説明

反射型発光ダイオード、反射型フォトダイオード、送受光モジュール、送受光方法及び物体検知装置

【課題】 正常な出力光からずれた2次ピークを除去し、正常な出力光のみを放出する。
【解決手段】 支持体11の側壁11bの内壁面11dは反射面13の傾斜した他方の側に対応する下端部が反射面13の中心側に片寄るように近接し、上端部が反射面13の中心側から離隔するように傾斜し、発光ダイオード素子15から出射され反射面13で反射された反射光は内壁面11dに当たることなく、外部に放出され、2次ピークが放出されることない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード素子から凹面状の反射面に向けて光を出射し、反射面から反射される光線を外部に放出する反射型発光ダイオード、この反射型発光ダイオードからの光線を受光する反射型フォトダイオード、前記反射型発光ダイオードと反射型フォトダイオードを用いた送受光モジュール、送受光方法及び物体検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
反射型発光ダイオードは、発光ダイオード素子から出射される光を凹面状の反射面で反射して、ほぼ平行で指向性のある光線として外部に放出するものであるため、光線の放出方向を所望の方向に制御でき、例えば検知システムなどの種々の用途に応用することができる。図10(a)および(b)は、この種の従来の反射型発光ダイオードの断面図および平面図である。なお、図10(a)は、図10(b)の線A−Aに沿った断面図である。
【0003】
図10(a)および(b)に示す従来の反射型発光ダイオード100は、支持体11の底部に凹面状の反射面13を有し、この反射面13の上方中央部に発光ダイオード素子15が素子マウント側リード17の先端部、すなわち素子マウント側リード17の中心側先端部の下側に取り付けられ、この発光ダイオード素子15の光出射面15aは、反射面13に対向するように下方を向いている。従って、発光ダイオード素子15の光出射面15aから出射された光は、下方の反射面13に当たって反射され、ほぼ平行で指向性のある光線として支持体11の開口部11aから外部に放出される。
【0004】
なお、支持体11は、底部の反射面13に対向する上部が開口して開口部11aを形成しているが、この開口部11aと反射面13との間には、外部よりも屈折率の大きい透明な樹脂19が充填されている。また、素子マウント側リード17は、反射面13の上方中央部から支持体11の一方の側壁11bに向けて水平に直線状に延びているが、このように延びた素子マウント側リード17は、その途中が支持体11の一方の側壁11bに形成された溝に嵌合されて固定されてから、側壁11bに沿って下方に延び、更に支持体11の下面に沿うように折曲している。
【0005】
更に、支持体11の反射面13の上方中央部寄りの部分、すなわち素子マウント側リード17の先端部に近い部分から斜めに支持体11の他方の側壁11cに向けて水平に延びるワイヤ接続側リード21も同様に、その途中が支持体11の他方の側壁11cに形成された溝に嵌合されて固定されてから、側壁11cに沿って下方に延び、更に支持体11の下面に沿うように折曲している。なお、素子マウント側リード17の先端部の下側に取り付けられた発光ダイオード素子15とワイヤ接続側リード21の先端部、すなわち反射面13の上方中央部寄りの部分のワイヤ接続側リード21の中心側先端部との間は、図示しないワイヤでボンディングされている。
【0006】
また、支持体11の側壁11b、11cは、内壁面が反射面13の周縁部から開口部11aの周縁部に向かって真っすぐ立ち上がるように形成されている。そして、前記反射面13は、発光ダイオード素子15を中心として当該反射面13の周縁部の一方の側が上方となり、この一方の側に対向する他方の側が下方となるように傾斜している。なお、図10において、反射面13を示す線が2本図示されているが、この2本の線うち、下側の線は反射面13の底を図示するものであり、上側の線は反射面13の凹面状にせり上がった周縁部を示すものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4475109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、従来の反射型発光ダイオード100は、側壁11b、11cの内壁面が真っすぐ立ち上がり、対向する内壁面同士が平行であるように形成されている。そのため従来の反射型発光ダイオード100にあっては、発光ダイオード素子15の光出射面15aから出射された光が反射面13に当たって反射されると、この反射光は、すべてが開口部11aから直接、外部に放出されるものでなく、反射光の一部は、図11において符号200で示すように、側壁11bの内壁面に当たって更に反射され外部に放出される。このように側壁11bの内壁面で更に反射されて外部に放出された反射光は、後述する図3において符号201、203で示すような本来の目的とする正常な出力光でなく、この正常な出力光からずれた位置に図3で符号205で示すような2次ピークとして現れることになる。そのため、例えば検知システムなどでは誤動作の原因となる可能性も指摘され、このような2次ピークを除去することが要望されている。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、正常な出力光からずれた2次ピークを除去し、正常な出力光のみを放出し得る反射型発光ダイオードを提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、前記反射型発光ダイオードからの光線を受光する反射型フォトダイオード、前記反射型発光ダイオードと反射型フォトダイオードとを用いた送受光モジュール、送受光方法及び物体検知装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を達成するため、請求項1記載の反射型発光ダイオードは、底壁に凹面状の反射面が形成された有底開口の支持体と、この支持体反射面上方の焦点位置を横切って水平に延びる素子マウント側リードと、この素子マウント側リードに隣接して前記支持体反射面の上方に水平に延びるワイヤ接続側リードと、前記凹面状反射面の焦点位置の前記素子マウント側リード上に搭載された発光ダイオード素子と、この発光ダイオード素子と前記ワイヤ接続側リードとの間にボンディングされたワイヤとを備え、前記反射面は、前記発光ダイオード素子を中心として当該反射面の周縁部の一方の側が上方となり、他方の側が下方となるように傾斜させると共に、前記支持体の内壁面が、前記反射面の他方の側は上方に向かって広がるように傾斜して開口する立ち上がりの壁面形状を具備してなることを要旨とする。
【0012】
請求項1記載の反射型発光ダイオードでは、支持体の側壁の内壁面は反射面の傾斜した他方の側に対応する下端部が反射面の中心側に片寄るように近接し、上端部が反射面の中心側から離隔するように傾斜しているため、発光ダイオード素子から出射され反射面で反射された反射光は内壁面に当たることなく、また再度反射されることなく、本来の正常な出力光として、本来の正常な位置において、2次ピークが出現することなく外部に放出され、例えば本反射型発光ダイオードを検知装置などに応用した場合には、2次ピークによる誤動作を防止することができる。
【0013】
請求項2記載の反射型発光ダイオードは、前記反射面と前記支持体開口部との間の空間に外部よりも屈折率の大きい透明な樹脂が充填され、前記発光ダイオード素子から出射された光のうち前記支持体の傾斜面内壁面に直接入射し開口部に向かう反射光は、前記空間と外部との間の境界面に対して臨界角以上で反射され外部への放出を阻止し反射面に向け偏向することを要旨とする。
【0014】
請求項3記載の反射型フォトダイオードは、底壁に凹面状の反射面が形成された有底開口の支持体と、この支持体反射面上方の焦点位置を横切って水平に延びる素子マウント側リードと、この素子マウント側リードに隣接して前記支持体反射面の上方に水平に延びるワイヤ接続側リードと、前記凹面状反射面の焦点位置の前記素子マウント側リード上に搭載されたフォトダイオード素子と、このフォトダイオード素子と前記ワイヤ接続側リードとの間にボンディングされたワイヤとを備え、前記反射面は、前記フォトダイオード素子を中心として当該反射面の周縁部の一方の側が上方となり、他方の側が下方となるように傾斜させると共に、前記支持体の内壁面が、前記反射面の他方の側は上方に向かって広がるように傾斜して開口する立ち上がりの壁面形状を具備していることを要旨とする。
【0015】
請求項4記載の送受光モジュールは、請求項1記載の反射型発光ダイオードを用いて検知領域に向け光を放出し、請求項3記載の反射型フォトダイオードを用いて検知領域の被検知体からの反射光を受光して被検知体を検知する送受光モジュールであって、基板と、この基板上に搭載された前記反射型発光ダイオードであって、発光ダイオード素子から凹面状の反射面に向けて光を出射し、反射面で反射され、ほぼ平行で指向性のある光線を検知領域に向けて放出する前記反射型発光ダイオードと、前記基板上において前記反射型発光ダイオードに所定の間隔をあけて配設される前記反射型フォトダイオードであって、前記反射型発光ダイオードから放出され被検知体で反射され入射した光線を凹面状の反射面でフォトダイオード素子に向けて反射し、該フォトダイオード素子で受光して電気信号に変換する前記反射型フォトダイオードとを有し、前記反射型発光ダイオードは、前記反射面の傾斜が前記反射型フォトダイオードの方に向き、前記傾斜した内壁面が前記反射型フォトダイオードに近接する側となるように前記基板上に実装され、前記反射型フォトダイオードは、前記反射面の傾斜が前記反射型発光ダイオードの方に向き、前記傾斜した内壁面が前記反射型発光ダイオードに近接する側となるように前記基板上に実装されることを要旨とする。
【0016】
請求項4記載の送受光モジュールでは、請求項1記載の反射型発光ダイオードと請求項3記載の反射型フォトダイオードとを前記傾斜した内壁面が互いに近接する側となるように基板上に所定の間隔をあけて並んで配設しているため、反射型発光ダイオードの発光ダイオード素子から出射され反射面で反射された反射光は内壁面に当たることなく、また再度反射されることなく、本来の正常な出力光として、本来の正常な位置において外部に放出され、2次ピークが放出されることなく、2次ピークによる誤動作を防止することができる。
【0017】
請求項5記載の物体検知装置は、請求項1記載の反射型発光ダイオードを用いて検知領域に向け光を放出し、請求項3記載の反射型フォトダイオードを用いて検知領域の被検知体からの反射光を受光して被検知体を検知する送受光方法であって、前記反射型発光ダイオードの反射面の傾斜が前記反射型フォトダイオードの方に向き、前記傾斜した内壁面が前記反射型フォトダイオードに近接する側となるように設定し、前記反射型フォトダイオードの反射面の傾斜が前記反射型発光ダイオードの方に向き、前記傾斜した内壁面が前記反射型発光ダイオードに近接する側となるように設定し、前記反射型発光ダイオードの発光ダイオード素子から凹面状の反射面に向けて光を出射し、反射面から反射されるほぼ平行で指向性のある光線を検知領域に向けて放出し、この放出され被検知体から反射されてくる光線を前記反射型フォトダイオードの凹面状の反射面でフォトダイオード素子に向けて反射し、該フォトダイオード素子で受光して電気信号に変換し、この電気信号に基づき被検知体を検知することを要旨とする。
【0018】
請求項5記載の物体検知装置では、請求項1記載の反射型発光ダイオードと請求項3記載の反射型フォトダイオードとを前記傾斜した内壁面が互いに近接する側となるように設定し、反射型発光ダイオードからの反射光を反射型フォトダイオードで受光するため、反射型発光ダイオードの発光ダイオード素子から出射され反射面で反射された反射光は内壁面に当たることなく、また再度反射されることなく、本来の正常な出力光として、本来の正常な位置において、2次ピークが出現することなく外部に放出され、2次ピークによる誤動作を防止することができる。
【0019】
請求項6記載の送受光方法は、請求項1記載の反射型発光ダイオードを用いて検知領域に向け光を放出し、請求項3記載の反射型フォトダイオードを用いて検知領域の被検知体からの反射光を受光して被検知体を検知する物体検知装置であって、前記反射型発光ダイオードにおいて発光ダイオード素子から凹面状の反射面に向けて光を出射し、反射面で反射され、ほぼ平行で指向性のある光線を検知領域に向けて放出する前記反射型発光ダイオードと、前記反射型フォトダイオードにおいて、前記反射型発光ダイオードから放出され被検知体で反射されてくる光線を凹面状の反射面でフォトダイオード素子に向けて反射し、該フォトダイオード素子で受光して電気信号に変換する前記反射型フォトダイオードと、この反射型フォトダイオードで変換された前記電気信号に基づき被検知体を検知する検知判断手段とを有し、前記反射型発光ダイオードは、前記反射面の傾斜が前記反射型フォトダイオードの方に向き、前記傾斜した内壁面が前記反射型フォトダイオードに近接する側となるように設定され、前記反射型フォトダイオードは、前記反射面の傾斜が前記反射型発光ダイオードの方に向き、前記傾斜した内壁面が前記反射型発光ダイオードに近接する側となるように設定されることを要旨とする。
【0020】
請求項6記載の送受光方法では、請求項1記載の反射型発光ダイオードと請求項3記載の反射型フォトダイオードとを前記傾斜した内壁面が互いに近接する側となるように設定し、反射型発光ダイオードからの反射光を反射型フォトダイオードで受光するため、反射型発光ダイオードの発光ダイオード素子から出射され反射面で反射された反射光は内壁面に当たることなく、また再度反射されることなく、本来の正常な出力光として、本来の正常な位置において外部に放出され、2次ピークによる誤動作を防止することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、支持体の側壁の内壁面は、反射面の傾斜した他方の側に対応する下端部が反射面の中心側に片寄るように近接し、上端部が反射面の中心側から離隔するように傾斜しているので、発光ダイオード素子から出射され反射面で反射された反射光は内壁面に当たることなく、また再度反射されることなく、本来の正常な出力光として、本来の正常な位置において外部に放出され、2次ピークが放出されることなく、例えば本反射型発光ダイオードを検知装置などに応用した場合には、2次ピークによる誤動作を防止することができる。
【0022】
また、本発明によれば、請求項1記載の反射型発光ダイオードと請求項3記載の反射型フォトダイオードとを前記傾斜した内壁面が互いに近接する側となるように設定し、反射型発光ダイオードからの反射光を反射型フォトダイオードで受光するので、反射型発光ダイオードの発光ダイオード素子から出射され反射面で反射された反射光は内壁面に当たることなく、また再度反射されることなく、本来の正常な出力光として、本来の正常な位置において外部に放出され、2次ピークによる誤動作を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施形態に係わる反射型発光ダイオードの構成を示す断面図および平面図である。
【図2】図1に示す反射型発光ダイオードにおいて発光ダイオード素子から出射される光の光路を示す図である。
【図3】図1に示す反射型発光ダイオードの出力光と従来の反射型発光ダイオードの出力光と2次ピークを示すグラフである。
【図4】本発明の第2の実施形態に係わる反射型フォトダイオードの構成を示す断面図および平面図である。
【図5】図1および図4にそれぞれ示す反射型発光ダイオードと反射型フォトダイオードとを使用した送受光モジュールの構成を示す平面図および断面図である。
【図6】図1および図4にそれぞれ示す反射型発光ダイオードと反射型フォトダイオードとを使用した送受光モジュールにおいて被検知体を検知した場合の出力光を示す図である。
【図7】図1および図4にそれぞれ示す反射型発光ダイオードと反射型フォトダイオードとを使用した送受光モジュールにおいて被検知体を検知しない場合の出力光を示す図である。
【図8】図5に示した送受光モジュールをロボットの腕に適用した場合の説明図である。
【図9】図1および図4にそれぞれ示す反射型発光ダイオードおよび反射型フォトダイオードと反射面および側壁の内壁面の傾斜方向が異なる反射型発光ダイオードおよび反射型フォトダイオードを使用した図5に類似した送受光モジュールの構成を示す平面図および断面図である。
【図10】従来の反射型発光ダイオードの構成を示す断面図および平面図である。
【図11】図10に示す反射型発光ダイオードにおいて発光ダイオード素子から出射される光の光路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を用いて、本発明を実施するための形態(以下、実施形態と称する)を説明する。
【0025】
図1(a)および(b)は、本発明の第1の実施形態に係わる反射型発光ダイオードの構成を示す断面図および平面図である。なお、図1(a)は、図1(b)の線A−Aに沿った断面図である。同図に示す反射型発光ダイオード1は、図10に示した反射型発光ダイオード100において支持体11の側壁11bの内壁面を傾斜させた点のみが異なるものであり、同じ構成要素には同じ符号を付して説明する。
【0026】
すなわち、第1の実施形態の反射型発光ダイオード1は、支持体11の底部に放物曲面を有した凹面状の銀蒸着面を形成した反射面13を有し、この底部に対向する上部に開口部11aが形成され、反射面13の周縁部から開口部11aの周縁部に向かって立ち上がって側壁11b、11cが形成され、これらの側壁11b、11cの内壁面は、直線状に立ち上がって形成されている。また、支持体11の開口部11aと反射面13との間には、外部よりも屈折率の大きい透明な樹脂19が充填されている。
【0027】
更に、素子マウント側リード17は、放物曲面を有した反射面13の上方焦点位置を横切る中央部から一方の側壁11bに向けて水平に直線状に延び、この延びた途中が支持体11の一方の側壁11bに形成された溝に嵌合されて固定されてから、側壁11bに沿って下方に延び、更に支持体11の下面に沿うように折曲している。更に、ワイヤ接続側リード21は、反射面13の上方中央部寄りの部分、すなわち素子マウント側リード17の先端部に近い部分から他方の側壁11cに向けて水平に延び、この延びた途中が支持体11の他方の側壁11cに形成された溝に嵌合されて固定されてから、側壁11cに沿って下方に延び、更に支持体11の下面に沿うように折曲している。
【0028】
発光ダイオード素子15は、その光出射面15aが反射面13に対向するように素子マウント側リード17の先端部の下面、すなわち反射面上方の中心側先端部の下面に搭載され、この発光ダイオード素子15とワイヤ接続側リード21の先端部との間には図示しないがワイヤがボンディングされている。反射面13は、発光ダイオード素子15の発光軸中心を中心として当該反射面13の周縁部の一方の側、すなわち側壁11c側の周縁部が上方となり、これに対向する他方の側である側壁11bの側が下方となるように角度θ1傾斜している。なお、この傾斜角度θ1は、好ましくは11度である。
【0029】
以上の構成は、図10に示した反射型発光ダイオード100と同じであるが、この第1の実施形態の反射型発光ダイオード1は、上記構成に加えて、支持体11の側壁11bの内壁面11dの下端部反射面13が発光ダイオード素子の発光軸中心側に片寄るように近接し、内壁面11dの上端部が反射面13の中心側から離隔するように内壁面11dがθ2傾斜していることを特徴とする。なお、この傾斜角度θ2は、好ましくは11度である。なお前記反射面13のほか支持体11の内壁面11にも銀蒸着膜が形成され入射した光を反射可能に形成している。
【0030】
このように内壁面11dを傾斜させるように構成することにより、発光ダイオード素子15の光出射面15aから出射された光の反射面13によって反射された反射光が上述したように本来の目的とする正常な出力光でない2次ピークとして外部に放出されることが防止される。
【0031】
具体的には、内壁面11dを傾斜させると、図2に示すように発光ダイオード素子15の光出射面15aから出射され反射面13で反射された反射光は、内壁面11dが図10および図11で示した従来よりも外側に傾斜しているため、内壁面11dに当たることなく、すなわち内壁面11dで再度反射されることなく外部に放出され、すなわち図3において実線201で示すように本来の正常な出力光として、本来の正常な位置において外部に放出され、図3で点線205で示すような2次ピークが放出されることがないのである。
【0032】
すなわち、図10に示した従来の反射型発光ダイオード100では、図3の点線203で示すような本来の正常な出力光以外に、上述した図11で符号200で説明した側壁11bからの異常な反射光による2次ピークが点線205のように現れていたものであるが、本実施形態のように内壁面11dを角度θ2傾斜させることにより、このような点線205で示すような2次ピークを除去できるのである。
【0033】
一方、発光ダイオード素子15の光出射面15aから反射面13に直接当たらず、光出射面15aから内壁面に直接当たって反射された反射光は、内壁面から反射面13に向かって進んで反射面13で反射され、それから更に別の部分の内壁面に当たって反射されるなどのように複数回反射してから、開口部11aに向かって外部に出ようとするが、開口部11aと反射面13との間は外部よりも屈折率の大きい透明な樹脂19が充填されているため、開口部11aに向かった光は、開口部11aと外部との間の境界面で全反射され、外部に図3に示すような2次ピーク205として放出されることがない。
【0034】
すなわち、開口部11aに向かう光の開口部11aから外部に出ようとする入射角は、樹脂19の臨界角よりも大きいため、開口部11aに向かう光は、開口部11aと外部との間の境界面で全反射され、外部に2次ピークとして放出されることがないのである。従って、開口部11aからは本来の正常な出力光でない2次ピークは、放出されず、本来の目的とする正常な出力光のみが放出されるため、例えば検知システムなどが誤動作するという問題はない。
【0035】
図4(a)および(b)は、本発明の第2の実施形態に係わる反射型フォトダイオードの構造を示す断面図および平面図である。なお、図4(a)は、図4(b)の線A−Aに沿った断面図である。
【0036】
図4(a)および(b)に示す反射型フォトダイオード2は、その構成が図1に示した第1の実施形態の反射型発光ダイオード1において発光ダイオード素子15をフォトダイオード素子に変更した点が異なるのみであり、その他の構成は、第1の実施形態の反射型発光ダイオード1と同じであり、同じ構成要素には、同じ符号を付し、その説明を省略する。なお、図4は、図1に対して素子マウント側リード17が右側となり、反射面13および内壁面11dの傾斜方向が逆となるように図面が左右反対に図示されているが、基本的構成は同じである。
【0037】
すなわち、図4に示す第2の実施形態の反射型フォトダイオード2は、素子マウント側リード17の先端部の下面に前記発光ダイオード素子15の代わりにフォトダイオード素子31が取り付けられ、このフォトダイオード素子31の受光面31aは、支持体11の反射面13に対向するように下方を向いて取り付けられている。
【0038】
このように構成される反射型フォトダイオード2において、点線矢印206で示すように外部から入射する光は、反射面13で反射されてから、フォトダイオード素子31の受光面31aに当たって検出され、電気信号に変換されることになる。この電気信号を分析することにより、例えば被検知体の有無を検知することに応用することができる。
【0039】
図5(a)および(b)は、本発明の第3の実施形態に係わる送受光モジュールの構成を示す平面図および断面図である。なお、図5(b)は、図5(a)における線A−Aに沿った断面図である。
【0040】
図5(a)および(b)に示す送受光モジュール3は、図1に示した第1の実施形態の反射型発光ダイオード1と図4に示した第2の実施形態の反射型フォトダイオード2とを組み合わせて、1枚の基板41の上に実装し、これにより当該送受光モジュール3の所定の方向の検知領域に存在する被検知体を光により検知しようとするものである。すなわち、この送受光モジュール3は、所定の方向、例えば図5(b)の上方の検知領域に向けて反射型発光ダイオード1から光を放出し、検知領域に存在する被検知体からの反射光を反射型フォトダイオード2で受光して被検知体を検知することができるものである。
【0041】
また、反射型発光ダイオード1は、その反射面13の傾斜が反射型フォトダイオード2の方に向き、傾斜した内壁面11dが反射型フォトダイオード2に近接する側となるように基板41上に実装され、反射型フォトダイオード2も同様に、反射面13の傾斜が反射型発光ダイオード1の方に向き、傾斜した内壁面11dが反射型発光ダイオード1に近接する側となるように基板41上に実装されている。
【0042】
基板41の上に実装された反射型発光ダイオード1は、図1で説明したように、前記発光ダイオード素子15から凹面状の反射面13に向けて光を出射し、反射面13から反射されるほぼ平行で指向性のある光線を検知領域に向けて放出し、またこの反射型発光ダイオード1から所定間隔あけて並んで基板41の上に実装された反射型フォトダイオード2は、反射型発光ダイオード1から放出され、検知領域に存在する被検知体から反射されてくる光線を凹面状の反射面13でフォトダイオード素子31の受光面31aに向けて反射し、該フォトダイオード素子31で受光して電気信号に変換する。従って、この電気信号を図示しない処理部で分析することにより、検知領域の被検知体を検知することができる。
【0043】
図6および図7は、上述した被検知体の検知方法を説明するために反射型発光ダイオード1で放出され、反射型フォトダイオード2で受光される光線を示す図である。なお、図6は、被検知体が検知領域に存在する場合の図であり、図7は、被検知体が検知領域に存在しない場合の図である。
【0044】
まず、図6に示すように、送受光モジュール3の上方の検知領域に被検知体43が存在する場合には、反射型発光ダイオード1から放出された光線は、矢印301で示すように検知領域の被検知体43に当たって反射され、矢印303で示す反射光として反射型フォトダイオード2で受光され、上述したように電気信号に変換される。従って、この電気信号を分析することにより被検知体43を検出することができる。
【0045】
更に、図7に示すように、送受光モジュール3の上方の検知領域に被検知体43が存在しない場合には、反射型発光ダイオード1から放出された光線は、矢印305で示すように検知領域に向けて放出されるが、この検知領域に被検知体が存在しないため、この光線305は、反射されることなく、そのまま上方に進むだけで、反射型フォトダイオード2には反射光が入射しない。従って、反射型フォトダイオード2は、電気信号を出力することもないため、被検知体は存在しないものと判断される。
【0046】
上述した検知処理において、反射型発光ダイオード1から放出される光線には、図3で説明した2次ピークが存在しないため、反射型フォトダイオード2は、このような2次ピークを受光することはなく、例えば被検知体などを誤って検知することがない。
【0047】
図8は、図5に示した送受光モジュール3をロボットの腕に装着した状態を示す図である。同図に示すように、ロボットの腕に送受光モジュール3を装着することにより、ロボットは、この送受光モジュール3の検知領域に存在する被検知体を検知することができる。
【0048】
具体的には、ロボットは、腕を動かすことにより、送受光モジュール3の検知領域を変えることができるので、例えば前進しようとする場合には、送受光モジュール3の検知領域が前方となるように腕を動かし、この前方の検知領域に向けて、送受光モジュール3の反射型発光ダイオード1から光線を放出し、この放出した光線の反射光を送受光モジュール3の反射型フォトダイオード2で受光した場合には、前方の検知領域に被検知体として何か障害物などの物体が存在することを認識することができ、また反射光を受光できなかった場合には、前方の検知領域に例えば何か障害物などの物体は存在しないということを認識することができるものである。
【0049】
なお、送受光モジュール3は、図8に示すように、腕の周りに囲むように複数装着することにより、種々の方向を常時監視することができる。また、腕だけでなく、例えば胸の前、頭の周り、足の腿等に装着してもよいものである。
【0050】
図9(a)および(b)は、本発明の第4の実施形態に係わる送受光モジュールの構成を示す平面図および断面図である。なお、図9(b)は、図9(a)における線A−Aに沿った断面図である。
【0051】
図9(a)および(b)に示す送受光モジュール4は、図5に示した送受光モジュール3と同様に、図1に示した第1の実施形態の反射型発光ダイオード1と図4に示した第2の実施形態の反射型フォトダイオード2とを組み合わせて、1枚の基板41の上に実装し、これにより当該送受光モジュール4の所定の方向の検知領域に存在する被検知体を光により検知しようとするものであるが、図5に示す送受光モジュール3と異なる点は、反射型発光ダイオード1および反射型フォトダイオード2をそれぞれ90度右方向に回転して基板41上に実装するとともに、この状態で反射型発光ダイオード1および反射型フォトダイオード2のそれぞれの傾斜した反射面13および内壁面11dが互いに向き合うように構成したことである。
【0052】
このように構成した送受光モジュール4においても、その作用は全く同じであり、反射型発光ダイオード1の発光ダイオード素子15から放出された光は、反射面13で反射されてほぼ平行で指向性のある光線として検知領域に向け放出され、また検知領域に存在する被検知体から反射されてくる光線は反射型フォトダイオード2の反射面13で反射され、フォトダイオード素子31の受光面31aで受光され電気信号に変換される。
【0053】
従って、この電気信号を分析する検知判断手段を設けて、物体検知装置として構成することにより、この検知判断手段により検知領域における被検知体の有無を検知することができる。
【0054】
本発明は、上記各実施形態によって限定されるものでなく、種々変更できるものである。
【符号の説明】
【0055】
1 反射型発光ダイオード
2 反射型フォトダイオード
3、4 送受光モジュール
11 支持体
11a 開口部
11b、11c 側壁
11d 内壁面
13 反射面
15 発光ダイオード素子
15a 光出射面
17 素子マウント側リード
19 樹脂
21 ワイヤ接続側リード
31 フォトダイオード素子
31a 受光面
41 基板
43 被検知体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁に凹面状の反射面が形成された有底開口の支持体と、
この支持体反射面上方の焦点位置を横切って水平に延びる素子マウント側リードと、
この素子マウント側リードに隣接して前記支持体反射面の上方に水平に延びるワイヤ接続側リードと、
前記凹面状反射面の焦点位置の前記素子マウント側リード上に搭載された発光ダイオード素子と、
この発光ダイオード素子と前記ワイヤ接続側リードとの間にボンディングされたワイヤとを備え、
前記反射面は、前記発光ダイオード素子を中心として当該反射面の周縁部の一方の側が上方となり、他方の側が下方となるように傾斜させると共に、前記支持体の内壁面が、前記反射面の他方の側は上方に向かって広がるように傾斜して開口する立ち上がりの壁面形状を具備してなることを特徴とする反射型発光ダイオード。
【請求項2】
前記反射面と前記支持体開口部との間の空間に外部よりも屈折率の大きい透明な樹脂が充填され、前記発光ダイオード素子から出射された光のうち前記支持体の傾斜面内壁面に直接入射し開口部に向かう反射光は、前記空間と外部との間の境界面に対して臨界角以上で反射され外部への放出を阻止し反射面に向け偏向することを特徴とする請求項1記載の反射型発光ダイオード。
【請求項3】
底壁に凹面状の反射面が形成された有底開口の支持体と、
この支持体反射面上方の焦点位置を横切って水平に延びる素子マウント側リードと、
この素子マウント側リードに隣接して前記支持体反射面の上方に水平に延びるワイヤ接続側リードと、
前記凹面状反射面の焦点位置の前記素子マウント側リード上に搭載されたフォトダイオード素子と、
このフォトダイオード素子と前記ワイヤ接続側リードとの間にボンディングされたワイヤとを備え、
前記反射面は、前記フォトダイオード素子を中心として当該反射面の周縁部の一方の側が上方となり、他方の側が下方となるように傾斜させると共に、前記支持体の内壁面が、前記反射面の他方の側は上方に向かって広がるように傾斜して開口する立ち上がりの壁面形状を具備してなることを特徴とする反射型フォトダイオード素子。
【請求項4】
請求項1記載の反射型発光ダイオードを用いて検知領域に向け光を放出し、請求項3記載の反射型フォトダイオードを用いて検知領域の被検知体からの反射光を受光して被検知体を検知する送受光モジュールであって、
基板と、
この基板上に搭載された前記反射型発光ダイオードであって、発光ダイオード素子から凹面状の反射面に向けて光を出射し、反射面で反射され、ほぼ平行で指向性のある光線を検知領域に向けて放出する前記反射型発光ダイオードと、
前記基板上において前記反射型発光ダイオードに所定の間隔をあけて配設される前記反射型フォトダイオードであって、前記反射型発光ダイオードから放出され被検知体で反射され入射した光線を凹面状の反射面でフォトダイオード素子に向けて反射し、該フォトダイオード素子で受光して電気信号に変換する前記反射型フォトダイオードと
を有し、
前記反射型発光ダイオードは、前記反射面の傾斜が前記反射型フォトダイオードの方に向き、前記傾斜した内壁面が前記反射型フォトダイオードに近接する側となるように前記基板上に実装され、
前記反射型フォトダイオードは、前記反射面の傾斜が前記反射型発光ダイオードの方に向き、前記傾斜した内壁面が前記反射型発光ダイオードに近接する側となるように前記基板上に実装される
ことを特徴とする送受光モジュール。
【請求項5】
請求項1記載の反射型発光ダイオードを用いて検知領域に向け光を放出し、請求項3記載の反射型フォトダイオードを用いて検知領域の被検知体からの反射光を受光して被検知体を検知する送受光方法であって、
前記反射型発光ダイオードの反射面の傾斜が前記反射型フォトダイオードの方に向き、前記傾斜した内壁面が前記反射型フォトダイオードに近接する側となるように設定し、
前記反射型フォトダイオードの反射面の傾斜が前記反射型発光ダイオードの方に向き、前記傾斜した内壁面が前記反射型発光ダイオードに近接する側となるように設定し、
前記反射型発光ダイオードの発光ダイオード素子から凹面状の反射面に向けて光を出射し、反射面から反射されるほぼ平行で指向性のある光線を検知領域に向けて放出し、
この放出され被検知体から反射されてくる光線を前記反射型フォトダイオードの凹面状の反射面でフォトダイオード素子に向けて反射し、該フォトダイオード素子で受光して電気信号に変換し、
この電気信号に基づき被検知体を検知する
ことを特徴とする送受光方法。
【請求項6】
請求項1記載の反射型発光ダイオードを用いて検知領域に向け光を放出し、請求項3記載の反射型フォトダイオードを用いて検知領域の被検知体からの反射光を受光して被検知体を検知する物体検知装置であって、
前記反射型発光ダイオードにおいて発光ダイオード素子から凹面状の反射面に向けて光を出射し、反射面で反射され、ほぼ平行で指向性のある光線を検知領域に向けて放出する前記反射型発光ダイオードと、
前記反射型フォトダイオードにおいて、前記反射型発光ダイオードから放出され被検知体で反射されてくる光線を凹面状の反射面でフォトダイオード素子に向けて反射し、該フォトダイオード素子で受光して電気信号に変換する前記反射型フォトダイオードと、
この反射型フォトダイオードで変換された前記電気信号に基づき被検知体を検知する検知判断手段と
を有し、
前記反射型発光ダイオードは、前記反射面の傾斜が前記反射型フォトダイオードの方に向き、前記傾斜した内壁面が前記反射型フォトダイオードに近接する側となるように設定され、
前記反射型フォトダイオードは、前記反射面の傾斜が前記反射型発光ダイオードの方に向き、前記傾斜した内壁面が前記反射型発光ダイオードに近接する側となるように設定される
ことを特徴とする物体検知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−109497(P2012−109497A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−258879(P2010−258879)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【出願人】(591244292)株式会社 パールライティング (36)
【Fターム(参考)】