説明

双方向電力変換回路

【課題】異なる直流電圧間で双方向に電力の変換を行う。
【解決手段】低電圧バッテリー11と第1のリアクトルL1との直列回路が、MERS100の第1の交流端子AC1に接続される。コンデンサCCが、MERS100の直流端子DCPとDCNとの間に接続される。MERS100の第2の交流端子AC2に、第2のリアクトルL2と第5のスイッチSWと、ローパスフィルタL3,C3と、を介して高電圧バッテリー12が接続される。制御回路13は、低電圧バッテリ11から高電圧バッテリー12を充電する際には、第2と第3のスイッチSW2、SW3を同期してスイッチングし、高電圧バッテリー12から低電圧バッテリー11を充電する際には、第5のスイッチSWを常時オンし、第1のスイッチSW1をスイッチングする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、双方向電力変換回路に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車などに代表される電力蓄積のための二次電池技術は進歩し続け、小型で大電力を蓄えられるようになってきた。また、二次電池技術の進歩に伴い充電技術も進歩しつづけている。
【0003】
しかしながら、二次電池は、物理的な大きさ・出力電圧などが製造者によっても商品によってもばらつきがあり、インフラとして利用するには統一感に乏しい。これは、各二次電池が、使用対象に最適化された設計がされているためで、二次電池の充放電回路も、それぞれの二次電池に応じた最適化された設計がされているのが現状である。
【0004】
また、省資源・省エネルギーのためには、二次電池を柔軟に利用でき、効率的に充放電できるようにしなければならない。このような観点から、二次電池の充放電用に、様々な充電放回路が提案されている。
【0005】
例えば、充電時には、AC/DC変換器として機能し、放電時には、DC/AC変換器として機能する電力回生装置が特許文献1に開示されている。また、系統電源で主二次電池と補助二次電池を共に充電できる回路が特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−272121号公報
【特許文献2】特開2008−312395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、二次電池の充電時に、交流電源が確保できるとは限らず、二次電池を、異なる規格電圧の二次電池で充電できる充放電回路が望まれている。また、特許文献1及び2に開示された回路は、構成が複雑なため、より簡易な回路構成が望まれる。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、異なる直流電圧間で、高電圧から低電圧へ、または、低電圧から高電圧へ、双方向に電力変換が可能で、構成の簡易な双方向電力変換回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、この発明の双方向電力変換回路は、
第1の電池に直列に接続された第1のリアクトルと、
第2のリアクトルと、
前記第2のリアクトルと第2の電池と直列に接続された半導体スイッチと、
第1と第2の交流端子と、第1と第2の直流端子と、第1から第4のダイオードと、第1から第3の自己消弧型素子と、コンデンサとを備え、前記第1の交流端子には前記第1のダイオードのアノードと前記第2のダイオードのカソードが、前記第1の直流端子には前記第1のダイオードのカソードと前記第3のダイオードのカソードと前記コンデンサの一方の極が、前記第2の直流端子には前記第2のダイオードのアノードと前記第4のダイオードのアノードと前記コンデンサの他方の極が、前記第2の交流端子には前記第3のダイオードのアノードと前記第4のダイオードのカソードとが接続され、前記第1のダイオードに前記第1の自己消弧型素子が、前記第2のダイオードに前記第2の自己消弧型素子が、前記第3のダイオードに前記第3の自己消弧型素子が並列に接続され、前記第1の交流端子と前記第2の直流端子の間に前記第1の電池と第1のリアクトルの直列回路を接続され、前記第2の交流端子と前記第2の直流端子の間に前記第2の電池と前記第2のリアクトルと前記半導体スイッチとの直列回路を接続された磁気エネルギー回生スイッチと、
前記半導体スイッチと前記第1乃至第3の自己消弧型素子とに制御信号を与える制御回路と、
を備え、
前記制御回路は、
前記第1の電池を用いて、前記第1の電池の電圧よりも電圧の高い前記第2の電池を充電する際に、前記第2と第3の自己消弧型素子を同期してスイッチングし、
前記第2の電池を用いて、該第2の電池よりも電圧の低い前記第1の電池を充電する際に、前記半導体スイッチをオンに保持し、前記第1の自己消弧型素子をスイッチングする、
ことを特徴とする。
【0010】
前記制御回路は、例えば、前記制御信号のデューティ比を制御する機能を備える。
【0011】
前記半導体スイッチは、例えば、スイッチング用の半導体素子とダイオードとが並列に接続された構成をしている。或いは、前記半導体スイッチは、例えば、逆阻止能力を持たない逆導通型の半導体素子、またはサイリスタを要素とした回路から構成されてもよい。
【0012】
また、前記第4のダイオードに並列に接続された第4の自己消弧型素子を更に備えてもよい。
【0013】
例えば、前記各自己消弧型素子は逆導通型半導体スイッチであり、前記各ダイオードは、並列に接続された前記各自己消弧型素子に内蔵された寄生ダイオードである。
【0014】
前記第4の半導体スイッチと前記第2の電池との間に、高周波カット用のフィルタを配置してもよい。
【発明の効果】
【0015】
簡単な構成の回路で、高電圧から低電圧へ、または、低電圧から高電圧に双方向に電力変換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の一実施形態の双方向電力変換回路の構成を示す回路図である。
【図2】(a)図1の双方向電力変換回路において、低電圧バッテリーで高電圧バッテリーを充電する際の、制御回路の機能構成を示す図である。(b)図1の双方向電力変換回路において、低電圧バッテリーで高電圧バッテリーを充電する際の、制御回路の出力するゲート信号を示す図である。
【図3】(a)図1の双方向電力変換回路において、高電圧バッテリーで低電圧バッテリーを充電する際の、制御回路の機能構成を示す図である。(b)図1の双方向電力変換回路において、高電圧バッテリーで低電圧バッテリーを充電する際の、制御回路の出力するゲート信号を示す図である。
【図4】図1の双方向電力変換回路において、低電圧バッテリーで高電圧バッテリーを充電する際の、動作を説明するための図である。
【図5】図1の双方向電力変換回路において、低電圧バッテリーで高電圧バッテリーを充電する際の、動作を説明するための図である。
【図6】図1の双方向電力変換回路において、高電圧バッテリーで低電圧バッテリーを充電する際の、動作を説明するための図である。
【図7】図1に示す双方向電力変換回路の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態に係る好適な双方向電力変換装置を図面を参照しつつ説明する。
【0018】
本実施形態に係る双方向電力変換回路10は、低電圧バッテリー11と、高電圧バッテリー12とを相互に充電するための回路であり、図1に示すように、磁気エネルギー蓄積用のリアクトルL1及びL2と、平滑用のリアクトルL3と、フルブリッジ型MERS100と、逆導通型半導体スイッチSWと、平滑用のコンデンサCCと、制御回路13とを備える。
フルブリッジ型MERS100は、4つの逆導通型半導体スイッチSW1乃至SW4と、交流端子AC1,AC2と、直流端子DCP,DCNと、コンデンサCMと、から構成される。
【0019】
フルブリッジ型MERS100の逆導通型半導体スイッチSW1乃至SW4は、ダイオード部DSW1乃至DSW4と、ダイオード部DSW1乃至DSW4に並列に接続されたスイッチ部SSW1乃至SSW4と、スイッチ部SSW1乃至SSW4に配置されたゲートGSW1乃至GSW4と、から構成される。
交流端子AC1にはダイオード部DSW1のアノードとダイオード部DSW2のカソードとが、直流端子DCPにはダイオード部DSW1のカソードとダイオード部DSW3のカソードとコンデンサCMの正極とが、直流端子DCNにはダイオード部DSW2のアノードとダイオード部DSW4のアノードとコンデンサCMの負極とが、交流端子AC2にはダイオード部DSW3のアノードとダイオード部DSW4のカソードとが接続されている。
逆導通型半導体スイッチSW1乃至SW4のスイッチ部SSW1乃至SW4は、ゲートGSW1乃至SW4に入力されるゲート信号SG1乃至SG4によってオン・オフが切り替わる。
スイッチ部SSW1乃至SSW4がオンになると、ダイオード部DSW1乃至DSW4が短絡され、逆導通型半導体スイッチSW1乃至SW4がオンになる。スイッチ部SSW1乃至SSW4がオフになると、ダイオード部DSW1乃至DSW4が機能し、逆導通型半導体スイッチSW1乃至SW4はオフになる。
逆導通型半導体スイッチSW1乃至SW4は、例えば、Nチャンネル型シリコンMOSFET(MOSFET:Metal−Oxide−Semiconductor Field−Effect Transistor)である。
【0020】
低電圧バッテリー11は、定格100Vの二次バッテリーである。
低電圧バッテリー11の等価回路は直流電圧源21と内部抵抗R1の直列回路で表現される。低電圧バッテリー11とリアクトルL1とは直列に接続され、この直列回路は、交流端子AC1と直流端子DCNの間に接続されている。
【0021】
リアクトルL2の一端が、交流端子AC2に接続されている。
リアクトルL2の他端が逆導通型半導体スイッチSWの一端に接続されている。逆導通型半導体スイッチSWは、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)であるスイッチ部SSWとダイオードであるダイオード部DSWとから構成される。スイッチ部SSWのコレクタとダイオード部DSWのアノードとが接続されて逆導通型半導体スイッチSWの一端となり、スイッチ部SSWのエミッタとダイオード部DSWのカソードとが接続されて逆導通型半導体スイッチSWの他端となる。スイッチ部SSWはゲートGSWを備え、スイッチ部SSWのオン・オフは、ゲートGSWに入力されるゲート信号SGにより切り替わる。
逆導通型半導体スイッチSWは、低電圧バッテリー11から高電圧バッテリー12に向かう電流に関しては、常時オン、高電圧バッテリー12から低電圧バッテリー11に向かう電流に関してはオン・オフを切り替える。
【0022】
リアクトルL3の一端が、逆導通型半導体スイッチSWの他端に接続されている。
コンデンサCCの一端が、逆導通型半導体スイッチSWの他端とリアクトルL3の一端との接続ノードに接続されている。リアクトルL3とコンデンサCCとは、高周波成分が抑制されるローパスフィルタとして機能する。
【0023】
高電圧バッテリー12は、例えば、定格1500Vの二次バッテリーである。
高電圧バッテリー12の等価回路は直流電圧源22とバッテリーの内部抵抗R2との直列回路で表現され、高電圧バッテリー12は、リアクトルL3と直列に接続されている。
【0024】
低電圧バッテリー11と高電圧バッテリー12の陰極、フルブリッジ型MERS100の直流端子DCN、コンデンサCMの他端、コンデンサCCの他端は、基準電圧ライン(例えば、接地ライン)により相互に接続されている。
【0025】
制御回路13は、逆導通型半導体スイッチSW1〜SW4,SWのオン・オフ制御することにより、低電圧バッテリー11から高電圧バッテリー12への充電、及び、高電圧バッテリー12から低電圧バッテリー11への充電を制御する。
【0026】
低電圧バッテリー11から高電圧バッテリー12を充電する場合、制御回路13は、図2(a),図2(b)に示すように、逆導通型半導体スイッチSW2,SW3のスイッチ部SSW2,SSW3のゲートGSW2,GSW3に、所定の周波数、例えば、2キロHz、デューティ比0.9のゲート信号SG2,SG3を出力し、スイッチ部SSW2,SSW3とを同じタイミングでオン・オフする。一方、制御回路13は、逆導通型半導体スイッチSW,SW1,SW4のスイッチ部SSW,SSW1,SSW4のゲートGSW,GSW1,GSW4に、常時ローレベルのゲート信号SG,SG1,SG4を出力し、スイッチ部SSW,SSW1,SSW4を常時オフにする。
【0027】
一方、高電圧バッテリー12から低電圧バッテリー11を充電する場合、制御回路13は、図3(a),図3(b)に示すように、スイッチSW2,SW3,SW4のスイッチ部 SSW2,SSW3,SSW4のゲートGSW2,GSW3,GSW4には、常時ローレベルのゲート信号SG2,SG3,SG4を出力し、スイッチ部SSW2,SSW3,SSW4を常時オフにする。一方、制御回路13は、逆導通型半導体スイッチSW1のスイッチ部SSW1のゲートGSW1には、1キロHzで、デューティ比0.1のゲート信号SG1を出力し、スイッチ部SSW1をオフ・オフ制御する。また、制御回路13は、スイッチSWのスイッチ部SSWのゲートには、ハイレベルのゲート信号SGWを出力し、スイッチ部SSWを常時オンにする。
【0028】
次に、上記構成を有する双方向電力変換回路10の動作を説明する。
まず、低電圧バッテリー11の電力を用いて、高電圧バッテリー12を充電する動作について説明する。
この場合、制御部13は、前述のように、スイッチ部SSW2,SSW3のゲートには、所定の周波数、例えば、2キロHzで、ディーティ0.9の交番信号を出力する。
ゲート信号SG2がハイレベルになると、スイッチ部SSW2がオンになる。すると、図4に示すように、低電圧バッテリー11を電源として、リアクトルL1、逆導通型半導体スイッチSW2に、電流I1が流れ、リアクトルL1に磁気エネルギーを蓄積する。
【0029】
続いて、ゲート信号SG2がローレベルになると、スイッチ部SSW2がオフし、電流I1の流路を遮断する。このため、図5に示すように、リアクトルL1に蓄積されていた磁気エネルギーにより、リアクトルL1が昇圧電源となって、逆導通型半導体スイッチSW1のダイオード部DSW1,コンデンサCM、を介して電流I3が流れ、コンデンサCMを充電する。このときの充電電圧は、ゲート信号SG2のデューティ比により定まり、この例では、1500V以上に達する。
【0030】
再び、ゲート信号SG2がハイレベルになると、スイッチ部SSW2がオンし、電流I1が流れ、リアクトルL1に磁気エネルギーを蓄積する。続いて、ゲート信号SG2がローレベルになると、スイッチ部SSW2がオフし、電流I3が流れて、コンデンサCMが充電される。
【0031】
コンデンサCMの充電電圧が、高電圧バッテリー12の電圧よりも高くなると、ゲート信号SG3がハイレベルになって逆導通型半導体スイッチSW3のスイッチ部SSW3がオンした際に、図4に示すように、コンデンサCMを電源として、逆導通型半導体スイッチSW3,リアクトルL2、逆導通型半導体スイッチSWのダイオード部DSW、リアクトルL3、を介して、電流I2が流れ、高電圧バッテリー12を充電する。この際、高周波ノイズは、リアクトルL3とコンデンサCCとで構成されるローパスフィルタによりカットされる。
【0032】
続いて、ゲート信号SG3がローレベルになってスイッチSW3のスイッチ部SSW3がオフになると、電流I2が遮断される。
電流I2が遮断された時、リアクトルL2に磁気エネルギーが残っている場合、リアクトルL2に蓄積された磁気エネルギーにより、図5に示すように、電流I4が、逆導通型半導体スイッチSWのダイオード部DSW,リアクトルL3,高電圧バッテリー12,スイッチSW4のダイオード部DSW4を介して流れ、高電圧バッテリー12を充電する。この際、高周波ノイズは、リアクトルL3とコンデンサCCの構成するローパスフィルタによりカットされる。
リアクトルL2に磁気エネルギーが残っていない場合は、電流I4は流れない。
【0033】
以後、逆導通型半導体スイッチSW2,SW3のオン・オフに応じて、同様の動作が繰り替えされ、コンデンサCMから高電圧バッテリー12に充電され、コンデンサCMの電圧と高電圧バッテリー12の電圧がほぼ等しくなった時点で、高電圧バッテリー12への充電が終了する。
【0034】
次に、高電圧バッテリー12の電力を用いて、低電圧バッテリー11を充電する動作について説明する。
この場合、制御部13は、前述のように、逆導通型半導体スイッチSWのスイッチ部SSWのゲートGSWに、ハイレベルのゲート信号SGWを出力し、スイッチ部SSW1のゲートGSW1に所定の周波数、例えば、1キロHzのゲート信号をデューティ比0.1で出力し、スイッチ部SSW2,SSW3,SSW4のゲートGSW2,GSW3,GSW4にはローレベルのゲート信号SG2,SG3,SG4を出力する。
【0035】
これにより、逆導通型半導体スイッチSWが常時オンとなり、図6に示すように、高電圧バッテリー12の陽極から、リアクトルL3,逆導通型半導体スイッチSW,リアクトルL2,逆導通型半導体スイッチSW3のダイオード部DSW3、を介して、コンデンサCMに電流I5が流れ、コンデンサCMが充電される。
一方、逆導通型半導体スイッチSW1のスイッチ部SSW1がオン・オフを繰り返すため、コンデンサCMを電源として、リアクトルL1,低電圧バッテリー11を介して、電流I6が流れる。このとき、逆導通型半導体スイッチSW1のオン・オフとリアクトルL1の作用により電流が抑えられ、降圧された電圧が低電圧バッテリー11に印加される。換言すれば、コンデンサCMの充電電圧を逆導通型半導体スイッチSW1で行うチョッパ動作により降圧して、低電圧バッテリー11に印加することにより、低電圧バッテリー11を充電する。
【0036】
このようにして、図1に示す構成の双方向電力変換回路によれば、低電圧バッテリー11に蓄積された電力を用いて高電圧バッテリー12を充電し、高電圧バッテリー12に蓄積された電力を用いて低電圧バッテリー11を充電することができる。しかも、回路構成を変更することなく、種々の電圧のバッテリーを相互に充電することができる。また、ゲート信号のデューティ比を調整するだけで任意の電圧のバッテリーの組み合わせで充放電を行うことができる。
【0037】
なお、この発明は、上記実施の形態に限定されず、種々の変形及び応用が可能である。
例えば、図1の回路を図7に示すように、極性を変更することも可能である。この場合も、制御回路13が各スイッチ部のゲートに供給するゲート信号は、図2,図3に示したゲート信号と同じである。
【0038】
また、逆導通型半導体スイッチSW4はスイッチングを行わない。このため、スイッチ部SSW4はなくてもよい。同様の理由で、逆導通型半導体スイッチSW4をダイオードに変更してもよい。
【0039】
例えば、逆導通型半導体スイッチは、NチャンネルMOSFETに限定されない。例えば、逆導通型半導体スイッチは、通常のバイポーラトランジスタとダイオードとを逆並列接続した構成でもよい。また、FET(Field Effect Transistor)、から逆導通型半導体スイッチを構成してもよい。さらに、サイリスタから構成してもよい。その他、任意のスイッチング用の半導体素子と還流用ダイオードを逆並列に接続したもの、例えば、製造時に寄生ダイオードが内蔵されているパワーMOSFETなどの、逆阻止能力を持たない逆導通型の半導体素子から構成したもの、などを逆導通型半導体スイッチとして使用可能である。
【0040】
また、電力を供給される側のバッテリーのかわりに負荷を接続することも可能である。
また、実施形態に記載した構成の全てを備える必要はなく、所期の目的を達成できるならば、一部の構成の組み合わせであってもよい。
【符号の説明】
【0041】
10 双方向電力変換回路
11 低電圧バッテリー
12 高電圧バッテリー
13 制御回路
L1,L2,L3 リアクトル
CC,CM コンデンサ
SW 半導体スイッチ
SW、SW1、SW3、SW2、SW4 逆導通型半導体スイッチ
SSW、SSW1、SSW3、SSW2、SSW4 スイッチ部
SG、SG1、SG3、SG2、SG4 ゲート信号
DSW、DSW1、DSW3、DSW2、DSW4 ダイオード部
R1,R2 内部抵抗
AC1,AC2 交流端子
DCP,DCN 直流端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電池に直列に接続された第1のリアクトルと、
第2のリアクトルと、
前記第2のリアクトルと第2の電池とに直列に接続された半導体スイッチと、
第1と第2の交流端子と、第1と第2の直流端子と、第1から第4のダイオードと、第1から第3の自己消弧型素子と、コンデンサとを備え、前記第1の交流端子には前記第1のダイオードのアノードと前記第2のダイオードのカソードが、前記第1の直流端子には前記第1のダイオードのカソードと前記第3のダイオードのカソードと前記コンデンサの一方の極が、前記第2の直流端子には前記第2のダイオードのアノードと前記第4のダイオードのアノードと前記コンデンサの他方の極が、前記第2の交流端子には前記第3のダイオードのアノードと前記第4のダイオードのカソードとが接続され、前記第1のダイオードに前記第1の自己消弧型素子が、前記第2のダイオードに前記第2の自己消弧型素子が、前記第3のダイオードに前記第3の自己消弧型素子が並列に接続され、前記第1の交流端子と前記第2の直流端子の間に前記第1の電池と第1のリアクトルの直列回路を接続され、前記第2の交流端子と前記第2の直流端子の間に前記第2の電池と前記第2のリアクトルと前記半導体スイッチとの直列回路を接続された磁気エネルギー回生スイッチと、
前記半導体スイッチと前記第1乃至第3の自己消弧型素子とに制御信号を与える制御回路と、
を備え、
前記制御回路は、
前記第1の電池を用いて、前記第1の電池の電圧よりも電圧の高い前記第2の電池を充電する際に、前記第2と第3の自己消弧型素子を同期してスイッチングし、
前記第2の電池を用いて、該第2の電池よりも電圧の低い前記第1の電池を充電する際に、前記半導体スイッチをオンに保持し、前記第1の自己消弧型素子をスイッチングする、
ことを特徴とする双方向電力変換回路。
【請求項2】
前記制御回路は、前記制御信号のデューティ比を制御する機能を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の双方向電力変換回路。
【請求項3】
前記半導体スイッチは、スイッチング用の半導体素子とダイオードとが並列に接続された構成をしている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の双方向電力変換回路。
【請求項4】
前記半導体スイッチが、逆阻止能力を持たない逆導通型の半導体素子、またはサイリスタを要素とした回路である、
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の双方向電力変換回路。
【請求項5】
前記第4のダイオードに並列に接続された第4の自己消弧型素子を更に備える、
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の双方向電力変換回路。
【請求項6】
前記各自己消弧型素子は逆導通型半導体スイッチであり、前記各ダイオードは、並列に接続された前記各自己消弧型素子に内蔵された寄生ダイオードである、
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の双方向電力変換回路。
【請求項7】
前記第4の半導体スイッチと前記第2の電池との間に、高周波カット用のフィルタを備える、
ことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の双方向電力変換回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−147277(P2011−147277A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−6311(P2010−6311)
【出願日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(507149648)株式会社MERSTech (22)
【Fターム(参考)】