説明

原稿読取装置及び画像形成装置

【課題】原稿をスキューさせた場合の原稿上の縦線と、読み取り面のゴミによる縦すじとを、短時間でかつ誤検出を少なく判別できる原稿読取装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】原稿を副走査方向に自動搬送でき、光源で照射された原稿からの反射光を、副走査方向に並列に配置した複数のラインセンサで画像信号に光電変換し、デジタル変換後に複数のラインセンサ間の副走査方向の位置ずれを補正する原稿読取装置であって、原稿が複数のラインセンサに対して予め設定される角度に傾けられて予め設定される速度で自動搬送された場合、複数のラインセンサにおける同一主走査画素の読み取りデータを副走査方向に比較して複数のラインセンサの読み取りデータの差を検出し、読み取りデータの差の状態が所定のライン数分連続するかを判断することで、読み取りデータが原稿上の縦線であるのか又はゴミによる縦すじであるのかを判別するゴミ検知手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動原稿送り機能を備えた原稿読取装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に関連する技術例として以下のものがある。
特許文献1の技術では、シートスルー(自動原稿送り、流し読み)読み取りの際、原稿をわずかに傾けて(スキューさせて)読み取る。このとき、原稿上の縦線はスキューさせた分だけ斜めになるが、読み取り面に付いているゴミは原稿搬送と関係なくずっと同じ位置にあるので、真っすぐな縦すじになる。それによってゴミと原稿上の縦線を判別する。
【0003】
特許文献2の技術では、シートスルー(自動原稿送り、流し読み)読み取りの際、読み取り面上にゴミがあるのを検出するために、主走査画素の位置またはデータの大きさが変わらない副走査方向に延びた直線があるかで判定している。すなわち、原稿上の直線はどれだけ真っ直ぐであっても、原稿搬送の際のわずかなスキューなどで主走査画素の位置またはデータの大きさが全く変わらないということはないので、それで判別できるという技術である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、原稿を斜めに読み取った場合の原稿上の縦線と読み取り面のゴミによる縦すじとの具体的な判別方法は提示されていないが、原稿上の縦線が斜めになっていることを検出するために、副走査方向に相当ライン数抽出して判別しなければならない。よって、判別に時間がかかるという問題がある。また、本来原稿上にある斜め線をスキューさせたことにより偶然縦線に近づいたような場合は、誤検知し易いという問題がある。
【0005】
特許文献2の技術では、読み取り面上にゴミがあるかを検出するために、主走査画素の位置またはデータの大きさが変わらない副走査方向に延びた直線があるかどうかで判定しているが、副走査方向に相当ライン数抽出して判別しなければならない。よって、判別に時間がかかるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、原稿をスキューさせた場合の原稿上の縦線と、読み取り面のゴミによる縦すじとを、短時間でかつ誤検出を少なく判別できる原稿読取装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するために、本発明の原稿読取装置は、原稿を副走査方向に自動搬送する自動原稿送り機構と、自動原稿送り機構により搬送される原稿を照射する光源と、光源により照射された原稿からの反射光を画像信号に光電変換する光電変換部材と、光電変換部材により変換された画像信号をデジタル変換する変換器とを備え、光電変換部材は副走査方向に並列に配置した複数のラインセンサからなり、複数のラインセンサ間の副走査方向の位置ずれを補正するライン補正手段を備えた原稿読取装置であって、自動原稿送り機構により搬送される原稿が、複数のラインセンサに対して予め設定される角度に傾けられて予め設定される速度で搬送された場合に、複数のラインセンサにおける同一主走査画素の読み取りデータを副走査方向に比較して複数のラインセンサの読み取りデータの差を検出し、読み取りデータの差の状態が所定のライン数分連続するかを判断することで、読み取りデータが、原稿上の縦線であるのか、又は、ゴミによる縦すじであるのかを判別するゴミ検知手段を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の原稿読取装置において、ゴミ検知手段は、読み取りデータの差の状態が所定のライン数分連続する場合、読み取りデータを原稿上の縦線であると判別し、読み取りデータの差の状態が所定のライン数分連続しない場合、読み取りデータをゴミによる縦すじであると判別することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の原稿読取装置において、ゴミ検知手段により読み取りデータがゴミによる縦すじであると判別された場合に、読み取りデータを白データ又は地肌データに置き換えることで削除するデータ削除手段を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の原稿読取装置において、自動原稿送り機構により予め設定される角度に傾けられて予め設定される速度で搬送された原稿の読み取りデータに対し、予め設定される角度及び予め設定される速度に基づいて画素を移動させる補正を行う画像データ移動手段を備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の原稿読取装置において、原稿の表面と裏面を同時に読み取る両面同時読取機構を備え、ゴミ検知手段、データ削除手段及び画像データ移動手段は、両面同時読取機構により読み取られた表面の読み取りデータ及び裏面の読み取りデータのそれぞれに対し、共通の処理を行うことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の原稿読取装置において、予め設定される角度及び予め設定される速度の少なくとも一方は可変であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の原稿読取装置において、複数のラインセンサは、3ライン又はそれを含む4ライン以上のカラーラインセンサであり、同一主走査画素の読み取りデータは、複数色の読み取りデータであることを特徴とする。
【0014】
本発明の画像形成装置は、上記本発明の原稿読取装置を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、原稿をスキューさせた場合の原稿上の縦線と、読み取り面のゴミによる縦すじとを、短時間でかつ誤検出を少なく判別できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】一般的な自動原稿送り装置付きの原稿読取装置の全体構成例を示す側断面図である。
【図2】一般的な自動原稿送り装置付きの原稿読取装置の回路構成例を示すブロック図である。
【図3】原稿読取装置で斜めに読み取ったときの画像の例を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る自動原稿送り装置付きの原稿読取装置の回路構成例を示すブロック図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る自動原稿送り装置付きの原稿読取装置の動作例を示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態に係る自動原稿送り装置付きで両面同時読み取りの原稿読取装置の全体構成例を示す側断面図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る自動原稿送り装置付きで両面同時読み取りの原稿読取装置の回路構成例を示すブロック図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の全体構成例を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態(実施形態)について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
以下に説明する本発明の一実施形態の原稿読取装置(画像読取装置)は、光電変換部材としてカラーCCD(Charge Coupled Device)を用いた原稿読取装置を想定しているが、もちろんこの限りではない。
【0019】
図1に、一般的な自動原稿送り装置付きの原稿読取装置の構成を示す。図1に示すように、原稿読取装置には、コンタクトガラス、キセノンランプ(光源ランプ)、第1キャリッジ、第2キャリッジ、レンズ、CCD、SDU(Sensor Board Unit)等が備えられている。原稿読取装置は、コンタクトガラス上の原稿を読み取るが、以下の2つの読み取り方法が可能である。1つは、キャリッジ読み取り(圧板読み取り)である。これは、第1キャリッジ、第2キャリッジを駆動源(モータ)で図面の右方向へ移動させ、圧板にてコンタクトガラスに押さえつけられた原稿の全面を読み取る方法である。もう1つは、シートスルー読み取りである。これは、第1キャリッジ、第2のキャリッジをコンタクトガラスに形成された読み取り窓上の所定位置に固定させ、キセノンランプを読み取り窓に対して点灯させ、コンタクトガラスの上のADF(オートドキュメントフィーダ。自動原稿送り機構)により搬送されてくる原稿上の画像を読み取り窓から読み取る方法である。
【0020】
数枚から数十枚の原稿を連続して読み取る場合はシートスルー読み取りが使用され、また、ADFが使用できないようなブック原稿や厚紙原稿などを読み取る場合はキャリッジ読み取りが使用される。原稿読取装置では、これらの読み取り方法によって得られた光学撮像を、光電変換部材であるCCDで読み取って光電変換し、画像信号を得ている。
【0021】
図2に、一般的な原稿読取装置の回路のブロックを示す。R(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)の3つのカラーラインセンサ(カラーラインCCD)からの信号は、AFE(アナログフロントエンド)で画像信号処理とアナログ・デジタル変換処理される。なお、3つのラインセンサは、副走査方向に並列に配置されている。なお、本実施形態では、3ラインを例としたが、その3ラインを含む4ライン以上のカラーラインセンサであってもよい。
【0022】
次のライン間補正部は、各ライン間の副走査方向の位置的なずれを補正するものである。R、G、Bの各ラインセンサの間隔は、0.338mm(600dip読み取り時でB−G間、G−R間各8ライン間隔)だけある。すなわち、同時刻に読み取る位置が各色で異なっており、これはB、G、Rの順であるが、この位置的なずれを画像データ遅延させることで補正している。具体的には、Bについては8ライン分、Gについては16ライン分の読み取りデータをメモリに蓄えた後出力することで、Rの読み取りデータのタイミングにあわせている。このライン間補正によって搬送されてくる原稿上の画像は、R、G、B各色で出力タイミングを合わせている。このライン間補正の補正量は、拡大、縮小の変倍時、すなわち副走査素方向の搬送速度を変える場合は、変倍率に応じて変えている。例えば、200%の拡大時はB−G間、G−R間各16ライン間隔となる。
【0023】
最後のシェーディング補正回路は、CCDの感度ムラや光源の主走査分光分布ムラを補正する。
【0024】
本実施形態の原稿読取装置では、原稿を斜めに読み取ることに加えて原稿の搬送速度を制御する。すなわち本実施形態の原稿読取装置において、ADFは、各ラインセンサに対して予め設定される角度(斜め読み角度)に原稿を傾けながら、予め設定される搬送速度で搬送する。もともと原稿を斜めに読むということは、副走査方向には搬送方向に対してコサインの分速になるので、本来より遅い速度で読み取るということである。普通は副走査方向が本来の読み取り速度になるように搬送速度をあげようと考えるが、本実施形態では、副走査方向には遅い速度となることを利用する。
【0025】
図3に、原稿読取装置で斜めに読み取ったときの画像の例を示す。ここでは説明を容易にするため、例えば、斜めの角度は搬送方向9に対して副走査方向8、すなわちcosθ=8/9、θ=27.3度とし、また読み取り面にはきっちり主走査方向4画素分のゴミが、原稿上には主走査4画素の幅で副走査方向に延びている直線と、斜め読みの角度とちょうど反対(すなわち−27.3度)の角度の主走査4画素幅の斜め線が描かれているものとする。読み取り面に付いたゴミによる画像は、原稿を斜めに読み取っているかどうかに関わらずR、G、Bとも始終同じ画素が黒であるから縦の黒すじとなる(図中のa)。一方、原稿上の直線は原稿傾け角度と同じ角度で斜めになる(図中のb)。斜めといっても実際は解像度や画素の階調数にもよるが、図中のbのようにぎざぎざの線になる。注目すべきところは、このぎざぎざ線では、先端と後端及びぎざぎざ型になっている全ての角部において(図中の矢印x、yで示す部分。角部については、図中ではxとyをそれぞれ3箇所だけ図示しているが、全てが該当する)、ライン間補正では補正しきれなかったために発生する色付きの画像が現れることである。というのは、ここでの副走査方向の速度は本来の9分の8であるので、B−G間、G−R間のライン間補正値を各9ラインとしなければなところを、100%読み取り時と同じ各8ラインとしているため補正が足りない状態である。そのため、矢印yで示す先端とぎざぎざになった角部(ぎざぎざ上部)は、R,G,Bのうち、まずBだけが黒、GとRが白となる状態が1ラインだけ(RGBを合成した色は黄色)あり、引き続きBとGが黒、Rだけが白となる状態が1ラインだけ(RGBを合成した色は赤色)ある。同様に、矢印xで示す後端とぎざぎざになった角部(ぎざぎざ下部)は、まずBだけが白、GとRが黒となる状態が1ラインだけ(RGBを合成した色は青色)あり、引き続きBとGが白、Rだけが黒となる状態が1ラインだけ(RGBを合成した色はシアン)ある。図中のcは、傾け角度とちょうど反対の角度の斜め線の画像である。一見、縦線であるのでゴミによる縦すじと区別はつかないが、矢印yで示す先端と矢印xで示す後端には、上記bと同様の色付きの画像が現れる。
【0026】
本実施形態の原稿読取装置では、この色付き画像を検出することで、色付き画像があれば原稿上の縦線、なければ読み取り面のゴミによる縦すじというように判別することを特徴とする。黒データの先端と後端だけでも検出できるが、斜めになった線ではそれに加えてぎざぎざ上部及びぎざぎざ下部でも検出することができる。
【0027】
図4に、本実施形態の原稿読取装置の回路のブロックを示す。図2に示した一般的な原稿読取装置の回路のブロックと比較すると、本実施形態の原稿読取装置の回路は、シェーディング補正回路の後段において、ゴミ検知ブロック、データ削除ブロック、画像データ移動ブロックが追加してある。本実施形態の原稿読取装置では、ゴミ検知を主とているが、ゴミ検知のときに読み取った画像をそのまま読み取り画像として採用することもできる。そのためにデータ削除ブロック、画像データ移動ブロックを用意している。本実施形態の原稿読取装置では、もともとライン間補正のためにあるメモリを使用するので、画像データを大規模に蓄える記憶装置などは特に必要ない。すなわち、上述した特許文献1の技術では、原稿上の縦線が斜めかどうかを検出するための画像データを相当量保存できる記憶装置が必要であるという問題があり、また、特許文献2の技術でも、原稿上の線が真っ直ぐかどうかを検出するための画像データを相当量保存できる記憶装置が必要であるという問題があったが、本実施形態の原稿読取装置ではこの問題を解消できる。また、本実施形態の原稿読取装置では、ゴミ検知をリアタイムで実施できることも効果として大きい。
【0028】
図5に、本実施形態の原稿読取装置において、ゴミを検知し、ゴミと検知したデータを削除し、さらに画像データ移動をする場合の動作のフローを示す。
【0029】
本実施形態の原稿読取装置では、ADFによって搬送される原稿の斜め読み角度及び搬送速度の少なくとも一方を可変とする。ここでは、原稿読取装置において、原稿の読み取りを開始する前にまず、斜め読み角度θと搬送速度Vが設定されるとする(S1)。ADFは、読取対象の原稿を、副走査方向に並列に配置されたR、G、B各ラインセンサ(CCD)に対して斜め読み角度θに傾けながら、搬送速度Vで搬送する。
【0030】
原稿読取装置において、搬送される原稿の読み取りが開始される(S2)。原稿読取装置は、各ラインセンサからの信号に対し、図4に示すブロックのように、AFEによる処理(画像信号処理とアナログ・デジタル変換)、ライン間補正、シェーディング補正を行う。
【0031】
次に、原稿読取装置は、図4に示すブロックのように、ゴミ検知、データ削除、画像データ移動を順に行う。すなわち、原稿読取装置は、読み取った画像上のデータをフォローに従ってリアルタイムでスクリーニングし、原稿上の縦線と読み取り面のゴミによる縦すじを判別するとともに(S3〜S5。図4のゴミ検知)、ゴミと検知された画像データの削除(S6。図4のデータ削除)や画像データの移動(S7。図4の画像データ移動)を行う。これらについて以下に詳しく説明する。
【0032】
まず、原稿読取装置は、読み取った画像において、同一画素のデータ(同一主走査画素の読み取りデータ)がR、G、Bとも黒データであるかどうかを判断する(S3)。S3の判断の結果、黒データではない場合は(S3/NO)、S7へ進む。
【0033】
S3の判断の結果、黒データである場合(S3/YES)、原稿読取装置は、黒データの前後にR、G、Bの読取値が特徴あるデータかどうかを判断する(S4)。このR、G、Bの読取値が特徴あるデータかは、ライン間補正の過不足によるR、G、Bの読み取りデータの差である。例えば、複数のラインセンサにおける同一主走査画素の読み取りデータを副走査方向に比較した結果、読み取りデータの差を所定の閾値以上検出した場合は、特徴あるデータと判断する。S4の判断の結果、特徴あるデータではない場合は(S4/NO)、S7へ進む。
【0034】
S4の判断の結果、特徴あるデータである場合(S4/YES)、原稿読取装置は、読み取りデータの差の状態がVとθで決まるライン数だけ連続するかを判断する(S5)。このVとθで決まるライン数だけ連続するかは、ライン間補正の過不足のライン数である。
【0035】
S5の判断の結果、連続しない場合(S5/NO)、原稿読取装置は、ゴミ(による縦すじ)であると判別し、画像データの削除を行う(S6)。この画像データの削除とは、ゴミと検知された画素のデータを、白データまたはその周辺の地肌のデータに置き換えることをいう。これは、原稿の読み取り中に行われる。
【0036】
S5の判断の結果、連続する場合(S5/YES)、原稿読取装置は、画像であると判別し、画像データの移動を行う(S7)。この画像データの移動とは、斜めにかつ減速で読み取った画像を復元することをいう。すなわち、原稿読取装置は、S1で予め設定された斜め読みの角度θと搬送速度Vに応じて、画像処理により各画素データを位置的に移動させ、画像の傾き及び副走査方向の伸び縮みやライン間補正の過不足による色付き画像を補正する。これにより本来の読み取り画像に復元される。この画像データの移動について図3の例で説明すれば、原稿読取装置は、27.3度だけ傾いた画像を元に戻し、副走査方向に9分の8倍だけ縮め、ライン間補正をそれぞれ1ライン多くする。
【0037】
以上のS3〜S8は、原稿の読み取りが終了するまで繰り返される(S8)。
【0038】
上述した図5の説明において、傾きの角度(斜め読みの角度)が少なかったり、搬送速度を変えていなかったりするために、ゴミと縦線の判別がつききくい場合もある。そのような場合は、傾きの角度や搬送速度を大きく変えるのも一つの方法である。斜めに読み取りながら原稿の搬送速度をもっと劇的に変化させれば、ライン間補正の過不足量が増えるので、色付き画像は速度に応じて増減する。設定速度に対する色付きのライン数は決まっているので、それを判別条件とすることもできる。
【0039】
本実施形態の原稿読取装置は、両面同時読み取りにも応用できる。図6に、両面同時読み取りの原稿読取装置の構成を示す。図6に示すように、ADFの内部には、光源と光学系と読み取りセンサが一体となったCIS(コンタクトイメージセンサ)が備えられている。これにより、1回の原稿搬送で、表面をスキャナで、裏面をCISで同時に読み取ることができる。
【0040】
図7に、本実施形態の原稿読取装置を両面同時読み取りで応用する場合の回路のブロックを示す。CISの内部には、図示していないが、裏面のセンサ部とAFEとシェーディング補正回路に相当するものは内蔵されている。これにより、原稿読取装置は、表面をスキャナで読み取るのと同時に並行して裏面をCISで読み取る。スキャナとCISで読み取られた画像データはそれぞれ、図7中の表面/裏面データソートブロックに入力される。
【0041】
表面/裏面データソートブロックは、本実施形態の特徴ではなく、これまでの一般的な両面同時読み取りの原稿読取装置にも搭載されている。表面/裏面データソートブロックは、同時並行で入力されてくる表裏の画像を面順次で交互に出力するためのものであり、裏面、裏面いずれかのデータ蓄積用のメモリと表裏データ切替のゲートからなる。
【0042】
図7に示すように、本実施形態の原稿読取装置を両面同時読み取りで応用する場合は、本実施形態の特徴となるゴミ検知ブロック、データ削除ブロック、画像データ移動ブロックを図4と同様に、表面/裏面データソートブロックの後におく。この構成により、表面の画像データに対してゴミ検知、データ削除、画像データ移動を行い、引き続き裏面の画像データも同じように、ゴミ検出、データ削除、画像データ移動を行う。すなわち、表面の画像データと裏面の画像データに対して、共通の処理(ゴミ検知、データ削除、画像データ移動)が行われる。ただし、裏面は傾き角度が反対になるので、裏面の画像データ移動は、表面とは反対となる。また、表面と裏面とではライン間隔も異なる場合があるので、裏面用の色付きライン数を設定するようにする。
【0043】
以上のように構成された本実施形態の原稿読取装置は、例えば複合機やデジタル複写機などの画像形成装置に搭載することができる。以下、その画像形成装置について説明する。
【0044】
図8は本発明の一実施形態である画像形成装置の一例を示す構成図である。図8に示す画像形成装置1は、縦長の矩形状に形成される装置匡体2と、この装置匡体2の上部に設けられる自動原稿送り装置(ADF)3と、装置匡体2の上側に設けられる画像読取装置4と、装置匡体2の下側に設けられる画像作成装置5と、装置匡体2の上部に設けられる操作装置7と、装置匡体2内の下側に設けられる給紙装置8とを備えている。自動原稿送り装置3と画像読取装置4が、上述した本実施形態の原稿読取装置に相当する。
【0045】
自動原稿送り装置3は、装置匡体2の上部に対し、図示しないヒンジ等により開閉自在に設けられる送り装置匡体9と、この送り装置匡体9上部に設けられる原稿台(原稿トレイ)10とを備えている。原稿台10は、複数の原稿からなる原稿束を載置可能な原稿載置台である。また、自動原稿送り装置3は、原稿台10に原稿がセットされているときにこれを検知する原稿セット検知センサ11と、原稿台10上にセットされている原稿束から原稿を1枚ずつ分離させてコンタクトガラス18へ向けて搬送する給送ローラ12とを備えている。また、自動原稿送り装置3は、複数のローラ13および給送ベルト14などによって構成され、給送ローラ12によって取り込まれた原稿を装置匡体2側のコンタクトガラス18上に送る給送機構15と、コンタクトガラス18上でその画像が読み取られた後給送機構15によって搬送された原稿を取り込んで、送り装置匡体9の上部に形成された排紙部(排紙トレイ)16上に排出する排送ローラ17とを備えている。また、自動原稿送り装置3は、これら原稿セット検知センサ11〜排送ローラ17を制御する処理、送った原稿の枚数をカウントする処理などを行う制御部(図示省略)と、この制御部の制御の下に給送ローラ12〜排送ローラ17を駆動する搬送モータ(図示省略)とを備えている。搬送モータは、制御部からの出力信号によって駆動されるようになっている。制御部は、画像作成装置5から給紙スタート信号(原稿送り指示)が入力されると、搬送モータを正・逆転駆動するようになっている。
【0046】
自動原稿送り装置3では、例えば後述する操作装置7のプリントキーが押下されると、制御部により搬送モータが正転駆動され、給送ローラ12が時計周り方向に回転して原稿束から最上位に位置する原稿が給紙され、コンタクトガラス18に向かって搬送される。この原稿の先端が原稿セット検知センサ11によって検知されると、制御部は、原稿セット検知センサ11からの出力信号に基づいて搬送モータを逆転駆動させる。これにより、後続する原稿が進入するのを防止して分離されないようになっている。また、制御部は、原稿セット検知センサ11によって原稿の後端が検知されると、この検知時点からの搬送モータの回転パルスを計数する。そして、回転パルスが所定値に達したときに、制御部は、給送ベルト14の駆動を停止させる。これにより、原稿がコンタクトガラス18上の読み取り位置に停止させられる。
【0047】
原稿がコンタクトガラス18の読み取り位置に停止すると、画像読取装置4によって原稿の画像読み取り及び露光が行われる。これらが終了すると、制御部には画像形成装置1からの信号が入力される。制御部は、搬送モータを正転駆動し、搬送ベルト14によって原稿をコンタクトガラス18から排送ローラ17へ搬出する。その原稿は、排送ローラ17により排紙部16上に排紙される。以上の原稿搬送処理は繰り返される。すなわち、原稿セット検知センサ11によって原稿台10に次の原稿が有ることが検知された場合、次の原稿は、上述したように再びコンタクトガラス18上に給送される。
【0048】
画像読取装置4は、装置匡体2の上部に形成された開口部に組み込まれ、自動原稿送り装置3によって開閉自在に閉じられるコンタクトガラス18と、装置匡体2内に配置されたガイドレール(図示省略)により、副走査方向に対し移動自在に構成され、変倍率に応じた第1速度で走行駆動される第1キャリッジ19とを備えている。また、画像読取装置4は、第1キャリッジ19上に配置されコンタクトガラス18上に載置されている原稿を照明する光源(露光ランプ、キセノンランプ)20と、第1キャリッジ19上に配置され、原稿から光(光学画像)を反射する第1ミラー21とを備えている。また、画像読取装置4は、装置匡体2内に配置されたガイドレール(図示省略)により副走査方向に対し移動自在に構成され、第1キャリッジ19が移動しても原稿を読み取る際の光路長が一定となるように、第1速度の半分の速度(第2速度)で走行駆動される第2キャリッジ22を備えている。また、画像読取装置4は、第2キャリッジ22上に配置され第1ミラー21から反射された光学像を反射する第2、第3ミラー23、24と、装置匡体2内に移動自在に配置されピント、倍率などに応じた位置に位置調整されて、第3ミラー24から出射された光学像を集光するレンズ25を備えている。また、画像読取装置4は、装置匡体2内に移動自在に配置され、ピント、倍率などに応じた位置に位置調整されて、レンズ25で集光された光学像を受光し、電気信号(画像信号)に変換するCCDイメージセンサ26を備えている。なお、図8では図示していないが、CCDイメージセンサ26は図1に示すようにSBUに搭載されている。
【0049】
画像読取装置4は、画像作成装置5から画像読み取り指令が出力されたとき、読み取り倍率、読み取り範囲などに応じて、レンズ25と、CCDイメージセンサ26の位置を左右方向(副走査方向)に移動させてその位置を調整する。その後、画像読取装置4は、第1キャリッジ19の光源20を点灯させた状態で、第1キャリッジ19と、第2キャリッジ22とを各々第1、第2速度で副走査方向に走行させながら、コンタクトガラス18上に載置された原稿の画像を取り込むとともに、レンズ25によってCCDイメージセンサ26上に集光して画像信号を生成し、これを画像作成装置5に供給する。
【0050】
操作装置7は、装置匡体2の上部に左右方向に長くなるように配置されるLCDディスプレイ(液晶ディスプレイ)を備えている。また、操作装置7は、このLCDディスプレイの上面部に配置され、オペレータによってLCDディスプレイがタッチされたとき、これを検出してタッチ位置情報を生成するタッチパネルと、LCDディスプレイの右側に配置されたテンキー、モードクリアキー、クリア/ストップキー、コピー動作開始指示キーであるプリントキーなどによって構成されるキーボードを備えている。また、操作装置7は、マイクロプロセッサを持ち、装置匡体2内の上部側に配置された操作部を備えている。操作部は、I/Oポートを介して画像作成装置5側のシステムコントローラと通信を行いながら、そのシステムコントローラから出力される表示指示指令、状態情報などを取り込んでこれをLCDディスプレイに表示させる処理や、タッチパネルのタッチ位置情報を処理して操作されたキーを検知する処理、キーボードの操作内容を検知する処理、これらの処理結果をシステムコントローラに送信する処理などを行う。
【0051】
給紙装置8は、装置匡体2内に出没自在に収納され、各々指定されたサイズの転写紙46が収納される第1〜第3給紙トレイ47〜49を備えている、また、給紙装置8は、これら第1〜第3給紙トレイ47〜49毎に設けられた第1〜第3給紙クラッチ(図示省略)の断続動作によって、第1〜第3給紙トレイ47〜49に収納されている各転写紙46を取り出す第1〜第3給紙ユニット50〜52と、断続動作する中間クラッチ(図示省略)および複数の搬送ローラ53などを備えている。また、給紙装置8は、中間クラッチの断続動作によって、第1〜第3給紙ユニット50〜52によって取り出された転写紙46を上方に搬送する縦搬送ユニット54と、この縦搬送ユニット54によって搬送された転写紙46を取り込み、タイミングをとって画像作成装置5に供給するレジストローラ55とを備えている。給紙装置8は、プリント動作が行われるとき、第1〜第3給紙トレイ47〜49に格納されている各サイズの転写紙46のうち指定されたサイズの転写紙46を取り出し、これを上方に搬送するとともに、感光体66上に形成されているトナー画像の先端部が紙転写位置に到達するタイミングに合わせて転写紙46を画像作成装置5に供給する。
【0052】
画像作成装置5は、画像読取装置4から出力される画像信号に基づき光画像の書込みを行う書込み光学ユニット56と、一度画像が形成された転写紙46の表裏を反転させて縦搬送ユニット54に再給紙するか、又は、転写紙46を反転させて排紙トレイ81に排紙する反転/両面ユニット57とを備えている。また、画像作成装置5は、書込み光学ユニット56で生成された光画像をトナー画像として顕像化させる顕像化ユニット58と、給紙装置8により取り出された転写紙46に対し、顕像化ユニット58で顕像化されたトナー画像を転写させる紙転写ユニット59とを備えている。また、画像作成装置5は、紙転写ユニット59で画像が転写された転写紙46上のトナーを溶融定着させる定着ユニット60と、この定着ユニット60でトナー画像が定着された転写紙46を装置匡体2の左側に取り付けられた後処理装置(図示省略)又は反転/両面ユニット57のいずれか一方に導く搬送路切替ユニット61と、この画像形成装置1全体の動作を制御する制御基板62とを備えている。画像作成装置5は、画像読取装置4から出力される画像信号で示される画像をトナー画像として顕像化させ、指定されたサイズの転写紙46上にトナー画像を転写させた後、トナー画像を定着させ、画像形成装置1外の後処理装置(図示省略)に供給する。
【0053】
書込み光学ユニット56は、制御基板62から出力される画像データに基づきレーザー光を発生するレーザーダイオード、このレーザーダイオードから出射されるレーザー光をスキャンさせるポリゴンミラー、このポリゴンミラーを回転させる駆動モータなどによって構成されるレーザー出力ユニット63を備えている。また、書込み光学ユニット56は、レーザー出力ユニット63から出力されるレーザー光をfθ変換するf−θレンズなどのレンズ群64と、このレンズ群64からのレーザー光を反射して前記顕像化ユニット58に供給するミラー65とを備えている。書込み光学ユニット56は、制御基板62から出力される画像データを光信号に変換して、顕像化ユニット58を構成する感光体66上に画像データに対応した光画像を書き込んで静電潜像を形成する。
【0054】
顕像化ユニット58は、メインモータ(図示省略)によって回転駆動されながら、書込み光学ユニット56から出射されるレーザー光により潜像が形成される感光体66を備えている。また、顕像化ユニット58は、感光体66の一端近傍に配置され、書込み光学ユニット56から出射されるレーザー光を検出したとき、主走査同期信号(LSYNC)を生成してシステムコントローラに供給するビームセンサ(図示省略)を備えている。また、顕像化ユニット58は、感光体66の周りに配置されて、感光体66をクリーニングする感光体クリーニングユニット(図示省略)と、感光体66の周りに配置されて、感光体66を均一に帯電させる帯電ユニット(図示省略)と、感光体66の周りに配置されて、感光体66上に形成されている静電潜像を現像する現像ユニット67とを備えている。
【0055】
画像作成装置5は、プリント動作を行うとき、メインモータの駆動力によって回転駆動される感光体66の表面に対して、クリーニングユニットによるクリーニング処理及び帯電ユニットによる帯電処理を行いながら、書込み光学ユニット56から出射されるレーザー光によって光画像を書込み、静電潜像を形成する。その後、画像作成装置5は、現像ユニット67によって感光体66上に形成されている静電潜像を現像してトナー画像を形成する。
【0056】
紙転写ユニット59は、感光体66と対向するように配置され、感光体66上に形成されたトナー画像を転写紙46に転写させるとき、バイアス電圧が印加される紙転写バイアスローラ68を備えている。また、紙転写ユニット59は、メインモータによって回転駆動される駆動ローラ69と、これら駆動ローラ69や紙転写バイアスローラ68に張設され、紙転写バイアスローラ68によって感光体66上のトナー画像が転写された転写紙46を搬送する搬送ベルト70とを備えている。
【0057】
画像作成装置5は、プリント動作を行うとき、レジストローラ55から供給された転写紙46を介在させた状態で搬送ベルト70を感光体66に押圧しながら、紙転写バイアスローラ68に所定のバイアス電圧を印加する。そして、画像作成装置5は、感光体66上に形成されているトナー画像を転写紙46に転写させる。この転写のとき、転写紙46は、感光体66の回転と等速で搬送ベルト70によって搬送される。トナー画像が転写された転写紙46は、定着ユニット60に搬送される。
【0058】
定着ユニット60は、所定温度となるようにコントロールされた定着ローラ71と、紙転写ユニット59によって搬送されてきた転写紙46を前記定着ローラ71に押し付ける加圧ローラ72とを備えている。定着ユニット60は、紙転写ユニット59から搬送されてきた転写紙46を加圧しながら加熱して、この転写紙46上に形成されているトナー画像を溶融定着させ、搬送路切替ユニット61に搬出する。
【0059】
搬送路切替ユニット61は、定着ユニット60から供給された転写紙46を取り込む取込みローラ73と、この取込みローラ73によって取り込まれた転写紙46の搬送路を切り替える切替爪(図示省略)とを備えている。また、搬送路切替ユニット61は、この切替爪によって転写紙46が左側(図8において左側)に導かれたとき、転写紙46を左側に搬送して機外の排紙トレイ81に導く複数の排紙ローラ75と、切替爪によって転写紙46が下側(図8において下側)に導かれたとき、これを反転/両面ユニット57に導く反転/両面入紙ローラ76と、反転/両面ユニット57により反転された転写紙46を排紙トレイ81に導く反転排紙ローラ78とを備えている。搬送路切替ユニット61は、定着ユニット60から搬送されてきた転写紙46を取り込むとともに、システムコントローラの指示に基づき切替爪によって搬送方向を切り替えて、そのまま排紙トレイ81導いたり、反転/両面ユニット57に導いたりする。例えばステープルモードを行わない場合、転写紙46は排紙トレイ81に排紙される。
【0060】
反転/両面ユニット57は、搬送路切替ユニット61から供給された転写紙46を取り込んだ後で逆方向に搬送して転写紙46の表裏を反転させる反転ローラ77と、反転済みの転写紙46を給紙装置8の縦搬送ユニット54に供給する再給紙ローラ79とを備えている。反転/両面ユニット57は、システムコントローラから反転排紙指示が出力されているとき、搬送路切替ユニット61から供給された転写紙46を取り込んだ後で、反転ローラ77によって転写紙46の搬送方向を反転(スイッチバック)させ、反転排紙ローラ78によって反転済みの転写紙46を排紙トレイ81に排出する。また、反転/両面ユニット57は、システムコントローラから両面入紙指示が出力されているとき、搬送路切替ユニット61から供給された転写紙46を取り込んだ後で、反転ローラ77によって転写紙46の搬送方向を反転させ、再給紙ローラ79によって反転済みの転写紙46を給紙装置8の縦搬送ユニット54に供給する。
【0061】
制御基板62は、画像形成装置1全体の動作を制御するシステムコントローラを備えており、予め設定されているプログラムに基づき装置各部の動作を制御して、原稿画像の読み取り処理やプリント処理などを行わせる。
【0062】
以上説明した本実施形態の原稿読取装置及び画像形成装置の作用と効果をまとめると以下のようになる。
【0063】
本実施形態の原稿読取装置によれば、各ラインセンサにおける同一主走査画素の読み取りデータを副走査方向に比較し、読み取りデータの差がある閾値以上であり、かつ、その状態が連続するライン数がある値かを検出する。これにより、副走査方向のわずかなライン数を検出することで、原稿上の縦線と読み取り面のゴミによる縦すじを判別することができる。すなわち、原稿をスキューさせた場合の原稿上の縦線と読み取り面のゴミによる縦すじを、短時間でかつ誤検出を少なく判別できる。
【0064】
また、本実施形態の原稿読取装置によれば、ゴミであると検知した画像データについて、画像読み取りの最中にその原稿の地肌データと置き換える。これにより、読み取り面のゴミによる縦すじを削除できることができる。
【0065】
また、本実施形態の原稿読取装置によれば、原稿の搬送速度を可変とする。これにより、読み取りデータの差が継続するライン数も速度に応じて変化するので、ゴミによる縦すじと原稿上の縦線の判別をより正確にすることができる。
【0066】
また、本実施形態の原稿読取装置によれば、原稿を斜め読みさせる角度を可変とする。これにより、読み取りデータの差が発生する画素数が角度に応じて変化するので、ゴミによる縦すじと原稿上の縦線の判別をより正確にすることができる。
【0067】
また、本実施形態の原稿読取装置によれば、原稿を斜めにしたことあるいは搬送速度を変えたことによる画像を、画像処理によって各画素のデータを位置的に移動させる。これにより、画像の傾きおよび副走査方向の伸び縮みや読み取りデータの差のない、元の画像に復元することができる。
【0068】
また、本実施形態の原稿読取装置によれば、複数のラインセンサがカラーラインセンサであり、同一主走査位置における各ラインセンサの読み取りデータの差が各色の出力値である。これにより、特にカラーの場合に、ゴミによる縦すじと原稿上の縦線の判別をより正確にすることができる。
【0069】
また、本実施形態の原稿読取装置によれば、表面読み取り用の読取手段と、裏面読み取り用の読取手段を用いて原稿の両面同時読み取りを可能とし、原稿の表裏それぞれの画像に対してゴミによる縦すじと原稿上の縦線の判別ができるとともに、表裏とも共通の比較、検出、処理を行う。これにより、画像データの扱いや処理回路も共通にできるので、コストを削減することができる。
【0070】
また、本実施形態の画像読取装置を画像形成装置に搭載する。これにより、画像形成装置においても、上述した本実施形態の原稿読取装置と同様の効果を得ることができる。
【0071】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。
【0072】
例えば、上述した実施形態における動作は、ハードウェア、または、ソフトウェア、あるいは、両者の複合構成によって実行することも可能である。
【0073】
ソフトウェアによる処理を実行する場合には、処理シーケンスを記録したプログラムを、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ内のメモリにインストールして実行させてもよい。あるいは、各種処理が実行可能な汎用コンピュータにプログラムをインストールして実行させてもよい。
【0074】
例えば、プログラムは、記録媒体としてのハードディスクやROM(Read Only Memory)に予め記録しておくことが可能である。あるいは、プログラムは、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory),MO(Magneto optical)ディスク,DVD(Digital Versatile Disc)、磁気ディスク、半導体メモリなどのリムーバブル記録媒体に、一時的、あるいは、永続的に格納(記録)しておくことが可能である。このようなリムーバブル記録媒体は、いわゆるパッケージソフトウエアとして提供することが可能である。
【0075】
なお、プログラムは、上述したようなリムーバブル記録媒体からコンピュータにインストールする他、ダウンロードサイトから、コンピュータに無線転送してもよい。または、LAN(Local Area Network)、インターネットといったネットワークを介して、コンピュータに有線で転送してもよい。コンピュータでは、転送されてきたプログラムを受信し、内蔵するハードディスク等の記録媒体にインストールすることが可能である。
【0076】
また、上記実施形態で説明した処理動作に従って時系列的に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力、あるいは、必要に応じて並列的にあるいは個別に実行するように構築することも可能である。
【符号の説明】
【0077】
1 画像形成装置
2 装置匡体
3 自動原稿送り装置
4 画像読み取り装置
5 画像作成装置
7 操作装置
8 給紙装置
9 送り装置匡体
10 原稿台
11 原稿セット検知センサ
12 給送ローラ
13 ローラ
14 給送ベルト
15 給送機構
16 排紙部
17 排送ローラ
18 コンタクトガラス
19 第1キャリッジ
20 光源
21 第1ミラー
22 第2キャリッジ
23 第2ミラー
24 第3ミラー
25 レンズ
26 CCDイメージセンサ
46 転写紙
47 第1給紙トレイ
48 第2給紙トレイ
49 第3給紙トレイ
50 第1給紙ユニット
51 第2給紙ユニット
52 第3給紙ユニット
53 搬送ローラ
54 縦搬送ユニット
55 レジストローラ
56 書込み光学ユニット
57 反転/両面ユニット
58 顕像化ユニット
59 紙転写ユニット
60 定着ユニット
61 搬送路切替ユニット
62 制御基板
63 レーザー出力ユニット
64 レンズ群
65 ミラー
66 感光体
67 現像ユニット
68 紙転写バイアスローラ
69 駆動ローラ
70 搬送ベルト
71 定着ローラ
72 加圧ローラ
73 取込みローラ
75 排紙ローラ
76 反転/両面入紙ローラ
77 反転ローラ
78 反転排紙ローラ
79 再給紙ローラ
81 排紙トレイ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0078】
【特許文献1】特開2006−33530号公報
【特許文献2】特開2006−229719号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を副走査方向に自動搬送する自動原稿送り機構と、前記自動原稿送り機構により搬送される原稿を照射する光源と、前記光源により照射された原稿からの反射光を画像信号に光電変換する光電変換部材と、前記光電変換部材により変換された画像信号をデジタル変換する変換器とを備え、前記光電変換部材は副走査方向に並列に配置した複数のラインセンサからなり、前記複数のラインセンサ間の副走査方向の位置ずれを補正するライン補正手段を備えた原稿読取装置であって、
前記自動原稿送り機構により搬送される原稿が、前記複数のラインセンサに対して予め設定される角度に傾けられて予め設定される速度で搬送された場合に、前記複数のラインセンサにおける同一主走査画素の読み取りデータを副走査方向に比較して前記複数のラインセンサの読み取りデータの差を検出し、前記読み取りデータの差の状態が所定のライン数分連続するかを判断することで、前記読み取りデータが、前記原稿上の縦線であるのか、又は、ゴミによる縦すじであるのかを判別するゴミ検知手段を備えることを特徴とする原稿読取装置。
【請求項2】
前記ゴミ検知手段は、
前記読み取りデータの差の状態が所定のライン数分連続する場合、前記読み取りデータを前記原稿上の縦線であると判別し、
前記読み取りデータの差の状態が所定のライン数分連続しない場合、前記読み取りデータをゴミによる縦すじであると判別することを特徴とする請求項1記載の原稿読取装置。
【請求項3】
前記ゴミ検知手段により前記読み取りデータがゴミによる縦すじであると判別された場合に、前記読み取りデータを白データ又は地肌データに置き換えることで削除するデータ削除手段を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の原稿読取装置。
【請求項4】
前記自動原稿送り機構により前記予め設定される角度に傾けられて前記予め設定される速度で搬送された原稿の読み取りデータに対し、前記予め設定される角度及び予め設定される速度に基づいて画素を移動させる補正を行う画像データ移動手段を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の原稿読取装置。
【請求項5】
原稿の表面と裏面を同時に読み取る両面同時読取機構を備え、
前記ゴミ検知手段、前記データ削除手段及び前記画像データ移動手段は、
前記両面同時読取機構により読み取られた表面の読み取りデータ及び裏面の読み取りデータのそれぞれに対し、共通の処理を行うことを特徴とする請求項4記載の原稿読取装置。
【請求項6】
前記予め設定される角度及び前記予め設定される速度の少なくとも一方は可変であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の原稿読取装置。
【請求項7】
前記複数のラインセンサは、3ライン又はそれを含む4ライン以上のカラーラインセンサであり、
前記同一主走査画素の読み取りデータは、複数色の読み取りデータであることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の原稿読取装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の原稿読取装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−171992(P2011−171992A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−33638(P2010−33638)
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】