説明

収縮スリーブラベル

フィルムはスキン層、ベース層および、スキン層とベース層の間の中間層を備えている。このスキン層はポリエステルを含む。このベース層は、少なくとも約50重量%のスチレンモノマー含量を有するスチレン系ブロックコポリマーを含む。この中間層は、(i)アルファ−オレフィン/環式オレフィンコポリマーおよびアルファ−オレフィン/ビニル芳香族コポリマーから選択される1種以上のポリマー、ならびに(ii)エチレン/不飽和エステルコポリマーおよび、最大で約50重量%のスチレンモノマー含量を有するスチレン系ブロックコポリマーから選択される1種以上のポリマーを含む。このフィルムは、1000Cにおいて、少なくとも約10%の、少なくとも一方向における自由収縮を有する。このフィルムは、収縮スリーブ用途において役立つ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、収縮(シュリンク)スリーブの製造のために有用な収縮フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
収縮スリーブの収縮特性は、例えば、蒸気型収縮トンネルまたは熱風型収縮トンネル内で収縮スリーブを加熱することにより活性化され得る。収縮スリーブフィルムは、いずれの型の収縮トンネルを使用しても、有利に十分機能する。蒸気型収縮トンネルは、より高い伝熱速度をもたらし、したがってより高い処理量速度が可能である。しかし、蒸気型収縮トンネルの湿気の多い環境が、いくつかの収縮フィルムの層間剥離の一因となる恐れがある。層間接着強度を向上させるため、結合層(tie layer)を使用することができる。しかし、多くの結合層ポリマーは、意に反してフィルムのヤング率(剛性)低下の一因となる恐れがある。
【発明の概要】
【0003】
(要旨)
本発明の実施形態の1つ以上が、1つ以上の前述の問題を取り扱う。一実施形態において、フィルムはスキン層、ベース層および、スキン層とベース層の間の中間層を備えている。このスキン層はポリエステルを含む。このベース層は、少なくとも約50重量%のスチレンモノマー含量を有するスチレン系ブロックコポリマーを含む。この中間層は、(i)アルファ−オレフィン/環式オレフィンコポリマーおよびアルファ−オレフィン/ビニル芳香族コポリマーから選択される1種以上のポリマー、ならびに(ii)エチレン/不飽和エステルコポリマーおよび、最大で約50重量%のスチレンモノマー含量を有するスチレン系ブロックコポリマーから選択される1種以上のポリマーを含む。このフィルムは、100℃において、少なくとも約10%の、少なくとも一方向における自由収縮を有する。
【0004】
本発明は、本発明の詳細な説明、および図面を参照することによって、より容易に理解され、評価される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】容器を取り巻く本発明のフィルムの一実施形態を備えている収縮スリーブの代表的な透視図を示す図である。
【図2】容器の周りに収縮して、収縮ラベル付き容器をもたらした図1の収縮スリーブの代表的な透視図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
収縮スリーブ用途において有用なフィルムは、1つ以上の次の層:スキン層、ベース層および中間層を含むことができる。これらの層を以下において考察する。
【0007】
本フィルムは、少なくともおよそ、および/または最大でおよそ次の、1、1.6、1.8、2、2.2、3、4、5、7、9、10および15ミルのいずれかの、合計厚さを有することができる。
【0008】
本フィルムは、少なくとも、および/または最大で次の層数:2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、13および15のいずれかの層数を有することができる。本明細書において使用する用語「層」は、実質的にフィルムと共伸長性であり、また実質的に均質な組成を有する不連続なフィルム成分を指す。2つ以上の直接隣接する層が実質的に同一の組成を有する場合、これらの2つ以上の隣接層は、この用途の目的向けには単一層とみなしてよい。
【0009】
本フィルムは、最大でおよそ、および/または少なくともおよそ次の、1.2、1.15、1.1、1.05および1.0グラム/立方センチメートルのいずれかの密度(23℃における)を有することができる。フィルムの密度はASTM D792により測定される。
【0010】
下記は、いくつかの組合せの例であり、その中でアルファベット記号はフィルム層を示す。下記の多層フィルム表示が2回以上同一文字を含む場合、それぞれのその文字の出現は、同一の組成物、または同様な機能を発揮する種類内にある異なった組成物を表すことができる。
【0011】
A/C/B、A/C/B/A、A/C/B/C/A、A/C/D/B、A/D/C/B、A/C/B/D、A/C/D/C/B、A/D/B/C/A、A/C/B/D/A、A/C/D/B、A/C/D/B/C/A、A/C/D/B/D/C/A、A/C/B/B/A、A/C/B/B/C/A、A/C/B/D/B/C/A、
「A」は、本明細書において考察されているスキン層を表し、
「B」は、本明細書において考察されているベース層を表し、
「C」は、本明細書において考察されている中間層(例えば、結合層)を表し、
「D」は、バルク層などの、このフィルムの1つ以上の他の層を表す。
【0012】
本フィルムは、任意の層において(例えばベース層において)、再循環されたフィルム材料を含むことができる。例えば、このフィルムは、再循環されたフィルム材料を、再循環されたフィルム材料を含む層の少なくともおよそ、および/または最大でおよそ次の量:5、10、15、20、25および30重量%のいずれかとして含むことができる。
【0013】
スキン層
本フィルムは、フィルムの外部表面を形成する少なくとも1層のスキン層を含むことができる。スキン層は、フィルムの「外層(outer layer)」、すなわちフィルムの他の層に直接接着しているのは一方の側面だけである層である。多層フィルムでは本来、そのフィルムの2つの外層が存在する。「外側層(outside layer)」はフィルムの1つの外層であり、そのフィルムを備えているラベルまたは包装から、外側に面している、もしくは外側に面することを意図している。フィルムの「内側層(inside layer)」はそのフィルムの1つの外層であり、そのフィルムを備えているラベルの内側に面している、もしくは面することを意図している(すなわちそのラベルを付している商品の方を向いている)、またはそのフィルムを備えている包装の内側に面している、もしくは面することを意図している(すなわち包装の内部空間の方を向いている)。
【0014】
第1のスキン層のほかに、本フィルムは、フィルムの外層として第2のスキン層を備えることができる。第1および第2のスキン層の組成、厚さ、および他の特性は、スキン層に関して以下に記述されているどれでもよい。第2のスキン層の任意の組成、厚さおよび他の特性は、第1のスキン層の任意のそれらと実質的に同一とすることができ、または第1のスキン層の任意のそれらと異なることができる。
【0015】
第1および/または第2のスキン層は、それぞれ少なくともおよそ、および/または最大でおよそ次の、0.05、0.1、0.15、0.2、0.25、0.5、1、2、3、4および5ミルのいずれかの厚さを有することができる。フィルムの合計厚さの百分率としてのスキン層の厚さは、少なくともおよそ、および/または最大でおよそ次の、1、3、5、7、10、15、20、25、30、35、40、45および50パーセントのいずれかとすることができる。
【0016】
第1および/または第2のスキン層はそれぞれ、変性ポリエステル(例えば、グリコール変性ポリエステルおよび酸変性ポリエステル)などの、本明細書において記述されているいずれかのポリエステルなどの1種以上のポリエステルを含むことができる。あるスキン層は、1種以上の以下に記述されているポリエステルのいずれか、または1種以上の任意の種類のポリエステルポリマーを、少なくともおよそ、および/または最大でおよそ次の量:その層の40、50、60、70、80、90、95および100重量%のいずれかとして含むことができる。
【0017】
ポリエステル
ポリエステルには、1)多官能性アルコールとの多官能性カルボン酸の縮合、2)ヒドロキシルカルボン酸の重縮合、および3)環状エステル(例えばラクトン)の重合によって作られるポリマーが含まれる。
【0018】
例示的な多官能性カルボン酸(これには酸無水物などのそれらの誘導体またはメチルエステルなどの単純エステルが含まれる。)には、芳香族ジカルボン酸および誘導体(例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸)ならびに脂肪族ジカルボン酸および誘導体(例えば、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、ドデカン二酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ジメチル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸エステル、アジピン酸ジメチル)が含まれる。代表的ジカルボン酸は、一般式:
HOOC−Z−COOH
(式中、Zは、炭素原子少なくとも2個を含有する二価脂肪族基を表す。)によって表され得る。代表的な例には、アジピン酸、セバシン酸、オクタデカン二酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸およびグルタル酸が含まれる。ジカルボン酸は、脂肪族酸、またはイソフタル酸(「I」)およびテレフタル酸(「T」)などの芳香族酸とすることができる。当業者に知られているように、ポリエステルは多官能性カルボン酸の酸無水物およびエステルを使用して製造することができる。
【0019】
例示的な多官能性アルコールには、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ポリ(テトラヒドロキシ−1,1’−ビフェニル、1,4−ヒドロキノン、ビスフェノールAおよびシクロヘキサンジメタノール(「CHDM」)などの二価アルコール(およびビスフェノール)が含まれる。
【0020】
例示的なヒドロキシカルボン酸およびラクトンには、4−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、ピバロラクトンおよびカプロラクトンが含まれる。
【0021】
例示的なポリエステルは、ラクトン重合から由来することができ、これらには、例えばポリカプロラクトンおよびポリ乳酸が含まれる。
【0022】
ポリエステルは、変性ポリエステルを含むことができ、または変性ポリエステルとすることができる。例示的な変性ポリエステルには、グリコール変性ポリエステルおよび酸変性ポリエステルが含まれる。変性ポリエステルは、結晶性を崩し、こうして得られたポリエステルをより非晶質にするために、2種以上の型のコモノマーによる重合によって作られる。
【0023】
グリコール変性ポリエステルは、少なくとも2種の型の多官能性アルコールとの、少なくとも1種の多官能性カルボン酸の縮合により由来するポリエステルである。例えば、グリコール変性ポリ(エチレンテレフタレート)または「PETG」は、テレフタル酸を、エチレングリコールおよびシクロヘキサンジメタノール(「CHDM」)と縮合させることにより作られ得る。有用なPETGは、商標名Easter 6763のもとにEastman Corporationから入手でき、約34モル%のCHDMモノマー含量、約16モル%のエチレングリコールモノマー含量および約50モル%のテレフタル酸モノマー含量を有すると思われる。他の有用なグリコール変性ポリエステルは、PETG同様に作られ得るが、テレフタル酸成分をテレフタル酸ジメチルで置き換えている。他の例示的なグリコール変性ポリエステルは、Eastman Corporationから商標名Ecdel 9965のもとに入手でき、密度1.13g/ccおよび融点195℃を有し、またジメチル−1,4−シクロヘキサン−ジカルボキシレート、1,4−シクロヘキサン−ジメタノールおよびポリ(テトラメチレンエーテルグリコール)から由来すると思われる。
【0024】
例示的な酸変性ポリエステルは、少なくとも2種の型の多官能性カルボン酸との少なくとも1種の多官能性アルコールの縮合によって作られ得る。例えば、上掲の少なくとも1種の多官能性アルコールを、上掲の2種以上の多官能性カルボン酸(例えば、イソフタレート酸、アジピン酸および/またはナフタレン−2,6−ジカルボン酸)と縮合させることができる。例示的な酸変性ポリエステルは、Invista Corporationから入手できるものなど、イソフタル酸約5モル%、テレフタル酸約45モル%、およびエチレングリコール約50モル%から得られるものとしてよい。
【0025】
ポリエステルは、ランダム重合したポリエステル、またはブロック重合したポリエステルから選択することができる。
【0026】
ポリエステルは、上記において考察した1種以上の任意の成分から由来することができる。ポリエステルが、テレフタル酸から由来するマー(mer)単位を含む場合、ポリエステルの二酸のこのようなマー含量(モル%)は、少なくともおよそ次の、70、75、80、85、90および95%のいずれかとすることができる。
【0027】
ポリエステルは熱可塑性とすることができる。ポリエステルは実質的に非晶質とすることができ、または部分的に結晶質(半結晶質)とすることができる。ポリエステルおよび/またはスキン層は少なくともおよそ、および/または最大でおよそ次の重量百分率:5、10、15、20、25、30、35、40および50%のいずれかの結晶化度を有することができる。
【0028】
この結晶化度は、示差走査熱量測定法(「DSC」)により行われる融解熱測定を用いる熱分析方法によって間接的に測定することができる。本出願におけるポリマー、ポリマー混合物、樹脂、フィルムまたは層について結晶化度百分率を参照する場合、他に指示されない限り、全てDSC熱分析方法によるものである。DSC熱分析方法は、ポリマー結晶化度を推算するのに最も広く使用されている方法であると考えられ、したがって適正な手順が当業者に知られている。例えば、「Crystallinity Determination」、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering、第4巻、482−520頁(John Wiley & Sons、1986)(これについて482−520頁が、参照により本明細書に組み込まれている。)を参照されたい。
【0029】
DSC熱分析方法のもとで、重量分率結晶化度(すなわち、「結晶化度」または「Wc」)はΔHf/ΔH°f,cと定義され、ここに「ΔHf」は、試料についての測定された融解熱(すなわち、試料についての熱流 対 温度曲線下の面積)であり、「ΔH°f,c」は、100%結晶性試料の理論融解熱である。多数のポリマーについてのΔH°f,c値は、外挿法により得られている;例えば上記において引用した参考文献「Crystallinity Determination」の487頁、表1を参照されたい。ポリマーについてのΔH°f,cは、当業者に知られ、または当業者により入手することができる。あるポリマー材料試料についてのΔH°f,cは、当業者に知られているように、同一もしくは同様な種類のポリマー材料については、知られているΔH°f,cに基づくことができる。例えば、EVA材料の結晶化度を計算する場合、結晶を形成するのは、EVAの酢酸ビニルペンダント部分よりもむしろ、EVAのポリエチレン主鎖であると考えられるので、ポリエチレンについてのΔH°f,cを使用してよい。また例として、ポリマー材料のブレンドを含有する試料について、ブレンド内の別々の種類のポリマー材料のそれぞれについて、適正なΔH°f,cの重量平均を使用して、このブレンドについてのΔH°f,cを推算してよい。
【0030】
DSC測定は、DSCについての熱勾配10℃/分を使用し行ってよい。DSCについての試料の大きさは、5から20mgとしてよい。
【0031】
ベース層
ベース層は、本フィルムの外層としてよく、またはベース層は、本フィルムの内層としてよい。「内(inner)」層は、フィルムの他の層に直接接着している両側面を有する層である。
【0032】
ベース層は、少なくともおよそ、および/または最大でおよそ次の、0.05、0.1、0.15、0.2、0.25、0.5、1、2、3、4、5、8、10および15ミルのいずれかの厚さを有することができる。本フィルムの合計厚さの百分率としてのベース層の厚さは、少なくともおよそ、および/または最大でおよそ次の、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70および80パーセントのいずれかとすることができる。
【0033】
ベース層は、(i)スチレン系ブロックコポリマー(「SBC」)、および場合によって(ii)少なくとも約90重量%のスチレンモノマー含量を有するポリスチレンを含むことができる。
【0034】
スチレン系ブロックコポリマー
ベース層は、スチレン系ブロックコポリマー(「SBC」)を含むことができる。本出願において使用される「コポリマー」は、2種以上の型のモノマーから由来するポリマーを意味し、ターポリマーなどを含む。スチレン系ブロックコポリマーには、(i)スチレン/共役ジエン/スチレンブロックコポリマー、例えば、スチレン/ブタジエン/スチレンコポリマー(「SBS」)およびスチレン/イソプレン/スチレンコポリマー(「SIS」)、(ii)スチレン/エチレン−ブチレン/スチレンコポリマー(「SEBS」)、(iii)スチレン/エチレン−プロピレン/スチレン(「SEPS」)、(iv)スチレン/エチレン−プロピレンコポリマー(「SEP」)および(v)不飽和カルボン酸無水物で変性されたこれらのポリマーが含まれる。
【0035】
ベース層は、少なくともおよそ、および/または最大でおよそ次の、50、55、60、65、70、75、80、85および90重量%のいずれかのスチレンモノマー含量を有するSBCを含むことができる。
【0036】
SBSは、SBSの重量基準で、最大でおよそ次の、30、40、50、60、65、68、70、72、75、80、85、88および90重量%のいずれか;また、少なくともおよそ次の、27、30、35、50、60、65、68、70、72、75、80および85重量%のいずれかのブタジエンコモノマー含量を有することができる。ブタジエンコモノマー含量は、前述の値についての2つ以上の範囲の間の範囲、例えば、約65から約75重量%および約30から65重量%とすることができる。
【0037】
SISは、SISの重量基準で、最大でおよそ次の、30、40、50、60、65、68、70、72、75、80、85、88および90重量%のいずれかの;また、少なくともおよそ次の、27、30、35、50、60、65、68、70、72、75、80および85重量%のいずれかのイソプレンコモノマー含量を有することができる。イソプレンコモノマー含量は、前述の値の2つ以上の範囲の間の範囲、例えば、約65から約75重量%および約30から65重量%とすることができる。
【0038】
SBC(例えばSBS、SIS)は、共役ジエン中間ブロック(例えばブタジエンもしくはイソプレンコモノマー中間ブロック)などの実質的に不飽和なエラストマー質中間ブロックを含むことができる。これらの型のSBCは、商標名KRATON DのもとにKraton Polymers社から入手できる。例えば、線状SBSは、商標名KRATON D2104のもとに入手できる(スチレン含量32%)。SISは、商標名HYBRARのもとにKuraray Companyからも入手できる(例えば、HYBRAR 7125F)。
【0039】
SBC(例えばSEBS、SEPS)は、実質的に飽和の中間ブロックを有することができる。これらの型のSBCは、商標名KRATON GのもとにKraton Polymers社から入手できる。SEP、SEPSおよびSEBSは、商標名SEPTONのもとにKuraray Companyからも入手できる。
【0040】
SBC(例えばSEBS、SEPS)は、本出願の「変性エチレン/不飽和エステルコポリマー」節で考察しているように、変性(すなわち、無水マレイン酸をグラフトする)することができる。変性SBC(例えば変性SEBS、変性SEPS)は、商標名KRATON FGのもとにKraton Polymers社から入手できる。
【0041】
ベース層は、ベース層の重量基準で、少なくともおよそ次の、30、35、40、45、50、55、60、70、75、80、85、90、95、98および100重量%のいずれかの;また、最大でおよそ次の、100、90、80、70、60、50、45、40および35重量%のいずれかの量でSBC(例えば、本明細書において考察しているいずれか1種以上のいずれかの型のSBC)を含むことができる。ベース層は、SBCからなる、または本質的にSBCからなることができる。
【0042】
例示的なSBCには、商標名STYROLUX 656CおよびSTYROLUX BX6452のもとにBASF社から入手できるスチレン/ブタジエンブロックコポリマー、および商標名AMALOY B1119のもとにAmco Corporationから入手できるスチレン/ブタジエンコポリマー(75モル%のスチレン含量および25モル%のブタジエン含量を有すると思われる)が含まれる。
【0043】
ポリスチレン
ベース層は、少なくとも約90重量%の、例えば、少なくともおよそ次の、93、95、97および99重量%のいずれかのスチレンモノマー含量を有するポリスチレンを含むことができる。このポリスチレンは、実質的にアタクチック、シンジオタクチックおよび/またはイソタクチックのいずれかのポリスチレンとすることができる。このようなポリスチレンの包含物は、フィルムのヤング率を高め得ると考えられる。加工助剤−−鉱油、パラフィン油、ナフテン油、ろう(例えば、エルカアミド、オレアミドおよびビス−ステアルアミド)、シリコーンおよびダイズ油など−−を、例えば、ポリスチレン100重量部に対して加工助剤1から5重量部の量でポリスチレンと混合することができる。
【0044】
ベース層は、少なくとも約90重量%のスチレンモノマー含量を有するポリスチレン(本節において記述しているいずれかのものなどの)を、ベース層の重量基準で最大でおよそ、および/または少なくともおよそ次の量:0.5、1、3、5、8、10、13、15、18、20、23および25%のいずれかで、含むことができる。
【0045】
中間層
本フィルムは、1層以上の中間層を含むことができる。第1の中間層のほかに、本フィルムは、第2の中間層を含むことができる。第1および第2の中間層の組成、厚さおよび他の特性は、中間層に関して下記に記述されるもののいずれかとすることができる。第2の中間層の組成、厚さおよび他の特性のいずれかは、第1の中間層のそれらのいずれかと実質的に同一とすることができ、または第1の中間層のそれらのいずれとも異なってよい。
【0046】
ある中間層は、例えば、スキン層とベース層の間とすることができる。ある中間層はスキン層と直接隣接することができ、そのため中間層とスキン層の間には介在層は存在しない。ある中間層はベース層と直接隣接することができ、そのため中間層とベース層の間に介在層は存在しない。ある中間層はスキン層およびベース層の両方と直接隣接することができる。
【0047】
ある中間層は、少なくともおよそ、および/または最大でおよそ次の、0.05、0.1、0.15、0.2、0.25、0.5、1、2、3、4および5ミルのいずれかの厚さを有することができる。本フィルムの合計厚さの百分率としての中間層の厚さは、少なくともおよそ、および/または最大でおよそ次の、1、3、5、7、10、15、20、25、30、35、40、45および50パーセントのいずれかとすることができる。
【0048】
ある中間層は、1層以上の、本明細書において記述される任意の結合ポリマーを、少なくともおよそ、および/または最大でおよそ次の量:この層の10、20、30、40、50、60、70、75、80、90、95および99.5重量%のいずれかとして含むことができる。
【0049】
ある中間層は、1種以上の、本明細書において記述される任意のアルファ−オレフィン/環式オレフィンコポリマーを、少なくともおよそ、および/または最大でおよそ次の量:中間層の0.5、1、3、5、7、10、12、15、17、20、22、25、27および30重量%のいずれかとして含むことができる。
【0050】
ある中間層は、1種以上の、本明細書において記述される任意のアルファ−オレフィン/ビニル芳香族コポリマーを、少なくともおよそ、および/または最大でおよそ次の量:中間層の0.5、1、3、5、7、10、12、15、17、20、22、25、27および30重量%のいずれかとして含むことができる。
【0051】
結合ポリマー
有用な結合ポリマーには、一方の直接隣接する層のポリマー、および他方の直接隣接する層のポリマーの両方と適合し得る熱可塑性ポリマーが含まれる。このような二重の適合性により、お互いへの結合層の付着性を強化している。
【0052】
例示的な結合ポリマーには、(i)エチレン/不飽和エステルコポリマー、および(ii)最大で約50重量%のスチレンモノマー含量を有するスチレン系ブロックコポリマーが含まれる。これらの結合ポリマーを以下に考察する。
【0053】
エチレン/不飽和エステルコポリマー
中間層は、エチレン/不飽和エステルコポリマーを含むことができる。エチレン/不飽和エステルコポリマーには、エチレン、および1種以上の不飽和エステルモノマーが含まれる。有用な不飽和エステルには:
1)エステルが炭素原子4から12個を有する、脂肪族カルボン酸のビニルエステル、
2)エステルが炭素原子4から12個を有する、アクリル酸もしくはメタクリル酸のアルキルエステル(ひとまとめにして「(メタ)アクリル酸アルキル」)、および
3)アクリル酸もしくはメタクリル酸のグリシジルエステル(ひとまとめにして「(メタ)アクリル酸グリシジル」)が含まれる。エチレン/不飽和エステルコポリマーは、第2および第3の型のコモノマーの混合物を含んで、例えばエチレン/(メタ)アクリル酸アルキル/(メタ)アクリル酸グリシジルコポリマーを形成することができる。
【0054】
第1(「ビニルエステル」)群のモノマーの代表例には、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ヘキサン酸ビニルおよび2−エチルヘキサン酸ビニルが含まれる。ビニルエステルモノマーは少なくとも、次の炭素原子数:炭素原子4、5および6個のいずれかを有することができ;また最大で次の炭素原子数:炭素原子4、5、6、8、10および12個のいずれかを有することができる。
【0055】
第2(「(メタ)アクリル酸アルキル」)群のモノマーの代表例には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ヘキシルおよびアクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸ヘキシルおよびメタクリル酸2−エチルヘキシルが含まれる。(メタ)アクリル酸アルキルモノマーは少なくとも、次の炭素原子数:炭素原子4、5および6個のいずれかを有することができ;また最大で次の炭素原子数:炭素原子4、5、6、8、10および12個のいずれかを有することができる。
【0056】
第3(「(メタ)アクリル酸グリシジル」)群のモノマーの代表例には、アクリル酸グリシジルおよびメタクリル酸グリシジル(「GMA」)が含まれる。
【0057】
エチレン/不飽和エステルコポリマーは、少なくともおよそ次の量(コポリマーの重量基準で):3、5、10、15、20、22、23、24、25、26、27、28、29、30、32、34、36、38、40、45、50、55および60重量%のいずれか;および、最大でおよそ次の量(コポリマーの重量基準で):10、15、20、25、26、27、28、29、30、32、34、36、38、40、45、50、55、60、65、70、75および80重量%のいずれかにおいて、(i)任意の1種以上の上掲の型の脂肪族カルボン酸ビニルエステルの、脂肪族カルボン酸ビニルエステルコモノマー含有物、および/または(ii)任意の1種以上の上掲の型の(メタ)アクリル酸アルキルの、(メタ)アクリル酸アルキルコモノマー含有物を含むことができる。
【0058】
エチレン/不飽和エステルコポリマーは、少なくともおよそ次の量(コポリマーの重量基準で):0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9および10重量%のいずれか;および、最大でおよそ次の量(コポリマーの重量基準で):1、2、3、4、5、6、7、8、9、10および12重量%のいずれかにおいて、(メタ)アクリル酸グリシジル含有物(例えば、任意の1種以上の上掲の型の(メタ)アクリル酸グリシジル)を含むことができる。
【0059】
エチレン/不飽和エステルコポリマーの不飽和エステルコモノマー含量(例えば、ビニルエステル、(メタ)アクリル酸アルキルおよび/または(メタ)アクリル酸グリシジルコモノマー含量)は、ひとまとめにして、少なくともおよそ次の量(コポリマーの重量基準で):20、22、23、25、26、27、28、29、30、32、34、36、38、40、45、50、55および60重量%のいずれかとして合計することができる;また、ひとまとめにして、最大でおよそ次の量(コポリマーの重量基準で):30、32、34、36、38、40、45、50、55、60、65、70、75および80重量%のいずれかとして合計することができる。
【0060】
エチレン/不飽和エステルコポリマーのエチレンモノマー含量は、少なくともおよそ、および/または最大でおよそ次の(コポリマーの重量基準で)、45、50、55、60、65、70および80重量%のいずれかとすることができる。
【0061】
エチレン/不飽和エステルコポリマーの代表例には、
エチレン/酢酸ビニル、
エチレン/C−C12(メタ)アクリル酸アルキルコポリマー、
エチレン/アクリル酸メチル、
エチレン/メタクリル酸メチル、
エチレン/アクリル酸エチル、
エチレン/メタクリル酸エチル、
エチレン/アクリル酸ブチル、
エチレン/メタクリル酸2−エチルヘキシル、
エチレン/アクリル酸グリシジル、
エチレン/メタクリル酸グリシジル(例えば、商標名LOTADER 8840のもとにArkema Corporationから入手できるもの、GMAモノマー含量8重量%を有すると思われる)、
エチレン/アクリル酸メチル/アクリル酸グリシジル、
エチレン/メタクリル酸メチル/アクリル酸グリシジル、
エチレン/アクリル酸エチル/アクリル酸グリシジル、
エチレン/メタクリル酸エチル/アクリル酸グリシジル、
エチレン/アクリル酸ブチル/アクリル酸グリシジル、
エチレン/メタクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸グリシジル、
エチレン/アクリル酸メチル/メタクリル酸グリシジル(例えば、商標名LOTADER 8900のもとにArkema Corporationから入手できるもの、アクリル酸メチルモノマー含量約24重量%およびGMAモノマー含量約8重量%を有すると思われる)、
エチレン/メタクリル酸メチル/メタクリル酸グリシジル、
エチレン/アクリル酸エチル/メタクリル酸グリシジル、
エチレン/メタクリル酸エチル/メタクリル酸グリシジル、
エチレン/アクリル酸ブチル/メタクリル酸グリシジル(例えば、商標名LOTADER AX8999のもとにArkema Corporationから入手できるもの、アクリル酸ブチルモノマー含量28重量%およびGMAモノマー含量1重量%を有すると思われる)および
エチレン/メタクリル酸2−エチルヘキシル/メタクリル酸グリシジル
が含まれる。
【0062】
中間層は、中間層の重量基準で、少なくともおよそ、および/または最大でおよそ次の、20、25、35,40、45、50、60、70、80、90、98および99.5重量%のいずれかの量で、エチレン/不飽和エステルコポリマー(例えば、本出願において考察したいずれか1種以上の任意のエチレン/不飽和エステルコポリマー)を含むことができる。
【0063】
中間層は、非変性エチレン/不飽和エステルコポリマー(すなわち、以下に考察するように変性されていないエチレン/不飽和エステルコポリマー)を、先行する段落中に示した量のいずれかで含むことができる。
【0064】
変性エチレン/不飽和エステルコポリマー
エチレン/不飽和エステルコポリマーは、変性エチレン/不飽和エステルコポリマーを含むことができ、または変性エチレン/不飽和エステルコポリマーとすることができ、したがって中間層は変性エチレン/不飽和エステルコポリマーを含むことができる。変性エチレン/不飽和エステルコポリマーには、エチレン/不飽和エステルコポリマー(すなわち、本出願の先行節において記述されているエチレン/不飽和エステルコポリマーのいずれか)であって、不飽和カルボン酸無水物により変性されて(例えばグラフトされて)(すなわち酸無水物変性ポリマー)、酸無水物官能基を組み込んでいるものが含まれる。この変性は、コポリマーの接着力特性を増進もしくは高めることができる。不飽和カルボン酸無水物の例には、無水マレイン酸、無水フマル酸、および不飽和縮合環カルボン酸無水物(例えば、米国特許第4087588号に記載されているもの)が含まれる。
【0065】
変性エチレン/不飽和エステルコポリマーの例には、商標名BYNEL 3861のもとにDuPont Corporationから入手できる、酢酸ビニルコモノマー含量約25重量%を有する無水マレイン酸をグラフトしたエチレン/酢酸ビニルコモノマー;商標名FUSABOND MC250DのもとにDuPont Corporationから入手できる、酢酸ビニルモノマー含量約28重量%を有する無水マレイン酸変性エチレン/酢酸ビニルコモノマー;ならびにアクリレートコモノマー含量27.5重量%および無水マレイン酸(「MAH」)コモノマー含量2.9重量%を含有するエチレン/アクリル酸エチル/無水マレイン酸コポリマーなどのエチレン/アクリル酸アルキル/無水マレイン酸コポリマー;アクリレートコモノマー含量20%およびMAHコモノマー含量3%を含有するエチレン/アクリル酸エチル/無水マレイン酸コポリマー;エチレン/アクリル酸アルキル/無水マレイン酸インターポリマーのLOTADERシリーズ(Elf−Atochem,Inc.、Buffalo,NY);商標名BYNEL 21E810のもとにDuPont Corporationから入手できる無水マレイン酸グラフトエチレン/アクリル酸メチルコポリマー;ならびに商標名OREVAC 9314のもとに入手できるエチレン/酢酸ビニル/無水マレイン酸ターポリマー(酢酸ビニル14%および無水マレイン酸1%)が含まれる。
【0066】
有用な酸無水物変性ポリマーは、少なくともおよそ、および/または最大でおよそ次の、0.1%、0.5%、1%、2%、4%、5%、8%および10%のいずれかの量(変性ポリマーの重量基準で)で酸無水物部分を含有することができる。酸無水物変性ポリマーは、グラフト化または共重合により作ることができる。
【0067】
中間層は、中間層の重量基準で、少なくともおよそ、および/または最大でおよそ次の、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、95および99.5重量%のいずれかで、変性エチレン/不飽和エステルコポリマーを含むことができる。中間層は、変性エチレン/不飽和エステルコポリマーおよび非変性エチレン/不飽和エステルコポリマーを含むことができ、合計すると先行する文章中に示した量のいずれかとなる。
【0068】
結合ポリマーとしてのスチレン系ブロックコポリマー
中間層は、最大で約50重量%のスチレンモノマー含量を有する、スチレン系ブロックコポリマー(「SBC」)を含むことができる。SBCは、ベース層に関連して上記において考察している。中間層向けに有用なSBCは、最大でおよそ、および/または少なくともおよそ次の、50、45、40、35、32、30、28、25、20、15および10重量%のいずれかのスチレンモノマー含量を有することができる。
【0069】
中間層のSBCは、変性SBCとすることができ、または変性SBCを含むことができ、この変性SBCは不飽和カルボン酸無水物によりSBC変性されて(例えばグラフトされて)(すなわち酸無水物変性ポリマー)、酸無水物官能基を組み込んでいる。この変性は、このコポリマーの接着力特性を増進もしくは高めることができる。有用な酸無水物変性ポリマーは、少なくともおよそ、および/または最大でおよそ次の、0.1%、0.5%、1%、2%、4%、5%、8%および10%のいずれかの量(変性ポリマーの重量基準で)酸無水物部分を含有することができる。酸無水物変性ポリマーは、グラフト化または共重合により作ることができる。
【0070】
中間層は、中間層の重量基準で、少なくともおよそ、および/または最大でおよそ次の、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、95および99.5重量%のいずれかの量で、SBC(例えば、最大で約50重量%のスチレンモノマー含量を有するSBC、または最大で約50重量%のスチレンモノマー含量を有する変性SBC)を含むことができる。
【0071】
アルファ−オレフィン/環式オレフィンコポリマー
中間層は、アルファ−オレフィン/環式オレフィンコポリマー(「COC」)を含むことができる。COCは、環式オレフィンおよびアルファ−オレフィンの重合により形成することができるコポリマーである。環式オレフィンは、脂環式環内にある重合可能な炭素−炭素二重結合(例えばノルボルネンにおけるように)、または脂環式環に連結している重合可能な炭素−炭素二重結合(例えばビニルシクロヘキサンにおけるように)のいずれかを含む化合物である。COCは、ポリマー主鎖の一部として環式環を有することができる(例えば、エチレン/シクロペンテンコポリマーおよびエチレン/ノルボルネンコポリマー)。COCは、ポリマー主鎖に垂下している環式環を有することができる(例えば、エチレン/ビニルシクロヘキサンコポリマー)。
【0072】
例示的なCOCは、シクロペンテン、置換されたシクロペンテン、ノルボルネン、置換されたノルボルネン、シクロブテン、シクロペンテン、メチルシクロペンテン、5−ビニルノルボルネン、5−メチルノルボルネン、5−エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、テトラシクロドデセンおよびシクロドデカトリエンの1種以上から由来した(重合した)環式オレフィン含有物を含むことができる。
【0073】
有用なCOCは、上記において特定した環式オレフィンのいずれかなどの環式オレフィン含有物を、少なくともおよそ、および/または最大でおよそ次のモル%:10、15、18、20、22、24、28、30、32、35、40および45のいずれかとして、含むことができる。
【0074】
COCの有用なアルファ−オレフィンは、線状もしくは分岐状とすることができ、例えば、少なくとも、および/または最大で次の炭素原子数:2、3、4、6、8、10、14、18および20のいずれかを有することができる。例えば、COCは、エチレンおよびプロピレンの1種以上から由来するアルファ−オレフィン含有物を含むことができる。有用なCOCは、アルファ−オレフィン含有物(例えば、1種以上の上述のアルファ−オレフィンのいずれか)を、少なくともおよそ、および/または最大でおよそ次のモル%:90、85、80、75、70、65、60および55のいずれかとして、含むことができる。
【0075】
例示的なCOCには、エチレン/環式オレフィンコポリマー、およびプロピレン/環式オレフィンコポリマーが含まれる。有用なCOCには、エチレン/ノルボルネンコポリマー、エチレン/ノルボルネン/オクテンコポリマー、エチレン/ノルボルネン/ブテンコポリマー、エチレン/ノルボルネン/ヘキセンコポリマーおよびプロピレン/ノルボルネンコポリマーが含まれる。
【0076】
このCOCは、不均質または均質のいずれかとすることができる。当技術分野で知られているように、不均質ポリマーは、分子量および組成分布の比較的広い差異を有する。不均質ポリマーは、例えば従来のチーグラー−ナッタ触媒で調製することができる。
【0077】
これに反して、均質ポリマーは、通例メタロセン、または他のシングルサイト触媒を使用して調製される。このようなシングルサイト触媒は、通例1つの型の触媒部位だけを有し、これが重合により得られたポリマーの均質性の根拠であると考えられる。均質ポリマーが、分子鎖内におけるコモノマーの比較的一様なシーケンシング、全ての分子鎖におけるシーケンス分布のミラーリングおよび全ての鎖長の類似性を示す点で、均質ポリマーは不均質ポリマーと構造的に異なっている。その結果、均質ポリマーは、比較的狭い分子量および組成分布を有する。
【0078】
例示的な均質COCには、商標名TopasのもとにTicona Corporationから入手できるエチレン/ノルボルネンコポリマー、例えば、Topas 9506X1(約33℃のTgを有すると思われる)、Topas 9506(約65℃のTgを有すると思われる)、Topas 8007(約85℃のTgを有すると思われる)、Topas 6017(約180℃のTgを有すると思われる)、Topas 6015(約160℃のTgを有すると思われる)、Topas 6013(約140℃のTgを有すると思われる)およびTopas 5013(約135℃のTgを有すると思われる)、ならびに商標名APELのもとにMitui Corporationから入手できるエチレン/ノルボルネンコポリマーが含まれる。
【0079】
アルファ−オレフィン/ビニル芳香族コポリマー
中間層は、アルファ−オレフィン/ビニル芳香族コポリマー(「AO/VA」)を含むことができ、これは、アルファ−オレフィンモノマーおよびビニル芳香族モノマーのコポリマーである。AO/VAのアルファ−オレフィンは、COCに関し上記において考察したいずれかの1種以上のものとしてよい。AO/VAのビニル芳香族化合物は、スチレン、メチル−スチレン(例えばp−メチルスチレン)、ビニルトルエン、ビニルキシレン、ビニルナフタレンおよびビニルアントラセンの任意の1種以上のものとしてよい。例示的なAO/VAには、エチレン/スチレンコポリマーおよびエチレン/ビニルトルエンコポリマーが含まれる。
【0080】
AO/VAは、不均質または均質のいずれかとすることができる。均質および不均質態様のポリマーは、COCに関連して本明細書においてより詳細に考察されている。
【0081】
AO/VAは、ランダムポリマーまたはブロックポリマーとしてよい。AO/VAは、少なくともおよそ、および/または最大でおよそ次の重量%:90、85、80、75、70、65、60および55のいずれかとして、ビニル芳香族含有物(例えば、1種以上の上述のビニル芳香族化合物のいずれか)を含むことができる。AO/VAは、少なくともおよそ、および/または最大でおよそ次の重量%:5、10、15、20、25、30、35、40および45のいずれかで、アルファ−オレフィン含有物を含むことができる。
【0082】
有用なCOCおよび/またはAO/VAは、それぞれ独立に、少なくともおよそ、および/または最大でおよそ次の、25、30、35、40、45、50、55および60℃のいずれかのガラス転移温度(「Tg」)を有することができる。
【0083】
別に指定されない限り、このTgは相対湿度0%で測定される。本出願におけるポリマー、ポリマー混合物、樹脂、フィルムまたは層のガラス転移温度を全て参照する場合、動的変位振動数22ラジアン/秒、変位振幅0.1%歪み、熱勾配3℃/分および窒素雰囲気を用いて、ASTM D4065およびASTM D5026による動的機械分析(「DMA」)によって測定した、試料である非晶質ポリマーまたは半結晶質ポリマーの非晶質部分が硬質、ガラス状または脆性状態から軟質、柔軟、ゴム様状態に変化する特性温度を指しており、この場合、温度に−150℃から変換器感度が無くなる点(すなわち、フィルムがばらばらにこわれる時点)まで傾斜を付けている。Tgは、試料2点について平均したタンデルタベータ転移ピーク温度である。
【0084】
ある中間層は、中間層の重量基準で、少なくともおよそ、および/または最大でおよそ次の量:0.5、1、3、5、7、10、12、15、17、20、22、25、27および30重量%のいずれかとして、COC(例えば、上記において特定したCOCのいずれか)を含むことができ、および/またはAO/VA(例えば、上記において特定したAO/VAのいずれか)を含むことができる。
【0085】
この中間層は、上述のCOCのいずれかから選択した第1のCOC、および上述のCOCのいずれかから選択した第2のCOC(第1のCOCと異なる)を含むことができる。この中間層は、中間層の重量基準で、少なくともおよそ、および/または最大でおよそ次の量:0.5、1、3、5、7、10、12、15、17、20、22、25、27および30重量%のいずれかとして、第1のCOCを含むことができる。この中間層は、中間層の重量基準で、少なくともおよそ、および/または最大でおよそ次の量:0.5、1、3、5、7、10、12、15、17、20、22、25、27および30重量%のいずれかとして、第2のCOCを含むことができる。
【0086】
この中間層は、上述のAO/VAのいずれかから選択した第1のAO/VA、および上述のAO/VAのいずれかから選択した第2のAO/VA(第1のAO/VAと異なる)を含むことができる。この中間層は、中間層の重量基準で、少なくともおよそ、および/または最大でおよそ次の量:0.5、1、3、5、7、10、12、15、17、20、22、25、27および30重量%のいずれかとして、第1のAO/VAを含むことができる。この中間層は、中間層の重量基準で、少なくともおよそ、および/または最大でおよそ次の量:0.5、1、3、5、7、10、12、15、17、20、22、25、27および30重量%のいずれかとして、第2のAO/VAを含むことができる。
【0087】
添加剤
本フィルムの1層以上の層には、ブロッキング防止剤、滑剤、防曇剤、着色剤、顔料、染料、芳香剤、殺菌剤、食肉防腐剤、酸化防止剤、充填剤、放射線安定剤および静電気防止剤などの熱可塑性フィルムにおいて有用な1種以上の添加剤が含まれ得る。
【0088】
本フィルムのモジュラス
本フィルムは、予想されている取扱いおよび使用条件に耐えるのに十分なヤング率を示すことが好ましい。ヤング率は、それぞれ参照によりその全体が本明細書に組み込まれている次のASTM方法の1種以上:D882、D5026−95a、D4065−89に従って測定することができる。
【0089】
本フィルムは、温度73°Fで測定して、少なくともおよそ、および/または最大でおよそ次の、60,000、100,000、130,000、150,000、200,000、250,000、300,000、350,000および400,000ポンド/平方インチのいずれかのヤング率を有することができる。本フィルムは、少なくとも一方向で(例えば機械方向でもしくは横方向で)または両方向で(すなわち、機械(すなわち縦)および横方向で)前述のヤング率の範囲のいずれかを有することができる。
【0090】
層間接着強度
本明細書において使用されるフィルムについての用語「層間接着強度」とは、2つの隣接するフィルム層を、層間の接着破壊によって、または2つの隣接するフィルム層の一方(どちらか最初に起こる方)を貫通している凝集破壊によってのいずれかで分離もしくは層間剥離させるのに要する力の平均量を意味し、その際、ASTM F88に従って測定し、試験機(例えば、インストロン引張り試験機)クロスヘッド速度は毎分5インチであり、特に以下において指定しない限り、1インチ幅の代表試料5点、および室温(すなわち約68°F)の試験温度を使用している。ASTM F88は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている。層間接着強度の試験用フィルム試料を調製するため、フィルムの一部を層間の界面で切り離して、試験機のつかみ部に挿入する試験片レッグを提供する。例えば、感圧型接着剤テープをフィルムの背中合わせの外側に貼り付けて、テープのつかみ用タブをはがしフィルムのそれぞれの側に伸ばす。次いでタブをつかみ、反対方向にぐいと引っ張って、フィルム層を部分的に切り離す。
【0091】
本明細書において使用される「接着破壊」は、2つの表面を合わせて保持している界面の力(例えば、原子価力もしくは絡み合い作用またはこの両方)が乗り越えられている破壊である。「凝集破壊」は、層組成物を一緒に保持している分子吸引力が乗り越えられている破壊である。フィルムの層間接着強度は、少なくともおよそ、および/または最大でおよそ次の値:1,000、1,500、2,000、2,500、3,000および3,500グラム(フォース)/インチのいずれかとすることができる。
【0092】
フィルムの層間接着強度は、配位前の、フィルムが比較的厚い間に測定することができる。これにより、フィルムの層間接着強度の測定が、フィルムが配位前よりもはるかに薄くなる恐れがある配位した後よりも容易になる。
【0093】
本フィルムの外観特性
本フィルムは、低いヘイズ特性を有することができる。ヘイズは、入射光軸から2.5°を超えて散乱された透過光の測定値である。他に指定されない限り、ヘイズは、フィルムの外側層に対して測定される。「外側層」は、そのフィルムを含む、ある包装の外側空間に隣接している、もしくは隣接しようと意図されるフィルムの外層である。(あるフィルムの「内側層」は、そのフィルムを含む、ある包装の内側空間に隣接している、もしくは隣接しようと意図されるフィルムの外層である。)ヘイズは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれているASTM D1003の方法に従って測定される。本出願においてフィルムの「ヘイズ」値を参照する場合には、全てこの規格による。本フィルムのヘイズは、−−形成ステップ前、または形成ステップ後から選択した時点において測定される−−最大でおよそ、および/または少なくともおよそ次の値:30%、25%、20%、15%、10%、8%、5%、3および2%のいずれかとすることができる。
【0094】
本フィルムは、外側層に対して測定される光沢(すなわち鏡様の光沢)−−形成ステップ前、または形成ステップ後から選択した時点において測定される−−を有することができ、それは少なくともおよそ、および/または最大でおよそ次の値:40%、50%、60%、63%、65%、70%、75%、80%、85%、90%および95%のいずれかである。これらの百分率は、指定された角度における、試料から反射される光 対 試料に当たる最初の光量の比率を表す。本出願において「光沢」値を参照する場合には、参照により、その全体が本明細書に組み込まれているASTM D2457(角度45°)に全て従っている。
【0095】
本フィルムは、透明とすることができ(少なくともプリントされない領域において)、したがってフィルムを通して、包装された物品を目で見ることができる。「透明」とは、フィルムが、入射光を、無視できるほどの散乱で、ほとんど吸収せずに透過し、通例の視る条件(すなわち、本材料の予期される使用条件)のもとで、このフィルムを通して対象物(例えば、包装された物品、または印刷)が明瞭に見られることを可能にすることを意味する。本フィルムの正透過率(すなわち透明度)−−形成ステップ前、または形成ステップ後から選択した時点において測定される−−は、ASTM D1746に従って測定して、少なくともおよそ、および/または最大でおよそ次の値:40%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%および90%のいずれかとすることができる。本出願において「正透過率」値を参照する場合には、全てこの規格による。
【0096】
本フィルムの全視感透過率(すなわち全透過率)−−形成ステップ前、または形成ステップ後から選択した時点において測定される−−は、ASTM D1003に従って測定して、少なくともおよそ、および/または最大でおよそ次の値:40%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%および90%のいずれかとすることができる。本出願において「全透過率」値を参照する場合には、全てこの規格による。
【0097】
全透過率、ヘイズ、透明度および光沢を含む、可塑性フィルムの光学的性質の測定は、Pike,LeRoy、「Optical Properties of Packaging Materials」、Journal of Plastic Film & Sheeting、第9巻、第3号、173−80頁(1993年7月)(173−80頁が、参照により本明細書に組み込まれている。)において、詳細に考察されている。
【0098】
本フィルムの製造
本フィルムは、当技術分野で知られている熱可塑性フィルム形成方法によって製造することができる。本フィルムは、例えばチューブ状捕捉気泡フィルム法(tubular trapped bubble film process)、フラットもしくはチューブキャストフィルム法、またはスリットダイフラットキャストフィルム法を利用した押出しもしくは同時押出しにより調製することができる。本フィルムは、押出コーティング、接着積層法、押出積層法、溶剤系コーティング(solvent−borne coating)によって、またはラテックスコーティングによって(例えば、基板上に塗り広げ、乾燥する)1層以上の層を施すステップにより調製することもできる。これらの方法の組合せも使用することができる。これらの方法は、当業者に知られている。
【0099】
本フィルムは、機械(すなわち縦)方向、横方向のいずれかに配向され、または両方向に配向されて(すなわち二軸配向されて)、例えば、フィルムの強度、光学特性および耐久性を強化することができる。フィルムのウエブ(巻取物)またはチューブは、フィルムが軟化する温度で(例えば、ビカー軟化点を超えて;ASTM 1525を参照されたい)、また例えばフィルムの融点未満の温度で、引張り力を課するステップにより一軸もしくは二軸配向させることができる。次いでフィルムは、急速に冷却されて、配向中に生成された物理的性質を保持し、フィルムに熱収縮特性をもたらすことができる。フィルムは、例えばテンターフレーム法またはバブル法を用い、配向させることができる。配向は、少なくともおよそ、および/または最大でおよそ次の比率:1.5:1、2:1、2.5:1、3:1、3.5:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、12:1および15:1のいずれかまで、一方向(すなわち機械もしくは横方向)および/または二方向(例えば、機械および横方向)のいずれかに生じ得る。本フィルムは、これらの量のいずれかだけ一方向に、また他の、これらの量のいずれかだけ他の方向に伸長させることができる。
【0100】
本フィルムは、100℃において一方向(例えば機械方向または横方向)における、ならびに/または機械および横方向の両方における次の、5%、7%、9%、10%、12%、15%、25%、30%、40%、45%、50%、55%、60%、70%、75%および80%のいずれかの自由収縮を有することができる。本フィルムは、機械および/または横方向における上述の収縮量のいずれかを、次の温度:90、80、70、60、50および40℃のいずれかにおいて有することができる。例えば、本フィルムは、80℃において、少なくとも約60%の横方向における自由収縮、および最大で約10%の機械方向における自由収縮を有することができる。また、本フィルムは、異なる温度で、上述の収縮値のいずれかの組合せを有することもできる;例えば、本フィルムは、90℃において、少なくとも約75%の少なくとも一方向における自由収縮、および70℃において最大で約5%の任意の方向における自由収縮を有することができる。本フィルムは、例えば、徐冷して、選択された温度(例えば70℃)での収縮特性を弱めることができる。
【0101】
本フィルムは徐冷または熱硬化させて、配向したフィルムの自由収縮を幾分もしくは実質的に小さくし、例えば収縮開始温度を引き上げることができる。本フィルムは、次の温度:65、60、55、50、45および40℃のいずれかにおいて、任意の方向におけるおよそ3%、2%および1%のいずれか未満の自由収縮を有することができる。
【0102】
本フィルムの自由収縮は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれているASTM D2732により、選択された熱に曝した場合(すなわち、指定された温度曝露において)、10cm×10cm試験片の寸法変化百分率を測定するステップによって測定される。本出願において自由収縮を参照する場合には、全てこの規格により測定される。
【0103】
本フィルムは、例えばロータリースクリーン、グラビアまたはフレキソ印刷技術などの任意の適切なインキプリント方法によって、それに付与されるプリント画像を有することができる。プリント画像は、スキン層に付与することができる。プリント画像は、例えば、収縮スリーブのフィルムの内側層に付与された反転プリント画像として適用することができる。
【0104】
収縮スリーブ
収縮スリーブ10(収縮スリーブラベルまたは収縮バンドとしても知られる)は、本明細書において記述される本発明のフィルム12の任意の実施形態のいずれか1つを含むことができる。(例えば、図1−2を参照されたい。)収縮スリーブ10は、シームド(継ぎ目のある)収縮スリーブ(図1において図示される)、シームレス収縮スリーブ、またはロール供給収縮スリーブ(すなわち巻き付けラベリング用ロール供給収縮フィルムにより形成される)とすることができる。
【0105】
本フィルムを備えるシームド収縮スリーブは、フラットな形状のフィルムから製造することができ、例えば接着性継ぎ目を使用して、フィルム同志を接着させて継ぎ目14を有するチューブを形成することにより、このフィルムを継ぎ合わせて(シームして)、チューブとする。スリーブ10にプリントしようとする場合には、フィルム上に画像をプリントした後で、このフィルムをチューブとして形成するステップを行うことができる。プリント画像18は、反転プリント画像として内側表面20に付与され得る。次いでチューブは芯に巻き付けることができる。次いで、このチューブのロールは、芯から解いて伸ばし、個々のシームド収縮スリーブを形成するために、個々の長さに切断する。次いで、収縮スリーブは、収縮スリーブが施される商品(例えば、容器16)を取り囲んで置くことができる。次いで熱を加え(例えば、収縮スリーブ付きの商品を、例えば蒸気または熱風を使用した加熱トンネル内に置くステップにより)、それにより収縮スリーブの熱収縮特性を活性化し、収縮スリーブが収縮して、図2において図示するように収縮スリーブが取り囲む商品とぴったり同じ形状になる。
【0106】
本フィルムを備えるシームレス収縮スリーブは、本フィルムを、所望のチューブ形状を有するチューブ形状で押し出すステップにより製造することができる。得られたチューブにプリントし、所望の長さに切断して、個々の収縮スリーブを形成させる。
【0107】
本フィルムを備えるロール供給収縮スリーブは、1)所望の寸法に切断したフィルムの前端部にピックアップ接着剤を塗布するステップ、2)この前端部を容器に付着させるステップ、3)お互いに対し容器およびフィルムを動かし、それによりフィルムが容器を取り囲むステップ、4)フィルムの後端部に接着剤を塗布するステップ、5)フィルムの後端部を容器に、またはフィルムの前端部に付着させるステップ、ならびに6)収縮スリーブ/容器に熱を掛けて、フィルムの収縮特性を活性化するステップにより製造することができる。
【0108】
本フィルムを備える収縮スリーブは、例えば、1)商品に施されるラベルとして、2)不正開封防止シールまたは包装材料(例えば、いたずら防止ネックバンド)として、および/または、3)2つ以上の商品を結合してひとまとめにする(例えば多重包装)ために使用することができる。本収縮スリーブは、容器を取り囲むためのフルボディーのスリーブとすることができる。本収縮スリーブは、成形したおよび/または起伏のある容器(例えば非対称形状の容器)を取り囲むのに使用することができる。
【実施例】
【0109】
下記の実施例は、本発明の1つ以上の実施形態をさらに例証し、説明する目的で提示され、どんな点に関しても制約的なものと解釈されるべきでない。特に指示されない限り、全ての部および百分率は重量による。
【0110】
以下の実施例において、これらの略語は次の意味を有する:
PETG1は、商標名Eastar 6763のもとにEastman Corporationから入手できるグリコール変性ポリ(エチレンテレフタレート)であり、シクロヘキサンジメタノールモノマー含量約34モル%、エチレングリコールモノマー含量約16モル%およびテレフタル酸モノマー含量約50モル%を有すると思われる。
【0111】
SBS1は、商標名STYROLUX BX6452のもとにBASF Corporationから購入されるスチレン/ブタジエンブロックコポリマーであり、約50重量%のスチレンモノマー含量、1.02g/ccの密度、およびASTM D1238による条件200/5.0のもとで13g/10分のメルトフローレイトを有すると思われる。
【0112】
SBS2は、商標名STYROLUX BX2000のもとにBASF Corporationから購入されるスチレン/ブタジエンブロックコポリマーであり、約50重量%のスチレンモノマー含量、1.02g/ccの密度、およびASTM D1238による条件200/5.0のもとで25g/10分のメルトフローレイトを有すると思われる。
【0113】
PS1は、商標名STYRON 145DのもとにIneos Corporationから購入されるポリスチレンホモポリマーであり、加工助剤として鉱油3.3重量%が含まれる。
【0114】
EVA1は、商標名BYNEL 3861のもとにDuPont Corporationから購入される無水マレイン酸グラフトエチレン/酢酸ビニルコポリマーであり、約25重量%の酢酸ビニル含量を有する。
【0115】
EVA2は、商標名LEVAMELT 500のもとにLanxess Corporationから購入されるエチレン/酢酸ビニルコポリマーであり、約50重量%の酢酸ビニル含量を有する。
【0116】
SEBS1は、商標名KRATON FG 1924のもとにKraton Polymers LLC社から購入される無水マレイン酸グラフトスチレン/エチレン−ブチレン/スチレンブロックコポリマーであり、スチレン約13重量%のスチレンモノマー含量および約1重量%の無水マレイン酸含量を有する。
【0117】
COC1は、商標名Topas 9506X1のもとにTicona Corporationから購入される均一系エチレン/ノルボルネンコポリマーであり、約22モル%のノルボルネンモノマー含量、および約33℃のガラス転移温度を有すると思われる。
【0118】
COC2は、商標名Topas 8007のもとにTicona Corporationから購入される均一系エチレン/ノルボルネンコポリマーであり、約35モル%のノルボルネンモノマー含量、および約85℃のガラス転移温度を有すると思われる。
【0119】
AB1は、商標名CO 235のもとにEastman Chemical社から入手できる微結晶性シリカブロッキング防止マスターバッチである。
【0120】
実施例1−5、比較例1−4
A/C/B/C/Aフィルム層配列を有する5層の実施例1フィルムを作製した。この層配列において、「A」スキン層はPETG1であり、「B」ベース層は、80重量%のSBS1および20重量%のPS1のブレンドであり、「C」中間層は、95重量%のEVA1および5重量%のCOC1のブレンドであった。このフィルムは、Randcastle社キャスト押出し機を使用して厚さ約10ミルを有するように押し出した。層の厚さ比率は1:1:6:1:1であった。このフィルムの層間接着強度を測定した。これを表1において報告している。このフィルムの層間接着強度を測定するために、幅1インチの細片(ASTM F88方法に関連し本明細書の記述で示した5点よりもむしろ)3点をフィルムから切断し、細片の一方の側を手作業でこれらの層に分け、Instron社Mini55装置を使用して、接着力を測定した。
【0121】
表1に示しているように、実施例2−5フィルムならびに比較例1および3−4フィルムは、「C」層を除いて上記の実施例1フィルムと同じであった。比較例2フィルムが「C」層を含まない3層フィルムである点を除いて、比較例2フィルムは、上記の実施例1フィルムと同様であった。これらのフィルムの層間接着強度を測定し、表1において報告している。
【0122】
【表1】

【0123】
このデータは、「C」中間層にCOCを添加して得られた実施例フィルムについて、対応する比較例フィルムに比べて、驚くほど改良された層間接着強度を示している。
【0124】
実施例6、比較例5
「A」層が2重量%のAB1を含み、「B」層に、SBS1の代わりにSBS2を使用した点を除いて、実施例2フィルムと同様に5層の実施例6フィルムを作製した。
【0125】
「A」層が2重量%のAB1を含み、「B」層に、SBS1の代わりにSBS2を使用した点を除いて、比較例1フィルムと同様に5層の比較例5フィルムを作製した。
【0126】
5層フィルムは両方とも、合計厚さの百分率として11%/12%/54%/12%/11%のA/C/B/C/A層厚を有していた。
【0127】
配向させる前に、実施例6および比較例5フィルムは、約10ミルの厚さを有していた。これらのフィルムは、約100℃の配向温度で6.3:1の比率で横方向に配向させ、また1:1の比率で機械方向に配向させた(すなわち機械方向には配向なし)。次いでこれらのフィルムを急冷して、配向状態に固定した。それぞれの配向フィルムの厚さは、約1.8ミルであった。
【0128】
配向した実施例6フィルムのヘイズおよび透明度は、それぞれ6.8%および54%であった。配向した比較例5フィルムのヘイズおよび透明度は、それぞれ7.3%および47%であった。配向した実施例5フィルム、および比較例5フィルムのヤング率は、それぞれ217,000psiおよび209,000psiであった。下記の表2は、種々の温度における横方向(TD)および機械方向(MD)の自由収縮パーセントを示している。
【0129】
【表2】

【0130】
本明細書において列挙されているいずれの数値範囲にも、任意の低値と任意の高値の間に少なくとも2単位の間隔があるとする場合、一単位のインクリメントとしてのその低値からその高値までの全ての値が含まれる。一例として、本明細書において、ある成分の量、またはある工程変数(例えば温度、圧力、時間)の値が1から90、20から80もしくは30から70のいずれかの範囲にある、または、少なくとも1、20もしくは30、および/または最大で90、80もしくは70のいずれかであるとすることができると示される場合、15から85、22から68、43から51、および30から32、ならびに少なくとも15、少なくとも22、および最大で32などの値が、明確に数え上げられていることが意図されている。1未満である値について、一単位は0.0001、0.001、0.01もしくは0.1が適正であるとみなされる。これらは特に意図されるものの一例に過ぎず、数え上げられている低値と高値の間の全ての可能な数値の組合せが、同様な形で本出願において明確に示されているとみなされるべきである。
【0131】
上記の記述は、本発明の好ましい実施形態の記述である。本発明の精神、ならびに特許請求範囲において定義される本発明のより広範な態様から逸脱せずに、種々の変更および改変を行うことができ、これらは、等価物の原則を含む、特許法の原理に従って解釈されるべきである。特許請求範囲および特定の実施例における場合を除いて、または他に明確に指定されない限り、材料の量、反応条件、使用条件、分子量および/または炭素原子の数などを示す本記述における全ての数量は、本発明の最も広い範囲を記述する際に、語「約、およそ(about)」によって修飾されると理解されるべきである。冠詞「ある、1つの(a)」「ある、1つの(an)」「その(the)」または「前記(said)」を使用した単数での本開示におけるある項目への、または本特許請求範囲におけるある要素への何らかの参照は、明確にそのように示されない限り、その項目もしくは要素を単数に限定するものと解釈すべきではない。本出願において示される定義および開示は、組み込まれている参考文献中に存在し得るいずれの矛盾のある定義および開示にも制約を及ぼすものである。ASTM試験への全ての参照は、本出願の優先権出願期日について特定された最新の、現在承認されている公表版のASTM試験へのものである。それぞれのこのような公表されたASTM試験法は、本参照によりその全体が本明細書に組み込まれている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステルを含むスキン層、
少なくとも約50重量%のスチレンモノマー含量を有するスチレン系ブロックコポリマーを含むベース層、ならびに
スキン層とベース層の間の、スキン層およびベース層の少なくとも1つに直接隣接する中間層(中間層は、
(i)アルファ−オレフィン/環式オレフィンコポリマーおよびアルファ−オレフィン/ビニル芳香族コポリマーから選択される1種以上のポリマー、ならびに
(ii)エチレン/不飽和エステルコポリマーおよび、最大で約50重量%のスチレンモノマー含量を有するスチレン系ブロックコポリマーから選択される1種以上のポリマー
を含む。)を備え、
100℃において、少なくとも約10%の、少なくとも一方向における自由収縮を有する
フィルム。
【請求項2】
中間層が、スキン層に直接隣接している、請求項1のフィルム。
【請求項3】
中間層が、ベース層に直接隣接している、請求項1のフィルム。
【請求項4】
中間層が、スキン層およびベース層の両方に直接隣接している、請求項1のフィルム。
【請求項5】
ベース層のスチレン系ブロックコポリマーが、スチレン/ブタジエンコポリマーを含む、請求項1のフィルム。
【請求項6】
ベース層のスチレン系ブロックコポリマーが、不飽和カルボン酸無水物により変性されたスチレン/ブタジエンコポリマーを含む、請求項1のフィルム。
【請求項7】
ベース層が、ベース層の重量基準で少なくとも約50%の、スチレン系ブロックコポリマーを含む、請求項1のフィルム。
【請求項8】
ベース層が、ベース層の重量基準で約0.5%から約30%の、少なくとも約90重量%のスチレンモノマー含量を有するポリスチレンをさらに含む、請求項1のフィルム。
【請求項9】
スキン層が、グリコール変性ポリエステルを含む、請求項1のフィルム。
【請求項10】
スキン層が、スキン層の重量基準で少なくとも約80%の、グリコール変性ポリエステルを含む、請求項1のフィルム。
【請求項11】
スキン層が、スキン層の重量基準で少なくとも約80%の、グリコール変性ポリ(エチレンテレフタレート)を含む、請求項1のフィルム。
【請求項12】
中間層が、アルファ−オレフィン/環式オレフィンコポリマーを含む、請求項1のフィルム。
【請求項13】
中間層が、中間層の重量基準で約0.5%から約20%の、アルファ−オレフィン/環式オレフィンコポリマーを含む、請求項1のフィルム。
【請求項14】
中間層が、中間層の重量基準で約0.5%から約20%のアルファ−オレフィン/環式オレフィンコポリマー(アルファ−オレフィン/環式オレフィンコポリマー主鎖の一部としての環式環を生成するために、環式オレフィンモノマーの脂環式環内にある炭素−炭素二重結合を利用する重合によって形成されている。)を含む、請求項1のフィルム。
【請求項15】
中間層が、中間層の重量基準で約0.5%から約20%の、エチレン/ノルボルネンコポリマーを含む、請求項1のフィルム。
【請求項16】
中間層が、アルファ−オレフィン/ビニル芳香族コポリマーを含む、請求項1のフィルム。
【請求項17】
中間層が、中間層の重量基準で約0.5%から約20%の、アルファ−オレフィン/ビニル芳香族コポリマーを含む、請求項1のフィルム。
【請求項18】
中間層が、1種以上のポリマー(ii)の中間層を少なくとも約80重量%含む、請求項1のフィルム。
【請求項19】
中間層が、エチレン/酢酸ビニルコポリマーおよび不飽和カルボン酸無水物変性エチレン/酢酸ビニルコポリマーから選択されるポリマーを、中間層の重量で少なくとも約60%含む、請求項1のフィルム。
【請求項20】
中間層が、最大で約50重量%のスチレンモノマー含量を有するスチレン系ブロックコポリマーおよび、最大で約50重量%のスチレンモノマー含量を有する不飽和カルボン酸無水物変性スチレン系ブロックコポリマーから選択されたポリマーを、中間層の重量で少なくとも約60%含む、請求項1のフィルム。
【請求項21】
中間層が、スチレン/エチレン−ブチレン/スチレンブロックコポリマーおよび不飽和カルボン酸無水物変性スチレン/エチレン−ブチレン/スチレンブロックコポリマーから選択されたポリマーを、中間層の重量で少なくとも約60%含む、請求項1のフィルム。
【請求項22】
中間層が、エチレン/C−C12(メタ)アクリル酸アルキルコポリマーおよび不飽和カルボン酸無水物変性エチレン/C−C12(メタ)アクリル酸アルキルコポリマーから選択されたポリマーを、中間層の重量で少なくとも約60%含む、請求項1のフィルム。
【請求項23】
フィルムのヤング率が、少なくとも約200,000psiである、請求項1のフィルム。
【請求項24】
少なくとも一方向における自由収縮が、少なくとも約40%である、請求項1のフィルム。
【請求項25】
請求項1のフィルムを含む収縮スリーブ。
【請求項26】
容器にラベルを付す方法であって、
請求項25の収縮スリーブを容器の周りに置くステップ、および
収縮スリーブを収縮させて、容器に収縮スリーブをぴったり密着させるステップ
を含む、方法。
【請求項27】
スキン層が第1のスキン層であり、
中間層が第1の中間層であり、および
第1の中間層が第1のスキン層とベース層の間にある請求項1のフィルムであって、
ならびにさらに
ポリエステルを含む第2のスキン層、および
スキン層とベース層の間の、第2のスキン層およびベース層の少なくとも1つに直接隣接する第2の中間層(第2の中間層は、
(i)アルファ−オレフィン/環式オレフィンコポリマーおよびアルファ−オレフィン/ビニル芳香族コポリマーから選択される1種以上のポリマー、ならびに
(ii)エチレン/不飽和エステルコポリマーおよび、最大で約50重量%のスチレンモノマー含量を有するスチレン系ブロックコポリマーから選択される1種以上のポリマー
を含む。)を備える、フィルム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2010−519066(P2010−519066A)
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−549616(P2009−549616)
【出願日】平成20年2月13日(2008.2.13)
【国際出願番号】PCT/US2008/001923
【国際公開番号】WO2008/100550
【国際公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(500256772)クライオバック・インコーポレイテツド (25)
【Fターム(参考)】