説明

反応臭抑制方法

【課題】アルカリ剤を含有する毛髪化粧料の処理中及び処理後における、嗅覚的に複雑な内容の反応臭(残臭)を良好に抑制できる反応臭抑制方法を提供する。
【解決手段】アルカリ剤を含有する毛髪化粧料の使用を含む毛髪処理において、毛髪化粧料として(A)炭素数12以上の脂肪酸の1種以上、(B)オクタノール/水分配係数(logKow)が10以上であるロウ、炭化水素及びエステルから選ばれる油性成分の1種以上、(C)特定の香料化合物の1種以上を含む香料、(D)アルカリ剤の1種以上、を含有する毛髪化粧料組成物を用いる反応臭抑制方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は反応臭抑制方法に関する。更に詳しくは本発明は、アンモニア等のアルカリ剤を含有する染毛剤や脱色剤等の毛髪化粧料の使用に基づく反応臭(残臭)を抑制する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アンモニア等のアルカリ剤を含有する染毛剤や脱色剤等においては、従来より、揮発性のアルカリ剤による刺激臭が問題となっていた。そしてこの問題に対しては、下記の特許文献1〜特許文献3に見られるように、例えばアンモニア臭をマスキングする目的で毛髪化粧料に香料を配合したり、アンモニア臭の低減を期待して毛髪化粧料に香料以外の特定の成分系を組み合わせ配合するという対策が行われている。
【特許文献1】特開2007−145783号公報。 上記の特許文献1では、染毛剤で処理した後の毛髪に対して、タンパク加水分解物、非イオン界面活性剤、シリコーン油及び多価アルコールを含有する後処理剤(第3剤)を塗布して、反応臭を抑制する方法を開示している。この後処理剤には香料も配合できる旨の記載がある。
【特許文献2】特開2000−344629号公報 上記の特許文献2では、「アンモニア由来の不快臭をマスキングする効果が高い」と出願人が主張する17種類の香料成分のうちの1種以上を含有するヘアカラー用消臭剤組成物を用いる不快臭の抑制方法を開示している。
【特許文献3】特開2006−143616号公報 上記の特許文献3では、アンモニア臭の低減を目的として、高級アルコール、油脂類、特定種類の界面活性剤等を配合した毛髪処理剤組成物を用いる方法を開示している。又、この毛髪処理剤組成物には香料も配合できる旨の記載がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、ヘアカラー等の使用現場である美容院等において実際に問題となる不快臭は、単なるアンモニア臭等のアルカリ臭ではなく、毛髪、アルカリ剤を含めた各種ヘアカラー成分、頭皮等が相互反応して発現する、嗅覚的に複雑な内容の反応臭(残臭)である。このような意味での反応臭の良好な抑制に関しては、上記の従来技術は必ずしも十分な効果を期待できない。
【0004】
本願発明者の研究によれば、嗅覚的に複雑な内容の反応臭を良好に抑制するためには、アルカリ剤を含有する毛髪化粧料において、(a)香料以外の成分系の最適な組み合わせ配合と、(b)マスキング効果の面で最適な香料成分とを究明し、これらの手段を併せ用いる必要がある。又、更に重要な点として、これらの(a)と(b)の手段がそれぞれ単独使用時の評価において相対的に優れていたとしても、(c)両手段の嗅覚的なマッチングが良くないと、良好な反応臭抑制効果が得られない。
【0005】
特許文献1や特許文献3では、アンモニア臭の低減等を目的として、上記の(a)に相当する、タンパク加水分解物、特定のアルコール、油脂類、界面活性剤等の選択的な配合を開示している。しかし、それらの配合成分が嗅覚的に複雑な内容の反応臭の抑制に対しては最適であるかどうか、と言う点に加え、上記の(b)及び(c)の点は特に検討も対策もされていない。
【0006】
逆に特許文献2は上記の(b)に対して一定の改善が見られるが、選択された17種類の香料成分が嗅覚的に複雑な内容の反応臭の抑制に最適であるかどうか、と言う点に加え、上記の(a)及び(c)の点は余り検討も対策もされていない。
【0007】
更に、香料に関して、一般的に低揮発性の香料成分はアンモニア臭等のマスキングに有効であるが、その香りが毛髪化粧料の処理後にも毛髪に残留するため、その後にシャンプーを行った際、毛髪に残留した香りがシャンプー剤に含有される香料と相互作用し、シャンプーの香りを損ねる原因となっていた。反面、揮発性の低くない香料成分では、上記のような香りの残留は少ないが、毛髪化粧料の処理中に満足なマスキング効果が得られなかった。従って、毛髪化粧料の処理中から、処理後のシャンプー時、仕上がり時にまで至る、香りもしくは反応臭のトータルな管理が困難であった。
【0008】
そこで本発明は、アルカリ剤を含有する毛髪化粧料の処理中及び処理後における良好な反応臭(残臭)の抑制を目的として、そのために最適な香料成分及びその他の有効成分の組み合わせ配合を解明することを、解決すべき技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(第1発明)
上記課題を解決するための本願第1発明の構成は、アルカリ剤を含有する毛髪化粧料の使用を含む毛髪処理において、前記毛髪化粧料として以下の(A)〜(D)の各成分を含有する毛髪化粧料組成物を用いる、反応臭抑制方法である。
(A)炭素数12以上の脂肪酸の1種以上。
(B)オクタノール/水分配係数(logKow)が10以上である、ロウ、炭化水素及びエステルから選ばれる油性成分の1種以上。
(C)下記の「化6」に一般式を示す香料化合物の1種以上を含む香料である(C1)成分、下記の「化7」に一般式を示す香料化合物の1種以上を含む香料である(C2)成分、あるいは「化6」に一般式を示す香料化合物の1種以上と「化7」に一般式を示す香料化合物の1種以上とを含む香料である(C3)成分のいずれか。
【0010】
【化6】

(上記の「化6」式において、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
【0011】
【化7】

(上記の「化7」式において、波線で表記した結合部は単結合又は二重結合を表すが、6員環を構成する番号1〜6の炭素原子のうち、番号2〜4の炭素原子がそれぞれ関与する二重結合は、最大でも1つである。又、R〜Rはいずれも「−H」又は「−CH」を表し、これらのうち、少なくともRとRは同一の基である。Rは下記の「化8」の式に示す基である。Rは「−H」、「−CH」又は「=CH」を表す。
【0012】
【化8】

又、上記の「化8」の式において、nは0〜2の整数であり、Rは下記の「化9」又は「化10」の式に示す基であり、Rは水素原子又はメチル基を表す。
【0013】
【化9】

【0014】
【化10】

更に、上記の「化9」、「化10」の式中、pは0〜2の整数であり、qは1〜2の整数であり、Rは「−H」又は「−CH」を表す。)
(D)アルカリ剤の1種以上。
【0015】
(第2発明)
上記課題を解決するための本願第2発明の構成は、前記第1発明に係る毛髪処理が、毛髪化粧料の使用の過程と、その後のシャンプーの過程とを含む、反応臭抑制方法である。
【0016】
(第3発明)
上記課題を解決するための本願第3発明の構成は、前記第1発明又は第2発明に係る毛髪化粧料組成物における(B)成分が少なくともミツロウを含む、反応臭抑制方法である。
【0017】
(第4発明)
上記課題を解決するための本願第4発明の構成は、前記第1発明〜第3発明のいずれかに係る毛髪化粧料組成物において、(A)成分の合計含有量に対する(B)成分の合計含有量の質量比(B)/(A)が使用時に0.1〜10の範囲内である、反応臭抑制方法である。
【0018】
(第5発明)
上記課題を解決するための本願第5発明の構成は、前記第1発明〜又は第4発明のいずれかに係る毛髪化粧料組成物が、更に以下の(E)成分を含有する、反応臭抑制方法である。
(E)非イオン性界面活性剤の1種以上。
【0019】
(第6発明)
上記課題を解決するための本願第6発明の構成は、前記第1発明〜又は第5発明のいずれかに係る毛髪化粧料組成物が、更に以下の(F)成分を含有する、反応臭抑制方法である。
(F)カチオン性界面活性剤の1種以上。
【発明の効果】
【0020】
本願発明者は、アルカリ剤を含有する毛髪化粧料の使用を含む毛髪処理において上記した(A)〜(D)の各成分を含有する毛髪化粧料組成物を用いると、毛髪化粧料の処理中及びその処理後において反応臭(残臭)を良好に抑制できることを見出した。
【0021】
即ち、(A)成分及び(B)成分の組み合わせは反応臭を低減させる効果に優れることが分かった。一方、(C1)〜(C3)のいずれかである(C)成分に含有される香料化合物、即ち「化6」で特定される香料化合物及び/又は「化7」で特定される香料化合物は、元々揮発性が余り低くないので毛髪上への香りの残留が少ない反面、(A)成分及び(B)成分と組み合わせ配合した場合には反応臭に対する高いマスキング効果を示すことが分かった。しかも、(A)成分及び(B)成分の組み合わせによる反応臭低減効果と(C)成分による反応臭マスキング効果とは嗅覚的なマッチングが良好である。そのため、これらの効果が相乗して、毛髪化粧料の処理中から、処理後のシャンプー時、仕上がり時にまで至る優れた反応臭抑制効果が得られる。
【0022】
(A)成分は、炭素数12以上の脂肪酸の1種以上である。炭素数12未満の脂肪酸は反応臭低減効果が不十分である。(B)成分は、オクタノール/水分配係数(logKow)が10以上のロウ、炭化水素及びエステルから選ばれる油性成分の1種以上であるが、ミツロウが特に好ましい。logKow が10未満の油性成分、あるいはロウ、炭化水素及びエステル以外の油性成分は、反応臭低減効果が不十分である。更に(C)成分に関して、「化6」及び「化7」で特定される香料化合物の1種以上を含まない香料は、反応臭をマスキングする効果が不十分であるか、及び/又は、(A)成分及び(B)成分との嗅覚的なマッチングが良くない。
【0023】
(B)/(A)の使用時質量比は0.1〜10の範囲内であることが好ましい。この質量比が0.1未満の場合、あるいは10を超える場合には、反応臭の抑制効果が低下する恐れがある。
【0024】
本発明で用いる毛髪化粧料組成物においては、更に、(E)成分:非イオン性界面活性剤の1種以上、あるいは(F)成分:カチオン性界面活性剤の1種以上を含有することが、反応臭の抑制の点で、更に好ましい。
【0025】
本発明の反応臭抑制方法は、アルカリ剤を含有する毛髪化粧料による毛髪処理を対象とするが、より好ましくは、毛髪化粧料の処理後のシャンプーの過程等も含む。本発明によれば、毛髪化粧料の処理中及び処理後においても良好な反応臭抑制効果が得られ、シャンプーの際におけるシャンプー剤の香りを損ねることもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
次に、本発明を実施するための形態を、その最良の形態を含めて説明する。
【0027】
〔反応臭抑制方法〕
本発明の反応臭抑制方法は、アルカリ剤を含有する毛髪化粧料の使用を含む毛髪処理において、毛髪化粧料として下記の毛髪化粧料組成物を用いる。「毛髪処理」の内容は、アルカリ剤を含有する毛髪化粧料の使用を含む限りにおいて限定されず、例えば毛髪化粧料の使用過程のみであっても良いし、その後のシャンプーの過程等を含んでも良い。
【0028】
〔毛髪化粧料組成物〕
本発明で使用する毛髪化粧料組成物は、(D)成分たるアルカリ剤を含有することを前提として、以下に述べる(A)〜(C)の各成分を含有する。
【0029】
これらの各成分の含有量、及び(C)成分である(C1)成分〜(C3)成分のいずれかにおける「化6」又は「化7」に示す香料化合物の含有量については、後述するように絶対的な制約はない。各成分の相互の含有量比も基本的に制約されないが、好ましくは(A)成分の合計含有量に対する(B)成分の合計含有量の質量比(B)/(A)が、使用時に0.1〜10の範囲内であり、特に好ましくはこの質量比(B)/(A)が使用時に0.3〜9の範囲内である。
【0030】
毛髪化粧料組成物の具体的な種類又は用途は限定されないが、酸化染毛剤、ブリーチ剤(毛髪脱色剤)、パーマネントウエーブ剤(第1剤)等が例示される。
【0031】
毛髪化粧料組成物は、酸化染毛剤やブリーチ剤である場合においては、1剤式の場合もあり得るが、通常は使用時に混合調製される2剤式や3剤式等の複数剤式に構成される。これらの複数剤式の毛髪化粧料組成物において、上記の各成分は任意の単一の剤に全量を配合し、又は任意の複数の剤に分散配合することができるが、通常、アルカリ剤は第1剤に配合される。又、これらの各成分を互いに異なる製剤に配合しても良いし、製剤上の特段の不具合がない限り同一の製剤に配合しても良い。
【0032】
本発明で使用する毛髪化粧料組成物において、各成分の含有量や含有比率を「使用時」と限定して表記するときは、使用時に混合調製される複数剤式の毛髪化粧料に関しては、使用時に混合調製した際の含有量や含有比率を意味している。
【0033】
毛髪化粧料組成物である酸化染毛剤、ブリーチ剤、パーマネントウエーブ剤等における各剤の剤型は、公知の各種の剤型の内から、その用途や使用目的等に応じて任意に選択することができる。例えば、液体状、乳液状、クリーム状、ゲル状、ペースト状、霧状(噴霧式)、エアゾールフォーム等を例示することができる。
【0034】
〔毛髪化粧料組成物の必須成分〕
本発明で使用する毛髪化粧料組成物は、(A)、(B)、(C)及び(D)の各成分を必須の成分とする。
【0035】
(A)成分:炭素数12以上の脂肪酸の1種以上
炭素数12以上の脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リシノール酸、ラノリン脂肪酸等が例示される。なお、炭素数の上限としては22が好ましい。
【0036】
本発明の毛髪化粧料組成物は、これらの(A)成分の1種以上を含有する。使用時における(A)成分の合計含有量は特段に制約されないが、例えば0.1〜10質量%程度、より好ましくは0.3〜5質量%程度とすることができる。又、(B)成分の合計含有量に対して、質量比(B)/(A)が使用時に前記した数値の範囲内であることが特に好ましい。
【0037】
(B)成分:オクタノール/水分配係数(logKow)が10以上である、ロウ、炭化水素及びエステルから選ばれる油性成分の1種以上
本発明の毛髪化粧料組成物は、これらの(B)成分の1種以上を含有する。使用時における(B)成分の合計含有量は特段に制約されないが、例えば0.1〜10質量%程度、より好ましくは0.3〜5質量%程度とすることができる。又、(A)成分の合計含有量に対して、質量比(B)/(A)が使用時に前記した数値の範囲内であることが特に好ましい。
【0038】
オクタノール/水−分配係数とは、「logKow」として表記され、ある物質のオクタノール相と水相での分配の度合い、即ちその物質の親油性/親水性の程度を表す指数であって、その数値が高い程、親油性が強い。logKow は以下の式1で定義されるが、この式1中、「Mo」はオクタノール相中におけるその物質のモル数であり、「Mw」は水相中におけるその物質のモル数である。
【0039】
logKow =log(Mo/Mw)・・・式1
オクタノール/水−分配係数は、経済協力開発機構(OECD)テストガイドライン(OECD理事会決定「C(81)30最終別添(1)」)107、又は日本工業規格
Z7260−107(2000)「分配係数(1−オクタノール/水)の測定−フラスコ浸とう法」並びにOECDテストガイドライン117に定められた方法で測定することができる。
【0040】
又、このオクタノール/水−分配係数「logKow」の値の算出法としては、Syracuse Research Corporation 社から発売されている「KowWIN32」というプログラムを使用する算出法がある。本願では、このプログラムにより算出したオクタノール/水−分配係数「logKow」の値を用いている。
【0041】
(B)成分に該当するロウとしては、例えばカルナウバロウ、ミツロウを例示することができ、特にミツロウが好ましい。
【0042】
(B)成分に該当する炭化水素としては、炭素数20以上の炭化水素が挙げられる。より具体的には、例えばマイクロクリスタリンワックス、パラフィン、パラフィンワックス及び流動パラフィンが挙げられる。
【0043】
(B)成分に該当するエステルとしては、例えば、ラウリン酸ラウリル、パルミチン酸パルミチル、ステアリン酸ステアリル、ミリスチン酸ミリスチル、2−エチルへキサン酸セチル及びオレイン酸オクチルドデシルが挙げられる。
【0044】
以上の(B)成分に該当するロウ、炭化水素、エステルの中で、25℃で固体状のものが好ましく適用される。具体的には、カルナウバロウ、ミツロウ、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、パルミチン酸パルミチル、ステアリン酸ステアリル及びミリスチン酸ミリスチルが挙げられる。
【0045】
(C)成分:「化6」に示す香料化合物の1種以上を含む香料である(C1)成分、「化7」に示す香料化合物の1種以上を含む香料である(C2)成分、あるいは「化6」に示す香料化合物の1種以上と「化7」に示す香料化合物の1種以上とを含む香料である(C3)成分のいずれか
本発明で使用する毛髪化粧料組成物は、上記の(C1)成分〜(C3)成分のいずれかである(C)成分を含有する。
【0046】
「化6」の一般式に該当する香料化合物の具体例としては、下記の「化11」に示すトリシクロデセニルアセテート、下記の「化12」に示すトリシクロデセニルプロピオネートが好ましく例示され、その他にも、トリシクロデセニルイソブチレートが好ましく例示される。
【0047】
【化11】

【0048】
【化12】

「化7」の一般式に該当する香料化合物の具体例としては、下記の「化13」に示すβ−ヨノン、下記の「化14」に示すβ−ダマスコンが特に好ましく例示されるが、その他にも、β−ダマセノン、α−ダマスコン、α−ヨノン、δ−ダマスコン、α−イロン、α−n−メチルヨノン、β−n−メチルヨノン、γ−n−メチルヨノン、α−イソメチルヨノン(γ−メチルヨノン)、β−イソメチルヨノン(δ−メチルヨノン)、γ−イソメチルヨノン、α−ネオイロン、α−イソイロン、α−ネオイソイロン、β−イロン、ネオイロン、γ−イロン、γ−ネオイロン、γ−イソイロン、γ−ネオイソイロン、アリルα−ヨノン、γ−ダマスコン、α−ダマセノン、γ−ダマセノンが好ましく例示される。
【0049】
【化13】

【0050】
【化14】

(C1)成分〜(C3)成分には、上記「化6」、「化7」に示す香料化合物の1種以上の他にも、他の1種以上ないし多種の香料化合物を配合することができる。そのような香料化合物として、ガラクソリッド
50 BB(Galaxolide 50 BB:IFF社製)、メチルジヒドロジャスモネート(Methyl dihydrojasmonate)、アンブロフィックス(Ambrofix)、イソ・イー・スーパー(Iso E super:IFF社製)、ポリサントール(Polysantol:Firmenich社製)、ガンマ−ウンデカラクトン(gamma-Undecalactone)、ガンマ−デカラクトン(gamma-Decalactone)、d−リモネン(d-Limonene)、ガンマ−ノナラクトン(gamma-Nonalactone)、o−tert−ブチルシクロヘキシルアセテート(o-tert-butyl cyclohexyl
acetate)、p−tert−ブチルシクロヘキシルアセテート(p-tert-butyl cyclohexyl acetate)、ジメチルベンジルカルビニルアセテート(Dimethyl benzyl carbinyl acetate)、リナロール(Linalool)、ベルートン(Veloutone:Firmenich社製)、シス−3−ヘキセン−1−オール(cis-3-Hexen-1-ol)、ジヒドロミルセノール(Dihydromyrcenol)、シトロネロール(Citronellol)、dl−ローズオキサイド(dl-Rose oxide)、ゲラニオール(Geraniol)、ターピネオール(Terpineol)、クマリン(Coumarin)、フェニルヘキサノール(Phenylhexanol)、ジメチルベンジルカルビニルブチレート(Dimethyl benzyl carbinyl butyrate)、カシュメラン(Cashmeran:IFF社製)、ヘキシルサリシレート(Hexyl salicylate)、アセトアルデヒド 2−フェニル−2,4−ペンタンジオールアセタール(Acetaldehyde 2-phenyl-2,4-pentanediol acetal)、フェニルエチルアルコール(Phenylethyl alcohol)、マイヨール(Mayol:Firmenich社製)、セドロール(Cedrol)、レモニル(Lemonile:Givaudan社製)、シトロネリルニトリル(Citronellyl nitrile)、アニシルアセトン(Anisyl acetone)、8−メルカプトメンソン(8-Mercaptomenthone)、l−メントール(l-Menthol)、メチル
β−ナフチルケトン(Methyl β-Naphthyl ketone)等を例示することができる。
【0051】
「化6」又は「化7」に示す香料化合物は、極めて少量の配合でも有効に作用するので、使用時における有効な含有量、特にその下限値を一律に規定することが困難である。しかし、あえて数値を以て規定すれば、「化6」、「化7」に示す香料化合物は、例えば使用時の合計含有量を0.000001質量%〜0.2質量%とし、より好ましくは0.00001質量%〜0.05質量%とすることができる。
【0052】
(D)成分:アルカリ剤の1種以上
毛髪化粧料組成物に含有させるアルカリ剤の種類は限定されないが、例えばアンモニア、アルカノールアミン(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等)、アンモニウム塩、有機アミン類(2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、グアニジン等)、無機アルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等)、塩基性アミノ酸(アルギニン、リジン等)及びそれらの塩等を適宜に選択して使用することができる。
【0053】
毛髪化粧料組成物におけるアルカリ剤の合計含有量は限定されないが、使用時においてpHが7〜12の範囲となるように配合することが好ましい。
【0054】
〔毛髪化粧料組成物におけるその他の重要成分〕
本発明で使用する毛髪化粧料組成物においては、上記した各必須成分の他に、重要な成分として下記の(E)成分及び(F)成分を更に含有することができる。
【0055】
(E)成分:非イオン性界面活性剤の1種以上。
【0056】
本発明で使用する毛髪化粧料組成物は、更に好ましくは非イオン性界面活性剤の1種以上を含有する。
【0057】
非イオン性界面活性剤の種類は限定されないが、例えば、ポリオキシエチレン(以下、POEという)アルキルエーテル類、POEアルキルフェニルエーテル類、POE・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、POEソルビタン脂肪酸エステル類、POEプロピレングリコール脂肪酸エステル、脂肪族アルカノールアミド類等が挙げられる。
【0058】
毛髪化粧料組成物における非イオン性界面活性剤の合計含有量は限定されないが、例えば、使用時において0.5〜20質量%程度とすることが好ましい。
【0059】
(F)成分:カチオン性界面活性剤の1種以上。
【0060】
本発明で使用する毛髪化粧料組成物は、更に好ましくはカチオン性界面活性剤の1種以上を含有する。
【0061】
カチオン性界面活性剤の種類は限定されないが、例えば、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、メチル硫酸ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化トリ(ポリオキシエチレン)ステアリルアンモニウム、クオタニウム−91(INCI名称)、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミドプロピルエチルジメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリン、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン、N,N−ジ(アシロキシ),N−(ヒドロキシエチル),N−メチルアンモニウムメトサルフェート等が挙げられる。
【0062】
毛髪化粧料組成物におけるカチオン性界面活性剤の合計含有量は限定されないが、例えば、使用時において0.5〜20質量%程度とすることが好ましい。
【0063】
〔特定カテゴリーの毛髪化粧料組成物におけるその他の主要成分〕
本発明の毛髪化粧料組成物が酸化染毛剤である場合には、酸化剤と酸化染料中間体とが更に配合され、必要に応じて直接染料も配合される。酸化染料中間体は主要中間体からなり、又は主要中間体とカプラーからなる。通常、酸化染料中間体又は直接染料はアルカリ剤と同じく第1剤に配合され、酸化剤は第2剤に配合される。
【0064】
毛髪化粧料組成物がブリーチ剤である場合には、更に酸化剤が配合される。通常、アルカリ剤は第1剤に配合され、酸化剤は第2剤に配合される。
【0065】
毛髪化粧料組成物がパーマネントウエーブ剤である場合には、更に酸化剤と還元剤が配合される。通常、還元剤はアルカリ剤と同じく第1剤に配合され、酸化剤は第2剤に配合される。
【0066】
(酸化剤)
酸化剤としては、臭素酸カリウム、臭素酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、過酸化水素、過酸化物等。過酸化物としては、過酸化尿素、過酸化メラミン、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化マグネシウム、過酸化バリウム、過酸化カルシウム、過酸化ストロンチウム、硫酸塩の過酸化水素付加物、リン酸塩の過酸化水素付加物、ピロリン酸塩の過酸化水素付加物等が例示される。
【0067】
酸化剤の種類及び配合量は、毛髪化粧料組成物の使用目的および技術常識に応じて適宜に決定すれば良く、特段に限定されない。
【0068】
(酸化染料中間体)
主要中間体としては、特段に限定はされないが、フェニレンジアミン類、アミノフェノール類、ジアミノピリジン類及びこれらの塩酸塩、硫酸塩、酢酸塩等の塩類の1種又は2種以上を例示することができる。具体的には、p−フェニレンジアミン、トルエン−2,5−ジアミン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン、2−β−ヒドロキシエチル−p−フェニレンジアミン、N−β−ヒドロキシエチル−N−エチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、2−クロロ−p−フェニレンジアミン、N,N−ジメチル−p−フェニレンジアミン、p−アミノフェノール、o−アミノフェノール、p−メチルアミノフェノール、2,6−ジクロロ−p−フェニレンジアミン、p−アミノフェニルスルファミン酸、2,5−ジアミノピリジン及びそれらの塩類等を例示することができる。
【0069】
カプラーとしては、レゾルシン、カテコール、ピロガロール、フロログルシン、没食子酸、ハイドロキノン、5−アミノ−o−クレゾール、m−アミノフェノール、5−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−2−メチルフェノール、m−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノフェノキシエタノール、トルエン−3,4−ジアミン、α−ナフトール、2,6−ジアミノピリジン、ジフェニルアミン、3,3’−イミノジフェニール、1,5−ジヒドロキシナフタレンおよびタンニン酸等が例示される。
【0070】
主要中間体、あるいは主要中間体およびカプラーの種類及び配合量は、目的とする染毛色の色調や濃淡に応じて適宜に決定すれば良く、特段に限定されない。
【0071】
直接染料としては、酸性染料、塩基性染料、ニトロ染料、天然染料及び分散染料を例示することができる。
【0072】
酸性染料としては、赤色2号、赤色3号、赤色102号、赤色104号の(1)、赤色105号の(1)、赤色106号、赤色227号、赤色230号の(1)、黄色4号、黄色5号、黄色202号の(1)、黄色202号の(2)、黄色203号、だいだい色205号、だいだい色207号、だいだい色402号、緑色3号、緑色204号、緑色401号、紫色401号、青色1号、青色2号、青色202号、かっ色201号、黒色401号等を例示できる。
【0073】
塩基性染料としては、Basic Blue 3、Basic Blue 6、Basic Blue 7、Basic Blue 9、Basic Blue 26、Basic Blue 41、Basic Blue 47、Basic Blue 99、Basic Brown 4、Basic Brown 16、Basic Brown 17、Basic Green 1、Basic Green 4、Basic Orange 1、Basic Orange 2、Basic Orange 31、Basic Red 1、Basic Red 2、Basic Red 22、Basic Red 46、Basic Red 51、Basic Red 76、Basic Red 118、Basic Violet 1、Basic Violet 3、Basic Violet 4、Basic Violet 10、Basic Violet 11:1、Basic Violet 14、Basic Violet 16、Basic Yellow 11、Basic Yellow 28、Basic Yellow 57、Basic Yellow 87等を例示できる。
【0074】
ニトロ染料としては、4−ニトロ−o−フェニレンジアミン、2−ニトロ−p−フェニレンジアミン、2−アミノ−4−ニトロフェノール、2−アミノ−5−ニトロフェノール、ピクラミン酸、ピクリン酸、及びそれらの塩、HC Blue No.2、HC Blue No.5、HC Blue No.6、HC Blue No.9、HC Blue No.10、HC Blue No.11、HC Blue No.12、HC Blue No.13、HC Orenge No.1、HC Orenge No.2、HC Orenge No.3、HC Red No.1、HC Red No.3、HC Red No.7、HC Red No.10、HC Red No.11、HC Red No.13、HC Red No.14、HC Violet No.1、HC Violet No.2、HC Yellow No.2、HC Yellow No.4、HC Yellow No.5、HC Yellow No.6、HC Yellow No.9、HC Yellow No.10、HC Yellow No.11、HC Yellow No.12、HC Yellow No.13、HC Yellow No.14、HC Yellow No.15等を例示できる。
【0075】
天然染料としては、クチナシ色素、ウコン色素、アナトー色素、銅クロロフィリンナトリウム、パプリカ色素、ラック色素等を例示できる。
【0076】
分散染料としては、Disperse Black 9、Disperse
Blue 1、Disperse Blue 3、Disperse Blue 7、Disperse Brown 4、Disperse Orange 3、Disperse
Red 11、Disperse Red 15、Disperse Red 17、Disperse Violet 1、Disperse Violet 4、Disperse
Violet 15等を例示できる。
【0077】
直接染料の種類及び配合量は、目的とする染毛色の色調や濃淡に応じて適宜に決定すれば良く、特段に限定されない。
【0078】
(還元剤)
還元剤としては、亜硫酸塩、酸性亜硫酸塩、L−システイン、N−アセチルシステイン、チオ乳酸、チオグリコール酸、チオリンゴ酸、2−メルカプトエタノール、ジチオスレイトール、ジチオエリスリトール、トリプロピルホスフィン等が例示される。
【0079】
還元剤の種類及び配合量は、毛髪化粧料組成物の使用目的および技術常識に応じて適宜に決定すれば良く、特段に限定されない。
【0080】
〔毛髪化粧料組成物におけるその他の任意的配合成分〕
本発明で使用する毛髪化粧料組成物には、上記の各種成分の他にも、必要に応じて、ビタミン類、上記以外の脂肪酸、上記以外の油性成分、多価アルコール、上記以外の界面活性剤、高分子物質、ポリペプタイド、タンパク加水分解物、アミノ酸、金属封鎖剤、酸化防止剤、上記以外の香料、殺菌・防腐剤、抗炎症剤、紫外線吸収剤、噴射剤、増粘剤、着色料等を任意に配合できる。これらの配合成分は各種の周知又は公知のものを任意に使用することができる。又、染毛剤組成物の各成分の溶媒又は分散媒として水が配合され、各成分の濃度(質量パーセンテージ)が調整される。これらの配合成分の幾つかについて以下に述べる。
【0081】
(ビタミン類)
染毛剤組成物には、各種のビタミン類の1種又は2種以上を任意の配合量範囲において配合することができる。ビタミン類の種類は限定されず、例えば、アスコルビン酸類、トコフェロール類等の脂溶性又は水溶性のビタミン類を任意に選択して使用できる。
【0082】
(油性成分)
油性成分としては油脂、高級アルコール、アルキルグリセリルエーテル、シリコーン類等が挙げられる。他にも油性成分として、炭素数12未満の脂肪酸やlogKow が10未満である炭化水素、ロウ及びエステル類も挙げられる。これらは、その1種類を単独に配合し、又は2種類以上を併せ配合することができる。
【0083】
油脂としては、各種の植物油、動物油、等が挙げられる。
【0084】
高級アルコールとしては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール(セタノール)、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、2−ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、デシルテトラデカノール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、ラノリンアルコール等が挙げられる。
【0085】
アルキルグリセリルエーテルとしては、バチルアルコール(モノステアリルグリセリルエーテル)、キミルアルコール(モノセチルグリセリルエーテル)、セラキルアルコール(モノオレイルグリセリルエーテル)、イソステアリルグリセリルエーテル等が挙げられる。
【0086】
シリコーン類としては、メチルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、平均重合度が650〜10000の高重合シリコーン、アミノ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、ベタイン変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、トリメチルシロキシケイ酸、メチルハイドロジェンポリシロキサン等が挙げられる。アミノ変性シリコーンとしては、アミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(アミノプロピルジメチコン)、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(アモジメチコン)、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(トリメチルシリルアモジメチコン)等が挙げられる。
【0087】
(多価アルコール)
多価アルコールとしては、グリコール類、グリセリン類等が挙げられる。グリコール類としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3−ブチレングリコール等、グリセリン類としては、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等が挙げられる。
【0088】
(界面活性剤)
界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤が挙げられる。
【0089】
アニオン性界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩、POEラウリルエーテル硫酸ナトリウム等のPOEアルキル硫酸塩、ラウリル硫酸トリエタノールアミン等のアルキル硫酸エステル塩、ステアロイルメチルタウリンナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、POEラウリルエーテルリン酸及びその塩、N−ラウロイルグルタミン酸塩類、N−ラウロイルメチル−β−アラニン塩類等が挙げられる。
【0090】
両性界面活性剤としては、2−ウンデシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインナトリウム、ココアミドプロピルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等が挙げられる。
【0091】
(高分子物質)
高分子物質としては、カチオン性ポリマー、カルボキシビニルポリマー等のアニオン性ポリマー、ジアリル4級アンモニウム塩/アクリル酸共重合体等の両性ポリマー、あるいは各種の水溶性ポリマーが例示される。これらは、その1種類を単独に配合し、又は2種類以上を併せ配合することができる。
【0092】
水溶性ポリマーの具体例としては、アラビアガム、キサンタンガム、カラギーナン、ペクチン、寒天、デンプン等の植物性ポリマー、デキストラン、プルラン等の微生物系ポリマー、コラーゲン、カゼイン、ゼラチン等の動物性ポリマー、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系ポリマーが例示され、その他にも、アルギン酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ポリオキシエチレン系ポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミドポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム等が挙げられる。
【0093】
(ポリペプタイド、タンパク加水分解物、アミノ酸)
ポリペプタイドとしては、コラーゲン、ケラチン、エラスチン、フィブロイン、エッグ、シルク、コンキオリン、カゼイン、ゼラチン等の蛋白質、コメ、コムギ、オオムギ、カラスムギ、ダイズ、エンドウ、アーモンド、ブラジルナッツ、ジャガイモ及びトウモロコシなどの植物から得られるタンパク質が挙げられる。タンパク加水分解物としては、上記の各種のタンパク質を酸、アルカリ、酵素等により加水分解したタンパク加水分解物が挙げられる。アミノ酸としては各種の酸性、中性又は塩基性アミノ酸が挙げられる。
【実施例】
【0094】
以下に、本発明の実施例を比較例と共に説明する。本発明の技術的範囲は、これらの実施例や比較例によって限定されない。
【0095】
〔第1実施例群:酸化染毛剤〕
(酸化染毛剤の調製)
末尾の表1〜表3に示す組成の実施例1〜実施例17、比較例1〜比較例14に係る組成の酸化染毛剤第1剤と、末尾の表4に示す組成の酸化染毛剤第2剤とを、それぞれ常法に従って調製した。これらの表において、各成分の含有量は質量%単位の数値で表記している。又、表中の成分名欄において、成分名の前に例えば「(A)」と表記した場合は、その成分が(A)成分であることを示し、「(A比)」と表記した場合は、その成分が(A)成分に対する比較用の成分であることを示す。なお、「(C)」との表記は「化6」又は「化7」に示す香料化合物であることを表し、「(C比)」との表記は「化6」にも「化7」にも該当しない香料化合物であることを表しており、(C比)として具体的には Firmenich 社製の商品名「ポリサントール」を用いた。
【0096】
各実施例及び比較例に係る酸化染毛剤第1剤の内容は、以下の通りである。
【0097】
(1)表1に示す実施例1〜実施例5及び比較例1〜2は、互いに(A)、(B)、(D)、(E)、(F)及びその他の成分の種類と含有量が同一であるが、香料成分のみが異なる。即ち、実施例1〜実施例4はそれぞれ「化6」又は「化7」に示す香料化合物の各1種類を含有し、実施例5はそれらの香料化合物の2種類を含有し、比較例1は香料を含有せず、比較例2は「(C比)」である香料を含有する。
【0098】
(2)表2に示す実施例6〜実施例11及び比較例3〜7は、表2に重複して示す実施例1に対して、香料化合物の種類と含有量を変更せずに、その(A)成分、(B)成分の種類や含有量を種々に変更させ、あるいは、これらの成分を欠落させたり比較用の成分に置き換えたりした例である。従って、実施例1に比較して(B)/(A)の使用時質量比が異なる例や、(B)/(A)を算出できない例が含まれる。なお、表2に示す比較例8は、比較例7から更に香料化合物を欠落させた組成のものである。
【0099】
(3)表3に示す実施例12〜実施例17及び比較例9〜13は、表2に重複して示す実施例4に対して、香料化合物の種類と含有量を変更せずに、その(A)成分、(B)成分の種類や含有量を種々に変更させ、あるいはこれらの成分を欠落させたり、比較用の成分に置き換えたりした例である。従って、実施例4に比較して(B)/(A)の使用時質量比が異なる例や、(B)/(A)を算出できない例が含まれる。なお、表3に示す比較例14は、比較例13から更に香料化合物を欠落させた組成のものである。
【0100】
(酸化染毛処理における評価)
以上の各実施例及び各比較例に係る酸化染毛剤第1剤をそれぞれ、前記の酸化染毛剤第2剤と質量比1:1の割合で混合したもとで、これらを人毛の毛束に塗布し、30分間放置した後、水洗して乾燥した。乾燥した毛束について、10名のパネラーにより、毛髪の反応臭(残臭)低減効果を評価した。
【0101】
反応臭(残臭)低減効果は点数方式で評価し、「非常に優れる」を5点、「優れる」を4点、「良好」を3点、「やや悪い」を2点、「悪い」を1点とした。そして各実施例及び各比較例ごとに10名のパネラーの点数の平均値を算出し、平均値が4.6点以上であれば最高のランク「5」、平均値が3.6点〜4.5点であればランク「4」、平均値が2.6点〜3.5点であればランク「3」、平均値が1.6点〜2.5点であればランク「2」、平均値が1.5点以下であれば最低のランク「1」とした。表1〜表3にこれらのランクを表記した。
【0102】
(酸化染毛処理後のシャンプーにおける評価)
上記の「酸化染毛処理における評価」の記載と同様に、混合調製した各実施例及び各比較例に係る酸化染毛剤を人毛の毛束に塗布し、30分間放置した後に水洗した。次いで、本評価においては、シャンプーを行い、水洗してから乾燥した。このシャンプー後の水洗時及び仕上がり時(乾燥時)の毛束について、10名のパネラーにより「シャンプーの良い香りがする」のか、「反応臭気が残り、全体として不快臭を感じる」のかを評価した。
【0103】
その結果は前記の「反応臭低減効果の評価」にほぼ対応していた。即ち、反応臭低減効果の評価ランクが「5」又は「4」であった例では、「シャンプーの良い香りがする」と評価したパネラーが9名以上であり、ランクが「3」であった例でも7名以上のパネラーが「シャンプーの良い香りがする」と評価した。これに対して、評価のランクが「2」又は「1」であった例では、4名以上ないし圧倒的多数のパネラーが「反応臭気が残り、全体として不快臭を感じる」と評価した。
【0104】
〔第2実施例群:ブリーチ剤〕
末尾の表1に示す実施例1〜実施例5、比較例1〜比較例2に係る組成からそれぞれ「パラフェニレンジアミン」を抜いただけの組成のブリーチ剤第1剤を調製し、これらをそれぞれ表4に示す第2剤と質量比1:1の割合で混合したもとで、第1実施例群の場合と全く同様に、人毛の毛束に適用しかつ毛髪の反応臭(残臭)低減効果を評価した。
【0105】
評価の結果は、無駄な重複を避けるために省略するが、第1実施例群における実施例1〜実施例5及び比較例1〜比較例2と全く同等であった。
【0106】
【表1】

【0107】
【表2】

【0108】
【表3】

【0109】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明によって、アルカリ剤を含有する毛髪化粧料の処理中及び処理後における嗅覚的に複雑な内容の反応臭(残臭)を良好に抑制できる反応臭抑制方法が提供される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ剤を含有する毛髪化粧料の使用を含む毛髪処理において、前記毛髪化粧料として以下の(A)〜(D)の各成分を含有する毛髪化粧料組成物を用いることを特徴とする反応臭抑制方法。
(A)炭素数12以上の脂肪酸の1種以上。
(B)オクタノール/水分配係数(logKow)が10以上である、ロウ、炭化水素及びエステルから選ばれる油性成分の1種以上。
(C)下記の「化1」に一般式を示す香料化合物の1種以上を含む香料である(C1)成分、下記の「化2」に一般式を示す香料化合物の1種以上を含む香料である(C2)成分、あるいは「化1」に一般式を示す香料化合物の1種以上と「化2」に一般式を示す香料化合物の1種以上とを含む香料である(C3)成分のいずれか。
【化1】

(上記の「化1」式において、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
【化2】

(上記の「化2」式において、波線で表記した結合部は単結合又は二重結合を表すが、6員環を構成する番号1〜6の炭素原子のうち、番号2〜4の炭素原子がそれぞれ関与する二重結合は、最大でも1つである。又、R〜Rはいずれも「−H」又は「−CH」を表し、これらのうち、少なくともRとRは同一の基である。Rは下記の「化3」の式に示す基である。Rは「−H」、「−CH」又は「=CH」を表す。
【化3】

又、上記の「化3」の式において、nは0〜2の整数であり、Rは下記の「化4」又は「化5」の式に示す基であり、Rは水素原子又はメチル基を表す。
【化4】

【化5】

更に、上記の「化4」、「化5」の式中、pは0〜2の整数であり、qは1〜2の整数であり、Rは「−H」又は「−CH」を表す。)
(D)アルカリ剤の1種以上。
【請求項2】
前記毛髪処理が、毛髪化粧料の使用の過程と、その後のシャンプーの過程とを含むことを特徴とする請求項1に記載の反応臭抑制方法。
【請求項3】
前記毛髪化粧料組成物における(B)成分が少なくともミツロウを含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の反応臭抑制方法。
【請求項4】
前記毛髪化粧料組成物において、(A)成分の合計含有量に対する(B)成分の合計含有量の質量比(B)/(A)が使用時に0.1〜10の範囲内であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の反応臭抑制方法。
【請求項5】
前記毛髪化粧料組成物が、更に以下の(E)成分を含有することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の反応臭抑制方法。
(E)非イオン性界面活性剤の1種以上。
【請求項6】
前記毛髪化粧料組成物が、更に以下の(F)成分を含有することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の反応臭抑制方法。
(F)カチオン性界面活性剤の1種以上。

【公開番号】特開2010−18570(P2010−18570A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−181679(P2008−181679)
【出願日】平成20年7月11日(2008.7.11)
【出願人】(000113274)ホーユー株式会社 (278)
【出願人】(000121512)塩野香料株式会社 (23)
【Fターム(参考)】