説明

収縮バルブ及びこれを備える石膏スラリー混合・分注システム

【課題】高粘性流体の混合及び分注装置において、空気混入が少なく、且つ、可撓性チューブ(収縮バルブ)を用い連続的に流量制御する装置及び方法を提供する。
【解決手段】第1のガイド板と第2のガイド板の間にチューブ状の可撓部材が複数架け渡され、可撓性チューブ内を高粘性流体が通過する。第1のガイド板と第2のガイド板の内、ガイド板間の間隔を確保しながら、一方を固定し、他方を回動させることにより、可撓性チューブに捩れを発生させ、チューブ内径面積を変化させ、内部流体の通過抵抗を変化させることにより流量制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、石膏製品(即ち、硫酸カルシウム二水塩を含む製品)を、焼成された石膏(即ち、硫酸カルシウム半水化物)の開始材料から準備するための方法及び装置に関するものである。より詳細には、本発明は、導管の改善されたバルブに関するものあり、当該導管は、スラリー混合器の下流に設けられており、通常は攪拌された石膏のスラリーを壁板生産ラインに供給するために使用されるものである。石膏壁板製造の基本技術は、米国特許出願1,500,452号、2、207,339号、及び4,009,062号に開示されており、これらは参照することによって本明細書に組み込まれる。本装置は、分注システムからのスラリーの改善された流れを提供し、壁板製造ラインにおいて石膏スラリーの均一な滑らかさを向上する。
【0002】
公知の石膏製品の製造方法は、焼成された石膏を水中に均一に分散させてスラリーを形成し、次いで、スラリーを所望の形状の型又は表面に投じ、焼成された石膏(硫酸カルシウム半水化物又は無水石膏)と水とを反応させて水和石膏(硫酸カルシウム二水塩)を作成することによって、スラリーを固めて、硬化した石膏を形成する。
【0003】
石膏壁板の混合器は、通常、ハウジングを有している。ハウジングは、当該分野で公知の他の添加物のうち焼成された石膏及び水を受ける入口を有する混合器チャンバを画成する。混合器は、インペラー、又は混合物、即ちスラリーへと混合されるべき内容物を攪拌する他のタイプの攪拌器を有する。放出ゲート又は抽出部は、混合器から分注システムへのスラリーの流れを制御する。
【0004】
特定の粘度、又は他の特性を示すスラリーは、異なる量の材料、添加物、混入空気等を必要とし、異なる処理時間及び装置が必要となり得る。混入空気が少量であることを要するスラリーを固める際に、ピンチ型バルブを使用することが知られている。当該ピンチ型のバルブは、スラリーを運ぶ弾性導管を締め付けるものである。導管を締め付けると、当該導管のオリフィスが小さくなり、次いで、オリフィスを経る圧力損失が増し、背圧が増し、混合器内のスラリーの量が増し、導管を経る流れが加速される。これによって、滑らかで、混入空気が少なく、特定の用途のためのより望ましいスラリーがもたらされる。
【0005】
滑らかに調整されたスラリーを分注することに関連する操作上の問題の幾つかに対処する従来の装置は、ピンチ型のバルブを含んでおり、当該バルブは、機械的に操作、即ち、弾性導管を締め付けるよう圧縮空気又は水圧によって操作することができる。しかしながら、ピンチバルブは、導管を偏平した又は矩形状のオリフィスへと変形するものであり、当該オリフィスは、流れの中で早期に硬化したスラリーによる閉塞を受けやすい。このことは、流速が小さいオリフィスの角で顕著である。さらに、ピンチバルブの入口オリフィス及び出口オリフィスは、圧力が導管に略単一面で働き、緩やかな通過ができないので、急峻なものである。このように急峻な入口及び出口は、更にスラリー製造装置の閉塞をもたらし得るものであり、これによって、修理のためにコストのかかる休止時間が生じる。
【0006】
マッスルバルブは、厚い弾性スリーブの周囲の水圧チャンバからなり、円形のオリフィスを提供するが、急峻な流れの流路をもたらす。これは、圧力が略単一面で又は導管に沿った一点に働くからである。さらに、マッスルバルブは、しばしば、サイズにおいて巨大なものとなり、目詰まり(plug)や蓄積物(buildup)を清掃するための、又は流路自体を通るスラリーの流れの通例の観察のための、オリフィスへのオペレータのアクセスを制限する。
【0007】
プランジャ型のバルブ、ナイフエッジバルブ、及び、「ガローテ」に似た作用を有するカスタムメイドの絞り弁も、知られている。これらバルブの使用においても、マッスルバルブやピンチバルブについて示したように、同様の問題が見られる。特に、固体が容易に蓄積し、結晶化した石膏が形成されて、早期に装置の目詰まりが発生する。
【0008】
さらに、従来技術のバルブは、所与の量の導管における条件に対応する正確な設定を容易に再生することができない。また更に、従来技術のバルブは、交換可能な部品を有しておらず、また、異なるサイズの導管に使用し得るよう調整することができない。
【0009】
したがって、スラリー混合装置分注システム用の改善されたバルブ、及び、より滑らかで空気混入のより少ないスラリーをもたらす方法が要請されている。
【0010】
さらに、分注導管の中で早期に固まったスラリーが発生することを防止するスラリー混合装置分注システム用の改善されたバルブが要請されている。
【0011】
また更に、混合装置から分注システムを介して生産ラインへの石膏スラリーの流れを、連続して変えることができる改善されたバルブ、及び使用方法が要請されている。
【0012】
さらに、石膏スラリー混合装置分注システム用の改善されたバルブ及び使用方法であって、異なるサイズの導管に容易に適用可能な部品を有するバルブ及び方法が要請されている。
【0013】
さらに、石膏スラリー混合装置分注システム用の改善されたバルブ及び使用方法であって、分注システムから放出されるスラリーの量を変更するための容易にアクセス可能なメカニズムを提供するバルブ及び方法が要請されている。
【発明の概要】
【0014】
従って、上述した要求を、本発明の装置及び方法は満足し、又は超えるものであり、当該装置及び方法は、スラリーの流れを制御するものであって、混合及び分注装置において収縮バルブを用いるという特徴を含んでいる。混合装置が使用されて焼成された石膏及び水が混合及び攪拌され、水分散液、即ち焼成された石膏のスラリーが形成される。内容物が攪拌された後、当該内容物は混合器の出口を介して分注装置に送られる。分注装置は、細長い、好ましくは柔軟性のある導管であって、スラリーを均一に混合するための追加のスペースを提供する導管を含むことが好適である。柔軟性のある導管に収縮バルブを設けることによって、導管が収縮したときに、背圧が混合物に対して生成され、混合機内の混合物の量における増加が生じる。不必要な石膏の早期の硬化は、導管が収縮する場合に防止され、これによって塊の発生が低減される。
【0015】
好適な実施の形態では、収縮バルブは、第1のガイド板と第2のガイド板とを有しており、当該第1及び第2のガイド板は、導管の長手方向に沿って間隔を置いている。二つのガイド板の間に延びる複数の細長い部材は、第1の端部及び第2の端部を有しており、当該第1の端部及び第2の端部は、第1のガイド板及び第2のガイド板に係合している。第1のガイド板又は第2のガイド板のうち少なくとも一方が相対的に回転する際に、細長い部材は、圧力を伝達して導管を収縮されるようになっている。細長いガイド部材は、好ましくは剛体ロッドであり、導管の周りに配列されており、圧力を伝達して導管を収縮させるように構成されている。
【0016】
更に詳細には、アクチュエータによって駆動されると、第1のガイド板及び第2のガイド板のうちの少なくとも一方が、導管の長軸を中心に、他方の板に対して相対的に回転する。細長い部材の第1の端部の円周方向の変位は、導管の形状を回転双曲面に近づける。圧力が導管に伝達されて、導管の長手方向に沿った多数の面で導管を半径方向に収縮させる。得られる導管の形状は、導管の長手方向に沿ってとられた複数の断面において、略滑らかで、且つ、円形であり、好ましくは、導管の長手方向に沿ってとられた任意の断面において略滑らかで、且つ円形である。
【0017】
本発明の他の特徴は、第1のガイド板を、第2のガイド板に対して相対的に回転するアクチュエータを含むことである。好ましくは、収縮バルブのガイド板間の相対的な回転量が、連続的に可変であり、手動又は自動の何れかで制御することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
まず、図1を参照する。混合装置は、スラリーを混合して分注するものであり、概して10で示されており、混合器モータ13を有する混合器12と、スラリーを受けて混合するようになっているハウジング14と、を備えている。ハウジング14は、スラリーを保持するチャンバ(図示せず)を有しており、好ましくは略円筒形状をなしている。ハウジング14は、上壁16、下壁(図示せず)、及び環状の周壁18を有している。焼成された石膏及び水、並びに他の材料または添加物は、石膏製品を準備するためのスラリーに用いられるものであり、混合装置10内で混合される。
【0019】
出口20は、混合器出口、放出ゲート、又はスロットと称されることもあるものであり、周壁18に設けられており、十分に混合されたスラリーの大部分を、概して本明細書では分注装置22と称される部分へ放出するものである。
【0020】
分注装置22は、細長い、好ましくは円筒形状の柔軟性のある弾性管、即ち導管24を有しており、当該導管24は、混合器出口20に連通してスラリーを受ける主入口26を有している。
【0021】
分注装置22は、従来からある石膏壁板ライン上に位置するように示されている。このラインは、運搬テーブル23Aを有しており、当該運搬テーブル23A上では、フェイスペーパ(Face Paper)製の被覆物23Bが、運搬ベルト又は被覆物23C上において、矢印Dで示された方向に移動される。混合器12は、フレーム部材によって支持されているように示されているが、これは、当該分野で知られているように、混合器及び他の関連の装置を支持するのに十分なフレーム又は台であってもよい。
【0022】
幾つかの用途では、スラリーSは、出口、即ち吐出口27から紙製の被覆物23B上に分注される。
【0023】
操作に際し、滑らからスラリーを被覆物に対して供給する方法は、焼成された石膏及び水を混合器12に入れる工程と、混合器内の内容物を攪拌して焼成された石膏の水分散液を形成する工程と、攪拌された内容物を混合器12の出口20から放出する工程と、攪拌された内容物を分注装置22の主入口26へと通す工程と、混合物に背圧を生成する工程と、混合器12内の混合物の量を、本発明の収縮バルブを用いて導管を収縮させることによって低減する工程とを、含むことが理解されよう。混合器内のスラリーの圧力は、収縮バルブ28によって増加される。当該バルブ28は、ベンチュリ形状のオリフィス29を導管24内に形成し、導管24はその径を可変的に低減される。
【0024】
一般的に、導管24がより長くなり、特に、収縮バルブ28内に配置された導管の部分がより長くなると、スラリーの混入空気がより少なくなり、スラリーがより滑らかなものとなる。滑らかなスラリーは、通常、規制なく混入する空気を少なくし、部分的に凝結したスラリーの塊を少なくする。本発明によって実現される改善されたスラリーの滑らかさによる利益は、板(ボード)における気泡の低減及び排除、改善された強度をもたらす板の均一性、並びに、板の製造における潜在的な水の低減を含むものであり、したがって、炉におけるエネルギー節約、又はラインの速度の向上をもたらす。
【0025】
導管24は、好ましくは、タイゴン(Tygon)チューブ等の、弾性材料からなる柔軟性のあるホースであり、十分な強度及び柔軟性を有するものであり、径方向の圧力にさらされたときに、元来の径の約1/2の径にサイズを縮小することが可能である。或いは、弾性特性を示す任意の管類が考えられ、また更に、導管24の品質に悪影響を及ぼさない限り、オリフィスの表面積を任意に縮小することも考えられる。好ましくは、1〜3インチの範囲にある径をもち、約1/4インチの壁厚をもつ導管が採用されるが、他の径及び壁厚が用途に合致するよう考慮される。
【0026】
採用される導管24の特定の厚さ及び構成に影響する因子は、とりわけ、製造される壁板の厚さ、必要なスラリーの量、混合器12、混合器出口20及び壁板形成プレートの間の距離、並びに、凝固速度、水/スタッコ(stucco)比、ガラスファイバの使用、及び所望の発泡率を含むスラリー製造の個々の特性を含む。ある導管サイズは、特定の壁板の製造ラインに依存して、他のものよりも好ましいものとなり得る。
【0027】
図1〜3を参照すると、連続可変バルブ、即ち収縮バルブ28は、分注装置22に結合されている。収縮バルブ28は、可変的に、オリフィスを通る流れを減じ、材料がオリィスを通って流れるときに圧力損失を増加させる。収縮バルブ28は、柔軟性のある導管24の周囲において円周方向に細長い部材を有している。当該細長い部材は、好ましくは剛体ロッド30であり、互いに並行に配列され、且つ互いに間隔を置いて柔軟性のある導管を囲んでいる。剛体ロッド30(図4及び図5において最も良く見ることができる)は、好適にはチタン、又は特定の用途に適した十分な強度の他の材料からなるものであり、好適には約9インチの長さと約半インチの径を有している。様々な材料、長さ、及びサイズのロッド30を、用途に合わせて使用してもよいことを理解されたい。さらに、ロッド30の長さがより長くなると、力が及ぶ部分の導管24の長さもより長くなり、オリフィスを通る流れがより滑らかになる。しかしながら、過度に長いロッド30は、比較的大きな力が加わることによって曲がり易いものとなる。
【0028】
ここで図2〜図8を参照する。バルブ28のハウジング32は、好適には略円筒形状であり、好適には固定ガイド板34(図4)及び回転ガイド板36を支持する。ただし、両ガイド板が回転する別の実施の形態も考えられる。回転ガイド板36及び固定ガイド板34はそれぞれ、ハウジング32の近位端38及び遠位端40において、導管24の長手方向に沿って互いに離間して、設けられている。好適には、ガイド板34及び36は3/8インチのアルミシートから形成され、中空の中心部をもつ略ディスク形状を有しており、その内径が好ましくは外径の約半分である。内径は、導管24がガイド板34及び36の中心部を通過し得れば足りるものである。ガイド板34及び36は、剛体ロッド30がそれらの間に延在し得るのに十分な追加の間隔をもっている。
【0029】
細長い部材の係合部は、剛体ロッドを配列位置に保持しており、これは、好適にはアーチ状の凹部、即ちスカラップ42であり(図9に最も良く見ることができる)、環状のガイド板34及び36それぞれに、当該板の内周縁で内側の円周全体に沿って、形成されている。剛体ロッド30は、窪んだ凹部、即ちスカラップ42の中に設けられ(図2Aに最も良く見ることができる)、柔軟性のある導管24によって適切な位置に保持される。他の細長い部材の係合部、例えば、クリップ、タイ、又は、ロッド30をガイド板34及び36に結合する如何なる他の構成も、考えられる。好ましくは、回転ガイド板36と固定ガイド板34の間の導管24に沿った長手方向の距離は、9インチの長さの剛体ロッド30が使用される場合に、約7インチである。この間隔をガイド板34及び36の間に有することは、ロッドの長さに伴って変化し得る。
【0030】
好適な実施の形態では、各スカラップ42は、剛体ロッド30の径より僅かに大きい径を有しており、スカラップは、板34及び36の周縁の周りにおいて、ロッドの径より小さい距離の間隔を、互いに置いている。さらに、好適な実施の形態では、スカラップ42間の距離は、約1/4インチである。しかしながら、ロッド30の数、従ってスカラップ42の数は、使用される導管24の径、及び使用される剛体ロッドの寸法に依存することを理解されたい。好適には、スカラップ42間の距離は、剛体ロッド30の径より小さく、また更に、スカラップ間の距離は、ガイド板34及び36の内周の周りで均一であり、これによって、圧力が導管24に伝達されると、導管は均一に変形して略円形を維持する。導管24が略円形となることは、目詰まりを防止する点において望ましいものであるので、ロッド30の任意の他の形状、例えば、先細りの棒状体、又は、略滑らかで円形のオリフィス29を維持しつつ導管を締め付ける任意の他の形状が、考えられる。
【0031】
ここで、図2A〜図3、及び図4〜図5を比較する。ガイド板34及び36が相対的に回転すると、剛体ロッド30はスカラップ42内に維持され、ロッドが柔軟性のある導管24の周りにおいて、絞り(Wringing)作用で捩れたようになる。しかしながら、ロッド30は略完全な剛体であるので、ロッドは変形しないか無視できる程度の変形しかしない。ガイド板34及び36の相対的な回転によって、剛体ロッド30は導管24を押し込むようになり、導管の折り曲げ及び有害な不具合をもたらすことなく、オリフィスにおける導管の径を縮小する。さらに、相対的な回転動作の間、剛体ロッド30はスカラップ42内に維持されるが、少量の遊びのために、ロッド30はガイド板34及び36に対して配向を変えることが理解されるであろう。ガイド板34及び36に対する略標準の配列から始まり(図2A及び図4)、ガイド板の相対的な回転の後、各ロッド30は標準の配列から傾斜する(図3及び図5を参照)。ガイド板34及び36の一方では、ロッドは下方の一方側へ傾斜し、ガイド板34及び36の他方では、ロッドは等しい大きさで反対の方向性をもつようになる(概略的には図5に見られる)。
【0032】
ガイド板34及び36の相対的な回転によって、剛体ロッド30は柔軟性のある導管24を収縮させる。導管24の個々の断面積であって、当該導管の長手方向に沿う複数の位置でとられた当該断面積は、その径に関する変化を生じるが、滑らかさを維持し且つ略円形を維持する。収縮したオリフィス29が略円形であることは、ロッド30が導管24の長手方向に沿った多数の面において半径方向に圧力を与えることによって、もたらされる。図3、6、及び7を参照すると、バルブ28への入口において、導管24の断面積は、当該導管の初期の径からバルブの中央において約1/2の径(又は任意の他の所望の径)となるまで、その半径に関して徐々に減少する。インサイチュでの試験は、導管の長軸に対する入口角A(図7を参照)が、3インチの導管24を用いた場合に、12度又は12度より小さい角度で(滑らかなスラリーの流れ及び少ない目詰まりという点において)最適であることを示した。しかしながら、所与の粘度を有し所与の導管を流れる所与のスラリーの非ニュートン流動に関する多くの因子を想定すると、ベンチュリへの滑らかな移行を可能にし、更に、スラリーが集まって早期に硬化する箇所をもたらす内部の閉塞を最小化する他の角度も、また、考えられる。
【0033】
ここで、図7を参照する。バルブ28が駆動位置にある場合に生じる導管24の形状は、回転双曲面に近づく。即ち、剛体ロッド30によって与えられる圧力がもたらす導管の壁44のカーブは、その準線(directrix)に近づく双曲線状のカーブに近い。さらに、この双曲線を想定して、当該双曲線を準線から45度の軸(導管の長軸)周りに回転すると、回転双曲面を得ることができる。この形状では、導管24の長手方向に沿って生成される略円形の流路だけでなく、近位端38及び遠位端40(ベンチュリ形状のオリフィスの入口及び出口)における径の緩やかな減少も得られる。
【0034】
次に図3、5、及び8を参照する。ハウジング32の静止した遠位端40では、固定ガイド板34は、遠位のハウジング板46に固定されている。好ましくは、固定ガイド板34は、少なくとも一つ、好ましくは複数のハウジング締結具、例えば、ガイド板の外周縁の周りに間隔をおいて配置されたタイロッド48を用いて固定されている。中央が空洞のディスク形状を有し、導管24及び剛体ロッド30が通ることが可能になっている場合には、遠位のハウジング板46は、14ゲージステンレス鋼製であることが好ましい。遠位のハウジング板46は、内側ハウジング板50及び外側ハウジング板52に対して、間隔をおいて固定されている。当該内側ハウジング板50及び外側ハウジング板52の両者は、バルブ28の近位端38に設けられている。同時に、三つのディスク形状のハウジング板46、50、及び52は、収縮バルブ28の静止したハウジング32を形成する。タイロッド48は、遠位のハウジング板46と内側及び外側ハウジング板50,52との間の固定された間隔を維持する。さらに、タイロッド48は、板46、50、及び52の外側の周縁に、当該板同士の静止した関係を維持するのに十分な数及び位置で、配列されていることが好ましい。さらに、他の締結具及び構成が考えられるが、導管24を収縮バルブ28を介して容易に観察できることが好ましい。
【0035】
次に図2A、2B、及び3を参照する。ハウジング32の近位端38では、アーム54が、ハウジングから延びており、好ましくは、副アーム部品56及び主アーム部品58を有している。副アーム部品56及び主アーム部品58は、更に好ましくは、ボルトと孔を用いた構造59によるように、互いに調整可能に連結されている。アーム54の端部には、中間ディスク60があり、当該ディスク60は、内側ハウジング板50と外側ハウジング板52の間に延在しており、好ましくは、これらハウジング板と略面一に重ねられている。アーム54の中間ディスク60は、また、ハウジング板50及び52に対して静止しており、タイロッド48によってハウジング板に固定されていることが好ましい。他の構成のうち、中間ディスク60は、ワッシャ、又は内側ハウジング板50及び外側ハウジング板52を間隔をおいた関係に維持するのに使用される他のスペーサであることも考えられる。中間ディスク60の内側の領域は、導管24とロッド30の両者を囲むだけでなく、内側のハウジング板50及び外側のハウジング板52の内側の領域より大きく、ハウジング板50及び52の間にキャビティ62(図2A及び図3を参照)を形成する。
【0036】
好ましい実施の形態では、回転ガイド板36は、拘束板64に、少なくとも一つの、好ましくは複数の回転ガイド板締結具によって、固定されている。拘束板64は、また、当該拘束板が剛体ロッドの周方向の移動と傾斜に対して干渉又は妨害しないように、導管24及び剛体ロッド30を囲んでいる。拘束板64は、内側ハウジング板50と外側ハウジング板52の間のキャビティ62内に設けられている一方で、それ自体、中間ディスク60によって囲まれている。中間ディスク60の内側縁部は、略円形の接触面(interface)66を提供しており、当該接触面66に沿って略円形の拘束板64がキャビティ62内で回転することができる。潤滑剤を拘束板64と中間ディスク60との隙間に加えて、拘束板が接触面66に対して摺動可能に係合することを促進する。拘束板64及び回転ガイド板36は、回転ガイド板締結具65によって互いに固定されているので、これらは共に単一動作で回転する。
【0037】
好ましい実施の形態では、複数のワッシャ67(図4及び図5を参照)のようなスペーサ構造が、中間ディスク60と内側ハウジング板46の間に設けられており、拘束板64にキャビティ62内で回転するための追加のスペースを与えている。或いは、拘束板64及び回転ガイド板36のキャビティ62内での回転を、内側ハウジング板50及び外側ハウジングプレート52からの干渉が無いように促進する他の構成も考えられる。
【0038】
拘束板64及び回転ガイド板36の回転は、アクチュエータ68の使用によってもたらされる。このアクチュエータ68は、商業利用可能なDuff−Nortonによる線形アクチュエータ、又はレバー、流体動力シリンダのような任意の他の機構デバイスといったものであり、当該分野で知られたものである。アクチュエータ68は、アタッチメント部材70に回転ジョイント、例えばピン結合ジョイント71を用いて枢動可能に結合されており、部材70は、好ましくは、アクチュエータを拘束板64及び回転ガイド板36の両者に、複数の回転ガイド板締結具65によって結合する。
【0039】
アクチュエータ68の他端(図2Bを参照)では、アクチュエータ68は、好ましくはアーム54に結合リンク72を用いて結合されている。結合リンク72は、好ましくは、アーム54に、ボルト及び孔を用いた構造59で結合されている。他端において、結合リンク72は、好ましくは、ピン結合ジョイント71を用いてコントローラ73に枢動可能に取り付けられている。コントローラ73は、コンピュータ又はポテンショメータといったものであり、アクチュエータ68の駆動を制御する。自動又は手動のアクチュエータ68の調整が、当該分野で知られているように、考えられる。さらに、連続的な調整も考えられ、フィードバックループによって調整されることが好ましい。バルブ28の収縮は、一又は複数の因子を検知して、コントローラ73によって始動してもよい。当該因子には、混合器モータ13の電動負荷、分注システム22を通る流体速度、混合又は分注システムにおける圧力、スラリーの粘度、アクチュエータ68の電動負荷、又は任意の他の因子がある。さらに、制御可能で再生可能な導管の収縮量の精度を、アクチュエータを用いた構成によって実現することが可能である。これは、導管の収縮量が、ガイド板の回転量に直接的に関連するからである。
【0040】
アクチュエータ66が駆動されて線形に伸びると、アタッチメント部材70が拘束板64を、引いては回転ガイド板36を、キャビティ62内で中間ディスク60の接触面66に沿って回転させる。より具体的には、この回転は、概ね導管24の長軸周りのものである。回転ガイド板36が回転すると、スカラップ42内に配置された剛体ロッド30の第1の端部74が、回転ガイド板36の回転経路に追従し、一方、剛体ロッドの第2の端部76(図4及び図5を参照)は、円周方向には変位しない。この「絞り」動作は、導管24に圧力を与えるものである。また、これは、ガイド板34及び36の少なくとも一方の回転であり、これによって、導管は、略滑らかな円形状を、導管24の長手方向に沿ってとった複数の断面においてもつようになる。さらに、好ましい実施の形態では、図7の平面図に見られるように、導管の長手方向に沿ってとった断面であって、長軸に対して法線方向のどの断面も、略滑らかな円形状である。
【0041】
ロッド30を、ガイド板34及び36内に維持するために、近位の保持板78(図2A)と遠位の保持板80(図5)とが、収縮バルブ28の近位端38と遠位端40に、それぞれ配置されていることが好ましい。好ましくは導管24のみを囲む、中央が空洞のディスク形状を持つことで、保持板78及び80は、剛体ロッド30がガイド板34及び36から滑り出ることを防止する。保持板78及び80は、好ましくは、ガイドプレート34及び36に対して間隔を置いて配置されており、二つの保持板78及び80の間の距離は、好ましくは、ロッド30の長さより僅かに長い。保持板78及び80は、好ましくは、ガイド板34及び36に、回転ガイド板締結具65と固定ガイド板締結具82によって固定される。しかしながら、ロッド30をガイド板34及び36に対して動作可能に維持する他の方法が採用されることを想定すると、保持板がハウジング32に固定されること、また、保持板が省略されることも考えられる。
【0042】
好ましい実施の形態では、図9を参照すると、締結具65が、近位の保持板78、アタッチメント部材70、拘束板64、及び回転ガイド板36を、互いに静止した関係で取り付けている。アクチュエータ68の駆動時には、アタッチメント部材70、近位の保持板78、高速板64、及び回転ガイド板36は、導管24の中心における長軸の周りに単一動作で回転する。
【0043】
収縮バルブ28を組み立てるために、導管24を、ハウジング32、ガイド板34及び36、中間ディスク60、拘束板64、並びに、保持板78及び80を通さなければならず、ロッド30を、導管24とガイド板の間でスカラップ42内に配置しなければならない。ロッド30を適切に配置すると、保持板78及び80を、両端部38及び40で固定することができる。バルブ28は、好ましくは、中央が空洞のディスク形状の板を有しているが、バルブは、静止したハウジングを有し「絞り」動作を可能にする任意の他の形状及び構成をとることも考えられる。
【0044】
好ましい実施の形態では、固定ガイド板34及び回転ガイド板36が、好ましくは、異なるサイズのガイド板と容易に交換可能であり、異なるサイズの導管24に適応する。ガイド板34及び36は、導管24の径と略同じ大きさであるべき内径を要する唯一のディスク形状の板であるので、ハウジング板46、50、及び52、並びに拘束板64が、様々な導管のサイズに適応するのに十分な内径を有する限り、ガイド板34及び36、並びに保持板78及び80のみが、異なるサイズの導管に適当するために変更されることを要求されてもよい。固定ガイド板34及び回転ガイド板36はそれぞれ、遠位のハウジング板46及び拘束板64に、取り外し可能に固定されており、わずかな分解によって変更される。固定ガイド板34を遠位のハウジング板46に結合する締結具82、及び回転ガイド板36を拘束板64に結合する締結具65を緩めることによって、二つのガイド板、並びに二つの保持板78及び80を、バルブのハウジング32の他の部分を変更することなく、容易に交換可能である。
【0045】
本発明に使用されるタイプの典型的な混合器12は、放出ゲート又は出口20で対応の力又は圧力を用いて計測した場合に、約500〜3000ft/minのスラリーの速度を発生する。混合器12に投入される材料の量と混合器における材料の保持時間との関係で、分注システム22からの流れの量は、混合機内の材料のレベルを決定する。この材料のレベルは、分注システム22における圧力ヘッドを決定する。圧力が増加すると、混入空気はスラリー内で減少する。この圧力を所望の量に増加又は減少するために、バルブのオリフィスを通した圧力損失を、アクチュエータ68を介して導管24を収縮させることによって、可変に減少又は増加することができる。
【0046】
本発明の収縮バルブの具体的な実施の形態を示し説明したが、当業者であれば、本発明への変更及び修正を、そのより広い態様における本発明から離れることなく、特許請求の範囲に記載されたように、成し得ることが理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の収縮バルブを組み込んだ混合装置の一部を上から見て示す模式的な平面図である。
【図2A】弛緩位置にあり、固定リング及び回転ガイド板を露出するように部分的に切り取られた図1の収縮バルブのハウジング部の前方端面図である。
【図2B】弛緩位置にある図1の収縮バルブのアクチュエータ部の前方端面図である。
【図3】駆動位置にあり、固定リング及び回転ガイド板を露出するように部分的に切り取られた図1の収縮バルブのハウジング部の前方端面図である。
【図4】弛緩位置にある図1の収縮バルブを上から見て示す平面図である。
【図5】駆動位置にある図1の収縮バルブを上から見て示す平面図である。
【図6】弛緩位置にある図1の収縮バルブの長手方向軸線に沿ってとられた断面図である。
【図7】駆動位置にある図1の収縮バルブの長手方向軸線に沿ってとられた断面図である。
【図8】弛緩位置にあり、固定ガイド板を露出するように部分的に切り取られた図1の収縮バルブの後方端面図である。
【図9】本発明のスカラッププレートの平面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
混合器と分注装置とを備える石膏スラリーの分注アセンブリに使用されて、前記混合器の下流に位置し柔軟性及び弾性を有する導管を収縮させるための収縮バルブであって、
第1のガイド板及び第2のガイド板と、
複数の細長い部材と
を備え、
前記第1のガイド板及び前記第2のガイド板は、前記導管がこれらのガイド板の中心部を通過し得るに十分な内周縁を持つ中空の中心部を含む略ディスク形状になっており、
前記第1のガイド板及び前記第2のガイド板は、前記内周縁の近くに設けられた複数の細長い部材の係合部であって、複数の細長い部材を係合するための該係合部を有し、
前記第1のガイド板及び前記第2のガイド板は、前記導管の長手方向に沿って互いに離間しており、
前記第1のガイド板及び前記第2のガイド板の一方は、当該一方のガイド板が、前記導管の長軸を略中心にして他方のガイド板に対して回転するよう、前記導管に回転可能に取り付けられており、
前記複数の細長い部材はそれぞれ、前記第1のガイド板における前記細長い部材の係合部の一つに配置される第1の端部と、前記第2のガイド板における前記細長い部材の係合部の一つに配置される第2の端部とを有し、
前記複数の細長い部材における前記第1の端部及び前記第2の端部は、前記導管により前記細長い部材の係合部の中で適切な位置に保持され、
前記複数の細長い部材は、前記第1のガイド板及び第2のガイド板の少なくとも一方が回転する際、前記導管の長手方向に沿った多数の面で径方向に前記導管に圧力を与えて収縮させるよう構成されている、
収縮バルブ。
【請求項2】
前記第1のガイド板及び第2のガイド板の前記少なくとも一方の前記回転により、前記細長い部材における前記第1の端部を前記第2の端部に対して円周方向に変位させる、請求項1に記載の収縮バルブ。
【請求項3】
前記第1のガイド板及び第2のガイド板の前記少なくとも一方が回転する際、前記導管の結果的に得られる形状は、該導管の長手方向軸線を中心とした回転双曲面に近づく、請求項1又は2に記載の収縮バルブ。
【請求項4】
前記第1のガイド板及び第2のガイド板の前記少なくとも一方が回転する際、前記導管の結果的に得られる形状は、該導管の長手方向軸線に沿ってとられた複数の断面において、円形であり、滑らかである請求項1又は2に記載の収縮バルブ。
【請求項5】
前記混合器に背圧を生成し、該収縮バルブ内におけるスラリーの蓄積を低減するよう構成された、請求項1〜4のいずれか一項に記載の収縮バルブ。
【請求項6】
前記導管を囲むハウジングであって、前記第1のガイド板及び第2のガイド板の少なくとも一方に対して静止している該ハウジングを更に備える、請求項1〜5のいずれか一項に記載の収縮バルブ。
【請求項7】
前記細長い部材の係合部は、スカラップである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の収縮バルブ。
【請求項8】
該収縮バルブにおいて摺動可能に係合して回転するようになっている外側周縁を更に備える、請求項1〜7のいずれか一項に記載の収縮バルブ。
【請求項9】
手動又は自動の一方で始動されるように構成されたアクチュエータを更に備える、請求項1〜8のいずれか一項に記載の収縮バルブ。
【請求項10】
連続可変型の収縮バルブである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の収縮バルブ。
【請求項11】
前記細長い部材の係合部は、前記第1のガイド板及び前記第2のガイド板の内周縁の内側の円周に形成された複数のアーチ状の凹部である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の収縮バルブ。
【請求項12】
スラリー混合装置と、前記スラリー混合装置の下流に配置された分注装置とから構成される石膏スラリー混合・分注システムであって、
前記スラリー混合装置は、
当該スラリー混合装置から前記分注装置へのスラリーの流れを通す出口を備え、
前記分注装置は、
前記出口と連通してスラリーを受ける主入口を有する、柔軟性及び弾性を有する細長い導管と、
請求項1〜11のいずれか一項に記載の収縮バルブと
を備える、
石膏スラリー混合・分注システム。
【請求項13】
前記出口は、前記スラリー混合装置から前記分注装置へのスラリーの流れを制御するためのものである、請求項12に記載の石膏スラリー混合・分注システム。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−106676(P2011−106676A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−284754(P2010−284754)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【分割の表示】特願2007−513148(P2007−513148)の分割
【原出願日】平成17年4月12日(2005.4.12)
【出願人】(596172325)ユナイテッド・ステイツ・ジプサム・カンパニー (100)
【Fターム(参考)】