説明

反応システム、反応装置、及び反応制御方法

【課題】反応率の低下を十分に抑制することができる反応システムを提供する。
【解決手段】反応システム1は、内部に供給された流体に、温度依存性を有する所定の反応を施して、供給された流体と誘電率が異なる別の流体を生成する反応部2と、反応部2から反応後の流体を排出する排出路4と、排出路4内の流体の誘電率を測定する測定部5と、測定部5により測定された誘電率に応じて、反応部2内の温度を制御する温度制御部6とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反応システム、その反応システムに用いられる反応装置、及び反応制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、燃料電池に使用される燃料改質器では、CHOH+HO→CO+3Hで表される水蒸気改質反応が行われる。この反応は吸熱反応であるため、一般的に、反応が進むと温度が低下し、反応率が低下する。従来の反応装置では、例えば、燃料改質器を収容する収容容器の外壁を2重構造にしてその内外壁間を真空にする、あるいはその内外壁間に断熱材を充填することにより、収容容器内の熱が外部へ伝導して燃料改質器の温度が低下することを抑制している(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−2602号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述のように燃料改質器等を利用した反応システムでは、反応後の流体を安定して供給する必要があることから、反応率(上述の場合には、改質率)をある程度高い状態で維持することが求められる。しかし、従来の反応システムでは、反応率の低下を十分に抑制できないという問題があった。
【0004】
本発明は、上記問題点に鑑み、反応率の低下を十分に抑制することができる反応システム、その反応システムに用いられる反応装置、及び反応制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題を解決するため、本発明の反応システムは、内部に供給された流体に、温度依存性を有する所定の反応を施して、前記の供給された流体と誘電率が異なる別の流体を生成する反応部と、前記の反応部から反応後の流体を排出する排出路と、前記の排出路内の流体の誘電率を測定する測定部と、前記の測定部により測定された誘電率に応じて、前記の反応部内の温度を制御する温度制御部とを備える。
【0006】
好ましくは、前記の反応システムにおいて、前記の測定部は、前記の排出路の内壁の少なくとも一部に配置された対向する2つの電極と、前記の排出路内における前記の2つの電極間の静電容量を測定する容量測定部と、前記の容量測定部によって測定された前記の静電容量から前記の排出路内の流体の誘電率を算出する算出部とを備える。
【0007】
好ましくは、前記の反応システムにおいて、前記の排出路は、基板の内部に形成された流路であり、前記の容量測定部は、前記の基板の内部に設けられるとともに、一端が前記の2つの電極のうち一方に電気的に接続され、他端が前記の基板の表面に導出される第1の配線導体と、前記の基板の内部に設けられるとともに、一端が前記の2つの電極のうち他方に電気的に接続され、他端が前記の基板の表面に導出される第2の配線導体と、前記の第1および第2の配線導体を介して、前記の2つの電極間の静電容量を測定する容量測定器とを備える。
【0008】
好ましくは、前記の反応システムにおいて、前記の2つの電極からなる電極対が複数存在し、前記の複数の電極対は、前記の第1および第2の配線導体によって並列に接続される。
【0009】
好ましくは、前記の反応システムにおいて、前記の温度制御部は、前記の基板内に設けられたヒータと、前記の基板の内部に設けられるとともに、一端が前記のヒータに電気的に接続され、他端が前記の基板の表面に導出された第3の配線導体と前記の第3の配線導体を介して前記のヒータの温度を調節する温度調節部とを備える。
【0010】
好ましくは、前記の反応システムにおいて、前記の反応部は、供給された誘電率の大きい流体に吸熱反応である前記の所定の反応を施して、誘電率の小さい流体を生成し、前記の温度制御部は、前記の誘電率が所定の値より大きい場合に、前記の反応部内の温度を上昇させることを特徴とする。
【0011】
本発明の反応装置は、基板と、前記の基板の内部に形成された流路と、前記の流路の内壁の一部に設けられた、互いに対向する電極からなる少なくとも一組の電極対と、前記の基板の内部に設けられ、前記の流路の一部を加熱するヒータと、前記の基板の内部に設けられるとともに、一端が前記の電極対の一方の電極に電気的に接続され、他端が前記の基板の表面に導出された第1の配線導体と、前記の基板の内部に設けられるとともに、一端が前記の電極対の他方の電極に電気的に接続され、他端が前記の基板の表面に導出された第2の配線導体と、前記の基板の内部に設けられるとともに、一端が前記のヒータに電気的に接続され、他端が前記の基板の表面に導出された第3の配線導体とを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の反応制御方法は、供給された流体に、温度依存性を有する所定の反応を施して、前記の供給された流体と誘電率が異なる別の流体を生成する反応工程と、前記の反応後の流体を排出する排出工程と、前記の排出された流体の誘電率を測定する測定工程と、前記の測定工程により測定された誘電率に応じて、前記の反応工程における温度を制御する温度制御工程とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の反応システムによれば、反応率の低下を十分に抑制することができる。
【0014】
また、本発明の反応装置によれば、反応率が低下し、誘電率が大きくなった場合、小さい温度負荷で、高反応率を達成することができる。
【0015】
また、本発明の反応制御方法によれば、反応制御を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づき具体的に説明する。図1は、本発明の実施の形態による反応システムの構成例を示す断面図である。
【0017】
図1に示されるように、本実施の形態による反応システム1は、供給された流体に所定の反応を施す反応部2と、反応部2に流体を供給する供給路3と、反応部2から反応後の流体を排出する排出路4と、排出路4内の流体の誘電率を測定する測定部5と、測定部5により測定された誘電率に応じて、反応部2内の温度を制御する温度制御部6とを備える。
【0018】
反応システム1は、基板7を備え、反応部2は、基板7の内部に設けられた流路の一部からなる。そして、この反応部2となる流路部分の内部には、反応触媒が配置される。供給路3および排出路4は、反応部2と接続されるように基板7の内部にそれぞれ形成されている。測定部5は、排出路4の内壁の少なくとも一部に配置された対向する2つの電極8a,8b(以下、2つの電極8a,8bを区別せずに、単に「電極9」と記載する場合がある。)と、基板7の内部に形成された第1の配線導体9および第2の配線導体10と、基板7の外部に配置された容量測定器11とを備える。第1の配線導体9は、一端が電極8aに電気的に接続され、他端が基板7の表面に導出される。第2の配線導体10は、一端が電極8bに電気的に接続され、他端が基板7の表面に導出される。容量測定器11は、第1の配線導体9の上記他端および第2の配線導体10の上記他端に電気的に接続される。なお、第1の配線導体9、第2の配線導体10、および容量測定器11は、容量測定部をなし、2つの電極8a,8b間の静電容量を測定する。また、測定部5は、容量測定部6と、容量測定部6によって測定された静電容量から排出路4内の流体の誘電率を算出する算出部12とを備える。
【0019】
容量測定器11としては、電極8a,8b間の静電容量を測定するLCRマルチメータが用いられている。容量測定器11は、第1の配線導体9および第2の配線導体10を介して電極8a,8bに電気的に接続され、電極8a,8b間の静電容量を測定する。静電容量Cは、次式C=ε・ε・S/d(C:静電容量 [F]、ε:真空の誘電率 8.85×10-12[F/m]、ε:比誘電率 [―]、S:電極の面積 [m2]、d:電極間の距離 [m])で表され、流体の比誘電率εは、ε=C・d/(ε・S)で表される。この比誘電率εは、算出部12により算出され表示される。
【0020】
温度制御部6は、基板7の内部に設けられたヒータ13と、基板7の内部に設けられるとともに、一端がヒータ13に電気的に接続され、他端が基板7の表面に導出された第3の配線導体14と、基板7の外部に配置された温度調節部15とを備える。温度調節部15は、ヒータ13に流す電流値を制御する電流制御部(図示せず)と電流制御部によって制御された値の電流をヒータ13に流す直流電源(図示せず)とを有し、第3の配線導体14を介してヒータ13の温度を調節する。電流制御部は、測定部5で測定された誘電率に応じてヒータ13に流す電流値を制御する。
【0021】
なお、この反応システム1において、基板7、反応部2、供給路3、排出路4、電極8a,8bからなる電極対、第1の配線導体9、第2の配線導体10、ヒータ13、及び第3の配線導体14は、反応装置を構成する。
【0022】
次に、反応部2における反応を具体例に基づき説明する。燃料電池に使用される水素発生装置では、水蒸気改質反応CHOH+HO→CO+3Hが行われる。基板7内の供給路3に流入した気体状態のメタノール(CHOH)と水(HO)は、反応部2において、ヒータ13により加熱された状況下で触媒(図示せず)により反応し、COとHに改質される。
【0023】
排出路4は、反応部2内の反応によって生成されたCOおよびHを反応部2から排出する。ここで、反応部2内の反応が不十分である場合には、排出路4を流れる流体に、反応前のCHOHおよびHOが多量に含まれる。例えば、反応部2の内部の温度が300℃程度で反応率が低い場合、誘電率がそれぞれ約1であるCOおよびHに加えて誘電率が約20のHOが排出路4に流出する。つまり、排出路4に流出する混合気体の誘電率が上昇する。この変化を測定部5により測定し、測定した誘電率が所定の値より大きくなった場合に、温度制御部6のヒータ13を用いて反応部2内の温度を上昇させる。反応部2内の反応は吸熱反応であることから、反応部2内の温度を上昇させることにより、反応部2内の反応率を高めることができる。また、排出路4に流出する混合気体の誘電率の変化が小さくなった場合、その時点でヒータ13の温度を一定に保つことによって、高い反応率を維持することができる。
【0024】
以上のように、この反応システム1では、供給された流体に温度依存性を有する所定の反応を施して、供給された流体と誘電率が異なる別の流体を生成する反応工程と、反応後の流体を排出する排出工程と、排出された流体の誘電率を測定する測定工程と、測定工程により測定された誘電率に応じて、反応工程における温度を制御する温度制御工程とにより、反応率の低下を容易に検知し、反応を制御することができる。
【0025】
次に、本実施の形態による反応装置の製造方法を述べる。反応部2および排出路4等を構成する流路及びヒータ13は、基板7内に形成される。基板7としては、例えばセラミック基板が挙げられる。セラミック基板は、酸化アルミニウム質焼結体(アルミナセラミックス)、窒化アルミニウム質焼結体、窒化珪素質焼結体、炭化珪素質焼結体等のセラミックから成り、例えば酸化アルミニウム質焼結体から成る場合、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化珪素(SiO2)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)等に有機溶剤、溶媒を添加混合して泥漿物(スラリー)を得、次にスラリーを従来周知のドクターブレード法やカレンダーロール法等を採用してテープ状に成形してセラミックグリーンシート(セラミック生シート)を得る。そして、所定のセラミックグリーンシートの一部を打ち抜く等により流路を形成する。さらに、セラミックグリーンシートの所望の位置に電極9、第1の配線導体9、第2の配線導体10、第3の配線導体14、およびヒータ13の抵抗体ペーストをスクリーン印刷法により印刷する。配線導体9,10,14およびヒータ13の抵抗体ペーストは、3次元に配置することが可能であることから、長さ(面積)の調整が容易である。また、グリーンシートを基板7の厚み方向に貫通させ、ペーストを充填することにより、基板7の表面の配線およびセラミック層間の配線の電気的接続が可能となる。しかる後、セラミックグリーンシートを複数枚積層し、レーザー加工法等により、断面が長方形の流路形状に加工する。その後、これを高温(約1600℃)で焼成することにより、反応装置が得られる。
【0026】
また、基板7は、炭化珪素質焼結体や窒化アルミニウム質焼結体等から成っていてもよい。基板7が炭化珪素質焼結体から成る場合は、高温で高強度であることから、流路を高温で使用する場合に信頼性が高いものとなる。また、基板7が窒化アルミニウム質焼結体から成る場合、その窒化アルミニウム質焼結体としては、例えば窒化アルミニウム含有量が97〜99重量%であり、Al2O3等の酸化物を1〜3重量%の範囲で含むもの、または窒化アルミニウム含有量が91〜99重量%であり、Y2O3,Yb2O3,又はEr2O3等の希土類元素酸化物を1〜9重量%の範囲で含むものが挙げられる。
【0027】
また、流体の比誘電率εは、ε=C・d/(ε・S)で求められることから、排出路4内を流れる混合気体の誘電率の測定精度を高めるために、静電容量Cの測定精度を高める必要がある。静電容量Cは、C=ε・ε・S/dで表されることから、電極面積Sを大きくし、電極間距離dを小さくすれば、静電容量Cの値が大きくなることがわかる。このように静電容量Cの値を大きくすると、測定値の変化を大きくすることができ、静電容量Cの測定精度を高めることができる。
【0028】
本実施の形態による反応システム1では、基板7内に流路を設けるため、流路寸法を1mm角以下にすることができ、電極間距離dを小さくすることができる。
【0029】
また、HOの比誘電率(300℃で20)は、温度により、大きく変化するため、測定部5は、一定温度に保たれていることが望ましい。本実施の形態による反応システム1では、基板7内に、電極9、および配線導体9,10が形成されていることから、排出路4から容量測定器11までの間において温度変化が低減するため、測定精度を高めることができる。また、排出路4を基板7の内部に形成することにより、排出路4内の温度分布が低減されることから、排出路4内に温度に応じて誘電率が変化する流体が流れる場合にも有効である。
【0030】
また、ヒータ13が基板7内に内蔵され、外部環境に晒されることがないことから、温度の安定性がよく、反応部2の温度を精度良く制御することができる。
【0031】
さらに、本実施の形態による反応システム1では、反応部2に通じるように排出路4を基板7の内部に設けたことから、電極対を排出路4の内壁において反応部2に近い位置に設置すれば、反応直後の気体の誘電率を測定することができ、測定精度を高めることができる。
【0032】
このように精度良く温度低下を検知し、温度を制御することができる反応システム1は、例えば携帯電話やノートパソコンに使用される、温度低下の影響が大きい小型の燃料改質器を利用した反応システム等に適用する場合に特に有効である。
【0033】
さらに、本実施の形態による反応システム1においては、反応部2およびヒータ13を基板7の内部に形成し、反応部2に近接させてヒータ13を配置できることから、比較的短時間に温度負荷を与えることができ、必要最小限の温度負荷で温度を変化させることができる。
【0034】
また、本実施の形態による反応システム1においては、物理量である誘電率を測定するため、ガスセンサ等を必要とせず、反応システム1を小型化し、そのコストを低減することができる。
【0035】
図2は、排出路4の内壁に2つの電極からなる電極対が複数個設けられた場合の反応システム21の構成例を示す断面図である。図2に示された反応システム21では、排出路4が基板7の高さ方向に折れ曲がっており、その排出路4の内壁に電極8aと電極8bからなる8つの電極対が設けられている。そして、電極8aは、第1の配線導体9によって電気的に接続され、電極8b同士は、第2の配線導体10によって電気的に接続されている。これにより、8つの電極対は並列接続されている。
【0036】
図2に示された反応システム21では、8つの電極対が並列接続されていることから、静電容量C=C1+C2+・・・+C8(C1,・・・,C8は、各電極対の静電容量)となり、Cを大きくすることができる。
【0037】
なお、図2に示された反応システム21において、基板7として例えばセラミック基板を用いると、第1および第2の配線導体9,10を基板7の内部で容易に3次元構造に配置することができることから、複数の電極対の並列接続も容易に行うことができる。
【0038】
なお、上述の説明では、反応部2を基板7内の流路により構成したが、反応部2を基板7の一主面とその基板7の主面に接合された蓋体とにより構成してもよい。その場合には、基板7と蓋体とに構成される空洞内に反応触媒を固定設置することができる。また、その場合には、供給路7および排出路4は、反応部2の内部に通じるように基板7の表面に開口を有する構成にすればよい。また、ヒータ13および排出路4の形状はそれぞれ任意の形状であってよい。
【0039】
図3および図4は、本実施の形態による反応システム1,21の変形例を示している。図3は、本実施の形態による反応システム21の変形例である反応システム31の断面図であり、図4は、図3に示された反応システム31における基板7の透視平面図である。なお、図4では、基板7内のヒータ13および流路の形状をわかりやすく表現するために、第1および第2の配線導体9,10を省略している。この反応システム31では、反応部2が基板7の内部に形成された流路の一部であり、ヒータ13および排出路4は、基板7の内部でそれぞれ蛇行している。また、電極8a,8bは、排出路4の蛇行部分の内壁に沿って延在している。
【0040】
このように、ヒータ13が蛇行していると、ヒータ13の長さが長くなるため、発熱量が大きくなり、反応部2内の温度を短時間で容易に上昇させることができる。また、排出路4が蛇行していると、排出路4の長さが長くなり、その壁面に電極8a,8bが形成されていることから、電極面積Sを大きくすることができ、静電容量Cを大きくすることができる。これにより、排出路4を流れる流体の誘電率を精度良く測定することができる。
【0041】
さらに、反応部2内の反応率を所定の時間間隔で測定し、ある測定時点で反応率の低下を検出し、温度を上昇させる制御を行った場合には、次の測定時点で、その温度を低下させ、再び反応率の低下を検出した場合には、温度を上昇させるといった制御も可能である。その場合の時間間隔、および上昇若しくは低下させる温度幅も適宜設定すれば、反応部2内の反応率をほぼ最適な反応率に維持することができる。
【0042】
例えば、上述の燃料改質器の例では、ヒータ13に過剰に電流を与えると、反応部2内で副生成物であるCOの発生量が増加し、反応率が低下する他、電極9を腐食する等の問題が起こり得る。反応率をほぼ最適な反応率を維持することができるなら、ヒータ13への過剰な電流負荷を抑えることができ、副生成物の発生量を小さくすることができる。
【0043】
また、基板7の表面に蓋体を設ける場合、蓋体は、基板7とともに空洞を形成する。また、基板7主面と蓋体との接合部には、導体配線(図示せず)を形成することにより、基板7と蓋体との溶接やロウ材等の接合が可能となる。例えば、基板7主面に形成された導体配線上に、蓋体を設置し、電子ビーム溶接により、基板7と蓋体とが溶接されてもよい。また、反応部2を複数設けることにより、段階的な反応を実施することも可能となる。
【0044】
なお、本発明の反応システム、反応装置、および反応制御方法は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更は可能である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施の形態による反応システムの構成例を示す断面図である。
【図2】図1に示した反応システムの変形例を示す断面図である。
【図3】図1に示した反応システムの別の変形例を示す断面図である。
【図4】図3の反応システムにおける基板の平面透視図である。
【符号の説明】
【0046】
1 反応システム
2 反応部
3 供給路
4 排出路
5 測定部
6 温度制御部
7 基板
8a,8b 電極
9 第1の配線導体
10 第2の配線導体
11 容量測定部
12 算出部
13 ヒータ
14 第3の配線導体
15 温度調節部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に供給された流体に、温度依存性を有する所定の反応を施して、前記供給された流体と誘電率が異なる別の流体を生成する反応部と、
前記反応部から反応後の流体を排出する排出路と、
前記排出路内の流体の誘電率を測定する測定部と、
前記測定部により測定された誘電率に応じて、前記反応部内の温度を制御する温度制御部と
を備える反応システム。
【請求項2】
前記測定部は、
前記排出路の内壁の少なくとも一部に配置された対向する2つの電極と、
前記排出路内における前記2つの電極間の静電容量を測定する容量測定部と、
前記容量測定部によって測定された前記静電容量から前記排出路内の流体の誘電率を算出する算出部と
を備える請求項1に記載の反応システム。
【請求項3】
前記排出路は、基板の内部に形成された流路であり、
前記容量測定部は、
前記基板の内部に設けられるとともに、一端が前記2つの電極のうち一方に電気的に接続され、他端が前記基板の表面に導出される第1の配線導体と、
前記基板の内部に設けられるとともに、一端が前記2つの電極のうち他方に電気的に接続され、他端が前記基板の表面に導出される第2の配線導体と、
前記第1および第2の配線導体を介して、前記2つの電極間の静電容量を測定する容量測定器と
を備える請求項2に記載の反応システム。
【請求項4】
前記2つの電極からなる電極対が複数存在し、
前記複数の電極対は、前記第1および第2の配線導体によって並列に接続される請求項3に記載の反応システム。
【請求項5】
前記温度制御部は、
前記基板内に設けられたヒータと、
前記基板の内部に設けられるとともに、一端が前記ヒータに電気的に接続され、他端が前記基板の表面に導出された第3の配線導体と
前記測定部に接続され、前記第3の配線導体を介して前記ヒータの温度を調節する温度調節部と
を備える請求項3又は請求項4に記載の反応システム。
【請求項6】
前記反応部は、供給された誘電率の大きい流体に吸熱反応である前記所定の反応を施して、誘電率の小さい流体を生成し、
前記温度制御部は、前記誘電率が所定の値より大きい場合に、前記反応部内の温度を上昇させる請求項1から請求項5のいずれかに記載の反応システム。
【請求項7】
基板と、
前記基板の内部に形成された流路と、
前記流路の内壁の一部に設けられた、互いに対向する電極からなる少なくとも一組の電極対と、
前記基板の内部に設けられ、前記流路の一部を加熱するヒータと、
前記基板の内部に設けられるとともに、一端が前記電極対の一方の電極に電気的に接続され、他端が前記基板の表面に導出された第1の配線導体と、
前記基板の内部に設けられるとともに、一端が前記電極対の他方の電極に電気的に接続され、他端が前記基板の表面に導出された第2の配線導体と、
前記基板の内部に設けられるとともに、一端が前記ヒータに電気的に接続され、他端が前記基板の表面に導出された第3の配線導体と
を備える反応装置。
【請求項8】
供給された流体に、温度依存性を有する所定の反応を施して、前記供給された流体と誘電率が異なる別の流体を生成する反応工程と、
前記反応後の流体を排出する排出工程と、
前記排出された流体の誘電率を測定する測定工程と、
前記測定工程により測定された誘電率に応じて、前記反応工程における温度を制御する温度制御工程と
を備える反応制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−106842(P2009−106842A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−281255(P2007−281255)
【出願日】平成19年10月30日(2007.10.30)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】