説明

収容容器及び流動体取出しキャップ付き容器

【課題】 使用時に混合させて用いる第1収容物と流動性収容物とを収容容器内に簡単な構造で分離させて収容できるようにすると共に、収容させる第1収容物と流動性収容物との割合を変更させることも簡単に行えるようにし、さらに2種以上の流動性収容物を別々に収容させることも容易に行えるようにする。
【解決手段】 容器本体11内に第1収容物12を収容させると共に、容器本体の口部11aに気密性のフィルムで構成された袋体13を取り付け、この袋体内に流動性収容物14を収容させて容器本体内に収容させ、容器本体の口部を密閉材15によって密封させた収容容器10を用い、この収容容器に流動体取出しキャップ20を取り付け、この流動体取出しキャップに設けた脚部23によって、流動性収容物が収容された袋体を破壊させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、収容容器及びこの収容容器に流動体取出しキャップを取り付けた流動体取出しキャップ付き容器に係り、特に、使用時に混合させて用いる第1収容物と流動性収容物とを収容容器内に簡単な構造で分離させて収容できるようにすると共に、収容させる第1収容物と流動性収容物との割合を変更させることも簡単に行えるようにした点に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
薬剤や化粧品等の分野においては、2種類以上の材料を混合させて使用するにあたり、この2種類以上の材料を予め混合させておくと、これらが変質したりするおそれがあるため、2種類以上の材料を別々に保存しておき、使用時においてこの2種類以上の材料を混合させるようにすることが行われている。
【0003】
そして、従来においては、2種類の材料を別々に分離させた状態で保存し、使用時においてこれらの2種類の材料を混合させるようにするため、例えば、固体成分を収容させた下部瓶体の上に、底部が易破断性の薄膜で構成されて液状成分を収容させたチャンバーを固定させ、液体噴射部材をチャンバーに取り付ける場合に、この液体噴射部材に設けられた液剤吸い上げ管によって、チャンバーの底部に設けた易破断性の薄膜を破断させて、上記の液状成分を下部瓶体に収容させた固体成分と混合させるようにしたもの(例えば、特許文献1参照。)や、第1の内容物を収容させた主容器とデスペンサーキャップとの間に、第2の内容物が貯蔵され、加圧により破壊する底面を有する補助容器を設け、この補助容器の内側に設けたプッシャー部材を押して、この補助容器の底面を破壊し、第2の内容物を第1の内容物と混合させるようにしたもの(例えば、特許文献2参照。)が提案されている。
【0004】
しかし、上記の何れのものにおいても、第1収容物を収容させた収容容器の上に、他の収容物を収容させた別の容器を取り付けるようにしているため、全体として容器が大きくなり、また別の容器に収容させる他の収容物の量を変更させる場合、収容量に応じた様々な大きさの容器を準備しなければならず、コストが高くつくと共に管理も面倒になり、さらに2種以上の別の収容物を別々に収容させる場合には、それぞれ対応する別の容器を用いなければならず、さらにコストが高くつくと共に管理も面倒になる等の問題があった。
【特許文献1】特開平8−280807号公報
【特許文献2】特開2003−170979号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、使用時に混合させて用いる第1収容物と他の収容物とを分離させた状態で収容させる場合における上記のような問題を解決することを課題とするものであり、使用時に混合させて用いる第1収容物と流動性収容物とを収容容器内に簡単な構造で分離させて収容できるようにすると共に、収容させる第1収容物と流動性収容物との割合を変更させることも簡単に行えるようにし、さらに2種以上の流動性収容物を別々に収容させることも容易に行えるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明における収容容器においては、上記のような課題を解決するため、容器本体内に第1収容物を収容させると共に、この容器本体の口部に気密性のフィルムで構成された袋体を取り付け、この袋体内に流動性収容物を収容させて容器本体内に収容させると共に、この容器本体の口部を密閉材によって密封させるようにした。
【0007】
また、この発明における収容容器においては、上記の容器本体の口部に上記の気密性のフィルムで構成された袋体を複数取り付け、それぞれの袋体に異なった流動性収容物を収容させるようにすることができる。
【0008】
また、この発明における流動体取出しキャップ付き容器においては、上記のような収容容器に流動体取出しキャップを取り付けるにあたり、この流動体取出しキャップに流動性収容物が収容された上記の袋体を破壊する脚部を設けるようにした。
【0009】
ここで、上記の流動体取出しキャップとしては、例えば、噴射口を有するスプレー式キャップであり、上記の脚部が筒状の吸い上げ管になったものを用いることができる。
【発明の効果】
【0010】
この発明における収容容器においては、容器本体内に第1収容物を収容させると共に、この容器本体の口部に気密性のフィルムで構成された袋体を取り付け、この袋体内に流動性収容物を収容させて容器本体内に収容させるようにしたため、第1収容物を収容させた収容容器の上に他の収容物を収容させた別の容器を取り付ける場合に比べて、容器全体の大きさを小さくすることができると共に、コストも低減され、さらに管理も容易に行えるようになる。
【0011】
また、この発明における収容容器においては、容器本体の口部に取り付ける袋体の大きさを変更させることにより、容器本体内に収容させる第1収容物と袋体内に収容させる流動性収容物との割合を変更させることも簡単に行えるようになる。
【0012】
さらに、上記の容器本体の口部に上記の気密性のフィルムで構成された袋体を複数取り付け、それぞれの袋体に異なった流動性収容物を収容させるようにすると、2種以上の流動性収容物を別々に収容させることも容易に行えるようになる。
【0013】
そして、この発明における流動体取出しキャップ付き容器のように、上記のような収容容器に取り付ける流動体取出しキャップに、容器本体の口部に取り付けられて流動性収容物が収容された上記の袋体を破壊する脚部を設けると、この流動体取出しキャップを上記の収容容器の口部に取り付ける場合に、その脚部によって上記の袋体が破壊され、この袋体内に収容されていた流動性収容物が容器本体内に収容されている第1収容物と混合されるようになる。
【0014】
また、上記のように容器本体の口部に上記の袋体を複数取り付け、それぞれの袋体に異なった流動性収容物を収容させた場合において、上記の流動体取出しキャップに設けられた脚部によって各袋体を破壊させると、各袋体内に収容されていた流動性収容物がそれぞれ容器本体内に収容されている第1収容物と混合されるようになり、第1収容物に対して2種以上の流動性収容物を混合させることも容易に行えるようになる。
【0015】
また、上記の流動体取出しキャップとして、噴射口を有するスプレー式キャップであって、上記の脚部が筒状の吸い上げ管になったものを用いると、上記のように第1収容物と流動性収容物とが混合された混合物が流動性を有する場合、この混合物を吸い上げ管になった上記の脚部により吸い上げて、噴射口から噴射させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、この発明の実施形態に係る収容容器及び流動体取出しキャップ付き容器を添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、この発明に係る収容容器及び流動体取出しキャップ付き容器は、特に下記の実施形態に示したものに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施できるものである。
【0017】
この実施形態における収容容器10においては、図1に示すように、容器本体11内に第1収容物12を収容させると共に、外周にネジ部11bが設けられた容器本体11の口部11aにおいて、その口縁に沿って気密性のフィルムで構成された袋体13を取り付けるようにしている。
【0018】
そして、この袋体13内に流動性収容物14を収容させると共に、このように流動性収容物14が収容された袋体13を容器本体11内に収容させた後、この容器本体11の口部11aに密閉材15を取り付け、この密閉材15によって容器本体11の口部11a及び上記の袋体13を密封させるようにしている。
【0019】
ここで、上記の容器本体11内に収容させる第1収容物12は、固体,液体,粉体,ゲル等のどのような状態のものであってもよい。一方、袋体13内に収容させる流動性収容物14は、流動性を有するものであれば特に限定されず、液体,粉体,ゲル等の状態のものを用いることができる。但し、上記の第1収容物12と流動性収容物14とを混合させて使用する場合、この混合物が収容容器10から容易に取り出せるようにするため、混合物が流動性を有するように第1収容物12と流動性収容物14とを組み合わせることが好ましく、特に、流動体取出しキャップ20を取り付けて流動体取出しキャップ付き容器として使用するにあたり、上記の混合物をスプレー噴射させる場合等においては、この混合物が液状になっていることが好ましい。
【0020】
ここで、この実施形態における流動体取出しキャップ付き容器においては、上記の収容容器10に取り付ける流動体取出しキャップ20として、図2に示すように、容器本体11の口部11aに取り付けるキャップ本体21に、噴射口22aを有するスプレー部22がバネ22bによって上方に付勢するようにして取り付けられると共に、このスプレー部22の下端に脚部23として先端が鋭角になった筒状の吸い上げ管23が取り付けられたものを用いるようにしている。
【0021】
そして、この流動体取出しキャップ20を上記の収容容器10に取り付けて、上記の袋体13内に収容された流動性収容物14を容器本体11内に収容された第1収容物12と混合させるにあたっては、図3に示すように、この流動体取出しキャップ20に設けられた上記の先端が鋭角になった筒状の吸い上げ管23を容器本体11の口部11aから容器本体11内に挿入させ、この鋭角になった先端により容器本体11の口部11aを密封している上記の密閉材15を破断させ、さらに上記のように流動性収容物14が収容された袋体13を破断させて、上記の流動性収容物14を袋体13から流出させ、この流動性収容物14を容器本体11内に収容された第1収容物12と混合させるようにする。
【0022】
そして、さらに上記の吸い上げ管23を容器本体11内に挿入させ、図4に示すように、この流動体取出しキャップ20のキャップ本体21の内周に設けられたネジ部21aを、容器本体11の口部11aの外周に設けられたネジ部11bにねじ合わせて、この流動体取出しキャップ20を収容容器10に取り付けるようにしている。
【0023】
このようにして流動体取出しキャップ20を収容容器10に取り付けた後は、必要に応じてこの流動体取出しキャップ付き容器を振り、上記の流動性収容物14と第1収容物12とを十分に混合させるようにし、上記のバネ22によって上方に付勢されている上記のスプレー部22を押し下げ、上記の混合物を上記の吸い上げ管23を通して吸い上げて、スプレー部22に設けられた噴射口22aから噴射させるようにしている。
【0024】
なお、この実施形態においては、容器本体11の口部11aに1つの袋体13を取り付けて1種類の流動性収容物14を収容させただけであるが、図5に示すように、容器本体11の口部11aの口縁に沿って先ず大きな袋体13aを取り付け、この大きな袋体13a内に第1の流動性収容物14aを収容させ、さらに容器本体11の口部11aの口縁に沿ってこの大きな袋体13aの上に小さな袋体13bを取り付け、この小さな袋体13b内に第2の流動性収容物14bを収容させ、これらの袋体13a,13bを容器本体11内に収容させた後、この容器本体11の口部11aに密閉材15を取り付けて、この密閉材15によって容器本体11の口部11aを密封させるようにし、2種類の流動性収容物14a,14bを別々の袋体13a,13bに収容させることも可能である。また、容器本体11の口部11aにさらに多くの袋体13を取り付けて、さらに多くの種類の流動性収容物14を別々に収容させることも可能である。
【0025】
そして、上記のように2つの袋体13a,13b内にそれぞれ異なった流動性収容物14a,14bを収容させた収容容器10に、上記のようにして流動体取出しキャップ20を取り付けると、鋭角になった筒状の吸い上げ管23によって上記の各袋体13a,13bが破断され、各袋体13a,13bに収容された各流動性収容物14a,14bが流出して容器本体11内に収容された第1収容物12と混合されるようになる。
【0026】
また、この実施形態においては、流動体取出しキャップ20として、スプレー式キャップを用いるようにしたが、使用する流動体取出しキャップ20はこのようなスプレー式のものに限られず、例えば、図6に示すように、キャップ本体21から側方に突出するように流動体取出し口24を設け、この流動体取出し口24を蓋材25で閉塞させるようにすると共に、このキャップ本体21内部の上面から先端が鋭角になった脚部23を下方に延出させたものを用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】この発明の実施形態において使用した収容容器の断面説明図である。
【図2】同実施形態において使用した流動体取出しキャップの概略正面図である。
【図3】同実施形態において、上記の収容容器に流動体取出しキャップを取り付ける途中の段階を示した断面説明図である。
【図4】同実施形態において、上記の収容容器に流動体取出しキャップを取り付けた状態を示した断面説明図である。
【図5】同実施形態において使用する収容容器の変更例を示した断面説明図である。
【図6】同実施形態において使用する流動体取出しキャップの変更例を示した断面説明図である。
【符号の説明】
【0028】
10 収容容器
11 容器本体
11a ネジ部
12 第1収容物
13,13a,13b 袋体
14,14a,14b 流動性収容物
15 密閉材
20 流動体取出しキャップ
21 キャップ本体
21a ネジ部
22 スプレー部
22a 噴射口
22b バネ
23 脚部(吸い上げ管)
24 流動体取出し口
25 蓋材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体内に第1収容物が収容されると共に、この容器本体の口部に気密性のフィルムで構成された袋体が取り付けられ、この袋体内に流動性収容物が収容されて容器本体内に収容されると共に、この容器本体の口部が密閉材によって密封されてなることを特徴とする収容容器。
【請求項2】
請求項1に記載した収容容器において、この容器本体の口部に上記の気密性のフィルムで構成された袋体が複数取り付けられ、それぞれの袋体に異なった流動性収容物が収容されていることを特徴とする収容容器。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載した収容容器に流動体取出しキャップが取り付けられてなる流動体取出しキャップ付き容器において、上記の流動体取出しキャップに、流動性収容物が収容された上記の袋体を破壊する脚部を設けたことを特徴とする流動体取出しキャップ付き容器。
【請求項4】
請求項3に記載した流動体取出しキャップ付き容器において、上記の流動体取出しキャップが噴射口を有するスプレー式キャップであり、上記の脚部が筒状になった吸い上げ管であることを特徴とする流動体取出しキャップ付き容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−232333(P2006−232333A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−50075(P2005−50075)
【出願日】平成17年2月25日(2005.2.25)
【出願人】(390011017)ダイヤ製薬株式会社 (20)
【Fターム(参考)】