説明

反射防止性を有するハードマスク組成物及びこれを利用した材料のパターン形成方法

反射防止特性を有するハードマスク組成物が提供される。ハードマスク組成物はリソグラフィーに好適で、優れた光学的特性及び機械的特性を有し、かつ、高いエッチング選択性を示す。また、ハードマスク組成物は、スピンオン塗布技術により容易に塗布することができる。有利なことに、ハードマスク組成物は、短波長リソグラフィーに有用であり、最小の残留酸含有量を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本発明は、リソグラフィーに適した反射防止性を有するハードマスク組成物に関するものであって、より詳しくは、短波長領域(例えば、157nm、193nm、及び248nm)で強い吸収を有する芳香族環含有重合体を含むことを特徴とするハードマスク組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
(背景技術)
マイクロエレクトロニクス産業でだけでなく、微視的構造(例えば、マイクロマシン、マグネトレジストヘッドなど)の製造を始めとした他の産業で、構造形状のサイズを減少させようとする持続的な要求が存在する。マイクロエレクトロニクス産業では、所定のチップサイズで多数の回路を提供するため、マイクロエレクトロニクスデバイスのサイズを縮小させる必要がある。
【0003】
効果的なリソグラフィー技法は、構造形状のサイズを縮小させるために必須である。リソグラフィーは、所定の基板上にパターンを直接画像化するという点、及びそういう画像化に典型的に使用されるマスクを製造するという点から、微視的構造の製造に影響を与える。
【0004】
典型的なリソグラフィー工程は、画像化放射線に放射線感受性レジストをパターン露光させることによって、パターン形成されたレジスト層を形成する過程を伴う。その後、露出されたレジスト層を特定の物質(典型的には、水性アルカリ現像液)と接触させることによって画像を現像する。そして、パターンは、パターン形成されたレジスト層の開口部内にあるその物質をエッチングすることによって、下部材料に転写させる。転写が完了した後、残留するレジスト層を除去する。
【0005】
多くのリソグラフィー工程では良好な解像度を得るために、反射防止膜(ARC)を用いて画像化層(例えば、放射線感受性レジスト材料層)と下部層との間の反射率を最小化させる。しかし、パターン形成の後、ARCのエッチング中に画像化層の多くの部分を除去するため、後続のエッチング段階で追加のパターン形成が必要となることがある。
【0006】
言い換えれば、一部のリソグラフィック画像化工程の場合、レジストは、レジストの下部層へ所望のパターンを効果的に転写させるのに十分なほどの、後続的なエッチング段階に対する耐性を提供することはできない。実際の応用例では(例えば、超薄膜レジスト層が必要な場合、エッチング処理しようとする下部材料が厚い場合、相当なエッチング深さが必要な場合、及び/または下部材料の種類に応じて特定のエッチング液を使用する必要がある場合)、いわゆる「ハードマスク層」を、パターン形成されたレジスト層と、パターン形成されたレジストからの転写によってパターン形成されうる下部材料との間の中間層として使用する。そのハードマスク層は、パターン形成されたレジスト層からパターンを受け取ることができ、かつ、下部材料にパターンを転写するのに必要なエッチングに耐えることができる必要がある。
【0007】
多くのハードマスク材料が知られているが、改善されたハードマスク組成物が継続的に必要とされている。従来のハードマスク材料は基板に塗布し難いため、例えば、化学的及び物理的蒸着、特殊な溶媒、及び/または高温焼成の使用が必要となる可能性がある。したがって、高温焼成の必要がなく、スピン−コーティング技術によって塗布されうるハードマスク組成物が望ましいであろう。上部フォトレジスト層をマスクとして使用して選択的に容易にエッチングされ得ると同時に、ハードマスク層をマスクとして使用して下部金属層にパターンを形成するのに必要なエッチングに耐性を有し得るハードマスク組成物もまた望ましいであろう。さらに、優れた保存特性を備え、画像化レジスト層との不要な相互作用(例えば、ハードマスクから酸性汚染)を回避するハードマスク組成物も望ましいであろう。短波長(例えば、157nm、193nm、及び248nm)の画像化放射線に対して特有の光学特性を有するハードマスク組成物も望ましいであろう。
【発明の概要】
【0008】
(発明の開示)
(技術的課題)
本発明は従来技術の問題点を解決するためになされたものであって、本発明の目的の1つは、エッチング選択性が高く、多重エッチングに対する耐性が十分であり、レジストと下部層との間の反射率を最小化する、リソグラフィー工程における使用に好適な、新規ハードマスク組成物を提供することである。
【0009】
本発明の他の目的は、ハードマスク組成物を使用することにより、基板上の下部材料層にパターン形成する方法を提供することにある。
【0010】
(技術的解決手段)
本発明の一形態によれば、下記の化学式1で示される芳香族環含有重合体が提供される。
【0011】
【化1】

【0012】
(上記の式において、1≦n<190であり;Rは、水素、ヒドロキシ基(−OH)、C1−10のアルキル基、C6−10のアリール基、アリル基、及びハロゲン原子から選択され;Rは、ヒドロキシ基(−OH)、アミノ基(−NH)、−OR(ここで、Rは、C1−10のアルキル基またはC6−10のアリール基である)、及び−NRR’(ここで、R及びR’は、独立して、C1−10のアルキル基またはC6−10のアリール基である)から選択され;Rは、
【0013】
【化2】

【0014】
から選択される。)
本発明の他の一形態によれば、下記の化学式2で示される芳香族環含有重合体が提供される。
【0015】
【化3】

【0016】
(上記の式において、m及びnは、1≦m<190、1≦n<190、かつ2≦m+n<190の関係を満たし;R及びRは、独立して、水素、ヒドロキシ基(−OH)、C1−10のアルキル基、C6−10のアリール基、アリル基、及びハロゲン原子から選択され;R及びRは、独立して、ヒドロキシ基(−OH)、アミノ基(−NH)、−OR(ここで、Rは、C1−10のアルキル基またはC6−10のアリール基である)、及び−NRR’(ここで、R及びR’は、独立して、C1−10のアルキル基またはC6−10のアリール基である)から選択され;R及びRは、独立して、
【0017】
【化4】

【0018】
から選択される。)
本発明の他の一形態によれば、下記の化学式3で示される芳香族環含有重合体が提供される。
【0019】
【化5】

【0020】
(上記の式において、m及びnは、1≦m<190、1≦n<190、かつ2≦m+n<190の関係を満たし;Rは、水素、ヒドロキシ基(−OH)、C1−10のアルキル基、C6−10のアリール基、アリル基、及びハロゲン原子から選択され;Rは、ヒドロキシ基(−OH)、アミノ基(−NH)、−OR(ここで、Rは、C1−10のアルキル基またはC6−10のアリール基である)、及び−NRR’(ここで、R及びR’は、独立して、C1−10のアルキル基またはC6−10のアリール基である)から選択され;R及びRは、独立して、
【0021】
【化6】

【0022】
から選択され;Rは、
【0023】
【化7】

【0024】
から選択される。)
本発明の他の一形態によれば、化学式1〜3で示される重合体のうちの一つ10〜90重量%と、下記の化学式4で示される芳香族環含有重合体10〜90重量%との重合体混合物が提供される。
【0025】
【化8】

【0026】
(上記の式において、1≦n<190である。)
本発明の他の一形態によれば、(a)下記の化学式1〜3で示される重合体からなる群から選択される少なくとも1つの芳香族環含有重合体またはこれと下記の化学式4で示される重合体との混合物;及び(b)有機溶媒;を含む反射防止ハードマスク組成物が提供される。
【0027】
【化9】

【0028】
(上記の式において、1≦n<190であり;Rは、水素、ヒドロキシ基(−OH)、C1−10のアルキル基、C6−10のアリール基、アリル基、及びハロゲン原子から選択され;Rは、ヒドロキシ基(−OH)、アミノ基(−NH)、−OR(ここで、Rは、C1−10のアルキル基またはC6−10のアリール基である)、及び−NRR’(ここで、R及びR’は、独立して、C1−10のアルキル基またはC6−10のアリール基である)から選択され;Rは、
【0029】
【化10】

【0030】
から選択される。)
【0031】
【化11】

【0032】
(上記の式において、m及びnは、1≦m<190、1≦n<190、かつ2≦m+n<190の関係を満たし;R及びRは、独立して、水素、ヒドロキシ基(−OH)、C1−10のアルキル基、C6−10のアリール基、アリル基、及びハロゲン原子から選択され;R及びRは、独立して、ヒドロキシ基(−OH)、アミノ基(−NH)、−OR(ここで、Rは、C1−10のアルキル基またはC6−10のアリール基である)、及び−NRR’(ここで、R及びR’は、独立して、C1−10のアルキル基またはC6−10のアリール基である)から選択され;R及びRは、独立して、
【0033】
【化12】

【0034】
から選択される。)
【0035】
【化13】

【0036】
(上記の式において、m及びnは、1≦m<190、1≦n<190、かつ2≦m+n<190の関係を満たし;Rは、水素、ヒドロキシ基(−OH)、C1−10のアルキル基、C6−10のアリール基、アリル基、及びハロゲン原子から選択され;Rは、ヒドロキシ基(−OH)、アミノ基(−NH)、−OR(ここで、Rは、C1−10のアルキル基またはC6−10のアリール基である)、及び−NRR’(ここで、R及びR’は、独立して、C1−10のアルキル基またはC6−10のアリール基である)から選択され;R及びRは、独立して、
【0037】
【化14】

【0038】
から選択され;Rは、
【0039】
【化15】

【0040】
から選択される。)
【0041】
【化16】

【0042】
(上記の式において、1≦n<190である。)
化学式1〜3で示される重合体からなる群から選択される芳香族環含有重合体と、化学式4で示される重合体との混合重量比は、1:9〜9:1でありうる。
【0043】
前記化学式1〜3で示される重合体からなる群から選択される芳香族環含有重合体、またはこれと化学式4で示される重合体との混合物は、有機溶媒100重量部に対して、1〜30重量部の量で存在しうる。
【0044】
前記ハードマスク組成物は、(c)架橋成分をさらに含みうる。
【0045】
前記ハードマスク組成物は、(c)架橋成分に加えて、(d)酸触媒をさらに含みうる。
【0046】
このような場合、本発明のハードマスク組成物は、(a)芳香族環含有重合体1〜20重量%;(b)有機溶媒75〜98.8重量%;(c)架橋成分0.1〜5重量%;及び(d)酸触媒0.001〜0.05重量%;を含みうる。
【0047】
前記化学式1〜3で示される重合体からなる群から選択される芳香族環含有重合体、またはこれと化学式4で示される重合体との混合物は、重量平均分子量が1,000〜30,000でありうる。
【0048】
本発明のハードマスク組成物は、界面活性剤をさらに含みうる。
【0049】
前記架橋成分は、メラミン樹脂、アミノ樹脂、グリコールウリル化合物、及びビスエポキシ化合物からなる群から選択される化合物でありうる。
【0050】
前記酸触媒は、p−トルエンスルホン酸一水和物、ピリジニウムp−トルエンスルホナート、2,4,4,6−テトラブロモシクロヘキサジエノン、ベンゾイントシレート、2−ニトロベンジルトシレート、及び有機スルホン酸のアルキルエステルからなる群から選択されうる。
【0051】
本発明のさらに他の形態によれば、ハードマスク組成物を用いて基板上に材料のパターンを形成する方法が提供される。具体的には、本発明の方法は、(a)基板上に材料層を設ける段階;(b)前記材料層の上に、前記ハードマスク組成物を用いて反射防止ハードマスク層を形成する段階;(c)前記反射防止ハードマスク層の上に、放射線感受性画像化層を形成する段階;(d)前記放射線感受性画像化層を放射線にパターン露光させることによって、前記放射線感受性画像化層内に放射線露光領域のパターンを形成する段階;(e)前記放射線感受性画像化層及び前記反射防止ハードマスク層の一部を選択的に除去して、前記材料層の一部を露出させる段階;及び(f)前記材料層の露出された部分をエッチングすることによって、前記材料層にパターンを形成する段階;を含む。
【0052】
本発明の方法は、前記(c)段階の前に、シリコン含有ハードマスク層を形成する段階をさらに含んでもよい。本発明の方法は、前記(c)段階の前に、前記シリコン含有ハードマスク層の上に、底部反射防止層(BARC)を形成する段階をさらに含んでもよい。
【発明を実施するための形態】
【0053】
(発明を実施するための最良の形態)
本発明の代表的な実施形態がこれから詳細に記載されるであろう。
【0054】
本発明は、下記の化学式1〜3で示される芳香族環含有重合体を提供する。
【0055】
【化17】

【0056】
(上記の式において、1≦n<190であり;Rは、水素、ヒドロキシ基(−OH)、C1−10のアルキル基、C6−10のアリール基、アリル基、及びハロゲン原子から選択され;Rは、ヒドロキシ基(−OH)、アミノ基(−NH)、−OR(ここで、Rは、C1−10のアルキル基またはC6−10のアリール基である)、及び−NRR’(ここで、R及びR’は、独立して、C1−10のアルキル基またはC6−10のアリール基である)から選択され;Rは、
【0057】
【化18】

【0058】
から選択される。)
【0059】
【化19】

【0060】
(上記の式において、m及びnは、1≦m<190、1≦n<190、かつ2≦m+n<190の関係を満たし;R及びRは、独立して、水素、ヒドロキシ基(−OH)、C1−10のアルキル基、C6−10のアリール基、アリル基、及びハロゲン原子から選択され;R及びRは、独立して、ヒドロキシ基(−OH)、アミノ基(−NH)、−OR(ここで、Rは、C1−10のアルキル基またはC6−10のアリール基である)、及び−NRR’(ここで、R及びR’は、独立して、C1−10のアルキル基またはC6−10のアリール基である)から選択され;R及びRは、独立して、
【0061】
【化20】

【0062】
から選択される。)
【0063】
【化21】

【0064】
(上記の式において、m及びnは、1≦m<190、1≦n<190、かつ2≦m+n<190の関係を満たし;Rは、水素、ヒドロキシ基(−OH)、C1−10のアルキル基、C6−10のアリール基、アリル基、及びハロゲン原子から選択され;Rは、ヒドロキシ基(−OH)、アミノ基(−NH)、−OR(ここで、Rは、C1−10のアルキル基またはC6−10のアリール基である)、及び−NRR’(ここで、R及びR’は、独立して、C1−10のアルキル基またはC6−10のアリール基である)から選択され;R及びRは、独立して、
【0065】
【化22】

【0066】
から選択され;Rは、
【0067】
【化23】

【0068】
から選択される。)
化学式2で示される芳香族環含有重合体は、含有量がm及びnで規定される二つの互いに異なる単位構造を有し、単一の繰り返し構造から構成される化学式1の重合体と区別される。
【0069】
化学式3で示される芳香族環含有重合体は、含有量がm及びnで規定される二つの互いに異なる単位構造を有し、単一の繰り返し構造から構成される化学式1の重合体と区別される。
【0070】
本発明の重合体は、短波長領域(特に、248nm以下)で強い吸収を有する芳香族環存在することを特徴とし、反射防止ハードマスク組成物の構成成分として有用である。
【0071】
本発明の化学式1〜3で示される芳香族環含有重合体は、重量平均分子量が約1,000〜約30,000であることが好ましい。
【0072】
本発明は、(a)化学式1〜3で示される重合体からなる群から選択される少なくとも1つの芳香族環含有重合体;及び(b)有機溶媒;を含む反射防止ハードマスク組成物をも提供する。
【0073】
【化24】

【0074】
(上記の式において、1≦n<190であり;Rは、水素、ヒドロキシ基(−OH)、C1−10のアルキル基、C6−10のアリール基、アリル基、及びハロゲン原子から選択され;Rは、ヒドロキシ基(−OH)、アミノ基(−NH)、−OR(ここで、Rは、C1−10のアルキル基またはC6−10のアリール基である)、及び−NRR’(ここで、R及びR’は、独立して、C1−10のアルキル基またはC6−10のアリール基である)から選択され;Rは、
【0075】
【化25】

【0076】
から選択される。)
【0077】
【化26】

【0078】
(上記の式において、m及びnは、1≦m<190、1≦n<190、かつ2≦m+n<190の範囲であり、R及びRは、独立して、水素、ヒドロキシ基(−OH)、C1−10のアルキル基、C6−10のアリール基、アリル基、及びハロゲン原子から選択され;R及びRは、独立して、ヒドロキシ基(−OH)、アミノ基(−NH)、−OR(ここで、Rは、C1−10のアルキル基またはC6−10のアリール基である)、及び−NRR’(ここで、R及びR’は、独立して、C1−10のアルキル基またはC6−10のアリール基である)から選択され;R及びRは、独立して、
【0079】
【化27】

【0080】
から選択される。)
【0081】
【化28】

【0082】
(上記の式において、m及びnは、1≦m<190、1≦n<190、かつ2≦m+n<190の関係を満たし;Rは、水素、ヒドロキシ基(−OH)、C1−10のアルキル基、C6−10のアリール基、アリル基、及びハロゲン原子から選択され;Rは、ヒドロキシ基(−OH)、アミノ基(−NH)、−OR(ここで、Rは、C1−10のアルキル基またはC6−10のアリール基である)、及び−NRR’(ここで、R及びR’は、独立して、C1−10のアルキル基またはC6−10のアリール基である)から選択され;R及びRは、独立して、
【0083】
【化29】

【0084】
から選択され;Rは、
【0085】
【化30】

【0086】
から選択される。)
本発明の反射防止ハードマスク組成物に使用される芳香族環含有重合体は、前記化学式1〜3で示される重合体のうちの一つと、下記の化学式4で示される芳香族環含有重合体との重合体混合物であってもよい。
【0087】
【化31】

【0088】
(上記の式において、1≦n<190である。)
重合体混合物は、重量平均分子量が1,000〜30,000であるのが好ましい。
【0089】
重合体混合物は、下部層のパターン形成時に要求されるエッチング耐性に交互作用効果を有しうる。化学式1〜3で示される重合体のうちの一つと化学式4で示される重合体とを適当な比率で混合した重合体混合物を含むハードマスク組成物は、一般的な溶媒(例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA))に対する溶解度、保存安定性、並びに塗布及び焼成後の耐溶剤性の点で優れた物理的特性を示すが、これらの特性は化学式1〜3で示される芳香族環含有重合体からなる群から選択される重合体を含むハードマスク組成物の物理的特性と同等であるかまたはより優れている。
【0090】
化学式1〜3で示される芳香族環含有重合体からなる群から選択される重合体と化学式4で示される重合体との混合重量比は、10:90〜90:10であり、25:75〜75:25%であるのが好ましい。
【0091】
前記(a)芳香族環含有重合体は重合体の骨格部分に芳香族環を含有するのが好ましい。芳香族環は、リソグラフィー時に、短波長(例えば、248nm以下)の光放射線を吸収するため、本発明の組成物を使用して、レジストと下部層との間の反射率を最小化させるハードマスク層を形成することができ、したがって、追加の反射防止膜(ARC)の形成が回避される。また、前記芳香族環含有重合体は、重合体の末端に位置するアルコキシ基(−OCH)と反応しうる(「自己架橋」)。このような自己架橋によって、本発明の反射防止ハードマスク組成物は、追加的な架橋成分を使用しなくても、焼成による硬化が可能である。前記芳香族環含有重合体は、架橋成分と反応する重合体の骨格鎖に沿って分布した多数の反応性部位(例えば、ヒドロキシ基)を有する。したがって、自己架橋以外にも、架橋成分との架橋反応によって、本発明に係る組成物の硬化を促進させることができる。
【0092】
さらに、本発明の反射防止ハードマスク組成物は、溶液形成特性及び膜形成特性を有し、従来のスピン−コーティング技術による層形成に役立つ。
【0093】
化学式1〜3で示される重合体からなる群から選択される芳香族環含有重合体、またはこれと化学式4で示される重合体との混合物は、前記(b)有機溶媒100重量部に対して、1〜30重量部の量で存在するのが好ましい。芳香族環含有重合体の使用量が上記で規定される範囲内に限定される理由は所望の膜厚を得るためである。すなわち、(a)重合体が1重量部未満であるかまたは30重量部を超える量で使用する場合には、膜厚を正確に調節することが難しい。
【0094】
(b)有機溶媒の種類としては、(a)芳香族環含有重合体が(b)有機溶媒に十分に溶解できるものであれば特に限定されない。好ましい有機溶媒としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、シクロヘキサノン、及び乳酸エチルが例示されうる。
【0095】
本発明の反射防止ハードマスク組成物は、(c)架橋成分及び必要に応じて(d)酸触媒をさらに含んでもよい。
【0096】
(c)架橋成分は、生成された酸によって触媒作用される反応で、加熱時に、重合体の繰り返し単位を架橋することができるものが好ましく、(d)酸触媒は、熱的に活性化されるものが好ましい。
【0097】
代表的な酸触媒には、有機酸(例えば、p−トルエンスルホン酸一水和物)が挙げられる。保存安定性を考慮すると、熱酸発生剤(thermal acid generator;TAG)を(d)酸触媒として使用することができる。TAGは、熱処理時に酸を生成する化合物である。好ましいTAGの例としては、ピリジニウムp−トルエンスルホナート、2,4,4,6−テトラブロモシクロヘキサジエノン、ベンゾイントシレート、2−ニトロベンジルトシレート、及び有機スルホン酸のアルキルエステルが挙げられる。
【0098】
レジスト技術分野で公知の他の放射線感受性酸触媒も、反射防止組成物の他の成分と相溶性があるものであれば使用可能である。
【0099】
生成された酸によって触媒されうる方法で芳香族環含有重合体の骨格鎖に沿って分布した多数の反応性部位(例えば、ヒドロキシ基)と反応することができる架橋成分であればいずれも、本発明のハードマスク組成物において特に制限されることなく使用することができる。
【0100】
本発明の反射防止ハードマスク組成物に用いられる好適な架橋成分の具体例としては、エーテル化されたアミノ樹脂、メチル化メラミン樹脂(例えば、N−メトキシメチル−メラミン樹脂)、ブチル化メラミン樹脂(例えば、N−ブトキシメチル−メラミン樹脂)、メチル化及びブチル化尿素樹脂(例えば、Cymel U−65樹脂及びUFR 80樹脂)、グリコールウリル誘導体(例えば、Powderlink 1174、Cytec社製)、及び2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾールなどが挙げられる。
【0101】
Powderlink 1174は下記の化学式(5)で示される化合物である。
【0102】
【化32】

【0103】
下記の化学式6で示されるビスエポキシ化合物を架橋成分(c)として使用することができる。
【0104】
【化33】

【0105】
本発明のハードマスク組成物では、(a)短波長領域で強い吸収を有する芳香族環含有重合体は1〜20重量%の量で、より好ましくは3〜10重量%の量で存在するのが好ましく、(b)有機溶媒は75〜98.8重量%の量で存在するのが好ましく、(c)架橋成分は0.1〜5重量%の量で、より好ましくは0.1〜3重量%の量で存在するのが好ましく、(d)酸触媒は0.001〜0.05重量%の量で、より好ましくは0.001〜0.03重量%の量で存在するのが好ましい。
【0106】
前記芳香族環含有重合体の含有量が上記で規定した範囲外である場合、所望の膜厚が得られない。すなわち、膜厚の正確な調節が難しい。
【0107】
前記有機溶媒の含有量が上記で規定した範囲外である場合、所望の膜厚が得られない。すなわち、膜厚の正確な調節が難しい。
【0108】
前記架橋成分の含有量が0.1重量%未満である場合、架橋特性を発揮しないおそれがあり、一方、5重量%を超過する場合、塗膜の光学的特性が変化するおそれがある。
【0109】
前記酸触媒の含有量が0.001重量%未満である場合、架橋特性を発揮しないおそれがあり、一方、0.05重量%超過する場合、組成物の保存安定性に悪影響を与えるおそれがある。
【0110】
本発明のハードマスク組成物は、少なくとも1つの添加剤(界面活性剤など)をさらに含むことができる。
【0111】
本発明は、また、前記ハードマスク組成物を使用して、基板上の下部材料層にパターンを形成する方法をも提供する。
【0112】
具体的には、本発明の方法は、(a)基板上に材料層を設ける段階;(b)前記材料層の上に、前記組成物を用いて反射防止ハードマスク層を形成する段階;(c)前記反射防止ハードマスク層の上に放射線感受性画像化層を形成する段階;(d)前記放射線感受性画像化層を放射線にパターン露光させることによって、前記画像化層内に放射線露光領域のパターンを形成する段階;(e)前記放射線感受性画像化層及び前記反射防止ハードマスク層の一部を選択的に除去して、前記材料層の一部を露出させる段階;及び(f)前記材料層の露出された部分をエッチングすることによって、前記材料層にパターンを形成する段階;を含む。
【0113】
本方法は、(c)段階の前に、シリコン含有ハードマスク層を形成する段階をさらに含んでもよい。
【0114】
本方法は、(c)段階の前に、前記シリコン含有ハードマスク層の上に、底部反射防止膜層(BARC)を形成する段階をさらに含んでもよい。
【0115】
具体的には、本発明の方法は、下記手順に従って実施されうる。まず、パターン形成しようとする材料(例えば、アルミニウム及び窒化ケイ素(SiN))を当該技術分野で高知の任意の技術によってシリコン基板上に塗布する。材料としては、導電性材料、半導電性材料、磁性材料、または絶縁性材料でありうる。
【0116】
続いて、本発明のハードマスク組成物を、500〜4000Åの厚さにスピン−コーティングし、100〜300℃で10秒〜10分間焼成して、ハードマスク層を形成する。その後、シリコン含有ハードマスク組成物を使用して、前記ハードマスク層の上に、500〜4000Åの厚さにスピン−コーティングし、100〜300℃で10秒〜10分間焼成して、シリコン含有ハードマスク層を形成する。必要であれば、前記シリコン含有ハードマスク層の上に底部反射防止膜(BARC)を形成してもよい。
【0117】
前記ハードマスク層の上に、放射線感受性画像化層を形成する。露光及び現像を行って、前記画像化層の上にパターンを形成する。前記材料層の露出された部分を、混合ガス(一般には、CHF/CF)を用いてドライエッチングすることによって、前記シリコン含有ハードマスク層の上にパターンを形成する。ドライエッチング後、前記ハードマスク層の露出された部分を、混合ガス(BCl/Cl)を用いてエッチングすることによって前記ハードマスク層にパターンを形成する。
【0118】
前記材料層の露出された部分を、混合ガス(CHF/CFなど)を用いてドライエッチングすることによって、材料層にパターンを形成する。プラズマ(例えば、酸素プラズマ)を用いることにより、残留材料が除去され、パターン形成された材料層のみが残される。本発明の方法を、半導体集積回路デバイスの製造に適用することができる。
【0119】
したがって、本発明の組成物及び得られるリソグラフィー構造を、集積回路デバイスの製造及び設計に使用することができる。例えば、金属配線、コンタクトホールまたはバイアスホール、絶縁部分(例えば、ダマシントレンチ(DT)または浅トレンチ分離(STI;Shallow Ternch Isolation)、及びコンデンサ構造用のトレンチなどのような、パターン形成された材料層構造の形成に、本発明の組成物を使用することができる。本発明は、任意の特定リソグラフィー技術及びデバイス構造に限定されるものではないことを理解しなければならない。
【実施例】
【0120】
以下では、下記の実施例を参照して、本発明をより詳細に説明するが、これらの実施例は単に例示の目的のためのものであって、本発明の範囲を制限するものではない。
【0121】
(本発明の形態)
(実施例)
[合成例1]
温度計、コンデンサ、機械撹拌機、滴下漏斗を備えた2,000mlの三つ口フラスコを、140℃のオイルバス中に浸漬した。加熱及び磁気攪拌をホットプレートの上で行い、コンデンサ中の冷却水温度は40℃に調節した。4,6−ジヒドロピレン−1−オール220.27g(1モル)を反応器に加え、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)656.02g中に溶解した。該溶液にジエチル硫酸(DS)4.63g(0.03モル)を添加した。
【0122】
滴下漏斗に1,4−ビスメトキシメチルベンゼン(MMB)116.35g(0.7モル)を導入した。反応器の温度が130℃に達した時に、MMBを1.5時間にわたって非常にゆっくり反応器に滴下して、反応物質の重合を実施した。
【0123】
重合時には一定の時間間隔で反応混合物の分子量値を測定して、反応完了時点を決定した。分子量値の測定のために、反応混合物1gを反応器から採取して常温まで急冷させた。サンプル0.02gを、溶媒のTHFを使用して、固形分が4重量%になるように希釈した。反応完了時点で、中和剤としてトリエタノールアミン4.48g(0.03モル)を反応器に添加して攪拌し、反応を停止させた。反応混合物を常温まで徐々に冷却した。
【0124】
前記反応混合物を、500gのPGMEAを利用して希釈し、2000mlの分液漏斗に移した。激しく攪拌しながら、メタノール及びエチレングリコールのアルコール混合物(90:10g/g)4kgに、重合溶液を滴下した。重合生成物を、フラスコ底面で収集し、上澄み液を別途保管した。ロータリーエバポレータを用いて60℃で10分間メタノールを除去し、共重合体を得た。
【0125】
共重合体の分子量及び多分散度を、テトラヒドロフラン中でゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定した。共重合体は、分子量が12,000であり、多分散度が2.3であることがわかった。
【0126】
[合成例2]
1,4−ビスメトキシメチルベンゼン(MMB)116.35g(0.7モル)の代わりに、パラホルムアルデヒド21.02g(0.7モル)を使用したことを除いては、合成例1と同一の方法で共重合体を合成した。
【0127】
共重合体の分子量及び多分散度を、テトラヒドロフラン中でGPCによって測定した。共重合体は、分子量が15,000であり、多分散度が2.6であることがわかった。
【0128】
[合成例3]
1,4−ビスメトキシメチルベンゼン(MMB)116.35g(0.7モル)の代わりに、パラホルムアルデヒド15.02g(0.5モル)及び1,4−ビスメトキシメチルベンゼン(MMB)83.11gを使用したことを除いては、合成例1と同一の方法で共重合体を合成した。
【0129】
共重合体の分子量及び多分散度を、テトラヒドロフラン中でGPCによって測定した。共重合体は、分子量が12,000であり、多分散度が2.4であることがわかった。
【0130】
[合成例4]
温度計、コンデンサ、機械撹拌機、滴下漏斗を備えた2,000mlの三つ口フラスコを、140℃のオイルバス中に浸漬した。加熱及び磁気攪拌をホットプレートの上で行い、コンデンサ中の冷却水温度は40℃に調節した。1−ヒドロキシピレン65.48g(1モル)及び9,9’−ビス(フェノール)フルオレン103.12gを反応器に加え、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)270.34g中に溶解した。該溶液にジエチル硫酸(DS)4.62g(0.05モル)を添加した。
【0131】
滴下漏斗に1,4−ビスメトキシメチルベンゼン(MMB)199.48g(2.0モル)を導入した。反応器の温度が130℃に達した時に、MMBを1.5時間にわたって非常にゆっくり反応器に滴下して、反応物質の重合を実施した。
【0132】
重合時には一定の時間間隔で反応混合物の分子量値を測定して、反応完了時点を決定した。分子量値の測定のために、反応混合物1gを反応器から採取して常温まで急冷させた。サンプル0.02gを、溶媒のTHFを使用して、固形分が4重量%になるように希釈した。反応完了時点で、中和剤としてトリエタノールアミン4.48g(0.03モル)を反応器に添加して攪拌し、反応を停止させた。反応混合物を常温まで徐々に冷却した。
【0133】
前記反応混合物を、500gのPGMEAを利用して希釈し、2000mlの分液漏斗に移した。激しく攪拌しながら、メタノール及びエチレングリコールのアルコール混合物(90:10g/g)4kgに、重合溶液を滴下した。重合生成物を、フラスコ底面で収集し、上澄み液を別途保管した。ロータリーエバポレータを用いて60℃で10分間メタノールを除去し、化学式7で示される共重合体を得た。
【0134】
【化34】

【0135】
(上記の式において、n=8または9であり、m=6または7である。)
共重合体の分子量及び多分散度を、テトラヒドロフラン中でGPCによって測定した。共重合体は、重量平均分子量が12,000であり、多分散度2.3であることがわかった。
【0136】
[合成例5]
温度計、コンデンサ、機械撹拌機、滴下漏斗を備えた2,000mlの三つ口フラスコを、140℃のオイルバス中に浸漬した。加熱及び磁気攪拌をホットプレートの上で行い、コンデンサ中の冷却水温度は40℃に調節した。1−ヒドロキシピレン65.48g(1モル)及び2−ナフトール32.57g(1モル)を反応器に加え、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)270.34g中に溶解した。該溶液に、ホルムアルデヒド8.26g(1モル)及びジエチル硫酸(DS)4.62g(0.05モル)を連続的に添加した。滴下漏斗に1,4−ビスメトキシメチルベンゼン(MMB)99.74g(1モル)を導入した。反応器の温度が130℃に達した時に、MMBを1.5時間にわたって非常にゆっくり反応器に滴下して、反応物質の重合を実施した。
【0137】
重合時には一定の時間間隔で反応混合物の分子量値を測定して、反応完了時点を決定した。分子量値の測定のために、反応混合物1gを反応器から採取して常温まで急冷させた。サンプル0.02gを、溶媒のTHFを使用して、固形分が4重量%になるように希釈した。反応完了時点で、中和剤としてトリエタノールアミン4.48g(0.03モル)を反応器に添加して攪拌し、反応を停止させた。反応混合物を常温まで徐々に冷却した。
【0138】
前記反応混合物を、500gのPGMEAを利用して希釈し、2000mlの分液漏斗に移した。激しく攪拌しながら、メタノール及びエチレングリコールのアルコール混合物(90:10g/g)4kgに、重合溶液を滴下した。重合生成物を、フラスコ底面で収集し、上澄み液を別途保管した。ロータリーエバポレータを用いて60℃で10分間メタノールを除去し、化学式8で示される共重合体を得た。
【0139】
【化35】

【0140】
(上記の式において、n=13または14であり、m=11または12である。)
共重合体の分子量及び多分散度を、テトラヒドロフラン中でGPCによって測定した。共重合体は、重量平均分子量が10,500であり、多分散度が2.4であることがわかった。
【0141】
[合成例6]
温度計、コンデンサ、機械撹拌機、滴下漏斗を備えた2,000mlの三つ口フラスコを、140℃のオイルバス中に浸漬した。加熱及び磁気攪拌をホットプレートの上で行い、コンデンサの冷却水温度は40℃に調節した。1−ヒドロキシピレン65.48g(1モル)を反応器に加え、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)135.17g中に溶解した。該溶液に、パラホルムアルデヒド15.02g(0.5モル)及びジエチル硫酸(DS)4.62g(0.05モル)を連続的に添加した。滴下漏斗には1,4−ビスメトキシメチルベンゼン(MMB)83.11g(0.5モル)を導入した。反応器の温度が130℃に達した時に、MMBを1.5時間にわたって非常にゆっくり反応器に滴下して、反応物質の重合を実施した。
【0142】
重合時には一定の時間間隔で反応混合物の分子量値を測定して、反応完了時点を決定した。分子量値の測定のために、反応混合物1gを反応器から採取して常温まで急冷させた。サンプル0.02gを、溶媒のTHFを使用して、固形分が4重量%になるように希釈した。反応完了時点で、中和剤としてトリエタノールアミン4.48g(0.03モル)を反応器に添加して攪拌し、反応を停止させた。反応混合物を常温まで徐々に冷却した。
【0143】
前記反応混合物を、500gのPGMEAを利用して希釈し、2000mlの分液漏斗に移した。激しく攪拌しながら、メタノール及びエチレングリコールのアルコール混合物(90:10g/g)4kgに、重合溶液を滴下した。重合生成物を、フラスコ底面で収集し、上澄み液を別途保管した。ロータリーエバポレータを用いて60℃で10分間メタノールを除去し、化学式9で示される共重合体を得た。
【0144】
【化36】

【0145】
(上記の式において、n=10または11であり、m=9または10である。)
共重合体の分子量及び多分散度を、テトラヒドロフラン中でGPCによって測定した。共重合体は、重量平均分子量が11,200であり、多分散度が2.1であることがわかった。
【0146】
[合成例7]
温度計、コンデンサ、機械撹拌機、滴下漏斗を備えた2,000mlの三つ口フラスコを、140℃のオイルバス中に浸漬した。加熱及び磁気攪拌をホットプレートの上で行い、コンデンサの冷却水温度は40℃に調節した。1−メトキシピレン220g(1モル)及び1,4−ビスメトキシメチルベンゼン(MMB)138g(1モル)を反応器に加え、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)656g中に溶解した。該溶液に、ジエチル硫酸(DS)4.6g(0.03モル)を添加した。
【0147】
反応器の温度を130℃に維持しながら反応物の重合を実施した。重合時には一定の時の間隔で分子量値を測定して、反応完了時点を決定した。分子量値の測定のために、反応混合物1gを反応器から採取して常温まで急冷させた。サンプル0.02gを、溶媒のTHFを使用して、固形分が4重量%になるように希釈した。反応完了時点で、中和剤としてトリエタノールアミン4.48g(0.03モル)を反応器に添加して攪拌し、反応を停止させた。反応混合物を常温まで徐々に冷却した。
【0148】
前記反応混合物を、500gのPGMEAを利用して希釈し、2000mlの分液漏斗に移した。激しく攪拌しながら、メタノール及びエチレングリコールのアルコール混合物(90:10g/g)4kgに、重合溶液を滴下した。重合生成物を、フラスコ底面で収集し、上澄み液を別途保管した。ロータリーエバポレータを用いて60℃で10分間メタノールを除去し、化学式10で示される共重合体を得た。
【0149】
【化37】

【0150】
(上記の式において、nは平均11であり、MeはCHである。)
共重合体の分子量及び多分散度を、テトラヒドロフラン中でGPCによって測定した。共重合体は、重量平均分子量が4,000であり、多分散度が2.3であることがわかった。
【0151】
[合成例8]
1,4−ビスメトキシメチルベンゼン(MMB)166g(1モル)の代わりに、パラホルムアルデヒド30g(1.0モル)を使用したことを除いては、合成例7の手順を繰り返し、化学式11で示される共重合体を合成した。
【0152】
【化38】

【0153】
(上記の式において、nは平均19であり、MeはCHである。)
共重合体の分子量及び多分散度を、テトラヒドロフラン中でGPCによって測定した。共重合体は、重量平均分子量が5,000であり、多分散度が2.6であることがわかった。
【0154】
[合成例9]
1,4−ビスメトキシメチルベンゼン(MMB)166g(1モル)の代わりに、パラホルムアルデヒド15g(0.5モル)及び1,4−ビスメトキシメチルベンゼン(MMB)83g(0.5モル)の混合物を使用したことを除いては、合成例7の手順を繰り返し、化学式12で示される共重合体を合成した。
【0155】
【化39】

【0156】
(上記の式において、n+mの合計は平均3であり、MeはCHである。)
共重合体の分子量及び多分散度を、テトラヒドロフラン中でGPCによって測定した。共重合体は、重量平均分子量が4,000であり、多分散度が2.4であることがわかった。
【0157】
[合成例10]
1−メトキシピレン220g(1.0モル)の代わりに、1−メトキシピレン110g(0.5モル)及び1−ナフトール72g(0.5モル)を使用したことを除いては、合成例7の手順を繰り返し、化学式13で示される共重合体を合成した。
【0158】
【化40】

【0159】
(上記の式において、n+mの平均は16であり、MeはCHである。)
共重合体の分子量及び多分散度を、テトラヒドロフラン中でGPCによって測定した。共重合体は、重量平均分子量が5,000であり、多分散度が2.4であることがわかった。
【0160】
[比較合成例1]
機械撹拌機、コンデンサ、300mlの滴下漏斗、及び窒素導入管を備えた1リットルの4つ口フラスコに窒素を供給しながら、α,α’−ジクロロ−p−キシレン8.75g(0.05モル)、塩化アルミニウム26.66g、及びγ−ブチロラクトン200gを入れて十分に攪拌した。10分後、該混合物に4,4’−(9−フルオレニリデン)ジフェノール35.03g(0.10モル)をγ−ブチロラクトン200gに溶解した溶液を、30分間でゆっくり滴下した。得られた混合物を12時間反応させた。反応終了後、水を使用して反応混合物から酸を除去した後、エバポレータを用いて濃縮した。濃縮液をメチルアミルケトン(MAK)及びメタノールを使用して希釈し、15重量%のMAK/メタノールの溶液(4/1(w/w))を得た。この溶液を3リットルの分液漏斗に移した後、これにn−ヘプタンを添加して、オリゴマー及びモノマーを含む低分子量化合物を除去し、下記の化学式4で示される重合体(Mw=12,000、多分散度=2.0、n=23)を得た。
【0161】
【化41】

【0162】
[調製例1]
(合成例4で調製した重合体と比較合成例1で調製した重合体との混合)
合成例4で調製した重合体(化学式7)50重量%と比較合成例で調製した重合体(化学式4)50重量%とを、270.34gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に溶解した。
【0163】
[実施例1〜11]
合成例1〜10及び調製例1で調製された重合体を各々0.8gと、架橋剤としてのPowderlink 1174(化学式5、Cytec社製)0.2gと、ピリジニウムp−トルエンスルホナート2mgとを、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)9g中に溶解し、濾過することにより、サンプル溶液を製造した。
【0164】
【化42】

【0165】
サンプル溶液を、各々、シリコンウエハー上にスピン−コーティングし、240℃で60秒間焼成して、厚さ3000Åの膜を形成した。
【0166】
この膜の屈折率(n)及び吸光係数(k)をエリプソメータ(J.A. Woollam社)を用いて測定した。結果を表1に示す。
【0167】
表1のデータから、該膜が、193nm(ArF)及び248nm(KrF)の波長で、反射防止膜として好適に使用されることが示される。
【0168】
[比較例1]
比較合成例1で調製された重合体0.8g、架橋剤(Cymel 303、Cytec社製)0.2g、及びピリジニウムp−トルエンスルホナート2mgをPGMEA9g中に溶解し、濾過することにより、サンプル溶液を製造した。
【0169】
サンプル溶液を、シリコンウエハー上にスピン−コーティングし、240℃で60秒間焼成して、厚さ3000Åの膜を形成した。
【0170】
この膜の屈折率(n)と吸光係数(k)をエリプソメータ(J.A. Woollam社)を用いて測定した。結果を表1に示す。
【0171】
表1の結果から、該膜の屈折率及び吸収度(吸光係数)は193nm(ArF)では反射防止膜として好適に使用されるが、248nm(KrF)では相対的に低い吸収度を示すことが明らかになった。
【0172】
【表1】

【0173】
[実施例12〜22]
実施例1〜11で調製されたサンプル溶液を、各々、アルミニウム被覆シリコンウエハーの上にスピン−コーティングし、240℃で60秒間焼成して、厚さ3000Åの膜を製造した。
【0174】
この膜の上にKrFフォトレジストをコーティングして、110℃で60秒間焼成し、露光装置(XT:1400、NA0.93、ASML社製)内で露光させて、TMAHの水溶液(2.38重量%)で現像し、90nmの線間隔パターンを形成した。該パターンを電界放射型走査型電子顕微鏡(FE−SEM)を使用して観察し、露出寛容度(EL)の限界(margin)を露光エネルギーの関数として、焦点深度(DoF)の限界を光源からの距離の関数として測定した。結果を表2に示す。その結果から、パターンはプロファイル及び限界の面で良好な結果を示すことが確認される。
【0175】
[比較例2]
比較例1で調製されたサンプル溶液を、アルミニウム被覆シリコンウエハーの上にスピン−コーティングし、240℃で60秒間ベーク焼成して、厚さ3000Åの膜を形成した。
【0176】
この膜の上にKrFフォトレジストをコーティングして、110℃で60秒間焼成して、露光装置(XT:1400、NA0.93、ASML社製)内で露光させて、TMAH水溶液(2.38重量%)で現像し、90nmの線間隔パターンを形成した。該パターンを電界放射型走査型電子顕微鏡(FE−SEM)を使用して観察し、露出寛容度(EL)の限界を露光エネルギーの関数として、焦点深度(DoF)の限界を光源からの距離の関数として測定した。結果を表2に示す。その結果から、パターンはプロファイル及び限界の面で相対的に不利な結果を示すことが確認されるが、これは248nm(KrF)の波長での吸収特性の相違に起因するものと判断される。
【0177】
【表2】

【0178】
[実施例23〜33]
実施例12〜22でパターン形成された試片をそれぞれ、CHF/CFの混合ガスを使用してドライエッチングし、続いて、BCl/Clの混合ガスを使用してドライエッチングした。その後、Oを使用して、残存する有機材料を全て除去した。試片の断面をFE−SEMを用いて観察した。表3に結果を示す。その結果から、エッチングされたパターンは全て良好なプロファイルと高いエッチング選択性を示すことが確認される。
【0179】
[比較例3]
比較例2でパターン形成された試片を、CHF/CFの混合ガスを使用してドライエッチングし、続いて、BCl/Clの混合ガスを使用してドライエッチングした。その後、Oを使用して、残存する有機材料を全て除去した。試片の断面をFE−SEMを用いて観察した。表3に結果を示す。エッチングされたパターンはテーパー状のプロファイルであった。このテーパリングはエッチング条件下でのエッチング選択性が低いことに起因するものと判断される。
【0180】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0181】
上記記載から明らかなように、本発明の反射防止ハードマスク組成物は、フィルム形成時、ArF(193nm)、KrF(248nm)波長領域など、深UV(DUV)(例えば、ArF(193nm)及びKrF(248nm))での反射防止膜として好ましく使用される屈折率及び吸収度を有することによって、レジストと下部層との間の反射率を最小化することができる膜の形成に使用されうる。また、本発明のハードマスク組成物は高いエッチング選択性を示し、リソグラフィー時の多重エッチングに対する耐性が十分であるため、パターンプロファイルや限界の面で優れた結果を有するリソグラフィー構造を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の化学式1で示される芳香族環含有重合体。
【化1】

(上記の式において、1≦n<190であり;Rは、水素、ヒドロキシ基(−OH)、C1−10のアルキル基、C6−10のアリール基、アリル基、及びハロゲン原子から選択され;Rは、ヒドロキシ基(−OH)、アミノ基(−NH)、−OR(ここで、Rは、C1−10のアルキル基またはC6−10のアリール基である)、及び−NRR’(ここで、R及びR’は、独立して、C1−10のアルキル基またはC6−10のアリール基である)から選択され;Rは、
【化2】

から選択される。)
【請求項2】
下記の化学式2で示される芳香族環含有重合体。
【化3】

(上記の式において、m及びnは、1≦m<190、1≦n<190、かつ2≦m+n<190の関係を満たし;R及びRは、独立して、水素、ヒドロキシ基(−OH)、C1−10のアルキル基、C6−10のアリール基、アリル基、及びハロゲン原子から選択され;R及びRは、独立して、ヒドロキシ基(−OH)、アミノ基(−NH)、−OR(ここで、Rは、C1−10のアルキル基またはC6−10のアリール基である)、及び−NRR’(ここで、R及びR’は、独立して、C1−10のアルキル基またはC6−10のアリール基である)から選択され;R及びRは、独立して、
【化4】

から選択される。)
【請求項3】
下記の化学式3で示される芳香族環含有重合体。
【化5】

(上記の式において、m及びnは、1≦m<190、1≦n<190、かつ2≦m+n<190の関係を満たし;Rは、水素、ヒドロキシ基(−OH)、C1−10のアルキル基、C6−10のアリール基、アリル基、及びハロゲン原子から選択され;Rは、ヒドロキシ基(−OH)、アミノ基(−NH)、−OR(ここで、Rは、C1−10のアルキル基またはC6−10のアリール基である)、及び−NRR’(ここで、R及びR’は、独立して、C1−10のアルキル基またはC6−10のアリール基である)から選択され;R及びRは、独立して、
【化6】

から選択され;Rは、
【化7】

から選択される。)
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の重合体10〜90重量%と、下記の化学式4で示される芳香族環含有重合体10〜90重量%との重合体混合物。
【化8】

(上記の式において、1≦n<190である。)
【請求項5】
(a)下記の化学式1〜3で示される重合体からなる群から選択される少なくとも1つの芳香族環含有重合体またはこれと下記の化学式4で示される重合体との混合物;及び
(b)有機溶媒;
を含む反射防止ハードマスク組成物。
【化9】

(上記の式において、1≦n<190であり;Rは、水素、ヒドロキシ基(−OH)、C1−10のアルキル基、C6−10のアリール基、アリル基、及びハロゲン原子から選択され;Rは、ヒドロキシ基(−OH)、アミノ基(−NH)、−OR(ここで、Rは、C1−10のアルキル基またはC6−10のアリール基である)、及び−NRR’(ここで、R及びR’は、独立して、C1−10のアルキル基またはC6−10のアリール基である)から選択され;Rは、
【化10】

から選択される。)
【化11】

(上記の式において、m及びnは、1≦m<190、1≦n<190、かつ2≦m+n<190の関係を満たし;R及びRは、独立して、水素、ヒドロキシ基(−OH)、C1−10のアルキル基、C6−10のアリール基、アリル基、及びハロゲン原子から選択され;R及びRは、独立して、ヒドロキシ基(−OH)、アミノ基(−NH)、−OR(ここで、Rは、C1−10のアルキル基またはC6−10のアリール基である)、及び−NRR’(ここで、R及びR’は、独立して、C1−10のアルキル基またはC6−10のアリール基である)から選択され;R及びRは、独立して、
【化12】

から選択される。)
【化13】

(上記の式において、m及びnは、1≦m<190、1≦n<190、かつ2≦m+n<190の関係を満たし、Rは、水素、ヒドロキシ基(−OH)、C1−10のアルキル基、C6−10のアリール基、アリル基、及びハロゲン原子から選択され;Rは、ヒドロキシ基(−OH)、アミノ基(−NH)、−OR(ここで、Rは、C1−10のアルキル基またはC6−10のアリール基である)、及び−NRR’(ここで、R及びR’は、独立して、C1−10のアルキル基またはC6−10のアリール基である)から選択され;R及びRは、独立して、
【化14】

から選択され;Rは、
【化15】

から選択される。)
【化16】

(上記の式において、1≦n<190である。)
【請求項6】
化学式1〜3で示される重合体からなる群から選択される芳香族環含有重合体と、化学式4で示される重合体とを、重量比で1:9〜9:1で混合することを特徴とする、請求項5に記載の反射防止ハードマスク組成物。
【請求項7】
前記化学式1〜3で示される重合体からなる群から選択される芳香族環含有重合体、またはこれと化学式4で示される重合体との混合物は、有機溶媒100重量部に対して、1〜30重量部の量で存在することを特徴とする、請求項5に記載の反射防止ハードマスク組成物。
【請求項8】
(c)架橋成分をさらに含むことを特徴とする、請求項5に記載の反射防止ハードマスク組成物。
【請求項9】
(d)酸触媒をさらに含むことを特徴とする、請求項8に記載の反射防止ハードマスク組成物。
【請求項10】
(a)芳香族環含有重合体1〜20重量%;
(b)有機溶媒75〜98.8重量%;
(c)架橋成分0.1〜5重量%;及び
(d)酸触媒0.001〜0.05重量%;
を含むことを特徴とする、請求項9に記載の反射防止ハードマスク組成物。
【請求項11】
前記化学式1〜3で示される重合体からなる群から選択される芳香族環含有重合体、またはこれと化学式4で示される重合体との混合物は、重量平均分子量が1,000〜30,000であることを特徴とする、請求項5に記載の反射防止ハードマスク組成物。
【請求項12】
界面活性剤をさらに含むことを特徴とする、請求項5に記載の反射防止ハードマスク組成物。
【請求項13】
前記架橋成分は、メラミン樹脂、アミノ樹脂、グリコールウリル化合物、及びビスエポキシ化合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項8に記載の反射防止ハードマスク組成物。
【請求項14】
前記酸触媒は、p−トルエンスルホン酸一水和物、ピリジニウムp−トルエンスルホナート、2,4,4,6−テトラブロモシクロヘキサジエノン、ベンゾイントシレート、2−ニトロベンジルトシレート、及び有機スルホン酸のアルキルエステルからなる群から選択されることを特徴とする、請求項9に記載の反射防止ハードマスク組成物。
【請求項15】
基板上の材料にパターンを形成する方法であって、
(a)基板上に材料層を設ける段階;
(b)前記材料層の上に、請求項5〜14のいずれか1項に記載の組成物を用いて反射防止ハードマスク層を形成する段階;
(c)前記反射防止ハードマスク層の上に、放射線感受性画像化層を形成する段階;
(d)前記放射線感受性スピン画像化層を放射線にパターン露光させることによって、前記放射線感受性画像化層内に放射線露光領域のパターンを形成する段階;
(e)前記放射線感受性画像化層及び前記反射防止ハードマスク層の一部を選択的に除去して、前記材料層の一部を露出させる段階;及び
(f)前記材料層の露出された部分をエッチングすることによって、前記材料層にパターンを形成する段階;
を含む方法。
【請求項16】
前記(c)段階の前に、シリコン含有ハードマスク層を形成する段階をさらに含むことを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記(c)段階の前に、前記シリコン含有ハードマスク層の上に、底部反射防止膜(BARC)を形成する段階をさらに含むことを特徴とする、請求項16に記載の方法。

【公表番号】特表2010−524224(P2010−524224A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−502002(P2010−502002)
【出願日】平成19年12月31日(2007.12.31)
【国際出願番号】PCT/KR2007/007058
【国際公開番号】WO2008/120855
【国際公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願人】(500005066)チェイル インダストリーズ インコーポレイテッド (263)
【Fターム(参考)】