説明

受信装置、および、信号処理方法

【課題】放送波の受信状態を正確に判定する受信装置を提供することを目的とする技術に関する。
【解決手段】
特定周波数から高周波側に所定周波数の差を有するローカル信号と受信信号とを混合して得られる変換信号である第1信号と、特定周波数から低周波側に所定周波数の差を有するローカル信号と受信信号とを混合して得られる変換信号である第2信号との双方に基づいて、受信信号に特定周波数に対応する放送局の信号が含まれるか否かを判定する。これにより、希望波に対応する放送局の信号の受信状態を正確に判定できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送波の信号処理に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ラジオ、TVなどの特定周波数に対応する放送局の受信状態を判定する処理が行われている。このような判定処理は、例えば所定の周波数間隔を有する特定周波数に対して順次行われる。詳細には一の特定周波数に対応する周波数を有するローカル信号が受信装置の局部発振部で生成される。そして、当該ローカル信号と放送波を受信して得られた受信信号とが混合される。ローカル信号と受信信号との混合により受信信号が中間周波数の信号に変換される。つまり、中間周波数の変換信号であるIF(Intermediate Frequency)信号が生成される。
【0003】
そして、IF信号の信号レベル等が所定の条件を満たしている場合に、一の特定周波数に対応する放送局の受信状態が良好であると受信装置の制御部が判定する。その結果、例えば音響情報が受信装置から出力される。
【0004】
ここで、受信信号に混合するローカル信号の周波数は一の特定周波数に対して高周波側(Upper-Local)、および、低周波側(Lower-Local)のいずれか一方の周波数となるように予め設定されている。そして、一の特定周波数に対応するローカル信号の周波数も予め設定されている。例えば、一の特定周波数が83.0MHzの場合、当該一の特定周波数に対して高周波側のローカル信号は例えば、93.7MHzに設定される。そして、受信信号とローカル信号とを混合して、周波数10.7MHzのIF信号を取得する。
【0005】
そして、一の特定周波数の順次選択に応じて受信信号と混合するローカル信号の周波数も順次変更される。例えば、特定周波数よりも高周波側でローカル信号が設定されている場合に、特定周波数が83.0MHzから83.2MHzに順次選択された場合は、ローカル信号の周波数が特定周波数の変更に応じて93.7MHzから93.9MHzに順次変更される。このように、特定周波数の変更された周波数200KHzと同じ周波数がローカル信号でも変更されていた。
【0006】
ここで、受信装置内の各部品については小型化・軽量化によるコスト低減の要求がある。このような要求を充足する一つの対策としてはIF信号の周波数を低くすることがある。具体的には例えば、特定周波数とローカル信号とを混合した結果生成されるIF信号の周波数を10.7MHzから300KHzに低下させることで、IF信号に重畳するノイズを除去するフィルタの数を減らすことができる。つまり、受信装置内で処理するIF信号の周波数を低下させることで受信装置内の部品点数を減らして小型化・軽量化を行える。
【0007】
なお、本発明と関連する技術を説明する資料としては特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−154501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、IF信号の周波数を低下させることで信号処理の対象とする周波数帯(例えば、FM放送波の周波数帯)内で、以下に記載するイメージ周波数の影響を受ける場合がある。つまり、IF信号の周波数を相対的に低い周波数とすることで、信号処理の対象とする周波数帯の中でローカル信号の周波数を中心軸として一の特定周波数と対称となる周波数の位置に、ある程度の信号レベルを有する別の放送局の信号が存在する場合がある。そして、このような別の放送局が信号処理の対象とする周波数帯の中に存在する場合に、一の特定周波数の位置に本来存在しない信号(イメージ周波数)が現れるときがあった。その結果、一の特定周波数に対応する放送局の受信状態が良好でないにもかかわらず受信状態が良好であると制御部が誤った判定をする場合があった。
【0010】
本実施の形態は放送波の受信状態を正確に判定する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、放送波を受信する受信装置であって、ローカル信号を発振する発振手段と、前記放送波を受信して得られる受信信号と前記ローカル信号とを混合して、中間周波数の変換信号を取得する混合手段と、特定周波数から高周波側に所定周波数の差を有する前記ローカル信号と前記受信信号とを混合して得られる前記変換信号である第1信号と、前記特定周波数から低周波側に所定周波数の差を有する前記ローカル信号と前記受信信号とを混合して得られる前記変換信号である第2信号との双方に基づいて、前記受信信号に前記特定周波数に対応する放送局の信号が含まれるか否かを判定する判定手段と、を備える。
【0012】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の受信装置において、前記特定周波数を順次選択する選択制御手段、をさらに備える。
【0013】
また、請求項3の発明は、請求項2に記載の受信装置において、前記判定手段は、前記第1信号、および、前記第2信号のいずれか一方の信号に基づいて、前記受信信号に前記特定周波数に対応する放送局の信号が含まれると判定した場合は、他方の信号に基づいて前記受信信号に前記特定周波数に対応する放送局の信号が含まれるか否かを判定する。
【0014】
また、請求項4の発明は、請求項2または3に記載の受信装置において、前記第1信号および前記第2信号に基づいて、前記受信信号に前記特定周波数に対応する放送局の信号が含まれると前記判定手段が判定した場合に、前記選択制御手段は、前記特定周波数で選択を停止する。
【0015】
また、請求項5の発明は、請求項2または3のいずれかに記載の受信装置において、前記第1信号と前記第2信号とのいずれか一方の信号に基づいて、前記受信信号に前記特定周波数に対応する放送局の信号が含まれないと前記判定手段が判定した場合に、前記選択制御手段は、前記特定周波数の順次選択を継続する。
【0016】
また、請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の受信装置において、前記放送波に基づく受信信号の一部を通過させるとともに、前記受信信号のレベルに応じて通過させる周波数の帯域幅を変更するフィルタ手段と、前記放送波へのマルチパスの影響の程度を検出する検出手段と、前記受信信号から音声信号を取得する取得手段と、前記音声信号に含まれるノイズを検出して、前記ノイズを除去する除去手段と、前記帯域幅と、前記マルチパスの影響の程度とに基づいて、前記ノイズを検出する感度を変更する感度変更手段と、をさらに備える。
【0017】
また、請求項7の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の受信装置において、前記放送波を受信する複数のアンテナと、前記複数のアンテナのうち、前記放送波を受信して得られる受信信号の状態に応じて使用するアンテナを切り替える切替手段と、前記受信信号に含まれるマルチパスの影響を除去する除去手段と、前記受信信号の一部を通過させるとともに、前記受信信号の周波数近傍の妨害波の有無に応じて通過させる周波数の帯域幅を変更するフィルタ手段と、前記帯域幅に基づいて、前記切替手段及び前記除去手段のうちの一方を有効化し他方を無効化する制御手段と、をさらに備える。
【0018】
また、請求項8の発明は、放送波を受信する受信装置であって、前記放送波に基づく受信信号の一部を通過させるとともに、前記受信信号の信号レベルに応じて通過させる周波数の帯域幅を変更するフィルタ手段と、前記放送波へのマルチパスの影響の程度を検出する検出手段と、前記受信信号から音声信号を取得する取得手段と、前記音声信号に含まれるノイズを検出して、前記ノイズを除去する除去手段と、前記帯域幅と、前記マルチパスの影響の程度とに基づいて、前記ノイズを検出する感度を変更する感度変更手段と、を備える。
【0019】
また、請求項9の発明は、請求項8に記載の受信装置において、前記フィルタ手段は、前記受信信号の信号レベルが所定の閾値を下回る場合は、前記帯域幅を第1の幅とし、前記受信信号の信号レベルが前記閾値を超える場合は、前記帯域幅を前記第1の幅よりも広い第2の幅とする。
【0020】
また、請求項10の発明は、請求項9に記載の受信装置において、前記感度変更手段は、前記帯域幅が前記第1の幅の場合の前記感度を、前記第2の幅の場合の前記感度よりも高くする。
【0021】
また、請求項11の発明は、請求項9または10に記載の受信装置において、前記感度変更手段は、前記帯域幅が前記第2の幅の場合に、前記マルチパスの影響の程度が相対的に小さい場合の前記感度を、前記マルチパスの影響の程度が相対的に大きい場合の前記感度よりも高くする。
【0022】
また、請求項12の発明は、放送波を受信する受信装置であって、前記放送波を受信する複数のアンテナと、前記複数のアンテナのうち、前記放送波を受信して得られる受信信号の状態に応じて使用するアンテナを切り替える切替手段と、前記受信信号に含まれるマルチパスの影響を除去する除去手段と、前記受信信号の一部を通過させるとともに、前記受信信号の周波数近傍の妨害波の有無に応じて通過させる周波数の帯域幅を変更するフィルタ手段と、前記帯域幅に基づいて、前記切替手段及び前記除去手段のうちの一方を有効化し他方を無効化する制御手段と、を備える。
【0023】
また、請求項13の発明は、請求項12に記載の受信装置において、前記フィルタ手段は、前記受信信号の周波数近傍に妨害波が存在する場合は前記帯域幅を第1の幅とし、前記受信信号の周波数近傍に妨害波が存在しない場合は前記帯域幅を前記第1の幅よりも広い第2の幅とする。
【0024】
また、請求項14の発明は、請求項13に記載の受信装置において、前記制御手段は、前記帯域幅が前記第1の幅のときに前記除去手段を有効化し、前記切替手段を無効化する。
【0025】
また、請求項15の発明は、請求項13に記載の受信装置において、前記制御手段は、前記帯域幅が前記第2の幅のときに前記切替手段を有効化し、前記除去手段を無効化する。
【0026】
また、請求項16の発明は、受信した放送波の信号を処理する信号処理方法であって、ローカル信号を発振する工程と、前記放送波を受信して得られる受信信号と前記ローカル信号とを混合して、中間周波数の変換信号を取得する工程と、特定周波数から高周波側に所定周波数の差を有する前記ローカル信号と前記受信信号とを混合して得られる前記変換信号である第1信号と、前記特定周波数から低周波側に所定周波数の差を有する前記ローカル信号と前記受信信号とを混合して得られる前記変換信号である第2信号との双方に基づいて、前記受信信号に前記特定周波数に対応する放送局の信号が含まれるか否かを判定する工程と、を備える。
【0027】
また、請求項17の発明は、受信した放送波の信号を処理する信号処理方法であって、前記放送波に基づく受信信号の一部を通過させるとともに、前記受信信号の信号レベルに応じて通過させる周波数の帯域幅を変更する工程と、前記放送波へのマルチパスの影響の程度を検出する工程と、前記受信信号から音声信号を取得する工程と、前記音声信号に含まれるノイズを検出して、前記ノイズを除去する工程と、前記帯域幅と、前記マルチパスの影響の程度とに基づいて、前記ノイズを検出する感度を変更する工程と、を備える。
【0028】
さらに、請求項18の発明は、受信した放送波の信号を処理する信号処理方法であって、前記放送波を受信する複数のアンテナのうち、前記放送波を受信して得られる受信信号の状態に応じて使用するアンテナを切り替える工程と、前記受信信号に含まれるマルチパスの影響を除去する工程と、前記受信信号の一部を通過させるとともに、前記受信信号の周波数近傍の妨害波の有無に応じて通過させる周波数の帯域幅を変更する工程と、前記帯域幅に基づいて、前記切替手段及び前記除去手段のうちの一方を有効化し他方を無効化する工程と、を備える。
【発明の効果】
【0029】
請求項1の発明によれば、特定周波数から高周波側に所定周波数の差を有するローカル信号と受信信号とを混合して得られる変換信号である第1信号と、特定周波数から低周波側に所定周波数の差を有するローカル信号と受信信号とを混合して得られる変換信号である第2信号との双方に基づいて、受信信号に特定周波数に対応する放送局の信号が含まれるか否かを判定することで、特定周波数に対応する放送局の信号の受信状態を正確に判定できる。
【0030】
また、請求項2の発明によれば、特定周波数を順次選択する選択制御手段をさらに備えることで、特定周波数ごとの受信状態を正確に判定できる。
【0031】
また、請求項3の発明によれば、判定手段は、第1信号、および、第2信号のいずれか一方の信号に基づいて、受信信号に特定周波数に対応する放送局の信号が含まれると判定した場合は、他方の信号に基づいて受信信号に特定周波数に対応する放送局の信号が含まれるか否かを判定することで、一方および他方の変換信号に基づく受信状態を特定周波数ごとに正確に判定できる。
【0032】
また、請求項4の発明によれば、第1信号および第2信号に基づいて、受信信号に特定周波数に対応する放送局の信号が含まれると判定手段が判定した場合に、選択制御手段は、特定周波数で選択を停止することで、選択した特定周波数の放送局の信号が受信信号に含まれているか否かを正確に判断でき、放送局の信号が存在する周波数で選択を停止できる。
【0033】
また、請求項5の発明によれば、第1信号と第2信号とのいずれか一方の信号に基づいて、受信信号に特定周波数に対応する放送局の信号が含まれないと判定手段が判定した場合に、選択制御手段は、特定周波数の順次選択を継続することで、選択した放送局の信号が受信信号に含まれているか否かを正確に判定でき、放送局の信号が存在しない場合でも別の放送局の信号が存在しているか否かの判定が可能となる。
【0034】
また、請求項6の発明によれば、帯域幅と、マルチパスの影響の程度とに基づいて、ノイズを検出する感度を変更することで、ユーザに提供する音の品質に対して比較的影響の大きいノイズを除去することができる。
【0035】
また、請求項7の発明によれば、帯域幅に基づいて、切替手段及び除去手段のうちの一方を有効化し他方を無効化することで、音声信号へのノイズの影響を低減させて、ユーザに提供する音の品質を確保できる。
【0036】
また、請求項8の発明によれば、帯域幅と、マルチパスの影響の程度とに基づいて、ノイズを検出する感度を変更することで、ユーザに提供する音の品質に対して比較的影響の大きいノイズを除去することができる。
【0037】
また、請求項9の発明によれば、フィルタ手段が、受信信号の信号レベルが所定の閾値を下回る場合は、帯域幅を第1の幅とし、受信信号の信号レベルが閾値を超える場合は、帯域幅を前記第1の幅よりも広い第2の幅とすることで、特定周波数の信号レベルに応じた帯域幅の調整を行える。
【0038】
また、請求項10の発明によれば、感度変更手段は、帯域幅が第1の幅の場合の感度を、第2の幅の場合の感度よりも高くすることで、ユーザに提供する音の品質を低下させるノイズを確実に検出して除去できる。
【0039】
また、請求項11の発明によれば、感度変更手段は、帯域幅が前記第2の幅の場合に、マルチパスの影響の程度が相対的に小さい場合の前記感度を、マルチパスの影響の程度が相対的に大きい場合の感度よりも高くすることで、マルチパスの影響の程度に応じてノイズの感度を設定でき、ユーザに提供する音の品質を確保できる。
【0040】
また、請求項12の発明によれば、帯域幅に基づいて、切替手段及び除去手段のうちの一方を有効化し他方を無効化することで、音声信号へのノイズの影響を低減させて、ユーザに提供する音の品質を確保できる。
【0041】
また、請求項13の発明によれば、フィルタ手段が、受信信号の周波数近傍に妨害波が存在する場合は帯域幅を第1の幅とし、受信信号の周波数近傍に妨害波が存在しない場合は帯域幅を第1の幅よりも広い第2の幅とすることで、信号のノイズを低減でき、ユーザに提供する音の品質を確保できる。
【0042】
また、請求項14の発明によれば、制御手段は、前記帯域幅が第1の幅のときに前記除去手段を有効化し、前記切替手段を無効化することで、妨害波の影響によりアンテナの切替が頻繁に発生して、ユーザに提供する音の品質が低下することを防止できる。
【0043】
さらに、請求項15の発明によれば、制御手段は、帯域幅が第2の幅のときに切替手段を有効化し、除去手段を無効化することで、受信所状態の良いアンテナからの受信信号を取得し、ユーザに提供する音の品質を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図1は、受信装置のブロック図である。
【図2】図2は、高周波側信号による混合を示す図である。
【図3】図3は、低周波側信号による混合を示す図である。
【図4】図4は、チューナの処理を説明したフローチャートである。
【図5】図5は、DSPと受信制御部との処理を示すフローチャートである。
【図6】図6は、DSPの構成と受信制御部の構成とを示すブロック図である。
【図7】図7は、帯域可変フィルタの帯域幅を示す図である。
【図8】図8は、ノイズ感度を示すグラフである。
【図9】図9は、音声信号に含まれるノイズの補完処理を示す図である。
【図10】図10は、受信制御部の処理フローチャートである。
【図11】図11は、受信制御部の処理フローチャートである。
【図12】図12は、受信装置のブロック図である。
【図13】図13は、複数のアンテナを備えた車両を示す図である。
【図14】図14は、DSPの構成と、受信制御部の構成を示すブロック図である。
【図15】図15は、切替部および適応フィルタの選択の状態を示すグラフである。
【図16】図16は、適応フィルタを無効化した場合と、有効化した場合のS/N比を示すグラフである。
【図17】図17は、受信制御部の処理フローチャートである。
【図18】図18は、受信制御部の処理フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
【0046】
<第1の実施の形態>
<1.構成>
<1−1.ブロック図>
図1は、受信装置1のブロック図である。受信装置1はアンテナ101を介して放送波を受信する。そして、受信した放送波の受信信号を信号処理し、音声や画像等の出力を行ものである。また、受信装置1は、ナビゲーション案内を表示するディスプレイを有するナビゲーション装置、音楽のタイトル情報やテレビの映像および音響情報などを表示するディスプレイを備えたオーディオ装置、ユーザが携帯し車両内へ持ち込んで使用可能なスマートフォンなどである。以下、本実施の形態ではFM(Frequency Modulation)放送波を受信して音声信号を出力するラジオ装置を例に説明する。
【0047】
受信装置1は、アンテナ101、チューナ31、DSP(Digital Signal Processor)41、受信制御部51、増幅部61、操作部71、および、スピーカ201を主に備えている。
【0048】
アンテナ101は車両に設けられ、放送波を受信する。アンテナ101は、例えば車両のAピラー近傍に設けられたフィーダアンテナ、車両の屋根に設けられたポールアンテナ、および、車両のガラス面に設けられたフィルムアンテナのいずれかの一のアンテナである。
【0049】
チューナ31は、特定周波数に対応する放送局の選局を行うと共に、特定周波数に対応する受信信号を中間周波数に変換する処理を行う。チューナ31は、BPF(Band Pass Filter)301、同調部302、局部発振部303、および、混合部304の機能を主に備えている。
【0050】
BPF301は、放送波の受信信号中に含まれる複数の周波数のうちFM放送波に対応する周波数帯(例えば、88.0MHz〜108MHz、76.0MHz〜90.0MHzなど)の信号を通過させる。
【0051】
同調部302は、BPF301を通過したFM放送波に対応する周波数帯の受信信号のうち、後述する受信制御部51のチューナ制御部501の指示信号に基づき特定周波数に対応する放送局の信号(以下、「特定周波数信号」ともいう。)を導出する。例えば、88.0MHz〜108MHzの周波数の中から中心周波数が98.1MHzの特定周波数に対応する放送局の信号を導出する。
【0052】
なお、同調部302は、チューナ制御部501からの指示信号により一の特定周波数から他の特定周波数に特定周波数を順次選択する。例えば、一の特定周波数に対応する放送局と他の特定周波数に対応する放送局の周波数間隔が200KHzの場合に、一の特定周波数が98.1MHzのときは、次に別の特定周波数98.3MHzを選択する。これにより特定周波数ごとの受信状態を正確に判定するための特定周波数の変更が可能となる。
【0053】
局部発振部303は、特定周波数信号と混合するローカル信号を発振する。詳細には、特定周波数から高周波側に所定周波数(例えば、300KHz)の差を有するローカル信号(以下、「高周波側信号」ともいう。)を発振する。また、特定周波数から低周波側に所定周波数(例えば、300KHz)の差を有するローカル信号(以下、「低周波側信号」ともいう。)を発振する。
【0054】
なお、チューナ制御部501による特定周波数の順次選択に伴い、局部発振部303はローカル信号の周波数を変更する。例えば、特定周波数が98.1MHzの場合に、ローカル信号の周波数は高周波側に300KHzの差を有する98.4MHzとなる。そして、チューナ制御部501による特定周波数の順次選択により同調部302により導出される特定周波数が98.1MHzから98.3MHzに変更されたときは、ローカル信号は98.4MHzから98.6MHzに変更される。また、低周波側のローカル信号も同様に特定周波数と所定の周波数差を有する周波数の信号となるように変更される。なお、特定周波数とローカル信号の周波数との周波数差はDSP41で処理される中間周波数(例えば、300KHz)と予め対応付けられている。
【0055】
混合部304は、同調部302から出力される特定周波数信号と局部発振部303から発振されるローカル信号とを混合する。詳細には、高周波側信号と特定周波数信号とを混合する。そして、高周波側信号と特定周波数信号とを混合したタイミングとは異なるタイミングで、低周波側信号と特定周波数信号とを混合する。このように混合された信号は中間周波数の変換信号としてDSP41に出力される。
【0056】
DSP41は、中間周波数に変換された変換信号から音声信号を導出する処理を行う。また、高周波側信号と特定周波数信号とが混合された中間周波数の変換信号(以下、「高周波側変換信号」ともいう。)の信号レベルを導出して、受信制御部51に送信する。さらに、低周波側信号と特定周波数信号とが混合された中間周波数の変換信号(以下、「低周波側変換信号」ともいう。)の信号レベルを導出して受信制御部51に送信する。
【0057】
受信制御部51は、CPU、RAM、および、ROMなどを備えたコンピュータであり、所定のプログラムに従ってCPUが演算処理を行うことで受信装置1の信号処理を含む各種の機能が実現される。また、受信制御部51は、チューナ31、および、DSP41との信号の送受信を行う。受信制御部51は、チューナ制御部501、DSP制御部502、および、判定部503の機能を主に備えている。
【0058】
チューナ制御部501は、操作部71などからのユーザの操作などにより選択される特定周波数の選択の指示信号をチューナ31に出力する。詳細には、チューナ制御部501は、後述する判定部503による受信信号に特定周波数に対応する放送局の信号が含まれるか否かの判定に応じて、一の特定周波数で選択を停止する指示信号、および、特定周波数の順次選択を継続する指示信号のいずれかの指示信号をチューナ31に出力する。なお、チューナ31はこれらの指示信号を受信することで、一の特定周波数で選択を停止したり、特定周波数の順次選択を継続する。
【0059】
DSP制御部502は、高周波側変換信号、および、低周波側変換信号の少なくともいずれか一方の信号の情報をDSP41に要求する要求信号を出力する。そして、一方の信号の情報により受信信号に特定周波数に対応する放送局の信号が含まれると判定部503が判定した場合に、他方の変換信号の情報を要求する信号をDSP41に出力する。
【0060】
判定部503は、変換信号の信号レベルが所定の閾値を超えるか否かを判定する。そして、高周波側変換信号、および、低周波側変換信号の双方の信号レベルが所定の閾値を超える場合は、受信信号に特定周波数に対応する放送局の信号が含まれていると判定する。これにより、特定周波数に対応する放送局の信号の受信状態を正確に判定できる。
【0061】
増幅部61は、DSP41から出力される音声信号の信号レベルを所定の増幅率に基づいて増幅し、増幅された音声信号をスピーカ201に出力する。
【0062】
操作部71は、受信装置1の各種機能を実現するためにユーザが操作を行うものであり、例えば、受信装置1に設けられたハードスイッチなどである。また、受信装置1がディスプレイを備えている場合は、当該ディスプレイにユーザの指などを接触させて操作するタッチパネルなどが操作部71となる。
【0063】
スピーカ201は、増幅部61で信号レベルが増幅された音声信号を音響情報としてユーザに出力する。
<1−2.高周波側と低周波側の混合処理>
図2は、高周波側信号による混合を示す図である。図2に示すグラフは、縦軸が信号レベル、横軸が信号の周波数で、放送波の信号レベルを周波数ごとに示している。
【0064】
最初に、チューナ制御部501からのチューナ31に対する指示信号に基づき、同調部302が特定周波数(例えば、98.1MHz)に対応する放送波の信号である特定周波数信号を導出する。
【0065】
そして、図2の上図に示すように特定周波数f1(98.1MHz)から高周波側に所定の周波数差(例えば、300KHz)を有する周波数f2(例えば、98.4MHz)のローカル信号LHが局部発振部303から発振される。次に、特定周波数f1の信号と、ローカル信号LHとが混合部304により混合される。その結果、特定周波数f1の周波数(98.1MHz)と、ローカル信号LHの周波数f2(98.4MHz)との差の中間周波数(300KHz)の変換信号(高周波側変換信号)がDSP41に出力される。
【0066】
なお、特定周波数f1に対応するローカル信号の周波数を変更することで、受信装置1内で処理するIF信号の周波数を300KHzとは異なる周波数とすることも可能である。例えば、特定周波数とローカル信号とを混合して生成されるIF信号の周波数を300KHzよりも高い周波数の10.7MHzとなるように特定周波数に対応するローカル信号の周波数を設定する。しかし、IF信号は周波数が高周波になればなるほどノイズの影響を受けやすくなる。その結果、IF信号に対するノイズの影響を除去するためのフィルタを設ける必要が生じ、部品点数の増加により受信装置1の小型化・軽量化を阻害して、製造コストを増加させる要因となる。そのため、IF信号を相対的に低い周波数(例えば、周波数10.7MHzに対して周波数300KHz)とすることで、IF信号がノイズの影響を受けにくくなる。これにより、受信装置1の小型化・軽量化を図ることができ、製造コストも低減できる。
【0067】
しかしながら、IF信号の周波数を相対的に低く( 300 KHz)するとローカル信号を中心軸として特定周波数と対象な周波数の位置に存在する別の放送局の周波数が、信号処理の対象とする周波数帯(例えば、FM放送波の周波数帯)の中に含まれる場合がある。またこのような現象は、IF信号の周波数を相対的に高く(10.7MHz)したときよりもIF信号の周波数を相対的に低く(300 KHz)したときのほうが多く発生する。つまり、特定周波数とローカル信号との周波数間隔を広くした場合(IF信号の周波数を相対的に高く設定した場合)よりも特定周波数とローカル信号との周波数間隔を狭くした場合(IF信号の周波数を相対的に低く設定した場合)に、以下に説明するイメージ周波数の影響を受けることが多くなる。
【0068】
図2の上図に戻り、特定周波数f1に対応する放送局の信号が受信信号内に含まれていないため、信号レベルが零となっている。そのため、本来は、特定周波数f1の信号とローカル信号LHとを混合部304が混合しても、両者の差となる信号がDSP41に出力されないため、受信信号に特定周波数f1に対応する放送局の信号が含まれていないと受信制御部51の判定部503が判定する。
【0069】
しかしながら、ローカル信号LHと300KHzの周波数間隔を有する周波数f3(例えば、98.7MHz)に対応する放送局の信号SA(以下、「固有信号SA」ともいう。)がFM放送波の周波数帯の中に存在する場合がある。このように、ローカル信号LHを中心軸として特定周波数f1と対称な周波数の位置に、ある程度の信号レベルを有する固有信号SAが存在する場合に、特定周波数の位置に本来存在しない信号が現れる(イメージ周波数)。
【0070】
つまり、イメージ周波数は、図2の下図に示すように特定周波数f1の周波数の位置に本来存在しない周波数信号SIaとして現れる。この周波数信号SIaが現れた周波数は特定周波数f1と同じ周波数の位置となっている。そして、周波数信号SIaとローカル信号LHとを混合部304が混合する。
【0071】
その結果、DSP制御部502の要求信号に基づいて周波数信号SIaとローカル信号LHとが混合された変換信号がDSP41から受信制御部51に出力される。そして、判定部503が行う判定において高周波側変換信号が所定の閾値を超えた場合は、受信信号に特定周波数に対応する放送局の信号が含まれていると判定部503が誤った判定を行うときがある。
【0072】
そのため,高周波側変換信号により判定部503が受信信号に特定周波数に対応する放送局の信号が含まれていると判定した場合は、低周波側変換信号により、受信信号に特定周波数に対応する放送局の信号が含まれているか否かを判定部503が判定する。
【0073】
図3は、低周波側信号による混合を示す図である。図3に示すグラフは、縦軸が信号レベル、横軸が信号の周波数で、放送波の信号レベルを周波数ごとに示している。チューナ制御部501からのチューナ31に対する指示信号に基づき、同調部302が特定周波数f1の信号を導出する。
【0074】
そして、図3の上図に示すように特定周波数f1から低周波側に所定の周波数差(300KHz)を有する周波数f4(97.8MHz)のローカル信号LLが局部発振部303から発振される。その結果、特定周波数f1の信号と、ローカル信号LLとが混合部304により混合されて、特定周波数f1とローカル信号LLの周波数f4との差の中間周波数(300KHz)の変換信号(低周波側変換信号)がDSP41に出力される。
【0075】
この場合、特定周波数f1に対応する放送局の信号が受信信号内に含まれていないため、信号レベルが零となっている。そのため、特定周波数f1の信号とローカル信号LLとを混合部304が混合しても、両者の差となる信号がDSP41に出力されない。その結果、受信信号に特定周波数f1に対応する放送局の信号が含まれていないと判定部503が判定する。
【0076】
なお、図3の上図に示すようにローカル信号から高周波側の周波数(98.7KHz)の位置に固有信号SAが存在するが、ローカル信号LLを中心軸とする固有信号SAと対称な周波数の位置は、周波数f5(96.9MHz)となる。そして、周波数f5の位置にイメージ周波数の周波数信号SIbが現れる。この場合、特定周波数f1と周波数信号SIbの周波数f5とは異なる周波数の位置となり、特定周波数f1の信号とローカル信号LLとを混合部304が混合しても、両者の差となる信号がDSP41に出力されない。その結果、受信信号に特定周波数f1に対応する放送局の信号が含まれていないと判定部503が判定する。
【0077】
このように、高周波側信号と受信信号とを混合して得られる変換信号である高周波側変換信号と、低周波側信号と受信信号とを混合して得られる変換信号である低周波側変換信号との双方に基づいて、受信信号に特定周波数に対応する放送局の信号が含まれるか否かを判定部503が判定する。これにより、特定周波数に対応する放送局の信号の受信状態を正確に判定できる。
【0078】
<1−3.処理フローチャート>
図4は、チューナ31の処理を説明したフローチャートである。ステップS101では、受信制御部51のチューナ制御部501からの指示信号をチューナ31が受信している場合(ステップS101がYes)は、当該指示信号に基づく特定周波数信号を同調部302が導出して(ステップS102)、ステップS103の処理に進む。なお、チューナ制御部501からの指示信号をチューナ31が受信していない場合(ステップS101が No)は、処理を終了する。
【0079】
ステップS103では、局部発振部303が高周波側信号、および、低周波側信号のいずれか一方を発振して(ステップS103)、ステップS104の処理に進む。なお、一の特定周波数と、高周波側信号および低周波側信号のいずれか一方のローカル信号とを混合して得られる変換信号が判定部503の判定条件を満たした場合は、他方のローカル信号が発振される。詳細には、チューナ制御部501からの指示信号に基づき高周波信号および低周波信号のうちの他方のローカル信号が一方のローカルとは異なるタイミングで発振される。
【0080】
ステップS104では、同調部302から出力された特定周波数信号と局部発振部303から発振されるローカル信号とを混合して(ステップS104)、ステップS105の処理に進む。
【0081】
ステップS105では、特定周波数信号とローカル信号とが混合されたことにより生成される中間周波数の変換信号がDSP41に出力される(ステップS105)。
【0082】
図5は、DSP41と受信制御部51との処理を示すフローチャートである。
【0083】
ステップS201では、変換信号情報(例えば、高周波側変換信号の信号レベル)の要求信号を受信制御部51のDSP制御部502がDSP41に対して送信して、ステップS301の処理に進む。
【0084】
ステップS301では、DSP制御部502からの要求信号を受信したDSP41が高周波側変換信号の信号レベルを受信制御部51に送信して(ステップS301)、ステップS202の処理に進む。
【0085】
ステップS202では、高周波側変換信号の信号レベルを受信制御部51が受信して(ステップS202)、ステップS203の処理に進む。
【0086】
ステップS203では、高周波側変換信号の信号レベルが所定の閾値を超えている場合(ステップS203がYes)は、ステップS204の処理に進む。なお、高周波側変換信号の信号レベルが所定の閾値を下回っている場合(ステップS203がNo)は、以下に説明するステップS208の処理に進む。
【0087】
ステップS204では、DSP41に対して、変換信号情報(例えば、低周波側変換信号の信号レベル)の要求信号をDSP制御部502が送信して(ステップS204)、ステップS205の処理に進む。なお、DSP41に対して要求する変換信号の情報は、ステップS201において、高周波側変換信号の信号レベルを要求している場合は、低周波側変換信号の信号レベルを要求する。また、ステップS201において、低周波側変換信号の信号レベルを要求している場合は、ステップS204では高周波側変換信号の信号レベルを要求する。
【0088】
ステップ205では、低周波側変換信号の信号レベルを受信制御部51が受信して(ステップS205)、ステップS206の処理に進む。
【0089】
ステップS206では、低周波側変換信号の信号レベルが所定の閾値を超えている場合(ステップS206がYes)は、ステップS207の処理に進む。なお、低周波側変換信号の信号レベルが所定の閾値を下回っている場合(ステップS206がNo)は、ステップS208の処理に進む。
【0090】
このように、高周波側変換信号および低周波側変換信号のいずれか一方の信号に基づいて、受信信号に特定周波数に対応する放送局の信号が含まれると判定部503が判定した場合は、他方の信号に基づいて受信信号に特定周波数に対応する放送局の信号が含まれているか否かを判定部503が判定する。これにより、一方および他方の変換信号に基づく受信状態を特定周波数ごとに正確に判定できる。
【0091】
ステップS207に戻って、チューナ制御部501がチューナ31の特定周波数の選択を停止する指示信号をチューナ31に出力して処理を終了する。これにより、選択した特定周波数の放送局の信号が受信信号に含まれているか否かを正確に判断でき、放送局の信号が存在する周波数で選択を停止できる。なお、特定周波数の選択が停止されることで、特定周波数に対応する放送局の音響情報がスピーカ201から出力される。
【0092】
ステップS208では、チューナ制御部501がチューナ31に対して一の特定周波数とは異なる特定周波数に変更する指示信号を出力して(ステップS208)処理を終了する。つまり、チューナ制御部501は特定周波数の順次選択を継続して行う。これにより、選択した放送局の信号が受信信号に含まれているか否かを正確に判定でき、放送局の信号が存在しない場合でも別の放送局の信号が存在しているか否かの判定が可能となる。
<第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態について説明する。第1の実施形態では主にチューナ31において受信信号と、高周波側および低周波側のローカル信号とを混合して中間周波数の変換信号を取得し、特定周波数の放送局の信号が含まれているか否かを判定する処理について説明した。これに対して第2の実施の形態では、中間周波数に変換された変換信号(IF信号)に対するDSP41の処理について説明する。
【0093】
第2の実施の形態では、DSP41で検波された後の音声信号に含まれる(重畳する)ノイズを検出する感度を調整する。詳細には後述する図6の帯域可変フィルタ402の帯域幅の情報と、適応フィルタ404のIF信号の信号レベルの情報、および、IF信号の振幅変動値の情報(以下、これらの3つの情報を「センサ情報」ともいう。)に基づいてノイズの検出感度を調整する。
【0094】
また、以下に説明する第2の実施の形態は、構成および処理の一部が第1の実施の形態と同一であるため、同一の部分の説明については省略し、異なる構成および処理について詳細に説明する。
【0095】
従来、中間周波数の変換信号を検波した後の音声信号に含まれるノイズ(例えば、車両の電動ドアミラーの開閉動作などの車両に関する動作に伴い発生するパルスノイズなど)は、ユーザに提供する音の品質を低下させる大きな要因となる。そのため、このようなノイズを精度良く検出して除去する必要があった。詳細には、例えば、音声信号の周波数帯域を超える(例えば、20Hzから15KHzの周波数帯域を超える)信号に対して、所定の閾値に基づいてノイズ検出を行い、当該所定の閾値を超える信号が存在する場合は、音声信号に含まれるノイズの信号を除去する補完処理を行っていた。
【0096】
そして、補完処理の対象となるノイズ検出の精度を向上させるために、検出閾値の値を下げていた。また、音声信号に含まれるノイズの中には上述のようにユーザに提供される音の品質を低下させる大きな要因となるパルスノイズ以外に、例えばマルチパスノイズがある。ここで、パルスノイズと比べて、マルチパスノイズはユーザに提供する音の品質の低下に対する影響度は比較的小さいことが多い。このようなマルチパスノイズを補完処理の対象のノイズとして検出して補完処理を行った場合に、補完処理を行わない場合よりもユーザに提供する音の品質を低下させるときがあった。
【0097】
しかしながら、上述のように補完処理の対象となるノイズを検出するための閾値を下げると、ユーザに提供する音の品質の影響の程度を考慮した場合に、補完処理の対象として検出する必要のないマルチパスノイズについても検出して、マルチパスノイズが含まれる(重畳する)音声信号に対して補完処理を行うことがあった。このようにマルチパスノイズを補完処理の対象として検出することで、ユーザに提供する音の品質を低下させる場合があった。
【0098】
本実施の形態は、ユーザに提供する音の品質低下の影響の程度に応じて、ノイズの検出感度を調整することを目的とする。
【0099】
<2−1.ブロック図>
図6は、DSP41aの構成と、受信制御部51aの構成を示すブロック図である。DSP41aは、中間周波数の変換信号から音声信号を導出する処理を行う。DSP41aは、A/D変換部401、帯域可変フィルタ402、検出部403、適応フィルタ404、検波部405、ノイズ検出部406、および、補完部407を主に備える。
【0100】
A/D変換部401は、チューナ31から出力されたアナログデータのIF信号を標本化,および,量子化してディジタルデータに変換する。
【0101】
帯域可変フィルタ402は、複数の周波数の信号を含むIF信号のうち一部の周波数帯域のIF信号を通過させて出力する。例えば、周波数300KHzを中心軸として対称に±100KHzの帯域幅に含まれるIF信号を通過させる。また、帯域可変フィルタ402は、中心軸に対する対称な帯域幅を変更する。例えば、周波数を300KHzを中心軸として、対称に±100KHzの帯域幅を±200KHzの帯域幅に変更する。この帯域幅の変更条件については後に詳述する。
【0102】
検出部403は、帯域可変フィルタ402を通過したIF信号の信号レベルと振幅の変動値を検出する。ここで、FM放送波は搬送波に音声信号を重畳させることで搬送波が周波数変調している。そのため、FM放送波の振幅変動値は本来略零となっている。そして、放送波を受信して受信信号をダウンコンバートした中間周波数のIF信号も同様に周波数変調した信号であり、振幅変動値は略零の信号である。
【0103】
そのため、検出部403が帯域可変フィルタ402を通過したIF信号から所定の閾値を超える振幅変動値を検出した場合は、IF信号が他の信号の影響を受けていることが考えられる。例えば、放送波の直接波が物体に反射されて反射波となるマルチパスの影響を放送波の受信信号が受けて、受信信号を周波数変換したIF信号に振幅変動が生じている場合がある。なお、検出部403が検出したIF信号の振幅変動値、および、IF信号の信号レベルの値は受信制御部51に出力される。
【0104】
適応フィルタ404は、振幅変動値による受信制御部51からの指示信号に基づいて、振幅変動値を略零とする処理を行う。つまり、マルチパスの影響により生じるIF信号の振幅変動を除去する。
【0105】
検波部405は、IF信号を検波して音声信号を導出する。FM放送波の場合の検波は例えばPTL(Phase Tracking Loop)方式、PLL(Phase locked loop)方式などにより行われる。
【0106】
ノイズ検出部406は、検波部405に検波された音声信号に含まれるノイズを検出する。つまり、音声信号の周波数帯域を超える(例えば、20Hzから15KHzの周波数帯域を超える)信号に対して閾値に基づいてノイズ検出を行う。なお、ノイズ検出の閾値に対応する感度の変更は、帯域可変フィルタ402の帯域幅、および、検出部403に検出されるIF信号に対するマルチパスの影響の程度(具体的には、IF信号の振幅変動値)に基づいて行われる。
【0107】
詳細には、帯域可変フィルタ402の帯域幅、および、検出部403に検出されるIF信号に対するマルチパスの影響の程度の情報が検出部403から受信制御部51aに送信される。そして、帯域幅とマルチパスの影響の程度に基づいて導出部504が導出したノイズ検出の感度情報が受信制御部51aからDSP41aに送信される。その結果ノイズ検出部406の感度が変更される。
【0108】
補完部407は、音声信号に重畳されるノイズの信号を補完処理により除去して、オーディオ周波数帯(AF:Audio Frequency)の信号として出力する。なお、補完処理については後に詳述する。
【0109】
受信制御部51は、DSP41aとの信号の送受信を行い、導出部504を主に備えている。受信制御部51は、DSP41aから、センサ情報を主に受信して各種の処理を行う。
【0110】
そして、導出部504は、DSP41aから受信した、帯域幅、および、振幅変動値の情報に基づき、ノイズ検出部406が検出するノイズの感度(以下、「ノイズ感度」ともいう。)を導出する。導出されたノイズ感度は受信制御部51aからDSP41aに送信され、ノイズ検出部406の感度が受信制御部51aから受信したノイズ感度となるように変更される。
【0111】
<2−2.帯域可変フィルタの帯域幅の変更>
図7は、帯域可変フィルタ402の帯域幅を示す図である。図7は、縦軸が信号レベル、横軸が周波数のグラフである。また、図7の上図はDSP41aで信号処理を行う周波数として設定した周波数fc(例えば、300KHz)を中心軸として対称な周波数(±200KHz)となる帯域幅を有する信号通過領域FT1が示されている。
【0112】
つまり、中心軸となる周波数fc(300KHz)に対して高周波側に周波数fw11(200KHz)を加算した周波数fh(500KHz)が帯域幅の一端となる。また、低周波側に周波数fw11(200KHz)を減算した周波数fs(100KHz)が帯域幅の他端となる帯域幅fwa(100KHz〜500KHz)の信号通過領域FT1に含まれるIF信号を帯域可変フィルタ402は通過させる。なお、信号通過領域FT1の範囲外の信号は帯域可変フィルタ402を通過させない。
【0113】
次に、図7の下図には周波数fc(例えば、300KHz)を中心軸として対称な周波数となる帯域幅を有する信号通過領域FT2が示されている。
【0114】
つまり、中心軸となる周波数fc(300KHz)に対して高周波側に周波数fw21(100KHz)を加算した周波数fha(400KHz)が帯域幅の一端となる。また、低周波側にfw21(100KHz)を減算した周波数fsa(200KHz)が帯域幅の他端となる帯域幅fwb(200KHz〜400KHz)の信号通過領域FT2に含まれるIF信号を帯域可変フィルタ402は通過させる。なお、信号通過領域FT2の範囲外の信号は帯域可変フィルタ402を通過させない。
【0115】
ここで、図7の上図と下図との異なる点は、帯域幅の広さである。つまり下図に示す帯域幅fwbを第1の幅とし、上図に示す帯域幅fwaを第2の幅とした場合、第1の幅は第2の幅よりも狭い帯域幅となっている。また、このような帯域幅の変更は、検出部403により検出されるIF信号の信号レベルに基づいて行われる。
【0116】
具体的には、検出部403で検出されるIF信号の信号レベルが所定の閾値を下回る場合は、帯域可変フィルタ402の帯域幅は、第1の幅(帯域幅fwb)となる。そして、検出部403で検出されるIF信号の信号レベルが所定の閾値を超える場合は、帯域可変フィルタ402の帯域幅は、第2の幅(帯域幅fwa)となる。これにより、IF信号の信号レベルに応じた帯域可変フィルタ402の帯域幅の調整が行える。
【0117】
<2−3.ノイズ感度値>
図8は、ノイズ感度を示すグラフである。グラフの縦軸は感度、横軸は信号レベルである。なお、信号レベルは検出部403により検出されるIF信号の信号レベルであり、横軸の閾値1は例えば5dB、閾値2は例えば1dBとなっている。また、上述の帯域可変フィルタ402の帯域幅を第1の幅と第2の幅に変更する条件となる信号レベルは、当該横軸の信号レベルと同じく検出部403に検出されるIF信号の信号レベルである。そして、帯域幅を変更する条件の信号レベルの所定の閾値は、図8の横軸の信号レベルの閾値1、および、閾値2とは異なる値であり、例えば20dBの値である。
【0118】
図8に示すように信号レベルが閾値2を下回る場合には、ノイズ検出部406の感度は、感度Fe1となる。感度Fe1は相対的に最も低い感度である。つまり、ノイズ検出部406のノイズを検出する閾値が最も高く設定されている状態となる。
【0119】
次に、IF信号の信号レベルが閾値1を超えた場合には、ノイズ検出部406の感度が感度Fe2となる。なお、IF信号の信号レベルが閾値2を超え、かつ、閾値1を下回る場合には、IF信号の信号レベルはFe2、Fe3、および、Fe4のいずれかの感度となる。これらの感度のうちいずれの感度に設定されるかは、帯域可変フィルタ402の帯域幅により決定される。
【0120】
詳細には、帯域可変フィルタ402の帯域幅が第2の幅の場合に、感度Fe2および感度Fe3のうちのいずれかの感度となる。また、帯域可変フィルタ402の帯域幅が第1の幅の場合に、感度Fe4の感度となる。つまり、帯域可変フィルタ402の帯域幅が第1の帯域幅の場合の感度は、帯域幅が第2の帯域幅の場合の感度よりも高く設定される。これにより、ユーザに提供する音の品質を低下させるノイズを確実に検出して除去できる。
【0121】
また、ノイズ検出部406の帯域幅が第2の帯域幅の場合に、感度Fe2および感度Fe3のいずれの感度となるかは、検出部403により検出されるマルチパスの影響の程度に応じて決定される。具体的には、ノイズ検出部406の帯域幅が第2の帯域幅の場合に、マルチパスの影響の程度が相対的に小さい場合の感度をマルチパスの影響が相対的に大きい場合の感度よりも高くする。
【0122】
詳細には、検出部403が検出するIF信号の振幅変動値が所定の閾値を下回る場合(IF信号に対するマルチパスの影響の程度が相対的に小さい場合)は、ノイズ検出部406の感度を感度Fe3とする。また、検出部403が検出するIF信号の振幅変動値が所定の閾値を超える場合(マルチパスの影響の程度が相対的に大きい場合)は、ノイズ検出部406の感度を感度Fe2とする。これにより、マルチパスの影響の程度に応じてノイズの感度を設定でき、ユーザに提供する音の品質を確保できる。
【0123】
そして、ノイズ検出部406の感度が感度Fe2、感度Fe3、および、感度Fe4のいずれかの感度の場合で、信号レベルが閾値2を下回ったときは、ノイズ検出部406の感度は感度Fe1に設定される。
【0124】
<2−4.補完処理>
図9は、音声信号に含まれるノイズの補完処理を示す図である。図9の上図および下図は、縦軸に振幅、横軸に時間を示した図である。図9の上図は、音声信号S1にパルスノイズSNが重畳している状態を示している。このパルスノイズSNがノイズ検出部406のノイズを検出する閾値であるノイズ感度を超える場合は、図9の下図に示すように音声信号に含まれるパルスノイズの信号を補完部407が補完処理により除去する。つまり、補完処理を開始する時間(時間t1)から、補完処理を終了する時間(時間t2)までの補完区間GWを設定し、音声信号S1から補完処理の対象となるパルスノイズSNを補完部407が除去する。
【0125】
<2−5.処理フローチャート>
図10および図11は、受信制御部51aの処理フローチャートである。ステップS401において、DSP41aからのセンサ情報を受信制御部51aが受信して(ステップS401)、ステップS402の処理に進む。
【0126】
ステップS402では、センサ情報に含まれるIF信号の信号レベルを閾値2と比較して閾値2を下回る場合(ステップS402がNo)は、受信制御部51aはDSP41aに感度Fe1の情報を送信する(ステップS403)。なお、感度Fe1の情報を受信したDSP41aは、ノイズ検出部406のノイズ感度を感度Fe1に設定する。これにより、ユーザに提供する音の品質に与える影響度の大きいノイズのみを検出できる。
【0127】
ステップS402に戻り、IF信号の信号レベルが閾値2を超える場合(ステップS402がYes)は、ステップS404の処理に進む。
【0128】
ステップS404では、IF信号の信号レベルが閾値2よりも信号レベルの高い閾値1を超える場合(ステップS404がYes)はステップS405の処理に進み、感度Fe2の情報をDSP41aに送信する(ステップS405)。なお、感度Fe2の情報を受信したDSP41aは、ノイズ検出部406のノイズ感度を感度Fe2に設定する。
【0129】
ステップS404に戻り、IF信号の信号レベルが閾値1を下回る場合(ステップS404がNo)は、図11に示すステップS406の処理に進む。
【0130】
ステップS406では、センサ情報に含まれる帯域可変フィルタ402の帯域幅が第2の幅よりも狭い第1の幅の場合(ステップS406がYes)は、ステップS407の処理に進む。
【0131】
ステップS407では、受信制御部51aはDSP41aに感度Fe4の情報を送信する(ステップS407)。なお、感度Fe4の情報を受信したDSP41aは、ノイズ検出部406のノイズ感度を感度Fe4に設定する。これにより、ユーザに提供する音の品質を低下させるノイズ(例えば、パルスノイズ)を確実に検出できる。
【0132】
ステップS406に戻り、帯域可変フィルタ402の帯域幅が第1の幅ではない場合、つまり第1の幅よりも広い第2の幅の場合(ステップS406がNo)、ステップS408の処理に進む。
【0133】
ステップS408では、センサ情報に含まれるIF信号の振幅変動値が所定の閾値を超える場合(ステップS408がYes)は、ステップS409の処理に進む。つまり、マルチパスの影響が相対的に大きい場合に、ステップS409の処理に進む。
【0134】
ステップS409では、受信制御部51はDSP41aに感度Fe2の情報を送信する(ステップS409)。なお、感度Fe2の情報を受信したDSP41aは、ノイズ検出部406のノイズ感度を感度Fe2に設定する。これにより、マルチパスの影響の程度が相対的に大きい場合は、ノイズ検出部406のノイズ感度を相対的に低く設定できる。
【0135】
ステップS408に戻り、センサ情報に含まれるIF信号の振幅変動値が所定の閾値を下回る場合(ステップS408がNo)は、ステップS410の処理に進む。つまり、マルチパスの影響が相対的に小さい場合に、ステップS410の処理に進む。
【0136】
ステップS410では、受信制御部51aはDSP41aに感度Fe3の情報を送信する(ステップS410)。なお、感度Fe3の情報を受信したDSP41aは、ノイズ検出部406のノイズ感度を感度Fe3に設定する。これにより、マルチパスの影響の程度が相対的に小さい場合は、ノイズの感度を相対的に高く設定できる。
【0137】
<第3の実施の形態>
次に、第3の実施の形態について説明する。第2の実施形態では主に帯域可変フィルタ402の帯域幅、および、検出部403により検出されたIF信号の振幅の変動値に基づいて、ノイズ検出部406のノイズの検出感度を変更することについて説明した。これに対して第3の実施の形態では、帯域可変フィルタ402の帯域幅に基づいて、2つの機能のうちいずれか一方の機能を有効化し、他方の機能を無効化する。詳細には、車両(例えば、図13に示す車両9)に備えられた複数のアンテナ(例えば、図13に示すアンテナ101、および、101a)のうちの放送波の受信状態の良いアンテナに切替える機能と、マルチパスによる振幅変動を除去する適応フィルタ404の機能のうちいずれか一方を有効化し、他方を無効化する。これにより、音声信号へのノイズの影響を低減させて、ユーザに提供する音の品質を確保できる。
【0138】
また、以下に説明する第3の実施の形態は、構成および処理の一部が第2の実施の形態と同一であるため、同一の部分の説明については省略し、異なる構成および処理について説明する。
【0139】
従来、車両に備えられた受信装置のアンテナでは、直接波とともに直接波が物体に反射した反射波も受信していた。つまり、放送波のうちアンテナで直接受信する電波と、反射体に反射してからアンテナで受信する電波があり、2つの電波はわずかに到達時間が異なる(マルチパス)。そのため、直接波と反射波とが干渉して、直接波の受信信号と比べてマルチパスの影響(信号に振幅変動と位相ずれが生じる)を受けた受信信号となる。そのため、ユーザに提供する音声信号等にノイズ(以下、「マルチパスノイズ」ともいう。)が重畳する場合があった。これに対する対応として例えば、車両に複数のアンテナを備えて、それぞれのアンテナで放送波を受信し、最も受信状態の良いアンテナの放送波を選択する技術(ダイバーシティ)が提供されている。
【0140】
しかしながら、受信状態のよいアンテナを選択するためにアンテナの切替えを行うと、IF信号に急峻な振幅変動が発生するときがあった。そして、マルチパスの影響による振幅変動を調整する適応フィルタを受信装置に備えている場合に、当該適応フィルタを動作させた状態でIF信号に振幅変動が発生すると、適応フィルタが即座に振幅の変動を元に戻す調整を行うことで、当該IF信号を検波した後の音声信号にノイズが重畳する場合があった。特に、選択された特定周波数に対応する放送局の近傍に別の放送局(以下、「妨害波」ともいう。)が存在する場合、アンテナの切替が頻繁に発生する。その結果、適応フィルタによる振幅の調整も頻繁に行われることとなり、音声信号にノイズが多く重畳し、ユーザに提供する音の品質を低下させる要因となる場合があった。
【0141】
本実施の形態は、ユーザに提供する音の品質を確保する受信装置を提供することを目的とする。
【0142】
<3−1.ブロック図>
図12は、受信装置1bのブロック図である。また、図13は、アンテナ101およびアンテナ101aを備えた車両を示す図である。図12の受信装置1bは、アンテナ101、および、アンテナ101aの複数のアンテナを備えている。また、受信装置1bは、切替部21、DSP41b、および、受信制御部51bを主に備えている。その他の構成は、図1で説明した受信装置1の構成と同じである。
【0143】
アンテナ101とアンテナ101aとは、図13に示すように車両9の異なる位置に配置される。車両9におけるそれぞれのアンテナの配置は、例えば、アンテナ101は、車両9のAピラー近傍であり、フィーダアンテナとして配置される。また、アンテナ101aは車両9の屋根に設けられたポールアンテナである。このように、アンテナ101とアンテナ101aとは車両9の異なる位置に配置され、放送波を受信する。
【0144】
図12に示す切替部21は、アンテナ101およびアンテナ101aで受信した放送波の受信信号のうち、受信装置1bで処理する受信信号を選択する。つまり、二つのアンテナの受信信号を出力する信号線のうち一方の信号線を後段のチューナ31に接続し、他方の信号線を後段のチューナ31に接続しないように切替を行う。
【0145】
なお、アンテナの切替は、次のように行われる。選択された一方のアンテナ(例えば、アンテナ101)の受信信号をチューナ31を介してDSP41bに入力する。そして、選択されたアンテナ101により受信した放送波の受信状態が悪い場合は他方のアンテナ(例えば、アンテナ101a)に切替部21が切替える。つまり、DSP41bのノイズ検出部406で検出されるアンテナ101の受信信号に対応する音声信号のノイズの影響の程度が所定の閾値を超えた場合に、一方のアンテナから他方のアンテナ(例えば、アンテナ101からアンテナ101a)に切替部21が切替える。
【0146】
そして、アンテナ101aにより受信した放送波の受信状態が良好な場合、つまり、アンテナ101aで受信した放送波の受信信号に基づくノイズの影響の程度が所定の閾値を下回る場合、アンテナ101aでの放送波の受信を継続して行う。なお、アンテナ101aによる放送波の受信状態が悪くなった場合は、アンテナ101aからアンテナ101へ切替部21が切替えを行う。
【0147】
DSP41bは、帯域可変フィルタ402bを備えている。帯域可変フィルタ402bは、図6で説明した帯域可変フィルタ402と一部の処理が相違する。なお、その他のDSP41bの構成および処理は、図6で説明したDSP41aの構成等と同様である。
【0148】
受信制御部51bは、選択部505を主に備えている。選択部505の処理については後に詳述する。
【0149】
図14は、DSP41bの構成と、受信制御部51bの構成を示すブロック図である。帯域可変フィルタ402bは、受信信号であるIF信号の一部を通過させるとともに、特定周波数に対応するIF信号の周波数近傍の妨害波の有無に応じて通過させる周波数の帯域幅を変更する。
【0150】
つまり、特定周波数(例えば、98.1MHz)に対応するIF信号の周波数(例えば、300KHz)近傍の周波数(例えば、500KHz)に妨害波が存在する場合は、帯域可変フィルタ402bはIF信号を通過させる帯域幅を第1の幅(例えば、図7に示す帯域幅fwb)とする。また、特定周波数に対応するIF信号の周波数近傍に妨害波が存在しない場合は、帯域可変フィルタ402bの帯域幅を第1の幅よりも広い第2の幅(例えば、図7に示す帯域幅fwa)とする。これにより、信号のノイズを低減でき、ユーザに提供する音の品質を確保できる。
【0151】
なお、妨害波の有無は次のように判定される。ノイズ検出部406で閾値を超えるノイズが検出された場合に、帯域可変フィルタ402bの帯域幅を第2の幅と第1の幅に交互に切替えて、ノイズ検出部406に検出されるノイズに変動が生じる場合は、IF信号の周波数近傍に妨害波が存在することとなる。
【0152】
また、ノイズ検出部406で閾値を超えるノイズが検出された場合に、帯域可変フィルタ402bの帯域幅を第2の幅と第1の幅に交互に切替えて、ノイズ検出部406に検出されるノイズに変動が生じない場合は、IF信号の周波数近傍に妨害波が存在しないこととなる。
【0153】
受信制御部51bは、選択部505を主に備えている。選択部505は、帯域可変フィルタ402bの帯域幅に基づいて、切替部21による放送波を受信するアンテナの切替、および、適応フィルタ404のマルチパスの影響の除去のうち、一方を有効化し、他方を無効化する指示信号をDSP41bに出力する。
【0154】
<3−2.選択グラフ>
図15は、切替部21および適応フィルタ404の選択の状態を示すグラフである。グラフの縦軸には切替部21と適応フィルタ404との2つの機能が示されている。そして、これらの2つの機能のうち一方を有効化し、他方を無効化する。また、横軸には信号レベルが示されている。なお、信号レベルは検出部403により検出されるIF信号の信号レベルであり、横軸の閾値1は例えば5dB、閾値2は例えば1dBである。
【0155】
図15に示すように信号レベルが閾値2を下回る場合には、適応フィルタ404によるIF信号に含まれるマルチパスの影響の除去を有効化(以下、「フィルタ有効化」ともいう。)し、切替部21によるアンテナの切替を無効化(以下、「切替無効化」ともいう。)する。つまり、切替部21によるアンテナの切替は行わずに、複数のアンテナのうち一方のアンテナで受信された放送波の受信信号の処理が行われ、適応フィルタ404によるIF信号のマルチパスの影響の除去が行われる。
【0156】
次に、IF信号の信号レベルが閾値1を超えた場合には、切替部21によるアンテナの切替を有効化(以下、「切替有効化」ともいう。)し、適応フィルタ404によるIF信号に含まれるマルチパスの影響の除去を無効化(以下、「フィルタ無効化」ともいう。)する。つまり、切替部21により受信状態の良いアンテナへの切替を行い、適応フィルタ404によるIF信号のマルチパスの影響の除去は行わない。IF信号の信号レベルが閾値1を超えるように高いレベルにある場合は、音声信号に対するノイズの影響が小さくなるためである。
【0157】
次に、IF信号の信号レベルが閾値2を超え、かつ、閾値1を下回る場合に、切替部21によるアンテナの切替、および、適応フィルタ404によるIF信号に含まれるマルチパスの影響の除去のいずれを有効化し、いずれを無効化するかは帯域可変フィルタ402の帯域幅により決定される。
【0158】
詳細には、帯域可変フィルタ402の帯域幅が第1の幅の場合に、フィルタ有効化とし、切替無効化とする。これにより、妨害波の影響によりアンテナの切替が頻繁に発生して、ユーザに提供する音の品質が低下することを防止できる。
【0159】
また、帯域可変フィルタ402の帯域幅が第1の幅よりも帯域幅の広い第2の幅の場合に、切替有効化とし、フィルタ無効化とする。これにより、受信状態の良いアンテナからの受信信号を取得し、ユーザに提供する音の品質を確保できる。
【0160】
<3−3.妨害波に対する適応フィルタの効果>
図16は、適応フィルタ404を無効化した場合と、有効化した場合のS/N比を示すグラフである。図16の上図および下図の縦軸は信号レベルであり、横軸は妨害波の入力レベルを示している。そして、フィルタ無効化の場合を示す図16の上図では妨害波の入力レベルが75dBμV付近からノイズの信号レベルが上昇している。これに対して、図16の下図のフィルタ有効化の場合は妨害波の入力レベルが75dBμVよりも上昇した85dBμVの付近からノイズの信号レベルが上昇している。またノイズの信号レベルの傾きは、上図より下図のほうが緩やかである。このように適応フィルタ404を動作させることで、IF信号に対する妨害波の影響を低減できる。
【0161】
<3−4.処理フローチャート>
図17および図18は、受信制御部51bの処理フローチャートである。ステップS501において、DSP41bから帯域可変フィルタ402bの帯域幅の情報、および、IF信号の信号レベルを含むセンサ情報を受信して(ステップS501)、ステップS502の処理に進む。
【0162】
ステップS502では、センサ情報に含まれるIF信号の信号レベルを閾値2と比較して、閾値2を下回る場合(ステップS502がNo)は、ステップS503に進む。
【0163】
ステップS503では、フィルタ有効化とし、切替無効化とする指示信号をDSP41bに受信制御部51bが送信する(ステップS503)。
【0164】
ステップS502に戻り、IF信号の信号レベルが閾値2を超える場合(ステップS502がYes)は、ステップS504の処理に進む。
【0165】
ステップS504では、IF信号の信号レベルが閾値2よりも信号レベルの高い閾値1を超える場合(ステップS504がYes)は、ステップS505の処理に進み、切替有効化とし、フィルタ無効化とする指示信号をDSP41bに受信制御部51bが送信する(ステップS505)。
【0166】
ステップS504に戻り、IF信号の信号レベルが閾値1を下回る場合(ステップS504がNo)は、図18に示すステップS506の処理に進む。
【0167】
ステップS506では、センサ情報に含まれる帯域可変フィルタ402bの帯域幅が第2の幅よりも狭い第1の幅の場合(ステップS506がYes)は、フィルタ有効化とし、切替無効化とする指示信号をDSP41bに受信制御部51bが送信する。これにより、妨害波の影響によりアンテナの切替が頻繁に発生して、ユーザに提供する音の品質が低下することを防止できる。
【0168】
ステップS506に戻り、帯域可変フィルタ402bの帯域幅が第1の幅ではない場合、つまり第1の幅よりも広い第2の幅の場合(ステップS506がNo)は、切替有効化とし、フィルタ無効化とする指示信号をDSP41bに受信制御部51bが送信する。これにより、受信状態の良いアンテナからの受信信号を取得し、ユーザに提供する音の品質を確保できる。
【0169】
<変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、この発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。以下では、このような変形例について説明する。なお、上記実施の形態で説明した形態、および、以下で説明する形態を含む全ての形態は、適宜に組み合わせ可能である。
【0170】
上記実施の形態において、DSPと受信制御部とは別々の構成となっているが、両者を一体とした構成としてもよい。
【0171】
上記実施の形態において、放送波の対象をFM放送波を例に挙げて説明を行ったが、第1の実施の形態ではFM放送波以外のその他の周波数変調する放送波、および、AM放送波などの振幅変調する放送波にも適用が可能である。また、第2および第3の実施の形態では、FM放送波以外のその他の周波数変調する放送波にも適用が可能である。
【0172】
第1の実施の形態において、受信信号に特定周波数に対応する放送局の信号が含まれているか否かの判定は、判定部503による変換信号の信号レベルが所定の閾値を超えているか否かにより行った。これに対して、信号レベルとは異なる判定条件により判定してもよい。具体的には、変換信号の周波数ズレ、および、特定周波数に周波数が隣接する妨害波の信号レベルなどの判定条件のいずれか一の条件を用いたり、複数の条件を組み合わせて判定するようにしてもよい。
【0173】
ここで、変換信号の周波数ズレとは、ローカル信号と特定周波数信号とを混合して得られた中間周波数の変換信号の基準周波数(例えば、300KHz)との差を導出し、差の値が所定の閾値を超えている場合は、受信信号に特定周波数に対応する放送局の信号が含まれていないと判定するものである。また、差の値が所定の閾値を下回っている場合は、受信信号に特定周波数に対応する放送局の信号が含まれていると判定するものである。
【0174】
さらに、特定周波数に周波数が隣接する妨害波の信号レベルの判定は、当該隣接する妨害波の信号レベルが所定の閾値を超えている場合は、受信信号に特定周波数に対応する放送局の信号が含まれていないと判定するものである。また、隣接する妨害波の信号レベルが所定の閾値を下回っている場合は、受信信号に特定周波数に対応する放送局の信号が含まれていると判定するものである。
【0175】
また、第2の実施の形態において、帯域可変フィルタ402の帯域幅と、検出部403が検出したマルチパスの影響の程度とに基づいてノイズを検出する感度を変更することを述べた。これ以外に、帯域可変フィルタ402の帯域幅、および、検出部403が検出したマルチパスの影響の程度とに基づいて補完部407が補完処理を行う補完区間GWの幅(補完部407が補完処理を開始して終了するまでの時間、例えば120μsec)を変更するようにしてもよい。
【0176】
また、第2の実施の形態において、帯域可変フィルタ402が変更するIF信号の信号レベルが所定の閾値を下回る場合に帯域幅を第1の幅とし、IF信号の信号レベルが所定の閾値を超える場合に第2の幅とすることについて述べた。これ以外に、IF信号の信号レベルに応じて第1の幅および第2の幅以外の幅に帯域幅を変更するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0177】
1・・・・・受信装置
31・・・・・チューナ
41・・・・・DSP
51・・・・受信制御部
61・・・・増幅部
71・・・・操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送波を受信する受信装置であって、
ローカル信号を発振する発振手段と、
前記放送波を受信して得られる受信信号と前記ローカル信号とを混合して、中間周波数の変換信号を取得する混合手段と、
特定周波数から高周波側に所定周波数の差を有する前記ローカル信号と前記受信信号とを混合して得られる前記変換信号である第1信号と、前記特定周波数から低周波側に所定周波数の差を有する前記ローカル信号と前記受信信号とを混合して得られる前記変換信号である第2信号との双方に基づいて、前記受信信号に前記特定周波数に対応する放送局の信号が含まれるか否かを判定する判定手段と、
を備えることを特徴とする受信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の受信装置において、
前記特定周波数を順次選択する選択制御手段、
をさらに備えることを特徴とする受信装置。
【請求項3】
請求項2に記載の受信装置において、
前記判定手段は、前記第1信号、および、前記第2信号のいずれか一方の信号に基づいて、前記受信信号に前記特定周波数に対応する放送局の信号が含まれると判定した場合は、他方の信号に基づいて前記受信信号に前記特定周波数に対応する放送局の信号が含まれるか否かを判定すること、
を特徴とする受信装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の受信装置において、
前記第1信号および前記第2信号に基づいて、前記受信信号に前記特定周波数に対応する放送局の信号が含まれると前記判定手段が判定した場合に、前記選択制御手段は、前記特定周波数で選択を停止すること、
を特徴とする受信装置。
【請求項5】
請求項2または3のいずれかに記載の受信装置において、
前記第1信号と前記第2信号とのいずれか一方の信号に基づいて、前記受信信号に前記特定周波数に対応する放送局の信号が含まれないと前記判定手段が判定した場合に、前記選択制御手段は、前記特定周波数の順次選択を継続すること、
を特徴とする受信装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の受信装置において、
前記放送波に基づく受信信号の一部を通過させるとともに、前記受信信号のレベルに応じて通過させる周波数の帯域幅を変更するフィルタ手段と、
前記放送波へのマルチパスの影響の程度を検出する検出手段と、
前記受信信号から音声信号を取得する取得手段と、
前記音声信号に含まれるノイズを検出して、前記ノイズを除去する除去手段と、
前記帯域幅と、前記マルチパスの影響の程度とに基づいて、前記ノイズを検出する感度を変更する感度変更手段と、
をさらに備えることを特徴とする受信装置。
【請求項7】
請求項1ないし5のいずれかに記載の受信装置において、
前記放送波を受信する複数のアンテナと、
前記複数のアンテナのうち、前記放送波を受信して得られる受信信号の状態に応じて使用するアンテナを切り替える切替手段と、
前記受信信号に含まれるマルチパスの影響を除去する除去手段と、
前記受信信号の一部を通過させるとともに、前記受信信号の周波数近傍の妨害波の有無に応じて通過させる周波数の帯域幅を変更するフィルタ手段と、
前記帯域幅に基づいて、前記切替手段及び前記除去手段のうちの一方を有効化し他方を無効化する制御手段と、
をさらに備えることを特徴とする受信装置。
【請求項8】
放送波を受信する受信装置であって、
前記放送波に基づく受信信号の一部を通過させるとともに、前記受信信号の信号レベルに応じて通過させる周波数の帯域幅を変更するフィルタ手段と、
前記放送波へのマルチパスの影響の程度を検出する検出手段と、
前記受信信号から音声信号を取得する取得手段と、
前記音声信号に含まれるノイズを検出して、前記ノイズを除去する除去手段と、
前記帯域幅と、前記マルチパスの影響の程度とに基づいて、前記ノイズを検出する感度を変更する感度変更手段と、
を備えることを特徴とする受信装置。
【請求項9】
請求項8に記載の受信装置において、
前記フィルタ手段は、前記受信信号の信号レベルが所定の閾値を下回る場合は、前記帯域幅を第1の幅とし、前記受信信号の信号レベルが前記閾値を超える場合は、前記帯域幅を前記第1の幅よりも広い第2の幅とすること、
を特徴とする受信装置。
【請求項10】
請求項9に記載の受信装置において、
前記感度変更手段は、前記帯域幅が前記第1の幅の場合の前記感度を、前記第2の幅の場合の前記感度よりも高くすること、
を特徴とする受信装置。
【請求項11】
請求項9または10に記載の受信装置において、
前記感度変更手段は、前記帯域幅が前記第2の幅の場合に、前記マルチパスの影響の程度が相対的に小さい場合の前記感度を、前記マルチパスの影響の程度が相対的に大きい場合の前記感度よりも高くすること、
を特徴とする受信装置。
【請求項12】
放送波を受信する受信装置であって、
前記放送波を受信する複数のアンテナと、
前記複数のアンテナのうち、前記放送波を受信して得られる受信信号の状態に応じて使用するアンテナを切り替える切替手段と、
前記受信信号に含まれるマルチパスの影響を除去する除去手段と、
前記受信信号の一部を通過させるとともに、前記受信信号の周波数近傍の妨害波の有無に応じて通過させる周波数の帯域幅を変更するフィルタ手段と、
前記帯域幅に基づいて、前記切替手段及び前記除去手段のうちの一方を有効化し他方を無効化する制御手段と、
を備えることを特徴とする受信装置。
【請求項13】
請求項12に記載の受信装置において、
前記フィルタ手段は、前記受信信号の周波数近傍に妨害波が存在する場合は前記帯域幅を第1の幅とし、前記受信信号の周波数近傍に妨害波が存在しない場合は前記帯域幅を前記第1の幅よりも広い第2の幅とすること、
を特徴とする受信装置。
【請求項14】
請求項13に記載の受信装置において、
前記制御手段は、前記帯域幅が前記第1の幅のときに前記除去手段を有効化し、前記切替手段を無効化すること、
を特徴とする受信装置。
【請求項15】
請求項13に記載の受信装置において、
前記制御手段は、前記帯域幅が前記第2の幅のときに前記切替手段を有効化し、前記除去手段を無効化すること、
を特徴とする受信装置。
【請求項16】
受信した放送波の信号を処理する信号処理方法であって、
ローカル信号を発振する工程と、
前記放送波を受信して得られる受信信号と前記ローカル信号とを混合して、中間周波数の変換信号を取得する工程と、
特定周波数から高周波側に所定周波数の差を有する前記ローカル信号と前記受信信号とを混合して得られる前記変換信号である第1信号と、前記特定周波数から低周波側に所定周波数の差を有する前記ローカル信号と前記受信信号とを混合して得られる前記変換信号である第2信号との双方に基づいて、前記受信信号に前記特定周波数に対応する放送局の信号が含まれるか否かを判定する工程と、
を備えることを特徴とする信号処理方法。
【請求項17】
受信した放送波の信号を処理する信号処理方法であって、
前記放送波に基づく受信信号の一部を通過させるとともに、前記受信信号の信号レベルに応じて通過させる周波数の帯域幅を変更する工程と、
前記放送波へのマルチパスの影響の程度を検出する工程と、
前記受信信号から音声信号を取得する工程と、
前記音声信号に含まれるノイズを検出して、前記ノイズを除去する工程と、
前記帯域幅と、前記マルチパスの影響の程度とに基づいて、前記ノイズを検出する感度を変更する工程と、
を備えることを特徴とする信号処理方法。
【請求項18】
受信した放送波の信号を処理する信号処理方法であって、
前記放送波を受信する複数のアンテナのうち、前記放送波を受信して得られる受信信号の状態に応じて使用するアンテナを切り替える工程と、
前記受信信号に含まれるマルチパスの影響を除去する工程と、
前記受信信号の一部を通過させるとともに、前記受信信号の周波数近傍の妨害波の有無に応じて通過させる周波数の帯域幅を変更する工程と、
前記帯域幅に基づいて、前記切替手段及び前記除去手段のうちの一方を有効化し他方を無効化する工程と、
を備えることを特徴とする信号処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−5245(P2013−5245A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−134767(P2011−134767)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】