説明

反射板、反射板の製造方法、液晶装置、電子機器

【課題】コレステリック液晶を備え、薄膜で且つ反射効率の低下を防止ないし抑制することが可能な構成の反射板を提供する。
【解決手段】反射板は、基板上にらせん軸方向が異なる複数の領域を備えたコレステリック液晶層を含み、コレステリック液晶層は、らせん軸方向が基板面に対し略垂直なコレステリック液晶領域と、らせん軸方向が基板面に対し略平行なコレステリック液晶領域と、らせん軸方向が基板面から所定角度傾いたコレステリック液晶領域とのいずれか2以上の領域を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射板とその製造方法、ならびに液晶装置及び電子機器に関し、特にコレステリック液晶層を備えた反射板とその製造方法、ならびにその反射板を備えた液晶装置と、その液晶装置を備えた電子機器とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、コレステリック液晶を用いたコレステリック反射板が提案されている。
コレステリック液晶は液晶分子が一定のピッチで周期的ならせん構造を採るもので、入射する光に対し、らせんのピッチと屈折率に対応した波長の光を選択的に反射する性質を有している。したがって、このようなコレステリック液晶を具備する反射板を用いることにより、入射する光に対し、特定の波長の光を選択的に反射することが可能な液晶装置を提供することができる。
【特許文献1】特開2000−193962号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このようなコレステリック液晶を用いた反射板においては、赤、緑、青の各色の波長に対応して、らせんピッチの異なる3つの層を積層することで、白色に近い反射表示を実現するものがある。この場合、複数の層を積層するため層厚が大きくなり、反射板自体の大型化に繋がるとともに、例えば光が最下層に達するまで液晶分子に吸収されることで反射効率が低下し、さらに製造時には積層により工程数が増えるためコストアップに繋がる場合がある。
【0004】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、コレステリック液晶を備える反射板において、薄膜で、且つ反射効率の低下を防止ないし抑制することが可能な反射板とその製造方法を提供することを目的とし、さらにはその反射板を用いた液晶装置、並びにこの液晶装置を備えた電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明の反射板は、基板上にらせん軸方向が異なる複数の領域を備えたコレステリック液晶層が積層されてなる反射板であって、前記コレステリック液晶層は、前記らせん軸方向が前記基板面に対し略垂直なコレステリック液晶領域と、前記らせん軸方向が前記基板面に対し略平行なコレステリック液晶領域と、前記らせん軸方向が前記基板面から所定角度傾いたコレステリック液晶領域とのいずれか2以上の領域を含むことを特徴とする。
【0006】
本発明の反射板において、基板上に設けられ、コレステリック液晶を配向させることが可能な配向層と、前記配向層上に設けられ、らせん軸方向が異なる複数の領域を備えたコレステリック液晶層とを備え、前記コレステリック液晶層は、前記らせん軸方向が前記基板面に対し略垂直なコレステリック液晶領域と、前記らせん軸方向が前記基板面に対し略平行なコレステリック液晶領域と、前記らせん軸方向が前記基板面から所定角度傾いたコレステリック液晶領域とを含む構成を採用できる。
本発明の反射板において、前記基板と前記コレステリック液晶層との間にコレステリック液晶を配向させることが可能な配向層が形成されている構成を採用できる。
本発明の反射板において、前記配向層は、前記基板面内に部分的に形成されている構成を採用できる。
【0007】
コレステリック液晶層を含む反射板では、コレステリック液晶の形成するらせん構造のらせんピッチに応じた波長の色光を反射可能であるが、上記本発明の場合、コレステリック液晶層が、そのコレステリック液晶が形成するらせん構造のらせん軸方向が少なくとも基板面内において異なる構成とされており、このらせん軸方向が異なる領域毎に、基板面垂直方向における見かけのらせんピッチが異なるものとなる。したがって、当該反射板の基板面垂直方向からみた反射光は、らせん軸方向の異なる各領域毎に異なる波長の色光となり、すなわち、異なる色の色光が混ざった光(例えば白色光)を反射することが可能となり、例えば当該反射板を反射表示装置等に適用した場合には、適宜白色光を反射表示することが可能となり得る。また、本発明の場合、コレステリック液晶層の積層により混色の光(例えば白色光)を反射可能にする構成ではなく、面内でらせん軸方向の異なる複数の領域を含むことで混色の光を反射可能としているため、当該コレステリック液晶層、ひいては当該反射板を薄膜にて形成することが可能となり、板厚の均一性も向上する。さらに、本発明においては、コレステリック液晶の形成するらせん構造のらせん軸方向が、基板面内で種々異なるものとされているため、屈折率の分布が大きくなり、別途散乱層を設けずとも反射光を散乱させることが可能となる。
【0008】
なお、上記コレステリック液晶層は、らせん軸方向が基板面に対し略垂直なコレステリック液晶領域と、らせん軸方向が基板面に対し略平行なコレステリック液晶領域と、らせん軸方向が基板面から所定角度傾いたコレステリック液晶領域とのいずれか2以上の領域を含むものとすることができる。この場合、らせん軸が基板面に対し垂直、斜め、又は平行なコレステリック液晶領域のいずれか2以上の領域を含むため、これら領域において2以上の波長の色光を反射可能となり、したがって複数の色の混色の光を反射することが可能となる。特に、これら3つのコレステリック液晶領域をそれぞれ含む場合は、一層白色に近い色光を反射することが可能となり、白色を反射可能な反射板として反射表示装置に適した構成となる。
【0009】
具体的には、コレステリック液晶のらせん軸方向を、基板面内において異ならせるためのらせん軸方向規制手段を具備させることができる。この場合、らせん軸方向規制手段により、コレステリック液晶が形成するらせん構造のらせん軸方向が少なくとも基板面内で異なる構成とされる。具体的には、らせん軸方向規制手段として、基板とコレステリック液晶層との間にコレステリック液晶を配向させることが可能な配向層が形成され、この配向層が基板面内に部分的に形成されているものとすることができる。この場合、基板面内において配向層を部分的に形成することで、配向層が形成された領域と、形成されていない領域とでコレステリック液晶の配向状態が異なるものとなり、したがって、コレステリック液晶の形成するらせん構造のらせん軸方向が異なる領域を少なくとも形成することが可能となる。なお、配向層としては、例えばポリイミド膜をラビング処理した配向膜にて構成することができる。
【0010】
また、上記らせん軸方向規制手段として、基板とコレステリック液晶層との間にコレステリック液晶を配向させることが可能な配向層を形成し、この配向層が垂直配向性配向層と平行配向性配向層とを備えるとともに、これら垂直配向性配向層と平行配向性配向層とがそれぞれコレステリック液晶層と接してなるものとすることができる。この場合、垂直配向性配向層と接するコレステリック液晶領域と、平行配向性配向層と接するコレステリック液晶領域とにおいて、各コレステリック液晶の配向状態が異なるものとなり、したがってコレステリック液晶の形成するらせん構造のらせん軸方向についても各液晶領域で異なるものとなる。
【0011】
なお、垂直配向性配向層及び平行配向性配向層としては、例えばポリイミド膜をラビング処理した配向膜を適用可能で、用いるポリイミドの種類を異なるものとすることで、それぞれの配向層を得ることができ、具体的にはポリイミド分子の側鎖が異なるものを用いるのがよい。また、例えば上記ラビング処理方向を異ならせることで、それぞれの配向層を得ることも可能である。ここで、垂直配向性配向層及び平行配向性配向層とは、例えばプレチルト角を相対的に高くするものを垂直配向性と、プレチルト角を相対的に低くするものを平行配向性とすることができる。
【0012】
また、上記らせん軸方向規制手段として、基板とコレステリック液晶層との間にコレステリック液晶を配向させることが可能な配向層を形成し、この配向層が、コレステリック液晶層との境界部分の表面に凹凸を備えるものとすることができる。この場合、コレステリック液晶は配向層に形成された凹凸面に接し、コレステリック液晶が形成するらせん構造のらせん軸が、その凹凸による傾きに応じて基板面に対し種々の方向に傾いた構成となり、基板面内でらせん軸方向の異なる複数の領域が形成されることとなる。なお、基板面に凹凸を設けることで、基板とコレステリック液晶層との間に配設する配向層に凹凸を形成することが可能で、例えば基板上にアクリル層を形成し、そのアクリル層に凹凸を設けて配向層に凹凸を形成する構成とすることも可能である。
【0013】
さらに、上記らせん軸方向規制手段として、コレステリック液晶層内に充填部材が充填されているものとすることができる。この場合、充填部材の充填位置と、充填部材の充填されていない非充填位置とでは、コレステリック液晶の配向状態が異なるものとなり、したがってコレステリック液晶の形成するらせん構造のらせん軸方向についても上記充填位置と非充填位置とで異なるものとなる。なお、充填部材としては例えば樹脂製ないしガラス製のビーズ、ファイバー等を用いることが可能である。また、充填部材の表面には垂直配向性の表面処理を施すことができ、このような垂直配向性表面処理により、充填部材の表面において複数の方向にコレステリック液晶を配向させることが可能となる。さらに、充填部材を略球状充填部材とすれば、その略球状面においてコレステリック液晶を一層様々な方向に配向させることが可能となり、それに伴ってコレステリック液晶のらせん軸方向を、充填位置と非充填位置との間で一層確実に異ならせることが可能となる。
【0014】
本発明の反射板において、前記配向層は、平行配向性配向層であり、前記平行配向性配向層が、マトリクス状に形成されている構成を採用できる。
本発明の反射板において、前記配向層は、垂直配向性配向層と平行配向性配向層とを備える構成を採用できる。
本発明の反射板において、前記垂直配向性配向層と前記平行配向性配向層とが、同一平面内に交互に形成されている構成を採用できる。
本発明の反射板において、前記並行配向配向層上の一部に、前記垂直配向性配向層が形成されている構成を採用できる。
本発明の反射板において、前記配向層は、前記コレステリック液晶層との境界部分の表面に凹凸を備える構成を採用できる。
本発明の反射板において、前記配向層は、表面に凹凸を備えた層上に形成されている構成を採用できる。
【0015】
次に、本発明の反射板の製造方法は、基板上にコレステリック液晶層を形成するコレステリック液晶層形成工程を含む反射板の製造方法であって、前記コレステリック液晶層形成工程は、コレステリック液晶性モノマーを塗布するモノマー塗布工程と、塗布したコレステリック液晶性モノマーを重合させるモノマー重合工程とを含み、前記モノマー塗布工程において、前記コレステリック液晶性モノマーを等方性状態で塗布した後に、過冷却処理が行われることを特徴とする。
【0016】
このような製造方法により、基板面内においてそれぞれコレステリック液晶のらせん軸方向が異なる複数の領域を含むコレステリック液晶層を具備した上記本発明の反射板を得ることができる。すなわち、等方性状態のコレステリック液晶性モノマーを過冷却した場合、コレステリック液晶性モノマーにおいて等方性状態が部分的に残留することとなり、これを重合した場合には、配向性に分布を持ったコレステリック液晶層を形成することが可能となり、したがって、コレステリック液晶層においてらせん軸方向の異なる複数の領域が形成されることとなる。この場合、モノマー塗布工程においては、コレステリック液晶性モノマーが等方相をとる温度T1以上に、具体的には(T1+30℃)前後の温度にてコレステリック液晶性モノマーを塗布し、その後、T1以下に、具体的には(T1−30℃)前後の温度に過冷却するものとされている。なお、本明細書に言うコレステリック液晶性モノマーとは、重合によりコレステリック液晶相を形成し得るものを意味している。また、上記モノマー重合工程においては、塗布したコレステリック液晶性モノマーに対する紫外線照射あるいは加熱処理にて重合を行うことが可能である。
【0017】
また、本発明の反射板の製造方法は、基板上にコレステリック液晶層を形成するコレステリック液晶層形成工程を含む反射板の製造方法であって、コレステリック液晶層形成工程は、コレステリック液晶性モノマーを塗布するモノマー塗布工程と、塗布したコレステリック液晶性モノマーに対する紫外線照射により該モノマーを重合させるモノマー重合工程とを含み、前記モノマー重合工程において、前記紫外線照射を行う場合、前記基板面内で照射量に分布をもたせることを特徴とする。
【0018】
このような製造方法により、基板面内においてそれぞれコレステリック液晶のらせん軸方向が異なる複数の領域を含むコレステリック液晶層を具備した上記本発明の反射板を形成することが可能となる。すなわち、モノマー重合工程において、基板面内で紫外線照射量に分布をもたせることで、コレステリック液晶層には紫外線照射の分布に基づく配向性の分布が生じ、したがって、コレステリック液晶層においてらせん軸方向の異なる複数の領域が形成されることとなる。なお、このように基板面内で照射量に分布をもたせるには、例えばフォトマスクを用い、マスク非形成領域のみに紫外線照射を可能にする、若しくはマスク形成領域において非形成領域よりも相対的に少ない紫外線照射を可能にすることができる。また、モノマー重合工程において、紫外線照射の代わりに加熱処理を行い、この加熱を基板面内に分布をもたせて行うものとすることもできる。
【0019】
この場合、前記モノマー重合工程においては、マスクを介して前記紫外線照射を行い、前記マスクに対応する領域は紫外線の照射量を少なくし、前記マスクに対応しない領域では、紫外線の照射量を相対的に多くすることができる。
【0020】
さらに、本発明の反射板の製造方法は、基板上にコレステリック液晶層を形成するコレステリック液晶層形成工程を含む反射板の製造方法であって、前記コレステリック液晶層形成工程の前に基板上に配向層を形成する配向層形成工程を含み、前記配向層形成工程において、前記配向層を前記基板上に部分的に形成することを特徴とする。
【0021】
このような製造方法により、基板面内においてそれぞれコレステリック液晶のらせん軸方向が異なる複数の領域を含むコレステリック液晶層を具備した上記本発明の反射板を形成することが可能となる。すなわち、配向層が形成された領域と、形成されていない領域とではコレステリック液晶の配向性が異なるものとなるため、コレステリック液晶層においてらせん軸方向の異なる複数の領域が形成されることとなる。
【0022】
さらにまた、本発明の反射板の製造方法は、基板上にコレステリック液晶層を形成するコレステリック液晶層形成工程を含むとともに、コレステリック液晶層形成工程の前に基板上に配向層を形成する配向層形成工程を含み、この配向層形成工程において垂直配向性配向層と平行配向性配向層とを積層して形成するとともに、これら垂直配向性配向層と平行配向性配向層のうち、表層側に形成された配向層を部分的にマスク除去することを特徴とする。このような製造方法により、基板面内においてそれぞれコレステリック液晶のらせん軸方向が異なる複数の領域を含むコレステリック液晶層を具備した上記本発明の反射板を形成することが可能となる。すなわち、配向層形成工程において、垂直配向性配向層と平行配向性配向層のうち、表層側に形成された配向層を部分的にマスク除去するため、垂直配向性配向層及び平行配向性配向層のそれぞれがコレステリック液晶層と接することとなり、各配向層と接する領域毎にコレステリック液晶の配向性が異ならせることが可能となるとともに、コレステリック液晶層においてらせん軸方向の異なる複数の領域が形成されることとなる。なお、垂直配向性配向層と平行配向性配向層とは、それぞれ用いるポリイミドの種類を異ならせて形成することができ、具体的にはポリイミド分子の側鎖が異なるものを用いて形成することできる。
【0023】
次に、本発明の液晶装置は、上記記載の反射板を備えることを特徴とする。このような液晶装置においては、上述した反射板の効果が発現され、薄膜で一層白色に近い反射表示を可能な反射層を形成することが可能となる。具体的には、互いに対向配置された透光性基板からなる上基板と下基板との間に液晶層が挟持された液晶セルを有する液晶装置を例示することができ、その下基板の内面側に、所定の回転方向を持つ円偏光を少なくとも反射させることが可能な反射層が設けられ、この反射層が上記反射板を備えてなるものとすることができる。
【0024】
この場合、反射板を具備してなる反射層を薄膜にて構成することが可能なため、液晶セルのセル厚を一層均一化することが可能となり、当該液晶装置の視認性が向上する。また、このような液晶装置では、反射板に含まれるコレステリック液晶層において、コレステリック液晶の形成するらせん構造のらせん軸方向が基板面内で様々な方向を向いて構成されているため、屈折率の分布が広がり、このコレステリック液晶層にて反射する光を散乱させることが可能となり、反射に関する表示について視野角を広げることが可能となり、別途散乱層を設ける必要もなくなる。
【0025】
さらに、本発明の電子機器は上記構成の液晶装置を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、視認性に優れた反射表示が可能な電子機器を提供することができる。
【発明の効果】
【0026】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、コレステリック液晶層を含む反射板において、コレステリック液晶層が、基板面内においてそれぞれコレステリック液晶のらせん軸方向が異なる複数の領域を含むため、各領域毎に異なる波長の色光を反射可能となる。したがって、コレステリック液晶層全体として、異なる色の色光が混ざった光(例えば白色光)を反射することが可能となり、例えば当該反射板を反射型液晶表示装置等に適用した場合には、適宜白色光を反射表示することが可能となる。
【0027】
また、コレステリック液晶層を単層で反射本体層として用いる構成のため、当該反射板を薄膜にて形成することが可能となり、反射板を反射型液晶表示装置の反射層として適用した場合には、その液晶セル厚の均一性が向上する。さらに、本発明においては、コレステリック液晶の形成するらせん構造のらせん軸方向が、基板面内で種々異なるものとされているため、屈折率の分布が大きくなり、したがって反射光を大きく散乱させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
[反射板]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の膜厚や寸法の比率などは適宜異ならせてある。
図1は、本発明の反射板の一実施形態を模式的に示す部分断面図である。この反射板1は、透光性基板13上に配向層40が形成されてなり、その配向層40の上層に反射本体層としてのコレステリック液晶層18が積層されている。この場合、例えば板厚方向において透光性基板13と異なる側から、反射に利用される光が入射される。コレステリック液晶層18は、らせん配向状態が固定化されたコレステリック液晶を主体として構成され、所定の回転方向を持つ円偏光のみを反射させる選択反射特性を具備しており、その液晶分子のらせんピッチに対応する波長の光を反射することが可能とされている。なお、コレステリック液晶層18を挟んで透光性基板13と反対側にも透光性基板を設け、これら一対の基板にて反射本体層たるコレステリック液晶層18を挟持した構成とすることもできる。
【0029】
本実施形態の反射板1では、反射本体層たるコレステリック液晶層18が、そのコレステリック液晶が形成するらせん構造のらせん軸方向が基板13の面内で様々な方向を向いて構成されている。すなわち、反射本体層たるコレステリック液晶層18が、基板面内においてコレステリック液晶が形成するらせん構造のらせん軸方向が異なる複数の領域を含んで構成されており、例えば垂直コレステリック液晶領域18A、傾斜コレステリック液晶領域18B、平行コレステリック液晶領域18Cを備えている。具体的には、垂直コレステリック液晶領域18Aにおいては、らせん軸方向が基板面に対し略垂直方向を向いており、傾斜コレステリック液晶領域18Bにおいては、らせん軸方向が基板面に対し所定角度傾斜しており、さらに平行コレステリック液晶領域18Cにおいては、らせん軸方向が基板面に対し略平行方向を向いている。なお、図面上、各領域毎のらせん軸方向は明確に異なるものとされ、各領域におけるらせん軸方向は同一方向に示されているが、実際には必ずしも各領域毎にらせん軸方向が明確に異なるものでない場合もあり、各領域におけるらせん軸方向も同一方向でない場合もある。しかしながら、後述するように、本実施形態においては意図的にらせん軸方向規制手段を形成し、若しくは製造上らせん軸方向を基板面内で異ならせることで、少なくともらせん軸方向が基板面に対し略垂直、略平行、若しくは傾斜するコレステリック液晶領域を形成した。また、各領域のらせん軸方向を定義するならば、垂直コレステリック液晶領域18Aは、らせん軸と基板面との角度が80°〜90°のコレステリック液晶を基板面内において含む領域を言い、平行コレステリック液晶領域18Cは、らせん軸と基板面との角度が0°〜10°のコレステリック液晶を基板面内において含む領域を言うものとし、これら以外の領域を傾斜コレステリック液晶領域18Bとすることができる。
【0030】
このようならせん軸方向が異なる各領域18A,18B,18Cにおいては、基板面垂直方向における見かけのらせんピッチがそれぞれ異なるものとなる。したがって、当該反射板1の基板面垂直方向からみた反射光は、各領域18A,18B,18C毎に異なる波長の色光となり、つまり、異なる色の色光が混ざった光(例えば白色光)を反射することが可能となる。また、らせん軸方向が単一のコレステリック液晶層を積層して混色の光(例えば白色光)を反射可能にする場合に比して、当該コレステリック液晶層を薄層にて形成することが可能で、ひいては当該反射板1を薄板にて形成することが可能となり、板厚の均一性も向上するものとなる。なお、基板面垂直方向における見かけのらせんピッチを、例えば約450nm、550nm、600nmのものを主体とする各コレステリック液晶領域を形成することで、それぞれ青色光、緑色光、赤色光を反射することが可能となり、一層白色に近い色光を反射可能となる。
【0031】
本実施形態のように、コレステリック液晶のらせん軸方向が基板面内で異なる構成のコレステリック液晶層18を含む反射板1は、以下のような方法で製造することができる。まず、透光性基板13上に所定の配向膜、この場合、ポリイミドのラビング処理膜を形成して配向層40を得る。次に、形成した配向層40に対しコレステリック液晶性モノマーを塗布し、さらに塗布したコレステリック液晶性モノマーに対し、図9に示すような紫外線照射を行い、このコレステリック液晶性モノマーを重合する。なお、この場合の配向層は、例えば平行配向性の配向層41にて構成することができる。また、コレステリック液晶性モノマーとは、重合によりコレステリック液晶を形成するモノマーを意味している。
【0032】
図9に示すモノマー重合工程においては、部分的にマスク48を施すことで紫外線照射量に分布をもたせ、この場合、マスク48が形成された領域は紫外線照射量が少ないものとされている。したがって、マスク非形成領域では、紫外線照射量が相対的に多く、コレステリック液晶が十分に配向され、らせん軸方向が基板面に対し垂直方向を向いた垂直コレステリック液晶領域18Aが形成される。
また、マスク形成領域では、紫外線照射量が相対的に少なく、コレステリック液晶の配向がマスク非形成領域に比して小さく、らせん軸方向が様々な方向を向いた傾斜コレステリック液晶領域18B(平行コレステリック液晶領域18C)が形成される。
【0033】
一方、上記コレステリック液晶層18を含む反射板1は、以下のような方法で製造することもできる。まず、透光性基板13上に所定の配向膜、この場合、ポリイミドのラビング処理膜を形成して配向層40を得る。次に、形成した配向層40に対しコレステリック液晶性モノマーを等方性温度下で塗布し、さらに塗布したコレステリック液晶性モノマーに過冷却処理を施し、その後にコレステリック液晶性モノマーに対し紫外線照射を行い、このコレステリック液晶性モノマーを重合することで、本実施形態の反射板1を得る。なお、上記等方性温度とは、コレステリック液晶性が等方性状態で存在する温度のことを意味し、過冷却処理とは、等方性温度にあるコレステリック液晶性モノマーを非等方性状態となる温度なで急激に冷却する処理のことを言う。
【0034】
この場合、等方性状態のコレステリック液晶性モノマーを過冷却した場合、コレステリック液晶性モノマーにおいて等方性状態が部分的に残留することとなり、これを重合した場合には、配向性に分布を持ったコレステリック液晶層を形成することが可能となる。したがって、コレステリック液晶層においてらせん軸方向が異なる複数の領域を形成することができる。なお、モノマー塗布は、等方性温度よりも30℃高い温度にて行い、その後、等方性温度よりも30℃低い温度に過冷却した。
【0035】
[液晶装置]
次に、上記反射板1を用いた液晶装置の実施形態について図面を参照して説明する。図2は本実施形態の液晶装置の部分断面構造を示す図で、この場合、パッシブマトリクス方式の反射型液晶表示装置110の例である。
【0036】
本実施の形態の液晶表示装置110は、図2に示すように、下基板13と上基板14とがシール材(図示略)を介して対向配置され、これら下基板13と上基板14とシール材とに囲まれた空間にSTN(Super Twisted Nematic)液晶からなる液晶層(位相変調用液晶層)16が封入されている。なお、この場合、下基板13が上述の反射板1における透光性基板13に相当するため同じ符号を付した。
【0037】
下基板13及び上基板14は、ガラスやプラスチックなどの透光性材料を主体として構成されており、下基板13の外面側(液晶層16が形成されているのとは反対側)には、位相差板(1/4波長板)27、下偏光板28が下基板13からこの順に設けられている。一方、上基板14の外面側(液晶層16が形成されているのとは反対側)にも、位相差板(1/4波長板)35、上偏光板36が上基板14からこの順に設けられている。
【0038】
下基板13の内面側(液晶層16側)には、配向層40を介して反射本体層たるコレステリック液晶層18が設けられ、これらコレステリック液晶層18、配向層40及び下基板13は上述の反射板1を用いて構成している。コレステリック液晶層18の上層には、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色素層30R,30G,30Bを具備するカラーフィルタ層30が設けられている。各色素層30R,30G,30Bは、それぞれブラックマトリクスBMにて区画形成され、区画された各色素層にてドットが形成されており、これら3つの色素層30R,30G,30Bからなる3ドットにて1画素が形成されている。また、カラーフィルタ層30の上には、カラーフィルタ層30(色素層)ないしブラックマトリクスBMによってできた段差を平坦化するための平坦化膜(オーバーコート)31が積層されている。
【0039】
そして、平坦化膜31上に、ITO等の透明導電膜からなるストライプ状の信号電極25が紙面に垂直な方向に延在している。一方、上基板14の内面側(液晶層16側)には、ITO等の透明導電膜からなるストライプ状の走査電極32が図示横方向に延在している。これら電極25,32が交差する領域が表示領域とされ、交差しない領域がブラックマトリクスBMが形成された非表示領域とされている。
【0040】
上偏光板36は一方向(本実施形態では図示横方向)の直線偏光のみを透過させ、位相差板35は、上偏光板36を透過した直線偏光を円偏光に変換する。したがって、上偏光板36及び位相差板35は上基板側円偏光入射手段として機能している。また、下偏光板28は一方向(本実施形態では図示横方向)の直線偏光のみを透過させ、位相差板27は、下偏光板28を透過した直線偏光を円偏光に変換する。したがって、下偏光板28及び位相差板27は下基板側円偏光入射手段として機能している。なお、本実施の形態では、表示に利用される光は、太陽光、照明光等の外光について説明するが、下側偏光板28側からバックライト光を入射させる半透過反射型の液晶装置であっても構わない。
【0041】
液晶層16は、走査電極25及び信号電極32との間にしきい値以上の電圧が印加された状態(選択電界印加時)では、紙面縦方向(基板面に対し垂直方向)に配向し、しきい値以下の電圧が印加された状態(非選択電界印加時)では、紙面横方向(基板面に対し水平方向)に配向するものとされている。なお、「選択電界印加時」、「非選択電界印加時」は、それぞれ「液晶層への印加電圧が液晶のしきい値電圧未満であるとき」、「液晶層への印加電圧が液晶のしきい値電圧以上であるとき」を意味している。このような液晶層16においては、選択電界印加に応じて入射光の位相を変調することが可能である。すなわち、本実施形態においては、選択電界印加時には入射した円偏光を、その位相を変調することなく入射時と同回転の円偏光で通過させ、非選択電界印加時には入射した円偏光を、その位相を変調し入射時とは逆回転の円偏光に変換して通過させることが可能とされている。
【0042】
次に、コレステリック液晶層18は、図1に示した反射板1に示した構成のものが採用されており、基板面内において、コレステリック液晶が形成するらせん構造のらせん軸方向が様々な方向を向いた構成とされている。したがって、より白色に近い色光が反射されることとなり、しかもコレステリック液晶層18自体が薄層にて形成することが可能な構成のため、液晶層16を基板13,14で挟持してなる液晶セルの層厚を一層均一化することが可能となり、当該液晶装置の信頼性が向上する。また、コレステリック液晶層18において屈折率の分布が大きくなるため、このコレステリック液晶層18にて反射する光を散乱させることが可能となり、反射に関する表示について視野角を広げることが可能となり、別途散乱層を設ける必要もなくなる。
【0043】
次に、本実施の形態の液晶表示装置110における表示に関する機構について説明する。上偏光板36及び位相差板35を通過して、液晶表示装置110内部に入射した外光は右回りの円偏光となり、その右回り円偏光が液晶層16に入射される。ここで、走査電極25と信号電極32との間に電圧が印加されている場合(選択電界印加時)、液晶層16はON状態となって、右回り円偏光をそのまま右回り円偏光として通過させる。また、走査電極25と信号電極32との間に電圧が印加されていない場合(非選択電界印加時)、液晶層16はOFF状態となって、右回り円偏光を左回り円偏光に変換して通過させる。
【0044】
ON状態の液晶層16を通過した右回り円偏光は、カラーフィルタ層30にて所定の波長が吸収される。例えば、R(赤)に対応する色素層30Rでは、R(赤)の補色となる色光の波長が吸収され、G(緑)に対応する色素層30Gでは、G(緑)の補色となる色光の波長が吸収され、B(青)に対応する色素層30Bでは、B(青)の補色となる色光の波長が吸収される。したがって、例えばR(赤)に対応する色素層30Rを透過した右回り円偏光の波長は約600〜650nmとなる。
【0045】
カラーフィルタ層30を通過して特定波長域の色光となった右回り円偏光は、コレステリック液晶層18にて反射される。この場合、反射前後において回転方向が同一となり、反射された右回り円偏光は、再びカラーフィルタ層30、液晶層16、上基板14、位相差板35、上偏光板36を経て表示に供される。なお、液晶層16が非選択電界印加時の場合、左回り円偏光が反射層18に入射されることとなり、反射層18においては左回りの円偏光は反射されず、下基板13側へ透過され、下偏光板18にて吸収されるため表示に供されないものとされている。
【0046】
[反射板の変形例]
以下、本実施形態の反射板の変形例について説明する。各変形例においては、コレステリック液晶のらせん軸方向を、基板面内において領域毎に異ならせるためのらせん軸方向規制手段について主に説明するものとし、図1の反射板と同じ構成のものについては同じ符号を付し説明を省略する。なお、以下に示す各反射板についても、図2に示す液晶表示装置1のコレステリック液晶層18を含む反射本体層として適用することが可能である。
【0047】
図3は、第1の変形例としての反射板121の構成を示す断面模式図である。
この反射板121においては、透光性基板13上に配向層40が基板面内において部分的に形成されており、具体的には平行配向性配向層41がマトリクス状に形成され、この配向層40がらせん軸方向規制手段として機能している。
【0048】
この場合、平行配向性配向層41が形成された領域(配向層形成領域)では、コレステリック液晶のらせん軸が基板面に対して略垂直方向を向き、この領域において垂直コレステリック液晶領域18Aが形成される。一方、平行配向性配向層41が形成されていない領域(配向層非形成領域)では、コレステリック液晶のらせん軸が基板面に対し所定角度傾斜して、若しくは基板面に対して略平行方向を向き、この領域において傾斜コレステリック液晶領域18B及び/又は平行コレステリック液晶領域18Cが形成される。このように配向層を基板面内において部分的に形成することで、コレステリック液晶層18において、らせん軸方向が異なる領域を複数形成することが可能となる。
【0049】
図4は、第2の変形例としての反射板122の構成を示す断面模式図である。
この反射板122においては、透光性基板13上に配向層40として、平行配向性配向層41と垂直配向性配向層42とを共在させている。具体的には、平行配向性配向層41と垂直配向性配向層42とが同一平面内に交互に形成されており、この平行配向性配向層41と垂直配向性配向層42とを含む配向層40がらせん軸方向規制手段として機能している。
【0050】
この場合、平行配向性配向層41が形成された領域では、コレステリック液晶のらせん軸が基板面に対して略垂直方向を向き、この領域において垂直コレステリック液晶領域18Aが形成される。一方、垂直配向性配向層42が形成された領域では、コレステリック液晶のらせん軸が基板面に対して平行方向を向き、この領域において平行コレステリック液晶領域18Cが形成される。また、垂直配向性配向層42が形成された領域、あるいは各配向層41,42の境界領域付近では、コレステリック液晶のらせん軸が基板面に対し所定角度傾斜し、この領域において傾斜コレステリック液晶領域18Bが形成される。このように配向層として平行配向性配向層41と垂直配向性配向層42とを同一基板面内において形成することで、コレステリック液晶層18において、らせん軸方向が異なる領域を複数形成することが可能となる。
【0051】
図5は、第3の変形例としての反射板123の構成を示す断面模式図である。
この反射板123においては、透光性基板13上に平行配向性配向層41が形成され、さらにその平行配向性配向層41の上層には、垂直配向性配向層42が基板面内において部分的に形成されている。したがって、第3の変形例の反射板123では、配向層40が、平行配向性配向層41と部分的に形成された垂直配向性配向層42との積層体として構成されている。この場合、少なくとも各層41,42の一部がコレステリック液晶層18と接するべく、積層体たる配向層40において、各層41,42の積層部及び非積層部を構成しており、この配向層40がらせん軸方向規制手段として機能している。なお、このような積層体たる配向層40は、平行配向性配向層41と垂直配向性配向層42とを積層して形成するとともに、表層側に形成された垂直配向性配向層42を部分的にマスク除去することにより形成することができる。
【0052】
この場合、コレステリック液晶層18において、平行配向性配向層41と接する領域、すなわち垂直配向性配向層42が部分的に形成されていない領域では、コレステリック液晶のらせん軸が基板面に対して略垂直方向を向き、この領域において垂直コレステリック液晶領域18Aが形成される。一方、部分的に形成された垂直配向性配向層42と接する領域では、コレステリック液晶のらせん軸が基板面に対して平行方向を向き、この領域において平行コレステリック液晶領域18Cが形成される。また、垂直配向性配向層42と接する領域、あるいは各配向層41,42と接する領域の境界付近では、コレステリック液晶のらせん軸が基板面に対し所定角度傾斜し、この領域において傾斜コレステリック液晶領域18Bが形成される。このように配向層を平行配向性配向層41と垂直配向性配向層42との積層体として構成し、垂直配向性配向層42を部分的にマスク除去する形にて各配向層41,42が共にコレステリック液晶層18と接する構成とすることで、コレステリック液晶層18において、らせん軸方向が異なる領域を複数形成することが可能となる。
【0053】
図6は、第4の変形例としての反射板124の構成を示す断面模式図である。この反射板124においては、透光性基板13の表面にエンボス加工等による凹凸が形成され、この透光性基板13上に配向層40が形成されており、具体的には平行配向性配向層41が用いられている。この場合、透光性基板13の凹凸に基づいて配向層40(平行配向性配向層41)にも凹凸が形成され、該凹凸を具備する配向層40(平行配向性配向層41)がらせん軸方向規制手段として機能している。このような反射板124のコレステリック液晶層18においては、配向層40(平行配向性配向層41)の凹凸面上に位置するコレステリック液晶について、そのらせん軸が、その凹凸に応じて基板面に対し種々の方向に傾いた構成となり、基板面内でらせん軸方向の異なる複数の領域が形成されることとなる。すなわち、基板面に凹凸を設けることで、コレステリック液晶層18において、垂直コレステリック液晶領域18A、傾斜コレステリック液晶領域18B、平行コレステリック液晶領域18Cのいずれか2以上の領域を形成することが可能となる。
【0054】
なお、図7は第5の変形例の反射板125であって、透光性基板13上にアクリル層45を形成し、そのアクリル層45にらせん軸方向規制手段たる凹凸を設けて配向層40(平行配向性配向層41)に凹凸を形成する構成としたものである。
【0055】
次に、図8は第6の変形例としての反射板126の構成を示す断面模式図である。この反射板126においては、透光性基板13上に配向層40として平行配向性配向層41が形成されており、その平行配向性配向層41の上層にはコレステリック液晶層18が形成されている。この場合、コレステリック液晶層18には、らせん軸方向規制手段として充填ビーズ46が充填されており、例えば充填ビーズ46が接触しない程度の充填率とされている。
【0056】
この場合、平行配向性配向層41上のコレステリック液晶は、そのらせん軸が基板面に垂直方向を向くものとされ、充填ビーズ46が充填されていない領域では、このらせん軸方向が保たれ垂直コレステリック液晶領域18Aが形成される。一方、充填ビーズ46が充填された領域、すなわち充填ビーズ46の表層付近では、コレステリック液晶のらせん軸方向が、基板面に対して垂直な方向で保たれず、基板面に平行若しくは傾斜した状態となる。したがって、充填ビーズ46をコレステリック液晶層18に充填することで、コレステリック液晶層18において、コレステリック液晶のらせん軸方向が異なる領域を複数形成することが可能となる。
【0057】
なお、反射板126においては充填ビーズ46としてガラス製のものを用いているが、樹脂製の充填ビーズ46を採用することも可能である。また、充填ビーズ46の表面には垂直配向性の表面処理を施すことができ、具体的には表面張力の大きいフッ素系のコーティングを施すことができる。このようなコーティングにより、充填ビーズ46表面において、コレステリック液晶を一層様々な方向に配向させることが可能となり、したがって、一層確実にコレステリック液晶のらせん軸方向が異なる領域を複数形成することが可能となる。本実施形態では、充填材がビーズであったが、円柱状のファイバーであっても構わない。
【0058】
[電子機器]
上記実施の形態の液晶表示装置を備えた電子機器の例について説明する。
図10は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図10において、符号1000は携帯電話本体を示し、符号1001は上記の液晶表示装置110を用いた液晶表示部を示している。
【0059】
図11は、腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。図11において、符号1100は時計本体を示し、符号1101は上記の液晶表示装置110を用いた液晶表示部を示している。
【0060】
図12は、ワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。図12において、符号1200は情報処理装置、符号1202はキーボードなどの入力部、符号1204は情報処理装置本体、符号1206は上記の液晶表示装置110を用いた液晶表示部を示している。
【0061】
図10〜図12に示す電子機器は、上記実施の形態の液晶表示装置110を用いているので、視認性に優れた反射表示が可能とされている。
【0062】
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば上記実施の形態ではパッシブマトリクス方式の反射型液晶表示装置を示したが、これに限ることなく、アクティブマトリクス方式の液晶表示装置に本発明を適用することも可能である。また、上記実施の形態ではカラーフィルタ層が下基板の内面側に設けられているが、上基板側の内面に設けることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の一実施形態としての反射板の部分断面構造を模式的に示す図。
【図2】本発明の一実施形態としての液晶表示装置の部分断面構造を模式的に示す図。
【図3】第1の変形例としての反射板の構成を示す断面模式図。
【図4】第2の変形例としての反射板の構成を示す断面模式図。
【図5】第3の変形例としての反射板の構成を示す断面模式図。
【図6】第4の変形例としての反射板の構成を示す断面模式図。
【図7】第5の変形例としての反射板の構成を示す断面模式図。
【図8】第6の変形例としての反射板の構成を示す断面模式図。
【図9】図1の反射板の製造方法について示す説明図。
【図10】本発明に係る電子機器の一例を示す斜視図。
【図11】本発明に係る電子機器の他の例を示す斜視図。
【図12】本発明に係る電子機器のさらに他の例を示す斜視図。
【符号の説明】
【0064】
1 反射板 18 コレステリック液晶層 18A 垂直コレステリック液晶領域 18B 傾斜コレステリック液晶領域 18C 平行コレステリック液晶領域 40 配向層 41 平行配向性配向層 42 垂直配向性配向層 46 充填ビーズ(充填部材) 110 液晶表示装置(液晶装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上にらせん軸方向が異なる複数の領域を備えたコレステリック液晶層が積層されてなる反射板であって、
前記コレステリック液晶層は、前記らせん軸方向が前記基板面に対し略垂直なコレステリック液晶領域と、前記らせん軸方向が前記基板面に対し略平行なコレステリック液晶領域と、前記らせん軸方向が前記基板面から所定角度傾いたコレステリック液晶領域とのいずれか2以上の領域を含むことを特徴とする反射板。
【請求項2】
基板上に設けられ、コレステリック液晶を配向させることが可能な配向層と、
前記配向層上に設けられ、らせん軸方向が異なる複数の領域を備えたコレステリック液晶層とを備え、
前記コレステリック液晶層は、前記らせん軸方向が前記基板面に対し略垂直なコレステリック液晶領域と、前記らせん軸方向が前記基板面に対し略平行なコレステリック液晶領域と、前記らせん軸方向が前記基板面から所定角度傾いたコレステリック液晶領域とを含むことを特徴とする反射板。
【請求項3】
前記基板と前記コレステリック液晶層との間にコレステリック液晶を配向させることが可能な配向層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の反射板。
【請求項4】
前記配向層は、前記基板面内に部分的に形成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の反射板。
【請求項5】
前記配向層は、平行配向性配向層であり、
前記平行配向性配向層が、マトリクス状に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の反射板。
【請求項6】
前記配向層は、垂直配向性配向層と平行配向性配向層とを備えることを特徴とする請求項2又は3に記載の反射板。
【請求項7】
前記垂直配向性配向層と前記平行配向性配向層とが、同一平面内に交互に形成されていることを特徴とする請求項6に記載の反射板。
【請求項8】
前記並行配向配向層上の一部に、前記垂直配向性配向層が形成されていることを特徴とする請求項6に記載の反射板。
【請求項9】
前記配向層は、前記コレステリック液晶層との境界部分の表面に凹凸を備えることを特徴とする請求項2又は3に記載の反射板。
【請求項10】
前記配向層は、表面に凹凸を備えた層上に形成されていることを特徴とする請求項9に記載の反射板。
【請求項11】
基板上にコレステリック液晶層を形成するコレステリック液晶層形成工程を含む反射板の製造方法であって、
前記コレステリック液晶層形成工程は、コレステリック液晶性モノマーを塗布するモノマー塗布工程と、塗布したコレステリック液晶性モノマーを重合させるモノマー重合工程とを含み、
前記モノマー塗布工程において、前記コレステリック液晶性モノマーを等方性状態で塗布した後に、過冷却処理が行われることを特徴とする反射板の製造方法。
【請求項12】
基板上にコレステリック液晶層を形成するコレステリック液晶層形成工程を含む反射板の製造方法であって、
前記コレステリック液晶層形成工程は、コレステリック液晶性モノマーを塗布するモノマー塗布工程と、塗布したコレステリック液晶性モノマーに対する紫外線照射により該モノマーを重合させるモノマー重合工程とを含み、
前記モノマー重合工程において、前記紫外線照射を行う場合、前記基板面内で照射量に分布をもたせることを特徴とする反射板の製造方法。
【請求項13】
前記モノマー重合工程においては、マスクを介して前記紫外線照射を行い、
前記マスクに対応する領域は紫外線の照射量を少なくし、
前記マスクに対応しない領域では、紫外線の照射量を相対的に多くすることを特徴とする請求項12に記載の反射板の製造方法。
【請求項14】
基板上にコレステリック液晶層を形成するコレステリック液晶層形成工程を含む反射板の製造方法であって、
前記コレステリック液晶層形成工程の前に基板上に配向層を形成する配向層形成工程を含み、
前記配向層形成工程において、前記配向層を前記基板上に部分的に形成することを特徴とする反射板の製造方法。
【請求項15】
請求項1ないし10のいずれか1項に記載の反射板を備えることを特徴とする液晶装置。
【請求項16】
請求項15に記載の液晶装置を備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−293393(P2006−293393A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−185871(P2006−185871)
【出願日】平成18年7月5日(2006.7.5)
【分割の表示】特願2002−18458(P2002−18458)の分割
【原出願日】平成14年1月28日(2002.1.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】