、166、167のデータを処理するために入力センサデータをI/Oコントローラ171を介して受信し、I/Oコントローラ171を介して制御電子回路に出力制御指令/命令を送り返すように構成される。各複数の制御コードは、装置100での特定の制御機能のために特別に設計されている。例えば、コンピュータシステム170で実行している制御コード165はバルク材料の表面領域に向けて特定の高エネルギーイオン粒子ビームを届けるための注入装置の動作を制御するためのプログラムであってもよい。他の例では、制御コード166は、機械的クランプ装置によって実行されるサンプル取扱手順、またはセンサ装置によって実行されるサンプル監視計画を生成するためのプログラムであってもよい。また他の例では、制御コード167は、ステージを冷却するための、クランプを介したジュール熱を加えるための、および/または外部熱源等による表面の加熱のための出力指令の生成が可能なプログラムであってもよい。もちろん、当業者は多くの他の修正形態、代替形態、変形形態を認識するであろう。
【0040】
具体的実施形態では、全てのハードウェア要素またはコンピュータシステム170のサブシステムはシステムバス175を介して相互連結される。例えば、プリンタ174、キーボード178、固定ディスク179、ディスプレイアダプタ176Aに接続されるモニタ176などのサブシステムが図示される。周辺機器やI/Oコントローラ171に連結する入出力(I/O)装置は、シリアルポート177など、当技術分野で周知のさまざまな手段によってコンピュータシステムに接続することができる。例えば、シリアルポート177はコンピュータシステムを、インターネットなどの広域ネットワークに替わりに接続するモデム、マウス入力装置、またはスキャナなどの外部インターフェース180に接続するために使うことができる。システムバス175を介した相互接続は、中央プロセッサ173に各サブシステムと通信し、システムメモリ172または固定ディスク179からの命令の実行を制御すること可能にし、また、サブシステム間での情報の交換を可能にする。サブシステムや相互接続の他の配置が当業者によって容易に達成可能である。システムメモリや固定ディスクはコンピュータプログラムの記憶装置の具体的媒体の例であり、具体的媒体の他のタイプにはフロッピーディスク、リムーバブルハードディスク、CD−ROMやバーコードなどの光学的記憶媒体、およびフラッシュメモリ、読み出し専用メモリ(ROM)、バッテリバックアップメモリなどの半導体メモリが含まれる。
【0041】
上記のものは特定のハードウェア機能に関して例証したもので、多くの変形形態、代替形態、修正形態が存在することが認識されるであろう。例えば、どのハードウェア機能も、さらに結合するまたは分離することさえ可能である。この機能はまた、ソフトウェアまたはハードウェアとソフトウェアの組み合わせを通じて、ある程度、実施することができる。ハードウェアとソフトウェアは、アプリケーションに応じて、さらに一体にするまたはより少なく一体化することができる。本発明の機能性のさらなる詳細は、図に基づいて以下に概略説明される。
【0042】
図2Aおよび2Bは、本発明の実施形態による側部領域の溝を介して機械的クランプ装置によってステージ上に保持されるバルク材料の略図を示す。これらの図は、単なる例であり、特許請求の範囲を不当に限定するものではない。当業者は多くの変形形態、代替形態、修正形態を認識するであろう。バルク材料110Aは、注入を促進するための平坦化された表面領域を有するように前処理されることに加えて、バルク材料がステージ120A上に確実に保持できるよう機械的クランプ装置を受け入れるよう構成された側部領域の一つまたは複数の溝を有するように前処理されてもよい。図2Aは側部領域周囲を囲む溝とバルク材料をクランプするための溝に適合する機械的クランプ装置の2つのクランプアームの概略側面図を示す。図2Bはクランプされた図2Aに示す同じバルク材料の概略上面図であり、バルク材料が円形断面形状を有すると仮定している。
【0043】
本発明の実施形態に従って、バルク材料110Aは表面領域から底部領域までの所望の長さを有するように製造することができる。図2Aに示したように、具体的実施形態では、機械的クランプ装置131にクランプされるバルク材料110Aの位置は、表面領域を含むバルク材料の少なくとも70%部分および側部領域の表面領域からの長さの少なくとも70%が機械的クランプ装置の干渉なしに加工のために実質的に露出するよう(側部領域上の)底部領域近くに位置する。バルク材料の長さは、材料タイプによるが、具体的装置100による熱容量および熱伝達の対処能力に基づいて予め定めることができる。バルク材料の長さはまた、膜厚さによるが、バルク材料の劈開からいくつの自立膜を得ることができるかを決定する。
【0044】
例えば、バルク材料110Aは、5cmの原長を示し、15cm×15cmの側面寸法(約3kgの重さ)を有する単結晶シリコンインゴットにすることができる。一つの実施形態では、このようなインゴットの約70%の長さの劈開から、本発明の実施形態の技術を利用することにより、それぞれが100μmの厚さを有する、350の自立単結晶シリコン膜を生産することができる。1m2は15cm×15cmの面積を持つ約45のタイル表面に相当するので、約7.8m2のシリコンの表面積をこのような5cm厚のインゴットの70%から生産することができる。他の実施形態では、このようなインゴットの約70%の長さの劈開から20μmの厚さを有する1750の自立単結晶シリコン膜を生産することができる。この実施形態では約39m2のシリコンを5cm厚のインゴットの70%から生産することができる。単結晶シリコンから劈開されないインゴットの残り30%は、劈開のための新しいインゴットを製造するため、高度に純化された出発材料として溶融物に戻すことができる。
【0045】
具体的実施形態では、バルク材料110Aは単結晶シリコンインゴット、ポリ結晶シリコン鋳造ウエハ、タイル、または基板、シリコンゲルマニウムウエハ、III/V族材料の基板、II/VI族材料、窒化ガリウム、炭化ケイ素などにすることができる。具体的実施形態では、バルク材料は感光材料にすることができる。単結晶シリコンは、効率、コストなどの要因と不純物ゲッタリングなどの後処理との間で求められたトレードオフにより、太陽電池、半導体、または金属グレードの純度水準からなり得る。
【0046】
どの単結晶材料も、劈開のし易さ、好ましい装置の動作などの利点がある特定方位に切断することができる。例えば、シリコン太陽電池は、このタイプの自立基板を作るために、主に(100)、(110)、または(111)の表面方位を有するように切断することができる。もちろん、主要な結晶方位から意図的にミスカットされた方位面を有する出発材料を用意することもできる。もちろん、他の変形形態、修正形態、代替形態があり得る。
【0047】
本発明の実施形態に従って、バルク材料110は製造設備や材料タイプに基づいて、複数の断面形状を有するように用意することができる。したがって、クランプ設備または機構を、バルク材料の表面領域および側部領域の大部分を機械的クランプ装置の干渉無しに処理することができ、残りのバルク材料が特定の劈開工程の終了後にクランプ装置から解放することができるように、変更または修正することができる。例えば、円形断面形状に対して、対向する側に位置する2つの円弧状のクランプアームが図2Bに示されている。他の実施形態では、より長い長さの単一の円弧状アームを取り外し可能なクランプのために使うことができる。さらに別の実施形態では、より短い長さで他の位置にある3つまたはそれ以上の円弧状アームを取り外し可能なクランプのために使うことができる。図2Cは側部領域の3つのノッチ103に適合する3つの矩形状クランプアーム132によって取り外し可能にクランプされる六角断面形状のバルク材料110Bの概略上面図を示す。図2Dは底部領域からロック機構104を介して機械的クランプ装置133によってステージ120Bに保持されるバルク材料110Cの概略側面図を示す。クランプアーム133はキーのような構造として使うことができる。クランプアーム133はバルク材料110Cの底部領域に形成されたロック構造に挿入され、その後バルク材料110Cを確実に保持または固定するための位置に所定の角度回転することができる。もちろん、他の変形形態、修正形態、代替形態があり得る。
【0048】
さらに本発明の実施形態に従って、図2Eおよび2Fに示したように、何の前処理された溝やノッチを持たない自然形態のシリコンインゴットなどのバルク材料110Dを、2つ以上のC形状機械的クランプ装置134によってクランプし、ステージ120Cの上部に固定することができる。クランプ位置は側部領域の下半分近傍(例えば、底部領域から計った長さの少なくとも30%未満)に位置する。ある実施形態では、このクランプ位置は、バルク材料110Dの表面領域の100%が露出され、クランプ装置からの物理的な干渉無しの処理を可能にする。特に、光起電装置のためのシリコンインゴットからの厚膜劈開のための表面領域の100%利用は本発明によってもたらされる利点の一つである。さらに、他の実施形態では、クランプ機構は、劈開工程がバルク材料の体積の大部分(例えば、少なくとも70%)から厚膜を一枚ずつ分離するよう連続的に実行され得ることが可能になることを目的とする。さらに別の実施形態では、クランプ機構はステージ120Cにバルク材料110Dを保持するために摩擦力を用いる。機械的クランプ装置の熱膨張係数はバルク材料のそれよりも大きいので、バルク材料が高温で加工されるまたはクランプを通ってバルク材料に特定の熱フラックスが流入すると、熱膨張によりクランプがよりきつくなる。また別の実施形態では、クランプアームはクランプされるバルク材料の形状に合うように表面上に鋭い突出を持たないよう構成されるため、バルク材料との係合に強いクランプ力が加わることによる側部領域のクラッキングが生じない。
【0049】
本発明の実施形態に従って、バルク材料は注入工程が開始される平坦化された表面領域およびステージに係合することができる滑らかな底部領域を有するように前処理されてもよい。図3に示したように、バルク材料はさらに滑らかな底部領域118に配置された閉ループの溝114を有するように処理されてもよい。例として、バルク材料が正方形断面形状を有することを想定する。一つの実施形態では、溝114はまた実質的に正方形状で底部領域118の端部の近傍にそって位置する。他の実施形態では、溝114は、バルク材料110Eの底部領域118がステージの平面に(機械的クランプ装置の補助で)係合するときに、適応気密シールを受けることができる。気密シールとバルク材料110Eの底部領域とステージの間の2つの係合する平面は、ガスの層で充填されるキャビティを形成する。ガスの層は、圧力に依存するが、バルクの底部領域とステージ間の熱伝導を大幅に増加させることができる。さらに他の実施形態では、特定のガス供給装置がステージ内に組み込まれると、このガスを利用した伝導は、底部領域に係合することによってバルク材料を支持するために使われたステージを事実上温度制御ステージに変更する。
【0050】
図4は本発明の実施形態による温度制御ステージにクランプされたバルク材料の概略断面を示す。この図は、単なる例であり、特許請求の範囲を不当に限定するものではない。当業者は多くの変形形態、代替形態、修正形態を認識するであろう。図4に示したように、バルク材料110は、底部領域118とステージ120の表面121間に挿入された気密シール122とともにステージ120の表面121に保持されたその底部領域118でクランプされる。底部領域118の第1の溝114に適合する気密シール122は、その底部領域118とステージ120の表面121でそれぞれその上部と底部を境界としてキャビティ124を形成する。ステージ120はさらに、気密シール122によって囲まれたキャビティ124内の表面121に複数のガス通路126を備える。複数のガス通路126は、所定の圧力のガス127でキャビティ124を充填できるようガス注入口128とガス排出口129を有するガス供給装置(図示せず)を介して、ステージ120の本体内に接続される。
【0051】
ある実施形態では、気密シール122は、6インチシリコンウエハに対して20Torrまでの、または厚いシリコンインゴットに対してまたは約3kgの重さのタイルに対して300Torrまでのキャビティ124内の高圧を確実に保持することができる。キャビティの外側では、バルク材料は約5×10-7Torrの圧力下の真空系に設置することができる。ある例では、気密シール122はOリングにすることができる。他の例では、気密シール122は誘電体材料または金属材料から作られたフランジにすることができる。このガス127は極低温ガス、室温ガス、または加熱ガスにすることができる。ある例では、ガス127はヘリウム、水素、アルゴン、または窒素の少なくとも一つのガスである。
【0052】
ある実施形態では、バルク材料の側部領域の第2溝116に適合する機械的クランプ装置130は、ステージ120の表面121上のバルク材料110をクランプするために用いられる。他の実施形態では、クランプ装置130は、所定の重量に加えて真空環境の表面領域とキャビティ内の背圧下の底部領域の間の圧力差による上向きの力を伴うバルク材料を確実に保持するための設計強度を有する金属ボディを備えてもよい。例えば、バルク材料に真空環境内での注入が行われている間に使われる200Torrの冷却ガスのキャビティ124内の背圧は、約135lbsの力を生み出す。したがって、クランプ装置130はこのような上向きの力に対してバルク材料を保持しなければならない。
【0053】
具体的実施形態では、ステージ120は金属平板電極とともに埋め込まれた誘電体を含んだ静電チャックである。金属平板電極とバルク材料110の間に電圧を加えることにより、ステージ120上のバルク材料110を吸着するように静電気力を発生させることができる。ある実施形態では、約25Torrまでのより小さい背圧がキャビティ124内で測定されると、このような静電チャックが使われている場合には機械的クランプ装置130は取り除かれて置き換えられ得る。代替として、クランプ装置130と静電チャックを備えたステージの両方を使うことができる。加えて、機械的クランプ装置130とステージ120はトレイベース190上に取り付けられる。このトレイベースはそれ自身で、平面121と平行なX−Y平面を2次元的に動くことができる。もちろん、他の変形形態、修正形態、代替形態があり得る。
【0054】
他の実施形態では、クランプ装置130はまた本発明の実施形態に従って、バルク材料110にIR加熱を加えるための電気接触手段として使うこともできる。電気的ソース138は、電流Iがバルク材料を流れることによるジュール加熱を生み出す。加熱レベルはI2Rに等しく、Rは抵抗率、材料密度および接点形状に基づく材料の抵抗である。
【0055】
ステージ120に組み込まれたガス供給装置(図示せず)を通じた、ガス127の圧力の調整により、装置100の温度制御を行うことができる。ガス分子は底部領域118とステージの平面121の間で跳ね返り、表面間でエネルギーを交換する。特定のバルク材料、ステージの誘電体材料、ガスの種類に対して、ガス表面の適応係数はほぼ固定される。固定された高さのキャビティ124に対して、ガス圧力が高くなるほど熱伝導が高くなるまたは表面118と121間のエネルギーの移動がより良くなる。10ミクロン未満のキャビティ高さに対して、ガスの平均自由行程は一般的に、例えば200Torrの高いガス圧力でもキャビティ高さより依然として大きい。したがって、平均してガス分子は表面118と121間を衝突することなく移動することができるので、それが生じたところの表面にエネルギーが戻されることはなく、表面118と121間の最も効率的な熱伝達を行う。ガス圧力が制御された値に減少すると、熱伝達は制御されて下げられてさらに表面領域112の温度を制御下で変えることができる。
【0056】
供給されるガスの温度調整により、さらに温度制御をすることができる。一つの例では、ガス127を加速冷却のために極低温に予め冷却することができ、表面領域からバルク材料の底部領域への下降熱伝達148を提供する。あるいは、ガス127を、冷却を鈍化させるかまたはさらにステージから表面領域に向かう上昇熱フラックス148を形成するために予め加熱することができる。基本的に、ガス層界面領域を備えるステージ120は、バルク材料のためのCW出力フラックス制御を伴う定常温度制御装置として使うことができる。温度制御は注入工程中および/または他の類似の工程中に提供することができる。
【0057】
他の実施形態では、ガスを補助に使う伝導はバルク材料の底部領域およびステージ表面の物理的特性によって決まる表面の適応係数により制限される。ガス分子がキャビティ内で完全にランダムな速度を有し、分子がキャビティの境界間でエネルギーの移動なしに弾性的に跳ね返る場合、表面の適応係数は1である。一つの例では、シリコン表面と誘電体材料で作られたステージ表面に対するこの係数の標準値は約0.3である。
【0058】
所望の熱伝達は、取り扱われるバルク材料の熱容量または熱質量に依存する。比較的重いバルク材料とステージとバルク材料の底部領域間の薄いキャビティ高さでは、高圧のHeやH2などの軽いガスが高熱伝導を達成するための最良の選択である。さらに、ガス圧の調整は2つの固体表面間の熱伝達を制御するための大変効率的な方法になり得る。例えば、約5cm厚のシリコンインゴットに対して、4×104Wm-2K-1までの熱伝導率は、数ミクロンの高さの薄いキャビティと300Torrまでのガス圧力を用いて実現することができる。比較的高い背圧によって達成されたこの高熱伝導率は、バルク材料が起こりうる上方への曲げに対する十分な機械的剛性を持つ場合でのみ保つことができる。幾つかの実施形態に記述された5cm厚のインゴット材料(および、膜の分離が繰り返された後に1.5cmの最終厚さに薄くした後でさえ)、この要件は満たされる。
【0059】
上述の例では、バルク材料の底部はまた、恒久的または一時的に固定されているアダプタ板を介して温度制御面に連結することができる。以下により詳細を記述するが、アダプタ板は、バルクから熱伝達プレートへの機械的および熱的な結合を可能にする。もちろん、他の変形形態、修正形態、代替形態があり得る。
【0060】
図1に戻って参照すると、装置100の他の構成が注入装置140である。注入装置140は、例えば2MeV以上の高エネルギーのイオン粒子を生成する能力のある独立して作動する線形加速器とすることができる。この線形加速器は、複数の高周波四重極(RFQ)要素および/または複数のドリフト管線形加速器(DTL)ユニットおよび/またはこれらの組み合わせであって良いが、これに限定されるものではない。これらの要素は、マイクロ波ECRイオン源からイオンビームを取り出し、その後最終的な所望のエネルギーレベルまでイオンを閉じ込めて加速する。イオン種は水素、重水素、またはヘリウム種を含む。粒子ビーム電流は20mAまでにすることができ、ビームサイズは注入装置140の出射孔に取付られたビーム拡大器(図示せず)によってほぼ50cmまで拡大することができる。
【0061】
もちろん、当業者は注入装置の構成の多くの代替形態、変形形態、修正形態を認識するであろう。例えば、このような注入装置は、カリフォルニア州プレザントンのAccsys Technology Inc.などの会社から入手できる高周波四重極加速器(RFQ−Linac)またはドリフト管リニアック(DTL)、またはNM87109、アルバカーキーのLinac Systems,LLC(社)のRF収束櫛型(RF−Focused Interdigitated)(RFI)技術などを使うことにより最近利用できるようになっている。
【0062】
再度図1を参照すると、装置100は、バルク材料110の表面領域112にMeVレベルのイオン粒子のビームを注入するために注入装置140を用いている。バルク材料へのイオン粒子の注入は、本発明の実施形態に従って、自立膜を形成するための劈開工程を可能とする。エネルギーは部分的に注入種および条件に依存する。所定のエネルギーレベルの粒子ビームにより効果的に、粒子は表面領域112の下の所定の領域端(EOR)深さまで深く届くことができ、応力を加えるまたはほぼEOR深さでの平面に沿った破壊エネルギーを減少させることができる。これらの粒子は、劈開領域115または劈開面を形成するためにEOR深さ周囲のバルク材料の破壊エネルギーレベルを低減する。これは、バルク材料110から重ねられた膜113を分離するために、形成された劈開領域に沿った制御された劈開を可能にする。
【0063】
本発明の実施形態に従って、イオン注入は、全ての内部位置でバルク材料のエネルギー状態がバルク材料中で不可逆破壊(すなわち、分離や劈開)を起こすために不十分であるような条件下で起こり得る。しかし、注入ドーズは一般的に、その後の熱処理、例えば熱アニーリングまたは短時間熱アニーリング、によって通常は少なくとも部分的に修復することができるバルク材料中の所定量の欠陥(例えば微小欠陥)をもたらす。
【0064】
イオン注入に関連した結果は、衝突イオン粒子の出力フラックス145による表面領域および下方周囲のバルク材料の温度上昇である。装置100の注入装置140からの出力ビームは直径数ミリメートル程度にすることができる。注入アプリケーションは、ターゲット表面に衝突する出力フラックスが大きくなり過ぎないようにする、およびできる限りターゲット表面を加熱または傷つけないようにするために、ビーム直径を数百ミリメートル程度に拡大することを必要としてもよい。特定の粒子ビーム特性(所定のビーム電流およびビームサイズを備える)に対して、粒子出力フラックス145による温度上昇はまた、注入装置140に対して適切なデューティファクタ(例えば、0%がオフ、50%は半分の出力、100%が全出力)を設定することにより制限することができる。他の実施形態では、移動トレイ170は、フラックス145によるイオンビーム加熱が時間平均化されるように、表面領域112を横切る所定の速度でのビームの走査を可能とする。また、単独あるいはトレイの動きと組み合わせたビーム走査は、ターゲット表面を横切ってビームを動かすことを可能とし、ビームフラックスの時間平均化を行うことも可能となる。
【0065】
イオン注入と関連した温度上昇の両方は、注入およびその場注入アニーリング工程中の温度制御のために利用することができる速度が制限された熱処理にすることができる。例えば、前に記述された装置100は、バルク材料から自立膜を分離するために適した所望の劈開面を得るために、吸収量および基板温度上昇に関してイオン注入の成果を制御することができる。
【0066】
再度図1を参照すると、装置100は、バルク材料についての現在の状態に関連したデータを収集するためのセンサ装置150を利用する。特に、センサ装置150は、少なくとも表面領域112および底部領域118の両方の温度値および表面領域112の表面粗さを含む、バルク材料110の表面特性を測定または監視するための複数のセンサを利用する。測定および監視は注入工程中連続的で動的である。センサ装置150は、特定の時点に対する入力データのセットを動的に生成することができる。
【0067】
センサ装置150は少なくとも5つの異なるタイプのセンサを備える。第1のタイプは温度センサであり、表面領域112および底部領域118近傍に配置され、バルク材料110の表面領域および底部領域の温度を測定することができる。温度センサはプログラムされた温度制御ルーチンを実行するために制御装置160のための直接入力データとして使うことができる。追加の温度センサを、供給ガス127の温度を測定するためにガス供給口128に設置してもよい。それ以上の温度センサが、クランプ装置130を通じた熱および電気伝導の入力を提供するための第2溝116での温度を測定するために必要な場合がある。ある例では、温度センサは熱電対のような接触タイプを含む。他の例では、光高温計のような非接触タイプの温度センサを使うこともできる。
【0068】
第2のタイプのセンサは圧力センサであり、供給ガス127の圧力を測定するためにキャビティ124内の底部領域118近傍に設置される。圧力センサは、ガスを補助に使う伝導を用いて底部領域118の温度変化を導くための供給ガスの圧力を検知できる。このような圧力センサ、例えば広い圧力範囲で動作可能である圧力ゲージまたは複数のゲージは、所望の圧力測定レンジを実現するために使うことができる。
【0069】
第3のタイプのセンサは、劈開工程により各厚膜が分離された後のバルク材料110の重さを監視することができる。バルク材料の重さは固有の熱容量および熱抵抗に対応し、それは同様に温度制御ステージ120を使った温度制御を最適化するために有用である熱時定数を決定する。重量センサの代わりまたはそれと併せて、位置センサまたはタイルカウンタ(tile−counter)を使うことができ、それは各連続劈開工程後に、現在の表面領域112から底部領域118まで測定した、バルク材料の表面の高さの変化または現在の長さ111を監視する。
【0070】
第4のタイプのセンサは、各劈開工程後の表面状態の情報を提供する表面粗さまたは欠陥検査センサである。この入力データに基づいて装置100は、インゴットまたはタイル表面が再ラッピング、ポリッシング、または修復される必要があるかを決めることができる。実施形態では、このタイプのセンサは特定の劈開破壊により生じた平坦度の差または粒子スパイク(particle spikes)を測定することができる。この情報は、装置100にフル生産を続ける能力を自己診断することを可能にし、結果として生じる自立厚膜の全体的な品質を確保する。
【0071】
第5のタイプのセンサは、どのように劈開面に沿った微小亀裂伝搬の開始を引き起こすかを監視することができるように、処理領域の劈開前(precleave)の情報を捕らえるための音響または光学センサを含んでもよい。さらに、局所的な応力の解放による材料内の過渡的な弾性波であるセンサによって検知されたアコースティックエミッションは、劈開工程中にレーザパルスエネルギーが増加または減少するように調整するために使うことができる。このような音響センサは、一般的に100kHzと1MHzの間の領域の超音波領域で動作するが、1kHzまで下げるまたは100MHzまでであってもよい。典型的な音響センサは、電気的、電子的、電気機械的、または電磁的メカニズムに基づいたトランスデューサを含む。また、光学センサの使用は、具体的実施形態による劈開プロセス開始および伝搬を制御するために、劈開前または劈開中の劈開面の光学的な変化を検知する。実施形態によるが、検知は、任意のこれらの技術などの組み合わせを用いて行うことができる。
【0072】
図1を再び参照すると、装置100はさらにセンサ装置150によって生成された入力データを受信および処理するために構成された制御装置160を備える。制御装置160はまた、複数の自立厚膜を製造するために有利な連続注入工程の間にバルク材料110の温度を動的に制御するために、注入装置140および温度制御ステージ120に接続されるとともに指令を行う。ある実施形態では、制御装置160は最良の動作ルーチンを決定するための動的なフィードバック/フィードフォワード制御方式を実行するよう構成される。この制御方式では、表面温度、底部温度、バルク材料の重さ(または長さ)、表面粗さなどを含むバルク材料の現在の状態に関連する入力データが処理される。任意の特定の時点における注入、その場アニーリング、および/または、その後の劈開のための所定の処方手順に基づいて、制御装置は出力としての最適化された制御ルーチンを計算し、ここでは動作指令は注入装置140のデューティファクタを調整するおよび/またはキャビティ124内に供給されるガス127の背圧および温度を調整することによりステージ120を用いて底部温度を変化させるために与えられる。
【0073】
また、ある例では、制御装置160は処理中のバルク材料の処理領域に向かって追加のCW出力フラックス146を提供するために、表面領域の上の一つまたは複数の外部投光照明熱源141に接続されていてもよい。他の例では、表面領域の上に配置された一つまたは複数のパルス熱源142がさらに、アニーリングまたは急速な上昇率で表面温度を上昇させるための出力フラックス147を供給するために適用される。ある実施形態では、パルス熱源142は、処理領域の熱時定数、100μm厚の自立膜製造工程に対しておおよそ50マイクロ秒内で局所的にエネルギーパルス149の導入を通じて効率的な劈開領域115を生成するのに役立てることができる。パルス熱源の一つの例は、数ナノ秒から数十ナノ秒以上の特性パルス幅を持ちcm2あたりのエネルギー0.1−50ジュールを届けるYAGレーザパルス装置である。基本的な1.06μmYAGラインは、このアプリケーションに必要な100μm内にレーザの熱エネルギーの大部分を供給する。劈開領域は局所的なEOR損傷がシリコンのIR吸収係数を増加させるため、そこに到達する残留赤外線(IR)放射を効率的に吸収することが見込まれる。低い熱伝導率のEOR領域を横切る瞬間的な温度差は、さらに劈開エネルギーを減少させることができるかあるいはさらに劈開工程を起こすことができる剪断応力を発生させる。
【0074】
他の例として、レーザ光が劈開領域のEOR損傷内に大部分が吸収されると(そこでは、光はバルク材料の側部領域周辺から全ての角度で劈開領域に作用することができる)、レーザパルスエネルギーは照射後周囲の材料への熱緩和まで高レベルの応力を発生させる。劈開領域の緩和時定数は、注入エネルギー(劈開領域の厚さを決める)および劈開領域の有効熱伝導率に応じて約25ナノ秒から20マイクロ秒以上である。本発明の特定の実施形態に従って、表面領域の加熱はEOR劈開領域、劈開される上を覆う膜、またはその両方の加熱を含む。
【0075】
他の例では、ステージ120の底部に水冷却システム(図示せず)を取り付け、伝導を促進するために機械的クランプ130に独立したヒートシンクを取り付けることによって追加の冷却を与えることができる。バルク材料から自立厚膜を分離するための劈開工程中の温度制御方法のさらなる記述は以下に述べる。
【0076】
図5は本発明の実施形態によるバルク材料から自立膜を連続的に分離するための劈開工程中の温度制御方法を示した概略フローチャートを示す。この図は単なる例であり、特許請求の範囲を不当に限定するものではない。当業者は多くの変形形態、代替形態、修正形態を認識するであろう。この方法200は次の工程を含む。
1.バルク材料を用意する工程210。
2.バルク材料の現在の状態に関するセンサデータを収集する工程220。
3.制御ルーチンおよび温度設定値を決定するためのセンサデータを処理する工程230。
4.設定値に到達するための制御ルーチンを実行する工程240。
5.設定値で注入およびその場アニーリング工程を実行する工程250。
6.劈開工程(装置100での場合)を実行する工程260。
7.残っているバルク材料の長さをチェックし、30%未満なら工程を終了し、そうでなければ次の工程に進む工程270。
8.バルク材料の表面粗さをチェックし、基準を満たせば工程220に戻って次に進み、そうでなければ工程210に戻って次に進む工程280。
【0077】
上記の一連の工程は本発明の実施形態による方法を提供する。工程が追加されたり、一つまたは複数の工程が取り除かれたり、または一つまたは複数の工程が特許請求の範囲から離れることなく他の手順で提供される、他の代替形態もまた可能である。本発明のさらなる詳細は本明細書を通じて、特に以下に見ることができる。
【0078】
図5を参照すると、方法200は第1に自立膜を製造するために劈開用バルク材料を用意する工程段階210を備える。特定の実施形態によれば、バルク材料はインゴットの形に成長して与えられる、単結晶シリコンなどの半導体材料を含み得る。他の実施形態では、バルク材料はポリ結晶シリコンの大きいタイルであってもよい。具体的実施形態では、インゴット材料および/またはポリ結晶タイルは、ある長さに予め加工された本体および実質的に円形または多角形の断面形状を有し得る。バルク材料の長さは温度制御された劈開を促進するために予め定めることができる。一定の密度をもったバルク材料に対して、長さはその重量に相当する。例えば、結晶シリコンインゴットに対して、好ましい長さは約5cmで重量は約3kgである。
【0079】
他の実施形態では、劈開のためのバルク材料の用意には、良質デバイス用膜を製造するための表面領域およびステージ上に保持するための底部領域の両方を滑らかにするためのさまざまな平坦化処理を用いることを含む。さらに他の実施形態では、バルク材料の用意には、表面粗さをより小さいレベルにするために、例えば、装置100の注入装置140によって発生した高エネルギー粒子など、改良された高ドーズエネルギーイオン粒子注入工程を使うことを含む。ある実施形態では、バルク材料の用意はまた、表面粗さを減少させるために表面の軽いエッチングおよび/または薄い滑らかな層を堆積させることも含む。他の実施形態では、バルク材料の用意にはさらに、劈開工程前の表面領域に光結合層、透明導電酸化物、および光閉じ込め層などのコーティング/膜を堆積させるためにデバイス製造工程を組み入れることを含む。その後の劈開のために、表面状態は、次の工程段階のために異なるオプションにつながる処理が表面に必要かを決めるために、バルク材料から膜が取り除かれるたびに再チェックされる。
【0080】
バルク材料を用意するための方法200の第1の工程段階210はさらに、バルク材料の底部領域に第1の溝を作ることを含む。具体的実施形態では、第1の溝は多角形の底部の端部領域に配置された閉ループの溝である。第1の溝は、バルク材料の滑らかにされた底部領域がステージの平面に係合する時に、ガス層界面を形成するための気密シールに適合するように設計される。さらにある実施形態では、工程210はさらに、バルク材料の周辺側部領域の所定の位置に第2溝を形成することを含む。第2溝の位置は、概して、次の工程で、注入および表面領域からバルク材料の70%まで連続的に実行される劈開工程を妨害することなく、溝に適合される機械的クランプ装置が側部領域からバルク材料を適切にクランプすることができるように、底部からのバルク材料の長さの30%未満に設定することができる。一つの例では、第2溝は周辺側を囲む単一の溝であってもよい。他の例では、バルク材料の周りのさまざまな位置に配置された一群の溝であってもよい。他の実施形態では、工程210は、次の工程で底部からステージ上にバルク装置を確実にロックするためのキー構造を有する機械的クランプ装置のために、底部領域にロック構造を作ることを含んでもよい。
【0081】
バルク材料を用意するための方法200の第1の工程段階210はさらに、クランプ溝としての第2溝を用いて機械的クランプ装置によりバルク材料をクランプすることを含む。代替実施形態では、バルク材料110を、ロック機構を介して底部領域から機械的クランプ装置により確実に保持することができる。図4に示される、具体的実施形態では、バルク材料110は機械的クランプ装置130によりクランプされ、気密シール122によってのみ分離されて底部領域118がステージの平面121に結合してステージ120上に保持される。気密シール122は、底部領域118とステージ表面121を連結すると同時に、バルク材料の底部領域118とステージの平面121がそれぞれ上部と底部の境界になる薄いキャビティ124をそれらの間に形成するために第1溝114に一致するように構成される。気密シール122は、機械的クランプ装置に補助されて、キャビティ124の内外に形成される高圧力差を保持するのに十分確実である。具体的実施形態では、ステージ120の平面121は、キャビティ124内に満たされたガス127が調整可能な圧力にすることを可能とする複数のガス通路126を備える。ガスは通常、注入口128と排出口129を有するステージ120内に組み込まれたアセンブリにより供給される水素またはヘリウムガスである。ガス127は極低温または室温であり得る。また、ガスを加熱することもできる。
【0082】
図5を参照すると、いったんバルク材料が用意され、ステージ上に保持されると、方法の工程段階220が実行される。この段階では、バルク材料の現在の状態に関連するデータが、センサ装置によって操作される一つまたは複数のセンサによって収集される。例えば、センサ装置は図1にセンサ装置150として示される。
【0083】
ある実施形態では、センサ装置により操作される一つまたは複数のセンサは、表面領域の温度Ts、および底部領域の温度Tbを測定するための温度センサを含む。他の実施形態では、一つまたは複数のセンサはまた、同様にバルク材料の現在の長さまたは重さの情報を提供するバルク材料の表面領域の位置を検知することにより、劈開工程中のバルク材料の履歴を追跡記録する位置センサも含む。さらに他の実施形態では、一つまたは複数のセンサは、バルク材料の底部領域とステージ表面の間のキャビティ内の圧力を示す圧力センサを含む。センサ情報の収集または所定の測定を実行することは、工程210で一度バルク材料が用意されると最後の劈開工程が終わるまで(工程フローを停止する特定の劈開工程基準が満たされない場合を除く)任意の時点で行われる。収集されたセンサデータはリンクされた制御装置に送られて処理される。例えば、制御装置160は図1に示された装置100内に含まれる。
【0084】
この方法200の工程段階230は、工程の処方手順に基づいた所望の工程(注入および/または劈開)温度にバルク材料の表面温度を変化させるための温度フィードバック/フィードフォワード制御方式の入力として、これらのセンサデータを処理するために制御装置を使う。任意の時点で、処方手順は表面領域、より詳しくは処理領域でのバルク材料の所望工程温度Tpのための設定値を決定する。その後、ある時点でのセンサデータからの入力データが、表面領域の現在の温度Tsを目標設定値Tpに変化させるおよび/または要求通りにその温度に維持するための最良のルーチンを決定するためにフィードバック/フィードフォワード制御方式で制御装置によって受信され処理される。制御ルーチンは、最も効率的な方法で工程温度に到達するような最速のまたは少なくとも所定の加熱/冷却速度を達成するように制御ループを安定に保つようプログラムされる。
【0085】
方法200の工程段階240は、次に与えられた時点から設定値に到達するよう選択された制御ルーチンを実行するために実行される。ある実施形態では、温度を変化させるための制御ルーチンは、複数の放射、対流、熱伝導経路を利用した加熱および冷却操作の両方を含む。例えば、現在の温度Tsが設定値Tpより低い場合には加熱が必要である。具体的実施形態では、図6の概略図に示されたように、一つまたは複数の投光照明などの外部放射源302を、CW出力フラックス326の上方からのバルク材料300の表面領域301を加熱するために使うことができる。制御装置は、所望の上昇率と均一性で表面を加熱するためのランプ電流、オン/オフ周波数、および空間的寄与を制御するフィードバックループを通じてこれらの外部放射源につながれていてもよい。外部放射源はまた、アニーリングおよびパルス出力フラックス327を通じた劈開領域エンハンスメントのためのレーザパルス源などのパルス熱源303を含んでもよい。
【0086】
他の実施形態では、劈開工程の一部は、注入装置により生成された高エネルギー粒子を利用したイオン注入工程を含む。表面領域301に照射される高エネルギー粒子の出力フラックス305は表面領域を加熱する傾向にある。制御装置は、注入中の加熱を制御するために、動作のデューティファクタ、オン/オフ周波数のほかに、粒子ビームのビームサイズおよび走査速度を制御するように注入装置、例えば装置100の注入装置140につながれてもよい。
【0087】
他の実施形態では、熱流306は熱伝導によって底部領域309から表面領域301にも発生させることができる。支持ステージ310を、底部温度を変化させることによって熱伝達を促進または制御するために用いてもよい。他の例では、熱は所定の上昇した表面温度でのイオン注入アニーリング後工程のために、この経路を通じて供給されてもよい。
【0088】
さらに他の実施形態では、熱流306はジュール加熱、誘導加熱などから発生させることもできる。一つの例は電流をバルク材料に流すことによるバルク材料のI2R加熱である。一つの例では、熱は所定の上昇した表面温度でのイオン注入アニーリング後工程のために、この経路を通じて供給されてもよい。
【0089】
本発明の他の具体的実施形態では、注入中または劈開工程中の表面領域の加熱を補償できるように底部の温度を下げることによって主に冷却するために使うことができる。つまり、図6の概略図に示された同じ経路を通じて、熱流307は表面領域301から底部領域309に流れる。底部温度Tbを効率的に下げるため、極低温ガスを気密シール313によって密封された底部領域と冷却されたステージ表面311の間のキャビティ315内に供給してもよい。薄いキャビティ(例えば数ミクロン)内の300Torrまでの圧力により、2つの表面と衝突する高速で動くガス分子は底部領域309から冷たいステージ表面311に熱エネルギーを効率的に移動することができる。ガス圧力を調整することにより、ガス分子の平均自由行程を熱の移動を最適化するためにキャビティ高さに応じて変化させることができる。
【0090】
大抵の場合、バルク材料の大きい熱質量のため、EOR領域は注入および特定の劈開面形成アニールに連続的により低い熱伝導を生成し、それゆえこの層はより表面加熱の影響を受けやすいので、ステージを通じた伝導による冷却制御時定数は放射源または表面領域への粒子照射による加熱より遅い。劈開工程が連続的に続くにつれて、バルク材料の長さは減少し、その冷却時定数も減少する。変化する長さを追跡記録する位置センサデータを利用することにより、制御装置は時定数を更新することができ、必要であれば他の制御パスを調整する。したがって、次回の劈開工程のための更新された最適制御ルーチンが生成される。
【0091】
ある実施形態では、バルク材料が薄くなるにつれて、キャビティ内のガス圧力は熱伝導を減少させて冷却を減速させるために低くされ得る。他の実施形態では、制御方式は制御ループを安定に保ち、最も効率的な方法で所望の工程温度が得られるように最速のまたは少なくとも所定の加熱/冷却速度を達成するように、全ての速度プロセスを対応するように設計される。例えば、注入の前に、対象のバルク材料は冷たいが処方手順が300℃を必要としている場合、300℃より高い設定が、設定値に到達するより前に温度を下げるステージとともに注入バルク材料が表面で300℃により速く達することを可能にするために使われ、加熱/冷却サイクルをできるだけ早く保つために温度を増加させる。
【0092】
図5に戻ると、いったん表面温度TSが設定工程温度TPに到達すると、方法200の工程段階250が注入工程を開始するために実行される。本発明の具体的実施形態によれば、図7の略図に示されたように、工程250はバルク材料400の表面領域401を第1の複数の高エネルギー粒子405にさらすことを含む。具体的実施形態によれば、高エネルギー粒子405は線形加速器を備えた注入装置を使うことで生成することができる。注入を行うサブ段階と注入アニーリング後の間の設定値温度処理のサブ工程を組み込んだその場アニーリングもまた行うことができる。図5の他の全ての段階のように、段階220および230は後続の段階250および260内で何度も適用することができる。図5はしたがって第1の設定値処理の単なる例であり、限定するものとしてみなされるものではない。もちろん、他の変形形態、修正形態、代替形態があり得る。
【0093】
具体的実施形態によれば、図8の概略図に示したように、高エネルギー粒子505の注入の結果は、劈開領域503内に複数のゲッタリングサイトまたは蓄積領域の形成を生じさせる。この劈開領域503は、自立膜として分離されるバルク材料500の層510を規定するために、表面領域501の下にもたらされ得る。好ましくは、第1の複数の高エネルギー粒子は、バルク材料のある深さ内に空間的に配置されるピーク密度および底を有する注入粒子プロファイルを提供する。もちろん、他の変形形態、修正形態、代替形態があり得る。
【0094】
ある実施形態では、劈開領域は注入中に第1の温度、例えば約−100℃から250℃の間の幅に保たれ、直接間接を問わずに提供することができる。ある実施形態では、温度は装置100により制御することができる。他の実施形態では、温度は工程段階220、230および240を実行することにより制御することができる。もちろん、他の変形形態、修正形態、代替形態があり得る。
【0095】
用途によるが、特定の実施形態によれば、より小さい質量粒子は一般的に材料の所望の深さへの注入のためのエネルギー必要量を減少させ、材料領域の損傷の可能性を減少させるために選択される。つまり、より小さい質量粒子は、粒子が通り抜けて移動する材料領域を実質的に損傷することなく、基板材料を通って選択された深さに容易に移動する。例えば、より小さい質量粒子(またはエネルギー粒子)は、ほとんどの(例えば、正または負に)帯電したおよび/または中性の原子または分子、または電子、などであり得る。具体的実施形態では、実施形態に応じて、粒子は水素およびその同位体のイオン種、ヘリウムおよびその同位体などの希ガスイオン、およびネオンなどのイオンを含む中性または帯電した粒子であり得る。粒子はまた、上述の粒子、および/またはイオン、および/または分子種、およびまたは原子種の任意の組み合わせとなり得る。粒子は、例えば、水素ガス、水蒸気、メタン、および水素化合物、および他の軽い原子質量粒子などのガスの化合物から生成することができる。この粒子は、通常、表面の下の選択された深さまで表面を貫くことができる十分な運動エネルギーを有する。
【0096】
例えば、注入される種として水素を使うと、注入工程は特定の一連の条件を用いて実行される。注入される水素のドーズは約1×1015から約1×1016atoms/cm2の幅にすることができ、好ましくは注入される水素のドーズは8×1016atoms/cm2未満である。水素注入のエネルギーは、発電用途のために有用な厚膜の形成に対して、約0.5MeVから約5MeV以上に及ぶ。注入温度は、約−100℃から約250℃まで及び、好ましくは注入されたシリコン劈開領域の外に水素イオンが拡散する可能性を避けるため約400℃未満である。水素イオンは、約±0.03から±3ミクロンの精度でシリコンウエハの選択された深さに選択的に導入することができる。もちろん、使われるイオンのタイプおよび処理条件は用途に依存する。
【0097】
具体的実施形態では、約15μmから約200μmまでの幅の厚さのシリコン膜を、約1MeVから約5MeVの幅のエネルギーを有する陽子注入を用いて形成することができる。この厚さの幅は、自立シリコン層として使うことができる厚さの単結晶シリコンの分離を可能にする。本発明の実施形態による15−200μmの幅の厚さを有する自立シリコン層は、従来のウエハ切断、エッチング、またはポリッシング処理に代えるために使うことができる。したがって、従来の分離手法では約50%のカーフロス(カーフロスは切断およびウエハリング作業中の材料損失として定義される)が生じることが予期されるが、本発明の実施形態による手法は事実上カーフロスが無く、結果的に実質的なコスト削減および材料利用の効率の向上になる。
【0098】
特定の実施形態では、5MeVより高い注入エネルギーを使うことができる。このような高エネルギーの注入は、半導体素子の製造の代替材料の基板としての自立層を製造するために有用である。しかし、太陽電池の製造では、200μm以下の厚さの自立材料が一般的に望まれる。
【0099】
図9を参照すると、本発明による方法200の実施形態では、劈開領域603内に複数のゲッタリングサイトをさらに形成するために、バルク材料600に熱処理工程を選択的に実行することができる。つまり、熱処理工程は、欠陥ネットワーク内に置かれた複数の第1の粒子を固定するために劈開領域603をアニーリングおよび/または急冷する。具体的実施形態では、この工程は、所望の熱処理温度の達成を補償するために表面領域601の上からCWおよび/またはパルス放射熱605および底部から熱伝導607を利用することができる。ジュール加熱または誘導加熱の流れ608も利用することができる。例えば、温度制御は装置100を用いて実行される。
【0100】
具体的実施形態では、方法200の工程260はさらに、図9の概略図に示したように、バルク材料の表面領域を第2の複数の高エネルギー粒子にさらすことを含む。第2の複数の高エネルギー粒子705は、例えば線形加速器を備えた装置100内の注入装置140などの注入装置を使うことで生成することができる。図示したように、この方法は、バルク材料700に供給される、第2の複数の高エネルギー粒子705を含む。第2の複数の高エネルギー粒子705は劈開領域703に導入され、第1の応力レベルから第2の応力レベルに劈開領域の応力レベルを上昇させる。特定の実施形態では、バルク材料は例えば約20℃と500℃の間の幅の、第1の温度より高い、第2の温度に保たれる。例えば、第2の温度は装置100および工程220、230および240を実行することによって制御される。もちろん、使われるイオンのタイプおよび工程条件は用途に依存する。
【0101】
例として第2注入段階でバルク単結晶シリコン材料に注入される種として水素を使うと、注入工程は特定の一連の条件を用いて実行される。注入ドーズは約5×1015から約5×1016atoms/cm2におよび、好ましくは、ドーズは約1−5×1017atoms/cm2未満である。注入エネルギーは、発電用途のために有用な厚膜の形成に対して、約1MeVから約5MeV以上に及ぶ。注入ドーズ率は、500マイクロアンペアから50ミリアンペアまで供給することができ、全ドーズ率は拡大されたビーム領域中で注入率を積分することによって計算することができる。注入温度は、約250℃から約550℃まで及び、好ましくは約400℃超である。水素イオンは、約±0.03から±3ミクロンの精度でシリコンウエハの選択された深さに選択的に導入することができる。具体的実施形態では、温度およびドーズは劈開領域内で単原子水素の水素分子への効率的な変換を可能にするように選択されるが、一方で単原子水素の多少の拡散があり得る。もちろん、使われるイオンのタイプおよび工程条件は用途に依存する。
【0102】
本発明の具体的実施形態では、適切なビーム強度を有する、質量選別高エネルギー注入手法を使うことができる。コスト効率を良くするため、注入ビーム電流は数十ミリアンペアの程度のH+またはH-イオンビーム電流にすべきである。システムが十分高エネルギーを注入できる場合、高ドーズ率を達成するためにH2+イオンを有利に使うこともできる。このような注入装置は高周波四重極加速器(RFQ−Linac)またはドリフト管リニアック(DTL)、またはRF収束櫛型(RF−Focused Interdigitated)(RFI)技術などを使うことにより最近利用できるようになった。これらは、カリフォルニア州プレザントンのAccsys Technology Inc.、NM87109、アルバカーキーのLinac Systems,LLCなどの会社から入手できる。
【0103】
任意選択で、本発明による方法200の工程250はさらに、注入工程後の熱処理工程を含む。ある特定の実施形態では、シリコン材料に対して約450℃から約600℃までの熱工程を利用する。好適な実施形態では、少なくとも部分的に方法200の温度制御工程220、230、および240を実行することによって、熱処理を実行することができる。もちろん、他の変形形態、修正形態、代替形態があり得る。
【0104】
図5を参照すると、劈開工程はシステム100内で生じさせることができ、いったん表面温度Tsが設定処理温度Tpに到達すると、方法200の工程段階260が劈開工程を開始するために実行される。もちろん、他の変形形態、修正形態、代替形態があり得る。
【0105】
本発明による方法の具体的実施形態は、劈開工程を用いて自立層を分離する段階を含み、一方で自立層は図11に示したように、上を覆う常設の支持部材などは存在しない。示したように、自立層810は残っているバルク材料800から取り除かれる。具体的実施形態では、分離する段階は制御された劈開工程を用いて実行することができる。制御された劈開工程は劈開領域の一部に選択されたエネルギーを提供する。単なる例であるが、制御された劈開工程は、カリフォルニア州サンノゼのSilicon Genesis Corporationに譲渡された、Controlled Cleaving Processを発明の名称とする米国特許第6,013,563号に記載されており、全ての目的で参照としてここに援用する。示したように、本発明の実施形態による方法は、自立層を完全に分離するためにバルク材料から自立厚膜を取り除く。もちろん、他の変形形態、修正形態、代替形態があり得る。
【0106】
本発明の所定の実施形態では、劈開動作の開始を促進するための一つまたは複数のパターン領域を用いてもよい。このような方法は、劈開領域内に複数のゲッタリングサイトのパターン領域を形成するために、半導体基板の表面領域を線形加速器により生成された第1の複数の高エネルギー粒子にさらすことを含んでもよい。本発明による方法の一つの実施形態では、劈開領域は分離される材料の層を規定する表面領域の下に設けられる。半導体基板は第1の温度に維持される。この方法はまた、半導体基板に処理工程、例えば熱処理にかけることを含む。この方法は半導体基板の表面領域を第2の複数の高エネルギー粒子にさらすことを含み、これは劈開領域の応力レベルを第1の応力レベルから第2の応力レベルに増加させることをもたらす。この方法は、劈開工程を用いて分離可能な材料の層の部分を分離するためにパターン領域の選択された領域で劈開動作を開始させ、劈開工程を用いて分離可能な材料の層を取り除くことを含む。
【0107】
このようなパターン注入シーケンスは表面をドーズの変動にさらし、開始領域は通常、より高いドーズおよび/またはサーマルバジェットシーケンス(thermal budget sequence)を用いて発達する。劈開動作を完了させるための劈開動作の伝搬は、(i)伝搬する劈開フロントを案内するための追加のドーズ領域、(ii)劈開される深さを案内するための応力制御、および/または(iii)自然の結晶劈開面、を使うことにより起こすことができる。いくつかのまたは大抵の領域は、使われた特定の劈開技術によってより少ないドーズで注入(または全く注入されない)することができる。このようなより少ないドーズ領域は、基板から各膜を分離するために必要な全ドーズを低減することによって注入システムの全体的な生産性を向上させるのに役立てることができる。
【0108】
具体的実施形態によれば、より高くドーズされた開始領域の生成は、領域のドーズを同時に増加させ、一方でその領域を加熱して局所的な膜の分離のための領域を用意する注入ビーム自体の使用により促進させることができる。分離は、注入ビーム工程中または注入後の別の熱工程段階を用いてその場で達成することができる。開始領域の状態を測定およびフィードバックするためのセンサの使用は、正確で制御された局所的な膜の分離を可能とし、劈開が生じた直後の層の加熱または損傷を避けるのに役立てることができる。
【0109】
本方法の具体的実施形態は他の工程で実行することができる。例えば、この方法は、後に処理される支持部材に接触する自立層を配置することができる。追加的にまたは選択的に、本発明の実施形態による方法は、表面領域を第1の高エネルギー粒子にさらす前に、バルク材料に一つまたは複数の工程を実行する。特定の実施形態によるが、この工程は、太陽電池、集積回路、光学素子、これらの任意の組み合わせなどの形成のためのものとなり得る。もちろん、他の変形形態、修正形態、代替形態があり得る。
【0110】
自立材料の厚さは、本発明の実施形態に応じて15ミクロン以下から200ミクロンまで異なり得る。例えば、この手法を利用したシリコンインゴットの厚さの約70%の劈開は、それぞれが100μmの厚さを有する350の自立単結晶シリコン膜を生産することができる。1m2は15cm×15cmの面積を持つ約45のタイル表面に相当するので、約7.8m2のシリコンの表面積をこのような5cm厚のインゴットの70%から生産することができる。この自立材料の層は、光起電素子、3DMEMSまたは集積回路、ICパッケージング、半導体基板製造、半導体素子、これらの任意の組み合わせなどの用途のための高品質半導体材料を提供するためにさらに処理される。本方法の一つ実施形態は、特に極めて効率の良い太陽電池のための単結晶シリコンを提供する。特定の実施形態は、エネルギー粒子の低初期ドーズを使い、これは工程をコスト効率良く効果的にすることを可能する。
【0111】
図5を参照すると、バルク材料からそれぞれの自立膜が取り除かれた後、方法200の工程270を、特に一つまたは複数の自立膜を製造モードで製造するために実行することができる。この工程は、残りのバルク材料が最初のバルク材料の30%未満であるかを決定するための位置センサデータを読むことを含む。それはまた、残りのバルク材料の長さを検知して保存された最初の長さと比べることに言い換えられる。一度センサ測定値が残っているバルク材料の長さが30%未満であることを示すと、制御装置は工程の終了を命令するための信号を送ることができ、そして残っているバルク材料を除去することが後に続く。劈開されていない残りの30%のバルク材料は、劈開のための新しいバルク材料を製造するための高度に純化された出発材料として溶融物に戻すことができる。位置センサ測定値が残りのバルク材料の長さが30%超であることを示す場合、方法200は残りのバルク材料での次の工程段階に導く。他の具体的実施形態では、位置センサは部分的に、残りのバルク材料の熱容量に関連する新しい入力データを提供することもできる。新しい入力データは、次の工程段階のための更新された制御ルーチンを決定するために処理することができる。
【0112】
方法200の次の工程段階280は残りのバルク材料に関連したより多くのセンサデータをチェックすることを含み、これはまた生産モードで一つまたは複数の自立膜を製造するためのこの方法の応用にも関連する。この工程段階では、残りのバルク材料の表面領域の表面粗さが検査される。工程280は、残りのバルク材料の表面粗さを計測するための一つまたは複数のその場のプローブを用いることを含む。計測された表面粗さパラメータ(または表面欠陥を含む他の特性)は、所定の基準と比較される。ある実施形態では、工程280において基準が満たされると、劈開された膜の品質が許容でき、残りのバルク材料が新しい劈開工程サイクルに適合可能であることも示している。方法200の工程の流れは、工程段階220に戻され、そして工程230、240、250、および260が再び続く。
【0113】
他の実施形態では、工程280において基準が満たされないと、劈開後の表面に修復が必要であるかあるいはバルク材料に修復が必要であることを示す。したがって、工程の流れは、残りのバルク材料のための表面処理が適用される工程段階210に戻される。一つの例では、比較的高いコストになり得るが、表面に再ラッピングおよび/または再ポリッシング処理が実行され、つまり工程の流れは完全に工程210にリセットされる。他の例では、増加したドーズのイオンビームの使用、または表面のエッチングの実行、またはスピン蒸着(spin−on depositions)による薄い滑らかな層の追加などのよりコストの少ない工程を基準が満たされるまで表面粗さを潰すために実行してもよい。
【0114】
図12は、本発明の一つの実施形態に従ったバルク材料からの複数の自立膜の形成の概略図を示す。単結晶シリコンインゴット900は、5cmの原厚を示し、15cm×15cmの側面寸法を有する。単結晶シリコンの密度は約2.32gm/cm3なので、このバルク単結晶シリコン材料の重さは15×15×5×2.32=2.61Kgである。したがって、本発明の実施形態による手法を利用したこのようなインゴット900の約70%の厚さの劈開は、それぞれが100μmの厚さを有する、350の自立単結晶シリコン膜910を製造する。1m2は15cm×15cmの面積を持つ約45のタイル表面に相当するので、約7.8m2のトータルのシリコンの表面積を5cm厚のインゴットの70%から生産することができる。単結晶シリコンから劈開されないインゴットの残りの30%は、劈開のための新しいインゴットを製造するための高度に純化された出発材料として溶融物に戻すことができる。
【0115】
本発明の代替実施形態によれば、シード層がさらにヘテロ構造エピタキシャルプロセスの積層のために提供される。ヘテロ構造エピタキシャルプロセスは特に薄い多接合光電池を形成するために使うことができる。単なる例であるが、GaAsおよびGaInP層をゲルマニウムシード層にヘテロエピタキシャルに蒸着することができ、これは本発明の実施形態の注入工程を用いて形成した自立層である。
【0116】
上記は具体的実施形態の全ての記述であるが、様々な修正、代替構造、および均等物が用いられ得る。例えば、上述の実施形態ではバルク材料は温度制御ステージに直接接触していたが、本発明では、これは必須ではない。代替実施形態によれば、バルク材料の底部分はバルク材料と温度制御ステージの間に介在するアダプタまたはインターフェースプレートに固定することができる。
【0117】
図13A−Eは、本発明の実施形態で用いられるバルク材料を温度制御ステージに固定するための様々な方法を示す。図13Aの実施形態は前述のものと類似しており、バルク材料の側部のノッチに係合するクランプを用いて、バルク材料の底部分は温度制御チャックのOリングに直接接触して固定される。
【0118】
それに対して、図13Bの実施形態は、タイルを保持する接着剤1326を利用してタイル(バルク材料)1322の下部表面1322aを固定するアダプタ板1320を利用する。この特定の実施形態では、アダプタ板はタイルの底部の表面領域よりわずかに小さいが、これは必須ではない。代替実施形態では、アダプタ板をタイルの底部の表面と同じサイズであるか、より大きくすることができる。
【0119】
図13Bの特定の実施形態はまた、ノッチ1328を有するアダプタ板を示す。これは必須ではなく、アダプタ板はこのようなノッチを有する必要はない。
【0120】
図13Cは、温度制御チャックに固定される図13Bのタイル−アダプタ板の構造を示す。具体的には、タイルと接触する面と反対のアダプタ面は、温度制御チャックの凹所内に位置するOリングに接触してシールされる。温度制御チャックはアダプタの背面を冷却ガスにさらすように構成され、したがってその温度および接触しているタイルの温度を制御する。
【0121】
アダプタ板の環境に応じて、異なるアダプタクランプを使うことができる。例えば、大気中での応用は真空チャックの使用を可能にする。図13Cの特定の実施形態では、アダプタは吸引のみを通じてチャックと接触するように保持され、アダプタのクランプ溝に係合するクランプは示されていない。しかし、他の実施形態では、クランプは、アダプタと温度制御ステージ間の確実な接触を確保するためにアダプタのクランプ溝に係合できる。さらに他の実施形態では、アダプタ板は、真空の適用または静電気力を用いて温度制御チャックに固定することができる。
【0122】
図13Dは、本発明による、さらに他の構造の概略断面図を示し、タイル1324に面するアダプタ板1330の表面1330aはOリング1334を受け入れるように構成された凹所1332を備える。凹所1332は、端部領域1334の内側に位置し、内部領域1336を囲む。この実施形態では、凹所1332はOリングを保持する働きをするだけでなく、タイルとアダプタ板が互いに接着される場合に、内部領域1336内にタイル保持接着剤の広がりを制限する働きをする。
【0123】
図13Eは、温度制御チャックに固定された図13Dのタイル−アダプタ板の構成を示す。具体的には、タイルに接触する面と反対のアダプタの面は温度制御チャックの凹所内に位置するOリングに接触してシールされる。温度制御チャックはアダプタの背面を冷却ガスにさらすように構成され、したがってその温度およびアダプタ板に接触しているタイルの温度を制御する。
【0124】
図13Eの特定の実施形態では、アダプタは、アダプタ板の側部に位置するクランプ溝に係合するように構成されたクランプを用いて、チャックと接触して保持される。しかし、本発明では、これは必須ではなく、代替実施形態では、アダプタ板を他の方法、例えば真空の適用または静電気力を用いて温度制御チャックに固定することができる。
【0125】
上記は段階の選択されたシーケンスを用いて記述されていたが、段階の任意の要素の組み合わせや他の要素を使うこともできる。さらに、特定の段階を、実施形態に応じて組み合わせるおよび/または取り除くことができる。さらに、水素粒子は、代替実施形態による改修されたドーズおよび/または劈開特性を有する劈開面の形成を可能にするために、ヘリウムおよび水素イオンの共注入(co−implantation)を使うことに置き変えることができる。共注入の他の形態は、一つまたは複数のサブステップで水素の代わりに重水素に置き換えることを含む。シリコンへの1−10MeVでの重水素の注入は、約3倍より大きい原子変位を生み、したがって図9の劈開領域603内の複数のゲッタリングサイトの形成をより効率的にすることができる。もちろん、他の変形形態、修正形態、代替形態があり得る。例えば、第2の蓄積注入は、水素または重水素によるゲッタ領域蓄積が拡散工程によって生じる水素化または重水素化段階に置き換えることができる。したがって、前述の説明及び図示は、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲を限定するように解釈するべきではない。
【0126】
ここに記述された例および実施形態は説明目的のためだけのものであり、それに照らして様々な改良や変形が当業者に提示され、これらが明細書の趣旨および範囲そして添付の特許請求の範囲に含まれることもまた理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】本発明の実施形態による厚膜材料の製造の温度制御装置の簡略図を示す。
【図1A】本発明の実施形態による図1の装置に備えられた制御装置の簡略図を示す。
【図1B】本発明の実施形態による図1Aの制御装置に含まれるコンピュータシステム内のサブシステムのより詳細な図を示す。
【図2A】本発明の実施形態による側部領域の溝を介して機械的クランプ装置によりステージに保持されたバルク材料の簡略断面図を示す。
【図2B】本発明の実施形態による機械的クランプ装置によりクランプされる円形断面形状のバルク材料の簡略上面図を示す。
【図2C】本発明の他の実施形態による機械的クランプ装置によりクランプされる六角断面形状のバルク材料の簡略上面図を示す。
【図2D】本発明の他の実施形態による底部領域においてロック構造を介して機械的クランプ装置によりクランプされるバルク材料の簡略断面図を示す。
【図2E】本発明の実施形態による溝のない側部領域で直接機械的クランプ装置によりステージに保持されるバルク材料の簡略断面図を示す。
【図2F】本発明の実施形態による溝のない側部領域で直接機械的クランプ装置によりクランプされる図2Eのバルク材料の簡略上面図を示す。
【図3】本発明の実施形態による閉ループの溝を有するバルク材料の底部領域の簡略図を示す。
【図4】本発明の実施形態によるバルク材料の底部とステージの間にガスを充填したキャビティを用いてステージにクランプによって保持されるバルク材料の簡略断面図を示す。
【図5】本発明の実施形態による注入および劈開工程中の温度制御方法を説明する簡略フローチャートを示す。
【図6】本発明の実施形態による温度制御下のバルク材料から自立膜を劈開する方法を示した簡略図である。
【図7】本発明の実施形態による温度制御下のバルク材料から自立膜を劈開する方法を示した簡略図である。
【図8】本発明の実施形態による温度制御下のバルク材料から自立膜を劈開する方法を示した簡略図である。
【図9】本発明の実施形態による温度制御下のバルク材料から自立膜を劈開する方法を示した簡略図である。
【図10】本発明の実施形態による温度制御下のバルク材料から自立膜を劈開する方法を示した簡略図である。
【図11】本発明の実施形態による温度制御下のバルク材料から自立膜を劈開する方法を示した簡略図である。
【図12】本発明の実施形態によるバルク材料から分離される複数の自立厚膜の簡略図を示す。
【図13A】本発明の実施形態によって採られるバルク材料を温度制御ステージに固定する様々な方法の一つを示す。
【図13B】本発明の実施形態によって採られるバルク材料を温度制御ステージに固定する様々な方法の一つを示す。
【図13C】本発明の実施形態によって採られるバルク材料を温度制御ステージに固定する様々な方法の一つを示す。
【図13D】本発明の実施形態によって採られるバルク材料を温度制御ステージに固定する様々な方法の一つを示す。
【図13E】本発明の実施形態によって採られるバルク材料を温度制御ステージに固定する様々な方法の一つを示す。
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は全ての目的で全体を参照としてここに援用する2007年1月26日に出願された米国仮特許出願第60/886,912号に基づく優先権を主張する。
【0002】
本発明は概して、材料を製造する方法および装置を含む技術に関する。より詳しくは、本方法および装置は、シリコンインゴットなどバルク形態の材料から自立厚膜を劈開するための温度制御を含む。このような自立厚膜は太陽電池などの光起電材料として有益である。しかし、本発明の実施形態はより広い範囲の適用性があることが認識されるだろう。集積半導体素子、光素子、圧電素子、フラットパネルディスプレイ、微小電気機械システム(MEMS)、ナノテクノロジー構造、センサ、アクチュエータ、集積回路、半導体基板製造、生物学および生物医学装置などの3次元パッケージングなど、他の応用にも適用することができる。
【背景技術】
【0003】
太古から、人間はほとんど全ての有益なエネルギーを得ることを太陽に頼っている。このようなエネルギーは石油、光、木材、および様々な形態の熱エネルギーによってもたらされる。単なる例であるが、人間は需要の大半を石炭やガスなどの石油資源に大幅に頼っている。残念なことに、このような石油資源は激減しており、他の問題を引き起こしている。代替として、部分的に、太陽エネルギーが石油資源への依存を減らすために提案されている。単なる例であるが、太陽エネルギーは一般にシリコンから作られる「太陽電池」によって得ることができる。
【0004】
シリコン太陽電池は太陽光にさらされると電力を発生する。日射はシリコンの原子と相互作用し、シリコンのpとnにドーピングされた領域に移動してドーピングされた領域間に電位差および電流を発生させる電子とホールを形成する。用途によるが、太陽電池は効率を向上させるために集光素子を集積している。例としては、日射を活性光起電材料の一つまたは複数の部分に導く集光要素を用いて太陽光を集め焦点を合わせる。効率的ではあるが、これらの太陽電池は未だに多くの制限がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
単なる例であるが、太陽電池はシリコンなどの出発材料に依存する。このようなシリコンは大抵ポリシリコンおよび/または単結晶シリコン材料を用いて作られる。これらの材料は大抵製造するのが困難である。ポリシリコン電池は大抵ポリシリコンプレートを製造することによって形成される。これらのポリシリコンプレートはコスト効率の良い方法で形成することができる一方、太陽エネルギーを捕集し、捕集した太陽エネルギーを使用可能な電力に変換することにおいての最高効率は示さない。反対に、単結晶シリコン(c−Si)は高品位の太陽電池に適した性質を示す。しかし、このような単結晶シリコンは製造するのが高価で、有効でコスト効率の良い方法で太陽光を利用する用途に使うことは困難である。特に、太陽電池に組み込むために単結晶シリコン基板を製造する技術は、当初に成長した単結晶シリコンインゴットから単結晶シリコン厚膜の分離を必要とする。
【0006】
上述のことから、太陽電池を含む集積回路装置の応用のための自立厚膜を製造する改良された技術が望まれていることがわかる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施態様は概して、シリコンインゴットなどバルク形態の材料から自立厚膜(free−standing thick films)を劈開(cleaving)する間の温度制御の方法および装置を含む技術に関する。このような自立厚膜は太陽電池などの光起電材料として有益である。しかし、本発明にはより広い範囲の適用性があることが認識されるだろう。集積半導体素子、光素子、圧電素子、フラットパネルディスプレイ、微小電気機械システム(MEMS)、ナノテクノロジー構造、センサ、アクチュエータ、集積回路、半導体基板製造、生物学および生物医学装置などの3次元パッケージングなど、他の応用にも適用することができる。
【0008】
厚さが15μm以上の半導体材料の自立厚膜は、所望の表面温度でイオン種の注入(implantation)を活用したバルク材料から劈開(クリーブ(cleave))される。ある実施形態では、劈開には、機械的クランプ装置を用いて温度制御されたステージ上でシールを介してバルク材料を着脱自在に保持し、その後、劈開領域を作るためにイオンなどの粒子を第1の低い温度で注入し、次に劈開領域の応力を高めるためにイオンなどの粒子を第2の高い温度で注入することが含まれる。他の実施形態では、温度制御されたステージと前記バルク材料の底部の間のシールは圧力調整可能にガスを充填することのできる薄いキャビティを形成する。さらに別の実施形態では、薄いキャビティのガス圧を調整することにより、バルク材料の表面から底部への熱伝導や、さらに注入のための表面温度が制御される。特定の実施形態では、バルク材料の底部はバルク材料の取り付けと取り扱いを容易にすることができる熱的および機械的アダプタ板に接着される(例えば熱伝導性の接着剤または熱伝導性のエポキシを使う)。特定の実施形態では、アダプタ板は断面がバルク材料より僅かに大きいか、小さいか、または同じサイズである。特定の実施形態によれば、アダプタ板は他のバルク基板に再使用できる。結果として生じた劈開された単結晶シリコンなどの半導体材料の自立厚膜は、特に太陽エネルギーの収集に使うのに適している。
【0009】
具体的な実施形態では、本発明は厚膜材料製造の温度制御装置を提供する。この装置は注入されるバルク材料を支持するための平面を備えるステージを有する。前記バルク材料は表面領域、側部領域、および底部領域を有する。前記側部領域、前記底部領域、および前記表面領域は、前記底部領域と前記表面領域の間に規定される長さを持つ材料の体積を提供する。この装置はさらに、熱エネルギーが前記バルク材料と前記ステージの平面領域間の界面領域を通じて熱エネルギーが移転するよう前記バルク材料が前記平面と物理的に接触する一方で前記バルク材料の表面領域が実質的に露出するよう、前記バルク材料の底部領域を前記ステージの平面に係合するように設けられた機械的クランプ装置を有する。そのうえ、この装置は表面領域の温度を測定するよう構成されたセンサ装置を有する。このセンサ装置は入力データを生成するように構成される。さらに、この装置は前記バルク材料の表面領域の一つまたは複数の部分に複数の粒子の注入を行うように構成された注入装置を有する。さらに、この装置は、前記入力データを受信し、少なくとも前記ステージの平面と前記バルク材料の底部領域との間の前記界面領域を通じて前記バルク材料の表面領域の温度値を上昇および/または下降させるよう前記入力データを処理するように構成された制御装置を有する。
【0010】
別の具体的な実施形態では、本発明は一つまたは複数の厚膜を製造するためのバルク材料を取り付ける装置を提供する。この装置は前記バルク材料を支持するための平面を備えたステージを有する。前記バルク材料は、平坦化された表面領域、平坦化された端部領域、および前記表面領域から前記端部領域までの長さを持つ側部領域を有する。この装置はさらに、前記表面領域と前記表面領域から少なくとも70%の長さの前記側部領域が実質的に露出され、一つまたは複数の厚膜の製造のためにクランプ装置の干渉無しに劈開できるよう、前記バルク材料の平坦化された端部領域を前記ステージの平面に係合するように設けられた機械的クランプ装置を有する。
【0011】
さらに別の具体的な実施形態では、本発明はバルク材料から複数の自立厚膜を劈開する工程中の温度制御方法を提供する。この方法は劈開する前記バルク材料を用意することを含む。前記バルク材料は、表面領域、底部領域、前記表面領域から前記底部領域までの長さを持つ側部領域を有する。さらに、この方法は、前記底部領域と平面との間にある高さを有するキャビティを形成するよう、前記バルク材料の底部領域がシールを介してステージの平面に係合するように設けられた機械的クランプ装置を用いて前記バルク材料をクランプすることを含む。この平面は前記キャビティに充填されたガスを圧力調整可能にする複数のガス通路を有する。この方法はさらに入力データを生成するために前記バルク材料の状態を検知することを含む。この入力データには前記表面領域および前記底部領域での温度情報、および前記表面領域と前記底部領域間の前記バルク材料の長さが含まれる。さらに、この方法は、少なくとも前記入力データを処理し、前記表面領域を加熱するための粒子照射と、前記表面領域を加熱するための放射と、前記底部領域と前記ステージ間のガスを補助に用いる伝導のうち少なくとも一つまたは複数を利用した制御方式を実行することで前記表面領域の温度を維持することを含む。
【0012】
また別の具体的な実施形態では、本発明は厚膜転写のために半導体材料を処理する方法を提供する。この方法はバルク半導体材料をステージの平面に設けることを含む。前記バルク半導体材料は、表面領域、側部領域、および底部領域を有する。前記側部領域、前記底部領域、および前記表面領域は、前記底部領域と前記表面領域の間で規定される長さを有する材料の体積を提供する。前記底部領域は前記ステージの平面に結合する。そのうえ、この方法は、前記バルク材料と前記ステージの平面領域間で熱エネルギーの移動が生じるよう前記バルク材料が前記平面と物理的に接触する一方で前記バルク材料の表面領域は実質的に露出されるよう、前記バルク材料の底部領域を前記ステージの平面に係合するように設けられた機械的クランプ装置を用いて前記バルク半導体材料を固定することを含む。さらに、この方法は、前記表面領域が実質的に露出されて前記機械的クランプ装置により前記ステージの平面に保持される間に前記バルク材料の表面領域を処理することを含む。
【0013】
さらに別の実施形態では、本発明はバルク材料から自立膜を連続的に劈開する方法を提供する。この方法は機械的クランプ装置を用いてバルク材料をステージに固定することを含む。前記バルク材料は表面領域、側部領域、および底部領域を有する。前記表面領域は前記側部領域に接続し、体積を規定するよう前記側部領域から約90度の角度に向けられる。前記機械的クランプ装置は前記底部領域が前記ステージにしっかりと係合するよう前記バルク材料の底部領域および/または側部領域と結合するように設けられる。さらに、この方法は、前記表面領域の法線方向の物理的障害が実質的に何も無いように前記表面領域を保持することを含む。この方法はさらに、前記表面領域が前記表面領域の処理からの物理的干渉が実質的に何も無い間に少なくとも前記表面領域を処理することを含む。そのうえ、この方法は前記表面領域の処理中に前記表面領域の温度を選択的に維持することを含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、表面領域と対向するバルク材料の底部領域は、アダプタまたはインターフェース板を介して熱的および機械的に接触することができる。前記バルク材料は、温度制御ステージに取り付けられた板の対向面で、このようなアダプタ板に接着剤または他の手法を用いて固定される。アダプタ板の特定の実施形態では、クランプ取付も可能になる。このような実施形態では、クランプ取付を用いた前記アダプタ板は前記バルク材料を直接クランプする要件を排除し、前記バルク材料を前記底部領域近くで劈開することを可能にすることによりバルク材料の利用率を改善する。
【0015】
本発明の実施形態によるアダプタ板の利用はまた、前記バルク材料の底部領域の平坦化の許容範囲を好適に緩めることもでき、したがってコストを削減することができる。例えば、特定の条件下でインゴットの底部は僅かに凹凸があるようにできる。しかし、この凹凸は前記アダプタとサセプタ間のアタッチメントによって埋め合わせることができる。特に、前記アダプタは前記インゴットを位置調整するためのピンまたはシートを有し得る。
【0016】
具体的実施形態において、前記バルク材料と接触する前記アダプタ板の側部は、シール部材の一部を受容するように構成された凹部領域を有し得る。このようなシール部材は、適切な材料(例えばデュポンパフォーマンスエラストマー(DuPont Performance Elastomers L.L.C.)製のカルレッツ(Kalrez)(商標))から作られたOリングとすることができ、前記アダプタ板の端部領域の近傍に配置される。特定の実施形態では、接着剤を前記端部領域の内部領域内に塗布することができ、前記Oリングは接着材料を前記内部領域に密封し保持する。
【0017】
特定の実施形態によれば、電気伝導性が前記アダプタ板と前記バルク材料の間に与えられる。シーティングピンまたは他の型の接続装置はOリング内に規定された前記内部領域内、または特定の実施形態でのOリングの無いチャックの内部領域内に、空間的に配置することができる。このようなシーティングピンは前記バルク材料を前記アダプタに電気的および機械的に結合することができる。
【0018】
本発明の実施形態を利用して既存の技術に対して多くの利点を得ることができる。特に、本発明の実施形態は、コスト効率の良い線形加速器装置および層転写技術のための高エネルギー注入プロセスを提供する方法を用いる。このような線形加速器装置には、ドリフト管技術、一般にRFQと呼ばれる高周波四重極型、またはこれらの組み合わせ(例えば、ドリフト管リニアックまたはRFI(RF収束インターデジタル(RF−Focused Interdigital))線形加速器と組み合わされたRFQ)、および他の適切な技術が含まれるが、これに限定されるものではない。線形加速器装置の例は同一出願人による米国仮出願第60/864584号に見ることができ、全ての目的で参照としてここに援用する。好適な実施形態において、本方法および装置はドナー基板の劈開面によって画定される転写可能な材料の層を形成する。この転写可能な材料の層は光起電性素子、3次元MEMSまたは集積回路、ICパッケージング、半導体素子、これらの任意の組み合わせなどの応用のための高品質半導体材料を提供するためにさらに処理される。好適な実施形態では、本方法は特に高効率の光電池のための単結晶シリコンを提供する。好適な実施形態では、本方法および構造は低初期ドーズのエネルギー粒子を使うので、これは工程を費用効果が高く効率的にすることを可能とする。加えて、本方法および構造は大面積基板の製造を可能にする。本発明は、所望の形状の薄いシリコン材料板(例えば、50μm−200μmの厚さでサイズが15cm×15cmから1m×1m以上までのポリシリコンプレート)を作ることに応用できることがわかるであろう。代替の好適な実施形態では、本発明の実施形態は、さらにヘテロ構造エピタキシャルプロセスの積層を提供することができるシード層を提供することができる。前記ヘテロ構造エピタキシャルプロセスは特に薄い多接合光電池の形成に使うことができる。単なる例であるが、GaAsおよびGaInP層をゲルマニウムシード層にヘテロエピタキシャルに蒸着することができ、これは本発明の実施形態の注入工程を用いて形成した転写された層である。具体的実施形態において、本方法は単一のインゴット、例えばシリコンブールから連続的に複数のスライスを劈開することに適用できる。つまり、具体的実施形態に従ってこの方法は連続的にスライスを劈開することを繰り返すことができる(一塊の焼いたパンから薄切りを切るのに類似する)。好適な実施形態において、本発明は機械的および熱的な用途のためにバルクシリコンインゴットを固定するためのクランプおよび/または保持装置および関連した方法を提供する。もちろん、他の変形形態、修正形態、代替形態があり得る。
【0019】
これらのおよび他の利点は本明細書を通じてより詳しくは以下に記述される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明は概して、材料を製造する方法および装置を含む技術に関する。より詳しくは、本方法および装置は、シリコンインゴットなどバルク形態の材料から自立厚膜を劈開するための温度制御を含む。このような自立厚膜は太陽電池などの光起電材料として有益である。しかし、本発明の実施形態はより広い範囲の適用性があることが認識されるだろう。集積半導体素子、光素子、圧電素子、フラットパネルディスプレイ、微小電気機械システム(MEMS)、ナノテクノロジー構造、センサ、アクチュエータ、集積回路、半導体基板製造、生物学および生物医学装置などの3次元パッケージングなど、他の応用にも適用することができる。
【0021】
ここで使われる「バルク材料」の語は、大部分均一な自立する単結晶またはポリ結晶材料の塊、例えば単結晶シリコンブールまたはその一部分を示す。あるいは、本特許出願の目的から、「バルク材料」の語はまた、一または複数の追加要素を結合させた大部分均一な単結晶またはポリ結晶材料、例えば以下に記述される様々なアダプタ板の実施形態、そして、このようなアダプタ板を大部分均一な単結晶またはポリ結晶材料に固定するために使用される任意のOリングや他の要素を示す。
【0022】
15μm以上の厚さを有する半導体材料の自立厚膜は、MeVのエネルギーレベルでイオン種の注入を利用したバルク材料から劈開することができる。一つの実施形態では、劈開には、劈開領域を作るためにイオン粒子を第1の低い温度で注入し、次に劈開領域の応力を高めるためにイオン粒子を第2の高い温度で注入することが含まれる。この方法でのバルク材料の劈開は、歯またはワイヤーカットのカーフで従来失われる半導体材料の量を実質的に削減する。結果として生じた単結晶シリコンなどの半導体材料の劈開された自立厚膜は、特に太陽エネルギーの収集に適している。
【0023】
以下の開示のために、「自立厚膜」は、ハンドルや転写基板などの支持部材と接触するおよび/または支持部材の機械的支持を必要とすることなく、その構造的完全性を保持できる(つまり、砕けたり粉々に壊れたりしない)材料の膜として定義される。通常は、薄膜(例えば5−10μm以下の厚さを有するシリコン膜)は壊すことなく扱うことができない。従来、このような薄膜は支持構造を用いて扱われるが、そもそも薄膜を作る必要がある。厚膜(例えば15−50μmの厚さを有するシリコン膜)の扱いは支持の使用によって容易になるが、このような支持は必須ではない。したがって、本発明の実施形態は15μm超の厚さを有するシリコンの自立厚膜の製造に関連する。
【0024】
150μmまでの厚さの自立厚膜を、イオン注入によって作られた劈開領域から制御された劈開工程によってうまく分離することを確実にするために、具体的実施形態に従ってバルク材料の行き届いた温度制御を行うことが望ましい。特に最適温度制御は、注入および劈開工程中の一つまたは複数の熱源および/または熱出力のシンクをバランスさせることにより達成することができる。温度制御についての詳細は、本明細書を通じて、特に以下に詳述される。
【0025】
大抵の熱出力管理が関連するのは、具体的実施形態のCW(定常状態)熱出力である。CW出力フラックスソースおよび/またはシンク(sink)は次の一つまたは複数であり得る。(i)高熱伝導率の裏面接触、つまりガス層界面領域を介した加熱または冷却、を介してバルク材料と適切に係合する平面を備えた温度制御されたステージ、(ii)バルク材料体積中に電流を流すことによるIR加熱源(電磁誘導加熱源)、および(iii)上方から表面を加熱するための投光照明または他の適切なCW放射源、およびこれらの任意の組み合わせ。もちろん、当業者の中には他の変形形態、修正形態、代替形態を認識する者もいるであろう。
【0026】
具体的実施形態において、これらのCWソースまたはシンクの目的は、できるだけ正確かつ素早く、劈開領域と劈開領域を覆うシリコン層で規定される、バルク材料の処理領域を所望の範囲に設定することである。これらの熱源(ソース)またはシンクは、処理領域の所望の全温度プロフィールを達成するために、表面およびバルク温度測定を通じて電子制御装置を介して制御することができる。もちろん、当業者の中には他の変形形態、修正形態、代替形態を認識する者もいるであろう。
【0027】
追加の熱出力ソースは、具体的実施形態によれば、注入照射自体である。従来の注入装置は50−100kWのビーム出力を照射下の表面に届けることができる。これは、注入による劈開領域形成中の実質的な追加の加熱源である。劈開領域は基本的に、注入された高エネルギーイオン粒子の範囲端(End−of−Range)(EOR)近くに位置する劈開面周辺の比較的集中した欠陥のネットワークを含み、注入された粒子の運動エネルギーは部分的に熱エネルギーに変換される。この熱源は走査CWまたはパルス熱源になり得、注入装置のデューティファクタや走査速度や粒子ビームの空間的特性を調整することにより部分的に制御することができる。ビーム拡大は、高速電磁スキャニングにより起こり得るが、ビームが所望のビーム直径およびビーム束の空間的分布に自然に広がる距離を越えたビームのドリフトを通じても起こり得る。
【0028】
出力フラックスが十分小さい場合、拡大ビームの低速走査(または走査すらしない)は表面を過熱することがない。小さいビーム直径、例えば5cm(これは各タイル内にパターン化した注入ドーズ特性を生成するのに便利である)では、出力フラックスは5−10kw/cm2まで高くなり得、表面の過熱を避けるために磁気または静電気の高速スキャンが必要になる。注入の放射は具体的実施形態による他の形態のエネルギーと組み合わせることもできる。
【0029】
さらに、具体的実施形態において、表面はまたパルス熱出力フラックスを通じて処理することができる。パルス出力はここでは特定の材料および劈開される膜厚に依存する熱時定数内に届けられる熱パルスとして定義される。例えば、典型的なシリコン処理領域では、時定数は20−50μsecと推定される。より長い熱パルスは疑似CW(quasi−CW)であり、上述のCWソースとして組み合わされる。パルス出力フラックスソースは、フラッシュランプおよび30−50μsec内にエネルギーがデポジットされるパルスレーザソースを含む。これらのソースにより届けられる熱パルスは、瞬間的に処理領域を必要に応じてバルク材料の融点までそして融点を超えて加熱することができる。
【0030】
この処理によって意図される効果は劈開エネルギーを低くするよう形成中の劈開領域に剪断応力を加えることである。より具体的には、注入EOR内の熱伝導率が非常に低下するので、劈開面を横切って温度差が発生する。この温度差は劈開面を横切る材料間のCTE(熱膨張係数)の不釣り合いと対応する剪断応力を生じさせる。この剪断応力は、ステージ上のバルク材料を保持する方法により存在する内部応力とシリコンの変位応力などの他の応力に加わる。
【0031】
この応力は(劈開面のX−Y表面に沿う)面内応力であり、劈開面が加熱された場合、応力は圧縮面内応力である。これらは、ポアソン比(シリコンは約0.27)を乗じた面内応力に比例する量の面外引張応力を順に発生する。この応力値は次の関係によって定量化される。
(数1)
s=EaΔT
ここでsは劈開領域を横切る応力、Eはヤング率、aは熱膨張係数、ΔTは劈開領域を横切る温度差である。Paの熱出力フラックス密度(Watts/cm2)を仮定すると、次の関係が保たれる。
(数2)
Pa=κcrΔT/tcr
ここで、κcrは劈開領域の有効熱伝導率、tcrは劈開領域の厚さである。膜を横切る応力はさらに次の式で表すことができる。
(数3)
s=(EatcrPaβ)/κbulk
ここで、βはバルク材料に対する劈開領域の伝導率減衰係数である。したがって、この応力値は、出力フラックスPaによって決定され、注入EOR損傷の量に依存する係数βに関する減衰した熱伝導率にしたがって増加する。例えば、バルク材料がシリコンの場合、βは100位の大きさである。
【0032】
剪断応力を増加させるためのパルス出力フラックスを用いた処理は、劈開工程を促進するために必要な注入ドーズを効果的に低減することができ、同時にバルク放射欠陥のアニールを促進する。もちろん、他の変形形態、修正形態、代替形態があり得る。
【0033】
図1は本発明の実施形態による厚膜材料の製造のための温度制御装置の略図である。この図は単なる例であり、特許請求の範囲を不当に限定するものではない。当業者は多くの変形形態、修正形態、代替形態を認識するであろう。図1に示したように、温度制御装置100は、ステージ120、機械的クランプ装置130、注入装置140、センサ装置150、および制御装置160を備える。平面122を有するステージ120は、劈開されるバルク材料110を支持するために使われる。注入され劈開されるバルク材料110は、劈開面115と分離されていないシリコン材料113の上を覆う膜とから成る処理領域を含む表面領域112、側部領域117、底部領域118、表面領域112から底部領域118までで規定される長さ111によって特徴付けることができる。処理用のバルク材料についてのさらなる詳細は後述する。
【0034】
図1に一つの実施形態を示したように、ステージ120の平面122は、機械的クランプ装置130を用いて、バルク材料110の底部領域118と係合する。機械的クランプ装置130によるクランプは、バルク材料の(表面領域からの)長さ111の少なくとも70%の側部領域117だけでなく表面領域112も実質的に露出し、一つまたは複数の自立厚膜の製造をするために劈開される状態になるよう、着脱可能に作用する。例えば、いくつかの実施形態による任意選択のクランプ機構が図2A−2Fに示される。ある実施形態では、ステージ120と機械的クランプ装置130を、ステージの平面122と平行な平面内で2次元的に動作可能なトレイ170に取り付けることができる。他の実施形態では、ステージ120は、一つのCW出力フラックス源またはシンクとしてバルク材料の温度制御に使われる。バルク材料の底部領域とステージの平面間の高熱伝導率のガス層界面領域を介して係合されるバルク材料の底部領域118を加熱または冷却することにより、ステージ120は劈開工程中の表面領域112からの熱フラックス148の交換が可能となる。代わりに、機械的クランプ装置130を介してバルク材料110の体積に電流を流すことにより誘導ジュール熱源を装置100に適用することもできる。
【0035】
図1を参照すると、注入装置140は、バルク材料の表面領域112に所定の出力フラックス145を伴うMeVのエネルギーレベルのイオン粒子を注入することによって劈開領域115を形成するために用いられる。注入装置140はまた、表面領域への粒子照射からの出力フラックス145により、注入装置140のデューティファクタを調整することによって粒子出力フラックスを調整し、温度制御するために使うこともできる。一つの実施形態では、一つまたは複数の表面領域の上方に配置される投光照明などのCW熱源141を、追加の制御可能な放射熱フラックス146を提供するために使うことができる。他の実施形態では、一つまたは複数のパルス出力フラックスソース142もまた、劈開を促進するための剪断応力を加えるために表面領域112に向かう、(側部領域から)特に劈開領域にパルス熱フラックスを提供するために使うこともできる。
【0036】
センサ装置150は、温度センサ、位置センサ、圧力センサ、および表面粗さプローブを含む複数のセンサを備える。バルク材料110がステージ120に保持されるおよび注入工程中の任意の時点で、センサ装置150はその時点のバルク材料110の状態に関連する全てのセンサデータを収集する能力がある。センサ装置により記録されたセンサデータは制御装置160に送られ、注入とそれに続く劈開工程のためのバルク材料の温度を処方手順の値に変化および保持するための制御ルーチンを決めるためのフィードバック/フィードフォワード制御方式を実行するための入力データとして使われる。
【0037】
図1Aは、本発明の実施形態による情報の処理に使われるだけでなく図1の装置100の動作を監視および実行するために使われる制御装置160の略図である。この図は、単なる例であり、特許請求の範囲を不当に限定するものではない。当業者は多くの他の修正形態、代替形態、および変形形態を認識するであろう。図示のように、制御装置160はコンピュータシステム170にリンクする制御電子装置162を備える。
【0038】
具体的実施形態では、制御装置160は複数の制御機能を実行するために制御電子装置162を使う。例えば、制御電子装置162は複数の電子ボードまたはファンクションカードを備える。これらの各ボードはそれぞれ、温度制御機能を実行するためにステージ120に連結し、バルク材料110を固定または固定を外すために機械的クランプ装置130に連結し、注入工程のために注入装置140に連結し、温度制御と劈開工程支援の両方のための外部熱源(CWソース141やパルスソース142など)に連結し、およびセンサ装置150に連結してバルク材料の現在の状況に関連する情報を受信しコンピュータシステム170のための入力データパケットを生成するように構成することができる。
【0039】
他の具体的実施形態では、コンピュータシステム170は、Microsoft CorporationのオペレーティングシステムWindows(登録商標)NTが動作するペンティアム(登録商標)クラスをベースにしたコンピュータシステムにすることができる。しかし、このコンピュータシステムは、本発明の範囲を逸脱しない範囲で当業者によって容易に他のオペレーティングシステムやアーキテクチャに適合される。図1Bは本発明の実施形態による図1Aのコンピュータシステム170のハードウェア要素のより詳細な図である。この図は、単なる例であり、特許請求の範囲を不当に限定するものではない。図のように、コンピュータシステム170は、中央プロセッサ173で実行している複数の制御コード165、166、167のデータを処理するために入力センサデータをI/Oコントローラ171を介して受信し、I/Oコントローラ171を介して制御電子回路に出力制御指令/命令を送り返すように構成される。各複数の制御コードは、装置100での特定の制御機能のために特別に設計されている。例えば、コンピュータシステム170で実行している制御コード165はバルク材料の表面領域に向けて特定の高エネルギーイオン粒子ビームを届けるための注入装置の動作を制御するためのプログラムであってもよい。他の例では、制御コード166は、機械的クランプ装置によって実行されるサンプル取扱手順、またはセンサ装置によって実行されるサンプル監視計画を生成するためのプログラムであってもよい。また他の例では、制御コード167は、ステージを冷却するための、クランプを介したジュール熱を加えるための、および/または外部熱源等による表面の加熱のための出力指令の生成が可能なプログラムであってもよい。もちろん、当業者は多くの他の修正形態、代替形態、変形形態を認識するであろう。
【0040】
具体的実施形態では、全てのハードウェア要素またはコンピュータシステム170のサブシステムはシステムバス175を介して相互連結される。例えば、プリンタ174、キーボード178、固定ディスク179、ディスプレイアダプタ176Aに接続されるモニタ176などのサブシステムが図示される。周辺機器やI/Oコントローラ171に連結する入出力(I/O)装置は、シリアルポート177など、当技術分野で周知のさまざまな手段によってコンピュータシステムに接続することができる。例えば、シリアルポート177はコンピュータシステムを、インターネットなどの広域ネットワークに替わりに接続するモデム、マウス入力装置、またはスキャナなどの外部インターフェース180に接続するために使うことができる。システムバス175を介した相互接続は、中央プロセッサ173に各サブシステムと通信し、システムメモリ172または固定ディスク179からの命令の実行を制御すること可能にし、また、サブシステム間での情報の交換を可能にする。サブシステムや相互接続の他の配置が当業者によって容易に達成可能である。システムメモリや固定ディスクはコンピュータプログラムの記憶装置の具体的媒体の例であり、具体的媒体の他のタイプにはフロッピーディスク、リムーバブルハードディスク、CD−ROMやバーコードなどの光学的記憶媒体、およびフラッシュメモリ、読み出し専用メモリ(ROM)、バッテリバックアップメモリなどの半導体メモリが含まれる。
【0041】
上記のものは特定のハードウェア機能に関して例証したもので、多くの変形形態、代替形態、修正形態が存在することが認識されるであろう。例えば、どのハードウェア機能も、さらに結合するまたは分離することさえ可能である。この機能はまた、ソフトウェアまたはハードウェアとソフトウェアの組み合わせを通じて、ある程度、実施することができる。ハードウェアとソフトウェアは、アプリケーションに応じて、さらに一体にするまたはより少なく一体化することができる。本発明の機能性のさらなる詳細は、図に基づいて以下に概略説明される。
【0042】
図2Aおよび2Bは、本発明の実施形態による側部領域の溝を介して機械的クランプ装置によってステージ上に保持されるバルク材料の略図を示す。これらの図は、単なる例であり、特許請求の範囲を不当に限定するものではない。当業者は多くの変形形態、代替形態、修正形態を認識するであろう。バルク材料110Aは、注入を促進するための平坦化された表面領域を有するように前処理されることに加えて、バルク材料がステージ120A上に確実に保持できるよう機械的クランプ装置を受け入れるよう構成された側部領域の一つまたは複数の溝を有するように前処理されてもよい。図2Aは側部領域周囲を囲む溝とバルク材料をクランプするための溝に適合する機械的クランプ装置の2つのクランプアームの概略側面図を示す。図2Bはクランプされた図2Aに示す同じバルク材料の概略上面図であり、バルク材料が円形断面形状を有すると仮定している。
【0043】
本発明の実施形態に従って、バルク材料110Aは表面領域から底部領域までの所望の長さを有するように製造することができる。図2Aに示したように、具体的実施形態では、機械的クランプ装置131にクランプされるバルク材料110Aの位置は、表面領域を含むバルク材料の少なくとも70%部分および側部領域の表面領域からの長さの少なくとも70%が機械的クランプ装置の干渉なしに加工のために実質的に露出するよう(側部領域上の)底部領域近くに位置する。バルク材料の長さは、材料タイプによるが、具体的装置100による熱容量および熱伝達の対処能力に基づいて予め定めることができる。バルク材料の長さはまた、膜厚さによるが、バルク材料の劈開からいくつの自立膜を得ることができるかを決定する。
【0044】
例えば、バルク材料110Aは、5cmの原長を示し、15cm×15cmの側面寸法(約3kgの重さ)を有する単結晶シリコンインゴットにすることができる。一つの実施形態では、このようなインゴットの約70%の長さの劈開から、本発明の実施形態の技術を利用することにより、それぞれが100μmの厚さを有する、350の自立単結晶シリコン膜を生産することができる。1m2は15cm×15cmの面積を持つ約45のタイル表面に相当するので、約7.8m2のシリコンの表面積をこのような5cm厚のインゴットの70%から生産することができる。他の実施形態では、このようなインゴットの約70%の長さの劈開から20μmの厚さを有する1750の自立単結晶シリコン膜を生産することができる。この実施形態では約39m2のシリコンを5cm厚のインゴットの70%から生産することができる。単結晶シリコンから劈開されないインゴットの残り30%は、劈開のための新しいインゴットを製造するため、高度に純化された出発材料として溶融物に戻すことができる。
【0045】
具体的実施形態では、バルク材料110Aは単結晶シリコンインゴット、ポリ結晶シリコン鋳造ウエハ、タイル、または基板、シリコンゲルマニウムウエハ、III/V族材料の基板、II/VI族材料、窒化ガリウム、炭化ケイ素などにすることができる。具体的実施形態では、バルク材料は感光材料にすることができる。単結晶シリコンは、効率、コストなどの要因と不純物ゲッタリングなどの後処理との間で求められたトレードオフにより、太陽電池、半導体、または金属グレードの純度水準からなり得る。
【0046】
どの単結晶材料も、劈開のし易さ、好ましい装置の動作などの利点がある特定方位に切断することができる。例えば、シリコン太陽電池は、このタイプの自立基板を作るために、主に(100)、(110)、または(111)の表面方位を有するように切断することができる。もちろん、主要な結晶方位から意図的にミスカットされた方位面を有する出発材料を用意することもできる。もちろん、他の変形形態、修正形態、代替形態があり得る。
【0047】
本発明の実施形態に従って、バルク材料110は製造設備や材料タイプに基づいて、複数の断面形状を有するように用意することができる。したがって、クランプ設備または機構を、バルク材料の表面領域および側部領域の大部分を機械的クランプ装置の干渉無しに処理することができ、残りのバルク材料が特定の劈開工程の終了後にクランプ装置から解放することができるように、変更または修正することができる。例えば、円形断面形状に対して、対向する側に位置する2つの円弧状のクランプアームが図2Bに示されている。他の実施形態では、より長い長さの単一の円弧状アームを取り外し可能なクランプのために使うことができる。さらに別の実施形態では、より短い長さで他の位置にある3つまたはそれ以上の円弧状アームを取り外し可能なクランプのために使うことができる。図2Cは側部領域の3つのノッチ103に適合する3つの矩形状クランプアーム132によって取り外し可能にクランプされる六角断面形状のバルク材料110Bの概略上面図を示す。図2Dは底部領域からロック機構104を介して機械的クランプ装置133によってステージ120Bに保持されるバルク材料110Cの概略側面図を示す。クランプアーム133はキーのような構造として使うことができる。クランプアーム133はバルク材料110Cの底部領域に形成されたロック構造に挿入され、その後バルク材料110Cを確実に保持または固定するための位置に所定の角度回転することができる。もちろん、他の変形形態、修正形態、代替形態があり得る。
【0048】
さらに本発明の実施形態に従って、図2Eおよび2Fに示したように、何の前処理された溝やノッチを持たない自然形態のシリコンインゴットなどのバルク材料110Dを、2つ以上のC形状機械的クランプ装置134によってクランプし、ステージ120Cの上部に固定することができる。クランプ位置は側部領域の下半分近傍(例えば、底部領域から計った長さの少なくとも30%未満)に位置する。ある実施形態では、このクランプ位置は、バルク材料110Dの表面領域の100%が露出され、クランプ装置からの物理的な干渉無しの処理を可能にする。特に、光起電装置のためのシリコンインゴットからの厚膜劈開のための表面領域の100%利用は本発明によってもたらされる利点の一つである。さらに、他の実施形態では、クランプ機構は、劈開工程がバルク材料の体積の大部分(例えば、少なくとも70%)から厚膜を一枚ずつ分離するよう連続的に実行され得ることが可能になることを目的とする。さらに別の実施形態では、クランプ機構はステージ120Cにバルク材料110Dを保持するために摩擦力を用いる。機械的クランプ装置の熱膨張係数はバルク材料のそれよりも大きいので、バルク材料が高温で加工されるまたはクランプを通ってバルク材料に特定の熱フラックスが流入すると、熱膨張によりクランプがよりきつくなる。また別の実施形態では、クランプアームはクランプされるバルク材料の形状に合うように表面上に鋭い突出を持たないよう構成されるため、バルク材料との係合に強いクランプ力が加わることによる側部領域のクラッキングが生じない。
【0049】
本発明の実施形態に従って、バルク材料は注入工程が開始される平坦化された表面領域およびステージに係合することができる滑らかな底部領域を有するように前処理されてもよい。図3に示したように、バルク材料はさらに滑らかな底部領域118に配置された閉ループの溝114を有するように処理されてもよい。例として、バルク材料が正方形断面形状を有することを想定する。一つの実施形態では、溝114はまた実質的に正方形状で底部領域118の端部の近傍にそって位置する。他の実施形態では、溝114は、バルク材料110Eの底部領域118がステージの平面に(機械的クランプ装置の補助で)係合するときに、適応気密シールを受けることができる。気密シールとバルク材料110Eの底部領域とステージの間の2つの係合する平面は、ガスの層で充填されるキャビティを形成する。ガスの層は、圧力に依存するが、バルクの底部領域とステージ間の熱伝導を大幅に増加させることができる。さらに他の実施形態では、特定のガス供給装置がステージ内に組み込まれると、このガスを利用した伝導は、底部領域に係合することによってバルク材料を支持するために使われたステージを事実上温度制御ステージに変更する。
【0050】
図4は本発明の実施形態による温度制御ステージにクランプされたバルク材料の概略断面を示す。この図は、単なる例であり、特許請求の範囲を不当に限定するものではない。当業者は多くの変形形態、代替形態、修正形態を認識するであろう。図4に示したように、バルク材料110は、底部領域118とステージ120の表面121間に挿入された気密シール122とともにステージ120の表面121に保持されたその底部領域118でクランプされる。底部領域118の第1の溝114に適合する気密シール122は、その底部領域118とステージ120の表面121でそれぞれその上部と底部を境界としてキャビティ124を形成する。ステージ120はさらに、気密シール122によって囲まれたキャビティ124内の表面121に複数のガス通路126を備える。複数のガス通路126は、所定の圧力のガス127でキャビティ124を充填できるようガス注入口128とガス排出口129を有するガス供給装置(図示せず)を介して、ステージ120の本体内に接続される。
【0051】
ある実施形態では、気密シール122は、6インチシリコンウエハに対して20Torrまでの、または厚いシリコンインゴットに対してまたは約3kgの重さのタイルに対して300Torrまでのキャビティ124内の高圧を確実に保持することができる。キャビティの外側では、バルク材料は約5×10-7Torrの圧力下の真空系に設置することができる。ある例では、気密シール122はOリングにすることができる。他の例では、気密シール122は誘電体材料または金属材料から作られたフランジにすることができる。このガス127は極低温ガス、室温ガス、または加熱ガスにすることができる。ある例では、ガス127はヘリウム、水素、アルゴン、または窒素の少なくとも一つのガスである。
【0052】
ある実施形態では、バルク材料の側部領域の第2溝116に適合する機械的クランプ装置130は、ステージ120の表面121上のバルク材料110をクランプするために用いられる。他の実施形態では、クランプ装置130は、所定の重量に加えて真空環境の表面領域とキャビティ内の背圧下の底部領域の間の圧力差による上向きの力を伴うバルク材料を確実に保持するための設計強度を有する金属ボディを備えてもよい。例えば、バルク材料に真空環境内での注入が行われている間に使われる200Torrの冷却ガスのキャビティ124内の背圧は、約135lbsの力を生み出す。したがって、クランプ装置130はこのような上向きの力に対してバルク材料を保持しなければならない。
【0053】
具体的実施形態では、ステージ120は金属平板電極とともに埋め込まれた誘電体を含んだ静電チャックである。金属平板電極とバルク材料110の間に電圧を加えることにより、ステージ120上のバルク材料110を吸着するように静電気力を発生させることができる。ある実施形態では、約25Torrまでのより小さい背圧がキャビティ124内で測定されると、このような静電チャックが使われている場合には機械的クランプ装置130は取り除かれて置き換えられ得る。代替として、クランプ装置130と静電チャックを備えたステージの両方を使うことができる。加えて、機械的クランプ装置130とステージ120はトレイベース190上に取り付けられる。このトレイベースはそれ自身で、平面121と平行なX−Y平面を2次元的に動くことができる。もちろん、他の変形形態、修正形態、代替形態があり得る。
【0054】
他の実施形態では、クランプ装置130はまた本発明の実施形態に従って、バルク材料110にIR加熱を加えるための電気接触手段として使うこともできる。電気的ソース138は、電流Iがバルク材料を流れることによるジュール加熱を生み出す。加熱レベルはI2Rに等しく、Rは抵抗率、材料密度および接点形状に基づく材料の抵抗である。
【0055】
ステージ120に組み込まれたガス供給装置(図示せず)を通じた、ガス127の圧力の調整により、装置100の温度制御を行うことができる。ガス分子は底部領域118とステージの平面121の間で跳ね返り、表面間でエネルギーを交換する。特定のバルク材料、ステージの誘電体材料、ガスの種類に対して、ガス表面の適応係数はほぼ固定される。固定された高さのキャビティ124に対して、ガス圧力が高くなるほど熱伝導が高くなるまたは表面118と121間のエネルギーの移動がより良くなる。10ミクロン未満のキャビティ高さに対して、ガスの平均自由行程は一般的に、例えば200Torrの高いガス圧力でもキャビティ高さより依然として大きい。したがって、平均してガス分子は表面118と121間を衝突することなく移動することができるので、それが生じたところの表面にエネルギーが戻されることはなく、表面118と121間の最も効率的な熱伝達を行う。ガス圧力が制御された値に減少すると、熱伝達は制御されて下げられてさらに表面領域112の温度を制御下で変えることができる。
【0056】
供給されるガスの温度調整により、さらに温度制御をすることができる。一つの例では、ガス127を加速冷却のために極低温に予め冷却することができ、表面領域からバルク材料の底部領域への下降熱伝達148を提供する。あるいは、ガス127を、冷却を鈍化させるかまたはさらにステージから表面領域に向かう上昇熱フラックス148を形成するために予め加熱することができる。基本的に、ガス層界面領域を備えるステージ120は、バルク材料のためのCW出力フラックス制御を伴う定常温度制御装置として使うことができる。温度制御は注入工程中および/または他の類似の工程中に提供することができる。
【0057】
他の実施形態では、ガスを補助に使う伝導はバルク材料の底部領域およびステージ表面の物理的特性によって決まる表面の適応係数により制限される。ガス分子がキャビティ内で完全にランダムな速度を有し、分子がキャビティの境界間でエネルギーの移動なしに弾性的に跳ね返る場合、表面の適応係数は1である。一つの例では、シリコン表面と誘電体材料で作られたステージ表面に対するこの係数の標準値は約0.3である。
【0058】
所望の熱伝達は、取り扱われるバルク材料の熱容量または熱質量に依存する。比較的重いバルク材料とステージとバルク材料の底部領域間の薄いキャビティ高さでは、高圧のHeやH2などの軽いガスが高熱伝導を達成するための最良の選択である。さらに、ガス圧の調整は2つの固体表面間の熱伝達を制御するための大変効率的な方法になり得る。例えば、約5cm厚のシリコンインゴットに対して、4×104Wm-2K-1までの熱伝導率は、数ミクロンの高さの薄いキャビティと300Torrまでのガス圧力を用いて実現することができる。比較的高い背圧によって達成されたこの高熱伝導率は、バルク材料が起こりうる上方への曲げに対する十分な機械的剛性を持つ場合でのみ保つことができる。幾つかの実施形態に記述された5cm厚のインゴット材料(および、膜の分離が繰り返された後に1.5cmの最終厚さに薄くした後でさえ)、この要件は満たされる。
【0059】
上述の例では、バルク材料の底部はまた、恒久的または一時的に固定されているアダプタ板を介して温度制御面に連結することができる。以下により詳細を記述するが、アダプタ板は、バルクから熱伝達プレートへの機械的および熱的な結合を可能にする。もちろん、他の変形形態、修正形態、代替形態があり得る。
【0060】
図1に戻って参照すると、装置100の他の構成が注入装置140である。注入装置140は、例えば2MeV以上の高エネルギーのイオン粒子を生成する能力のある独立して作動する線形加速器とすることができる。この線形加速器は、複数の高周波四重極(RFQ)要素および/または複数のドリフト管線形加速器(DTL)ユニットおよび/またはこれらの組み合わせであって良いが、これに限定されるものではない。これらの要素は、マイクロ波ECRイオン源からイオンビームを取り出し、その後最終的な所望のエネルギーレベルまでイオンを閉じ込めて加速する。イオン種は水素、重水素、またはヘリウム種を含む。粒子ビーム電流は20mAまでにすることができ、ビームサイズは注入装置140の出射孔に取付られたビーム拡大器(図示せず)によってほぼ50cmまで拡大することができる。
【0061】
もちろん、当業者は注入装置の構成の多くの代替形態、変形形態、修正形態を認識するであろう。例えば、このような注入装置は、カリフォルニア州プレザントンのAccsys Technology Inc.などの会社から入手できる高周波四重極加速器(RFQ−Linac)またはドリフト管リニアック(DTL)、またはNM87109、アルバカーキーのLinac Systems,LLC(社)のRF収束櫛型(RF−Focused Interdigitated)(RFI)技術などを使うことにより最近利用できるようになっている。
【0062】
再度図1を参照すると、装置100は、バルク材料110の表面領域112にMeVレベルのイオン粒子のビームを注入するために注入装置140を用いている。バルク材料へのイオン粒子の注入は、本発明の実施形態に従って、自立膜を形成するための劈開工程を可能とする。エネルギーは部分的に注入種および条件に依存する。所定のエネルギーレベルの粒子ビームにより効果的に、粒子は表面領域112の下の所定の領域端(EOR)深さまで深く届くことができ、応力を加えるまたはほぼEOR深さでの平面に沿った破壊エネルギーを減少させることができる。これらの粒子は、劈開領域115または劈開面を形成するためにEOR深さ周囲のバルク材料の破壊エネルギーレベルを低減する。これは、バルク材料110から重ねられた膜113を分離するために、形成された劈開領域に沿った制御された劈開を可能にする。
【0063】
本発明の実施形態に従って、イオン注入は、全ての内部位置でバルク材料のエネルギー状態がバルク材料中で不可逆破壊(すなわち、分離や劈開)を起こすために不十分であるような条件下で起こり得る。しかし、注入ドーズは一般的に、その後の熱処理、例えば熱アニーリングまたは短時間熱アニーリング、によって通常は少なくとも部分的に修復することができるバルク材料中の所定量の欠陥(例えば微小欠陥)をもたらす。
【0064】
イオン注入に関連した結果は、衝突イオン粒子の出力フラックス145による表面領域および下方周囲のバルク材料の温度上昇である。装置100の注入装置140からの出力ビームは直径数ミリメートル程度にすることができる。注入アプリケーションは、ターゲット表面に衝突する出力フラックスが大きくなり過ぎないようにする、およびできる限りターゲット表面を加熱または傷つけないようにするために、ビーム直径を数百ミリメートル程度に拡大することを必要としてもよい。特定の粒子ビーム特性(所定のビーム電流およびビームサイズを備える)に対して、粒子出力フラックス145による温度上昇はまた、注入装置140に対して適切なデューティファクタ(例えば、0%がオフ、50%は半分の出力、100%が全出力)を設定することにより制限することができる。他の実施形態では、移動トレイ170は、フラックス145によるイオンビーム加熱が時間平均化されるように、表面領域112を横切る所定の速度でのビームの走査を可能とする。また、単独あるいはトレイの動きと組み合わせたビーム走査は、ターゲット表面を横切ってビームを動かすことを可能とし、ビームフラックスの時間平均化を行うことも可能となる。
【0065】
イオン注入と関連した温度上昇の両方は、注入およびその場注入アニーリング工程中の温度制御のために利用することができる速度が制限された熱処理にすることができる。例えば、前に記述された装置100は、バルク材料から自立膜を分離するために適した所望の劈開面を得るために、吸収量および基板温度上昇に関してイオン注入の成果を制御することができる。
【0066】
再度図1を参照すると、装置100は、バルク材料についての現在の状態に関連したデータを収集するためのセンサ装置150を利用する。特に、センサ装置150は、少なくとも表面領域112および底部領域118の両方の温度値および表面領域112の表面粗さを含む、バルク材料110の表面特性を測定または監視するための複数のセンサを利用する。測定および監視は注入工程中連続的で動的である。センサ装置150は、特定の時点に対する入力データのセットを動的に生成することができる。
【0067】
センサ装置150は少なくとも5つの異なるタイプのセンサを備える。第1のタイプは温度センサであり、表面領域112および底部領域118近傍に配置され、バルク材料110の表面領域および底部領域の温度を測定することができる。温度センサはプログラムされた温度制御ルーチンを実行するために制御装置160のための直接入力データとして使うことができる。追加の温度センサを、供給ガス127の温度を測定するためにガス供給口128に設置してもよい。それ以上の温度センサが、クランプ装置130を通じた熱および電気伝導の入力を提供するための第2溝116での温度を測定するために必要な場合がある。ある例では、温度センサは熱電対のような接触タイプを含む。他の例では、光高温計のような非接触タイプの温度センサを使うこともできる。
【0068】
第2のタイプのセンサは圧力センサであり、供給ガス127の圧力を測定するためにキャビティ124内の底部領域118近傍に設置される。圧力センサは、ガスを補助に使う伝導を用いて底部領域118の温度変化を導くための供給ガスの圧力を検知できる。このような圧力センサ、例えば広い圧力範囲で動作可能である圧力ゲージまたは複数のゲージは、所望の圧力測定レンジを実現するために使うことができる。
【0069】
第3のタイプのセンサは、劈開工程により各厚膜が分離された後のバルク材料110の重さを監視することができる。バルク材料の重さは固有の熱容量および熱抵抗に対応し、それは同様に温度制御ステージ120を使った温度制御を最適化するために有用である熱時定数を決定する。重量センサの代わりまたはそれと併せて、位置センサまたはタイルカウンタ(tile−counter)を使うことができ、それは各連続劈開工程後に、現在の表面領域112から底部領域118まで測定した、バルク材料の表面の高さの変化または現在の長さ111を監視する。
【0070】
第4のタイプのセンサは、各劈開工程後の表面状態の情報を提供する表面粗さまたは欠陥検査センサである。この入力データに基づいて装置100は、インゴットまたはタイル表面が再ラッピング、ポリッシング、または修復される必要があるかを決めることができる。実施形態では、このタイプのセンサは特定の劈開破壊により生じた平坦度の差または粒子スパイク(particle spikes)を測定することができる。この情報は、装置100にフル生産を続ける能力を自己診断することを可能にし、結果として生じる自立厚膜の全体的な品質を確保する。
【0071】
第5のタイプのセンサは、どのように劈開面に沿った微小亀裂伝搬の開始を引き起こすかを監視することができるように、処理領域の劈開前(precleave)の情報を捕らえるための音響または光学センサを含んでもよい。さらに、局所的な応力の解放による材料内の過渡的な弾性波であるセンサによって検知されたアコースティックエミッションは、劈開工程中にレーザパルスエネルギーが増加または減少するように調整するために使うことができる。このような音響センサは、一般的に100kHzと1MHzの間の領域の超音波領域で動作するが、1kHzまで下げるまたは100MHzまでであってもよい。典型的な音響センサは、電気的、電子的、電気機械的、または電磁的メカニズムに基づいたトランスデューサを含む。また、光学センサの使用は、具体的実施形態による劈開プロセス開始および伝搬を制御するために、劈開前または劈開中の劈開面の光学的な変化を検知する。実施形態によるが、検知は、任意のこれらの技術などの組み合わせを用いて行うことができる。
【0072】
図1を再び参照すると、装置100はさらにセンサ装置150によって生成された入力データを受信および処理するために構成された制御装置160を備える。制御装置160はまた、複数の自立厚膜を製造するために有利な連続注入工程の間にバルク材料110の温度を動的に制御するために、注入装置140および温度制御ステージ120に接続されるとともに指令を行う。ある実施形態では、制御装置160は最良の動作ルーチンを決定するための動的なフィードバック/フィードフォワード制御方式を実行するよう構成される。この制御方式では、表面温度、底部温度、バルク材料の重さ(または長さ)、表面粗さなどを含むバルク材料の現在の状態に関連する入力データが処理される。任意の特定の時点における注入、その場アニーリング、および/または、その後の劈開のための所定の処方手順に基づいて、制御装置は出力としての最適化された制御ルーチンを計算し、ここでは動作指令は注入装置140のデューティファクタを調整するおよび/またはキャビティ124内に供給されるガス127の背圧および温度を調整することによりステージ120を用いて底部温度を変化させるために与えられる。
【0073】
また、ある例では、制御装置160は処理中のバルク材料の処理領域に向かって追加のCW出力フラックス146を提供するために、表面領域の上の一つまたは複数の外部投光照明熱源141に接続されていてもよい。他の例では、表面領域の上に配置された一つまたは複数のパルス熱源142がさらに、アニーリングまたは急速な上昇率で表面温度を上昇させるための出力フラックス147を供給するために適用される。ある実施形態では、パルス熱源142は、処理領域の熱時定数、100μm厚の自立膜製造工程に対しておおよそ50マイクロ秒内で局所的にエネルギーパルス149の導入を通じて効率的な劈開領域115を生成するのに役立てることができる。パルス熱源の一つの例は、数ナノ秒から数十ナノ秒以上の特性パルス幅を持ちcm2あたりのエネルギー0.1−50ジュールを届けるYAGレーザパルス装置である。基本的な1.06μmYAGラインは、このアプリケーションに必要な100μm内にレーザの熱エネルギーの大部分を供給する。劈開領域は局所的なEOR損傷がシリコンのIR吸収係数を増加させるため、そこに到達する残留赤外線(IR)放射を効率的に吸収することが見込まれる。低い熱伝導率のEOR領域を横切る瞬間的な温度差は、さらに劈開エネルギーを減少させることができるかあるいはさらに劈開工程を起こすことができる剪断応力を発生させる。
【0074】
他の例として、レーザ光が劈開領域のEOR損傷内に大部分が吸収されると(そこでは、光はバルク材料の側部領域周辺から全ての角度で劈開領域に作用することができる)、レーザパルスエネルギーは照射後周囲の材料への熱緩和まで高レベルの応力を発生させる。劈開領域の緩和時定数は、注入エネルギー(劈開領域の厚さを決める)および劈開領域の有効熱伝導率に応じて約25ナノ秒から20マイクロ秒以上である。本発明の特定の実施形態に従って、表面領域の加熱はEOR劈開領域、劈開される上を覆う膜、またはその両方の加熱を含む。
【0075】
他の例では、ステージ120の底部に水冷却システム(図示せず)を取り付け、伝導を促進するために機械的クランプ130に独立したヒートシンクを取り付けることによって追加の冷却を与えることができる。バルク材料から自立厚膜を分離するための劈開工程中の温度制御方法のさらなる記述は以下に述べる。
【0076】
図5は本発明の実施形態によるバルク材料から自立膜を連続的に分離するための劈開工程中の温度制御方法を示した概略フローチャートを示す。この図は単なる例であり、特許請求の範囲を不当に限定するものではない。当業者は多くの変形形態、代替形態、修正形態を認識するであろう。この方法200は次の工程を含む。
1.バルク材料を用意する工程210。
2.バルク材料の現在の状態に関するセンサデータを収集する工程220。
3.制御ルーチンおよび温度設定値を決定するためのセンサデータを処理する工程230。
4.設定値に到達するための制御ルーチンを実行する工程240。
5.設定値で注入およびその場アニーリング工程を実行する工程250。
6.劈開工程(装置100での場合)を実行する工程260。
7.残っているバルク材料の長さをチェックし、30%未満なら工程を終了し、そうでなければ次の工程に進む工程270。
8.バルク材料の表面粗さをチェックし、基準を満たせば工程220に戻って次に進み、そうでなければ工程210に戻って次に進む工程280。
【0077】
上記の一連の工程は本発明の実施形態による方法を提供する。工程が追加されたり、一つまたは複数の工程が取り除かれたり、または一つまたは複数の工程が特許請求の範囲から離れることなく他の手順で提供される、他の代替形態もまた可能である。本発明のさらなる詳細は本明細書を通じて、特に以下に見ることができる。
【0078】
図5を参照すると、方法200は第1に自立膜を製造するために劈開用バルク材料を用意する工程段階210を備える。特定の実施形態によれば、バルク材料はインゴットの形に成長して与えられる、単結晶シリコンなどの半導体材料を含み得る。他の実施形態では、バルク材料はポリ結晶シリコンの大きいタイルであってもよい。具体的実施形態では、インゴット材料および/またはポリ結晶タイルは、ある長さに予め加工された本体および実質的に円形または多角形の断面形状を有し得る。バルク材料の長さは温度制御された劈開を促進するために予め定めることができる。一定の密度をもったバルク材料に対して、長さはその重量に相当する。例えば、結晶シリコンインゴットに対して、好ましい長さは約5cmで重量は約3kgである。
【0079】
他の実施形態では、劈開のためのバルク材料の用意には、良質デバイス用膜を製造するための表面領域およびステージ上に保持するための底部領域の両方を滑らかにするためのさまざまな平坦化処理を用いることを含む。さらに他の実施形態では、バルク材料の用意には、表面粗さをより小さいレベルにするために、例えば、装置100の注入装置140によって発生した高エネルギー粒子など、改良された高ドーズエネルギーイオン粒子注入工程を使うことを含む。ある実施形態では、バルク材料の用意はまた、表面粗さを減少させるために表面の軽いエッチングおよび/または薄い滑らかな層を堆積させることも含む。他の実施形態では、バルク材料の用意にはさらに、劈開工程前の表面領域に光結合層、透明導電酸化物、および光閉じ込め層などのコーティング/膜を堆積させるためにデバイス製造工程を組み入れることを含む。その後の劈開のために、表面状態は、次の工程段階のために異なるオプションにつながる処理が表面に必要かを決めるために、バルク材料から膜が取り除かれるたびに再チェックされる。
【0080】
バルク材料を用意するための方法200の第1の工程段階210はさらに、バルク材料の底部領域に第1の溝を作ることを含む。具体的実施形態では、第1の溝は多角形の底部の端部領域に配置された閉ループの溝である。第1の溝は、バルク材料の滑らかにされた底部領域がステージの平面に係合する時に、ガス層界面を形成するための気密シールに適合するように設計される。さらにある実施形態では、工程210はさらに、バルク材料の周辺側部領域の所定の位置に第2溝を形成することを含む。第2溝の位置は、概して、次の工程で、注入および表面領域からバルク材料の70%まで連続的に実行される劈開工程を妨害することなく、溝に適合される機械的クランプ装置が側部領域からバルク材料を適切にクランプすることができるように、底部からのバルク材料の長さの30%未満に設定することができる。一つの例では、第2溝は周辺側を囲む単一の溝であってもよい。他の例では、バルク材料の周りのさまざまな位置に配置された一群の溝であってもよい。他の実施形態では、工程210は、次の工程で底部からステージ上にバルク装置を確実にロックするためのキー構造を有する機械的クランプ装置のために、底部領域にロック構造を作ることを含んでもよい。
【0081】
バルク材料を用意するための方法200の第1の工程段階210はさらに、クランプ溝としての第2溝を用いて機械的クランプ装置によりバルク材料をクランプすることを含む。代替実施形態では、バルク材料110を、ロック機構を介して底部領域から機械的クランプ装置により確実に保持することができる。図4に示される、具体的実施形態では、バルク材料110は機械的クランプ装置130によりクランプされ、気密シール122によってのみ分離されて底部領域118がステージの平面121に結合してステージ120上に保持される。気密シール122は、底部領域118とステージ表面121を連結すると同時に、バルク材料の底部領域118とステージの平面121がそれぞれ上部と底部の境界になる薄いキャビティ124をそれらの間に形成するために第1溝114に一致するように構成される。気密シール122は、機械的クランプ装置に補助されて、キャビティ124の内外に形成される高圧力差を保持するのに十分確実である。具体的実施形態では、ステージ120の平面121は、キャビティ124内に満たされたガス127が調整可能な圧力にすることを可能とする複数のガス通路126を備える。ガスは通常、注入口128と排出口129を有するステージ120内に組み込まれたアセンブリにより供給される水素またはヘリウムガスである。ガス127は極低温または室温であり得る。また、ガスを加熱することもできる。
【0082】
図5を参照すると、いったんバルク材料が用意され、ステージ上に保持されると、方法の工程段階220が実行される。この段階では、バルク材料の現在の状態に関連するデータが、センサ装置によって操作される一つまたは複数のセンサによって収集される。例えば、センサ装置は図1にセンサ装置150として示される。
【0083】
ある実施形態では、センサ装置により操作される一つまたは複数のセンサは、表面領域の温度Ts、および底部領域の温度Tbを測定するための温度センサを含む。他の実施形態では、一つまたは複数のセンサはまた、同様にバルク材料の現在の長さまたは重さの情報を提供するバルク材料の表面領域の位置を検知することにより、劈開工程中のバルク材料の履歴を追跡記録する位置センサも含む。さらに他の実施形態では、一つまたは複数のセンサは、バルク材料の底部領域とステージ表面の間のキャビティ内の圧力を示す圧力センサを含む。センサ情報の収集または所定の測定を実行することは、工程210で一度バルク材料が用意されると最後の劈開工程が終わるまで(工程フローを停止する特定の劈開工程基準が満たされない場合を除く)任意の時点で行われる。収集されたセンサデータはリンクされた制御装置に送られて処理される。例えば、制御装置160は図1に示された装置100内に含まれる。
【0084】
この方法200の工程段階230は、工程の処方手順に基づいた所望の工程(注入および/または劈開)温度にバルク材料の表面温度を変化させるための温度フィードバック/フィードフォワード制御方式の入力として、これらのセンサデータを処理するために制御装置を使う。任意の時点で、処方手順は表面領域、より詳しくは処理領域でのバルク材料の所望工程温度Tpのための設定値を決定する。その後、ある時点でのセンサデータからの入力データが、表面領域の現在の温度Tsを目標設定値Tpに変化させるおよび/または要求通りにその温度に維持するための最良のルーチンを決定するためにフィードバック/フィードフォワード制御方式で制御装置によって受信され処理される。制御ルーチンは、最も効率的な方法で工程温度に到達するような最速のまたは少なくとも所定の加熱/冷却速度を達成するように制御ループを安定に保つようプログラムされる。
【0085】
方法200の工程段階240は、次に与えられた時点から設定値に到達するよう選択された制御ルーチンを実行するために実行される。ある実施形態では、温度を変化させるための制御ルーチンは、複数の放射、対流、熱伝導経路を利用した加熱および冷却操作の両方を含む。例えば、現在の温度Tsが設定値Tpより低い場合には加熱が必要である。具体的実施形態では、図6の概略図に示されたように、一つまたは複数の投光照明などの外部放射源302を、CW出力フラックス326の上方からのバルク材料300の表面領域301を加熱するために使うことができる。制御装置は、所望の上昇率と均一性で表面を加熱するためのランプ電流、オン/オフ周波数、および空間的寄与を制御するフィードバックループを通じてこれらの外部放射源につながれていてもよい。外部放射源はまた、アニーリングおよびパルス出力フラックス327を通じた劈開領域エンハンスメントのためのレーザパルス源などのパルス熱源303を含んでもよい。
【0086】
他の実施形態では、劈開工程の一部は、注入装置により生成された高エネルギー粒子を利用したイオン注入工程を含む。表面領域301に照射される高エネルギー粒子の出力フラックス305は表面領域を加熱する傾向にある。制御装置は、注入中の加熱を制御するために、動作のデューティファクタ、オン/オフ周波数のほかに、粒子ビームのビームサイズおよび走査速度を制御するように注入装置、例えば装置100の注入装置140につながれてもよい。
【0087】
他の実施形態では、熱流306は熱伝導によって底部領域309から表面領域301にも発生させることができる。支持ステージ310を、底部温度を変化させることによって熱伝達を促進または制御するために用いてもよい。他の例では、熱は所定の上昇した表面温度でのイオン注入アニーリング後工程のために、この経路を通じて供給されてもよい。
【0088】
さらに他の実施形態では、熱流306はジュール加熱、誘導加熱などから発生させることもできる。一つの例は電流をバルク材料に流すことによるバルク材料のI2R加熱である。一つの例では、熱は所定の上昇した表面温度でのイオン注入アニーリング後工程のために、この経路を通じて供給されてもよい。
【0089】
本発明の他の具体的実施形態では、注入中または劈開工程中の表面領域の加熱を補償できるように底部の温度を下げることによって主に冷却するために使うことができる。つまり、図6の概略図に示された同じ経路を通じて、熱流307は表面領域301から底部領域309に流れる。底部温度Tbを効率的に下げるため、極低温ガスを気密シール313によって密封された底部領域と冷却されたステージ表面311の間のキャビティ315内に供給してもよい。薄いキャビティ(例えば数ミクロン)内の300Torrまでの圧力により、2つの表面と衝突する高速で動くガス分子は底部領域309から冷たいステージ表面311に熱エネルギーを効率的に移動することができる。ガス圧力を調整することにより、ガス分子の平均自由行程を熱の移動を最適化するためにキャビティ高さに応じて変化させることができる。
【0090】
大抵の場合、バルク材料の大きい熱質量のため、EOR領域は注入および特定の劈開面形成アニールに連続的により低い熱伝導を生成し、それゆえこの層はより表面加熱の影響を受けやすいので、ステージを通じた伝導による冷却制御時定数は放射源または表面領域への粒子照射による加熱より遅い。劈開工程が連続的に続くにつれて、バルク材料の長さは減少し、その冷却時定数も減少する。変化する長さを追跡記録する位置センサデータを利用することにより、制御装置は時定数を更新することができ、必要であれば他の制御パスを調整する。したがって、次回の劈開工程のための更新された最適制御ルーチンが生成される。
【0091】
ある実施形態では、バルク材料が薄くなるにつれて、キャビティ内のガス圧力は熱伝導を減少させて冷却を減速させるために低くされ得る。他の実施形態では、制御方式は制御ループを安定に保ち、最も効率的な方法で所望の工程温度が得られるように最速のまたは少なくとも所定の加熱/冷却速度を達成するように、全ての速度プロセスを対応するように設計される。例えば、注入の前に、対象のバルク材料は冷たいが処方手順が300℃を必要としている場合、300℃より高い設定が、設定値に到達するより前に温度を下げるステージとともに注入バルク材料が表面で300℃により速く達することを可能にするために使われ、加熱/冷却サイクルをできるだけ早く保つために温度を増加させる。
【0092】
図5に戻ると、いったん表面温度TSが設定工程温度TPに到達すると、方法200の工程段階250が注入工程を開始するために実行される。本発明の具体的実施形態によれば、図7の略図に示されたように、工程250はバルク材料400の表面領域401を第1の複数の高エネルギー粒子405にさらすことを含む。具体的実施形態によれば、高エネルギー粒子405は線形加速器を備えた注入装置を使うことで生成することができる。注入を行うサブ段階と注入アニーリング後の間の設定値温度処理のサブ工程を組み込んだその場アニーリングもまた行うことができる。図5の他の全ての段階のように、段階220および230は後続の段階250および260内で何度も適用することができる。図5はしたがって第1の設定値処理の単なる例であり、限定するものとしてみなされるものではない。もちろん、他の変形形態、修正形態、代替形態があり得る。
【0093】
具体的実施形態によれば、図8の概略図に示したように、高エネルギー粒子505の注入の結果は、劈開領域503内に複数のゲッタリングサイトまたは蓄積領域の形成を生じさせる。この劈開領域503は、自立膜として分離されるバルク材料500の層510を規定するために、表面領域501の下にもたらされ得る。好ましくは、第1の複数の高エネルギー粒子は、バルク材料のある深さ内に空間的に配置されるピーク密度および底を有する注入粒子プロファイルを提供する。もちろん、他の変形形態、修正形態、代替形態があり得る。
【0094】
ある実施形態では、劈開領域は注入中に第1の温度、例えば約−100℃から250℃の間の幅に保たれ、直接間接を問わずに提供することができる。ある実施形態では、温度は装置100により制御することができる。他の実施形態では、温度は工程段階220、230および240を実行することにより制御することができる。もちろん、他の変形形態、修正形態、代替形態があり得る。
【0095】
用途によるが、特定の実施形態によれば、より小さい質量粒子は一般的に材料の所望の深さへの注入のためのエネルギー必要量を減少させ、材料領域の損傷の可能性を減少させるために選択される。つまり、より小さい質量粒子は、粒子が通り抜けて移動する材料領域を実質的に損傷することなく、基板材料を通って選択された深さに容易に移動する。例えば、より小さい質量粒子(またはエネルギー粒子)は、ほとんどの(例えば、正または負に)帯電したおよび/または中性の原子または分子、または電子、などであり得る。具体的実施形態では、実施形態に応じて、粒子は水素およびその同位体のイオン種、ヘリウムおよびその同位体などの希ガスイオン、およびネオンなどのイオンを含む中性または帯電した粒子であり得る。粒子はまた、上述の粒子、および/またはイオン、および/または分子種、およびまたは原子種の任意の組み合わせとなり得る。粒子は、例えば、水素ガス、水蒸気、メタン、および水素化合物、および他の軽い原子質量粒子などのガスの化合物から生成することができる。この粒子は、通常、表面の下の選択された深さまで表面を貫くことができる十分な運動エネルギーを有する。
【0096】
例えば、注入される種として水素を使うと、注入工程は特定の一連の条件を用いて実行される。注入される水素のドーズは約1×1015から約1×1016atoms/cm2の幅にすることができ、好ましくは注入される水素のドーズは8×1016atoms/cm2未満である。水素注入のエネルギーは、発電用途のために有用な厚膜の形成に対して、約0.5MeVから約5MeV以上に及ぶ。注入温度は、約−100℃から約250℃まで及び、好ましくは注入されたシリコン劈開領域の外に水素イオンが拡散する可能性を避けるため約400℃未満である。水素イオンは、約±0.03から±3ミクロンの精度でシリコンウエハの選択された深さに選択的に導入することができる。もちろん、使われるイオンのタイプおよび処理条件は用途に依存する。
【0097】
具体的実施形態では、約15μmから約200μmまでの幅の厚さのシリコン膜を、約1MeVから約5MeVの幅のエネルギーを有する陽子注入を用いて形成することができる。この厚さの幅は、自立シリコン層として使うことができる厚さの単結晶シリコンの分離を可能にする。本発明の実施形態による15−200μmの幅の厚さを有する自立シリコン層は、従来のウエハ切断、エッチング、またはポリッシング処理に代えるために使うことができる。したがって、従来の分離手法では約50%のカーフロス(カーフロスは切断およびウエハリング作業中の材料損失として定義される)が生じることが予期されるが、本発明の実施形態による手法は事実上カーフロスが無く、結果的に実質的なコスト削減および材料利用の効率の向上になる。
【0098】
特定の実施形態では、5MeVより高い注入エネルギーを使うことができる。このような高エネルギーの注入は、半導体素子の製造の代替材料の基板としての自立層を製造するために有用である。しかし、太陽電池の製造では、200μm以下の厚さの自立材料が一般的に望まれる。
【0099】
図9を参照すると、本発明による方法200の実施形態では、劈開領域603内に複数のゲッタリングサイトをさらに形成するために、バルク材料600に熱処理工程を選択的に実行することができる。つまり、熱処理工程は、欠陥ネットワーク内に置かれた複数の第1の粒子を固定するために劈開領域603をアニーリングおよび/または急冷する。具体的実施形態では、この工程は、所望の熱処理温度の達成を補償するために表面領域601の上からCWおよび/またはパルス放射熱605および底部から熱伝導607を利用することができる。ジュール加熱または誘導加熱の流れ608も利用することができる。例えば、温度制御は装置100を用いて実行される。
【0100】
具体的実施形態では、方法200の工程260はさらに、図9の概略図に示したように、バルク材料の表面領域を第2の複数の高エネルギー粒子にさらすことを含む。第2の複数の高エネルギー粒子705は、例えば線形加速器を備えた装置100内の注入装置140などの注入装置を使うことで生成することができる。図示したように、この方法は、バルク材料700に供給される、第2の複数の高エネルギー粒子705を含む。第2の複数の高エネルギー粒子705は劈開領域703に導入され、第1の応力レベルから第2の応力レベルに劈開領域の応力レベルを上昇させる。特定の実施形態では、バルク材料は例えば約20℃と500℃の間の幅の、第1の温度より高い、第2の温度に保たれる。例えば、第2の温度は装置100および工程220、230および240を実行することによって制御される。もちろん、使われるイオンのタイプおよび工程条件は用途に依存する。
【0101】
例として第2注入段階でバルク単結晶シリコン材料に注入される種として水素を使うと、注入工程は特定の一連の条件を用いて実行される。注入ドーズは約5×1015から約5×1016atoms/cm2におよび、好ましくは、ドーズは約1−5×1017atoms/cm2未満である。注入エネルギーは、発電用途のために有用な厚膜の形成に対して、約1MeVから約5MeV以上に及ぶ。注入ドーズ率は、500マイクロアンペアから50ミリアンペアまで供給することができ、全ドーズ率は拡大されたビーム領域中で注入率を積分することによって計算することができる。注入温度は、約250℃から約550℃まで及び、好ましくは約400℃超である。水素イオンは、約±0.03から±3ミクロンの精度でシリコンウエハの選択された深さに選択的に導入することができる。具体的実施形態では、温度およびドーズは劈開領域内で単原子水素の水素分子への効率的な変換を可能にするように選択されるが、一方で単原子水素の多少の拡散があり得る。もちろん、使われるイオンのタイプおよび工程条件は用途に依存する。
【0102】
本発明の具体的実施形態では、適切なビーム強度を有する、質量選別高エネルギー注入手法を使うことができる。コスト効率を良くするため、注入ビーム電流は数十ミリアンペアの程度のH+またはH-イオンビーム電流にすべきである。システムが十分高エネルギーを注入できる場合、高ドーズ率を達成するためにH2+イオンを有利に使うこともできる。このような注入装置は高周波四重極加速器(RFQ−Linac)またはドリフト管リニアック(DTL)、またはRF収束櫛型(RF−Focused Interdigitated)(RFI)技術などを使うことにより最近利用できるようになった。これらは、カリフォルニア州プレザントンのAccsys Technology Inc.、NM87109、アルバカーキーのLinac Systems,LLCなどの会社から入手できる。
【0103】
任意選択で、本発明による方法200の工程250はさらに、注入工程後の熱処理工程を含む。ある特定の実施形態では、シリコン材料に対して約450℃から約600℃までの熱工程を利用する。好適な実施形態では、少なくとも部分的に方法200の温度制御工程220、230、および240を実行することによって、熱処理を実行することができる。もちろん、他の変形形態、修正形態、代替形態があり得る。
【0104】
図5を参照すると、劈開工程はシステム100内で生じさせることができ、いったん表面温度Tsが設定処理温度Tpに到達すると、方法200の工程段階260が劈開工程を開始するために実行される。もちろん、他の変形形態、修正形態、代替形態があり得る。
【0105】
本発明による方法の具体的実施形態は、劈開工程を用いて自立層を分離する段階を含み、一方で自立層は図11に示したように、上を覆う常設の支持部材などは存在しない。示したように、自立層810は残っているバルク材料800から取り除かれる。具体的実施形態では、分離する段階は制御された劈開工程を用いて実行することができる。制御された劈開工程は劈開領域の一部に選択されたエネルギーを提供する。単なる例であるが、制御された劈開工程は、カリフォルニア州サンノゼのSilicon Genesis Corporationに譲渡された、Controlled Cleaving Processを発明の名称とする米国特許第6,013,563号に記載されており、全ての目的で参照としてここに援用する。示したように、本発明の実施形態による方法は、自立層を完全に分離するためにバルク材料から自立厚膜を取り除く。もちろん、他の変形形態、修正形態、代替形態があり得る。
【0106】
本発明の所定の実施形態では、劈開動作の開始を促進するための一つまたは複数のパターン領域を用いてもよい。このような方法は、劈開領域内に複数のゲッタリングサイトのパターン領域を形成するために、半導体基板の表面領域を線形加速器により生成された第1の複数の高エネルギー粒子にさらすことを含んでもよい。本発明による方法の一つの実施形態では、劈開領域は分離される材料の層を規定する表面領域の下に設けられる。半導体基板は第1の温度に維持される。この方法はまた、半導体基板に処理工程、例えば熱処理にかけることを含む。この方法は半導体基板の表面領域を第2の複数の高エネルギー粒子にさらすことを含み、これは劈開領域の応力レベルを第1の応力レベルから第2の応力レベルに増加させることをもたらす。この方法は、劈開工程を用いて分離可能な材料の層の部分を分離するためにパターン領域の選択された領域で劈開動作を開始させ、劈開工程を用いて分離可能な材料の層を取り除くことを含む。
【0107】
このようなパターン注入シーケンスは表面をドーズの変動にさらし、開始領域は通常、より高いドーズおよび/またはサーマルバジェットシーケンス(thermal budget sequence)を用いて発達する。劈開動作を完了させるための劈開動作の伝搬は、(i)伝搬する劈開フロントを案内するための追加のドーズ領域、(ii)劈開される深さを案内するための応力制御、および/または(iii)自然の結晶劈開面、を使うことにより起こすことができる。いくつかのまたは大抵の領域は、使われた特定の劈開技術によってより少ないドーズで注入(または全く注入されない)することができる。このようなより少ないドーズ領域は、基板から各膜を分離するために必要な全ドーズを低減することによって注入システムの全体的な生産性を向上させるのに役立てることができる。
【0108】
具体的実施形態によれば、より高くドーズされた開始領域の生成は、領域のドーズを同時に増加させ、一方でその領域を加熱して局所的な膜の分離のための領域を用意する注入ビーム自体の使用により促進させることができる。分離は、注入ビーム工程中または注入後の別の熱工程段階を用いてその場で達成することができる。開始領域の状態を測定およびフィードバックするためのセンサの使用は、正確で制御された局所的な膜の分離を可能とし、劈開が生じた直後の層の加熱または損傷を避けるのに役立てることができる。
【0109】
本方法の具体的実施形態は他の工程で実行することができる。例えば、この方法は、後に処理される支持部材に接触する自立層を配置することができる。追加的にまたは選択的に、本発明の実施形態による方法は、表面領域を第1の高エネルギー粒子にさらす前に、バルク材料に一つまたは複数の工程を実行する。特定の実施形態によるが、この工程は、太陽電池、集積回路、光学素子、これらの任意の組み合わせなどの形成のためのものとなり得る。もちろん、他の変形形態、修正形態、代替形態があり得る。
【0110】
自立材料の厚さは、本発明の実施形態に応じて15ミクロン以下から200ミクロンまで異なり得る。例えば、この手法を利用したシリコンインゴットの厚さの約70%の劈開は、それぞれが100μmの厚さを有する350の自立単結晶シリコン膜を生産することができる。1m2は15cm×15cmの面積を持つ約45のタイル表面に相当するので、約7.8m2のシリコンの表面積をこのような5cm厚のインゴットの70%から生産することができる。この自立材料の層は、光起電素子、3DMEMSまたは集積回路、ICパッケージング、半導体基板製造、半導体素子、これらの任意の組み合わせなどの用途のための高品質半導体材料を提供するためにさらに処理される。本方法の一つ実施形態は、特に極めて効率の良い太陽電池のための単結晶シリコンを提供する。特定の実施形態は、エネルギー粒子の低初期ドーズを使い、これは工程をコスト効率良く効果的にすることを可能する。
【0111】
図5を参照すると、バルク材料からそれぞれの自立膜が取り除かれた後、方法200の工程270を、特に一つまたは複数の自立膜を製造モードで製造するために実行することができる。この工程は、残りのバルク材料が最初のバルク材料の30%未満であるかを決定するための位置センサデータを読むことを含む。それはまた、残りのバルク材料の長さを検知して保存された最初の長さと比べることに言い換えられる。一度センサ測定値が残っているバルク材料の長さが30%未満であることを示すと、制御装置は工程の終了を命令するための信号を送ることができ、そして残っているバルク材料を除去することが後に続く。劈開されていない残りの30%のバルク材料は、劈開のための新しいバルク材料を製造するための高度に純化された出発材料として溶融物に戻すことができる。位置センサ測定値が残りのバルク材料の長さが30%超であることを示す場合、方法200は残りのバルク材料での次の工程段階に導く。他の具体的実施形態では、位置センサは部分的に、残りのバルク材料の熱容量に関連する新しい入力データを提供することもできる。新しい入力データは、次の工程段階のための更新された制御ルーチンを決定するために処理することができる。
【0112】
方法200の次の工程段階280は残りのバルク材料に関連したより多くのセンサデータをチェックすることを含み、これはまた生産モードで一つまたは複数の自立膜を製造するためのこの方法の応用にも関連する。この工程段階では、残りのバルク材料の表面領域の表面粗さが検査される。工程280は、残りのバルク材料の表面粗さを計測するための一つまたは複数のその場のプローブを用いることを含む。計測された表面粗さパラメータ(または表面欠陥を含む他の特性)は、所定の基準と比較される。ある実施形態では、工程280において基準が満たされると、劈開された膜の品質が許容でき、残りのバルク材料が新しい劈開工程サイクルに適合可能であることも示している。方法200の工程の流れは、工程段階220に戻され、そして工程230、240、250、および260が再び続く。
【0113】
他の実施形態では、工程280において基準が満たされないと、劈開後の表面に修復が必要であるかあるいはバルク材料に修復が必要であることを示す。したがって、工程の流れは、残りのバルク材料のための表面処理が適用される工程段階210に戻される。一つの例では、比較的高いコストになり得るが、表面に再ラッピングおよび/または再ポリッシング処理が実行され、つまり工程の流れは完全に工程210にリセットされる。他の例では、増加したドーズのイオンビームの使用、または表面のエッチングの実行、またはスピン蒸着(spin−on depositions)による薄い滑らかな層の追加などのよりコストの少ない工程を基準が満たされるまで表面粗さを潰すために実行してもよい。
【0114】
図12は、本発明の一つの実施形態に従ったバルク材料からの複数の自立膜の形成の概略図を示す。単結晶シリコンインゴット900は、5cmの原厚を示し、15cm×15cmの側面寸法を有する。単結晶シリコンの密度は約2.32gm/cm3なので、このバルク単結晶シリコン材料の重さは15×15×5×2.32=2.61Kgである。したがって、本発明の実施形態による手法を利用したこのようなインゴット900の約70%の厚さの劈開は、それぞれが100μmの厚さを有する、350の自立単結晶シリコン膜910を製造する。1m2は15cm×15cmの面積を持つ約45のタイル表面に相当するので、約7.8m2のトータルのシリコンの表面積を5cm厚のインゴットの70%から生産することができる。単結晶シリコンから劈開されないインゴットの残りの30%は、劈開のための新しいインゴットを製造するための高度に純化された出発材料として溶融物に戻すことができる。
【0115】
本発明の代替実施形態によれば、シード層がさらにヘテロ構造エピタキシャルプロセスの積層のために提供される。ヘテロ構造エピタキシャルプロセスは特に薄い多接合光電池を形成するために使うことができる。単なる例であるが、GaAsおよびGaInP層をゲルマニウムシード層にヘテロエピタキシャルに蒸着することができ、これは本発明の実施形態の注入工程を用いて形成した自立層である。
【0116】
上記は具体的実施形態の全ての記述であるが、様々な修正、代替構造、および均等物が用いられ得る。例えば、上述の実施形態ではバルク材料は温度制御ステージに直接接触していたが、本発明では、これは必須ではない。代替実施形態によれば、バルク材料の底部分はバルク材料と温度制御ステージの間に介在するアダプタまたはインターフェースプレートに固定することができる。
【0117】
図13A−Eは、本発明の実施形態で用いられるバルク材料を温度制御ステージに固定するための様々な方法を示す。図13Aの実施形態は前述のものと類似しており、バルク材料の側部のノッチに係合するクランプを用いて、バルク材料の底部分は温度制御チャックのOリングに直接接触して固定される。
【0118】
それに対して、図13Bの実施形態は、タイルを保持する接着剤1326を利用してタイル(バルク材料)1322の下部表面1322aを固定するアダプタ板1320を利用する。この特定の実施形態では、アダプタ板はタイルの底部の表面領域よりわずかに小さいが、これは必須ではない。代替実施形態では、アダプタ板をタイルの底部の表面と同じサイズであるか、より大きくすることができる。
【0119】
図13Bの特定の実施形態はまた、ノッチ1328を有するアダプタ板を示す。これは必須ではなく、アダプタ板はこのようなノッチを有する必要はない。
【0120】
図13Cは、温度制御チャックに固定される図13Bのタイル−アダプタ板の構造を示す。具体的には、タイルと接触する面と反対のアダプタ面は、温度制御チャックの凹所内に位置するOリングに接触してシールされる。温度制御チャックはアダプタの背面を冷却ガスにさらすように構成され、したがってその温度および接触しているタイルの温度を制御する。
【0121】
アダプタ板の環境に応じて、異なるアダプタクランプを使うことができる。例えば、大気中での応用は真空チャックの使用を可能にする。図13Cの特定の実施形態では、アダプタは吸引のみを通じてチャックと接触するように保持され、アダプタのクランプ溝に係合するクランプは示されていない。しかし、他の実施形態では、クランプは、アダプタと温度制御ステージ間の確実な接触を確保するためにアダプタのクランプ溝に係合できる。さらに他の実施形態では、アダプタ板は、真空の適用または静電気力を用いて温度制御チャックに固定することができる。
【0122】
図13Dは、本発明による、さらに他の構造の概略断面図を示し、タイル1324に面するアダプタ板1330の表面1330aはOリング1334を受け入れるように構成された凹所1332を備える。凹所1332は、端部領域1334の内側に位置し、内部領域1336を囲む。この実施形態では、凹所1332はOリングを保持する働きをするだけでなく、タイルとアダプタ板が互いに接着される場合に、内部領域1336内にタイル保持接着剤の広がりを制限する働きをする。
【0123】
図13Eは、温度制御チャックに固定された図13Dのタイル−アダプタ板の構成を示す。具体的には、タイルに接触する面と反対のアダプタの面は温度制御チャックの凹所内に位置するOリングに接触してシールされる。温度制御チャックはアダプタの背面を冷却ガスにさらすように構成され、したがってその温度およびアダプタ板に接触しているタイルの温度を制御する。
【0124】
図13Eの特定の実施形態では、アダプタは、アダプタ板の側部に位置するクランプ溝に係合するように構成されたクランプを用いて、チャックと接触して保持される。しかし、本発明では、これは必須ではなく、代替実施形態では、アダプタ板を他の方法、例えば真空の適用または静電気力を用いて温度制御チャックに固定することができる。
【0125】
上記は段階の選択されたシーケンスを用いて記述されていたが、段階の任意の要素の組み合わせや他の要素を使うこともできる。さらに、特定の段階を、実施形態に応じて組み合わせるおよび/または取り除くことができる。さらに、水素粒子は、代替実施形態による改修されたドーズおよび/または劈開特性を有する劈開面の形成を可能にするために、ヘリウムおよび水素イオンの共注入(co−implantation)を使うことに置き変えることができる。共注入の他の形態は、一つまたは複数のサブステップで水素の代わりに重水素に置き換えることを含む。シリコンへの1−10MeVでの重水素の注入は、約3倍より大きい原子変位を生み、したがって図9の劈開領域603内の複数のゲッタリングサイトの形成をより効率的にすることができる。もちろん、他の変形形態、修正形態、代替形態があり得る。例えば、第2の蓄積注入は、水素または重水素によるゲッタ領域蓄積が拡散工程によって生じる水素化または重水素化段階に置き換えることができる。したがって、前述の説明及び図示は、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲を限定するように解釈するべきではない。
【0126】
ここに記述された例および実施形態は説明目的のためだけのものであり、それに照らして様々な改良や変形が当業者に提示され、これらが明細書の趣旨および範囲そして添付の特許請求の範囲に含まれることもまた理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】本発明の実施形態による厚膜材料の製造の温度制御装置の簡略図を示す。
【図1A】本発明の実施形態による図1の装置に備えられた制御装置の簡略図を示す。
【図1B】本発明の実施形態による図1Aの制御装置に含まれるコンピュータシステム内のサブシステムのより詳細な図を示す。
【図2A】本発明の実施形態による側部領域の溝を介して機械的クランプ装置によりステージに保持されたバルク材料の簡略断面図を示す。
【図2B】本発明の実施形態による機械的クランプ装置によりクランプされる円形断面形状のバルク材料の簡略上面図を示す。
【図2C】本発明の他の実施形態による機械的クランプ装置によりクランプされる六角断面形状のバルク材料の簡略上面図を示す。
【図2D】本発明の他の実施形態による底部領域においてロック構造を介して機械的クランプ装置によりクランプされるバルク材料の簡略断面図を示す。
【図2E】本発明の実施形態による溝のない側部領域で直接機械的クランプ装置によりステージに保持されるバルク材料の簡略断面図を示す。
【図2F】本発明の実施形態による溝のない側部領域で直接機械的クランプ装置によりクランプされる図2Eのバルク材料の簡略上面図を示す。
【図3】本発明の実施形態による閉ループの溝を有するバルク材料の底部領域の簡略図を示す。
【図4】本発明の実施形態によるバルク材料の底部とステージの間にガスを充填したキャビティを用いてステージにクランプによって保持されるバルク材料の簡略断面図を示す。
【図5】本発明の実施形態による注入および劈開工程中の温度制御方法を説明する簡略フローチャートを示す。
【図6】本発明の実施形態による温度制御下のバルク材料から自立膜を劈開する方法を示した簡略図である。
【図7】本発明の実施形態による温度制御下のバルク材料から自立膜を劈開する方法を示した簡略図である。
【図8】本発明の実施形態による温度制御下のバルク材料から自立膜を劈開する方法を示した簡略図である。
【図9】本発明の実施形態による温度制御下のバルク材料から自立膜を劈開する方法を示した簡略図である。
【図10】本発明の実施形態による温度制御下のバルク材料から自立膜を劈開する方法を示した簡略図である。
【図11】本発明の実施形態による温度制御下のバルク材料から自立膜を劈開する方法を示した簡略図である。
【図12】本発明の実施形態によるバルク材料から分離される複数の自立厚膜の簡略図を示す。
【図13A】本発明の実施形態によって採られるバルク材料を温度制御ステージに固定する様々な方法の一つを示す。
【図13B】本発明の実施形態によって採られるバルク材料を温度制御ステージに固定する様々な方法の一つを示す。
【図13C】本発明の実施形態によって採られるバルク材料を温度制御ステージに固定する様々な方法の一つを示す。
【図13D】本発明の実施形態によって採られるバルク材料を温度制御ステージに固定する様々な方法の一つを示す。
【図13E】本発明の実施形態によって採られるバルク材料を温度制御ステージに固定する様々な方法の一つを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚膜材料製造の温度制御装置であって、前記装置は、
注入されるバルク材料を支持する平面を有するステージであって、前記バルク材料は表面領域、側部領域、および底部領域を有し、前記側部領域、前記底部領域、および前記表面領域は材料体積を与え、前記材料体積が前記底部領域と前記表面領域の間で規定される長さを有する、ステージと、
前記バルク材料と前記ステージの平面間の界面領域を通じて熱エネルギーの移動をするために前記バルク材料が前記平面と物理的に接触する一方で前記バルク材料の表面領域が実質的に露出されるよう前記バルク材料の底面領域が前記ステージの平面に係合するように設けられた機械的クランプ装置と、
前記表面領域の温度値を測定し、入力データを生成するように構成されたセンサ装置と、
前記バルク材料の表面領域の一つまたは複数の部分に複数の粒子を注入するように構成された注入装置と、
前記入力データを受信し、少なくとも前記ステージの平面と前記バルク材料の底部領域の間の前記界面領域を通じて前記バルク材料の表面領域の温度値を上昇および/または下降させるよう前記入力データを処理するように構成された制御装置と、を備えることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記機械的クランプ装置は、前記バルク材料を前記ステージの平面にクランプするために、前記バルク材料の側部領域の一つまたは複数の溝と係合するように構成され、前記一つまたは複数の溝はアダプタ板の側部の一つまたは前記バルク材料の均一部分に存在することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
安定したクランプのために、前記側部領域の一つまたは複数の溝が前記側部領域を囲むようにつながれる、または前記側部領域の適切な位置にある3つ以上の分離した溝であることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記バルク材料をクランプする前記一つまたは複数の溝は、前記底部領域から前記バルク材料の長さの30%内に設けられ、前記表面領域から70%の前記バルク材料が前記溝の干渉なしに劈開されることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記バルク材料の表面領域は注入工程を促進する平坦化された表面を有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記バルク材料の底部領域は前記ステージの平面と係合する平坦化された表面を有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記バルク材料が前記機械的クランプ装置によって前記ステージと係合して形成される前記界面領域は、少なくとも前記バルク材料の底部領域の部分と前記ステージの平面の部分との間に閉ループのシールによって囲まれる高さを持つキャビティを有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記閉ループのシールは前記バルク材料の底部領域の端部近傍に位置することを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記キャビティの高さは3ミクロンから200ミクロンの範囲であることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記キャビティ内の前記ステージの平面は、ガス供給/ポンプアセンブリに接続された一つまたは複数のガス通路を備えることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項11】
前記一つまたは複数のガス通路は、調整可能な圧力で前記キャビティ内にガスを満たすことを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記ガスがヘリウムまたは水素であることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記ガスがアルゴンまたは窒素であることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記調整可能な圧力は1Torrから300Torrであることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項15】
前記ガスは極低温または室温、または加熱されて供給されることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項16】
前記ステージは前記バルク材料を引き付けるための静電気力を提供するように構成された誘電チャックであることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記ステージの平面は、前記バルク材料の底部領域と実質的に同じ面積及び形状を有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記ステージは、その底部に取り付けられた流体冷却および加熱ユニットをさらに有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記ステージは、前記バルク材料を加熱するための誘導加熱器をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項20】
前記ステージはトレイに取り付けられており、該トレイを横切る注入ビームを走査することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項21】
劈開される前記バルク材料は、単結晶シリコンまたはゲルマニウムインゴット、ポリ結晶シリコンタイル、マルチ結晶シリコンタイル、または化合物半導体のインゴットまたはタイルの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項22】
前記センサ装置は一つまたは複数の温度センサ、位置センサ、圧力センサ、表面粗さセンサを有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項23】
前記センサ装置は、前記表面領域の温度値と劈開工程により一つまたは複数の自立厚膜をそれぞれ分離した後のバルク材料の長さについての入力データの更新ができることを特徴とする請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記センサ装置は、次の注入工程のために前記バルク材料の劈開後の表面領域が十分滑らかであるか否かを判断し、そうでなければ所定の表面を滑らかにする工程を実行するために、各劈開工程後に表面粗さを計測可能であることを特徴とする請求項22に記載の装置。
【請求項25】
前記表面を滑らかにする工程は、表面の再ラッピング、イオンスパッタリング、エッチング、滑らかな層の蒸着、およびその場アニーリング工程の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記注入装置は線形加速器を有し、前記線形加速器は一つまたは複数の高周波四重極(RFQ)要素および一つまたは複数のドリフト管線形加速器(DTL)要素またはRFQとDTLの組み合わせを含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項27】
前記線形加速器は、劈開工程を実行する粒子ビームを形成するために1MeVから5MeVまでのエネルギー範囲にイオン粒子を加速できることを特徴とする請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記線形加速器は、出射孔に取り付けられたビーム拡大器をさらに有し、前記ビーム拡大器は前記粒子ビームのビームサイズを50cmまで拡大するかあるいはビームスキャナ装置をさらに有することを特徴とする請求項26に記載の装置。
【請求項29】
前記イオン粒子は水素種を含むことを特徴とする請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記イオン粒子は重水素種を含むことを特徴とする請求項28に記載の装置。
【請求項31】
前記注入装置は少なくとも、
劈開領域近傍に欠陥領域を形成するために第1の温度で第1の複数の粒子を導入し、
応力レベルを第1の値から第2の値に増加させるために前記欠陥領域に第2の温度で第2の複数の粒子を導入するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項32】
前記第1の温度は約−100℃から約250℃の範囲であることを特徴とする請求項31に記載の装置。
【請求項33】
前記第2の温度は約250℃より大きく550℃以下であることを特徴とする請求項31に記載の装置。
【請求項34】
前記注入装置は、前記第1の複数の粒子を導入した後で前記第2の複数の粒子を導入する前に処理工程をさらに実行するように構成され、前記処理工程は、前記欠陥領域を前記劈開領域に近づけ、欠陥領域を安定させるための400℃以上の第3の温度で提供される熱工程を含むことを特徴とする請求項31に記載の装置。
【請求項35】
前記注入装置は、第2の複数の粒子を導入した後に劈開工程をさらに実行するように構成され、前記劈開工程は前記劈開領域をアニーリングして前記劈開領域で前記バルク材料から自立膜を分離することを含むことを特徴とする請求項31に記載の装置。
【請求項36】
前記バルク材料から劈開された一つまたは複数の前記自立厚膜のそれぞれは、厚さが15ミクロンから200ミクロンの範囲であること特徴とする請求項35に記載の装置。
【請求項37】
前記制御装置は、複数の対応制御コードを実行することでコンピュータシステムにより管理される複数の制御タスクおよびプロセス操作を実行することができる制御電子装置を有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項38】
前記制御装置は、デューティファクタ、粒子出力レベル、ビーム特性、およびドーズ率の調整を少なくとも含む注入装置の操作のための第1制御コードを実行するように構成され、または出力レベル、ビーム特性、スキャニング速度、パターン、およびスキャニング工程に対するドーズ率の調整を少なくとも含む注入の操作のための第1コードを実行するように構成されることを特徴とする請求項37に記載の装置。
【請求項39】
前記制御装置は、前記バルク材料の表面領域からの実質的な体積が前記クランプ装置により物理的な干渉無しに処理されるように前記バルク材料を取り扱うよう前記機械的クランプ装置に命令するための、および/または処理中の前記バルク材料の状態を監視するよう前記センサ装置に命令するための第2制御コードを実行するように構成されることを特徴とする請求項37に記載の装置。
【請求項40】
前記制御装置はさらに、ガス層界面を用いた前記ステージの冷却と前記注入粒子および一つまたは複数の外部放射熱源からの加熱をバランスさせることによって処理中のバルク材料の温度制御のための第3制御コードを実行するように構成されることを特徴とする請求項37に記載の装置。
【請求項41】
前記一つまたは複数の外部放射熱源は、2次元的に分布する複数のフラッシュランプを備え、各フラッシュランプは少なくとも一つのパルス繰り返し数および強度に調整されるように前記制御装置によって独立に操作されることを特徴とする請求項40に記載の装置。
【請求項42】
前記バルク材料の表面領域の上方に位置する前記一つまたは複数の外部放射熱源は、表面と底部の温度差が20℃未満で前記バルク材料の表面領域を加熱するよう緩やかに変化する熱出力フラックス速度を有する一つまたは複数の熱源を含むことを特徴とする請求項40に記載の装置。
【請求項43】
前記バルク材料の表面領域の上方に位置する前記一つまたは複数の外部放射熱源は、前記表面領域の熱伝導時定数より速く前記バルク材料の表面領域を加熱するよう急速に変化する熱出力フラックス速度を有する一つまたは複数の熱源を含むことを特徴とする請求項40に記載の装置。
【請求項44】
前記前記急速に変化する熱出力フラックス速度を有する熱源はパルスレーザであることを特徴とする請求項43に記載の装置。
【請求項45】
前記パルスレーザはYAGまたはYLFQスイッチレーザであることを特徴とする請求項44に記載の装置。
【請求項46】
一つまたは複数の厚膜の製造のためにバルク材料を取り付ける装置であって、前記装置は、
前記バルク材料を支持するための平面を有するステージであって、前記バルク材料は平坦化された表面領域、平坦化された端部領域、および前記表面領域から前記端部領域までの長さを有する側部領域を有する、ステージと、
前記表面領域と前記表面領域から少なくとも70%の長さの前記側部領域が実質的に露出され、一つまたは複数の厚膜の製造のためにクランプ装置の干渉なしに劈開できるよう、前記バルク材料の平坦化された端部領域を前記ステージの平面に係合するように設けられた機械的クランプ装置と、
を備えることを特徴とする装置。
【請求項47】
前記係合された前記ステージの平面と前記バルク材料の底部領域は、前記底部領域の端部の周囲に位置する閉ループの気密シールによって囲まれた、ある高さを有するキャビティを備えた界面領域を形成することを特徴とする請求項46に記載の装置。
【請求項48】
前記キャビティ内の前記ステージの平面は、ガス供給/ポンプアセンブリに接続された複数のガス通路を備えることを特徴とする請求項47に記載の装置。
【請求項49】
前記複数のガス通路は、調整可能な圧力で前記キャビティ内にガスを充填することを特徴とする請求項48に記載の装置。
【請求項50】
前記ガスはヘリウム、水素、アルゴン、または窒素であることを特徴とする請求項49に記載の装置。
【請求項51】
前記調整可能な圧力は1Torrから300Torrであることを特徴とする請求項49に記載の装置。
【請求項52】
前記ガスは極低温または室温、または加熱されて供給されることを特徴とする請求項49に記載の装置。
【請求項53】
前記閉ループのシールは、本質的に対称な多角形または円形を有する前記バルク材料の底部領域の形状に実質的に類似するOリングまたは金属フランジを含むことを特徴とする請求項46に記載の装置。
【請求項54】
前記ステージは前記バルク材料を引き付けるための静電気力を提供するように構成された誘電チャックであることを特徴とする請求項46に記載の装置。
【請求項55】
前記ステージはさらに、その底部に取り付けられた流体冷却および加熱ユニットを有することを特徴とする請求項46に記載の装置。
【請求項56】
前記ステージはさらに、前記バルク材料を加熱するための誘導加熱器を有することを特徴とする請求項46に記載の装置。
【請求項57】
前記機械的クランプ装置は、着脱可能なクランプを実行することができるロボットの一部であることを特徴とする請求項46に記載の装置。
【請求項58】
前記機械的クランプ装置は、前記バルク材料の側部領域の一つまたは複数の溝、または前記底部領域の一つまたは複数の保持手段を利用することによって、前記ステージに前記バルク材料を着脱可能にクランプするように構成されることを特徴とする請求項46に記載の装置。
【請求項59】
バルク材料から複数の自立厚膜を劈開する工程中の温度制御方法であって、前記方法は、
劈開するバルク材料を用意し、前記バルク材料は表面領域、底部領域、
前記表面領域から前記底部領域までの長さを有する側部領域を有し、
前記底部領域と平面との間にある高さを有するキャビティを形成するよう、前記バルク材料の底部領域がシールを介してステージの平面に係合するように設けられた機械的クランプ装置を用いて前記バルク材料をクランプし、前記平面は前記キャビティ内に充填されたガスを圧力調整可能にする複数のガス通路を有し、
入力データを生成するために前記バルク材料の状態を検知し、前記入力データは前記表面領域および前記底部領域での温度情報および前記表面領域と前記底部領域間の前記バルク材料の長さを含み、
少なくとも前記入力データを処理し、前記表面領域を加熱するための粒子放射、前記表面領域を加熱するための放射、前記底部領域と前記ステージ間のガスを補助に使う伝導のうち少なくとも一つまたは複数を利用した制御方式を実行することにより、前記表面領域の温度を維持すること、を特徴とする方法。
【請求項60】
前記ステージはさらに、前記バルク材料を前記制御方式で加熱する誘導加熱器を有することを特徴とする請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記バルク材料は、単結晶シリコンまたはゲルマニウムインゴット、ポリ結晶シリコンタイル、マルチ結晶シリコンタイル、および化合物半導体のインゴットまたはタイルの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項59に記載の方法。
【請求項62】
前記バルク材料は、前記劈開の工程を促進するために前記表面領域を平坦化するように前処理されることを特徴とする請求項59に記載の方法。
【請求項63】
前記機械的クランプ装置による前記バルク材料のクランプは、クランプ装置の干渉なしに厚膜を劈開するために前記表面領域と前記表面領域から少なくとも70%のバルク材料が実質的に露出されるように実行されることを特徴とする請求項59に記載の方法。
【請求項64】
前記機械的クランプは、着脱可能なクランプを実行することができるロボットの一部であることを特徴とする請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記機械的クランプはまた、ジュール加熱により前記バルク材料を加熱するために前記バルク材料と電気的に接続することを特徴とする請求項63に記載の方法。
【請求項66】
前記シールは、気密シールであって、前記キャビティ内で300Torrまでの圧力を十分保持可能であることを特徴とする請求項63に記載の方法。
【請求項67】
前記シールはOリングまたは誘電体フランジまたは金属フランジを含むことを特徴とする請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記キャビティに供給されるガスは、水素、ヘリウム、アルゴン、または窒素の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項66に記載の方法。
【請求項69】
前記キャビティに供給されるガスを、極低温ガス、室温ガス、または加熱されたガスにすることができることを特徴とする請求項66に記載の方法。
【請求項70】
前記ステージの平面は、前記バルク材料の底部領域と実質的に同じ面積と形状を有することを特徴とする請求項59に記載の方法。
【請求項71】
前記ステージは前記バルク材料を引き付けるための静電気力を発生させることができる誘電チャックであることを特徴とする請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記ステージはさらに、その底部に取り付けられた流体温度制御ユニットを有することを特徴とする請求項70に記載の方法。
【請求項73】
前記流体温度制御ユニットは、前記ステージを介して前記バルク材料を冷却または加熱するために液体またはガスを利用することを特徴とする請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記ステージおよび前記機械的クランプ装置は、いずれもX−Yの2次元的な動きが可能なトレイに取り付けられることを特徴とする請求項59に記載の方法。
【請求項75】
前記バルク材料の状態の検知は、温度センサ、位置センサ、圧力センサ、および/または表面粗さプローブを含む複数のセンサを使用することを含むことを特徴とする請求項59に記載の方法。
【請求項76】
前記温度センサは、温度測定を実行する一つまたは複数の光高温計または熱電対を含むことを特徴とする請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記位置センサは、連続的な劈開工程により各自立厚膜が前記バルク材料から分離された後の前記バルク材料の長さを追跡記録することができることを特徴とする請求項75に記載の方法。
【請求項78】
前記表面粗さプローブは、前記バルク材料から各自立厚膜を劈開した後に前記表面領域の粗さの値のその場での測定を実行することができることを特徴とする請求項75に記載の方法。
【請求項79】
前記劈開工程は、前記粗さのパラメータが予め設定された基準を満たす場合は継続され、そうでなければ前記表面領域を修復するために前記劈開工程が一時停止されることを特徴とする請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記バルク材料の表面領域は、イオン粒子照射、エッチング、または前記表面領域への滑らかな層の蒸着の少なくとも一つの工程によって修復されることを特徴とする請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記表面領域を加熱するための放射は、前記表面領域の上方に位置する外部放射熱源を使用することを含むことを特徴とする請求項59に記載の方法。
【請求項82】
前記放射熱源は、制御された電源、パルス繰り返し数、および空間的分布を有する複数のフラッシュランプを含むことを特徴とする請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記外部放射熱源は、表面と底部との温度差が20℃未満で前記バルク材料の表面領域を加熱するよう緩やかに変化する熱出力フラックス速度を有する一つまたは複数の熱源を含むことを特徴とする請求項81に記載の方法。
【請求項84】
前記外部放射熱源は、前記表面領域の熱伝導時定数より速く前記バルク材料の表面領域を加熱するよう急速に変化する熱出力フラックス速度を有する一つまたは複数の熱源を含むことを特徴とする請求項81に記載の方法。
【請求項85】
前記前記急速に変化する熱出力フラックス速度を有する熱源は、パルスレーザであることを特徴とする請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記パルスレーザはYAGまたはYLFQスイッチレーザであることを特徴とする請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記表面領域を加熱するための前記粒子照射の利用は、注入装置によって発生するイオン粒子ビームからの出力フラックスを用いることを含むことを特徴とする請求項59に記載の方法。
【請求項88】
前記イオン粒子ビームからの出力フラックスは、前記注入装置のデューティファクタを変えることによって調整できることを特徴とする請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記デューティファクタは電磁走査装置によって調整できることを特徴とする請求項88に記載の方法。
【請求項90】
前記底部領域を冷却するために前記底部領域と前記ステージ間のガスを補助に使う伝導の利用は、熱出力の移動を制御するために前記キャビティ内の前記ガスの圧力を調整することを含むことを特徴とする請求項59に記載の方法。
【請求項91】
前記キャビティの高さは3ミクロンから200ミクロンの範囲であることを特徴とする請求項59に記載の方法。
【請求項92】
前記バルク材料から一つまたは複数の自立厚膜を連続的に分離するための劈開工程は、劈開領域近傍に欠陥領域を形成するために第1の温度で第1の複数の粒子を導入し、第1の値から第2の値に前記劈開領域の応力の増加を生じさせるために第2の温度で前記欠陥領域に第2の複数の粒子を導入することを含むことを特徴とする請求項59に記載の方法。
【請求項93】
前記第1の複数の粒子は、水素、重水素、またはヘリウムの種の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項92に記載の方法。
【請求項94】
前記第1の複数の粒子は、平方cmあたり8×1016以下のドーズで供給されることを特徴とする請求項93に記載の方法。
【請求項95】
前記第2の複数の粒子は、水素、重水素、またはヘリウムの種の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項92に記載の方法。
【請求項96】
前記第2の複数の粒子は、平方cmあたり5×1016以下のドーズで供給されることを特徴とする請求項92に記載の方法。
【請求項97】
前記複数の粒子の導入は線形加速器工程を使用して提供され、前記線形加速器工程は前記粒子を閉じ込めて加速するために複数の高周波四重極(RFQ)要素および複数のドリフト管線形加速器(DTL)要素または両方の組み合わせを使用することを含むことを特徴とする請求項92に記載の方法。
【請求項98】
前記複数の粒子は、1MeVから5MeVまでのエネルギー範囲で供給されることを特徴とする請求項97に記載の方法。
【請求項99】
前記第1の複数の粒子を導入した後かつ前記第2の複数の粒子を導入する前の処理工程をさらに備え、前記処理工程は前記欠陥領域を前記劈開領域に近づけ、欠陥領域を安定させるために400℃以上の温度で提供される熱工程を含むことを特徴とする請求項92に記載の方法。
【請求項100】
前記第1の温度は約−100℃から約250℃の範囲であることを特徴とする請求項92に記載の方法。
【請求項101】
前記第1の温度は約250℃未満であることを特徴とする請求項92に記載の方法。
【請求項102】
前記第2の温度は約250℃より大きく550℃以下であることを特徴とする請求項92に記載の方法。
【請求項103】
前記バルク材料から一つまたは複数の自立厚膜を連続的に分離する前記劈開工程はさらに、約15ミクロンより大きく200ミクロン未満の厚さの前記バルク材料の複数の自立厚膜を繰り返し製造することを含むことを特徴とする請求項59に記載の方法。
【請求項104】
前記劈開工程は、前記膜を分離するための熱劈開工程であることを特徴とする請求項103に記載の方法。
【請求項105】
前記劈開工程は、前記膜を分離するための垂直温度勾配を利用した制御された劈開工程(CCP)であることを特徴とする請求項103に記載の方法。
【請求項106】
前記垂直温度勾配は、パルスレーザシステム、パルスフラッシュランプ、パルスイオンビーム、対流熱伝達の生成、熱伝導の生成を含む一つまたは複数のグループを用いて生成されることを特徴とする請求項105に記載の方法。
【請求項107】
前記劈開工程は、前記膜を分離するための水平温度/応力勾配を利用した制御された劈開工程(CCP)であることを特徴とする請求項103に記載の方法。
【請求項108】
前記バルク材料から一つまたは複数の自立厚膜を連続的に分離する前記劈開工程はさらに、劈開をより高いドーズにおいて優先的に開始させるように注入ドーズ勾配を用いることを特徴とする請求項59に記載の方法。
【請求項109】
イオン注入ソースはまた、単独または追加のエネルギー照射により劈開が開始するよう構成された高ドーズ領域を有するパターン化された注入を形成するように用いられることを特徴とする請求項108に記載の方法。
【請求項110】
前記バルク材料から一つまたは複数の自立厚膜を連続的に分離する前記劈開工程はさらに、表面き裂を除去し残りのバルク材料の表面粗さを低減するために、自立厚膜の表面処理を実行することを含むことを特徴とする請求項59に記載の方法。
【請求項111】
前記粒子照射は、単独または熱エネルギーの投入により劈開が開始されるよう十分高いドーズの部分を有するパターン注入を形成することを特徴とする請求項59に記載の方法。
【請求項112】
前記機械的クランプは、前記バルク材料の均一部分の溝に係合する、または前記均一部分と接触するアダプタ板の溝に係合することを特徴とする請求項59に記載の方法。
【請求項113】
厚膜転写のための半導体材料を処理する方法であって、前記方法は、
バルク半導体材料をステージの平面に設け、前記バルク半導体材料は表面領域、側部領域、および底部領域を有し、前記側部領域、前記底部領域、および前記表面領域は前記底部領域と前記表面領域の間で規定される長さを有する材料の体積を提供し、前記底部領域を前記平面に結合し、
前記バルク材料と前記ステージの平面間で熱エネルギーの移動が生じるよう前記バルク材料が前記平面と物理的に接触する一方で前記バルク材料の表面領域が実質的に露出されるよう前記バルク材料の底部領域が前記ステージの平面に係合するように設けられた機械的クランプ装置を用いて前記バルク半導体材料を固定し、
前記表面領域が実質的に露出され、前記機械的クランプ装置により前記ステージの平面に保持される間に前記バルク材料の表面領域を処理すること、を特徴とする方法。
【請求項114】
バルク材料から自立膜を連続的に劈開するための方法であって、前記方法は、
機械的クランプ装置を用いてバルク材料をステージに固定し、前記バルク材料は表面領域、側部領域、および底部領域を有し、前記表面領域は前記側部領域に接続し体積を規定するよう前記側部領域から約90度の角度に向けられ、前記機械的クランプ装置は前記底部領域が固く前記ステージに係合するよう前記バルク材料の底部領域および/または側部領域に接続するように設けられ、
前記表面領域に垂直な方向に物理的干渉が実質的に無く前記表面領域を保持し、
前記表面領域に前記表面領域の処理に対する物理的干渉が実質的に無い間に少なくとも前記表面領域を処理し、
前記表面領域の処理中に前記表面領域の温度を選択的に維持すること、を備えることを特徴とする方法。
【請求項115】
前記バルク材料は、単結晶シリコンまたはゲルマニウムインゴット、ポリ結晶シリコンタイル、マルチ結晶シリコンタイル、または化合物半導体のインゴットまたはタイルの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項114に記載の方法。
【請求項116】
前記ステージは、前記平面と前記底部領域の間のシールを介して前記バルク材料の底部領域を固く係合するための平面を有することを特徴とする請求項114に記載の方法。
【請求項117】
前記シールは、前記ステージと前記底部領域の間にガス充填したキャビティを形成することができる閉ループの気密シールであることを特徴とする請求項116に記載の方法。
【請求項118】
前記ステージの平面は、前記ステージ内にガス供給アセンブリに接続された複数のガス通路を備えることを特徴とする請求項116に記載の装置。
【請求項119】
前記ステージは前記バルク材料を引き付けるための静電気力を発生させることができる誘電チャックであることを特徴とする請求項116に記載の方法。
【請求項120】
前記機械的クランプ装置は、前記底部領域から側部領域の少なくとも30%未満の長さの位置または底部領域において、一つまたは複数のアームを介してバルク材料と係合することを特徴とする請求項114に記載の方法。
【請求項121】
前記一つまたは複数のアームは、前記バルク材料の形状に適合する滑らかな表面を有することを特徴とする請求項120に記載の方法。
【請求項122】
前記ステージおよび前記機械的クランプ装置は、いずれも前記ステージに平行にX−Yの2次元的な動きが可能なトレイに取り付けられることを特徴とする請求項114に記載の方法。
【請求項123】
前記表面領域に垂直な方向に物理的干渉が実質的に無く前記表面領域を保持することは、処理のために、全ての端を含む表面領域の100%の領域を露出することを含むことを特徴とする請求項114に記載の方法。
【請求項124】
前記表面領域に前記表面領域の処理の物理的干渉が実質的に無い間に少なくとも前記表面領域を処理することはさらに、前記表面領域下部の所望の深さで劈開領域近傍内に欠陥領域を形成するために複数の粒子を導入することによる注入工程を含むことを特徴とする請求項114に記載の方法。
【請求項125】
前記表面領域に前記表面領域の処理の物理的干渉が実質的に無い間に少なくとも前記表面領域を処理することはさらに、前記バルク材料の劈開領域から第1の膜を分離するための熱処理および制御された劈開を実行することを含むことを特徴とする請求項124に記載の方法。
【請求項126】
前記表面領域に前記表面領域の処理の物理的干渉が実質的に無い間に少なくとも前記表面領域を処理することはさらに、物理的干渉無しに前記バルク材料の少なくとも70%の体積から第2のまたはそれより多くの膜を分離するための前記注入工程および前記劈開工程を繰り返すことを含むことを特徴とする請求項125に記載の方法。
【請求項127】
前記表面領域の処理中に前記表面領域の温度を選択的に維持することは、前記表面領域の温度、または前記劈開領域上の上を覆う膜の温度、または両方の温度を維持することを含むことを特徴とする請求項114に記載の方法。
【請求項128】
前記表面領域の処理中に前記表面領域の温度を選択的に維持することは、注入イオン粒子からの放射、CWソースまたはパルス熱源を含む一つまたは複数の外部放射源、前記クランプ装置から伝えられるジュール熱の少なくとも一つを利用することによって前記表面領域の前記温度を増加させること、または前記底部領域から前記ステージへガスの補助による伝達を介して前記バルク材料の底部領域を冷却することによって前記温度を低下させることを含むことを特徴とする請求項114に記載の方法。
【請求項129】
バルク材料を処理するシステムであって、前記システムはバルク材料をステージに固定するように設けられた機械的クランプ装置を備え、前記バルク材料は表面領域、側部領域、および底部領域を有し、前記表面領域は前記側部領域に接続し体積を定義するよう前記側部領域から約90度の角度に向けられ、前記機械的クランプ装置は前記底部領域が固く前記ステージに係合するよう前記バルク材料の底部領域および/または側部領域に接続するように設けられ、一方で前記表面領域は、前記表面領域に垂直な方向に物理的干渉が実質的に無く保持され、前記システムは一つまたは複数のコンピュータが読み取り可能なメモリを備え、前記コンピュータが読み取り可能なメモリは、
前記表面領域に前記表面領域の処理の物理的干渉が実質的に無い間に少なくとも前記表面領域を処理するためのプログラムを起動することを対象にする一つまたは複数のコードと、
前記表面領域の処理中に前記表面領域の温度を選択的に維持することを対象にする一つまたは複数のコードと、を有することを特徴とする方法。
【請求項130】
前記線形加速器は直流線形加速器を含むことを特徴とする請求項26に記載の装置。
【請求項1】
厚膜材料製造の温度制御装置であって、前記装置は、
注入されるバルク材料を支持する平面を有するステージであって、前記バルク材料は表面領域、側部領域、および底部領域を有し、前記側部領域、前記底部領域、および前記表面領域は材料体積を与え、前記材料体積が前記底部領域と前記表面領域の間で規定される長さを有する、ステージと、
前記バルク材料と前記ステージの平面間の界面領域を通じて熱エネルギーの移動をするために前記バルク材料が前記平面と物理的に接触する一方で前記バルク材料の表面領域が実質的に露出されるよう前記バルク材料の底面領域が前記ステージの平面に係合するように設けられた機械的クランプ装置と、
前記表面領域の温度値を測定し、入力データを生成するように構成されたセンサ装置と、
前記バルク材料の表面領域の一つまたは複数の部分に複数の粒子を注入するように構成された注入装置と、
前記入力データを受信し、少なくとも前記ステージの平面と前記バルク材料の底部領域の間の前記界面領域を通じて前記バルク材料の表面領域の温度値を上昇および/または下降させるよう前記入力データを処理するように構成された制御装置と、を備えることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記機械的クランプ装置は、前記バルク材料を前記ステージの平面にクランプするために、前記バルク材料の側部領域の一つまたは複数の溝と係合するように構成され、前記一つまたは複数の溝はアダプタ板の側部の一つまたは前記バルク材料の均一部分に存在することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
安定したクランプのために、前記側部領域の一つまたは複数の溝が前記側部領域を囲むようにつながれる、または前記側部領域の適切な位置にある3つ以上の分離した溝であることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記バルク材料をクランプする前記一つまたは複数の溝は、前記底部領域から前記バルク材料の長さの30%内に設けられ、前記表面領域から70%の前記バルク材料が前記溝の干渉なしに劈開されることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記バルク材料の表面領域は注入工程を促進する平坦化された表面を有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記バルク材料の底部領域は前記ステージの平面と係合する平坦化された表面を有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記バルク材料が前記機械的クランプ装置によって前記ステージと係合して形成される前記界面領域は、少なくとも前記バルク材料の底部領域の部分と前記ステージの平面の部分との間に閉ループのシールによって囲まれる高さを持つキャビティを有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記閉ループのシールは前記バルク材料の底部領域の端部近傍に位置することを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記キャビティの高さは3ミクロンから200ミクロンの範囲であることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記キャビティ内の前記ステージの平面は、ガス供給/ポンプアセンブリに接続された一つまたは複数のガス通路を備えることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項11】
前記一つまたは複数のガス通路は、調整可能な圧力で前記キャビティ内にガスを満たすことを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記ガスがヘリウムまたは水素であることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記ガスがアルゴンまたは窒素であることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記調整可能な圧力は1Torrから300Torrであることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項15】
前記ガスは極低温または室温、または加熱されて供給されることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項16】
前記ステージは前記バルク材料を引き付けるための静電気力を提供するように構成された誘電チャックであることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記ステージの平面は、前記バルク材料の底部領域と実質的に同じ面積及び形状を有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記ステージは、その底部に取り付けられた流体冷却および加熱ユニットをさらに有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記ステージは、前記バルク材料を加熱するための誘導加熱器をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項20】
前記ステージはトレイに取り付けられており、該トレイを横切る注入ビームを走査することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項21】
劈開される前記バルク材料は、単結晶シリコンまたはゲルマニウムインゴット、ポリ結晶シリコンタイル、マルチ結晶シリコンタイル、または化合物半導体のインゴットまたはタイルの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項22】
前記センサ装置は一つまたは複数の温度センサ、位置センサ、圧力センサ、表面粗さセンサを有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項23】
前記センサ装置は、前記表面領域の温度値と劈開工程により一つまたは複数の自立厚膜をそれぞれ分離した後のバルク材料の長さについての入力データの更新ができることを特徴とする請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記センサ装置は、次の注入工程のために前記バルク材料の劈開後の表面領域が十分滑らかであるか否かを判断し、そうでなければ所定の表面を滑らかにする工程を実行するために、各劈開工程後に表面粗さを計測可能であることを特徴とする請求項22に記載の装置。
【請求項25】
前記表面を滑らかにする工程は、表面の再ラッピング、イオンスパッタリング、エッチング、滑らかな層の蒸着、およびその場アニーリング工程の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記注入装置は線形加速器を有し、前記線形加速器は一つまたは複数の高周波四重極(RFQ)要素および一つまたは複数のドリフト管線形加速器(DTL)要素またはRFQとDTLの組み合わせを含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項27】
前記線形加速器は、劈開工程を実行する粒子ビームを形成するために1MeVから5MeVまでのエネルギー範囲にイオン粒子を加速できることを特徴とする請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記線形加速器は、出射孔に取り付けられたビーム拡大器をさらに有し、前記ビーム拡大器は前記粒子ビームのビームサイズを50cmまで拡大するかあるいはビームスキャナ装置をさらに有することを特徴とする請求項26に記載の装置。
【請求項29】
前記イオン粒子は水素種を含むことを特徴とする請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記イオン粒子は重水素種を含むことを特徴とする請求項28に記載の装置。
【請求項31】
前記注入装置は少なくとも、
劈開領域近傍に欠陥領域を形成するために第1の温度で第1の複数の粒子を導入し、
応力レベルを第1の値から第2の値に増加させるために前記欠陥領域に第2の温度で第2の複数の粒子を導入するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項32】
前記第1の温度は約−100℃から約250℃の範囲であることを特徴とする請求項31に記載の装置。
【請求項33】
前記第2の温度は約250℃より大きく550℃以下であることを特徴とする請求項31に記載の装置。
【請求項34】
前記注入装置は、前記第1の複数の粒子を導入した後で前記第2の複数の粒子を導入する前に処理工程をさらに実行するように構成され、前記処理工程は、前記欠陥領域を前記劈開領域に近づけ、欠陥領域を安定させるための400℃以上の第3の温度で提供される熱工程を含むことを特徴とする請求項31に記載の装置。
【請求項35】
前記注入装置は、第2の複数の粒子を導入した後に劈開工程をさらに実行するように構成され、前記劈開工程は前記劈開領域をアニーリングして前記劈開領域で前記バルク材料から自立膜を分離することを含むことを特徴とする請求項31に記載の装置。
【請求項36】
前記バルク材料から劈開された一つまたは複数の前記自立厚膜のそれぞれは、厚さが15ミクロンから200ミクロンの範囲であること特徴とする請求項35に記載の装置。
【請求項37】
前記制御装置は、複数の対応制御コードを実行することでコンピュータシステムにより管理される複数の制御タスクおよびプロセス操作を実行することができる制御電子装置を有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項38】
前記制御装置は、デューティファクタ、粒子出力レベル、ビーム特性、およびドーズ率の調整を少なくとも含む注入装置の操作のための第1制御コードを実行するように構成され、または出力レベル、ビーム特性、スキャニング速度、パターン、およびスキャニング工程に対するドーズ率の調整を少なくとも含む注入の操作のための第1コードを実行するように構成されることを特徴とする請求項37に記載の装置。
【請求項39】
前記制御装置は、前記バルク材料の表面領域からの実質的な体積が前記クランプ装置により物理的な干渉無しに処理されるように前記バルク材料を取り扱うよう前記機械的クランプ装置に命令するための、および/または処理中の前記バルク材料の状態を監視するよう前記センサ装置に命令するための第2制御コードを実行するように構成されることを特徴とする請求項37に記載の装置。
【請求項40】
前記制御装置はさらに、ガス層界面を用いた前記ステージの冷却と前記注入粒子および一つまたは複数の外部放射熱源からの加熱をバランスさせることによって処理中のバルク材料の温度制御のための第3制御コードを実行するように構成されることを特徴とする請求項37に記載の装置。
【請求項41】
前記一つまたは複数の外部放射熱源は、2次元的に分布する複数のフラッシュランプを備え、各フラッシュランプは少なくとも一つのパルス繰り返し数および強度に調整されるように前記制御装置によって独立に操作されることを特徴とする請求項40に記載の装置。
【請求項42】
前記バルク材料の表面領域の上方に位置する前記一つまたは複数の外部放射熱源は、表面と底部の温度差が20℃未満で前記バルク材料の表面領域を加熱するよう緩やかに変化する熱出力フラックス速度を有する一つまたは複数の熱源を含むことを特徴とする請求項40に記載の装置。
【請求項43】
前記バルク材料の表面領域の上方に位置する前記一つまたは複数の外部放射熱源は、前記表面領域の熱伝導時定数より速く前記バルク材料の表面領域を加熱するよう急速に変化する熱出力フラックス速度を有する一つまたは複数の熱源を含むことを特徴とする請求項40に記載の装置。
【請求項44】
前記前記急速に変化する熱出力フラックス速度を有する熱源はパルスレーザであることを特徴とする請求項43に記載の装置。
【請求項45】
前記パルスレーザはYAGまたはYLFQスイッチレーザであることを特徴とする請求項44に記載の装置。
【請求項46】
一つまたは複数の厚膜の製造のためにバルク材料を取り付ける装置であって、前記装置は、
前記バルク材料を支持するための平面を有するステージであって、前記バルク材料は平坦化された表面領域、平坦化された端部領域、および前記表面領域から前記端部領域までの長さを有する側部領域を有する、ステージと、
前記表面領域と前記表面領域から少なくとも70%の長さの前記側部領域が実質的に露出され、一つまたは複数の厚膜の製造のためにクランプ装置の干渉なしに劈開できるよう、前記バルク材料の平坦化された端部領域を前記ステージの平面に係合するように設けられた機械的クランプ装置と、
を備えることを特徴とする装置。
【請求項47】
前記係合された前記ステージの平面と前記バルク材料の底部領域は、前記底部領域の端部の周囲に位置する閉ループの気密シールによって囲まれた、ある高さを有するキャビティを備えた界面領域を形成することを特徴とする請求項46に記載の装置。
【請求項48】
前記キャビティ内の前記ステージの平面は、ガス供給/ポンプアセンブリに接続された複数のガス通路を備えることを特徴とする請求項47に記載の装置。
【請求項49】
前記複数のガス通路は、調整可能な圧力で前記キャビティ内にガスを充填することを特徴とする請求項48に記載の装置。
【請求項50】
前記ガスはヘリウム、水素、アルゴン、または窒素であることを特徴とする請求項49に記載の装置。
【請求項51】
前記調整可能な圧力は1Torrから300Torrであることを特徴とする請求項49に記載の装置。
【請求項52】
前記ガスは極低温または室温、または加熱されて供給されることを特徴とする請求項49に記載の装置。
【請求項53】
前記閉ループのシールは、本質的に対称な多角形または円形を有する前記バルク材料の底部領域の形状に実質的に類似するOリングまたは金属フランジを含むことを特徴とする請求項46に記載の装置。
【請求項54】
前記ステージは前記バルク材料を引き付けるための静電気力を提供するように構成された誘電チャックであることを特徴とする請求項46に記載の装置。
【請求項55】
前記ステージはさらに、その底部に取り付けられた流体冷却および加熱ユニットを有することを特徴とする請求項46に記載の装置。
【請求項56】
前記ステージはさらに、前記バルク材料を加熱するための誘導加熱器を有することを特徴とする請求項46に記載の装置。
【請求項57】
前記機械的クランプ装置は、着脱可能なクランプを実行することができるロボットの一部であることを特徴とする請求項46に記載の装置。
【請求項58】
前記機械的クランプ装置は、前記バルク材料の側部領域の一つまたは複数の溝、または前記底部領域の一つまたは複数の保持手段を利用することによって、前記ステージに前記バルク材料を着脱可能にクランプするように構成されることを特徴とする請求項46に記載の装置。
【請求項59】
バルク材料から複数の自立厚膜を劈開する工程中の温度制御方法であって、前記方法は、
劈開するバルク材料を用意し、前記バルク材料は表面領域、底部領域、
前記表面領域から前記底部領域までの長さを有する側部領域を有し、
前記底部領域と平面との間にある高さを有するキャビティを形成するよう、前記バルク材料の底部領域がシールを介してステージの平面に係合するように設けられた機械的クランプ装置を用いて前記バルク材料をクランプし、前記平面は前記キャビティ内に充填されたガスを圧力調整可能にする複数のガス通路を有し、
入力データを生成するために前記バルク材料の状態を検知し、前記入力データは前記表面領域および前記底部領域での温度情報および前記表面領域と前記底部領域間の前記バルク材料の長さを含み、
少なくとも前記入力データを処理し、前記表面領域を加熱するための粒子放射、前記表面領域を加熱するための放射、前記底部領域と前記ステージ間のガスを補助に使う伝導のうち少なくとも一つまたは複数を利用した制御方式を実行することにより、前記表面領域の温度を維持すること、を特徴とする方法。
【請求項60】
前記ステージはさらに、前記バルク材料を前記制御方式で加熱する誘導加熱器を有することを特徴とする請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記バルク材料は、単結晶シリコンまたはゲルマニウムインゴット、ポリ結晶シリコンタイル、マルチ結晶シリコンタイル、および化合物半導体のインゴットまたはタイルの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項59に記載の方法。
【請求項62】
前記バルク材料は、前記劈開の工程を促進するために前記表面領域を平坦化するように前処理されることを特徴とする請求項59に記載の方法。
【請求項63】
前記機械的クランプ装置による前記バルク材料のクランプは、クランプ装置の干渉なしに厚膜を劈開するために前記表面領域と前記表面領域から少なくとも70%のバルク材料が実質的に露出されるように実行されることを特徴とする請求項59に記載の方法。
【請求項64】
前記機械的クランプは、着脱可能なクランプを実行することができるロボットの一部であることを特徴とする請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記機械的クランプはまた、ジュール加熱により前記バルク材料を加熱するために前記バルク材料と電気的に接続することを特徴とする請求項63に記載の方法。
【請求項66】
前記シールは、気密シールであって、前記キャビティ内で300Torrまでの圧力を十分保持可能であることを特徴とする請求項63に記載の方法。
【請求項67】
前記シールはOリングまたは誘電体フランジまたは金属フランジを含むことを特徴とする請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記キャビティに供給されるガスは、水素、ヘリウム、アルゴン、または窒素の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項66に記載の方法。
【請求項69】
前記キャビティに供給されるガスを、極低温ガス、室温ガス、または加熱されたガスにすることができることを特徴とする請求項66に記載の方法。
【請求項70】
前記ステージの平面は、前記バルク材料の底部領域と実質的に同じ面積と形状を有することを特徴とする請求項59に記載の方法。
【請求項71】
前記ステージは前記バルク材料を引き付けるための静電気力を発生させることができる誘電チャックであることを特徴とする請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記ステージはさらに、その底部に取り付けられた流体温度制御ユニットを有することを特徴とする請求項70に記載の方法。
【請求項73】
前記流体温度制御ユニットは、前記ステージを介して前記バルク材料を冷却または加熱するために液体またはガスを利用することを特徴とする請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記ステージおよび前記機械的クランプ装置は、いずれもX−Yの2次元的な動きが可能なトレイに取り付けられることを特徴とする請求項59に記載の方法。
【請求項75】
前記バルク材料の状態の検知は、温度センサ、位置センサ、圧力センサ、および/または表面粗さプローブを含む複数のセンサを使用することを含むことを特徴とする請求項59に記載の方法。
【請求項76】
前記温度センサは、温度測定を実行する一つまたは複数の光高温計または熱電対を含むことを特徴とする請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記位置センサは、連続的な劈開工程により各自立厚膜が前記バルク材料から分離された後の前記バルク材料の長さを追跡記録することができることを特徴とする請求項75に記載の方法。
【請求項78】
前記表面粗さプローブは、前記バルク材料から各自立厚膜を劈開した後に前記表面領域の粗さの値のその場での測定を実行することができることを特徴とする請求項75に記載の方法。
【請求項79】
前記劈開工程は、前記粗さのパラメータが予め設定された基準を満たす場合は継続され、そうでなければ前記表面領域を修復するために前記劈開工程が一時停止されることを特徴とする請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記バルク材料の表面領域は、イオン粒子照射、エッチング、または前記表面領域への滑らかな層の蒸着の少なくとも一つの工程によって修復されることを特徴とする請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記表面領域を加熱するための放射は、前記表面領域の上方に位置する外部放射熱源を使用することを含むことを特徴とする請求項59に記載の方法。
【請求項82】
前記放射熱源は、制御された電源、パルス繰り返し数、および空間的分布を有する複数のフラッシュランプを含むことを特徴とする請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記外部放射熱源は、表面と底部との温度差が20℃未満で前記バルク材料の表面領域を加熱するよう緩やかに変化する熱出力フラックス速度を有する一つまたは複数の熱源を含むことを特徴とする請求項81に記載の方法。
【請求項84】
前記外部放射熱源は、前記表面領域の熱伝導時定数より速く前記バルク材料の表面領域を加熱するよう急速に変化する熱出力フラックス速度を有する一つまたは複数の熱源を含むことを特徴とする請求項81に記載の方法。
【請求項85】
前記前記急速に変化する熱出力フラックス速度を有する熱源は、パルスレーザであることを特徴とする請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記パルスレーザはYAGまたはYLFQスイッチレーザであることを特徴とする請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記表面領域を加熱するための前記粒子照射の利用は、注入装置によって発生するイオン粒子ビームからの出力フラックスを用いることを含むことを特徴とする請求項59に記載の方法。
【請求項88】
前記イオン粒子ビームからの出力フラックスは、前記注入装置のデューティファクタを変えることによって調整できることを特徴とする請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記デューティファクタは電磁走査装置によって調整できることを特徴とする請求項88に記載の方法。
【請求項90】
前記底部領域を冷却するために前記底部領域と前記ステージ間のガスを補助に使う伝導の利用は、熱出力の移動を制御するために前記キャビティ内の前記ガスの圧力を調整することを含むことを特徴とする請求項59に記載の方法。
【請求項91】
前記キャビティの高さは3ミクロンから200ミクロンの範囲であることを特徴とする請求項59に記載の方法。
【請求項92】
前記バルク材料から一つまたは複数の自立厚膜を連続的に分離するための劈開工程は、劈開領域近傍に欠陥領域を形成するために第1の温度で第1の複数の粒子を導入し、第1の値から第2の値に前記劈開領域の応力の増加を生じさせるために第2の温度で前記欠陥領域に第2の複数の粒子を導入することを含むことを特徴とする請求項59に記載の方法。
【請求項93】
前記第1の複数の粒子は、水素、重水素、またはヘリウムの種の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項92に記載の方法。
【請求項94】
前記第1の複数の粒子は、平方cmあたり8×1016以下のドーズで供給されることを特徴とする請求項93に記載の方法。
【請求項95】
前記第2の複数の粒子は、水素、重水素、またはヘリウムの種の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項92に記載の方法。
【請求項96】
前記第2の複数の粒子は、平方cmあたり5×1016以下のドーズで供給されることを特徴とする請求項92に記載の方法。
【請求項97】
前記複数の粒子の導入は線形加速器工程を使用して提供され、前記線形加速器工程は前記粒子を閉じ込めて加速するために複数の高周波四重極(RFQ)要素および複数のドリフト管線形加速器(DTL)要素または両方の組み合わせを使用することを含むことを特徴とする請求項92に記載の方法。
【請求項98】
前記複数の粒子は、1MeVから5MeVまでのエネルギー範囲で供給されることを特徴とする請求項97に記載の方法。
【請求項99】
前記第1の複数の粒子を導入した後かつ前記第2の複数の粒子を導入する前の処理工程をさらに備え、前記処理工程は前記欠陥領域を前記劈開領域に近づけ、欠陥領域を安定させるために400℃以上の温度で提供される熱工程を含むことを特徴とする請求項92に記載の方法。
【請求項100】
前記第1の温度は約−100℃から約250℃の範囲であることを特徴とする請求項92に記載の方法。
【請求項101】
前記第1の温度は約250℃未満であることを特徴とする請求項92に記載の方法。
【請求項102】
前記第2の温度は約250℃より大きく550℃以下であることを特徴とする請求項92に記載の方法。
【請求項103】
前記バルク材料から一つまたは複数の自立厚膜を連続的に分離する前記劈開工程はさらに、約15ミクロンより大きく200ミクロン未満の厚さの前記バルク材料の複数の自立厚膜を繰り返し製造することを含むことを特徴とする請求項59に記載の方法。
【請求項104】
前記劈開工程は、前記膜を分離するための熱劈開工程であることを特徴とする請求項103に記載の方法。
【請求項105】
前記劈開工程は、前記膜を分離するための垂直温度勾配を利用した制御された劈開工程(CCP)であることを特徴とする請求項103に記載の方法。
【請求項106】
前記垂直温度勾配は、パルスレーザシステム、パルスフラッシュランプ、パルスイオンビーム、対流熱伝達の生成、熱伝導の生成を含む一つまたは複数のグループを用いて生成されることを特徴とする請求項105に記載の方法。
【請求項107】
前記劈開工程は、前記膜を分離するための水平温度/応力勾配を利用した制御された劈開工程(CCP)であることを特徴とする請求項103に記載の方法。
【請求項108】
前記バルク材料から一つまたは複数の自立厚膜を連続的に分離する前記劈開工程はさらに、劈開をより高いドーズにおいて優先的に開始させるように注入ドーズ勾配を用いることを特徴とする請求項59に記載の方法。
【請求項109】
イオン注入ソースはまた、単独または追加のエネルギー照射により劈開が開始するよう構成された高ドーズ領域を有するパターン化された注入を形成するように用いられることを特徴とする請求項108に記載の方法。
【請求項110】
前記バルク材料から一つまたは複数の自立厚膜を連続的に分離する前記劈開工程はさらに、表面き裂を除去し残りのバルク材料の表面粗さを低減するために、自立厚膜の表面処理を実行することを含むことを特徴とする請求項59に記載の方法。
【請求項111】
前記粒子照射は、単独または熱エネルギーの投入により劈開が開始されるよう十分高いドーズの部分を有するパターン注入を形成することを特徴とする請求項59に記載の方法。
【請求項112】
前記機械的クランプは、前記バルク材料の均一部分の溝に係合する、または前記均一部分と接触するアダプタ板の溝に係合することを特徴とする請求項59に記載の方法。
【請求項113】
厚膜転写のための半導体材料を処理する方法であって、前記方法は、
バルク半導体材料をステージの平面に設け、前記バルク半導体材料は表面領域、側部領域、および底部領域を有し、前記側部領域、前記底部領域、および前記表面領域は前記底部領域と前記表面領域の間で規定される長さを有する材料の体積を提供し、前記底部領域を前記平面に結合し、
前記バルク材料と前記ステージの平面間で熱エネルギーの移動が生じるよう前記バルク材料が前記平面と物理的に接触する一方で前記バルク材料の表面領域が実質的に露出されるよう前記バルク材料の底部領域が前記ステージの平面に係合するように設けられた機械的クランプ装置を用いて前記バルク半導体材料を固定し、
前記表面領域が実質的に露出され、前記機械的クランプ装置により前記ステージの平面に保持される間に前記バルク材料の表面領域を処理すること、を特徴とする方法。
【請求項114】
バルク材料から自立膜を連続的に劈開するための方法であって、前記方法は、
機械的クランプ装置を用いてバルク材料をステージに固定し、前記バルク材料は表面領域、側部領域、および底部領域を有し、前記表面領域は前記側部領域に接続し体積を規定するよう前記側部領域から約90度の角度に向けられ、前記機械的クランプ装置は前記底部領域が固く前記ステージに係合するよう前記バルク材料の底部領域および/または側部領域に接続するように設けられ、
前記表面領域に垂直な方向に物理的干渉が実質的に無く前記表面領域を保持し、
前記表面領域に前記表面領域の処理に対する物理的干渉が実質的に無い間に少なくとも前記表面領域を処理し、
前記表面領域の処理中に前記表面領域の温度を選択的に維持すること、を備えることを特徴とする方法。
【請求項115】
前記バルク材料は、単結晶シリコンまたはゲルマニウムインゴット、ポリ結晶シリコンタイル、マルチ結晶シリコンタイル、または化合物半導体のインゴットまたはタイルの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項114に記載の方法。
【請求項116】
前記ステージは、前記平面と前記底部領域の間のシールを介して前記バルク材料の底部領域を固く係合するための平面を有することを特徴とする請求項114に記載の方法。
【請求項117】
前記シールは、前記ステージと前記底部領域の間にガス充填したキャビティを形成することができる閉ループの気密シールであることを特徴とする請求項116に記載の方法。
【請求項118】
前記ステージの平面は、前記ステージ内にガス供給アセンブリに接続された複数のガス通路を備えることを特徴とする請求項116に記載の装置。
【請求項119】
前記ステージは前記バルク材料を引き付けるための静電気力を発生させることができる誘電チャックであることを特徴とする請求項116に記載の方法。
【請求項120】
前記機械的クランプ装置は、前記底部領域から側部領域の少なくとも30%未満の長さの位置または底部領域において、一つまたは複数のアームを介してバルク材料と係合することを特徴とする請求項114に記載の方法。
【請求項121】
前記一つまたは複数のアームは、前記バルク材料の形状に適合する滑らかな表面を有することを特徴とする請求項120に記載の方法。
【請求項122】
前記ステージおよび前記機械的クランプ装置は、いずれも前記ステージに平行にX−Yの2次元的な動きが可能なトレイに取り付けられることを特徴とする請求項114に記載の方法。
【請求項123】
前記表面領域に垂直な方向に物理的干渉が実質的に無く前記表面領域を保持することは、処理のために、全ての端を含む表面領域の100%の領域を露出することを含むことを特徴とする請求項114に記載の方法。
【請求項124】
前記表面領域に前記表面領域の処理の物理的干渉が実質的に無い間に少なくとも前記表面領域を処理することはさらに、前記表面領域下部の所望の深さで劈開領域近傍内に欠陥領域を形成するために複数の粒子を導入することによる注入工程を含むことを特徴とする請求項114に記載の方法。
【請求項125】
前記表面領域に前記表面領域の処理の物理的干渉が実質的に無い間に少なくとも前記表面領域を処理することはさらに、前記バルク材料の劈開領域から第1の膜を分離するための熱処理および制御された劈開を実行することを含むことを特徴とする請求項124に記載の方法。
【請求項126】
前記表面領域に前記表面領域の処理の物理的干渉が実質的に無い間に少なくとも前記表面領域を処理することはさらに、物理的干渉無しに前記バルク材料の少なくとも70%の体積から第2のまたはそれより多くの膜を分離するための前記注入工程および前記劈開工程を繰り返すことを含むことを特徴とする請求項125に記載の方法。
【請求項127】
前記表面領域の処理中に前記表面領域の温度を選択的に維持することは、前記表面領域の温度、または前記劈開領域上の上を覆う膜の温度、または両方の温度を維持することを含むことを特徴とする請求項114に記載の方法。
【請求項128】
前記表面領域の処理中に前記表面領域の温度を選択的に維持することは、注入イオン粒子からの放射、CWソースまたはパルス熱源を含む一つまたは複数の外部放射源、前記クランプ装置から伝えられるジュール熱の少なくとも一つを利用することによって前記表面領域の前記温度を増加させること、または前記底部領域から前記ステージへガスの補助による伝達を介して前記バルク材料の底部領域を冷却することによって前記温度を低下させることを含むことを特徴とする請求項114に記載の方法。
【請求項129】
バルク材料を処理するシステムであって、前記システムはバルク材料をステージに固定するように設けられた機械的クランプ装置を備え、前記バルク材料は表面領域、側部領域、および底部領域を有し、前記表面領域は前記側部領域に接続し体積を定義するよう前記側部領域から約90度の角度に向けられ、前記機械的クランプ装置は前記底部領域が固く前記ステージに係合するよう前記バルク材料の底部領域および/または側部領域に接続するように設けられ、一方で前記表面領域は、前記表面領域に垂直な方向に物理的干渉が実質的に無く保持され、前記システムは一つまたは複数のコンピュータが読み取り可能なメモリを備え、前記コンピュータが読み取り可能なメモリは、
前記表面領域に前記表面領域の処理の物理的干渉が実質的に無い間に少なくとも前記表面領域を処理するためのプログラムを起動することを対象にする一つまたは複数のコードと、
前記表面領域の処理中に前記表面領域の温度を選択的に維持することを対象にする一つまたは複数のコードと、を有することを特徴とする方法。
【請求項130】
前記線形加速器は直流線形加速器を含むことを特徴とする請求項26に記載の装置。
【図1】
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図13D】
【図13E】
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図13D】
【図13E】
【公開番号】特開2008−285397(P2008−285397A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−14736(P2008−14736)
【出願日】平成20年1月25日(2008.1.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(506212569)シリコン ジェネシス コーポレーション (11)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−14736(P2008−14736)
【出願日】平成20年1月25日(2008.1.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(506212569)シリコン ジェネシス コーポレーション (11)
【Fターム(参考)】
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