説明

反射防止コーティング組成物及びそのようなコーティングを堆積させる方法

コーティング組成物、及びこの組成物を製品の表面に堆積させて、反射防止コーティングを形成する方法が開示される。一実施形態では、コーティング組成物は、(メタ)アクリレート官能性シリコンアルコキシド、シリカ粒子、(メタ)アクリレートモノマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、光開始剤、溶媒、酸、及び水を含む。コーティング組成物が製品表面に堆積され、かつ硬化された時に、コーティング組成物が510nmの波長で約1.60未満の屈折率を有するように、組成物の成分の相対量が制御される。別の実施形態では、コーティング組成物は、シリコンの有機金属化合物以外の有機金属化合物、エポキシ官能性シリコンアルコキシド、非エポキシ官能性シリコンアルコキシド、エポキシ官能性分子と混和性がある硬化剤、溶媒、無機酸、及び水を含む。コーティング組成物が製品表面に堆積され、かつ硬化された時に、コーティング組成物が510nmの波長で約1.70超の屈折率を有するように、組成物の成分の相対量が制御される。このコーティング組成物は、処理時間が90分未満で反射防止コーティングを形成する方法で堆積される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、反射防止コーティング組成物に関係し、かつ製品、特に透明製品上にこのような組成物を堆積させる方法に関係する。
【背景技術】
【0002】
透明製品上の反射防止コーティングは、製品からの可視光線の反射を低減させ、かつ可視光線の製品中への伝導、又は透過を増進させる。製品が表示装置のカバープレートとして使用される時、これらのコーティングは、種々の照明条件に対して、明るさ、コントラスト、及び表示情報の可読性を増進させる。眼用レンズなどの光学製品は、反射光線のレベルを減少させ、並びにそれにより視認性を増大させ、かつ眼球疲労を最小にするために、しばしば反射防止コーティングで被覆される。
【0003】
種々の反射防止コーティングが、可視スペクトルに対して反射率の低減に一般的に効果を有するが、このコーティングは、多くの用途に対して全く十分であるとは考えられない。例えば、コーティングの幾つかは、摩耗による機械的損傷を非常に受け易く、かつ下地基板に対する付着力の弱さを露呈する。更に、電子ビーム堆積、反応性プラズマスッパタ、及びイオンアシスト蒸着を含む、コーティングの堆積に用いる方法の幾つかは、実施に相当の費用がかかる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
それ故、反射防止コーティング組成物の改良に対するニーズ、並びに安価な、かつ機械的損傷を受け難い、種々のサイズ及び形状をもつ製品、特に透明製品上に、このようなコーティング組成物を堆積する方法の改良に対するニーズがあることを認識すべきである。本発明は、このニーズを満たし、かつ関連する利益を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、反射防止コーティング組成物の改良、並びに安価な、かつ機械的損傷を受け難い、種々のサイズ及び形状をもつ製品、特に透明製品上に、このようなコーティング組成物を堆積する方法の改良に属する。
【0006】
より具体的には、本発明に関する一つのコーティング組成物は、少なくとも一種の(メタ)アクリレート官能性シリコンアルコキシド、シリカ粒子、少なくとも一種の(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも一種のエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、少なくとも一種の光開始剤、少なくとも一種の溶媒、少なくとも一種の酸、及び水を含む。コーティング組成物が製品表面上に計量分配され、かつ硬化された時に、コーティング組成物が、全て510nmの波長で、約1.60未満の屈折率、又はより好ましくは約1.55未満の屈折率、最も好ましくは約1.50未満の屈折率を有するように、コーティング組成物の成分の相対量が制御される。
【0007】
本発明の実施形態のより詳細な特徴では、(メタ)アクリレート官能性シリコンアルコキシドは、(3−アクリルオキシプロピル)ジメチルメトキシシラン、(3−アクリルオキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(3−アクリルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(メタクリルオキシメチル)ジメチルエトキシシラン、メタクリルオキシメチルトリエトキシシラン、メタクリルオキシメチルトリメトキシシラン、メタクリルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、(3−メタクリルオキシプロピル)トリエトキシシラン、(3−メタクリルオキシプロピル)トリメトキシシラン、及びそれらの混合物からなる群から選択される。更に、(メタ)アクリレートモノマーは、2(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、2−フェノキシエチルメタクリレート、カプロラクトンアクリレート、ジシクロペンタジエニルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、エトキシル化ビスフェノールAジアクリレート、エトキシル化ビスフェノールAジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリトリットトリアクリレート、プロポキシル化グリセロールトリアクリレート、プロポキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリス(2−ヒドロキシルエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0008】
本発明の実施形態の別のより詳細な特徴として、光開始剤は、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−(4−モルホリニル)−1−プロパノン、及びそれらの混合物からなる群から選択される。更に溶媒は、イソプロパノール、エチルアセテート、1−メトキシ−2−プロパノール、及びそれらの混合物からなる群から選択される。無機酸は塩酸である。
【0009】
本発明に関する代替のコーティング組成物において、コーティング組成物は、シリコンの有機金属化合物以外の少なくとも一種の有機金属化合物、少なくとも一種のエポキシ官能性シリコンアルコキシド、少なくとも一種の非エポキシ官能性シリコンアルコキシド、エポキシ官能性分子と混和性がある少なくとも一種の硬化剤、少なくとも一種の溶媒、少なくとも一種の無機酸、及び水を含む。
コーティング組成物が製品表面上に堆積され、かつ硬化された時に、コーティング組成物が、全て510nmの波長で約1.70超の屈折率、又はより好ましくは約1.80超の屈折率、又は最も好ましくは1.90超の屈折率を有するように、コーティング組成物の成分の相対量が制御される。
【0010】
本発明の実施形態のより詳細な特徴として、有機金属化合物は、式:
11(OR4-x、R1y2(OR23-y、R1zNb(OR25-z
(式中、M1はTi、Zr、Ge及びSnからなる群から選択された金属であり、M2はAl、In及びSbからなる群から選択された金属であり、R1はC1−C4アルキル、ビニル、アリル、アクリルオキシ、エポキシド、及びアミノ基からなる群から選択された有機官能性基であり、R2はC1−C4アルキル基であり、xは0、1、2又は3、yは0、1又は2、かつzは0、1、2、3又は4である)で表される有機金属化合物、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0011】
本発明の実施形態の別のより詳細な特徴として、エポキシ官能性シリコンアルコキシドは、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、5,6−エポキシへキシルトリエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)ジメチルエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−シアノプロピルトリメトキシシラン、及びそれらの混合物からなる群から選択される。更に、非エポキシ官能性シリコンアルコキシドは、一般式(OFG)w−Si−(OR34-w(式中、OFGは有機官能性基、OR3は加水分解性アルコキシ基、R3はアルキル基、かつwは0、1、2又は3である)で表される。好ましくは、シリコンアルコキシドは、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0012】
本発明の別のより詳細な特徴では、硬化剤は、酸無水物、カルボン酸、及びそれらの混合物からなる群から選択される。好ましくは、硬化剤は、無水酢酸、無水アクリル酸、環状酸無水物、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メタクリル酸、無水プロピオン酸、酢酸、アクリル酸、ギ酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、メタクリル酸、プロピオン酸、メチレンコハク酸、及びそれらの混合物からなる群から選択される。更に、溶媒は、エタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、及びそれらの混合物からなる群から選択される。無機酸は、好ましくは塩酸である。
【0013】
本発明の方法は、少なくとも一種の(メタ)アクリレート官能性シリコンアルコキシド、シリカ粒子、少なくとも一種の(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも一種のエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、少なくとも一種の光開始剤、少なくとも一種の溶媒、少なくとも一種の酸、及び水を含む第一のコーティング組成物を提供するステップ、及び第一のコーティング組成物を用いて、製品表面上に反射防止コーティングを形成するステップを含む。この形成するステップは、製品表面上に第一のコーティング層を堆積させるステップを含み、(1)製品表面上に第一のコーティング組成物を計量分配する、及び(2)計量分配された第一のコーティング組成物を硬化させて、第一のコーティング層を作成するステップを含む。好ましくは、第一のコーティング層は、全て510nmの波長で約1.60未満の屈折率、又はより好ましくは約1.55未満の屈折率、又は最も好ましくは約1.50未満の屈折率を有する。この反射防止コーティングを形成するステップは、好ましくは90分未満の時間、又はより好ましくは30分未満の時間、又は最も好ましくは10分未満の時間である。得られた反射防止コーティングは、規定の光学特性、並びに規定の密着力及び耐摩耗性を有する。
【0014】
本発明の別のより詳細な特徴として、この方法はシリコンの有機金属化合物以外の少なくとも一種の有機金属化合物、少なくとも一種のエポキシ官能性シリコンアルコキシド、少なくとも一種の非エポキシ官能性シリコンアルコキシド、エポキシ官能性分子と混和性がある少なくとも一種の硬化剤、少なくとも一種の溶媒、少なくとも一種の無機酸、及び水を含む第二のコーティング組成物を提供するステップを更に含む。形成するステップは、製品表面上に第二のコーティング組成物を堆積させるステップを更に含み、この第二のコーティング組成物を堆積させるステップは、(1)製品表面上に第二のコーティング組成物を計量分配する、及び(2)計量分配された第二のコーティング組成物を硬化させて、第二のコーティング層を作成するステップを更に含む。第二のコーティング層は、全て510nmの波長で、好ましくは約1.70超の屈折率、又はより好ましくは約1.80超の屈折率、又は最も好ましくは約1.90超の屈折率を有する。
【0015】
一つの好ましい実施形態において、AR(反射防止)コーティングは、第二のコーティング層と第一のコーティング層が交互に並ぶ複合層を含む。このようなARコーティングを形成する時、第二のコーティング層を堆積させるステップが、第一のコーティング層を堆積させるステップと交互に行われ、前者のステップが先に実施され、最低位のコーティング層が第二のコーティング組成物を含むように行われる。加えて、第二のコーティング層を堆積するステップと第一のコーティング層を堆積させるステップを交互に行うステップの少なくとも一つが、計量分配されたコーティング組成物を硬化させるステップ前に、計量分配されたコーティング組成物を熱処理するステップを含むことができる。
【0016】
更に、このコーティング方法は、反射防止コーティングを形成する前に、製品表面上にハードコート層を堆積させるステップを更に含むことができる。
【0017】
本発明の別の特徴及び利点は、付属する図面を参照して説明し、発明の原理を例証する好ましい実施形態及び方法に関する下記の説明から明白になるはずである。
【0018】
図1は、以下に、実施例12で説明されるように、ポリカーボネート(PC)レンズの表面上に堆積された5層の反射防止(AR)コーティングの略断面図である。この実施例の疎水性コーティング層は示されない。
【0019】
図2は、レンズの凸及び凹の両表面上に堆積された実施例12の5層ARコーティングを設けた、及びそのようなコーティングを設けていないPCレンズの反射率を、波長の関数として示したグラフである。
【0020】
図3は、レンズの凸及び凹の両表面上に堆積された実施例13の4層ARコーティングを設けた、及びそのようなコーティングを設けていないPCレンズの反射率を、波長の関数として示したグラフである。
【0021】
図4は、レンズの凸及び凹の両表面上に堆積された実施例15の5層ARコーティングを設けた、及びそのようなコーティングを設けていないPCレンズの反射率を、波長の関数として示したグラフである。
【0022】
図5は、以下に、実施例16で説明されるように、ポリメチルメタクリレート(PMMA)パネルの一表面上に堆積された4層のARコーティング及びハードコートの略断面図である。
【0023】
図6は、レンズの両表面上に堆積された実施例16の4層ARコーティングを設けた、及びそのようなコーティングを設けていないPMMAパネルの反射率を、波長の関数として示したグラフである。
【0024】
本発明は、一般的に、きわめて短い処理時間内に透明製品上に堆積できる反射防止(AR)コーティング組成物に関係する。また、本発明は、このような透明製品上に、このようなARコーティング組成物を堆積させる方法に関係する。このようなコーティング組成物及び方法を用いて堆積させたARコーティングは、良好な機械的特性、即ち良好な接着性、良好な硬度、及び改良された耐摩耗性を有する。
【0025】
レンズ、プリズム、光窓、ホトマスク基板、ホトマスク集成体に用いた保護膜など透明光学製品を、本発明のコーティングで被覆し、反射防止特性を付与することができる。また、透明製品は、テレビジョン、個人情報機器(PDA)、携帯電話、車のダッシュボード、投影スクリーン、手持ちゲームなどの製造に用いられる、電界放出表示装置、液晶表示装置(LCD)、プラズマ表示パネル(PDP)、電界発光表示装置(ELD)、陰極線管表示装置(CRT)、蛍光管表示装置、計器、時計などの表示装置の保護板を含む。
【0026】
被覆される製品は、任意の形状であることができ、単純な長方形及び平面形状、並びに反り及び湾曲を有する複雑形状を含んでいる。この製品は、ポリマー、ガラス、セラミック、又はこれらの材料の混成物を含むことができる。ポリマー製品は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン、ポリジエチレングリコール−ビス−アリルカーボネート(ADC)、又はCR−39(登録商標)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)などを含むことができる。
【0027】
ARコーティングは、液体系プロセスで調製された、本発明のコーティング組成物を用いて、このような製品の少なくとも一表面上に堆積される。この組成物の堆積は、高屈折率(即ち、約510nmの波長で1.70、1.80又は1.90より高い)及び低屈折率(即ち、約510nmの波長で1.60、1.55、又は1.50より低い)を有するARコーティング層を生成する。各層は、10から200nmの範囲の規定の厚みを有する。
【0028】
ARコーティングは、少なくとも一つのAR層を含む。ARコーティングが、まさに一層を含む場合、この層は、製品の屈折率より低い屈折率を有するコーティング組成物を用いて堆積される。他方、ARコーティングが、多層を含む場合、これらの層は、約510nmの波長で1.70、1.80又は1.90より高い屈折率を有する層、と約510nmの同一波長で1.60、1.55、又は1.50より低い屈折率を有する層を交互にすることができる。
【0029】
反射防止特性を有するコーティングを提供する原理は、Solar Energy Materials and Solar Cells、68巻(2001年)、313〜336頁、Dinguo Chenによる「ゾル−ゲル法により製造された反射防止コーティング」という題名の出版物に記載されている。低反射を達成するための二つの基本的手法が記載されている。一つの手法では、反射防止層の表面は、エッチング、研磨、エンボスなどにより、又は透明マトリックス中に粒子を組み込むことにより粗面化加工される。この加工は、ヘーズ又は拡散反射をもたらし、それによって反射レベルを低減させる。この手法により得られるコーティングは、通常は、惑光防止(antiglare)コーティングと言われる。もう一方の手法では、一連のコーティング層の屈折率及び厚さが、接続層と製品間の界面で反射される光を干渉により弱め合うように制御される。
【0030】
エッチング、研磨、エンボスなどにより作成された惑光防止コーティングは、通常は、コーティングマトリックス中に粒子を組み込むことにより作成された惑光防止コーティングに比較して低い機械的強度及び耐摩擦性を有する。惑光防止コーティングの反射レベルが、入射光の波長に依存しないため、かつコーティング層の厚さ及び屈折率の制御が相対的に重要でないため、惑光防止手法は、好都合である。
【0031】
他方で、干渉により弱め合う手法は、比較的に低反射防止レベルであるが、透明性の高いコーティングを提供する。しかし、このようなコーティングの反射レベルは、入射光の波長により依存している。この波長依存性の影響は、複合干渉弱め合い層とすることにより低減することができるが、このコーティングの製造コストは、それぞれの追加層に応じて低下する。更に、厚み及び屈折率の制御は、干渉により弱め合う型のARコーティングに対しては比較的に重要である。
【0032】
このように、二つの手法は、相対的な長所及び欠点をもっている。二つの手法の内の選択は、所望の反射防止特性のレベル、及び特定用途の要求価格に依存する。二つの手法、及び手法の組み合わせは、本発明の範囲内である。
【0033】
本発明の一実施形態では、この透明製品は、ハードコートを組み込むことができる。このハードコートは、ARコーティングが堆積される前に、製品の少なくとも一表面上に堆積される。このハードコート層が、コーティングに組み込まれて、製品ばかりではなく、ARコーティング自体に対しても耐磨耗性を与える。ハードコートの堆積は、適切な液体ハードコート処方を用いて実施される。一般的に、二つの型の液体処方がある:熱硬化性処方、及び輻射線エネルギー硬化性、特に紫外線(UV)硬化性処方。二つの型のハードコート処方は、本発明の範囲である。熱硬化性処方は、UV硬化性処方より優れた耐磨耗性を与える。しかし、UV硬化性処方は、比較的に急速に硬化することができ、それにより製造原価を低減できる。本発明に適したハードコート処方の型は、特殊な製品の耐磨耗性及び要求製造原価を考慮して決定することができる。
【0034】
耐磨耗性の要求に加えて、ハードコート層は下位の製品の屈折率に密接にマッチングした屈折率を有することができ、干渉縞の形成を防止できる。更に、ハードコート層の厚みは、1から10μmの範囲、又はより好ましくは2から6μmの範囲であることができ、記載した耐磨耗性を与えることができる。厚みが1μm未満の場合、ハードコート層は本発明の範囲の耐磨耗性レベルを与えることができない。他方で、厚みが10μm超の場合、ハードコート層の堆積は、クラックの形成、表面不均一、又は気泡の閉じ込めを生じる結果になり、コーティングの機械的及び光学的特性の劣化を導く恐れがある。
【0035】
本発明のARコーティングに適した耐磨耗性及び屈折率のレベルを与える多様なハードコート処方の調製及び堆積は、先行技術でよく説明されている。このようなハードコート処方の数例は、Chungの米国特許第4,478,876号、Lakeの米国特許第5,493,583号、Haveyらの米国特許第6,001,163号に記載されている。このような処方は、アナハイム、カリフォルニア州のSDC社、又はエバンスビル、インディアナ州のレッドスポット社から発売されている。SDC社により登録商標MP1175UVの下で、及びレッドスポット社により登録商標UVB510R6の下で販売されている市販のUV硬化性処方、並びにSDC社により登録商標MP1154Dの下で販売されている市販の熱硬化性処方は、本発明のハードコート層を堆積するために使用することができる。先行技術、並びに市販の処方の施工シートに記載されたハードコートの堆積及び硬化技術、並びに条件は、本発明のハードコート層を与えるために適用することができる。
【0036】
ハードコートを堆積する前に、製品の表面は、先行技術によく記載された技術で変性することができる。これらの技術は、コロナ放電、化学エッチング(特にNaOH又はKOH溶液を用いて)、又はプライマー層の堆積を含み、製品表面へのハードコート層の接着力を増大させる。この目的のために、ハードコートを堆積する前に、透明製品は、製品の少なくとも一表面上に堆積されたプライマー層を更に組み込むことができる。SDC社により登録商標PR1133の下で販売されている市販の処方が、熱硬化性MP1154D処方のためのプライマー層を堆積させるために、特に適切である。
【0037】
一実施形態では、ARコーティングを堆積する前に、ハードコート層でプレコートされた製品表面が、化学エッチング又はコロナ放電により変性される。化学エッチング溶液、好ましくはNaOH又はKOH、及び水を用いて調製された溶液が、ハードコート層表面の変性に用いることができる。この表面変性は、ARコーティングとハードコート層間の接着力を増大させる。別の実施形態では、製品は、ハードコートの堆積後に、製品の少なくとも一表面上に堆積されたプライマー層を更に組み込むことができる。また、このプライマー層は、製品表面に対して、ARコーティングをより良く接着することができる。
【0038】
(低屈折率UV硬化性コーティング組成物)
本発明の一実施形態では、低屈折率コーティング組成物が、一つのAR層を堆積させるために用いられる。このコーティング組成物は、活性輻射線、例えば紫外(UV)輻射線に暴露することにより硬化させることができる。以後、この低屈折率UV硬化性コーティング組成物は、「LU」組成物と称する。このLU組成物は、少なくとも一種の(メタ)アクリレート官能性シリコンアルコキシド、シリカ粒子、少なくとも一種の(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも一種のエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、少なくとも一種の光開始剤、少なくとも一種の溶媒、少なくとも一種の無機酸、及び水を含む。
【0039】
本発明では、用語(メタ)アクリレートは、アクリレート又はメタクリレート官能性基を有する化学物質を指すために用いる。
【0040】
LU組成物の調製に用いることができる、適切な(メタ)アクリレート官能性基を有するシリコンアルコキシドの例は、(3−アクリルオキシプロピル)ジメチルメトキシシラン、(3−アクリルオキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(3−アクリルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(メタクリルオキシメチル)ジメチルエトキシシラン、メタクリルオキシメチルトリエトキシシラン、メタクリルオキシメチルトリメトキシシラン、メタクリルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、(3−メタクリルオキシプロピル)トリエトキシシラン、(3−メタクリルオキシプロピル)トリメトキシシラン、及びそれらの混合物などを含む。一実施形態では、(メタ)アクリレート官能性シリコンアルコキシドは、(3−アクリルオキシプロピル)トリメトキシシランである。
【0041】
シリカ粒子は、LU組成物と混和性がある任意のシリカ粒子であることができる。種々の実施形態では、平均粒子サイズは、約100nm未満、より好ましくは約50nm未満である。このシリカ粒子は、乾燥粉末の形態で、又は適切な液体中のコロイド状分散液で、又は別の形態でコーティング組成物に添加することができる。乾燥粉末及び/又は水性溶液又は非水性溶液中のシリカ粒子のコロイド状分散液は、ナルコ社(ネイパービル、イリノイ州)、Nyacol Nano Technologies社(アッシュランド、マサチューセッツ州)、日産化学社(東京、日本)、グレースデビジョン(コロンビア、メリーランド州)、クラリアント社(キャロット、ノースカロライナ州)、キャボット社(Billerica、マサチューセッツ州)、デグサアドバンスドナノマテリアルズ社(Hanau−Wolfgang、ドイツ)、及びキャタリストアンドケミカルズ社(東京、日本)を含む種々のソースから商業的に入手できる。
【0042】
幾つかの場合には、シリカ粒子は、その表面上に、LU組成物と粒子の混和性を向上させるために適した官能基を有している。このような官能基を有するシリカ粒子は、日産化学社、クラリアント社、及びキャボット社から商業的に入手できる。また、このような粒子の調製は、ビニルシランによるコロイド状シリカの表面変性方法を説明した、ウイルヘルムの米国特許第6,335,380号、(メタ)アクリレート官能化コロイド状シリカの調製を説明した、チリーの欧州特許公報EP0505737号などの参考文献に記載されている。
【0043】
LU組成物の調製に用いることができる、(メタ)アクリレートモノマーは、任意の単官能性又は多官能性モノマーであることができる。また、それは、任意のエトキシル化又はプロポキシル化された形態であることもできる。(メタ)アクリレートモノマーの適切な例は、2(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、2−フェノキシエチルメタクリレート、カプロラクトンアクリレート、ジシクロペンタジエニルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、エトキシル化ビスフェノールAジアクリレート、エトキシル化ビスフェノールAジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリトリットトリアクリレート、プロポキシル化グリセロールトリアクリレート、プロポキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリス(2−ヒドロキシルエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、及びそれらの混合物などを含む。一実施形態では、(メタ)アクリレートモノマーは、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、トリス(2−ヒドロキシルエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、及びそれらの混合物などである。別の実施形態では、(メタ)アクリレートモノマーは、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、とトリス(2−ヒドロキシルエチル)イソシアヌレートトリアクリレートの混合物である。(メタ)アクリレートモノマーは、例えば、Sartomer社(エクストン、ペンシルバニア州)から市場で入手できる。
【0044】
LU組成物の調製に用いることができるエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーは、(メタ)アクリレート及びエポキシ官能基を有する任意のオリゴマーであることができる。このようなエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、Sartomer社からカタログ番号CN190、CN120、CNUVE151、CN120A75、CN112C60などの下で、市場で入手できる。また、このようなオリゴマーの混合物が使用できる。
【0045】
LU組成物の調製に用いることができる光開始剤は、活性輻射線により(メタ)アクリレート官能基の重合を開始できる任意の化学物質であることができる。適切な光開始剤の例は、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノン、2−ヒドロキシ−1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチル−1−プロパノン、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フォスフィンオキシド、及びそれらの混合物などがある。
また、光潜伏性塩基型光開始剤、例えば、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−(4−モルホリニル)−1−プロパノンは、光開始剤として使用できる。一実施形態では、光開始剤は、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−(4−モルホリニル)−1−プロパノン、及びそれらの混合物などである。一実施形態では、光開始剤は、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、と2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−(4−モルホリニル)−1−プロパノンの混合物である。このような光開始剤は、例えば、Ciba Specialty Chemicals社(タリタウン、ニューヨーク州)から市場で入手できる。
【0046】
LU組成物の調製に用いることができる適切な溶媒は、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール、シクロヘキサノール、ペンタノール、オクタノール、デカノール、ジ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ジブチレングリコール、トリブチレングリコール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトン、ジアセトンアルコール、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、エチルアセテート、n−プロピルアセテート、n−ブチルアセテート、t−ブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、1−メトキシ−2−プロパノール、エチル−3−エトキシプロピオネート、2−プロポキシエタノール、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、及びそれらの混合物などを含む。一実施形態では、溶媒は、イソプロパノール、エチルアセテート、1−メトキシ−2−プロパノール、及びそれらの混合物などである。別の実施形態では、溶媒は、イソプロパノール、エチルアセテート、及び1−メトキシ−2−プロパノールの混合物である。
【0047】
LU組成物の調製に用いることができる無機酸は、ゾル−ゲル加水分解、及び(メタ)アクリレート官能性シリコンアルコキシドの重合反応に触媒作用を及ぼすことができる任意の酸であることができる。適切な無機酸は、塩酸、硝酸、硫酸、フッ化水素酸、及びそれらの混合物などである。
【0048】
LU組成物を形成する各化学物質の相対量、即ち、(メタ)アクリレート官能性シリコンアルコキシド、シリカ粒子、(メタ)アクリレートモノマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、光開始剤、光潜伏性塩基、溶媒、及び水の相対量は、コーティング組成物が堆積されて低屈折率層を形成する時、この層が、510nmの波長で、1.60未満の屈折率、又はより好ましくは1.55未満の屈折率、又は最も好ましくは1.50未満の屈折率を有するように、制御される。LU組成物の調製は、以下の実施例7に例示される。
【0049】
このコーティング組成物が製品に塗布された後、しかもUV輻射線に暴露して硬化される前に、コーティングの接着力を改良するために、この製品を熱処理することができる。一実施形態では、この熱処理は、LU組成物を用いてARコーティングの第五層が塗布された後、熱処理が行われる。
【0050】
(高屈折率コーティング組成物)
本発明の一実施形態では、1.70超の屈折率、より好ましくは1.80超の屈折率、最も好ましくは1.90超の屈折率を有するAR層を堆積させるために、高屈折率のコーティング組成物が用いられる。以後、この高屈折率のコーティング組成物は、「HT」組成物と呼ばれる。HT組成物は、少なくとも一種の有機金属化合物(シリコンの有機金属化合物以外)、少なくとも一種のエポキシ官能性シリコンアルコキシド、少なくとも一種の非エポキシ官能性シリコンアルコキシド、エポキシ官能性分子と混和性がある少なくとも一種の硬化剤、少なくとも一種の溶媒、少なくとも一種の無機酸、及び水を含む。
【0051】
HT組成物を調製するために用いることができる有機金属化合物は、AR層の屈折率を1.70、1.80、又は1.90超の値に増大させることができる任意の有機金属化合物であることができる。このような有機金属化合物の適切な例は、式:R11(OR4-x、R1y2(OR23-y、R1zNb(OR25-zなどで表すことができる。また、このような有機金属化合物の混合物も、このような目的に適している。式中、M1はTi、Zr、Ge及びSnからなる群から選択された金属であり、M2はAl、In及びSbからなる群から選択された金属であり、R1はC1−C4アルキル、ビニル、アリル、アクリルオキシ、エポキシド、及びアミノ基からなる群から選択された有機官能性基であり、R2はC1−C4アルキル基である。式中、xは0、1、2又は3、yは0、1又は2、及びzは0、1、2、3又は4である。このような有機金属化合物の有用な例は、アルミニウムアクリレート、アルミニウムエトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムメタクリレート、アンチモンIIIn−ブトキシド、アンチモンIIIエトキシド、アンチモンIIIメトキシド、ゲルマニウムn−ブトキシド、ゲルマニウムエトキシド、ゲルマニウムイソプロポキシド、ゲルマニウムメトキシド、メタクリルオキシトリエチルゲルマン、インジウムメトキシエトキシド、ニオブVn−ブトキシド、ニオブVエトキシド、スズIIエトキシド、スズIIメトキシド、ジ−n−ブチルジアクリレートスズ、ジ−n−ブチルジメタクリレートスズ、チタニウムn−ブトキシド、チタニウムエトキシド、チタニウムイソブトキシド、チタニウムイソプロポキシド、チタニウムメタクリレートトリイソプロポキシド、チタニウムメタクリルオキシエチルアセトアセテートトリイソプロポキシド、チタニウムn−プロポキシド、ジルコニウムn−ブトキシド、ジルコニウムt−ブトキシド、ジルコニウムジメタクリレートジブトキシド、ジルコニウムエトキシド、ジルコニウムイソプロポキシド、ジルコニウムメタクリレート、ジルコニウムメタクリルオキシエチルアセトアセテートトリ−n−ブトキシド、ジルコニルジメタクリレート、及びそれらの混合物などである。本発明の一実施形態では、有機金属化合物は、チタニウムイソブトキシドである。このような金属アルコキシドは、例えば、Gelest社(モリスビル、ペンシルバニア州)及びAldrich社(セントルイス、ミゾリー州)から商業的に入手できる。
【0052】
HT組成物を調製するために用いることができるエポキシ官能性シリコンアルコキシドは、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、5,6−エポキシへキシルトリエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)ジメチルエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−シアノプロピルトリメトキシシラン、及びそれらの混合物などである。本発明の一実施形態では、エポキシ官能性シリコンアルコキシドは、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシランである。このようなエポキシ官能性シリコンアルコキシドは、例えば、Gelest社から商業的に入手できる。
【0053】
HT組成物を調製するために用いることができる有用な非エポキシ官能性シリコンアルコキシドは、一般式:(OFG)w−Si−(OR34-wで表すことができ、式中、wは0、1、2又は3であり、OR3は加水分解性アルコキシ基であり、R3はアルキル基であり、OFGは有機官能性基である。ある実施形態では、各OFGは、独立して、アセチル、アクリレート、アルコキシアルキル、アルキル(直鎖、分枝した、又は環式)、アミノ、芳香族、カルバメート、カルボキシル、シアノ、エステル、ハロゲン、メルカプト、メタクリレート、又はビニル官能基からなる群から選択された少なくとも一種の官能基を含む。一実施形態では、各OFGは、独立して、1から100個の炭素原子をもつ。別の実施形態では、各OFGは、独立して、1から20個の炭素原子をもつ。ある実施形態では、各アルキル基R3は、独立して、1から20個の炭素原子をもつ。別の実施形態では、各アルキル基R3は、独立して、1から4個の炭素原子をもつ。
【0054】
HT組成物を調製するために用いることができる非エポキシ官能性シリコンアルコキシドの適切な例は、アセトキシプロピルトリメトキシシラン、(3−アクリルオキシプロピル)トリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリス(メトキシエトキシエトキシ)シラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(N−アリルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−シアノエチルトリエトキシシラン、3−シアノプロピルトリメトキシシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロドデシル)トリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、(3−メタクリルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(3−メタクリルオキシプロピル)トリエトキシシラン、メタクリルオキシメチルトリメトキシシラン、メタクリルオキシメチルトリエトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、及びそれらの混合物である。本発明の一実施形態では、非エポキシ官能性シリコンアルコキシドは、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、及びそれらの混合物である。本発明の別の実施形態では、非エポキシ官能性シリコンアルコキシドは、テトラエトキシシラン、とテトラメトキシシランの混合物である。このような非エポキシ官能性シリコンアルコキシドは、例えば、Gelest社から商業的に入手できる。
【0055】
HT組成物を調製するために用いられる硬化剤は、エポキシ官能性分子と混和性がある任意の硬化剤であることができる。硬化剤は、酸無水物、カルボン酸、及びそれらの混合物であることができる。酸無水物の適切な例は、無水酢酸、無水アクリル酸、環状酸無水物、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メタクリル酸、無水プロピオン酸、及びそれらの混合物である。可能なカルボン酸成分は、酢酸、アクリル酸、ギ酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、メタクリル酸、プロピオン酸、メチレンコハク酸、及びそれらの混合物などを含む。本発明の一実施形態では、硬化剤は無水ヘキサヒドロフタル酸である。本発明の別の実施形態では、硬化剤はメチレンコハク酸である。
【0056】
HT組成物を調製するために用いることができる適切な溶媒は、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール、シクロヘキサノール、ペンタノール、オクタノール、デカノール、ジ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ジブチレングリコール、トリブチレングリコール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトン、ジアセトンアルコール、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、エチルアセテート、n−プロピルアセテート、n−ブチルアセテート、t−ブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、1−メトキシ−2−プロパノール、エチル−3−エトキシプロピオネート、2−プロポキシエタノール、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、及びそれらの混合物などを含む。本発明の一実施形態では、溶媒は、エタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、又はそれらの混合物である。本発明の別の実施形態では、溶媒は、エタノール、と1−メトキシ−2−プロパノールの混合物である。
【0057】
HT組成物を調製するために用いることができる無機酸は、ゾル−ゲル加水分解、並びに有機金属化合物、エポキシ官能性シリコンアルコキシド、及び非エポキシ官能性シリコンアルコキシドの重合反応に触媒作用を及ぼすことができる任意の酸であることができる。適切な無機酸は、塩酸、硝酸、硫酸、フッ化水素酸、及びそれらの混合物などである。本発明の一実施形態では、無機酸は塩酸である。
【0058】
HT組成物を作成する各化学物質の相対量、即ち、有機金属化合物、エポキシ官能性シリコンアルコキシド、非エポキシ官能性シリコンアルコキシド、硬化剤、溶媒、無機酸、及び水の相対量は、コーティング組成物が堆積されて高屈折率層を形成する時、この層が、510nmの波長で、1.70超の屈折率、又はより好ましくは1.80超の屈折率、又は最も好ましくは1.90超の屈折率を有するように、制御される。HT組成物の調製は、以下に、実施例3〜6に例示される。
【0059】
また、本発明のコーティング組成物は、産業界に広く知られた適切なコーティング技術を用いて、製品上に堆積することができる。この技術は、例えば、Solar Energy Materials and Solar Cells、68巻(2001年)、313〜336頁、Dinguo Chenによる「ゾル−ゲル法により製造された反射防止コーティング」という題名の出版物に記載されている。このコーティング技術は、スピンコーティング、ディップコーティング、ロールコーティング、フローコーティング、及びメニスカスコーティングを含む。スプレーコーティングは、時々この技術を用いて均一コーティングを得ることが難しいので、あまり好ましくない。カワムラらの米国特許RE37,183号に記載されたように、スプレーコーティング技術によって作成されたコーティングは、通常中心部より周辺部が厚くなる。この不均一性は、貧弱な反射防止特性をもつコーティングを生むことになる。
【0060】
スピンコーティング技術では、製品は、真空適用下で回転チャック表面に確実に押さえつけられる。製品が、典型的には1,000rpm超の速度で回転する間に、所定の容積の液体コーティング組成物が、製品表面上に計量分配される。それにより、コーティング組成物は、製品表面上に薄層又は薄膜を形成し、回転中に部分乾燥することができる。続いて、製品は、チャック上で硬化することができる。別法としては、製品は、スピンコーターから取り除かれ、例えば、オーブン内で硬化することができる。通常は、それぞれのARコーティング作業の間に、製品のちょうど一表面が、スピンコーティング技術でコートされる。
【0061】
ディップコーティング技術では、透明製品が、キャンチレバーアームにクランプされ、コーティング組成物を含有するプラスティック容器内に浸漬される。プラスティック容器、及びキャンチレバーアームは、湿度が管理された槽内に収納されている。駆動システムは、キャンチレバーアーム及び製品を垂直軸又は傾斜軸に沿って降下及び上昇させる。この移動の範囲は、製品を容器に完全に浸漬し、容器から完全に取り出せるように十分でなければならない。キャンチレバーアーム及び製品を所定の速度で容器内に下ろすことにより、各ARコーティング層が堆積される。短時間の間、組成物に浸漬を続けた後、製品は、所定の速度で組成物から引き出される。アーム及び製品の引き出し速度を正確に管理して、堆積される層の厚みを管理するように、この駆動システムは適切にプログラムされたコンピューターを内蔵している。一般的に、遅い引き出し速度は、より薄いコーティング層を生みだす。引き出し速度は、0.1cm/秒から0.5cm/秒の範囲である。通常は、製品表面の全ては、それぞれのコーティング作業の間に、ディップコーティングによりコートされる。
【0062】
認識されたコーティング技術の全てについて、干渉弱め合い型ARコーティングに関する反射のレベルは、各層の屈折率及び厚みに大いに依存する。コーティング溶液の組成は、これらの両パラメーターに影響を及ぼす。所望の反射レベルを生むスピンコーターの回転速度(又は、ディップコーターの引き出し速度)は、異なる回転速度(又は、引き出し速度)で堆積されたARコーティングを有する多くのコーティングを調製することにより、及びそれぞれのコーティングの反射防止特性を測定することにより経験的に決められる。最良の反射防止特性を生みだす回転速度(又は、引き出し速度)が選択されて、AR層を作成する。
【0063】
本発明のコーティング組成物は、コーティング及び/又は製品を物理的に又は化学的に劣化させない任意の温度及び時間で、熱処理することができる。例えば、コーティング工程時に、プラスティック製品のガラス転移温度を超えるならば、製品は、変形して、商業的目的に対して使用できなくなる。ガラス転移温度より非常に高い温度では、プラスティック製品は化学的に分解するに違いない。他方、これらは時間に依存する現象であるので、このような物理的又は化学的劣化は、熱処理時間を短縮することにより回避することができる。このように、より高い熱処理温度の負の影響は、処理時間を短縮することにより回避できる。このような劣化を回避するとともに、最良の硬化条件を生み出す熱処理温度及び時間は、経験的に決めることができる。この熱処理は、コーティング組成物の硬化を促進するために適用することができる。例えば、LU組成物は、製品表面上に計量分配された後、しかもUV照射により硬化された後に、熱処理することができる。代わって、HT組成物の場合には、この熱処理は、コーティング組成物を完全に硬化させるために適用できる。また、この熱処理は、ARコーティングの接着力及び耐摩耗性を改良するために適用することができる。
【0064】
上記のコーティング組成物及びコーティング法を用いることにより、非常に短い処理時間で、透明製品の表面上にARコーティングを形成できる。少なくとも製品の一表面上にARコーティングを形成するための処理時間は、各AR層を堆積させる前又は後に、製品を清浄化又は乾燥するために要する時間、並びにコーティング組成物を製品表面上に計量分配するために要する時間、及びコーティング組成物を硬化させるために要する時間を含む。また、この処理時間は、ハードコート及び/又はプライマー層を堆積させるために要する時間を含むことができる。また、この処理時間は、ハードコートを含む任意の一層を表面処理するために要する時間を含むことができる。この処理時間は、それらの個々の処理ステップの前又は後に、製品を移動させるために要する時間を更に含むことができる。このように、この処理時間は、本発明のARコーティングで、製品の少なくとも一表面をコートするために要する総合時間である。処理時間は、ARコーティングに疎水性層を堆積させるために要する時間を含んでいない。
【0065】
処理時間は、好ましくは90分未満、より好ましくは30分未満、最も好ましくは10分未満である。例えば、本発明の方法を用いて、完全硬化5層ARコーティングを、7分未満の処理時間で眼用レンズの一表面上に形成できる。
【0066】
本発明の方法は、説明のための以下の実施例を参考にすれば、より良く理解できる。
【実施例1】
【0067】
(低濃度チタニアコーティング組成物の調製)
この実施例で調製された、低濃度チタニアコーティング組成物は、以下、「LoT」組成物と呼ばれる。LoT組成物の調製は、Chenらの米国特許第5,856,018号に詳細に記載されている。この内容は、参考文献として本明細書に援用される。このコーティング組成物は、以下のように調製された。
【0068】
容器内で、約317.1gの試薬グレードのエタノール(Fisher Scientific社、タスティン、カリフォルニア州、カタログ番号A995−4)、約5.9gの塩酸(約36重量%濃度)、及び約5.8gの水を、室温で、約200rpmで約5分間混合し、第一の混合物を作成した。続いて、この第一の混合物に、約106.4gのチタニウムイソプロポキシドを添加して第二の混合物を作成した。この第二の混合物を約200rpmで約60分間攪拌した。続いて、この第二の混合物に、約1,552.5gの試薬グレードのエタノール、約2.1gの塩酸、及び約10.4gの水を加え、第三の混合物を作成した。第三の混合物を約200rpmで約5時間攪拌した後に、0.2μmのフィルターでろ過してLoT組成物を作成した。
【実施例2】
【0069】
(中濃度チタニアコーティング組成物の調製)
この実施例で調製された、中濃度チタニアコーティング組成物は、以下、「MdT」組成物と呼ばれる。MdT組成物の調製は、Chenらの米国特許第5,856,018号に詳細に記載されている。このコーティング組成物は、以下のように調製された。
【0070】
容器内で、約448.17gの試薬グレードのエタノール、約8.31gの塩酸(約36重量%濃度)、及び約8.13gの水を、室温で、約200rpmで約5分間混合し、第一の混合物を作成した。続いて、この第一の混合物に、約150.34gのチタニウムイソプロポキシドを添加して、第二の混合物を作成した。この第二の混合物を約200rpmで約60分間攪拌した。続いて、この第二の混合物に、約1,374.52gの試薬グレードのエタノール、約2.93gの塩酸、及び約7.61gの水を加え、第三の混合物を作成した。第三の混合物を約200rpmで約5時間攪拌した後に、0.2μmのフィルターでろ過してMdT組成物を作成した。
【実施例3】
【0071】
(高屈折率チタニアコーティング組成物の調製)
この実施例で調製された、高屈折率チタニアコーティング組成物は、以下、「HT1」組成物と呼ばれる。HT1コーティング組成物は、以下のように調製された。
【0072】
容器内で、約317.1gの試薬グレードのエタノール、約5.9gの塩酸(36重量%)、及び約5.7gの水を、室温で、約200rpmで約5分間混合し、第一の混合物を作成した。続いて、この第一の混合物に、約106.4gのチタニウムテトライソプロポキシドを添加して、第二の混合物を作成した。この第二の混合物を、室温で、約200rpmで約60分間攪拌した。続いて、この第二の混合物に、約1,552.5gの試薬グレードのエタノール、約2.1gの塩酸、及び約10.4gの水を加え、第三の混合物を作成した。
【0073】
Aldrich社(セントルイス、ミズリ州)から購入した約1.34gの3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPTMOS)、Lonza Chemicals社(バゼル、スイス)から購入した約0.95gの無水ヘキサヒドロフタル酸(HHPA)、Aldrich社から購入した約1.58gのテトラメチルオルトシリケート(TMOS)、Aldrich社から購入した約1.98gの1−メトキシ−2−プロパノール、約1.4gの水、及び約32gの試薬アルコールを含有する溶液を、室温で、約250rpmで約1時間攪拌することにより第四の混合物を調製した。
【0074】
第四の混合物を第三の混合物に添加して、第五の混合物を調製した。第五の混合物を、室温で、約200rpmで約5時間攪拌した後、0.2μmのフィルターでろ過して、HT1コーティング組成物を作成した。
【実施例4】
【0075】
(第二の高屈折率チタニアコーティング組成物の調製)
実施例3の第四の混合物で用いた約0.95gの無水ヘキサヒドロフタル酸(HHPA)を、約1.70gのメチレンコハク酸に置き換えた以外は、実施例3に記載したと同様な手段で、本実施例のコーティング組成物を調製した。
【実施例5】
【0076】
(第三の高屈折率チタニアコーティング組成物の調製)
本実施例で調製した高屈折率チタニアコーティング組成物は、以後、「HT3」組成物と呼ぶ。
【0077】
容器内で、約310.3gの試薬グレードのエタノール、約6.57gの塩酸(約36重量%濃度)、及び約2.63gの水を、室温で、約200rpmで約5分間混合し、第一の混合物を作成した。続いて、この第一の混合物に、約117.5gのチタニウムテトライソプロポキシドを添加して、第二の混合物を作成した。この第二の混合物を、室温で、約200rpmで約60分間攪拌した。続いて、この第二の混合物に、約1,146.6gの試薬グレードのエタノール、約2.18gの塩酸、及び約15.5gの水を加え、第三の混合物を作成した。
【0078】
Aldrich社から購入した約1.36gの3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPTMOS)、Lonza Chemicals社から購入した約0.935gの無水ヘキサヒドロフタル酸(HHPA)、Aldrich社から購入した約1.75gのテトラメチルオルトシリケート(TMOS)、Aldrich社から購入した約2.07gの1−メトキシ−2−プロパノール、約1.56gの水、及び約33.3gの試薬アルコールを含有する溶液を、室温で、約250rpmで約1時間攪拌することにより第四の混合物を調製した。
【0079】
第四の混合物を第三の混合物に添加して、第五の混合物を調製した。第五の混合物を、室温で、約200rpmで約5時間攪拌した後、0.2μmのフィルターでろ過して、HT3コーティング組成物を作成した。
【実施例6】
【0080】
(第四の高屈折率チタニアコーティング組成物の調製)
実施例5の第四の混合物で用いた約0.935gの無水ヘキサヒドロフタル酸(HHPA)を、約1.87gのメチレンコハク酸に置き換えた以外は、実施例5に記載したと同様な手段で、本実施例のコーティングを調製した。
【実施例7】
【0081】
(低屈折率UV硬化性コーティング組成物の調製)
LU組成物を以下のように調製した。容器中で、Nissan Chemicals社(ヒューストン、テキサス州、カタログ番号IPA−ST)から購入した約21.056gの約30重量%のコロイド状シリカのイソプロピルアルコール溶液、約7.579gの(3−アクリルオキシプロピル)トリメトキシシラン、及び約0.1規定の塩酸を含有する約0.664gの水を混合して第一の混合物を作成した。続いて、この第一の混合物を密閉容器に封入し、約45℃に加熱し、Fisher Scientific社から購入した型式FS220H超音波処理器を用いて、超音波処理しながら約60分間この温度に維持した。
【0082】
内容物を外部光の暴露から保護するために、アルミニウムシートでカバーされた3リットルの容器内で、Sartomer社(エクストン、ペンシルバニア州)からカタログ番号SR−454として購入した、約4.914gのエトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、Sartomer社からカタログ番号CN120として購入した、約4.914gのビスフェノール−Aエポキシアクリレートオリゴマー、Sartomer社からカタログ番号SR−368Dとして購入した、約2.541gのトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、Ciba社(タリタウン、ニューヨーク州)からカタログ番号Irgacure184として購入した、約0.847gの光開始剤1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、Ciba社からカタログ番号907として購入した、約0.170gの光潜伏性塩基2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−(4−モルホリニル)−1−プロパノンを混合して、第二の混合物を作成した。この第二の混合物を、約200rpmで約5分間攪拌した。第二の混合物に、約110gのエチルアセテート、及び約305gの1−メトキシ−2−プロパノールを添加して、第三の混合物を作成した。第三の混合物を、室温で、約250rpmで約30分間攪拌した。
【0083】
容器中で、第三の混合物、第一の混合物、及び約1,542.2gのイソプロパノールを一緒に混合して、第四の混合物を作成した。第四の混合物を密封して、室温で、約250rpmで約60分間攪拌した。続いて、第四の混合物を10μmのフィルターでろ過して、LU組成物を作成した。
【実施例8】
【0084】
(低屈折率UV硬化性オルガノシロキサンコーティング組成物の調製)
本実施例で調製した、低屈折率UV硬化性オルガノシロキサンコーティング組成物を、以下、「DMP11」組成物と呼ぶ。このDMP11組成物を以下のように調製した。
【0085】
内容物を外部光の暴露から保護するために、アルミニウムシートでカバーされた3リットルの容器内で、SDC社(アナハイム、カリホルニア州)からカタログ番号MP−1175として購入した、約135.8gのUV硬化性オルガノシロキサン、約452.4gの1−メトキシ−2−プロパノール、約1276.0gのイソプロピルアルコール、及び約135.8gのエチルアセテートを混合して第一の混合物を作成した。この第一の混合物を、室温で、約250rpmで約60分間攪拌した。続いて、第一の混合物を10μmのフィルターでろ過して、DMP11組成物を作成した。
【実施例9】
【0086】
(第一の低屈折率シリカコーティング組成物の調製)
低屈折率シリカコーティング組成物を、以下、「LS2」組成物と呼ぶ。LS2組成物の調製は、Chenらの米国特許第5,856,018号に詳細に記載されている。LS2コーティング組成物は、以下のように調製される。容器内で、約28.3gの試薬グレードのエタノール、Aldrich社から購入した約52.6gのテトラエチルオルトシリケート(TEOS)、約2.6gの塩酸(約36重量%)、及び約15.3gの水を、室温で、約200rpmで約30分間混合し、第一の混合物を作成した。続いて、この第一の混合物に、約901.2gの試薬グレードのアルコールを添加して、第二の混合物を作成した。この第二の混合物を、室温で、約200rpmで約5時間攪拌した後、これを0.2μmのフィルターでろ過して、LS2組成物を作成した。
【実施例10】
【0087】
(第二の低屈折率シリカコーティング組成物の調製)
別の低屈折率シリカコーティング組成物を、以下、「LS4」組成物と呼ぶ。コーティング組成物LS4の調製の詳細な記載は、Chenらの米国特許第5,856,018号に開示されている。LS4コーティング組成物は、以下のように調製される。
【0088】
容器内で、約231.7gの試薬グレードのエタノール、Aldrich社から購入した約136.8gのテトラエチルオルトシリケート(TEOS)、約4.7gの塩酸(約36重量%)、及び約40.7gの水を、室温で、約200rpmで約30分間混合し、第一の混合物を作成した。続いて、この第一の混合物に、約586.1gの試薬アルコールを添加して、第二の混合物を作成した。この第二の混合物を、室温で、約200rpmで約5時間攪拌した後、これを0.2μmのフィルターでろ過して、コーティング組成物LS4を作成した。
【実施例11】
【0089】
(疎水性コーティング組成物の調製)
疎水性層を堆積させるために用いる疎水性コーティング組成物の調製が、Yanらの米国特許第6,395,331号に詳細に記載された。その内容を参考文献として本明細書に援用する。疎水性コーティング組成物は、2ステップ法で調製された。先ず、容器内で、約38.5gのイソプロパノール、約2.8gの水、約0.7gの塩酸(約36重量%濃度)、及び約0.4gの1H,1H,2H,2H−ペルフルオロデシルトリエトキシシランが一緒に混合され、第一の混合物を作成した。この第一の混合物を、室温で、約250rpmで約2時間攪拌した。続いて、この第一の混合物を、約0.1gの1H,1H,2H,2H−ペルフルオロデシルトリエトキシシラン、約495.3gの水、約418.3gのイソプロパノール、及び約44gのエチレングリコールと混合し、第二の混合物を作成した。この第二の混合物を、約250rpmで約1時間攪拌し、続いて0.2μmのフィルターでろ過して、疎水性コーティング組成物を作成した。
【実施例12】
【0090】
(眼用レンズ上に疎水性層をもつ5層ARコーティング)
この実施例では、従来のスピンコーティング法を用いて、コーティング組成物を連続的に堆積させて、ポリカーボネート(PC)眼用レンズの凸表面及び凹表面の両表面上に5層のARコーティングを作成した。この実験に用いたスピンコーターは、Gerber Coburn社、サウスウインザー、コネチカット州により製造されたカタログ名Stratumレンズコーティングシステムであった。PCレンズは、商標Airwearとして、Essilor社、ダッドレイ、マサチューセッツ州から購入した。購入時、レンズは、その両表面上にハードコートを有した。このレンズは、第一のAR層を堆積させる前に、クリーンルーム布上に約1mlのエタノールを計量分配して、続いてこの布でレンズの両表面を拭うことにより清浄化した。続いて、圧縮空気を吹き付けてこのレンズを乾燥した。
【0091】
先ず、レンズの凸表面を、以下に記載の方法を用いて5層ARコーティングでコートした。続いて、この方法をレンズの凹表面にも繰り返した。
【0092】
実施例1で調製したLoT組成物を用いて、レンズの凸表面に第一のAR層を堆積させた。この液体組成物を、約20秒かけて、凸表面に0.5mlから1mlの溶液の範囲になるように手動で計量分配して塗布したが、この間、レンズは約2,800rpmの回転速度で回転していた。この第一のAR層を、ヒートガンを用いて、約1分以内で、約130℃で硬化させた。
【0093】
第二のAR層を、実施例7で調製したLU組成物を用いて、レンズの凸表面上に堆積させた。この液体組成物を、約20秒間かけて、レンズ表面に0.5mlから1mlの溶液の範囲になるように手動で計量分配して塗布したが、この間、レンズは約3,500rpmの回転速度で回転していた。この層を、先ず窒素で約15秒間、槽をパージングすること、及び続いて、レンズを約20秒間UV輻射線に暴露することによりスピンコーター内で硬化させた。製品が受けたUV輻射線のエネルギーは、レンズの代わりに輻射計を配置して計測した。この輻射計は、商標登録マイクロキュアとして、EIT社、スターリング、バージニア州が製造したものである。輻射計によれば、UV輻射線へ約20秒間の暴露は、約2.2J/cm2のエネルギーを吸収したことが判明した。UV槽の温度は、当初、約30℃であったが、UV輻射線を受けた後のレンズ表面の温度は、ペーパーサーモメータ社、グリーンフィールド、ニューハンプシャー州が製造した温度テープで測定した結果、約230℃に上昇していた。この温度はレンズのガラス転移温度を超えたが、レンズの反りは目視で認知できなかった。
【0094】
実施例2で調製したDdT組成物を用いて、レンズの凸表面に第三のAR層を堆積させた。この液体組成物を、約20秒間かけて、レンズ表面に0.5mlから1mlの溶液の範囲になるように手動で計量分配して塗布したが、この間、レンズは約1,400rpmの回転速度で回転していた。この層を、ヒートガンを用いて、約1分以内で、約130℃で硬化させた。
【0095】
実施例7で調製したLU組成物を用いて、レンズの凸表面に第四のAR層を堆積させた。この液体組成物を、約20秒間かけて、レンズ表面に0.5mlから1mlの溶液の範囲になるように手動で計量分配して塗布したが、この間、レンズは約3,500rpmの回転速度で回転していた。この堆積層を、ヒートガンを用いて、約1分以内で、約130℃で熱処理し、続いて先ず窒素で約15秒間、槽をパージングすること、及び続いて、レンズを約20秒間UV輻射線に暴露することによりスピンコーター内で更に硬化させた。
【0096】
実施例8で調製したDMP11組成物を用いて、レンズの凸表面に第五のAR層を堆積させた。この液体組成物を、約20秒間かけて、レンズ表面に0.5mlから1mlの溶液の範囲になるように手動で計量分配して塗布したが、この間、レンズは約3,500rpmの回転速度で回転していた。この層を、先ず窒素で約15秒間、槽をパージングすること、及び続いて、レンズを約20秒間UV輻射線に暴露することによりスピンコーター内で硬化させた。
【0097】
凸表面上に第五のAR層を堆積させた後、レンズをスピンコーターから取り出し後に、この凹表面を、クリーンルーム布上に約1mlのエタノールを計量分配し、続いてこの布でレンズの凹表面を拭うことにより清浄化した。続いて、圧縮空気を吹き付けてこのレンズを乾燥した。最後に、同一の堆積法を繰り返して、レンズの凹表面を同一の5層コーティングでコートした。
【0098】
レンズ表面上に5層ARコーティングを形成するための処理時間は、7分未満であった。この5層コーティングは、図1に概略説明され、ポリカーボネート(PC)眼用レンズ上に堆積される。LUコーティング組成物を用いて堆積させた、第二及び第四のコーティング層は、1.50未満の屈折率をもたらす。LUコーティング組成物は、90日超の安定なポットライフをもっている。
【0099】
最後に、実施例11で調製した疎水性コーティング組成物を用いて、疎水性層が第五層上に堆積された。レンズを組成物中に約10秒間手動で浸漬することにより、レンズの両表面に液体組成物を塗布した。この層を、ヒートガンを用いて、約1分以内で、約130℃で硬化させた。
【0100】
疎水性上塗り層をもつ5層ARコーティングの機械的、光学的特性を試験した。このコーティングの接着力は、日本工業規格JIS5600−5−6に記載されたクロスカットテープ接着試験を用いて試験された。この試験は、3M600番粘着テープを用いて実施された。ARコーティングの接着力は、Y1と測定され、本発明の範囲では、接着力の合格レベルであると観察された。UV硬化前に、第四層を、ヒートガンを用いて約130℃で約1分間熱処理することが、ARコーティングの接着力を改良することが判った。熱処理を施さない時には、ARコーティングは、クロスハッチ接着試験で不合格であり、即ち接着力はY1ではなかった。この熱処理は、ARコーティングに対してクロスハッチ試験に合格させる。
【0101】
このARコーティングは、少なくとも2Hの鉛筆硬度を有した。このコーティングの反射防止特性は図2に示される。
【実施例13】
【0102】
(眼用レンズ上の4層ARコーティング)
この実施例では、従来のスピンコーティング法を用いて、コーティング組成物を連続的に堆積させて、ポリカーボネート(PC)レンズの凸表面及び凹表面の両表面上に4層のARコーティングを作成した。この実施例では、Stratumレンズコーティングシステムを用いた。PCレンズは、商標Airwearとして、Essilor社から購入した。購入時、レンズは、その両表面上にハードコートを有した。このレンズは、第一のAR層を堆積させる前に、クリーンルーム布上に約1mlのエタノールを計量分配して、続いてこの布でレンズの両表面を拭うことにより清浄化した。続いて、圧縮空気を吹き付けてこのレンズを乾燥した。
【0103】
先ず、レンズの凸表面を、以下に記載の方法を用いて4層ARコーティングでコートした。続いて、この方法をレンズの凹表面にも繰り返した。
【0104】
実施例4で調製したHT1組成物を用いて、レンズの凸表面に第一のAR層を堆積させた。この液体組成物を、約20秒かけて、レンズ凸表面に0.5mlから1mlの溶液の範囲になるように手動で計量分配して塗布したが、この間、レンズは約2,800rpmの回転速度で回転していた。この層を、ヒートガンを用いて、約1分以内で、約130℃で硬化させた。
【0105】
実施例7で調製したLU組成物を用いて、レンズの凸表面に第二のAR層を堆積させた。この液体組成物を、約20秒間かけて、レンズ表面に0.5mlから1mlの溶液の範囲になるように手動で計量分配して塗布したが、この間、レンズは約3,500rpmの回転速度で回転していた。この層を、先ず窒素で約15秒間、槽をパージングすること、及びレンズを約20秒間UV輻射線に暴露することによりスピンコーター内で硬化させた。
【0106】
実施例6で調製したHT3組成物を用いて、レンズの凸表面に第三のAR層を堆積させた。この液体組成物を、約20秒間かけて、レンズ表面に0.5mlから1mlの溶液の範囲になるように手動で計量分配して塗布したが、この間、レンズは約1,400rpmの回転速度で回転していた。この層を、ヒートガンを用いて約1分以内で、約130℃で硬化させた。
【0107】
実施例10で調製したLS4組成物を用いて、レンズの凸表面に第四のAR層を堆積させた。この液体組成物を、約20秒間かけて、レンズ表面に0.5mlから1mlの溶液の範囲になるように手動で計量分配して塗布したが、この間、レンズは約3,000rpmの回転速度で回転していた。続いて、この層を、オーブン内で、約7.5分以内で、約100℃で硬化させた。その後、この層を、オーブン内で約10分間、約75%の相対湿度、約100℃で更に硬化させた。
【0108】
レンズの凸表面上に第四のAR層を堆積させた後、レンズをスピンコーターから取り出し、かつこの凹表面を、クリーンルーム布上に約1mlのエタノールを計量分配し、続いてこの布でレンズの凹表面を拭うことにより清浄化した。続いて、圧縮空気を吹き付けてこのレンズを乾燥した。最後に、同一の堆積法を繰り返して、レンズの凹表面を同一の4層ARコーティングでコートした。
【0109】
レンズの一表面上にこの4層ARコーティングを形成するための処理時間は、22分未満であった。
【0110】
この実施例のARコーティングの光学的及び機械的特性を試験した。図3に示したように、このコーティングは良好な光学特性を有した。調製した時、このARコーティングは、3M600番粘着テープを用いて、クロスハッチ接着試験に合格した。加えて、このコーティングを、J.A.Woollam社、リンカン、ネブラスカ州が製造したモデル名Vaseの偏光解析装置を用いて分析し、各層の屈折率を測定した。組成物HT1を用いて堆積させた第一層は、約1.96の屈折率を有すると測定され、組成物LUを用いて堆積させた第二層は、約1.50の屈折率を有すると測定され、組成物HT3を用いて堆積させた第三層は、約1.95の屈折率を有すると測定され、かつ組成物LS4を用いて堆積させた第四層は、約1.44の屈折率を有すると測定された。
【実施例14】
【0111】
(眼用レンズ上に疎水性層をもつ4層ARコーティング)
この実施例では、4層ARコーティングを、実施例13に記載したと同様な方法で眼用レンズ上に堆積させた。この実施例では、疎水性コーティング層を、実施例11で調製した疎水性コーティング組成物を用いて、レンズの両表面上の第四層上に堆積させた。レンズをこの組成物中に約10秒間手動で浸漬することにより、レンズ表面にこの液体組成物を塗布した。この層を、ヒートガンを用いて、約1分以内で、約130℃で硬化させた。
【0112】
このARコーティングを、光学的及び機械的特性について試験した。図3に示したものと同様に、このコーティングは良好な光学特性を有した。調製した時、このARコーティングは、3M600番粘着テープを用いて、クロスハッチ接着試験に合格した。
【0113】
疎水性トップコーティング層を有するレンズの水接触角は、約110°であった。Quality Accessories社、ムンスタ、インヂアナ州から購入した商標Buff−Offとして認識されたレンズ清浄布を用いて、レンズを約3psiの圧力で、約20,000サイクル擦った後に、水接触角は、約102°に低下した。この布摩擦試験の間にコーティングの剥離は生じなかった。摩擦試験後の高接触角及び非剥離は、このコーティングが非常に良好な耐摩擦特性を有することを指摘する。
【実施例15】
【0114】
(眼用レンズ上に疎水性層をもつ5層ARコーティング)
この実施例では、従来のスピンコーティング法を用いて、コーティング組成物を連続的に堆積させて、ポリカーボネート(PC)眼用レンズの凸表面及び凹表面の両表面上に5層のARコーティングを作成した。この実施例では、Stratumレンズコーティングシステムを用いた。PCレンズは、商標Airwearとして、Essilor社から購入した。購入時、レンズは、その両表面上にハードコートを有した。このレンズは、第一のAR層を堆積させる前に、クリーンルーム布上に約1mlのエタノールを計量分配して、続いてこの布でレンズの両表面を拭うことにより清浄化した。続いて、圧縮空気を吹き付けてこのレンズを乾燥した。
【0115】
先ず、レンズの凸表面を、以下に記載の方法を用いて5層ARコーティングでコートした。続いて、この方法を凹表面にも繰り返した。
【0116】
実施例4で調製したHT1組成物を用いて、レンズの凸表面に第一のAR層を堆積させた。この液体組成物を、約20秒間かけて、レンズ凸表面に0.5mlから1mlの溶液の範囲になるように手動で計量分配して塗布したが、この間、レンズは約2,800rpmの回転速度で回転していた。この層を、ヒートガンを用いて約1分以内で、約130℃で硬化させた。
【0117】
実施例7で調製したLU組成物を用いて、レンズの凸表面に第二のAR層を堆積させた。この液体組成物を、約20秒間かけて、レンズ表面に0.5mlから1mlの溶液の範囲になるように手動で計量分配して塗布したが、この間、レンズは約3,500rpmの回転速度で回転していた。この層を、先ず窒素で約15秒間、槽をパージングすること、及びレンズを約20秒間UV輻射線に暴露することによりスピンコーター内で硬化させた。
【0118】
実施例6で調製したHT3組成物を用いて、レンズの凸表面に第三のAR層を堆積させた。この液体組成物を、約20秒間かけて、レンズ表面に0.5mlから1mlの溶液の範囲になるように手動で計量分配して塗布したが、この間、レンズは約1,400rpmの回転速度で回転していた。この層を、ヒートガンを用いて約1分以内で、約130℃で硬化させた。
【0119】
実施例7で調製したLU組成物を用いて、レンズの凸表面に第四のAR層を堆積させた。この液体組成物を、約20秒間かけて、レンズ表面に0.5mlから1mlの溶液の範囲になるように手動で計量分配して塗布したが、この間、レンズは約3,500rpmの回転速度で回転していた。この層を、ヒートガンを用いて約1分以内で、約130℃で部分硬化させ、かつ続いて先ず窒素で約15秒間、槽をパージングすること、及び次にレンズを約20秒間UV輻射線に暴露することによりスピンコーター内で更に硬化させた。
【0120】
実施例8で調製したDMP11組成物を用いて、レンズの凸表面に第五のAR層を堆積させた。この液体組成物を、約20秒間かけて、レンズ表面に0.5mlから1mlの溶液の範囲になるように手動で計量分配して塗布したが、この間、レンズは約3,500rpmの回転速度で回転していた。この層を、先ず窒素で約15秒間、槽をパージングすること、及び次にレンズを約20秒間UV輻射線に暴露することによりスピンコーター内で硬化させた。
【0121】
第五AR層を堆積させた後、レンズをスピンコーターから取り出し、かつこの凹表面を、クリーンルーム布上に約1mlのエタノールを計量分配し、続いてこの布でレンズの凹表面を拭うことにより清浄化した。続いて、圧縮空気を吹き付けてこのレンズを乾燥した。最後に、同一の堆積法を繰り返して、レンズの凹表面を同様の5層ARコーティングでコートした。
【0122】
レンズの一表面上にこの5層ARコーティングを形成するための処理時間は、7分未満であった。
【0123】
最後に、実施例11で調製した疎水性コーティング組成物を用いて、両5層ARコーティングの第五層上に疎水性層を堆積させた。レンズをこの組成物中に約10秒間手動で浸漬することにより、レンズの表面にこの液体組成物を塗布した。この層を、ヒートガンを用いて、約1分以内で、約130℃で硬化させた。
【0124】
このARコーティングの光学的及び機械的特性を試験した。図4に示したように、このコーティングは良好な光学特性を有した。加えて、Vase偏光解析装置を用いて、このコーティングを分析し、各層の屈折率を測定した。組成物HT1を用いて堆積させた第一層は、約1.96の屈折率を有すると測定され、組成物LUを用いて堆積させた第二層は、約1.50の屈折率を有すると測定され、組成物HT3を用いて堆積させた第三層は、約2.05の屈折率を有すると測定され、組成物LUを用いて堆積させた第四層は、約1.50の屈折率を有すると測定され、かつ組成物DMP11を用いて堆積させた第五層は、約1.53の屈折率を有すると測定された。
【0125】
この実施例のARコーテッドレンズは、疎水性層を堆積させる前後の両方で、クロスハッチテープ接着試験に合格した。疎水性層を塗布した後に、水接触角は110°と測定された。約3psiの圧力で、約20,000サイクルの布擦過試験後に剥離は生じなかった。また、このコーテッドレンズは、レンズを約65℃のオーブンで、約95%の相対湿度で、約24時間処理した後に、クロスハッチテープ接着試験に合格した。全てのこれらの試験は、疎水性層を有するARコーティングが非常に良好な光学的及び機械的特性をもつことを指摘した。
【実施例16】
【0126】
(フラットパネル上の4層ARコーティング)
この実施例では、ポリメチルメタクリレート(PMMA)製フラットパネルの両表面を、以下のように4層ARコーティングでコートした。従来のディップコーティング法を用いて、このコーティング組成物をパネル上に連続的に堆積させた。PMMAパネルは、商標アクリライトとしてCyro社、メイコン、ジョージア州から購入した。パネル厚さは、約2mmであり、約20cm×約18cmのサイズであった。先ず、PMMAパネルの両表面に、レッドスッポト社製のUVB510R6ベースコートをディップコートし、約4.5μmの厚さを得た。
【0127】
続いて、実施例3で調製したHT1組成物を用いて、パネル上に第一AR層を堆積させた。約23℃の温度、及び約60%の相対湿度となるように、ディップコーティング槽を管理した。パネルを、約1cm/秒の速度でHT1組成物内に沈め、約10秒間浸漬した。続いて、約0.2cm/秒の速度で、ディップコーティングタンクからパネルを取り出した。最後に、約100℃で約10分間、オーブン中で層を硬化させた。
【0128】
実施例9で調製したLS2組成物を用いて、パネル上に第二AR層を堆積させた。約23℃の温度、及び約25%の相対湿度となるように、ディップコーティング槽を管理した。パネルを、約1cm/秒の速度でLS2組成物内に沈め、約10秒間浸漬した。続いて、約0.11cm/秒の速度で、ディップコーティングタンクからパネルを取り出した。最後に、約100℃で約15分間、オーブン中で層を硬化させた。
【0129】
実施例5で調製したHT3組成物を用いて、パネル上に第三AR層を堆積させた。約23℃の温度、及び約60%の相対湿度となるように、ディップコーティング槽を管理した。パネルを、約1cm/秒の速度でHT3組成物内に沈め、約10秒間浸漬した。続いて、約0.29cm/秒の速度で、ディップコーティングタンクからパネルを取り出した。最後に、ヒートガンを用いて、約100℃、約10分間で、層を硬化させた。
【0130】
実施例10で調製したLS4組成物を用いて、パネル上に第四AR層を堆積させた。約23℃の温度、及び約25%の相対湿度となるように、ディップコーティング槽を管理した。パネルを、約1cm/秒の速度でLS4組成物内に沈め、約10秒間浸漬した。続いて、約0.21cm/秒の速度で、ディップコーティングタンクからパネルを取り出した。この層を2ステップで硬化させた。先ず、この層を、約100℃で約5分間、オーブン中で硬化させ、次にこの層を、約100℃、相対湿度約75%で約20分間、オーブン中で更に硬化させた。
【0131】
図5に概略示したARコーティングの4層を形成するための処理時間は、80分未満であった。
【0132】
この実施例のARコーティングの光学的及び機械的特性を試験した。図6に示したように、このコーティングは良好な光学特性を有した。加えて、Vase偏光解析装置を用いて、このコーティングを分析し、各層の屈折率を測定した。組成物HT1を用いて堆積させた第一層は、約1.95の屈折率を有すると測定され、組成物LS2を用いて堆積させた第二層は、約1.44の屈折率を有すると測定され、組成物HT3を用いて堆積させた第三層は、約1.95の屈折率を有すると測定され、組成物LS4を用いて堆積させた第四層は、約1.44の屈折率を有すると測定された。調製した時、ARコーティングは、3M600番粘着テープを用いて、クロスハッチ接着試験に合格した。
【0133】
以上に、本発明の幾つかの実施形態を詳細に説明したが、本発明の範囲から逸脱することなく種々の変性を行うことができることを、当業者は理解するであろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲によって限定される。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】5層の反射防止(AR)コーティングを示した説明図である。
【図2】5層ARコーティングを設けたレンズの反射率を示した説明図である。
【図3】4層ARコーティングを設けたレンズの反射率を示した説明図である。
【図4】5層ARコーティングを設けたレンズの反射率を示した説明図である。
【図5】4層のARコーティング及びハードコートを示した説明図である。
【図6】4層ARコーティングを設けたパネルの反射率を示した説明図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品表面上に反射防止コーティングを形成するステップを含むコーティング方法であって、
形成するステップが、少なくとも一種の(メタ)アクリレート官能性シリコンアルコキシド、シリカ粒子、少なくとも一種の(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも一種のエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、少なくとも一種の光開始剤、少なくとも一種の溶媒、少なくとも一種の酸、及び水を含む第一のコーティング組成物を用いて、製品表面上に第一のコーティング層を堆積させるステップを含み、
第一のコーティング層を堆積させるステップが、製品表面上に第一のコーティング組成物を計量分配すること、及び計量分配された第一のコーティング組成物を硬化させて、第一のコーティング層を作成することを含み、
第一のコーティング層が、510nmの波長で約1.60未満の屈折率を有し、
反射防止コーティングを形成するステップが、90分未満の時間であり、かつ
反射防止コーティングが、規定の光学特性、並びに規定の密着力及び耐摩耗性を有するコーティング方法。
【請求項2】
形成するステップが、30分未満の時間である請求項1に記載のコーティング方法。
【請求項3】
形成するステップが、10分未満の時間である請求項1に記載のコーティング方法。
【請求項4】
堆積させるステップで堆積された第一のコーティング層が、510nmの波長で約1.55未満の屈折率を有する請求項1に記載のコーティング方法。
【請求項5】
堆積させるステップで堆積された第一のコーティング層が、510nmの波長で約1.50未満の屈折率を有する請求項1に記載のコーティング方法。
【請求項6】
形成するステップが、シリコンの有機金属化合物以外の少なくとも一種の有機金属化合物、少なくとも一種のエポキシ官能性シリコンアルコキシド、少なくとも一種の非エポキシ官能性シリコンアルコキシド、エポキシ官能性分子と混和性がある少なくとも一種の硬化剤、少なくとも一種の溶媒、少なくとも一種の無機酸、及び水を含む第二のコーティング組成物を用いて、製品表面上に第二のコーティング層を堆積させるステップを更に含み、
第二のコーティング層を堆積させるステップが、製品表面上に第二のコーティング組成物を計量分配すること、及び計量分配された第二のコーティング組成物を硬化させて、第二のコーティング層を作成することを含み、
第二のコーティング層が、510nmの波長で約1.70超の屈折率を有する請求項1に記載のコーティング方法。
【請求項7】
第二のコーティング層が、510nmの波長で約1.80超の屈折率を有する請求項6に記載のコーティング方法。
【請求項8】
第二のコーティング層が、510nmの波長で約1.90超の屈折率を有する請求項6に記載のコーティング方法。
【請求項9】
第一のコーティング層を堆積させるステップ前に、第二のコーティング層を堆積させるステップが存在する請求項6に記載のコーティング方法。
【請求項10】
第二のコーティング層を堆積するステップが、第一のコーティング層を堆積させるステップと交互に行われ、少なくとも四層を有する反射防止コーティングを作成する請求項6に記載のコーティング方法。
【請求項11】
第二のコーティング層を堆積するステップと第一のコーティング層を堆積させるステップを交互に行うステップの少なくとも一つが、計量分配されたコーティング組成物を硬化させるステップ前に、計量分配されたコーティング組成物を熱処理するステップを含む請求項10に記載のコーティング方法。
【請求項12】
反射防止コーティングを形成するステップ前に、製品表面上にハードコート層を堆積させるステップを更に含む請求項1に記載のコーティング方法。
【請求項13】
少なくとも一種の(メタ)アクリレート官能性シリコンアルコキシド、シリカ粒子、少なくとも一種の(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも一種のエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、少なくとも一種の光開始剤、少なくとも一種の溶媒、少なくとも一種の酸、及び水を含むコーティング組成物であって、その際、コーティング組成物が製品表面上に計量分配され、かつ硬化された時に、コーティング組成物が510nmの波長で約1.60未満の屈折率を有するように、コーティング組成物の成分の相対量が制御されることを特徴とするコーティング組成物。
【請求項14】
少なくとも一種の(メタ)アクリレート官能性シリコンアルコキシドが、(3−アクリルオキシプロピル)ジメチルメトキシシラン、(3−アクリルオキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(3−アクリルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(メタクリルオキシメチル)ジメチルエトキシシラン、メタクリルオキシメチルトリエトキシシラン、メタクリルオキシメチルトリメトキシシラン、メタクリルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、(3−メタクリルオキシプロピル)トリエトキシシラン、(3−メタクリルオキシプロピル)トリメトキシシラン、及びそれらの混合物からなる群から選択された請求項13に記載のコーティング組成物。
【請求項15】
少なくとも一種の(メタ)アクリレート官能性シリコンアルコキシドが、(3−アクリルオキシプロピル)トリメトキシシランである請求項13に記載のコーティング組成物。
【請求項16】
少なくとも一種の(メタ)アクリレートモノマーが、2(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、2−フェノキシエチルメタクリレート、カプロラクトンアクリレート、ジシクロペンタジエニルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、エトキシル化ビスフェノールAジアクリレート、エトキシル化ビスフェノールAジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリトリットトリアクリレート、プロポキシル化グリセロールトリアクリレート、プロポキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリス(2−ヒドロキシルエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、及びそれらの混合物からなる群から選択された請求項13に記載のコーティング組成物。
【請求項17】
少なくとも一種の(メタ)アクリレートモノマーが、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、トリス(2−ヒドロキシルエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、及びそれらの混合物からなる群から選択された請求項13に記載のコーティング組成物。
【請求項18】
少なくとも一種の(メタ)アクリレートモノマーが、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、とトリス(2−ヒドロキシルエチル)イソシアヌレートトリアクリレートの混合物である請求項13に記載のコーティング組成物。
【請求項19】
少なくとも一種の光開始剤が、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−(4−モルホリニル)−1−プロパノン、及びそれらの混合物からなる群から選択された請求項13に記載のコーティング組成物。
【請求項20】
少なくとも一種の光開始剤が、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、と2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−(4−モルホリニル)−1−プロパノンの混合物である請求項13に記載のコーティング組成物。
【請求項21】
少なくとも一種の溶媒が、イソプロパノール、エチルアセテート、1−メトキシ−2−プロパノール、及びそれらの混合物からなる群から選択された請求項13に記載のコーティング組成物。
【請求項22】
少なくとも一種の溶媒が、イソプロパノール、エチルアセテート、及び1−メトキシ−2−プロパノールの混合物である請求項13に記載のコーティング組成物。
【請求項23】
少なくとも一種の無機酸が塩酸である請求項13に記載のコーティング組成物。
【請求項24】
コーティング組成物が製品表面上に堆積され、かつ硬化された時に、コーティング組成物が510nmの波長で約1.55未満の屈折率を有するように、コーティング組成物の成分の相対量が制御された請求項13に記載のコーティング組成物。
【請求項25】
コーティング組成物が製品表面上に堆積され、かつ硬化された時に、コーティング組成物が510nmの波長で約1.50未満の屈折率を有するように、コーティング組成物の成分の相対量が制御された請求項13に記載のコーティング組成物。
【請求項26】
シリコンの有機金属化合物以外の少なくとも一種の有機金属化合物、少なくとも一種のエポキシ官能性シリコンアルコキシド、少なくとも一種の非エポキシ官能性シリコンアルコキシド、エポキシ官能性分子と混和性がある少なくとも一種の硬化剤、少なくとも一種の溶媒、少なくとも一種の無機酸、及び水を含むコーティング組成物であって、
その際、コーティング組成物が製品表面上に計量分配され、かつ硬化された時に、コーティング組成物が510nmの波長で約1.70超の屈折率を有するように、コーティング組成物の成分の相対量が制御されることを特徴とするコーティング組成物。
【請求項27】
少なくとも一種の有機金属化合物が、式:
11(OR4-x、R1y2(OR23-y、R1zNb(OR25-z
(式中、M1はTi、Zr、Ge及びSnからなる群から選択された金属であり、M2はAl、In及びSbからなる群から選択された金属であり、R1はC1−C4アルキル、ビニル、アリル、アクリルオキシ、エポキシド、及びアミノ基からなる群から選択された有機官能性基であり、R2はC1−C4アルキル基であり、xは0、1、2又は3、yは0、1又は2、及びzは0、1、2、3又は4である)で表される有機金属化合物、及びそれらの混合物からなる群から選択された請求項26に記載のコーティング組成物。
【請求項28】
少なくとも一種の有機金属化合物がチタニウムイソプロポキシドである請求項26に記載のコーティング組成物。
【請求項29】
少なくとも一種のエポキシ官能性シリコンアルコキシドが、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、5,6−エポキシへキシルトリエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)ジメチルエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−シアノプロピルトリメトキシシラン、及びそれらの混合物からなる群から選択された請求項26に記載のコーティング組成物。
【請求項30】
少なくとも一種のエポキシ官能性シリコンアルコキシドが、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシランである請求項26に記載のコーティング組成物。
【請求項31】
少なくとも一種の非エポキシ官能性シリコンアルコキシドが、一般式(OFG)w−Si−(OR34-w(式中、OFGは有機官能性基、OR3は加水分解性アルコキシ基、R3はアルキル基、かつwは0、1、2又は3である)で表される請求項26に記載のコーティング組成物。
【請求項32】
少なくとも一種の非エポキシ官能性シリコンアルコキシドが、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、及びそれらの混合物からなる群から選択された請求項26に記載のコーティング組成物。
【請求項33】
少なくとも一種の非エポキシ官能性シリコンアルコキシドが、テトラエトキシシランとテトラメトキシシランの混合物である請求項26に記載のコーティング組成物。
【請求項34】
少なくとも一種の硬化剤が、酸無水物、カルボン酸、及びそれらの混合物からなる群から選択された請求項26に記載のコーティング組成物。
【請求項35】
少なくとも一種の硬化剤が、無水酢酸、無水アクリル酸、環状酸無水物、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メタクリル酸、無水プロピオン酸、酢酸、アクリル酸、ギ酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、メタクリル酸、プロピオン酸、メチレンコハク酸、及びそれらの混合物からなる群から選択された請求項26に記載のコーティング組成物。
【請求項36】
少なくとも一種の硬化剤が、無水ヘキサヒドロフタル酸である請求項26に記載のコーティング組成物。
【請求項37】
少なくとも一種の硬化剤が、メチレンコハク酸である請求項26に記載のコーティング組成物。
【請求項38】
少なくとも一種の溶媒が、エタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、及びそれらの混合物からなる群から選択された請求項26に記載のコーティング組成物。
【請求項39】
少なくとも一種の溶媒が、エタノールと1−メトキシ−2−プロパノールの混合物である請求項26に記載のコーティング組成物。
【請求項40】
少なくとも一種の無機酸が塩酸である請求項26に記載のコーティング組成物。
【請求項41】
コーティング組成物が製品表面上に計量分配され、かつ硬化された時に、コーティング組成物が510nmの波長で約1.80超の屈折率を有するように、コーティング組成物の成分の相対量が制御された請求項26に記載のコーティング組成物。
【請求項42】
コーティング組成物が製品表面上に計量分配され、かつ硬化された時に、コーティング組成物が510nmの波長で約1.90超の屈折率を有するように、コーティング組成物の成分の相対量が制御された請求項26に記載のコーティング組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−541176(P2008−541176A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−511406(P2008−511406)
【出願日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際出願番号】PCT/US2006/018433
【国際公開番号】WO2006/122308
【国際公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】