説明

反射防止構造の形成方法および反射防止構造

【課題】反射防止機能に優れた反射防止構造を低コストで大面積領域に形成するための形成方法と、それによる反射防止構造の提供。
【解決手段】基材層上に配置された、基材よりもエッチングされにくい粒子をマスクとして、粒子と共に基材層をエッチングし、かつ粒子が消失する前にエッチング加工を停止する反射防止構造の形成方法。前記粒子に対する前記基材のエッチング速度の比は1を超え5以下である。同様に形成された原盤をもとにしたスタンパーを用い、ナノインプリント法により反射防止構造を形成させることもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射防止構造の形成方法および反射防止構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、LSI作製やマイクロマシニングに用いられている超微細加工技術の発展に伴い、ナノメートルオーダーの精度の加工が可能で、光の波長よりも細かな周期を持つサブ波長格子が作製できるようになった。例えば、サブ波長格子のひとつである無反射周期構造は、基板の表面に無数の突起を有し、光の入射する表面において物質固有の屈折率で決められるフレネル反射を小さくすることによって反射防止特性を達成できるものである(非特許文献1参照)。これは、物質表面に形成された、入射光の波長よりも細かな表面構造により人工的な屈折率が形成され、かつその分布が光の入射する側から基板との間で連続的に変化することにより可能になる。このような反射防止構造は、広い波長域と入射角度に対して反射率が低減可能で、特にレンズやディスプレイなど、光の反射が問題となる光学部品、光学デバイスなどで特に有効な構造である。
【0003】
可視光領域でこの効果を発現させるためには、突起間隔を数百nm以下にする必要があり、ナノメートルオーダーの加工が必要となる。そのため、レーザー光による干渉露光法や、電子ビームリソグラフィーなどを用いて反射防止構造を作製した例がある(非特許文献2参照)。しかしながら上述のような加工技術を用いた場合、高精度な微細パターンを形成できるが、高額な装置が必要な上、スループットが悪く産業応用向きではない。
【0004】
ナノオーダーの突起を形成するため、従来のリソグラフィー技術を用いずに粒子をエッチングマスクに用いた例がある(特許文献1参照)。この方法によって、基板面上に粒子の径に相当する円柱構造を形成できる。しかしながら、この方法では粒子と基板のエッチング選択比が大きいため、反射防止機能が高い突起形状を形成することができない。また、基板とエッチング選択比の大きな粒子をエッチングマスクに用いて、エッチングガスを変えながら、基板加工、粒子のスリミングを順次行い、突起を形成していく例がある(特許文献2参照)。この方法では、略突起形状が得られるが、エッチングガスを順次変更するため、プロセスが煩雑で、エッチングガスを変更する度に突起に段差が形成されることとなり、連続的な屈折率変化が得られず反射防止機能の低下が発生する。また、エッチングマスクである粒子をすべてエッチングするため、突起先端部はサイドエッチングによって先鋭化し、先端部で急峻な屈折率変化が発生することとなり、反射防止機能の低下が起こる。これは、粒子径のばらつきが大きくなるに連れ顕著となり、突起形状の均一性の低下による反射防止機能の低下や、狭いプロセスマージンによる生産性の低下を招くこととなる。
【特許文献1】特表2006−512781号公報
【特許文献2】特開2005−331868号公報
【非特許文献1】豊田、光学、32、489(2003年)
【非特許文献2】P. Lalanne, et.al., Nanotechnology, 8, 52(1997)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、反射防止機能に優れた反射防止構造を低コストで大面積領域に形成するための形成方法、およびその方法によって得られる反射防止機能に優れた反射防止構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による第一の、基板上に複数の突起が配置された反射防止構造の形成方法は、
基板上に基材層を形成させる工程と、
前記基材層上に粒子捕捉層を形成させる工程と、
前記粒子捕捉層上に平均粒子径が20〜1000nmの粒子が1層以上積層された多粒子層を形成させる工程と、
前記多粒子層における最下層を構成する粒子を粒子捕捉層に埋め込む工程と、
前記多粒子層における最下層を構成する粒子だけを残存させ、それ以外の粒子を除去する工程と、
前記粒子捕捉層を除去する工程と、
前記基材層上の粒子をマスクとして前記基材層を反応性イオンエッチングによってエッチング加工して突起を形成させ、エッチング条件における、前記粒子に対する前記基材のエッチング速度の比が1を超え5以下となるようにして、エッチングによって粒子が消失する前にエッチング加工を停止する工程と、
を含んでなるものである。
【0007】
また本発明による第二の、複数の突起が配置された反射防止構造の形成方法は、
基板上に基材層を形成させる工程と、
前記基材層上に粒子捕捉層を形成させる工程と、
前記粒子捕捉層上に平均粒子径が20〜1000nmの粒子が1層以上積層された多粒子層を形成させる工程と、
前記多粒子層における最下層を構成する粒子を粒子捕捉層に埋め込む工程と、
前記多粒子層における最下層を構成する粒子だけを残存させ、それ以外の粒子を除去する工程と、
前記粒子捕捉層を除去する工程と、
前記基材層上の粒子をマスクとして前記基材層を反応性イオンエッチングによってエッチング加工して突起を形成させ、エッチング条件における前記粒子に対する前記基材のエッチング速度が1を超え5以下となるようにして、エッチングによって粒子が消失する前にエッチング加工を停止する工程と、
によって基板上に複数の突起が配置された原盤を形成させ、
前記原盤を用いて、その逆パターンを有するナノインプリント用スタンパーを作製する工程と、
前記ナノインプリント用スタンパーを用いてナノインプリント法によって、前記原盤パターンのレプリカを形成させることを含んでなるものである。
【0008】
また本発明による反射防止構造は、前記のいずれかの方法により形成されたものである。
【0009】
さらに、本発明による反射防止構造を形成するナノインプリント用スタンパーは、
基板上に基材層を形成させる工程と、
前記基材層上に粒子捕捉層を形成させる工程と、
前記粒子捕捉層上に平均粒子径が20〜1000nmの粒子が1層以上積層された多粒子層を形成させる工程と、
前記多粒子層における最下層を構成する粒子を粒子捕捉層に埋め込む工程と、
前記多粒子層における最下層を構成する粒子だけを残存させ、それ以外の粒子を除去する工程と、
前記粒子捕捉層を除去する工程と、
前記基材層上の粒子をマスクとして前記基材層を反応性イオンエッチングによってエッチング加工して突起を形成させ、エッチング条件における前記粒子に対する前記基材のエッチング速度が1を超え5以下となるようにして、エッチングによって粒子が消失する前にエッチング加工を停止する工程と、
によって基板上に複数の突起が配置された原盤を形成させ、
前記原盤を用いて形成された、前記原盤の逆パターンを有するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の態様によれば、反射防止機能に優れた反射防止構造を低コストで大面積領域に製造可能な形成方法が提供される。また、反射防止機能に優れた反射防止構造が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明すると以下の通りである。
【0012】
本発明の一実施形態にかかる反射防止構造の形成方法を説明するための断面図は図1に示す通りである。図1は本発明の実施形態の理解を助けるための典型的な例を示したものであって、本発明の実施形態にかかる反射防止構造の形成方法が図1に示されるものに限定されないのは言うまでもない。
【0013】
基板101上に反射防止構造を形成するための基材層202を形成させる(図1(a))。基板の材質は特に限定されず、無機材料、有機材料、無機および有機材料が混在したもののいずれであってもよい。また、基板のサイズや厚さも特に限定されず、表面形状も任意であり、平坦でも曲面形状を有していてもよい。例えば、ガラス基板や、石英基板、Si基板等を基板として用いることができる。また、基板上に形成する基材層との密着性を考慮して、基板の表面を適当な表面処理を行ってから基材層を形成させることができる。また、基板上に、後述するエッチングに対する耐性の高い材料をストッパー層として堆積させてから基材層を形成させることもできる。
【0014】
基材層の材質は、後述する、基材層をエッチング加工する条件において、粒子に対するエッチング選択比が1を超え、5以下、好ましくは1を超え、2.5以下であるものが選択される。基材層の材質は、選択比がこの範囲内であれば特に限定されず、無機材料、有機材料であってもよく、無機・有機材料が混在したものであってもよい。粒子とのエッチング選択比が1を超え、5以下の範囲内にすることによって、基材層をエッチング加工する際、エッチングマスクとして機能する粒子がエッチング時間とともに徐々にスリミングされ、基材に突起形状が形成されることとなる。エッチング選択比が過度に小さいと、粒子がマスクとしての機能を十分に発揮できず、また基材層がエッチングされることにより形成される突起形状のアスペクト比が小さく、具体的には1以下となり、高い反射防止効果が得られない。また、エッチング選択比が過度に大きいと、粒子のエッチング耐性が高すぎ、パターン先端部を先鋭化することが困難になり、さらにパターン先端部を先鋭化することを目的にエッチング時間を長くすると、エッチング中にパターン横部にサイドエッチングが発生し、反射防止効果が低下するため好ましくない。基材層をエッチング加工する条件において、粒子に対するエッチング選択比が前述の条件を満たす材質として、例えば、粒子の材質がシリカ系材料であればシリカ系材料、シリコーン系材料、シルセスキオキサン系材料等を用いることができる。これらのうち、シルセスキオキサン系材料が好ましく、この場合には、突起を形成させた後、さらに400℃〜1000℃の範囲内で熱処理することが好ましい。また、粒子の材質がポリスチレン樹脂を主成分とする場合においては、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリイミド樹脂等を用いることができる。基材層の形成方法は、特に限定されず、一般的に公知の薄膜形成方法を用いることができる。具体的には、スピンコート法、ディップコート法、スキージ法などのウェットプロセスや、真空蒸着法、スパッタ法、CVD法などのドライプロセスを用いることができる。基材層2の膜厚は、形成させようとする反射防止構造の高さ以上の膜厚があれば特に限定されないが、一般に20〜2500nm、好ましくは50〜1000nmである。
【0015】
続いて基材層202上に粒子捕捉層204を形成させる(図1(b))。粒子捕捉層は基材層と、基材層をエッチング加工するためのエッチングマスクとなる微粒子を接着するために用いられる。粒子捕捉層を用いずに、スピンコート法など公知の方法によって、粒子を基材層上に単層状に配列させようとすると、粒子間の等方的な分子間力によって粒子分布が不均一となり、粒子が多く集まった領域や、粒子が全く存在しない抜けの領域が発生して最終的な反射防止構造の欠陥となり、反射防止機能が低下することとなる。粒子捕捉層の材質は、一般に高分子化合物を含有し、以下の4つの要件を満たすものから選択される:、
(1)加熱により少なくとも1回は流動性を発現できること、
(2)ガラス転移温度が、粒子のガラス転移温度、融点、または焼結温度のいずれよりも低いこと、
(3)粒子分散液および洗浄液によって溶解、剥離、表面荒れなどのダメージを受けないこと、および
(4)粒子捕捉層をエッチング除去する条件において基材層、粒子に対するエッチング選択比が1を超えるものであること。
【0016】
高分子化合物としては、有機高分子化合物および無機高分子化合物のいずれを用いてもよく、分子量も特に限定されない。また、粒子捕捉層を形成させるための組成物に、必要に応じてその他の添加剤、例えば可塑剤、を加えることもできる。一般的には、有機の熱可塑性高分子化合物に必要に応じて添加物を加えたものが用いられる。また、B−ステージ化などした熱硬化性樹脂なども用いることができる。また、基板上の必要な領域のみ、例えばあるパターン化された領域のみ、に反射防止構造を形成させる必要がある場合には、感光性物質を含有した樹脂組成物を用い、フォトリソグラフィー法などによってパターニングした粒子捕捉層を用いることができる。そのほか、粒子捕捉層の形成方法は、任意の方法により形成させることができて特に限定されないが、一般的には、粒子捕捉層を構成する材料の溶液または分散液を基板上に塗布することによって形成させる。粒子捕捉層の塗布方法は特に限定されず、スピンコート法、ディッピング法、スキージ法など公知の塗布方法を用いることができる。なかでも、ナノメーターレベルの薄膜を膜厚の制御性よく形成できることから、スピンコート法が好ましい。また、大型基板に粒子捕捉層を形成させる場合は、ディッピング法を用いることも好適である。
【0017】
粒子捕捉層の膜厚は、粒子の平均粒子径の1/3程度であることが好ましい。後述するように、粒子捕捉層の上に堆積された粒子3は、粒子捕捉層中に埋め込まれる。その後、粒子層を形成する粒子のうち、粒子捕捉層4に埋め込まれない余剰粒子は洗浄により除去される。このとき、粒子が粒子捕捉層と広い面積で接触し十分な密着性が達成されることにより、粒子捕捉層に埋め込まれた粒子が脱離することを防がれる。このために余剰粒子の洗浄が必要な場合には、粒子は一定以上のの高さまで粒子捕捉層に埋め込まれていることが好ましい。したがって、粒子捕捉層の厚さは用いられる粒子の粒子径に依存するが、一般的には6〜350nm、好ましくは20〜120nmである。
【0018】
粒子捕捉層上に、粒子203を配置して多粒子層206を形成させる(図1(c))。粒子の材質は、前述したとおり、基材層をエッチング加工するエッチング条件において、基材層に対するエッチング選択比特定の範囲にあることが必要である。また、粒子の平均粒子径は、20〜1000nmの範囲内であり、好ましくは50〜350nmである。粒子の平均粒子径が20nm以下であると、十分な高さ、例えば100nm以上の高さを有する突起パターンが形成できず、可視光の、特に赤外領域に近い波長範囲の反射防止効果が低減してしまうため好ましくない。また、平均粒子径が1000nm以上であると、突起パターン間隔が1000nm以上となり、可視光領域で光の回折が発生しはじめ、反射防止機能が低下するため好ましくない。なお、本発明において、粒子の平均粒子径は、走査型電子顕微鏡で観察した粒子の投影断面積から求められる、粒子が球である場合の直径の平均値である。
【0019】
また、粒子の形状は真球状に近いことが好ましい。形状が真球状であると粒子同士が凝集した際、密に配列できるため、高密度で突起パターンを形成できるためである。また、粒子径のCV値(Coefficient of Variant)は15%以下であることが好ましく、10%以内であることがより好ましい。粒子径のCV値が15%を超えると、粒子径のバラツキによって粒子が密に配列させることが困難となり、突起パターン密度が低下したり、突起パターンの形状がばらついたりするため、反射防止効果が低下する恐れがあるためである。
【0020】
多粒子層は、粒子分散液を粒子捕捉層上に塗布し、分散媒を蒸発させることによって容易に形成させることができる。粒子分散液の塗布方法は特に限定されず、スピンコート法、ディッピング法、スクィージ法などの一般的に公知の方法によって塗布することができる。分散媒の乾燥温度は、粒子捕捉層に用いられる高分子化合物のガラス転移温度以下にすることが好ましい。乾燥方法は特に限定されず、スピンコート法においては、分散媒が乾燥するまで回転を継続させてもよいし、数秒回転させ分散媒を広げた後に、自然乾燥、加熱乾燥、窒素ブローなどにより乾燥させてもよい。ディッピング法、スクィージ法などを用いた場合も同様に、自然乾燥、加熱乾燥、窒素ブローなどにより乾燥させることができる。ここで
【0021】
塗布および乾燥を粒子捕捉層のガラス転移温度以上の温度で行うと、粒子分散液中に粒子捕捉層材料が溶出し、分散媒乾燥後に粒子間に粒子捕捉層材料の一部が存在するがある。これは、粒子の洗浄性を低下させる傾向があるので注意が必要である。
【0022】
塗布された粒子分散液が乾燥していく過程で、粒子分散液の表面張力と、粒子相互間の分子間力によって粒子は密に凝集する。その結果、粒子が密に配列した多粒子層が得られる。ここまでの工程がガラス転移温度以下で行われた場合、多粒子層は粒子捕捉層に十分に固着していない。
【0023】
粒子分散液を粒子捕捉層に塗布する際、分散液の濡れ性を向上させるため、粒子分散液中に界面活性剤を添加することや、粒子捕捉層に表面処理等を実施することができる。例えば、分散媒に水を、粒子捕捉層に疎水性の樹脂を用いた場合などは、表面エネルギーの相違によって、分散媒が撥水して均一な多粒子層が得られない場合がある。この場合、粒子捕捉層表面を、UV洗浄や、酸素プラズマ処理等、公知の親水化処理方法によって処理することで、基板全面に均一な多粒子層を形成させることができる。
【0024】
多粒子層6を形成後、基板を粒子捕捉層4のガラス転移温度以上に加熱して粒子203を粒子捕捉層204に埋め込ませる(図1(d))。加熱する方法は特に限定されず公知の方法を用いることができる。例えば、ホットプレート上に基板を配置して加熱してもよく、基板を加熱炉内に配置して加熱してもよい。あるいはレーザー照射法によって、基板の一部のみを加熱することもできる。図1(d)に示されるように、加熱は多粒子層が形成された側とは反対側、すなわち基板側から行うことが好ましい。多粒子層が形成された側から加熱処理を行うと、多粒子層の層数、言い換えれば多粒子層の厚さが基板面内でばらついている場合に、粒子捕捉層の温度にムラが発生し、粒子の埋め込みにムラが発生して欠陥となる場合があるためである。
【0025】
粒子捕捉層は加熱されることによって、流動性を得、キャピラリーフォースによって、多粒子層の空隙を濡れ上がっていく。粒子捕捉層の濡れ上がる高さは、濡れ上がる前の粒子捕捉層の体積と粒子間の空隙部分の体積とによって決定される。多粒子層は、粒子捕捉層の膜厚に依存した高さまで、粒子捕捉層に埋め込まれて接着される。粒子3の粒子捕捉層4中への埋め込みは多くの場合、1分程度の加熱で完了する。この際、多粒子層の上部から加重をかけて粒子の埋め込みを補助することもできる。また、粒子の接着性を向上させるために、粒子を粒子捕捉層中に埋め込んだ後、粒子捕捉層を硬化温度以上に加熱して熱硬化させる方法や、粒子捕捉層中に光重合開始剤を添加しておき、UV光を照射して光硬化させる方法も用いることができる。
【0026】
続いて、基板を洗浄液により洗浄して、多粒子層206を形成する粒子のうち。粒子捕捉層に埋め込まれていない粒子を除去し、粒子の単粒子層205とする(図1(e))。洗浄は、粒子捕捉層のガラス転移温度以下で行うことが好ましい。粒子捕捉層のガラス転移温度以上で洗浄を行うと、粒子捕捉層が軟化して埋め込まれていた粒子が脱落したり、逆に洗い落とされた粒子が再付着したりするおそれがあるからである。洗浄液の種類は特に限定されず、水や各種有機溶媒、あるいはこれらの混合物を用いることができる。有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶媒が用いられる。洗浄液に界面活性剤などの添加剤を加えてもよい。
【0027】
さらに、単粒子層が接着された基板をドライエッチングして、粒子捕捉層を除去する(図1(f))。このエッチング条件において、粒子捕捉層に対する基材、粒子のエッチング選択比が1未満、好ましくは0.5未満であることによって、基材層、および単粒子層はほぼエッチングされることなく、粒子捕捉層のみを選択的に除去することができる。エッチングガスは、粒子捕捉層のエッチングに有効なガスを用いることが好ましく、例えば、粒子捕捉層の材質が炭素原子を主成分とする有機高分子の場合には、酸素ガスを用いることができ、粒子捕捉層の材質がシリコーン樹脂などシリコン原子を含有する場合、フッ素系ガスを主成分とするエッチングガスを用いることができる。
【0028】
最後に、単粒子層が形成された基板をドライエッチングして突起パターンを形成させる(図1(g)および(h))。このエッチング条件において、基材層に対する粒子のエッチング選択比が前述した範囲内であると、基材層2のエッチングが進行するとともに、粒子も同時にエッチングされ、その粒子径が減少していく。その結果、基材層がエッチングされて、アスペクト比が高い、具体的にはアスペクト比1以上5以下の突起パターン102が形成されることとなる。このとき、突起先端部にエッチング加工前の平均粒子径より小さな粒子径を持つ粒子203aを残存させた状態で、エッチング加工を停止させることで、反射防止効果の高い反射防止構造が得られることとなる。先端部に粒子を残存させることで、突起パターンは図2(a)のような先端部が丸まったパターンが形成されることとなる。このような形状は、例えば図7に示すようなものとなる。一方、先端部の粒子が消失するまでエッチングを継続すると図2(b)のように突起先端部は先鋭化することとなる。
【0029】
先端部に平均粒子径の小さな粒子を残存させることによる効果を、図を用いて説明すると以下の通りである。図3のように屈折率N1の基材上に突起パターンが形成されている場合を考える。このとき外部の屈折率をN0とする。ここで、ある突起の高さHにおける屈折率は、突起の高さHにおける基板水平方向の突起断面の突起面積率に依存することとなる。すなわち、高さHにおける突起面積率がS1のとき、屈折率Neffは、
Neff=N0・(1−S1)+N1・S1 ・・・(1)
となる。突起形状は円錘形であるから、突起高さHにおける突起半径R(H)を用いて、S1は
S1∝(R(H)) ・・・(2)
の関係がある。ここで、突起形状を基板垂直方向の断面から見た際の突起が形成する曲線を突起形状関数A(H)と定義する。突起形状を先端部が先鋭化している場合、突起形状関数A(H)は、
A(H)=C・H ・・・(3)
となり、高さHに比例する関数となる。ここで、Cは突起の傾きを表す定数である。(1)〜(3)式を用いて、基板垂直方向の高さHにおける屈折率を計算すると、図4のaのような直線が得られる。一方、本発明で得られる先端部が丸まった突起形状の場合、突起形状関数A(H)は2次関数でフィッティングすることができ、
A(H)=C・H ・・・(4)
となる。ここでCは定数である。(1)、(2)、(4)式を用いて、前記同様に高さHに対する屈折率を計算した結果、図4のbのような曲線になる。図4のaおよびbを比較すると、本発明で得られる突起形状では、基板側から外部への屈折率分布が線形的に変化し、急峻に屈折率が変化する領域がない、滑らかな屈折率分布が得られる。一方、粒子203aを残存させずエッチングを行い、突起先端部が先鋭化すると、屈折率分布に急峻な変化が起こる領域が存在することがわかる。すなわち、滑らかな屈折率分布が得られる本発明の突起形状では、高い反射防止効果が得られることとなる。
【0030】
突起パターン先端に残存した粒子形状は、エッチングマスクに用いる粒子の粒子径分布によって変化する。すなわち、エッチングによる粒子体積の減少量は、それぞれの粒子で同一のため、エッチング加工前の粒子径が小さい粒子の方がより早く消失することとなる。そのため、エッチングマスクに用いる粒子の粒子径分布を調節することによって、最適な反射防止構造を得ることができる。本発明者らの検討によれば、残存した粒子203aの体積が、エッチング加工前の粒子203の体積の25%以下になると、突起パターン形状が二次関数的となり、理想的な屈折率分布が得られることがわかった。すなわち、理想的な屈折率分泌を得るためには、残存する粒子の体積が、エッチング加工前の粒子の体積の0%を超え、25%以下であることが好ましく、5〜15%であることがより好ましい。単粒子層5が形成されたときに基板上に配置された粒子うち80%以上の個数の粒子が、エッチング前の粒子3体積の25%以下になるようにエッチングを行うと、CV値が15%以上のとき70%以上、CV値が5以上15%未満のとき80%以上、5%未満のとき90%以上の個数の粒子が残存することとなり、本発明の高い反射防止効果が得られることとなる。ここでCV値とは、粒子径の標準偏差を平均粒子径で除した値であり、広く一般的に利用されている粒子径分布を表す数値である。
【0031】
また、基材のエッチング加工において、粒子がすべて消失するまでエッチングを行うと、パターンの均一性が損なわれる。これは、粒子径の小さな粒子は先に消失するため、小さな粒子が配置されていた部分ではマスクが先になくなり、大きな粒子径の粒子が消失するまでエッチングが継続されると、先にマスクがなくなった部分ではオーバーエッチングがおこり、パターン崩れが発生することとなる。その結果、反射防止効果が大きく低下する。そのため、粒子が残存した状態でエッチング処理を終了させることは、プロセスマージンを広げる効果もある。
なお、突起の先端に粒子が残留しているかどうかは、走査型電子顕微鏡により観察することで確認することができる。得られた反射防止構造の断面を観察すると、基材層に由来する突起と、その先端に残存している粒子とが明確に区別できる。また、粒子が残存している状態でエッチング処理を終了させるためには、一般に、エッチング時間を変化させたときの断面構造を観察し、検量線を作成して粒子が消失するタイミングを決定し、それをもとにエッチングを終了させる時間を決定することにより行う。
【0032】
本発明において特定された方法により得られる反射防止構造は、突起の配列は完全な周期性を有していないのが一般的である。多くの場合、三角格子状や正方格子状に規則性よく配列した数μm〜数mmのドメインがランダムに隣接した構造を有する。そのため、反射防止機能を低下させることなく、完全な周期性を持つ突起配列のときディスプレイ応用等で問題となる、突起に深い角度で入射する光の回折現象を抑制することができるという特徴がある。
【0033】
本発明の別の実施形態にかかる反射防止構造の形成方法を図5を参照しながら説明すると以下の通りである。図5は本発明の実施形態の理解を助けるための典型的な例を示したものであって、本発明の実施形態にかかる反射防止構造の形成方法が図示するものに限定されないことは言うまでもない。
【0034】
ここで、図5(a)〜図5(h)については、前述した形成方法と同様の方法を用いることができる。これにより突起構造を形成させるが、形成される突起構造602を具備する基板101はそれ自体を反射防止構造として用いられるのではなく、反射防止構造を形成させるための原盤607として用いられる(図5(h))。すなわち、得られた反射防止構造の原盤607に用いて、逆パターンを有するナノインプリント用スタンパー608を形成させる。ナノインプリント用スタンパーの形成方法は、一般的に利用されている電鋳法等の任意の方法を用いて形成させることができる。例えば、電鋳法によってナノインプリント用スタンパーを得る場合、原盤上にNi等の金属導電膜を薄膜(図示せず)を形成させた後、電鋳浴中で電気化学反応によって、原盤上に厚さ数十μm〜数mmの電鋳膜608aを形成させる(図5(i))。原盤を電鋳浴から取り出した後、電鋳膜を剥離してナノインプリント用スタンパー608が得られる(図5(j))。スタンパーを剥離する際、スタンパー表面に原盤上の突起構造607が剥離して、スタンパー表面に一部付着することある。このような場合には、スタンパー表面を洗浄液で洗浄するか、エッチングなどのドライプロセスによってクリーニングすることで清浄な表面を得ることができる。また、ナノインプリント時の加圧均一性を向上させるため、裏面を研磨し平坦化することもできる。
【0035】
スタンパーの剥離の際、図5に示されるように、ドラムやベルト状支持体などを用いてロール状に巻き取りながら剥離すると、ロール状のスタンパーを得ることができる。これは、ロールインプリント方式や、ロールトゥロールインプリント方式のスタンパーとして好適であり、ディスプレイ基板やLCD用の導光板など大面積領域に反射防止構造をナノインプリントする場合や、反射防止フィルムの製造のような高いスループットが要求される場合などに特に好適である。当然スタンパーを剥離した後、ドラムやベルト支持体等に貼り付けて使用してもよい。電鋳によって作製されたナノインプリント用スタンパーは、一般的に高圧力のインプリント時においても充分な強度を有するため、室温インプリント方式や、熱インプリント方式に特に好適である。原盤を、熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂にパターン転写することによって、原盤と逆パターンを有するナノインプリント用スタンパーを得ることもできる。原盤をスタンパーに用いてナノインプリントする場合には、原盤の機械的強度を上げた後インプリントすると、インプリント時の原盤パターンのダメージを低減させることもできる。例えば、反射防止構造を形成する基材にシルセスキオキサン系材料を用い、反射防止構造を形成した後、400℃〜1000℃の範囲で高温加熱処理を行うと、シルセスキオキサン系材料がSiO構造となる。その結果、加熱前よりも原盤の強度が増加し、ナノインプリント時の原盤ダメージを抑制することができる。
【0036】
続いて、ナノインプリント用スタンパー608を用いて、第二の基板609上に形成された第二の基材層610をナノインプリントし、原盤パターンと略同一のパターン形状を有するレプリカ611を形成させる。インプリント後のレプリカとスタンパーの離型性を向上させるため、スタンパーの表面や基材の表面に、フッ素系化合物等、表面エネルギーの低い物質よりなる離型剤をあらかじめコーティングしておいていてもよい。第二の基板と第二の基材は同一材料であってもよい。すなわち、第二の基材層が十分な強度を有していれば、支持体としての基板は必要ない。第二の基板の材質は、インプリント時に破壊されない程度の強度を有していれば特に限定されず、無機材料でも、有機材料であっても、無機・有機材料が混在したものであってもよい。また、基板サイズや厚さは特に限定されない。ナノインプリント時に均一な加圧を行うため、第二の基板は平坦であることが好ましい。例えば、第二の基板としてSi基板や、石英基板、ガラス基板、PET樹脂やポリカーボネート樹脂等のプラスチック基板などを用いることができる。また、第二の基板上に形成する第二の基材層との密着性を考慮して、適当な表面処理などを行うことができる。
【0037】
第二の基材層610の材質は、ナノインプリントによってスタンパー形状と逆パターンを転写することができる材質であれば特に限定されない。光学フィルム等、可視光領域において高い透明性を有する必要がある際は、可視光領域で吸収の少ない材質を用いるのがよい。
【0038】
熱インプリント法では、第二の基板を第二の基材層のガラス転移温度以上に加熱し、流動性を有した状態で加圧するのがよい。熱インプリント方式では例えば、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリイミド樹脂等、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、メラニン樹脂、セルロール樹脂、シリコーン樹脂等の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂、これらの混合物等を第二の基材層の材料として用いることができる。また、可塑剤や、離型剤などの添加剤を添加してもよい。
【0039】
光インプリント方式の場合、ナノインプリント中やインプリント後に、可視光や紫外線、電子放射線等により第二の基材層に重合反応を起こさせることによりレプリカが得られる。光インプリント方式では、例えば、光重合性官能基を有するアクリル樹脂やポリエステル、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、セルロール樹脂、シリコーン樹脂、シルセスキオキサンや、光重合性官能基を有さない上記樹脂をバインダーにして、光重合性官能基を有するモノマーやオリゴマー、光重合開始剤、重合禁止剤、希釈剤などを添加した樹脂組成物なども第二の基材層の材料として用いることができる。また、光インプリント後のスタンパーの離型性を向上させるため、樹脂組成物に離型剤などを添加してもよい。第二の基材層の形成方法は、特に限定されず、一般的に公知の薄膜形成方法を用いることができ、スピンコート法、ディップコート法、スクィージ法などのウェットプロセスや、真空蒸着法、スパッタ法、CVD法などのドライプロセスで形成してもよい。第二の基材層の膜厚は、形成する反射防止構造の高さ以上の膜厚があれば特に限定されない。なお、前述したナノインプリント用スタンパーや第二の基材層の材質としてシルセスキオキサン系材料を用いることが好ましい。シルセスキオキサン系材料を用い、成形後に400℃〜1000℃の範囲内で熱処理することにより、強度の点で優れた構造を形成できる。
【0040】
本発明の反射防止構造の適用としては、携帯電話等の各種機器における表示部の窓材表面への形成や、LCD用導光板表面への形成、各種照明機器等表面への形成が上げられる。応用製品としては、携帯電話やディスプレイ、照明、時計、パソコン、音楽プレーヤや、家電製品等があげられる。
【0041】
以下、本発明の具体例を示して説明するが、本発明はこれらの具体例に限定されないことはいうまでもない。
【0042】
(実施例1)
基板として4インチの石英基板(旭硝子株式会社製、合成石英ガラスAQ(商品名))を用意した。反射防止構造を形成する基材として、スピン・オン・グラス材料(以下、SOG材料ということがある)(東京応化工業株式会社製、OCD−T7(商品名))をスピンコート法によって、2000rpmで40秒間スピンコートした後、110℃のホットプレート上で90秒間ベークした。さらに、Nオーブンで300℃で35分間アニールした。このときのSOG膜厚を、走査型電子顕微鏡(Scanning electron microscope、以下、SEMということがある)にて観察した結果、450nmであった。さらに、粒子捕捉材料としてハーフミクロン対応レジスト(東京応化工業株式会社製THMR−ip3250(商品名))をスピンコート法によって、2000rpm、35秒間の条件でスピンコートした後、110℃のホットプレート上で90秒間ベークを行った。粒子捕捉層の膜厚を確認したところ、55nmであり、平均粒子径200nmの粒子を単層のみ接着するのに適した薄膜を得た。その後、平行平板型エッチング装置(キャノンアネルバ株式会社製、DEM−451(商品名))により、粒子捕捉層表面を親水化処理した。エッチング条件は、酸素ガスを用い、流量30sccm、圧力0.1Torr、電力100W、で5秒間行った。さらに、水分散されたコロイダルシリカ(扶桑化学工業株式会社製、PL−13(商品名)、シリカ平均粒子径200nm、CV値10%、シリカ粒子濃度30wt%)をスピンコート法によって、1000rpm、60秒間スピンコートして、粒子が2〜3層積層された多粒子層を形成させた。その後、石英基板を210℃のホットプレート上で30分間ベーク処理して、多粒子層の最下層粒子のみを基板に接着した。得られた基板を水超音波洗浄によって、10分間洗浄を行った後、排水を行い、さらに洗浄用の純水を入れ替えた後1分間超音波洗浄を行って、基板に接着されていない余剰粒子を除去した。得られた基板の断面をSEMで確認した結果、粒子の一部分が粒子捕捉層に埋め込まれた単粒子層状のシリカ粒子が観察された。
【0043】
続いて、ドライエッチングによって粒子捕捉層を除去した。このときのエッチング条件は、Oガスを用いて、流量30sccm、圧力0.01Torr、電力100Wとしてエッチング加工を1分間行った。得られた基板断面をSEMで観察したところ、基板面において粒子間に生じる空隙に存在した粒子捕捉層を除去することができていた。さらにドライエッチングによって基材のSOGのエッチング加工を行った。このときのエッチング条件は、CFガスを用いて、流量30sccm、圧力0.01Torr、電力100Wとして8分間エッチング加工を行った。得られた基板をSEMによって詳細に観察した。シリカ粒子がエッチング中にスリミングされることによってSOGが突起状に加工されており、突起先端にはエッチングマスクに用いたシリカ粒子が残存していた。残存したシリカ粒子の体積は、加工前の粒子体積の20%程度であった。また、突起先端に残存した粒子は全突起に対して90%程度であった。得られた突起形状は、シリカ粒子マスクが残存することによって、パターン先端部が丸まった構造となっており、突起間の平均間隔は210nm、突起の平均高さは350nmの突起が形成されていた。得られた突起形状を計測したところ、その突起形状関数A(H)は、
R(H)=−0.0126H+350 ・・・(5)
と、二次関数でフィッティングでき、なだらかな屈折率分布をもつ反射防止形状が得られていた。
【0044】
反射防止構造が形成された面の透過・反射スペクトルを測定した。透過率は波長470nmで99.5%、波長550nmで99.7%、630nmで99.7%であり、可視光領域全域にわたり高い透過率が得られていることがわかった。また、反射率は波長470nmで0.4%、波長550nmで0.3%、630nmで0.3%であり、反射防止構造を形成する前の反射率(それぞれ、4.1%、3.9%、4.0%)に対して反射率が大きく低減していることが示された。
【0045】
(実施例2)
基板として6インチのSi基板(株式会社SUMCO製)を用意した。実施例1と同様の方法によって、6インチSi基板上のSOGに突起間隔210nm、突起高さ350nmの反射防止構造を形成させた。得られた基板を10分間間水洗し、100℃のホットプレート上で乾燥した。このとき、突起先端部のシリカ粒子は、エッチング中にSOG界面と反応しているため密着性が高く、洗浄中に突起先端部から剥離することはなかった。
【0046】
洗浄後、この基板を原盤に用いてナノインプリント用スタンパーを形成するため、スパッタリングによってNiからなる導電膜を形成させた。具体的には、ターゲットに純ニッケルを使用し、8×10−3Paまで真空引きした後、アルゴンガスを導入して圧力を1Paに調整したチャンバー内で400WのDCパワーを印加して65秒間スパッタリングを行い、厚さ約50nmのNi導電膜を成膜した。導電膜をつけた原盤をスルファミン酸ニッケルメッキ液(昭和化学株式会社製、NS−160(商品名))に浸漬し、90分間Ni電鋳して、厚さ約300μmの電鋳膜を形成させた。電鋳浴条件は以下の通りであった。
スルファミン酸ニッケル: 600g/L
ホウ酸: 40g/L
界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム) :0.15g/L
pH: 4.0
電流密度: 20A/dm
原盤から、電鋳膜および導電膜を剥離して、ナノインプリント用スタンパーを得た。ナノインプリント用スタンパーの表面には、原盤側のSOGが一部付着していたため、CF4ガスを用いたエッチングによって、残渣を除去するためのクリーニングを実施した。エッチング条件は、流量30sccm、圧力0.06Torr、電力100Wとして、エッチング処理を行った。スタンパー表面をSEMで観察した結果原盤の突起パターンとは逆パターンを有するホールパターンがスタンパー全面に形成されていることが確認された。その後、スタンパーの不要部分を金属刃で打ち抜くことににより所望の形状のナノインプリント用スタンパーを得た。
得られたナノインプリント用スタンパーに、ナノインプリント用離型剤(ダイキン化成品販売株式会社製デュラサーフHD−1100(商品名))を3000rpmで20秒間塗布した後、60℃のホットプレート上で1時間ベークを行い、離型剤処理を施した。
【0047】
次に、得られたナノインプリント用スタンパーを用いて、ナノインプリントを実施した。100mm×100mmのガラス基板上を用意した。ポリメチルメタクリレート(PMMA、Mw20000)をポリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に30wt%の濃度で溶解させ、その溶液を2000rpmで40秒間スピンコートして2.5μmのPMMA膜を形成させた。その後、得られたNiスタンパーを用いて熱インプリントを実施した。インプリント条件は、基板温度150℃で、0.5MPaで2分間押印し、基板を常温まで冷却した後、スタンパーを離型した。PMMA表面に得られた構造をSEMで観察したところ、原盤パターンと略同一の反射防止構造が形成されていた。
【0048】
反射防止構造が形成された面の透過・反射スペクトルを測定した。透過率は波長470nmで99.5%, 波長550nmで99.7%, 630nmで99.7%であり、可視光領域全域にわたり高い透過率が得られていることがわかった。また、反射率は波長470nmで0.4%、波長550nmで0.3%、630nmで0.3%であり、反射防止構造を形成する前の反射率(それぞれ、4.1%、3.9%、4.0%)に対して反射率が大きく低減していることが示された。
【0049】
(実施例3)
基板として6インチのSi基板(株式会社SUMCO製)を用意した。反射防止構造を形成する基材として、ハーフミクロン対応レジスト(東京応化工業株式会社製THMR−ip3250(商品名))を乳酸エチルで30%に希釈した溶液をSi基板上に2000rpmで40秒間スピンコートした後、110℃のホットプレートで90秒間ベークした。さらに、Nオーブンを用いて、250℃で1時間アニールしてレジストを熱硬化させて、レジスト層(基材層)を形成させた。触針式段差計(テーラーホブソン株式会社製、Tallystep(商品名))により測定したところ、レジスト層の膜厚は400nmであった。続いて、粒子捕捉層としてPMMAを55nmの厚さで製膜した。その後、平行平板型エッチング装置(キャノンアネルバ株式会社製、DEM−451(商品名))により、粒子捕捉層表面を親水化処理した。エッチング条件は、酸素ガスを用い、流量30sccm、圧力0.1Torr、電力100Wとして、5秒間エッチング加工を行った。さらに、水分散の耐熱ポリスチレン粒子(JSR株式会社製、平均粒子径200nm、CV値5%、粒子濃度30wt%)をスピンコート法によって、1000rpm、60秒間スピンコートして粒子が2〜3層積層された多粒子層を形成させた。その後、Si基板を130℃のホットプレート上で5分間ベーク処理して、多粒子層の最下層のみを基板と接着した。得られた基板を水超音波洗浄によって、10分間洗浄を行った後、排水を行い、さらに洗浄用の純水を入れ替えた後1分間超音波洗浄を行って、基板に接着されていない余剰粒子を除去した。得られた基板の断面をSEMで確認した結果、粒子捕捉層に粒子の一部分が埋め込まれた単粒子層状のポリスチレン粒子が観察された。
【0050】
続いて、ドライエッチングによって粒子捕捉層を除去した。このときのエッチング条件は、Oガスを用いて、流量30sccm、圧力0.01Torr、電力100Wとして25秒間エッチング処理を行った。得られた基板断面をSEMで観察したところ、基板面において粒子間に生じる空隙に存在したPMMAを除去することができていた。さらにドライエッチングによってレジスト層のエッチング加工を行った。このときのエッチング条件は、Oガスを用いて、流量30sccm、圧力0.01Torr、電力100Wとして2分30秒間エッチング加工を行った。得られた基板をSEMによって詳細に観察した。ポリスチレン粒子がエッチング中にスリミングされることによって、レジスト層が突起状に加工されており、突起先端にはエッチングマスクに用いたポリスチレン粒子が残存していた。残存したポリスチレン粒子の体積は、加工前の粒子体積の15%程度であった。また、突起先端に残存した粒子は全突起に対して95%程度であった。得られた突起形状は、ポリスチレン粒子マスクが残存することによって、パターン先端部が丸まった構造となっていた。突起間の平均間隔は200nm、突起の平均高さは380nmであり、アスペクト比1.9の突起が形成されていた。
【0051】
前述の方法で得られた基板を原盤に用いて、Ni電鋳によってナノインプリント用スタンパーを作製し、PMMA薄膜にナノインプリントを実施した。Ni電鋳、およびナノインプリント試験は実施例2と同様の方法で行った。PMMA表面に得られた構造をSEMで観察したところ、原盤パターンと略同一の反射防止構造が形成されていた。
【0052】
反射防止構造が形成された面の透過・反射スペクトルを測定した。透過率は波長470nmで99.6%、波長550nmで99.7%、630nmで99.6%であり、可視光領域全域にわたり高い透過率が得られていることがわかった。また、反射率は波長470nmで0.2%、波長550nmで0.3%、630nmで0.3%であり、反射防止構造を形成する前の反射率(それぞれ、4.1%、3.9%、4.0%)に対して反射率が大きく低減していることが示された。
【0053】
(実施例4)
基板として4インチの石英基板(旭硝子株式会社製、合成石英ガラスAQ(商品名))を用意した。反射防止構造を形成する基材として、SOG材料(東京応化工業株式会社製、OCD−T12(商品名))をスピンコート法によって、2000rpmで40秒間スピンコートした後、110℃のホットプレート上で90秒間ベークした。さらに、Nオーブンで300℃、35分間アニールした。このときのSOG膜厚を、SEMにて観察した結果、480nmであった。さらに、粒子捕捉材料としてハーフミクロン対応レジスト(東京応化工業株式会社製、THMR−ip3250(商品名))をスピンコート法によって、2000rpm、35秒間スピンコートした後、110℃のホットプレート上で90秒間ベークを行った。粒子捕捉層の膜厚を確認したところ、55nmであり、平均粒子径200nmの粒子を単層のみ接着するのに適した薄膜を得た。その後、平行平板型エッチング装置(キャノンアネルバ株式会社製、DEM−451(商品名))により、粒子捕捉層表面を親水化処理した。エッチング条件は、酸素ガスを用い、流量30sccm、圧力0.1Torr、電力100W、で5秒間行った。さらに、水分散されたコロイダルシリカ(扶桑化学工業株式会社製、PL−13(商品名)、シリカ平均粒子径200nm、CV値10%、シリカ粒子濃度30wt%)をスピンコート法によって、1000rpm、60秒間スピンコートして、粒子が2〜3層積層された多粒子層を形成させた。その後、石英基板を210℃のホットプレート上で30分間ベーク処理して、多粒子層の最下層粒子のみを基板に接着した。得られた基板を水超音波洗浄によって、10分間洗浄を行った後、排水を行い、さらに洗浄用の純水を入れ替えた後1分間超音波洗浄を行って、基板に接着されていない余剰粒子を除去した。得られた基板の断面をSEMで確認した結果、粒子捕捉層に埋め込まれた単粒子層状のシリカ粒子が観察された。
【0054】
続いて、ドライエッチングによって粒子捕捉層を除去した。このときのエッチング条件は、Oガスを用いて、流量30sccm、圧力0.01Torr、電力100Wとしてエッチング加工を1分間行った。得られた基板断面をSEMで観察したところ、基板面において粒子間に生じる空隙に存在した粒子捕捉層を除去することができていた。さらにドライエッチングによって基材のSOGのエッチング加工を行った。このときのエッチング条件は、CFガスを用いて、流量30sccm、圧力0.01Torr、電力100Wとして9分間エッチング加工を行った。得られた基板をSEMによって詳細に観察した。シリカ粒子がエッチング中にスリミングされることによってSOGが突起状に加工されており、突起先端にはエッチングマスクに用いたシリカ粒子が残存していた。残存したシリカ粒子の体積は、加工前の粒子体積の15%程度であった。また、突起先端に残存した粒子は全突起に対して85%程度であった。得られた突起形状は、シリカ粒子マスクが残存することによって、パターン先端部が丸まった構造となっていた。突起間の平均間隔は210nm、突起の平均高さは310nmであり、アスペクト比1.7の突起が形成されていた。得られた基板を、空気中で800℃で30分間アニールし、SOGをSiOx化して、機械的強度を向上させた。熱収縮率の小さいSOG材料を用いているため、アニール後もパターン形状はほぼ変化しなかった。
【0055】
その後、ナノインプリント用離型剤(ダイキン化成品販売株式会社製デュラサーフHD−1100(商品名))を3000rpmで20秒間塗布した後、60℃のホットプレート上で1時間ベークを行い、離型剤処理を施した。この反射防止構造が形成された基板をナノインプリント用スタンパーに用いて、4インチの石英基板(旭硝子株式会社製、合成石英ガラスAQ(商品名))にSOG材料(東京応化株式会社製OCD−T12(商品名))を2000rpmで40秒間塗布し、110℃のホットプレートで90秒間ベークして溶媒を揮発させて得たSOG薄膜に、室温でナノインプリントを実施した。インプリント条件は、基板温度25℃で、2.5MPaで1分間押印し、スタンパーを離型した。インプリント後の表面形状は、エッチングによって得た反射防止構造と逆パターンの形状が得られていた。この基板を空気中で800℃で30分間アニールして、SOGをSiO化し、機械的強度を向上させた。石英基板上のSOG薄膜に原盤を押印して得られたパターンは、熱収縮率が小さいため、アニール後もパターン崩れすることはなかった。この逆パターン形状を有する石英基板を離型剤処理し、ナノインプリント用スタンパーとして用いて、ナノインプリントを実施した。100mm×100mmのガラス基板を用意した。PMMA(Mw20000)をPGMEAに30wt%の濃度で溶解させ、その溶液を2000rpmで40秒間スピンコートして2.5μmのPMMA膜を形成した。その後、前述のスタンパーを用いて熱インプリントを実施した。インプリント条件は、基板温度150℃で、0.5MPaで2分間押印し、基板を常温まで冷却した後、スタンパーを離型した。PMMA表面に形成された構造をSEMで観察したところ、原盤パターンと略同一の反射防止構造が形成されていた。
【0056】
反射防止構造が形成された面の透過・反射スペクトルを測定した。透過率は波長470nmで99.3%、波長550nmで99.5%、630nmで99.5%であり、可視光領域全域にわたり高い透過率が得られていることがわかった。また、反射率は波長470nmで0.6%、波長550nmで0.4%、630nmで0.4%であり、反射防止構造を形成する前の反射率(それぞれ、4.1%、3.9%、4.0%)に対して反射率が大きく低減していることが示された。
【0057】
(比較例1)
実施例1と同様の材料、方法によって得られた単粒子層基板を用いて、基材のSOGをエッチングした。このときのエッチング条件は、CFガスを用いて、流量30sccm、圧力0.01Torr、電力100Wとして、12分間エッチング加工を行い、エッチングマスクに用いたシリカ粒子が完全に消失するまでエッチングを実施した。得られた基板断面をSEMで詳細に観察した。実施例1と同様に、エッチング過程でシリカ粒子がスリミングされ、突起状のパターンが形成されてたが、突起個数のうち30%の突起はオーバーエッチングにより突起先端が先鋭化していた。突起間の平均間隔は210nm、突起の平均高さは340nmであり、アスペクト比1.7の突起が形成されていた。
【0058】
反射防止構造が形成された面の透過・反射スペクトルを測定した。透過率は波長470nmで99.1%, 波長550nmで98.9%, 630nmで99.0%であった。また、反射率は波長470nmで0.9%、波長550nmで1.0%、630nmで1.0%であった。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の反射防止構造の適用としては、携帯電話等の各種機器における表示部の窓材表面への形成や、LCD用導光板表面への形成、各種照明機器等表面への形成が上げられる。応用製品としては、携帯電話やディスプレイ、照明、時計、パソコン、音楽プレーヤや、家電製品等があげられる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の一実施形態にかかる反射防止構造の形成方法を示す模式断面図。
【図2】本願発明および従来技術による反射防止構造の模式断面図。
【図3】反射防止構造の各種パラメータを説明するための模式図。
【図4】有効屈折率と突起高さの関係を示すグラフ。
【図5】本発明の別の実施形態にかかる反射防止構造の形成方法を示す模式断面図。
【図6】本発明の別の実施形態にかかるスタンパーの形成方法を示す模式断面図。
【図7】本発明の一実施形態にかかる反射防止構造表面の電子顕微鏡写真。
【符号の説明】
【0061】
101 基板
102 突起
202 基材
203 粒子
203a エッチング後に残存した粒子
204 粒子捕捉層
205 単粒子層
206 多粒子層
607 原盤;
608 スタンパー
609 第二の基板
610 第二の基材層
611 レプリカ;

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に基材層を形成させる工程と、
前記基材層上に粒子捕捉層を形成させる工程と、
前記粒子捕捉層上に平均粒子径が20〜1000nmの粒子が1層以上積層された多粒子層を形成させる工程と、
前記多粒子層における最下層を構成する粒子を粒子捕捉層に埋め込む工程と、
前記多粒子層における最下層を構成する粒子だけを残存させ、それ以外の粒子を除去する工程と、
前記粒子捕捉層を除去する工程と、
前記基材層上の粒子をマスクとして前記基材層を反応性イオンエッチングによってエッチング加工して突起を形成させ、エッチング条件における、前記粒子に対する前記基材のエッチング速度の比が1を超え5以下となるようにして、エッチングによって粒子が消失する前にエッチング加工を停止する工程と、
を含んでなる、基板上に複数の突起が配置された反射防止構造の形成方法。
【請求項2】
基板上に基材層を形成させる工程と、
前記基材層上に粒子捕捉層を形成させる工程と、
前記粒子捕捉層上に平均粒子径が20〜1000nmの粒子が1層以上積層された多粒子層を形成させる工程と、
前記多粒子層における最下層を構成する粒子を粒子捕捉層に埋め込む工程と、
前記多粒子層における最下層を構成する粒子だけを残存させ、それ以外の粒子を除去する工程と、
前記粒子捕捉層を除去する工程と、
前記基材層上の粒子をマスクとして前記基材層を反応性イオンエッチングによってエッチング加工して突起を形成させ、エッチング条件における前記粒子に対する前記基材のエッチング速度が1を超え5以下となるようにして、エッチングによって粒子が消失する前にエッチング加工を停止する工程と、
によって基板上に複数の突起が配置された原盤を形成させ、
前記原盤を用いて、その逆パターンを有するナノインプリント用スタンパーを作製する工程と、
前記ナノインプリント用スタンパーを用いてナノインプリント法によって、前記原盤パターンのレプリカを形成させることを含んでなる、複数の突起が配置された反射防止構造の形成方法。
【請求項3】
前記基材層の材質がシリカ系材料、シリコーン系材料、およびシルセスキオキサン系材料からなる群から選択される少なくとも1種類の材料であり、前記粒子の材質がシリカ系材料である、請求項1または2に記載の反射防止構造の形成方法。
【請求項4】
前記基材層の材質がシルセスキオキサン系材料であり、前記粒子の材質がシリカ系材料であって、反射防止構造を形成させた後に、さらに400℃〜1000℃の範囲内で熱処理すること含んでなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の反射防止構造の形成方法。
【請求項5】
前記ナノインプリント用スタンパーの材質または前記レプリカの材質がシルセスキオキサン系材料であり、前記ナノインプリント用スタンパーまたは前記レプリカの形成後に400℃〜1000℃の範囲内で熱処理する、請求項3に記載の反射防止構造の形成方法。
【請求項6】
前記基材層の材質がアクリル樹脂、フェノール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリイミド樹脂からなる群から選択される少なくとも1種類の材料であり、前記粒子の材質がポリスチレン樹脂である、請求項1または2に記載の反射防止構造の形成方法。
【請求項7】
エッチング加工後に残存している80%以上の粒子の体積が、エッチング加工前の粒子の体積に対して0%を超え25%以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の反射防止構造の形成方法。
【請求項8】
前記粒子のCV値が15%以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の反射防止構造の形成方法。
【請求項9】
請求項1〜8に記載のいずれかの方法により形成された、反射防止構造。
【請求項10】
基板上に基材層を形成させる工程と、
前記基材層上に粒子捕捉層を形成させる工程と、
前記粒子捕捉層上に平均粒子径が20〜1000nmの粒子が1層以上積層された多粒子層を形成させる工程と、
前記多粒子層における最下層を構成する粒子を粒子捕捉層に埋め込む工程と、
前記多粒子層における最下層を構成する粒子だけを残存させ、それ以外の粒子を除去する工程と、
前記粒子捕捉層を除去する工程と、
前記基材層上の粒子をマスクとして前記基材層を反応性イオンエッチングによってエッチング加工して突起を形成させ、エッチング条件における前記粒子に対する前記基材のエッチング速度が1を超え5以下となるようにして、エッチングによって粒子が消失する前にエッチング加工を停止する工程と、
によって基板上に複数の突起が配置された原盤を形成させ、
前記原盤を用いて形成された、前記原盤の逆パターンを有する、反射防止構造を形成するためのナノインプリント用スタンパー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−162965(P2009−162965A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−59(P2008−59)
【出願日】平成20年1月4日(2008.1.4)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】